JP2004325970A - ディスプレイシステムおよびディスプレイ方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】簡単な構造で設置環境の影響を受けにくく、かつ高い宣伝効果が保ち得るディスプレイシステムおよびディスプレイ方法を提供する。
【解決手段】観察者が設定経路上を移動する場合に、その観察者による視認方向が変化するにつれて動画を認識させるディスプレイシステムであって、特定の動画から複数の画像フレームを編成することによって、これらの画像フレームを観察者の移動方向においてスクリーン状に配置する画像配置手段と、この画像配置手段の観察面に積層され、かつ一の画像フレームが観察者に視認される方向を別の画像フレームのものと異ならせる視線弁別手段とを有している。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ディスプレイシステムおよびディスプレイ方法に関し、たとえば、観察者に対する視覚効果によって動画を認識させるシステムおよび方法に適用することができる。
【0002】
【従来の技術】
従来から、地下鉄構内の壁面広告として、電車が走行しているときに、車内の乗客に視認させることにより広告効果を期待したディスプレイ技術が知られている。たとえば、電車の通過をセンサにより検知して案内文を電飾表示させるシステムがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上述したような従来技術においては、次のような課題があった。
▲1▼案内文などの文字広告は、画像広告に比べて、また、画像広告は動画広告に比べて観察者の関心が低下しがちなので、広告効果が低いと評価され易く、目新しいシステムであっても、広告料が安く見積もられていた。
▲2▼動画広告を表示させるために、ディスプレイ装置などを地下鉄構内に設置すると、頻繁な電車の通過に伴う振動によりブラウン管などを破損したり、内部配線に断線を生じたりして、頻繁に動画が途切れてしまうか、映像が乱れるおそれがあった。
▲3▼また、センサ、電子制御装置などの精密部品を用いると、閉鎖的な構内では塵埃が感知部に堆積し易く、汚染されてしまい十分な製品寿命が期待できないおそれがあった。
【0004】
本発明は、上記事情に鑑みて為されたもので、簡単な構造で設置環境の影響を受けにくく、かつ高い宣伝効果が保ち得るディスプレイシステムおよびディスプレイ方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に記載のディスプレイシステムは、観察者が設定経路上を移動する場合に、その観察者による視認方向が変化するにつれて動画を認識させるディスプレイシステムであって、
特定の動画から複数の画像フレームを編成することによって、これらの画像フレームを観察者の移動方向においてスクリーン状に配置する画像配置手段と、
この画像配置手段の観察面に積層され、かつ一の画像フレームが観察者に視認される方向を別の画像フレームのものと異ならせる視線弁別手段とを有したことを特徴とする。
【0006】
請求項1に記載の発明においては、動画をデータソースとして、複数コマの画像フレームから画像配置手段により展示用のスクリーンが形成される。たとえば、画像データベースに多様な動画データを蓄積した場合に、各種のメディア処理ソフトウェアによって、特定の用途に適した動画の種類、コマ割りの数、画質、画像フレームのサンプルタイミングなどを選択する。これにより、観察者の興味、移動状況などに適合する広告効果を狙った画像メディアが形成される。この画像メディアのスクリーンにおいて、画像フレーム群の一の画像フレームから別の画像フレームにわたって視線弁別手段を積層することにより、観察者の視線方向が移動に伴って変化すると、一の画像フレームが別の画像フレームと切り換わって見えることによって、画像フレーム群が配置状態に基づく動画として視認される。また、スクリーン状の画像メディアをまとまりよく保管でき、かつ容易に運搬できるので狭く閉鎖的な展示環境においても設置し易くできる。
【0007】
請求項2に記載のディスプレイシステムは、請求項1に記載のディスプレイシステムにおいて、前記観察者は、交通機関の利用者であって、路線わきに展示された画像フレーム群の視認方向が当該交通機関の運行によって変化することを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明においては、複数の画像フレームからなるスクリーンが画像配置手段によって路線わきに設置される。交通機関の車両などが通り過ぎるときに、乗っている者が窓外を見ると、画像フレームの切り換わりにより動画として効果的に興味を惹くことができる。このような路線わきとして、たとえば、地下鉄の駅間における地下トンネルの壁面、天井面、路面、入出ゲート面が挙げられる。
