JP2004316938A - 循環流動層焼却炉の熱回収設備および熱回収方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】焼却炉内の負荷変動等に対応させて安定的な熱回収を行うことができるとともに、熱回収効率が高く、また焼却炉の安定した操業を保証することができる循環流動層焼却炉の熱回収設備および熱回収方法を提供する。
【解決手段】サイクロンで捕集されてライザー内の流動層へ送り返される流動媒体Fを一時的に貯留してこれら流動層とサイクロンとの間をシールするループシール12に、流動媒体Fと接触させてこれより熱を回収する伝熱管13を設けた循環流動層焼却炉の熱回収設備において、回収熱量を調整すべく伝熱管13と流動媒体Fとの接触面積を増減変更するために、流動媒体Fの貯留高さを検知する高さセンサ15と、流動媒体Fを流動化させて流動層へ送り返す制御空気を導入する制御用空気配管17と、制御用空気配管17を開度制御する制御弁18とを備えた。
【選択図】 図2
【解決手段】サイクロンで捕集されてライザー内の流動層へ送り返される流動媒体Fを一時的に貯留してこれら流動層とサイクロンとの間をシールするループシール12に、流動媒体Fと接触させてこれより熱を回収する伝熱管13を設けた循環流動層焼却炉の熱回収設備において、回収熱量を調整すべく伝熱管13と流動媒体Fとの接触面積を増減変更するために、流動媒体Fの貯留高さを検知する高さセンサ15と、流動媒体Fを流動化させて流動層へ送り返す制御空気を導入する制御用空気配管17と、制御用空気配管17を開度制御する制御弁18とを備えた。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、焼却炉内の負荷変動等に対応させて安定的な熱回収を行うことができるとともに、熱回収効率が高く、また焼却炉の安定した操業を保証することができる循環流動層焼却炉の熱回収設備および熱回収方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、汚泥等の被焼却物を焼却する施設として、図4に示したような循環流動層焼却炉1が知られている。この焼却炉1は、例えば特許文献1に開示されているように、一定量のけい砂等の流動媒体Fを当該焼却炉1内で循環させつつ被焼却物を焼却処理するようになっている。ライザー2底部の炉床部3に加熱状態で充填されている流動媒体Fが、図示しない1次空気導入配管から導入される燃焼用1次空気によって流動化されて流動層5が形成され、この流動層5に投入された被焼却物は、流動媒体Fによって混合・撹拌されて微粒化されるとともに、乾燥・熱分解されて焼却される。流動層5で焼却された被焼却物は、図示しない流動層5上方の2次空気導入配管から導入される燃焼用2次空気によってさらに熱分解されつつ、流動媒体Fや排ガスなどとともにライザー2内を上昇し、ライザー2上部の水平ダクト4を介してサイクロン6に吸引される。
【0003】
サイクロン6は、被焼却物の焼却灰を含む排ガスから、これらと一緒に吹き上げられた流動媒体Fを分離して捕集し、捕集された流動媒体Fは、上下方向に設けられた中空のダウンカマー7内を下降して、その底部のループシール8に貯留される。その後、流動媒体Fは、戻し管9を介して炉床部3へと送り返されて、焼却炉1内を循環される。
【0004】
ダウンカマー7と戻し管9との間に配置されるループシール8は、流動層5内の一次ガスや排ガスなどがダウンカマー7を介してサイクロン6へ向かって逆流すると、サイクロン6内のガス流が乱されて流動媒体Fの捕集効率が低下してしまうことから、これを抑制すべく流動媒体Fを一時的に貯留して、流動層5とサイクロン6との間を遮断してシールするようになっている。またループシール8には、これに貯留される流動媒体量を一定にしてライザー2内の流動媒体量が不足しないように、流動媒体Fを流動化させて順次戻し管9を介して炉床部3へと送り返すべく、図示しない流動用空気導入管から流動用空気が導入される。
【0005】
そして従来、この種の循環流動層焼却炉1には、その内部で発生した熱、特に余剰な熱量を回収するために各種の熱回収設備が備えられている。例えば図4に示すように、Nバルブ型のループシール8に伝熱管10を設け、これに流動媒体Fを接触させて余剰熱を回収する方法がある。
【0006】
【特許文献1】
特開2002−286216号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、循環流動層焼却炉1における熱回収は、余剰熱の回収を目的としていて、この余剰熱は焼却炉1における負荷変動や燃料の性状変動などに従って増減することから、回収熱量もこの負荷変動等に対応させて変更調節することが望ましい。この点、上述したNバルブ型のループシール8に単に伝熱管10を組み込むことにより流動媒体Fと接触させて熱回収を行う従来の設備もしくは方法にあっては、この負荷変動等に応じて回収熱量を変化させるにあたり、熱回収率の指標となる伝熱管10の総括伝熱係数を、ループシール8の空塔速度を増減制御することによって増減変化させるようにしていて、この空塔速度の調節を、ループシール8への流動用空気の導入量を制御して流動媒体Fの流動状態を変化させることで行うようにしていた。
【0008】
ここで、総括伝熱係数とは、伝熱面の単位面積当たり1℃温度を変化させるのに要する仕事率(W/(m2・K))をいい、またループシール8の空塔速度は、(ループシール8への流動用空気量)/(ループシール8の断面積)で求まるループシール8内の流動用空気の実速度(m/s)をいい、この空塔速度を変化させることによってループシール8での伝熱管10の総括伝熱係数を変化させて、回収熱量を変化させるようにしていた。
【0009】
