JP2004333396A - 地盤測定装置、地盤測定方法、地盤建設方法およびプログラム - Google Patents
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Abstract
【課題】地盤に設置した載荷板に重錘を落下させた場合に得られる荷重および変位の計測結果から、より正確に地盤に関する物理量を測定する。
【解決手段】地盤に設置された重錘を落下させた際に生じる時系列の荷重値および変位が荷重取得部210および変位取得部220によって取得されて補正部230に供給される。補正部230では、荷重値が出現時から最大値に達するまでの最大荷重到達時間と、変位が出現時から最大値に達するための最大変位到達時間とが一致し、かつ両方の出現時が一致するように供給された時系列の荷重値および変位を補正する。
【選択図】 図8
【解決手段】地盤に設置された重錘を落下させた際に生じる時系列の荷重値および変位が荷重取得部210および変位取得部220によって取得されて補正部230に供給される。補正部230では、荷重値が出現時から最大値に達するまでの最大荷重到達時間と、変位が出現時から最大値に達するための最大変位到達時間とが一致し、かつ両方の出現時が一致するように供給された時系列の荷重値および変位を補正する。
【選択図】 図8
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、地盤に関する物理量を測定する地盤測定装置、地盤測定方法、これらを利用した地盤建設方法およびプログラムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、地盤の剛性等の物理量を取得して評価する際には、FWD(Falling Weight Deflectometer)が用いられる。FWDは、試験対象である地盤上に設置される載荷板に重錘を落下させ、当該重錘落下によって前記載荷板に加わる荷重値と、重錘の落下に伴う地盤の変位とを計測する装置である(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
そして、上記のようなFWD装置によって計測された地盤に加わる時系列の荷重値と、地盤の時系列の変位とに基づいて地盤に関する物理量を求め、物理量が所定の条件を満たすか否か等の評価を行っている。
【0004】
以上のように地盤を評価する際に用いられる評価値として地盤反力係数(k値)がある。従来、計測装置から図1に示すような時系列の荷重値および変位が得られた場合、以下のようにしてk値が求められていた。
【0005】
図1に示すように、FWD計測装置により得られる荷重値と変位との関係は、荷重値の最大値Ppが出現した後に変位の最大値δpが出現するといったこととなるが、従来はこのような最大荷重値Ppと、最大値δpと、重錘を落下させる載荷板の面積Aとから、以下の式によってk値を求めている。
k=(Pp/A)/δp
【0006】
【特許文献1】
特許2506282号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記式を用いた従来のk値導出方法では、図2に示すように、重錘が載荷板に落下したときの荷重値の変化量ΔPと、それに伴う変位の変化量Δδの関係がどのような荷重を加えた場合であっても一定であること、つまり線形の関係にあることを前提としている。すなわち、上記式によるk値導出方法は、図3に示すように、時間的にずれがあるFWD装置による荷重値の計測結果と変位の計測結果について、その時間的なずれをなくすように単純にスケールを一致させてシフトさせれば両測定結果が重なるということを前提としたものとなっている。
【0008】
しかしながら、図4に示すように、実際にFWD装置によって得られた荷重値の計測結果と変位の計測結果を時間的にシフトさせて重ねようとしても、両者は完全に重なるものではない。すなわち、図5において実線で示すように、実際にFWD装置によって得られる計測結果に基づく荷重値の変化量ΔPと、それに伴う変位の変化量Δδの関係は一定ではなく、両者は線形の関係にあるとはいえない。
【0009】
FWD装置による計測結果がこのようになるのは載荷板と地盤面との微小の凹凸などに起因するものと考えられるが、このようなFWD装置から得られた結果に基づいて地盤の剛性等に関する物理量を求める場合に、従来のk値導出方法では線形でない結果を線形であると仮定しているので、かかる方法により導出された物理量の正確性に問題がある可能性が高いと考えられる。
【0010】
この発明は上記に鑑みてなされたもので、地盤に設置した載荷板に重錘を落下させた場合に得られる荷重および変位の計測結果から、より正確に地盤に関する物理量を測定することができる地盤測定装置、地盤測定方法、地盤建設方法およびプログラムを得ることを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1にかかる発明は、測定対象である地盤に設置した載荷面に重錘を落下させた際に発生する荷重および前記地盤の変位に基づいて、当該地盤に関する物理量を測定する地盤測定装置であって、前記重錘を落下させた際に発生する時系列の荷重値を取得する荷重取得手段と、前記重錘を落下させた際の前記地盤の時系列の変位を取得する変位取得手段と、前記荷重取得手段によって取得された時系列の荷重値および前記変位取得手段によって取得された時系列の変位を補正する手段であって、前記荷重取得手段によって取得された荷重の出現時から最大値となる時までの最大荷重到達時間と、前記変位取得手段によって取得された変位の出現時から最大値となる時までの最大変位到達時間とを一致させるとともに、荷重および変位の出現時を一致させる補正手段とを具備することを特徴とする地盤測定装置である。
【0012】
請求項1にかかる発明によれば、地盤に設置した載荷面に重錘を落下させた際に生じる時系列の荷重値および変位を取得し、取得した時系列の荷重値および変位が、荷重値が出現時から最大値に達するまでの最大荷重到達時間と、変位が出現時から最大値に到達するまでの最大変位到達時間とが一致するように補正されるとともに、荷重値と変位の出現時とが一致するように補正される。したがって、地盤に加える種々の荷重値とそれによって生じる変位との対応関係を求めることができ、つまり実際には非線形の関係となる荷重値と変位との対応関係を求めることができる。このような対応関係そのものを物理量として、またはこの対応関係に基づいて地盤に関する物理量を測定することができ、より正確な物理量の測定が可能となる。
【0013】
また、請求項2にかかる発明は、請求項1にかかる発明の構成において、前記補正手段によって補正された時系列の荷重値および時系列の変位に基づいて、前記地盤の地盤反力係数を導出する導出手段をさらに具備することを特徴とする。
【0014】
請求項2にかかる発明によれば、補正によって求められた地盤に加える種々の荷重値とそれによって生じる変位との関係に基づいて、地盤の地盤反力係数を求めることができる。
【0015】
また、請求項3にかかる発明は、請求項2にかかる発明の構成において、前記導出手段は、前記補正手段による補正後の前記時系列の荷重値および変位から、一部の荷重値および変位を抽出し、抽出した荷重値および変位に基づいて前記地盤の地盤反力係数を導出することを特徴とする。
【0016】
請求項3にかかる発明によれば、補正手段によって補正された時系列の荷重値および変位から、一部の荷重値および変位を抽出して地盤反力係数を導出することができるので、より確からしい値を求めるために必要な部分のみを抽出して地盤反力係数を求めることができる。
【0017】
また、請求項4にかかる発明は、請求項3にかかる発明の構成において、前記導出手段は、前記出現時から前記最大荷重到達時間および前記最大変位到達時間までの区間における前記地盤に加える荷重値とそれによって生じる変位との関係に基づいて抽出する一部の荷重値および変位を決定することを特徴とする。
【0018】
請求項4にかかる発明によれば、取得された時系列の荷重値および変位を補正することによって得られた時系列の荷重値および変位から求まる荷重値と変位との関係から、つまり地盤に設置した載荷面に重錘を落下させることで取得された実測結果を基にして、地盤反力係数導出のために抽出する部分を決定することができる。
【0019】
また、請求項5にかかる発明は、請求項4にかかる発明の構成において、前記導出手段は、前記出現時から前記最大荷重到達時間および前記最大変位到達時間までの全区間における前記地盤に加える荷重値とそれによって生じる変位との関係が、加える荷重が大きくなるにつれて変位/荷重が小さくなる傾向を示す場合には前記全区間の後半区間に属する荷重値および変位に基づいて地盤反力係数を導出することを特徴とする。
【0020】
請求項5にかかる発明によれば、補正手段による補正後の時系列の荷重値および変位から求まる荷重値と変位との関係が、加える荷重が大きくなるにつれて変位/荷重が小さくなる傾向を示す場合には、後半区間に属する荷重値および変位に基づいて地盤反力係数を導出する。つまり、加える荷重値が大きくなるにつれて変位/荷重値が小さくなる傾向を示す場合には、荷重発生初期段階において載荷面と地盤の接触状態が不安定等に起因して重錘落下による荷重が地盤に十分に伝わっていないと考えられるので、後半区間を用いることで十分に荷重が伝わっていない段階における計測結果を用いることがないので、より正確な地盤反力係数の導出に資することになる。
【0021】
また、請求項6にかかる発明は、請求項2にかかる発明の構成において、前記導出手段は、測定対象である地盤の質に基づいて、前記補正手段による補正後の前記時系列の荷重値および変位から一部の荷重値および変位を抽出し、抽出した荷重値および変位に基づいて前記地盤の地盤反力係数を導出することを特徴とする。
【0022】
請求項6にかかる発明によれば、測定対象である地盤の質に基づいて、補正後の時系列の荷重値および変位の一部が抽出され、抽出されたものに基づいて地盤反力係数が導出される。したがって、地盤の質に応じて最適であろうと考えられる部分の荷重値および変位を抽出して地盤反力係数を求めることができ、より正確な値の導出に資することができる。
【0023】
また、請求項7にかかる発明は、請求項2にかかる発明の構成において、前記導出手段は、ユーザからの指示に基づいて、前記補正手段による補正後の前記時系列の荷重値および変位から一部の荷重値および変位を抽出し、抽出した荷重値および変位に基づいて前記地盤の地盤反力係数を導出することを特徴とする。
【0024】
請求項7にかかる発明によれば、ユーザからの指示に基づいた部分の荷重値および変位が抽出され、抽出した部分の荷重値および変位に基づいて地盤反力係数が導出される。したがって、ユーザがその経験から得た知識や種々の条件を考慮した上で、より正確な地盤反力係数が得られるであろう部分や、施工状況等に応じて必要となる地盤反力係数が得られる部分を指示することで、かかる部分が抽出されて地盤反力係数の導出に用いられ、より適切な地盤反力係数の導出に資することができる。
【0025】
また、請求項8にかかる発明は、請求項2にかかる発明の構成において、前記導出手段は、前記補正手段による補正後の前記時系列の荷重値および変位から一部の荷重値および変位を複数抽出し、複数抽出した一部の荷重値および変位の各々に基づいて地盤反力係数の候補を求めることを特徴とする。
【0026】
請求項8にかかる発明によれば、補正された時系列の荷重値および変位の複数の部分が抽出され、これらの部分の各々に基づいて地盤反力係数の候補が導出される。したがって、ユーザは経験から得た知識や種々の条件等を考慮し、このように導出された地盤反力係数の候補を選択することができ、より正確な地盤反力係数の導出に資することができる。
【0027】
また、請求項9にかかる発明は、請求項2にかかる発明の構成において、前記導出手段は、前記補正手段による補正後の前記時系列の荷重値および変位から、前記荷重値および変位の最大値と、これらが最大になった時点の直前の荷重値および変位を抽出し、抽出した荷重値および変位に基づいて前記地盤の地盤反力係数を導出することを特徴とする。
【0028】
請求項9にかかる発明によれば、荷重値および変位が最大値付近であり、かつその直前のデータを用いることから荷重値および変位が増加傾向にあるときの状態を反映した地盤反力係数を求めることができる。
【0029】
また、請求項10にかかる発明は、請求項2にかかる発明の構成において、前記導出手段は、前記補正手段による補正後の前記時系列の荷重値および変位から、前記荷重値および変位が最大値となった時点の荷重値および変位を抽出し、抽出した荷重値および変位に基づいて前記地盤の地盤反力係数を導出することを特徴とする。
【0030】
請求項10にかかる発明によれば、荷重値および変位の最大値を用いて地盤反力係数が求められるので、荷重および変位が0から最大値となるまでの平均的な地盤の挙動を反映した地盤反力係数を得ることができる。
【0031】
また、請求項11にかかる発明は、請求項1ないし10のいずれかにかかる発明の構成において、前記荷重取得手段は、前記重錘を落下させた後の除荷時における時系列の荷重値を取得し、前記変位取得手段は、前記除荷時における時系列の変位を取得することを特徴とする。
【0032】
請求項11にかかる発明によれば、衝撃荷重が加わった後除荷時の荷重値および変位の関係を得ることができ、例えば施工時に最大荷重が作用した後、道路等として供用される地盤の剛性評価等のための資料として用いることができる。
【0033】
また、請求項12にかかる発明は、請求項1にかかる発明の構成において、前記補正手段によって補正された時系列の荷重値および時系列の変位に基づいて、前記地盤の地盤反力係数を導出する導出手段をさらに具備し、前記荷重取得手段は、前記重錘を落下させた後の除荷時における時系列の荷重値を取得し、前記変位取得手段は、前記除荷時における時系列の変位を取得し、前記導出手段は、ユーザからの指示に基づいて、前記補正手段による補正後の前記除荷時における時系列の荷重値および変位から一部の荷重値および変位を抽出し、抽出した荷重値および変位に基づいて前記地盤の地盤反力係数を導出することを特徴とする。
【0034】
請求項12にかかる発明によれば、衝撃荷重が加わった後除荷時の荷重値および変位の関係を得ることができ、除荷時の荷重値および変位の中から、ユーザからの指示に基づいた部分の荷重値および変位が抽出され、抽出した部分の荷重値および変位に基づいて地盤反力係数が導出される。したがって、ユーザが施工状況や地盤の供用態様等に応じた部分を指示することで、かかる部分が抽出されて地盤反力係数の導出に用いられ、より適切な地盤反力係数の導出に資することができる。
【0035】
また、請求項13にかかる発明は、請求項12にかかる発明の構成において、前記導出手段は、前記補正手段による補正後の時系列の荷重値および変位から、前記荷重値および変位の最大値と、これらが最大となった時点の直後の荷重値および変位を抽出し、抽出した荷重値および変位に基づいて前記地盤の地盤反力係数を導出することを特徴とする。
【0036】
請求項13にかかる発明によれば、荷重値および変位が最大値付近であり、かつその直後のデータを用いることから荷重値および変位が減少傾向にあるときの状態を反映した地盤反力係数を求めることができる。
【0037】
また、請求項14にかかる発明は、請求項1ないし13のいずれかにかかる発明の構成において、前記荷重取得手段は、前記重錘を落下させた後の除荷時における時系列の荷重値と、除荷後の所定タイミングで再度前記重錘を落下させた際に発生する時系列の荷重値を取得し、前記変位取得手段は、前記重錘を落下させた後の除荷時における時系列の変位と、再度前記重錘を落下させた際に発生する時系列の変位を取得することを特徴とする。
【0038】
請求項14にかかる発明によれば、重錘を落下させることにより荷重を加えた後、再度重錘を落下させて荷重を加えたときに生じる時系列の荷重値および変位を得ることができ、複数回の衝撃荷重が加わった場合の地盤の挙動を推測等、地盤剛性評価のための資料として利用することができる。
【0039】
また、請求項15にかかる発明は、測定対象である地盤に設置した載荷面に重錘を落下させた際に発生する荷重および前記地盤の変位に基づいて、当該地盤に関する物理量を測定する地盤測定方法であって、前記重錘を落下させた際に発生する時系列の荷重値を取得する荷重取得ステップと、前記重錘を落下させた際の前記地盤の時系列の変位を取得する変位取得ステップと、前記荷重取得ステップによって取得された時系列の荷重値および前記変位取得ステップによって取得された時系列の変位を補正するステップであって、前記荷重取得ステップによって取得された荷重の出現時から最大値となる時までの最大荷重到達時間と、前記変位取得ステップによって取得された変位の出現時から最大値となる時までの最大変位到達時間とを一致させるとともに、荷重および変位の出現時を一致させる補正ステップとを具備することを特徴とする地盤測定方法である。
【0040】
請求項15にかかる発明によれば、地盤に設置した載荷面に重錘を落下させた際に生じる時系列の荷重値および変位を取得し、取得した時系列の荷重値および変位が、荷重値が出現時から最大値に達するまでの最大荷重到達時間と、変位が出現時から最大値に到達するまでの最大変位到達時間とが一致するように補正されるとともに、荷重値と変位の出現時とが一致するように補正される。したがって、地盤に加える種々の荷重値とそれによって生じる変位との対応関係を求めることができ、このような対応関係そのものを物理量として、またはこの対応関係に基づいて地盤に関する物理量を測定することができ、より正確な物理量の測定が可能となる。
【0041】
また、請求項16にかかる発明は、請求項15にかかる発明の構成において、前記荷重取得ステップでは、前記重錘を落下させた後の除荷時における時系列の荷重値を取得し、前記変位取得ステップでは、前記除荷時における時系列の変位を取得することを特徴とする。
【0042】
請求項16にかかる発明によれば、衝撃荷重が加わった後除荷時の荷重値および変位の関係を得ることができ、例えば施工時に最大荷重が作用した後、道路等として供用される地盤の剛性評価等のための資料として用いることができる。
【0043】
また、請求項17にかかる発明は、請求項15にかかる発明の構成において、前記荷重取得ステップでは、前記重錘を落下させた後の除荷時における時系列の荷重値と、除荷後の所定のタイミングで再度前記重錘を落下させた際に発生する時系列の荷重値を取得し、前記変位取得ステップでは、前記重錘を落下させた後の除荷時における時系列の変位と、再度前記重錘を落下させた際に発生する時系列の変位を取得することを特徴とする。
【0044】
請求項17にかかる発明によれば、重錘を落下させることにより荷重を加えた後、再度重錘を落下させて荷重を加えたときに生じる時系列の荷重値および変位を得ることができ、複数回の衝撃荷重が加わった場合の地盤の挙動を推測等、地盤剛性評価のための資料として利用することができる。
【0045】
また、請求項18にかかる発明は、地盤を建設する建設ステップと、前記建設ステップで建設された地盤に設置した載荷面に重錘を落下させるとともに、当該重錘の落下の際に発生する時系列の荷重値と当該地盤の時系列の変位を計測する計測ステップと、前記計測ステップで計測された時系列の荷重値および時系列の変位を補正するステップであって、計測された荷重の出現時から最大値となる時までの最大荷重到達時間と、計測された変位の出現時から最大値となる時までの最大変位到達時間とを一致させるとともに、荷重および変位の出現時を一致させる補正ステップとを具備することを特徴とする地盤建設方法である。
【0046】
請求項18にかかる発明によれば、補正ステップで補正された時系列の荷重値および変位から、地盤に加える種々の荷重値とそれによって生じる変位との対応関係を求めることができ、このような対応関係そのものを物理量として、またはこの対応関係に基づいて地盤に関する物理量を測定することができ、かかる測定結果に基づいて建設地盤が設計条件に合致しているか否かを判別することができる。
【0047】
