JP2004326240A - 建物のエネルギー使用量管理方法、エネルギー使用量管理システム及びプログラム - Google Patents

建物のエネルギー使用量管理方法、エネルギー使用量管理システム及びプログラム Download PDF

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Abstract

【課題】建物のエネルギー使用量を総合的に管理することを可能とする。
【解決手段】入力部106と、エネルギー管理データベース2と、入力部106により指定されたエネルギー消費原単位をエネルギー管理データベース2より読み出した各種データに基づいて算出し、該建物で消費されるエネルギーのエネルギー消費原単位と、建物の種別に応じて予め決定されている入力部106により指定されたエネルギー消費原単位の基準値との比較結果に基づいて現在のエネルギー消費原単位が前記基準値以上である場合には、エネルギー使用量を前記基準値以下に改善した場合のエネルギー費用を演算するCPU100と、CPU100により算出されたエネルギー使用量を前記基準値以下に改善した場合のエネルギー費用を示すデータを出力するプリンタ110とを有する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、建物のエネルギー使用量管理方法、エネルギー使用量管理システム及びプログラムに関する。
【0002】
【従来の技術】
建物における光熱水等のエネルギー使用量の管理業務において、従来では、エネルギー種別毎に別々に集計管理される場合が多く、また、エネルギー使用量を管理する上で必要な、エネルギー使用量の比較用基準値も自社データしか持てないような構成になっていた。(例えば、非特許文献1参照。)
【0003】
【特許文献1】
http//www.eccj.or.jp/audit/build02/index.html
財団法人/省エネルギーセンター、ビルの省エネガイドブック2002:エネルギー管理ツール作成例、原単位計算結果表シート
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、従来のエネルギー使用量管理方法にあっては、エネルギー種別毎に別々に集計管理され、エネルギー使用量を管理する上で必要な、エネルギー使用量の比較用基準値も自社データしか持てないようになっていたために、建物のエネルギー使用量を総合的に管理することができなかった。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、建物のエネルギー使用量を総合的に管理することができる建物のエネルギー使用量管理方法、エネルギー使用量管理システム及びプログラムを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、建物で消費されるエネルギーのエネルギー消費原単位を算出し、該建物で消費されるエネルギーのエネルギー消費原単位と建物の種別に応じて予め決定されているエネルギー消費原単位の基準値との比較結果に基づいて現在のエネルギー消費原単位が前記基準値以上である場合には、エネルギー使用量を前記基準値以下に改善した場合のエネルギー費用を演算することを特徴とする。
【0006】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の建物のエネルギー使用量管理方法において、前記エネルギー消費原単位は、一次エネルギー原単位、CO原単位、及び料金に換算されたエネルギー消費原単位のいずれかであることを特徴とする。
【0007】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1または2のいずれかに記載の建物のエネルギー使用量管理方法において、前記エネルギー使用量を前記基準値以下に改善した場合のエネルギー費用を、現在のエネルギー消費原単位と前記基準値との差分から算出されるエネルギー費用を削減予測金額として算出することを特徴とする。
【0008】
また、請求項4に記載の発明は、建物における現在のエネルギー使用量がエネルギー供給会社と契約した契約種別で定められた契約使用量以下である場合に、前記現在のエネルギー使用量に応じた契約種別に変更し、該契約種別変更後のエネルギー費用を算出することを特徴とする。
【0009】
また、請求項5に記載の発明は、建物で消費される現在のエネルギー使用量を含む各種データを入力するための入力手段と、エネルギー消費原単位の基準値、エネルギー消費原単位を算出するための各種パラメータを含む各種データが格納されている記憶手段と、前記入力手段により指定された建物で消費されるエネルギーのエネルギー消費原単位を前記記憶手段より読み出した各種データに基づいて算出し、該建物で消費されるエネルギーのエネルギー消費原単位と、建物の種別に応じて予め決定されている前記入力手段により指定されたエネルギー消費原単位の基準値との比較結果に基づいて現在のエネルギー消費原単位が前記基準値以上である場合には、エネルギー使用量を前記基準値以下に改善した場合のエネルギー費用を演算する演算手段と、前記演算手段により算出されたエネルギー使用量を前記基準値以下に改善した場合のエネルギー費用を示すデータを出力する出力手段とを有することを特徴とする。