しかしながら、Nバルブ型のループシール8では、当該ループシール8からライザー2の炉床部3へ流動媒体Fを返送するのに多量(Lバルブ型に比べて、4〜5倍程度)の流動用空気を必要とし、このため回収熱量を変化させるべく流動用空気量を増減させると、特に流動用空気量を増加させると、この流動用空気によって熱回収すべき流動媒体Fが冷却されたり伝熱管10が冷却されてしまって、熱回収率が低下してしまうとともに、場合によっては、この流動用空気がダウンカマー7を逆流してしまって、サイクロン6での流動媒体Fの捕集効率を低下させ、焼却炉1の安定した操業を阻害するなどの悪影響が生じるおそれがあった。
【0010】
本発明は上記従来の課題に鑑みて創案されたものであって、焼却炉内の負荷変動等に対応させて安定的な熱回収を行うことができるとともに、熱回収効率が高く、また焼却炉の安定した操業を保証することができる循環流動層焼却炉の熱回収設備および熱回収方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明にかかる循環流動層焼却炉の熱回収設備は、サイクロンで捕集されてライザー内の流動層へ送り返される流動媒体を一時的に貯留してこれら流動層とサイクロンとの間をシールするループシールに、流動媒体と接触させてこれより熱を回収する熱回収手段を設けた循環流動層焼却炉の熱回収設備において、回収熱量を調整するために上記熱回収手段と流動媒体との接触面積を増減変更する回収熱量制御手段を備えたことを特徴とする。
【0012】
回収熱量制御手段によって、熱回収手段と流動媒体との接触面積を増減変更して回収熱量を調整するようにしていて、当該接触面積の増減によって熱回収手段の総括伝熱係数を変化させることが可能であり、これにより回収熱量を焼却炉の負荷変動や燃料の性状変化などに対応させて増減させることができて、安定的に余剰熱を回収し得る。
【0013】
また、前記回収熱量制御手段が、前記熱回収手段と流動媒体との接触面積を検知する検知手段と、前記ループシールに貯留される流動媒体量を調節する貯留量調節手段とを備えることを特徴とする。回収熱量制御手段に、検知手段と貯留量調節手段とを備えるようにしていて、検知手段による接触面積の検知と、貯留量調節手段による流動媒体量の調節によって、熱回収手段と流動媒体とを所望の接触面積で接触させることが可能となる。
【0014】
また、前記熱回収手段は前記ループシールの適宜高さに配置され、前記検知手段は、上記ループシールに貯留される流動媒体高さを検知する高さセンサであることを特徴とする。高さセンサにより熱回収手段に対する流動媒体の相対的な貯留高さ位置関係を検知するようにしていて、これにより熱回収手段と流動媒体との接触面積を、簡単な構成で容易に把握することが可能となる。
【0015】
さらに、前記貯留量調節手段は、前記ループシールに貯留される流動媒体を流動化させて前記流動層へ送り返すための流体を導入する流体導入手段であることを特徴とする。流体導入手段によって、ループシールに貯留される流動媒体の貯留量を調節するようにしていて、この流体導入手段は、流動媒体の貯留量を調節すべくその一部を流動層へ送り返す程度の少ない流体量を導入するだけで済み、従って当該流体による流動媒体や伝熱管の冷却が抑制されて、高い熱回収率を確保できるとともに、流動用空気が逆流することによるサイクロンへの悪影響も防止できて、安定的な焼却炉の操業を保証することができる。
【0016】
本発明にかかる循環流動層焼却炉の熱回収方法は、サイクロンで捕集されてライザー内の流動層へ送り返される流動媒体を一時的に貯留してこれら流動層とサイクロンとの間をシールするループシールに、流動媒体と接触させてこれより熱を回収する熱回収手段を設けた循環流動層焼却炉において、上記熱回収手段と流動媒体との接触面積を増減変更して回収熱量を調整するようにしたことを特徴とする。
【0017】
熱回収手段と流動媒体との接触面積を増減変更して回収熱量を調整するようにしていて、当該接触面積の増減によって熱回収手段の総括伝熱係数を変化させることができ、これにより回収熱量を焼却炉の負荷変動や燃料の性状変化などに対応させて増減させることができて、安定的に余剰熱を回収し得る。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明にかかる循環流動層焼却炉の熱回収設備および熱回収方法の好適な一実施形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。本実施形態にかかる循環流動層焼却炉1の熱回収設備は図1および図2に示すように、サイクロン6で捕集されてライザー2内の流動層5へ送り返されるけい砂等の流動媒体Fを一時的に貯留して、これら流動層5とサイクロン6との間をシールするループシール12に、流動媒体Fと接触させてこれより熱を回収する熱回収手段として伝熱管13が設けられるとともに、さらに回収熱量を調整するために伝熱管13とループシール12に貯留される流動媒体Fとの接触面積を増減変更する回収熱量制御手段が備えられて構成される。
【0019】
図示例にあっては、ループシールとして、Lバルブ型のループシール12が示されている。Lバルブ型ループシール12は、ダウンカマー7底部の中空な立ち上げ部7aからこれに接続された円筒状の水平管14にわたってL字状に形成され、サイクロン6から降下する流動媒体Fを、水平管14内に滞留させつつ立ち上げ部7a内に相当の貯留高さで堆積させる。Lバルブ型ループシール12は立ち上げ部7aと水平管14という簡単な管構造であるため、閉塞などの問題も少なく、また閉塞などが起こったとしてもメンテナンスが容易であるという利点がある。また構造が簡単なだけでなく、流動媒体Fをその内部に滞留させてダウンカマー7底部に相当の高さで流動媒体Fを貯留するために必要とされる水平管14の水平方向長さ寸法が通常、その内径寸法の2倍程度で足り、ループシール12をコンパクトに構成することができる。
【0020】
