JP2004328795A - スピーカー用部材およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 任意のスピーカー(例えば、低音用、中音用、高音用のスピーカ)に適用可能であり、全帯域(フルレンジ)スピーカーとして使用可能な、振動板部分と振動板部分と同一の基材で形成されるエッジ部分を有するスピーカー用部材を提供すること。
【解決手段】 基材を形成する工程と、基材の振動板部分となるべき部位に熱硬化性樹脂を含浸する工程と、含浸した熱硬化性樹脂を硬化させて振動板部分を形成すると同時にエッジ部分を形成する工程とを含む製造方法により、基材と基材に含浸された熱硬化性樹脂とを含む振動板部分と、振動板部分と同一の基材を含むエッジ部分とを有するスピーカー用部材が得られる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、振動板部分とエッジ部分とを有するスピーカー用部材に関する。より詳細には、本発明は、振動板部分とエッジ部分とが同一材料を用いて形成され、かつ、振動板部分およびエッジ部分がともに要求特性を満たすスピーカー用部材に関する。
一般に、スピーカーにおいては、振動板およびエッジはそれぞれ異なる材料から形成される。振動板とエッジに要求される性能が全く異なるためである。すなわち、振動板は前後の空気を押して粗密波を発生させることにより音波を発生させるので、空気の圧力に耐え得る強度が必要とされる。一方、エッジは振動板の動きに追随し得る柔軟性と振動板を伝播した音波を反射させることなく振動を吸収し得る振動吸収性とが必要とされる。このように、振動板とエッジとは要求性能が異なるため、それぞれの要求性能を満足させるために、従来のスピーカーは、振動板およびエッジをそれぞれ異なる材料から別個に形成し、それらを接着することにより製造されている。そのため、従来のスピーカーの製造においては、振動板およびエッジのそれぞれについて材料費がかかり、かつそれぞれの成形工程および接着工程が必要となる。従って、従来のスピーカーの製造は、非常にコストが高く、かつ製造効率が低いという問題がある。
このような問題を解決するために、パルプコーンを抄造する際に振動板部分とエッジ部分とを同時に成形する技術が提案されている。しかし、この技術においては、エッジの通気を防止し振動板の反射を押さえるためにエッジに樹脂層を特別に設けなければならない。そのため、製造工程数が多く煩雑であり、振動板の振動によって屈曲されるエッジ部分は芯材となるパルプ繊維の強度が低いため耐久性および耐水性が不十分であり、しかも、樹脂層が設けられたことによりエッジの柔軟性が不十分であるという問題がある。
別の方法として、射出成形の2色成形により振動板とエッジを同時に成形する技術が提案されている。しかし、この技術では、利用可能な材料が熱可塑性樹脂に限定されてしまうので、得られるスピーカーの耐熱性および弾性率が不十分である。
さらに、樹脂フィルムまたは金属箔をコーン型またはドーム型の振動板形状に成形すると同時にロール形状のエッジを成形する技術も提案されている。しかし、この技術においては、振動板およびエッジについての相反する要求性能を同時に満足させるための工夫は何らなされておらず、エッジの強度が振動板の強度と同じになってしまう。その結果、十分な振幅が得られず、エッジの振動吸収性もほとんどないので、実用に耐え得るスピーカーは得られない。
平面型スピーカーにおいては、エッジを有さないスピーカーもある。しかし、一般に用いられるエッジを有する平面型スピーカーは、上記コーン型の振動板を有するスピーカーと同様に、それぞれ異なる材料から形成された振動板とエッジとを接着することにより得られる。さらに、従来の平面型振動板は、強度を高めるために、厚みを大きくし、かつ軽量化するために、スチロール系の発泡材を使用している。このような平面型振動板は、内部損失が小さいので分割振動が発生しやすく、その結果、周波数特性におけるピークディップ(周波数−音圧特性における音圧レベルの上下への振れ)が大きくなる。アルミハニカムからなる平面型振動板も用いられているが、このような平面型振動板も、内部損失が小さいのでピークディップが大きく、その結果、固有の癖のある音が発生してしまう。
このように、振動板とエッジを同時に成形する試みがなされているが、振動板とエッジのそれぞれの要求性能が満足されるスピーカー用部材が得られていないのが現状である。
そこで、振動板部分とエッジ部分とが容易に形成され、かつ、振動板部分およびエッジ部分がともに優れた要求性能を有するスピーカー用部材が強く望まれている。
本発明は、振動板部分とエッジ部分とを同一材料を用いて形成することにより、振動板とエッジとが、それぞれの要求性能を満足するスピーカー部材が得られることを見出したことにより完成された。
本発明のスピーカ用部材は、基材と該基材に含浸された熱硬化性樹脂とを含む振動板部分と、該振動板部分と同一の基材を含むエッジ部分とを有するスピーカー用部材であって、該基材は、熱可塑性エラストマー繊維、パラ型アラミド繊維、メタ型アラミド繊維、またはポリアリレート系繊維からなる不織布でなる。
好適な実施態様においては、上記熱可塑性エラストマー繊維は、ポリウレタン系エラストマー繊維、ポリアミド系エラストマー繊維、ポリスチレン系エラストマー繊維、ポリエステル系エラストマー繊維およびエチレン/酢酸ビニル系エラストマー繊維から選択される。
本発明の他のスピーカー用部材は、基材と該基材に含浸された熱硬化性樹脂とを含む振動板部分と、該振動板部分と同一の基材を含むエッジ部分とを有する、スピーカー用部材であって、該基材は飽和ポリエステル繊維からなる弾性織布である。
好適な実施態様においては、上記飽和ポリエステル繊維は、ポリ(トリメチレンテレフタレート)繊維である。
好適な実施態様においては、上記熱硬化性樹脂は不飽和ポリエステル樹脂である。
好適な実施態様においては、上記熱硬化性樹脂は、天然繊維、再生繊維または合成繊維の短繊維、あるいはこれらの混合物をさらに含有する。
好適な実施態様においては、上記エッジ部分は、前記基材に含浸された光硬化性樹脂を含む。
好適な実施態様においては、上記光硬化性樹脂はアクリル系樹脂である。
好適な実施態様においては、上記エッジ部分は、前記振動板部分に含浸された熱硬化性樹脂とは異なる熱硬化性樹脂を含む。
好適な実施態様においては、上記エッジ部分に含まれる熱硬化性樹脂は、天然繊維または合成繊維の短繊維、あるいはこれらの混合物をさらに含有する。
好適な実施態様においては、上記エッジ部分に含まれる熱硬化性樹脂は、熱硬化性ポリエーテルウレア系エラストマーである。
好適な実施態様においては、上記振動板部分はコーン型である。
好適な実施態様においては、上記振動板部分は平面型である。
好適な実施態様においては、上記振動板部分は補強用部分を有する。
本発明のスピーカー用部材の製造方法は、基材を形成する工程と、該基材の振動板部分となるべき部位に熱硬化性樹脂を含浸する工程と、該含浸した熱硬化性樹脂を硬化させて振動板部分を形成すると同時にエッジ部分を形成する工程とを含み、該基材は、熱可塑性樹脂エラストマー繊維、パラ型アラミド繊維、メタ型アラミド繊維、またはポリアリレート系繊維からなる不織布でなる。
