JP2004323774A - ハイドロゲル組成物 - Google Patents

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【課題】内部に薬物濃度の傾斜分布が形成されているハイドロゲル組成物を提供すること。
【解決手段】内部に官能基の傾斜分布を有するハイドロゲルを用意し、このハイドロゲルに前記薬物を固定化することにより、内部に薬物濃度の傾斜分布が形成されているハイドロゲル組成物を製造する。薬物には、低分子および高分子の薬剤、生理活性物質、ペプチド、蛋白質および遺伝子、ならびにこれらのフラグメントおよび誘導体が含まれる。このようなハイドロゲル組成物は、生物学的研究に、徐放性製剤の材料として、および再生医療用材料として有用である。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、生物医学的研究および医療において有用なハイドロゲル組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
生体内の薬物濃度を長期間一定に保持するために、薬物を生体吸収性高分子のハイドロゲル中に封入した徐放性製剤とすることにより、その放出を制御する方法が知られている。徐放性製剤において、薬物の放出の方向を制御するためには、ゲル内に薬物の濃度勾配が形成されていることが望ましい。また、再生医療用材料として用いられるハイドロゲルにおいては、移植部位に適合するように、薬物濃度、生理活性物質濃度、蛋白質濃度、遺伝子濃度、イオン濃度等の濃度勾配がゲル内に形成されていることが望ましい。例えば、軟組織−硬組織境界部位においては、細胞周辺環境としての細胞外マトリックスのハイドロゲル成分中での細胞増殖因子、細胞接着因子などの濃度勾配が実現されている。この勾配により、細胞は場所依存的に異なる増殖・分化を示し、これにより、異なる組織の境界領域が形成されることが知られている。したがって、薬物濃度、蛋白質濃度、イオン濃度等の濃度勾配を有するハイドロゲルを再生医療用の材料として用いることにより、境界をもつ組織の再生が可能となる。
【0003】
あるいは、このような蛋白質やイオン濃度の勾配は受精卵の中でも生じており、これにより、発生の過程において、頭・尾、背・腹の区別が生じるということがわかっている。そこで薬物濃度、蛋白質濃度、イオン濃度等の濃度勾配を有するハイドロゲルは、細胞の機能、分裂、増殖、発生、薬物の作用等の生物医学研究を行うための材料としても有用であると考えられる。
【0004】
ハイドロゲル内に薬物等の濃度勾配を形成するためには、ハイドロゲル内でメッシュサイズが傾斜分布しているようなゲルを製造し、このゲルに薬物を結合させる方法が知られている。このようなハイドロゲルの製造方法としては、異なる濃度のハイドロゲル材料の水溶液を流量比を連続的に変えて混合する方法(特開平2−151757)、ハイドロゲルの一方の面から他方の面に向かう温度勾配を設けながらゲルを凍結させる方法(特開平4−135483)、ステレオコンプレックス中に別のモノマーをその濃度が傾斜分布するように浸透させた後に重合反応を行う方法(特許3390424号)、ハイドロゲル中に架橋剤をその濃度が傾斜分布するように浸透させて架橋反応を行うことにより非対称なメッシュサイズを有するゲルを得る方法(Dai, et al., Biomaterials 21, 1363−1371 (2000)等がある。
【0005】
しかし、ハイドロゲルの堅さやメッシュサイズを均一に保持したまま、ゲル内に薬物が結合しうる官能基の傾斜分布を形成したハイドロゲルはこれまでに知られていない。また、それらの官能基に薬物、生理活性ペプチド、蛋白質、遺伝子などを結合させたハイドロゲルの報告はない。
【0006】
本発明に関連する先行技術文献情報としては以下のものがある。
【特許文献1】
特開平2−151757
【特許文献2】
特開平4−135483
【特許文献3】
特許3390424号
【非特許文献1】