ループシール12の立ち上げ部7aには、その内部空間の適宜高さ位置に配置して、サーペンタイン形状の伝熱管13が設けられる。伝熱管13には、流動媒体Fから熱を回収して移送するための熱媒体、例えば水が流通される。ループシール12は、サイクロン6に連通されてガスが滞留するダウンカマー7の底部に備えられることから、伝熱管13は、ループシール12に貯留される流動媒体Fの量を調整することで、全体が流動媒体F中に埋没されたり、あるいは全体が流動媒体F上方に露出されてガス中に晒される。特にこの伝熱管13は、すべてが露出された状態であっても、それよりも下方に貯留された流動媒体量によって、流動層5とサイクロン6との間を適切にシールすることができる高さ位置に配置することが好ましい。
【0021】
そして本実施形態にあっては、ループシール12に貯留される流動媒体Fと伝熱管13との接触面積を増減変更して回収熱量を調整するための回収熱量調整手段が備えられる。流動媒体Fと伝熱管13との接触面積の増減変更は基本的には、文字通り両者が接触する量を変化させれば良く、伝熱管13を移動させて流動媒体Fに全体を接触させたり、あるいは一部を接触させるように調整する方法や、また立ち上げ部7a内の流動媒体Fの貯留量を変化させて伝熱管13の全部に接触させたり、一部に接触させて調整する方法などがある。
【0022】
本実施形態は後者を利用したもので、回収熱量調整手段は主に、伝熱管13と流動媒体Fとの接触面積を検知する検知手段と、ループシール12に貯留される流動媒体量を調節する貯留量調節手段とから構成される。伝熱管13と流動媒体Fとの接触面積を検知手段で検知した上で、その面積を増加させるか減少させるかを貯留量調節手段によって調節するようになっている。
【0023】
検知手段としては、伝熱管13表面全体に耐熱性・耐食性の熱電対などを取り付けて、伝熱管13がガス中に晒されているか、流動媒体Fと接触しているかを、温度差によって検知して伝熱管13と流動媒体Fとの接触面積そのものを検知することでも良いが、本実施形態では、ループシール12に貯留されている流動媒体Fの高さを検知することで、伝熱管13に対する流動媒体Fの接触面積を検知するようにしていて、このために検知手段として高さセンサ15が設けられる。
【0024】
流動媒体Fの貯留高さを検知する高さセンサ15としては、本願出願人が先に出願している特願2002−359390号のセンサを利用することができる。この高さセンサ15は、ループシール12に貯留されている流動媒体Fの量を簡単に一定化させることを目的として開発されたもので、立ち上げ部7aに圧力測定器16を上下方向に一定間隔を隔てて複数設け、各圧力測定器16により立ち上げ部7aの各部分における内圧を測定するようになっている。各圧力測定器16で立ち上げ部7aの各部分における内圧を測定した場合、流動媒体Fが蓄積されていない部分では、排ガスをライザー2上部から吸引するサイクロン6の吸引作用の影響によってその圧力が負圧になる一方、流動媒体Fが蓄積されている部分では、その圧力が0またはループシール12に導入される、後述する制御空気によって正圧となるため、これに基づいて立ち上げ部7a内の流動媒体Fの貯留高さを検知するようになっている。
【0025】
また、貯留量調節手段は、ループシール12に貯留される流動媒体Fを流動化させて流動層5へ送り返すための流体を導入する流体導入手段で構成される。流体導入手段は、ループシール12を構成するダウンカマー7底部の立ち上げ部7a底部に接続され、ループシール12に貯留された流動媒体Fの流動状態を制御する流体として制御空気を導入する制御用空気配管17と、この制御用空気配管17を開度調整可能に開閉する制御弁18とから構成される。
【0026】
高さセンサ15で検知された流動媒体Fの貯留高さを下降させる場合には、制御弁18を適宜開度で開放して制御空気をループシール12へ導入し、これによって流動媒体Fを流動化させて流動層5へ送り返すようにする。他方、流動媒体Fの貯留高さを上昇させる場合には、制御弁18を閉じて流動媒体Fの流動層5への返送を停止するようになっている。
【0027】
次に、上述した循環流動層焼却炉1の熱回収設備を用いた熱回収方法について説明する。余剰熱の回収は、伝熱管13に流動媒体Fを接触させることにより、伝熱管13内を流通する熱媒体を加熱することで達成される。この際、本実施形態にあっては、この回収熱量を、伝熱管13と流動媒体Fとの接触面積を増減変更することで調整する。循環流動層焼却炉1で発生する余剰熱量は、負荷変動や燃料の性状変化などで変動し、余剰熱量が多い場合には接触面積を大きくし、少ない場合には接触面積を小さくすることで、回収する熱量を適正化し、余剰熱量が少ない場合に回収し過ぎたり、反対に余剰熱量が多い場合に回収量が少な過ぎたりしないようにして、安定した熱回収を行えるようになっている。
【0028】
接触面積を増減変更するには、高さセンサ15で流動媒体Fの貯留高さを検知しつつ制御弁18を制御して、接触面積を大きくする場合には、伝熱管13を流動媒体F中に埋没させるように、制御空気量を減少させて戻し管9から流動層5へ送り返される流動媒体量を減らし、サイクロン6から送られる流動媒体Fとともに貯留高さを高く確保する。他方、接触面積を小さくする場合には、伝熱管13を流動媒体Fから露出させるように、制御空気量を増加させて戻し管9から流動層5へ送り返される流動媒体量を増やして貯留高さを低くする。
【0029】
次に、回収熱量の増減制御の一例を、図3を参照しつつ説明する。基本的に伝熱管13全体での総熱回収量Qは、
Q=K×A×ΔTm(W)
となる。Kは伝熱管13全体で見た総括伝熱係数(W/(m2・K))、Aは伝熱管13の総表面積(m2)、ΔTmは対数平均温度(K)である。
【0030】
循環流動層焼却炉1の操業中において、流動媒体Fより上方のガス中に晒されている伝熱管部分の総括伝熱係数Kgは60〜110W/(m2・K)であり、制御空気QLが導入されて流動状態にある流動媒体F中に埋没されている伝熱管部分の総括伝熱係数Ksは170〜570W/(m2・K)である。
