JP2004323515A - フルクトース由来ageに対する抗体及びその用途 - Google Patents

フルクトース由来ageに対する抗体及びその用途 Download PDF

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Abstract

【課題】
フルクトース由来AGEに対する特異的抗体を作製し、その抗体を使用してフルクトース由来AGEを測定する方法を提供する。
【解決手段】
フルクトース由来AGEを抗原として免疫した動物から血清を採取し、この血清をフルクトース由来AGEによるアフィニティクロマトグラフィーにかけて吸着画分を集め、この吸着画分を更にCMLによるアフィニティクロマトグラフィーにかけて非吸着画分を集めることにより、フルクトース由来AGEを特異的に認識する抗体を得ることに成功した。本発明の抗体は、フルクトース由来AGEの測定を可能とし、糖尿病合併症の検査、糖尿病合併症に有効な薬物の評価、及び、フルクトース由来AGEと糖尿病性疾患等との関連性を明らかにする手段等として利用することができる。更に、生活習慣病予防の観点からの飲食物の安全性評価や健康食品開発に利用することもできる。

Description

本発明は、フルクトース由来AGEを特異的に認識する抗体、及び当該抗体の用途に関する。
フルクトースは食事からの重要な糖質源であるとともに、その特徴的な代謝機能により、グルコース代謝不全、高脂血症、尿酸過剰血症を引き起こすことが知られている。更に、近年、糖尿病患者の血液及び尿中で、肝臓でのフルクトースの代謝機能不全と輸送機構障害及び糖尿病性合併症組織でのポリオール経路亢進に起因すると考えられるフルクトース量が増大していることが報告されている(Kawasaki, T., et al, 2002, Diabetes Care, 25 : 353-357)。
フルクトースはその環状構造の比率の違いにより、グルコースよりも非酵素的糖化反応が進行しやすいことが知られている。即ち、フルクトースの方が、グルコースに比べ、蛋白質のアミノ基と反応するフリーのアルデヒド残基をもつ直鎖構造体の割合が高い。従って、in vivoにおいては、フルクトースによる非酵素的糖化反応物、即ちAGE(advanced glycation end-products; 終末糖化産物)の生成が進行し、それによる糖尿病性合併症の発症及び進展への関与が着目されている。
ポリオール経路は、アルドース還元酵素(以下ARと略する)を介してグルコースからソルビトールが産生される反応と、ソルビトール脱水素酵素(以下SDHと略する)を介してソルビトールからフルクトースが産生される反応からなる。このポリオール経路の律速酵素であるARの阻害剤が、糖尿病性合併症治療薬の一つとして上市又は臨床開発中である。AR阻害剤は、前記のようにフルクトースの産生を抑えることから、糖尿病合併症組織におけるAGE生成を阻害することが示唆され、その有用性が期待される。
しかしながら、in vitroで、フルクトースからのAGEがグルコースからのAGEに比し多く生成されるというこれまでの報告は、蛍光強度、フルクトサミンなどの初期反応物、及びAGEの一つの構造体であるカルボキシメチルリジン(CML)で評価されたものである。CMLは、非酵素的糖化反応の前期反応中間体であるシッフ塩基形成物、アマドリ化合物又はジカルボニル化合物からの酸化的開環反応により生成され、グルコース他各種のアルデヒド構造体と蛋白質との反応から生成される。従って、CMLは、フルクトースによる蛋白糖化反応により特異的に生成されるAGE構造体ではない。また、生体内におけるCMLの主な供給源が脂質の過酸化によるものであると報告されており(Fu, M.X., et al, 1996, J Biol Chem, 271:9982-9986)、実際、糖尿病を伴わない腎不全患者血中でも高値を示すことが明らかになっている(Miyata, T., et al, 1998, Kidney Int, 54:1290-1295)。従って、CMLは、糖尿病合併症検査手段としても適当ではない。
一方、Miyazawaらは、フルクトース由来の蛋白糖化反応の初期反応産物、即ち蛋白のリジン残基にフルクトースが結合したフルクトース化リジンに対する抗体を作製し、糖尿病ラットモデルでの水晶体中フルクトース化リジンの増大を報告している(Miyazawa N., et al,1998, Biochem J, 336:101-107)。しかしながら、糖尿病性合併症の発症進展においては、蛋白糖化反応初期に見られる蛋白質のリジン残基の糖化修飾よりも、最終反応産物であるAGEの血管壁や組織への沈着、AGEを介する蛋白質重合化、及びAGEの細胞膜受容体を介した細胞障害が着目されている。
以上の様に、フルクトース由来のAGEの存在形態、及びその糖尿病性合併症に対する関連性については、未だ明確にはなっていないものの、その糖尿病性合併症における関与が推測される。従って、現状、生体内でフルクトースから産生されるAGE構造体を特異的に測定するとともに、フルクトースによるAGE生成と糖尿病合併症との関連性を真に評価する手段が必要とされている。