本発明のスピーカー用部材の他の製造方法は、基材を形成する工程と、該基材の振動板部分となるべき部位に熱硬化性樹脂を含浸する工程と、該含浸した熱硬化性樹脂を硬化させて振動板部分を形成すると同時にエッジ部分を形成する工程とを含み、該基材は、飽和ポリエステル繊維からなる弾性織布でなる。
本発明によれば、基材の振動板部分となるべき部位に所定の熱硬化性樹脂を選択的に塗布することにより、振動板部分とエッジ部分とを同一材料を用いて形成することができ、かつ、振動板部分およびエッジ部分がともに優れた要求特性を有するスピーカー用部材が得られる。さらに、本発明によれば、低コストで、かつ製造効率に優れた製造方法が得られる。
(実施形態1)
本発明のスピーカー用部材は、振動板部分とエッジ部分とを有する。すなわち、本発明のスピーカー用部材は、一体で、振動板の機能とエッジの機能とを同時に有する。なお、振動板部分の形状としては、任意の適切な形状(例えば、コーン型、ドーム型、平面型、コーン型が最も広範に用いられる)が採用され得る。本実施形態においては、振動板部分の形状については特に限定せずに説明する。
振動板部分は、基材と該基材の一部に含浸された熱硬化性樹脂とを含む。基材は織布であっても不織布であってもよい。
不織布基材は、単一の不織布であってもよく、複数の不織布層を有する積層体であってもよい。
不織布(層)は、任意の適切な短繊維から形成される。このような短繊維の代表例としては、パラ型アラミド繊維、メタ型アラミド繊維、レーヨン繊維、コットン繊維、超高強力ポリエチレン繊維、ポリアリレート系繊維が挙げられる。繊維の内部損失が大きくかつ強度に優れるという理由で、パラ型アラミド繊維が好ましい。短繊維の繊維長は目的に応じて変化し得るが、代表的には30〜60mmである。不織布(層)は、単一の短繊維から形成してもよく、2種以上の短繊維を組み合わせて形成してもよい。
好ましくは、不織布基材は、少なくとも2つの不織布層と該不織布層の間に設けられた樹脂フィルム層とを有する積層体である。成形時に樹脂フィルム層が溶融固化するので、エッジ部分の成形が容易になる。さらに、得られるエッジ部分は固化した樹脂フィルムを含むので、エッジ部分の通気が良好に防止される。積層体は、代表的には、2つの不織布層と該不織布層の間に設けられた樹脂フィルム層とを有する。積層体の不織布層は、それぞれ同一の繊維材料(短繊維)から形成されてもよく、それぞれ別の繊維材料から形成されてもよい。
好ましくは、上記樹脂フィルム層は、任意の適切な熱可塑性エラストマーからなる。熱可塑性エラストマーの代表例としては、ウレタン系エラストマー、アミド系エラストマー、オレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、エチレン/酢酸ビニル系エラストマーが挙げられる。内部損失が大きいという理由で、ウレタン系エラストマーが好ましい。熱可塑性エラストマーは、任意の適切な方法でフィルム状に成形され、樹脂フィルム層として用いられる。樹脂フィルム層の厚みは目的に応じて変化し得るが、代表的には0.03〜0.10mmである。
積層体の特に好ましい構成としては、パラ型アラミド繊維/ウレタン系エラストマー/パラ型アラミド繊維、パラ型アラミド繊維/ウレタン系エラストマー/レーヨン繊維、パラ型アラミド繊維/ウレタン系エラストマー/コットン繊維、メタ型アラミド繊維/ウレタン系エラストマー/メタ型アラミド繊維、パラ型アラミド繊維/オレフィン系エラストマー/パラ型アラミド繊維、パラ型アラミド繊維/スチレン系エラストマー/パラ型アラミド繊維、パラ型アラミド繊維/アミド系エラストマー/パラ型アラミド繊維、およびパラ型アラミド繊維/ポリエステル系エラストマー/パラ型アラミド繊維が挙げられる。積層体のとりわけ好ましい構成は、パラ型アラミド繊維/ウレタン系エラストマー/コットン繊維である。
別の実施態様によれば、不織布基材は、少なくとも2つの第1の不織布層と、該不織布層の間に設けられた第2の不織布層とを有する積層体である。第1および第2の不織布層を用いることにより、積層体の振動板となるべき部分に熱硬化性樹脂を含浸する際に、積層体の一方の表面に熱硬化性樹脂を塗布するだけで振動板となるべき部分全体に熱硬化性樹脂を良好に含浸することができる。その結果、得られる振動板部分の弾性率がさらに向上する。しかも、第2の不織布層は成形時に溶融固化するので、エッジ部分の通気防止は良好に維持される。
代表的には、第1の不織布層を構成する材料は、上記不織布基材の場合と同様である。第2の不織布層は、好ましくは、熱可塑性エラストマー繊維から形成される不織布(以下、エラストマー不織布ともいう)である。ここで、エラストマー不織布とは、熱可塑性エラストマー繊維がランダムに絡み合っている不織布をいい、その一部が溶融していてもよい。熱可塑性エラストマー繊維の代表例としては、ポリウレタン系エラストマー繊維、ポリアミド系エラストマー繊維、ポリスチレン系エラストマー繊維、ポリアミド系エラストマー繊維、ポリエステル系エラストマー繊維、エチレン/酢酸ビニル系エラストマー繊維が挙げられる。内部損失が大きいという理由で、ウレタン系エラストマー繊維が好ましい。エラストマー不織布は熱硬化性樹脂が容易に含浸し得るので、優れた弾性率を有するスピーカー用部材が得られ得る。さらに、エラストマー不織布はその内部に多くの空隙(空気部分)を含むので、目付当たりの厚みが大きくなり、その結果、優れた剛性を有するスピーカー用部材が得られる。第2の不織布層は、任意の適切な方法で熱可塑性エラストマーから形成される。
あるいは、不織布基材は、エラストマー不織布単独であり得る。
さらに別の実施態様によれば、上記不織布基材は、不織布層と該不織布層の間に設けられた弾性織布層とを有する積層体である。ここで、弾性織布とは、弾性を有する(すなわち、伸び縮みし得る)織布をいう。弾性織布は、任意の適切な方法で形成される。不織布層は上記と同様であり得る。弾性織布層を用いることにより、振動板部分の弾性率を維持しつつ、エッジ部分の内部損失を向上させることができる。さらに、弾性織布は成形時に溶融固化するので、エッジ部分の通気防止は良好に維持される。
好ましくは、上記弾性織布層は飽和ポリエステル繊維からなる。特に好ましい飽和ポリエステル繊維は、ポリ(トリメチレンテレフタート)繊維である。ポリ(トリメチレンテレフタート)繊維は、高弾性であると同時に、内部損失が大きく、優れた柔軟性を有するからである。
あるいは、基材は織布単独であってもよい。上記のように、織布基材は、好ましくは飽和ポリエステル繊維からなる弾性織布である。さらに好ましくは、織布基材はポリ(トリメチレンテレフタレート)繊維からなる。ポリ(トリメチレンテレフタレート)は非常に優れた内部損失を有するので、結果として、非常に優れた内部損失を有するスピーカー用部材が得られるからである。
上記不織布基材、積層体基材、エラストマー不織布基材または織布基材は、目的に応じて適宜選択され得る。
基材に含浸される熱硬化性樹脂としては、任意の適切な熱硬化性樹脂が用いられるが、好ましくは不飽和ポリエステル樹脂である。最も短時間で硬化するからである。本発明においては、任意の適切な不飽和ポリエステル樹脂が用いられる。熱硬化性樹脂(例えば、不飽和ポリエステル樹脂)は、液状組成物の形態で、多くの製品が市販されている。