【0031】
例えば、伝熱管13の総伝熱面積Aが1m2であり、これに流通される水の入口温度Twiが20℃、出口温度Twoが80℃であるとし、また流動媒体F中の伝熱管部分の総括伝熱係数Ksが300W/(m2・K)であり、ガス中の伝熱管部分の総括伝熱係数Kgが100W/(m2・K)あるとする。そして、伝熱管13の上部のガス中温度Tdiが800℃であり、下部の流動媒体中温度Tdoが700℃であり、伝熱管13の50%が流動媒体F中に埋まって接触しているとする。この場合の対数平均温度ΔTmは、
【0032】
伝熱管13の砂中の伝熱面積Asは0.5m2、ガス中の伝熱面積Agが0.5m2であるから、総回収熱量Qは、
となり、これだけの余剰熱量が回収される。
【0033】
ここで、焼却炉1の運転において、可燃性廃棄物の焼却量が減少するなど、負荷が減少した場合には、あるいは燃料の性状変動等により発熱量が減少した場合には、焼却炉1で発生する余剰熱量は減少する。余剰熱量が100kWに減少した場合、制御用空気配管17から供給する制御空気量を増加させてループシール12の流動媒体Fを流動層5へ戻し、砂中の伝熱面積Asが0.22m2となるまで貯留高さを下降させて、この位置で熱回収させる。
Q1=(300×0.22+100×0.78)×700≒100kW
これにより、伝熱管13で回収する熱量を減少させることができる。
【0034】
他方、焼却量が増加するなど負荷が増加した場合、あるいは発熱量が増加した場合には、焼却炉1で発生する余剰熱量が増加する。余剰熱量が180kWに増加した場合には、制御用空気配管17から供給する制御空気量を減少させてループシール12の流動媒体Fの貯留高さを、砂中の伝熱面積Asが0.78m2となるまで上昇させて、この位置で熱回収させる。
Q2=(300×0.78+100×0.22)×700≒180kW
これにより、伝熱管13で回収する熱量を増加させることができる。
【0035】
上述したように、伝熱管13全体で見た場合の総熱回収量Qは、
Q=K×A×ΔTm
であって、ここでK=f(Ks,Kg)であり、かつまたA=(As+Ag)は一定であるから、結局、流動媒体Fの高さを変化させることで伝熱管13の総括伝熱係数Kを変化させていることになる。このような制御を行うことにより、負荷変動等に対応させて余剰熱の回収を安定的に行うことができる。
【0036】
以上説明したように本実施形態にかかる循環流動層焼却炉1の熱回収設備および熱回収方法にあっては、高さセンサ15と制御弁18を備えた制御用空気配管17とを有する回収熱量制御手段を備えて、伝熱管13と流動媒体Fとの接触面積を増減変更して回収熱量を調整するようにしたので、当該接触面積の増減によって伝熱管13の総括伝熱係数Kを変化させることができ、これにより回収熱量を焼却炉1の負荷変動や燃料の性状変化などに対応させて増減させることができて、安定的に余剰熱を回収することができる。
【0037】
また、回収熱量制御手段を、伝熱管13と流動媒体Fとの接触面積を検知する検知手段と、ループシール12に貯留される流動媒体量を調節する貯留量調節手段とを備えて構成するようにしたので、検知手段による接触面積の検知と、貯留量調節手段による流動媒体量の調節によって、伝熱管13と流動媒体Fとを所望の接触面積で接触させることができる。
【0038】
また、伝熱管13をループシール12の適宜高さに配置し、検知手段を、ループシール12に貯留される流動媒体高さを検知する高さセンサ15としたので、この高さセンサ15により伝熱管13に対する流動媒体Fの相対的な貯留高さ位置関係を検知することができて、これにより伝熱管13と流動媒体Fとの接触面積を、簡単な構成で容易に把握することができる。
【0039】
さらに、貯留量調節手段を、ループシール12に貯留される流動媒体Fを流動化させて流動層5へ送り返すための制御空気を導入する流体導入手段とし、この流体導入手段でループシール12に貯留される流動媒体Fの貯留量を調節するようにしたので、そして特に、Lバルブ型ループシール12は上述したNバルブ型よりも少ない流動用空気で制御可能であるので、流動媒体Fの貯留量を調節する当該制御空気による流動媒体Fや伝熱管13の冷却が抑制されて、高い熱回収率を確保できるとともに、流動用空気の場合にこれが逆流することによるサイクロン6への悪影響もなくて、焼却炉1の安定的な操業を保証することができる。
【0040】
【発明の効果】
以上要するに、本発明にかかる循環流動層焼却炉の熱回収設備および熱回収方法にあっては、焼却炉内の負荷変動等に対応させて安定的な熱回収を行うことができるとともに、熱回収効率が高く、また焼却炉の安定した操業を保証することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる循環流動層焼却炉の熱回収設備の好適な一実施形態を示す焼却炉の概略側面図である。
【図2】図1の循環流動層焼却炉のループシール部分を示す拡大側断面図である。
【図3】図2のループシール部分における熱回収状態を説明するための説明図である。
【図4】従来の循環流動層焼却炉の熱回収設備の一例を示すループシール部分の拡大側断面図である。
【符号の説明】
1 循環流動層焼却炉
2 ライザー
5 流動層
6 サイクロン
12 ループシール
13 伝熱管
15 高さセンサ
17 制御用空気配管
18 制御弁
F 流動媒体
【発明の属する技術分野】
