JP2004321357A - 血液透析装置の操作教育用シミュレータ、コンピュータ実行プログラム、血液透析装置の操作教育用シミュレータシステム - Google Patents
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Abstract
【課題】患者宅にて連日短時間透析を実行するにあたって、実際に透析作業を行う患者等に対する透析実技教育(患者教育)を行う際に、(1)患者の生活スケジュールに合わせた融通性のある患者教育の実施が容易であり、(2)全ての患者が必要レベルの教育を受けられるようにするための患者教育の標準化が容易である、血液透析装置の操作教育用シミュレータ、コンピュータ実行プログラム、血液透析装置の操作教育用シミュレータシステムを提供する。
【解決手段】ダイアライザー20−1や血液回路20−12bの実部品又は模型の装着が練習できる血液回路セット部ダミー装置3と、(1)タッチパネル30の模擬的な操作と(2)この操作に従って変化する血液回路等の外観上の変化の目視確認とを実行できる、シミュレーション画面2−2を表示する教育用シミュレータ2と、を備えたシステム1とする。
【選択図】 図1
【解決手段】ダイアライザー20−1や血液回路20−12bの実部品又は模型の装着が練習できる血液回路セット部ダミー装置3と、(1)タッチパネル30の模擬的な操作と(2)この操作に従って変化する血液回路等の外観上の変化の目視確認とを実行できる、シミュレーション画面2−2を表示する教育用シミュレータ2と、を備えたシステム1とする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、血液透析装置の操作教育用シミュレータ、コンピュータ実行プログラム、血液透析装置の操作教育用シミュレータシステムに関し、特に在宅血液透析療法を実行するために患者等に対して血液透析の基礎や血液透析装置の操作手順を教える患者教育を行う際に、(1)患者の生活スケジュールに合わせた融通性のある患者教育の実施と、(2)患者の居住地や医療機関に依存しない患者教育の標準化とを、確実且つ容易に実現するための構成に関する。
【0002】
【従来の技術】
腎機能不全患者の増加に伴い、人工透析(以下、血液透析ともいう)を受ける患者の数も増加傾向にある。斯かる患者は、通常、病院や診療所など医療施設において数日に一回の割合で数時間、血液透析を受けることを余儀なくされ(この種の血液透析を、病院内で行う透析という意味で、以下「院内透析」ともいう)、これを解消するためには、従来は腎臓移植を行うしかなかった。
【0003】
血液透析は、血液と透析液をセルロースやポリスルフォンなどの高分子膜を用いた中空糸型や積層型半透膜モジュール(以下、ダイアライザーともいう)を介して循環し、血液中の老廃物や過剰の水を除去するものである。
【0004】
近年の在宅医療の進展の中で、上記した院内透析における通院の煩わしさを解消するなどのために、在宅で患者自身が透析を行うための在宅血液透析装置が開発され、臨床応用の可能性が高まっている。
【0005】
血液透析を医療機関ではなく患者宅において実施することによって、上記した院内透析に伴う通院の煩わしさが解消されるばかりではなく、院内透析において一般的であった週3回透析を実施する隔日透析に代えて、例えば週6回、短時間の透析を実施する連日短時間透析が容易に実行できる環境が整い、この結果、血液透析の治療効果が向上するなどのメリットが生じることが、以下のように報告されている。
【0006】
すなわち、まず、平成10年度厚生科学研究費補助金健康科学総合研究事業(身体的および財政的負担の少ない在宅血液透析技術の開発)についての研究報告「連日短時間血液透析の臨床評価の取り組み」(斎藤明ほか、1999年3月報告)では、「週3回の間欠的血液透析と週当たりの透析時間を同一にした週6回の連日短時間透析を3ヵ月間施行した結果、透析量は不変にもかかわらず、透析前溶質濃度、栄養状態、体液負荷量、貧血、透析不均衡症候群などに改善が認められ、本治療法は身体的負担を軽減する血液透析技術となることが明らかとなった。」と報告されている。
【0007】
また、平成12年度厚生科学研究費補助金健康科学総合研究事業(身体的および財政的負担の少ない在宅血液透析技術の開発)についての研究報告「連日短時間血液透析の長期評価」(斎藤明ほか、2001年3月報告)では、「4名の安定期血液透析患者に週6回、1日2時間の連日短時間血液透析を最低6ヶ月間施行した結果、降圧薬の減量にもかかわらず血圧は低下し、心胸郭比も減少した。一方、ドライウェイトは上昇し、栄養状態の改善がうかがわれた。酸塩基平衡、電解質は週3回透析時に比しより生理的範囲に維持され、本療法に起因する有害事象は認められなかった。以上より、本法は長期的にも安全で効果的な透析方法と考えられる。」と報告されている。
【0008】
更に、下記する非特許文献1では、世界の連日短時間血液透析(Daily HemoDialysis:DHD)の臨床実績レビューと、DHDの医学的有用性は貧血改善、血圧正常化、栄養状態改善、透析に関連する臨床症状の低減であること、世界の多くの研究においても共通の有用性が報告されていること、及びブラッドアクセス(血液を人体から透析回路へ送るために人体側に設けられた部位)については週3回透析以上の障害が発生したという報告は無いこと、が報告されている。
【0009】
更にまた、下記する非特許文献2では、症例数を多く確保した(n=72)長期的なDHD臨床試験結果、DHDの医学的有用性(貧血改善、血圧正常化、栄養状態改善)を週3回透析6ヶ月間とDHD期間12ヶ月間のデータを比較し確認したこと、ブラッドアクセスの障害発生率はDHDのほうが週3回透析より低く、ブラッドアクセスの開存率は2年で93%であること、及びDHDの患者生存率は2年で93%と高いことが報告されている。
【0010】
このように連日透析療法によれば、従来の間欠的な透析療法と比較してより生体腎に近い条件で透析が実行出来るので、上記した種々の医学的効用が発揮されるとともに、患者のQOL(Quality Of Life:生活の質)が向上する顕著な効果がある。
【0011】
【非特許文献1】
Daily Hemodialysis(History and Revival of a Superior Dialysis Method C.M.Kjellstrand,Todd Ing : ASAIO Journal 1998,117−122
【非特許文献2】
Clinical and biochemical correlates of starting”daily”hemodialysis John D.Woods,Friedrich K.Port,Sean Orzol,U Buoncristiani et al. : Kidney International,vol55,2467−2476,1999
【特許文献1】
特開2002−325839号公報
【特許文献2】
特表2000−504988号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記した在宅血液透析を実施するためには、患者等(在宅透析作業の実行者が患者自身である場合、介助者が行う場合、あるいはこれらの双方が行う場合等様々なケースが考えられるが、記載を簡潔なものとするため以下これらを総称して「患者」、「患者等」ともいう)が専門の医療従事者が居ない在宅で透析作業を単独で行うこととなるのであるから、患者等は透析の開始に先立って在宅透析実施に必要な教育(以下、「患者教育」ともいう)を受け、透析作業を単独で実施できるレベルまで技量や知識を向上させなければならない。
【0013】
上記の「患者教育」とは、(1)在宅血液透析について基礎知識を学ぶ課程(講義を主体とする)、(2)自己穿刺、抜針、止血等の透析作業の実技を学ぶ課程(実技練習を主体とする)、及び(3)在宅血液透析装置の操作を学ぶ課程(講義及び実技練習を行う)という大きな3分野の課程を含み、従来小規模に試行された在宅血液透析においては、これらの患者教育に関わる講義と実技練習は医療機関のような透析実施施設で、実際に透析作業に従事する医療従事者により指導と教育が行われていた。
【0014】
しかしながら、在宅血液透析を実現するため特に上記の患者教育について鋭意検討を行ってきた本発明人の知見によれば、今後、更に規模を拡大して在宅血液透析を実施しようとすると、(1)患者の生活スケジュールに合わせた融通性のある患者教育の実施が容易ではなく、(2)全ての患者が必要レベルの教育を受けられるようにするための患者教育の標準化が容易ではないので、この結果患者教育の確実な実施が困難となることから、在宅血液透析の広範囲な実施が困難となる恐れがあった。このことを以下に具体的に説明する。
【0015】
[患者の生活スケジュールに合わせた融通性のある患者教育の実施が容易ではない点]
現在、在宅血液透析の実施に意欲的な医療機関では、少なからぬ準備期間と資金を投じて患者教育のためのカリキュラムを作成し、在宅血液透析のための患者教育が実施されようとしている。本発明者の知見によれば、ある医療機関では3週間から4週間に亘り集中的に教育が行われ、また他の医療機関においては、週1回のカリキュラムを半年間継続して教育が行われる予定である。
【0016】
しかしながら、血液透析療法を受ける患者は、老年層に限られず就業あるいは学業についている壮年層、若年層もまた大きな比率を占めるのであるから、特に就業者にとっては上記の3週間から4週間に亘り集中的に行われる教育は、現実には就業の都合上、受けることが非常に難しい。また週に数時間とはいえ、毎週決められた時間、例えば土曜日の午前9時から3時間の教育を半年間という長期に亘って受けることは患者自身の生活スケジュールとの不適合が生じ、また患者の不便さ、苦痛も無視できないものがある。
【0017】
患者の都合により例えば今週は土曜日ではなく金曜日に変更したい、あるいは土曜日の午後に変更したい、といった希望があったとしても、医療機関では多大な努力の下に人員や設備を融通することを前提として長期に亘るスケジュールを組んでいるのであるから、患者の都合に合わせてその都度スケジュールを変更することは困難であることが多い。
【0018】
更に、透析装置の操作の実際などは、患者自身が何度も反復して練習することによりその正しい操作方法や作業の感覚を獲得していくことが望ましい、という事情もある。
【0019】
そこで、自宅で予習や復習を行うという前提で医療機関で実施される教育カリキュラムの一部の量を減らすことによって、患者の生活スケジュールに柔軟に対応可能な患者教育を行ったり、あるいは、患者が自宅で透析装置の操作などを繰り返し反復練習して習熟を確実なものとしたりするように患者教育のカリキュラムを改善しようとすると、今度は、これら自宅での予習復習や反復練習に用いるべき教材として効果的なものが存在しない、という新たな課題に直面することとなる。
【0020】
確かに血液透析についての一般的な知識や透析作業の内容を解説することを目的とする書籍などは既に少なくない種類が市販されているものの、これら印刷媒体の教材を用いたのでは、実際の血液透析装置の動きを患者がリアルに視覚的に確認できるようにしたり、あるいは患者が実際に血液透析装置やこの装置に取りつけるべき部品に触れてこれら部品の取りつけ取り外しを実際に経験したり、更には、この血液透析装置を患者が実際に操作して、操作に応じて装置がどのように動作するか、万が一誤った操作を行うと装置がどういう動作をするのか、といったリアルな体験、学習を行うことが出来ない。
【0021】
そこで、これら書籍に代わる構成を用いてよりリアルな学習を行おうとして実際の血液透析装置を患者宅に設置して、これら患者教育の予習復習や反復練習に用いようとすると、透析施設に設置されている教育用血液透析装置の他にもう一台の血液透析装置が必要となることや、実際の在宅血液透析の開始に先立って血液透析装置を患者宅に設置すると、レンタル契約方式で供給される装置の場合はレンタル料金が追加される点など、経済面から実現が困難である。