更に、近年、Dietary Glycotoxins という概念が提唱され、食品中のAGE産物の生体への影響が着目されている。即ち、AGE含量が多い食品を摂取することにより、糖尿病性合併症の病態が亢進するというものである。具体的には、動物モデル基礎試験において、AGE含量が多い食品の摂取により、腎排泄機能低下、炎症性メディエーターの発現誘導、インスリン抵抗性亢進、高コレステロール下血管障害亢進、動脈硬化促進などが惹起されることが示唆されている(He, C., et al,1999, Diabetes, 48: 1308-1315; Vlassara, H., et al, 2002, PNAS, 99: 15596-15601; Hofman, S.M., et al, 2002, Diabetes, 51: 2082-2089; Lin, R.-Y., et al, 2002, Atherosclerosis, 163:303-311及びLin, R.-Y., et al, 2003, Atherosclerosis, 168:213-220)。
このDietary Glycotoxinsの本体として、反応性が高いカルボニル化合物である3-デオキシグルコソン、メチルグリオキザールなどのAGE前駆体が推定されている。前述の様に、フルクトースはグルコースよりも非酵素的糖化反応が進行しやすく、その結果、これらDietary GlycotoxinsであるAGE前駆体は、グルコースと比較して多く生成される(Kato, T., et al, 1989, Prog Clin Biol Res, 304: 69-84)。従って、食品中のフルクトース-AGE量は、Dietary Glycotoxins の指標に成り得ると考えられている。即ち、食品中のフルクトースから生成されるAGE構造体を特異的に測定することは、食品由来のAGE摂取による糖尿病性合併症類似病態の発症、または糖尿病性合併症発症及び進展を防御する上で、言い換えれば生活習慣病予防の観点から、極めて重要であると考えられている。
また、近年、イヌ及びネコなどのペットにおいても糖尿病・糖尿病性合併症の発症が報告され、ペットオーナーを悩ませている(Hoenig, M., 2002, Mol Cell Endcrinol, 197:221-229)。従って、動物保護の観点からも、ペットフード及びその他飼料中のフルクトースから生成されるAGE構造体を特異的に測定することは、ヒトの食品中の測定と同様に重要であると考えられている。
ところで、我々は既に、non-CML-AGEとして、グルコース、グリセルアルデヒド、グリコールアルデヒド、グリオキサール、メチルグリオキサール、3-デオキシグルコソン及びアセトアルデヒド由来のAGEに対する各特異抗体を開発しているが(Takeuchi, M. et al, 2000, Mol Med, 6:114-125, Takeuchi, M. et al, 2001, Mol Med, 7:783-791及びTakeuchi, M. et al, 2003,J Neuropathol Exp Neurol, 62:486-496)、フルクトースから生成されるAGEを特異的に認識する抗体は知られていない。
Kawasaki, T., et al, 2002, Diabetes Care, 25:353-357 Fu, M.X., et al, 1996, J Biol Chem, 271:9982-9986 Miyata, T., et al, 1998, Kidney Int, 54:1290-1295 Miyazawa N., et al,1998, Biochem J, 336:101-107 He, C., et al,1999, Diabetes, 48:1308-1315 Vlassara, H., et al, 2002, PNAS, 99:15596-15601 Hofman, S.M., et al, 2002, Diabetes, 51:2082-2089 Lin, R.-Y., et al, 2002, Atherosclerosis, 163:303-311 Lin, R.-Y., et al, 2003, Atherosclerosis, 168:213-220 Kato, T., et al, 1989, Prog Clin Biol Res, 304:69-84 Hoenig, M., 2002, Mol Cell Endcrinol, 197:221-229 Takeuchi, M., et al, 2000, Mol Med, 6:114-125 Takeuchi, M., et al, 2001, Mol Med, 7:783-791 Takeuchi, M., et al, 2003, J Neuropathol Exp Neurol, 62:486-496
以上のことから、我々の本発明における目的は、フルクトース由来のAGEに対する特異的抗体を作製し、その抗体を利用して、臨床検査分析及び食品分析等において有用なフルクトース由来AGEを測定する方法を提供するとともに、フルクトース由来のAGEと糖尿病性疾患等との関連性を明確にする手段を提供することである。