本発明は、焼却炉内の負荷変動等に対応させて安定的な熱回収を行うことができるとともに、熱回収効率が高く、また焼却炉の安定した操業を保証することができる循環流動層焼却炉の熱回収設備および熱回収方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、汚泥等の被焼却物を焼却する施設として、図4に示したような循環流動層焼却炉1が知られている。この焼却炉1は、例えば特許文献1に開示されているように、一定量のけい砂等の流動媒体Fを当該焼却炉1内で循環させつつ被焼却物を焼却処理するようになっている。ライザー2底部の炉床部3に加熱状態で充填されている流動媒体Fが、図示しない1次空気導入配管から導入される燃焼用1次空気によって流動化されて流動層5が形成され、この流動層5に投入された被焼却物は、流動媒体Fによって混合・撹拌されて微粒化されるとともに、乾燥・熱分解されて焼却される。流動層5で焼却された被焼却物は、図示しない流動層5上方の2次空気導入配管から導入される燃焼用2次空気によってさらに熱分解されつつ、流動媒体Fや排ガスなどとともにライザー2内を上昇し、ライザー2上部の水平ダクト4を介してサイクロン6に吸引される。
【0003】
サイクロン6は、被焼却物の焼却灰を含む排ガスから、これらと一緒に吹き上げられた流動媒体Fを分離して捕集し、捕集された流動媒体Fは、上下方向に設けられた中空のダウンカマー7内を下降して、その底部のループシール8に貯留される。その後、流動媒体Fは、戻し管9を介して炉床部3へと送り返されて、焼却炉1内を循環される。
【0004】
ダウンカマー7と戻し管9との間に配置されるループシール8は、流動層5内の一次ガスや排ガスなどがダウンカマー7を介してサイクロン6へ向かって逆流すると、サイクロン6内のガス流が乱されて流動媒体Fの捕集効率が低下してしまうことから、これを抑制すべく流動媒体Fを一時的に貯留して、流動層5とサイクロン6との間を遮断してシールするようになっている。またループシール8には、これに貯留される流動媒体量を一定にしてライザー2内の流動媒体量が不足しないように、流動媒体Fを流動化させて順次戻し管9を介して炉床部3へと送り返すべく、図示しない流動用空気導入管から流動用空気が導入される。
【0005】
そして従来、この種の循環流動層焼却炉1には、その内部で発生した熱、特に余剰な熱量を回収するために各種の熱回収設備が備えられている。例えば図4に示すように、Nバルブ型のループシール8に伝熱管10を設け、これに流動媒体Fを接触させて余剰熱を回収する方法がある。
【0006】
【特許文献1】
特開2002−286216号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、循環流動層焼却炉1における熱回収は、余剰熱の回収を目的としていて、この余剰熱は焼却炉1における負荷変動や燃料の性状変動などに従って増減することから、回収熱量もこの負荷変動等に対応させて変更調節することが望ましい。この点、上述したNバルブ型のループシール8に単に伝熱管10を組み込むことにより流動媒体Fと接触させて熱回収を行う従来の設備もしくは方法にあっては、この負荷変動等に応じて回収熱量を変化させるにあたり、熱回収率の指標となる伝熱管10の総括伝熱係数を、ループシール8の空塔速度を増減制御することによって増減変化させるようにしていて、この空塔速度の調節を、ループシール8への流動用空気の導入量を制御して流動媒体Fの流動状態を変化させることで行うようにしていた。
【0008】
ここで、総括伝熱係数とは、伝熱面の単位面積当たり1℃温度を変化させるのに要する仕事率(W/(m2・K))をいい、またループシール8の空塔速度は、(ループシール8への流動用空気量)/(ループシール8の断面積)で求まるループシール8内の流動用空気の実速度(m/s)をいい、この空塔速度を変化させることによってループシール8での伝熱管10の総括伝熱係数を変化させて、回収熱量を変化させるようにしていた。
【0009】
しかしながら、Nバルブ型のループシール8では、当該ループシール8からライザー2の炉床部3へ流動媒体Fを返送するのに多量(Lバルブ型に比べて、4〜5倍程度)の流動用空気を必要とし、このため回収熱量を変化させるべく流動用空気量を増減させると、特に流動用空気量を増加させると、この流動用空気によって熱回収すべき流動媒体Fが冷却されたり伝熱管10が冷却されてしまって、熱回収率が低下してしまうとともに、場合によっては、この流動用空気がダウンカマー7を逆流してしまって、サイクロン6での流動媒体Fの捕集効率を低下させ、焼却炉1の安定した操業を阻害するなどの悪影響が生じるおそれがあった。
【0010】
本発明は上記従来の課題に鑑みて創案されたものであって、焼却炉内の負荷変動等に対応させて安定的な熱回収を行うことができるとともに、熱回収効率が高く、また焼却炉の安定した操業を保証することができる循環流動層焼却炉の熱回収設備および熱回収方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明にかかる循環流動層焼却炉の熱回収設備は、サイクロンで捕集されてライザー内の流動層へ送り返される流動媒体を一時的に貯留してこれら流動層とサイクロンとの間をシールするループシールに、流動媒体と接触させてこれより熱を回収する熱回収手段を設けた循環流動層焼却炉の熱回収設備において、回収熱量を調整するために上記熱回収手段と流動媒体との接触面積を増減変更する回収熱量制御手段を備えたことを特徴とする。
【0012】
回収熱量制御手段によって、熱回収手段と流動媒体との接触面積を増減変更して回収熱量を調整するようにしていて、当該接触面積の増減によって熱回収手段の総括伝熱係数を変化させることが可能であり、これにより回収熱量を焼却炉の負荷変動や燃料の性状変化などに対応させて増減させることができて、安定的に余剰熱を回収し得る。
【0013】
また、前記回収熱量制御手段が、前記熱回収手段と流動媒体との接触面積を検知する検知手段と、前記ループシールに貯留される流動媒体量を調節する貯留量調節手段とを備えることを特徴とする。回収熱量制御手段に、検知手段と貯留量調節手段とを備えるようにしていて、検知手段による接触面積の検知と、貯留量調節手段による流動媒体量の調節によって、熱回収手段と流動媒体とを所望の接触面積で接触させることが可能となる。
【0014】
