JP2004315996A - 消泡剤添加システム - Google Patents
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Abstract
【課題】流動する抄紙原料水等の液体中に含まれる気体の量を、簡単な構造で連続的に正確に測定して、最適量の消泡剤を液体に添加するシステムを提供する。
【解決手段】消泡剤添加システム５０は、抄紙機５２の抄紙原料水の流れる主流路５４からバイパス管５６により抄紙原料水を取り出し、気体含有量測定装置１０により含有される気体量を測定し、制御装置６２により、最適量の消泡剤を添加するように消泡剤ポンプ６０を制御する。気体含有量測定装置１０は、筒状の液体容器１６を有し、その下側の流入口１２から液体を連続的に流入させて、上端の水平な流出口１４から液体を溢出させつつ、流入口１２と流出口１４の間の検出レベルＬの位置に設けた液圧センサ１８により液体の圧力を検出し、この検出値に基づいて検出レベルＬと流出口１４における液面レベルＬｈとの間の液体中に含まれる気体の含有量を測定する。
【選択図】 図１
【解決手段】消泡剤添加システム５０は、抄紙機５２の抄紙原料水の流れる主流路５４からバイパス管５６により抄紙原料水を取り出し、気体含有量測定装置１０により含有される気体量を測定し、制御装置６２により、最適量の消泡剤を添加するように消泡剤ポンプ６０を制御する。気体含有量測定装置１０は、筒状の液体容器１６を有し、その下側の流入口１２から液体を連続的に流入させて、上端の水平な流出口１４から液体を溢出させつつ、流入口１２と流出口１４の間の検出レベルＬの位置に設けた液圧センサ１８により液体の圧力を検出し、この検出値に基づいて検出レベルＬと流出口１４における液面レベルＬｈとの間の液体中に含まれる気体の含有量を測定する。
【選択図】 図１
Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】
この発明は、流動液体中の気体含有量を測定して、適量の消泡剤を液体に添加する消泡剤添加システムに関する。
【０００２】
【従来の技術】
従来、例えば抄紙機における白水中に消泡剤を添加して、抄紙系における液中に気泡が発生することを抑制するための抄紙系消泡方法として、例えば特許文献１に記載されるように、白水ピットに自己乳化タイプ消泡剤をポンプにより所定量添加し、同時に抄紙系の液中気泡量を気泡検出装置で測定して、制御装置によりポンプの出力を制御することにより、エマルジョンタイプ消泡剤を抄紙系の液中気泡量に比例して添加する方法が開示されている。
【０００３】
一方、流動液体中の気泡含有量の動的計量装置として、特許文献２に記載されるように、エンジンオイル等の輸送ライン中に、気泡を含有する流動液体の見掛けの密度を求めるための容量流量測定器及び質量流量測定器、この流動液体の圧力を高圧条件と低圧条件に調整する圧力調整バルブの設置、並びに気泡含有量演算式によって、高圧条件下及び低圧条件下において、気泡を含有する流動液体中の気泡含有量並びに溶解気体の気泡化量を定量するようにしたものがある。
【０００４】
又、特許文献３に記載されるように、製紙パルプやコーティングペースト等の流体の気体含有量を測定する気体含有量測定方法及び気体含有量測定装置がある。
【０００５】
これは、ポンプ等によって流体に圧力の変化を発生させ、このときの、マイクロ波信号の伝送時間、位相及び減衰をこのマイクロ波信号が流体を通過するときに測定し、流体の圧力変化によって生じたマイクロ波信号の伝送時間、位相及び減衰の変化に基づいて、気体含有量を決定するようにしたものである。
【０００６】
【特許文献１】
特開平８−１１３８９１号公報
【特許文献２】
特許第２６４３０２０号公報
【特許文献３】
特表２００１−５２５９３４号公報
【０００７】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献１における気泡検出装置については、単に液中の気泡量を測定するとのみ記載されていて、その具体的な構成は開示されていない。又、特許文献２及び３に開示された発明においては、流体に圧力変化を発生させる必要があり、構造が複雑であると共に、複雑な演算をする必要があるという問題点があった。