【0009】
請求項3に記載のディスプレイシステムは、請求項1または請求項2に記載のディスプレイシステムにおいて、前記観察者は、通行人であって、当該通行人が移動することによって、通路わきに展示された画像フレーム群の視認方向が変化することを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の発明においては、複数の画像フレームからなるスクリーンが画像配置手段によって通路わきに設置される。通行人が通り過ぎるときに通路わきを見ると、画像フレームの切り換わりにより動画として効果的に興味を惹くことができる。このような通路わきとして、たとえば、駅、空港、港において乗客乗員用通路の壁面、天井面、床面、入出口面が挙げられる。
【0011】
請求項4に記載のディスプレイシステムは、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のディスプレイシステムにおいて、前記視線弁別手段は、各画像フレームによる照射光または反射光の光軸を相異ならせていることを特徴とする。
【0012】
請求項4に記載の発明においては、画像フレーム群を発光させ、または画像フレーム群にバックライトを透過させれば、照射光が生じて視線弁別手段により屈折、回析、干渉を引き起こす。また、各画像フレームを照明すれば、同じく反射光が屈折などを引き起こす。このときに、各画像フレームの配置に基づいて、一の画像フレームによる屈折などと別の画像フレームによるものとの比率を相異ならせる。これにより、照射光などが通行人に視認される方向を異ならせることができる。このような視線弁別手段として、レンチキュラーフィルターが挙げられる。
【0013】
請求項5に記載のディスプレイ方法は、観察者が設定経路上を移動する場合に、その観察者による視認方向が変化するにつれて動画を認識させるディスプレイ方法であって、
特定の動画から複数の画像フレームを編成することによって、これらの画像フレームを観察者の移動方向においてスクリーン状に配置する画像配置ステップと、
この画像配置ステップにおいて観察面に積層され、かつ一の画像フレームが観察者に視認される方向を別の画像フレームのものと異ならせる視線弁別ステップとを有したことを特徴とする。
【0014】
請求項5に記載の発明においては、動画をデータソースとして、複数コマの画像フレームから画像配置ステップで展示用のスクリーンが形成される。たとえば、画像データベースに多様な動画データを蓄積した場合に、各種のメディア処理ソフトウェアによって、特定の用途に適した動画の種類、コマ割りの数、画質、画像フレームのサンプルタイミングなどを選択する。これにより、観察者の興味、移動状況などに適合する広告効果を狙った画像メディアが形成される。この画像メディアのスクリーンにおいて、画像フレーム群の一の画像フレームから別の画像フレームにわたって視線弁別ステップで積層することにより、観察者の視線方向が移動に伴って変化すると、一の画像フレームが別の画像フレームと切り換わって見えることによって、画像フレーム群が配置状態に基づく動画として視認される。また、スクリーン状の画像メディアをまとまりよく保管でき、かつ容易に運搬できるので狭く閉鎖的な展示環境においても設置し易くできる。
【0015】
請求項6に記載のディスプレイ方法は、請求項5に記載のディスプレイ方法において、前記観察者は、交通機関の利用者であって、路線わきに展示された画像フレーム群の視認方向が当該交通機関の運行によって変化することを特徴とする。
【0016】
請求項6に記載の発明においては、複数の画像フレームからなるスクリーンが画像配置ステップで路線わきに設置される。交通機関の車両などが通り過ぎるときに、乗っている者が窓外を見ると、画像フレームの切り換わりにより動画として効果的に興味を惹くことができる。このような路線わきとして、たとえば、地下鉄の駅間における地下トンネルの壁面、天井面、路面、入出ゲート面が挙げられる。
【0017】
請求項7に記載のディスプレイ方法は、請求項5または請求項6に記載のディスプレイ方法において、前記観察者は、通行人であって、当該通行人が移動することによって、通路わきに展示された画像フレーム群の視認方向が変化することを特徴とする。
【0018】
請求項7に記載の発明においては、複数の画像フレームからなるスクリーンが画像配置ステップで通路わきに設置される。通行人が通り過ぎるときに通路わきを見ると、画像フレームの切り換わりにより動画として効果的に興味を惹くことができる。このような通路わきとして、たとえば、駅、空港、港において乗客乗員用通路の壁面、天井面、床面、入出口面が挙げられる。