Dai, et al., Biomaterials 21, 1363−1371 (2000)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、ハイドロゲルのゲル内に薬物が結合しうる官能基の傾斜分布を形成することにより、内部に薬物濃度の傾斜分布が形成されているハイドロゲル組成物を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、内部に薬物濃度の傾斜分布が形成されていることを特徴とするハイドロゲル組成物を提供する。ここで、薬物には、低分子および高分子の薬剤、生理活性物質、ペプチド、蛋白質および遺伝子、ならびにこれらのフラグメントおよび誘導体が含まれる。このようなハイドロゲル組成物は、生物学的研究に、徐放性製剤の材料として、および再生医療用材料として有用である。
【0009】
本発明はまた、内部に薬物濃度の傾斜分布が形成されているハイドロゲル組成物を製造する方法を提供する。この方法は、内部に官能基の傾斜分布を有するハイドロゲルを用意し、このハイドロゲルに前記薬物を固定化することを特徴とする。内部に官能基の傾斜分布を有するハイドロゲルは、例えば、予め形成したハイドロゲルを、溶質の種類または濃度の異なる2種類の水溶液にゲルの両端がそれぞれの溶液と接触するように配置して、ゲルの両端からそれぞれの溶液をゲル内に拡散させることにより製造することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明において用いられるハイドロゲルは、水系で形成されるゲルであり、その材料の例としては、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリエステル、ポリアクリレート、ゼラチン、コラーゲン、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ乳酸−ポリグリコール酸共重合体等の合成高分子、アルギン酸およびアルギン酸塩、アガロース、キチン、キトサン、ヒアルロン酸、デンプン、ペクチン等の多糖類、ポリ−γ−グルタミン酸、ポリ−L−リジン、ポリアルギニン等のポリペプチド、ポリ無水物、およびこれらのコポリマー、ならびにこれらの誘導体が挙げられる。また、上述した物質を含む化学複合体および混合物等も用いることができる。これらのハイドロゲル材料は、天然に存在するものでもよく、合成により製造されるものでもよい。
【0011】
ハイドロゲルの内部に薬物濃度の傾斜分布を形成するためには、内部に官能基の傾斜分布を有するハイドロゲルを用意し、このハイドロゲルに前記薬物を固定化する。固定化は、化学結合または物理的相互作用により、またはこの両方により行うことができる。ハイドロゲル中に導入すべき官能基としては、ハイドロゲル中に固定化することが意図される薬物や蛋白質を結合するのに適した官能基であればいずれでもよく、例えば、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基、リン酸基、アルデヒド基、硫酸基、およびチオール基等が挙げられる。
【0012】
ハイドロゲル中に官能基を導入する方法は、ハイドロゲルの材料、すなわちハイドロゲル中に既に存在する官能基の種類、および導入すべき官能基の種類により様々であるが、当業者は当該技術分野において知られる一般的な化学反応のいずれを用いることができるかを容易に理解することができる。例えば、ポリアクリルアミドからなるハイドロゲル中にカルボキシル基を導入する場合、図1に示すように、アルカリを用いる加水分解を利用することができる。すなわち、アルカリ溶液を用いてハイドロゲル中のアミド基を部分的に加水分解してカルボキシル基とすることにより、ゲル内にカルボキシル基の傾斜分布を形成することができる。また、ハイドロゲルの材料として、ゼラチンやコラーゲン等の蛋白質を用いる場合には、蛋白質分子上に存在するヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基、チオール基を、適当な二官能性試薬と部分的に反応させることにより、所望の官能基の傾斜分布を導入することができる。このような官能基の導入のために用いることができる反応の例としては、以下のものが挙げられる。
【0013】
