JP2004327818A - 固体撮像素子の反り量の測定方法、及び反り量の測定方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】微細な凹凸が形成された受光面を有する固体撮像素子の反り量を、迅速に精度良く測定する方法を提供する。
【解決手段】AFアクティブ方式やその他の方法を用いて、まず、オンチップレンズを備えていないエリア10の領域の測定点を測定し、これから仮想基準面Aを定める(b)。(b)に示すように、仮想基準面Aは傾いていることがある。次に、この仮想基準面Aを基準にして、AFエリアコントラスト方式のスキャン範囲を決め、その範囲でオンチップレンズを備えたエリア9内の測定点を測定する(c)。よって、AFエリアコントラスト方式のスキャン範囲を短くすることにより、測定時間を短くでき、かつ、AFエリアコントラスト方式を使用しているので、オンチップレンズによる凹凸がある場合でも、正確な距離測定が可能となる。
【選択図】 図3
【解決手段】AFアクティブ方式やその他の方法を用いて、まず、オンチップレンズを備えていないエリア10の領域の測定点を測定し、これから仮想基準面Aを定める(b)。(b)に示すように、仮想基準面Aは傾いていることがある。次に、この仮想基準面Aを基準にして、AFエリアコントラスト方式のスキャン範囲を決め、その範囲でオンチップレンズを備えたエリア9内の測定点を測定する(c)。よって、AFエリアコントラスト方式のスキャン範囲を短くすることにより、測定時間を短くでき、かつ、AFエリアコントラスト方式を使用しているので、オンチップレンズによる凹凸がある場合でも、正確な距離測定が可能となる。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、固体撮像素子の反り量の測定方法、及び物体の反り量の測定方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
固体撮像素子は、ディジタルカメラ等に使用され、最近ではその高密度化と大型化が著しく進んでいる。このような高密度の固体撮像素子においては、素子に入射する光量を多くするために、光電変換素子の前面にオンチップレンズ(マイクロレンズアレイ)を有するのが普通である。このような固体撮像素子に反りがあると、撮像時にピントが合わない部分が出てきて、全画素に亘って良好な画像を得ることができなくなる。よって、特に大型の撮像素子においては、反り量を測定し、反り量が所定値以内のものを選定して出荷することが必要とされている。
【0003】
このような反り量の測定は、従来は抜き取り検査により行われ、かつ、人手により行われていたが、品質への要求が高まるにつれて、全数検査を行うことが必要となってきた。このため、最近では自動の反り検査装置が開発され、実際に使用されるようになってきている。
【0004】
物体の反り量は、X−Y−Z直交座標系において、物体上の点の位置を測定し、それから計算により求めることができる。一般には、物体をステージに載せ、X−Y方向にステージを駆動し、所定の点(Xn,Yn)(n=1〜N)について、ある基準点から物体までのZ軸方向の距離Znを測定することにより、N個の点の座標(Xn,Yn,Zn)を決定する。
【0005】
これらの点から、反り量を計算する方法として、これらの点のいくつかを利用して仮想基準平面を求め、この仮想基準平面からの各測定点の距離を求め、その距離の最大値と最小値の差を反り量とする方法が、特開平11−6726号公報(特許文献1)に記載され、データ処理方法については、MACHINIST 1990年10号のP.72−80(非特許文献1)に、「三次元測定機のデータ処理」として記載されている。
【0006】
固体撮像素子の反り量の測定も、この原理を応用した測定器により自動的に行うことができる。すなわち、固体撮像素子をX−Yステージに載せ、サンプリングされた複数の測定点までの、基準点からのZ軸方向距離を測定して、前記測定点の3次元位置を決定し、前述の方法により反り量を求めればよい。
【0007】
z軸方向の距離をμmオーダで、非接触状態で測定する方法としては、光学的手法による方法が好ましく、現在AFアクティブ方式と呼ばれている方式と、AFエリアコントラスト方式と呼ばれている方式が最もポピュラーである。図4にこれら、AFアクティブ方式、AFエリアコントラスト方式の両方を兼ね備えることができる距離測定装置の例を示す。
【0008】
顕微鏡対物レンズ21と結像レンズ22、照明装置24、ハーフミラー25等で構成される顕微鏡光学系に、コリメートレンズ32で平行光にされたレーザダイオード31で形成したレーザー光線を入射する。このレーザー光線は顕微鏡光軸23上に設けたダイクロイックミラー33で、対物レンズ21に導かれる。そして、対物レンズ21で、試料41上に、例えば直径2μmの点光源像を結像させる。その戻り光をダイクロイックミラー33でコリメートレンズ32に戻し、コリメートレンズ32を通った戻り光をさらにナイフエッジ付ミラー34で、コリメートレンズ32の焦点面37上でかつ戻り光の光軸36上に分割線のある2分割フォトダイオード38上に導く。
【0009】
このときに試料41から反射して戻る点光源からの光は図5に詳しく示すように、試料41が対物レンズの焦点面42にある場合には実線で示す光路45を通る。そして、2分割フォトダイオード38Aと38Bの中間に結像する。試料41の面が焦点より対物レンズ21に近い位置43にずれた場合には破線で示す光路46を通ってフォトダイオード38B側に結像する。また、反対に遠い位置44にずれた時には一点鎖線で示す光路47を通ってフォトダイオード38A側に結像する。
【0010】
従って、フォトダイオード38A及び38Bは試料41の合焦点の度合いに応じてそれぞれ光電流が発生する。アンプ39は、この合焦点度に応じて発生する光電流をZ軸制御部40に送る。Z軸制御部40はこの光電流に基づいて、光軸方向(Z方向)の位置決め制御信号を発生する。そして、試料41が合焦点位置に来るように対物レンズ21を顕微鏡の光軸方向に位置決めする。
【0011】
この合焦点位置決めの動作は、フォトダイオード38A及び38Bが常に戻り光から焦点ずれの方向とずれ量とを測定しているために非常に早く(例えば、数十m秒で)合焦させることができる。そして、合焦したときの対物レンズ21のZ軸方向位置から、試料41のZ軸方向位置を求めることができる。
【0012】