また、請求項19にかかる発明は、地盤層を建設する第1建設ステップと、前記建設ステップで建設された地盤層に設置した載荷面に重錘を落下させるとともに、当該重錘の落下の際に発生する時系列の荷重値と当該地盤の時系列の変位を計測する計測ステップと、前記計測ステップで計測された時系列の荷重値および時系列の変位を補正するステップであって、計測された荷重の出現時から最大値となる時までの最大荷重到達時間と、計測された変位の出現時から最大値となる時までの最大変位到達時間とを一致させるとともに、荷重および変位の出現時を一致させる補正ステップと、前記補正ステップによって補正された時系列の荷重値および時系列の変位に基づいて、前記第1建設ステップで建設された地盤層に関する物理量を導出する物理量導出ステップと前記物理量導出ステップによって導出された前記地盤層に関する物理量が予め決められた設計条件を満たすか否かを判別し、予め決められた設計条件を満たした場合には、当該地盤層の上にさらに地盤層を建設する第2建設ステップとを具備することを特徴とする地盤建設方法である。
【0048】
請求項19にかかる発明によれば、地盤層が建設された後、かかる地盤層に対して、重錘落下によって生じる時系列の荷重値および変位が計測され、かかる計測結果が補正される。補正された時系列の荷重値および変位から、地盤に加える種々の荷重値とそれによって生じる変位との対応関係を求めることができ、この対応関係に基づいて地盤に関する物理量を測定することができる。かかる測定結果に基づいて建設地盤が設計条件に合致しているか否かを判別することができ、かかる判別結果がよい場合には上記地盤層の上にさらに地盤層を建設することができる。
【0049】
また、請求項20にかかる発明は、コンピュータを、地盤に設置した載荷面に重錘を落下させた際に発生する時系列の荷重値を取得する荷重取得手段、前記重錘を落下させた際の前記地盤の時系列の変位を取得する変位取得手段、前記荷重取得手段によって取得された時系列の荷重値および前記変位取得手段によって取得された時系列の変位を補正する手段であって、前記荷重取得手段によって取得された荷重の出現時から最大値となる時までの最大荷重到達時間と、前記変位取得手段によって取得された変位の出現時から最大値となる時までの最大変位到達時間とを一致させるとともに、荷重および変位の出現時を一致させる補正手段として機能させることを特徴とするプログラムである。
【0050】
請求項20にかかるプログラムをコンピュータに実行させることで、地盤に設置した載荷面に重錘を落下させた際に生じる時系列の荷重値および変位を取得し、取得した時系列の荷重値および変位が、荷重値が出現時から最大値に達するまでの最大荷重到達時間と、変位が出現時から最大値に到達するまでの最大変位到達時間とが一致するように補正されるとともに、荷重値と変位の出現時とが一致するように補正される。したがって、地盤に加える種々の荷重値とそれによって生じる変位との対応関係を求めることができ、つまり実際には非線形の関係となる荷重値と変位との対応関係を求めることができる。このような対応関係そのものを物理量として、またはこの対応関係に基づいて地盤に関する物理量を測定することができ、より正確な物理量の測定が可能となる。
【0051】
【発明の実施の形態】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる地盤測定装置、地盤測定方法、地盤建設方法およびプログラムの好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0052】
A.実施形態
図6は、本発明の一実施形態にかかる地盤測定システムの構成を示す。同図に示すように、地盤計測装置100と、PC200とを備えており、かかる地盤測定システムでは、地盤計測装置100が地盤に加えた荷重値と地盤の変位とを計測してPC200に供給し、かかる計測結果に基づいてPC200が地盤に関する物理量を測定するようになっている。
【0053】
地盤計測装置100は、載荷部1と、支持体2と、荷重計測手段3と、主軸4と、重錘5と、不動部6と、変位計測手段7とを備えている。
【0054】
載荷部1は、金属などの剛体で構成され、測定対象となる地盤Gの上面に接触するよう設置される。支持体2は、載荷部1の上側に設けてあり、金属などの剛体からなる。支持体2は、上支持板2aと下支持板2bとの間を複数の支柱2cで連結した構造体であり、その上支持板2aの上面には、落下した重錘5を受けるダンパー2dが設けてある。
【0055】
荷重計測手段3は、荷重を電圧の変化として検出するロードセルなどからなる。荷重計測手段3は、支持体2の下支持板2bと載荷部1との間に介在してある。この荷重計測手段3は、支持体2に重錘5を落下したときに、載荷部1に生じた地盤Gに加わる衝撃荷重を計測する。
【0056】
主軸4は、載荷部1に対して鉛直となる軸線に沿う態様で支持体2を介して載荷部1に連結してある。
【0057】
重錘5は、複数の錘板を組み合わせてなるものであり、その総質量を可変できる。係合部5cは、主軸4の軸線に沿って移動可能になされており、その移動可能な位置で固定できるようになっている。重錘5は、固定された当該係合部5cに係合されることでその位置が保持されており、計測時にはかかる係合状態を解除することで重錘5が保持位置から落下し、支持体2の上側に設けられたダンパー2dに衝突する。なお、係合部5cの固定位置を変動させることで、重錘5の落下高さを調整することができる。
【0058】
不動部6は、金属などの剛体からなり、重錘5の落下とは独立しており、重錘5の落下時においてその位置が変動しないようになっている。変位計測手段7は、不動部6側に設けてあり、主軸4の位置変位を計測する。変位計測手段7は、例えば主軸4に基準位置を設け、この基準位置の移動を計測する。この変位計測手段7は、重錘5を落下させたときの主軸4の位置変位から地盤Gのたわみ(変位)量を計測する。
【0059】
以上が地盤計測装置100の構成であり、荷重および変位の計測を行う場合には、係合部5cと重錘5の係合状態を解除する。これにより図7に示すように重錘5が落下してダンパー2dに衝突する。かかる重錘5の落下に伴って支持体2および載荷部1を介して地盤Gに衝撃荷重が加わり、その荷重が荷重計測手段3によって計測される。また、この荷重によって地盤Gがδだけ沈下すると、その沈下に伴って載荷部1とこれに連結される支持体2および主軸4が下方側に移動する。つまり、主軸4が地盤Gの沈下量δと同じだけ下方側に移動し、この移動量を変位計測手段7が計測することで地盤Gの変位δを計測することができるのである。
【0060】
図6に示すPC200には、以上のような構成の地盤計測装置100によって計測された時系列の荷重と、時系列の変位とが供給され、PC200においてこれらの計測結果に基づいて地盤Gに関する物理量を導出するための処理が行われる。なお、地盤計測装置100とPC200を信号ケーブル等によって接続し、計測時に計測結果をリアルタイムで地盤計測装置100からPC200に送信することで計測結果を供給するようにしてもよいし、一旦地盤計測装置100において可搬型記録媒体に計測結果を記録させ、かかる可搬型記録媒体からPC200にセットしてこれに記録された計測結果を読み出すことによりPC200が計測結果を取り込むようにしてもよいし、地盤計測装置100の計測結果のPC200への供給方法は任意である。
【0061】
PC200は、地盤計測装置100から供給される計測結果に基づいて、測定対象である地盤Gの剛性などに関する物理量を導出する処理を行うためのプログラムを内蔵するハードディスクドライブ等の外部記憶装置に記憶している。かかる外部記憶装置に記憶されているプログラムを実行することでPC200は図8に示すような機能を備えた地盤測定装置として機能する。
【0062】
図8に示すように、PC200は、荷重取得部210と、変位取得部220と、補正部230と、k値導出部240と、出力部250とを備える。
【0063】
荷重取得部210は、上述したように地盤計測装置100によって計測された時系列の荷重値を取得する。また、変位取得部220は、地盤計測装置100によって計測された時系列の変位を取得する。ここで、荷重取得部210および変位取得部220によるこれらのデータの取得方法は、可搬型記録媒体にこれらのデータが記録されている場合にはかかる可搬型記録媒体から当該データを読み出すことにより取得し、地盤計測装置100によって計測される値がリアルタイムでPC200に供給される場合には当該供給される値を取得する。
【0064】
また、荷重取得部210および変位取得部220によって取得される時系列の荷重値および変位は、それぞれ地盤計測装置100の荷重計測手段3および変位計測手段7によって微小時間(例えば、0.2msec)ごとに計測された値、つまり図9に示すように計測開始(t=0)から微小時間単位でステップする時刻ごとに計測された荷重値および変位の値であり、荷重取得部210および変位取得部220は図9に示すようなテーブルを作成する。
【0065】
補正部230は、荷重取得部210によって取得された時系列の荷重値と、変位取得部220によって取得された時系列の変位といったデータを補正し、補正した時系列の荷重値および変位をk値導出部240に出力する。
【0066】
補正部230による補正処理の内容について、荷重取得部210および変位取得部220によって図10に示すような時系列の荷重値および変位が得られた場合を例に挙げて説明する。
【0067】
図11に示すように、まず補正部230は、荷重値の出現時tp0、変位の出現時td0を特定する。ここで、出現時とは、荷重取得部210によって取得される荷重値が0から変化した時点、および変位取得部220によって取得される変位が0から変化した時点である。
【0068】
このように荷重値の出現時tp0、変位の出現時td0を特定すると、これらの出現時が一致するように荷重値および変位データの時刻を修正する(ステップSa1)。すなわち、荷重値の出現時tp0=0、変位の出現時td0=0とし、出現時以降の荷重値に対応する時刻tnはtn−tp0、変位に対応する時刻tnはtn−td0にするといった補正を行う。
【0069】
このように出現時が一致(0となる)するように、荷重値および変位が対応する時刻を補正すると、補正部230は、荷重値の出現時tp0と荷重値が最大値Ppとなる時tppまでの時間である最大荷重到達時間Tpと、変位の出現時td0と、変位が最大値δpとなる時tdpまでの時間である最大変位到達時間Tdとを求める(ステップSa2)。
【0070】
以上のように最大荷重到達時間Tpと最大変位到達時間Tdを求めると、補正部230は、求めたTpとTdが一致するか否かを判別し(ステップSa3)、一致しないと判別した場合には時系列の変位データを修正する処理を行う(ステップSa4)。なお、実際に得られた計測のほとんどは、最大変位到達時間Tdが最大荷重到達時間Tpと一致しないため、ほとんどのケースでステップSa3の修正処理が行われることになる。
【0071】
時系列の変位データの修正処理では、最大変位到達時間Tdが最大荷重到達時間Tpと一致するようにする。具体的には、図12に示すように、微小時間ごと時刻に対応する変位からなるデータのうち、各時刻に対してTp/Tdを乗算する。例えば、Tp/Tdが9/10であれば各時刻に対して9/10が乗算されることになり、時刻10msecが9msecに修正されることになる。
【0072】
このように時刻の修正が終了すると、補正部230は、修正された時刻ごとの変位のデータから、修正前の時刻に対応する変位を求める。すなわち、修正前の時刻は、0から微小時間(0.2msec)ごとステップする時刻であるが、上記のようにTp/Tdを時刻に乗算することで、修正前の時刻と対応しない時刻(時刻9.18、8.1、8.28)が現れる一方で修正前の時刻(時刻9.2、10.2)に対応するものが消えてしまうことになるので、修正前の時刻ごとの荷重値からなる時系列の荷重値データとの時刻の整合性がとれない。
【0073】
したがって、補正部230は、時刻修正後の時刻と変位との関係から、修正前の時刻(0から0.2msecごとにステップする時刻)に対応する変位を補間演算を行うことにより求め、修正前の時刻とこれに対応する変位からなるデータに修正する。例えば、時刻9.2に対応する変位Xは、修正時刻9.18に対応する変位δ10.2(aとする)と、修正時刻9.36に対応する変位δ10.4(bとする)から、以下の式により求めることができる。
X=a×8/9+b×1/9
【0074】
以上のように補正部230による補正処理では、Tp=Tdの場合には(ステップSa2の判別「Yes」)、図10に示すように出現時tp0とtd0、最大時tppとtdpと一致していないデータにおける変位データの時刻をtp0−td0、つまり出現時のずれている時間分だけシフトさせて、図13に示すように両者の出現時を一致させるといった処理が行われる。
【0075】
一方、TpがTdと一致しない場合には(ステップSa2の判別「No」)、図14に示すように、修正後の変位データの時刻をtp0−td0だけシフトした後(図14左側)、最大変位到達時間Tdが最大荷重到達時間Tpと一致するように変位データを修正するといった処理が行われる(図14右側)。
【0076】
このような補正処理が行われた後の時系列の荷重値データおよび時系列の変位データがk値導出部240に出力される(ステップSa5)。
【0077】
図8に示すk値導出部240は、上記のように補正部230によって補正された時系列の荷重値データおよび時系列の変位データに基づいて、以下のようにして測定対象である地盤Gに関する物理量である地盤反力係数(k値)を求める。
【0078】
まず、上述した補正部230による補正後のデータによって定まる当該地盤Gに関する荷重値と変位の対応関係、つまり加える荷重とそれによって生じる変位の関係に基づいて、k値を導出するためにどの部分(時間的な部分)の荷重値および変位データを利用するかを決定する。
【0079】
より具体的には、k値導出部240は、荷重値および変位の出現時から最大値までの全区間(Tp=Td)において、地盤に加える荷重値とそれによって生じる変位との関係が、加える荷重が大きくなるにつれて変位/荷重が小さくなる傾向を示す場合には上記全区間のうち、後半部分の区間の一部または全部の荷重値および変位データをk値導出のために用いる部分として抽出する。
【0080】
すなわち、補正部230による補正後の時系列の荷重値および変位データに基づいて、同時刻に対応する荷重値と変位を、縦軸を荷重値、横軸を変位とするグラフ上にプロットした際に、図15中実線で示すようにそのプロット結果の近似曲線が下側に凸となる場合には、後半区間の一部または全部の荷重値および変位データを用いる。
【0081】
本実施形態におけるk値導出部240は、下側に凸の場合には後半区間であって、かつ荷重値および変位の最大値が得られた時点tpp(tdp)における荷重値と変位と、それよりも予め決められた一定時間(例えば、1msec)前の時点における荷重値および変位とを用いてk値を求める。なお、このような一定時間は固定値であってもよいが、地盤の土質等に応じて複数用意しておき、測定対象である地盤に対応したものを自動的に選択して用いるようにしてもよいし、測定者が任意に選択するようにしてもよい。
【0082】
以上のようにしてk値導出のために用いるデータを決定すると、k値導出部240は、決定した2つの時点における荷重値と変位、つまり最大値が得られた時点の荷重値Ppおよび変位δpと、それよりも一定時間前の時点の荷重値Pp−αおよび変位δp−αと、載荷部1の面積Aとから以下の式によりk値を導出する。なお、荷重値および変位の計測ステップ時間が0.2msecであり、一定時間が1msecである場合にはα=5となり、最大値時点の荷重値および変位よりも5つ前の時点のデータが用いられる。
k=((Pp)−(Pp−α))/A/((δp)−(δp−α))
【0083】
一方、地盤に加える荷重値とそれによって生じる変位との関係が、加える荷重が大きくなるにつれて変位/荷重が大きくなる傾向を示す場合には上記全区間のデータのうち、変位δが予め定められた値(本実施形態では、1.25mmとする)に最も近い値となる時刻の変位および荷重値を用いてk値を導出する。かかる時刻の荷重値をPn、変位をδn(≒1.25mm)とすると、以下の式によりk値を求める。
k=(Pn)/A/(δn)
【0084】
そして、k値導出部240は、このようにして求めたk値を図8に示す出力部250に出力する。
【0085】
出力部250は、LCD(Liquid Crystal Display)などの画像表示手段、プリンタなどの画像形成手段、または外部装置にデータを出力する通信手段等を備えており、補正部230によって得られた補正後の時系列の荷重値および変位や、k値導出部240によって導出されたk値を表示部に表示したり、紙等に印刷したり、他の装置に通信回線等を介して送信したりするといった出力処理を行う。
【0086】
また、出力部250は、補正部230から供給される補正後の時系列の荷重値および変位から定まる荷重値と変位との対応関係をグラフ(図15や図16参照)等で表示部に表示等して出力するようにしてもよいし、図13や図14に示す荷重値、変位と時間的な変動を示すグラフなど表示等して出力するようにしてもよい。さらに、出力部250が、補正前の時系列の荷重値および変位に基づくグラフなどを表示するようにしてもよく、かかる装置において得られる種々の計測結果、処理結果等を表示等して出力するようにしてもよい。
【0087】
以上が本実施形態にかかる地盤測定システムであり、かかるシステムによれば、以下のような理由によって測定対象である地盤の地盤反力係数(k値)といった地盤に関する物理量をより正確に求めることができる。
【0088】
すなわち、従来のk値導出方法では、計測された荷重値および変位の最大値のみに着目するとともに、荷重値と変位との関係が線形であることを前提としてk値を求めていため、図15および図16において破線で示すような傾きで表されるk値が得られることになっていた。
【0089】
しかしながら、実際に計測装置による計測結果に基づく荷重値と変位の関係は線形ではない場合がほとんどであり(図15および図16の実線参照)、上記のような線形であることを前提として求めたk値の正確性については問題があると考えられる。
【0090】
これに対し、本実施形態では、上述したように計測されたデータを、最大荷重到達時間Tpと最大変位到達時間Tdとを一致させるとともに、本来はずれて計測される荷重値および変位の出現時を一致させるよう補正している。このような補正を行うことで、荷重値の最大値と変位の最大値との関係のみならず、測定対象である地盤に加える種々の荷重値(0〜最大値までの多数の値)と、それによって生じる変位との関係を求めることができる。そして、このような補正後のデータから求まる非線形な関係に基づいて地盤に関する物理量であるk値を導出している。つまり、誤った前提ではなくこれらの関係が非線形であることを前提としてk値を導出することができ、また荷重および変位の最大値以外の部分を考慮したk値の導出も可能となるので、より正確なk値が得られるようになる。
【0091】
さらに、本実施形態では、上記のように補正することにより得られた荷重値と変位との関係の中から、その関係の傾向からより確からしい値が得られるであろう一部のデータを抽出し、その抽出した荷重と変位の関係からk値を求めるようにしている。
【0092】
すなわち、加える荷重が大きくなるについて変位/荷重が小さくなるといった傾向が見られる場合(図15に示す下側に凸の場合)、後半区間のデータを用いてk値を導出している。これは、荷重値と変位との関係が図15に示すような下側に凸となる関係である場合、荷重発生初期段階において載荷部1の端面において礫質土の凹凸によって載荷部1と地盤の接触状態が不安定なものとなり、重錘落下による荷重が地盤に十分に伝わっていないと考えられる。
【0093】
このような状況では、荷重発生初期段階、つまり前半区間の計測結果から求められる荷重値と変位の関係が確かなものである可能性は低いと考えられる。一方、このようなケースでは荷重発生からある程度の時間が経過すると、荷重が地盤に十分に伝わることになり、荷重が十分に伝えられた後の計測結果から求められる荷重値と変位の関係はより正確なものであると考えられる。よって、このようなケースでは、上記のように正確である可能性の高い後半区間のデータを用いてk値を導出することで、より正確なk値が導出することができる。
【0094】
