JP2004329539A - 内視鏡 - Google Patents

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Yasuyuki Sato
康之 佐藤
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Abstract

【課題】湾曲抵抗が小さく、繰り返し使用しても損傷、破損を生じにくい内視鏡を提供すること。
【解決手段】本発明の内視鏡は、可撓性(柔軟性)を有する挿入部2と、挿入部2の基端側に設置された操作部とを有している。挿入部2は、螺旋管23、網状管24、外皮25で構成された管腔の内部に、チューブやワイヤなどの長尺部材が配設された構成となっている。管腔の内部には、主としてCで構成され、かつNを含む組成の含窒素炭素化合物を含む潤滑剤5が配設されている。前記含窒素炭素化合物は、粉末状のポリイミドに対して、不活性雰囲気中、500〜2000℃の熱処理を施すことにより得られるものである。前記含窒素炭素化合物の平均粒径は、2〜200μmであるのが好ましい。
【選択図】図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内視鏡に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
医療の分野では、消化管等の検査、診断などに、内視鏡が使用されている。この内視鏡は、体腔内に挿入される挿入部と、この挿入部の基端側に設置され、挿入部の先端部を湾曲操作する操作部とを有している。また、この内視鏡は、操作部から延設され、光源装置や制御装置に接続される接続部を有する。
【0003】
挿入部は、曲がった体腔内に挿入され、これに追従できるよう、可撓性を有する可撓管と、その先端側において湾曲操作される湾曲部とを有する。
【0004】
ところで、この挿入部内には、先端方向に存在する湾曲部を湾曲させる湾曲機構、前記光源装置からの光を先端部に伝達するライトガイド、被写体の画像を操作部に伝達するイメージガイド(画像信号ケーブル)、治療・細胞検査等を行う鉗子を挿通するチューブ、薬液等を注入する送気・送液チューブなどの長尺部材が必要に応じ長手方向に配設されている。
【0005】
そして、この可撓管や湾曲部を湾曲させると、湾曲させたことにより内蔵する各長尺部材に摩擦が生じ、圧力が作用する。この摩擦や圧力から各長尺部材を保護するため、従来、各長尺部材の周りに潤滑剤を配していた。このような潤滑剤としては、二硫化モリブデン(MoS)が広く用いられている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
ところで、このような内視鏡は、繰り返し使用されるため、その都度、洗浄および滅菌を行う必要がある。
【0007】
二硫化モリブデン(MoS)のような従来用いられていた潤滑剤は、過酸化水素プラズマ滅菌処理により、変質、劣化するという問題点を有していた。このような潤滑剤の変質、劣化は、潤滑性の低下や、内視鏡の故障の原因となる。
【0008】
また、耐薬品性にすぐれ、このような滅菌処理を施してもほとんど変質、劣化しない潤滑剤も知られているが、このような潤滑剤を用いた場合、内視鏡の用途等によっては、十分な潤滑性が得られず、摺動抵抗が大きい。特に、ライトガイドやイメージガイドを構成する光学繊維(光ファイバー)は、十分な潤滑性が得られないと、損傷、破損することがあった。また、黒鉛(グラファイト)は、比較的優れた潤滑性と耐薬品性とを有しているものの、導電性が高い(低抵抗である)。このため、例えば、黒鉛(グラファイト)を、電子内視鏡の潤滑剤として用いた場合、内視鏡の繰り返しの使用により、絶縁性の低下等を生じた際に、黒鉛の導電性により、内視鏡の故障等を招いたり、内視鏡の操作上の不都合を生じる可能性がある。
【0009】
【特許文献1】
特開昭62−134616号公報(第3頁)
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、湾曲抵抗が小さく、繰り返し使用しても損傷、破損を生じにくい内視鏡を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
このような目的は、下記(1)〜(18)の本発明により達成される。
【0012】
(1) 管腔と、その内部に配設された長尺部材と、前記管腔の内部に配設された潤滑剤とを有する内視鏡であって、
前記潤滑剤は、主としてCで構成され、かつNを含む組成の含窒素炭素化合物を含むものであることを特徴とする内視鏡。
【0013】
これにより、湾曲抵抗が小さく、繰り返し使用しても損傷、破損を生じにくい内視鏡を提供することができる。
【0014】
(2) 前記含窒素炭素化合物は、結晶状の炭素を構成するCの一部がNで置換されたものである上記(1)に記載の内視鏡。
【0015】
これにより、内視鏡の湾曲抵抗がさらに小さくなるとともに、潤滑剤の形状の安定性が特に優れたものとなる。
【0016】
(3) 前記含窒素炭素化合物は、樹脂材料に熱処理を施すことにより得られるものである上記(1)または(2)に記載の内視鏡。
【0017】
これにより、内視鏡用の潤滑剤としてより好適な特性を有する含窒素炭素化合物を、容易かつ確実に得ることができる。
【0018】
(4) 前記樹脂材料は、窒素原子を含む組成を有するものである上記(3)に記載の内視鏡。
【0019】
これにより、得られる含窒素炭素化合物中における窒素原子(N)の含有率を容易かつ確実に制御することができる。その結果、含窒素炭素化合物の特性をより確実に制御することができ、所望の特性を有する内視鏡を好適に得ることができる。
【0020】
(5) 前記樹脂材料は、主として熱硬化性樹脂で構成されたものである上記(3)または(4)に記載の内視鏡。
【0021】
これにより、熱処理時における樹脂材料の変形を確実に防止、抑制することができ、結果として、得られる含窒素炭素化合物の形状の安定性が特に優れたものとなる。