本発明者らは、上記問題点に鑑み、鋭意検討した結果、フルクトース由来AGEを抗原として免疫した動物から血清を採取し、この血清をフルクトース由来AGEによるアフィニティクロマトグラフィーにかけて吸着画分を集め、この吸着画分を更にCML(カルボキシメチルリジン)によるアフィニティクロマトグラフィーにかけて非吸着画分を集めることにより、フルクトース由来AGEを特異的に認識する抗体を得ることに成功した。
すなわち、本発明は、フルクトース由来AGEを特異的に認識する抗体である。本発明の抗体の特徴は、フルクトース-1-リン酸、フルクトース-6-リン酸、フルクトース-1,6-二リン酸、グルコース、グリセルアルデヒド、グリコールアルデヒド、メチルグリオキサール、グリオキサール、3-デオキシグルコソン及びアセトアルデヒドに由来するAGEを認識せず、また、側鎖のアミノ基がカルボキシエチル化又はカルボキシメチル化されたアミノ酸を少なくとも一部に含む蛋白質又はペプチドを認識しない抗体である。本発明の抗体は、通常、ポリクローナル抗体として提供される。
本発明の抗体は、血中、細胞中もしくは組織中等のフルクトース由来AGEの量を測定することができる。即ち、本発明は、フルクトース由来AGEを特異的に認識する本発明の抗体を使用し、免疫学的測定法により、フルクトース由来AGEを検出する方法を提供する。また、フルクトース由来AGEを特異的に認識する本発明の抗体を用いて、被験者から採取できる検体中、即ち、血清、血漿、尿などの体液中又は、赤血球などの組織細胞中のフルクトース由来AGEを検出し、その検出値により糖尿病合併症であるかどうか、あるいは糖尿病合併症発症の危険度が高いかどうかを判定する糖尿病合併症の検査方法を提供する。
更に、糖尿病合併症に有効な薬物のin vitro又はin vivoの薬効評価系において、本発明のフルクトース由来AGEを特異的に認識する抗体を用いて、薬物投与群又は添加群、及び、薬物未投与群又は未添加群の測定試料中のフルクトース由来AGEを測定し、薬物未投与群又は未添加群に対してフルクトース由来AGEの検出量が低下している薬物投与群又は添加群の薬物を糖尿病合併症に有効な薬物であると判定することを特徴とする、糖尿病合併症に有効な薬物の評価方法を提供する。
また、本発明のフルクトース由来AGEを特異的に認識する抗体を用いて、ヒト又は動物用飲食物中のフルクトース由来AGEを測定し、その測定値から、健常人又は健常動物での糖尿病性合併症類似病態の発症、あるいは、糖尿病患者又は糖尿病動物における糖尿病性合併症の発症及び/又は進展を惹起させるかどうかという観点からのヒト又は動物用飲食物の安全性を評価する方法を提供する。
本発明により、フルクトース由来AGEを特異的に認識する抗体が提供され、フルクトース由来AGEを特異的かつ簡便に測定することができる。これにより、糖尿病合併症の発症・進展に対するフルクトース由来AGE生成の関連性について、より詳細に検討することができるとともに、AGE生成阻害剤、アルドース還元酵素阻害剤など、フルクトース由来AGEを指標とした薬物の薬効評価及び新薬のスクリーニングにも利用できる。また、動物用も含め、生活習慣病予防の観点からの飲食物の安全性の評価、及び安全な健康食品開発に利用できる。
以下、順を追って本発明を更に詳細に説明する。
1.抗原の調製
本発明の抗体の作製に用いる抗原は、フルクトースと蛋白質又はペプチドの反応産物、すなわち、フルクトース由来AGEであればよい。また、好ましくは、前記反応産物から、透析、液体カラムクロマトグラフィーなどにより、低分子化合物を除いたものがよい。なお、蛋白質又はペプチドとしては特に限定されず、免疫動物がウサギの場合、ウサギ血清アルブミン(Rabbit Serum Albumin ; RSA)が好ましく使用できる。フルクトースと蛋白質又はペプチドの反応は、例えばリン酸緩衝液中でフルクトース数百mmol/Lと蛋白質数十mg/mLとを、数週間混合することで可能である。用いる緩衝液のpHは反応が進行するpHであればよいが、好ましくはpH7〜9である。また、遷移金属イオンによる酸化反応亢進によるCML生成を抑制するために、キレート剤、例えば数mmol/Lのジエチレントリアミンペンタ酢酸(diehylene triamine pentaacetic acid; DTPA)を添加する。
2.免疫感作
抗原の免疫方法は、周知の方法を用いることができる。前記抗原を恒温動物、例えばラット、マウス、ウサギなどに投与する。アジュバントとして、例えばフロイント完全アジュバントを用いて、数mgの抗原を投与する。投与経路は、皮下注射、皮内注射、腹腔内注射、静脈内注射、筋肉内注射等を選択できるが、好ましくは皮内注射である。また、免疫の間隔は特に限定されないが、数日から数週間間隔で、抗体価が上昇するまで数回免疫を行う。抗体価の測定は、酵素免疫測定法(ELISA ; enzyme-linked immunosorbent assay 又はEIA ; enzyme immunoassay )、放射免疫測定法 (RIA ; radioimmuno assay )等で行う。抗体価の上昇が認められた時点から、数週間後に最終追加免疫を行い、数日後に採血する。尚、前述のようにフルクトース由来AGEで動物を感作し、脾臓を摘出して、当業者に周知のモノクローナル抗体作製法によりハイブリドーマを得て、フルクトース由来AGEを特異的に認識するモノクローナル抗体を作製することもできる。