一方、加える荷重が大きくなるにつれて変位/荷重が小さくなるといった傾向が見られる場合(図16に示す上側に凸の場合)、前半区間のデータを用いてk値を導出している。これは、荷重値と変位との関係が図16に示すような上側に凸となる関係である場合、測定対象である地盤が礫分の少ない砂質系の地盤や粘土系の地盤であると考えられ、荷重発生初期段階において載荷部1が地盤に安定した状態で接触しており、初期段階から荷重が十分に地盤に伝わっているものと考えられる。したがって、初期段階の時点で計測されたデータも確かなものである可能性が高い。よって、後半区間からデータを抽出する必然性はなく、地盤反力係数k値として一般的に用いられる変位が1.25mm近傍のデータを用いてk値を求めることとしている。
【0095】
次に、上記のような地盤計測装置100とPC200からなる地盤測定システムを用いた地盤建設方法について説明する。まず、図17に示すように、施工者が設計条件にしたがった地盤を建設する(ステップSb1)。そして、上記地盤測定システムにより、建設した地盤に対してk値導出のための測定を行う(ステップSb2)。ここで行われる地盤測定システムを利用したk値導出方法は上記の通りであり、設計者等はかかる方法により求めたk値が設計条件を満たすか否かを判別する(ステップSb3)。
【0096】
ここで、k値が設計条件を満たす場合には建設工事を以降の工程に進め、k値が設計条件を満たさない場合には補修等を行った後(ステップSb4)、再度上記構成の地盤測定システムを用いてk値を測定する(ステップSb2)。
【0097】
このように建設した地盤から上記構成の地盤測定システムを利用して測定されるk値が設計条件を満たすまで補修等を行っては再度k値を測定するといった工程を繰り返す。
【0098】
上述した地盤測定システムを利用してk値を導出することで、より正確なk値が得られるので、地盤建設後にかかる手法によりk値を求め、求めたk値が設計条件を満たさない場合には満たすよう補修等を行うことで、設計条件により正確にしたがった地盤建設が可能となる。
【0099】
B.変形例
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、以下に例示するような種々の変形が可能である。
【0100】
(変形例1)
上述した実施形態では、主として地盤計測装置100によって得られた測定結果における荷重値および変位が最大値に達するまでの区間(tp0〜tpp、td0〜tdp)のデータを対象とし、これらのデータ全部または一部を抽出して地盤反力係数を導出するようにしていたが、重錘5の落下により荷重値および変位の最大値が得られた後の除荷区間(tppおよびtdp以降の区間)、つまり衝撃荷重が加わらない状況下における時系列の荷重値および変位を計測するとともに、これらの計測データを荷重取得部210および変位取得部220が取得するようにしてもよい。
【0101】
そして、除荷時における時系列のデータについても上記最大値までの区間の補正にあわせて補正し、上記実施形態において説明した荷重値や変位が最大値となるまでの区間に加えて除荷時における区間の時系列の荷重値および変位データを利用して地盤反力係数等の物理量の導出を行うようにしてもよい。
【0102】
ここで、図18および図19は、重錘5を落下させた際に発生する荷重および変位の発生開始から最大値に達した後除荷区間を含む区間のデータ(補正後のデータ)の一例を示す。図18に示すように、FWD試験では、重錘5を落下させた後に荷重値および変位が最大値に達し(tpp、tdp)、その後衝撃荷重は急激に減少する除荷区間となる。変位も荷重の減少に伴って減少することになるが、しばらくの時間が経過してもある値以下にはほとんど減少しないようになる。つまり、重錘5落下による衝撃荷重によって塑性変形と弾性変形の両者が生じるが、弾性変形による変位分は減少するが、塑性変形による変位分は減少しない。したがって、図18の除荷区間においてほぼ一定値となる変位は塑性変形による変位、いわゆる残留変位を表している。
【0103】
このように除荷後においても時系列の荷重値および変位を取得することで、残留変位についてのデータを得ることができ、設計条件に合致する地盤が施工されたか否かを確認する際の資料として用いることができる。例えば、ある構造体を建設する際に、恒久的に許容できる地盤の沈下量がある場合には、その許容沈下量を超えてしまうか否かを当該残留変位を参照することで判断するといったことも可能となる。
【0104】
また、図19は、図18に示すような時系列の荷重値および変位が得られた場合における荷重値と変位との対応関係を示すグラフである。なお、同図において、実測から得られた荷重値と変位の関係を破線で示しており、両者の関係が線形であると仮定した場合を実線で示している。
【0105】
同図に示すように、衝撃荷重が発生した直後は上記実施形態と同様、荷重値と変位が非線形な関係でありながらも両者は増加傾向を示し、荷重値および変位が最大値に達した後は衝撃荷重の減少(除荷)に伴って変位も減少し、荷重値=0に対応する変位が残留変位であることを示している。この図に示すような除荷時における荷重値と変位の関係を求め、これを表示部などの表示等して出力するようにしてもよい。
【0106】
(変形例2)
また、上述した実施形態では、重錘5を1回落下させたときに発生する荷重値および変位を取得するようにしていたが、複数回所定のタイミングにおいて重錘を落下させ、これらの一連の重錘落下を行っている間の時系列の荷重値および変位を計測し、これらの計測データを荷重取得部210および変位取得部220が取得するようにしてもよい。
【0107】
なお、重錘5の落下すべき所定タイミングは、前回の重錘5落下による弾性変形が終了した後、つまり衝撃によって弾性変形した部分が元に戻った後(ほぼ残留変位のみが残っている状態となった後)のタイミングであればよい。
【0108】
そして、これらの一連の複数回の重錘落下が行われている間に取得された時系列のデータについても上記実施形態における最大値までの区間の補正にあわせて時間軸補正を行い、これらの一連の重錘落下が行われている間の時系列の荷重値および変位データを利用して地盤反力係数等の物理量の導出を行うようにしてもよい。
【0109】
ここで、図20に重錘を2回落下させた場合に得られた時系列の荷重値および変位の補正データから求めた荷重値および変位の関係を示す。同図に示すように、1回目の重錘5落下による残留変位が残った状態で行われた2回目の重錘5落下によって荷重値および変位が非線形な関係ながらともに増加し、荷重値および変位が最大値(Pp2、δp2)となった後、衝撃荷重の減少(除荷)に伴って変位も減少し、2回目の重錘5落下による荷重値=0に対応する変位が残留変位であることを示している。
【0110】
このように2回、または3回以上重錘5を落下させ、その間の時系列の荷重値および変位を取得することで、上記のように複数回重錘5を落下させた時の荷重値と変位の関係を知ることができ、地盤の設計や施工管理に利用することができる。また、複数回の重錘5落下後の残留変位(塑性変形量)を知ることができるので、道路や空港の滑走路などの建設後に供用されときに大きな荷重(自動車や航空機の走行等による荷重)が加わる地盤などにおいて、供用時に地盤がどのように沈下(塑性変形による沈下)するかを判断する資料として用いることができ、建設施工時のみならず供用時の沈下量が所定の設計条件を満たすよう施工管理を行うこともできる。
【0111】
また、1回目の重錘落下時には地盤面の凹凸などに起因する載荷部1との設置状態の不安定さなどにより正確なデータを得られないケースもあるが、このようなケースであっても、1回目の重錘落下により上記凹凸が減少するので2回目以降には正確なデータが得られやすくなる。
【0112】
(変形例3)
上述した実施形態においては、補正部230による補正後のデータから決まる荷重値と変位の関係に基づいて、k値導出部240がk値導出のために用いるデータの一部を決定するようにしていたが、区間決定のための条件は上記実施形態のような条件に限らず、他の条件にしたがって抽出する部分を決定するようにしてもよい。
【0113】
例えば、測定対象である地盤の質ごとに予めどの区間を利用するかを決めておき、ユーザが測定対象地盤の質を入力することで、k値導出部240が入力された地盤の質に対応した部分のデータを抽出して利用するようにしてもよい。この場合、予め実験などによって地盤の質に応じてどの部分のデータを利用するのがより正確な値を取得することができるかを分析しておき、かかる分析結果に基づいて、地盤の質ごとに選択すべき部分を決めておけばよい。
【0114】
また、図15や図16に示すような補正後のデータから得られる荷重値と変位との関係を表示部に表示させて、測定者にどの部分のデータを利用すべきかの指示の入力を促すようにしてもよい。そして、測定者が指示した部分のデータを用いてk値導出部240がk値を導出するようにしてもよい。
【0115】
例えば、何らかの原因によって荷重値と変位の関係がイレギュラーな結果であった場合、一律に利用する部分を決定していては正確なk値が導出できない場合もありうる。そこで、上記のように測定者が利用すべき部分を選択できる機能を持たせておくことで、イレギュラーの結果が得られた場合など、測定者の経験等を活かし、種々の条件を考慮してより正確なk値を導出できるであろうデータを選択することができる。
【0116】
また、上記実施形態のように荷重値と変位との関係が図16に示すような下側に凸であった場合に予め決められた固定値と最も近似する値となっている変位およびこれに対応する荷重値を用いてk値を導出するようにしてもよいが、当該ケースにおいては、上側に凸の場合には出現時から最大到達時間(tpp=Tdp)の区間のうちの前半区間に属する一部の荷重値および変位データを用いてk値を導出するようにしてもよい。
【0117】
このように加える荷重が大きくなるにつれて変位/荷重が小さくなるといった傾向が見られる場合には、上述したように前半区間のデータの信憑性が高いと考えられる一方で、このような傾向を見せる場合には後半区間では降伏状態に近いものとなっており、その計測値が弾性挙動になっていないおそれがある。したがって、当該ケースにおいては、前半区間のデータを用いてk値を導出することで、より正確なk値が得られるものと考えられる。
【0118】
さらに、上述した実施形態のように荷重値と変位の関係から、後半区間の一部を用いてk値を導出するか、変位δ=1.25mm(1250μm)近傍のデータを用いてk値を導出するかのいずれか一方のみを行ってk値を求めるようにしてもよいが、このような2つの方法でk値をそれぞれ求め、それぞれ求めた値をk値候補として表示部に表示させる等して、測定者にいずれかのk値を選択させるようにしてもよい。
【0119】
(変形例4)
また、上記実施形態や変形例で説明したように取得した補正後の時系列の荷重値および変位データの中から、図21に示す各部分のデータを抽出して地盤反力係数を求めるようにしてもよい。この場合、当該抽出部分はユーザの指示にしたがって抽出されるものであってもよいし、予め決められた機能として自動的に抽出するようにしてもよい。
【0120】
▲1▼原点(荷重値および変位=0)と、最大荷重値Ppと最大変位δpの関係とから以下の式により地盤反力係数k0−pを求める。
k0−p=(Pp−0)/(δp−0)/A
【0121】
つまり、図21に示すグラフ上の(Pp、δp)と(0,0)とを結ぶ直線の傾きを地盤反力係数とするのである。
【0122】
このようなデータを用いて求められる値は、地盤施工や設計の際に想定している最大規定荷重Ppに対する荷重を加えた時からの平均的な地盤挙動が表されたものとなる。したがって、上記のように求まるk0−pを参照することで、荷重を加えた始めた時から最大荷重に達するまでの区間における平均的な地盤の剛性を評価することができる。このようなk0−pは、地盤上に構造物を施工する時の地盤の沈下量などを推定できる等、地盤上の構造体施工時における剛性を評価するのに好適である。
【0123】
また、上記変形例のように複数回重錘5を落下させる場合には、各回の直前である原点と、その回の落下による荷重値および変位の最大値との関係とからn回目の重錘落下に対応する地盤反力係数kn0−pを以下の式により求めることができる。
kn0−p=(Pnp−0)/(δnp−δ(n−1)z)/A
なお、Pnpは、n回目の重錘落下による荷重値の最大値であり、δnpはn回目の重錘落下による変位の最大値である。また、δ(n−1)zは、(n−1)回目の重錘落下後の残留変位を示す。つまり、n回目の重錘落下時の地盤反力係数kn0−pを求めるための原点は、荷重値=0、変位=前回の落下による残留変位の値であり、図21に示すように2回目の重錘落下の際の原点は1回目の重錘落下後の残留変位と荷重値0の点である。
【0124】
このようにして各回の重錘落下に対応する地盤反力係数は、各回の重錘落下による荷重が加え始められた時から最大荷重値までの区間の平均的な地盤挙動を表すものと考えられる。地盤上に構造体を施工する時には構造体施工のために地盤に荷重が加わり、施工が終了することでその荷重はなくなる。その後、その地盤および構造体が供用されると供用による荷重が加わることとなる。例えば、道路や空港路面などでは、車や航空機が走行するといった供用時に大きな荷重が加わることになる。
【0125】
したがって、複数回重錘を落下させて、1回目に対応する地盤反力係数と、2回目以降に対応する地盤反力係数を求め、初回の重錘落下に対応するk0−pを地盤上の構造体施工時の地盤剛性を評価するために用いることができる一方で、複数回目の重錘落下に対応する地盤反力係数を、供用時における荷重に対する地盤の剛性評価のために用いるといったことが可能である。これにより施工時および供用時の各々の荷重状況を考慮した沈下量等の剛性を評価することができ、用途に応じた適切な剛性を有する地盤の設計や施工を行うことができる。
【0126】
▲2▼原点と、原点から最大値までの区間の中の任意の1の荷重値および変位の関係とから地盤反力係数を求める。
【0127】
すなわち、任意の荷重値がPとなるときの荷重値および変位と、原点データ(荷重値および変位が0)を用い、以下の式により地盤反力係数kpを求める。
kp=(P−0)/(δ−0)/A
【0128】
ここで、δは荷重Pのときの変位を示す。つまり、図21に示すグラフ上の任意の点(P、δ)と(0,0)とを結ぶ直線の傾きを地盤反力係数とするのである。
【0129】
このようなデータを用いて求められるk0−pは、指定した規定荷重Pに対して荷重載荷時の平均的な地盤挙動が表された値であり、これにより規定荷重Pに対する平均的な挙動を示す地盤反力係数を得ることができる。例えば、地盤に加わる可能性のある荷重値が最大荷重値Ppより小さい荷重値である場合には、上記▲1▼のように最大荷重値に対応する地盤反力係数を求めて剛性を評価することでは、要求される荷重値に対応する正確な剛性評価をできない場合がある。これは、上述したように荷重値と変位の関係は線形ではなく非線形な関係にあるから、最大荷重値に対応する地盤反力係数がすべての荷重値に対して適切な剛性評価ができるものとは限らないからである。
【0130】
そこで、このように建設した地盤において問題となる荷重値に対応する地盤反力係数を求めることで、よりその地盤施工に好適な地盤剛性評価のための資料を得ることができる。
【0131】
また、このよう任意に指定した荷重値に対応する地盤反力係数を取得できるようになるので、地盤に対してFWD試験を行う時点で対象となる荷重値が定まっていない場合などであっても、上記実施形態のように0から最大荷重値(変位)までのデータをすべて取得しておけば、その後対象荷重値が定まった場合にその中から必要となる荷重値等に対応するデータを利用して地盤反力係数を求めることができる。
【0132】
また、このような任意の荷重値Pに対応する地盤反力係数kpを求める場合であっても、上記▲1▼の場合と同様、複数回の重錘落下の各々に対応する地盤反力係数を求めるようにしてもよい。かかる場合には、上記▲1▼で説明したように初回に対応する地盤反力係数を施工時の地盤剛性評価に用い、2回目以降に対応する地盤反力係数を供用時の地盤剛性評価に用いるようにすればよい。
【0133】
▲3▼最大荷重値および変位の時点およびその直前の荷重値および変位の関係から地盤反力係数を求める。
【0134】
すなわち、荷重値が最大値となるときの荷重値および変位と、その直前(例えば1msec前)の荷重値Ppc(図示略)および変位δpc(図示略)を用い、以下の式により地盤反力係数kppを求める。
kPT=(Pp−Ppc)/(δp−δpc)/A
【0135】
つまり、(Pp、δp)とその直前の(Ppc,δpc)とを結ぶ直線の傾きを地盤反力係数とするのである。
【0136】
このようなデータを用いて求められるkPTは、最大規定荷重Pp付近における地盤の挙動であり、かつ最大荷重および変位が得られる直前のデータを利用していることから荷重および変位が増加している傾向にある場合の地盤の挙動が表現されていると考えられる。したがって、このような地盤反力係数kPTは、最大荷重Pp以上の荷重が加わった場合に地盤がどのような挙動を示すかを推測等する上で利用することができ、例えば地盤に最大荷重Ppが作用した後、その地盤にさらにそれよりも大きい荷重が作用するおそれがあるケースなどにおいて、地盤の剛性評価を行うための指標として利用することができる。
【0137】
▲4▼最大荷重値および変位の時点およびその直後の荷重値および変位の関係から地盤反力係数を求める。
【0138】
すなわち、荷重値が最大値となるときの荷重値および変位と、その直後(例えば1msec後)の荷重値Ppa(図示略)および変位δpa(図示略)を用い、以下の式により地盤反力係数kRTを求める。
kRT=(Pp−Ppa)/(δp−δpa)/A
【0139】
つまり、グラフ上の(Pp、δp)とその直後の(Ppa,δpa)とを結ぶ直線の傾きを地盤反力係数とするのである。
【0140】
このようなデータを用いて求められるkRTは、最大規定荷重Pp付近における地盤の挙動であり、かつ最大荷重および変位が得られる直後のデータを利用していることから荷重および変位が減少している傾向にある、つまり除荷時の地盤の挙動が表現されていると考えられる。したがって、このような地盤反力係数kRTは、最大荷重Ppが作用した後、その地盤にそれよりも小さい荷重が作用するおそれがあるケースなどにおいて、地盤の剛性評価を行うための指標として利用することができる。
【0141】
また、1回目の重錘落下による除荷区間(最大荷重値および最大変位到達後、残留変位に達するまでの区間)には、衝撃荷重による沈下の中で弾性変形していた変位分が回復することによって変位が減少するものと考えられる。一方、2回目の重錘落下による衝撃荷重によって生じる変位は、1回目の除荷時の弾性変形による回復部分に対応するものと考えられ、1回目の除荷時の荷重と変位の関係と、2回目の荷重が加わる時の荷重と変位の関係はある程度の強い相関関係があると考えられる。
【0142】
したがって、上記のように除荷時における最大荷重値Pp近傍に対応する地盤反力係数を、次回の重錘落下に対応する地盤反力係数等を予測するために用いることができ、このような予測を行うことで次回の重錘落下試験を行うことなく、その試験を行うことにより得られたであろう地盤反力係数の推定値を得ることができる。
【0143】
▲5▼荷重、変位の出現時から最大荷重値および変位に到達するまでの区間(荷重増加区間という)の任意の時点およびその直後または直後の荷重値および変位の関係から地盤反力係数を求める。
【0144】
すなわち、荷重増加区間における任意の荷重値Pおよびそれに対応する変位δと、その直前(例えば1msec前)の荷重値Pcおよび変位δcを用い、以下の式により地盤反力係数kPT1を求める。
kPT1=(P−Pc)/(δ−δc)/A
【0145】
つまり、グラフ上の(P、δ)とその直前の(Pc,δc)とを結ぶ直線の傾きを地盤反力係数とするのである。
【0146】
なお、任意の荷重値およびそれに対応する変位と、その直後の荷重値Paおよび変位δaを用いるようにしてもよく、この場合以下の式を用いる。
kPT1=(Pa−P)/(δa−δ)/A
【0147】
このようなデータを用いて求められるkPT1は、荷重増加区間における指定した規定荷重P付近における地盤の挙動が表現されていると考えられる。したがって、このような地盤反力係数kPT1は、指定した規定荷重近傍の範囲で荷重が加わるといったケースが想定される地盤、つまり規定荷重を中心として小さい幅で加わる荷重が変動するといった用途で用いられる地盤の剛性をより正確に評価するための資料として用いることができる。
