JP2004322317A - 液滴吐出装置及び方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】駆動波形の伝送路において生じる波形ひずみをよりフレキシブルかつ高精度に補正する。
【解決手段】制御装置8から吐出ヘッド7に駆動信号COMを供給することにより吐出ヘッド7を駆動して液滴を吐出させる液滴吐出装置であって、駆動信号COMの伝送において生じる波形ひずみを補正データに基づいて補正した駆動信号COMを生成する駆動信号生成部CSを具備する。
【選択図】 図2
【解決手段】制御装置8から吐出ヘッド7に駆動信号COMを供給することにより吐出ヘッド7を駆動して液滴を吐出させる液滴吐出装置であって、駆動信号COMの伝送において生じる波形ひずみを補正データに基づいて補正した駆動信号COMを生成する駆動信号生成部CSを具備する。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、液滴吐出装置及び方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
特開平10−211700号公報には、接続ケーブルを介して本体からヘッドに印加される駆動波形のひずみを低減するアクチュエータ駆動回路が開示されている。このアクチュエータ駆動回路は、本体とヘッドとを接続する接続ケーブルのインダクタンスに起因する駆動波形の波形ひずみをハードウエア的な回路構成の工夫によって補正するものである。
【0003】
【特許文献1】
特開平10−211700号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来技術は、ハードウエア的に駆動波形の波形ひずみを補正するものなので、接続ケーブルの仕様変更に対して波形ひずみを柔軟に補正することはできず、また複数ある駆動波形の全てについて十分に補正し得るものではない。したがって、接続ケーブルによって生じる駆動波形の波形ひずみをよりフレキシブルかつ高精度に補正する技術が待望されている。
【0005】
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、例えば接続ケーブル等、駆動波形の伝送路において生じる波形ひずみをよりフレキシブルかつ高精度に補正することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明では、液滴吐出装置に係わる第1の手段として、制御装置から液滴吐出ヘッドに駆動信号を供給することにより液滴吐出ヘッドを駆動して液滴を吐出させる液滴吐出装置であって、駆動信号の伝送において生じる波形ひずみを補正データに基づいて補正した駆動信号を生成する駆動信号生成部を具備するという構成を採用する。
【0007】
また、液滴吐出装置に係わる第2の手段として、上記第1の手段において、駆動信号生成部は、駆動信号の伝送において生じる波形ひずみを補正するために予め算出された補正データを記憶する補正データ記憶手段を備え、該補正データ記憶手段から読み出した補正データ及び駆動波形データに基づいて駆動信号を生成するという構成を採用する。
【0008】
液滴吐出装置に係わる第3の手段として、上記第2の手段において、制御装置と液滴吐出ヘッドとを接続する接続ケーブルの種類あるいは駆動信号の種類のいずれか一方あるいは両方をパラメータとして指定する操作手段をさらに備え、補正データ記憶手段は、前記パラメータに対応する複数の補正データを記憶し、駆動信号生成部は、操作手段から指定されたパラメータに対応する補正データを補正データ記憶手段から読み出して、この補正データと駆動波形データとに基づいて駆動信号を生成するという構成を採用する。
【0009】
液滴吐出装置に係わる第4の手段として、上記第2の手段において、液滴吐出ヘッドが単一の駆動信号によって並列駆動される複数の駆動素子を備え、該複数の駆動素子のうち1あるいは複数に選択的に駆動信号を供給することによって各駆動素子に対応して設けられた吐出孔から液滴をそれぞれ吐出するものである場合、駆動素子の駆動個数をパラメータとして指定する操作手段をさらに備え、補正データ記憶手段は、前記パラメータに対応する複数の補正データを予め記憶し、駆動信号生成部は、操作手段によって指定されたパラメータに対応する補正データを補正データ記憶手段から読み出して、この補正データと駆動波形データとに基づいて駆動信号を生成するという構成を採用する。
【0010】
液滴吐出装置に係わる第5の手段として、上記第2の手段において、液滴吐出ヘッドが単一の駆動信号によって並列駆動される複数の駆動素子を備え、該複数の駆動素子のうち1あるいは複数に選択的に駆動信号を供給することによって各駆動素子に対応して設けられた吐出孔から液滴をそれぞれ吐出するものである場合、駆動素子の駆動個数、駆動信号の種類及び制御装置と液滴吐出ヘッドとを接続する接続ケーブルの種類をパラメータとして指定する操作手段をさらに備え、補正データ記憶手段は、前記パラメータに対応する複数の補正データを記憶し、駆動信号生成部は、前記操作手段によって指定されたパラメータに対応する補正データを補正データ記憶手段から読み出して、この補正データと駆動波形データとに基づいて駆動信号を生成するという構成を採用する。
【0011】
液滴吐出装置に係わる第6の手段として、上記第2の手段において、駆動信号の伝送において生じる波形ひずみを補正すためのパラメータを指定する操作手段をさらに備え、駆動信号生成部は、操作手段で指定されたパラメータに基づいて前記波形ひずみを補正するための補正データを生成し、この補正データと駆動波形データとに基づいて駆動信号を生成するという構成を採用する。
【0012】
液滴吐出装置に係わる第7の手段として、上記第6の手段において、パラメータは、制御装置と液滴吐出ヘッドとを接続する接続ケーブルの種類あるいは駆動信号の種類のいずれか一方あるいは両方であるという構成を採用する。
【0013】
液滴吐出装置に係わる第8の手段として、上記第6または第7の手段において、液滴吐出ヘッドが単一の駆動信号によって並列駆動される複数の駆動素子を備え、該複数の駆動素子のうち1あるいは複数に選択的に駆動信号を供給することによって各駆動素子に対応して設けられた吐出孔から液滴をそれぞれ吐出するものである場合、パラメータとして前記駆動素子の駆動個数をも含むという構成を採用する。
【0014】
液滴吐出装置に係わる第9の手段として、上記第1〜第8いずれかの手段において、液滴は印刷用のインクであるという構成を採用する。
【0015】
液滴吐出装置に係わる第10の手段として、上記第1〜第8いずれかの手段において、液滴は、配線パターンを形成する導電性材料であるという構成を採用する。
【0016】
液滴吐出装置に係わる第11の手段として、上記第1〜第8いずれかの手段において、液滴は、マイクロレンズを形成するための透明樹脂であるという構成を採用する。
【0017】
液滴吐出装置に係わる第12の手段として、上記第1〜第8いずれかの手段において、液滴は、カラーフィルタの着色層を形成するための樹脂であるという構成を採用する。
【0018】
液滴吐出装置に係わる第13の手段として、上記第1〜第8いずれかの手段において、液滴は電気光学物質であるという構成を採用する。
【0019】
液滴吐出装置に係わる第14の手段として、上記第13の手段において、電気光学物質は、エレクトロルミネセンスを呈する蛍光性有機化合物であるという構成を採用する。
【0020】
一方、本発明では、液滴吐出方法に係わる第1の手段として、制御装置から液滴吐出ヘッドに駆動信号を供給することにより液滴吐出ヘッドを駆動して液滴を吐出させる方法であって、駆動信号の伝送において生じる波形ひずみを補正データに基づいて補正した駆動信号を生成するという構成を採用する。
【0021】
また、液滴吐出方法に係わる第2の手段として、上記第1の手段において、補正データを予め算出して補正データ記憶手段に記憶させ、駆動波形データ及び前記補正データ記憶手段から読み出した補正データに基づいて駆動信号を生成するという構成を採用する。
【0022】
液滴吐出方法に係わる第3の手段として、上記第1の手段において、制御装置と液滴吐出ヘッドとを接続する接続ケーブルの種類あるいは駆動信号の種類のいずれか一方あるいは両方をパラメータとする複数の補正データを補正データ記憶手段に予め記憶させ、前記パラメータに対応する補正データを補正データ記憶手段から読み出し、このよう補正データと駆動波形データとに基づいて駆動信号を生成するという構成を採用する。
【0023】
液滴吐出方法に係わる第4の手段として、上記第1の手段において、液滴吐出ヘッドが、単一の駆動信号によって並列駆動される複数の駆動素子を備え、該複数の駆動素子のうち1あるいは複数に選択的に駆動信号を供給することによって各駆動素子に対応して設けられた吐出孔から液滴をそれぞれ吐出するものである場合には、駆動素子の駆動個数をパラメータとする複数の補正データを補正データ記憶手段に予め記憶させ、
