JP2004320851A - 電源装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】従来広く使用されている漏電遮断器を使用しても構成することが可能で、極めて小規模な回路で地絡電流及び過電圧から電気機器を保護する電源装置を提供する。
【解決手段】電源2から負荷18に電力を供給する複数本の電源ライン3,4に設けられ、各電源ライン3,4間の不平衡電流が所定の閾値を超過したときに電源ライン3,4を遮断する漏電遮断器5と、漏電遮断器5を跨いで異なる2本の電源ライン3,4の間に接続された双方向性降伏回路7とを備えた構成とする。これにより、従来から使用されている漏電遮断器5に双方向性降伏回路7を取り付けるだけで電源装置1を構成することができる。そのため、既製の漏電遮断器5をそのまま使用することができ、製造が容易である。
【選択図】 図1
【解決手段】電源2から負荷18に電力を供給する複数本の電源ライン3,4に設けられ、各電源ライン3,4間の不平衡電流が所定の閾値を超過したときに電源ライン3,4を遮断する漏電遮断器5と、漏電遮断器5を跨いで異なる2本の電源ライン3,4の間に接続された双方向性降伏回路7とを備えた構成とする。これにより、従来から使用されている漏電遮断器5に双方向性降伏回路7を取り付けるだけで電源装置1を構成することができる。そのため、既製の漏電遮断器5をそのまま使用することができ、製造が容易である。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電源に接続された電気機器を過電圧や地絡電流から保護するための電源装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、電源に接続された電気機器を地絡電流から保護するための地絡電流保護装置として、漏電遮断器が広く使用されている。通常、漏電遮断器は、電源ラインの各相間の不平衡電流を検出する零相変流器(ZCT)を備え、電源ラインはこの零相変流器の環状のコアの環内を通される。電源ラインの各相間に不平衡電流が流れた場合、アンペールの法則によって零相変流器のコアにまかれた零相検出コイルに誘起電流が流れる。漏電遮断器は、この誘起電流が所定の閾値を超えたときに、スイッチを作動させて電源ラインを遮断する。
【0003】
一方、電気機器を過電圧から保護する過電圧保護回路としては、ヒューズが広く使用されている。ヒューズの場合、電源ラインに過電流が流れた場合に、ジュール熱によって溶断されるため、電源が負荷から切り離される。また、ヒューズの切断電圧を調整するために、ヒューズの負荷側に、負荷と並列にサイリスタやバリスタを設けた方式の過電圧保護回路も広く用いられている。この場合、サイリスタやバリスタの降伏電圧以上の過電圧が電源ラインに加わると、サイリスタやバリスタに降伏電流が流れ、ヒューズが溶断される。
【0004】
電子機器を地絡電流と過電圧との双方から保護するためには、上記ヒューズ、又は上記ヒューズとサイリスタ若しくはバリスタとを組み合わせた過電圧保護回路と、漏電遮断器とを組み合わせた電源装置が使用される。
【0005】
図3は従来の電源装置を表すブロック図である。
図3において、従来の電源装置101は、電源102に接続された地絡電流保護のための漏電遮断器103と、漏電遮断器103及び負荷104の間の電源ラインに接続された、過電圧保護のための過電圧保護回路105とから構成される。漏電遮断器103は、電源ライン間の不平衡電流を検出する零相変流器106と、各電源ラインに設けられたスイッチ107と、零相変流器106に誘起される誘導電流を検出し、その検出値が所定の閾値以上の場合にスイッチ107を開く地絡検出部108とを備えている。零相変流器106の環状のコア106aには、2本の電源ラインが通されている。
【0006】
過電圧保護回路105は、1本の電源ラインに負荷104と直列に接続されたヒューズ109と、ヒューズ109の負荷側に、負荷と並列に接続されたバリスタ110とが設けられている。
【0007】
負荷104には、正常な状態では矢印Aで示した電流I0が流れている。しかし、負荷104において漏電が生じ矢印Bのような地絡電流ILが流れた場合、両電源ライン間に不平衡電流が流れる。すなわち、コア106aを貫通する電源ラインには、非接地側には電流I0+ILが流れ、接地側には電流I0が流れる。従って、ここに不平衡電流ILが生じる。このとき、このコア106aに巻かれた零相検出コイル106bに誘導電流が発生する。地絡検出部108はこの誘導電流を検出してスイッチ107を解放して、電源102を負荷104から遮断する。
【0008】
一方、電源102に異常が発生し、通常の電圧V0よりも高い電圧V1となった場合、負荷104及びバリスタ110には異常電圧V1が印加される。異常電圧V1の絶対値がバリスタ110の降伏電圧VS以上となったとき、バリスタ110には降伏電流ISが流れ、負荷104に印加される電圧はクランピングされる。このとき、バリスタ110を通して矢印Cの経路で大きな降伏電流ISが流れる。従って、ヒューズ109が溶断され、電源102は負荷104から遮断される。また、そのとき、多くの場合は、降伏電流ISによってバリスタ110も同時に破損する。
【0009】