【0022】
すなわち従来の技術構成を用いたのでは、患者の自宅など透析実施施設以外では有効な患者教育を行うことが出来ず、患者は予習復習や反復練習など自習により透析教育を補うことが困難であった。
【0023】
このように、在宅血液透析を実施するために必要な患者教育が透析実施施設での予め決められた日程に沿って行われる以外に方法が無く、患者の生活スケジュールに合わせた融通性を持たせることが困難であることから、患者がこの不便さを嫌って在宅血液透析の実施に参加することをためらい、この結果、患者の利益が阻害される恐れがあった。
【0024】
[患者教育の標準化が容易ではない点]
在宅血液透析では患者自身が透析作業を行うので、患者教育を受けた全ての患者について、透析が単独で出来るレベルに達するよう確実な教育成果が求められる。
【0025】
しかしながら、医療機関における患者教育実行準備の進捗度や医療従事者の人員配置の余裕度の違い、あるいは医療機関内での医療従事者の配置ローテーションの影響などの理由から、現時点では患者教育の達成度、すなわち患者教育のレベルは医療機関によって必ずしも一様ではない。また、医療機関で血液透析作業に従事する医療従事者が血液透析実技のために保有する技術や知識と、患者を教育するための技術とは別個なものであるので、この点からも患者教育レベルに差が出る恐れがある。患者教育のレベルに差がある、という理由から、患者が自宅近くにある医療機関ではなくて他の医療機関で患者教育を受けようとしても、この医療機関が遠方の場合には通院して患者教育を受けることが現実には難しい。
【0026】
このように、患者の居住地や患者が通う医療機関によらず、全ての患者が必ず一定の必要レベル以上の患者教育を受けられるようにするための患者教育の標準化が求められているにもかかわらず、従来の技術ではその実現が困難であった。
【0027】
上記の患者教育の標準化を実現するために血液透析に関する書籍のような印刷媒体の教材を利用しようとしても、リアルな血液透析装置の動きや操作の体験が出来ない点などで十分な効果が得られない点は、先に説明した通りである。
【0028】
ところで、在宅血液透析に関わる患者教育の効率性を改善しようとする従来の提案として、例えば下記する特許文献1に記載された透析用穿刺シミュレータに関する技術的構成がある。上記の従来技術では、患者の内腕部の血管に形成したシャントへの患者自身あるいは介助者による穿刺作業を効率よく安全に練習する目的で、体内循環系を模した循環流路を内蔵する腕模型を提供しようとするものであって、いうまでもなく上記の構成は血液透析装置の操作の習熟を図るものではないので、上記したような血液透析装置を患者や介助者が自ら操作する在宅透析における患者教育の容易化、標準化を可能とするものではない。
【0029】
更に、上記とはまた異なる従来技術として、下記する特許文献2に記載された液晶画面のユーザインターフェースを有する透析機に関する提案がある。上記の従来技術は、操作手段として液晶画面(タッチパネル)及びハードキーを有する透析機とすることによって透析機の操作性等を向上させようとする提案であって、透析機の操作の習熟度を向上させる点については何らの解決策も提示してはいない。
【0030】
本発明は、上記の状況に鑑みなされたものであって、(1)患者の生活スケジュールに合わせた融通性のある患者教育の実施が容易であり、(2)全ての患者が必要レベルの教育を受けられるようにするための患者教育の標準化が容易であることから、この結果患者教育の確実な実施と在宅血液透析の広範囲な実施を可能とする、血液透析装置の操作教育用シミュレータ、コンピュータ実行プログラム、血液透析装置の操作教育用シミュレータシステムを提供することを目的とする。
【0031】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、本発明は、下記する1)乃至4)に記載の各構成を有する血液透析装置の操作教育用シミュレータ、コンピュータ実行プログラム、血液透析装置の操作教育用シミュレータシステムを提供する。
1) タッチパネル及び/又はキースイッチを操作部として有する血液透析装置の操作手順を習得するための、血液透析装置の操作教育用シミュレータであって、前記操作部の外観を模して表示する操作部表示領域と、少なくとも血液の流路上にある部品を含むように前記血液透析装置の外観を模して表示する血液流路部品表示領域とを含み、且つ、前記操作部表示領域内に表示された操作部の所望の部位を選択操作することにより、前記血液透析装置の操作部における前記所望の部位を操作した結果発生する事象を模した態様にて前記操作部表示領域及び前記血液流路部品表示領域の表示内容が変化する、シミュレーション画面を表示手段の画面上に表示させる制御部を備えた、血液透析装置の操作教育用シミュレータ。
2) 前記制御部は、正常に動作中の前記血液透析装置を模した態様と、異常が発生した前記血液透析装置を模した態様との双方にて前記シミュレーション画面を表示させることを特徴とする、1)に記載の血液透析装置の操作教育用シミュレータ。
3) 1)又は2)に記載された血液透析装置の操作教育用シミュレータの制御部が実行する前記シミュレーション画面の表示制御をコンピュータに実行させるためのコード部を有する、コンピュータ実行プログラム。
4) タッチパネル及び/又はキースイッチを操作部として有する血液透析装置の操作手順を習得するための、血液透析装置の操作教育用シミュレータシステムであって、
(a)前記操作部の外観を模して表示する操作部表示領域と、少なくとも血液の流路上にある部品を含むように前記血液透析装置の外観を模して表示する血液流路部品表示領域とを含み、且つ、前記操作部表示領域内に表示された操作部の所望の部位を選択操作することにより、前記血液透析装置の操作部における前記所望の部位を操作した結果発生する事象を模した態様にて前記操作部表示領域及び前記血液流路部品表示領域の表示内容が変化する、シミュレーション画面」を表示手段の画面上に表示させる制御部を備えた、シミュレータ装置と、
(b)前記血液流路部品表示領域内に表示され、且つ、前記血液透析装置において取り付け取り外し操作が可能なように構成された部品、又は当該部品の模型が着脱自在に装着された、取り付け取り外し操作練習用ダミー装置と、を有することを特徴とする血液透析装置の操作教育用シミュレータシステム。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下、図1乃至図6に従い、本発明の実施形態に係る好ましい実施例である、血液透析装置の操作教育用シミュレータシステムの説明を行う。
【0033】
図1は本実施例の血液透析装置の操作教育用シミュレータシステムの外観図、図2は図1の血液透析装置の操作教育用シミュレータシステムがシミュレートを行う対象である在宅血液透析装置のブロック図、図3は図2の在宅血液透析装置の外観斜視図、図4は図2の在宅血液透析装置が備えるタッチパネルの外観図、図5は図2の在宅血液透析装置が備える血液回路セット部の外観図、図6は図1の血液透析装置の操作教育用シミュレータシステムが備える血液透析装置の操作教育用シミュレータの構成図である。
【0034】
[在宅血液透析装置の構成]
次に、後に説明を行う本実施例の血液透析装置の操作教育用シミュレータシステム(以下、教育用シミュレータシステム、本システム、本実施システムなどともいう)1がシミュレートを行う対象である、在宅血液透析装置10の構成の概要を説明する。
【0035】
尚、以下はあくまでも在宅血液透析装置の一構成例に促した説明であって、本実施例の教育用シミュレータシステムもまたこの一構成例の在宅実行透析装置10に応じた構成としている。しかしながら在宅血液透析装置の構成は本例以外にも様々な態様が可能であり、その在宅血液透析装置の実施態様に合わせて個々の教育用シミュレータシステムは構成されるべきであり、従って本実施例の教育用シミュレータシステムは発明の趣旨を逸脱しない範囲で変形が可能である。
【0036】
図2のブロック図に示すごとくの在宅血液透析装置10は、先に説明したように患者宅に設置されて患者や介助者の操作に従って患者の血液透析を実行するものであって、大きなブロックとして、(1)血液の透析を実行する血液体外循環部10aと、(2)透析液の調整と循環とを行う透析供給部10bと、(3)軟水化処理や活性炭濾過を経た原水から膜透過により各種イオンやエンドトキシンなどのパイロジェンを除去して透析液を作成するためのRO水を作るRO水生成部10cと、を有している。
【0037】
先に説明したように在宅血液透析においては、連日短時間透析を実施することが多い。また患者宅にて行う在宅透析では装置の設置可能なスペースが限られているので、血液透析装置の他に、透析液を作成するためのRO水を作るRO水生成装置、あるいは透析液作成装置などを別個の装置として設置する余裕がなく、在宅透析装置自身がこれらRO水生成機能、透析液作成機能を備える必要がある。
【0038】
このような理由から、在宅血液透析装置は、例えば、以下に示すような各ステップを含んだ一連のシークエンスを、連日透析実施日には毎日一回繰り返すよう構成されている。
(1) 透析液作成ステップ〜在宅血液透析装置に装着された透析液原液ボトルから排出された透析液原液を希釈して透析液を作成する。
(2) プライミング・ステップ〜透析実行に先立って、ダイアライザー(血液ろ過モジュール)と血液回路の中を逆ろ過透析液で満たし適温まで温度を上げる。
(3) 血液透析ステップ〜患者等の操作に応じて、血液透析を実行する。
(4) 返血ステップ〜血液透析の終了後、ダイアライザーおよび血液回路内に残った血液を患者の体内に戻す。
(5) 洗浄・性能試験ステップ〜血液の流路と、透析液の流路中に洗浄液を通して洗浄を行い、その後、各機能の試験を行う。
(6) 熱水殺菌ステップ〜血液の流路と、透析液の流路中に熱水を通して各流路内部の殺菌を行う。
(7) 待機ステップ〜次回の透析開始まで待機状態を続ける。
(8) 洗浄ステップ〜血液透析の開始に先立って、血液の流路及び透析液の流路内部に洗浄液、RO水を通して洗浄を行う。
【0039】
また、上記の血液体外循環部10aには、高分子膜を用いた中空糸型半透膜モジュールであるダイアライザー10−1、患者の動脈を発した血液をダイアライザー10−1まで導き、透析が済んでこのダイアライザー10−1を発した血液を患者の静脈へ導く複数の管部材よりなる血液回路、及び血液の循環を行う血液ポンプ10−2が含まれている。
【0040】
ここで、上記のダイアライザー10−1及び血液回路は、連日透析を実行するために定期的に、例えば週に一度交換がなされるべき定期的交換部品であって、患者宅まで搬送されたこれらの交換部品の交換作業は、患者等、在宅血液透析の実施者が実行する。尚、血液体外循環部10aのより詳細な構成は、後記する。
【0041】
更に在宅血液透析装置10は、図3の斜視図に示すように、上記した血液体外循環部10aの殆どの構成を含んだモジュールである血液回路セット部20、在宅血液透析装置10を使用しないときは閉じて上記した血液回路セット部20を保護し、使用するときには開いて用いるパネルである前面ドア10−5、支持アーム上に配置されて在宅血液透析装置10の運転状況やアラームなどを表示すると共に表示されたキーやボタンなどを押して透析実施のための操作を行うタッチパネル30とを備えている。
【0042】
[タッチパネルの構成]
次に、上記したタッチパネル30の構成を、図4の外観図に基いて説明する。先に説明したように、タッチパネル30は、表示された画面内のボタン表示に操作者が触れたり、付属するハードキーを操作者が押圧操作をするなどして在宅血液透析装置20の操作を行うと共に、その表示画面にはこの装置20の操作に必要な情報が表示されるものである。