【0022】
(6) 前記樹脂材料は、主としてポリイミドで構成されたものである上記(3)ないし(5)のいずれかに記載の内視鏡。
【0023】
これにより、含窒素炭素化合物の潤滑剤としての特性が特に優れたものとなり、結果として、より好適な内視鏡を得ることができる。また、含窒素炭素化合物の形状の安定性が特に優れたものとなる。
【0024】
(7) 前記熱処理は、前記樹脂材料を500〜2000℃に加熱することにより行われるものである上記(3)ないし(6)のいずれかに記載の内視鏡。
【0025】
これにより、比較的短時間で、内視鏡用の潤滑剤としてより好適な特性を有する含窒素炭素化合物を容易かつ確実に得ることができ、結果として、より好適な内視鏡を得ることができる。また、上記のような温度で熱処理を行うことにより、得られる含窒素炭素化合物の形状の安定性が特に優れたものとなる。
【0026】
(8) 前記熱処理は、不活性雰囲気中で行われるものである上記(3)ないし(7)のいずれかに記載の内視鏡。
【0027】
これにより、内視鏡用の潤滑剤としてより好適な特性を有する含窒素炭素化合物を容易かつ確実に得ることができ、結果として、より好適な内視鏡を得ることができる。また、上記のような温度で熱処理を行うことにより、得られる含窒素炭素化合物の形状の安定性が特に優れたものとなる。
【0028】
(9) 前記含窒素炭素化合物は粉末である上記(3)ないし(8)のいずれかに記載の内視鏡。
【0029】
これにより、潤滑剤の取り扱いが容易となるとともに、内視鏡の湾曲抵抗がさらに小さくなる。
【0030】
(10) 前記含窒素炭素化合物の平均粒径が2〜200μmである上記(9)に記載の内視鏡。
これにより、内視鏡の湾曲抵抗がさらに小さくなる。
【0031】
(11) 前記長尺部材は、前記管腔に対し相対的に移動可能である上記(1)ないし(10)のいずれかに記載の内視鏡。
これにより、内視鏡の湾曲抵抗がさらに小さくなる。
【0032】
(12) 前記潤滑剤は、前記長尺部材の周囲に配されている上記(1)ないし(11)のいずれかに記載の内視鏡。
これにより、内視鏡の湾曲抵抗がさらに小さくなる。
【0033】
(13) 前記長尺部材は、ワイヤである上記(1)ないし(12)のいずれかに記載の内視鏡。
【0034】
これにより、ワイヤの牽引を円滑に行うことができるようになり、内視鏡の湾曲操作の操作性、追従性が向上する。
【0035】
(14) 前記長尺部材は、チューブである上記(1)ないし(13)のいずれかに記載の内視鏡。
【0036】
これにより、管腔内の長尺部材が損傷、破損するのをより効果的に防止することができる。
【0037】
(15) 前記長尺部材は、光学繊維束であり、
前記潤滑剤が、前記光学繊維束の外表面の少なくとも一部に配されている上記(1)ないし(14)のいずれかに記載の内視鏡。
【0038】
これにより、光学繊維束が損傷、破損するのをより効果的に防止することができる。
【0039】
(16) 前記長尺部材は、光学繊維束であり、
前記潤滑剤が、前記光学繊維束を構成する各光学繊維の外表面の少なくとも一部に配されている上記(1)ないし(15)のいずれかに記載の内視鏡。
【0040】
これにより、光学繊維束が損傷、破損するのをより効果的に防止することができる。
【0041】
(17) 内視鏡は、電子内視鏡である上記(1)ないし(16)のいずれかに記載の内視鏡。
【0042】
本発明の内視鏡は、潤滑剤に絶縁性が求められる電子内視鏡に、好適に適用することができる。
【0043】
(18) 前記含窒素炭素化合物の電気伝導率が3.0×10S/m以下である上記(1)ないし(17)のいずれかに記載の内視鏡。
これにより、短絡等の不都合の発生をより効果的に防止することができる。
【0044】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の内視鏡を添付図面に示す好適実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0045】
図1は、本発明の内視鏡(電子内視鏡)の好適な実施形態を示す全体図、図2は、図1中のX−X線横断面図、図3は、図1に示す内視鏡の処置具挿入口突起付近の拡大図、図4は、図2に示す縦断面図の一部(ライトガイドファイバーバンドルを構成する光学繊維束の中央部付近)を拡大して示す拡大断面図である。以下の説明では、図1中の左側を「基端」、右側を「先端」、上側を「上」、下側を「下」と言う。
【0046】
図1に示すように、内視鏡1は、長尺の挿入部2と、挿入部2の基端側に設けられた操作部3と、操作部3に接続されたユニバーサルチューブ7と、ユニバーサルチューブ7の先端側に設けられたコネクタ部8とを有している。以下、各部の構成について説明する。
【0047】
操作部3は、術者が把持して、内視鏡1全体を操作する部分である。操作部3には、各種操作を行うための操作ボタンと、湾曲操作ノブ31A、31Bとが設置されている。操作ボタンとして、送気・送液操作を行うための送気・送液ボタン33、吸引操作を行うための吸引ボタン34等が設置されている。これらのボタン(送気・送液ボタン33、吸引ボタン34等)を操作することにより、後述する送気・送液チューブを介した送気・送液や、体液等の吸引等を行うことができる。また、湾曲操作ノブ31A、31Bを操作することにより、挿入部2内に配設された湾曲操作ワイヤ13が牽引され、湾曲部22の湾曲方向および湾曲の度合いを自由に操作することができる。
【0048】
操作部3の先端付近には、斜め上方に突出する処置具挿入口突起32が形成されている。
【0049】
処置具挿入口突起32には、円筒状に突出する処置具挿入口17が形成されており、処置具挿通チャンネル16の基端は、処置具挿入口17において、斜め上方に向かって外部に開放している。
【0050】
