JP2004319686A - プリント配線基板の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】プリント配線基板を製造するにあたって、配線基板とカバーレイフィルムとの間の残留気泡を抑制することを目的とする。
【解決手段】ベース基材の表面に回路を形成した配線基板と、接着層を備えるカバーレイフィルムとを位置合わせして積層した後、前記配線基板とカバーレイフィルムとを仮貼りする工程と、加熱プレスによって本貼りする工程とを経て、配線基板にカバーレイフィルムを被覆したプリント配線基板を製造するにあたって、気泡の押し出しを阻害しない場所を複数ヶ所スポット融着して配線基板とカバーレイフィルムとを仮貼することによって、本貼り工程における気泡の押し出し阻害を防止する。
【選択図】 なし
【解決手段】ベース基材の表面に回路を形成した配線基板と、接着層を備えるカバーレイフィルムとを位置合わせして積層した後、前記配線基板とカバーレイフィルムとを仮貼りする工程と、加熱プレスによって本貼りする工程とを経て、配線基板にカバーレイフィルムを被覆したプリント配線基板を製造するにあたって、気泡の押し出しを阻害しない場所を複数ヶ所スポット融着して配線基板とカバーレイフィルムとを仮貼することによって、本貼り工程における気泡の押し出し阻害を防止する。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、プリント配線基板の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
片面フレキシブルプリント配線基板などのプリント配線基板を製造する場合、第1接着層2によってベース基材1の表面に金属箔層を貼りつけた金属積層板(例えば銅張積層板)をエッチング処理し、前記ベース基材1の表面に回路(例えば銅回路)3を形成した配線基板10を作製した後、図4に示すように、前記配線基板10の上に、第2接着層4を備えるカバーレイフィルム5を被覆する(図4(a)を参照)。つまり、回路3により凹凸形状となっている配線基板10(ベース基材1)の表面にカバーレイフィルム5を貼り合わせる。
従来技術によれば、熱プレス装置等を使用して配線基板10とカバーレイフィルム5とを一括圧着し、これによって、配線基板10(ベース基材1)表面の凹凸部(回路部)にカバーレイフィルム5の第2接着層4を埋め込み、前記第2接着層4の熱硬化によって配線基板10とカバーレイフィルム5とを接着(熱融着)していた(図4(b)を参照)。
【0003】
なお、位置合わせ器具等を使用して配線基板10とカバーレイフィルム5を位置合わせしながら積層した後、熱プレス装置等による一括圧着(本貼り工程)に先立って、位置精度良く積層した配線基板10とカバーレイフィルム5を仮固定(仮貼り)し、その後、全体を加熱プレスして本貼りすることによって、本貼り工程における加熱プレス(本プレス)時に前記配線基板10とカバーレイフィルム5とのずれを防止することができる(例えば、特許文献1を参照)。
従来技術によれば、図5に示すように、配線基板10とカバーレイフィルム5に形成した位置合わせ用のホール(以下、ホールという。)11に位置合わせ用のピン(以下、ピンという。)12を挿入することによって、配線基板10とカバーレイフィルム5とを位置合わせした後、位置精度良く積層せしめた配線基板10とカバーレイフィルム5の4隅をアイロン6等を使用して部分的に熱融着(接着)して仮貼り(仮固定)していた。
そして前記仮貼り(仮固定)の後、位置合わせに使用したピン12を取り外して配線基板10とカバーレイフィルム5を熱プレス装置にセットし、一括圧着によって本貼りすることによって、本貼り工程の加熱プレス(本プレス)時に前記配線基板10とカバーレイフィルム5との位置ずれを防止していた。
【0004】
【特許文献1】
特公平2−6240号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
近年、電子基板の複雑化・高密度化が進み、回路がファイン化されてきている。特に携帯電話や電子機器類の小型化に伴い、フレキシブルプリント基板の回路は狭ピッチ・複雑化してきた。
そして、回路の狭ピッチ・複雑化に伴って配線基板表面の凹凸も狭ピッチ・複雑化され、このような配線基板10にカバーレイフィルム5を貼り合わせて熱圧着すると、配線基板10(ベース基材1)とカバーレイフィルム5の間の気泡がスムーズに抜けず、気泡が残留する問題が発生していた(図6(a)を参照)。
さらに、配線基板10とカバーレイフィルム5の4隅を部分的に熱融着して仮貼り(仮固定)した場合、熱プレス装置によって配線基板10とカバーレイフィルム5を圧着して本貼りするときに(本貼り工程)、前記熱融着部位(4隅)に気泡が溜まり、シワの原因になったりしていた。つまり、配線基材10とカバーレイフィルム5の4隅を熱融着して仮貼り(仮固定)した場合、前記熱融着部位(4隅)が気泡の押し出される経路にあたり、気泡の押し出しが阻害され、気泡がスムーズに抜けず残留していた(図6(b)を参照)。
【0006】
かかる問題を鑑み、この発明によれば、ベース基材1の表面に回路3を形成した配線基板10にカバーレイフィルム5を貼り合わせてプリント配線基板を製造するにあたって、前記配線基板10(ベース基材1)とカバーレイフィルム5との間の残留気泡を抑制することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この発明によれば、ベース基材の表面に回路を形成した配線基板と、接着層を備えるカバーレイフィルムとを位置合わせして積層した後、前記配線基板とカバーレイフィルムとを仮貼りする工程と、加熱プレスによって本貼りする工程とを経て、配線基板にカバーレイフィルムを被覆したプリント配線基板を製造するにあたって、気泡の押し出しを阻害しない場所を複数ヶ所スポット融着することによって配線基板とカバーレイフィルムとを仮貼し、本貼り工程の加熱プレス(本プレス)時に気泡の押し出しが阻害されるのを防止するものである。
またこの発明によるプリント配線基板の製造方法によれば、気泡の抜けにくい部分から気泡の抜けやすい部分へ向かって段階的に加熱プレスし、配線基板とカバーレイフィルムとを貼り合わせたときに、気泡をスムーズに押し出すようにしたものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
この発明によるプリント配線基板の製造方法の好適な実施例について、図1ないし図4を参照して説明する。
【0009】
この発明によるプリント配線基板の製造方法は、ベース基材1の表面に回路3を形成した配線基板10と、第2接着層4を備えるカバーレイフィルム5とを位置合わせして積層した後、前記配線板10とカバーレイフィルム5とを仮貼りする工程と、本貼りする工程とによって、回路3により凹凸形状となっている配線基板10の表面にカバーレイフィルム5を貼り合わせる。
【0010】
第1の発明によれば、位置合わせしながら積層した配線基板10とカバーレイフィルム5とを、アイロンや半田鏝等の簡易熱圧着機具によって部分的に熱融着して仮貼りした後(仮貼り工程)、熱プレス装置によって全体的に加熱プレスして本貼りする(本貼り工程)。そして前記仮貼り工程で、気泡の押し出しを阻害しない場所を複数ヶ所スポット融着して配線基板10とカバーレイフィルム5とを仮固定しておくことによって、本貼り工程における加熱プレス(本プレス)時に、位置精度良く積層した前記配線基板10とカバーレイフィルム5とがずれるのを防止し(位置ずれ防止)、かつ前記スポット融着部分において気泡の押し出しが阻害されることがない(残留気泡の防止)。つまり本貼り工程に先立ち、気泡の押し出しを阻害しない場所を複数ヶ所スポット融着して仮貼りすることによって、本貼り工程で加熱プレスしたときに、配線基板10とカバーレイフィルム5との良好な位置精度が維持され、かつ気泡の押し出しが阻害されない。
【0011】