【0043】
このためにタッチパネル30には、情報の表示や触れて操作するためのボタンなどの表示を行う液晶画面30−1、補液注入を行うためのハードキーである補液キー30−2、操作を行う際に次の工程へ進めるためのハードキーである確認キー30−3、異常が発生した際などに在宅血液透析装置20の動作を一時停止するためのハードキーである一時停止キー30−4、在宅血液透析装置20が運転状態にあるときに点灯する電源ランプ30−5、タッチパネル30を支持するためのアームである支持アーム30−7とを有している。
【0044】
また、図4の図示状態において液晶画面30−1には、情報表示画面30−1aと操作ボタン30−1bとが表示されている。
【0045】
[血液回路セット部の構成]
次に、上記した血液回路セット部20の構成を図5の外観図に基き説明する。尚、以下の説明では血液回路セット部20の主要な構成のみに言及し、その他説明を行わない構成が血液回路セット部20には含まれているものである。
【0046】
血液回路セット部20に含まれる構成は、下記するように、(1)中空糸を用いた血液ろ過器であるダイアライザー20−1と、(2)動脈側フローパスを構成する部材と、(3)静脈側フローパスを構成する部材とに大きく分かれている。
【0047】
まず動脈側フローパスを構成する部材は以下のとおりである。
【0048】
血液ポンプ20−2:血液回路とダイアライザー20−1に血液を循環させるポンプである。
血液ポンプハンドクランク20−3:停電時に返血が必要な場合など、血液ポンプ20−2を手動でまわす必要があるときに使用する。
動脈側気泡検知器20−6:動脈側血液回路内の気泡を検知するためのセンサである。
動脈側ラインクランプ20−8:動脈側気泡検知器20−6が気泡を検知すると、動脈側血液回路を自動的に閉鎖して気泡が患者側へ送られるのを阻止する。
トランスデューサ保護フィルタ(以下、圧フィルターともいう)20−9:血液等の液体が図示しないエアーポンプに達するのを阻止する。
動脈側血液回路(A)20−10a、動脈側血液回路(B)20−10b、動脈側血液回路(C)20−10c:患者の動脈側ブラッドアクセスからダイアライザー20−1の血液入り口にいたる血液回路である。
動脈側穿刺針接続部20−11:動脈側血液回路20−10a、20−10b、20−10cの先端であって透析中はこの部分を患者のブラッドアクセスに接続する。尚、図5では透析終了後に装置20側に収納されている状態を示す。
【0049】
次に、静脈側フローパスを構成する部材は以下の通りである。
【0050】
静脈側エアートラップ20−4:血液中に含まれる気泡を補足し、患者側への進行を阻止する。
静脈側気泡検知器20−5:静脈側血液回路内の気泡を検知するためのセンサである。
静脈側ラインクランプ20−7:静脈側気泡検知器20−5が気泡を検知すると、静脈側血液回路を自動的に閉鎖して気泡が患者側へ送られるのを阻止する。
静脈側血液回路(A)20−12a、静脈側血液回路(B)20−12b:ダイアライザー20−1の血液出口から患者の静脈側ブラッドアクセスにいたる血液回路である。
静脈側穿刺針接続部20−13:静脈側血液回路20−12a、20−12bの先端であって透析中はこの部分を患者のブラッドアクセスに接続する。尚、図5では透析終了後に装置20側に収納されている状態を示す。
【0051】
また、上記に説明した血液回路セット部20の各部材の中で、ダイアライザー20−1、動脈側血液回路(A)20−10a、動脈側血液回路(B)20−10b、動脈側血液回路(C)20−10c、動脈側穿刺針接続部20−11、静脈側血液回路(A)20−12a、静脈側血液回路(B)20−12b、及び静脈側穿刺針接続部20−13は、在宅血液透析装置10の定期的交換部品であって、連日透析を実施中は一週間に一回交換がなされる。
【0052】
[患者の透析実施作業の概要]
次に、在宅血液透析装置10を用いて患者等が実際に透析の作業を行う手順の概要を説明する。尚、先に説明したタッチパネル30、及び血液回路セット部20との関連を明確にするために、タッチパネル30を操作する作業には「(タッチパネル操作)」、血液回路セット部20を操作する作業には「(血液回路セット部操作)」と付記することとする。
【0053】
患者側が行う透析の作業手順のポイントは、実施順に次の通りである。
【0054】
(1)物品準備ステップ:
透析実施に必要な物品の準備をして、在宅透析装置10の確認を行い、次の工程に進む。
【0055】
(2)透析準備ステップ:
ブザーテストと、測定した透析前体重の入力を行って進むボタンを押す(タッチパネル操作)。治療設定の確認をして確認キー30−3を押す(タッチパネル操作)。圧フィルター20−9を交換する(血液回路セット部操作)。患者のシャントに穿刺を行い、血液回路をこのブラッドアクセスに接続する(血液回路セット部操作)。
【0056】
(3)透析ステップ:
クランプ(血液回路の途中を遮断していた手動クランプ)を開ける(血液回路セット部操作)。確認キー30−3を押して血液プライミングを行う(タッチパネル操作)。ヘパリン(抗血液凝固剤)を血液回路に入れる。確認キー30−3を押して透析を開始する(タッチパネル操作)。開始後、約2時間で透析が終了する。
【0057】
(4)透析終了ステップ:
確認キー30−3を押して返血を開始する(タッチパネル操作)。追加補液が必要なく透析を終了するときは確認キー30−3を押す(タッチパネル操作)。クランプを閉め、血液回路をブラッドアクセスから外して装置10側の殺菌ポート内に収納する(血液回路セット部操作)。血液回路を整えドア10−5を閉めて確認キー30−3を押す(体外モジュール操作、タッチパネル操作)。シャントから抜針して止血を行う。
【0058】
(5)次回の準備ステップ
透析液原液ボトル6b−a、6b−bを交換する。水前処理装置のフィルタ圧力と塩素のチェックを行う。問題がなければ確認キー30−3を押す(タッチパネル操作)。以上のように、患者側が行う透析作業の殆どは、タッチパネル30か血液回路セット部20を操作することにより作業がなされるのであり、従ってこれらのタッチパネル30と血液回路セット部20の操作の練習を繰り返し実行可能とすれば、透析教育の内の大きな比重部分を強化できることが理解される。
【0059】
[教育用シミュレータシステムを用いた透析教育の流れ]
次に、以下に説明を行う本実施例の血液透析装置の操作教育用シミュレータシステム1を用いて患者等に在宅透析実施に必要な教育を行う流れの概要を説明する。先に説明したように、在宅透析教育は、(1)在宅血液透析のための基礎知識、(2)自己穿刺・抜針・止血、及び(3)透析装置の操作習得、という大きな3項目の内容を習得する必要があり、本実施例のシステム1を利用した患者教育では、これらのカリキュラムを下記する2つのステップに分けて教育を行う。
【0060】
(1)第1ステップ
本ステップでは、自宅での自己学習と、透析実施施設での学習とが平行して行われる。自宅での学習は、印刷教材を用いて在宅透析についての基礎知識や、自己穿刺等についての基礎知識を学ぶとともに、下記する教育用シミュレータシステム1を用いて在宅透析装置の特徴、基本操作(定常操作)、非定常操作(異常発生時の操作)、アラーム対応等を学ぶ点に特徴がある。
【0061】
自宅での学習と平行して行われる透析施設での学習では、自宅での自己学習の確認、透析実施に必要な測定や清潔操作の実習、自己穿刺・抜針・止血の実習等が行われる。尚、患者教育を受ける患者は院内透析を実施していることが多く、この場合週3回の院内透析をこの透析実施施設で受けながら患者教育を受けることが出来るので、この第1ステップを実施することによる患者の負担増は少なく押さえられるし、病院側の負担が少ない。
【0062】
すなわちこの第1ステップにおいて、自宅で患者が繰り返し在宅透析装置10の模擬的な操作実習を行う際に、本実施例システム1が有効利用される。この第1ステップにおける教育の達成度を評価し、合格の場合に次の第2ステップへ進む。
【0063】
(2)第2ステップ
本ステップでは透析施設での実習を主体とし、自宅では復習を行う。透析施設での実習としては生理食塩水を用いた在宅血液透析装置10による模擬透析、及び同じ装置10を用いて実際に患者に対して行う血液透析の実習が含まれる。この第2ステップにおいて、透析施設で実習を行った在宅血液透析装置10の操作実習を自宅で復習確認(反復練習)する際に、本実施例システム1が活用される。この第2ステップは、先に本実施例システム1を用いて第1ステップで多くの学習や実習がなされており、且つ、この第2ステップでも本実施例システム1を用いた自宅での反復練習が行われるので一週間程度の集中的な教育で完了することが可能であり、先に説明した従来の患者教育と比較して所要期間が大幅に短縮され、患者の負担を大きく軽減することが出来る。
【0064】
[血液透析装置の操作教育用シミュレータシステムの構成]
次に、本実施例の教育シミュレータシステム1の構成を、各図面を用いながら順次説明していく。
まず、本システム1の構成の大要は、図1の外観図に示す通り、(1)教育用シミュレータ装置2と、(2)血液回路セット部ダミー装置3とを有する点にある。
【0065】
上記の教育用シミュレータ装置2は、例えば、汎用パーソナルコンピュータに専用のアプリケーションプログラムが組みつけられることにより構成されるものであって、模擬的なタッチパネル30の操作と、この操作の結果生じるタッチパネル30の表示内容の変化及び血液回路セット部20の外観の変化をシミュレートすることを主な機能として有しており、この結果、教育用シミュレータ装置2を操作する患者は、自分があたかも実際の在宅透析装置10を操作しているかのような視覚的経験を得ることが出来る。
【0066】
すなわち上記のアプリケーションプログラムは、模擬的なタッチパネル30の操作と、この操作の結果生じるタッチパネル30の表示内容の変化及び血液回路セット部20の外観の変化とをシミュレートする画面(後記するシミュレーション画面2−2)を表示手段(モニタ2−1)に表示するための表示制御をパーソナルコンピュータに実行させるためのコード部を含んで構成されている。
【0067】
また上記の血液回路セット部ダミー装置3は、先に図5などを用いて説明した、在宅血液透析装置10の血液回路セット部20と同一の部品、又は略同一の部品、またはこれらの部品の模型を含んで構成され、これらの部品(以下、模型をも含んで「部品」ともいう)は実際の在宅血液透析装置10と同様に装置10への取り付け取り外しと、操作、例えばハンドクランクの回転操作などを患者が実行できるよう構成されている。
【0068】
血液回路セット部ダミー装置3を用いることにより、患者は、教育用シミュレータ装置2で得られた視覚的な経験を、更に実際の部品に触ったり操作したりすることで確認し、学習効果を深めることが出来る。特に、部品の装着や外し方に関する練習は、この血液回路セット部ダミー装置3を用いると大いに学習効果が高まる。
【0069】
上記した教育用シミュレータ装置2のより詳細な構成を説明すると、まず、図1に示すごとく、モニタ2−1、キーボード2−3、マウス2−4及び図示しない本体を教育用シミュレータ2は含む。
【0070】
そしてモニタ2−1の表示部にはシミュレーション画面2−2が表示されており、このシミュレーション画面2−2内には更に、在宅血液透析装置10の血液流路上にある諸部品を含んだ血液回路セット部20の外観を模した画像2−2a1を表示する血液回路セット部ウインドウ2−2a、在宅血液透析装置10のタッチパネル30の外観を模した画像2−2b1を表示するタッチパネルウインドウ2−2b、この教育用シミュレータ装置2を操作して学習を行う患者等に対して、今実行した操作が正しい操作であることを知らせたりあるいは操作の誤りを指摘して正しい操作を示すなどのメッセージを表示するメッセージウインドウ2−2cが表示されている。