処置具挿入口突起32の内部に形成された部分の処置具挿通チャンネル16の内径は、挿入部2の内部に形成された部分の処置具挿通チャンネル16の内径より大きくなっている。すなわち、処置具挿入口突起32付近における処置具挿通チャンネル16の内周面は、先端方向から基端方向に向かってその内径が大きくなる、テーパ内周面を形成している。
【0051】
また、図3に示すように、処置具挿入口突起32には、ルアー口金部35が設けられている。
【0052】
また、ルアー口金部35の先端付近の外周面には、径方向外方に向けて突出する一対のフランジ突起37が形成されている。一対のフランジ突起37は、ルアー口金部35の軸線を挟んだ径方向の対向位置に設けられている。このルアー口金部35に対しては、鉗子や、高周波焼灼処置具等の処置具、可撓性可変装置等の装置等を着脱可能である。処置具挿入口突起32には、非使用時にルアー口金部35を覆う鉗子栓38が付属している。
【0053】
操作部3の下部には、ユニバーサルチューブ7の一端が接続されており、ユニバーサルチューブ7の他端は、コネクタ部8に接続されている。コネクタ部8には、光源差込部81および画像信号用コネクタ82が設けられており、内視鏡1は、この両コネクタを介して、光源プロセッサ装置(図示せず)に接続される。さらに、光源プロセッサ装置は、ケーブルを介してモニタ装置(図示せず)に接続されている。
【0054】
光源プロセッサ装置内の光源から発せられた光は、コネクタ部8内、ユニバーサルチューブ7内、操作部3内、挿入部2内に連続して配設されたライトガイドファイバーバンドル11を通り、挿入部2(湾曲部22)の先端部より観察部位に照射され、照明する。
【0055】
前記照明光により照明された観察部位からの反射光(被写体像)は、挿入部2の先端部に設けられた撮像素子(CCD)で撮像される。撮像素子で撮像された被写体像に応じた画像信号は、バッファ(図示せず)を介して出力される。
【0056】
この画像信号は、挿入部2内、操作部3内およびユニバーサルチューブ7内に連続して配設され、撮像素子と画像信号用コネクタ82とを接続する画像信号ケーブル12を介して、コネクタ部8に伝達される。
【0057】
そして、コネクタ部8内および光源プロセッサ装置内で所定の処理(例えば、信号処理、画像処理等)がなされ、その後、モニタ装置に入力される。モニタ装置では、撮像素子で撮像された画像(電子画像)、すなわち動画の内視鏡モニタ画像が表示される。
挿入部2は、その基端部において操作部3に接続されている。
【0058】
挿入部2は、生体の管腔(管状器官)の内部に挿入する部分であり、長尺の管状部材(外管20)の内部に、後述する各種の内蔵物(長尺部材)が配設された構成となっている。
【0059】
図1に示すように、挿入部2は、可撓性(弾力性)を有しかつ挿入部2の全長の大部分(先端付近を除いた部分)を占める可撓管部(可撓管)21と、その先端側に設けられた湾曲(屈曲)可能な湾曲部22とを有している。
【0060】
可撓管部21は、帯状材を螺旋状に巻回して形成された螺旋管23と、金属製または非金属製の細線を編組して形成され、螺旋管23の外周を被覆する網状管24と、合成樹脂等の弾性材料で構成され、網状管24の外周を被覆する外皮25とで構成されている。なお、図2に示す構成では、螺旋管23は、2重に設けられている。
【0061】
外皮25は、摩擦により体腔内の組織に損傷を与えることを防止するため、柔軟性(可撓性)を有する材料で構成されているのが好ましい。外皮25の構成材料としては、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリテトラフルオロエチレン、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体等のフッ素系樹脂、ポリイミド系樹脂等の各種可撓性を有する樹脂や、ポリウレタン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリオレフィン系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ポリスチレン系エラストマー、フッ素系エラストマー、シリコーンゴム、ラテックスゴム等の各種エラストマーのうちの、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0062】
外皮25の厚さは、挿入部2内の各種部材を保護可能であり、かつ、挿入部2の可撓性・湾曲性を妨げないものであれば特に限定されず、100〜3000μm程度が好ましく、200〜1000μm程度がより好ましい。
【0063】
湾曲部22の外装は、湾曲管で構成されている。湾曲管は、互いに回動自在に連結された複数の節輪(図示せず)と、該節輪の外周に被覆された網状管24と、網状管24の外周に被覆された(被覆)ゴムチューブとで構成されている。このような湾曲部22は、後述するように、その湾曲を操作部3より遠隔操作することができるようになっている。
【0064】
挿入部2(湾曲部22)の先端部には、観察部位における被写体像を撮像する図示しない撮像素子(CCD)が設けられている。
【0065】
図2に示すように、挿入部2(可撓管部21)では、外管20の内部(管腔)に、ライトガイドファイバーバンドル(ライトガイド)11と、画像信号ケーブル12と、湾曲操作ワイヤ13と、処置具挿通チャンネル管14と、送気・送液用チューブ15と、湾曲操作ワイヤ13の外周を覆うワイヤ用チューブ19とが、それぞれ、長手方向に沿って挿通・設置されている。
【0066】
これらの各長尺部材(ライトガイドファイバーバンドル11、画像信号ケーブル12、湾曲操作ワイヤ13、処置具挿通チャンネル管14、送気・送液用チューブ15、ワイヤ用チューブ19)は、外管20により、外部から隔絶され、保護されている。さらに、外管20は、挿入部2の表面に接触する物質、例えば、薬品や体液などが挿入部2の内部に浸透するのを防止し、挿入部2内の各部材を保護する。
【0067】
次に、外管20の内部に配設された長尺部材(ライトガイドファイバーバンドル11、画像信号ケーブル12、湾曲操作ワイヤ13、処置具挿通チャンネル管14、送気・送液用チューブ15、ワイヤ用チューブ19)について説明する。