【0010】
また、請求項6に記載の発明は、請求項5に記載のエネルギー使用量管理システムにおいて、前記演算手段により演算される前記エネルギー消費原単位は、一次エネルギー原単位、CO原単位、及び料金に換算されたエネルギー消費原単位のいずれかであることを特徴とする。
【0011】
また、請求項7に記載の発明は、請求項5または6のいずれかに記載のエネルギー使用量管理システムにおいて、前記演算手段は、前記エネルギー使用量を前記基準値以下に改善した場合のエネルギー費用を、現在のエネルギー消費原単位と前記基準値との差分から算出されるエネルギー費用を削減予測金額として算出することを特徴とする。
【0012】
また、請求項8に記載の発明は、建物における現在のエネルギー使用量を含む各種データを入力するための入力手段と、契約種別と、該契約種別に対応するエネルギーの契約使用量、エネルギーの単価を含むデータが格納される記憶手段と、 前記入力手段により入力された建物における現在のエネルギー使用量がエネルギー供給会社と契約した契約種別で定められた契約使用量以下である場合に、現在のエネルギー使用量に応じた契約種別に変更し、該契約種別変更後のエネルギー費用を前記記憶手段から読み出した契約種別、該契約種別に対応するエネルギーの契約使用量及びエネルギーの単価を含む各種データに基づいて算出する演算手段と、前記演算手段の演算結果を出力する出力手段とを有することを特徴とする。
【0013】
また、請求項9に記載の発明は、建物で消費されるエネルギーのエネルギー消費原単位を算出する第1のステップと、前記建物で消費されるエネルギーのエネルギー消費原単位と建物の種別に応じて予め決定されているエネルギー消費原単位の基準値とを比較する第2のステップと、第2のステップにおける比較結果に基づいて現在のエネルギー消費原単位が前記基準値以上である場合には、エネルギー使用量を前記基準値以下に改善した場合のエネルギー費用を演算する第3のステップとを実行するためのコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されたエネルギー使用量管理プログラムを要旨とする。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。図1に本発明の実施形態に係るエネルギー使用量管理システムの構成を図1に示す。同図において、本実施形態に係るエネルギー使用量管理システムは、建物におけるエネルギー使用量のコストシミュレーションを行うデータ処理装置1と、コストシミュレーションに必要な各種データが格納されているエネルギー管理データベース2とを有している。
【0015】
データ処理装置1は、CPU100と、ROM102と、RAM104と、入力部106と、表示部108と、プリンタ110と、入力インターフェース112とを有している。
ROM102には各種エネルギーについてのコストシミュレーションを行うためのプログラム(エネルギー使用量管理プログラム)を含む各種制御プログラム及び固定データが格納されている。ここで、本明細書でエネルギー使用量管理プログラムとは複数のプログラムの総称である。
【0016】
また、RAM104には、コストシミュレーションエネルギー管理データベース2から取り込まれた各種データや、コストシミュレーションによる演算結果等のデータが一時的に格納される。
入力部106は、キーボード等の入力手段で構成され、各種データが入力されるようになっている。入力部106は本発明の入力手段に、表示部108、またはプリンタ110は本発明の出力手段に相当する。
【0017】
CPU100は、ROM102に格納されているエネルギー使用量管理プログラムを実行することにより、建物における各種エネルギーのコストシミュレーションを行う。CPU100は、本発明の演算手段に相当する。
入出力インターフェース112は、外部から入力されるエネルギー使用量を示すデータを取り込む機能を有している。
【0018】
また、エネルギー管理データベース2には、エネルギー種別毎の年間使用量、エネルギー換算値、エネルギー種別毎の年間消費料、各種基準値、契約種別毎の電力料金体系を示す各種データ、水道の料金体系を示す各種データ、都市ガス、重油等の料金体系を示す各種データが格納されている。ここで、エネルギー管理データベース2は本発明の記憶手段に相当する。
【0019】