また第2の発明によれば、熱プレス装置等を使用して、気泡の抜けにくい部分から気泡の抜けやすい部分へ向かって段階的に加熱プレスし、配線基板10とカバーレイフィルム5とを貼り合わせる。詳しくは、気泡の抜けにくい部分のみを短時間加熱プレスして仮貼りする一次加圧工程(仮貼り工程)と、全体を加熱プレスして本貼りする二次加圧工程(本貼り工程)とによって、配線基板10とカバーレイフィルム5とを貼り合わせる。そして前記一次加圧工程における加熱プレスで、気泡の抜けにくい部分にある気泡を周囲(気泡の抜けやすい部分)に移動させ、前記気泡の抜けにくい部分の接着剤を硬化しておくことによって、二次加圧工程で全体を加熱プレス(本プレス)するときに、気泡の抜けがスムーズになる。さらに前記一次加圧工程において、配線基板10とカバーレイフィルム5とが部分的に熱融着して仮固定されるため、二次加圧工程時の加熱プレス(本プレス)時に、配線基板10とカバーレイフィルム5がずれる虞もない(位置ずれ防止)。
【0012】
第1及び第2の発明の本貼り工程(二次加圧工程)では、熱プレス装置等を使用して配線基板10とカバーレイフィルム5とを全面的に加熱プレスすることによって、カバーレイフィルム5の第2接着層4を配線基板10(ベース基材1)表面の凹凸部(回路部)に埋め込み、この第2接着層4の熱硬化によって配線基板10とカバーレイフィルム5との接着(熱融着)を行う。この本貼り工程の熱圧着では、加熱によりカバーレイフィルム5の第2接着層4の接着剤が溶融し、この溶融した接着剤が配線基板10の表面の凹部(回路間)に流れ出すようにして充填され、前記凹部の空気は気泡となり、カバーレイフィルム5の端部や開口部(切れ目)から抜け出る(押し出される)。
【0013】
まず、第1の発明による仮貼り方法(仮貼り工程)の好適な実施例について以下に説明する。
この実施例では、気泡の押し出しを阻害しない場所を複数ヶ所スポット融着することによって、配線基板10とカバーレイフィルム5を仮貼り(仮固定)する。
なお気泡の押し出しを阻害しない場所とは、気泡が抜け出る(押し出される)経路にあたらない場所であることが好ましい。また気泡が抜け出る経路であっても回避経路によって気泡の押し出しが可能であればよい。前記気泡の押し出しを阻害しない場所は、配線基板10に形成されている回路3(回路設計)に依存する。
【0014】
配線基板10とカバーレイフィルム5とを位置合わせしながら積層した後、熱プレス装置を使用して全体を加熱プレスする本貼り工程に先立って、気泡の押し出しを阻害しない場所を複数ヶ所スポット融着せしめて仮貼り(仮固定)することによって、本貼り工程の加熱プレス(本プレス)時に、配線基板10とカバーレイフィルム5とが位置ずれせず、かつ前記スポット融着部分によって気泡の押し出しが阻害されることもない。
これによって、ベース基材1の上に回路3を形成した配線基板10にカバーレイフィルム5を貼り合わせてプリント配線基板を製造するときに、残留気泡やシワの発生を抑制することができる。
【0015】
スポット融着は、加熱面積の小さな簡易熱圧着機具を使用してスポット加熱プレスする。例えば、アイロンや半田鏝等の簡易熱圧着機具の先端(加熱面)に高熱伝導性材料からなるジグ等を固定して小面積の加熱面を形成し、スポット加熱できるように調節し、このスポット加熱可能な簡易熱圧着機具を使用して、任意の場所(気泡の押し出しが阻害されない場所)を局所的(スポット)に加熱プレスし、スポット融着(熱融着)する。
【0016】
以下に、スポット融着による仮貼り(仮固定)を行った場合の残留気泡抑制効果について検討する。
本検討では、仮貼り方法(仮貼り条件)が異なる各種プリント配線基板(実施例1〜3,比較例1〜3)を製造し、各種プリント配線基板について、それぞれ配線基板10とカバーレイフィルム5との位置精度やシワの有無を観察することによって仮固定性を評価するとともに、プリント配線基板の残留気泡の有無を観察することによって回路埋め込性を評価した(結果を表1に示す)。
【0017】
仮貼り方法(仮貼り条件)が異なる各種プリント配線基板を作製するにあたって、まず、受渡当事者間で協定されたJPCA−BM01に規定する銅張積層板に図1に示すパターン回路(JPCA−BM02に準ずる)を形成した配線基板10を作製し、これをクリーニングした後、前記配線基板10(ベース基材1の上に回路3を形成したもの)に第2接着層4を備えるカバーレイフィルム5を位置合わせしながら重ね合わせ、その後、表1に示す各条件にしたがって仮貼りを行った(実施例1〜3,比較例1〜3)。なお各種プリント配線基板における仮貼り条件は、表1の条件に従って各スポット若しくは各部位を、加熱温度180℃,加圧力50kgf/cm2にて1分間加熱プレスした。
仮貼り工程後の本貼り工程では、図2に示すように、JPCA−BM02に規定されたラミネーションの手順に従って、仮貼りした前記配線基板10とカバーレイフィルム5の他に、クッション材や、ステンレス板や、PPフィルム(ポリプロピレンフィルム)や、ポリエチレンフィルムを積み重ねたものをプレス熱板間に挿入し(熱プレス装置にセットし)、加熱温度180℃、加圧力50kgf/cm2にて30分間加熱プレス(一括圧着)することによって配線基板10とカバーレイフィルム5とを貼り合わせた。
【0018】
なお評価に使用した配線基板10のパターン回路は、JPCA−BM02に準じ、図1に示すように、導体幅(L)/導体間隙(S)が▲1▼0.05mm/0.05mmと,▲2▼0.10mm/0.10mmと,▲3▼0.15mm/0.15mmと,▲4▼0.30mm/0.30mmと,▲5▼0.50mm/0.05mmとの5種類のパターン回路を有する回路ユニット(図1(a)を参照)が、縦×横=4×4の計16ユニット配置されている(図1(b)を参照)。
【0019】
実施例1〜3では、気泡の押し出しを阻害しない場所を複数ヶ所スポット融着することによって配線基板10とカバーレイフィルム5とを仮貼りし、その後、本貼り工程において全体を加熱プレスし、配線基板10とカバーレイフィルム5を貼り合わせ、プリント配線基板を製造した。
実施例1〜3によるスポット融着位置について図3に示す。
実施例1では、P1〜P4の4箇所をスポット融着することによって仮貼りを行い(図3(a)を参照)、実施例2では、P5〜P8の4箇所をスポット融着することによって仮貼りを行い(図3(b)を参照)、実施例3では、P9〜P17の9箇所をスポット融着することによって仮貼りを行った(図3(c)を参照)。
なお比較例1では、中央の1カ所をスポット融着することによって仮貼りを行い、比較例2では仮貼りを行わなかった。また比較例3では、従来技術のように4隅を熱融着することによって仮貼りを行った(図5を参照)。
【0020】
各実施例および各比較例のプリント配線基板における仮固定性の評価と回路埋め込み性の評価の結果について表1に示す。
【0021】
【表1】
【0022】
仮固定性の評価では、配線基板10とカバーレイフィルム5の位置精度を観察するとともに、シワの有無を観察して評価を行った。
位置精度の観察は、位置合わせして積層した配線基板10とカバーレイフィルム5の良好な位置精度が、本貼り工程時に維持されているものについては○、維持されていないものについては×で示した。
シワの観察は、作製したプリント配線基板に大きなシワが観察されるものについては×、多少のシワが観察されるものについては△、シワが観察されないものについては○で示した。
回路埋め込み性の評価では、カバーレイフィルム5を貼り合わせたプリント配線基板から前記5種類の各パターン回路の試料を切り出し、倍率16倍の実体顕微鏡にて観察して気泡の有無を観察した。
そして、残留気泡が無い場合を○、極少量の気泡が認められた場合を△、残留気泡が有る場合を×で示した。なおシワの発生によって残留気泡の観察を行わなかったものを−で示す。
【0023】
実施例1〜3のように、配線基板10とカバーレイフィルム5とを位置合わせして積層した後、気泡の押し出しを阻害しない場所を複数個所スポット融着することによって仮貼りした場合、▲1▼配線基板10とカバーレイフィルム5の良好な位置精度が維持されることによって位置ずれによるシワの発生が防止され、▲2▼また気泡の押し出し阻害による残留気泡の抑制を図ることができた。