【0019】
請求項8に記載のディスプレイ方法は、請求項5乃至請求項7のいずれかに記載のディスプレイ方法において、前記視線弁別ステップは、各画像フレームによる照射光または反射光の光軸を相異ならせていることを特徴とする。
【0020】
請求項8に記載の発明においては、画像フレーム群を発光させ、または画像フレーム群にバックライトを透過させれば、照射光が生じて視線弁別ステップで屈折、回析、干渉を引き起こす。また、各画像フレームを照明すれば、同じく反射光が屈折などを引き起こす。このときに、各画像フレームの配置に基づいて、一の画像フレームによる屈折などと別の画像フレームによるものとの比率を相異ならせる。これにより、照射光などが通行人に視認される方向を異ならせることができる。このような視線弁別ステップとして、レンチキュラーフィルターの機能が挙げられる。
【0021】
請求項9に記載のプログラムは、請求項5乃至請求項8のいずれかに記載のディスプレイ方法をコンピューターに実行させるためのプログラムである。
【0022】
請求項9に記載の発明においては、請求項5乃至請求項8のいずれかに記載のディスプレイ方法をコンピューターに実行させることができる。
【0023】
請求項10に記載の記録媒体は、請求項5乃至請求項8のいずれかに記載のディスプレイ方法をコンピューターに実行させるためのプログラムが記録されていることを特徴とするコンピューター読み取り可能な記録媒体である。
【0024】
請求項10に記載の発明においては、請求項5乃至請求項8のいずれかに記載のディスプレイ方法をコンピューターに実行させることができる。
【0025】
本発明の請求項11に記載のディスプレイシステムは、観察者が設定経路上を移動する場合に、その観察者による視認方向が変化するにつれて動画を認識させるディスプレイシステムであって、
特定の動画から複数の画像フレームを編成することによって、これらの画像フレームを観察者の移動方向においてスクリーン状に配置する画像配置手段と、
この画像配置手段の観察面に積層され、かつ一の画像フレームが観察者に視認される方向を別の画像フレームのものと異ならせる視線弁別手段と、
この視線弁別手段と観察者との間に設けられ、かつ観察者が画像フレームの視認方向において各画像フレームを見とおす視線遮蔽手段とを有したことを特徴とする。
【0026】
請求項11に記載の発明においては、動画をデータソースとして、複数コマの画像フレームから画像配置手段により展示用のスクリーンが形成される。たとえば、画像データベースに多様な動画データを蓄積した場合に、各種のメディア処理ソフトウェアによって、特定の用途に適した動画の種類、コマ割りの数、画質、画像フレームのサンプルタイミングなどを選択する。これにより、観察者の興味、移動状況などに適合する広告効果を狙った画像メディアが形成される。この画像メディアのスクリーンにおいて、画像フレーム群の一の画像フレームから別の画像フレームにわたって視線弁別手段を積層することにより、観察者の視線方向が移動に伴って変化すると、一の画像フレームが別の画像フレームと切り換わって見えることによって、画像フレーム群が配置状態に基づく動画として視認される。また、スクリーン状の画像メディアをまとまりよく保管でき、かつ容易に運搬できるので狭く閉鎖的な展示環境においても設置し易くできる。画像メディアのスクリーンと観察者との間では、視線遮蔽手段により各画像フレームが視認方向において見とおされる。
【0027】
請求項12に記載のディスプレイシステムは、請求項11に記載のディスプレイシステムにおいて、前記観察者は、交通機関の利用者であって、路線わきに展示された画像フレーム群の視認方向が当該交通機関の運行によって変化することを特徴とする。
【0028】
請求項12に記載の発明においては、複数の画像フレームからなるスクリーンが画像配置手段によって路線わきに設置される。交通機関の車両などが通り過ぎるときに、乗っている者が窓外を見ると、画像フレームの切り換わりにより動画として効果的に興味を惹くことができる。このような路線わきとして、たとえば、地下鉄の駅間における地下トンネルの壁面、天井面、路面、入出ゲート面が挙げられる。
【0029】
請求項13に記載のディスプレイシステムは、請求項11または請求項12に記載のディスプレイシステムにおいて、前記観察者は、通行人であって、当該通行人が移動することによって、通路わきに展示された画像フレーム群の視認方向が変化することを特徴とする。
【0030】
請求項13に記載の発明においては、複数の画像フレームからなるスクリーンが画像配置手段によって通路わきに設置される。通行人が通り過ぎるときに通路わきを見ると、画像フレームの切り換わりにより動画として効果的に興味を惹くことができる。このような通路わきとして、たとえば、駅、空港、港において乗客乗員用通路の壁面、天井面、床面、入出口面が挙げられる。