【0071】
更に、シミュレーション画面2−2内には、マウス2−4の操作に応じてこのシミュレーション画面2−2内を移動可能であるとともに、マウス2−4に附属するボタンをクリックすることにより移動先の任意の個所をアクティブにする(選択操作する)ための指標であるマウスポインタ2−2dが表示されている。
【0072】
この教育用シミュレータ装置2を用いて学習を行う操作者が、マウス2−4を用いて上記のシミュレーション画面2−2中の所望の場所、例えばタッチパネル画像2−2b1中の特定の操作部位をアクティブにすると(選択操作すると)、アクティブにされた個所を実際の在宅血液透析装置10において操作した場合に起こる事象と同じ態様にて、シミュレーション画面2−2中の血液回路セット部ウインドウ2−2aとタッチパネルウインドウ2−2bの表示が変化をする。
【0073】
例えば、在宅透析作業の次の工程に進むボタンを選択操作すれば、タッチパネル画像2−2b1が次の工程の操作を行うための表示画面に切り替わったり、あるいは、透析液が血液回路セット部20中を流れる画像、血液が血液回路セット部20中を流れる画像、血液中の気泡の存在やその移動方向が血液回路セット部20内で視認出来る画像、血液や透析液が漏れて滴り落ちる画像などを表示する。
【0074】
尚、シミュレーション画面2−2内の所望の個所を選択操作するための構成として、上記したマウス2−4の他に、種々の公知の構成を用いることが可能である。
【0075】
例えば、情報が表示されている表示画面上に手指やスタイラスペンで直接触れることによって所望の個所の選択を行うタッチパネルを有するパーソナルコンピュータを用いてもよい。この種のタッチパネルが付属したパーソナルコンピュータの一例として、例えば公衆よりアクセスが可能であるインターネット上のホームページである http://www.panasonic.co.jp/pc/prod/note/27eb/index.htmlには、「CF−27EB6GCAJ“PRONOTE FG”」が紹介されており、またパーソナルコンピュータの一ユニットとしての表示及び操作手段として用いるべきタッチパネル付液晶モニタの例として、同じくインターネット上のホームページである http://www.ultec.co.jp/to−touch0211.htmには、抵抗感圧方式タッチパネル付液晶モニタであるGM−141DRなどが紹介されている。
【0076】
これらタッチパネルが付属したパーソナルコンピュータの構成は、先に説明した図6において、入力インターフェイス部2−9に接続する入力手段であるマウス2−4、キーボード2−3に追加、あるいはこれらの代替としてタッチパネル部が接続することにより実現される。
【0077】
更に、透析作業の過程で触れたり取り外したりすべき血液回路セット部20の部品の個所をマウス2−4を用いて選択してアクティブ表示にしたり、マウスドラッグ操作で取り外したり、あるいは、警報が鳴っている部品や、この段階で操作を行うべき対象の部品を操作者に示すためにアクティブ表示にしたりするなどの表示を行っても良い。
【0078】
上記の機能を実現するために、教育用シミュレータ装置2は、図6の構成図に示す通り、マウス2−4やキーボード2−3等の入力部のインターフェイスを行う入力インターフェイス部2−9、モニタ2−1との画像出力インターフェイスを行うビデオインターフェイス部2−5、在宅血液透析装置10が正常に動作している定常動作時のシミュレーションを行うために必要なデータを読み出し可能に蓄積した定常動作データ部2−7、在宅血液透析装置10に何らかの異常が発生した状態である非定常状態におけるシミュレーションを行うために必要となるデータを読み出し可能に蓄積した非定常動作データ部2−8、及び、これら定常動作データ部2−7と非定常動作データ部2−8から読み出したデータに基いて、上記に説明したシミュレーション画面2−2をモニタ2−1に表示させる制御を、ビデオインターフェイス部2−5を介して行う制御部2−6を更に備えている。
【0079】
尚、図6に図示した構成は機能ブロックを示したものであって、教育用シミュレータ装置2が実現される態様である、専用のアプリケーションプログラムが組み付けられた汎用パーソナルコンピュータのハードウェア構成と必ずしも一致する必要はない。
【0080】
[教育用シミュレータシステムを用いた患者教育の実際]
次に、上記に説明した教育用シミュレータシステム1を用いて患者が学習を行う具体的な手順を説明する。
【0081】
患者は、自宅で、上記の教育用シミュレータシステム1を用いて、あたかも実際の在宅血液透析装置10を操作しているのと同じように操作シミュレーションを実行し、実行された操作が正しかったかどうかをメッセージとして患者は把握し、これら一連の作業を繰り返し練習することにより操作の錬度が向上可能である。
【0082】
すなわち、先に説明した定常動作時の在宅透析の各実行ステップである(1)物品準備ステップ、(2)透析準備ステップ、(3)透析ステップ、及び(4)透析終了ステップに含まれる、タッチパネル30を用いた選択、入力作業や血液回路セット部20に含まれる部品の操作作業を患者が実行し、実行の結果発生する事象として血液が血液回路セット部20内を流れる現象などを、患者は疑似体験し、繰り返し練習して在宅血液透析装置10の操作手順を習得することが出来る。
【0083】
例えば、穿針から透析開始に至る作業を学習するために患者は、血液回路セット部ダミー装置3にある動脈側回路の手動クランプを閉じ、患者の体を模した生理食塩水バッグに穿刺した針と血液回路とを接続し、動脈側クランプを開き、穿刺針のクランプを開き、この後タッチパネルウインドウ2−2b内に表示された確認キーを押す、という動作を行う。そしてヘパリン(抗血液凝固剤)を注射した後、血液プライミング開始の操作をタッチパネル30で行うと、血液回路セット部ウインドウ2−2a内において血液が回路へ引き出されるのが目で確認でき、所定時間後にプライミングが終了すると、再びタッチパネルウインドウ2−2b内の確認キーを押して透析開始へと進む操作を行う、といった具合である。
【0084】
同様にして、患者は、何らかの異常が在宅血液透析装置10に発生した時の、非定常時の操作を学ぶことが出来る。
【0085】
例えば、血液回路中に気泡が入った場合にこの気泡を取り除くための作業(気泡除去)として、まず、タッチパネルウインドウ2−2b内に表示されたタッチパネル30にアラーム画面が表示されて気泡の発生を患者が知ると、患者は目視で血液回路セット部ウインドウ2−2a内に表示された血液回路内の気泡の存在を確認し、見えない場合は回路を指で弾いて気泡を調べ(この作業をシミュレートするために患者は血液回路セット部ウインドウ2−2a内の回路をマウスクリックすると共に、血液回路セット部ダミー装置3の回路を実際に指ではじく)、それでも気泡が見えない場合はセンサが検知エラーを起こした可能性があるので回路を構成するチューブの表面を拭き(上記と同様にマウスクリックと手の操作の両方を行う)、エラーが解除されれば確認キーを押して透析を再開させる、といった一連の作業を、指導された手順に従い教育用シミュレータシステム1を用いて実行する。
【0086】
[変形例]
上記に説明した本実施例は、発明の趣旨を逸脱しない範囲でさまざまな変形実施が可能である。例えば、教育用シミュレータシステム1を患者教育ばかりではなく、医療従事者の教育に用いてもよい。あるいはまた、上記に説明した教育用シミュレータシステム1の機能を利用しつつ、パーソナルコンピュータを用いた教育手法(一般に、e−ラーニングとも呼ばれている。)を実現するシステムを構成することも考えられる。
【0087】
上記のシステム(図示しない。以下、在宅透析e−ラーニングシステムという。)では、サーバ装置に接続する端末装置であるパーソナルコンピュータ、あるいはスタンドアローンのパーソナルコンピュータを操作する患者が、自らシステムを操作することによって在宅透析の基礎知識や、在宅人工透析装置の各部の名称、機能、操作方法、異常時の対応方法などを学ぶことが出来る構成であって、その基本となる構成や制御は既知のパーソナルコンピュータを用いる教育システムを援用して実現することが可能であるとともに、先に説明した教育用シミュレータシステム1の機能を用いて在宅血液透析装置の模擬的な操作や、その視覚的確認や、模擬的な取り付け取り外し操作を患者が行うことが出来るようにしたものである。
【0088】
たとえばダイアライザーについて患者が学ぶ際には、まずダイアライザーについて説明文がモニタ画面に表示されるとともに、先に説明したモニタ画面中の血液回路セット部ウインドウにおけるダイアライザーの部分を点滅表示して患者にその位置を明確に示し、更に、先に説明したように在宅人工透析装置の模擬的な操作練習の際に、返血終了後、残血のある状態のダイアライザーを表示させて、もしも患者がこのダイアライザーを交換する操作を行わなければ、この時点でこのダイアライザーは交換すべきであって患者の操作が正しくないことを知らせるなど、さまざまな教育方法が可能である。
【0089】
また、単に情報を示すばかりでなく、質問や試験を行って患者の理解度を評価し、評価結果を表示、印字、保存したり、遠隔のセンターに送信するように構成することも可能である。斯かる在宅透析e−ラーニングシステムを用いれば、先に説明した教育用シミュレータシステム1の作用効果に加え、体系的な在宅透析用患者教育の推進と、管理、評価が確実に実行できる。
【0090】
また、患者のシミュレータ装置の操作履歴を残して後日医療従事者が指導に活用する構成、オンラインで患者の操作手順を指導員が監視して指導に活用する構成など、さまざまな変形が可能である。
【0091】
【発明の効果】
上述した如く、本発明は、(1)患者の生活スケジュールに合わせた融通性のある患者教育の実施が容易であり、(2)全ての患者が必要レベルの教育を受けられるようにするための患者教育の標準化が容易であることから、この結果患者教育の確実な実施と在宅血液透析の広範囲な実施を可能とする、血液透析装置の操作教育用シミュレータ、コンピュータ実行プログラム、血液透析装置の操作教育用シミュレータシステムを提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る好ましい実施例の血液透析装置の操作教育用シミュレータシステムの外観図である。
【図2】図1の血液透析装置の操作教育用シミュレータシステムがシミュレートを行う対象である在宅血液透析装置のブロック図である。
【図3】図2の在宅血液透析装置の外観斜視図である。
【図4】図2の在宅血液透析装置が備えるタッチパネルの外観図である。
【図5】図2の在宅血液透析装置が備える血液回路セット部の外観図である。
【図6】図1の血液透析装置の操作教育用シミュレータシステムが備える血液透析装置の操作教育用シミュレータの構成図である。
【符号の説明】
1 血液透析装置の操作教育用シミュレータシステム
2 血液透析装置の操作教育用シミュレータ(シミュレータ装置)
2−1 モニタ(表示手段)
2−2 シミュレーション画面
2−2a 血液回路セット部ウインドウ(血液流路部品表示領域)
2−2b タッチパネルウインドウ(操作部表示領域)
2−6 制御部
3 血液回路セット部ダミー装置(着脱操作練習用ダミー装置)
10 在宅血液透析装置(血液透析装置)
30 タッチパネル(操作部)
【発明の属する技術分野】
本発明は、血液透析装置の操作教育用シミュレータ、コンピュータ実行プログラム、血液透析装置の操作教育用シミュレータシステムに関し、特に在宅血液透析療法を実行するために患者等に対して血液透析の基礎や血液透析装置の操作手順を教える患者教育を行う際に、(1)患者の生活スケジュールに合わせた融通性のある患者教育の実施と、(2)患者の居住地や医療機関に依存しない患者教育の標準化とを、確実且つ容易に実現するための構成に関する。
【0002】