3.抗体の精製
前記方法で得られる抗血清から、フルクトース由来AGEを特異的に認識するポリクローナル抗体を得るために、アフィニティクロマトグラフィーによって精製操作を行う。アフィニティクロマトに用いる担体、好ましくはブロムシアン活性化セファロース4B 数十mLに、抗原の調製の項に従って、フルクトースと蛋白質又はペプチドの反応産物から、透析や液体カラムクロマトグラフィーなどにより低分子化合物を除いて調製したフルクトース由来AGEを数百mg結合させたカラムに、前記血清を数十mL添加する。リン酸緩衝化生理食塩水(phosphate buffered saline; PBS)などで十分に洗浄後、吸着画分を1M potassium thiocyanate含有20mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.4)などで溶出する。このようにして得られる画分を、例えば限外ろ過法などにより濃縮し、更に例えばゲルろ過法などにより低分子画分を除去し、粗精製画分を得る。
次に、公知の方法(Ahmed, M.U., et al, 1986, J Biol Chem, 261:4889-4894)より調製して得られるCMLを数百mg結合させたカラムに前記粗精製画分を添加し、PBSなどで洗浄し非吸着画分を得る。この非吸着画分を、例えば限外ろ過法などにより濃縮し、更に例えばゲルろ過法などにより低分子画分を除去し、第二次粗精製画分を得る。更に、前記方法で得られた第二次粗精製画分を再度、CMLを数百mg結合させたカラムに添加し、PBSなどで洗浄し非吸着画分を得る。この非吸着画分を、例えば限外ろ過法などにより濃縮し、更に例えばゲルろ過法などにより低分子画分を除去し、精製ポリクローナル抗体を得る。更に精製が必要とされる場合には、再度、上記のCMLを用いたアフィニティクロマト操作を行う。
4.フルクトース由来AGEの測定方法
本発明の抗体を用いて、免疫学的測定方法により、フルクトース由来AGEを検出することができる。免疫学的測定方法とは、競合及び非競合型の酵素免疫測定法(ELISA ; enzyme-linked immunosorbent assay 又はEIA ; enzyme immunoassay )、放射免疫測定法 (RIA ; radioimmuno assay )等が挙げられる。1例として、競合ELISA法について以下に説明する。蛋白質量換算で一定量のフルクトース由来AGEが吸着させてあるイムノプレート上に、一定量の検体と、検体と等量の適切な倍率で希釈した前記抗体を添加し、イムノプレート上のフルクトース由来AGEと検体中のフルクトース由来AGEとの間で、抗体に対する結合を競合させるインキュベーション後、イムノプレート上のフルクトース由来AGEに結合した前記抗体を、アルカリフォスファターゼ(AP)もしくは西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)で酵素標識した抗ウサギIgG抗体(ウサギで感作して抗体を作製した場合)を用いて検出する。このようにして、検体中のフルクトース由来AGE量を、プレート上のフルクトース由来AGEと抗体の結合に対する検体の阻害度から計測する。
5.糖尿病合併症検査方法
本発明の抗体を用いて、被験者から採取できる様々な検体中、即ち、血清、血漿、尿などの体液中及び赤血球などの組織細胞中のフルクトース由来AGEを検出することにより、糖尿病合併症であるかどうか、あるいは糖尿病合併症発症の危険度が高いかどうかという糖尿病合併症の検査をすることができる。検査対象となる糖尿病合併症としては、糖尿病性網膜症、腎症、神経障害などの糖尿病性細小血管症、あるいは動脈硬化症のような糖尿病大血管合併症などが挙げられる。これらの合併症の2種類以上が併発したものでもよい。具体的には、糖尿病合併症患者又はその被疑者から、血液、尿、組織などを採取し、適切な前処理を施してフルクトース由来AGEの測定試料とする。続いて、測定試料中のフルクトース由来AGE量を、前述の方法等により測定する。そのフルクトース由来AGEの検出値が基準値より高い場合は、糖尿病合併症である、あるいは糖尿病合併症発症の危険度が高いと判定する。尚、基準値は、測定試料の由来により異なるが、血液の場合は、概ね健常人値の2倍である。
6.糖尿病合併症に有効な薬物の評価方法
糖尿病合併症に有効な薬物のin vitro又はin vivoの薬効評価系において、本発明の抗体を用いて、薬物投与群又は添加群、及び、薬物未投与群又は未添加群の測定試料中のフルクトース由来AGEを測定し、薬物未投与群又は未添加群に対してフルクトース由来AGEの検出量が低下している薬物投与群又は添加群の薬物を糖尿病合併症に有効な薬物であると判定する。勿論、糖尿病合併症に有効な薬物の評価とは、糖尿病合併症に対する有効性が知られている薬物の更なる評価だけでなく、有効性が未知の化合物からのスクリーニングも含まれる。糖尿病合併症治療剤としては、非酵素的糖化反応阻害剤又は糖尿病時におけるフルクトース量を低下させる薬物等であり、例えばアルドース還元酵素阻害剤などが挙げられる。