【0031】
請求項14に記載のディスプレイシステムは、請求項11乃至請求項13のいずれかに記載のディスプレイシステムにおいて、前記視線弁別手段は、各画像フレームによる照射光または反射光の光軸を相異ならせていることを特徴とする。
【0032】
請求項14に記載の発明においては、画像フレーム群を発光させ、または画像フレーム群にバックライトを透過させれば、照射光が生じて視線弁別手段により屈折、回析、干渉を引き起こす。また、各画像フレームを照明すれば、同じく反射光が屈折などを引き起こす。このときに、各画像フレームの配置に基づいて、一の画像フレームによる屈折などと別の画像フレームによるものとの比率を相異ならせる。これにより、照射光などが通行人に視認される方向を異ならせることができる。このような視線弁別手段として、レンチキュラーフィルターが挙げられる。
【0033】
請求項15に記載のディスプレイ方法は、観察者が設定経路上を移動する場合に、観察者が設定経路上を移動する場合に、その観察者による視認方向が変化するにつれて動画を認識させるディスプレイ方法であって、
特定の動画から複数の画像フレームを編成することによって、これらの画像フレームを観察者の移動方向においてスクリーン状に配置する画像配置ステップと、
この画像配置ステップでスクリーン状に配置された観察面に近接し、かつ一の画像フレームが観察者に視認される方向を別の画像フレームのものと異ならせる視線弁別ステップと、
この視線弁別ステップで異ならせた視認方向において、観察者が各画像フレームを見とおす視線遮蔽ステップとを有したことを特徴とする。
【0034】
請求項15に記載の発明においては、動画をデータソースとして、複数コマの画像フレームから画像配置ステップで展示用のスクリーンが形成される。たとえば、画像データベースに多様な動画データを蓄積した場合に、各種のメディア処理ソフトウェアによって、特定の用途に適した動画の種類、コマ割りの数、画質、画像フレームのサンプルタイミングなどを選択する。これにより、観察者の興味、移動状況などに適合する広告効果を狙った画像メディアが形成される。この画像メディアのスクリーンにおいて、画像フレーム群の一の画像フレームから別の画像フレームにわたって視線弁別ステップで積層することにより、観察者の視線方向が移動に伴って変化すると、一の画像フレームが別の画像フレームと切り換わって見えることによって、画像フレーム群が配置状態に基づく動画として視認される。また、スクリーン状の画像メディアをまとまりよく保管でき、かつ容易に運搬できるので狭く閉鎖的な展示環境においても設置し易くできる。画像メディアのスクリーンと観察者との間では、視線遮蔽ステップで各画像フレームが視認方向において見とおされる。
【0035】
請求項16に記載のディスプレイ方法は、請求項15に記載のディスプレイ方法において、前記観察者は、交通機関の利用者であって、路線わきに展示された画像フレーム群の視認方向が当該交通機関の運行によって変化することを特徴とする。
【0036】
請求項16に記載の発明においては、複数の画像フレームからなるスクリーンが画像配置ステップで路線わきに設置される。交通機関の車両などが通り過ぎるときに、乗っている者が窓外を見ると、画像フレームの切り換わりにより動画として効果的に興味を惹くことができる。このような路線わきとして、たとえば、地下鉄の駅間における地下トンネルの壁面、天井面、路面、入出ゲート面が挙げられる。
【0037】
請求項17に記載のディスプレイ方法は、請求項15または請求項16に記載のディスプレイ方法において、前記観察者は、通行人であって、当該通行人が移動することによって、通路わきに展示された画像フレーム群の視認方向が変化することを特徴とする。
【0038】
請求項17に記載の発明においては、複数の画像フレームからなるスクリーンが画像配置ステップで通路わきに設置される。通行人が通り過ぎるときに通路わきを見ると、画像フレームの切り換わりにより動画として効果的に興味を惹くことができる。このような通路わきとして、たとえば、駅、空港、港において乗客乗員用通路の壁面、天井面、床面、入出口面が挙げられる。
【0039】
請求項18に記載のディスプレイ方法は、請求項15乃至請求項17のいずれかに記載のディスプレイ方法において、前記視線弁別ステップは、各画像フレームによる照射光または反射光の光軸を相異ならせていることを特徴とする。
【0040】