ここで、過電圧保護回路105は、負荷104である電子機器の回路基板上に組み込まれる場合が多い。そして、回路基板がウレタン等の樹脂からなるポッティング材で絶縁封止されているような場合には、ヒューズ109やバリスタ110を単独で取り替えることが困難である。従って、電子機器の回路基板ごと取り替える必要があり、無駄が多いという欠点がある。また、ヒューズ109やバリスタ110が過電圧で破損したことは外見上はわかりにくいため、特に回路基板がポッティングされている場合には故障原因の検査が行いにくい。従って、ヒューズ109が溶断された場合に、電子機器が動作しない原因を調査することが難しく、メンテナンス上、困難を伴う場合がある。
【0010】
従って、過電圧に対する電気機器の保護は、できる限り、上記漏電遮断器103のようにリレーやスイッチにより電源を負荷から遮断して行うようにすることが好ましい。
【0011】
過電圧を電圧検出又は電流検出により検出し、リレーやスイッチにより電源の遮断を行うことのできる電源装置としては、特許文献1や特許文献2記載の電源装置が知られている。
【0012】
特許文献1には、地絡電流保護機能と過電圧保護機能とを一体化した電源装置として、電源ラインの各相間の不平衡電流検出回路と電源ラインの各相間の電圧を基準電圧と比較して過電圧を検出する過電圧検出回路をそれぞれ設け、不平衡電流検出回路が所定の閾値を超える不平衡電流を検出した場合又は過電圧検出回路が過電圧を検出した場合に、電源ラインに設けたリレーを作動させて電源を負荷から切り離す方式の電源装置が記載されている。
【0013】
また、特許文献2には、電源ラインの一の相に電流検出器を設けると共に、当該電流検出器の負荷側に、その相の電源ラインと他の相の電源ラインとを接続するサージ防護素子(サージ・アブソーバ)を、負荷と並列に接続し、過電圧によりサージ防護素子に降伏電流が流れると、その降伏電流を電流検出器で検出して電源を負荷から切り離す方式の電源回路が記載されている。
【0014】
【特許文献1】
特開平11−299082号公報
【特許文献2】
特開2002−165445号公報
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、特許文献1に記載の電源装置では、基準電圧発生回路や基準電圧と電源電圧との比較回路等の種々の回路が必要となり、回路が大型化する。特許文献2に記載の電源装置も、電流検出回路や検出した電流値を増幅する回路、過電圧であることを判定する回路等の種々の回路が必要となり、回路が大型化する。
【0016】
更に、これらの回路で過電圧又は過電流が検出された場合、電源を遮断するためにリレーやスイッチを制御する回路が必要となる。従って、従来広く使用されている漏電遮断器は使用することができず、別個に新たな回路を作る必要がある。従って、製造コスト面でも高くなる。
【0017】
そこで、本発明の目的は、従来広く使用されている漏電遮断器を使用しても構成することが可能であり、かつ極めて小規模な回路によって地絡電流及び過電圧から電気機器等の負荷を保護する電源装置を提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明の電源装置は、電源から負荷に電力を供給する複数本の電源ラインに設けられ、前記各電源ライン間の不平衡電流が所定の閾値を超過したときに電源ラインを遮断する漏電遮断器と、前記漏電遮断器を跨いで異なる2本の前記電源ラインの間に接続された1又は2以上の双方向性降伏回路とを備えたことを特徴とする。
【0019】
この構成により、電源電圧が双方向性降伏回路の降伏電圧を超えた場合、双方向性降伏回路に降伏電流が流れる。従って、電源から漏電遮断器、双方向性降伏回路を介して電源に戻る電流経路が生じる。一方、双方向性降伏回路は、漏電遮断器を跨いで異なる2本の電源ラインの間に接続されているため、降伏電流分だけ漏電遮断器を通過する電源ライン間に不平衡電流が生じる。この不平衡電流により漏電遮断器が作動し、負荷に対して電源が遮断される。
【0020】
尚、地絡電流が流れた場合には、漏電遮断器が本来の機能によって作動して、負荷を電源から遮断する。従って、簡単な構成により、過電圧保護と地絡電流保護の双方の機能をもった電源装置を構成することができる。
【0021】
ここで、負荷とは、種々の電気機器のような電源からの電力を受け取る装置をいう。双方向性降伏回路とは、回路に加わる電圧が正負両極性の場合において、電圧の絶対値が所定の降伏電圧以上となった場合に降伏電流が流れる回路をいう。双方向性降伏回路としては、サイリスタ(2方向2端子型シリコン・サイリスタ等)、バリスタ(酸化亜鉛バリスタ等の金属酸化物バリスタ、シリコンバリスタ等)、避雷管(ガスチューブアレスタ)等のサージ防護素子、カソード同士を直列接続した2つの定電圧ダイオードからなる回路等を使用することができる。
【0022】
また、本発明においては、前記双方向性降伏回路は、サージ防護素子とすることができる。
【0023】
サージ防護素子は1個単体で軽量・小型であるため、漏電遮断器の一方の電源ラインの電源側端子と他の電源ラインの負荷側端子にサージ防護素子を接続するだけで本発明の電源装置を構成することができる。また、過電圧によりサージ防護素子が破損しても部品交換が容易である。
【0024】
また、サージ防護素子は、金属酸化物バリスタ、シリコンバリスタ等のバリスタとすることができる。バリスタは安価であり、製造コストを低廉化することができる。また、バリスタはクランピング・タイプであるため、降伏後のクランピング電圧が高く、漏電遮断器に流れる電流を或る程度制限できる。そのため、漏電遮断器がサージ電流によって破損することを或る程度防止することができる。
【0025】