前記パラメータに対応する補正データを補正データ記憶手段から読み出し、この補正データと駆動波形データとに基づいて駆動信号を生成するという構成を採用する。
【0024】
液滴吐出方法に係わる第5の手段として、上記第1の手段において、液滴吐出ヘッドが単一の駆動信号によって並列駆動される複数の駆動素子を備え、該複数の駆動素子のうち1あるいは複数に選択的に駆動信号を供給することによって各駆動素子に対応して設けられた吐出孔から液滴をそれぞれ吐出するものである場合には、駆動素子の駆動個数、駆動信号の種類及び制御装置と液滴吐出ヘッドとを接続する接続ケーブルの種類をパラメータとする複数の補正データを補正データ記憶手段に予め記憶させ、前記パラメータに対応する補正データを補正データ記憶手段から読み出し、この補正データと駆動波形データとに基づいて駆動信号を生成するという構成を採用する。
【0025】
液滴吐出方法に係わる第6の手段として、上記第1の手段において、液滴の吐出に所定のパラメータに基づいて駆動信号の伝送において生じる波形ひずみを補正するための補正データを生成し、この補正データと駆動波形データとに基づいて駆動信号を生成するという構成を採用する。
【0026】
液滴吐出方法に係わる第7の手段として、上記第6の手段において、パラメータは、制御装置と液滴吐出ヘッドとを接続する接続ケーブルの種類あるいは駆動信号の種類のいずれか一方あるいは両方であるという構成を採用する。
【0027】
液滴吐出方法に係わる第8の手段として、上記第6または第7の手段において、液滴吐出ヘッドが単一の駆動信号によって並列駆動される複数の駆動素子を備え、該複数の駆動素子のうち1あるいは複数に選択的に駆動信号を供給することによって各駆動素子に対応して設けられた吐出孔から液滴をそれぞれ吐出するものである場合、パラメータとして前記駆動素子の駆動個数をも含むという構成を採用する。
【0028】
液滴吐出方法に係わる第9の手段として、上記第1〜第8いずれかの手段において、液滴は印刷用のインクであるという構成を採用する。
【0029】
液滴吐出方法に係わる第10の手段として、上記第1〜第8いずれかの手段において、液滴は、配線パターンを形成する導電性材料であるという構成を採用する。
【0030】
液滴吐出方法に係わる第11の手段として、上記第1〜第8いずれかの手段において、液滴は、マイクロレンズを形成するための透明樹脂であるという構成を採用する。
【0031】
液滴吐出方法に係わる第12の手段として、上記第1〜第8いずれかの手段において、液滴は、カラーフィルタの着色層を形成するための樹脂であるという構成を採用する。
【0032】
液滴吐出方法に係わる第13の手段として、上記第1〜第8いずれかの手段において、液滴は電気光学物質であるという構成を採用する。
【0033】
液滴吐出方法に係わる第14の手段として、上記第13の手段において、電気光学物質は、エレクトロルミネセンスを呈する蛍光性有機化合物であるという構成を採用する。
【0034】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、本発明に係わる液滴吐出装置及び方法の一実施形態について説明する。
【0035】
図1は、本実施形態に係わる液滴吐出装置の全体構成を示す斜視図である。この図1に示すように、本液滴吐出装置Aは、本体Bと制御コンピュータCとから構成されている。本体Bは、基台1、X方向駆動軸2、Y方向駆動軸3、X軸駆動モータ4、Y軸駆動モータ5、ステージ6、吐出ヘッド7、及び制御装置8等から構成されている。また、制御コンピュータCは、キーボード10(操作手段)、コンピュータ本体11及び表示部12等から構成されている。
【0036】
基台1は所定面積を有する方形状の平板であり、その表面(上面)上には、互いに直交配置されたX方向駆動軸2及びY方向駆動軸3が設けられている。X方向駆動軸2は、ボールねじ等から構成されており、X軸駆動モータ4によって回転駆動される。このX軸駆動モータ4は、例えばステッピングモータであり、制御装置8から入力される駆動信号に基づいてX方向駆動軸2を回転させことにより、基台1上において吐出ヘッド7をX方向(主走査方向)に移動させる。
【0037】
Y方向駆動軸3は、上記X方向駆動軸2と同様にボールねじから構成されており、Y軸駆動モータ5によって回転駆動される。このY軸駆動モータ5は、例えばステッピングモータであり、制御装置8から入力される駆動信号に基づいてY方向駆動軸3を回転させることにより、基台1上においてステージ6をY方向(副走査方向)に移動させる。ステージ6は、方形状の平板であり、その上面には対象物Wが固定状態で載置されている。この対象物Wは、吐出ヘッド7から吐出された液滴を付着させる対象であり、各種の用紙や基板等である。
【0038】
吐出ヘッド7は、内部に貯留する吐出用液体を圧電素子の機械的変形を利用して液滴として吐出するものであり、その詳細構成については後述する。制御装置8は、制御コンピュータCによる指示の下に、上記X軸駆動モータ4、Y軸駆動モータ5及び吐出ヘッド7を制御・駆動するものである。
【0039】
ここで、上記吐出用液体(つまり液滴)は、本液滴吐出装置Aの用途に応じて種々のものが適用される。この吐出用液体は、例えば本液滴吐出装置Aを印刷装置をして用いる場合には各種の印刷用インクとなり、パターン配線装置として用いる場合には配線パターンを形成する導電性材料となり、マイクロレンズ形成装置として用いる場合にはマイクロレンズを形成するための透明樹脂となり、カラーフィルタ製造装置として用いる場合にはカラーフィルタの着色層を形成するための樹脂となり、有機EL基板製造装置として用いる場合には発光画素を形成する電気光学物質(エレクトロルミネセンスを呈する蛍光性有機化合物)となる。
【0040】
一方、制御コンピュータCにおいて、キーボード10は、対象物Wへの液滴吐出に関する各種設定情報等をコンピュータ本体11に入力するためのものである。コンピュータ本体11は、液滴によって対象物W上に描画する画像(記録画像)の画像情報や上記各種設定情報を画像データaや設定データbとして記憶すると共に、これら画像データaや設定データbを制御装置8に提供するものである。
【0041】
また、このコンピュータ本体11は、本実施形態の特徴的な構成要素である駆動波形補正テーブルを生成して制御装置8に提供するが、この駆動波形補正テーブルについては説明の都合上後述する。表示部12は、コンピュータ本体11に記憶された上記各種設定情報や画像等を画面表示するためのものである。
【0042】
このように構成された本液滴吐出装置Aでは、制御コンピュータCによる指示の下に制御装置8が作動することにより、X軸駆動モータ4、Y軸駆動モータ5が駆動されて吐出ヘッド7が対象物W上をX方向及びY方向に2次元的に移動し、また当該対象物W上の各位置において吐出ヘッド7が駆動されることによりに対象物W上に各種の画像を描画する。
【0043】
次に、図2は、上記吐出ヘッド7及び制御装置8の詳細機能構成を示すブロック図である。この図2に示すように、制御装置8は、I/F8a、RAM8b、ROM8c(補正データ記憶手段)、演算制御部8d、駆動信号生成部8e、発振回路8f及びI/F8gから構成され、吐出ヘッド7は、シフトレジスタ7a、スイッチ回路7b1〜7b180及び圧電素子7c1〜7c180等から構成されている。なお、上記構成要素のうち、ROM8c、演算制御部8d及び駆動信号生成部8eは、駆動信号生成部CSを構成している。
【0044】
制御装置8におけるI/F8aは、制御コンピュータCから提供される上記画像データaや各種設定データbを受信するものである。RAM8bは、上記画像データaや設定データb、及び演算制御部8dのワークデータを一時的に記憶するものである。ROM8cは、演算制御部8dが処理する制御プログラム、各圧電素子7c1〜7c180を駆動するための駆動信号COMの波形を示す駆動波形データ、駆動信号COMの波形を補正するための補正データ、及び制御プログラムの実行に必要な各種制御データ、等々を記憶するものである。
【0045】
なお、上記補正データは、本実施形態の特徴的な構成要素であり、駆動波形補正テーブル8hとしてROM8cに記憶されている。ROM8cは、通常の不揮発性領域と書込データを電気的に消去可能なEEPROM領域とから構成されており、上記駆動波形補正テーブル8hは、制御コンピュータCによって生成された後に制御装置8に転送されてEEPROM領域に書き込まれる。この駆動波形補正テーブル8hの詳細については、説明の都合上後述する。
【0046】