【従来の技術】
腎機能不全患者の増加に伴い、人工透析(以下、血液透析ともいう)を受ける患者の数も増加傾向にある。斯かる患者は、通常、病院や診療所など医療施設において数日に一回の割合で数時間、血液透析を受けることを余儀なくされ(この種の血液透析を、病院内で行う透析という意味で、以下「院内透析」ともいう)、これを解消するためには、従来は腎臓移植を行うしかなかった。
【0003】
血液透析は、血液と透析液をセルロースやポリスルフォンなどの高分子膜を用いた中空糸型や積層型半透膜モジュール(以下、ダイアライザーともいう)を介して循環し、血液中の老廃物や過剰の水を除去するものである。
【0004】
近年の在宅医療の進展の中で、上記した院内透析における通院の煩わしさを解消するなどのために、在宅で患者自身が透析を行うための在宅血液透析装置が開発され、臨床応用の可能性が高まっている。
【0005】
血液透析を医療機関ではなく患者宅において実施することによって、上記した院内透析に伴う通院の煩わしさが解消されるばかりではなく、院内透析において一般的であった週3回透析を実施する隔日透析に代えて、例えば週6回、短時間の透析を実施する連日短時間透析が容易に実行できる環境が整い、この結果、血液透析の治療効果が向上するなどのメリットが生じることが、以下のように報告されている。
【0006】
すなわち、まず、平成10年度厚生科学研究費補助金健康科学総合研究事業(身体的および財政的負担の少ない在宅血液透析技術の開発)についての研究報告「連日短時間血液透析の臨床評価の取り組み」(斎藤明ほか、1999年3月報告)では、「週3回の間欠的血液透析と週当たりの透析時間を同一にした週6回の連日短時間透析を3ヵ月間施行した結果、透析量は不変にもかかわらず、透析前溶質濃度、栄養状態、体液負荷量、貧血、透析不均衡症候群などに改善が認められ、本治療法は身体的負担を軽減する血液透析技術となることが明らかとなった。」と報告されている。
【0007】
また、平成12年度厚生科学研究費補助金健康科学総合研究事業(身体的および財政的負担の少ない在宅血液透析技術の開発)についての研究報告「連日短時間血液透析の長期評価」(斎藤明ほか、2001年3月報告)では、「4名の安定期血液透析患者に週6回、1日2時間の連日短時間血液透析を最低6ヶ月間施行した結果、降圧薬の減量にもかかわらず血圧は低下し、心胸郭比も減少した。一方、ドライウェイトは上昇し、栄養状態の改善がうかがわれた。酸塩基平衡、電解質は週3回透析時に比しより生理的範囲に維持され、本療法に起因する有害事象は認められなかった。以上より、本法は長期的にも安全で効果的な透析方法と考えられる。」と報告されている。
【0008】
更に、下記する非特許文献1では、世界の連日短時間血液透析(Daily HemoDialysis:DHD)の臨床実績レビューと、DHDの医学的有用性は貧血改善、血圧正常化、栄養状態改善、透析に関連する臨床症状の低減であること、世界の多くの研究においても共通の有用性が報告されていること、及びブラッドアクセス(血液を人体から透析回路へ送るために人体側に設けられた部位)については週3回透析以上の障害が発生したという報告は無いこと、が報告されている。
【0009】
更にまた、下記する非特許文献2では、症例数を多く確保した(n=72)長期的なDHD臨床試験結果、DHDの医学的有用性(貧血改善、血圧正常化、栄養状態改善)を週3回透析6ヶ月間とDHD期間12ヶ月間のデータを比較し確認したこと、ブラッドアクセスの障害発生率はDHDのほうが週3回透析より低く、ブラッドアクセスの開存率は2年で93%であること、及びDHDの患者生存率は2年で93%と高いことが報告されている。
【0010】
このように連日透析療法によれば、従来の間欠的な透析療法と比較してより生体腎に近い条件で透析が実行出来るので、上記した種々の医学的効用が発揮されるとともに、患者のQOL(Quality Of Life:生活の質)が向上する顕著な効果がある。
【0011】
【非特許文献1】
Daily Hemodialysis(History and Revival of a Superior Dialysis Method C.M.Kjellstrand,Todd Ing : ASAIO Journal 1998,117−122
【非特許文献2】
Clinical and biochemical correlates of starting”daily”hemodialysis John D.Woods,Friedrich K.Port,Sean Orzol,U Buoncristiani et al. : Kidney International,vol55,2467−2476,1999
【特許文献1】
特開2002−325839号公報
【特許文献2】
特表2000−504988号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記した在宅血液透析を実施するためには、患者等(在宅透析作業の実行者が患者自身である場合、介助者が行う場合、あるいはこれらの双方が行う場合等様々なケースが考えられるが、記載を簡潔なものとするため以下これらを総称して「患者」、「患者等」ともいう)が専門の医療従事者が居ない在宅で透析作業を単独で行うこととなるのであるから、患者等は透析の開始に先立って在宅透析実施に必要な教育(以下、「患者教育」ともいう)を受け、透析作業を単独で実施できるレベルまで技量や知識を向上させなければならない。
【0013】
上記の「患者教育」とは、(1)在宅血液透析について基礎知識を学ぶ課程(講義を主体とする)、(2)自己穿刺、抜針、止血等の透析作業の実技を学ぶ課程(実技練習を主体とする)、及び(3)在宅血液透析装置の操作を学ぶ課程(講義及び実技練習を行う)という大きな3分野の課程を含み、従来小規模に試行された在宅血液透析においては、これらの患者教育に関わる講義と実技練習は医療機関のような透析実施施設で、実際に透析作業に従事する医療従事者により指導と教育が行われていた。
【0014】
しかしながら、在宅血液透析を実現するため特に上記の患者教育について鋭意検討を行ってきた本発明人の知見によれば、今後、更に規模を拡大して在宅血液透析を実施しようとすると、(1)患者の生活スケジュールに合わせた融通性のある患者教育の実施が容易ではなく、(2)全ての患者が必要レベルの教育を受けられるようにするための患者教育の標準化が容易ではないので、この結果患者教育の確実な実施が困難となることから、在宅血液透析の広範囲な実施が困難となる恐れがあった。このことを以下に具体的に説明する。
【0015】
[患者の生活スケジュールに合わせた融通性のある患者教育の実施が容易ではない点]
現在、在宅血液透析の実施に意欲的な医療機関では、少なからぬ準備期間と資金を投じて患者教育のためのカリキュラムを作成し、在宅血液透析のための患者教育が実施されようとしている。本発明者の知見によれば、ある医療機関では3週間から4週間に亘り集中的に教育が行われ、また他の医療機関においては、週1回のカリキュラムを半年間継続して教育が行われる予定である。
【0016】
しかしながら、血液透析療法を受ける患者は、老年層に限られず就業あるいは学業についている壮年層、若年層もまた大きな比率を占めるのであるから、特に就業者にとっては上記の3週間から4週間に亘り集中的に行われる教育は、現実には就業の都合上、受けることが非常に難しい。また週に数時間とはいえ、毎週決められた時間、例えば土曜日の午前9時から3時間の教育を半年間という長期に亘って受けることは患者自身の生活スケジュールとの不適合が生じ、また患者の不便さ、苦痛も無視できないものがある。
【0017】
患者の都合により例えば今週は土曜日ではなく金曜日に変更したい、あるいは土曜日の午後に変更したい、といった希望があったとしても、医療機関では多大な努力の下に人員や設備を融通することを前提として長期に亘るスケジュールを組んでいるのであるから、患者の都合に合わせてその都度スケジュールを変更することは困難であることが多い。
【0018】
更に、透析装置の操作の実際などは、患者自身が何度も反復して練習することによりその正しい操作方法や作業の感覚を獲得していくことが望ましい、という事情もある。
【0019】
そこで、自宅で予習や復習を行うという前提で医療機関で実施される教育カリキュラムの一部の量を減らすことによって、患者の生活スケジュールに柔軟に対応可能な患者教育を行ったり、あるいは、患者が自宅で透析装置の操作などを繰り返し反復練習して習熟を確実なものとしたりするように患者教育のカリキュラムを改善しようとすると、今度は、これら自宅での予習復習や反復練習に用いるべき教材として効果的なものが存在しない、という新たな課題に直面することとなる。
【0020】
確かに血液透析についての一般的な知識や透析作業の内容を解説することを目的とする書籍などは既に少なくない種類が市販されているものの、これら印刷媒体の教材を用いたのでは、実際の血液透析装置の動きを患者がリアルに視覚的に確認できるようにしたり、あるいは患者が実際に血液透析装置やこの装置に取りつけるべき部品に触れてこれら部品の取りつけ取り外しを実際に経験したり、更には、この血液透析装置を患者が実際に操作して、操作に応じて装置がどのように動作するか、万が一誤った操作を行うと装置がどういう動作をするのか、といったリアルな体験、学習を行うことが出来ない。
【0021】
そこで、これら書籍に代わる構成を用いてよりリアルな学習を行おうとして実際の血液透析装置を患者宅に設置して、これら患者教育の予習復習や反復練習に用いようとすると、透析施設に設置されている教育用血液透析装置の他にもう一台の血液透析装置が必要となることや、実際の在宅血液透析の開始に先立って血液透析装置を患者宅に設置すると、レンタル契約方式で供給される装置の場合はレンタル料金が追加される点など、経済面から実現が困難である。
【0022】
すなわち従来の技術構成を用いたのでは、患者の自宅など透析実施施設以外では有効な患者教育を行うことが出来ず、患者は予習復習や反復練習など自習により透析教育を補うことが困難であった。
【0023】
このように、在宅血液透析を実施するために必要な患者教育が透析実施施設での予め決められた日程に沿って行われる以外に方法が無く、患者の生活スケジュールに合わせた融通性を持たせることが困難であることから、患者がこの不便さを嫌って在宅血液透析の実施に参加することをためらい、この結果、患者の利益が阻害される恐れがあった。
【0024】
[患者教育の標準化が容易ではない点]
在宅血液透析では患者自身が透析作業を行うので、患者教育を受けた全ての患者について、透析が単独で出来るレベルに達するよう確実な教育成果が求められる。
【0025】
しかしながら、医療機関における患者教育実行準備の進捗度や医療従事者の人員配置の余裕度の違い、あるいは医療機関内での医療従事者の配置ローテーションの影響などの理由から、現時点では患者教育の達成度、すなわち患者教育のレベルは医療機関によって必ずしも一様ではない。また、医療機関で血液透析作業に従事する医療従事者が血液透析実技のために保有する技術や知識と、患者を教育するための技術とは別個なものであるので、この点からも患者教育レベルに差が出る恐れがある。患者教育のレベルに差がある、という理由から、患者が自宅近くにある医療機関ではなくて他の医療機関で患者教育を受けようとしても、この医療機関が遠方の場合には通院して患者教育を受けることが現実には難しい。
【0026】
このように、患者の居住地や患者が通う医療機関によらず、全ての患者が必ず一定の必要レベル以上の患者教育を受けられるようにするための患者教育の標準化が求められているにもかかわらず、従来の技術ではその実現が困難であった。
【0027】
上記の患者教育の標準化を実現するために血液透析に関する書籍のような印刷媒体の教材を利用しようとしても、リアルな血液透析装置の動きや操作の体験が出来ない点などで十分な効果が得られない点は、先に説明した通りである。