好ましくは、このような熱硬化性樹脂組成物は、天然繊維、再生繊維または合成繊維の短繊維、あるいはこれらの混合物(以下、添加繊維ともいう)をさらに含有し得る。添加繊維は、好ましくは20mm以下、さらに好ましくは5mm以下の繊維長を有する(なお、実用上最も短い繊維長は1mmである)。添加繊維の繊維長が短いほど添加繊維は熱硬化性樹脂中に分散されやすいので、結果として、基材への含浸性に優れるからである。従って、繊維長が長いほど弾性率向上に寄与し得ることおよび含浸性と得られるスピーカー用部材の弾性率とのバランスを考慮すると、添加繊維の繊維長は短い方がよい。
天然繊維の代表例としては、綿、麻が挙げられる。再生繊維の代表例としては、レーヨン、ポリノジックがあげられる。合成繊維の代表例としては、ナイロン、ビニロン、アラミド繊維、炭素繊維、ポリアリレート系繊維、ヘテロ環含有芳香族系繊維が挙げられる。アラミド繊維、炭素繊維、ポリアリレート系繊維、ヘテロ環含有芳香族系繊維のような高弾性繊維が好ましい。弾性率に優れたスピーカー用部材が得られるからである。
好ましくは、上記添加繊維は、熱硬化性樹脂100重量部に対して5〜30重量部、さらに好ましくは10〜15重量部の割合で添加され得る。このような範囲で添加繊維を熱硬化性樹脂に添加すると、含浸性と得られるスピーカー用部材の弾性率とが共に優れるからである。
エッジ部分は、上記振動板部分と同一の基材を含む。
好ましくは、エッジ部分には、上記基材に光硬化性樹脂が含浸されている。任意の適切な光硬化性樹脂が用いられるが、代表的には、アクリル系樹脂が挙げられる。
あるいは、上記振動板部分に含まれる熱硬化性樹脂とは異なる熱硬化性樹脂が、エッジとなる基材部分に含浸され得る。エッジ部分に熱硬化性樹脂を含ませることにより、エッジ部分の耐熱性が格段に優れたものとなる。このような熱硬化性樹脂としては、熱硬化性ポリエーテルウレア系エラストマーが好適に用いられ得る。ポリエーテルウレア系エラストマーは非常に柔軟であるので、得られるエッジ部分の耐熱性を向上させるだけでなく、振幅を大きくすることも可能となる。その結果、フルレンジ用として十分な性能を有するスピーカー用部材が得られる。例えば、このようなポリエーテルウレア系エラストマーは、以下のような特性を有する:ゴム硬度73、引張強度298kg/cm、破断伸び425%、融点200℃以上。
以下、まず、基材の形成方法について説明し、次に図面を参照しつつ、本発明の好ましい実施態様によるスピーカー用部材の製造方法について説明する。
(基材の形成方法)
例えば、基材が単一の不織布である場合には、当該不織布は、任意の適切な方法を用いて上記短繊維から形成される。不織布の形成方法の代表例としては、水などの液体または空気などの気体を用いる流体絡合法、あるいは機械的に短繊維をランダムに絡ませる方法などが挙げられる。弾性率の異方性が小さく成形性が良好な不織布が得られるという点で、流体絡合法が好ましい。例えば、上記短繊維を乾式法により空気流でランダムに配向させて集積層を作成し、次いで、水流絡合法により該集積層の繊維同士を絡ませることにより不織布が得られ得る。本発明に用いられる不織布の目付は目的に応じて変化し得るが、代表的には30〜150g/m2である。また例えば、基材が2つの不織布層と該不織布層の間に設けられた樹脂フィルム層とを有する積層体である場合には、不織布層と樹脂フィルム層とをそれぞれ任意の適切な方法で形成した後、任意の適切な方法で積層すればよい。なお、エラストマー不織布からなる基材または織布基材も、任意の適切な方法により作製され得る。
(スピーカー用部材の製造方法)
以下、基材が単一の不織布である場合について図1に基づいて説明する(本発明の方法が他の種類の基材にも同様に適用され得ることはいうまでもない)。図1に示すように、不織布基材1aは、供給装置1にロール状に巻かれて準備され、工程の流れに応じて供給装置1から送り出される。成形時の変形を防止するために、送り出された不織布基材1aの送り方向に対する両側部がクランプ2により移動可能に支持される。
次いで、熱硬化性樹脂が、樹脂供給ノズル3aから不織布基材1aの振動板部分に選択的に供給され、さらに、樹脂供給ノズル3bから下側金型4bの振動板に対応する部分に選択的に供給される。熱硬化性樹脂は不織布1aの一方の側のみに供給してもよいが、好ましくは図1に示すように、不織布基材1aの上側と下側の両方に供給される。基材の両側から含浸させることにより、熱硬化性樹脂が振動板部分の一方の側に偏在することが防止されるからである。特に、不織布基材が樹脂フィルム層または弾性織布層を有する積層体である場合に、その効果が顕著である。不織布基材がエラストマー不織布層を有する積層体である場合には、熱硬化性樹脂を不織布1aの一方の側のみに供給するだけで、熱硬化性樹脂が振動板部分の一方の側に偏在することなく、振動板部分全体に良好に含浸させることができる。
次いで、熱硬化性樹脂が供給された不織布1aを、振動板部分とエッジ部分とを一体化させた形状の上側金型4aおよび下側金型4bを用いて熱プレスする。その結果、熱硬化性樹脂が圧延により不織布基材1aの振動板部分のみに含浸されおよび硬化して、振動板部分5が形成され、同時に、基材が溶融および固化することによりエッジ部分6が形成される。樹脂フィルム層を有する積層体を不織布基材1aとして用いる場合には、樹脂フィルム層が熱プレスによって溶融し、その後固化することによりエッジ部分6が形成される。最後に、型抜きと外周切断が行われ、スピーカー用部材7が得られる。
なお、熱プレスの条件(例えば、金型温度、プレス圧力、プレス時間、金型クリアランス)は、目的や用いる不織布基材に応じて、任意の適切な条件が採用され得る。代表的には、金型温度は100〜130℃、加熱時間は0.5〜3分間、プレス時の圧力は15〜25kg/cm、金型クリアランス(得られるスピーカー用部材の厚みに対応する)は0.1〜0.3mmである。
次に、図2を参照して、本発明の別の実施態様によるスピーカー用部材の製造方法について説明する。簡単のため、この実施態様に特徴的な工程についてのみ説明する(特に明示しない限り、図1を参照して説明した手順が適用され得る)。
樹脂供給ノズル3aおよび3bを用いて不織布基材1aの両側に熱硬化性樹脂を供給し、さらに、振動板部分とエッジ部分とを一体化させた形状の上側金型4aおよび下側金型4bを用いて熱プレスする。その結果、熱硬化性樹脂が含浸および硬化することにより振動板部分5が形成され、同時に、エッジ部分6が予備成形される。予備成形されたエッジ部分6に、樹脂供給ノズル8から光硬化性樹脂を塗布する。任意の適切な紫外線照射ランプ(例えば、水銀ランプ)9を用いて紫外線を照射し、光硬化性樹脂を硬化させる。紫外線照射条件は、用いる光硬化性樹脂の種類に応じて任意の適切な条件が採用され得るが、光硬化性樹脂がアクリル系樹脂である場合には、代表的には、600〜900mW/cmの照射密度で30〜60秒間照射される。このようにして、所望の特性を有するエッジ部分が形成される。最後に、型抜きと外周切断が行われ、スピーカー用部材7が得られる。