演算制御部8dは、上記画像データaや設定データbに基づいて制御プログラムを実行することにより、液滴の吐出パターンを示す吐出パターンデータd(画像データaに対応するドットパターンデータ)、上記X軸モータ4及びY軸モータ5を駆動するためのモータ駆動信号を生成してI/F8gに出力すると共に、ROM8cから取得した駆動波形データ及び補正データに基づいて補正駆動波形データcを生成して駆動信号生成部8eに出力する。
【0047】
駆動信号生成部8eは、上記演算制御部8dから入力された補正駆動波形データc(デジタル信号)をD/A変換することによりアナログ信号である駆動信号COMを生成するものである。発振回路8fは、所定周波数の基準クロックを生成するものである。また、I/F8gは、上記基準クロックに同期させて吐出パターンデータdや駆動信号COM並びに上記モータ駆動信号を同期出力する。
【0048】
続いて吐出ヘッド7について説明する。上記吐出パターンデータdは、吐出ヘッド7に備えられた圧電素子7c1〜7c180の個数(=液滴が吐出する吐出孔の個数)、つまり180個に相当する180ビットのビット列からなるシリアルデータであり、シフトレジスタ7aは、上記I/F8gから入力されたこのような吐出パターンデータd(シリアルデータ)をパラレルデータに変換し、当該パラレルデータの各ビットを開閉信号e1〜e180として各スイッチ回路7b1〜7b180に並行出力する。
【0049】
スイッチ回路7b1〜7b180は、180個の各圧電素子7c1〜7c180に各々対応して設けられており、一端が各圧電素子7c1〜7c180の一端に接続され、他端が上記I/F8gの駆動信号COMの出力端に共通接続されている。各スイッチ回路7b1〜7b180は、上記開閉信号e1〜e180の値(0あるいは1)に応じて開/閉する。
【0050】
圧電素子7c1〜7c180は、一端が上記各スイッチ回路7b1〜7b180に各々接続されると共に他端がそれぞれGNDに接地されている。これら圧電素子7c1〜7c180は、液滴が吐出する吐出孔に対応して設けられており、駆動信号COMの印加を受けて機械的に変形することにより吐出孔から液滴を吐出させる。
【0051】
本液滴吐出装置Aでは、上記吐出パターンデータd及び駆動信号COMは、制御装置8と吐出ヘッド7との間に介装されたフレキシブルケーブルF(接続ケーブル)によってI/F8gからシフトレジスタ7aあるいは各スイッチ回路7b1〜7b180に供給されるようになっている。このフレキシブルケーブルFは、周知のようにフィルム状の樹脂の間に複数の配線パターンが並行して形成されたものである。
【0052】
ここで、上記駆動波形補正テーブル8hについて追加説明する。この駆動波形補正テーブル8hは、駆動信号COMの伝送において生じる波形ひずみを補正するための補正データを格納するテーブルである。
【0053】
図3(a)は、上記駆動信号COMの波形の一例を示すものである。この図に示す実線Hoは駆動信号生成部8eから出力される駆動信号COMの波形を示し、破線Hsは、吐出ヘッド7に実際に印加される駆動信号COMの波形を示している。これら実線Hoと破線Hsとの比較から分かるように、駆動信号生成部8eから出力される駆動信号COMは、吐出ヘッド7迄の伝送途中で波形ひずみが生じる。
【0054】
この波形ひずみの主因は、上述したフレキシブルケーブルFが有するインダクタンス成分や抵抗成分にある。したがって、上記波形ひずみは、フレキシブルケーブルFのインダクタンス成分や抵抗成分あるいは長さによって分類されているフレキシブルケーブルFの種類(つまり品番)によって異なる。
【0055】
一方、図4は、フレキシブルケーブルFと圧電素子とからなる回路の等価回路である。フレキシブルケーブルFは分布定数伝送路であり、銅線からなる各配線パターンは、インダクタンスLと抵抗Rの直列接続回路と等価であり、また各配線パターン間には圧電素子が有する静電容量としてのコンデンサCが存在する。このような等価回路について、入力端電圧をVi(t)、出力端電圧をVc(t)、通電電流をi(t)、またコンデンサCに充電される電荷をQと置くと、入力端電圧Vi(t)及び出力端電圧Vc(t)は下式(1),(2)のように表される。
【0056】
【数1】
【0057】
【数2】
【0058】
したがって、フレキシブルケーブルFに伝送されることによる電圧変化分ΔV(t)(すなわち波形ひずみ)は、上記入力端電圧Vi(t)と出力端電圧Vc(t)との差として下式(3)にように表される。
【0059】
【数3】
【0060】
この式(3)は、電圧変化分ΔV(t)がフレキシブルケーブルFのインダクタンスL、抵抗R及び通電電流をi(t)に依存することを示している。ここで、上記インダクタンスL及び抵抗Rは、フレキシブルケーブルFの種類(品番)が決まることにより固定値として与えられるが、通電電流をi(t)は、吐出ヘッド7の動作状態に応じて変動するものである。
【0061】
すなわち、本実施形態では、上述したようにI/F8gからフレキシブルケーブルFを介して吐出ヘッド7に供給された駆動信号COMは、スイッチ回路7b1〜7b180を介して各圧電素子7c1〜7c180に分配供給されるように構成されているので、通電電流をi(t)は、駆動信号COMを供給する圧電素子7c1〜7c180の個数、つまり同時に液滴を吐出する吐出孔の個数(以下、吐出Dutyという。)に応じて変動する。
【0062】
さらに、駆動信号COMは、対象物Wに付着させる液滴の大きさに応じて複数種類の波形がある。上記演算制御部8dは、画像データaに応じた駆動波形データをROM8cから読み出して駆動信号生成部8eに供給する。このような波形の種類に応じて駆動信号生成部8eの電圧レベルは当然に異なるものとなるので、上記通電電流をi(t)は、駆動信号COMの波形の種類によっても変動することになる。
【0063】
すなわち、フレキシブルケーブルFを伝送されることに起因する駆動信号COMの波形ひずみは、フレキシブルケーブルFの種類(品番)、吐出Duty及び駆動信号COMの波形の種類からなる3要因に応じて異なるものとなる。
【0064】
図5は、当該駆動波形補正テーブル8hのテーブル構成を示す模式図である。この図5に示すように、本駆動波形補正テーブル8hは、上記フレキシブルケーブルFを特定するための「品番」、駆動信号COMを印加する圧電素子7c1〜7c180の個数(つまり同時に液滴を吐出する吐出孔の個数)を示す「吐出Duty」及び駆動信号COMの「波形の種類」をパラメータとする3次元テーブルとして構成されている。すなわち、上記3つのパラメータを各々指定することにより1つの補正データが一義的に選択される。
【0065】
次に、このように構成された本液滴吐出装置Aの要部動作、つまり演算制御部8dによる補正駆動波形データcの生成処理について、図6に示すフローチャートに沿って詳しく説明する。
【0066】
最初に、演算制御部8dは、上記画像データaや設定データbに基づいて制御プログラムを実行することにより、液滴の吐出パターンを示す吐出パターンデータdを生成し(ステップS1)、上記X軸モータ4及びY軸モータ5を駆動するためのモータ駆動信号を生成し(ステップS2)、さらに駆動波形データ及び補正データに基づいて補正駆動波形データcを生成する(ステップS3)。上記吐出パターンデータdは、画像を構成する各ドットつまり液滴によって対象物W上に形成される各ドットに対応するドットパターンデータであり、液滴の吐出の有無を規定するものである。
【0067】
このような吐出パターンデータdに対して、補正駆動波形データcは、上記各ドットを形成するための液滴のサイズを規定するものであり、駆動信号生成部8eは、デジタル信号である上記補正駆動波形データcをD/A変換することによりアクチュエータとしての圧電素子7c1〜7c180を駆動するための駆動信号COM、つまり波形によって圧電素子7c1〜7c180の変形状態を規定することにより液滴のサイズを規定するアナログ信号を生成する。
【0068】
そして、このような吐出パターンデータdと駆動信号COM、及びモータ駆動信号がI/F8gから吐出ヘッド7、X軸モータ4及びY軸モータ5に同期して出力されることにより、対象物W上の2次元的な各位置には吐出ヘッド7から液滴が吐出され、この結果、対象物W上には画像データaに対応した画像が描画(記録)される。
【0069】
このような全体的な描画動作の中で、演算制御部8dは、補正駆動波形データcの生成処理(ステップS3)を以下のように行う。
【0070】
すなわち、図3(a)に示すように、ROM8cに予め記憶された駆動波形データは、実線Hoで示した駆動信号COMの波形の各サンプリング時刻t0〜tnのサンプリング電圧p0〜pnからなる電圧サンプリングデータであり、駆動波形補正テーブル8hに予め記憶された補正データは、上記各サンプリング時刻t0〜tnにおけるサンプリング電圧p0〜pn(実線Ho)とフレキシブルケーブルFによって歪んだ波形(破線Hs)との差分を示す差分データである。
【0071】