また、サージ防護素子は、シリコン・サイリスタとすることもできる。シリコン・サイリスタはスイッチングタイプであるため、降伏後のクランピング電圧が低い。従って、漏電遮断器をサージ電圧に対して感度よく短時間で作動させることができる。また、サージ電圧に対する応答が早く、負荷に精密電子機器のようなサージ電圧に弱い機器が接続されている場合の過電圧保護装置として使用することができる。
【0026】
また、本発明においては、前記双方向性降伏回路に直列に制限抵抗を設けた構成とすることができる。
【0027】
この構成により、制限抵抗が双方向性降伏回路に流れるサージ電流を抑制する。従って、双方向性降伏回路が過電圧から或る程度保護される。また、寄生容量や寄生インダクタンスの影響により生じるサージ電圧に対するリンギングも抑制する。そのため、雷サージ電圧のような、極めて短いパルス状のサージ入力があった場合は、双方向性降伏回路には降伏電流は極めて短時間の間しか流れないため、漏電遮断器は作動しない。そのため、極めて短いパルス状のサージ入力による誤作動を防止することができる。
【0028】
また、本発明においては、前記漏電遮断器の負荷側に、負荷に対して直列に接続されたヒューズと、前記ヒューズの負荷側に負荷と並列に接続された第2の双方向性降伏回路と、を備えた過電圧保護回路を有し、前記双方向性降伏回路の降伏電圧は、前記第2の双方向性降伏回路の降伏電圧よりも低いような構成とすることができる。
【0029】
双方向性降伏回路の降伏電圧は、第2の双方向性降伏回路の降伏電圧よりも低いため、電源に異常電圧が加わり過電圧が発生した場合、第2の双方向性降伏回路に加わる電圧がその降伏電圧に達する前に、双方向性降伏回路が降伏電圧に達する。従って、双方向性降伏回路に流れる降伏電流により、漏電遮断器が作動して負荷及び過電圧保護回路を電源から切り離す。従って、漏電遮断器の負荷側にある過電圧保護回路のヒューズやバリスタが過電圧により破損する前に、電流を遮断することができる。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0031】
(実施形態)
図1は本実施形態に係る電源装置のブロック図である。
本実施形態に係る電源装置1は、1相2線式の電源2の電源ライン3,4に接続された漏電遮断器5と、漏電遮断器5の負荷側に接続された過電圧保護回路6と、漏電遮断器5を跨いで、異なる2本の電源ライン3,4の間に接続された双方向性降伏回路であるバリスタ7、及びバリスタ7に直列に接続された制限抵抗8を備えている。電気機器等の負荷18は、漏電遮断器5及び過電圧保護回路6を介して電源ライン3,4に接続されている。
【0032】
漏電遮断器5は、電源ライン3,4を流れる不平衡電流を検出する零相変流器9と、電源ライン3,4のそれぞれに設けられた連動する2つのスイッチ10a,10bと、零相変流器9が所定の閾値以上の不平衡電流を検出したときにスイッチ10a,10bを開放する地絡検出部11とを備えている。電源ライン3,4は、零相変流器9の環状のコア9aを貫通して設けられている。また、地絡検出部11は、零相変流器9の環状のコア9aに巻回された零相検出コイル9bに発生する誘導電流を検出することで、不平衡電流の検出を行う。
【0033】
過電圧保護回路6は、非接地側の電源ライン3に設けられたヒューズ12と、ヒューズ12の負荷側に、負荷18と並列に電源ライン3,4に接続された双方向性降伏回路であるバリスタ13とを備えている。そして、バリスタ7は、その降伏電圧VS1がバリスタ13の降伏電圧VS2よりも低いものが使用されている。
【0034】
以上のように構成された本実施形態に係る電源装置について、以下その動作を説明する。
負荷18に漏電がなく、電源2も正常な電圧V0を発生している場合には、図1の矢印Aに沿って負荷18に電流I0が流れる。
【0035】
負荷18に漏電が生じた場合には、矢印Aに沿った電流に加えて、矢印Bに沿って流れる地絡電流ILが生じる。これにより、零相変流器9のコア9aを貫通する電源ライン3(非接地側の電源ライン)には、電流I0+ILが導通する。一方、コア9aを貫通する電源ライン4(接地側の電源ライン)には、電流I0が導通する。従って、コア9aには不平衡電流ILが貫通して流れ、これが零相検出コイル9bに誘導電流を発生させる。地絡検出部11は、誘導電力が所定の大きさ以上となった場合に作動して、スイッチ10a,10bを開放する。これにより、負荷18は電源2から切り離され、負荷18は地絡電流から保護される。
【0036】
次に、電源2に過電圧が加わり、電源装置1に対して過電圧V1が印加された場合、バリスタ7の両端に電圧V1が加わる。この電圧V1がバリスタ7の降伏電圧VS1を超えたとき、バリスタ7は導通状態となって、バリスタ7には矢印Cで示したような降伏電流IS1が流れる。これにより、零相変流器9のコア9aを貫通する電源ライン3には、電流I0が導通する。一方、コア9aを貫通する電源ライン4には、電流I0+IS1が導通する。従って、コア9aには不平衡電流IS1が貫通して流れる。従って、上述の場合と同様に、地絡検出部11が所定の閾値以上の不平衡電流IS1を検出したときに、スイッチ10a,10bが開放される。これにより、負荷18は電源2から切り離され、負荷18は過電圧から保護される。
【0037】
このとき、バリスタ7に流れる降伏電流の大きさは、制限抵抗8によって制限される。従って、降伏電流が導通しても、容易にバリスタ7が破損することが防止される。
【0038】