【０００８】
この発明は、上記従来の問題点に鑑みてなされたものであって、簡単な構成で流動液体中の気体含有量を常時連続して正確に測定して、正確な量の消泡剤を添加するシステムを提供することを目的とする。
【０００９】
【課題を解決するための手段】
この発明は、液体の主流路から、該液体を連続的に取り出し、且つ、前記主流路に戻すバイパス管と、このバイパス管の途中に配置され、該バイパス管を流れる前記液体の気体含有量を測定する気体含有量測定装置と、前記バイパス管における気体含有量測定装置の下流側を含む、前記主流路におけるバイパス管による取出口よりも下流側に消泡剤を添加する消泡剤ポンプと、前記気体含有量測定装置による測定結果に基づいて、前記消泡剤ポンプによる消泡剤添加量を制御する制御装置と、を有してなり、前記気体含有量測定装置は、前記バイパス管からの液体の流入口及びこの流入口よりも高いレベルに設けられた流出口を備えた液体容器と、この液体容器における前記流入口よりも高く、且つ、流出口よりも低い検出レベルに設けられ、この検出レベルでの液圧を検出する液圧センサと、前記流出口近傍での液体の液面レベルを制御する液面レベル制御手段とを有してなり、前記制御装置は、前記液圧センサのセンサ出力及び前記液体の液面レベルの情報とに基づいて、前記液圧センサの検出レベルから液面レベルまでの間の液体の気体含有量を算出する演算装置を含んでなることを特徴とする消泡剤添加システムにより、上記目的を達成するものである。
【００１０】
又、前記消泡剤添加システムにおいて、前記主流路は、抄紙機における抄紙原料水の循環管路であって、この循環管路には少なくとも１基の循環ポンプが配置され、前記バイパス管は、前記主流路における前記循環ポンプの下流側に接近して接続するようにしてもよい。
【００１１】
更に、前記消泡剤添加システムにおいて、前記バイパス管の出口は、抄紙工程でのワイヤーパート及びプレスパートの少なくとも一方におけるドレンパンに開放して設けるようにしてもよい。
【００１２】
又、前記消泡剤添加システムにおいて、前記液面レベル制御手段は、前記液面レベルが一定になるように、前記流入口から液体容器へ流入する液体の流量を制御するようにしてもよい。
【００１３】
更に、前記消泡剤添加システムにおいて、前記液面レベル制御手段は、前記流入口に液体を供給するパイプに設けられた流量制御弁を含むようにしてもよい。
【００１４】
更に又、前記消泡剤添加システムにおいて、前記液体容器は、傾斜底面を有する縦長の筒状体であり、前記傾斜底面の最下端近傍に前記流入口が設けられ、該傾斜底面の最上端は、前記検出レベルよりも低いレベルとしてもよい。
【００１５】
又、前記消泡剤添加システムにおいて、前記液面レベル制御手段は、前記液体容器の上端に、液体が溢出するように水平に形成された水平開口を含んでなるようにしてもよい。
【００１６】
更に、前記消泡剤添加システムにおいて、前記液体容器に、前記水平開口の周囲を囲み、且つ、該水平開口から溢出した液体を捕集する輪状の溢流捕集皿を設けるようにしてもよい。
【００１７】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の形態の例を図面を参照して詳細に説明する。
【００１８】
図１に示されるように、この発明の実施の形態の例に係る消泡剤添加システム５０は、抄紙機５２における原料水循環系に消泡剤を添加するものであって、抄紙原料水の循環管路である主流路５４から、該抄紙原料水の一部を連続的に取り出し、且つ該主流路５４に戻すバイパス管５６と、このバイパス管５６の途中に配置され、該バイパス管を流れる前記抄紙原料水の気体含有量を測定する気体含有量測定装置１０と、前記バイパス管５６における気体含有量測定装置１０の下流側を含む、前記主流路５４におけるバイパス管５６による取出口５６Ａよりも下流側に、消泡剤を添加する消泡剤ポンプ６０と、前記気体含有量測定装置１０による測定結果に基づいて、前記消泡剤ポンプにより消泡剤添加量を制御する制御装置６２と、を備えて構成されている。