本発明のさらに別の実施態様によるスピーカー用部材の製造方法について簡単に説明する。不織布基材の振動板部分となるべき部位に所定の熱硬化性樹脂(例えば、不飽和ポリエステル)を樹脂供給ノズルから供給し、同時に、不織布基材のエッジ部分となるべき部位に別の熱硬化性樹脂(例えば、熱硬化性ポリエーテルウレア系エラストマー)を別の樹脂供給ノズルから供給する。次いで、この不織布基材を、振動板部分とエッジ部分とを一体化させた形状の上側金型および下側金型を用いて熱プレスする。その結果、上記2種類の熱硬化性樹脂がそれぞれ含浸および硬化することにより、振動板部分およびエッジ部分が同時に成形される。
(実施形態2)
次に、本発明の別の実施形態として、平面型振動板部分とエッジ部分とを有するスピーカー用部材について説明する。以下、図3A〜図3Dを参照して平面型スピーカー用部材に特徴的な部分についてのみ説明する。
図3は、本発明の好ましい実施態様による平面型スピーカー用部材を説明するための図であり、図3Aはその平面図である。図3Bは、図3Aのスピーカー用部材のB−B線による断面図である。図3Cは、図3Bにおいて楕円で囲んだ部分の拡大図である。図3Dは、図3Aのスピーカー用部材のC−C線による断面図である。平面型スピーカー用部材10は、平面型振動板部分11とエッジ部分12とを有する。好ましくは、平面型振動板部分11は補強用部分13を有する。補強用部分13は、平面型振動板部分11の強度を保持するために設けられている。補強用部分13は、平面型振動板部分11と同一の材料から形成される。補強用部分13は、任意の適切な形状を有し、平面型振動板部分11の任意の適切な部位に形成される。図3Dに示すように、補強用部分13は、代表的には、平面型振動板部分11の外周部に設けられている。より詳細には、補強用部分13は、平面型振動板部分11の外周部を折り曲げて形成される。振動板部分11とその補強用部分13の端部から延びるようにしてエッジ部分12が形成される。
本実施形態のスピーカー用部材もまた、実施形態1と同様の方法で製造され得る。当該方法において、平面型振動板部分とエッジ部分とを一体化させた形状の金型を使用すれば、本実施形態のスピーカー用部材が得られる。さらに、平面型振動板部分が補強用部分を有する場合には、補強用部分を有する平面型振動板部分とエッジ部分とを一体化させた形状の金型を使用すればよい。
以下、本発明の作用について説明する。
本発明によれば、振動板部分とエッジ部分に同一の基材を用いるので、従来のように振動板とエッジとを接着する必要がない。従って、接着部分の耐久性および耐水性が不十分であるという従来技術の欠点が解消される。実際、本発明のスピーカー用部材は、優れた耐久性および耐水性が要求される車載用スピーカーとして実用化されるに十分な耐久性および耐水性を有する。さらに、本発明によれば、振動板部分にのみ所定の熱硬化性樹脂を選択的に含浸させているので、相反する特性が要求される振動板部分およびエッジ部分の両方において、満足し得る特性が得られる。すなわち、本発明のスピーカー用部材の振動板部分は優れた強度を有し、エッジ部分は優れた柔軟性および内部損失を有する。加えて、本発明のスピーカー用部材は熱硬化性樹脂を用いるので、耐熱性にも優れる。
基材は織布であっても不織布であってもよい。1つの好ましい実施態様においては、基材は、エラストマー不織布からなる。別の好ましい実施態様においては、基材は弾性織布からなる。これらの基材はいずれも熱硬化性樹脂が容易に含浸し得るので、優れた弾性率を有するスピーカー用部材が得られ得る。さらに、これらの基材はその内部に多くの空隙(空気部分)を含むので、目付当たりの厚みが大きくなる。その結果、優れた剛性(すなわち、振動板を支持する能力)を有するエッジ部分が得られる。加えて、これらの基材を用いる場合には、材料自体が優れた弾性率および内部損失を有することに起因して、優れた弾性率および内部損失を有するスピーカー用部材が得られる。
さらに別の好ましい実施態様においては、上記基材は、不織布層と該不織布層の間に配置された樹脂フィルム層とを有する積層体である。このような積層体を用いると、成形時に樹脂フィルム層が溶融および固化するのでエッジ部分の成形が容易になり、しかも、得られたスピーカー用部材のエッジ部分は固化した樹脂フィルムを含むので、エッジ部分の通気がきわめて良好に防止される。
さらに別の実施態様によれば、上記不織布基材は、2つの第1の不織布層と該不織布層との間に配置された第2の不織布層(例えば、エラストマー不織布層)とを有する積層体である。第2の不織布層を有する積層体を用いることにより、不織布の一方の側から熱硬化性樹脂を塗布するだけで、振動板部分全体に熱硬化性樹脂を良好に含浸させることができるので、振動板の弾性率をさらに向上させることができる。しかも、エッジ部分の通気は、良好に防止された状態が維持される。
さらに別の実施態様によれば、上記不織布基材は、不織布層と該不織布層の間に配置された弾性織布層とを有する積層体である。弾性織布層を用いることにより、振動板部分の弾性率を維持しつつ、エッジ部分の内部損失を向上することができる。しかも、エッジ部分の通気は、良好に防止された状態が維持される。これらの基材は、目的に応じて適宜選択して用いられ得る。
好ましい実施態様においては、振動板部分に含有される熱硬化性樹脂とは異なる熱硬化性樹脂がエッジ部分に含浸される。エッジ部分に熱硬化性樹脂を含浸させることにより、エッジ部分の耐熱性が格段に優れたものとなる。さらに、例えばポリエーテルウレア系エラストマーのように非常に柔軟な熱硬化性樹脂を用いることにより、得られるエッジ部分の耐熱性を向上させるだけでなく、振幅を大きくすることも可能となる。その結果、フルレンジ用として十分な性能を有するスピーカー用部材が得られる。
さらに、本発明によれば、平面型スピーカー用部材が得られる。このような平面型スピーカー用部材は、平面型振動板部分とエッジ部分とに同じ不織布基材を用い、平面型振動板部分にのみ選択的に熱硬化性樹脂を含浸させているので、平面型振動板部分は優れた強度を有し、エッジ部分は優れた内部損失を有する。好ましい実施態様においては、上記平面型スピーカー用部材は、少なくとも2つの不織布層と、不織布層の間に設けられた樹脂フィルム層、エラストマー不織布層または弾性織布層とを有する。その結果、平面型振動板部分は、さらに優れた強度と高い内部損失とを併有する。従って、スチロール系発泡材を用いた従来の平面型振動板が有している、薄型化すると強度を維持できないという欠点を解消することができ、きわめて優れた薄型化を達成することができる。実際、本発明の平面型スピーカー用部材は、厚み0.2mm程度に薄型化する場合であっても、振動に耐えることができる。さらに、本発明の平面型スピーカー用部材は高い内部損失を有する。その結果、スチロール系発泡材またはアルミハニカムを用いた従来の平面型振動板において問題となっている分割振動がきわめて良好に防止され、ピークディップを低減することができる。すなわち、従来の平面型スピーカーで発生する固有の癖のある音を防止することができる。さらに、本発明の平面型スピーカー用部材は、平面型振動板部分とエッジ部分とが一体的に形成されているので、接着部分の耐久性が不十分であるという問題点も解消されている。
好ましくは、平面型振動板部分は補強用部分を有する。補強用部分は、平面型振動板部分の強度を保持するために備えられている。平面型振動板部分に補強用部分を設けることにより、さらに強度が向上し、分割振動およびピークディップをさらに低減することができる。