【0068】
ライトガイドファイバーバンドル11は、コネクタ部8(光源差込部81)に接続された図示しない光源装置(光源プロセッサ装置)の光源からの光を導き、挿入部2の先端部の前方に照射する。これにより、被写体を観察する際に必要な照明光を得ることができる。
【0069】
このライトガイドファイバーバンドル11は、光学繊維束と、該光学繊維束を保護するための保護チューブ111とで構成されている。光学繊維束は、複数本の光学繊維(光ファイバー)6で構成されている。各光学繊維6は、例えば、その両端部付近において接着剤等により束ねて固定され、他の部分では、各光学繊維6が個々に移動可能な状態となっている。これにより、両端部以外のライトガイドファイバーバンドル11の横断面形状は、必要に応じ変形することができる。
【0070】
ライトガイドファイバーバンドル11に用いられる光学繊維6は、石英、多成分ガラス、プラスチック等により構成されている。
【0071】
光学繊維束を構成する光学繊維6の直径は、特に限定されないが、2〜40μm程度が好ましく、4〜10μm程度がより好ましい。直径が前記下限値未満であると、光学繊維束の間隙への潤滑剤5の充填性が悪くなる場合がある。一方、直径が前記上限値を超えると、画素密度の低下や導光の効率が悪くなる場合がある。
【0072】
画像信号ケーブル12は、挿入部2の先端部に設けられた撮像素子(CCD)で撮像された被写体の画像(被写体像)をコネクタ部8へ伝達する機能を有する。
【0073】
処置具挿通チャンネル管14の内部は、鉗子、高周波焼灼処置具等の処置具、可撓性可変装置等の装置等が挿通される処置具挿通チャンネル16となる。処置具挿通チャンネル16は、図示の構成では挿入部2の中心軸から偏心した位置に設けられているが、挿入部2の横断面内での処置具挿通チャンネル16の位置は、特に限定されず、例えば、挿入部2と同心的に設けられていてもよい。
【0074】
処置具挿通チャンネル16は、挿入部2の長手方向に沿って形成され、処置具挿通チャンネル16の先端は、挿入部2の先端で外部に開放している。
【0075】
各送気・送液用チューブ15は、挿入部2の先端で開放しており、例えば、前記送気・送液用チューブ15の先端開口により体腔内に流体を注入したり、体腔内から流体を吸引することができる。具体的には、例えば、送気・送液用チューブ15により、体腔内に挿入・留置された挿入部2の先端付近に洗浄水、薬液等を注入したり、挿入部2の先端付近の体液等を回収することができる。
【0076】
湾曲操作ワイヤ13は、湾曲操作ノブ31A、31Bを回動させることにより、牽引、弛緩し、湾曲部22を所定の方向に湾曲させる。
【0077】
図示の構成では、4本の湾曲操作ワイヤ13が、外管20の内部に配設されている。また、図示の構成では、挿入部2の中心軸から約90°ずつ回転した箇所に、4本の湾曲操作ワイヤ13が配置されている。すなわち、一対の湾曲操作ワイヤ13が、挿入部2の中心軸を介しておおむね対向するように配置されており、さらに、他の一対の湾曲操作ワイヤ13が、挿入部2の中心軸を介しておおむね対向するように配置されている。
【0078】
各湾曲操作ワイヤ13(長尺部材)は、それぞれ、ワイヤ用チューブ19の中空部内(管腔内)に挿入されている。また、これらの各湾曲操作ワイヤ13の先端は、挿入部2の先端部22の閉塞された部分に接着、固定されている。このため、湾曲操作ノブ(湾曲操作ノブ31A、31B)を回動させ、おおむね対向するように配置された一対の湾曲操作ワイヤ13のうちの一方を牽引し、他方を弛緩すると、湾曲部22は、その牽引した湾曲操作ワイヤ13の先端のある側へ湾曲する。
【0079】
湾曲操作ワイヤ13としては、頻回の牽引操作を行った場合にも断線を生じることがない程度の強度および耐久性を有し、また、伸びの少ないものが用いられる。このようなワイヤとしては、例えば、ステンレス鋼等の金属線、ポリアミド、ポリエステル等の樹脂繊維による単線や繊維束が挙げられる。
【0080】
また、湾曲操作ワイヤ13の外径は、その構成材料や挿入部2の横断面形状、寸法、構成材料等の諸条件により異なるが、湾曲操作ワイヤ13が例えばポリアクリレート製撚り糸またはステンレス鋼の単線で構成されている場合、その外径は、30〜3000μm程度が好ましく、100〜1000μm程度がより好ましい。
【0081】
ワイヤ用チューブ19は、湾曲操作ワイヤ13を支持可能であり、湾曲操作ワイヤ13を牽引した場合に、破損の生じない強度および耐久性を有する材料(例えばステンレスなど)で構成されている。
【0082】
ワイヤ用チューブ19の厚さは、湾曲操作ワイヤ13を支持可能であり、かつ挿入部2の可撓性・湾曲性を妨げるものでなければ特に限定されず、100〜3000μm程度が好ましく、100〜200μm程度がより好ましい。
【0083】
また、図2に示すように、外管20の内側には管腔が形成されている。また、外管20の内部(管腔)には、各長尺部材として、ライトガイドファイバーバンドル11、画像信号ケーブル12、処置具挿通チャンネル管14、送気・送液用チューブ15、ワイヤ用チューブ19が配設されており、これらの長尺部材の周囲には、潤滑剤5が配されている。潤滑剤5は、後に詳述するように、優れた潤滑性を有している。このため、各長尺部材が外管20(管腔)に対し相対的に移動した場合(例えば、挿入部2が湾曲した場合)における、長尺部材−長尺部材間および外管−長尺部材間の摩擦抵抗は小さなものとなる。したがって、各長尺部材が円滑に移動することが可能となり、挿入部2の湾曲抵抗が小さなものとなる。その結果、各長尺部材の損傷、破損等を効果的に防止することが可能となる。
【0084】
また、図2に示すように、保護チューブ111の内側には管腔が形成されている。また、この管腔内には長尺部材として光学繊維束が配設されている。さらに、図4に示すように、この光学繊維束を構成する各光学繊維6(長尺部材)の周囲には潤滑剤5が配されている。