演算制御部8dは、画像データaに基づいてROM8cから1つの駆動波形データを選択的に取得する(ステップS31)と共に、上述した3つのパラメータに基づいて1つの補正データを選択的に取得し(ステップS32)、これら駆動波形データと補正データとを加算する(ステップS33)ことにより補正駆動波形データcを生成する。このようにして生成された補正駆動波形データcは、図3(b)において太線Hcで示すような補正波形に対応するものとなる。
【0072】
このような本実施形態によれば、上述した3つのパラメータに基づいて駆動波形補正テーブル8hに予め記憶された補正データを選択することにより駆動信号COMの波形ひずみを補正するので、当該波形ひずみを3つのパラメータに応じてフレキシブルかつ高精度に補正することができる。
【0073】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、例えば以下のような変形例が考えられる。
(1)上記実施形態では、制御コンピュータCによって演算された補正データを駆動波形補正テーブル8hとしてROM8cに予め記憶させることにより、演算制御部8dは専ら駆動波形補正テーブル8hから補正データを読み出して補正駆動波形データcを生成するように構成した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。補正データをROM8cに予め記憶させるのではなく、演算制御部8dの演算負荷が重くはなるが、演算制御部8dが上記3つのパラメータに基づいて補正データを順次生成するようにしてもよい。
【0074】
(2)上記実施形態における駆動波形補正テーブル8hは3つのパラメータ、つまりフレキシブルケーブルFの「品番」、「吐出Duty」及び駆動信号COMの「波形の種類」に各々対応する補正データを格納したものである。そして、このようなパラメータのうち、吐出Dutyは、I/F8gから出力された駆動信号COMを各圧電素子7c1〜7c180に分配するという吐出ヘッド7の構成を採用しているので、通電電流i(t)が吐出Dutyに応じて変化し、この結果として駆動信号COMの波形ひずみが変化する点を考慮したものである。
【0075】
しかしながら、吐出Dutyに応じて通電電流i(t)が変化しないような吐出ヘッド7の構成を採用した場合、例えば制御装置8内に各圧電素子7c1〜7c180毎にドライバを設けるような構成の場合には、吐出Dutyをパラメータとして考慮することなく、フレキシブルケーブルFの「品番」と駆動信号COMの「波形の種類」とのみをパラメータとする駆動波形補正テーブルを用いてもよい。
【0076】
(3)上記実施形態では、圧電素子7c1〜7c180を用いて液滴を吐出する吐出ヘッド7を備えた液滴吐出装置について説明したが、吐出ヘッド7の構成はこれに限定されない。他の方式の吐出ヘッド7を用いても良い。
【0077】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、制御装置から液滴吐出ヘッドに駆動信号を供給することにより液滴吐出ヘッドを駆動して液滴を吐出させる液滴吐出装置であって、駆動信号の伝送において生じる波形ひずみを補正データに基づいて補正した駆動信号を生成する駆動信号生成部を具備するので、従来のようなハードウエア的な方法に比較して駆動波形の波形ひずみをよりフレキシブルかつ高精度に補正することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係わる液滴吐出装置の全体構成を示す斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態に係わる液滴吐出装置における吐出ヘッド7及び制御装置8の詳細機能構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の一実施形態に係わる液滴吐出装置における駆動信号の波形補正概念を示す波形図である。
【図4】本発明の一実施形態に係わる液滴吐出装置におけるフレキシブルケーブルFの等価回路である。
【図5】本発明の一実施形態に係わる液滴吐出装置における駆動波形補正テーブルの構成を示す模式図である。
【図6】本発明の一実施形態に係わる液滴吐出装置の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
A……液滴吐出装置
B……本体
C……制御コンピュータ
1……基台
2……X方向駆動軸
3……Y方向駆動軸
4……X軸駆動モータ
5……Y軸駆動モータ
6……ステージ
7……吐出ヘッド
7a……シフトレジスタ
7b1〜7b180……スイッチ回路
7c1〜7c180……圧電素子
8……制御装置(駆動信号生成部)
8a……I/F
8b……RAM
8c……ROM(補正データ記憶手段)
8d……演算制御部
8e……駆動信号生成部
8f……発振回路
8g……I/F
8h……駆動波形補正テーブル
10……キーボード(操作手段)
11……コンピュータ本体
12……表示部
CS……駆動信号生成部
F……フレキシブルケーブル(接続ケーブル)
W……対象物
【発明の属する技術分野】
この発明は、液滴吐出装置及び方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
特開平10−211700号公報には、接続ケーブルを介して本体からヘッドに印加される駆動波形のひずみを低減するアクチュエータ駆動回路が開示されている。このアクチュエータ駆動回路は、本体とヘッドとを接続する接続ケーブルのインダクタンスに起因する駆動波形の波形ひずみをハードウエア的な回路構成の工夫によって補正するものである。
【0003】
【特許文献1】
特開平10−211700号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来技術は、ハードウエア的に駆動波形の波形ひずみを補正するものなので、接続ケーブルの仕様変更に対して波形ひずみを柔軟に補正することはできず、また複数ある駆動波形の全てについて十分に補正し得るものではない。したがって、接続ケーブルによって生じる駆動波形の波形ひずみをよりフレキシブルかつ高精度に補正する技術が待望されている。
【0005】
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、例えば接続ケーブル等、駆動波形の伝送路において生じる波形ひずみをよりフレキシブルかつ高精度に補正することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明では、液滴吐出装置に係わる第1の手段として、制御装置から液滴吐出ヘッドに駆動信号を供給することにより液滴吐出ヘッドを駆動して液滴を吐出させる液滴吐出装置であって、駆動信号の伝送において生じる波形ひずみを補正データに基づいて補正した駆動信号を生成する駆動信号生成部を具備するという構成を採用する。
【0007】
また、液滴吐出装置に係わる第2の手段として、上記第1の手段において、駆動信号生成部は、駆動信号の伝送において生じる波形ひずみを補正するために予め算出された補正データを記憶する補正データ記憶手段を備え、該補正データ記憶手段から読み出した補正データ及び駆動波形データに基づいて駆動信号を生成するという構成を採用する。
【0008】
液滴吐出装置に係わる第3の手段として、上記第2の手段において、制御装置と液滴吐出ヘッドとを接続する接続ケーブルの種類あるいは駆動信号の種類のいずれか一方あるいは両方をパラメータとして指定する操作手段をさらに備え、補正データ記憶手段は、前記パラメータに対応する複数の補正データを記憶し、駆動信号生成部は、操作手段から指定されたパラメータに対応する補正データを補正データ記憶手段から読み出して、この補正データと駆動波形データとに基づいて駆動信号を生成するという構成を採用する。
【0009】
液滴吐出装置に係わる第4の手段として、上記第2の手段において、液滴吐出ヘッドが単一の駆動信号によって並列駆動される複数の駆動素子を備え、該複数の駆動素子のうち1あるいは複数に選択的に駆動信号を供給することによって各駆動素子に対応して設けられた吐出孔から液滴をそれぞれ吐出するものである場合、駆動素子の駆動個数をパラメータとして指定する操作手段をさらに備え、補正データ記憶手段は、前記パラメータに対応する複数の補正データを予め記憶し、駆動信号生成部は、操作手段によって指定されたパラメータに対応する補正データを補正データ記憶手段から読み出して、この補正データと駆動波形データとに基づいて駆動信号を生成するという構成を採用する。
【0010】