ヒドロキシル基をカルボジイミダゾールあるいは臭化シアンを用いて活性化し、これに1−アミノ−酢酸のアミノ基を反応させることにより、カルボキシル基に変換する。カルボキシル基を水溶性カルボジイミド(縮合剤)の存在下、エチレンジアミン、2−スルホ−エチルアミン、アルキルアミンまたはアニリンと反応させることにより、それぞれアミノ基、硫酸基、アルキル基またはフェニル基に変換する。アミノ基に無水コハク酸を反応させることにより、カルボキシル基に変換する。カルボキシル基を水溶性カルボジイミドの存在下で、2−メルカプト−エチルアミンと反応させることにより、チオール基に変換する。カルボキシル基を水溶性カルボジイミドの存在下、2−ホスホ−エチルアミン、アルキルアミン、またはアニリンと反応させることにより、それぞれリン酸基、アルキル基またはフェニル基に変換する。アミノ基にグルタルアルデヒドを反応させることにより、アルデヒド基に変換する。ヒドロキシル基にカルボジイミダゾールを反応させて活性化させた後、2−アミノ−エチルリン酸、2−メルカプト−エチルアミン、2−スルホ−エチルアミン、アルキルアミン、アニリンまたはエチレンジアミンを反応させることにより、それぞれリン酸基、チオール基、硫酸基、アルキル基、フェニル基またはアミノ基に変換する。
【0014】
ハイドロゲル中に官能基の傾斜分布を形成するためには、予め形成したハイドロゲルを、溶質の種類または濃度の異なる2種類の水溶液にゲルの両端がそれぞれの溶液と接触するように配置して、所定時間放置することにより、それぞれの溶液をゲルの両方向からゲルの内部に拡散させる。このような反応に適した傾斜分布作製装置の模式図を図2に示す。傾斜分布作製装置1は、2個のセル10および12と、これを連結する連結部14から構成されており、連結部14にハイドロゲル20を固定する器具が設けられている。ハイドロゲルとしてポリアクリルアミドを用いて水酸化ナトリウムによりアミド基を加水分解させる反応を例として説明すると、連結部14にハイドロゲル20を固定し、セル10に水酸化ナトリウム溶液を、セル12にリン酸緩衝液を注入する。このことにより、ハイドロゲル20は、一方の端で水酸化ナトリウム溶液に、反対側の端でリン酸緩衝液に接触する。この状態で放置すると、ハイドロゲルの両端からそれぞれの溶液が拡散していき、ポリアクリルアミドゲル内にOH濃度の勾配が生ずる。放置の間、所望により、スターラー等を用いてセル内の溶液を撹拌してもよく、あるいは外部に設置されたリザーバーを用いてセル内の溶液を循環させてもよい。図2においては、ハイドロゲルの厚み方向に官能基の傾斜分布を形成させる例が示されているが、ハイドロゲルを固定する器具の形状を適宜変更することにより、ハイドロゲルの厚み方向と垂直な方向に官能基の傾斜分布を形成することが可能であることが理解されるであろう。例えば、ロッド状の形状のハイドロゲル内に、その軸方向に官能基の傾斜分布を形成することができる。
【0015】
所定時間経過後にハイドロゲルを取り出す。所望により、ハイドロゲルを洗浄して過剰の反応試薬を除去してもよく、あるいは特定の試薬を用いて未反応の試薬を中和してもよく、未反応の官能基をブロッキングしてもよく、特定の官能基をさらに置換または誘導化させてもよい。また、所望により、ハイドロゲルを凍結および/または乾燥させてもよい。医療用材料として用いる場合には、ハイドロゲルを加熱、ガンマ線照射等により滅菌することが好ましい。
【0016】
ハイドロゲル中に形成された官能基の傾斜分布を測定するためには、所定時間経過後にハイドロゲルを上述の装置から取り出し、傾斜分布方向に垂直な面で切断してハイドロゲルの切片を作製し、各切片中に存在する官能基の量を測定する。目的とする官能基を定量するための各種の試薬が市販されており、当業者はこれらの試薬を適宜用いることができる。
【0017】
上述のようにして形成されたハイドロゲル中に、薬物、蛋白質、ペプチド、糖類、核酸、およびこれらの混合物または複合体などを結合させることにより、薬物等がゲルの厚み方向に濃度傾斜分布をもって結合している本発明のハイドロゲル組成物を作製する。
【0018】