コンピュータ28は、X−Yステージ制御部30に測定点位置決め指令を出力し、X−Yステージ制御部30は、この指令に従ってX−Yステージ29を駆動する。そして、決定された(Xn,Yn)の点についてZ軸方向位置Znを求めれば、測定点の位置を定めることができる。この方法が代表的なAFアクティブ方式の測定法である。すなわち、AFアクティブ方式とは、光源から放出される光をナイフエッジやスリット等で部分的に遮光し、ナイフエッジ端面やスリット等の、試料上での像が、非測定対象物が合焦点のどちら側にあるかに従って、光軸に対して直角な方向ずれることを利用して、光学系又は測定対象物を光軸方向に移動させたり、光学系の特性を変化させたりして合焦させ、そのときの光学系又は測定対象物の移動量、光学系の特性から、被測定対象物の位置を測定する方法である。
【0013】
AFアクティブ方式は、ほとんどの場合、零位法を使用した測定方法であるので、測定レンジを大きくしても精度が落ちないという特徴、及び測定対象物が合焦位置のどちら側にあるかの判別ができるという特徴を有し、必要精度に比較して大きな測定レンジを必要とする場合に適した距離測定方法、オートフォーカス方法として知られ、カメラや光学顕微鏡のオートフォーカスに広く使用されている。
【0014】
一方、AFエリアコントラスト方式は、以下のようなものである。別の光源24からの光は、ハーフミラー25で反射され、ダイクロイックミラー33を透過して、対物レンズ21により集光され、試料41を照明する。その反射光は、再び対物レンズ21を通り、ダイクロイックミラー33を透過し、ハーフミラー25を透過して、撮像素子26で画像信号に変換されて画像処理装置27に入力される。すなわち、試料41の像が、撮像素子26上に結像する。
【0015】
画像処理装置27は、各画素が受けた受光量の空間分布から、例えば分散等を計算することによりコントラストを求める。もし、試料41が合焦位置にあると、撮像素子26で撮像される画像のコントラストが最大になり、従って計算された分散は大きくなる。試料41が合焦位置から離れるに従って、像のボケが発生するためコントラストが小さくなり、従って計算された分散は小さくなる。よって、対物レンズの位置を変えて、各々の位置で撮像を行い、その画像データの分散を計算して、分散が最大になる対物レンズの位置を求めることにより、試料41のZ軸方向位置を求めることができる。
【0016】
すなわち、AFエリアコントラスト方式とは、光学系又は測定対象物を光軸方向に多段階に移動させたり、光学系の特性を多段階に変化させたりして、撮像される像のコントラストを各々求め、そのコントラストが最大になる点を合焦位置と判定して、そのときの光学系又は測定対象物の移動量、光学系の特性から、測定対象物の位置を測定する方法である。なお、AFエリアコントラスト方式の例については、例えば特許第2971892号公報(特許文献2)に記載されている。
【0017】
この方法は、前述のAFアクティブ方式と違って、撮像光学系と別の光学系を必要としないという利点、測定対象物との間に、ガラス等、一様に光を反射するものがあってもその影響を受けないという利点を有するが、一方で、多数の光軸方向位置で相当数の画像を取得しなければ測定結果が得られないこと、1点の測定だけでは、測定対象物が合焦位置のどちら側にあるかが分からないこと等の不利な点を有している。
【0018】
【特許文献1】特開平11−6726号公報
【特許文献2】特許第2971892号公報
【非特許文献1】MACHINIST 1990年10号のP.72−80
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
以上述べたことから、固体撮像素子の反り量を測定する場合でも、測定速度を上げるためにはAFアクティブ方式を使用することが好ましいと考えられる。しかしながら、前述のように、最近の固体撮像素子は光電変換素子の前面にオンチップレンズ(マイクロレンズアレイ)を有するものが多い。このようなものを、AFアクティブ方式を使用して測定しようとすると、マイクロレンズアレイで光が乱反射して、その結果、2分割フォトダイオードに結像される像の位置が正確に固体撮像素子の面と対応しなくなるという問題点がある。このような問題点は、一般に表面に微細な凹凸を有する固体撮像素子について発生する。
【0020】
一方、AFエリアコントラスト方式を使用した場合は、マイクロレンズアレイを有して表面が凹凸状となっている場合でも、多数のマイクロレンズを含むエリア画像のコントラストを平均値的に求めるため、精密に(高い繰り返し精度で)固体撮像素子の面の位置を測定することができる。しかしながら、前述のように、AFエリアコントラスト方式を使用した場合には測定に時間がかかり、特に、最初に被測定面の位置がどこにあるか分からない場合、被測定面が傾いている場合には、測定レンジを広くしなければならないので、測定に長時間を要するという問題点がある。
【0021】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、微細な凹凸が形成された受光面を有する固体撮像素子の反り量を、迅速に精度良く測定する方法、さらには一般的に、測定対象物の反り量を、迅速に精度良く測定する方法を提供することを課題とする。
【0022】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するための第1の手段は、微細な凹凸が形成された受光面を有する固体撮像素子の反り量を測定する方法であって、前記微細な凹凸が形成されていない部分の3点以上の位置座標を距離測定器を用いて求め、その測定値(第1の測定値)に基づいて第1の仮想基準面を定め、前記第1の仮想基準面を基準として、前記微細な凹凸が形成されている部分の4点以上の位置座標を、AFエリアコントラスト方式の距離測定器を用いて求め、その測定値(第2の測定値)のうち3個以上に基づいて第2の仮想基準面を定めると共に、この第2の仮想基準面と前記第2の測定値で示される前記4点以上の位置座標とに基づいて、反り量を求めることを特徴とする固体撮像素子の反り量の測定方法(請求項1)である。
【0023】
固体撮像素子には、通常は受光面の周囲に微細な凹凸が形成されていない部分が存在する。この部分の位置測定は、通常の距離測定器を使用して行っても、前述のような光の乱反射がないので、精度良く行うことができる。よって、本手段においては、この部分の点3点以上位置座標を通常の距離測定器を用いて求める。この方法は従来方法と変わるところはない。
【0024】
なお、AFエリアコントラスト方式の距離測定器を用いて求めた測定点の全てを第2の仮想基準面を求めるために用いることが好ましいが、必ずしも全部を用いる必要はなく、このうち3点以上の任意の点を用いて第2の仮想基準面を求めてもよい。例えば、明らかに異常と思われる点は、第2の仮想基準面を求めるために使用しなくてもよい。
【0025】
同様に、反り量を求めるためには、AFエリアコントラスト方式の距離測定器を用いて求めた測定点の全てを使用することが好ましいが、4点以上の任意の点を選択して用いてもよい。例えば、明らかに異常と思われる点は、反り量を求めるために使用しなくてもよい。