【0028】
ところで、在宅血液透析に関わる患者教育の効率性を改善しようとする従来の提案として、例えば下記する特許文献1に記載された透析用穿刺シミュレータに関する技術的構成がある。上記の従来技術では、患者の内腕部の血管に形成したシャントへの患者自身あるいは介助者による穿刺作業を効率よく安全に練習する目的で、体内循環系を模した循環流路を内蔵する腕模型を提供しようとするものであって、いうまでもなく上記の構成は血液透析装置の操作の習熟を図るものではないので、上記したような血液透析装置を患者や介助者が自ら操作する在宅透析における患者教育の容易化、標準化を可能とするものではない。
【0029】
更に、上記とはまた異なる従来技術として、下記する特許文献2に記載された液晶画面のユーザインターフェースを有する透析機に関する提案がある。上記の従来技術は、操作手段として液晶画面(タッチパネル)及びハードキーを有する透析機とすることによって透析機の操作性等を向上させようとする提案であって、透析機の操作の習熟度を向上させる点については何らの解決策も提示してはいない。
【0030】
本発明は、上記の状況に鑑みなされたものであって、(1)患者の生活スケジュールに合わせた融通性のある患者教育の実施が容易であり、(2)全ての患者が必要レベルの教育を受けられるようにするための患者教育の標準化が容易であることから、この結果患者教育の確実な実施と在宅血液透析の広範囲な実施を可能とする、血液透析装置の操作教育用シミュレータ、コンピュータ実行プログラム、血液透析装置の操作教育用シミュレータシステムを提供することを目的とする。
【0031】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、本発明は、下記する1)乃至4)に記載の各構成を有する血液透析装置の操作教育用シミュレータ、コンピュータ実行プログラム、血液透析装置の操作教育用シミュレータシステムを提供する。
1) タッチパネル及び/又はキースイッチを操作部として有する血液透析装置の操作手順を習得するための、血液透析装置の操作教育用シミュレータであって、前記操作部の外観を模して表示する操作部表示領域と、少なくとも血液の流路上にある部品を含むように前記血液透析装置の外観を模して表示する血液流路部品表示領域とを含み、且つ、前記操作部表示領域内に表示された操作部の所望の部位を選択操作することにより、前記血液透析装置の操作部における前記所望の部位を操作した結果発生する事象を模した態様にて前記操作部表示領域及び前記血液流路部品表示領域の表示内容が変化する、シミュレーション画面を表示手段の画面上に表示させる制御部を備えた、血液透析装置の操作教育用シミュレータ。
2) 前記制御部は、正常に動作中の前記血液透析装置を模した態様と、異常が発生した前記血液透析装置を模した態様との双方にて前記シミュレーション画面を表示させることを特徴とする、1)に記載の血液透析装置の操作教育用シミュレータ。
3) 1)又は2)に記載された血液透析装置の操作教育用シミュレータの制御部が実行する前記シミュレーション画面の表示制御をコンピュータに実行させるためのコード部を有する、コンピュータ実行プログラム。
4) タッチパネル及び/又はキースイッチを操作部として有する血液透析装置の操作手順を習得するための、血液透析装置の操作教育用シミュレータシステムであって、
(a)前記操作部の外観を模して表示する操作部表示領域と、少なくとも血液の流路上にある部品を含むように前記血液透析装置の外観を模して表示する血液流路部品表示領域とを含み、且つ、前記操作部表示領域内に表示された操作部の所望の部位を選択操作することにより、前記血液透析装置の操作部における前記所望の部位を操作した結果発生する事象を模した態様にて前記操作部表示領域及び前記血液流路部品表示領域の表示内容が変化する、シミュレーション画面」を表示手段の画面上に表示させる制御部を備えた、シミュレータ装置と、
(b)前記血液流路部品表示領域内に表示され、且つ、前記血液透析装置において取り付け取り外し操作が可能なように構成された部品、又は当該部品の模型が着脱自在に装着された、取り付け取り外し操作練習用ダミー装置と、を有することを特徴とする血液透析装置の操作教育用シミュレータシステム。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下、図1乃至図6に従い、本発明の実施形態に係る好ましい実施例である、血液透析装置の操作教育用シミュレータシステムの説明を行う。
【0033】
図1は本実施例の血液透析装置の操作教育用シミュレータシステムの外観図、図2は図1の血液透析装置の操作教育用シミュレータシステムがシミュレートを行う対象である在宅血液透析装置のブロック図、図3は図2の在宅血液透析装置の外観斜視図、図4は図2の在宅血液透析装置が備えるタッチパネルの外観図、図5は図2の在宅血液透析装置が備える血液回路セット部の外観図、図6は図1の血液透析装置の操作教育用シミュレータシステムが備える血液透析装置の操作教育用シミュレータの構成図である。
【0034】
[在宅血液透析装置の構成]
次に、後に説明を行う本実施例の血液透析装置の操作教育用シミュレータシステム(以下、教育用シミュレータシステム、本システム、本実施システムなどともいう)1がシミュレートを行う対象である、在宅血液透析装置10の構成の概要を説明する。
【0035】
尚、以下はあくまでも在宅血液透析装置の一構成例に促した説明であって、本実施例の教育用シミュレータシステムもまたこの一構成例の在宅実行透析装置10に応じた構成としている。しかしながら在宅血液透析装置の構成は本例以外にも様々な態様が可能であり、その在宅血液透析装置の実施態様に合わせて個々の教育用シミュレータシステムは構成されるべきであり、従って本実施例の教育用シミュレータシステムは発明の趣旨を逸脱しない範囲で変形が可能である。
【0036】
図2のブロック図に示すごとくの在宅血液透析装置10は、先に説明したように患者宅に設置されて患者や介助者の操作に従って患者の血液透析を実行するものであって、大きなブロックとして、(1)血液の透析を実行する血液体外循環部10aと、(2)透析液の調整と循環とを行う透析供給部10bと、(3)軟水化処理や活性炭濾過を経た原水から膜透過により各種イオンやエンドトキシンなどのパイロジェンを除去して透析液を作成するためのRO水を作るRO水生成部10cと、を有している。
【0037】
先に説明したように在宅血液透析においては、連日短時間透析を実施することが多い。また患者宅にて行う在宅透析では装置の設置可能なスペースが限られているので、血液透析装置の他に、透析液を作成するためのRO水を作るRO水生成装置、あるいは透析液作成装置などを別個の装置として設置する余裕がなく、在宅透析装置自身がこれらRO水生成機能、透析液作成機能を備える必要がある。
【0038】
このような理由から、在宅血液透析装置は、例えば、以下に示すような各ステップを含んだ一連のシークエンスを、連日透析実施日には毎日一回繰り返すよう構成されている。
(1) 透析液作成ステップ〜在宅血液透析装置に装着された透析液原液ボトルから排出された透析液原液を希釈して透析液を作成する。
(2) プライミング・ステップ〜透析実行に先立って、ダイアライザー(血液ろ過モジュール)と血液回路の中を逆ろ過透析液で満たし適温まで温度を上げる。
(3) 血液透析ステップ〜患者等の操作に応じて、血液透析を実行する。
(4) 返血ステップ〜血液透析の終了後、ダイアライザーおよび血液回路内に残った血液を患者の体内に戻す。
(5) 洗浄・性能試験ステップ〜血液の流路と、透析液の流路中に洗浄液を通して洗浄を行い、その後、各機能の試験を行う。
(6) 熱水殺菌ステップ〜血液の流路と、透析液の流路中に熱水を通して各流路内部の殺菌を行う。
(7) 待機ステップ〜次回の透析開始まで待機状態を続ける。
(8) 洗浄ステップ〜血液透析の開始に先立って、血液の流路及び透析液の流路内部に洗浄液、RO水を通して洗浄を行う。
【0039】
また、上記の血液体外循環部10aには、高分子膜を用いた中空糸型半透膜モジュールであるダイアライザー10−1、患者の動脈を発した血液をダイアライザー10−1まで導き、透析が済んでこのダイアライザー10−1を発した血液を患者の静脈へ導く複数の管部材よりなる血液回路、及び血液の循環を行う血液ポンプ10−2が含まれている。
【0040】
ここで、上記のダイアライザー10−1及び血液回路は、連日透析を実行するために定期的に、例えば週に一度交換がなされるべき定期的交換部品であって、患者宅まで搬送されたこれらの交換部品の交換作業は、患者等、在宅血液透析の実施者が実行する。尚、血液体外循環部10aのより詳細な構成は、後記する。
【0041】
更に在宅血液透析装置10は、図3の斜視図に示すように、上記した血液体外循環部10aの殆どの構成を含んだモジュールである血液回路セット部20、在宅血液透析装置10を使用しないときは閉じて上記した血液回路セット部20を保護し、使用するときには開いて用いるパネルである前面ドア10−5、支持アーム上に配置されて在宅血液透析装置10の運転状況やアラームなどを表示すると共に表示されたキーやボタンなどを押して透析実施のための操作を行うタッチパネル30とを備えている。
【0042】
[タッチパネルの構成]
次に、上記したタッチパネル30の構成を、図4の外観図に基いて説明する。先に説明したように、タッチパネル30は、表示された画面内のボタン表示に操作者が触れたり、付属するハードキーを操作者が押圧操作をするなどして在宅血液透析装置20の操作を行うと共に、その表示画面にはこの装置20の操作に必要な情報が表示されるものである。
【0043】
このためにタッチパネル30には、情報の表示や触れて操作するためのボタンなどの表示を行う液晶画面30−1、補液注入を行うためのハードキーである補液キー30−2、操作を行う際に次の工程へ進めるためのハードキーである確認キー30−3、異常が発生した際などに在宅血液透析装置20の動作を一時停止するためのハードキーである一時停止キー30−4、在宅血液透析装置20が運転状態にあるときに点灯する電源ランプ30−5、タッチパネル30を支持するためのアームである支持アーム30−7とを有している。
【0044】
また、図4の図示状態において液晶画面30−1には、情報表示画面30−1aと操作ボタン30−1bとが表示されている。
【0045】
[血液回路セット部の構成]
次に、上記した血液回路セット部20の構成を図5の外観図に基き説明する。尚、以下の説明では血液回路セット部20の主要な構成のみに言及し、その他説明を行わない構成が血液回路セット部20には含まれているものである。
【0046】
血液回路セット部20に含まれる構成は、下記するように、(1)中空糸を用いた血液ろ過器であるダイアライザー20−1と、(2)動脈側フローパスを構成する部材と、(3)静脈側フローパスを構成する部材とに大きく分かれている。
【0047】
まず動脈側フローパスを構成する部材は以下のとおりである。
【0048】
血液ポンプ20−2:血液回路とダイアライザー20−1に血液を循環させるポンプである。
血液ポンプハンドクランク20−3:停電時に返血が必要な場合など、血液ポンプ20−2を手動でまわす必要があるときに使用する。
動脈側気泡検知器20−6:動脈側血液回路内の気泡を検知するためのセンサである。
動脈側ラインクランプ20−8:動脈側気泡検知器20−6が気泡を検知すると、動脈側血液回路を自動的に閉鎖して気泡が患者側へ送られるのを阻止する。
トランスデューサ保護フィルタ(以下、圧フィルターともいう)20−9:血液等の液体が図示しないエアーポンプに達するのを阻止する。
動脈側血液回路(A)20−10a、動脈側血液回路(B)20−10b、動脈側血液回路(C)20−10c:患者の動脈側ブラッドアクセスからダイアライザー20−1の血液入り口にいたる血液回路である。