請求項18に記載の発明においては、画像フレーム群を発光させ、または画像フレーム群にバックライトを透過させれば、照射光が生じて視線弁別ステップで屈折、回析、干渉を引き起こす。また、各画像フレームを照明すれば、同じく反射光が屈折などを引き起こす。このときに、各画像フレームの配置に基づいて、一の画像フレームによる屈折などと別の画像フレームによるものとの比率を相異ならせる。これにより、照射光などが通行人に視認される方向を異ならせることができる。このような視線弁別ステップとして、レンチキュラーフィルターの機能が挙げられる。
【0041】
請求項19に記載のプログラムは、請求項15乃至請求項18のいずれかに記載のディスプレイ方法をコンピューターに実行させるためのプログラムである。
【0042】
請求項19に記載の発明においては、請求項15乃至請求項18のいずれかに記載のディスプレイ方法をコンピューターに実行させることができる。
【0043】
請求項20に記載の記録媒体は、請求項15乃至請求項18のいずれかに記載のディスプレイ方法をコンピューターに実行させるためのプログラムが記録されていることを特徴とするコンピューター読み取り可能な記録媒体である。
【0044】
請求項20に記載の発明においては、請求項15乃至請求項18のいずれかに記載のディスプレイ方法をコンピューターに実行させることができる。
【0045】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係るディスプレイシステムの概略構成例を説明するための図であって、地下鉄の路線方向に切断して拡大した断面図である。
本ディスプレイシステムは、地下鉄(交通機関)の車両が駅間のトンネル内を走行する場合に、車内の乗客(観察者)に路線(設定経路)わきの広告スクリーン(画像配置手段)10を動画として鑑賞させるものである。広告スクリーン10の表示面(観察面)には、レンチキュラーフィルター(視線弁別手段)20が表示面11を覆うように貼り付けられて積層され、かつレンチキュラーフィルター20の表面から若干離隔させて柵状の視線フィルター(視線遮蔽手段)30が並行して配置されている。地下鉄の路線40上において相前後する移動位置から見ると、特定の動画から編成された複数の画像フレームが、レンチキュラーフィルター20を通して順に切り換わり、かつ視線フィルター30を通して各別に視認可能に構成したディスプレイシステムである。レンチキュラーフィルター20をレンチキュラーともいう。
【0046】
広告スクリーン10は、動画を各種メディア加工用ソフトウェアによってコマ送り仕様の静止画像とすることにより、アニメーション効果を与える複数の画像フレームに変換してあり、合成樹脂、紙、布、金属膜などのフィルム上に焼き付けてトンネル内の壁面50に掲示され、また、発光、照明、バックライトによって照射光、反射光または透過光を生じるものである。このときに、デジタル画像からなる多様な動画群を動画データベースに蓄積しておき、広告主ごとに、路線、展示箇所、展示期間、枚数などを仕分けながら、フレーム数、拡大補正などの編集を行えば適切に管理できる。
【0047】
レンチキュラーフィルター20は、細長い半円柱状凸レンズ21群を柵状にして路線方向に並べた薄膜をなし、かつ凸面22を車両に向けて底平面23を広告スクリーンの表示面11に貼り付けることによって、凸レンズ21群の半円状断面が路線方向に繰り返し形成されるフィルターである。たとえば、各画像フレームを凸レンズ21と同数の短冊状細片10a・・・または10b・・・に分割し、凸レンズ21ごとに一の画像フレームの細片10aと他の画像フレームの細片10bとを組み合わせ、これらを凸レンズ21の底平面23範囲内に並べて焼き付けてある。
【0048】
これにより、乗客が車両とともに路線方向に移動すると、車窓から凸レンズ21を見とおす方向が変化し、凸レンズ21を通して乗客の視線が一の細片10aの視認方向D11から他の細片10bの視認方向D21に移行する。このときに、細片群10a,10bを路線方向においてコマ送り順に配置すれば、広告スクリーン10全体としては、一の画像フレームから他の画像フレームに移り変わるように視認でき、したがって、車内の乗客に動画として認識させることができる。
【0049】
視線フィルター30は、乗客が一の細片10aまたは他の細片10bだけ見とおせる幅のスリット31を路線方向に繰り返し並べた柵状をなし、かつスリット31群を画像フレームが各別に認識されるピッチで配置したフィルターである。これにより、乗客が各画像フレームを明瞭に視認できるので、動画広告としての効果を向上させることができる。これら広告スクリーン10、レンチキュラーフィルター20、視線フィルター30により、路線方向において、本システムを車両速度に合わせた任意の横長に形成でき、かつ暗がりで明瞭な動画を見ることができるので、地下鉄のトンネル内に設けられる広告環境に適したものが得られる。
【0050】