【0026】
そして、これらの測定点の位置データに基づいて第1の仮想基準面を定める。測定点が3点であれば、第1の仮想基準面は一義的に定まる。測定点が4点以上であれば、例えば前記非特許文献1に記載されるような方法、例えば最小2乗法を用いて決定すればよい。
【0027】
続いて、この第1の仮想基準面を基準とする、微細な凹凸が形成されている部分の4点以上の位置座標を、AFエリアコントラスト方式の距離測定器を用いて求める。このようにすることにより、固体撮像素子の面は、この第1の仮想基準面の近くにあることが保証されるので、AFエリアコントラスト方式での測定レンジを、この第1の仮想基準面から短距離の所定の範囲に限ることができる。したがって、AFエリアコントラスト方式での測定を迅速に行うことができるようになる。AFエリアコントラスト方式によれば、オンチップレンズ(マイクロレンズアレイ)のように微細な凹凸が形成されている部分であっても正確に位置測定ができることは前述のとおりである。
【0028】
このようにして、求まった測定値(第2の測定値)のうち3個以上に基づいて第2の仮想基準面を定めると共に、この第2の仮想基準面と第2の測定値で示される4点以上の位置座標とに基づいて、反り量を求める。この方法は、例えば、前記特許文献1に示される方法を使用することができる。
【0029】
前記課題を解決するための第2の手段は、前記第1の手段であって、前記微細な凹凸が形成されていない部分の3点以上の位置座標を求めるための距離測定器が、AFアクティブ方式の距離測定器であることを特徴とするもの(請求項2)である。
【0030】
AFアクティブ方式の距離測定器は、測定精度を高くとることができ、しかも測定時間が短い。かつ、ほとんどの場合零位法を用いているために、測定レンジを大きくとることができる。よって、微細な凹凸が形成されていない部分の距離測定に優れた方法である。
【0031】
前記課題を解決するための第3の手段は、前記第1の手段又は第2の手段であって、前記微細な凹凸が、光電変換素子上に形成されたオンチップレンズにより形成されたものであることを特徴とするもの(請求項3)である。
【0032】
オンチップレンズ(マイクロレンズアレイ)は、特に大きな凹凸を形成し、従来技術では、このことが迅速な測定を困難にしていた。よって、光電変換素子上に形成されたオンチップレンズにより微細な凹凸が形成されているときに、前記第1の手段、又は第2の手段を用いると、特に効果が大きい。
【0033】
前記課題を解決するための第4の手段は、前記第1の手段から第3の手段のいずれかであって、前記固体撮像素子が、そのパッケージの表面側にカバーガラスを備えたものであることを特徴とするもの(請求項4)である。
【0034】
パッケージの表面にカバーガラスがあると、そこからの反射があるために、AFエリアコントラスト方式以外の測定方法では、正確に固体撮像素子の表面までの距離を測定できなくなる可能性がある。前記第1の手段、第2の手段においては、最終的な反りを計算するための距離測定にAFエリアコントラスト方式を使用している。カバーガラスによる反射光は一様であり、AFエリアコントラスト方式の測定原理である画像のコントラストが最大となる位置が合焦位置であるということに何ら影響を与えない。
【0035】
又、後に実施の形態で示すように、AFアクティブ方式も、測定法を工夫することによりカバーガラスの影響を受けずに粗い測定を行うことができる。よって、前記第1の手段から第3の手段は、固体撮像素子が、そのパッケージの表面側にカバーガラスを備えたものである場合に特に効果を発揮する。
【0036】
前記課題を解決するための第5の手段は、試料表面の3点以上の位置座標を、測定精度が粗く、測定レンジが長い第1の距離測定器を用いることにより測定して、その測定値(第1の測定値)に基づいて第1の仮想基準面を定め、続いて、前記第1の仮想基準面を基準とする前記試料表面の4点以上の位置座標を、測定精度が高く、測定レンジが短い第2の距離測定器を用いることにより測定して、その測定値(第2の測定値)のうち3個以上に基づいて第2の仮想基準面を定めると共に、この第2の仮想基準面と前記第2の測定値で示される前記4点以上の位置座標とに基づいて、試料表面の反り量を求めることを特徴とする反り量の測定方法である。
【0037】
本手段においては、測定精度が粗く、測定レンジが長い第1の距離測定器を用いて第1の仮想基準面を定め、続いてこの第1の仮想基準面からの試料表面の距離を測定精度が高く、測定レンジが短い第2の距離測定器を用いることにより測定するようにしている。このことによって、試料表面の位置や傾斜が大きく変化するような場合であっても、最終的に精度の高い測定器を用いて位置測定を行うことができる。試料表面の位置測定が最終的に行われた後の処理は、前記特許文献1に記載されるような処理により、試料表面の反り量を求めることができる。なお、ここで、「測定レンジが短い」とは、AFエリアコントラスト方式のように測定器自身としては測定レンジを長くとれるものであっても、時間的な制約のために、測定レンジをわざと制限して使用するようなものをも含むものである。
【0038】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態の例を、図を用いて説明する。図1、図2は、本発明の実施形態の1例である固体撮像素子の反り量の測定方法を説明するための斜視図である。図1に示すように、AFアクティブ方式の距離測定器1を用い、固体撮像素子表面(カバーガラス表面ではなく、実際の試料面4)の位置座標(xi,yi,zi)を複数(n個、n≧3)の測定点3で測定し、それらの位置座標(xi,yi,zi)(i=1〜n)から仮想基準面A2を求める。実際には、測定点A3の数nは4点としている。
【0039】
仮想基準面A2は、後に述べるAFエリアコントラスト方式を使用する場合の測定レンジを短くするための基準面であるので、実際に測定したいオンチップレンズを備えている光電変換素子が設けられているエリアで実行する必要はなく、その周囲の平坦な領域を測定して決めれば十分である。よって、高速で測定できるAFアクティブ方式によりオンチップレンズが設けられているエリア以外のエリアで距離測定する。このオンチップレンズが設けられているエリア以外のエリアはオンチップレンズに近いほど、実際に測定したいオンチップレンズが設けられているエリアの位置情報に近い位置情報を得られるので好ましい。
【0040】