【0148】
▲6▼最大荷重値および変位から荷重値および変位が減少する区間(除荷区間という)の任意の時点およびその直後または直後の荷重値および変位の関係から地盤反力係数を求める。
【0149】
すなわち、除荷区間における任意の荷重値Pjおよびそれに対応する変位δjと、その直前(例えば1msec前)の荷重値Pcjおよび変位δcjを用い、以下の式により地盤反力係数kRT1を求める。
kRT1=(Pj−Pcj)/(δj−δcj)/A
【0150】
つまり、グラフ上の(Pj、δj)と(Pcj、δcj)とを結ぶ直線の傾きを地盤反力係数とするのである。
【0151】
なお、任意の荷重値およびそれに対応する変位と、その直後の荷重値Pajおよび変位δajを用いるようにしてもよく、この場合以下の式を用いる。
kRT1=(Paj−Pj)/(δaj−δj)/A
【0152】
このようなデータを用いて求められるkRT1は、除荷区間における指定した規定荷重P付近における地盤の挙動が表現されていると考えられる。したがって、このような地盤反力係数kRT1は、最大荷重が作用した後に、ある規定荷重近傍の範囲で荷重が加わるといったケースが想定される地盤、つまり最大荷重作用後に当該規定荷重を中心として小さい幅で加わる荷重が変動するといった用途で用いられる地盤の剛性をより正確に評価するための資料として用いることができる。
【0153】
このような地盤反力係数kRT1を用いて地盤剛性評価を行うことが好適である事例としては、橋台などを構築する地盤を建設する際にプレロード工法を用いる場合がある。すなわち、プレロード工法では橋台などを構築する前に地盤に橋台よりも大きな荷重を加え、その後その地盤上に橋台を建設するといった工法である。すなわち、当該地盤には、最大荷重が作用した後、それよりも小さい規定荷重(橋台による荷重)が加わり、当該橋上の交通荷重、つまり橋台による荷重と比して小さい荷重が加わる。これに対し上記kRT1を導出するために用いた荷重値および変位は、最大荷重が作用した後、それよりも小さい規定荷重が加えられた状況で取得されたものであり、上記プレロード工法による荷重の加わり方と類似している。したがって、地盤反力係数kRT1は、プレロード工法によって地盤を建設する際の当該地盤の供用時の挙動などを評価するための指標として好適である。
【0154】
▲7▼原点と、荷重、変位の出現時から最大荷重値および変位に到達するまでの区間(荷重増加区間という)の変位が所定値となる時点の当該変位とそれに対応する荷重値の関係とから地盤反力係数を求める。
【0155】
ここで、所定値とは規格などによって求めることが要求される値などであり、例えば平板載荷試験などにおいては変位が1.25mmとなるときの当該変位と荷重値とに基づいて地盤係数を導出することが定められている。当該所定値を1.25mmとすれば、その時の荷重値P1.25を用い、以下の式により地盤反力係数k1.25を求める。
k1.25=(P1.25−0)/(1.25−0)/A
【0156】
つまり、グラフ上の(P1.25、1.25)と(0、0)とを結ぶ直線の傾きを地盤反力係数とするのである。
【0157】
このようなデータを用いて求められるk1.25は、JISA1215に規定される平板載荷試験により求められる地盤係数k30(変位1.25mmの値を利用して求める地盤係数)と相関性があると考えられる。したがって、同測定地点におけるFWD試験の結果から求まるk1.25と、平板載荷試験の結果から求まるk30とを比較し、両者の相関関係を求めれば、その後その相関関係を利用することで平板載荷試験を行うことなく、k1.25に基づいて地盤係数k30の推定値を得ることができる。
【0158】
なお、上記の実施形態においても変位が1.25mmのときのデータを用いて地盤反力係数を求めるようにしていた。そして、上記実施形態では、FWD試験の結果得られた荷重値と変位の関係が一定の関係を有する場合に求めるようにしていたが、このような場合に限らず常時変位が所定値となるデータを用いて地盤反力係数等を求めるようにしてもよい。
【0159】
以上のように1回または複数回の重錘落下後の時系列の荷重値および変位を取得補正することで、補正データの中の一部のデータを適宜選択して利用すれば、上記のような種々の事案ごとに好適な地盤反力係数を得ることができる。したがって、ユーザが抽出部分を任意に指定できるようにしておけば、建設現場においてその建設対象である地盤の評価に好適な地盤反力係数を求めることができる。
【0160】
(変形例5)
また、上述した実施形態では、補正部230が補正した時系列の荷重値および変位データに基づいて、k値導出部240が地盤反力係数(k値)を求めるようにしていたが、補正部230による補正後のデータに基づいて、k値以外の他の地盤に関する物理量を導出するようにしてもよく、例えば補正部230によって補正された時系列の荷重値および変位を当該地盤に関する物理量(例えば、弾性係数)として導出する装置であってもよい。また、上記のように導出した地盤反力係数に基づいて他の地盤剛性を評価するための指標を求めるようにしてもよく、例えば上記のよう求めた地盤反力係数から、弾性理論を用いることで地盤の弾性係数を導出するようにしてもよい。
【0161】
(変形例6)
また、上述した実施形態では、地盤計測装置100が計測した時系列の荷重値および変位に基づいてPC200がk値を導出するようになっていたが、計測装置にPC200が実行していた物理量測定機能を持たせるといったように一体の装置として構成してもよい。
【0162】
また、PC200がk値導出に用いる時系列の荷重値および変位は、上記構成の地盤計測装置100によって計測されたものに限らず、他の構成のFWD装置によって計測されたものであってもよい。
【0163】
(変形例7)
また、上述した実施形態では、PC200に内蔵されるCPU等が外部記憶装置等に記憶されたプログラムを読み出して動作することにより、上述したk値導出のための処理(図11参照等)を行うようになっていたが、このようなソフトウェアにより実現される機能と同様の機能をハードウェア回路によって実現するようにしてもよいし、コンピュータにこのような処理を実行させるためのプログラムをインターネット等の通信回線を介してユーザに提供するようにしてもよいし、当該プログラムをCD−ROM(Compact Disc−Read Only Memory)などのコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録してユーザに提供するようにしてもよい。
【0164】
(変形例8)
また、上述した実施形態では、地盤を新たに建設した後に、荷重値および変位の計測を行ってk値導出し、これが設計条件を満たすか否かを判別するといった建設方法に本発明を適用した場合について説明したが、すでに建設されて使用されている地盤のメンテナンス等をする際に、当該地盤について、上記実施形態のように荷重値および変位を計測してk値を導出し、その結果を参照してメンテナンスの要否、必要な場合にはメンテナンスの内容等を決定するようにしてもよい。
【0165】
(変形例9)
また、盛土地盤を建設する場合、必要となる高さの地盤を一時に建設するのではなく、ある地盤層を建設した後、その上層にさらに地盤層を建設するといったように複数の層を順次積層していくことで地盤が建設される。かかる盛土地盤を建設する場合にあっては、ある地盤層を建設した後に、当該地盤層について上記実施形態と同様の手法で測定を行ってk値を導出する。そして、求められたk値が設計条件に合致しない場合には合致するよう当該地盤層の補修等を行い、合致する場合には当該地盤層の上にさらに地盤層の建設を行う。このような地盤層の建設工程が行われるごとにその地盤層に対する測定を行うといった工程を繰り返すことで、上記実施形態における建設方法と同様、設計条件により正確にしたがった地盤建設が可能となる。
【0166】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1にかかる発明によれば、地盤に加える種々の荷重値とそれによって生じる変位との対応関係を求めることができ、つまり実際には非線形の関係となる荷重値と変位との対応関係を求めることができる。このような対応関係そのものを物理量として、またはこの対応関係に基づいて地盤に関する物理量を測定することができ、より正確な物理量の測定が可能となるという効果を奏する。
【0167】
また、請求項2にかかる発明によれば、補正によって求められた地盤に加える種々の荷重値とそれによって生じる変位との関係に基づいて、地盤の地盤反力係数を求めることができるという効果を奏する。
【0168】
また、請求項3にかかる発明によれば、補正手段によって補正された時系列の荷重値および変位から、一部の荷重値および変位を抽出して地盤反力係数を導出することができるので、より確からしい値を求めるために必要な部分のみを抽出して地盤反力係数を求めることができるという効果を奏する。
【0169】
また、請求項4にかかる発明によれば、地盤に設置した載荷面に重錘を落下させることで取得された実測結果を基にして、地盤反力係数導出のために抽出する部分を決定することができるという効果を奏する。
【0170】
また、請求項5にかかる発明によれば、加える荷重値が大きくなるにつれて変位/荷重値が小さくなる傾向を示すといったように荷重発生初期段階において荷重が十分に地盤に伝わっていないと考えられる場合にはその段階ではなく後半区間を用いることができ、より正確な地盤反力係数の導出が可能となるという効果を奏する。
【0171】
また、請求項6にかかる発明によれば、地盤の質に応じて最適であろうと考えられる部分の荷重値および変位を抽出して地盤反力係数を求めることができ、より正確な値の導出に資することができるという効果を奏する。
【0172】
また、請求項7にかかる発明によれば、ユーザがその経験から得た知識や種々の条件を考慮した上で、より正確な地盤反力係数が得られるであろう部分を指示することで、かかる部分が抽出されて地盤反力係数の導出に用いられ、より正確な地盤反力係数の導出に資することができるという効果を奏する。
【0173】
また、請求項8にかかる発明によれば、ユーザは経験から得た知識や種々の条件等を考慮し、このように導出された地盤反力係数の候補を選択することができ、より正確な地盤反力係数の導出に資することができるという効果を奏する。
【0174】
また、請求項9にかかる発明によれば、荷重値および変位が最大値付近であり、かつその直前のデータを用いることから荷重値および変位が増加傾向にあるときの状態を反映した地盤反力係数を求めることができるという効果を奏する。
【0175】
また、請求項10にかかる発明によれば、荷重値および変位の最大値を用いて地盤反力係数が求められるので、荷重および変位が0から最大値となるまでの平均的な地盤の挙動を反映した地盤反力係数を得ることができるという効果を奏する。
【0176】
また、請求項11にかかる発明によれば、衝撃荷重が加わった後除荷時の荷重値および変位の関係を得ることができ、例えば施工時に最大荷重が作用した後、道路等として供用される地盤の剛性評価等のための資料として用いることができるという効果を奏する。
【0177】
また、請求項12にかかる発明によれば、ユーザが施工状況や地盤の供用態様等に応じた部分を指示することで、かかる部分が抽出されて地盤反力係数の導出に用いられ、より適切な地盤反力係数の導出に資することができるという効果を奏する。
【0178】
また、請求項13にかかる発明によれば、荷重値および変位が最大値付近であり、かつその直後のデータを用いることから荷重値および変位が減少傾向にあるときの状態を反映した地盤反力係数を求めることができるという効果を奏する。
【0179】
また、請求項14にかかる発明によれば、重錘を落下させることにより荷重を加えた後、再度重錘を落下させて荷重を加えたときに生じる時系列の荷重値および変位を得ることができ、複数回の衝撃荷重が加わった場合の地盤の挙動を推測等、地盤剛性評価のための資料として利用することができるという効果を奏する。
【0180】
また、請求項15にかかる発明によれば、地盤に加える種々の荷重値とそれによって生じる変位との対応関係を求めることができ、このような対応関係そのものを物理量として、またはこの対応関係に基づいて地盤に関する物理量を測定することができ、より正確な物理量の測定が可能となるという効果を奏する。
【0181】
また、請求項16にかかる発明によれば、衝撃荷重が加わった後除荷時の荷重値および変位の関係を得ることができ、例えば施工時に最大荷重が作用した後、道路等として供用される地盤の剛性評価等のための資料として用いることができるという効果を奏する。
【0182】
また、請求項17にかかる発明によれば、重錘を落下させることにより荷重を加えた後、再度重錘を落下させて荷重を加えたときに生じる時系列の荷重値および変位を得ることができ、複数回の衝撃荷重が加わった場合の地盤の挙動を推測等、地盤剛性評価のための資料として利用することができるという効果を奏する。
【0183】
また、請求項18にかかる発明によれば、より正確な地盤に関する物理量を導出することができるので、設計条件に合致した地盤の建設が可能となるという効果を奏する。
【0184】
また、請求項19にかかる発明によれば、地盤層に関する物理量の測定をより正確に行うことができ、かかる測定結果が設計条件を満たす場合に当該地盤層の上に地盤層をさらに建設するので、設計条件をより確実に満たした複数の地盤層からなる地盤を建設することができる。
【0185】
また、請求項20にかかるプログラムをコンピュータに実行させることで、地盤に加える種々の荷重値とそれによって生じる変位との対応関係を求めることができ、つまり実際には非線形の関係となる荷重値と変位との対応関係を求めることができる。このような対応関係そのものを物理量として、またはこの対応関係に基づいて地盤に関する物理量を測定することができ、より正確な物理量の測定が可能となるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の地盤反力係数を導出する方法を説明するための図であり、地盤に衝撃荷重を加えた際の荷重値と変位との関係を示すグラフである。
【図2】従来の地盤反力係数を導出する方法を説明するための図である。
【図3】従来の地盤反力係数を導出するための方法を説明するための図である。
【図4】従来の地盤反力係数を導出するための方法の問題点を説明するための図である。
【図5】従来の地盤反力係数を導出するための方法の問題点を説明するための図である。
【図6】本発明の一実施形態にかかる地盤測定システムの構成を示す図である。
【図7】前記地盤測定システムの地盤計測装置による荷重値および変位計測時の様子を説明するための図である。
【図8】前記地盤測定システムの構成要素であるPCの機能構成を示すブロック図である。
【図9】前記PCによって取得される時系列の荷重値および変位を示す図である。
【図10】前記PCによる時系列の荷重値および変位の補正内容を説明するための図である。
【図11】前記PCによって行われる時系列の荷重値および変位の補正処理の手順を示すフローチャートである。
【図12】前記PCによって行われる補正処理によって補正される時系列の変位を示す図である。
【図13】前記PCによって行われる補正処理によって補正された時系列の荷重値と変位とを示すグラフである。
【図14】前記PCによって行われる補正処理によって補正された時系列の荷重値と変位とを示すグラフである。
【図15】前記PCによって行われる地盤反力係数の導出方法を説明するための図である。
【図16】前記PCによって行われる地盤反力係数の導出方法を説明するための図である。
【図17】前記地盤測定システムを用いた地盤建設方法の工程を示すフローチャートである。
【図18】前記地盤測定システムによって測定された除荷後を含む区間の荷重値および変位の時間的変動を示すグラフである。
【図19】除荷区間を含む区間の時系列の荷重値と変位の対応関係を示すグラフである。
【図20】1回目の重錘落下後に再度重錘を落下させた場合に得られる荷重値と変位の対応関係を示すグラフである。
【図21】除荷区間を含む区間の荷重値および変位の中から、一部分のデータを抽出して地盤反力係数を導出する際のその抽出部分を説明するための図である。
【符号の説明】
1 載荷部
2 支持体
3 荷重計測手段
4 主軸
5 重錘
6 不動部
7 変位計測手段
100 地盤計測装置
200 PC
210 荷重取得部
220 変位取得部
230 補正部
240 k値導出部
250 出力部
【発明の属する技術分野】
この発明は、地盤に関する物理量を測定する地盤測定装置、地盤測定方法、これらを利用した地盤建設方法およびプログラムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、地盤の剛性等の物理量を取得して評価する際には、FWD(Falling Weight Deflectometer)が用いられる。FWDは、試験対象である地盤上に設置される載荷板に重錘を落下させ、当該重錘落下によって前記載荷板に加わる荷重値と、重錘の落下に伴う地盤の変位とを計測する装置である(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
そして、上記のようなFWD装置によって計測された地盤に加わる時系列の荷重値と、地盤の時系列の変位とに基づいて地盤に関する物理量を求め、物理量が所定の条件を満たすか否か等の評価を行っている。
【0004】
以上のように地盤を評価する際に用いられる評価値として地盤反力係数(k値)がある。従来、計測装置から図1に示すような時系列の荷重値および変位が得られた場合、以下のようにしてk値が求められていた。
【0005】
図1に示すように、FWD計測装置により得られる荷重値と変位との関係は、荷重値の最大値Ppが出現した後に変位の最大値δpが出現するといったこととなるが、従来はこのような最大荷重値Ppと、最大値δpと、重錘を落下させる載荷板の面積Aとから、以下の式によってk値を求めている。
k=(Pp/A)/δp
【0006】
【特許文献1】
特許2506282号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記式を用いた従来のk値導出方法では、図2に示すように、重錘が載荷板に落下したときの荷重値の変化量ΔPと、それに伴う変位の変化量Δδの関係がどのような荷重を加えた場合であっても一定であること、つまり線形の関係にあることを前提としている。すなわち、上記式によるk値導出方法は、図3に示すように、時間的にずれがあるFWD装置による荷重値の計測結果と変位の計測結果について、その時間的なずれをなくすように単純にスケールを一致させてシフトさせれば両測定結果が重なるということを前提としたものとなっている。
【0008】
しかしながら、図4に示すように、実際にFWD装置によって得られた荷重値の計測結果と変位の計測結果を時間的にシフトさせて重ねようとしても、両者は完全に重なるものではない。すなわち、図5において実線で示すように、実際にFWD装置によって得られる計測結果に基づく荷重値の変化量ΔPと、それに伴う変位の変化量Δδの関係は一定ではなく、両者は線形の関係にあるとはいえない。
【0009】
FWD装置による計測結果がこのようになるのは載荷板と地盤面との微小の凹凸などに起因するものと考えられるが、このようなFWD装置から得られた結果に基づいて地盤の剛性等に関する物理量を求める場合に、従来のk値導出方法では線形でない結果を線形であると仮定しているので、かかる方法により導出された物理量の正確性に問題がある可能性が高いと考えられる。
【0010】
この発明は上記に鑑みてなされたもので、地盤に設置した載荷板に重錘を落下させた場合に得られる荷重および変位の計測結果から、より正確に地盤に関する物理量を測定することができる地盤測定装置、地盤測定方法、地盤建設方法およびプログラムを得ることを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1にかかる発明は、測定対象である地盤に設置した載荷面に重錘を落下させた際に発生する荷重および前記地盤の変位に基づいて、当該地盤に関する物理量を測定する地盤測定装置であって、前記重錘を落下させた際に発生する時系列の荷重値を取得する荷重取得手段と、前記重錘を落下させた際の前記地盤の時系列の変位を取得する変位取得手段と、前記荷重取得手段によって取得された時系列の荷重値および前記変位取得手段によって取得された時系列の変位を補正する手段であって、前記荷重取得手段によって取得された荷重の出現時から最大値となる時までの最大荷重到達時間と、前記変位取得手段によって取得された変位の出現時から最大値となる時までの最大変位到達時間とを一致させるとともに、荷重および変位の出現時を一致させる補正手段とを具備することを特徴とする地盤測定装置である。