次に、本実施形態に係るエネルギー使用量管理システムによる建物における各種エネルギーのコストシミュレーションの一例を図2及び図3のフローチャートを参照して説明する。このコストシミュレーションは、各種エネルギー使用量において、その基準値より超えている建物について原単位平均値化を図った場合のコストシミュレーションを行い、現状値と改善値とを比較できるようにしたことを特徴としている。
【0020】
すなわち、建物で消費されるエネルギーのエネルギー消費原単位を算出し、該建物で消費されるエネルギーのエネルギー消費原単位と建物の種別に応じて予め決定されているエネルギー消費原単位の基準値との比較結果に基づいて現在のエネルギー消費原単位が前記基準値以上である場合には、エネルギー使用量を前記基準値以下に改善した場合のエネルギー費用を演算することを特徴としている。
【0021】
図2及び図3において、プログラムを起動すると、表示部108の画面上に表示された複数のエネルギー消費原単位のうちコストシミュレーションの対象とするエネルギー原単位を入力部106により指定する(ステップ200〜203)。エネルギー原単位としては、一次エネルギー原単位(MJ/m・年)、CO原単位(kg・CO/m・年)、エネルギー消費原単位(円/m・年)がある。
【0022】
ここで、ステップ200でエネルギー原単位として一次エネルギーが入力部106により指定されたとする(ステップ201)ステップ204では、エネルギー原単位が、各種の一次エネルギーについて次式により算出される。
エネルギー消費原単位={(各種別毎年間消費量)×各換算値/延床面積}の全種別合計 (1)
【0023】
ここで、「各種別毎年間消費量」とは、特定の建物(コストシミュレーションの対象とする建物)における各種一次エネルギーの種別毎の年間消費量を意味するものとし、「各換算値」とは、共通のエネルギー単位に換算するための値を意味する。また、一次エネルギーとしては、電力、水道水、都市ガス、重油等がある。
【0024】
ステップ204で、CPU100はエネルギー管理データベース2にアクセスしてコストシミュレーション必要なデータを読み出し、一次エネルギーのエネルギー原単位を算出する。次いで、ステップ206では、ステップ204で算出した一次エネルギーのエネルギー原単位に対する基準値を表示部108の画面上で入力部106を操作して選択する。
【0025】
基準値として、例えば、ビルエネルギー協会で定めた「ビルエネ協会基準値」、省エネルギーセンタで定めた「省エネセンタ基準値」、自社で定めた「自社基準値」がある(ステップ207〜209)。
これらの基準値は、コストシミュレーションの対象としている建物と類似の建物について決められたエネルギー消費原単位の基準値である。
【0026】
選択した基準値により類似ビル比較値Sを求める(ステップ210)。類似ビル比較値Sは、次式で求められる。
類似ビル比較値S=エネルギー消費原単位/平均値(単純平均値) (2)
ここで、「平均値(単純平均値)」は、ステップ207〜209のいずれかで選択した基準値に相当する。
【0027】
次いで、ステップ211では、S>1であるか否かを判定する。S≦1である場合には現状値を帳票に反映してプリンタ110に出力する(ステップ215、214)。
ステップ211でS>1であると判定した場合には、予測値を計算し、帳票に反映させる(ステップ212)。
【0028】
すなわち、基準値を超えた分だけエネルギー消費量を削減するように、その削減予測金額を次式により算出し(ステップ213)し、帳票としてプリンタ110より出力する(ステップ214)。
削減予測金額=現在のエネルギー費用×(現在のエネルギー消費原単位−平均エネルギー消費原単位)/現在のエネルギー消費原単位 (3)
【0029】
次に、本実施形態に係るエネルギー使用量管理システムによる建物における各種エネルギーのコストシミュレーションの他の例を、図4乃至図6のフローチャートを参照して説明する。このコストシミュレーションは、エネルギー使用量の契約改善シミュレーションを、電力を対象として行うものである。すなわち、建物における使用電力において、最大使用電力(年間最大値)と契約電力とを比較し、契約電力に余裕が有る建物については、契約値を適正化した場合のコストシミュレーションを行うものである。
【0030】
図4乃至図6において、まず、コストシミュレーションの対象となる建物の電力の契約種別が業務用電力、特別高圧電力、高圧電力B、高圧電力A、低圧電力のいずれかに属するか否かを判定する(ステップ400)。ステップ400で、建物の電力の契約種別が上記のいずれにも該当しない場合には、ステップ416に移行し、現状値を帳票に反映させ、プリンタ110より出力する(ステップ415)。
【0031】
ステップ400で、コストシミュレーションの対象となる建物の電力の契約種別が業務用電力、特別高圧電力、高圧電力B、高圧電力A、低圧電力のいずれかに属すると判定した場合には、電力使用量差分を次式により求める(ステップ401)。
電力使用量差分=最大使用電力(年間最大値)−契約電力 (4)