なお、固体撮像素子がパッケージに収納され、パッケージの表面にカバーガラスが設けられているような場合には、AFアクティブ方式で測定を行おうとすると、合焦位置(すなわち図5におけるフォトダイオード38Aと38Bの出力の差が0となる位置)がカバーガラス位置と固体撮像素子表面位置との2つになり、それだけでは、どちらが固体撮像素子表面位置なのかの判別が困難になる。よって、フォトダイオード38Aと38Bの出力の和を同時にとり、その和の値が大きい方を真の合焦位置(固体撮像素子表面位置)との判断を加える。一般にカバーガラスでの反射率は低く、オンチップレンズ周囲の平坦な領域での反射率は高いので、このような処理により、カバーガラスがあっても、上記平坦な領域の表面位置を検出することができる。
【0041】
次に図2に示すようにこの仮想基準面A2に基づき、再度試料表面の位置座標(xj,yj,zj)(j=1〜m)をAFエリアコントラスト方式の距離測定器5を用い、複数点B7で測定し、それらの位置座標から試料表面が本来持つべき仮想基準面B6を求める。
【0042】
本実施の形態では、仮想基準面B6と、この仮想基準面B6を求める際の複数の測定点B7との偏差を求め、この偏差の最大値と最小値の差を反り量とする。上記結果から、通常は、仮想基準面B6に対する実際の試料表面の変位の最大値と最小値との差を反り量とする。実際には、測定点B7は9個の点を測定している(オンチップレンズの中心近傍1点、四隅近傍4点、辺の中心近傍4点)。
【0043】
ここで、AFエリアコントラスト方式を用いて試料表面の位置座標を求める前準備として、実行位置を傾きに応じて補正するための仮想基準面A2を求め、この仮想基準面A2に基づき、すなわち、この仮想基準面A2を中心として、AFエリアコントラスト方式で測定を行う範囲を決めることにより、AFエリアコントラスト方式の測定レンジを狭くすることができる。AFエリアコントラスト方式の測定レンジを狭くすることにより測定時間の短縮が図れる。
【0044】
試料表面の位置座標(xi,yi,zi)を複数点A3で測定するには、例えば、試料平面座標(xi,yi)における試料表面の高さ(zi)を複数点nで測定する。なお、上述の実施の形態においては、試料表面の高さ(zi)を測定する方法としてAFアクティブ方式を使用した。AFアクティブ方式は、優れた方法であり、特に好ましい形態ではあるが、オンチップレンズを備えていない試料表面の位置座標(xi,yi,zi)を複数点で測定する具体的手段は特に制限されず、周知の測定手段を採用できる。
【0045】
具体的には、例えば、試料をX−Yステージに載せ、X−YステージをX−Y方向に移動させてその移動量から試料平面座標(xi,yi)を求め、その位置における変位(zi)をレーザー変位計で測定する方法、あるいは、定盤上に試料を置き、定盤面と水平な面内でX−Y方向に移動する変位計で移動量及び変位を測定して、試料表面の位置座標(xi,yi,zi)を求める方法等が挙げられる。測定点の数nは3≧であることは必要であるが、特に制限されない。測定点の数nが少ないと誤差は大きくなるが、測定時間は短い。逆に測定点の数nが多いと近似精度は向上するが、測定時間は長くなる。したがって、これらの得失を考慮して測定点の数nを決定すればよい。
【0046】
本実施の形態では、2度にわたり仮想基準面の式を求めるが、近似法は特に制限されず、例えば前記非特許文献1に記載の周知の数学理論を利用できる。代表的なものとしては、最小2乗法が挙げられる。この場合、例えば試料の特性等に応じて、補正や修正を加えることができる。
【0047】
なお、以上説明したように、AFアクティブ方式、AFエリアコントラスト方式により、測定点の座標を求めるための測定器としては、図4に示したような従来技術として公知な測定器をそのまま使用することができる。測定原理は従来技術の欄で説明したので、重ねての説明を省略する。
【0048】
以上の測定方法をまとめて図3に示す。図3(a)は、パッケージに実装された固体撮像素子をその表面から見たものであり、一般に、カバーガラスの内面に遮光板8があり、それを通して、オンチップレンズを備えたエリア9とオンチップレンズを備えていないエリア10が見えている。このうち反りが問題となるのは、光電変換素子が設けられているオンチップレンズを備えたエリア9であり、真に測定したいのはこのエリアの反り量である。
【0049】
前述のように、このオンチップレンズを備えたエリア9の反り量を測定するためにはAFエリアコントラスト方式を使用する必要があるが、固体撮像素子表面の絶対的な高さが不明であり、かつ、その表面が傾いている可能性があるので、AFエリアコントラスト方式を直接使用しようとすると、その測定レンジを大きくしなければならず、測定時間が長くなる。
【0050】
そこで、AFアクティブ方式やその他の方法を用いて、まず、オンチップレンズを備えていないエリア10の領域の測定点を測定し、これから仮想基準面Aを定める(b)。(b)に示すように、仮想基準面Aは傾いていることがある。
【0051】
次に、この仮想基準面Aを基準にして、AFエリアコントラスト方式の測定レンジを決め、その範囲でオンチップレンズを備えたエリア9内の測定点を測定する(c)。よって、AFエリアコントラスト方式の測定レンジを短くすることにより、測定時間を短くでき、かつ、AFエリアコントラスト方式を使用しているので、オンチップレンズによる凹凸がある場合でも、正確な距離測定が可能となる。
【0052】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、微細な凹凸が形成された受光面を有する固体撮像素子の反り量を、迅速に精度良く測定する方法、さらには一般的に、測定対象物の反り量を、迅速に精度良く測定する方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態の1例である固体撮像素子の反り量の測定方法を説明するための斜視図である。
【図2】本発明の実施形態の1例である固体撮像素子の反り量の測定方法を説明するための斜視図である。
【図3】本発明の実施の形態の原理をまとめて説明するための図である。
【図4】AFアクティブ方式、AFエリアコントラスト方式の両方を兼ね備えることができる距離測定装置の例を示す図である。
【図5】AFアクティブ方式の原理をより詳細に説明するための図である。
【符号の説明】
1…AFアクティブ方式の距離測定器
2…仮想基準面A
3…測定点A
4…実際の試料面
5…AFエリアコントラスト方式の距離測定器
6…仮想基準面B
7…測定点B
8…遮光板
9…オンチップレンズを備えたエリア
10…オンチップレンズを備えていないエリア
【発明の属する技術分野】
本発明は、固体撮像素子の反り量の測定方法、及び物体の反り量の測定方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