【0012】
請求項1にかかる発明によれば、地盤に設置した載荷面に重錘を落下させた際に生じる時系列の荷重値および変位を取得し、取得した時系列の荷重値および変位が、荷重値が出現時から最大値に達するまでの最大荷重到達時間と、変位が出現時から最大値に到達するまでの最大変位到達時間とが一致するように補正されるとともに、荷重値と変位の出現時とが一致するように補正される。したがって、地盤に加える種々の荷重値とそれによって生じる変位との対応関係を求めることができ、つまり実際には非線形の関係となる荷重値と変位との対応関係を求めることができる。このような対応関係そのものを物理量として、またはこの対応関係に基づいて地盤に関する物理量を測定することができ、より正確な物理量の測定が可能となる。
【0013】
また、請求項2にかかる発明は、請求項1にかかる発明の構成において、前記補正手段によって補正された時系列の荷重値および時系列の変位に基づいて、前記地盤の地盤反力係数を導出する導出手段をさらに具備することを特徴とする。
【0014】
請求項2にかかる発明によれば、補正によって求められた地盤に加える種々の荷重値とそれによって生じる変位との関係に基づいて、地盤の地盤反力係数を求めることができる。
【0015】
また、請求項3にかかる発明は、請求項2にかかる発明の構成において、前記導出手段は、前記補正手段による補正後の前記時系列の荷重値および変位から、一部の荷重値および変位を抽出し、抽出した荷重値および変位に基づいて前記地盤の地盤反力係数を導出することを特徴とする。
【0016】
請求項3にかかる発明によれば、補正手段によって補正された時系列の荷重値および変位から、一部の荷重値および変位を抽出して地盤反力係数を導出することができるので、より確からしい値を求めるために必要な部分のみを抽出して地盤反力係数を求めることができる。
【0017】
また、請求項4にかかる発明は、請求項3にかかる発明の構成において、前記導出手段は、前記出現時から前記最大荷重到達時間および前記最大変位到達時間までの区間における前記地盤に加える荷重値とそれによって生じる変位との関係に基づいて抽出する一部の荷重値および変位を決定することを特徴とする。
【0018】
請求項4にかかる発明によれば、取得された時系列の荷重値および変位を補正することによって得られた時系列の荷重値および変位から求まる荷重値と変位との関係から、つまり地盤に設置した載荷面に重錘を落下させることで取得された実測結果を基にして、地盤反力係数導出のために抽出する部分を決定することができる。
【0019】
また、請求項5にかかる発明は、請求項4にかかる発明の構成において、前記導出手段は、前記出現時から前記最大荷重到達時間および前記最大変位到達時間までの全区間における前記地盤に加える荷重値とそれによって生じる変位との関係が、加える荷重が大きくなるにつれて変位/荷重が小さくなる傾向を示す場合には前記全区間の後半区間に属する荷重値および変位に基づいて地盤反力係数を導出することを特徴とする。
【0020】
請求項5にかかる発明によれば、補正手段による補正後の時系列の荷重値および変位から求まる荷重値と変位との関係が、加える荷重が大きくなるにつれて変位/荷重が小さくなる傾向を示す場合には、後半区間に属する荷重値および変位に基づいて地盤反力係数を導出する。つまり、加える荷重値が大きくなるにつれて変位/荷重値が小さくなる傾向を示す場合には、荷重発生初期段階において載荷面と地盤の接触状態が不安定等に起因して重錘落下による荷重が地盤に十分に伝わっていないと考えられるので、後半区間を用いることで十分に荷重が伝わっていない段階における計測結果を用いることがないので、より正確な地盤反力係数の導出に資することになる。
【0021】
また、請求項6にかかる発明は、請求項2にかかる発明の構成において、前記導出手段は、測定対象である地盤の質に基づいて、前記補正手段による補正後の前記時系列の荷重値および変位から一部の荷重値および変位を抽出し、抽出した荷重値および変位に基づいて前記地盤の地盤反力係数を導出することを特徴とする。
【0022】
請求項6にかかる発明によれば、測定対象である地盤の質に基づいて、補正後の時系列の荷重値および変位の一部が抽出され、抽出されたものに基づいて地盤反力係数が導出される。したがって、地盤の質に応じて最適であろうと考えられる部分の荷重値および変位を抽出して地盤反力係数を求めることができ、より正確な値の導出に資することができる。
【0023】
また、請求項7にかかる発明は、請求項2にかかる発明の構成において、前記導出手段は、ユーザからの指示に基づいて、前記補正手段による補正後の前記時系列の荷重値および変位から一部の荷重値および変位を抽出し、抽出した荷重値および変位に基づいて前記地盤の地盤反力係数を導出することを特徴とする。
【0024】
請求項7にかかる発明によれば、ユーザからの指示に基づいた部分の荷重値および変位が抽出され、抽出した部分の荷重値および変位に基づいて地盤反力係数が導出される。したがって、ユーザがその経験から得た知識や種々の条件を考慮した上で、より正確な地盤反力係数が得られるであろう部分や、施工状況等に応じて必要となる地盤反力係数が得られる部分を指示することで、かかる部分が抽出されて地盤反力係数の導出に用いられ、より適切な地盤反力係数の導出に資することができる。
【0025】
また、請求項8にかかる発明は、請求項2にかかる発明の構成において、前記導出手段は、前記補正手段による補正後の前記時系列の荷重値および変位から一部の荷重値および変位を複数抽出し、複数抽出した一部の荷重値および変位の各々に基づいて地盤反力係数の候補を求めることを特徴とする。
【0026】
請求項8にかかる発明によれば、補正された時系列の荷重値および変位の複数の部分が抽出され、これらの部分の各々に基づいて地盤反力係数の候補が導出される。したがって、ユーザは経験から得た知識や種々の条件等を考慮し、このように導出された地盤反力係数の候補を選択することができ、より正確な地盤反力係数の導出に資することができる。
【0027】
また、請求項9にかかる発明は、請求項2にかかる発明の構成において、前記導出手段は、前記補正手段による補正後の前記時系列の荷重値および変位から、前記荷重値および変位の最大値と、これらが最大になった時点の直前の荷重値および変位を抽出し、抽出した荷重値および変位に基づいて前記地盤の地盤反力係数を導出することを特徴とする。
【0028】
請求項9にかかる発明によれば、荷重値および変位が最大値付近であり、かつその直前のデータを用いることから荷重値および変位が増加傾向にあるときの状態を反映した地盤反力係数を求めることができる。
【0029】
また、請求項10にかかる発明は、請求項2にかかる発明の構成において、前記導出手段は、前記補正手段による補正後の前記時系列の荷重値および変位から、前記荷重値および変位が最大値となった時点の荷重値および変位を抽出し、抽出した荷重値および変位に基づいて前記地盤の地盤反力係数を導出することを特徴とする。
【0030】
請求項10にかかる発明によれば、荷重値および変位の最大値を用いて地盤反力係数が求められるので、荷重および変位が0から最大値となるまでの平均的な地盤の挙動を反映した地盤反力係数を得ることができる。
【0031】
また、請求項11にかかる発明は、請求項1ないし10のいずれかにかかる発明の構成において、前記荷重取得手段は、前記重錘を落下させた後の除荷時における時系列の荷重値を取得し、前記変位取得手段は、前記除荷時における時系列の変位を取得することを特徴とする。
【0032】
請求項11にかかる発明によれば、衝撃荷重が加わった後除荷時の荷重値および変位の関係を得ることができ、例えば施工時に最大荷重が作用した後、道路等として供用される地盤の剛性評価等のための資料として用いることができる。
【0033】
また、請求項12にかかる発明は、請求項1にかかる発明の構成において、前記補正手段によって補正された時系列の荷重値および時系列の変位に基づいて、前記地盤の地盤反力係数を導出する導出手段をさらに具備し、前記荷重取得手段は、前記重錘を落下させた後の除荷時における時系列の荷重値を取得し、前記変位取得手段は、前記除荷時における時系列の変位を取得し、前記導出手段は、ユーザからの指示に基づいて、前記補正手段による補正後の前記除荷時における時系列の荷重値および変位から一部の荷重値および変位を抽出し、抽出した荷重値および変位に基づいて前記地盤の地盤反力係数を導出することを特徴とする。
【0034】
請求項12にかかる発明によれば、衝撃荷重が加わった後除荷時の荷重値および変位の関係を得ることができ、除荷時の荷重値および変位の中から、ユーザからの指示に基づいた部分の荷重値および変位が抽出され、抽出した部分の荷重値および変位に基づいて地盤反力係数が導出される。したがって、ユーザが施工状況や地盤の供用態様等に応じた部分を指示することで、かかる部分が抽出されて地盤反力係数の導出に用いられ、より適切な地盤反力係数の導出に資することができる。
【0035】
また、請求項13にかかる発明は、請求項12にかかる発明の構成において、前記導出手段は、前記補正手段による補正後の時系列の荷重値および変位から、前記荷重値および変位の最大値と、これらが最大となった時点の直後の荷重値および変位を抽出し、抽出した荷重値および変位に基づいて前記地盤の地盤反力係数を導出することを特徴とする。
【0036】
請求項13にかかる発明によれば、荷重値および変位が最大値付近であり、かつその直後のデータを用いることから荷重値および変位が減少傾向にあるときの状態を反映した地盤反力係数を求めることができる。
【0037】
また、請求項14にかかる発明は、請求項1ないし13のいずれかにかかる発明の構成において、前記荷重取得手段は、前記重錘を落下させた後の除荷時における時系列の荷重値と、除荷後の所定タイミングで再度前記重錘を落下させた際に発生する時系列の荷重値を取得し、前記変位取得手段は、前記重錘を落下させた後の除荷時における時系列の変位と、再度前記重錘を落下させた際に発生する時系列の変位を取得することを特徴とする。
【0038】
請求項14にかかる発明によれば、重錘を落下させることにより荷重を加えた後、再度重錘を落下させて荷重を加えたときに生じる時系列の荷重値および変位を得ることができ、複数回の衝撃荷重が加わった場合の地盤の挙動を推測等、地盤剛性評価のための資料として利用することができる。
【0039】
また、請求項15にかかる発明は、測定対象である地盤に設置した載荷面に重錘を落下させた際に発生する荷重および前記地盤の変位に基づいて、当該地盤に関する物理量を測定する地盤測定方法であって、前記重錘を落下させた際に発生する時系列の荷重値を取得する荷重取得ステップと、前記重錘を落下させた際の前記地盤の時系列の変位を取得する変位取得ステップと、前記荷重取得ステップによって取得された時系列の荷重値および前記変位取得ステップによって取得された時系列の変位を補正するステップであって、前記荷重取得ステップによって取得された荷重の出現時から最大値となる時までの最大荷重到達時間と、前記変位取得ステップによって取得された変位の出現時から最大値となる時までの最大変位到達時間とを一致させるとともに、荷重および変位の出現時を一致させる補正ステップとを具備することを特徴とする地盤測定方法である。
【0040】
請求項15にかかる発明によれば、地盤に設置した載荷面に重錘を落下させた際に生じる時系列の荷重値および変位を取得し、取得した時系列の荷重値および変位が、荷重値が出現時から最大値に達するまでの最大荷重到達時間と、変位が出現時から最大値に到達するまでの最大変位到達時間とが一致するように補正されるとともに、荷重値と変位の出現時とが一致するように補正される。したがって、地盤に加える種々の荷重値とそれによって生じる変位との対応関係を求めることができ、このような対応関係そのものを物理量として、またはこの対応関係に基づいて地盤に関する物理量を測定することができ、より正確な物理量の測定が可能となる。
【0041】
また、請求項16にかかる発明は、請求項15にかかる発明の構成において、前記荷重取得ステップでは、前記重錘を落下させた後の除荷時における時系列の荷重値を取得し、前記変位取得ステップでは、前記除荷時における時系列の変位を取得することを特徴とする。
【0042】
請求項16にかかる発明によれば、衝撃荷重が加わった後除荷時の荷重値および変位の関係を得ることができ、例えば施工時に最大荷重が作用した後、道路等として供用される地盤の剛性評価等のための資料として用いることができる。
【0043】
また、請求項17にかかる発明は、請求項15にかかる発明の構成において、前記荷重取得ステップでは、前記重錘を落下させた後の除荷時における時系列の荷重値と、除荷後の所定のタイミングで再度前記重錘を落下させた際に発生する時系列の荷重値を取得し、前記変位取得ステップでは、前記重錘を落下させた後の除荷時における時系列の変位と、再度前記重錘を落下させた際に発生する時系列の変位を取得することを特徴とする。
【0044】
請求項17にかかる発明によれば、重錘を落下させることにより荷重を加えた後、再度重錘を落下させて荷重を加えたときに生じる時系列の荷重値および変位を得ることができ、複数回の衝撃荷重が加わった場合の地盤の挙動を推測等、地盤剛性評価のための資料として利用することができる。
【0045】
また、請求項18にかかる発明は、地盤を建設する建設ステップと、前記建設ステップで建設された地盤に設置した載荷面に重錘を落下させるとともに、当該重錘の落下の際に発生する時系列の荷重値と当該地盤の時系列の変位を計測する計測ステップと、前記計測ステップで計測された時系列の荷重値および時系列の変位を補正するステップであって、計測された荷重の出現時から最大値となる時までの最大荷重到達時間と、計測された変位の出現時から最大値となる時までの最大変位到達時間とを一致させるとともに、荷重および変位の出現時を一致させる補正ステップとを具備することを特徴とする地盤建設方法である。
【0046】
請求項18にかかる発明によれば、補正ステップで補正された時系列の荷重値および変位から、地盤に加える種々の荷重値とそれによって生じる変位との対応関係を求めることができ、このような対応関係そのものを物理量として、またはこの対応関係に基づいて地盤に関する物理量を測定することができ、かかる測定結果に基づいて建設地盤が設計条件に合致しているか否かを判別することができる。
【0047】
また、請求項19にかかる発明は、地盤層を建設する第1建設ステップと、前記建設ステップで建設された地盤層に設置した載荷面に重錘を落下させるとともに、当該重錘の落下の際に発生する時系列の荷重値と当該地盤の時系列の変位を計測する計測ステップと、前記計測ステップで計測された時系列の荷重値および時系列の変位を補正するステップであって、計測された荷重の出現時から最大値となる時までの最大荷重到達時間と、計測された変位の出現時から最大値となる時までの最大変位到達時間とを一致させるとともに、荷重および変位の出現時を一致させる補正ステップと、前記補正ステップによって補正された時系列の荷重値および時系列の変位に基づいて、前記第1建設ステップで建設された地盤層に関する物理量を導出する物理量導出ステップと前記物理量導出ステップによって導出された前記地盤層に関する物理量が予め決められた設計条件を満たすか否かを判別し、予め決められた設計条件を満たした場合には、当該地盤層の上にさらに地盤層を建設する第2建設ステップとを具備することを特徴とする地盤建設方法である。
【0048】
請求項19にかかる発明によれば、地盤層が建設された後、かかる地盤層に対して、重錘落下によって生じる時系列の荷重値および変位が計測され、かかる計測結果が補正される。補正された時系列の荷重値および変位から、地盤に加える種々の荷重値とそれによって生じる変位との対応関係を求めることができ、この対応関係に基づいて地盤に関する物理量を測定することができる。かかる測定結果に基づいて建設地盤が設計条件に合致しているか否かを判別することができ、かかる判別結果がよい場合には上記地盤層の上にさらに地盤層を建設することができる。
【0049】
また、請求項20にかかる発明は、コンピュータを、地盤に設置した載荷面に重錘を落下させた際に発生する時系列の荷重値を取得する荷重取得手段、前記重錘を落下させた際の前記地盤の時系列の変位を取得する変位取得手段、前記荷重取得手段によって取得された時系列の荷重値および前記変位取得手段によって取得された時系列の変位を補正する手段であって、前記荷重取得手段によって取得された荷重の出現時から最大値となる時までの最大荷重到達時間と、前記変位取得手段によって取得された変位の出現時から最大値となる時までの最大変位到達時間とを一致させるとともに、荷重および変位の出現時を一致させる補正手段として機能させることを特徴とするプログラムである。
【0050】
請求項20にかかるプログラムをコンピュータに実行させることで、地盤に設置した載荷面に重錘を落下させた際に生じる時系列の荷重値および変位を取得し、取得した時系列の荷重値および変位が、荷重値が出現時から最大値に達するまでの最大荷重到達時間と、変位が出現時から最大値に到達するまでの最大変位到達時間とが一致するように補正されるとともに、荷重値と変位の出現時とが一致するように補正される。したがって、地盤に加える種々の荷重値とそれによって生じる変位との対応関係を求めることができ、つまり実際には非線形の関係となる荷重値と変位との対応関係を求めることができる。このような対応関係そのものを物理量として、またはこの対応関係に基づいて地盤に関する物理量を測定することができ、より正確な物理量の測定が可能となる。
【0051】
【発明の実施の形態】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる地盤測定装置、地盤測定方法、地盤建設方法およびプログラムの好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0052】
A.実施形態
図6は、本発明の一実施形態にかかる地盤測定システムの構成を示す。同図に示すように、地盤計測装置100と、PC200とを備えており、かかる地盤測定システムでは、地盤計測装置100が地盤に加えた荷重値と地盤の変位とを計測してPC200に供給し、かかる計測結果に基づいてPC200が地盤に関する物理量を測定するようになっている。
【0053】
地盤計測装置100は、載荷部1と、支持体2と、荷重計測手段3と、主軸4と、重錘5と、不動部6と、変位計測手段7とを備えている。
【0054】
載荷部1は、金属などの剛体で構成され、測定対象となる地盤Gの上面に接触するよう設置される。支持体2は、載荷部1の上側に設けてあり、金属などの剛体からなる。支持体2は、上支持板2aと下支持板2bとの間を複数の支柱2cで連結した構造体であり、その上支持板2aの上面には、落下した重錘5を受けるダンパー2dが設けてある。
【0055】
荷重計測手段3は、荷重を電圧の変化として検出するロードセルなどからなる。荷重計測手段3は、支持体2の下支持板2bと載荷部1との間に介在してある。この荷重計測手段3は、支持体2に重錘5を落下したときに、載荷部1に生じた地盤Gに加わる衝撃荷重を計測する。
【0056】
主軸4は、載荷部1に対して鉛直となる軸線に沿う態様で支持体2を介して載荷部1に連結してある。
【0057】
重錘5は、複数の錘板を組み合わせてなるものであり、その総質量を可変できる。係合部5cは、主軸4の軸線に沿って移動可能になされており、その移動可能な位置で固定できるようになっている。重錘5は、固定された当該係合部5cに係合されることでその位置が保持されており、計測時にはかかる係合状態を解除することで重錘5が保持位置から落下し、支持体2の上側に設けられたダンパー2dに衝突する。なお、係合部5cの固定位置を変動させることで、重錘5の落下高さを調整することができる。
【0058】