ハイドロゲル内に存在する官能基に上記物質を化学結合により固定化する方法は、官能基の種類により様々であるが、当業者は当該技術分野において知られる化学反応のいずれを用いることができるかを容易に理解することができる。例えば、ハイドロゲル中のカルボキシル基に薬物、蛋白質を化学的に固定化する方法としては、カルボキシル基を水溶性カルボジイミドで活性化した後、固定化すべき物質のアミノ基と反応させる方法が挙げられる。ハイドロゲルがカルボキシル基以外の官能基を有する場合には、上述した方法によりその官能基をカルボキシル基に置換した後、同様の結合反応を行う。あるいは、ヒドロキシル基をカルボジイミダゾールで活性化した後、固定化すべき物質中のアミノ基、カルボキシル基などと反応させることも可能である。また、マレイミド基と活性化エステル基とを両末端にもつ縮合試薬を用いることにより、チオール基とアミノ基との間の結合反応を行うこともできる。アミノ基−アミノ基間はグルタルアルデヒドにより結合させる。
【0019】
さらに、このハイドロゲル内での物質の固定化は、特に化学結合に限定されるものではなく、静電的相互作用、水素結合力、疎水性相互作用などにより、ハイドロゲル中の官能基に物理的に固定化することも可能である。例えば、カチオンに富む蛋白質、ペプチド、多糖類、あるいはそれらの複合体は、クーロン力を介して、ハイドロゲルのカルボキシル基に固定化される。また、アニオンに富む蛋白質、ペプチド、多糖類、核酸、あるいはそれらの複合体または混合物は、アミノ基を有するハイドロゲルに物理的に固定化され、結果的に、ハイドロゲル内に固定化物質の濃度勾配が生ずる。また、ハイドロゲル内のアルキル基などを介して、疎水性相互作用力により物質を固定化することも可能である。
【0020】
このようにして得られる本発明のハイドロゲル組成物は、生物学的研究に、徐放性製剤の材料として、および再生医療用材料として有用である。
【0021】
以下に実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
【0022】
【実施例】
実施例1.ポリアクリルアミドゲルの作製
アクリルアミド4g、N,N’−メチレンビスアクリルアミド0.02gおよびアンモニウムペルオキソジサルフェート0.04gを、室温で20mlのDDW(2回蒸留水)に溶解し、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン40μlを加え、厚さ3mmのスペーサーをはさんだ2枚のガラス板の間に流し込み、常温でゲルが固まるまで反応させた。DDWで洗浄した後、DDW中で常温で十分に膨張させた。このとき、厚さは約4.5mmになった。このポリアクリルアミドゲルを直径9mmのディスク状に打ち抜いて以下の実験に使用した。
【0023】
図3に示すパーフュージョン装置を用いて、スペーサーの間に上述のようにして作製したゲルを挟み、バッファーとしては0.1Mリン酸バッファー(pH7.0)を循環させて用い、アルカリ溶液としては0.1N NaOHをスターラーで撹拌しながら用いて、52℃で30分間反応させた。次に、ゲルを取り出し、1N HCl中で、常温で約10分間振盪して、加水分解反応を停止させた。このゲルをDDWを少なくとも3回交換しながら一晩洗浄した。
【0024】
実施例2.TB染色によるカルボキシル基導入状態の確認
実施例1で作製したゲルを2.5×10−3Mのトルイジンブルー(TB、NaOH中に溶解、pH10)で染色した。TBはカルボキシル基と1:1で反応するため、ゲル中でカルボキシル基が導入されている部分にTBが結合して青く染まる。25℃で12時間染色した後、DDWを少なくとも3回交換しながら一晩洗浄して、未反応のTBを洗い流した。TBで染色したゲルを凍結切片用組織固定剤(Tissue−Tek Optical Cutting Temperature(OCT)Compound、Sakura Finetechnical CO.,Ltd.)に包埋し、液体窒素中で凍結させた。
【0025】
ゲルの厚み方向に平行な方向で、厚さ27μmの切片を作製し、顕微鏡下で染色状態を観察した。青色の染色がゲルの厚み方向に勾配を形成しており、カルボキシル基が傾斜分布的に導入されていることが確認された。
【0026】
実施例3.カルボキシル基の傾斜分布状態の評価