具体的には、糖尿病合併症に有効な薬物のin vitro又はin vivoの薬効評価系としては、糖尿病合併症患者、糖尿病合併症モデル動物、高血糖負荷細胞に薬物を投与又は添加する系である。糖尿病合併症モデル動物としては、例えば、薬物(ストレプトゾトシンもしくはアロキサン)誘発糖尿病ラット及びマウス、OLETFラットなどの自然発症糖尿病ラット及びマウスが挙げられる。また、高血糖負荷細胞としては、例えば、血管内皮細胞、血管平滑筋細胞、微小血管周皮細胞、腎臓メサンギウム細胞及び尿細管細胞、網膜色素上皮細胞、末梢神経シュワン細胞等に高濃度のグルコースを負荷したものが挙げられる。これらの系において、薬物投与群又は添加群と薬物未投与群又は未添加群とを設定し、それぞれから測定試料、即ち、血液、尿、組織、細胞、培養上清等を採取し、適切な前処理を施してフルクトース由来AGEを前述の方法で測定する。薬物未投与群又は未添加群に対して、フルクトース由来AGEの検出量が低下している薬物投与群又は添加群の薬物を、糖尿病合併症に有効な薬物であると判定する。
7.飲食物の安全性を評価する方法
本発明の抗体を用いて、ヒト及び動物用飲食物中のフルクトース由来AGEを検出することにより、健常人及び健常動物での糖尿病性合併症類似病態の発症、または糖尿病患者及び糖尿病動物における糖尿病性合併症の発症及び/又は進展を惹起させるかどうかという観点からの飲食物の安全性を評価することができる。評価対象は、食品添加物、調味料及び加工飲食品などの全ての市販飲食物もしくは開発中飲食物、及び飲食物製造過程における全ての添加物である。具体的には、市販飲食物もしくは開発中飲食物を入手し、適切な前処理を施してフルクトース由来AGEの測定試料とする。続いて、測定試料中のフルクトース由来AGE量を、前述の方法等により測定する。また、飲食物製造過程において使用される添加物も入手して、同様に測定を実施する。それらのフルクトース由来AGEの検出値から、例えば、製造工程が異なる、あるいは食品原材料が異なる同種開発対象食品の中で、より安全性の高い食品を開発食品として選択する。また、市販飲食物中のフルクトース由来AGEの検出値から、より安全性の高い飲食物を選択する指標を提示する。
以下、実施例により、本発明をさらに具体的に説明する。但し、本発明は、これら実施例にその技術的範囲が限定されるものではない。以後、フルクトース由来AGEをFru-AGEと略すことがある。
[実施例1]抗体の調製
1.抗原の調製
無菌下で5mM DTPAを含む0.2Mリン酸緩衝液(pH7.4)中で、RSA25mg/mLを0.5Mフルクトース存在下37℃で8週間インキュベートした。反応生成物から、PBSを用いたPD-10カラムクロマトグラフィーと透析により、低分子反応物と未反応のフルクトースを除き、これを抗原とした。
2.動物への免疫
50%フロイント混合アジュバントに4mgの抗原を乳濁化し、日本白色ウサギ(雄、2.5kg)の背部数カ所に皮内投与した。初回免疫後、抗体価が上昇するまで、1週間に1度、追加免疫を行った。抗体価の測定は、耳静脈より少量採血した血液から得た血清を用いて、ELISA法にて実施した。具体的には、以下のようである。前記抗原の調製と同様の操作でBSAを用いて作製したFru-AGE-BSAを蛋白質量換算で1μg/mL溶液として、その100μLをELISA用96穴プレートに4℃で一晩吸着させ固相化した。0.05%Tween20含有PBSで5回洗浄した後に、PBSに溶解した1%BSA 150μLを添加し、室温で1時間インキュベートし、ブロッキングした。洗浄後、0.1%BSA、0.1%グリセロール、0.05%アジ化ナトリウム及び0.1%Tween20を含む50mM トリス塩酸希釈緩衝液(希釈用緩衝液)で段階希釈した血清100μLを添加し、30℃、振とう条件下で2時間インキュベートした。洗浄後、希釈用緩衝液で希釈したAP標識ヒツジ抗ウサギIgG抗体溶液 100μLを添加し、37℃、1時間インキュベートした。洗浄後、APの基質溶液 100μLを添加した。37℃で任意の時間インキュベートした後、マイクロプレートリーダーにて405nmの吸光度を測定した。その結果、追加免疫5回目の終了後1週間後に、抗体価の上昇が認められた。その2週間後に最終追加免疫を行い、その10日後にウサギを放血致死させて全採血を行い、抗体精製に用いる血清を得た。
3.抗体の精製
Fru-AGE特異抗体は、以下のような操作でウサギ抗血清からアフィニティクロマトグラフィーによって単離した。市販品の付属説明書に従い、ブロムシアン活性化セファロース4B 25mLに、 Fru-AGE-BSA 125mgを結合させた。当該カラム(2.5x5.5cm)に25mLの前記血清を添加し、4℃で一晩吸着させた。次に、PBSによる十分な洗浄後、吸着画分を1M potassium thiocyanate含有20mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.4)で溶出した。溶出時は、各フラクションを280nmの吸光度でモニタリングを行い、吸着画分としてピーク部分を集め、Centriprep-10で濃縮し、PBSで平衡化したPD-10カラムを通し、粗精製画分を得た。次に、50mg/mL BSAと50mMグリオキシル酸を、150mMシアノ水素化ほう素ナトリウムを含む2mLの0.2Mリン酸緩衝液(pH7.4)中でインキュベートした後に、PBSを用いたPD-10カラムクロマトグラフィーと透析処理によりCML-BSAを調製した。そのCML-BSA 125mgを結合させたカラム(1.5x5.5cm)に、得られた粗精製画分を添加し、4℃で一晩吸着させた。その後、30mLのPBSで洗浄し、各フラクションを280nmの吸光度でモニタリングを行い、非吸着画分としてピーク部分を集め、Centriprep-10で濃縮し、PBSで平衡化したPD-10カラムを通し、二次粗精製画分を得た。