次いで、ステップ401で算出した電力使用量差分の符号判定を行う(ステップ402)。図9に最大使用電力と契約電力との差のヒストグラムを示す。
【0032】
ステップ402における符号判定が「+」である場合、すなわち契約電力を超えている場合には、ステップ416に移行し、現状値を帳票に反映させて、プリンタ110より出力する(ステップ415)。
また、ステップ402における符号判定が「−」である場合、すなわち最大使用電力が契約電力を超えていない場合には、次式により契約電力改善値を求める(ステップ403)。
契約電力改善値=契約電力−使用電力差分 (5)
【0033】
コストシミュレーションの対象となる建物の電力の契約種別が業務用電力である場合には、ステップ409に移行し、ステップ409では、上式(5)で算出された契約電力改善値が50kW以下であるか否かを判定する。契約電力改善値が50kW以下である場合には、業務用電力は契約電力が50kW以上となっているので、契約電力改善値を50kWとし(ステップ410)、上式(5)で算出された契約電力改善値が50kWを超える場合には、その値を契約電力改善値とし、ステップ411に移行する。
【0034】
ステップ411では、電力料金を算出するための単金(電力量の単価)を選択する。単金は、東京(例えば、東京電力(株))と大阪(例えば、関西電力(株))とでは異なるからである。東京単金を選択すると(ステップ412)、東京単金に基づいて、また、大阪単金を選択すると(ステップ413)、大阪単金に基づいて契約電力改善値及び実際の電力使用量についての電力料金が算出され(ステップ414)、これらの演算データが帳票としてプリンタ110より出力される(ステップ415)。
【0035】
また、コストシミュレーションの対象となる建物の電力の契約種別が特別高圧電力である場合(ステップ405)、契約電力改善値が高圧電力Bの契約電力の範囲内にあり、かつ現状の契約種別と一致する場合(ステップ406)、契約電力改善値が高圧電力Aの契約電力の範囲内にあり、かつ現状の契約種別と一致する場合(ステップ407)、契約電力改善値が低圧電力の契約電力の範囲内にあり、かつ現状の契約種別と一致する場合(ステップ408)は、ステップ411に移行し、ステップ411〜415で既述した処理を行う。
【0036】
ステップ406、407、408で契約電力改善値が現状の契約電力の範囲内に無い場合には、ステップ417に移行する。ステップ417では、電力料金を算出するための単金(電力量の単価)を選択する。東京単金を選択すると(ステップ418)、東京単金に基づいて、また、大阪単金を選択すると(ステップ419)、大阪単金に基づいて契約電力改善値及び実際の電力使用量についての電力料金が算出される(ステップ420)。このときの試算値をX1とする。
【0037】
次に、1ランク下の契約種別の契約電力(最低値)で電力計算を行う(ステップ421)。このときの試算値をX2とする。ステップ422では、X1>X2であるか否かを判定する。X1>X2であれば、現状より1ランク下の契約種別に契約変更し、試算値X2を反映した帳票出力を行う(ステップ415)。
またX1≦X2であれば、契約種別は現状のままとし、試算値X1を反映した帳票出力を行う(ステップ415)。
【0038】
ここで、ステップ406、407、408で契約電力改善値が現状の契約電力の範囲内に無い場合において契約種別変更による電力料金の試算例について説明する。
事業場の一般的な電力契約種別を下表に示す。電力需要の場合は契約電力によって、契約種別が決定される。したがって、契約電力が各契約電力の境界上にある場合、契約種別によって、電力料金に差が生じる場合がある。
【0039】
【表1】
Figure 2004326240
ここで、
電力料金=基本料金+電力量料金±燃料費調整価額 (6)
基本料金=基本料金単価×契約電力×(1.85−力率) (7)
電力量料金=月間使用電力量×電力量単価(夏季・その他季) (8)
である。
【0040】
試算例1) 高圧電力Aを低圧電力に契約変更した場合
試算条件は、
契約電力:50kW(実際には低圧電力は50kW未満であるが、計算簡略化のため)
力率:0.85
使用電力量(夏季:7〜9月):30000kWh
使用電力量(その他季:10月〜6月):70000kWh
とする。
【0041】
上記条件で試算すると、
高圧電力A:(1175×50×12)+(30000×10.47)+(70000×9.52)=1,685,500円/年
低圧電力:(1020×50×12)+(30000×10.59)+(70000×9.63)=1,603,800円/年
となる。
すなわち、現状の契約種別である高圧電力Aを低圧電力に契約変更すると、81,700円/年の節約となる。なお、上記計算例においては、説明の便宜上、電力料金に燃料調整価額を入れていない。以下の試算についても同様である。