不動部6は、金属などの剛体からなり、重錘5の落下とは独立しており、重錘5の落下時においてその位置が変動しないようになっている。変位計測手段7は、不動部6側に設けてあり、主軸4の位置変位を計測する。変位計測手段7は、例えば主軸4に基準位置を設け、この基準位置の移動を計測する。この変位計測手段7は、重錘5を落下させたときの主軸4の位置変位から地盤Gのたわみ(変位)量を計測する。
【0059】
以上が地盤計測装置100の構成であり、荷重および変位の計測を行う場合には、係合部5cと重錘5の係合状態を解除する。これにより図7に示すように重錘5が落下してダンパー2dに衝突する。かかる重錘5の落下に伴って支持体2および載荷部1を介して地盤Gに衝撃荷重が加わり、その荷重が荷重計測手段3によって計測される。また、この荷重によって地盤Gがδだけ沈下すると、その沈下に伴って載荷部1とこれに連結される支持体2および主軸4が下方側に移動する。つまり、主軸4が地盤Gの沈下量δと同じだけ下方側に移動し、この移動量を変位計測手段7が計測することで地盤Gの変位δを計測することができるのである。
【0060】
図6に示すPC200には、以上のような構成の地盤計測装置100によって計測された時系列の荷重と、時系列の変位とが供給され、PC200においてこれらの計測結果に基づいて地盤Gに関する物理量を導出するための処理が行われる。なお、地盤計測装置100とPC200を信号ケーブル等によって接続し、計測時に計測結果をリアルタイムで地盤計測装置100からPC200に送信することで計測結果を供給するようにしてもよいし、一旦地盤計測装置100において可搬型記録媒体に計測結果を記録させ、かかる可搬型記録媒体からPC200にセットしてこれに記録された計測結果を読み出すことによりPC200が計測結果を取り込むようにしてもよいし、地盤計測装置100の計測結果のPC200への供給方法は任意である。
【0061】
PC200は、地盤計測装置100から供給される計測結果に基づいて、測定対象である地盤Gの剛性などに関する物理量を導出する処理を行うためのプログラムを内蔵するハードディスクドライブ等の外部記憶装置に記憶している。かかる外部記憶装置に記憶されているプログラムを実行することでPC200は図8に示すような機能を備えた地盤測定装置として機能する。
【0062】
図8に示すように、PC200は、荷重取得部210と、変位取得部220と、補正部230と、k値導出部240と、出力部250とを備える。
【0063】
荷重取得部210は、上述したように地盤計測装置100によって計測された時系列の荷重値を取得する。また、変位取得部220は、地盤計測装置100によって計測された時系列の変位を取得する。ここで、荷重取得部210および変位取得部220によるこれらのデータの取得方法は、可搬型記録媒体にこれらのデータが記録されている場合にはかかる可搬型記録媒体から当該データを読み出すことにより取得し、地盤計測装置100によって計測される値がリアルタイムでPC200に供給される場合には当該供給される値を取得する。
【0064】
また、荷重取得部210および変位取得部220によって取得される時系列の荷重値および変位は、それぞれ地盤計測装置100の荷重計測手段3および変位計測手段7によって微小時間(例えば、0.2msec)ごとに計測された値、つまり図9に示すように計測開始(t=0)から微小時間単位でステップする時刻ごとに計測された荷重値および変位の値であり、荷重取得部210および変位取得部220は図9に示すようなテーブルを作成する。
【0065】
補正部230は、荷重取得部210によって取得された時系列の荷重値と、変位取得部220によって取得された時系列の変位といったデータを補正し、補正した時系列の荷重値および変位をk値導出部240に出力する。
【0066】
補正部230による補正処理の内容について、荷重取得部210および変位取得部220によって図10に示すような時系列の荷重値および変位が得られた場合を例に挙げて説明する。
【0067】
図11に示すように、まず補正部230は、荷重値の出現時tp0、変位の出現時td0を特定する。ここで、出現時とは、荷重取得部210によって取得される荷重値が0から変化した時点、および変位取得部220によって取得される変位が0から変化した時点である。
【0068】
このように荷重値の出現時tp0、変位の出現時td0を特定すると、これらの出現時が一致するように荷重値および変位データの時刻を修正する(ステップSa1)。すなわち、荷重値の出現時tp0=0、変位の出現時td0=0とし、出現時以降の荷重値に対応する時刻tnはtn−tp0、変位に対応する時刻tnはtn−td0にするといった補正を行う。
【0069】
このように出現時が一致(0となる)するように、荷重値および変位が対応する時刻を補正すると、補正部230は、荷重値の出現時tp0と荷重値が最大値Ppとなる時tppまでの時間である最大荷重到達時間Tpと、変位の出現時td0と、変位が最大値δpとなる時tdpまでの時間である最大変位到達時間Tdとを求める(ステップSa2)。
【0070】
以上のように最大荷重到達時間Tpと最大変位到達時間Tdを求めると、補正部230は、求めたTpとTdが一致するか否かを判別し(ステップSa3)、一致しないと判別した場合には時系列の変位データを修正する処理を行う(ステップSa4)。なお、実際に得られた計測のほとんどは、最大変位到達時間Tdが最大荷重到達時間Tpと一致しないため、ほとんどのケースでステップSa3の修正処理が行われることになる。
【0071】
時系列の変位データの修正処理では、最大変位到達時間Tdが最大荷重到達時間Tpと一致するようにする。具体的には、図12に示すように、微小時間ごと時刻に対応する変位からなるデータのうち、各時刻に対してTp/Tdを乗算する。例えば、Tp/Tdが9/10であれば各時刻に対して9/10が乗算されることになり、時刻10msecが9msecに修正されることになる。
【0072】
このように時刻の修正が終了すると、補正部230は、修正された時刻ごとの変位のデータから、修正前の時刻に対応する変位を求める。すなわち、修正前の時刻は、0から微小時間(0.2msec)ごとステップする時刻であるが、上記のようにTp/Tdを時刻に乗算することで、修正前の時刻と対応しない時刻(時刻9.18、8.1、8.28)が現れる一方で修正前の時刻(時刻9.2、10.2)に対応するものが消えてしまうことになるので、修正前の時刻ごとの荷重値からなる時系列の荷重値データとの時刻の整合性がとれない。
【0073】
したがって、補正部230は、時刻修正後の時刻と変位との関係から、修正前の時刻(0から0.2msecごとにステップする時刻)に対応する変位を補間演算を行うことにより求め、修正前の時刻とこれに対応する変位からなるデータに修正する。例えば、時刻9.2に対応する変位Xは、修正時刻9.18に対応する変位δ10.2(aとする)と、修正時刻9.36に対応する変位δ10.4(bとする)から、以下の式により求めることができる。
X=a×8/9+b×1/9
【0074】
以上のように補正部230による補正処理では、Tp=Tdの場合には(ステップSa2の判別「Yes」)、図10に示すように出現時tp0とtd0、最大時tppとtdpと一致していないデータにおける変位データの時刻をtp0−td0、つまり出現時のずれている時間分だけシフトさせて、図13に示すように両者の出現時を一致させるといった処理が行われる。
【0075】
一方、TpがTdと一致しない場合には(ステップSa2の判別「No」)、図14に示すように、修正後の変位データの時刻をtp0−td0だけシフトした後(図14左側)、最大変位到達時間Tdが最大荷重到達時間Tpと一致するように変位データを修正するといった処理が行われる(図14右側)。
【0076】
このような補正処理が行われた後の時系列の荷重値データおよび時系列の変位データがk値導出部240に出力される(ステップSa5)。
【0077】
図8に示すk値導出部240は、上記のように補正部230によって補正された時系列の荷重値データおよび時系列の変位データに基づいて、以下のようにして測定対象である地盤Gに関する物理量である地盤反力係数(k値)を求める。
【0078】
まず、上述した補正部230による補正後のデータによって定まる当該地盤Gに関する荷重値と変位の対応関係、つまり加える荷重とそれによって生じる変位の関係に基づいて、k値を導出するためにどの部分(時間的な部分)の荷重値および変位データを利用するかを決定する。
【0079】
より具体的には、k値導出部240は、荷重値および変位の出現時から最大値までの全区間(Tp=Td)において、地盤に加える荷重値とそれによって生じる変位との関係が、加える荷重が大きくなるにつれて変位/荷重が小さくなる傾向を示す場合には上記全区間のうち、後半部分の区間の一部または全部の荷重値および変位データをk値導出のために用いる部分として抽出する。
【0080】
すなわち、補正部230による補正後の時系列の荷重値および変位データに基づいて、同時刻に対応する荷重値と変位を、縦軸を荷重値、横軸を変位とするグラフ上にプロットした際に、図15中実線で示すようにそのプロット結果の近似曲線が下側に凸となる場合には、後半区間の一部または全部の荷重値および変位データを用いる。
【0081】
本実施形態におけるk値導出部240は、下側に凸の場合には後半区間であって、かつ荷重値および変位の最大値が得られた時点tpp(tdp)における荷重値と変位と、それよりも予め決められた一定時間(例えば、1msec)前の時点における荷重値および変位とを用いてk値を求める。なお、このような一定時間は固定値であってもよいが、地盤の土質等に応じて複数用意しておき、測定対象である地盤に対応したものを自動的に選択して用いるようにしてもよいし、測定者が任意に選択するようにしてもよい。
【0082】
以上のようにしてk値導出のために用いるデータを決定すると、k値導出部240は、決定した2つの時点における荷重値と変位、つまり最大値が得られた時点の荷重値Ppおよび変位δpと、それよりも一定時間前の時点の荷重値Pp−αおよび変位δp−αと、載荷部1の面積Aとから以下の式によりk値を導出する。なお、荷重値および変位の計測ステップ時間が0.2msecであり、一定時間が1msecである場合にはα=5となり、最大値時点の荷重値および変位よりも5つ前の時点のデータが用いられる。
k=((Pp)−(Pp−α))/A/((δp)−(δp−α))
【0083】
一方、地盤に加える荷重値とそれによって生じる変位との関係が、加える荷重が大きくなるにつれて変位/荷重が大きくなる傾向を示す場合には上記全区間のデータのうち、変位δが予め定められた値(本実施形態では、1.25mmとする)に最も近い値となる時刻の変位および荷重値を用いてk値を導出する。かかる時刻の荷重値をPn、変位をδn(≒1.25mm)とすると、以下の式によりk値を求める。
k=(Pn)/A/(δn)
【0084】
そして、k値導出部240は、このようにして求めたk値を図8に示す出力部250に出力する。
【0085】
出力部250は、LCD(Liquid Crystal Display)などの画像表示手段、プリンタなどの画像形成手段、または外部装置にデータを出力する通信手段等を備えており、補正部230によって得られた補正後の時系列の荷重値および変位や、k値導出部240によって導出されたk値を表示部に表示したり、紙等に印刷したり、他の装置に通信回線等を介して送信したりするといった出力処理を行う。
【0086】
また、出力部250は、補正部230から供給される補正後の時系列の荷重値および変位から定まる荷重値と変位との対応関係をグラフ(図15や図16参照)等で表示部に表示等して出力するようにしてもよいし、図13や図14に示す荷重値、変位と時間的な変動を示すグラフなど表示等して出力するようにしてもよい。さらに、出力部250が、補正前の時系列の荷重値および変位に基づくグラフなどを表示するようにしてもよく、かかる装置において得られる種々の計測結果、処理結果等を表示等して出力するようにしてもよい。
【0087】
以上が本実施形態にかかる地盤測定システムであり、かかるシステムによれば、以下のような理由によって測定対象である地盤の地盤反力係数(k値)といった地盤に関する物理量をより正確に求めることができる。
【0088】
すなわち、従来のk値導出方法では、計測された荷重値および変位の最大値のみに着目するとともに、荷重値と変位との関係が線形であることを前提としてk値を求めていため、図15および図16において破線で示すような傾きで表されるk値が得られることになっていた。
【0089】
しかしながら、実際に計測装置による計測結果に基づく荷重値と変位の関係は線形ではない場合がほとんどであり(図15および図16の実線参照)、上記のような線形であることを前提として求めたk値の正確性については問題があると考えられる。
【0090】
これに対し、本実施形態では、上述したように計測されたデータを、最大荷重到達時間Tpと最大変位到達時間Tdとを一致させるとともに、本来はずれて計測される荷重値および変位の出現時を一致させるよう補正している。このような補正を行うことで、荷重値の最大値と変位の最大値との関係のみならず、測定対象である地盤に加える種々の荷重値(0〜最大値までの多数の値)と、それによって生じる変位との関係を求めることができる。そして、このような補正後のデータから求まる非線形な関係に基づいて地盤に関する物理量であるk値を導出している。つまり、誤った前提ではなくこれらの関係が非線形であることを前提としてk値を導出することができ、また荷重および変位の最大値以外の部分を考慮したk値の導出も可能となるので、より正確なk値が得られるようになる。
【0091】
さらに、本実施形態では、上記のように補正することにより得られた荷重値と変位との関係の中から、その関係の傾向からより確からしい値が得られるであろう一部のデータを抽出し、その抽出した荷重と変位の関係からk値を求めるようにしている。
【0092】
すなわち、加える荷重が大きくなるについて変位/荷重が小さくなるといった傾向が見られる場合(図15に示す下側に凸の場合)、後半区間のデータを用いてk値を導出している。これは、荷重値と変位との関係が図15に示すような下側に凸となる関係である場合、荷重発生初期段階において載荷部1の端面において礫質土の凹凸によって載荷部1と地盤の接触状態が不安定なものとなり、重錘落下による荷重が地盤に十分に伝わっていないと考えられる。
【0093】
このような状況では、荷重発生初期段階、つまり前半区間の計測結果から求められる荷重値と変位の関係が確かなものである可能性は低いと考えられる。一方、このようなケースでは荷重発生からある程度の時間が経過すると、荷重が地盤に十分に伝わることになり、荷重が十分に伝えられた後の計測結果から求められる荷重値と変位の関係はより正確なものであると考えられる。よって、このようなケースでは、上記のように正確である可能性の高い後半区間のデータを用いてk値を導出することで、より正確なk値が導出することができる。
【0094】
一方、加える荷重が大きくなるにつれて変位/荷重が小さくなるといった傾向が見られる場合(図16に示す上側に凸の場合)、前半区間のデータを用いてk値を導出している。これは、荷重値と変位との関係が図16に示すような上側に凸となる関係である場合、測定対象である地盤が礫分の少ない砂質系の地盤や粘土系の地盤であると考えられ、荷重発生初期段階において載荷部1が地盤に安定した状態で接触しており、初期段階から荷重が十分に地盤に伝わっているものと考えられる。したがって、初期段階の時点で計測されたデータも確かなものである可能性が高い。よって、後半区間からデータを抽出する必然性はなく、地盤反力係数k値として一般的に用いられる変位が1.25mm近傍のデータを用いてk値を求めることとしている。
【0095】
次に、上記のような地盤計測装置100とPC200からなる地盤測定システムを用いた地盤建設方法について説明する。まず、図17に示すように、施工者が設計条件にしたがった地盤を建設する(ステップSb1)。そして、上記地盤測定システムにより、建設した地盤に対してk値導出のための測定を行う(ステップSb2)。ここで行われる地盤測定システムを利用したk値導出方法は上記の通りであり、設計者等はかかる方法により求めたk値が設計条件を満たすか否かを判別する(ステップSb3)。
【0096】
ここで、k値が設計条件を満たす場合には建設工事を以降の工程に進め、k値が設計条件を満たさない場合には補修等を行った後(ステップSb4)、再度上記構成の地盤測定システムを用いてk値を測定する(ステップSb2)。
【0097】
このように建設した地盤から上記構成の地盤測定システムを利用して測定されるk値が設計条件を満たすまで補修等を行っては再度k値を測定するといった工程を繰り返す。
【0098】
上述した地盤測定システムを利用してk値を導出することで、より正確なk値が得られるので、地盤建設後にかかる手法によりk値を求め、求めたk値が設計条件を満たさない場合には満たすよう補修等を行うことで、設計条件により正確にしたがった地盤建設が可能となる。
【0099】
B.変形例
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、以下に例示するような種々の変形が可能である。
【0100】
(変形例1)
上述した実施形態では、主として地盤計測装置100によって得られた測定結果における荷重値および変位が最大値に達するまでの区間(tp0〜tpp、td0〜tdp)のデータを対象とし、これらのデータ全部または一部を抽出して地盤反力係数を導出するようにしていたが、重錘5の落下により荷重値および変位の最大値が得られた後の除荷区間(tppおよびtdp以降の区間)、つまり衝撃荷重が加わらない状況下における時系列の荷重値および変位を計測するとともに、これらの計測データを荷重取得部210および変位取得部220が取得するようにしてもよい。
【0101】
そして、除荷時における時系列のデータについても上記最大値までの区間の補正にあわせて補正し、上記実施形態において説明した荷重値や変位が最大値となるまでの区間に加えて除荷時における区間の時系列の荷重値および変位データを利用して地盤反力係数等の物理量の導出を行うようにしてもよい。
【0102】
ここで、図18および図19は、重錘5を落下させた際に発生する荷重および変位の発生開始から最大値に達した後除荷区間を含む区間のデータ(補正後のデータ)の一例を示す。図18に示すように、FWD試験では、重錘5を落下させた後に荷重値および変位が最大値に達し(tpp、tdp)、その後衝撃荷重は急激に減少する除荷区間となる。変位も荷重の減少に伴って減少することになるが、しばらくの時間が経過してもある値以下にはほとんど減少しないようになる。つまり、重錘5落下による衝撃荷重によって塑性変形と弾性変形の両者が生じるが、弾性変形による変位分は減少するが、塑性変形による変位分は減少しない。したがって、図18の除荷区間においてほぼ一定値となる変位は塑性変形による変位、いわゆる残留変位を表している。
【0103】
このように除荷後においても時系列の荷重値および変位を取得することで、残留変位についてのデータを得ることができ、設計条件に合致する地盤が施工されたか否かを確認する際の資料として用いることができる。例えば、ある構造体を建設する際に、恒久的に許容できる地盤の沈下量がある場合には、その許容沈下量を超えてしまうか否かを当該残留変位を参照することで判断するといったことも可能となる。
【0104】
また、図19は、図18に示すような時系列の荷重値および変位が得られた場合における荷重値と変位との対応関係を示すグラフである。なお、同図において、実測から得られた荷重値と変位の関係を破線で示しており、両者の関係が線形であると仮定した場合を実線で示している。
【0105】
同図に示すように、衝撃荷重が発生した直後は上記実施形態と同様、荷重値と変位が非線形な関係でありながらも両者は増加傾向を示し、荷重値および変位が最大値に達した後は衝撃荷重の減少(除荷)に伴って変位も減少し、荷重値=0に対応する変位が残留変位であることを示している。この図に示すような除荷時における荷重値と変位の関係を求め、これを表示部などの表示等して出力するようにしてもよい。
【0106】
(変形例2)