動脈側穿刺針接続部20−11:動脈側血液回路20−10a、20−10b、20−10cの先端であって透析中はこの部分を患者のブラッドアクセスに接続する。尚、図5では透析終了後に装置20側に収納されている状態を示す。
【0049】
次に、静脈側フローパスを構成する部材は以下の通りである。
【0050】
静脈側エアートラップ20−4:血液中に含まれる気泡を補足し、患者側への進行を阻止する。
静脈側気泡検知器20−5:静脈側血液回路内の気泡を検知するためのセンサである。
静脈側ラインクランプ20−7:静脈側気泡検知器20−5が気泡を検知すると、静脈側血液回路を自動的に閉鎖して気泡が患者側へ送られるのを阻止する。
静脈側血液回路(A)20−12a、静脈側血液回路(B)20−12b:ダイアライザー20−1の血液出口から患者の静脈側ブラッドアクセスにいたる血液回路である。
静脈側穿刺針接続部20−13:静脈側血液回路20−12a、20−12bの先端であって透析中はこの部分を患者のブラッドアクセスに接続する。尚、図5では透析終了後に装置20側に収納されている状態を示す。
【0051】
また、上記に説明した血液回路セット部20の各部材の中で、ダイアライザー20−1、動脈側血液回路(A)20−10a、動脈側血液回路(B)20−10b、動脈側血液回路(C)20−10c、動脈側穿刺針接続部20−11、静脈側血液回路(A)20−12a、静脈側血液回路(B)20−12b、及び静脈側穿刺針接続部20−13は、在宅血液透析装置10の定期的交換部品であって、連日透析を実施中は一週間に一回交換がなされる。
【0052】
[患者の透析実施作業の概要]
次に、在宅血液透析装置10を用いて患者等が実際に透析の作業を行う手順の概要を説明する。尚、先に説明したタッチパネル30、及び血液回路セット部20との関連を明確にするために、タッチパネル30を操作する作業には「(タッチパネル操作)」、血液回路セット部20を操作する作業には「(血液回路セット部操作)」と付記することとする。
【0053】
患者側が行う透析の作業手順のポイントは、実施順に次の通りである。
【0054】
(1)物品準備ステップ:
透析実施に必要な物品の準備をして、在宅透析装置10の確認を行い、次の工程に進む。
【0055】
(2)透析準備ステップ:
ブザーテストと、測定した透析前体重の入力を行って進むボタンを押す(タッチパネル操作)。治療設定の確認をして確認キー30−3を押す(タッチパネル操作)。圧フィルター20−9を交換する(血液回路セット部操作)。患者のシャントに穿刺を行い、血液回路をこのブラッドアクセスに接続する(血液回路セット部操作)。
【0056】
(3)透析ステップ:
クランプ(血液回路の途中を遮断していた手動クランプ)を開ける(血液回路セット部操作)。確認キー30−3を押して血液プライミングを行う(タッチパネル操作)。ヘパリン(抗血液凝固剤)を血液回路に入れる。確認キー30−3を押して透析を開始する(タッチパネル操作)。開始後、約2時間で透析が終了する。
【0057】
(4)透析終了ステップ:
確認キー30−3を押して返血を開始する(タッチパネル操作)。追加補液が必要なく透析を終了するときは確認キー30−3を押す(タッチパネル操作)。クランプを閉め、血液回路をブラッドアクセスから外して装置10側の殺菌ポート内に収納する(血液回路セット部操作)。血液回路を整えドア10−5を閉めて確認キー30−3を押す(体外モジュール操作、タッチパネル操作)。シャントから抜針して止血を行う。
【0058】
(5)次回の準備ステップ
透析液原液ボトル6b−a、6b−bを交換する。水前処理装置のフィルタ圧力と塩素のチェックを行う。問題がなければ確認キー30−3を押す(タッチパネル操作)。以上のように、患者側が行う透析作業の殆どは、タッチパネル30か血液回路セット部20を操作することにより作業がなされるのであり、従ってこれらのタッチパネル30と血液回路セット部20の操作の練習を繰り返し実行可能とすれば、透析教育の内の大きな比重部分を強化できることが理解される。
【0059】
[教育用シミュレータシステムを用いた透析教育の流れ]
次に、以下に説明を行う本実施例の血液透析装置の操作教育用シミュレータシステム1を用いて患者等に在宅透析実施に必要な教育を行う流れの概要を説明する。先に説明したように、在宅透析教育は、(1)在宅血液透析のための基礎知識、(2)自己穿刺・抜針・止血、及び(3)透析装置の操作習得、という大きな3項目の内容を習得する必要があり、本実施例のシステム1を利用した患者教育では、これらのカリキュラムを下記する2つのステップに分けて教育を行う。
【0060】
(1)第1ステップ
本ステップでは、自宅での自己学習と、透析実施施設での学習とが平行して行われる。自宅での学習は、印刷教材を用いて在宅透析についての基礎知識や、自己穿刺等についての基礎知識を学ぶとともに、下記する教育用シミュレータシステム1を用いて在宅透析装置の特徴、基本操作(定常操作)、非定常操作(異常発生時の操作)、アラーム対応等を学ぶ点に特徴がある。
【0061】
自宅での学習と平行して行われる透析施設での学習では、自宅での自己学習の確認、透析実施に必要な測定や清潔操作の実習、自己穿刺・抜針・止血の実習等が行われる。尚、患者教育を受ける患者は院内透析を実施していることが多く、この場合週3回の院内透析をこの透析実施施設で受けながら患者教育を受けることが出来るので、この第1ステップを実施することによる患者の負担増は少なく押さえられるし、病院側の負担が少ない。
【0062】
すなわちこの第1ステップにおいて、自宅で患者が繰り返し在宅透析装置10の模擬的な操作実習を行う際に、本実施例システム1が有効利用される。この第1ステップにおける教育の達成度を評価し、合格の場合に次の第2ステップへ進む。
【0063】
(2)第2ステップ
本ステップでは透析施設での実習を主体とし、自宅では復習を行う。透析施設での実習としては生理食塩水を用いた在宅血液透析装置10による模擬透析、及び同じ装置10を用いて実際に患者に対して行う血液透析の実習が含まれる。この第2ステップにおいて、透析施設で実習を行った在宅血液透析装置10の操作実習を自宅で復習確認(反復練習)する際に、本実施例システム1が活用される。この第2ステップは、先に本実施例システム1を用いて第1ステップで多くの学習や実習がなされており、且つ、この第2ステップでも本実施例システム1を用いた自宅での反復練習が行われるので一週間程度の集中的な教育で完了することが可能であり、先に説明した従来の患者教育と比較して所要期間が大幅に短縮され、患者の負担を大きく軽減することが出来る。
【0064】
[血液透析装置の操作教育用シミュレータシステムの構成]
次に、本実施例の教育シミュレータシステム1の構成を、各図面を用いながら順次説明していく。
まず、本システム1の構成の大要は、図1の外観図に示す通り、(1)教育用シミュレータ装置2と、(2)血液回路セット部ダミー装置3とを有する点にある。
【0065】
上記の教育用シミュレータ装置2は、例えば、汎用パーソナルコンピュータに専用のアプリケーションプログラムが組みつけられることにより構成されるものであって、模擬的なタッチパネル30の操作と、この操作の結果生じるタッチパネル30の表示内容の変化及び血液回路セット部20の外観の変化をシミュレートすることを主な機能として有しており、この結果、教育用シミュレータ装置2を操作する患者は、自分があたかも実際の在宅透析装置10を操作しているかのような視覚的経験を得ることが出来る。
【0066】
すなわち上記のアプリケーションプログラムは、模擬的なタッチパネル30の操作と、この操作の結果生じるタッチパネル30の表示内容の変化及び血液回路セット部20の外観の変化とをシミュレートする画面(後記するシミュレーション画面2−2)を表示手段(モニタ2−1)に表示するための表示制御をパーソナルコンピュータに実行させるためのコード部を含んで構成されている。
【0067】
また上記の血液回路セット部ダミー装置3は、先に図5などを用いて説明した、在宅血液透析装置10の血液回路セット部20と同一の部品、又は略同一の部品、またはこれらの部品の模型を含んで構成され、これらの部品(以下、模型をも含んで「部品」ともいう)は実際の在宅血液透析装置10と同様に装置10への取り付け取り外しと、操作、例えばハンドクランクの回転操作などを患者が実行できるよう構成されている。
【0068】
血液回路セット部ダミー装置3を用いることにより、患者は、教育用シミュレータ装置2で得られた視覚的な経験を、更に実際の部品に触ったり操作したりすることで確認し、学習効果を深めることが出来る。特に、部品の装着や外し方に関する練習は、この血液回路セット部ダミー装置3を用いると大いに学習効果が高まる。
【0069】
上記した教育用シミュレータ装置2のより詳細な構成を説明すると、まず、図1に示すごとく、モニタ2−1、キーボード2−3、マウス2−4及び図示しない本体を教育用シミュレータ2は含む。
【0070】
そしてモニタ2−1の表示部にはシミュレーション画面2−2が表示されており、このシミュレーション画面2−2内には更に、在宅血液透析装置10の血液流路上にある諸部品を含んだ血液回路セット部20の外観を模した画像2−2a1を表示する血液回路セット部ウインドウ2−2a、在宅血液透析装置10のタッチパネル30の外観を模した画像2−2b1を表示するタッチパネルウインドウ2−2b、この教育用シミュレータ装置2を操作して学習を行う患者等に対して、今実行した操作が正しい操作であることを知らせたりあるいは操作の誤りを指摘して正しい操作を示すなどのメッセージを表示するメッセージウインドウ2−2cが表示されている。
【0071】
更に、シミュレーション画面2−2内には、マウス2−4の操作に応じてこのシミュレーション画面2−2内を移動可能であるとともに、マウス2−4に附属するボタンをクリックすることにより移動先の任意の個所をアクティブにする(選択操作する)ための指標であるマウスポインタ2−2dが表示されている。
【0072】
この教育用シミュレータ装置2を用いて学習を行う操作者が、マウス2−4を用いて上記のシミュレーション画面2−2中の所望の場所、例えばタッチパネル画像2−2b1中の特定の操作部位をアクティブにすると(選択操作すると)、アクティブにされた個所を実際の在宅血液透析装置10において操作した場合に起こる事象と同じ態様にて、シミュレーション画面2−2中の血液回路セット部ウインドウ2−2aとタッチパネルウインドウ2−2bの表示が変化をする。
【0073】
例えば、在宅透析作業の次の工程に進むボタンを選択操作すれば、タッチパネル画像2−2b1が次の工程の操作を行うための表示画面に切り替わったり、あるいは、透析液が血液回路セット部20中を流れる画像、血液が血液回路セット部20中を流れる画像、血液中の気泡の存在やその移動方向が血液回路セット部20内で視認出来る画像、血液や透析液が漏れて滴り落ちる画像などを表示する。
【0074】
尚、シミュレーション画面2−2内の所望の個所を選択操作するための構成として、上記したマウス2−4の他に、種々の公知の構成を用いることが可能である。
【0075】
例えば、情報が表示されている表示画面上に手指やスタイラスペンで直接触れることによって所望の個所の選択を行うタッチパネルを有するパーソナルコンピュータを用いてもよい。この種のタッチパネルが付属したパーソナルコンピュータの一例として、例えば公衆よりアクセスが可能であるインターネット上のホームページである http://www.panasonic.co.jp/pc/prod/note/27eb/index.htmlには、「CF−27EB6GCAJ“PRONOTE FG”」が紹介されており、またパーソナルコンピュータの一ユニットとしての表示及び操作手段として用いるべきタッチパネル付液晶モニタの例として、同じくインターネット上のホームページである http://www.ultec.co.jp/to−touch0211.htmには、抵抗感圧方式タッチパネル付液晶モニタであるGM−141DRなどが紹介されている。