【0042】
試算例2) 高圧電力Bを高圧電力Aに契約変更した場合
試算条件は、
契約電力:500kW(実際には高圧電力Aは500kW未満であるが、計算簡略化のため)
力率:0.85
使用電力量(夏季:7〜9月):300000kWh
使用電力量(その他季:10月〜6月):700000kWh
とする。
【0043】
試算結果は、
高圧電力B:(1650×500×12)+(300000×9.63)+(700000×8.75)=18,914,000円/年
高圧電力A:(1175×500×12)+(300000×10.47)+(700000×9.52)=16,855,000円/年
となる。
すなわち、現状の契約種別である高圧電力Bを高圧電力Aに契約変更すると、2,059,000円/年の節約となる。
【0044】
試算例3) 高圧電力Bを高圧電力Aに契約変更した場合
試算条件は、
契約電力:500kW(実際には高圧電力Aは500kW未満であるが、計算簡略化のため)
力率:0.85
使用電力量(夏季:7〜9月):900000kWh
使用電力量(その他季:10月〜6月):2700000kWh
とする。
【0045】
試算結果
高圧電力B:(1650×500×12)+(900000×9.63)+(2700000×8.75)=42,192,000円/年
高圧電力A:(1175×500×12)+(900000×10.47)+(2700000×9.52)=42,177,000円/年
すなわち、現状の契約種別である高圧電力Bを高圧電力Aに契約変更すると、15,000円/年の節約となる。
以上のように、年間需要率が高い(契約電力ギリギリで年間を通して需要がある)場合、節約量は少なくなる傾向にある。
【0046】
次に、本実施形態に係るエネルギー使用量管理システムによる建物における各種エネルギーのコストシミュレーションのさらに他の例を、図7のフローチャートを参照して説明する。このコストシミュレーションは、エネルギー使用量の契約改善シミュレーションを、水道を対象として行うものである。すなわち、建物における使用水量において、実績値と口径基準値とを比較し、現在の契約値である口径基準値に余裕が有る建物については、契約値を適正化した場合のコストシミュレーションを行うものである。
【0047】
図7において、コストシミュレーションの対象となる建物全体における一ヶ月当たりの平均水量(使用水量)が算出される(ステップ500)。次いで、口径基準値、すなわち図10に示す水道水の蛇口の口径のサイズと平均使用量(基準値)との関係を示すデータがエネルギー管理データベース2より抽出される(ステップ501)。
さらに、ステップ502では、ステップ501で得られたデータに基づいて契約している口径の水道の実績値(水道使用量)と口径平均使用量(基準値)との大小判定を行う。
【0048】
ステップ502で実績値>基準値であると判定した場合には、ステップ503では、水道料金を算出するための単金(使用水量の単価)を選択する。単金は、東京(例えば、東京水道局)と大阪(例えば、大阪水道局)とでは異なるからである。東京単金を選択すると(ステップ504)、東京単金に基づいて、また、大阪単金を選択すると(ステップ505)、大阪単金に基づいて契約使用水量改善値及び実際の使用水量についての料金が算出され(ステップ506)、これらの演算データが帳票としてプリンタ110より出力される(ステップ507)。
また、ステップ502で実績値≦であると判定した場合には、実績値をそのまま帳票に反映してプリンタ110より出力する(ステップ508、507)。
【0049】
次に、本実施形態に係るエネルギー使用量管理システムによる建物における各種エネルギーのコストシミュレーションのさらに他の例を、図8のフローチャートを参照して説明する。このコストシミュレーションは、エネルギー使用量の契約改善シミュレーションを、都市ガスまたは重油を対象として行うものである。すなわち、建物における都市ガスまたは重油の使用量において、改善値使用量を算出し、各社単金を用いて料金計算を行うものである。
【0050】
まず、ステップ600でコストシミュレーションの対象となる建物で使用された都市ガスまたは重油の削減目標値が設定される。この削減目標値は、デフォルト値として現在の使用量の10%である。この削減目標値は適宜、設定される。
次いで、都市ガスまたは重油の使用量改善値(目標値)をステップ600で設定した削減目標値から次式により算出する(ステップ601)。
使用量改善値=(現在の使用量)×(1−0.1) (9)
【0051】
次いで、ステップ602では、都市ガスまたは重油の料金を算出するための単金(使用水量の単価)を選択する。単金は、例えば、ガスについて言えば、東京(例えば、東京ガス(株))と大阪(例えば、大阪ガス(株))とでは異なるからである。東京単金を選択すると(ステップ603)、東京単金に基づいて、また、大阪単金を選択すると(ステップ604)、大阪単金に基づいて都市ガスまたは重油の使用量改善値及び実際の使用量についての料金が算出され(ステップ605)、これらの演算データが帳票としてプリンタ110より出力される(ステップ606)。