すなわち表1に示すように、実施例1〜3のプリント配線基板では、位置精度が良好でシワの発生が認められず仮固定性が良好であるとともに、残留気泡も認められないか若しくは極少量の残留気泡が認められるのみであって、回路埋め込み性も良好であった。
なお実施例に示すように、複数箇所のスポット融着による仮貼り(仮固定)によって、配線基板10とカバーレイフィルム5の位置精度を確実に維持することができるが、4箇所以上をスポット融着することが好ましい。
【0024】
一方、気泡の押し出しを阻害しない場所(中央)を1ヶ所スポット融着することによって仮貼りした場合(比較例1)や、仮貼りを行わなかった場合(比較例2)、積層した配線基板10とカバーレイフィルム5との位置ずれが発生し、本貼り工程による貼り合わせ加工が困難であった。そして配線基板10にカバーレイフィルム5を貼り合わせて作製したプリント配線基板には大きなシワが認められた。
【0025】
また比較例3のように4隅を熱融着して仮貼りした場合(従来技術)、仮貼りによる位置精度の維持は確保できるものの、本貼り工程において、図6(b)に示すように4隅の融着部位にて気泡の押し出しが阻害されて気泡が残留し易く、ひどい場合にはシワが発生してしまった。つまり残留気泡が多く観察され、回路埋め込み性が悪く、ひどい場合には部分的(4隅)にシワが認められた。
中央から外方に向かって気泡を押し出すときの経路を、仮貼り工程における熱融着によって塞いでしまうと、本貼り工程における熱圧着の際に気泡の押し出しが阻害され、残留気泡が多くなり、回路埋め込み性が悪化する。一般に4隅は押し出し経路の末端部分に相当する場合が多く、この経路末端部分を塞いでしまうと気泡の押し出しが阻害され、4隅に気泡が溜まってしまう。つまり従来技術のように4隅を熱融着して仮貼りすると、この4隅の融着部位が死角となって気泡が残留しやすい。
【0026】
続いて、第2の発明による仮貼り方法(仮貼り工程)の好適な実施例について説明する。
この発明では、気泡の抜けにくい部分から気泡の抜けやすい部分へ向かって段階的に加熱プレスするように、仮貼りと本貼りを行い、配線基板10とカバーレイフィルム5とを貼り合わせる。
【0027】
配線基板10とカバーレイフィルム5とを加熱プレスすると、カバーレイフィルム5の第2接着層4の接着剤が溶融し、前記配線基板10の凹部(回路間)に加熱時間とともに充填されていき、この凹部の空気が気泡となってカバーレイフィルム5の端部や開口(切れ目)から外方へ抜け出ていく。
従って、配線基板10とカバーレイフィルム5とを加熱プレスしたときに、カバーレイフィルム5の端部や開口付近の接着剤が先に硬化してしまうと、気泡が移動しにくくなり、気泡をスムーズに押し出すことができない。
なお高圧で加熱プレスし、気泡を押し出す力を増大することによって残留気泡を抑制する手段があるが、この場合、カバーレイフィルム5の端部や開口から接着剤が染み出す量が増大する。そして接着剤の染み出し量が増大したプリント配線基板では、めっき処理時に前記接着剤がめっき付着を阻害するといった障害がある。
【0028】
そこでこの第2の発明では、気泡の抜けにくい部分から気泡の向けやすい部分に向かって段階的に加熱プレスするようにし(段階加圧方式)、先に気泡の抜けにくい部分のみを加熱プレスして配線基板10とカバーレイフィルム5とを仮貼りし、気泡の抜けにくい部分にある気泡を気泡の抜けやすい部分に向かって移動させた後、全体を加熱プレスして配線基板10とカバーレイフィルム5とを本貼りして、カバーレイフィルム5の端部付近や開口付近の接着剤が最後に硬化するように段階的に加熱プレスする。なお一般に、カバーレイフィルム5の端部や開口に近いほど、気泡が外方へ抜け出るための移動距離が短く、気泡が抜けやすいといえる。
【0029】
すなわち、本貼り工程に先立って気泡の抜けにくい部分のみを熱融着する仮貼り工程を設け、気泡の抜けにくい部分の気泡を予め周囲(気泡の抜けやすい部分)へ移動させ、前記気泡の抜けにくい部分の接着剤を硬化させる。
これによって、配線基板10とカバーレイフィルム5とを本貼りするときは(本貼り工程)、気泡の抜けやすい部分にある気泡のみを押し出せばよく、高圧による加熱プレスを行うことなく、気泡の抜けにくい部分の気泡をスムーズに気泡を押し出し(排除し)、配線基板10とカバーレイフィルム5とを貼り合わせることができる。
【0030】
この実施例(段階加圧方式)では、熱プレス装置の平坦な加圧面に高熱伝導性のあて板を取付け、前記あて板を介在させた状態で任意の部分(気泡の抜けにくい部分)を局所的に短時間加熱プレスして、配線基板10とカバーレイフィルム5を仮貼りする工程(一次加圧工程)と、前記あて板を取り外して平坦な加圧面にて全体を加熱プレスして、配線基板10とカバーレイフィルム5を本貼りする工程(二次加圧工程)とによって、配線基板10とカバーレイフィルム5を貼り合わせた。
【0031】
あて板を介在して加熱プレスすると、前記あて板を介在させた部分のみに熱プレス装置による加圧力がかかる。従って、熱プレス装置の加圧面に取り付けるあて板を調節することによって任意の場所のみを加圧することができ、気泡の抜けにくい部分を選択的に加熱プレスすることができる。あて板の層厚は18μm以上であることが好ましい。
なお気泡の抜けにくい部分は、配線基板10に形成されている回路3(回路設計)に依存するが、一般に、カバーレイフィルム5の端部や開口から遠いほど、気泡の移動距離が長いため気泡が抜けにくい。
【0032】
この実施例では、熱プレス装置の平坦な加圧面にあて板を取付けて短時間加熱プレスする一次加圧工程において、気泡の抜けにくい部分のみを加熱プレスすることによって、前記加熱プレスした部分(気泡の抜けにくい部分)の接着剤を溶融させて、配線基板10の表面の凹部(回路間)に前記溶融した接着剤を充填するとともに(埋め込むとともに)、前記凹部の空気(気泡)を周囲(気泡の抜けやすい部分)に移動させ、さらに前記加熱プレスした部分(気泡の抜けにくい部分)の接着剤を硬化させて、配線基板10とカバーレイフィルム5とを仮貼り(仮固定)する。
また、熱プレス装置の加圧面からあて板を取り外し、平坦な加圧面にて全体を加熱プレスする二次加圧工程において、前記一次加圧工程でプレスしなかった部分(つまり気泡の抜けやすい部分)の接着剤を溶融させて、配線基板10の表面の凹部(回路間)に前記溶融した接着剤を充填するとともに(埋め込むとともに)、前記凹部の空気(気泡)をカバーレイフィルム5の端部や開口から押し出し、さらに接着剤を硬化させて、配線基板10とカバーレイフィルム5とを本貼りする。
【0033】
なおこの実施例では、配線基板10とカバーレイフィルム5とを仮貼りする一次加圧工程を1回の加熱プレスにて行ったが、熱プレス装置に取り付けるあて板を取り替えて複数回加熱プレスし、気泡の抜けにくい部分から気泡の抜けやすい部分へ向かって短時間の加熱プレスを繰返し、仮貼り部分の面積を段々大きくするようにしてもよい。
【0034】
以下に、段階加圧方式による貼り合わせを行った場合の残留気泡抑制効果について検討する。
本検討では、異なる貼り合わせ方法にて製造した各種プリント配線基板(実施例4〜7,比較例4と5)について、プリント配線基板の残留気泡の有無を観察することによって回路埋め込性を評価するとともに、カバーレイフィルムの開口から染み出した接着剤を観察することによって接着剤のフロー評価を行った(結果を表に示す)。
【0035】
各種プリント配線基板を作製するにあたって、まず、受渡当事者間で協定されたJPCA−BM01に規定する銅張積層板に図1に示すパターン回路(JPCA−BM02に準ずる)を形成した配線基板10を作製し、これをクリーニングした後、前記配線基板10(ベース基材1の上に回路3を形成したもの)に第2接着層4を備えるカバーレイフィルム5を位置合わせしながら重ね合わせ、その後、表2に示す条件に従って、加熱プレスした。
【0036】