また、上述した実施形態では、重錘5を1回落下させたときに発生する荷重値および変位を取得するようにしていたが、複数回所定のタイミングにおいて重錘を落下させ、これらの一連の重錘落下を行っている間の時系列の荷重値および変位を計測し、これらの計測データを荷重取得部210および変位取得部220が取得するようにしてもよい。
【0107】
なお、重錘5の落下すべき所定タイミングは、前回の重錘5落下による弾性変形が終了した後、つまり衝撃によって弾性変形した部分が元に戻った後(ほぼ残留変位のみが残っている状態となった後)のタイミングであればよい。
【0108】
そして、これらの一連の複数回の重錘落下が行われている間に取得された時系列のデータについても上記実施形態における最大値までの区間の補正にあわせて時間軸補正を行い、これらの一連の重錘落下が行われている間の時系列の荷重値および変位データを利用して地盤反力係数等の物理量の導出を行うようにしてもよい。
【0109】
ここで、図20に重錘を2回落下させた場合に得られた時系列の荷重値および変位の補正データから求めた荷重値および変位の関係を示す。同図に示すように、1回目の重錘5落下による残留変位が残った状態で行われた2回目の重錘5落下によって荷重値および変位が非線形な関係ながらともに増加し、荷重値および変位が最大値(Pp2、δp2)となった後、衝撃荷重の減少(除荷)に伴って変位も減少し、2回目の重錘5落下による荷重値=0に対応する変位が残留変位であることを示している。
【0110】
このように2回、または3回以上重錘5を落下させ、その間の時系列の荷重値および変位を取得することで、上記のように複数回重錘5を落下させた時の荷重値と変位の関係を知ることができ、地盤の設計や施工管理に利用することができる。また、複数回の重錘5落下後の残留変位(塑性変形量)を知ることができるので、道路や空港の滑走路などの建設後に供用されときに大きな荷重(自動車や航空機の走行等による荷重)が加わる地盤などにおいて、供用時に地盤がどのように沈下(塑性変形による沈下)するかを判断する資料として用いることができ、建設施工時のみならず供用時の沈下量が所定の設計条件を満たすよう施工管理を行うこともできる。
【0111】
また、1回目の重錘落下時には地盤面の凹凸などに起因する載荷部1との設置状態の不安定さなどにより正確なデータを得られないケースもあるが、このようなケースであっても、1回目の重錘落下により上記凹凸が減少するので2回目以降には正確なデータが得られやすくなる。
【0112】
(変形例3)
上述した実施形態においては、補正部230による補正後のデータから決まる荷重値と変位の関係に基づいて、k値導出部240がk値導出のために用いるデータの一部を決定するようにしていたが、区間決定のための条件は上記実施形態のような条件に限らず、他の条件にしたがって抽出する部分を決定するようにしてもよい。
【0113】
例えば、測定対象である地盤の質ごとに予めどの区間を利用するかを決めておき、ユーザが測定対象地盤の質を入力することで、k値導出部240が入力された地盤の質に対応した部分のデータを抽出して利用するようにしてもよい。この場合、予め実験などによって地盤の質に応じてどの部分のデータを利用するのがより正確な値を取得することができるかを分析しておき、かかる分析結果に基づいて、地盤の質ごとに選択すべき部分を決めておけばよい。
【0114】
また、図15や図16に示すような補正後のデータから得られる荷重値と変位との関係を表示部に表示させて、測定者にどの部分のデータを利用すべきかの指示の入力を促すようにしてもよい。そして、測定者が指示した部分のデータを用いてk値導出部240がk値を導出するようにしてもよい。
【0115】
例えば、何らかの原因によって荷重値と変位の関係がイレギュラーな結果であった場合、一律に利用する部分を決定していては正確なk値が導出できない場合もありうる。そこで、上記のように測定者が利用すべき部分を選択できる機能を持たせておくことで、イレギュラーの結果が得られた場合など、測定者の経験等を活かし、種々の条件を考慮してより正確なk値を導出できるであろうデータを選択することができる。
【0116】
また、上記実施形態のように荷重値と変位との関係が図16に示すような下側に凸であった場合に予め決められた固定値と最も近似する値となっている変位およびこれに対応する荷重値を用いてk値を導出するようにしてもよいが、当該ケースにおいては、上側に凸の場合には出現時から最大到達時間(tpp=Tdp)の区間のうちの前半区間に属する一部の荷重値および変位データを用いてk値を導出するようにしてもよい。
【0117】
このように加える荷重が大きくなるにつれて変位/荷重が小さくなるといった傾向が見られる場合には、上述したように前半区間のデータの信憑性が高いと考えられる一方で、このような傾向を見せる場合には後半区間では降伏状態に近いものとなっており、その計測値が弾性挙動になっていないおそれがある。したがって、当該ケースにおいては、前半区間のデータを用いてk値を導出することで、より正確なk値が得られるものと考えられる。
【0118】
さらに、上述した実施形態のように荷重値と変位の関係から、後半区間の一部を用いてk値を導出するか、変位δ=1.25mm(1250μm)近傍のデータを用いてk値を導出するかのいずれか一方のみを行ってk値を求めるようにしてもよいが、このような2つの方法でk値をそれぞれ求め、それぞれ求めた値をk値候補として表示部に表示させる等して、測定者にいずれかのk値を選択させるようにしてもよい。
【0119】
(変形例4)
また、上記実施形態や変形例で説明したように取得した補正後の時系列の荷重値および変位データの中から、図21に示す各部分のデータを抽出して地盤反力係数を求めるようにしてもよい。この場合、当該抽出部分はユーザの指示にしたがって抽出されるものであってもよいし、予め決められた機能として自動的に抽出するようにしてもよい。
【0120】
▲1▼原点(荷重値および変位=0)と、最大荷重値Ppと最大変位δpの関係とから以下の式により地盤反力係数k0−pを求める。
k0−p=(Pp−0)/(δp−0)/A
【0121】
つまり、図21に示すグラフ上の(Pp、δp)と(0,0)とを結ぶ直線の傾きを地盤反力係数とするのである。
【0122】
このようなデータを用いて求められる値は、地盤施工や設計の際に想定している最大規定荷重Ppに対する荷重を加えた時からの平均的な地盤挙動が表されたものとなる。したがって、上記のように求まるk0−pを参照することで、荷重を加えた始めた時から最大荷重に達するまでの区間における平均的な地盤の剛性を評価することができる。このようなk0−pは、地盤上に構造物を施工する時の地盤の沈下量などを推定できる等、地盤上の構造体施工時における剛性を評価するのに好適である。
【0123】
また、上記変形例のように複数回重錘5を落下させる場合には、各回の直前である原点と、その回の落下による荷重値および変位の最大値との関係とからn回目の重錘落下に対応する地盤反力係数kn0−pを以下の式により求めることができる。
kn0−p=(Pnp−0)/(δnp−δ(n−1)z)/A
なお、Pnpは、n回目の重錘落下による荷重値の最大値であり、δnpはn回目の重錘落下による変位の最大値である。また、δ(n−1)zは、(n−1)回目の重錘落下後の残留変位を示す。つまり、n回目の重錘落下時の地盤反力係数kn0−pを求めるための原点は、荷重値=0、変位=前回の落下による残留変位の値であり、図21に示すように2回目の重錘落下の際の原点は1回目の重錘落下後の残留変位と荷重値0の点である。
【0124】
このようにして各回の重錘落下に対応する地盤反力係数は、各回の重錘落下による荷重が加え始められた時から最大荷重値までの区間の平均的な地盤挙動を表すものと考えられる。地盤上に構造体を施工する時には構造体施工のために地盤に荷重が加わり、施工が終了することでその荷重はなくなる。その後、その地盤および構造体が供用されると供用による荷重が加わることとなる。例えば、道路や空港路面などでは、車や航空機が走行するといった供用時に大きな荷重が加わることになる。
【0125】
したがって、複数回重錘を落下させて、1回目に対応する地盤反力係数と、2回目以降に対応する地盤反力係数を求め、初回の重錘落下に対応するk0−pを地盤上の構造体施工時の地盤剛性を評価するために用いることができる一方で、複数回目の重錘落下に対応する地盤反力係数を、供用時における荷重に対する地盤の剛性評価のために用いるといったことが可能である。これにより施工時および供用時の各々の荷重状況を考慮した沈下量等の剛性を評価することができ、用途に応じた適切な剛性を有する地盤の設計や施工を行うことができる。
【0126】
▲2▼原点と、原点から最大値までの区間の中の任意の1の荷重値および変位の関係とから地盤反力係数を求める。
【0127】
すなわち、任意の荷重値がPとなるときの荷重値および変位と、原点データ(荷重値および変位が0)を用い、以下の式により地盤反力係数kpを求める。
kp=(P−0)/(δ−0)/A
【0128】
ここで、δは荷重Pのときの変位を示す。つまり、図21に示すグラフ上の任意の点(P、δ)と(0,0)とを結ぶ直線の傾きを地盤反力係数とするのである。
【0129】
このようなデータを用いて求められるk0−pは、指定した規定荷重Pに対して荷重載荷時の平均的な地盤挙動が表された値であり、これにより規定荷重Pに対する平均的な挙動を示す地盤反力係数を得ることができる。例えば、地盤に加わる可能性のある荷重値が最大荷重値Ppより小さい荷重値である場合には、上記▲1▼のように最大荷重値に対応する地盤反力係数を求めて剛性を評価することでは、要求される荷重値に対応する正確な剛性評価をできない場合がある。これは、上述したように荷重値と変位の関係は線形ではなく非線形な関係にあるから、最大荷重値に対応する地盤反力係数がすべての荷重値に対して適切な剛性評価ができるものとは限らないからである。
【0130】
そこで、このように建設した地盤において問題となる荷重値に対応する地盤反力係数を求めることで、よりその地盤施工に好適な地盤剛性評価のための資料を得ることができる。
【0131】
また、このよう任意に指定した荷重値に対応する地盤反力係数を取得できるようになるので、地盤に対してFWD試験を行う時点で対象となる荷重値が定まっていない場合などであっても、上記実施形態のように0から最大荷重値(変位)までのデータをすべて取得しておけば、その後対象荷重値が定まった場合にその中から必要となる荷重値等に対応するデータを利用して地盤反力係数を求めることができる。
【0132】
また、このような任意の荷重値Pに対応する地盤反力係数kpを求める場合であっても、上記▲1▼の場合と同様、複数回の重錘落下の各々に対応する地盤反力係数を求めるようにしてもよい。かかる場合には、上記▲1▼で説明したように初回に対応する地盤反力係数を施工時の地盤剛性評価に用い、2回目以降に対応する地盤反力係数を供用時の地盤剛性評価に用いるようにすればよい。
【0133】
▲3▼最大荷重値および変位の時点およびその直前の荷重値および変位の関係から地盤反力係数を求める。
【0134】
すなわち、荷重値が最大値となるときの荷重値および変位と、その直前(例えば1msec前)の荷重値Ppc(図示略)および変位δpc(図示略)を用い、以下の式により地盤反力係数kppを求める。
kPT=(Pp−Ppc)/(δp−δpc)/A
【0135】
つまり、(Pp、δp)とその直前の(Ppc,δpc)とを結ぶ直線の傾きを地盤反力係数とするのである。
【0136】
このようなデータを用いて求められるkPTは、最大規定荷重Pp付近における地盤の挙動であり、かつ最大荷重および変位が得られる直前のデータを利用していることから荷重および変位が増加している傾向にある場合の地盤の挙動が表現されていると考えられる。したがって、このような地盤反力係数kPTは、最大荷重Pp以上の荷重が加わった場合に地盤がどのような挙動を示すかを推測等する上で利用することができ、例えば地盤に最大荷重Ppが作用した後、その地盤にさらにそれよりも大きい荷重が作用するおそれがあるケースなどにおいて、地盤の剛性評価を行うための指標として利用することができる。
【0137】
▲4▼最大荷重値および変位の時点およびその直後の荷重値および変位の関係から地盤反力係数を求める。
【0138】
すなわち、荷重値が最大値となるときの荷重値および変位と、その直後(例えば1msec後)の荷重値Ppa(図示略)および変位δpa(図示略)を用い、以下の式により地盤反力係数kRTを求める。
kRT=(Pp−Ppa)/(δp−δpa)/A
【0139】
つまり、グラフ上の(Pp、δp)とその直後の(Ppa,δpa)とを結ぶ直線の傾きを地盤反力係数とするのである。
【0140】
このようなデータを用いて求められるkRTは、最大規定荷重Pp付近における地盤の挙動であり、かつ最大荷重および変位が得られる直後のデータを利用していることから荷重および変位が減少している傾向にある、つまり除荷時の地盤の挙動が表現されていると考えられる。したがって、このような地盤反力係数kRTは、最大荷重Ppが作用した後、その地盤にそれよりも小さい荷重が作用するおそれがあるケースなどにおいて、地盤の剛性評価を行うための指標として利用することができる。
【0141】
また、1回目の重錘落下による除荷区間(最大荷重値および最大変位到達後、残留変位に達するまでの区間)には、衝撃荷重による沈下の中で弾性変形していた変位分が回復することによって変位が減少するものと考えられる。一方、2回目の重錘落下による衝撃荷重によって生じる変位は、1回目の除荷時の弾性変形による回復部分に対応するものと考えられ、1回目の除荷時の荷重と変位の関係と、2回目の荷重が加わる時の荷重と変位の関係はある程度の強い相関関係があると考えられる。
【0142】
したがって、上記のように除荷時における最大荷重値Pp近傍に対応する地盤反力係数を、次回の重錘落下に対応する地盤反力係数等を予測するために用いることができ、このような予測を行うことで次回の重錘落下試験を行うことなく、その試験を行うことにより得られたであろう地盤反力係数の推定値を得ることができる。
【0143】
▲5▼荷重、変位の出現時から最大荷重値および変位に到達するまでの区間(荷重増加区間という)の任意の時点およびその直後または直後の荷重値および変位の関係から地盤反力係数を求める。
【0144】
すなわち、荷重増加区間における任意の荷重値Pおよびそれに対応する変位δと、その直前(例えば1msec前)の荷重値Pcおよび変位δcを用い、以下の式により地盤反力係数kPT1を求める。
kPT1=(P−Pc)/(δ−δc)/A
【0145】
つまり、グラフ上の(P、δ)とその直前の(Pc,δc)とを結ぶ直線の傾きを地盤反力係数とするのである。
【0146】
なお、任意の荷重値およびそれに対応する変位と、その直後の荷重値Paおよび変位δaを用いるようにしてもよく、この場合以下の式を用いる。
kPT1=(Pa−P)/(δa−δ)/A
【0147】
このようなデータを用いて求められるkPT1は、荷重増加区間における指定した規定荷重P付近における地盤の挙動が表現されていると考えられる。したがって、このような地盤反力係数kPT1は、指定した規定荷重近傍の範囲で荷重が加わるといったケースが想定される地盤、つまり規定荷重を中心として小さい幅で加わる荷重が変動するといった用途で用いられる地盤の剛性をより正確に評価するための資料として用いることができる。
【0148】
▲6▼最大荷重値および変位から荷重値および変位が減少する区間(除荷区間という)の任意の時点およびその直後または直後の荷重値および変位の関係から地盤反力係数を求める。
【0149】
すなわち、除荷区間における任意の荷重値Pjおよびそれに対応する変位δjと、その直前(例えば1msec前)の荷重値Pcjおよび変位δcjを用い、以下の式により地盤反力係数kRT1を求める。
kRT1=(Pj−Pcj)/(δj−δcj)/A
【0150】
つまり、グラフ上の(Pj、δj)と(Pcj、δcj)とを結ぶ直線の傾きを地盤反力係数とするのである。
【0151】
なお、任意の荷重値およびそれに対応する変位と、その直後の荷重値Pajおよび変位δajを用いるようにしてもよく、この場合以下の式を用いる。
kRT1=(Paj−Pj)/(δaj−δj)/A
【0152】
このようなデータを用いて求められるkRT1は、除荷区間における指定した規定荷重P付近における地盤の挙動が表現されていると考えられる。したがって、このような地盤反力係数kRT1は、最大荷重が作用した後に、ある規定荷重近傍の範囲で荷重が加わるといったケースが想定される地盤、つまり最大荷重作用後に当該規定荷重を中心として小さい幅で加わる荷重が変動するといった用途で用いられる地盤の剛性をより正確に評価するための資料として用いることができる。
【0153】
このような地盤反力係数kRT1を用いて地盤剛性評価を行うことが好適である事例としては、橋台などを構築する地盤を建設する際にプレロード工法を用いる場合がある。すなわち、プレロード工法では橋台などを構築する前に地盤に橋台よりも大きな荷重を加え、その後その地盤上に橋台を建設するといった工法である。すなわち、当該地盤には、最大荷重が作用した後、それよりも小さい規定荷重(橋台による荷重)が加わり、当該橋上の交通荷重、つまり橋台による荷重と比して小さい荷重が加わる。これに対し上記kRT1を導出するために用いた荷重値および変位は、最大荷重が作用した後、それよりも小さい規定荷重が加えられた状況で取得されたものであり、上記プレロード工法による荷重の加わり方と類似している。したがって、地盤反力係数kRT1は、プレロード工法によって地盤を建設する際の当該地盤の供用時の挙動などを評価するための指標として好適である。
【0154】
▲7▼原点と、荷重、変位の出現時から最大荷重値および変位に到達するまでの区間(荷重増加区間という)の変位が所定値となる時点の当該変位とそれに対応する荷重値の関係とから地盤反力係数を求める。
【0155】
ここで、所定値とは規格などによって求めることが要求される値などであり、例えば平板載荷試験などにおいては変位が1.25mmとなるときの当該変位と荷重値とに基づいて地盤係数を導出することが定められている。当該所定値を1.25mmとすれば、その時の荷重値P1.25を用い、以下の式により地盤反力係数k1.25を求める。
k1.25=(P1.25−0)/(1.25−0)/A
【0156】
つまり、グラフ上の(P1.25、1.25)と(0、0)とを結ぶ直線の傾きを地盤反力係数とするのである。
【0157】
このようなデータを用いて求められるk1.25は、JISA1215に規定される平板載荷試験により求められる地盤係数k30(変位1.25mmの値を利用して求める地盤係数)と相関性があると考えられる。したがって、同測定地点におけるFWD試験の結果から求まるk1.25と、平板載荷試験の結果から求まるk30とを比較し、両者の相関関係を求めれば、その後その相関関係を利用することで平板載荷試験を行うことなく、k1.25に基づいて地盤係数k30の推定値を得ることができる。
【0158】
なお、上記の実施形態においても変位が1.25mmのときのデータを用いて地盤反力係数を求めるようにしていた。そして、上記実施形態では、FWD試験の結果得られた荷重値と変位の関係が一定の関係を有する場合に求めるようにしていたが、このような場合に限らず常時変位が所定値となるデータを用いて地盤反力係数等を求めるようにしてもよい。
【0159】
以上のように1回または複数回の重錘落下後の時系列の荷重値および変位を取得補正することで、補正データの中の一部のデータを適宜選択して利用すれば、上記のような種々の事案ごとに好適な地盤反力係数を得ることができる。したがって、ユーザが抽出部分を任意に指定できるようにしておけば、建設現場においてその建設対象である地盤の評価に好適な地盤反力係数を求めることができる。
【0160】
(変形例5)
また、上述した実施形態では、補正部230が補正した時系列の荷重値および変位データに基づいて、k値導出部240が地盤反力係数(k値)を求めるようにしていたが、補正部230による補正後のデータに基づいて、k値以外の他の地盤に関する物理量を導出するようにしてもよく、例えば補正部230によって補正された時系列の荷重値および変位を当該地盤に関する物理量(例えば、弾性係数)として導出する装置であってもよい。また、上記のように導出した地盤反力係数に基づいて他の地盤剛性を評価するための指標を求めるようにしてもよく、例えば上記のよう求めた地盤反力係数から、弾性理論を用いることで地盤の弾性係数を導出するようにしてもよい。