また、前記熱回収手段は前記ループシールの適宜高さに配置され、前記検知手段は、上記ループシールに貯留される流動媒体高さを検知する高さセンサであることを特徴とする。高さセンサにより熱回収手段に対する流動媒体の相対的な貯留高さ位置関係を検知するようにしていて、これにより熱回収手段と流動媒体との接触面積を、簡単な構成で容易に把握することが可能となる。
【0015】
さらに、前記貯留量調節手段は、前記ループシールに貯留される流動媒体を流動化させて前記流動層へ送り返すための流体を導入する流体導入手段であることを特徴とする。流体導入手段によって、ループシールに貯留される流動媒体の貯留量を調節するようにしていて、この流体導入手段は、流動媒体の貯留量を調節すべくその一部を流動層へ送り返す程度の少ない流体量を導入するだけで済み、従って当該流体による流動媒体や伝熱管の冷却が抑制されて、高い熱回収率を確保できるとともに、流動用空気が逆流することによるサイクロンへの悪影響も防止できて、安定的な焼却炉の操業を保証することができる。
【0016】
本発明にかかる循環流動層焼却炉の熱回収方法は、サイクロンで捕集されてライザー内の流動層へ送り返される流動媒体を一時的に貯留してこれら流動層とサイクロンとの間をシールするループシールに、流動媒体と接触させてこれより熱を回収する熱回収手段を設けた循環流動層焼却炉において、上記熱回収手段と流動媒体との接触面積を増減変更して回収熱量を調整するようにしたことを特徴とする。
【0017】
熱回収手段と流動媒体との接触面積を増減変更して回収熱量を調整するようにしていて、当該接触面積の増減によって熱回収手段の総括伝熱係数を変化させることができ、これにより回収熱量を焼却炉の負荷変動や燃料の性状変化などに対応させて増減させることができて、安定的に余剰熱を回収し得る。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明にかかる循環流動層焼却炉の熱回収設備および熱回収方法の好適な一実施形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。本実施形態にかかる循環流動層焼却炉1の熱回収設備は図1および図2に示すように、サイクロン6で捕集されてライザー2内の流動層5へ送り返されるけい砂等の流動媒体Fを一時的に貯留して、これら流動層5とサイクロン6との間をシールするループシール12に、流動媒体Fと接触させてこれより熱を回収する熱回収手段として伝熱管13が設けられるとともに、さらに回収熱量を調整するために伝熱管13とループシール12に貯留される流動媒体Fとの接触面積を増減変更する回収熱量制御手段が備えられて構成される。
【0019】
図示例にあっては、ループシールとして、Lバルブ型のループシール12が示されている。Lバルブ型ループシール12は、ダウンカマー7底部の中空な立ち上げ部7aからこれに接続された円筒状の水平管14にわたってL字状に形成され、サイクロン6から降下する流動媒体Fを、水平管14内に滞留させつつ立ち上げ部7a内に相当の貯留高さで堆積させる。Lバルブ型ループシール12は立ち上げ部7aと水平管14という簡単な管構造であるため、閉塞などの問題も少なく、また閉塞などが起こったとしてもメンテナンスが容易であるという利点がある。また構造が簡単なだけでなく、流動媒体Fをその内部に滞留させてダウンカマー7底部に相当の高さで流動媒体Fを貯留するために必要とされる水平管14の水平方向長さ寸法が通常、その内径寸法の2倍程度で足り、ループシール12をコンパクトに構成することができる。
【0020】
ループシール12の立ち上げ部7aには、その内部空間の適宜高さ位置に配置して、サーペンタイン形状の伝熱管13が設けられる。伝熱管13には、流動媒体Fから熱を回収して移送するための熱媒体、例えば水が流通される。ループシール12は、サイクロン6に連通されてガスが滞留するダウンカマー7の底部に備えられることから、伝熱管13は、ループシール12に貯留される流動媒体Fの量を調整することで、全体が流動媒体F中に埋没されたり、あるいは全体が流動媒体F上方に露出されてガス中に晒される。特にこの伝熱管13は、すべてが露出された状態であっても、それよりも下方に貯留された流動媒体量によって、流動層5とサイクロン6との間を適切にシールすることができる高さ位置に配置することが好ましい。
【0021】
そして本実施形態にあっては、ループシール12に貯留される流動媒体Fと伝熱管13との接触面積を増減変更して回収熱量を調整するための回収熱量調整手段が備えられる。流動媒体Fと伝熱管13との接触面積の増減変更は基本的には、文字通り両者が接触する量を変化させれば良く、伝熱管13を移動させて流動媒体Fに全体を接触させたり、あるいは一部を接触させるように調整する方法や、また立ち上げ部7a内の流動媒体Fの貯留量を変化させて伝熱管13の全部に接触させたり、一部に接触させて調整する方法などがある。
【0022】
本実施形態は後者を利用したもので、回収熱量調整手段は主に、伝熱管13と流動媒体Fとの接触面積を検知する検知手段と、ループシール12に貯留される流動媒体量を調節する貯留量調節手段とから構成される。伝熱管13と流動媒体Fとの接触面積を検知手段で検知した上で、その面積を増加させるか減少させるかを貯留量調節手段によって調節するようになっている。
【0023】
検知手段としては、伝熱管13表面全体に耐熱性・耐食性の熱電対などを取り付けて、伝熱管13がガス中に晒されているか、流動媒体Fと接触しているかを、温度差によって検知して伝熱管13と流動媒体Fとの接触面積そのものを検知することでも良いが、本実施形態では、ループシール12に貯留されている流動媒体Fの高さを検知することで、伝熱管13に対する流動媒体Fの接触面積を検知するようにしていて、このために検知手段として高さセンサ15が設けられる。
【0024】