なお熱プレス装置による加熱プレスでは、図2に示すように、JPCA−BM02に規定されたラミネーションの手順に従って、仮貼りした前記配線基板10とカバーレイフィルム5の他に、クッション材や、ステンレス板や、PPフィルム(ポリプロピレンフィルム)や、ポリエチレンフィルムを積み重ねたものをプレス熱板間に挿入し(熱プレス装置にセットし)、各加熱プレス条件に従って加熱プレスすることによって配線基板10とカバーレイフィルム5とを貼り合わせ、各種プリント配線基板を作製した。
【0037】
実施例4〜7では、位置精度よく積層した配線基板10とカバーレイフィルム5を熱プレス装置にセットし、一次加圧工程(仮貼り工程)と二次加圧工程(本貼り工程)による段階加圧方式(2段階加圧方式)による加熱プレスを行い、配線基板10とカバーレイフィルム5を貼り合わせた。
すなわち、加圧面にあて板を取り付けた熱プレス装置を使用して短時間加熱プレスし、配線基板10とカバーレイフィルム5とを部分的に熱融着して仮貼りする一次加圧工程と、前記加圧面からあて板を取り外した熱プレス装置を使用して加圧プレスし、と配線基板10とカバーレイフィルム5とを全体的に熱融着して本貼りする二次加圧工程によって、配線基板10とカバーレイフィルム5を貼り合わせた。
【0038】
実施例4〜7の各種プリント配線基板は、仮貼り条件(一次加圧工程)の異なるプリント配線基板であって、一次加圧工程(仮貼り工程)において、加圧面に取り付けたあて板の層厚や、加熱プレス条件(加圧力やプレス時間)を相違させた(表2を参照)。
なお加圧面に取り付けたあて板は、層厚が条件が相違するのみで、形状や取付位置については同一条件とした。
また本貼り工程(二次加圧工程)では、加圧面からあて板を取り外し、平坦な加圧面にて、加熱温度180℃、加圧力50kgf/cm2で30分間加熱プレスし、配線基板10とカバーレイフィルム5とを貼り合わせた(本貼り)。
【0039】
一方、比較例4および5では、位置精度よく積層した配線基板10とカバーレイフィルム5の4隅をアイロン等を使用して短時間加熱プレスした後(仮貼り工程)、前記配線基板10とカバーレイフィルム5を熱プレス装置にセットし、平坦な加圧面にて、加熱温度180℃、加圧力50kgf/cm2で30分間加熱プレスすることによって全体を一括圧着し(本貼り工程)、配線基板10とカバーレイフィルム5を貼り合わせた。
【0040】
各実施例および各比較例のプリント配線基板における回路埋め込み性の評価と接着剤のフロー評価の結果について表2に示す。
【0041】
【表2】
【0042】
回路埋め込み性の評価では、カバーレイフィルム5を貼り合わせたプリント配線基板から前記5種類の各パターン回路の試料を切り出し、倍率16倍の実体顕微鏡にて観察して気泡の有無を観察した。
そして、残留気泡が無い場合を○、極少量の気泡が認められた場合を△、残留気泡が有る場合を×で示した。
JPCA−BM02の接着剤のフロー評価を参考にし、配線基板10とカバーレイフィルム5とを貼り合わせてプリント配線基板を作製するときに、口径が3mm,6mm,20mmの3種類の孔(開口)をそれぞれ3つずつ打ち抜いたカバーレイフィルム5を使用し、前記カバーレイフィルム5に形成された計9個の開口(口径の異なる3種類の孔)について、開口の内縁に流出した接着剤の最大の長さを投影機にて測定し、測定値の平均値をそれぞれ求め、この値を染み出し量として評価した。そして表2に示す接着剤のフロー評価では、前記染み出し量が150μm以上のものは×、150μm未満のものは○として示した。
【0043】
実施例4〜7のように、気泡の抜けにくい部分のみを短時間加熱プレスする一次加圧工程によって配線基板10とカバーレイフィルム5とを仮貼りした後、通常の加圧力(50kgf/cm2)にて全体を加熱プレスする二次加圧工程によって配線基板10とカバーレイフィルム5とを本貼りした場合(段階加圧方式)、▲1▼気泡がスムーズに押し出されて残留気泡が抑制され、▲2▼接着剤の染み出し量の増大もなかった。
すなわち表2に示すように、実施例4〜7のプリント配線基板では、残留気泡が認められず回路埋め込み性が良好で、かつ接着剤のフロー評価も良好であった。
【0044】
つまり実施例4〜7では、熱プレス装置の加圧面にあて板を取り付けて短時間加熱プレスする一次加圧工程(仮貼り工程)において、気泡の抜けにくい部分を選択的に加熱プレスし、この加熱プレスした部分の接着剤を溶融させて回路に埋め込んで硬化させるとともに、前記加熱プレスした部分の気泡を周囲(気泡の抜けやすい部分)に移動させるため、二次加圧工程(本貼り工程)において、高圧で加熱プレスしなくても気泡をスムーズに押し出すことができる。
なお短時間で加熱プレスして配線基板10とカバーレイフィルム5とを仮貼りする一次加圧工程では、加圧力を大きくしても(例えば、80kgf/cm2)、接着剤の染み出しの虞がなかった。
【0045】
一方、位置合わせしながら積層した配線基板10とカバーレイフィルム5の4隅を熱融着して仮貼りした後、熱プレス装置を使用して配線基板10とカバーレイフィルム5を一括圧着によって本貼りした場合(従来技術)、比較例4のように、通常の加圧力(50kgf/cm2)で加熱プレスして配線基板10とカバーレイフィルム5とを貼り合わせて(本貼りして)作製したプリント配線基板では、残留気泡が観察され(回路埋め込み性が悪く)、また比較例5のように、高圧(80kgf/cm2)で加熱プレスして配線基板10とカバーレイフィルム5とを貼り合わせて(本貼りして)作製したプリント配線基板では、残留気泡は抑制されるものの、接着剤の染み出し量が増大し、接着剤のフロー評価が悪化した。
【0046】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、ベース基材の表面に回路を形成した配線基板と、接着層を備えるカバーレイフィルムとを位置合わせして積層した後、前記配線基板とカバーレイフィルムとを仮貼りする工程と、加熱プレスによって本貼りする工程とを経て、配線基板にカバーレイフィルムを被覆したプリント配線基板を製造するにあたって、気泡の押し出しを阻害しない場所を複数ヶ所スポット融着することによって配線基板とカバーレイフィルムとを仮貼することによって、本貼り工程において気泡の押し出しを阻害することなく配線基板とカバーレイフィルムとを貼り合わせることができ、残留気泡が抑制され、回路埋め込み性の良好なプリント配線基板を製造することができる。
また、気泡の抜けにくい部分から気泡の抜けやすい部分へ向かって段階的に加熱プレスし、配線基板とカバーレイフィルムとを貼り合わせることによって、気泡をスムーズに押し出すことができ、残留気泡が抑制され、回路埋め込み性の良好なプリント配線基板を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】JPCA−BM02による回路埋め込み性評価用の回路パターンを示す図。
【図2】熱プレス装置による加熱プレス方法を説明する図。
【図3】表1に示す実施例によるスポット融着位置を示す図。
【図4】配線基板とカバーレイフィルムの貼り合わせを説明する図。
【図5】従来技術による仮貼り方法の説明図。
【図6】従来技術によるプリント配線基板。
【符号の説明】
1 配線基板
2 第1接着層
3 回路
4 第2接着層
5 カバーレイフィルム
6 アイロン
10 配線基板
11 ホール
12 ピン
【発明の属する技術分野】
この発明は、プリント配線基板の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
片面フレキシブルプリント配線基板などのプリント配線基板を製造する場合、第1接着層2によってベース基材1の表面に金属箔層を貼りつけた金属積層板(例えば銅張積層板)をエッチング処理し、前記ベース基材1の表面に回路(例えば銅回路)3を形成した配線基板10を作製した後、図4に示すように、前記配線基板10の上に、第2接着層4を備えるカバーレイフィルム5を被覆する(図4(a)を参照)。つまり、回路3により凹凸形状となっている配線基板10(ベース基材1)の表面にカバーレイフィルム5を貼り合わせる。