液滴吐出装置に係わる第5の手段として、上記第2の手段において、液滴吐出ヘッドが単一の駆動信号によって並列駆動される複数の駆動素子を備え、該複数の駆動素子のうち1あるいは複数に選択的に駆動信号を供給することによって各駆動素子に対応して設けられた吐出孔から液滴をそれぞれ吐出するものである場合、駆動素子の駆動個数、駆動信号の種類及び制御装置と液滴吐出ヘッドとを接続する接続ケーブルの種類をパラメータとして指定する操作手段をさらに備え、補正データ記憶手段は、前記パラメータに対応する複数の補正データを記憶し、駆動信号生成部は、前記操作手段によって指定されたパラメータに対応する補正データを補正データ記憶手段から読み出して、この補正データと駆動波形データとに基づいて駆動信号を生成するという構成を採用する。
【0011】
液滴吐出装置に係わる第6の手段として、上記第2の手段において、駆動信号の伝送において生じる波形ひずみを補正すためのパラメータを指定する操作手段をさらに備え、駆動信号生成部は、操作手段で指定されたパラメータに基づいて前記波形ひずみを補正するための補正データを生成し、この補正データと駆動波形データとに基づいて駆動信号を生成するという構成を採用する。
【0012】
液滴吐出装置に係わる第7の手段として、上記第6の手段において、パラメータは、制御装置と液滴吐出ヘッドとを接続する接続ケーブルの種類あるいは駆動信号の種類のいずれか一方あるいは両方であるという構成を採用する。
【0013】
液滴吐出装置に係わる第8の手段として、上記第6または第7の手段において、液滴吐出ヘッドが単一の駆動信号によって並列駆動される複数の駆動素子を備え、該複数の駆動素子のうち1あるいは複数に選択的に駆動信号を供給することによって各駆動素子に対応して設けられた吐出孔から液滴をそれぞれ吐出するものである場合、パラメータとして前記駆動素子の駆動個数をも含むという構成を採用する。
【0014】
液滴吐出装置に係わる第9の手段として、上記第1〜第8いずれかの手段において、液滴は印刷用のインクであるという構成を採用する。
【0015】
液滴吐出装置に係わる第10の手段として、上記第1〜第8いずれかの手段において、液滴は、配線パターンを形成する導電性材料であるという構成を採用する。
【0016】
液滴吐出装置に係わる第11の手段として、上記第1〜第8いずれかの手段において、液滴は、マイクロレンズを形成するための透明樹脂であるという構成を採用する。
【0017】
液滴吐出装置に係わる第12の手段として、上記第1〜第8いずれかの手段において、液滴は、カラーフィルタの着色層を形成するための樹脂であるという構成を採用する。
【0018】
液滴吐出装置に係わる第13の手段として、上記第1〜第8いずれかの手段において、液滴は電気光学物質であるという構成を採用する。
【0019】
液滴吐出装置に係わる第14の手段として、上記第13の手段において、電気光学物質は、エレクトロルミネセンスを呈する蛍光性有機化合物であるという構成を採用する。
【0020】
一方、本発明では、液滴吐出方法に係わる第1の手段として、制御装置から液滴吐出ヘッドに駆動信号を供給することにより液滴吐出ヘッドを駆動して液滴を吐出させる方法であって、駆動信号の伝送において生じる波形ひずみを補正データに基づいて補正した駆動信号を生成するという構成を採用する。
【0021】
また、液滴吐出方法に係わる第2の手段として、上記第1の手段において、補正データを予め算出して補正データ記憶手段に記憶させ、駆動波形データ及び前記補正データ記憶手段から読み出した補正データに基づいて駆動信号を生成するという構成を採用する。
【0022】
液滴吐出方法に係わる第3の手段として、上記第1の手段において、制御装置と液滴吐出ヘッドとを接続する接続ケーブルの種類あるいは駆動信号の種類のいずれか一方あるいは両方をパラメータとする複数の補正データを補正データ記憶手段に予め記憶させ、前記パラメータに対応する補正データを補正データ記憶手段から読み出し、このよう補正データと駆動波形データとに基づいて駆動信号を生成するという構成を採用する。
【0023】
液滴吐出方法に係わる第4の手段として、上記第1の手段において、液滴吐出ヘッドが、単一の駆動信号によって並列駆動される複数の駆動素子を備え、該複数の駆動素子のうち1あるいは複数に選択的に駆動信号を供給することによって各駆動素子に対応して設けられた吐出孔から液滴をそれぞれ吐出するものである場合には、駆動素子の駆動個数をパラメータとする複数の補正データを補正データ記憶手段に予め記憶させ、
前記パラメータに対応する補正データを補正データ記憶手段から読み出し、この補正データと駆動波形データとに基づいて駆動信号を生成するという構成を採用する。
【0024】
液滴吐出方法に係わる第5の手段として、上記第1の手段において、液滴吐出ヘッドが単一の駆動信号によって並列駆動される複数の駆動素子を備え、該複数の駆動素子のうち1あるいは複数に選択的に駆動信号を供給することによって各駆動素子に対応して設けられた吐出孔から液滴をそれぞれ吐出するものである場合には、駆動素子の駆動個数、駆動信号の種類及び制御装置と液滴吐出ヘッドとを接続する接続ケーブルの種類をパラメータとする複数の補正データを補正データ記憶手段に予め記憶させ、前記パラメータに対応する補正データを補正データ記憶手段から読み出し、この補正データと駆動波形データとに基づいて駆動信号を生成するという構成を採用する。
【0025】
液滴吐出方法に係わる第6の手段として、上記第1の手段において、液滴の吐出に所定のパラメータに基づいて駆動信号の伝送において生じる波形ひずみを補正するための補正データを生成し、この補正データと駆動波形データとに基づいて駆動信号を生成するという構成を採用する。
【0026】
液滴吐出方法に係わる第7の手段として、上記第6の手段において、パラメータは、制御装置と液滴吐出ヘッドとを接続する接続ケーブルの種類あるいは駆動信号の種類のいずれか一方あるいは両方であるという構成を採用する。
【0027】
液滴吐出方法に係わる第8の手段として、上記第6または第7の手段において、液滴吐出ヘッドが単一の駆動信号によって並列駆動される複数の駆動素子を備え、該複数の駆動素子のうち1あるいは複数に選択的に駆動信号を供給することによって各駆動素子に対応して設けられた吐出孔から液滴をそれぞれ吐出するものである場合、パラメータとして前記駆動素子の駆動個数をも含むという構成を採用する。
【0028】
液滴吐出方法に係わる第9の手段として、上記第1〜第8いずれかの手段において、液滴は印刷用のインクであるという構成を採用する。
【0029】
液滴吐出方法に係わる第10の手段として、上記第1〜第8いずれかの手段において、液滴は、配線パターンを形成する導電性材料であるという構成を採用する。
【0030】
液滴吐出方法に係わる第11の手段として、上記第1〜第8いずれかの手段において、液滴は、マイクロレンズを形成するための透明樹脂であるという構成を採用する。
【0031】
液滴吐出方法に係わる第12の手段として、上記第1〜第8いずれかの手段において、液滴は、カラーフィルタの着色層を形成するための樹脂であるという構成を採用する。
【0032】
液滴吐出方法に係わる第13の手段として、上記第1〜第8いずれかの手段において、液滴は電気光学物質であるという構成を採用する。
【0033】
液滴吐出方法に係わる第14の手段として、上記第13の手段において、電気光学物質は、エレクトロルミネセンスを呈する蛍光性有機化合物であるという構成を採用する。
【0034】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、本発明に係わる液滴吐出装置及び方法の一実施形態について説明する。
【0035】
図1は、本実施形態に係わる液滴吐出装置の全体構成を示す斜視図である。この図1に示すように、本液滴吐出装置Aは、本体Bと制御コンピュータCとから構成されている。本体Bは、基台1、X方向駆動軸2、Y方向駆動軸3、X軸駆動モータ4、Y軸駆動モータ5、ステージ6、吐出ヘッド7、及び制御装置8等から構成されている。また、制御コンピュータCは、キーボード10(操作手段)、コンピュータ本体11及び表示部12等から構成されている。
【0036】
基台1は所定面積を有する方形状の平板であり、その表面(上面)上には、互いに直交配置されたX方向駆動軸2及びY方向駆動軸3が設けられている。X方向駆動軸2は、ボールねじ等から構成されており、X軸駆動モータ4によって回転駆動される。このX軸駆動モータ4は、例えばステッピングモータであり、制御装置8から入力される駆動信号に基づいてX方向駆動軸2を回転させことにより、基台1上において吐出ヘッド7をX方向(主走査方向)に移動させる。
【0037】
Y方向駆動軸3は、上記X方向駆動軸2と同様にボールねじから構成されており、Y軸駆動モータ5によって回転駆動される。このY軸駆動モータ5は、例えばステッピングモータであり、制御装置8から入力される駆動信号に基づいてY方向駆動軸3を回転させることにより、基台1上においてステージ6をY方向(副走査方向)に移動させる。ステージ6は、方形状の平板であり、その上面には対象物Wが固定状態で載置されている。この対象物Wは、吐出ヘッド7から吐出された液滴を付着させる対象であり、各種の用紙や基板等である。