【0085】
このように、ライトガイドファイバーバンドル11の光学繊維束を構成する各光学繊維6の周囲に潤滑剤5が配されることにより、光学繊維6が保護チューブ111に対し相対的に移動した場合(例えば、挿入部2が湾曲した場合)における、光学繊維6−光学繊維6間および光学繊維6−保護チューブ111間の摩擦抵抗は小さなものとなる。このため、各光学繊維6が円滑に移動することが可能となり、挿入部2の湾曲抵抗が小さなものとなる。したがって、挿入部2の湾曲時などにおける各光学繊維への引張り、圧迫、挫屈が抑制され、結果として、ライトガイドファイバーバンドル11の損傷、破損等を効果的に防止することができる。
【0086】
また、湾曲操作ワイヤ13が挿入された、管腔の内部(ワイヤ用チューブ19の内部)には潤滑剤5が配されている。これにより、湾曲操作ワイヤ13(長尺部材)がこの管腔に対し相対的に移動した場合(例えば、湾曲操作ワイヤ13を牽引した場合)における、管腔の内面−ワイヤー間の摩擦抵抗は小さなものとなる。このため、挿入部2の湾曲抵抗が小さくなり、結果として、湾曲操作ワイヤ13の牽引を円滑に行うことが可能となり、内視鏡1の湾曲操作の操作性、追従性が向上する。
【0087】
本発明は、潤滑剤5の組成に特徴を有する。すなわち、潤滑剤5は、主としてCで構成され、かつNを含む組成の含窒素炭素化合物を含むものである。潤滑剤として前記含窒素炭素化合物を含むものを用いることにより、後に詳述するように、十分な潤滑性が得られるとともに、優れた耐薬品性、撥水性、絶縁性が発揮され、内視鏡全体としての耐久性、信頼性を向上させることができる。
【0088】
本発明者は、潤滑剤について鋭意研究を重ね、その結果、潤滑剤として、前記含窒素炭素化合物を含むものを用いることにより、下記の利点が得られることを発見した。
【0089】
1.潤滑性
含窒素炭素化合物を含む潤滑剤5は、優れた潤滑性を有する。したがって、このような潤滑剤5を用いることにより、挿入部2の湾曲抵抗を有効に低減させることができ、しかも、摩擦による損傷から各部材を有効に保護することができる。
【0090】
2.耐薬品性
挿入部2は、使用前後に消毒薬等の薬品に浸漬することがある。従来の潤滑剤には、このような薬品と反応してしまい、劣化しまたは腐食され、長期の使用に耐えられないものもあった。
【0091】
これに対し、含窒素炭素化合物を含む潤滑剤5は、耐薬品性に優れている。このため、このような潤滑剤5は、前記薬品に接触しても、変質、劣化しにくい。
【0092】
したがって、このような潤滑剤5を有する内視鏡1は、消毒薬等の薬品に日常的に接触する環境下でも、劣化することなく長期にわたって使用することが可能になる。
【0093】
3.撥水性
挿入部2は、過酸化水素系消毒液等を用いた高度な滅菌に供される。この過酸化水素系消毒液は、挿入部2の内部に浸透し易く、ゴムや樹脂などに吸着され易い。このため、挿入部2を、このような滅菌に繰り返し供すると、挿入部2内の部材が徐々に劣化していくという問題があった。
【0094】
しかし、含窒素炭素化合物を含む潤滑剤5は、優れた撥水性を有している。このため、このような潤滑剤5を挿入部2に用いると、過酸化水素系消毒液等が内部に浸透しにくくなり、各部材の劣化を防止することができる。
【0095】
したがって、このような挿入部2は、高度な滅菌を繰り返し行っても劣化しにくくなり、このような滅菌に繰り返し供することができる。
【0096】
4.絶縁性
含窒素炭素化合物を含む潤滑剤5は、優れた電気絶縁性を有するので、挿入部2中で使用できる場所に制限がなく、広く用いることができる。しかも、これにより挿入部2全体の絶縁性を高めることができる。
【0097】
特に、前述したような電子内視鏡に使用した場合、例えばリード線やリード線とCCDとの接続部などの周辺に潤滑剤5が存在していても短絡等の発生や、漏電、感電等をより確実に防止することができる。
【0098】
含窒素炭素化合物の電気伝導率は、3.0×10S/m以下であるのが好ましい。このように、含窒素炭素化合物の電気伝導率が十分に小さいと、短絡等の不都合の発生をより効果的に防止することができる。
【0099】
このように、含窒素炭素化合物を含む潤滑剤5は、前記4つの優れた利点を有し、その相乗効果により、優れた内視鏡1が提供される。
【0100】
前述したように、本発明においては、潤滑剤5は、含窒素炭素化合物を含むものである。
【0101】
含窒素炭素化合物としては、主としてCで構成され、かつNを含む組成の化合物であればいかなるものを用いてもよいが、結晶状の(単体としての)炭素(例えば、ダイヤモンド様の結晶構造を有する炭素、黒鉛様の結晶構造を有する炭素等)を構成するCの一部がNで置換されたものであるのが好ましい。これにより、内視鏡の湾曲抵抗がさらに小さくなるとともに、潤滑剤の形状の安定性が特に優れたものとなる。
【0102】
また、含窒素炭素化合物は、樹脂材料に熱処理を施すことにより得られるものであるのが好ましい。これにより、内視鏡用の潤滑剤としてより好適な特性を有する含窒素炭素化合物を、容易かつ確実に得ることができる。
【0103】
前記樹脂材料としては、例えば、各種熱可塑性樹脂、各種熱硬化性樹脂等が挙げられ、より具体的には、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等のポリオレフィン、環状ポリオレフィン、変性ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリアミド(例:ナイロン6、ナイロン46、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン6−12、ナイロン6−66)、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート(PC)、ポリ−(4−メチルペンテン−1)、アイオノマー、アクリル系樹脂、ポリメチルメタクリレート、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