さらに、本発明の製造法方によれば、振動板部分およびエッジ部分を同一の基材から形成するので、材料ロスおよび製造工程数が顕著に減少する。その結果、本発明の製造方法は、低コストで、しかも製造効率に優れる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例には限定されない。なお、特に示さない限り、実施例中の部およびパーセントは重量基準である。
A.不織布/樹脂フィルム/不織布の積層体の基材で一体成型されたスピーカー用部材
(実施例1)
下記の組成を有する不飽和ポリエステル溶液を調製した:
不飽和ポリエステル樹脂(日本触媒(株)製;N350L):100(部)
マイカ(クラレ(株)製;CLARITE MICA 600W) : 30
低収縮化剤(日本油脂(株);モディパーS501) : 5
パーオクタO(日本油脂(株)) : 3
一方、パラ型アラミド繊維(帝人(株)製、テクノーラ;繊維長38mm)の短繊維を乾式法により空気流でランダムに配向させて集積層を作成した後、さらに水流絡合法により繊維同士を機械的に絡ませて秤量35g/mの不織布を作成した。得られた不織布を2枚用いて、不織布と不織布との間にポリウレタン系エラストマーフィルム(武田バーディシュウレタン工業(株)製、エラストラン・NYタイプ;厚み0.05mm)を配置した積層体を作成した。
この積層体の中央部(すなわち、振動板となるべき部分)に、上記不飽和ポリエステル溶液を約125〜150g/mの密度で選択的に塗布し、振動板部分とエッジ部分とを一体化させた形状のマッチドダイ(金型)を用いて130℃で1分間熱プレス成形して、振動板部分の口径が16cm、厚さが0.25mmであるコーン型スピーカー用部材を得た。
得られたスピーカー用部材の振動板部分について、通常の方法で、ヤング率、密度、および比弾性率を測定し、エッジ部分について、通常の方法で、ヤング率、密度、および内部損失を測定した。測定結果を、後述の実施例2〜8および比較例1〜3の結果と併せて下記表1に示す。
Figure 2004328795
(実施例2)
レーヨン繊維(繊維長38mm)の短繊維から実施例1と同様にして不織布を作成した。得られた不織布と実施例1で得られた不織布との間にウレタン系エラストマーフィルムを配置した積層体を作成したこと以外は、実施例1と同様にしてスピーカー用部材を得た。得られたスピーカー用部材を実施例1と同様の評価に供した。結果を上記表1に示す。
(実施例3)
コットン繊維(繊維長38mm)の短繊維から実施例1と同様にして不織布を作成した。得られた不織布と実施例1で得られた不織布との間にウレタン系エラストマーフィルムを配置した積層体を作成したこと以外は、実施例1と同様にしてスピーカー用部材を得た。得られたスピーカー用部材を実施例1と同様の評価に供した。結果を上記表1に示す。
(実施例4)
メタ型アラミド繊維(帝人(株)製、コーネックス;繊維長38mm)の短繊維から実施例1と同様にして不織布を作成した。得られた不織布を2枚用いて、不織布と不織布との間にウレタン系エラストマーフィルムを配置した積層体を作成したこと以外は、実施例1と同様にしてスピーカー用部材を得た。得られたスピーカー用部材を実施例1と同様の評価に供した。結果を上記表1に示す。
(実施例5)
ウレタン系エラストマーフィルムの代わりにオレフィン系エラストマーフィルム(三井化学(株)製、ミラストマー5030N;厚み0.05mm)を用いたこと以外は、実施例1と同様にしてスピーカー用部材を得た。得られたスピーカー用部材を実施例1と同様の評価に供した。結果を上記表1に示す。
(実施例6)
ウレタン系エラストマーフィルムの代わりにスチレン系エラストマーフィルム(クラレ(株)製、ハイブラー5127;厚み0.05mm)を用いたこと以外は、実施例1と同様にしてスピーカー用部材を得た。得られたスピーカー用部材を実施例1と同様の評価に供した。結果を上記表1に示す。
(実施例7)
ウレタン系エラストマーフィルムの代わりにアミド系エラストマーフィルム(ダイセル・ヒュルス(株)製、ダイアミドPAE・E47-S1;厚み0.05mm)を用いたこと以外は、実施例1と同様にしてスピーカー用部材を得た。得られたスピーカー用部材を実施例1と同様の評価に供した。結果を上記表1に示す。
(実施例8)
ウレタン系エラストマーフィルムの代わりにポリエステル系エラストマーフィルム(東レ・デュポン(株)製、ハイトレル4057;厚み0.05mm)を用いたこと以外は、実施例1と同様にしてスピーカー用部材を得た。得られたスピーカー用部材を実施例1と同様の評価に供した。結果を上記表1に示す。
(比較例1)
パルプ懸濁液から定法により、コーンとその外周にロール形状エッジとを抄き網で抄造し、熱プレス成形した。次いで、エッジ部分にアクリル系樹脂を塗布し、そして乾燥することにより、口径16cm、厚さ0.85mmのエッジ一体型パルプコーン振動板を得た。得られた振動板を実施例1と同様の評価に供した。結果を上記表1に示す。
(比較例2)
射出成形の2色成形により、振動板部分をポリプロピレン樹脂(マイカを30重量%含有する)で成形し、その外周にオレフィン系エラストマーをエッジ形状に成形することにより、口径16cm、厚さ0.28mmのポリプロピレンコーン/オレフィンエラストマーエッジの一体型振動板を得た。得られた振動板を実施例1と同様の評価に供した。結果を上記表1に示す。
(比較例3)
厚み50μmのチタン箔を、ドーム型振動板部分とその外周にロール型エッジ部分とが一体となったマッチドダイ金型で熱プレス成形することにより、口径25mmのロールエッジ一体型ドーム振動板を得た。得られた振動板を実施例1と同様の評価に供した。結果を上記表1に示す。
B.一体成型基材のエッジ部分に光硬化性樹脂が含浸されたスピーカー用部材
(実施例9)
実施例1と同様の不飽和ポリエステル溶液を調製した。一方、パラ型アラミド繊維(帝人(株)製、テクノーラ;繊維長38mm)の短繊維を乾式法により空気流でランダムに配向させて集積層を作成した後、さらに水流絡合法により繊維同士を機械的に絡ませて秤量35g/mの不織布を作成した。
得られた不織布の中央部(すなわち、振動板となるべき部分)に、上記不飽和ポリエステル溶液を約125〜150g/mの密度で選択的に塗布し、振動板部分とエッジ部分とを一体化させた形状のマッチドダイ金型を用いて130℃で1分間熱プレス成形して、振動板部分を硬化させると同時にエッジ部分を予備成形した。
次に、予備成形されたエッジ部分に紫外線硬化型樹脂を約90〜110g/mの密度で塗布した後、紫外線ランプを用いて、紫外線を750mW/cmの照射密度で30秒間照射して該紫外線硬化型樹脂を硬化させることにより、振動板部分の口径が16cm、厚さが0.23mmであるコーン型スピーカー用部材を得た。
得られたスピーカーの振動板部分について、通常の方法で、ヤング率、密度、および比弾性率を測定し、エッジ部分について、通常の方法で、ヤング率、密度、および内部損失を測定した。測定結果を、後述の実施例10〜12の結果と併せて下記表2に示す。
Figure 2004328795
(実施例10)
パラ型アラミド繊維の代わりにレーヨン繊維(繊維長38mm)を用いたこと以外は実施例9と同様にしてスピーカー用部材を得た。得られたスピーカー用部材を実施例9と同様の評価に供した。結果を上記表2に示す。