更に、前記操作で得られた二次粗精製画分を再度CML-BSA結合カラム(1.5x5.5cm)に添加し、30mLのPBSで洗浄し、各フラクションを280nmの吸光度でモニタリングを行い、非吸着画分としてピーク部分を集めた。また、吸着画分は20mLの1M potassium thiocyanate含有20mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.4)で溶出し、各フラクションを280nmの吸光度でモニタリングを行い、吸着画分としてピーク部分を集めた。図1における1番目の溶出ピークが非吸着画分で、2番目の溶出ピークが吸着画分、即ち、前者はFru-AGE特異的ポリクローナル抗体画分で、後者はCMLポリクローナル抗体画分である。次に、非吸着画分をCentriprep-10で濃縮し、PBSで平衡化したPD-10カラムを通し、精製ポリクローナル抗体を得た。得られた精製抗体は安定化剤として1mg/mL BSAを添加後、−80℃にて保存した。
4.ポリクローナル抗体の特異性
前記操作によって得られた精製Fru-AGEポリクローナル抗体の特異性を、いくつかの他のアルデヒド化合物由来AGE修飾蛋白質を用いた競合ELISAによって評価した。具体的には、以下のようである。蛋白質量換算で1μg/mLのFru-AGE-BSA 100μLをELISA用96穴プレートに4℃で一晩吸着させ固相化した。0.05%Tween20含有PBSで5回洗浄した後に、PBSに溶解した1%BSA 150μLを添加し、室温で1時間インキュベートし、ブロッキングした。次に、適宜、0.1%BSA、0.1%グリセロール、0.05%アジ化ナトリウム及び0.1%Tween20を含む50mMトリス塩酸希釈緩衝液(希釈用緩衝液)で希釈した各種AGE修飾蛋白質(50μL)と当該抗体(50μL、1:2500希釈)を各穴に添加し、30℃、振とう条件下で2時間インキュベートした。洗浄後、希釈用緩衝液で希釈したAP標識ヒツジ抗ウサギIgG抗体溶液 100μLを添加し、37℃、1時間インキュベートした。洗浄後、AP基質溶液 100μLを添加した。37℃で任意の時間インキュベートした後、マイクロプレートリーダーにて405nmの吸光度を測定した。結果は、次のように計算したB/B0=((検体添加OD値―バックグランドOD値)/(全反応OD値―バックグランドOD値))で示した。検体中にFru-AGE抗体との反応物が多ければ、プレートに吸着したFru-AGE-BSAとFru-AGE抗体との反応は阻害され、B/B0値は0に近づき、一方、存在しなければB/B0値は1となる。
前記評価方法において、まず、得られた精製Fru-AGEポリクローナル抗体と、フルクトース-1-リン酸(fructose-1-phosphate)由来AGE(F-1-P-AGE)、フルクトース-6-リン酸(fructose-6-phosphate)由来AGE(F-6-P-AGE)、及びフルクトース-1,6-二リン酸(fructose-1,6-diphosphate)由来AGE(F-1,6-diP-AGE)との反応性について検討した。なお、これらのAGEはフルクトース由来AGEと同一条件にて調製した。その結果、これらの化合物は、Fru-AGE-BSAと当該Fru-AGE抗体の結合を阻害しなかった。一方、前記の様に調製したCML-BSA と、グリオキシル酸の代わりにピルビン酸を用いて同様に調製したCEL-BSAも、非常に高濃度加えた時以外は、同様に阻害しなかった(図2a)。
次に、同様に、得られた精製Fru-AGEポリクローナル抗体と、グルコース(glucose)由来AGE(AGE-1)、グリセルアルデヒド(glyceraldehyde)由来AGE(AGE-2)、グリコールアルデヒド(glycolaldehyde)由来AGE(AGE-3)、メチルグリオキサール(methylglyoxal)由来AGE(AGE-4)、グリオキサール(glyoxal)由来AGE (AGE-5)、及び3-デオキシグルコソン(3-deoxyglucosone)由来AGE(AGE-6)との反応性を検討した。なお、これらのAGEは、BSAと0.5Mグルコース、0.1Mグリセルアルデヒド、0.1Mグリコールアルデヒド、0.1Mメチルグリオキサール、0.1Mグリオキサール、もしくは0.2M 3-デオキシグルコソンを、無菌下で5mM DTPAを含む0.2Mリン酸緩衝液(pH7.4)中で37℃、7日間インキュベート後、低分子反応物と各未反応の糖をPBSによるPD-10カラムクロマトグラフィーと透析により除いて調製した。但し、3-デオキシグルコソンの場合は2週間、グルコースの場合は8週間インキュベートした。その結果、いずれもFru-AGE-BSAとFru-AGE抗体の結合を阻害しなかった(図2b)。即ち、図2aとbに示すように、Fru-AGEのみが特異的に当該ポリクローナル抗体とFru-AGE-BSAとの結合を阻害した。また、別途、既報(Takeuchi, M. et al, 2003, J Neuropathol Exp Neurol, 62:486-496)の方法で調製したアセトアルデヒド(acetaldehyde)由来AGEもFru-AGE-BSAとFru-AGE抗体の結合を阻害しなかった。