従来技術によれば、熱プレス装置等を使用して配線基板10とカバーレイフィルム5とを一括圧着し、これによって、配線基板10(ベース基材1)表面の凹凸部(回路部)にカバーレイフィルム5の第2接着層4を埋め込み、前記第2接着層4の熱硬化によって配線基板10とカバーレイフィルム5とを接着(熱融着)していた(図4(b)を参照)。
【0003】
なお、位置合わせ器具等を使用して配線基板10とカバーレイフィルム5を位置合わせしながら積層した後、熱プレス装置等による一括圧着(本貼り工程)に先立って、位置精度良く積層した配線基板10とカバーレイフィルム5を仮固定(仮貼り)し、その後、全体を加熱プレスして本貼りすることによって、本貼り工程における加熱プレス(本プレス)時に前記配線基板10とカバーレイフィルム5とのずれを防止することができる(例えば、特許文献1を参照)。
従来技術によれば、図5に示すように、配線基板10とカバーレイフィルム5に形成した位置合わせ用のホール(以下、ホールという。)11に位置合わせ用のピン(以下、ピンという。)12を挿入することによって、配線基板10とカバーレイフィルム5とを位置合わせした後、位置精度良く積層せしめた配線基板10とカバーレイフィルム5の4隅をアイロン6等を使用して部分的に熱融着(接着)して仮貼り(仮固定)していた。
そして前記仮貼り(仮固定)の後、位置合わせに使用したピン12を取り外して配線基板10とカバーレイフィルム5を熱プレス装置にセットし、一括圧着によって本貼りすることによって、本貼り工程の加熱プレス(本プレス)時に前記配線基板10とカバーレイフィルム5との位置ずれを防止していた。
【0004】
【特許文献1】
特公平2−6240号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
近年、電子基板の複雑化・高密度化が進み、回路がファイン化されてきている。特に携帯電話や電子機器類の小型化に伴い、フレキシブルプリント基板の回路は狭ピッチ・複雑化してきた。
そして、回路の狭ピッチ・複雑化に伴って配線基板表面の凹凸も狭ピッチ・複雑化され、このような配線基板10にカバーレイフィルム5を貼り合わせて熱圧着すると、配線基板10(ベース基材1)とカバーレイフィルム5の間の気泡がスムーズに抜けず、気泡が残留する問題が発生していた(図6(a)を参照)。
さらに、配線基板10とカバーレイフィルム5の4隅を部分的に熱融着して仮貼り(仮固定)した場合、熱プレス装置によって配線基板10とカバーレイフィルム5を圧着して本貼りするときに(本貼り工程)、前記熱融着部位(4隅)に気泡が溜まり、シワの原因になったりしていた。つまり、配線基材10とカバーレイフィルム5の4隅を熱融着して仮貼り(仮固定)した場合、前記熱融着部位(4隅)が気泡の押し出される経路にあたり、気泡の押し出しが阻害され、気泡がスムーズに抜けず残留していた(図6(b)を参照)。
【0006】
かかる問題を鑑み、この発明によれば、ベース基材1の表面に回路3を形成した配線基板10にカバーレイフィルム5を貼り合わせてプリント配線基板を製造するにあたって、前記配線基板10(ベース基材1)とカバーレイフィルム5との間の残留気泡を抑制することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この発明によれば、ベース基材の表面に回路を形成した配線基板と、接着層を備えるカバーレイフィルムとを位置合わせして積層した後、前記配線基板とカバーレイフィルムとを仮貼りする工程と、加熱プレスによって本貼りする工程とを経て、配線基板にカバーレイフィルムを被覆したプリント配線基板を製造するにあたって、気泡の押し出しを阻害しない場所を複数ヶ所スポット融着することによって配線基板とカバーレイフィルムとを仮貼し、本貼り工程の加熱プレス(本プレス)時に気泡の押し出しが阻害されるのを防止するものである。
またこの発明によるプリント配線基板の製造方法によれば、気泡の抜けにくい部分から気泡の抜けやすい部分へ向かって段階的に加熱プレスし、配線基板とカバーレイフィルムとを貼り合わせたときに、気泡をスムーズに押し出すようにしたものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
この発明によるプリント配線基板の製造方法の好適な実施例について、図1ないし図4を参照して説明する。
【0009】
この発明によるプリント配線基板の製造方法は、ベース基材1の表面に回路3を形成した配線基板10と、第2接着層4を備えるカバーレイフィルム5とを位置合わせして積層した後、前記配線板10とカバーレイフィルム5とを仮貼りする工程と、本貼りする工程とによって、回路3により凹凸形状となっている配線基板10の表面にカバーレイフィルム5を貼り合わせる。
【0010】
第1の発明によれば、位置合わせしながら積層した配線基板10とカバーレイフィルム5とを、アイロンや半田鏝等の簡易熱圧着機具によって部分的に熱融着して仮貼りした後(仮貼り工程)、熱プレス装置によって全体的に加熱プレスして本貼りする(本貼り工程)。そして前記仮貼り工程で、気泡の押し出しを阻害しない場所を複数ヶ所スポット融着して配線基板10とカバーレイフィルム5とを仮固定しておくことによって、本貼り工程における加熱プレス(本プレス)時に、位置精度良く積層した前記配線基板10とカバーレイフィルム5とがずれるのを防止し(位置ずれ防止)、かつ前記スポット融着部分において気泡の押し出しが阻害されることがない(残留気泡の防止)。つまり本貼り工程に先立ち、気泡の押し出しを阻害しない場所を複数ヶ所スポット融着して仮貼りすることによって、本貼り工程で加熱プレスしたときに、配線基板10とカバーレイフィルム5との良好な位置精度が維持され、かつ気泡の押し出しが阻害されない。
【0011】
また第2の発明によれば、熱プレス装置等を使用して、気泡の抜けにくい部分から気泡の抜けやすい部分へ向かって段階的に加熱プレスし、配線基板10とカバーレイフィルム5とを貼り合わせる。詳しくは、気泡の抜けにくい部分のみを短時間加熱プレスして仮貼りする一次加圧工程(仮貼り工程)と、全体を加熱プレスして本貼りする二次加圧工程(本貼り工程)とによって、配線基板10とカバーレイフィルム5とを貼り合わせる。そして前記一次加圧工程における加熱プレスで、気泡の抜けにくい部分にある気泡を周囲(気泡の抜けやすい部分)に移動させ、前記気泡の抜けにくい部分の接着剤を硬化しておくことによって、二次加圧工程で全体を加熱プレス(本プレス)するときに、気泡の抜けがスムーズになる。さらに前記一次加圧工程において、配線基板10とカバーレイフィルム5とが部分的に熱融着して仮固定されるため、二次加圧工程時の加熱プレス(本プレス)時に、配線基板10とカバーレイフィルム5がずれる虞もない(位置ずれ防止)。
【0012】
第1及び第2の発明の本貼り工程(二次加圧工程)では、熱プレス装置等を使用して配線基板10とカバーレイフィルム5とを全面的に加熱プレスすることによって、カバーレイフィルム5の第2接着層4を配線基板10(ベース基材1)表面の凹凸部(回路部)に埋め込み、この第2接着層4の熱硬化によって配線基板10とカバーレイフィルム5との接着(熱融着)を行う。この本貼り工程の熱圧着では、加熱によりカバーレイフィルム5の第2接着層4の接着剤が溶融し、この溶融した接着剤が配線基板10の表面の凹部(回路間)に流れ出すようにして充填され、前記凹部の空気は気泡となり、カバーレイフィルム5の端部や開口部(切れ目)から抜け出る(押し出される)。
【0013】
まず、第1の発明による仮貼り方法(仮貼り工程)の好適な実施例について以下に説明する。
この実施例では、気泡の押し出しを阻害しない場所を複数ヶ所スポット融着することによって、配線基板10とカバーレイフィルム5を仮貼り(仮固定)する。
なお気泡の押し出しを阻害しない場所とは、気泡が抜け出る(押し出される)経路にあたらない場所であることが好ましい。また気泡が抜け出る経路であっても回避経路によって気泡の押し出しが可能であればよい。前記気泡の押し出しを阻害しない場所は、配線基板10に形成されている回路3(回路設計)に依存する。
【0014】