【0038】
吐出ヘッド7は、内部に貯留する吐出用液体を圧電素子の機械的変形を利用して液滴として吐出するものであり、その詳細構成については後述する。制御装置8は、制御コンピュータCによる指示の下に、上記X軸駆動モータ4、Y軸駆動モータ5及び吐出ヘッド7を制御・駆動するものである。
【0039】
ここで、上記吐出用液体(つまり液滴)は、本液滴吐出装置Aの用途に応じて種々のものが適用される。この吐出用液体は、例えば本液滴吐出装置Aを印刷装置をして用いる場合には各種の印刷用インクとなり、パターン配線装置として用いる場合には配線パターンを形成する導電性材料となり、マイクロレンズ形成装置として用いる場合にはマイクロレンズを形成するための透明樹脂となり、カラーフィルタ製造装置として用いる場合にはカラーフィルタの着色層を形成するための樹脂となり、有機EL基板製造装置として用いる場合には発光画素を形成する電気光学物質(エレクトロルミネセンスを呈する蛍光性有機化合物)となる。
【0040】
一方、制御コンピュータCにおいて、キーボード10は、対象物Wへの液滴吐出に関する各種設定情報等をコンピュータ本体11に入力するためのものである。コンピュータ本体11は、液滴によって対象物W上に描画する画像(記録画像)の画像情報や上記各種設定情報を画像データaや設定データbとして記憶すると共に、これら画像データaや設定データbを制御装置8に提供するものである。
【0041】
また、このコンピュータ本体11は、本実施形態の特徴的な構成要素である駆動波形補正テーブルを生成して制御装置8に提供するが、この駆動波形補正テーブルについては説明の都合上後述する。表示部12は、コンピュータ本体11に記憶された上記各種設定情報や画像等を画面表示するためのものである。
【0042】
このように構成された本液滴吐出装置Aでは、制御コンピュータCによる指示の下に制御装置8が作動することにより、X軸駆動モータ4、Y軸駆動モータ5が駆動されて吐出ヘッド7が対象物W上をX方向及びY方向に2次元的に移動し、また当該対象物W上の各位置において吐出ヘッド7が駆動されることによりに対象物W上に各種の画像を描画する。
【0043】
次に、図2は、上記吐出ヘッド7及び制御装置8の詳細機能構成を示すブロック図である。この図2に示すように、制御装置8は、I/F8a、RAM8b、ROM8c(補正データ記憶手段)、演算制御部8d、駆動信号生成部8e、発振回路8f及びI/F8gから構成され、吐出ヘッド7は、シフトレジスタ7a、スイッチ回路7b1〜7b180及び圧電素子7c1〜7c180等から構成されている。なお、上記構成要素のうち、ROM8c、演算制御部8d及び駆動信号生成部8eは、駆動信号生成部CSを構成している。
【0044】
制御装置8におけるI/F8aは、制御コンピュータCから提供される上記画像データaや各種設定データbを受信するものである。RAM8bは、上記画像データaや設定データb、及び演算制御部8dのワークデータを一時的に記憶するものである。ROM8cは、演算制御部8dが処理する制御プログラム、各圧電素子7c1〜7c180を駆動するための駆動信号COMの波形を示す駆動波形データ、駆動信号COMの波形を補正するための補正データ、及び制御プログラムの実行に必要な各種制御データ、等々を記憶するものである。
【0045】
なお、上記補正データは、本実施形態の特徴的な構成要素であり、駆動波形補正テーブル8hとしてROM8cに記憶されている。ROM8cは、通常の不揮発性領域と書込データを電気的に消去可能なEEPROM領域とから構成されており、上記駆動波形補正テーブル8hは、制御コンピュータCによって生成された後に制御装置8に転送されてEEPROM領域に書き込まれる。この駆動波形補正テーブル8hの詳細については、説明の都合上後述する。
【0046】
演算制御部8dは、上記画像データaや設定データbに基づいて制御プログラムを実行することにより、液滴の吐出パターンを示す吐出パターンデータd(画像データaに対応するドットパターンデータ)、上記X軸モータ4及びY軸モータ5を駆動するためのモータ駆動信号を生成してI/F8gに出力すると共に、ROM8cから取得した駆動波形データ及び補正データに基づいて補正駆動波形データcを生成して駆動信号生成部8eに出力する。
【0047】
駆動信号生成部8eは、上記演算制御部8dから入力された補正駆動波形データc(デジタル信号)をD/A変換することによりアナログ信号である駆動信号COMを生成するものである。発振回路8fは、所定周波数の基準クロックを生成するものである。また、I/F8gは、上記基準クロックに同期させて吐出パターンデータdや駆動信号COM並びに上記モータ駆動信号を同期出力する。
【0048】
続いて吐出ヘッド7について説明する。上記吐出パターンデータdは、吐出ヘッド7に備えられた圧電素子7c1〜7c180の個数(=液滴が吐出する吐出孔の個数)、つまり180個に相当する180ビットのビット列からなるシリアルデータであり、シフトレジスタ7aは、上記I/F8gから入力されたこのような吐出パターンデータd(シリアルデータ)をパラレルデータに変換し、当該パラレルデータの各ビットを開閉信号e1〜e180として各スイッチ回路7b1〜7b180に並行出力する。
【0049】
スイッチ回路7b1〜7b180は、180個の各圧電素子7c1〜7c180に各々対応して設けられており、一端が各圧電素子7c1〜7c180の一端に接続され、他端が上記I/F8gの駆動信号COMの出力端に共通接続されている。各スイッチ回路7b1〜7b180は、上記開閉信号e1〜e180の値(0あるいは1)に応じて開/閉する。
【0050】
圧電素子7c1〜7c180は、一端が上記各スイッチ回路7b1〜7b180に各々接続されると共に他端がそれぞれGNDに接地されている。これら圧電素子7c1〜7c180は、液滴が吐出する吐出孔に対応して設けられており、駆動信号COMの印加を受けて機械的に変形することにより吐出孔から液滴を吐出させる。
【0051】
本液滴吐出装置Aでは、上記吐出パターンデータd及び駆動信号COMは、制御装置8と吐出ヘッド7との間に介装されたフレキシブルケーブルF(接続ケーブル)によってI/F8gからシフトレジスタ7aあるいは各スイッチ回路7b1〜7b180に供給されるようになっている。このフレキシブルケーブルFは、周知のようにフィルム状の樹脂の間に複数の配線パターンが並行して形成されたものである。
【0052】
ここで、上記駆動波形補正テーブル8hについて追加説明する。この駆動波形補正テーブル8hは、駆動信号COMの伝送において生じる波形ひずみを補正するための補正データを格納するテーブルである。
【0053】
図3(a)は、上記駆動信号COMの波形の一例を示すものである。この図に示す実線Hoは駆動信号生成部8eから出力される駆動信号COMの波形を示し、破線Hsは、吐出ヘッド7に実際に印加される駆動信号COMの波形を示している。これら実線Hoと破線Hsとの比較から分かるように、駆動信号生成部8eから出力される駆動信号COMは、吐出ヘッド7迄の伝送途中で波形ひずみが生じる。
【0054】
この波形ひずみの主因は、上述したフレキシブルケーブルFが有するインダクタンス成分や抵抗成分にある。したがって、上記波形ひずみは、フレキシブルケーブルFのインダクタンス成分や抵抗成分あるいは長さによって分類されているフレキシブルケーブルFの種類(つまり品番)によって異なる。
【0055】
一方、図4は、フレキシブルケーブルFと圧電素子とからなる回路の等価回路である。フレキシブルケーブルFは分布定数伝送路であり、銅線からなる各配線パターンは、インダクタンスLと抵抗Rの直列接続回路と等価であり、また各配線パターン間には圧電素子が有する静電容量としてのコンデンサCが存在する。このような等価回路について、入力端電圧をVi(t)、出力端電圧をVc(t)、通電電流をi(t)、またコンデンサCに充電される電荷をQと置くと、入力端電圧Vi(t)及び出力端電圧Vc(t)は下式(1),(2)のように表される。
【0056】
【数1】
【0057】
【数2】
【0058】
したがって、フレキシブルケーブルFに伝送されることによる電圧変化分ΔV(t)(すなわち波形ひずみ)は、上記入力端電圧Vi(t)と出力端電圧Vc(t)との差として下式(3)にように表される。
【0059】
【数3】
【0060】
この式(3)は、電圧変化分ΔV(t)がフレキシブルケーブルFのインダクタンスL、抵抗R及び通電電流をi(t)に依存することを示している。ここで、上記インダクタンスL及び抵抗Rは、フレキシブルケーブルFの種類(品番)が決まることにより固定値として与えられるが、通電電流をi(t)は、吐出ヘッド7の動作状態に応じて変動するものである。
【0061】