尚、このとき、バリスタ13に印加される電源電圧V1が、バリスタ13の降伏電圧VS2に達する前に、バリスタ7に降伏電流が流れる。従って、過電圧保護回路6に印加される電圧は、バリスタ7によって一定の電圧にクランピングされる。そのため、バリスタ13には降伏電流は流れないため、電源ヒューズ12が溶断することが避けられる。
【0039】
但し、電源2に極めて大きな過電圧が瞬間的に加わった場合には、バリスタ7がクランピングする電圧値も高くなり、結局、バリスタ13の降伏電圧VS2を超えて、バリスタ13に降伏電流IS2が流れる。従って、この場合にはヒューズ12に大きな電流が流れ、ヒューズ12は溶断される。これにより、負荷18は電源2から切り離される。そのため、極めて大きな過電圧が印加された場合であっても負荷18は過電流から保護される。
【0040】
このように、従来の漏電遮断器5に、これを跨ぐようにバリスタ7を接続した簡単な構成によって、スイッチ10a,10bの開閉により、負荷18を地絡電流と過電圧の双方から保護することができる。
【0041】
また、電源から過電圧が加わった場合であっても、スイッチ10a,10bを作動させて電源を遮断することにより、ヒューズ12が簡単に溶断されることを防止することができる。
【0042】
また、雷サージ電流のように、極めて短時間のパルスサージ電圧が加わった場合、バリスタ7には、短時間の降伏電流が流れるが、制限抵抗8により、寄生容量や寄生インダクタンスの影響によるリンギングが抑えられる。従って、地絡検出部11が不平衡電流に基づく検出値が閾値異常となる前にバリスタ7の降伏電流は消失し、地絡検出部11が誤作動することを防止することができる。
【0043】
図2は本実施形態の電源装置の構成例である。図2において、漏電遮断器5は従来から広く使用されている通常の漏電遮断器が用いられる。また、過電圧保護回路6は、通常は、負荷18である電気機器の回路基板に一体的に組み込まれるため、図2には示されていない。バリスタ7と制限抵抗8は、一体のパッケージ20に内蔵されており、両素子の端子が、漏電遮断器5の電源側端子21と負荷側端子22に接続される。通常の漏電遮断器5では、電源側端子21、負荷側端子22は螺子止めする構成となっているので、パッケージ20は、これら両端子に螺子止めすればよい。従って、仮に過電圧が加わってバリスタ7が破損した場合であっても、バリスタ7の交換は極めて容易である。故に、メンテナンス性にも優れている。
【0044】
尚、本実施形態においては、双方向性降伏回路として、バリスタ7を使用したが、双方向性降伏回路としては、バリスタ以外にも、2方向2端子型シリコン・サイリスタ等のサージ防護素子を使用してもよい。さらには、被雷管やカソード同士を直列接続した2つの定電圧ダイオードからなる回路等を使用することも可能である。
【0045】
また、本実施形態では1相2線型の電源を使用したが、本発明はこれに限られるものではなく、1相3線型、2相3線型等の2本以上の電源ラインを有する電源についても同様に適用可能である。
【0046】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、従来から使用されている漏電遮断器に双方向性降伏回路を取り付けるだけで電源装置を構成することができる。そのため、既製の漏電遮断器をそのまま使用することができ、製造が容易である。
【0047】
また、双方向性降伏回路として、サージ防護素子を用いれば、サージ防護素子は1個単体で軽量・小型であるため、漏電遮断器の異なる相の電源側端子と負荷側端子にサージ防護素子を接続するだけで本発明の電源装置を構成することができる。特に、通常、漏電遮断器の電源側端子と負荷側端子は導線を螺子止めできる構造となっているため、通常の漏電遮断器にサージ防護素子の両端子を螺子止めすれば、本発明の電源装置を構成することができ、極めて容易に製造できる。そして、過電圧によりサージ防護素子が破損した場合でも、部品交換が容易であり、メンテナンスも容易である。
【0048】
また、双方向性降伏回路に直列に制限抵抗を設ければ、双方向性降伏回路が過電圧から或る程度保護されるため、電源装置の耐久性が向上する。また、極めて短いパルス状のサージ入力による誤作動を防止することができる。従って、電源装置のメンテナンスが容易となる。
【0049】
更に、双方向性降伏回路の降伏電圧を、過電圧保護回路の第2の双方向性降伏回路の降伏電圧よりも低くすれば、電源に異常電圧が加わり過電圧が発生した場合、第2の双方向性降伏回路に加わる電圧がその降伏電圧に達する前に、双方向性降伏回路が降伏電圧に達する。従って、双方向性降伏回路に流れる降伏電流により、漏電遮断器が作動して負荷及び過電圧保護回路を電源から切り離す。従って、漏電遮断器の負荷側にある過電圧保護回路のヒューズやバリスタが過電圧により破損する前に、電流を遮断することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態に係る電源装置のブロック図である。
【図2】本実施形態の電源装置の構成例である。
【図3】従来の電源装置を表すブロック図である。
【符号の説明】
1 電源装置
2 電源
3,4 電源ライン
5 漏電遮断器
6 過電圧保護回路
7,13 バリスタ(双方向性降伏回路)
8 制限抵抗
9 零相変流器
9a コア
9b 零相検出コイル
10a,10b スイッチ
11 地絡検出部
12 ヒューズ
18 負荷
20 パッケージ
21 電源側端子
22 負荷側端子
【発明の属する技術分野】