更に、精製Fru-AGE抗体の免疫親和性をイムノブロット法で検証した。蛋白質濃度として20μg/mLのFru-AGE-BSA溶液の25μLと、2-メルカプトエタノールを含むLaemmli sample buffer 25μLを混合し、100℃で5分間加熱処理をした。同様に、糖と未反応のAGE化させていないBSA及びグルコース由来のAGE-BSAを加熱処理した。これらの加熱処理検体を、7.5%SDS-polyacrylamideゲルを用いて、20mAの定電流下で電気泳動を行った。泳動終了後、polyvinyliden difluoride (PVDF) 膜に転写し、転写終了後、PVDF膜を3%スキムミルク入りのPBSに浸し、室温で1時間ブロッキングした。0.1%Tween20含有PBSで洗浄後、PVDF膜と3%スキムミルク入りのPBSで希釈した当該ポリクローナル抗体を30℃で1時間反応させた。洗浄後、3%スキムミルク入りのPBSで希釈したAP標識ヒツジ抗ウサギIgG抗体溶液を2次抗体として加え、30℃で1時間反応させた。洗浄後、5-bromo-4-chloro-3-indoyl-phosphate /nitroblue tetrazolium を加え発色させた。その結果、未反応のBSA及びグルコース由来AGEには、呈色バンドは認められなかったが、Fru-AGE-BSAには呈色バンドが認められた(図3)。すなわち、前述のように得られたFru-AGE抗体は、Fru-AGEを特異的に認識することが確認された。
[実施例2] 糖尿病患者の検査
評価第1群(健常者10名と糖尿病患者10名)と評価第2群(HbA1c量が既知の健常者12名とI型糖尿病患者12名)を評価対象とし、血清中のFru-AGE量を測定した。測定は前記の競合ELISA法にて行った。抗原と同様に調製したFru-AGE-BSAを用いた標準曲線から、Fru-AGE量を換算した。結果は、次のように計算したB/B0=((検体添加OD値―バックグランドOD値)/(全反応OD値―バックグランドOD値))を基に示した。各検体のFru-AGE量は前記のFru-AGE-BSAの標準曲線から読み取り、1mL当たりのFru-AGE units (U)として表現した。1Uは、標準曲線で用いたFru-AGE-BSA蛋白質濃度1μg/mLが抗体と反応する量とした。
その結果、まず、評価第1群において、糖尿病患者では健常者と比較して、有意にFru-AGE量が高かった(図4)。また、HbA1c量が有意に高いことが認められているI型糖尿病患者を評価した評価第2群においても、糖尿病患者では健常者と比較して有意にFru-AGE量が高かった(図5)。このように、糖尿病患者では高血糖を反映してFru-AGE量が増大していると考えられる。尚、本試験では、糖尿病合併症発症とFru-AGE量の因果関係についてまでは、調査できなかった。しかし、近年、糖尿病患者の赤血球中AR量と糖尿病合併症発症との関連性が報告されているので、糖尿病合併症患者では、ポリオール経路の亢進に伴い、血中(血清、赤血球など)フルクトース量及びFru-AGE量が増大することが予測される。そこで、合併症未発症糖尿病患者における現在のFru-AGE量と合併症発症の有無、又はその後の合併症発症経過を追跡した結果とを考察することで、Fru-AGE量と糖尿病合併症発症との関連性が明らかになるものと考えられる。
[実施例3] 薬物の薬効評価
ヒト由来ソルビトール脱水素酵素(SDH)を高発現させ、フルクトース産生反応を亢進させたウシ網膜周皮細胞を用いて、AR阻害剤フィダレスタットの効果を検討した。具体的には、次の様に実施した。高発現処理をしていない周皮細胞を、5mMと30mMのグルコースを含む2%FBSダルベッコ変法培地(2%FBS)にて、6日間培養した。一方、高発現処理をした周皮細胞は、30mMのグルコースを含むダルベッコ変法培地(2%FBS)にて、0.3μM のフィダレスタット存在下及び非存在下で6日間培養した。培養後、各細胞中のFru-AGE量を、本発明の抗Fru-AGE抗体を使用した前記競合ELISA法で測定した。尚、高発現処理していない周皮細胞を5mMのグルコース条件下で培養した群をコントロールとした。
その結果、SDH高発現処理をしていない細胞では、コントロール群に比べ、30mMの高濃度グルコース培養条件下でも、Fru-AGE量の増大が認められなかった。一方、SDH高発現細胞では、コントロール群に比べ、30mMの高濃度グルコース培養条件下で、顕著なFru-AGE量の増大が認められた。ここで更に、フィダレスタット0.3μMを存在させると、Fru-AGE量の増大を有意に低下させた(図6)。従って、本抗体を用いて、フルクトース由来AGEを指標とした薬物の薬効評価ができることが示された。