すなわち、本実施形態では、上述したようにI/F8gからフレキシブルケーブルFを介して吐出ヘッド7に供給された駆動信号COMは、スイッチ回路7b1〜7b180を介して各圧電素子7c1〜7c180に分配供給されるように構成されているので、通電電流をi(t)は、駆動信号COMを供給する圧電素子7c1〜7c180の個数、つまり同時に液滴を吐出する吐出孔の個数(以下、吐出Dutyという。)に応じて変動する。
【0062】
さらに、駆動信号COMは、対象物Wに付着させる液滴の大きさに応じて複数種類の波形がある。上記演算制御部8dは、画像データaに応じた駆動波形データをROM8cから読み出して駆動信号生成部8eに供給する。このような波形の種類に応じて駆動信号生成部8eの電圧レベルは当然に異なるものとなるので、上記通電電流をi(t)は、駆動信号COMの波形の種類によっても変動することになる。
【0063】
すなわち、フレキシブルケーブルFを伝送されることに起因する駆動信号COMの波形ひずみは、フレキシブルケーブルFの種類(品番)、吐出Duty及び駆動信号COMの波形の種類からなる3要因に応じて異なるものとなる。
【0064】
図5は、当該駆動波形補正テーブル8hのテーブル構成を示す模式図である。この図5に示すように、本駆動波形補正テーブル8hは、上記フレキシブルケーブルFを特定するための「品番」、駆動信号COMを印加する圧電素子7c1〜7c180の個数(つまり同時に液滴を吐出する吐出孔の個数)を示す「吐出Duty」及び駆動信号COMの「波形の種類」をパラメータとする3次元テーブルとして構成されている。すなわち、上記3つのパラメータを各々指定することにより1つの補正データが一義的に選択される。
【0065】
次に、このように構成された本液滴吐出装置Aの要部動作、つまり演算制御部8dによる補正駆動波形データcの生成処理について、図6に示すフローチャートに沿って詳しく説明する。
【0066】
最初に、演算制御部8dは、上記画像データaや設定データbに基づいて制御プログラムを実行することにより、液滴の吐出パターンを示す吐出パターンデータdを生成し(ステップS1)、上記X軸モータ4及びY軸モータ5を駆動するためのモータ駆動信号を生成し(ステップS2)、さらに駆動波形データ及び補正データに基づいて補正駆動波形データcを生成する(ステップS3)。上記吐出パターンデータdは、画像を構成する各ドットつまり液滴によって対象物W上に形成される各ドットに対応するドットパターンデータであり、液滴の吐出の有無を規定するものである。
【0067】
このような吐出パターンデータdに対して、補正駆動波形データcは、上記各ドットを形成するための液滴のサイズを規定するものであり、駆動信号生成部8eは、デジタル信号である上記補正駆動波形データcをD/A変換することによりアクチュエータとしての圧電素子7c1〜7c180を駆動するための駆動信号COM、つまり波形によって圧電素子7c1〜7c180の変形状態を規定することにより液滴のサイズを規定するアナログ信号を生成する。
【0068】
そして、このような吐出パターンデータdと駆動信号COM、及びモータ駆動信号がI/F8gから吐出ヘッド7、X軸モータ4及びY軸モータ5に同期して出力されることにより、対象物W上の2次元的な各位置には吐出ヘッド7から液滴が吐出され、この結果、対象物W上には画像データaに対応した画像が描画(記録)される。
【0069】
このような全体的な描画動作の中で、演算制御部8dは、補正駆動波形データcの生成処理(ステップS3)を以下のように行う。
【0070】
すなわち、図3(a)に示すように、ROM8cに予め記憶された駆動波形データは、実線Hoで示した駆動信号COMの波形の各サンプリング時刻t0〜tnのサンプリング電圧p0〜pnからなる電圧サンプリングデータであり、駆動波形補正テーブル8hに予め記憶された補正データは、上記各サンプリング時刻t0〜tnにおけるサンプリング電圧p0〜pn(実線Ho)とフレキシブルケーブルFによって歪んだ波形(破線Hs)との差分を示す差分データである。
【0071】
演算制御部8dは、画像データaに基づいてROM8cから1つの駆動波形データを選択的に取得する(ステップS31)と共に、上述した3つのパラメータに基づいて1つの補正データを選択的に取得し(ステップS32)、これら駆動波形データと補正データとを加算する(ステップS33)ことにより補正駆動波形データcを生成する。このようにして生成された補正駆動波形データcは、図3(b)において太線Hcで示すような補正波形に対応するものとなる。
【0072】
このような本実施形態によれば、上述した3つのパラメータに基づいて駆動波形補正テーブル8hに予め記憶された補正データを選択することにより駆動信号COMの波形ひずみを補正するので、当該波形ひずみを3つのパラメータに応じてフレキシブルかつ高精度に補正することができる。
【0073】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、例えば以下のような変形例が考えられる。
(1)上記実施形態では、制御コンピュータCによって演算された補正データを駆動波形補正テーブル8hとしてROM8cに予め記憶させることにより、演算制御部8dは専ら駆動波形補正テーブル8hから補正データを読み出して補正駆動波形データcを生成するように構成した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。補正データをROM8cに予め記憶させるのではなく、演算制御部8dの演算負荷が重くはなるが、演算制御部8dが上記3つのパラメータに基づいて補正データを順次生成するようにしてもよい。
【0074】
(2)上記実施形態における駆動波形補正テーブル8hは3つのパラメータ、つまりフレキシブルケーブルFの「品番」、「吐出Duty」及び駆動信号COMの「波形の種類」に各々対応する補正データを格納したものである。そして、このようなパラメータのうち、吐出Dutyは、I/F8gから出力された駆動信号COMを各圧電素子7c1〜7c180に分配するという吐出ヘッド7の構成を採用しているので、通電電流i(t)が吐出Dutyに応じて変化し、この結果として駆動信号COMの波形ひずみが変化する点を考慮したものである。
【0075】
しかしながら、吐出Dutyに応じて通電電流i(t)が変化しないような吐出ヘッド7の構成を採用した場合、例えば制御装置8内に各圧電素子7c1〜7c180毎にドライバを設けるような構成の場合には、吐出Dutyをパラメータとして考慮することなく、フレキシブルケーブルFの「品番」と駆動信号COMの「波形の種類」とのみをパラメータとする駆動波形補正テーブルを用いてもよい。
【0076】
(3)上記実施形態では、圧電素子7c1〜7c180を用いて液滴を吐出する吐出ヘッド7を備えた液滴吐出装置について説明したが、吐出ヘッド7の構成はこれに限定されない。他の方式の吐出ヘッド7を用いても良い。
【0077】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、制御装置から液滴吐出ヘッドに駆動信号を供給することにより液滴吐出ヘッドを駆動して液滴を吐出させる液滴吐出装置であって、駆動信号の伝送において生じる波形ひずみを補正データに基づいて補正した駆動信号を生成する駆動信号生成部を具備するので、従来のようなハードウエア的な方法に比較して駆動波形の波形ひずみをよりフレキシブルかつ高精度に補正することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係わる液滴吐出装置の全体構成を示す斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態に係わる液滴吐出装置における吐出ヘッド7及び制御装置8の詳細機能構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の一実施形態に係わる液滴吐出装置における駆動信号の波形補正概念を示す波形図である。
【図4】本発明の一実施形態に係わる液滴吐出装置におけるフレキシブルケーブルFの等価回路である。
【図5】本発明の一実施形態に係わる液滴吐出装置における駆動波形補正テーブルの構成を示す模式図である。
【図6】本発明の一実施形態に係わる液滴吐出装置の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
A……液滴吐出装置
B……本体
C……制御コンピュータ
1……基台
2……X方向駆動軸
3……Y方向駆動軸
4……X軸駆動モータ
5……Y軸駆動モータ
6……ステージ
7……吐出ヘッド
7a……シフトレジスタ
7b1〜7b180……スイッチ回路
7c1〜7c180……圧電素子
8……制御装置(駆動信号生成部)
8a……I/F
8b……RAM
8c……ROM(補正データ記憶手段)
8d……演算制御部
8e……駆動信号生成部
8f……発振回路
8g……I/F
8h……駆動波形補正テーブル
10……キーボード(操作手段)