配線基板10とカバーレイフィルム5とを位置合わせしながら積層した後、熱プレス装置を使用して全体を加熱プレスする本貼り工程に先立って、気泡の押し出しを阻害しない場所を複数ヶ所スポット融着せしめて仮貼り(仮固定)することによって、本貼り工程の加熱プレス(本プレス)時に、配線基板10とカバーレイフィルム5とが位置ずれせず、かつ前記スポット融着部分によって気泡の押し出しが阻害されることもない。
これによって、ベース基材1の上に回路3を形成した配線基板10にカバーレイフィルム5を貼り合わせてプリント配線基板を製造するときに、残留気泡やシワの発生を抑制することができる。
【0015】
スポット融着は、加熱面積の小さな簡易熱圧着機具を使用してスポット加熱プレスする。例えば、アイロンや半田鏝等の簡易熱圧着機具の先端(加熱面)に高熱伝導性材料からなるジグ等を固定して小面積の加熱面を形成し、スポット加熱できるように調節し、このスポット加熱可能な簡易熱圧着機具を使用して、任意の場所(気泡の押し出しが阻害されない場所)を局所的(スポット)に加熱プレスし、スポット融着(熱融着)する。
【0016】
以下に、スポット融着による仮貼り(仮固定)を行った場合の残留気泡抑制効果について検討する。
本検討では、仮貼り方法(仮貼り条件)が異なる各種プリント配線基板(実施例1〜3,比較例1〜3)を製造し、各種プリント配線基板について、それぞれ配線基板10とカバーレイフィルム5との位置精度やシワの有無を観察することによって仮固定性を評価するとともに、プリント配線基板の残留気泡の有無を観察することによって回路埋め込性を評価した(結果を表1に示す)。
【0017】
仮貼り方法(仮貼り条件)が異なる各種プリント配線基板を作製するにあたって、まず、受渡当事者間で協定されたJPCA−BM01に規定する銅張積層板に図1に示すパターン回路(JPCA−BM02に準ずる)を形成した配線基板10を作製し、これをクリーニングした後、前記配線基板10(ベース基材1の上に回路3を形成したもの)に第2接着層4を備えるカバーレイフィルム5を位置合わせしながら重ね合わせ、その後、表1に示す各条件にしたがって仮貼りを行った(実施例1〜3,比較例1〜3)。なお各種プリント配線基板における仮貼り条件は、表1の条件に従って各スポット若しくは各部位を、加熱温度180℃,加圧力50kgf/cm2にて1分間加熱プレスした。
仮貼り工程後の本貼り工程では、図2に示すように、JPCA−BM02に規定されたラミネーションの手順に従って、仮貼りした前記配線基板10とカバーレイフィルム5の他に、クッション材や、ステンレス板や、PPフィルム(ポリプロピレンフィルム)や、ポリエチレンフィルムを積み重ねたものをプレス熱板間に挿入し(熱プレス装置にセットし)、加熱温度180℃、加圧力50kgf/cm2にて30分間加熱プレス(一括圧着)することによって配線基板10とカバーレイフィルム5とを貼り合わせた。
【0018】
なお評価に使用した配線基板10のパターン回路は、JPCA−BM02に準じ、図1に示すように、導体幅(L)/導体間隙(S)が▲1▼0.05mm/0.05mmと,▲2▼0.10mm/0.10mmと,▲3▼0.15mm/0.15mmと,▲4▼0.30mm/0.30mmと,▲5▼0.50mm/0.05mmとの5種類のパターン回路を有する回路ユニット(図1(a)を参照)が、縦×横=4×4の計16ユニット配置されている(図1(b)を参照)。
【0019】
実施例1〜3では、気泡の押し出しを阻害しない場所を複数ヶ所スポット融着することによって配線基板10とカバーレイフィルム5とを仮貼りし、その後、本貼り工程において全体を加熱プレスし、配線基板10とカバーレイフィルム5を貼り合わせ、プリント配線基板を製造した。
実施例1〜3によるスポット融着位置について図3に示す。
実施例1では、P1〜P4の4箇所をスポット融着することによって仮貼りを行い(図3(a)を参照)、実施例2では、P5〜P8の4箇所をスポット融着することによって仮貼りを行い(図3(b)を参照)、実施例3では、P9〜P17の9箇所をスポット融着することによって仮貼りを行った(図3(c)を参照)。
なお比較例1では、中央の1カ所をスポット融着することによって仮貼りを行い、比較例2では仮貼りを行わなかった。また比較例3では、従来技術のように4隅を熱融着することによって仮貼りを行った(図5を参照)。
【0020】
各実施例および各比較例のプリント配線基板における仮固定性の評価と回路埋め込み性の評価の結果について表1に示す。
【0021】
【表1】
【0022】
仮固定性の評価では、配線基板10とカバーレイフィルム5の位置精度を観察するとともに、シワの有無を観察して評価を行った。
位置精度の観察は、位置合わせして積層した配線基板10とカバーレイフィルム5の良好な位置精度が、本貼り工程時に維持されているものについては○、維持されていないものについては×で示した。
シワの観察は、作製したプリント配線基板に大きなシワが観察されるものについては×、多少のシワが観察されるものについては△、シワが観察されないものについては○で示した。
回路埋め込み性の評価では、カバーレイフィルム5を貼り合わせたプリント配線基板から前記5種類の各パターン回路の試料を切り出し、倍率16倍の実体顕微鏡にて観察して気泡の有無を観察した。
そして、残留気泡が無い場合を○、極少量の気泡が認められた場合を△、残留気泡が有る場合を×で示した。なおシワの発生によって残留気泡の観察を行わなかったものを−で示す。
【0023】
実施例1〜3のように、配線基板10とカバーレイフィルム5とを位置合わせして積層した後、気泡の押し出しを阻害しない場所を複数個所スポット融着することによって仮貼りした場合、▲1▼配線基板10とカバーレイフィルム5の良好な位置精度が維持されることによって位置ずれによるシワの発生が防止され、▲2▼また気泡の押し出し阻害による残留気泡の抑制を図ることができた。
すなわち表1に示すように、実施例1〜3のプリント配線基板では、位置精度が良好でシワの発生が認められず仮固定性が良好であるとともに、残留気泡も認められないか若しくは極少量の残留気泡が認められるのみであって、回路埋め込み性も良好であった。
なお実施例に示すように、複数箇所のスポット融着による仮貼り(仮固定)によって、配線基板10とカバーレイフィルム5の位置精度を確実に維持することができるが、4箇所以上をスポット融着することが好ましい。
【0024】
一方、気泡の押し出しを阻害しない場所(中央)を1ヶ所スポット融着することによって仮貼りした場合(比較例1)や、仮貼りを行わなかった場合(比較例2)、積層した配線基板10とカバーレイフィルム5との位置ずれが発生し、本貼り工程による貼り合わせ加工が困難であった。そして配線基板10にカバーレイフィルム5を貼り合わせて作製したプリント配線基板には大きなシワが認められた。
【0025】
また比較例3のように4隅を熱融着して仮貼りした場合(従来技術)、仮貼りによる位置精度の維持は確保できるものの、本貼り工程において、図6(b)に示すように4隅の融着部位にて気泡の押し出しが阻害されて気泡が残留し易く、ひどい場合にはシワが発生してしまった。つまり残留気泡が多く観察され、回路埋め込み性が悪く、ひどい場合には部分的(4隅)にシワが認められた。
中央から外方に向かって気泡を押し出すときの経路を、仮貼り工程における熱融着によって塞いでしまうと、本貼り工程における熱圧着の際に気泡の押し出しが阻害され、残留気泡が多くなり、回路埋め込み性が悪化する。一般に4隅は押し出し経路の末端部分に相当する場合が多く、この経路末端部分を塞いでしまうと気泡の押し出しが阻害され、4隅に気泡が溜まってしまう。つまり従来技術のように4隅を熱融着して仮貼りすると、この4隅の融着部位が死角となって気泡が残留しやすい。
【0026】
続いて、第2の発明による仮貼り方法(仮貼り工程)の好適な実施例について説明する。
この発明では、気泡の抜けにくい部分から気泡の抜けやすい部分へ向かって段階的に加熱プレスするように、仮貼りと本貼りを行い、配線基板10とカバーレイフィルム5とを貼り合わせる。
【0027】