流動媒体Fの貯留高さを検知する高さセンサ15としては、本願出願人が先に出願している特願2002−359390号のセンサを利用することができる。この高さセンサ15は、ループシール12に貯留されている流動媒体Fの量を簡単に一定化させることを目的として開発されたもので、立ち上げ部7aに圧力測定器16を上下方向に一定間隔を隔てて複数設け、各圧力測定器16により立ち上げ部7aの各部分における内圧を測定するようになっている。各圧力測定器16で立ち上げ部7aの各部分における内圧を測定した場合、流動媒体Fが蓄積されていない部分では、排ガスをライザー2上部から吸引するサイクロン6の吸引作用の影響によってその圧力が負圧になる一方、流動媒体Fが蓄積されている部分では、その圧力が0またはループシール12に導入される、後述する制御空気によって正圧となるため、これに基づいて立ち上げ部7a内の流動媒体Fの貯留高さを検知するようになっている。
【0025】
また、貯留量調節手段は、ループシール12に貯留される流動媒体Fを流動化させて流動層5へ送り返すための流体を導入する流体導入手段で構成される。流体導入手段は、ループシール12を構成するダウンカマー7底部の立ち上げ部7a底部に接続され、ループシール12に貯留された流動媒体Fの流動状態を制御する流体として制御空気を導入する制御用空気配管17と、この制御用空気配管17を開度調整可能に開閉する制御弁18とから構成される。
【0026】
高さセンサ15で検知された流動媒体Fの貯留高さを下降させる場合には、制御弁18を適宜開度で開放して制御空気をループシール12へ導入し、これによって流動媒体Fを流動化させて流動層5へ送り返すようにする。他方、流動媒体Fの貯留高さを上昇させる場合には、制御弁18を閉じて流動媒体Fの流動層5への返送を停止するようになっている。
【0027】
次に、上述した循環流動層焼却炉1の熱回収設備を用いた熱回収方法について説明する。余剰熱の回収は、伝熱管13に流動媒体Fを接触させることにより、伝熱管13内を流通する熱媒体を加熱することで達成される。この際、本実施形態にあっては、この回収熱量を、伝熱管13と流動媒体Fとの接触面積を増減変更することで調整する。循環流動層焼却炉1で発生する余剰熱量は、負荷変動や燃料の性状変化などで変動し、余剰熱量が多い場合には接触面積を大きくし、少ない場合には接触面積を小さくすることで、回収する熱量を適正化し、余剰熱量が少ない場合に回収し過ぎたり、反対に余剰熱量が多い場合に回収量が少な過ぎたりしないようにして、安定した熱回収を行えるようになっている。
【0028】
接触面積を増減変更するには、高さセンサ15で流動媒体Fの貯留高さを検知しつつ制御弁18を制御して、接触面積を大きくする場合には、伝熱管13を流動媒体F中に埋没させるように、制御空気量を減少させて戻し管9から流動層5へ送り返される流動媒体量を減らし、サイクロン6から送られる流動媒体Fとともに貯留高さを高く確保する。他方、接触面積を小さくする場合には、伝熱管13を流動媒体Fから露出させるように、制御空気量を増加させて戻し管9から流動層5へ送り返される流動媒体量を増やして貯留高さを低くする。
【0029】
次に、回収熱量の増減制御の一例を、図3を参照しつつ説明する。基本的に伝熱管13全体での総熱回収量Qは、
Q=K×A×ΔTm(W)
となる。Kは伝熱管13全体で見た総括伝熱係数(W/(m2・K))、Aは伝熱管13の総表面積(m2)、ΔTmは対数平均温度(K)である。
【0030】
循環流動層焼却炉1の操業中において、流動媒体Fより上方のガス中に晒されている伝熱管部分の総括伝熱係数Kgは60〜110W/(m2・K)であり、制御空気QLが導入されて流動状態にある流動媒体F中に埋没されている伝熱管部分の総括伝熱係数Ksは170〜570W/(m2・K)である。
【0031】
例えば、伝熱管13の総伝熱面積Aが1m2であり、これに流通される水の入口温度Twiが20℃、出口温度Twoが80℃であるとし、また流動媒体F中の伝熱管部分の総括伝熱係数Ksが300W/(m2・K)であり、ガス中の伝熱管部分の総括伝熱係数Kgが100W/(m2・K)あるとする。そして、伝熱管13の上部のガス中温度Tdiが800℃であり、下部の流動媒体中温度Tdoが700℃であり、伝熱管13の50%が流動媒体F中に埋まって接触しているとする。この場合の対数平均温度ΔTmは、
【0032】
伝熱管13の砂中の伝熱面積Asは0.5m2、ガス中の伝熱面積Agが0.5m2であるから、総回収熱量Qは、
となり、これだけの余剰熱量が回収される。
【0033】
ここで、焼却炉1の運転において、可燃性廃棄物の焼却量が減少するなど、負荷が減少した場合には、あるいは燃料の性状変動等により発熱量が減少した場合には、焼却炉1で発生する余剰熱量は減少する。余剰熱量が100kWに減少した場合、制御用空気配管17から供給する制御空気量を増加させてループシール12の流動媒体Fを流動層5へ戻し、砂中の伝熱面積Asが0.22m2となるまで貯留高さを下降させて、この位置で熱回収させる。
Q1=(300×0.22+100×0.78)×700≒100kW
これにより、伝熱管13で回収する熱量を減少させることができる。
【0034】
他方、焼却量が増加するなど負荷が増加した場合、あるいは発熱量が増加した場合には、焼却炉1で発生する余剰熱量が増加する。余剰熱量が180kWに増加した場合には、制御用空気配管17から供給する制御空気量を減少させてループシール12の流動媒体Fの貯留高さを、砂中の伝熱面積Asが0.78m2となるまで上昇させて、この位置で熱回収させる。
Q2=(300×0.78+100×0.22)×700≒180kW
これにより、伝熱管13で回収する熱量を増加させることができる。
【0035】
上述したように、伝熱管13全体で見た場合の総熱回収量Qは、
Q=K×A×ΔTm
であって、ここでK=f(Ks,Kg)であり、かつまたA=(As+Ag)は一定であるから、結局、流動媒体Fの高さを変化させることで伝熱管13の総括伝熱係数Kを変化させていることになる。このような制御を行うことにより、負荷変動等に対応させて余剰熱の回収を安定的に行うことができる。