本発明は、電源に接続された電気機器を過電圧や地絡電流から保護するための電源装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、電源に接続された電気機器を地絡電流から保護するための地絡電流保護装置として、漏電遮断器が広く使用されている。通常、漏電遮断器は、電源ラインの各相間の不平衡電流を検出する零相変流器(ZCT)を備え、電源ラインはこの零相変流器の環状のコアの環内を通される。電源ラインの各相間に不平衡電流が流れた場合、アンペールの法則によって零相変流器のコアにまかれた零相検出コイルに誘起電流が流れる。漏電遮断器は、この誘起電流が所定の閾値を超えたときに、スイッチを作動させて電源ラインを遮断する。
【0003】
一方、電気機器を過電圧から保護する過電圧保護回路としては、ヒューズが広く使用されている。ヒューズの場合、電源ラインに過電流が流れた場合に、ジュール熱によって溶断されるため、電源が負荷から切り離される。また、ヒューズの切断電圧を調整するために、ヒューズの負荷側に、負荷と並列にサイリスタやバリスタを設けた方式の過電圧保護回路も広く用いられている。この場合、サイリスタやバリスタの降伏電圧以上の過電圧が電源ラインに加わると、サイリスタやバリスタに降伏電流が流れ、ヒューズが溶断される。
【0004】
電子機器を地絡電流と過電圧との双方から保護するためには、上記ヒューズ、又は上記ヒューズとサイリスタ若しくはバリスタとを組み合わせた過電圧保護回路と、漏電遮断器とを組み合わせた電源装置が使用される。
【0005】
図3は従来の電源装置を表すブロック図である。
図3において、従来の電源装置101は、電源102に接続された地絡電流保護のための漏電遮断器103と、漏電遮断器103及び負荷104の間の電源ラインに接続された、過電圧保護のための過電圧保護回路105とから構成される。漏電遮断器103は、電源ライン間の不平衡電流を検出する零相変流器106と、各電源ラインに設けられたスイッチ107と、零相変流器106に誘起される誘導電流を検出し、その検出値が所定の閾値以上の場合にスイッチ107を開く地絡検出部108とを備えている。零相変流器106の環状のコア106aには、2本の電源ラインが通されている。
【0006】
過電圧保護回路105は、1本の電源ラインに負荷104と直列に接続されたヒューズ109と、ヒューズ109の負荷側に、負荷と並列に接続されたバリスタ110とが設けられている。
【0007】
負荷104には、正常な状態では矢印Aで示した電流I0が流れている。しかし、負荷104において漏電が生じ矢印Bのような地絡電流ILが流れた場合、両電源ライン間に不平衡電流が流れる。すなわち、コア106aを貫通する電源ラインには、非接地側には電流I0+ILが流れ、接地側には電流I0が流れる。従って、ここに不平衡電流ILが生じる。このとき、このコア106aに巻かれた零相検出コイル106bに誘導電流が発生する。地絡検出部108はこの誘導電流を検出してスイッチ107を解放して、電源102を負荷104から遮断する。
【0008】
一方、電源102に異常が発生し、通常の電圧V0よりも高い電圧V1となった場合、負荷104及びバリスタ110には異常電圧V1が印加される。異常電圧V1の絶対値がバリスタ110の降伏電圧VS以上となったとき、バリスタ110には降伏電流ISが流れ、負荷104に印加される電圧はクランピングされる。このとき、バリスタ110を通して矢印Cの経路で大きな降伏電流ISが流れる。従って、ヒューズ109が溶断され、電源102は負荷104から遮断される。また、そのとき、多くの場合は、降伏電流ISによってバリスタ110も同時に破損する。
【0009】
ここで、過電圧保護回路105は、負荷104である電子機器の回路基板上に組み込まれる場合が多い。そして、回路基板がウレタン等の樹脂からなるポッティング材で絶縁封止されているような場合には、ヒューズ109やバリスタ110を単独で取り替えることが困難である。従って、電子機器の回路基板ごと取り替える必要があり、無駄が多いという欠点がある。また、ヒューズ109やバリスタ110が過電圧で破損したことは外見上はわかりにくいため、特に回路基板がポッティングされている場合には故障原因の検査が行いにくい。従って、ヒューズ109が溶断された場合に、電子機器が動作しない原因を調査することが難しく、メンテナンス上、困難を伴う場合がある。
【0010】
従って、過電圧に対する電気機器の保護は、できる限り、上記漏電遮断器103のようにリレーやスイッチにより電源を負荷から遮断して行うようにすることが好ましい。
【0011】
過電圧を電圧検出又は電流検出により検出し、リレーやスイッチにより電源の遮断を行うことのできる電源装置としては、特許文献1や特許文献2記載の電源装置が知られている。
【0012】
特許文献1には、地絡電流保護機能と過電圧保護機能とを一体化した電源装置として、電源ラインの各相間の不平衡電流検出回路と電源ラインの各相間の電圧を基準電圧と比較して過電圧を検出する過電圧検出回路をそれぞれ設け、不平衡電流検出回路が所定の閾値を超える不平衡電流を検出した場合又は過電圧検出回路が過電圧を検出した場合に、電源ラインに設けたリレーを作動させて電源を負荷から切り離す方式の電源装置が記載されている。
【0013】
また、特許文献2には、電源ラインの一の相に電流検出器を設けると共に、当該電流検出器の負荷側に、その相の電源ラインと他の相の電源ラインとを接続するサージ防護素子(サージ・アブソーバ)を、負荷と並列に接続し、過電圧によりサージ防護素子に降伏電流が流れると、その降伏電流を電流検出器で検出して電源を負荷から切り離す方式の電源回路が記載されている。