配線基板10とカバーレイフィルム5とを加熱プレスすると、カバーレイフィルム5の第2接着層4の接着剤が溶融し、前記配線基板10の凹部(回路間)に加熱時間とともに充填されていき、この凹部の空気が気泡となってカバーレイフィルム5の端部や開口(切れ目)から外方へ抜け出ていく。
従って、配線基板10とカバーレイフィルム5とを加熱プレスしたときに、カバーレイフィルム5の端部や開口付近の接着剤が先に硬化してしまうと、気泡が移動しにくくなり、気泡をスムーズに押し出すことができない。
なお高圧で加熱プレスし、気泡を押し出す力を増大することによって残留気泡を抑制する手段があるが、この場合、カバーレイフィルム5の端部や開口から接着剤が染み出す量が増大する。そして接着剤の染み出し量が増大したプリント配線基板では、めっき処理時に前記接着剤がめっき付着を阻害するといった障害がある。
【0028】
そこでこの第2の発明では、気泡の抜けにくい部分から気泡の向けやすい部分に向かって段階的に加熱プレスするようにし(段階加圧方式)、先に気泡の抜けにくい部分のみを加熱プレスして配線基板10とカバーレイフィルム5とを仮貼りし、気泡の抜けにくい部分にある気泡を気泡の抜けやすい部分に向かって移動させた後、全体を加熱プレスして配線基板10とカバーレイフィルム5とを本貼りして、カバーレイフィルム5の端部付近や開口付近の接着剤が最後に硬化するように段階的に加熱プレスする。なお一般に、カバーレイフィルム5の端部や開口に近いほど、気泡が外方へ抜け出るための移動距離が短く、気泡が抜けやすいといえる。
【0029】
すなわち、本貼り工程に先立って気泡の抜けにくい部分のみを熱融着する仮貼り工程を設け、気泡の抜けにくい部分の気泡を予め周囲(気泡の抜けやすい部分)へ移動させ、前記気泡の抜けにくい部分の接着剤を硬化させる。
これによって、配線基板10とカバーレイフィルム5とを本貼りするときは(本貼り工程)、気泡の抜けやすい部分にある気泡のみを押し出せばよく、高圧による加熱プレスを行うことなく、気泡の抜けにくい部分の気泡をスムーズに気泡を押し出し(排除し)、配線基板10とカバーレイフィルム5とを貼り合わせることができる。
【0030】
この実施例(段階加圧方式)では、熱プレス装置の平坦な加圧面に高熱伝導性のあて板を取付け、前記あて板を介在させた状態で任意の部分(気泡の抜けにくい部分)を局所的に短時間加熱プレスして、配線基板10とカバーレイフィルム5を仮貼りする工程(一次加圧工程)と、前記あて板を取り外して平坦な加圧面にて全体を加熱プレスして、配線基板10とカバーレイフィルム5を本貼りする工程(二次加圧工程)とによって、配線基板10とカバーレイフィルム5を貼り合わせた。
【0031】
あて板を介在して加熱プレスすると、前記あて板を介在させた部分のみに熱プレス装置による加圧力がかかる。従って、熱プレス装置の加圧面に取り付けるあて板を調節することによって任意の場所のみを加圧することができ、気泡の抜けにくい部分を選択的に加熱プレスすることができる。あて板の層厚は18μm以上であることが好ましい。
なお気泡の抜けにくい部分は、配線基板10に形成されている回路3(回路設計)に依存するが、一般に、カバーレイフィルム5の端部や開口から遠いほど、気泡の移動距離が長いため気泡が抜けにくい。
【0032】
この実施例では、熱プレス装置の平坦な加圧面にあて板を取付けて短時間加熱プレスする一次加圧工程において、気泡の抜けにくい部分のみを加熱プレスすることによって、前記加熱プレスした部分(気泡の抜けにくい部分)の接着剤を溶融させて、配線基板10の表面の凹部(回路間)に前記溶融した接着剤を充填するとともに(埋め込むとともに)、前記凹部の空気(気泡)を周囲(気泡の抜けやすい部分)に移動させ、さらに前記加熱プレスした部分(気泡の抜けにくい部分)の接着剤を硬化させて、配線基板10とカバーレイフィルム5とを仮貼り(仮固定)する。
また、熱プレス装置の加圧面からあて板を取り外し、平坦な加圧面にて全体を加熱プレスする二次加圧工程において、前記一次加圧工程でプレスしなかった部分(つまり気泡の抜けやすい部分)の接着剤を溶融させて、配線基板10の表面の凹部(回路間)に前記溶融した接着剤を充填するとともに(埋め込むとともに)、前記凹部の空気(気泡)をカバーレイフィルム5の端部や開口から押し出し、さらに接着剤を硬化させて、配線基板10とカバーレイフィルム5とを本貼りする。
【0033】
なおこの実施例では、配線基板10とカバーレイフィルム5とを仮貼りする一次加圧工程を1回の加熱プレスにて行ったが、熱プレス装置に取り付けるあて板を取り替えて複数回加熱プレスし、気泡の抜けにくい部分から気泡の抜けやすい部分へ向かって短時間の加熱プレスを繰返し、仮貼り部分の面積を段々大きくするようにしてもよい。
【0034】
以下に、段階加圧方式による貼り合わせを行った場合の残留気泡抑制効果について検討する。
本検討では、異なる貼り合わせ方法にて製造した各種プリント配線基板(実施例4〜7,比較例4と5)について、プリント配線基板の残留気泡の有無を観察することによって回路埋め込性を評価するとともに、カバーレイフィルムの開口から染み出した接着剤を観察することによって接着剤のフロー評価を行った(結果を表に示す)。
【0035】
各種プリント配線基板を作製するにあたって、まず、受渡当事者間で協定されたJPCA−BM01に規定する銅張積層板に図1に示すパターン回路(JPCA−BM02に準ずる)を形成した配線基板10を作製し、これをクリーニングした後、前記配線基板10(ベース基材1の上に回路3を形成したもの)に第2接着層4を備えるカバーレイフィルム5を位置合わせしながら重ね合わせ、その後、表2に示す条件に従って、加熱プレスした。
【0036】
なお熱プレス装置による加熱プレスでは、図2に示すように、JPCA−BM02に規定されたラミネーションの手順に従って、仮貼りした前記配線基板10とカバーレイフィルム5の他に、クッション材や、ステンレス板や、PPフィルム(ポリプロピレンフィルム)や、ポリエチレンフィルムを積み重ねたものをプレス熱板間に挿入し(熱プレス装置にセットし)、各加熱プレス条件に従って加熱プレスすることによって配線基板10とカバーレイフィルム5とを貼り合わせ、各種プリント配線基板を作製した。
【0037】
実施例4〜7では、位置精度よく積層した配線基板10とカバーレイフィルム5を熱プレス装置にセットし、一次加圧工程(仮貼り工程)と二次加圧工程(本貼り工程)による段階加圧方式(2段階加圧方式)による加熱プレスを行い、配線基板10とカバーレイフィルム5を貼り合わせた。
すなわち、加圧面にあて板を取り付けた熱プレス装置を使用して短時間加熱プレスし、配線基板10とカバーレイフィルム5とを部分的に熱融着して仮貼りする一次加圧工程と、前記加圧面からあて板を取り外した熱プレス装置を使用して加圧プレスし、と配線基板10とカバーレイフィルム5とを全体的に熱融着して本貼りする二次加圧工程によって、配線基板10とカバーレイフィルム5を貼り合わせた。
【0038】
実施例4〜7の各種プリント配線基板は、仮貼り条件(一次加圧工程)の異なるプリント配線基板であって、一次加圧工程(仮貼り工程)において、加圧面に取り付けたあて板の層厚や、加熱プレス条件(加圧力やプレス時間)を相違させた(表2を参照)。
なお加圧面に取り付けたあて板は、層厚が条件が相違するのみで、形状や取付位置については同一条件とした。
また本貼り工程(二次加圧工程)では、加圧面からあて板を取り外し、平坦な加圧面にて、加熱温度180℃、加圧力50kgf/cm2で30分間加熱プレスし、配線基板10とカバーレイフィルム5とを貼り合わせた(本貼り)。
【0039】
一方、比較例4および5では、位置精度よく積層した配線基板10とカバーレイフィルム5の4隅をアイロン等を使用して短時間加熱プレスした後(仮貼り工程)、前記配線基板10とカバーレイフィルム5を熱プレス装置にセットし、平坦な加圧面にて、加熱温度180℃、加圧力50kgf/cm2で30分間加熱プレスすることによって全体を一括圧着し(本貼り工程)、配線基板10とカバーレイフィルム5を貼り合わせた。
【0040】
各実施例および各比較例のプリント配線基板における回路埋め込み性の評価と接着剤のフロー評価の結果について表2に示す。
【0041】
【表2】