11……コンピュータ本体
12……表示部
CS……駆動信号生成部
F……フレキシブルケーブル(接続ケーブル)
W……対象物
Claims (28)
- 制御装置から液滴吐出ヘッドに駆動信号を供給することにより液滴吐出ヘッドを駆動して液滴を吐出させる液滴吐出装置であって、
駆動信号の伝送において生じる波形ひずみを補正データに基づいて補正した駆動信号を生成する駆動信号生成部を具備することを特徴とする液滴吐出装置。 - 駆動信号生成部は、駆動信号の伝送において生じる波形ひずみを補正するために予め算出された補正データを記憶する補正データ記憶手段を備え、該補正データ記憶手段から読み出した補正データ及び駆動波形データに基づいて駆動信号を生成することを特徴とする請求項1記載の液滴吐出装置。
- 制御装置と液滴吐出ヘッドとを接続する接続ケーブルの種類あるいは駆動信号の種類のいずれか一方あるいは両方をパラメータとして指定する操作手段をさらに備え、
補正データ記憶手段は、前記パラメータに対応する複数の補正データを記憶し、
駆動信号生成部は、操作手段から指定されたパラメータに対応する補正データを補正データ記憶手段から読み出して、この補正データと駆動波形データとに基づいて駆動信号を生成することを特徴とする請求項2記載の液滴吐出装置。 - 液滴吐出ヘッドが単一の駆動信号によって並列駆動される複数の駆動素子を備え、該複数の駆動素子のうち1あるいは複数に選択的に駆動信号を供給することによって各駆動素子に対応して設けられた吐出孔から液滴をそれぞれ吐出するものである場合、
駆動素子の駆動個数をパラメータとして指定する操作手段をさらに備え、
補正データ記憶手段は、前記パラメータに対応する複数の補正データを予め記憶し、
駆動信号生成部は、操作手段によって指定されたパラメータに対応する補正データを補正データ記憶手段から読み出して、この補正データと駆動波形データとに基づいて駆動信号を生成することを特徴とする請求項2記載の液滴吐出装置。 - 液滴吐出ヘッドが単一の駆動信号によって並列駆動される複数の駆動素子を備え、該複数の駆動素子のうち1あるいは複数に選択的に駆動信号を供給することによって各駆動素子に対応して設けられた吐出孔から液滴をそれぞれ吐出するものである場合、
駆動素子の駆動個数、駆動信号の種類及び制御装置と液滴吐出ヘッドとを接続する接続ケーブルの種類をパラメータとして指定する操作手段をさらに備え、
補正データ記憶手段は、前記パラメータに対応する複数の補正データを記憶し、
駆動信号生成部は、前記操作手段によって指定されたパラメータに対応する補正データを補正データ記憶手段から読み出して、この補正データと駆動波形データとに基づいて駆動信号を生成することを特徴とする請求項2記載の液滴吐出装置。 - 駆動信号の伝送において生じる波形ひずみを補正すためのパラメータを指定する操作手段をさらに備え、
駆動信号生成部は、操作手段で指定されたパラメータに基づいて前記波形ひずみを補正するための補正データを生成し、この補正データと駆動波形データとに基づいて駆動信号を生成することを特徴とする請求項2記載の液滴吐出装置。 - パラメータは、制御装置と液滴吐出ヘッドとを接続する接続ケーブルの種類あるいは駆動信号の種類のいずれか一方あるいは両方であることを特徴とする請求項6記載の液滴吐出装置。
- 液滴吐出ヘッドが単一の駆動信号によって並列駆動される複数の駆動素子を備え、該複数の駆動素子のうち1あるいは複数に選択的に駆動信号を供給することによって各駆動素子に対応して設けられた吐出孔から液滴をそれぞれ吐出するものである場合、
パラメータとして前記駆動素子の駆動個数をも含むことを特徴とする請求項6または7記載の液滴吐出装置。 - 液滴は、印刷用のインクであることを特徴とする請求項1〜8いずれかに記載の液滴吐出装置。
- 液滴は、配線パターンを形成する導電性材料であることを特徴とする請求項1〜8いずれかに記載の液滴吐出装置。
- 液滴は、マイクロレンズを形成するための透明樹脂であることを特徴とする請求項1〜8いずれかに記載の液滴吐出装置。
- 液滴は、カラーフィルタの着色層を形成するための樹脂であることを特徴とする請求項1〜8いずれかに記載の液滴吐出装置。
- 液滴は、電気光学物質であることを特徴とする請求項1〜8いずれかに記載の液滴吐出装置。
- 電気光学物質は、エレクトロルミネセンスを呈する蛍光性有機化合物であることを特徴とする請求項13記載の液滴吐出装置。
- 制御装置から液滴吐出ヘッドに駆動信号を供給することにより液滴吐出ヘッドを駆動して液滴を吐出させる方法であって、
駆動信号の伝送において生じる波形ひずみを補正データに基づいて補正した駆動信号を生成することを特徴とする液滴吐出方法。 - 補正データを予め算出して補正データ記憶手段に記憶させ、駆動波形データ及び前記補正データ記憶手段から読み出した補正データに基づいて駆動信号を生成することを特徴とする請求項15記載の液滴吐出方法。
- 制御装置と液滴吐出ヘッドとを接続する接続ケーブルの種類あるいは駆動信号の種類のいずれか一方あるいは両方をパラメータとする複数の補正データを補正データ記憶手段に予め記憶させ、
前記パラメータに対応する補正データを補正データ記憶手段から読み出し、
このよう補正データと駆動波形データとに基づいて駆動信号を生成することを特徴とする請求項15記載の液滴吐出方法。 - 液滴吐出ヘッドが、単一の駆動信号によって並列駆動される複数の駆動素子を備え、該複数の駆動素子のうち1あるいは複数に選択的に駆動信号を供給することによって各駆動素子に対応して設けられた吐出孔から液滴をそれぞれ吐出するものである場合には、
駆動素子の駆動個数をパラメータとする複数の補正データを補正データ記憶手段に予め記憶させ、
前記パラメータに対応する補正データを補正データ記憶手段から読み出し、
この補正データと駆動波形データとに基づいて駆動信号を生成することを特徴とする請求項15記載の液滴吐出方法。 - 液滴吐出ヘッドが単一の駆動信号によって並列駆動される複数の駆動素子を備え、該複数の駆動素子のうち1あるいは複数に選択的に駆動信号を供給することによって各駆動素子に対応して設けられた吐出孔から液滴をそれぞれ吐出するものである場合には、
駆動素子の駆動個数、駆動信号の種類及び制御装置と液滴吐出ヘッドとを接続する接続ケーブルの種類をパラメータとする複数の補正データを補正データ記憶手段に予め記憶させ、
前記パラメータに対応する補正データを補正データ記憶手段から読み出し、
この補正データと駆動波形データとに基づいて駆動信号を生成することを特徴とする請求項15記載の液滴吐出方法。 - 液滴の吐出に所定のパラメータに基づいて駆動信号の伝送において生じる波形ひずみを補正するための補正データを生成し、
この補正データと駆動波形データとに基づいて駆動信号を生成することを特徴とする請求項15記載の液滴吐出方法。 - パラメータは、制御装置と液滴吐出ヘッドとを接続する接続ケーブルの種類あるいは駆動信号の種類のいずれか一方あるいは両方であることを特徴とする請求項20記載の液滴吐出方法。
- 液滴吐出ヘッドが単一の駆動信号によって並列駆動される複数の駆動素子を備え、該複数の駆動素子のうち1あるいは複数に選択的に駆動信号を供給することによって各駆動素子に対応して設けられた吐出孔から液滴をそれぞれ吐出するものである場合、
パラメータとして前記駆動素子の駆動個数をも含むことを特徴とする請求項20または21記載の液滴吐出方法。 - 液滴は、印刷用のインクであることを特徴とする請求項15〜22いずれかに記載の液滴吐出方法。
- 液滴は、配線パターンを形成する導電性材料であることを特徴とする請求項15〜22いずれかに記載の液滴吐出方法。
- 液滴は、マイクロレンズを形成するための透明樹脂であることを特徴とする請求項15〜22いずれかに記載の液滴吐出方法。
- 液滴は、カラーフィルタの着色層を形成するための樹脂であることを特徴とする請求項15〜22いずれかに記載の液滴吐出方法。
- 液滴は、電気光学物質であることを特徴とする請求項15〜22いずれかに記載の液滴吐出方法。
- 電気光学物質は、エレクトロルミネセンスを呈する蛍光性有機化合物であることを特徴とする請求項27記載の液滴吐出方法。
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JP2003115837A JP2004322317A (ja) | 2003-04-21 | 2003-04-21 | 液滴吐出装置及び方法 |
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JP2008191447A (ja) * | 2007-02-06 | 2008-08-21 | Seiko Epson Corp | 液滴吐出装置及びその駆動方法 |
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