【0052】
なお、図2乃至図8のいずれかに記載した処理内容(プログラム)をコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、コンピュータシステムに読み込ませ、実行するようにしてもよい。
例えば、建物で消費されるエネルギーのエネルギー消費原単位を算出する第1のステップと、前記建物で消費されるエネルギーのエネルギー消費原単位と建物の種別に応じて予め決定されているエネルギー消費原単位の基準値とを比較する第2のステップと、第2のステップにおける比較結果に基づいて現在のエネルギー消費原単位が前記基準値以上である場合には、エネルギー使用量を前記基準値以下に改善した場合のエネルギー費用を演算する第3のステップとを実行するためのコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されたエネルギー使用量管理プログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、コンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより図1に示すエネルギー使用量管理システムとして機能させるようにしてもよい。
【0053】
なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)を含むものとする。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。
【0054】
さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
また上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。
【0055】
ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。
また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【0056】
本発明の実施形態によれば、建物で消費されるエネルギーのエネルギー消費原単位を算出し、該建物で消費されるエネルギーのエネルギー消費原単位と建物の種別に応じて予め決定されているエネルギー消費原単位の基準値との比較結果に基づいて現在のエネルギー消費原単位が前記基準値以上である場合には、エネルギー使用量を前記基準値以下に改善した場合のエネルギー費用を演算するようにしたので、建物のエネルギー使用量を総合的に管理することができる。
以上、この発明の実施形態を、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【0057】
【発明の効果】
以上に説明したように本発明によれば、建物で消費されるエネルギーのエネルギー消費原単位を算出し、該建物で消費されるエネルギーのエネルギー消費原単位と建物の種別に応じて予め決定されているエネルギー消費原単位の基準値との比較結果に基づいて現在のエネルギー消費原単位が前記基準値以上である場合には、エネルギー使用量を前記基準値以下に改善した場合のエネルギー費用を演算するようにしたので、建物のエネルギー使用量を総合的に管理することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係るエネルギー使用量管理システムの構成を示すブロック図。
【図2】本実施形態に係るエネルギー使用量管理システムによる建物における各種エネルギーのコストシミュレーションの一例を示すフローチャート。
【図3】本実施形態に係るエネルギー使用量管理システムによる建物における各種エネルギーのコストシミュレーションの一例を示すフローチャート。
【図4】本実施形態に係るエネルギー使用量管理システムによる建物における各種エネルギーのコストシミュレーションの他の例を示すフローチャート。
【図5】本実施形態に係るエネルギー使用量管理システムによる建物における各種エネルギーのコストシミュレーションの他の例を示すフローチャート。
【図6】本実施形態に係るエネルギー使用量管理システムによる建物における各種エネルギーのコストシミュレーションの他の例を示すフローチャート。
【図7】本実施形態に係るエネルギー使用量管理システムによる建物における各種エネルギーのコストシミュレーションのさらに他の例を示すフローチャート。
【図8】本実施形態に係るエネルギー使用量管理システムによる建物における各種エネルギーのコストシミュレーションのさらに他の例を示すフローチャート。
【図9】最大使用電力と契約電力との差のヒストグラムを示す説明図。