次に、本発明の実施の形態に係るディスプレイ方法の一例を、図2に示すフローチャートの一例および図1に示す図を参照しつつ説明する。
特定の動画について所定様式の編成指示を行うと、該当する動画が動画データベースから取得され、各画像フレームおよび画像フレームの細片10a,10b群が編成されて広告スクリーン10上に展開される(ステップST11)。広告スクリーン10を発光および照明すると、その照射光、反射光または透過光がレンチキュラーフィルター20を透過して屈折などする(ステップST12)。
【0051】
続いて、これら屈折光などのうちから、隣接する二つの細片10a,10bにまたがるものが遮蔽されるので、各画像フレームを明瞭に視認させるものだけが視線フィルター30を通過し、これにより、路線40上において離散的な位置に必要なものだけが照射される(ステップST13)。したがって、車両の乗客が各位置を通過すると、各画像フレームが広告スクリーン上に展開された配置に基づいて順に視認され、もとの動画が認識される(ステップST14)。
【0052】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の請求項1に記載のディスプレイシステムによれば、動画から編成された画像フレーム群が画像配置手段により広告スクリーンを形成し、これに視線弁別手段が積層され、観察者が移動するにつれて各画像フレームが動画として視認される。したがって、簡単な構造で設置環境の影響を受けにくく、かつ高い宣伝効果が保ち得るディスプレイシステムを提供できる。
【0053】
請求項2に記載のディスプレイシステムによれば、請求項1に記載の発明と同様の効果を得ることができるのは勿論のこと、交通機関の路線わきに設置できるので、新たな広告環境を提供できるとともに、多くの利用者により高い宣伝効果が期待できる。
【0054】
請求項3に記載のディスプレイシステムによれば、請求項1または請求項2に記載の発明と同様の効果を得ることができるのは勿論のこと、公共の通路わきに設置できるので、従来の広告環境で効果的に通行人の興味を惹くことができる。
【0055】
請求項4に記載のディスプレイシステムによれば、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の発明と同様の効果を得ることができるのは勿論のこと、スクリーンからの照射光を屈折などさせるので、視線弁別手段が薄膜状に形成でき、いっそう設置環境に影響されにくくできる。
【0056】
請求項5に記載のディスプレイ方法によれば、動画から編成された画像フレーム群が画像配置手段において広告スクリーンを形成し、これに視線弁別ステップで積層され、観察者が移動するにつれて各画像フレームが動画として視認される。したがって、簡単な構造で設置環境の影響を受けにくく、かつ高い宣伝効果が保ち得るディスプレイ方法を提供できる。
【0057】
請求項6に記載のディスプレイ方法によれば、請求項5に記載の発明と同様の効果を得ることができるのは勿論のこと、交通機関の路線わきに設置できるので、新たな広告環境を提供できるとともに、多くの利用者により高い宣伝効果が期待できる。
【0058】
本発明の請求項7に記載のディスプレイ方法によれば、請求項5または請求項6に記載の発明と同様の効果を得ることができるのは勿論のこと、公共の通路わきに設置できるので、従来の広告環境で効果的に通行人の興味を惹くことができる。
【0059】
請求項8に記載のディスプレイ方法によれば、請求項5乃至請求項7のいずれかに記載の発明と同様の効果を得ることができるのは勿論のこと、スクリーンからの照射光を屈折などさせるので、視線弁別ステップで薄膜状に形成でき、いっそう設置環境に影響されにくくできる。
【0060】
請求項9に記載のディスプレイ方法によれば、請求項5乃至請求項8のいずれかに記載のディスプレイ方法をコンピューターにより実行させることができる。
【0061】
請求項10に記載のディスプレイ方法によれば、請求項5乃至請求項8のいずれかに記載のディスプレイ方法をコンピューターにより実行させることができる。
【0062】
本発明の請求項11に記載のディスプレイシステムによれば、動画から編成された画像フレーム群が画像配置手段により広告スクリーンを形成し、これに視線弁別手段が積層され、観察者が移動するにつれて各画像フレームが動画として視認される。また、この動画が視線遮蔽手段で明瞭に認識される。したがって、簡単な構造で設置環境の影響を受けにくく、かつ高い宣伝効果が保ち得るディスプレイシステムを提供できる。
【0063】
請求項12に記載のディスプレイシステムによれば、請求項11に記載の発明と同様の効果を得ることができるのは勿論のこと、交通機関の路線わきに設置できるので、新たな広告環境を提供できるとともに、多くの利用者により高い宣伝効果が期待できる。