、ブタジエン−スチレン共重合体、ポリオキシメチレン、ポリビニルアルコール(PVA)、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリシクロヘキサンテレフタレート(PCT)等のポリエステル、ポリエーテル、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルイミド、ポリアセタール(POM)、ポリフェニレンオキシド、変性ポリフェニレンオキシド、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリアリレート、芳香族ポリエステル(液晶ポリマー)、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、その他フッ素系樹脂、スチレン系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリブタジエン系、トランスポリイソプレン系、フッ素ゴム系、塩素化ポリエチレン系等の各種熱可塑性エラストマー、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル、シリコーン樹脂、ポリウレタン等、またはこれらを主とする共重合体、ブレンド体、ポリマーアロイ等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0104】
これらの中でも、前記樹脂材料としては、窒素原子を含む組成を有するものが好ましい。これにより、得られる含窒素炭素化合物中における窒素原子(N)の含有率を容易かつ確実に制御することができる。その結果、含窒素炭素化合物の特性をより確実に制御することができ、所望の特性を有する内視鏡を好適に得ることができる。
【0105】
また、前記樹脂材料は、主として熱硬化性樹脂で構成されたものであるのが好ましい。これにより、熱処理時における樹脂材料の変形を確実に防止、抑制することができ、結果として、得られる含窒素炭素化合物の形状の安定性が特に優れたものとなる。
【0106】
また、前記樹脂材料としては、熱硬化性樹脂の中でも特に、ポリイミドを含む材料であるのが好ましい。これにより、前述したような、含窒素炭素化合物の潤滑剤としての特性が特に優れたものとなり、結果として、より好適な内視鏡を得ることができる。また、前記樹脂材料が主としてポリイミドで構成されたものであると、含窒素炭素化合物の形状の安定性が特に優れたものとなる。
【0107】
前記熱処理は、いかなる条件で行われるものであってもよいが、前記樹脂材料を500〜2000℃に加熱することにより行われるものであるのが好ましく、800〜2000℃に加熱することにより行われるものであるのがより好ましい。これにより、比較的短時間で、内視鏡用の潤滑剤としてより好適な特性を有する含窒素炭素化合物を容易かつ確実に得ることができ、結果として、より好適な内視鏡を得ることができる。また、上記のような温度で熱処理を行うことにより、得られる含窒素炭素化合物の形状の安定性が特に優れたものとなる。
【0108】
また、前記熱処理は、不活性雰囲気(不活性ガス)中で行われるのが好ましい。これにより、内視鏡用の潤滑剤としてより好適な特性を有する含窒素炭素化合物を容易かつ確実に得ることができ、結果として、より好適な内視鏡を得ることができる。また、上記のような温度で熱処理を行うことにより、得られる含窒素炭素化合物の形状の安定性が特に優れたものとなる。
【0109】
前記不活性雰囲気としては、例えば、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン等の希ガスや、窒素等が挙げられる。不活性雰囲気として希ガスを用いることにより、得られる含窒素炭素化合物中における窒素含有量をより確実に制御することができる。また、不活性雰囲気として窒素ガスを含む気体を用いることにより、例えば、窒素原子を含まない組成の前記樹脂材料を用いた場合であっても、得られる含窒素炭素化合物中における窒素含有量を比較的高いものとすることができる。
【0110】
含窒素炭素化合物が粉末である場合、粉末の平均粒径は、特に限定されないが、2〜200μm程度が好ましく、50〜200μmであるのがより好ましい。平均粒径が、前記下限値未満であると、含窒素炭素化合物の製造が困難になるとともに、取り扱い性も低下する。一方、平均粒径が前記上限値を超えると、潤滑剤5の充填性が悪くなり、十分な潤滑性が得られなくなる場合がある。
【0111】
なお、潤滑剤5は、含窒素炭素化合物を分散媒に分散させたものであってもよい。
【0112】
このような分散媒としては、例えば、シリコーンゲル、グリース等の半固形状の分散媒や、オイル等が挙げられる。特に、潤滑剤5が半固形状の分散媒を含むものであると、潤滑性が得られるだけでなく、取り扱いが容易となる。さらには、挿入部2の各長尺部材を衝撃等から保護することも可能になる。
【0113】
また、潤滑剤5は、例えば、4フッ化エチレン重合体等のフッ素系樹脂や、二硫化モリブデン(MoS)、窒化ホウ素(BN)、黒鉛、フッ化炭素((CF))等、含窒素炭素化合物以外の潤滑剤を含むものであってもよい。
また、潤滑剤5中には、各種添加剤等が含まれていてもよい。
【0114】
前述したように、潤滑剤5は、含窒素炭素化合物を含むものであればいかなるものであってもよいが、潤滑剤5中の含窒素炭素化合物の含有率は、10wt%以上であるのが好ましく、20wt%以上であるのがより好ましい。含窒素炭素化合物の含有率が10wt%以上であると、前述した含窒素炭素化合物の利点が特に顕著なものとなる。
【0115】
以上述べたように、含窒素炭素化合物を含む潤滑剤5を用いることにより、挿入部2を湾曲させたときに生じる各部材間の摩擦が抑制され、各部材の損傷、破損を防止することができる。
【0116】
しかも、耐薬品性に優れた挿入部2を得ることができる。したがって、挿入部2は、消毒薬等の薬品にさらされても劣化しにくく、薬品等を用いた殺菌・滅菌等に繰り返し供することが可能となる。