【0014】
【特許文献1】
特開平11−299082号公報
【特許文献2】
特開2002−165445号公報
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、特許文献1に記載の電源装置では、基準電圧発生回路や基準電圧と電源電圧との比較回路等の種々の回路が必要となり、回路が大型化する。特許文献2に記載の電源装置も、電流検出回路や検出した電流値を増幅する回路、過電圧であることを判定する回路等の種々の回路が必要となり、回路が大型化する。
【0016】
更に、これらの回路で過電圧又は過電流が検出された場合、電源を遮断するためにリレーやスイッチを制御する回路が必要となる。従って、従来広く使用されている漏電遮断器は使用することができず、別個に新たな回路を作る必要がある。従って、製造コスト面でも高くなる。
【0017】
そこで、本発明の目的は、従来広く使用されている漏電遮断器を使用しても構成することが可能であり、かつ極めて小規模な回路によって地絡電流及び過電圧から電気機器等の負荷を保護する電源装置を提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明の電源装置は、電源から負荷に電力を供給する複数本の電源ラインに設けられ、前記各電源ライン間の不平衡電流が所定の閾値を超過したときに電源ラインを遮断する漏電遮断器と、前記漏電遮断器を跨いで異なる2本の前記電源ラインの間に接続された1又は2以上の双方向性降伏回路とを備えたことを特徴とする。
【0019】
この構成により、電源電圧が双方向性降伏回路の降伏電圧を超えた場合、双方向性降伏回路に降伏電流が流れる。従って、電源から漏電遮断器、双方向性降伏回路を介して電源に戻る電流経路が生じる。一方、双方向性降伏回路は、漏電遮断器を跨いで異なる2本の電源ラインの間に接続されているため、降伏電流分だけ漏電遮断器を通過する電源ライン間に不平衡電流が生じる。この不平衡電流により漏電遮断器が作動し、負荷に対して電源が遮断される。
【0020】
尚、地絡電流が流れた場合には、漏電遮断器が本来の機能によって作動して、負荷を電源から遮断する。従って、簡単な構成により、過電圧保護と地絡電流保護の双方の機能をもった電源装置を構成することができる。
【0021】
ここで、負荷とは、種々の電気機器のような電源からの電力を受け取る装置をいう。双方向性降伏回路とは、回路に加わる電圧が正負両極性の場合において、電圧の絶対値が所定の降伏電圧以上となった場合に降伏電流が流れる回路をいう。双方向性降伏回路としては、サイリスタ(2方向2端子型シリコン・サイリスタ等)、バリスタ(酸化亜鉛バリスタ等の金属酸化物バリスタ、シリコンバリスタ等)、避雷管(ガスチューブアレスタ)等のサージ防護素子、カソード同士を直列接続した2つの定電圧ダイオードからなる回路等を使用することができる。
【0022】
また、本発明においては、前記双方向性降伏回路は、サージ防護素子とすることができる。
【0023】
サージ防護素子は1個単体で軽量・小型であるため、漏電遮断器の一方の電源ラインの電源側端子と他の電源ラインの負荷側端子にサージ防護素子を接続するだけで本発明の電源装置を構成することができる。また、過電圧によりサージ防護素子が破損しても部品交換が容易である。
【0024】
また、サージ防護素子は、金属酸化物バリスタ、シリコンバリスタ等のバリスタとすることができる。バリスタは安価であり、製造コストを低廉化することができる。また、バリスタはクランピング・タイプであるため、降伏後のクランピング電圧が高く、漏電遮断器に流れる電流を或る程度制限できる。そのため、漏電遮断器がサージ電流によって破損することを或る程度防止することができる。
【0025】
また、サージ防護素子は、シリコン・サイリスタとすることもできる。シリコン・サイリスタはスイッチングタイプであるため、降伏後のクランピング電圧が低い。従って、漏電遮断器をサージ電圧に対して感度よく短時間で作動させることができる。また、サージ電圧に対する応答が早く、負荷に精密電子機器のようなサージ電圧に弱い機器が接続されている場合の過電圧保護装置として使用することができる。
【0026】
また、本発明においては、前記双方向性降伏回路に直列に制限抵抗を設けた構成とすることができる。
【0027】
この構成により、制限抵抗が双方向性降伏回路に流れるサージ電流を抑制する。従って、双方向性降伏回路が過電圧から或る程度保護される。また、寄生容量や寄生インダクタンスの影響により生じるサージ電圧に対するリンギングも抑制する。そのため、雷サージ電圧のような、極めて短いパルス状のサージ入力があった場合は、双方向性降伏回路には降伏電流は極めて短時間の間しか流れないため、漏電遮断器は作動しない。そのため、極めて短いパルス状のサージ入力による誤作動を防止することができる。
【0028】
また、本発明においては、前記漏電遮断器の負荷側に、負荷に対して直列に接続されたヒューズと、前記ヒューズの負荷側に負荷と並列に接続された第2の双方向性降伏回路と、を備えた過電圧保護回路を有し、前記双方向性降伏回路の降伏電圧は、前記第2の双方向性降伏回路の降伏電圧よりも低いような構成とすることができる。
【0029】