【0036】
以上説明したように本実施形態にかかる循環流動層焼却炉1の熱回収設備および熱回収方法にあっては、高さセンサ15と制御弁18を備えた制御用空気配管17とを有する回収熱量制御手段を備えて、伝熱管13と流動媒体Fとの接触面積を増減変更して回収熱量を調整するようにしたので、当該接触面積の増減によって伝熱管13の総括伝熱係数Kを変化させることができ、これにより回収熱量を焼却炉1の負荷変動や燃料の性状変化などに対応させて増減させることができて、安定的に余剰熱を回収することができる。
【0037】
また、回収熱量制御手段を、伝熱管13と流動媒体Fとの接触面積を検知する検知手段と、ループシール12に貯留される流動媒体量を調節する貯留量調節手段とを備えて構成するようにしたので、検知手段による接触面積の検知と、貯留量調節手段による流動媒体量の調節によって、伝熱管13と流動媒体Fとを所望の接触面積で接触させることができる。
【0038】
また、伝熱管13をループシール12の適宜高さに配置し、検知手段を、ループシール12に貯留される流動媒体高さを検知する高さセンサ15としたので、この高さセンサ15により伝熱管13に対する流動媒体Fの相対的な貯留高さ位置関係を検知することができて、これにより伝熱管13と流動媒体Fとの接触面積を、簡単な構成で容易に把握することができる。
【0039】
さらに、貯留量調節手段を、ループシール12に貯留される流動媒体Fを流動化させて流動層5へ送り返すための制御空気を導入する流体導入手段とし、この流体導入手段でループシール12に貯留される流動媒体Fの貯留量を調節するようにしたので、そして特に、Lバルブ型ループシール12は上述したNバルブ型よりも少ない流動用空気で制御可能であるので、流動媒体Fの貯留量を調節する当該制御空気による流動媒体Fや伝熱管13の冷却が抑制されて、高い熱回収率を確保できるとともに、流動用空気の場合にこれが逆流することによるサイクロン6への悪影響もなくて、焼却炉1の安定的な操業を保証することができる。
【0040】
【発明の効果】
以上要するに、本発明にかかる循環流動層焼却炉の熱回収設備および熱回収方法にあっては、焼却炉内の負荷変動等に対応させて安定的な熱回収を行うことができるとともに、熱回収効率が高く、また焼却炉の安定した操業を保証することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる循環流動層焼却炉の熱回収設備の好適な一実施形態を示す焼却炉の概略側面図である。
【図2】図1の循環流動層焼却炉のループシール部分を示す拡大側断面図である。
【図3】図2のループシール部分における熱回収状態を説明するための説明図である。
【図4】従来の循環流動層焼却炉の熱回収設備の一例を示すループシール部分の拡大側断面図である。
【符号の説明】
1 循環流動層焼却炉
2 ライザー
5 流動層
6 サイクロン
12 ループシール
13 伝熱管
15 高さセンサ
17 制御用空気配管
18 制御弁
F 流動媒体
Claims (5)
- サイクロンで捕集されてライザー内の流動層へ送り返される流動媒体を一時的に貯留してこれら流動層とサイクロンとの間をシールするループシールに、流動媒体と接触させてこれより熱を回収する熱回収手段を設けた循環流動層焼却炉の熱回収設備において、
回収熱量を調整するために上記熱回収手段と流動媒体との接触面積を増減変更する回収熱量制御手段を備えたことを特徴とする循環流動層焼却炉の熱回収設備。 - 前記回収熱量制御手段が、前記熱回収手段と流動媒体との接触面積を検知する検知手段と、前記ループシールに貯留される流動媒体量を調節する貯留量調節手段とを備えることを特徴とする請求項1に記載の循環流動層焼却炉の熱回収設備。
- 前記熱回収手段は前記ループシールの適宜高さに配置され、前記検知手段は、上記ループシールに貯留される流動媒体高さを検知する高さセンサであることを特徴とする請求項2に記載の循環流動層焼却炉の熱回収設備。
- 前記貯留量調節手段は、前記ループシールに貯留される流動媒体を流動化させて前記流動層へ送り返すための流体を導入する流体導入手段であることを特徴とする請求項2または3に記載の循環流動層焼却炉の熱回収設備。
- サイクロンで捕集されてライザー内の流動層へ送り返される流動媒体を一時的に貯留してこれら流動層とサイクロンとの間をシールするループシールに、流動媒体と接触させてこれより熱を回収する熱回収手段を設けた循環流動層焼却炉において、
上記熱回収手段と流動媒体との接触面積を増減変更して回収熱量を調整するようにしたことを特徴とする循環流動層焼却炉の熱回収方法。
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Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN102072484A (zh) * | 2010-11-25 | 2011-05-25 | 中国科学院山西煤炭化学研究所 | 一种流化床气化炉带出物料返炉循环控制装置及应用 |
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JP2015026383A (ja) * | 2010-01-29 | 2015-02-05 | アルストム テクノロジー リミテッドALSTOM Technology Ltd | ケミカルループプロセスを制御・最適化するためのシステム及び方法 |
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2003
- 2003-04-11 JP JP2003107229A patent/JP2004316938A/ja active Pending
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