【0064】
請求項13に記載のディスプレイシステムによれば、請求項11または請求項12に記載の発明と同様の効果を得ることができるのは勿論のこと、公共の通路わきに設置できるので、従来の広告環境で効果的に通行人の興味を惹くことができる。
【0065】
請求項14に記載のディスプレイシステムによれば、請求項11乃至請求項13のいずれかに記載の発明と同様の効果を得ることができるのは勿論のこと、スクリーンからの照射光を屈折などさせるので、視線弁別手段が薄膜状に形成でき、いっそう設置環境に影響されにくくできる。
【0066】
請求項15に記載のディスプレイ方法によれば、動画から編成された画像フレーム群が画像配置手段において広告スクリーンを形成し、これに視線弁別ステップで積層され、観察者が移動するにつれて各画像フレームが動画として視認される。また、この動画が視線遮蔽ステップで明瞭に認識される。したがって、簡単な構造で設置環境の影響を受けにくく、かつ高い宣伝効果が保ち得るディスプレイ方法を提供できる。
【0067】
請求項16に記載のディスプレイ方法によれば、請求項15に記載の発明と同様の効果を得ることができるのは勿論のこと、交通機関の路線わきに設置できるので、新たな広告環境を提供できるとともに、多くの利用者により高い宣伝効果が期待できる。
【0068】
本発明の請求項17に記載のディスプレイ方法によれば、請求項15または請求項16に記載の発明と同様の効果を得ることができるのは勿論のこと、公共の通路わきに設置できるので、従来の広告環境で効果的に通行人の興味を惹くことができる。
【0069】
請求項18に記載のディスプレイ方法によれば、請求項15乃至請求項17のいずれかに記載の発明と同様の効果を得ることができるのは勿論のこと、スクリーンからの照射光を屈折などさせるので、視線弁別ステップで薄膜状に形成でき、いっそう設置環境に影響されにくくできる。
【0070】
請求項19に記載のプログラムによれば、請求項15乃至請求項18のいずれかに記載のディスプレイ方法をコンピューターにより実行させることができる。
【0071】
請求項20に記載の記録媒体によれば、請求項15乃至請求項18のいずれかに記載のディスプレイ方法をコンピューターにより実行させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係るディスプレイシステムの概略構成を説明する図である。
【図2】本発明の実施の形態に係るディスプレイ方法の工程例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
10 広告スクリーン(画像配置手段)
10a,10b 細片
11 表示面
20 レンチキュラーフィルター(視線弁別手段)
21 凸レンズ
22 凸面
23 底平面
30 視線フィルター(視線遮蔽手段)
31 スリット
40 路線(設定経路)
50 壁面
D11、D12・・・、D21・・・ 視認方向

Claims (20)

  1. 観察者が設定経路上を移動する場合に、その観察者による視認方向が変化するにつれて動画を認識させるディスプレイシステムであって、
    特定の動画から複数の画像フレームを編成することによって、これらの画像フレームを観察者の移動方向においてスクリーン状に配置する画像配置手段と、
    この画像配置手段の観察面に積層され、かつ一の画像フレームが観察者に視認される方向を別の画像フレームのものと異ならせる視線弁別手段とを有したことを特徴とするディスプレイシステム。
  2. 前記観察者は、交通機関の利用者であって、路線わきに展示された画像フレーム群の視認方向が当該交通機関の運行によって変化することを特徴とする請求項1に記載のディスプレイシステム。
  3. 前記観察者は、通行人であって、当該通行人が移動することによって、通路わきに展示された画像フレーム群の視認方向が変化することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のディスプレイシステム。
  4. 前記視線弁別手段は、各画像フレームによる照射光または反射光の光軸を相異ならせていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のディスプレイシステム。
  5. 観察者が設定経路上を移動する場合に、その観察者による視認方向が変化するにつれて動画を認識させるディスプレイ方法であって、
    特定の動画から複数の画像フレームを編成することによって、これらの画像フレームを観察者の移動方向においてスクリーン状に配置する画像配置ステップと、