双方向性降伏回路の降伏電圧は、第2の双方向性降伏回路の降伏電圧よりも低いため、電源に異常電圧が加わり過電圧が発生した場合、第2の双方向性降伏回路に加わる電圧がその降伏電圧に達する前に、双方向性降伏回路が降伏電圧に達する。従って、双方向性降伏回路に流れる降伏電流により、漏電遮断器が作動して負荷及び過電圧保護回路を電源から切り離す。従って、漏電遮断器の負荷側にある過電圧保護回路のヒューズやバリスタが過電圧により破損する前に、電流を遮断することができる。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0031】
(実施形態)
図1は本実施形態に係る電源装置のブロック図である。
本実施形態に係る電源装置1は、1相2線式の電源2の電源ライン3,4に接続された漏電遮断器5と、漏電遮断器5の負荷側に接続された過電圧保護回路6と、漏電遮断器5を跨いで、異なる2本の電源ライン3,4の間に接続された双方向性降伏回路であるバリスタ7、及びバリスタ7に直列に接続された制限抵抗8を備えている。電気機器等の負荷18は、漏電遮断器5及び過電圧保護回路6を介して電源ライン3,4に接続されている。
【0032】
漏電遮断器5は、電源ライン3,4を流れる不平衡電流を検出する零相変流器9と、電源ライン3,4のそれぞれに設けられた連動する2つのスイッチ10a,10bと、零相変流器9が所定の閾値以上の不平衡電流を検出したときにスイッチ10a,10bを開放する地絡検出部11とを備えている。電源ライン3,4は、零相変流器9の環状のコア9aを貫通して設けられている。また、地絡検出部11は、零相変流器9の環状のコア9aに巻回された零相検出コイル9bに発生する誘導電流を検出することで、不平衡電流の検出を行う。
【0033】
過電圧保護回路6は、非接地側の電源ライン3に設けられたヒューズ12と、ヒューズ12の負荷側に、負荷18と並列に電源ライン3,4に接続された双方向性降伏回路であるバリスタ13とを備えている。そして、バリスタ7は、その降伏電圧VS1がバリスタ13の降伏電圧VS2よりも低いものが使用されている。
【0034】
以上のように構成された本実施形態に係る電源装置について、以下その動作を説明する。
負荷18に漏電がなく、電源2も正常な電圧V0を発生している場合には、図1の矢印Aに沿って負荷18に電流I0が流れる。
【0035】
負荷18に漏電が生じた場合には、矢印Aに沿った電流に加えて、矢印Bに沿って流れる地絡電流ILが生じる。これにより、零相変流器9のコア9aを貫通する電源ライン3(非接地側の電源ライン)には、電流I0+ILが導通する。一方、コア9aを貫通する電源ライン4(接地側の電源ライン)には、電流I0が導通する。従って、コア9aには不平衡電流ILが貫通して流れ、これが零相検出コイル9bに誘導電流を発生させる。地絡検出部11は、誘導電力が所定の大きさ以上となった場合に作動して、スイッチ10a,10bを開放する。これにより、負荷18は電源2から切り離され、負荷18は地絡電流から保護される。
【0036】
次に、電源2に過電圧が加わり、電源装置1に対して過電圧V1が印加された場合、バリスタ7の両端に電圧V1が加わる。この電圧V1がバリスタ7の降伏電圧VS1を超えたとき、バリスタ7は導通状態となって、バリスタ7には矢印Cで示したような降伏電流IS1が流れる。これにより、零相変流器9のコア9aを貫通する電源ライン3には、電流I0が導通する。一方、コア9aを貫通する電源ライン4には、電流I0+IS1が導通する。従って、コア9aには不平衡電流IS1が貫通して流れる。従って、上述の場合と同様に、地絡検出部11が所定の閾値以上の不平衡電流IS1を検出したときに、スイッチ10a,10bが開放される。これにより、負荷18は電源2から切り離され、負荷18は過電圧から保護される。
【0037】
このとき、バリスタ7に流れる降伏電流の大きさは、制限抵抗8によって制限される。従って、降伏電流が導通しても、容易にバリスタ7が破損することが防止される。
【0038】
尚、このとき、バリスタ13に印加される電源電圧V1が、バリスタ13の降伏電圧VS2に達する前に、バリスタ7に降伏電流が流れる。従って、過電圧保護回路6に印加される電圧は、バリスタ7によって一定の電圧にクランピングされる。そのため、バリスタ13には降伏電流は流れないため、電源ヒューズ12が溶断することが避けられる。
【0039】
但し、電源2に極めて大きな過電圧が瞬間的に加わった場合には、バリスタ7がクランピングする電圧値も高くなり、結局、バリスタ13の降伏電圧VS2を超えて、バリスタ13に降伏電流IS2が流れる。従って、この場合にはヒューズ12に大きな電流が流れ、ヒューズ12は溶断される。これにより、負荷18は電源2から切り離される。そのため、極めて大きな過電圧が印加された場合であっても負荷18は過電流から保護される。
【0040】
このように、従来の漏電遮断器5に、これを跨ぐようにバリスタ7を接続した簡単な構成によって、スイッチ10a,10bの開閉により、負荷18を地絡電流と過電圧の双方から保護することができる。
【0041】
また、電源から過電圧が加わった場合であっても、スイッチ10a,10bを作動させて電源を遮断することにより、ヒューズ12が簡単に溶断されることを防止することができる。
【0042】
また、雷サージ電流のように、極めて短時間のパルスサージ電圧が加わった場合、バリスタ7には、短時間の降伏電流が流れるが、制限抵抗8により、寄生容量や寄生インダクタンスの影響によるリンギングが抑えられる。従って、地絡検出部11が不平衡電流に基づく検出値が閾値異常となる前にバリスタ7の降伏電流は消失し、地絡検出部11が誤作動することを防止することができる。