(実施例11)
パラ型アラミド繊維の代わりにコットン繊維(繊維長38mm)を用いたこと以外は実施例9と同様にしてスピーカー用部材を得た。得られたスピーカー用部材を実施例9と同様の評価に供した。結果を上記表2に示す。
(実施例12)
パラ型アラミド繊維の代わりにメタ型アラミド繊維(帝人(株)製、コーネックス;繊維長38mm)を用いたこと以外は実施例9と同様にしてスピーカー用部材を得た。得られたスピーカー用部材を実施例9と同様の評価に供した。結果を上記表2に示す。
C.不織布を基材として一体成形されたスピーカー用部材
(実施例13)
実施例1で用いた積層体の代わりにウレタン系エラストマー不織布(鐘紡合繊(株)製、エスパンシオーネ;目付200g/m)を用いたこと以外は実施例1と同様にしてスピーカー用部材を得た。このスピーカー用部材の振動板部分は口径16cm、厚さ0.23mmのコーン形状であり、その樹脂含有量は約55%であり、エッジ部分は幅13mm、厚さ0.50mmのロール形状であった。得られたスピーカー用部材を実施例1と同様の評価に供した。結果を後述の実施例14〜18の結果と併せて下記表3に示す。
Figure 2004328795
(実施例14)
不飽和ポリエステル溶液にパラ型アラミド短繊維(帝人(株)製、テクノーラ;繊維長6.0mm)20部をさらに含有させたこと以外は実施例13と同様にしてスピーカー用部材を得た。得られたスピーカー用部材の振動板部分の樹脂含有量は約50%であった。得られたスピーカー用部材を実施例1と同様の評価に供した。結果を上記表3に示す。
(実施例15)
不飽和ポリエステル溶液にポリアリレート系短繊維(クラレ(株)製、ベクトラン;繊維長6.0mm)20部をさらに含有させたこと以外は実施例13と同様にしてスピーカー用部材を得た。得られたスピーカー用部材の振動板部分の樹脂含有量は約50%であった。得られたスピーカー用部材を実施例1と同様の評価に供した。結果を上記表3に示す。
(実施例16)
不飽和ポリエステル溶液にポリパラフェニレンベンズビスオキサゾール(PBO)短繊維(東洋紡績(株)製、ザイロン;繊維長6.0mm)20部をさらに含有させたこと以外は実施例13と同様にしてスピーカー用部材を得た。得られたスピーカー用部材の振動板部分の樹脂含有量は約50%であった。得られたスピーカー用部材を実施例1と同様の評価に供した。結果を上記表3に示す。
(実施例17)
不飽和ポリエステル溶液に炭素繊維短繊維(東レ(株)製、トレカ;繊維長6.0mm)20部をさらに含有させたこと以外は実施例13と同様にしてスピーカー用部材を得た。得られたスピーカー用部材の振動板部分の樹脂含有量は約50%であった。得られたスピーカー用部材を実施例1と同様の評価に供した。結果を上記表3に示す。
(実施例18)
不飽和ポリエステル溶液に超高強力ポリエチレン短繊維(東洋紡績(株)製、ダイニーマ;繊維長6.0mm)20部をさらに含有させたこと以外は実施例13と同様にしてスピーカー用部材を得た。得られたスピーカー用部材の振動板部分の樹脂含有量は約50%であった。得られたスピーカー用部材を実施例1と同様の評価に供した。結果を上記表3に示す。
D.弾性織布を基材として一体成形されたスピーカー用部材
(実施例19)
実施例1で用いた積層体の代わりに飽和ポリエステル繊維からなる弾性織布(Shell Chemical(株)製、Corterra;目付200g/m)を用いたこと以外は実施例1と同様にしてスピーカー用部材を得た。このスピーカー用部材の振動板部分は口径16cm、厚さ0.23mmのコーン形状であり、その樹脂含有量は約55%であり、エッジ部分は幅13mm、厚さ0.50mmのロール形状であった。得られたスピーカー用部材を実施例1と同様の評価に供した。結果を後述の実施例20〜25の結果と併せて下記表4に示す。
Figure 2004328795
(実施例20)
実施例19とは異なる飽和ポリエステル弾性織布(東レ(株)製、テトロン;目付200g/m)を用いたこと以外は実施例19と同様にしてスピーカー用部材を得た。得られたスピーカー用部材の振動板部分の樹脂含有量は約50%であった。得られたスピーカー用部材を実施例1と同様の評価に供した。結果を上記表4に示す。
(実施例21)
不飽和ポリエステル溶液にパラ型アラミド短繊維(帝人(株)製、テクノーラ;繊維長6.0mm)20部をさらに含有させたこと以外は実施例19と同様にしてスピーカー用部材を得た。得られたスピーカー用部材の振動板部分の樹脂含有量は約50%であった。得られたスピーカー用部材を実施例1と同様の評価に供した。結果を上記表4に示す。
(実施例22)
不飽和ポリエステル溶液にポリアリレート系短繊維(クラレ(株)製、ベクトラン;繊維長6.0mm)20部をさらに含有させたこと以外は実施例19と同様にしてスピーカー用部材を得た。得られたスピーカー用部材の振動板部分の樹脂含有量は約50%であった。得られたスピーカー用部材を実施例1と同様の評価に供した。結果を上記表4に示す。
(実施例23)
不飽和ポリエステル溶液にポリパラフェニレンベンズビスオキサゾール(PBO)短繊維(東洋紡績(株)製、ザイロン;繊維長6.0mm)20部をさらに含有させたこと以外は実施例19と同様にしてスピーカー用部材を得た。得られたスピーカー用部材の振動板部分の樹脂含有量は約50%であった。得られたスピーカー用部材を実施例1と同様の評価に供した。結果を上記表4に示す。
(実施例24)
不飽和ポリエステル溶液に炭素繊維短繊維(東レ(株)製、トレカ;繊維長6.0mm)20部をさらに含有させたこと以外は実施例19と同様にしてスピーカー用部材を得た。得られたスピーカー用部材の振動板部分の樹脂含有量は約50%であった。得られたスピーカー用部材を実施例1と同様の評価に供した。結果を上記表4に示す。
(実施例25)
不飽和ポリエステル溶液に超高強力ポリエチレン短繊維(東洋紡績(株)製、ダイニーマ;繊維長6.0mm)20部をさらに含有させたこと以外は実施例19と同様にしてスピーカー用部材を得た。得られたスピーカー用部材の振動板部分の樹脂含有量は約50%であった。得られたスピーカー用部材を実施例1と同様の評価に供した。結果を上記表4に示す。
E.同一基材で一体成形され、振動板とエッジ部分が異なる熱硬化性樹脂で含浸されたスピーカー用部材
(実施例26)
実施例1と同様にして不飽和ポリエステル溶液を調製した。さらに、下記の組成を有するポリエーテルウレア・エラストマー溶液を調製した:
ポリエーテルウレア・エラストマー A液
(イハラケミカル工業(株)製:SX-027/A) :100(部)
ポリエーテルウレア・エラストマー B液
(イハラケミカル工業(株)製:SX-027/B) : 60.9
一方、パラ型アラミド繊維(帝人(株)製、テクノーラ;繊維長38mm)の短繊維を乾式法により空気流でランダムに配向させて集積層を作成した後、さらに水流絡合法により繊維同士を機械的に絡ませて秤量60g/mの不織布を作成し、基材とした。