染色したゲルを表面に平行なスライス状にし、等間隔断片中に存在するカルボキシル基を定量することにより、傾斜分布状態の評価を行った。上記のゲルをその厚み方向に垂直な方向で、厚さ27μmずつの切片を作製し、20枚ずつエッペンドルフチューブに集めた。50%CHCOOH/DDWを加えて全量を2mlとした。この試料を100℃で1時間処理し、ゲルのカルボキシル基に結合しているTBを溶出させた。上清を取り出し、BeckmanDU650分光光度計(Beckman)を用いて、吸光度633nmでTB量を測定した。
【0027】
NaOHの濃度を変化させて行った実験の結果を図4に示す。この図から、カルボキシル基の濃度が、ゲルの厚み方向に沿ってなだらかに変化していることがわかる。すなわち、NaOHと接触した側ではカルボキシル基がより多く導入され、バッファー側に近づくにつれてカルボキシル基量は少なくなっていた。また、加水分解に用いるNaOHの濃度を増加させると、NaOH側の表面におけるカルボキシル基量は増加するが、バッファー側の表面のカルボキシル基量は低い値にとどまっており、結果として大きな濃度勾配ができていることがわかる。
【0028】
次に、NaOHの濃度を0.1Nに固定し、加水分解反応時間を変化させて、ゲル中のカルボキシル基の濃度分布を測定した。結果を図5に示す。この結果から、加水分解時間を変化させることによっても、カルボキシル基の分布状態を変化させることができることがわかる。
【0029】
以上の結果から、パーフュージョン装置を用いてポリアクリルアミドゲルのアルカリによる加水分解反応を行うことにより、ゲル中にカルボキシル基を傾斜分布的に導入することができることが明らかになった。また、反応を行う際のNaOHの濃度、および反応時間を変化させることにより、傾斜状態を変化させることができた。
【0030】
実施例4.傾斜分布を有するハイドロゲルへのゼラチンの固定化
実施例1の0.1N NaOH、30分間の処理条件で得られた、内部にカルボキシル基の傾斜分布をもつハイドロゲルを用いて、カルボキシル基へのゼラチンの固定化を行った。ゼラチンは牛骨のアルカリ処理によって得られたものである(新田ゼラチン株式会社製)。4.5mm厚、9mm直径のハイドロゲルをpH6.0のリン酸緩衝液中1wt%の3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩の溶液中に入れ、4℃、3時間の条件で、ハイドロゲル内のカルボキシル基を活性化した。このゲルをpH7.4のリン酸緩衝液中1wt%濃度のゼラチン溶液中に浸漬し、室温で12時間反応させた。得られたハイドロゲルを37℃、DDWで1時間、3回の洗浄を行った。得られたハイドロゲルから、実施例3と同様にしてスライス状サンプルを調製し、それぞれを1N NaOH、120℃、1気圧下でオートクレーブ処理によりゼラチンを加水分解した。これを中和した後、得られた加水分解物のアミノ基をニンヒドリン法にて定量し、固定化ゼラチン量を評価した。その結果を図6に示す。図から、ポリアクリルアミドハイドロゲル中に固定化ゼラチン量の濃度勾配が形成されていることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、アルカリを用いるポリアクリルアミドゲルの加水分解を原理を示す。
【図2】図2は、本発明のハイドロゲルを作製するための傾斜分布作製装置の模式図を示す。
【図3】図3は、実施例において本発明のハイドロゲルを作製するために用いたパーフュージョン装置の概略図を示す。
【図4】図4は、NaOHの濃度を変化させたときのカルボキシル基の分布状態を示す。
【図5】図5は、加水分解反応時間を変化させたときのカルボキシル基の分布状態を示す。
【図6】図6は、カルボキシル基の傾斜分布をもつハイドロゲルに固定化されたゼラチンの分布状態を示す。
【符号の説明】
1 傾斜分布作製装置
10 セル
12 セル
20 ハイドロゲル
30 スペーサー

Claims (2)

  1. 内部に薬物濃度の傾斜分布が形成されていることを特徴とするハイドロゲル組成物。
  2. 内部に薬物濃度の傾斜分布が形成されているハイドロゲル組成物を製造する方法であって、内部に官能基の傾斜分布を有するハイドロゲルを用意し、前記ハイドロゲルに前記薬物を固定化することを特徴とする方法。
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