[実施例4] 食品添加物及び飲料水中の安全性の検査
市販されている食品添加物として、しょうゆ、ソース、シロップ及びメープルシロップと、飲料水として、無糖コーヒー、コーヒー、炭酸清涼飲料水、低カロリー炭酸清涼飲料水、オレンジジュース、グレープフルーツジュース、2種類のスポーツドリンク及び緑茶中のFru-AGE量を、本発明の抗Fru-AGE抗体を使用した前記競合ELISA法で測定した。結果は表1に示す。
その結果、評価した全ての検体中でFru-AGEが検出された。その中で、飲料水と比較して、ソースなど食品添加物中に多くFru-AGEが存在することが認められた。一方、評価した飲料水の中では、緑茶に比べ、炭酸系を含むジュース類中に多くのFru-AGEが存在することが認められた。今回の測定検体においては、3-デオキシグルコソンなどのDietary Glycotoxins 量は評価していないが、緑茶と比較してFru-AGE含量が多い飲料水及び食品添加物を過度に摂取することは、糖尿病性合併症類似病態の発症、または糖尿病患者での合併症発症及び進展を引き起こす可能性が考えられる。従って、糖尿病合併症発症・進展及び生活週間病の予防の観点から、本抗体を用いて食品中のFru-AGE量を測定することにより、食品の安全性評価及び安全な健康食品の開発ができると考えられる。
Figure 2004323515
CML-BSA結合カラムを用いたアフィニティクロマトにより、本発明のFru-AGE特異抗体を精製した結果を示す図である。 競合ELISA法により、本発明のFru-AGE特異抗体のフルクトース由来AGEに対する反応の特異性を明らかにした図である。 イムノブロット法により、本発明のFru-AGE特異抗体のフルクトース由来AGEに対する反応の特異性を明らかにした図である。 正常者及び糖尿病患者の血清中のフルクトース由来AGEの測定値の相違を示す図である。 糖化へモグロビン量が既知の正常者及びI型糖尿病患者の血清中のフルクトース由来AGEの測定値の相違を示す図である。 ソルビトール還元酵素高発現網膜周皮細胞の高濃度グルコース培養条件下において、アルドース還元酵素阻害剤が、フルクトース由来AGE量の増加を低下させることを示す図である。

Claims (10)

  1. フルクトース由来AGEを特異的に認識する抗体。
  2. ポリクローナル抗体である、請求項1に記載の抗体。
  3. フルクトース-1-リン酸、フルクトース-6-リン酸、フルクトース-1,6-二リン酸、グルコース、グリセルアルデヒド、グリコールアルデヒド、メチルグリオキサール、グリオキサール、3-デオキシグルコソン、及びアセトアルデヒドに由来するAGEを認識しないことを特徴とする、請求項1又は2に記載の抗体。
  4. 側鎖のアミノ基がカルボキシエチル化又はカルボキシメチル化されたアミノ酸を少なくとも一部に含む蛋白質又はペプチドを認識しないことを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の抗体。
  5. フルクトース由来AGEを抗原として免疫した動物から血清を採取し、この血清をフルクトース由来AGEによるアフィニティクロマトグラフィーにかけて吸着画分を集め、この吸着画分を更にカルボキシメチルリジンによるアフィニティクロマトグラフィーにかけて非吸着画分を集めることにより調製される、請求項1〜4のいずれかに記載の抗体。
  6. フルクトース由来AGEを抗原として免疫した動物から血清を採取し、この血清をフルクトース由来AGEによるアフィニティクロマトグラフィーにかけて吸着画分を集め、この吸着画分を更にカルボキシメチルリジンによるアフィニティクロマトグラフィーにかけて非吸着画分を集めることを特徴とする、フルクトース由来AGEを特異的に認識する抗体の調製方法。
  7. フルクトース由来AGEを特異的に認識する抗体を使用した免疫学的測定法による、フルクトース由来AGEの検出方法。
  8. フルクトース由来AGEを特異的に認識する抗体を用いて、被験者から採取できる検体中のフルクトース由来AGEを検出し、その検出値により糖尿病合併症であるかどうか、あるいは糖尿病合併症発症の危険度が高いかどうかを判定することを特徴とする、糖尿病合併症の検査方法。
  9. 糖尿病合併症に有効な薬物のin vitro又はin vivoの薬効評価系において、フルクトース由来AGEを特異的に認識する抗体を用いて、薬物投与群又は添加群、及び、薬物未投与群又は未添加群の測定試料中のフルクトース由来AGEを測定し、薬物未投与群又は未添加群に対してフルクトース由来AGEの検出量が低下している薬物投与群又は添加群の薬物を糖尿病合併症に有効な薬物であると判定することを特徴とする、糖尿病合併症に有効な薬物の評価方法。
  10. フルクトース由来AGEを特異的に認識する抗体を用いて、飲食物中のフルクトース由来AGEを測定し、その測定値から、健常人又は健常動物での糖尿病性合併症類似病態の発症、あるいは糖尿病患者又は糖尿病動物における糖尿病性合併症の発症及び/又は進展を惹起させるかどうかという観点からの飲食物の安全性を評価する方法。
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