【0117】
さらに、潤滑剤5が高い撥水性を有するため、酸化エチレンガス等の内部に浸透し易い物質で殺菌・滅菌等を行った場合でも、かかる物質が内部に浸透しにくくなる。このため、挿入部2は、酸化エチレンガス等を用いた高度な滅菌を繰り返し行っても劣化しにくくなる。
【0118】
また、潤滑剤5が耐薬品性と撥水性を有しているため、外部から薬品等が挿入部2に浸透するのを防止する外皮25等の厚さを薄くすることが可能となる。これにより、内視鏡を細径化することが可能となる。
【0119】
このような効果は、含窒素炭素化合物の形状、含有量等を適宜選択することにより、さらに顕著なものとなる。
【0120】
以上、本発明の内視鏡について説明したが、本発明は、これに限定されるものではない。
【0121】
例えば、潤滑剤5を配する部位は前述した部位に限られない。例えば、ユニバーサルチューブ7や操作部3内の摺動部のような、挿入部2内部以外の部位に、潤滑剤5を配することができる。また、潤滑剤5を前述した各部位のうちの特定の部分にのみ限定して配することもできる。さらに、各部位で、潤滑剤5の条件(例えば、含窒素炭素化合物の形状、平均粒径、含有量等)が異なっていてもよい。
【0122】
また、湾曲操作ワイヤ13の本数は、前述したように4本でなくてもよい。例えば、湾曲操作ワイヤ13の本数は、3本以下でもよく、5本以上であってもよい。
【0123】
また、各部材の構成は、同様の機能を有する任意のものに置換することができる。
【0124】
例えば、前述した実施形態は、挿入部の先端部にCCD(撮像素子)と、画像信号ケーブルとを有する電子内視鏡(電子スコープ)について説明したが、本発明は、これに限られず、光学繊維束をイメージガイドとして用いた光学内視鏡(ファイバスコープタイプ)であってもよい。このような場合、イメージガイドの光学繊維束を構成する各光学繊維の周囲には、前述したような含窒素炭素化合物を含む潤滑剤が配されているのが好ましい。
【0125】
また、前述した実施形態は、医療用に用いられる内視鏡であるが、本発明は、これに限られず、工業用等に用いられる内視鏡であってもよい。
【0126】
【実施例】
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
【0127】
1.内視鏡の作製
(実施例1)
ペンタックス社製の電子内視鏡「FB−15X」を用いて、図1〜図4に示すような内視鏡を作製した。
【0128】
潤滑剤としては、以下のようにして調製した含窒素炭素化合物を用いた。
まず、樹脂材料として粉末状のポリイミド(熱硬化性樹脂)を用意した。
【0129】
このポリイミド粉末をチャンバー内に入れ、該チャンバー内をアルゴンガスで置換した後、ポリイミド粉末に対して、800℃の熱処理を1時間施すことにより、黒色粉末を得た。次に、この黒色粉末を、不活性ガス雰囲気中で室温まで冷却し、その後、チャンバー内から取り出した。このようにして得られた黒色粉末の組成をX線光電子分光法(XPS)、ラマン分光法により測定したところ、当該黒色粉末は、実質的に含窒素炭素化合物のみで構成されたものであることが確認された。
【0130】
次に、当該含窒素炭素化合物を分級し、平均粒径を50μmとした。
また、窒素炭素化合物の電気伝導率は、3.0×10S/m以下であった。
【0131】
(実施例2)
潤滑剤として用いた含窒素炭素化合物の平均粒径を100μmとした以外は、前記実施例1と同様にして内視鏡を作製した。
【0132】
(実施例3)
樹脂材料に対する熱処理を、2.2kPaの窒素雰囲気中で、800℃×1時間とした以外は、前記実施例1と同様にして、黒色粉末(実質的に含窒素炭素化合物のみで構成された粉末)を調製し、さらに、当該含窒素炭素化合物を用いて内視鏡を作製した。
【0133】
また、窒素炭素化合物の電気伝導率は、3.0×10S/m以下であった。
【0134】
(実施例4)
潤滑剤として用いた含窒素炭素化合物の平均粒径を200μmとした以外は、前記実施例3と同様にして内視鏡を作製した。
【0135】
(実施例5)
潤滑剤として、前記実施例1と同様にして調製した含窒素炭素化合物:50重量部と、シリコーンオイル:50重量部との混合物を用いた以外は、前記実施例1と同様にして内視鏡を作製した。
【0136】
(比較例1)
潤滑剤として、二硫化モリブデン(MoS)を用いた以外は、実施例1と同様にして内視鏡を作製した。この二硫化モリブデンの平均粒径は5μmであった。
【0137】
(比較例2)
潤滑剤として、黒鉛を用いた以外は、比較例1と同様にして内視鏡を作製した。この黒鉛の平均粒径は6μmであった。
【0138】
2.評価
各実施例および各比較例で得られた各内視鏡を用いて、以下のような評価を行った。
【0139】
まず、各内視鏡の湾曲操作ノブを操作することにより、湾曲部を湾曲させた。この操作を100回繰り返し行った。100回目の湾曲操作におけるアングル力量を以下の4段階の基準に従って評価した。
◎:最適なアングル力量を有し、内視鏡としての使用に最適。
○:適度なアングル力量を有し、内視鏡としての使用に適する。
△:アングル力量がやや大きく、内視鏡としての使用に問題あり。
×:アングル力量が非常に大きく、内視鏡としての使用に適さない。または破損により、内視鏡としての使用不可。
【0140】
また、各内視鏡の作製に用いた粉末状の潤滑剤を200kPaでプレスし、板状の部材を得、これらの板状部材について、4端子法にて電気抵抗を測定することにより、各内視鏡の作製に用いた潤滑剤の絶縁性を以下の3段階の基準に従って評価した。
◎:特に優れた絶縁性を有する。
△:通常の内視鏡の使用条件では、悪影響の無い程度の導電性を有するが、内視鏡の故障時等には、悪影響を及ぼす可能性あり。
×:通常の内視鏡の使用条件で、悪影響を及ぼす可能性が有る程度の導電性を有する。
【0141】
さらに、これらの内視鏡に対して、過酸化水素プラズマ滅菌を行った。