この基材の中央部(すなわち、振動板となるべき部分)に、上記不飽和ポリエステル溶液を約125〜150g/mの密度で選択的に塗布し、さらに、周縁部分(すなわち、エッジとなるべき部分)に上記ポリエーテルウレア・エラストマー溶液を約60〜120g/mの密度で塗布した。振動板部分とエッジ部分とを一体化させた形状のマッチドダイ金型を用いて130℃で3分間熱プレス成形し、さらに100℃で30分間硬化させてコーン型スピーカー用部材を得た。このコーン型スピーカー用部材の振動板部分は口径16cm、厚さ0.23mm、樹脂含有量約55%であり、エッジ部分は幅13mm、厚さ0.50mmのロール形状であった。得られたスピーカー用部材を実施例1と同様の評価に供した。結果を後述の実施例27〜30の結果と併せて下記表5に示す。
Figure 2004328795
(実施例27)
メタ型アラミド繊維(帝人(株)製、コーネックス;繊維長38mm)を用いて基材を作成したこと以外は実施例26と同様にしてスピーカー用部材を得た。得られたスピーカー用部材を実施例1と同様の評価に供した。結果を上記表5に示す。
(実施例28)
レーヨン繊維不織布(日本バイリーン(株)製、XL-6040;繊維長38mm、目付40g/cm)を基材としたこと以外は実施例26と同様にしてスピーカー用部材を得た。得られたスピーカー用部材を実施例1と同様の評価に供した。結果を上記表5に示す。
(実施例29)
コットン繊維不織布(日清紡績(株)製、オイコス/AP1040;繊維長38mm)を基材としたこと以外は実施例26と同様にしてスピーカー用部材を得た。得られたスピーカー用部材を実施例1と同様の評価に供した。結果を上記表5に示す。
(実施例30)
絹の短繊維(繊維長58mm)を弱アルカリ性熱水で煮沸することにより、セリシン含有量が1%未満となるまで精錬した。この絹糸から不織布を作製し、基材とした。以下の手順は実施例26と同様にしてスピーカー用部材を得た。得られたスピーカー用部材を実施例1と同様の評価に供した。結果を上記表5に示す。
F.不織布/エラストマー不織布/不織布からなる基材で一体成形されたスピーカー用部材
(実施例31)
実施例1と同様の不飽和ポリエステル溶液を調製した。一方、パラ型アラミド繊維(帝人(株)製、テクノ−ラ;繊維長38mm)の短繊維を乾式法により空気流でランダムに配向させて集積層を作成した後、さらに水流絡合法により繊維同士を機械的に絡ませて秤量35g/mの不織布を作成した。得られた不織布を2枚用いて、それらの間にウレタン系エラストマー不織布(鐘紡(株)、エスパンシオーネ・ES25A;目付25g/m)を配置した積層体を作成した。
この積層体の中央部(すなわち、振動板となるべき部分)に上記不飽和ポリエステル溶液を約125〜150g/mの密度で選択的に塗布し、振動板部分とエッジ部分とを一体化した形状のマッチドダイ金型を用いて130℃で一分間熱プレス成形して口径が16cm、厚さが0.23mmであるコーン型スピーカー用部材を得た。
得られたスピーカー用部材について、通常の方法で振動板部分のヤング率、密度および比弾性率を測定し、さらに通常の方法でエッジ部分のヤング率、密度、および内部損失を測定した。実験結果を、後述の実施例32〜34の結果と併せて下記表6に示す。
Figure 2004328795
(実施例32)
レーヨン繊維(繊維長38mm)の短繊維から実施例31と同様にして、不織布を作成した。得られた不織布と実施例31で得られたパラ型アラミド不織布との間に実施例31と同様のウレタン系エラストマー不織布を配置した積層体を作成した。以下の手順は実施例31と同様にして、スピーカー用部材を得た。得られたスピーカー用部材を実施例31と同様の評価に供した。結果を上記表6に示す。
(実施例33)
コットン繊維(繊維長38mm)の短繊維から実施例31と同様にして不織布を作成した。得られた不織布と実施例31で得られたパラ型アラミド不織布との間に実施例31と同様のウレタン系エラストマー不織布を配置した積層体を作成した。以下の手順は実施例31と同様にして、スピーカー用部材を得た。得られたスピーカー用部材を実施例31と同様の評価に供した。結果を上記表6に示す。
(実施例34)
メタ型アラミド繊維(帝人(株)製、コーネックス;繊維長38mm)の短繊維から実施例31と同様にして不織布を作成した。得られた不織布を2枚用いて、それらの間に実施例31と同様のウレタン系エラストマー不織布を配置した積層体を作成したこと以外は実施例31と同様にして、スピーカー用部材を得た。得られたスピーカー用部材を実施例31と同様の評価に供した。結果を上記表6に示す。
G.不織布/弾性織布/不織布の基材で一体成形されたスピーカー用部材
(実施例35)
実施例1と同様の不飽和ポリエステル溶液を調製した。一方パラ型アラミド繊維(帝人(株)製、テクノ−ラ;繊維長38mm)の短繊維を乾式法により空気流でランダムに配向させて集積層を作成した後、さらに水流絡合法により繊維同士を機械的に絡ませて秤量35g/mの不織布を作成した。得られた不織布を2枚用いて、それらの間に飽和ポリエステル繊維(Shell Chemi(株)製Cortterra)の弾性織布(目付25g/m)を配置した積層体を作成した。
この積層体の中央部(すなわち、振動板となるべき部分)に上記不飽和ポリエステル溶液を125〜150g/mの密度で選択的に塗布し、振動板部分とエッジ部分を一体化した形状のマッチドダイ金型を用いて130℃で1分間熱プレス成形して、口径16cm、厚さ0.20mmであるコーン型スピーカー用部材を得た。
得られたスピーカー用の振動板部分について、通常の方法で、ヤング率、密度、および比弾性率を測定し、エッジ部分について、通常の方法で、ヤング率、密度、および内部損失した。測定結果を、後述の実施例36〜38の結果と併せて下記表7に示す。
Figure 2004328795
(実施例36)
レーヨン繊維(繊維長38mm)の短繊維から実施例35と同様にして、不織布を作成した。得られた不織布と実施例35で得られた不織布との間に実施例35と同様の飽和ポリエステル繊維の弾性織布を配置した積層体を作成した。以下の手順は実施例35と同様にして、スピーカー用部材を得た。得られたスピーカー用部材を実施例35と同様の評価に供した。測定結果を上記表7に示す。
(実施例37)
コットン繊維(繊維長38mm)の短繊維から実施例35と同様にして、不織布を作成した。得られた不織布と実施例35で得られた不織布との間に実施例35と同様の飽和ポリエステル繊維の弾性織布を配置した積層体を作成した。以下の手順は実施例35と同様にして、スピーカー用部材を得た。得られたスピーカー用部材を実施例35と同様の評価に供した。測定結果を上記表7に示す。
(実施例38)
メタ型アラミド繊維(帝人(株)製、コーネックス;繊維長38mm)の短繊維から実施例35と同様にして、不織布を作成した。得られた不織布を2枚用いて、それらの間に実施例35と同様の飽和ポリエステル繊維の弾性織布を配置した積層体を作成した。以下の手順は実施例35と同様にして、スピーカー用部材を得た。得られたスピーカー用部材を実施例35と同様の評価に供した。測定結果を上記表7に示す。
H.同一基材で一体成形された平面型振動板部分とエッジ部分とを有する平面型スピーカー用部材
(実施例39)
下記の組成を有する不飽和ポリエステル溶液を調整した:
不飽和ポリエステル樹脂(日本触媒(株)製;N350L):100(部)
グラファイト(日本黒鉛(株)製;CSPE) : 20
低収縮化剤(日本油脂(株)製;モディパーS501) : 5
パーオクタO(日本油脂(株)製) : 3