【図10】水道水の蛇口の口径のサイズと平均使用量(基準値)との関係を示す図。
【符号の説明】
1…データ処理装置
2…エネルギー管理データベース
100…CPU
102…ROM
104…RAM
106…入力部
108…表示部
110…プリンタ
112…入出力インターフェース
120…バス

Claims (9)

  1. 建物で消費されるエネルギーのエネルギー消費原単位を算出し、該建物で消費されるエネルギーのエネルギー消費原単位と建物の種別に応じて予め決定されているエネルギー消費原単位の基準値との比較結果に基づいて現在のエネルギー消費原単位が前記基準値以上である場合には、エネルギー使用量を前記基準値以下に改善した場合のエネルギー費用を演算することを特徴とする建物のエネルギー使用量管理方法。
  2. 前記エネルギー消費原単位は、一次エネルギー原単位、CO原単位、及び料金に換算されたエネルギー消費原単位のいずれかであることを特徴とする請求項1に記載の建物のエネルギー使用量管理方法。
  3. 前記エネルギー使用量を前記基準値以下に改善した場合のエネルギー費用を、現在のエネルギー消費原単位と前記基準値との差分から算出されるエネルギー費用を削減予測金額として算出することを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の建物のエネルギー使用量管理方法。
  4. 建物における現在のエネルギー使用量がエネルギー供給会社と契約した契約種別で定められた契約使用量以下である場合に、前記現在のエネルギー使用量に応じた契約種別に変更し、該契約種別変更後のエネルギー費用を算出することを特徴とする建物のエネルギー使用量管理方法。
  5. 建物で消費される現在のエネルギー使用量を含む各種データを入力するための入力手段と、
    エネルギー消費原単位の基準値、エネルギー消費原単位を算出するための各種パラメータを含む各種データが格納されている記憶手段と、
    前記入力手段により指定された建物で消費されるエネルギーのエネルギー消費原単位を前記記憶手段より読み出した各種データに基づいて算出し、該建物で消費されるエネルギーのエネルギー消費原単位と、建物の種別に応じて予め決定されている前記入力手段により指定されたエネルギー消費原単位の基準値との比較結果に基づいて現在のエネルギー消費原単位が前記基準値以上である場合には、エネルギー使用量を前記基準値以下に改善した場合のエネルギー費用を演算する演算手段と、
    前記演算手段により算出されたエネルギー使用量を前記基準値以下に改善した場合のエネルギー費用を示すデータを出力する出力手段と、
    を有することを特徴とするエネルギー使用量管理システム。
  6. 前記演算手段により演算される前記エネルギー消費原単位は、一次エネルギー原単位、CO原単位、及び料金に換算されたエネルギー消費原単位のいずれかであることを特徴とする請求項5に記載のエネルギー使用量管理システム。
  7. 前記演算手段は、前記エネルギー使用量を前記基準値以下に改善した場合のエネルギー費用を、現在のエネルギー消費原単位と前記基準値との差分から算出されるエネルギー費用を削減予測金額として算出することを特徴とする請求項5または6のいずれかに記載のエネルギー使用量管理システム。
  8. 建物における現在のエネルギー使用量を含む各種データを入力するための入力手段と、
    契約種別と、該契約種別に対応するエネルギーの契約使用量、エネルギーの単価を含むデータが格納される記憶手段と、
    前記入力手段により入力された建物における現在のエネルギー使用量がエネルギー供給会社と契約した契約種別で定められた契約使用量以下である場合に、現在のエネルギー使用量に応じた契約種別に変更し、該契約種別変更後のエネルギー費用を前記記憶手段から読み出した契約種別、該契約種別に対応するエネルギーの契約使用量及びエネルギーの単価を含む各種データに基づいて算出する演算手段と、
    前記演算手段の演算結果を出力する出力手段と、
    を有することを特徴とするエネルギー使用量管理システム。
  9. 建物で消費されるエネルギーのエネルギー消費原単位を算出する第1のステップと、
    前記建物で消費されるエネルギーのエネルギー消費原単位と建物の種別に応じて予め決定されているエネルギー消費原単位の基準値とを比較する第2のステップと、
    第2のステップにおける比較結果に基づいて現在のエネルギー消費原単位が前記基準値以上である場合には、エネルギー使用量を前記基準値以下に改善した場合のエネルギー費用を演算する第3のステップとを実行するためのコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されたエネルギー使用量管理プログラム。
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