    この画像配置ステップにおいて観察面に積層され、かつ一の画像フレームが観察者に視認される方向を別の画像フレームのものと異ならせる視線弁別ステップとを有したことを特徴とするディスプレイ方法。
  6. 前記観察者は、交通機関の利用者であって、路線わきに展示された画像フレーム群の視認方向が当該交通機関の運行によって変化することを特徴とする請求項5に記載のディスプレイ方法。
  7. 前記観察者は、通行人であって、当該通行人が移動することによって、通路わきに展示された画像フレーム群の視認方向が変化することを特徴とする請求項5または請求項6に記載のディスプレイ方法。
  8. 前記視線弁別ステップは、各画像フレームによる照射光または反射光の光軸を相異ならせていることを特徴とする請求項5乃至請求項7のいずれかに記載のディスプレイ方法。
  9. 請求項5乃至請求項8のいずれかに記載のディスプレイ方法をコンピューターに実行させるためのプログラム。
  10. 請求項5乃至請求項8のいずれかに記載のディスプレイ方法をコンピューターに実行させるためのプログラムが記録されていることを特徴とするコンピューター読み取り可能な記録媒体。
  11. 観察者が設定経路上を移動する場合に、その観察者による視認方向が変化するにつれて動画を認識させるディスプレイシステムであって、
    特定の動画から複数の画像フレームを編成することによって、これらの画像フレームを観察者の移動方向においてスクリーン状に配置する画像配置手段と、
    この画像配置手段の観察面に積層され、かつ一の画像フレームが観察者に視認される方向を別の画像フレームのものと異ならせる視線弁別手段と、
    この視線弁別手段と観察者との間に設けられ、かつ観察者が画像フレームの視認方向において各画像フレームを見とおす視線遮蔽手段とを有したことを特徴とするディスプレイシステム。
  12. 前記観察者は、交通機関の利用者であって、路線わきに展示された画像フレーム群の視認方向が当該交通機関の運行によって変化することを特徴とする請求項11に記載のディスプレイシステム。
  13. 前記観察者は、通行人であって、当該通行人が移動することによって、通路わきに展示された画像フレーム群の視認方向が変化することを特徴とする請求項11または請求項12に記載のディスプレイシステム。
  14. 前記視線弁別手段は、各画像フレームによる照射光または反射光の光軸を相異ならせていることを特徴とする請求項11乃至請求項13のいずれかに記載のディスプレイシステム。
  15. 観察者が設定経路上を移動する場合に、その観察者による視認方向が変化するにつれて動画を認識させるディスプレイ方法であって、
    特定の動画から複数の画像フレームを編成することによって、これらの画像フレームを観察者の移動方向においてスクリーン状に配置する画像配置ステップと、
    この画像配置ステップでスクリーン状に配置された観察面に近接し、かつ一の画像フレームが観察者に視認される方向を別の画像フレームのものと異ならせる視線弁別ステップと、
    この視線弁別ステップで異ならせた視認方向において、観察者が各画像フレームを見とおす視線遮蔽ステップとを有したことを特徴とするディスプレイ方法。
  16. 前記観察者は、交通機関の利用者であって、路線わきに展示された画像フレーム群の視認方向が当該交通機関の運行によって変化することを特徴とする請求項15に記載のディスプレイ方法。
  17. 前記観察者は、通行人であって、当該通行人が移動することによって、通路わきに展示された画像フレーム群の視認方向が変化することを特徴とする請求項15または請求項16に記載のディスプレイ方法。
  18. 前記視線弁別ステップは、各画像フレームによる照射光または反射光の光軸を相異ならせていることを特徴とする請求項15乃至請求項17のいずれかに記載のディスプレイ方法。
  19. 請求項15乃至請求項18のいずれかに記載のディスプレイ方法をコンピューターに実行させるためのプログラム。
  20. 請求項15乃至請求項18のいずれかに記載のディスプレイ方法をコンピューターに実行させるためのプログラムが記録されていることを特徴とするコンピューター読み取り可能な記録媒体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2007097072A1 (ja) * 2006-02-27 2007-08-30 Sharp Kabushiki Kaisha 広告表示装置、広告表示方法、広告表示プログラム、および記録媒体
CN102879906A (zh) * 2011-07-12 2013-01-16 萨博梅迪亚有限责任公司 用于向运动中的观看者显示图像的系统和方法

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