【0076】
これらタッチパネルが付属したパーソナルコンピュータの構成は、先に説明した図6において、入力インターフェイス部2−9に接続する入力手段であるマウス2−4、キーボード2−3に追加、あるいはこれらの代替としてタッチパネル部が接続することにより実現される。
【0077】
更に、透析作業の過程で触れたり取り外したりすべき血液回路セット部20の部品の個所をマウス2−4を用いて選択してアクティブ表示にしたり、マウスドラッグ操作で取り外したり、あるいは、警報が鳴っている部品や、この段階で操作を行うべき対象の部品を操作者に示すためにアクティブ表示にしたりするなどの表示を行っても良い。
【0078】
上記の機能を実現するために、教育用シミュレータ装置2は、図6の構成図に示す通り、マウス2−4やキーボード2−3等の入力部のインターフェイスを行う入力インターフェイス部2−9、モニタ2−1との画像出力インターフェイスを行うビデオインターフェイス部2−5、在宅血液透析装置10が正常に動作している定常動作時のシミュレーションを行うために必要なデータを読み出し可能に蓄積した定常動作データ部2−7、在宅血液透析装置10に何らかの異常が発生した状態である非定常状態におけるシミュレーションを行うために必要となるデータを読み出し可能に蓄積した非定常動作データ部2−8、及び、これら定常動作データ部2−7と非定常動作データ部2−8から読み出したデータに基いて、上記に説明したシミュレーション画面2−2をモニタ2−1に表示させる制御を、ビデオインターフェイス部2−5を介して行う制御部2−6を更に備えている。
【0079】
尚、図6に図示した構成は機能ブロックを示したものであって、教育用シミュレータ装置2が実現される態様である、専用のアプリケーションプログラムが組み付けられた汎用パーソナルコンピュータのハードウェア構成と必ずしも一致する必要はない。
【0080】
[教育用シミュレータシステムを用いた患者教育の実際]
次に、上記に説明した教育用シミュレータシステム1を用いて患者が学習を行う具体的な手順を説明する。
【0081】
患者は、自宅で、上記の教育用シミュレータシステム1を用いて、あたかも実際の在宅血液透析装置10を操作しているのと同じように操作シミュレーションを実行し、実行された操作が正しかったかどうかをメッセージとして患者は把握し、これら一連の作業を繰り返し練習することにより操作の錬度が向上可能である。
【0082】
すなわち、先に説明した定常動作時の在宅透析の各実行ステップである(1)物品準備ステップ、(2)透析準備ステップ、(3)透析ステップ、及び(4)透析終了ステップに含まれる、タッチパネル30を用いた選択、入力作業や血液回路セット部20に含まれる部品の操作作業を患者が実行し、実行の結果発生する事象として血液が血液回路セット部20内を流れる現象などを、患者は疑似体験し、繰り返し練習して在宅血液透析装置10の操作手順を習得することが出来る。
【0083】
例えば、穿針から透析開始に至る作業を学習するために患者は、血液回路セット部ダミー装置3にある動脈側回路の手動クランプを閉じ、患者の体を模した生理食塩水バッグに穿刺した針と血液回路とを接続し、動脈側クランプを開き、穿刺針のクランプを開き、この後タッチパネルウインドウ2−2b内に表示された確認キーを押す、という動作を行う。そしてヘパリン(抗血液凝固剤)を注射した後、血液プライミング開始の操作をタッチパネル30で行うと、血液回路セット部ウインドウ2−2a内において血液が回路へ引き出されるのが目で確認でき、所定時間後にプライミングが終了すると、再びタッチパネルウインドウ2−2b内の確認キーを押して透析開始へと進む操作を行う、といった具合である。
【0084】
同様にして、患者は、何らかの異常が在宅血液透析装置10に発生した時の、非定常時の操作を学ぶことが出来る。
【0085】
例えば、血液回路中に気泡が入った場合にこの気泡を取り除くための作業(気泡除去)として、まず、タッチパネルウインドウ2−2b内に表示されたタッチパネル30にアラーム画面が表示されて気泡の発生を患者が知ると、患者は目視で血液回路セット部ウインドウ2−2a内に表示された血液回路内の気泡の存在を確認し、見えない場合は回路を指で弾いて気泡を調べ(この作業をシミュレートするために患者は血液回路セット部ウインドウ2−2a内の回路をマウスクリックすると共に、血液回路セット部ダミー装置3の回路を実際に指ではじく)、それでも気泡が見えない場合はセンサが検知エラーを起こした可能性があるので回路を構成するチューブの表面を拭き(上記と同様にマウスクリックと手の操作の両方を行う)、エラーが解除されれば確認キーを押して透析を再開させる、といった一連の作業を、指導された手順に従い教育用シミュレータシステム1を用いて実行する。
【0086】
[変形例]
上記に説明した本実施例は、発明の趣旨を逸脱しない範囲でさまざまな変形実施が可能である。例えば、教育用シミュレータシステム1を患者教育ばかりではなく、医療従事者の教育に用いてもよい。あるいはまた、上記に説明した教育用シミュレータシステム1の機能を利用しつつ、パーソナルコンピュータを用いた教育手法(一般に、e−ラーニングとも呼ばれている。)を実現するシステムを構成することも考えられる。
【0087】
上記のシステム(図示しない。以下、在宅透析e−ラーニングシステムという。)では、サーバ装置に接続する端末装置であるパーソナルコンピュータ、あるいはスタンドアローンのパーソナルコンピュータを操作する患者が、自らシステムを操作することによって在宅透析の基礎知識や、在宅人工透析装置の各部の名称、機能、操作方法、異常時の対応方法などを学ぶことが出来る構成であって、その基本となる構成や制御は既知のパーソナルコンピュータを用いる教育システムを援用して実現することが可能であるとともに、先に説明した教育用シミュレータシステム1の機能を用いて在宅血液透析装置の模擬的な操作や、その視覚的確認や、模擬的な取り付け取り外し操作を患者が行うことが出来るようにしたものである。
【0088】
たとえばダイアライザーについて患者が学ぶ際には、まずダイアライザーについて説明文がモニタ画面に表示されるとともに、先に説明したモニタ画面中の血液回路セット部ウインドウにおけるダイアライザーの部分を点滅表示して患者にその位置を明確に示し、更に、先に説明したように在宅人工透析装置の模擬的な操作練習の際に、返血終了後、残血のある状態のダイアライザーを表示させて、もしも患者がこのダイアライザーを交換する操作を行わなければ、この時点でこのダイアライザーは交換すべきであって患者の操作が正しくないことを知らせるなど、さまざまな教育方法が可能である。
【0089】
また、単に情報を示すばかりでなく、質問や試験を行って患者の理解度を評価し、評価結果を表示、印字、保存したり、遠隔のセンターに送信するように構成することも可能である。斯かる在宅透析e−ラーニングシステムを用いれば、先に説明した教育用シミュレータシステム1の作用効果に加え、体系的な在宅透析用患者教育の推進と、管理、評価が確実に実行できる。
【0090】
また、患者のシミュレータ装置の操作履歴を残して後日医療従事者が指導に活用する構成、オンラインで患者の操作手順を指導員が監視して指導に活用する構成など、さまざまな変形が可能である。
【0091】
【発明の効果】
上述した如く、本発明は、(1)患者の生活スケジュールに合わせた融通性のある患者教育の実施が容易であり、(2)全ての患者が必要レベルの教育を受けられるようにするための患者教育の標準化が容易であることから、この結果患者教育の確実な実施と在宅血液透析の広範囲な実施を可能とする、血液透析装置の操作教育用シミュレータ、コンピュータ実行プログラム、血液透析装置の操作教育用シミュレータシステムを提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る好ましい実施例の血液透析装置の操作教育用シミュレータシステムの外観図である。
【図2】図1の血液透析装置の操作教育用シミュレータシステムがシミュレートを行う対象である在宅血液透析装置のブロック図である。
【図3】図2の在宅血液透析装置の外観斜視図である。
【図4】図2の在宅血液透析装置が備えるタッチパネルの外観図である。
【図5】図2の在宅血液透析装置が備える血液回路セット部の外観図である。
【図6】図1の血液透析装置の操作教育用シミュレータシステムが備える血液透析装置の操作教育用シミュレータの構成図である。
【符号の説明】
1 血液透析装置の操作教育用シミュレータシステム
2 血液透析装置の操作教育用シミュレータ(シミュレータ装置)
2−1 モニタ(表示手段)
2−2 シミュレーション画面
2−2a 血液回路セット部ウインドウ(血液流路部品表示領域)
2−2b タッチパネルウインドウ(操作部表示領域)
2−6 制御部
3 血液回路セット部ダミー装置(着脱操作練習用ダミー装置)
10 在宅血液透析装置(血液透析装置)
30 タッチパネル(操作部)
Claims (4)
- タッチパネル及び/又はキースイッチを操作部として有する血液透析装置の操作手順を習得するための、血液透析装置の操作教育用シミュレータであって、
前記操作部の外観を模して表示する操作部表示領域と、少なくとも血液の流路上にある部品を含むように前記血液透析装置の外観を模して表示する血液流路部品表示領域とを含み、且つ、前記操作部表示領域内に表示された操作部の所望の部位を選択操作することにより、前記血液透析装置の操作部における前記所望の部位を操作した結果発生する事象を模した態様にて前記操作部表示領域及び前記血液流路部品表示領域の表示内容が変化するシミュレーション画面を表示手段の画面上に表示させる制御部を備えた血液透析装置の操作教育用シミュレータ。 - 前記制御部は、正常に動作中の前記血液透析装置を模した態様と、異常が発生した前記血液透析装置を模した態様との双方にて前記シミュレーション画面を表示させることを特徴とする、請求項1に記載の血液透析装置の操作教育用シミュレータ。
- 請求項1又は請求項2に記載された血液透析装置の操作教育用シミュレータの制御部が実行する前記シミュレーション画面の表示制御をコンピュータに実行させるためのコード部を有する、コンピュータ実行プログラム。
- タッチパネル及び/又はキースイッチを操作部として有する血液透析装置の操作手順を習得するための、血液透析装置の操作教育用シミュレータシステムであって、
(a) 前記操作部の外観を模して表示する操作部表示領域と、少なくとも血液の流路上にある部品を含むように前記血液透析装置の外観を模して表示する血液流路部品表示領域とを含み、且つ、前記操作部表示領域内に表示された操作部の所望の部位を選択操作することにより、前記血液透析装置の操作部における前記所望の部位を操作した結果発生する事象を模した態様にて前記操作部表示領域及び前記血液流路部品表示領域の表示内容が変化する、シミュレーション画面を表示手段の画面上に表示させる制御部を備えた、シミュレータ装置と、
(b) 前記血液流路部品表示領域内に表示され、且つ、前記血液透析装置において取り付け取り外し操作が可能なように構成された部品、又は当該部品の模型が着脱自在に装着された、取り付け取り外し操作練習用ダミー装置と、
を有することを特徴とする血液透析装置の操作教育用シミュレータシステム。
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- 2003-04-23 JP JP2003118000A patent/JP2004321357A/ja active Pending
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