一方、パラ型アラミド繊維(帝人(株)製、テクノーラ;繊維長38mm)の短繊維を乾式法により空気流でランダムに配向させて集積層を作成した後、さらに水流絡合法により繊維同士を機械的に絡ませて坪量60g/mの不織布を作成した。得られた不織布を2枚用いて、不織布と不織布との間にポリウレタン系エラストマーフィルム(武田バーディシュウレタン工業(株)製、エラストラン・NYタイプ、厚み:0.07mm)を配置した積層体を作成した。
この積層体の中央部(すなわち、振動板となるべき部分)に、上記不飽和ポリエステル溶液(塗布量:2.22〜2.49g)を選択的に塗布し、補強用部分を有する平面型振動板部分とエッジ部分とを一体化させた形状のマッチドダイ金型を用いて130℃で1分間熱プレス成形して、振動板部分の大きさが62mm×100mm、厚みが0.2mmである、平面型振動板部分とエッジ部分とを有するスピーカー用部材を得た。得られたスピーカー用部材について、通常の方法で、周波数−音圧特性を測定した。測定結果を図4に示す。図4において、横軸は周波数(Hz)を対数で示し、縦軸は音圧(dB)を示す。
(比較例4)
発泡系材料(変性PPO(ポリフェニレンオキサイド))からなる振動板(大きさ:62mm×100mm、厚み:3mm)とポリウレタン系エラストマー(厚み:0.07mm)からなるエッジとを貼り合わせることにより、平面型振動板部分とエッジ部分とを有するスピーカー用部材を作成した。得られたスピーカー用部材について、実施例39と同様の評価に供した。測定結果を図5に示す。
実施例39および比較例4から明らかなように、本発明の平面型スピーカー用部材の製造方法は、平面型振動板部分とエッジ部分とを同じ材料(不織布基材)を用いて形成するので、低コストで、かつ、材料効率に優れる。さらに、実施例39の平面型振動板は比較例4の平面型振動板と比べて強度が高いので、きわめて薄型化することができる(比較例4の振動板の厚みが3mmであるのに対し実施例39の振動板の厚みは0.2mmであり、10分の1より小さい薄型化が達成されている)。さらに、図4および図5から明らかなように、実施例39の平面型スピーカー用部材(図4)は、比較例の平面型スピーカー(図5)に比べて、中高域においてピークディップが格段に低減されている。
上記実施例1〜39の記載から明らかなように、本発明のスピーカー用部材の製造方法は、振動板部分とエッジ部分とを同じ材料(積層体基材あるいは織布または不織布基材)を用いて形成するので、材料ロスが少なくかつ製造工程数を削減することができる。従って、低コストで、かつ、製造効率に優れる。
さらに、表1〜表7から明らかなように、本発明のスピーカー用部材は、振動板部分とエッジ部分に同一の材料を用いて形成しているにもかかわらず、振動板部分は強度に優れ、エッジ部分は柔軟で内部損失に優れている。このように、本発明によれば、相反する特性が要求される振動板とエッジとを同一材料を用いて形成することが可能となり、長く解決されなかった課題を解決することができる。
本発明のスピーカ振動板は、任意のスピーカー(例えば、低音用、中音用、高音用のスピーカ)に適用可能であり、全帯域(フルレンジ)スピーカーとして使用可能である。
本発明の好ましい実施態様によるスピーカー用部材の製造方法を説明するための模式図である。 本発明の別の実施態様によるスピーカー用部材の製造方法を説明するための模式図である。 本発明の好ましい実施態様による平面型スピーカー用部材を説明するための図である。図3Aはその平面図である。図3Bは、図3Aのスピーカー用部材のB−B線による断面図である。図3Cは、図3Bにおいて楕円で囲んだ部分の拡大図である。図3Dは、図3Aのスピーカー用部材のC−C線による断面図である。 本発明の好ましい実施態様による平面型スピーカー用部材について、周波数と音圧との関係を示すグラフである。 従来の平面型スピーカーについて、周波数と音圧との関係を示すグラフである。

Claims (16)

  1. 基材と該基材に含浸された熱硬化性樹脂とを含む振動板部分と、該振動板部分と同一の基材を含むエッジ部分とを有するスピーカー用部材であって、
    該基材が、熱可塑性エラストマー繊維、パラ型アラミド繊維、メタ型アラミド繊維、またはポリアリレート系繊維からなる不織布でなる、
    スピーカ用部材。
  2. 前記熱可塑性エラストマー繊維が、ポリウレタン系エラストマー繊維、ポリアミド系エラストマー繊維、ポリスチレン系エラストマー繊維、ポリエステル系エラストマー繊維およびエチレン/酢酸ビニル系エラストマー繊維から選択される、請求項1に記載のスピーカー用部材。
  3. 基材と該基材に含浸された熱硬化性樹脂とを含む振動板部分と、該振動板部分と同一の基材を含むエッジ部分とを有する、スピーカー用部材であって、
    該基材が飽和ポリエステル繊維からなる弾性織布である、
    スピーカー用部材。
  4. 前記飽和ポリエステル繊維が、ポリ(トリメチレンテレフタレート)繊維である、請求項3に記載のスピーカー用部材。
  5. 前記熱硬化性樹脂が不飽和ポリエステル樹脂である、請求項1から4のいずれかに記載のスピーカー用部材。
  6. 前記熱硬化性樹脂が、天然繊維、再生繊維または合成繊維の短繊維、あるいはこれらの混合物をさらに含有する、請求項1から5のいずれかに記載のスピーカー用部材。
  7. 前記エッジ部分が、前記基材に含浸された光硬化性樹脂を含む、請求項1から6のいずれかに記載のスピーカー用部材。
  8. 前記光硬化性樹脂がアクリル系樹脂である、請求項7に記載のスピーカー用部材。
  9. 前記エッジ部分が、前記振動板部分に含浸された熱硬化性樹脂とは異なる熱硬化性樹脂を含む、請求項1から8のいずれかに記載のスピーカー用部材。
  10. 前記エッジ部分に含まれる熱硬化性樹脂が、天然繊維または合成繊維の短繊維、あるいはこれらの混合物をさらに含有する、請求項9に記載のスピーカー用部材。
  11. 前記エッジ部分に含まれる熱硬化性樹脂が、熱硬化性ポリエーテルウレア系エラストマーである、請求項9または10に記載のスピーカー用部材。
  12. 前記振動板部分がコーン型である、請求項1から11のいずれかに記載のスピーカー用部材。
  13. 前記振動板部分が平面型である、請求項1から11のいずれかに記載のスピーカー用部材。
  14. 前記振動板部分が補強用部分を有する、請求項13に記載のスピーカー用部材。
  15. 基材を形成する工程と、
    該基材の振動板部分となるべき部位に熱硬化性樹脂を含浸する工程と、
    該含浸した熱硬化性樹脂を硬化させて振動板部分を形成すると同時にエッジ部分を形成する工程とを含み、
    該基材が、熱可塑性樹脂エラストマー繊維、パラ型アラミド繊維、メタ型アラミド繊維、またはポリアリレート系繊維からなる不織布でなる、
    スピーカー用部材の製造方法。
  16. 基材を形成する工程と、
    該基材の振動板部分となるべき部位に熱硬化性樹脂を含浸する工程と、
    該含浸した熱硬化性樹脂を硬化させて振動板部分を形成すると同時にエッジ部分を形成する工程とを含み、
    該基材が、飽和ポリエステル繊維からなる弾性織布でなる、
    スピーカー用部材の製造方法。
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