固体撮像素子は、ディジタルカメラ等に使用され、最近ではその高密度化と大型化が著しく進んでいる。このような高密度の固体撮像素子においては、素子に入射する光量を多くするために、光電変換素子の前面にオンチップレンズ(マイクロレンズアレイ)を有するのが普通である。このような固体撮像素子に反りがあると、撮像時にピントが合わない部分が出てきて、全画素に亘って良好な画像を得ることができなくなる。よって、特に大型の撮像素子においては、反り量を測定し、反り量が所定値以内のものを選定して出荷することが必要とされている。
【0003】
このような反り量の測定は、従来は抜き取り検査により行われ、かつ、人手により行われていたが、品質への要求が高まるにつれて、全数検査を行うことが必要となってきた。このため、最近では自動の反り検査装置が開発され、実際に使用されるようになってきている。
【0004】
物体の反り量は、X−Y−Z直交座標系において、物体上の点の位置を測定し、それから計算により求めることができる。一般には、物体をステージに載せ、X−Y方向にステージを駆動し、所定の点(Xn,Yn)(n=1〜N)について、ある基準点から物体までのZ軸方向の距離Znを測定することにより、N個の点の座標(Xn,Yn,Zn)を決定する。
【0005】
これらの点から、反り量を計算する方法として、これらの点のいくつかを利用して仮想基準平面を求め、この仮想基準平面からの各測定点の距離を求め、その距離の最大値と最小値の差を反り量とする方法が、特開平11−6726号公報(特許文献1)に記載され、データ処理方法については、MACHINIST 1990年10号のP.72−80(非特許文献1)に、「三次元測定機のデータ処理」として記載されている。
【0006】
固体撮像素子の反り量の測定も、この原理を応用した測定器により自動的に行うことができる。すなわち、固体撮像素子をX−Yステージに載せ、サンプリングされた複数の測定点までの、基準点からのZ軸方向距離を測定して、前記測定点の3次元位置を決定し、前述の方法により反り量を求めればよい。
【0007】
z軸方向の距離をμmオーダで、非接触状態で測定する方法としては、光学的手法による方法が好ましく、現在AFアクティブ方式と呼ばれている方式と、AFエリアコントラスト方式と呼ばれている方式が最もポピュラーである。図4にこれら、AFアクティブ方式、AFエリアコントラスト方式の両方を兼ね備えることができる距離測定装置の例を示す。
【0008】
顕微鏡対物レンズ21と結像レンズ22、照明装置24、ハーフミラー25等で構成される顕微鏡光学系に、コリメートレンズ32で平行光にされたレーザダイオード31で形成したレーザー光線を入射する。このレーザー光線は顕微鏡光軸23上に設けたダイクロイックミラー33で、対物レンズ21に導かれる。そして、対物レンズ21で、試料41上に、例えば直径2μmの点光源像を結像させる。その戻り光をダイクロイックミラー33でコリメートレンズ32に戻し、コリメートレンズ32を通った戻り光をさらにナイフエッジ付ミラー34で、コリメートレンズ32の焦点面37上でかつ戻り光の光軸36上に分割線のある2分割フォトダイオード38上に導く。
【0009】
このときに試料41から反射して戻る点光源からの光は図5に詳しく示すように、試料41が対物レンズの焦点面42にある場合には実線で示す光路45を通る。そして、2分割フォトダイオード38Aと38Bの中間に結像する。試料41の面が焦点より対物レンズ21に近い位置43にずれた場合には破線で示す光路46を通ってフォトダイオード38B側に結像する。また、反対に遠い位置44にずれた時には一点鎖線で示す光路47を通ってフォトダイオード38A側に結像する。
【0010】
従って、フォトダイオード38A及び38Bは試料41の合焦点の度合いに応じてそれぞれ光電流が発生する。アンプ39は、この合焦点度に応じて発生する光電流をZ軸制御部40に送る。Z軸制御部40はこの光電流に基づいて、光軸方向(Z方向)の位置決め制御信号を発生する。そして、試料41が合焦点位置に来るように対物レンズ21を顕微鏡の光軸方向に位置決めする。
【0011】
この合焦点位置決めの動作は、フォトダイオード38A及び38Bが常に戻り光から焦点ずれの方向とずれ量とを測定しているために非常に早く(例えば、数十m秒で)合焦させることができる。そして、合焦したときの対物レンズ21のZ軸方向位置から、試料41のZ軸方向位置を求めることができる。
【0012】
コンピュータ28は、X−Yステージ制御部30に測定点位置決め指令を出力し、X−Yステージ制御部30は、この指令に従ってX−Yステージ29を駆動する。そして、決定された(Xn,Yn)の点についてZ軸方向位置Znを求めれば、測定点の位置を定めることができる。この方法が代表的なAFアクティブ方式の測定法である。すなわち、AFアクティブ方式とは、光源から放出される光をナイフエッジやスリット等で部分的に遮光し、ナイフエッジ端面やスリット等の、試料上での像が、非測定対象物が合焦点のどちら側にあるかに従って、光軸に対して直角な方向ずれることを利用して、光学系又は測定対象物を光軸方向に移動させたり、光学系の特性を変化させたりして合焦させ、そのときの光学系又は測定対象物の移動量、光学系の特性から、被測定対象物の位置を測定する方法である。
【0013】
AFアクティブ方式は、ほとんどの場合、零位法を使用した測定方法であるので、測定レンジを大きくしても精度が落ちないという特徴、及び測定対象物が合焦位置のどちら側にあるかの判別ができるという特徴を有し、必要精度に比較して大きな測定レンジを必要とする場合に適した距離測定方法、オートフォーカス方法として知られ、カメラや光学顕微鏡のオートフォーカスに広く使用されている。
【0014】
一方、AFエリアコントラスト方式は、以下のようなものである。別の光源24からの光は、ハーフミラー25で反射され、ダイクロイックミラー33を透過して、対物レンズ21により集光され、試料41を照明する。その反射光は、再び対物レンズ21を通り、ダイクロイックミラー33を透過し、ハーフミラー25を透過して、撮像素子26で画像信号に変換されて画像処理装置27に入力される。すなわち、試料41の像が、撮像素子26上に結像する。
【0015】
画像処理装置27は、各画素が受けた受光量の空間分布から、例えば分散等を計算することによりコントラストを求める。もし、試料41が合焦位置にあると、撮像素子26で撮像される画像のコントラストが最大になり、従って計算された分散は大きくなる。試料41が合焦位置から離れるに従って、像のボケが発生するためコントラストが小さくなり、従って計算された分散は小さくなる。よって、対物レンズの位置を変えて、各々の位置で撮像を行い、その画像データの分散を計算して、分散が最大になる対物レンズの位置を求めることにより、試料41のZ軸方向位置を求めることができる。
【0016】