【0043】
図2は本実施形態の電源装置の構成例である。図2において、漏電遮断器5は従来から広く使用されている通常の漏電遮断器が用いられる。また、過電圧保護回路6は、通常は、負荷18である電気機器の回路基板に一体的に組み込まれるため、図2には示されていない。バリスタ7と制限抵抗8は、一体のパッケージ20に内蔵されており、両素子の端子が、漏電遮断器5の電源側端子21と負荷側端子22に接続される。通常の漏電遮断器5では、電源側端子21、負荷側端子22は螺子止めする構成となっているので、パッケージ20は、これら両端子に螺子止めすればよい。従って、仮に過電圧が加わってバリスタ7が破損した場合であっても、バリスタ7の交換は極めて容易である。故に、メンテナンス性にも優れている。
【0044】
尚、本実施形態においては、双方向性降伏回路として、バリスタ7を使用したが、双方向性降伏回路としては、バリスタ以外にも、2方向2端子型シリコン・サイリスタ等のサージ防護素子を使用してもよい。さらには、被雷管やカソード同士を直列接続した2つの定電圧ダイオードからなる回路等を使用することも可能である。
【0045】
また、本実施形態では1相2線型の電源を使用したが、本発明はこれに限られるものではなく、1相3線型、2相3線型等の2本以上の電源ラインを有する電源についても同様に適用可能である。
【0046】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、従来から使用されている漏電遮断器に双方向性降伏回路を取り付けるだけで電源装置を構成することができる。そのため、既製の漏電遮断器をそのまま使用することができ、製造が容易である。
【0047】
また、双方向性降伏回路として、サージ防護素子を用いれば、サージ防護素子は1個単体で軽量・小型であるため、漏電遮断器の異なる相の電源側端子と負荷側端子にサージ防護素子を接続するだけで本発明の電源装置を構成することができる。特に、通常、漏電遮断器の電源側端子と負荷側端子は導線を螺子止めできる構造となっているため、通常の漏電遮断器にサージ防護素子の両端子を螺子止めすれば、本発明の電源装置を構成することができ、極めて容易に製造できる。そして、過電圧によりサージ防護素子が破損した場合でも、部品交換が容易であり、メンテナンスも容易である。
【0048】
また、双方向性降伏回路に直列に制限抵抗を設ければ、双方向性降伏回路が過電圧から或る程度保護されるため、電源装置の耐久性が向上する。また、極めて短いパルス状のサージ入力による誤作動を防止することができる。従って、電源装置のメンテナンスが容易となる。
【0049】
更に、双方向性降伏回路の降伏電圧を、過電圧保護回路の第2の双方向性降伏回路の降伏電圧よりも低くすれば、電源に異常電圧が加わり過電圧が発生した場合、第2の双方向性降伏回路に加わる電圧がその降伏電圧に達する前に、双方向性降伏回路が降伏電圧に達する。従って、双方向性降伏回路に流れる降伏電流により、漏電遮断器が作動して負荷及び過電圧保護回路を電源から切り離す。従って、漏電遮断器の負荷側にある過電圧保護回路のヒューズやバリスタが過電圧により破損する前に、電流を遮断することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態に係る電源装置のブロック図である。
【図2】本実施形態の電源装置の構成例である。
【図3】従来の電源装置を表すブロック図である。
【符号の説明】
1 電源装置
2 電源
3,4 電源ライン
5 漏電遮断器
6 過電圧保護回路
7,13 バリスタ(双方向性降伏回路)
8 制限抵抗
9 零相変流器
9a コア
9b 零相検出コイル
10a,10b スイッチ
11 地絡検出部
12 ヒューズ
18 負荷
20 パッケージ
21 電源側端子
22 負荷側端子
Claims (4)
- 電源から負荷に電力を供給する複数本の電源ラインに設けられ、前記各電源ライン間の不平衡電流が所定の閾値を超過したときに電源ラインを遮断する漏電遮断器と、
前記漏電遮断器を跨いで異なる2本の前記電源ラインの間に接続された1又は2以上の双方向性降伏回路と、
を備えたことを特徴とする電源装置。 - 前記双方向性降伏回路は、サージ防護素子であることを特徴とする請求項1記載の電源装置。
- 前記双方向性降伏回路に直列に制限抵抗を設けたことを特徴とする請求項1又は2記載の電源装置。
- 前記漏電遮断器の負荷側に、
負荷に対して直列に接続されたヒューズと、前記ヒューズの負荷側に負荷と並列に接続された第2の双方向性降伏回路と、を備えた過電圧保護回路を有し、
前記双方向性降伏回路の降伏電圧は、前記第2の双方向性降伏回路の降伏電圧よりも低いこと
を特徴とする請求項1乃至3の何れか一に記載の電源装置。
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JP7421144B1 (ja) | 2022-09-30 | 2024-01-24 | ダイキン工業株式会社 | 電気回路 |
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2003
- 2003-04-14 JP JP2003108605A patent/JP2004320851A/ja active Pending
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