過酸化水素プラズマ滅菌は、ガスプラズマ滅菌装置(ジョンソン・エンド・ジョンソンメディカル社製「STERRAD」)を用いて、約75分間かけて行った。
【0142】
このような滅菌処理を500回繰り返し行った後、各内視鏡の外観を以下の4段階の基準に従って評価した。
◎:滅菌処理前の外観と差が認められない。
○:内視鏡の機能に悪影響がない程度の外観変化が認められる。
△:内視鏡の機能に悪影響を及ぼす程度の外観変化が認められる。
×:滅菌処理前からの形状変化が著しく、内視鏡としての使用が不可。
【0143】
また、上記のような滅菌処理を500回繰り返し行った各内視鏡の湾曲操作ノブを操作することにより、湾曲部を湾曲させた。このときのアングル力量を前記と同様にして評価した。
これらの結果を表1に示す。
【0144】
【表1】
Figure 2004329539
【0145】
表1から明らかなように、本発明の内視鏡は、いずれも優れた湾曲性を有しており、滅菌処理を繰り返し行った後も優れた湾曲性が維持されていた。
【0146】
これに対し、比較例1の内視鏡は、滅菌処理を行う前においては、優れた湾曲性を有していたが、滅菌処理を繰り返し行うことによる形状変化が著しく、内視鏡としての使用が不能になった。
【0147】
また、比較例2の内視鏡は、本発明の内視鏡に比べて湾曲性がやや劣っていた。また、比較例2の内視鏡の作製に用いた潤滑剤は、導電性が高く(絶縁性が低く)、内視鏡用の潤滑剤としては適切ではなかった。
【0148】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、湾曲抵抗が小さく、繰り返し使用しても損傷、破損を生じにくい内視鏡を得ることができる。
【0149】
また、耐薬品性にも優れるため、高度の滅菌などが繰り返し可能な内視鏡を得ることができる。
また、絶縁性等にも優れるため、電子内視鏡にも好適に適用できる。
【0150】
また、優れた耐薬品性および撥水性・ガスバリヤ性を有しているため、外部から薬品等が挿入部に浸透するのを防止する外皮および内皮を薄くすることが可能となる。これにより、内視鏡を細径化することが可能となる。
【0151】
このような効果は、潤滑剤の条件(例えば、含窒素炭素化合物の形状、平均粒径、含有量等)等を適宜選択することにより、さらに顕著なものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の内視鏡の好適な実施形態を示す全体図である。
【図2】図1中のX−X線横断面図である。
【図3】図1に示す内視鏡の処置具挿入口突起付近の拡大図である。
【図4】図2に示す縦断面図の一部を拡大して示す拡大断面図である。
【符号の説明】
1 内視鏡
11 ライトガイドファイバーバンドル
111 保護チューブ
12 画像信号ケーブル
13 湾曲操作ワイヤ
14 処置具挿通チャンネル管
15 送気・送液用チューブ
16 処置具挿通チャンネル
17 処置具挿入口
19 ワイヤ用チューブ
2 挿入部
20 外管
21 可撓管部(可撓管)
22 湾曲部
23 螺旋管
24 網状管
25 外皮
26 対物レンズ
3 操作部
31A、31B 湾曲操作ノブ
32 処置具挿入口突起
33 送気・送液ボタン
34 吸引ボタン
35 ルアー口金部
37 フランジ突起
38 鉗子栓
5 潤滑剤
6 光学繊維
7 ユニバーサルチューブ
8 コネクタ部
81 光源差込部
82 画像信号用コネクタ

Claims (18)

  1. 管腔と、その内部に配設された長尺部材と、前記管腔の内部に配設された潤滑剤とを有する内視鏡であって、
    前記潤滑剤は、主としてCで構成され、かつNを含む組成の含窒素炭素化合物を含むものであることを特徴とする内視鏡。
  2. 前記含窒素炭素化合物は、結晶状の炭素を構成するCの一部がNで置換されたものである請求項1に記載の内視鏡。
  3. 前記含窒素炭素化合物は、樹脂材料に熱処理を施すことにより得られるものである請求項1または2に記載の内視鏡。
  4. 前記樹脂材料は、窒素原子を含む組成を有するものである請求項3に記載の内視鏡。
  5. 前記樹脂材料は、主として熱硬化性樹脂で構成されたものである請求項3または4に記載の内視鏡。
  6. 前記樹脂材料は、主としてポリイミドで構成されたものである請求項3ないし5のいずれかに記載の内視鏡。
  7. 前記熱処理は、前記樹脂材料を500〜2000℃に加熱することにより行われるものである請求項3ないし6のいずれかに記載の内視鏡。
  8. 前記熱処理は、不活性雰囲気中で行われるものである請求項3ないし7のいずれかに記載の内視鏡。
  9. 前記含窒素炭素化合物は粉末である請求項3ないし8のいずれかに記載の内視鏡。
  10. 前記含窒素炭素化合物の平均粒径が2〜200μmである請求項9に記載の内視鏡。
  11. 前記長尺部材は、前記管腔に対し相対的に移動可能である請求項1ないし10のいずれかに記載の内視鏡。
  12. 前記潤滑剤は、前記長尺部材の周囲に配されている請求項1ないし11のいずれかに記載の内視鏡。
  13. 前記長尺部材は、ワイヤである請求項1ないし12のいずれかに記載の内視鏡。
  14. 前記長尺部材は、チューブである請求項1ないし13のいずれかに記載の内視鏡。
  15. 前記長尺部材は、光学繊維束であり、
    前記潤滑剤が、前記光学繊維束の外表面の少なくとも一部に配されている請求項1ないし14のいずれかに記載の内視鏡。
  16. 前記長尺部材は、光学繊維束であり、
    前記潤滑剤が、前記光学繊維束を構成する各光学繊維の外表面の少なくとも一部に配されている請求項1ないし15のいずれかに記載の内視鏡。
  17. 内視鏡は、電子内視鏡である請求項1ないし16のいずれかに記載の内視鏡。
  18. 前記含窒素炭素化合物の電気伝導率が3.0×10S/m以下である請求項1ないし17のいずれかに記載の内視鏡。
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