すなわち、AFエリアコントラスト方式とは、光学系又は測定対象物を光軸方向に多段階に移動させたり、光学系の特性を多段階に変化させたりして、撮像される像のコントラストを各々求め、そのコントラストが最大になる点を合焦位置と判定して、そのときの光学系又は測定対象物の移動量、光学系の特性から、測定対象物の位置を測定する方法である。なお、AFエリアコントラスト方式の例については、例えば特許第2971892号公報(特許文献2)に記載されている。
【0017】
この方法は、前述のAFアクティブ方式と違って、撮像光学系と別の光学系を必要としないという利点、測定対象物との間に、ガラス等、一様に光を反射するものがあってもその影響を受けないという利点を有するが、一方で、多数の光軸方向位置で相当数の画像を取得しなければ測定結果が得られないこと、1点の測定だけでは、測定対象物が合焦位置のどちら側にあるかが分からないこと等の不利な点を有している。
【0018】
【特許文献1】特開平11−6726号公報
【特許文献2】特許第2971892号公報
【非特許文献1】MACHINIST 1990年10号のP.72−80
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
以上述べたことから、固体撮像素子の反り量を測定する場合でも、測定速度を上げるためにはAFアクティブ方式を使用することが好ましいと考えられる。しかしながら、前述のように、最近の固体撮像素子は光電変換素子の前面にオンチップレンズ(マイクロレンズアレイ)を有するものが多い。このようなものを、AFアクティブ方式を使用して測定しようとすると、マイクロレンズアレイで光が乱反射して、その結果、2分割フォトダイオードに結像される像の位置が正確に固体撮像素子の面と対応しなくなるという問題点がある。このような問題点は、一般に表面に微細な凹凸を有する固体撮像素子について発生する。
【0020】
一方、AFエリアコントラスト方式を使用した場合は、マイクロレンズアレイを有して表面が凹凸状となっている場合でも、多数のマイクロレンズを含むエリア画像のコントラストを平均値的に求めるため、精密に(高い繰り返し精度で)固体撮像素子の面の位置を測定することができる。しかしながら、前述のように、AFエリアコントラスト方式を使用した場合には測定に時間がかかり、特に、最初に被測定面の位置がどこにあるか分からない場合、被測定面が傾いている場合には、測定レンジを広くしなければならないので、測定に長時間を要するという問題点がある。
【0021】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、微細な凹凸が形成された受光面を有する固体撮像素子の反り量を、迅速に精度良く測定する方法、さらには一般的に、測定対象物の反り量を、迅速に精度良く測定する方法を提供することを課題とする。
【0022】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するための第1の手段は、微細な凹凸が形成された受光面を有する固体撮像素子の反り量を測定する方法であって、前記微細な凹凸が形成されていない部分の3点以上の位置座標を距離測定器を用いて求め、その測定値(第1の測定値)に基づいて第1の仮想基準面を定め、前記第1の仮想基準面を基準として、前記微細な凹凸が形成されている部分の4点以上の位置座標を、AFエリアコントラスト方式の距離測定器を用いて求め、その測定値(第2の測定値)のうち3個以上に基づいて第2の仮想基準面を定めると共に、この第2の仮想基準面と前記第2の測定値で示される前記4点以上の位置座標とに基づいて、反り量を求めることを特徴とする固体撮像素子の反り量の測定方法(請求項1)である。
【0023】
固体撮像素子には、通常は受光面の周囲に微細な凹凸が形成されていない部分が存在する。この部分の位置測定は、通常の距離測定器を使用して行っても、前述のような光の乱反射がないので、精度良く行うことができる。よって、本手段においては、この部分の点3点以上位置座標を通常の距離測定器を用いて求める。この方法は従来方法と変わるところはない。
【0024】
なお、AFエリアコントラスト方式の距離測定器を用いて求めた測定点の全てを第2の仮想基準面を求めるために用いることが好ましいが、必ずしも全部を用いる必要はなく、このうち3点以上の任意の点を用いて第2の仮想基準面を求めてもよい。例えば、明らかに異常と思われる点は、第2の仮想基準面を求めるために使用しなくてもよい。
【0025】
同様に、反り量を求めるためには、AFエリアコントラスト方式の距離測定器を用いて求めた測定点の全てを使用することが好ましいが、4点以上の任意の点を選択して用いてもよい。例えば、明らかに異常と思われる点は、反り量を求めるために使用しなくてもよい。
【0026】
そして、これらの測定点の位置データに基づいて第1の仮想基準面を定める。測定点が3点であれば、第1の仮想基準面は一義的に定まる。測定点が4点以上であれば、例えば前記非特許文献1に記載されるような方法、例えば最小2乗法を用いて決定すればよい。
【0027】
続いて、この第1の仮想基準面を基準とする、微細な凹凸が形成されている部分の4点以上の位置座標を、AFエリアコントラスト方式の距離測定器を用いて求める。このようにすることにより、固体撮像素子の面は、この第1の仮想基準面の近くにあることが保証されるので、AFエリアコントラスト方式での測定レンジを、この第1の仮想基準面から短距離の所定の範囲に限ることができる。したがって、AFエリアコントラスト方式での測定を迅速に行うことができるようになる。AFエリアコントラスト方式によれば、オンチップレンズ(マイクロレンズアレイ)のように微細な凹凸が形成されている部分であっても正確に位置測定ができることは前述のとおりである。
【0028】
このようにして、求まった測定値(第2の測定値)のうち3個以上に基づいて第2の仮想基準面を定めると共に、この第2の仮想基準面と第2の測定値で示される4点以上の位置座標とに基づいて、反り量を求める。この方法は、例えば、前記特許文献1に示される方法を使用することができる。
【0029】
前記課題を解決するための第2の手段は、前記第1の手段であって、前記微細な凹凸が形成されていない部分の3点以上の位置座標を求めるための距離測定器が、AFアクティブ方式の距離測定器であることを特徴とするもの(請求項2)である。
【0030】
AFアクティブ方式の距離測定器は、測定精度を高くとることができ、しかも測定時間が短い。かつ、ほとんどの場合零位法を用いているために、測定レンジを大きくとることができる。よって、微細な凹凸が形成されていない部分の距離測定に優れた方法である。
【0031】
前記課題を解決するための第3の手段は、前記第1の手段又は第2の手段であって、前記微細な凹凸が、光電変換素子上に形成されたオンチップレンズにより形成されたものであることを特徴とするもの(請求項3)である。
【0032】