【0161】
(変形例6)
また、上述した実施形態では、地盤計測装置100が計測した時系列の荷重値および変位に基づいてPC200がk値を導出するようになっていたが、計測装置にPC200が実行していた物理量測定機能を持たせるといったように一体の装置として構成してもよい。
【0162】
また、PC200がk値導出に用いる時系列の荷重値および変位は、上記構成の地盤計測装置100によって計測されたものに限らず、他の構成のFWD装置によって計測されたものであってもよい。
【0163】
(変形例7)
また、上述した実施形態では、PC200に内蔵されるCPU等が外部記憶装置等に記憶されたプログラムを読み出して動作することにより、上述したk値導出のための処理(図11参照等)を行うようになっていたが、このようなソフトウェアにより実現される機能と同様の機能をハードウェア回路によって実現するようにしてもよいし、コンピュータにこのような処理を実行させるためのプログラムをインターネット等の通信回線を介してユーザに提供するようにしてもよいし、当該プログラムをCD−ROM(Compact Disc−Read Only Memory)などのコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録してユーザに提供するようにしてもよい。
【0164】
(変形例8)
また、上述した実施形態では、地盤を新たに建設した後に、荷重値および変位の計測を行ってk値導出し、これが設計条件を満たすか否かを判別するといった建設方法に本発明を適用した場合について説明したが、すでに建設されて使用されている地盤のメンテナンス等をする際に、当該地盤について、上記実施形態のように荷重値および変位を計測してk値を導出し、その結果を参照してメンテナンスの要否、必要な場合にはメンテナンスの内容等を決定するようにしてもよい。
【0165】
(変形例9)
また、盛土地盤を建設する場合、必要となる高さの地盤を一時に建設するのではなく、ある地盤層を建設した後、その上層にさらに地盤層を建設するといったように複数の層を順次積層していくことで地盤が建設される。かかる盛土地盤を建設する場合にあっては、ある地盤層を建設した後に、当該地盤層について上記実施形態と同様の手法で測定を行ってk値を導出する。そして、求められたk値が設計条件に合致しない場合には合致するよう当該地盤層の補修等を行い、合致する場合には当該地盤層の上にさらに地盤層の建設を行う。このような地盤層の建設工程が行われるごとにその地盤層に対する測定を行うといった工程を繰り返すことで、上記実施形態における建設方法と同様、設計条件により正確にしたがった地盤建設が可能となる。
【0166】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1にかかる発明によれば、地盤に加える種々の荷重値とそれによって生じる変位との対応関係を求めることができ、つまり実際には非線形の関係となる荷重値と変位との対応関係を求めることができる。このような対応関係そのものを物理量として、またはこの対応関係に基づいて地盤に関する物理量を測定することができ、より正確な物理量の測定が可能となるという効果を奏する。
【0167】
また、請求項2にかかる発明によれば、補正によって求められた地盤に加える種々の荷重値とそれによって生じる変位との関係に基づいて、地盤の地盤反力係数を求めることができるという効果を奏する。
【0168】
また、請求項3にかかる発明によれば、補正手段によって補正された時系列の荷重値および変位から、一部の荷重値および変位を抽出して地盤反力係数を導出することができるので、より確からしい値を求めるために必要な部分のみを抽出して地盤反力係数を求めることができるという効果を奏する。
【0169】
また、請求項4にかかる発明によれば、地盤に設置した載荷面に重錘を落下させることで取得された実測結果を基にして、地盤反力係数導出のために抽出する部分を決定することができるという効果を奏する。
【0170】
また、請求項5にかかる発明によれば、加える荷重値が大きくなるにつれて変位/荷重値が小さくなる傾向を示すといったように荷重発生初期段階において荷重が十分に地盤に伝わっていないと考えられる場合にはその段階ではなく後半区間を用いることができ、より正確な地盤反力係数の導出が可能となるという効果を奏する。
【0171】
また、請求項6にかかる発明によれば、地盤の質に応じて最適であろうと考えられる部分の荷重値および変位を抽出して地盤反力係数を求めることができ、より正確な値の導出に資することができるという効果を奏する。
【0172】
また、請求項7にかかる発明によれば、ユーザがその経験から得た知識や種々の条件を考慮した上で、より正確な地盤反力係数が得られるであろう部分を指示することで、かかる部分が抽出されて地盤反力係数の導出に用いられ、より正確な地盤反力係数の導出に資することができるという効果を奏する。
【0173】
また、請求項8にかかる発明によれば、ユーザは経験から得た知識や種々の条件等を考慮し、このように導出された地盤反力係数の候補を選択することができ、より正確な地盤反力係数の導出に資することができるという効果を奏する。
【0174】
また、請求項9にかかる発明によれば、荷重値および変位が最大値付近であり、かつその直前のデータを用いることから荷重値および変位が増加傾向にあるときの状態を反映した地盤反力係数を求めることができるという効果を奏する。
【0175】
また、請求項10にかかる発明によれば、荷重値および変位の最大値を用いて地盤反力係数が求められるので、荷重および変位が0から最大値となるまでの平均的な地盤の挙動を反映した地盤反力係数を得ることができるという効果を奏する。
【0176】
また、請求項11にかかる発明によれば、衝撃荷重が加わった後除荷時の荷重値および変位の関係を得ることができ、例えば施工時に最大荷重が作用した後、道路等として供用される地盤の剛性評価等のための資料として用いることができるという効果を奏する。
【0177】
また、請求項12にかかる発明によれば、ユーザが施工状況や地盤の供用態様等に応じた部分を指示することで、かかる部分が抽出されて地盤反力係数の導出に用いられ、より適切な地盤反力係数の導出に資することができるという効果を奏する。
【0178】
また、請求項13にかかる発明によれば、荷重値および変位が最大値付近であり、かつその直後のデータを用いることから荷重値および変位が減少傾向にあるときの状態を反映した地盤反力係数を求めることができるという効果を奏する。
【0179】
また、請求項14にかかる発明によれば、重錘を落下させることにより荷重を加えた後、再度重錘を落下させて荷重を加えたときに生じる時系列の荷重値および変位を得ることができ、複数回の衝撃荷重が加わった場合の地盤の挙動を推測等、地盤剛性評価のための資料として利用することができるという効果を奏する。
【0180】
また、請求項15にかかる発明によれば、地盤に加える種々の荷重値とそれによって生じる変位との対応関係を求めることができ、このような対応関係そのものを物理量として、またはこの対応関係に基づいて地盤に関する物理量を測定することができ、より正確な物理量の測定が可能となるという効果を奏する。
【0181】
また、請求項16にかかる発明によれば、衝撃荷重が加わった後除荷時の荷重値および変位の関係を得ることができ、例えば施工時に最大荷重が作用した後、道路等として供用される地盤の剛性評価等のための資料として用いることができるという効果を奏する。
【0182】
また、請求項17にかかる発明によれば、重錘を落下させることにより荷重を加えた後、再度重錘を落下させて荷重を加えたときに生じる時系列の荷重値および変位を得ることができ、複数回の衝撃荷重が加わった場合の地盤の挙動を推測等、地盤剛性評価のための資料として利用することができるという効果を奏する。
【0183】
また、請求項18にかかる発明によれば、より正確な地盤に関する物理量を導出することができるので、設計条件に合致した地盤の建設が可能となるという効果を奏する。
【0184】
また、請求項19にかかる発明によれば、地盤層に関する物理量の測定をより正確に行うことができ、かかる測定結果が設計条件を満たす場合に当該地盤層の上に地盤層をさらに建設するので、設計条件をより確実に満たした複数の地盤層からなる地盤を建設することができる。
【0185】
また、請求項20にかかるプログラムをコンピュータに実行させることで、地盤に加える種々の荷重値とそれによって生じる変位との対応関係を求めることができ、つまり実際には非線形の関係となる荷重値と変位との対応関係を求めることができる。このような対応関係そのものを物理量として、またはこの対応関係に基づいて地盤に関する物理量を測定することができ、より正確な物理量の測定が可能となるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の地盤反力係数を導出する方法を説明するための図であり、地盤に衝撃荷重を加えた際の荷重値と変位との関係を示すグラフである。
【図2】従来の地盤反力係数を導出する方法を説明するための図である。
【図3】従来の地盤反力係数を導出するための方法を説明するための図である。
【図4】従来の地盤反力係数を導出するための方法の問題点を説明するための図である。
【図5】従来の地盤反力係数を導出するための方法の問題点を説明するための図である。
【図6】本発明の一実施形態にかかる地盤測定システムの構成を示す図である。
【図7】前記地盤測定システムの地盤計測装置による荷重値および変位計測時の様子を説明するための図である。
【図8】前記地盤測定システムの構成要素であるPCの機能構成を示すブロック図である。
【図9】前記PCによって取得される時系列の荷重値および変位を示す図である。
【図10】前記PCによる時系列の荷重値および変位の補正内容を説明するための図である。
【図11】前記PCによって行われる時系列の荷重値および変位の補正処理の手順を示すフローチャートである。
【図12】前記PCによって行われる補正処理によって補正される時系列の変位を示す図である。
【図13】前記PCによって行われる補正処理によって補正された時系列の荷重値と変位とを示すグラフである。
【図14】前記PCによって行われる補正処理によって補正された時系列の荷重値と変位とを示すグラフである。
【図15】前記PCによって行われる地盤反力係数の導出方法を説明するための図である。
【図16】前記PCによって行われる地盤反力係数の導出方法を説明するための図である。
【図17】前記地盤測定システムを用いた地盤建設方法の工程を示すフローチャートである。
【図18】前記地盤測定システムによって測定された除荷後を含む区間の荷重値および変位の時間的変動を示すグラフである。
【図19】除荷区間を含む区間の時系列の荷重値と変位の対応関係を示すグラフである。
【図20】1回目の重錘落下後に再度重錘を落下させた場合に得られる荷重値と変位の対応関係を示すグラフである。
【図21】除荷区間を含む区間の荷重値および変位の中から、一部分のデータを抽出して地盤反力係数を導出する際のその抽出部分を説明するための図である。
【符号の説明】
1 載荷部
2 支持体
3 荷重計測手段
4 主軸
5 重錘
6 不動部
7 変位計測手段
100 地盤計測装置
200 PC
210 荷重取得部
220 変位取得部
230 補正部
240 k値導出部
250 出力部
Claims (20)
- 測定対象である地盤に設置した載荷面に重錘を落下させた際に発生する荷重および前記地盤の変位に基づいて、当該地盤に関する物理量を測定する地盤測定装置であって、
前記重錘を落下させた際に発生する時系列の荷重値を取得する荷重取得手段と、
前記重錘を落下させた際の前記地盤の時系列の変位を取得する変位取得手段と、
前記荷重取得手段によって取得された時系列の荷重値および前記変位取得手段によって取得された時系列の変位を補正する手段であって、前記荷重取得手段によって取得された荷重の出現時から最大値となる時までの最大荷重到達時間と、前記変位取得手段によって取得された変位の出現時から最大値となる時までの最大変位到達時間とを一致させるとともに、荷重および変位の出現時を一致させる補正手段と
を具備することを特徴とする地盤測定装置。 - 前記補正手段によって補正された時系列の荷重値および時系列の変位に基づいて、前記地盤の地盤反力係数を導出する導出手段を
さらに具備することを特徴とする請求項1に記載の地盤測定装置。 - 前記導出手段は、前記補正手段による補正後の前記時系列の荷重値および変位から、一部の荷重値および変位を抽出し、抽出した荷重値および変位に基づいて前記地盤の地盤反力係数を導出する
ことを特徴とする請求項2に記載の地盤測定装置。 - 前記導出手段は、前記出現時から前記最大荷重到達時間および前記最大変位到達時間までの区間における前記地盤に加える荷重値とそれによって生じる変位との関係に基づいて抽出する一部の荷重値および変位を決定する
ことを特徴とする請求項3に記載の地盤測定装置。 - 前記導出手段は、前記出現時から前記最大荷重到達時間および前記最大変位到達時間までの全区間における前記地盤に加える荷重値とそれによって生じる変位との関係が、加える荷重が大きくなるにつれて変位/荷重が小さくなる傾向を示す場合には前記全区間の後半区間に属する荷重値および変位に基づいて地盤反力係数を導出する
ことを特徴とする請求項4に記載の地盤測定装置。 - 前記導出手段は、測定対象である地盤の質に基づいて、前記補正手段による補正後の前記時系列の荷重値および変位から一部の荷重値および変位を抽出し、抽出した荷重値および変位に基づいて前記地盤の地盤反力係数を導出する
ことを特徴とする請求項2に記載の地盤測定装置。 - 前記導出手段は、ユーザからの指示に基づいて、前記補正手段による補正後の前記時系列の荷重値および変位から一部の荷重値および変位を抽出し、抽出した荷重値および変位に基づいて前記地盤の地盤反力係数を導出する
ことを特徴とする請求項2に記載の地盤測定装置。 - 前記導出手段は、前記補正手段による補正後の前記時系列の荷重値および変位から一部の荷重値および変位を複数抽出し、複数抽出した一部の荷重値および変位の各々に基づいて地盤反力係数の候補を求める
ことを特徴とする請求項2に記載の地盤測定装置。 - 前記導出手段は、前記補正手段による補正後の前記時系列の荷重値および変位から、前記荷重値および変位の最大値と、これらが最大になった時点の直前の荷重値および変位を抽出し、抽出した荷重値および変位に基づいて前記地盤の地盤反力係数を導出する
ことを特徴とする請求項2に記載の地盤測定装置。 - 前記導出手段は、前記補正手段による補正後の前記時系列の荷重値および変位から、前記荷重値および変位の最大値を抽出し、抽出した荷重値および変位に基づいて前記地盤の地盤反力係数を導出する
ことを特徴とする請求項2に記載の地盤測定装置。 - 前記荷重取得手段は、前記重錘を落下させた後の除荷時における時系列の荷重値を取得し、
前記変位取得手段は、前記除荷時における時系列の変位を取得する
ことを特徴とする請求項1ないし10のいずれかに記載の地盤測定装置。 - 前記補正手段によって補正された時系列の荷重値および時系列の変位に基づいて、前記地盤の地盤反力係数を導出する導出手段をさらに具備し、
前記荷重取得手段は、前記重錘を落下させた後の除荷時における時系列の荷重値を取得し、
前記変位取得手段は、前記除荷時における時系列の変位を取得し、
前記導出手段は、ユーザからの指示に基づいて、前記補正手段による補正後の前記除荷時における時系列の荷重値および変位から一部の荷重値および変位を抽出し、抽出した荷重値および変位に基づいて前記地盤の地盤反力係数を導出する
ことを特徴とする請求項1に記載の地盤測定装置。 - 前記導出手段は、前記補正手段による補正後の時系列の荷重値および変位から、前記荷重値および変位の最大値と、これらが最大となった時点の直後の荷重値および変位を抽出し、抽出した荷重値および変位に基づいて前記地盤の地盤反力係数を導出する
ことを特徴とする請求項12に記載の地盤測定装置。 - 前記荷重取得手段は、前記重錘を落下させた後の除荷時における時系列の荷重値と、除荷後の所定タイミングで再度前記重錘を落下させた際に発生する時系列の荷重値を取得し、
前記変位取得手段は、前記重錘を落下させた後の除荷時における時系列の変位と、再度前記重錘を落下させた際に発生する時系列の変位を取得する
ことを特徴とする請求項1ないし13のいずれかに記載の地盤測定装置。 - 測定対象である地盤に設置した載荷面に重錘を落下させた際に発生する荷重および前記地盤の変位に基づいて、当該地盤に関する物理量を測定する地盤測定方法であって、
前記重錘を落下させた際に発生する時系列の荷重値を取得する荷重取得ステップと、
前記重錘を落下させた際の前記地盤の時系列の変位を取得する変位取得ステップと、
前記荷重取得ステップによって取得された時系列の荷重値および前記変位取得ステップによって取得された時系列の変位を補正するステップであって、前記荷重取得ステップによって取得された荷重の出現時から最大値となる時までの最大荷重到達時間と、前記変位取得ステップによって取得された変位の出現時から最大値となる時までの最大変位到達時間とを一致させるとともに、荷重および変位の出現時を一致させる補正ステップと
を具備することを特徴とする地盤測定方法。 - 前記荷重取得ステップでは、前記重錘を落下させた後の除荷時における時系列の荷重値を取得し、
前記変位取得ステップでは、前記除荷時における時系列の変位を取得する
ことを特徴とする請求項15に記載の地盤測定方法。 - 前記荷重取得ステップでは、前記重錘を落下させた後の除荷時における時系列の荷重値と、除荷後の所定のタイミングで再度前記重錘を落下させた際に発生する時系列の荷重値を取得し、
前記変位取得ステップでは、前記重錘を落下させた後の除荷時における時系列の変位と、再度前記重錘を落下させた際に発生する時系列の変位を取得する
ことを特徴とする請求項15に記載の地盤測定方法。 - 地盤を建設する建設ステップと、
前記建設ステップで建設された地盤に設置した載荷面に重錘を落下させるとともに、当該重錘の落下の際に発生する時系列の荷重値と当該地盤の時系列の変位を計測する計測ステップと、
前記計測ステップで計測された時系列の荷重値および時系列の変位を補正するステップであって、計測された荷重の出現時から最大値となる時までの最大荷重到達時間と、計測された変位の出現時から最大値となる時までの最大変位到達時間とを一致させるとともに、荷重および変位の出現時を一致させる補正ステップと
を具備することを特徴とする地盤建設方法。 - 地盤層を建設する第1建設ステップと、
前記建設ステップで建設された地盤層に設置した載荷面に重錘を落下させるとともに、当該重錘の落下の際に発生する時系列の荷重値と当該地盤の時系列の変位を計測する計測ステップと、
前記計測ステップで計測された時系列の荷重値および時系列の変位を補正するステップであって、計測された荷重の出現時から最大値となる時までの最大荷重到達時間と、計測された変位の出現時から最大値となる時までの最大変位到達時間とを一致させるとともに、荷重および変位の出現時を一致させる補正ステップと、
前記補正ステップによって補正された時系列の荷重値および時系列の変位に基づいて、前記第1建設ステップで建設された地盤層に関する物理量を導出する物理量導出ステップと、
前記物理量導出ステップによって導出された前記地盤層に関する物理量が予め決められた設計条件を満たすか否かを判別し、予め決められた設計条件を満たした場合には、当該地盤層の上にさらに地盤層を建設する第2建設ステップと
を具備することを特徴とする地盤建設方法。 - コンピュータを、
地盤に設置した載荷面に重錘を落下させた際に発生する時系列の荷重値を取得する荷重取得手段、
前記重錘を落下させた際の前記地盤の時系列の変位を取得する変位取得手段、前記荷重取得手段によって取得された時系列の荷重値および前記変位取得手段によって取得された時系列の変位を補正する手段であって、前記荷重取得手段によって取得された荷重の出現時から最大値となる時までの最大荷重到達時間と、前記変位取得手段によって取得された変位の出現時から最大値となる時までの最大変位到達時間とを一致させるとともに、荷重および変位の出現時を一致させる補正手段、
として機能させることを特徴とするプログラム。
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