【0042】
回路埋め込み性の評価では、カバーレイフィルム5を貼り合わせたプリント配線基板から前記5種類の各パターン回路の試料を切り出し、倍率16倍の実体顕微鏡にて観察して気泡の有無を観察した。
そして、残留気泡が無い場合を○、極少量の気泡が認められた場合を△、残留気泡が有る場合を×で示した。
JPCA−BM02の接着剤のフロー評価を参考にし、配線基板10とカバーレイフィルム5とを貼り合わせてプリント配線基板を作製するときに、口径が3mm,6mm,20mmの3種類の孔(開口)をそれぞれ3つずつ打ち抜いたカバーレイフィルム5を使用し、前記カバーレイフィルム5に形成された計9個の開口(口径の異なる3種類の孔)について、開口の内縁に流出した接着剤の最大の長さを投影機にて測定し、測定値の平均値をそれぞれ求め、この値を染み出し量として評価した。そして表2に示す接着剤のフロー評価では、前記染み出し量が150μm以上のものは×、150μm未満のものは○として示した。
【0043】
実施例4〜7のように、気泡の抜けにくい部分のみを短時間加熱プレスする一次加圧工程によって配線基板10とカバーレイフィルム5とを仮貼りした後、通常の加圧力(50kgf/cm2)にて全体を加熱プレスする二次加圧工程によって配線基板10とカバーレイフィルム5とを本貼りした場合(段階加圧方式)、▲1▼気泡がスムーズに押し出されて残留気泡が抑制され、▲2▼接着剤の染み出し量の増大もなかった。
すなわち表2に示すように、実施例4〜7のプリント配線基板では、残留気泡が認められず回路埋め込み性が良好で、かつ接着剤のフロー評価も良好であった。
【0044】
つまり実施例4〜7では、熱プレス装置の加圧面にあて板を取り付けて短時間加熱プレスする一次加圧工程(仮貼り工程)において、気泡の抜けにくい部分を選択的に加熱プレスし、この加熱プレスした部分の接着剤を溶融させて回路に埋め込んで硬化させるとともに、前記加熱プレスした部分の気泡を周囲(気泡の抜けやすい部分)に移動させるため、二次加圧工程(本貼り工程)において、高圧で加熱プレスしなくても気泡をスムーズに押し出すことができる。
なお短時間で加熱プレスして配線基板10とカバーレイフィルム5とを仮貼りする一次加圧工程では、加圧力を大きくしても(例えば、80kgf/cm2)、接着剤の染み出しの虞がなかった。
【0045】
一方、位置合わせしながら積層した配線基板10とカバーレイフィルム5の4隅を熱融着して仮貼りした後、熱プレス装置を使用して配線基板10とカバーレイフィルム5を一括圧着によって本貼りした場合(従来技術)、比較例4のように、通常の加圧力(50kgf/cm2)で加熱プレスして配線基板10とカバーレイフィルム5とを貼り合わせて(本貼りして)作製したプリント配線基板では、残留気泡が観察され(回路埋め込み性が悪く)、また比較例5のように、高圧(80kgf/cm2)で加熱プレスして配線基板10とカバーレイフィルム5とを貼り合わせて(本貼りして)作製したプリント配線基板では、残留気泡は抑制されるものの、接着剤の染み出し量が増大し、接着剤のフロー評価が悪化した。
【0046】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、ベース基材の表面に回路を形成した配線基板と、接着層を備えるカバーレイフィルムとを位置合わせして積層した後、前記配線基板とカバーレイフィルムとを仮貼りする工程と、加熱プレスによって本貼りする工程とを経て、配線基板にカバーレイフィルムを被覆したプリント配線基板を製造するにあたって、気泡の押し出しを阻害しない場所を複数ヶ所スポット融着することによって配線基板とカバーレイフィルムとを仮貼することによって、本貼り工程において気泡の押し出しを阻害することなく配線基板とカバーレイフィルムとを貼り合わせることができ、残留気泡が抑制され、回路埋め込み性の良好なプリント配線基板を製造することができる。
また、気泡の抜けにくい部分から気泡の抜けやすい部分へ向かって段階的に加熱プレスし、配線基板とカバーレイフィルムとを貼り合わせることによって、気泡をスムーズに押し出すことができ、残留気泡が抑制され、回路埋め込み性の良好なプリント配線基板を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】JPCA−BM02による回路埋め込み性評価用の回路パターンを示す図。
【図2】熱プレス装置による加熱プレス方法を説明する図。
【図3】表1に示す実施例によるスポット融着位置を示す図。
【図4】配線基板とカバーレイフィルムの貼り合わせを説明する図。
【図5】従来技術による仮貼り方法の説明図。
【図6】従来技術によるプリント配線基板。
【符号の説明】
1 配線基板
2 第1接着層
3 回路
4 第2接着層
5 カバーレイフィルム
6 アイロン
10 配線基板
11 ホール
12 ピン
Claims (5)
- ベース基材(1)の表面に回路(3)を形成した配線基板(10)と、接着層(4)を備えるカバーレイフィルム(5)とを位置合わせして積層した後、前記配線基板(10)とカバーレイフィルム(5)とを仮貼りする工程と、加熱プレスによって本貼りする工程とを経て、配線基板(10)にカバーレイフィルム(5)を被覆したプリント配線基板を製造するにあたって、
気泡の押し出しを阻害しない場所を複数ヶ所スポット融着することによって、配線基板(10)とカバーレイフィルム(5)とを仮貼りすることを特徴とするプリント配線基板の製造方法。 - ベース基材(1)の表面に回路(3)を形成した配線基板(10)と、接着層(4)を備えるカバーレイフィルム(5)とを位置合わせして積層した後、前記配線基板(10)とカバーレイフィルム(5)とを仮貼りする工程と、加熱プレスによって本貼りする工程とを経て、配線基板(10)にカバーレイフィルム(5)を被覆したプリント配線基板を製造するにあたって、
気泡の抜けにくい部分から気泡の抜けやすい部分へ向かって段階的に加熱プレスし、配線基板(10)とカバーレイフィルム(5)とを貼り合わせることを特徴とするプリント配線基板の製造方法。 - 気泡の抜けにくい部分を短時間加熱プレスすることによって仮貼りする一次加圧工程と、全体的に加熱プレスして本貼りする二次加圧工程とによって、配線基板(10)とカバーレイフィルム(5)とを貼り合わせることを特徴とする請求項2に記載のプリント配線基板の製造方法。
- 一次加圧工程において、平坦な加圧面に高熱伝導性のあて板を介在させて加熱プレスすることによって、任意の場所を局所的に加熱プレスすることを特徴とする請求項3に記載のプリント配線基板の製造方法。
- あて板の層厚が18μm以上であることを特徴とする請求項4に記載のプリント配線基板の製造方法。
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JP2007149936A (ja) * | 2005-11-28 | 2007-06-14 | Ishii Hyoki Corp | フレキシブル基板のシート材仮貼付装置 |
JP2007317873A (ja) * | 2006-05-25 | 2007-12-06 | Sharp Corp | プリント配線基板の製造方法およびプリント配線基板の検査用パターンユニット |
JP2008305924A (ja) * | 2007-06-06 | 2008-12-18 | Sony Chemical & Information Device Corp | プリント配線板、プリント配線板の製造方法及びプリント配線板の製造装置 |
CN111065214A (zh) * | 2019-12-17 | 2020-04-24 | 深圳市新宇腾跃电子有限公司 | 线路板覆盖膜贴合工艺 |
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- 2003-04-15 JP JP2003110263A patent/JP2004319686A/ja active Pending
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