オンチップレンズ(マイクロレンズアレイ)は、特に大きな凹凸を形成し、従来技術では、このことが迅速な測定を困難にしていた。よって、光電変換素子上に形成されたオンチップレンズにより微細な凹凸が形成されているときに、前記第1の手段、又は第2の手段を用いると、特に効果が大きい。
【0033】
前記課題を解決するための第4の手段は、前記第1の手段から第3の手段のいずれかであって、前記固体撮像素子が、そのパッケージの表面側にカバーガラスを備えたものであることを特徴とするもの(請求項4)である。
【0034】
パッケージの表面にカバーガラスがあると、そこからの反射があるために、AFエリアコントラスト方式以外の測定方法では、正確に固体撮像素子の表面までの距離を測定できなくなる可能性がある。前記第1の手段、第2の手段においては、最終的な反りを計算するための距離測定にAFエリアコントラスト方式を使用している。カバーガラスによる反射光は一様であり、AFエリアコントラスト方式の測定原理である画像のコントラストが最大となる位置が合焦位置であるということに何ら影響を与えない。
【0035】
又、後に実施の形態で示すように、AFアクティブ方式も、測定法を工夫することによりカバーガラスの影響を受けずに粗い測定を行うことができる。よって、前記第1の手段から第3の手段は、固体撮像素子が、そのパッケージの表面側にカバーガラスを備えたものである場合に特に効果を発揮する。
【0036】
前記課題を解決するための第5の手段は、試料表面の3点以上の位置座標を、測定精度が粗く、測定レンジが長い第1の距離測定器を用いることにより測定して、その測定値(第1の測定値)に基づいて第1の仮想基準面を定め、続いて、前記第1の仮想基準面を基準とする前記試料表面の4点以上の位置座標を、測定精度が高く、測定レンジが短い第2の距離測定器を用いることにより測定して、その測定値(第2の測定値)のうち3個以上に基づいて第2の仮想基準面を定めると共に、この第2の仮想基準面と前記第2の測定値で示される前記4点以上の位置座標とに基づいて、試料表面の反り量を求めることを特徴とする反り量の測定方法である。
【0037】
本手段においては、測定精度が粗く、測定レンジが長い第1の距離測定器を用いて第1の仮想基準面を定め、続いてこの第1の仮想基準面からの試料表面の距離を測定精度が高く、測定レンジが短い第2の距離測定器を用いることにより測定するようにしている。このことによって、試料表面の位置や傾斜が大きく変化するような場合であっても、最終的に精度の高い測定器を用いて位置測定を行うことができる。試料表面の位置測定が最終的に行われた後の処理は、前記特許文献1に記載されるような処理により、試料表面の反り量を求めることができる。なお、ここで、「測定レンジが短い」とは、AFエリアコントラスト方式のように測定器自身としては測定レンジを長くとれるものであっても、時間的な制約のために、測定レンジをわざと制限して使用するようなものをも含むものである。
【0038】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態の例を、図を用いて説明する。図1、図2は、本発明の実施形態の1例である固体撮像素子の反り量の測定方法を説明するための斜視図である。図1に示すように、AFアクティブ方式の距離測定器1を用い、固体撮像素子表面(カバーガラス表面ではなく、実際の試料面4)の位置座標(xi,yi,zi)を複数(n個、n≧3)の測定点3で測定し、それらの位置座標(xi,yi,zi)(i=1〜n)から仮想基準面A2を求める。実際には、測定点A3の数nは4点としている。
【0039】
仮想基準面A2は、後に述べるAFエリアコントラスト方式を使用する場合の測定レンジを短くするための基準面であるので、実際に測定したいオンチップレンズを備えている光電変換素子が設けられているエリアで実行する必要はなく、その周囲の平坦な領域を測定して決めれば十分である。よって、高速で測定できるAFアクティブ方式によりオンチップレンズが設けられているエリア以外のエリアで距離測定する。このオンチップレンズが設けられているエリア以外のエリアはオンチップレンズに近いほど、実際に測定したいオンチップレンズが設けられているエリアの位置情報に近い位置情報を得られるので好ましい。
【0040】
なお、固体撮像素子がパッケージに収納され、パッケージの表面にカバーガラスが設けられているような場合には、AFアクティブ方式で測定を行おうとすると、合焦位置(すなわち図5におけるフォトダイオード38Aと38Bの出力の差が0となる位置)がカバーガラス位置と固体撮像素子表面位置との2つになり、それだけでは、どちらが固体撮像素子表面位置なのかの判別が困難になる。よって、フォトダイオード38Aと38Bの出力の和を同時にとり、その和の値が大きい方を真の合焦位置(固体撮像素子表面位置)との判断を加える。一般にカバーガラスでの反射率は低く、オンチップレンズ周囲の平坦な領域での反射率は高いので、このような処理により、カバーガラスがあっても、上記平坦な領域の表面位置を検出することができる。
【0041】
次に図2に示すようにこの仮想基準面A2に基づき、再度試料表面の位置座標(xj,yj,zj)(j=1〜m)をAFエリアコントラスト方式の距離測定器5を用い、複数点B7で測定し、それらの位置座標から試料表面が本来持つべき仮想基準面B6を求める。
【0042】
本実施の形態では、仮想基準面B6と、この仮想基準面B6を求める際の複数の測定点B7との偏差を求め、この偏差の最大値と最小値の差を反り量とする。上記結果から、通常は、仮想基準面B6に対する実際の試料表面の変位の最大値と最小値との差を反り量とする。実際には、測定点B7は9個の点を測定している(オンチップレンズの中心近傍1点、四隅近傍4点、辺の中心近傍4点)。
【0043】
ここで、AFエリアコントラスト方式を用いて試料表面の位置座標を求める前準備として、実行位置を傾きに応じて補正するための仮想基準面A2を求め、この仮想基準面A2に基づき、すなわち、この仮想基準面A2を中心として、AFエリアコントラスト方式で測定を行う範囲を決めることにより、AFエリアコントラスト方式の測定レンジを狭くすることができる。AFエリアコントラスト方式の測定レンジを狭くすることにより測定時間の短縮が図れる。
【0044】
試料表面の位置座標(xi,yi,zi)を複数点A3で測定するには、例えば、試料平面座標(xi,yi)における試料表面の高さ(zi)を複数点nで測定する。なお、上述の実施の形態においては、試料表面の高さ(zi)を測定する方法としてAFアクティブ方式を使用した。AFアクティブ方式は、優れた方法であり、特に好ましい形態ではあるが、オンチップレンズを備えていない試料表面の位置座標(xi,yi,zi)を複数点で測定する具体的手段は特に制限されず、周知の測定手段を採用できる。
【0045】
具体的には、例えば、試料をX−Yステージに載せ、X−YステージをX−Y方向に移動させてその移動量から試料平面座標(xi,yi)を求め、その位置における変位(zi)をレーザー変位計で測定する方法、あるいは、定盤上に試料を置き、定盤面と水平な面内でX−Y方向に移動する変位計で移動量及び変位を測定して、試料表面の位置座標(xi,yi,zi)を求める方法等が挙げられる。測定点の数nは3≧であることは必要であるが、特に制限されない。測定点の数nが少ないと誤差は大きくなるが、測定時間は短い。逆に測定点の数nが多いと近似精度は向上するが、測定時間は長くなる。したがって、これらの得失を考慮して測定点の数nを決定すればよい。
【0046】
本実施の形態では、2度にわたり仮想基準面の式を求めるが、近似法は特に制限されず、例えば前記非特許文献1に記載の周知の数学理論を利用できる。代表的なものとしては、最小2乗法が挙げられる。この場合、例えば試料の特性等に応じて、補正や修正を加えることができる。
【0047】
なお、以上説明したように、AFアクティブ方式、AFエリアコントラスト方式により、測定点の座標を求めるための測定器としては、図4に示したような従来技術として公知な測定器をそのまま使用することができる。測定原理は従来技術の欄で説明したので、重ねての説明を省略する。
【0048】
以上の測定方法をまとめて図3に示す。図3(a)は、パッケージに実装された固体撮像素子をその表面から見たものであり、一般に、カバーガラスの内面に遮光板8があり、それを通して、オンチップレンズを備えたエリア9とオンチップレンズを備えていないエリア10が見えている。このうち反りが問題となるのは、光電変換素子が設けられているオンチップレンズを備えたエリア9であり、真に測定したいのはこのエリアの反り量である。
【0049】
前述のように、このオンチップレンズを備えたエリア9の反り量を測定するためにはAFエリアコントラスト方式を使用する必要があるが、固体撮像素子表面の絶対的な高さが不明であり、かつ、その表面が傾いている可能性があるので、AFエリアコントラスト方式を直接使用しようとすると、その測定レンジを大きくしなければならず、測定時間が長くなる。
【0050】
そこで、AFアクティブ方式やその他の方法を用いて、まず、オンチップレンズを備えていないエリア10の領域の測定点を測定し、これから仮想基準面Aを定める(b)。(b)に示すように、仮想基準面Aは傾いていることがある。
【0051】
次に、この仮想基準面Aを基準にして、AFエリアコントラスト方式の測定レンジを決め、その範囲でオンチップレンズを備えたエリア9内の測定点を測定する(c)。よって、AFエリアコントラスト方式の測定レンジを短くすることにより、測定時間を短くでき、かつ、AFエリアコントラスト方式を使用しているので、オンチップレンズによる凹凸がある場合でも、正確な距離測定が可能となる。
【0052】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、微細な凹凸が形成された受光面を有する固体撮像素子の反り量を、迅速に精度良く測定する方法、さらには一般的に、測定対象物の反り量を、迅速に精度良く測定する方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態の1例である固体撮像素子の反り量の測定方法を説明するための斜視図である。
【図2】本発明の実施形態の1例である固体撮像素子の反り量の測定方法を説明するための斜視図である。
【図3】本発明の実施の形態の原理をまとめて説明するための図である。
【図4】AFアクティブ方式、AFエリアコントラスト方式の両方を兼ね備えることができる距離測定装置の例を示す図である。
【図5】AFアクティブ方式の原理をより詳細に説明するための図である。
【符号の説明】
1…AFアクティブ方式の距離測定器
2…仮想基準面A
3…測定点A
4…実際の試料面
5…AFエリアコントラスト方式の距離測定器
6…仮想基準面B
7…測定点B
8…遮光板
9…オンチップレンズを備えたエリア
10…オンチップレンズを備えていないエリア
Claims (5)
- 微細な凹凸が形成された受光面を有する固体撮像素子の反り量を測定する方法であって、前記微細な凹凸が形成されていない部分の3点以上の位置座標を距離測定器を用いて求め、その測定値(第1の測定値)に基づいて第1の仮想基準面を定め、前記第1の仮想基準面を基準として、前記微細な凹凸が形成されている部分の4点以上の位置座標を、AFエリアコントラスト方式の距離測定器を用いて求め、その測定値(第2の測定値)のうち3個以上に基づいて第2の仮想基準面を定めると共に、この第2の仮想基準面と前記第2の測定値で示される前記4点以上の位置座標とに基づいて、反り量を求めることを特徴とする固体撮像素子の反り量の測定方法。
- 前記微細な凹凸が形成されていない部分の3点以上の位置座標を求めるための距離測定器が、AFアクティブ方式の距離測定器であることを特徴とする請求項1に記載の固体撮像素子の反り量の測定方法。
- 前記微細な凹凸が、光電変換素子上に形成されたオンチップレンズにより形成されたものであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の固体撮像素子の反り量の測定方法。
- 前記固体撮像素子が、そのパッケージの表面側にカバーガラスを備えたものであることを特徴とする請求項1から請求項3のうちいずれか1項に記載の固体撮像素子の反り量の測定方法。
- 試料表面の3点以上の位置座標を、測定精度が粗く、測定レンジが長い第1の距離測定器を用いることにより測定して、その測定値(第1の測定値)に基づいて第1の仮想基準面を定め、続いて、前記第1の仮想基準面を基準とする前記試料表面の4点以上の位置座標を、測定精度が高く、測定レンジが短い第2の距離測定器を用いることにより測定して、その測定値(第2の測定値)のうち3個以上に基づいて第2の仮想基準面を定めると共に、この第2の仮想基準面と前記第2の測定値で示される前記4点以上の位置座標とに基づいて、試料表面の反り量を求めることを特徴とする反り量の測定方法。
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Cited By (1)
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CN113155023A (zh) * | 2021-04-02 | 2021-07-23 | 甘肃旭盛显示科技有限公司 | 液晶基板玻璃翘曲度测量方法及系统 |
-
2003
- 2003-04-25 JP JP2003122133A patent/JP2004327818A/ja active Pending
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