【００１９】
前記抄紙機５２は、ワイヤーを用いて抄紙するワイヤーパート６４に対して、主流路５４から原料と希釈水の混合された抄紙原料水を供給し、抄紙後の白水をドレンパン６５により受け止めて、白水タンク６６に貯留した後、循環ポンプ６８により再度主流路５４に送り込んで、種箱７０から供給される原料水と共に、前記ワイヤーパート６４に向けて、抄紙原料水として循環させるように構成されている。
【００２０】
図の符号７２はワイヤーパート６４で漉かれた紙をロールによって押圧して紙に含まれる水分を搾り出すためのプレスパートを示す。
【００２１】
又、符号７４は前記種箱７０よりも下流側の主流路５４の途中に設けられ、抄紙原料水を真空脱気するためのデキュレーター、７６はデキュレーター７４を通った原料水を圧送するための循環ポンプ、７８は抄紙原料水を濾過するためのスクリーン、８０は抄紙原料水を整流してワイヤーパート６４に供給するためのインレットをそれぞれ示す。
【００２２】
又、符号７２Ａはプレスパート７２において搾り出された白水を回収するためのドレンパン、７２Ｂはドレンパン７２Ａからの白水を集めるためのクーチピットを示す。このクーチピット７２Ｂの白水は、前記白水タンク６６に戻される。
【００２３】
前記バイパス管５６は、前記主流路５４における循環ポンプ６８の下流側であって、前記種箱７０の下流側に接近した位置に取出口５６Ａを有している。又、戻し口５６Ｂは、前記ワイヤーパート６４におけるドレンパン６５に開放されている。
【００２４】
次に、前記気体含有量測定装置１０について図２〜図４を参照して詳細に説明する。
【００２５】
この流動液体の気体含有量測定装置１０は、液体の流入口１２及びこの流入口１２よりも高いレベルに設けられた流出口１４を備えた液体容器１６と、この液体容器１６における、前記流入口１２よりも高く、且つ、前記流出口１４よりも低い検出レベルＬに設けられ、この検出レベルＬでの液圧を検出する液圧センサ１８と、前記流出口１４近傍での液体の液面レベルＬｈを制御する液面レベル制御手段２０と、前記液圧センサ１８のセンサ出力及び前記液体の液面レベルＬｈの情報とに基づいて、前記液圧センサ１８の検出レベルＬから液面レベルＬｈまでの間の液体の気体含有量を算出する演算装置２２とを備えて構成されている。この演算装置２２は、後述の変速制御装置２４Ａとともに、前記制御装置６２を構成している。
【００２６】
前記バイパス管５６の途中には、前記主流路５４側から、手動バルブ３２、流量計３４、制御バルブ３６がこの順で配置されている。
【００２７】
前記液体容器１６は、傾斜底面３８を有する縦長の筒状体であって、前記傾斜底面３８の最下端近傍に前記流入口１２が設けられ、又、該傾斜底面３８の最上端は、前記液圧センサ１８の検出レベルＬよりも低いレベルとなるようにされている。
【００２８】
ここで、前記流入口１２及びこれに接続されるバイパス管５６は、前記筒状の液体容器１６の断面積に対してかなり小さい断面積（直径比で１／５程度）とされ、これによって、液体容器１６内の液体が、流入口１２からの新たな流体によって乱されないようにしている。
【００２９】
前記液体容器１６の上端の前記流出口１４は、液体が溢出するように水平に形成された水平開口とされ、この流出口１４の形状と、流入口１２から流入する液体の流量を制御する前記制御バルブ３６とによって、前記液面レベル制御手段２０が構成されている。
【００３０】
例えば、制御バルブ３６の開度を大きくして、液体容器１６内への流入液体量を増大すれば、流出口１４における液体の液面レベルＬｈが高くなり、逆に、制御バルブ３６を絞れば、液面レベルＬｈは低くなる。又、流出口１４に切欠き等を設ければ、液面レベルＬｈが低くなる。
【００３１】
前記液体容器１６における水平開口（流出口）１４の周囲は、流出口１４から溢出した液体を捕集するための輪状の溢流捕集皿４０が設けられている。
【００３２】
又、この溢流捕集皿４０の底面には、図３に示されるように、２個所の捕集口４２が設けられ、ここから、前記回収パイプ３０によって、液体が回収されるようになっている。
【００３３】
前記演算装置２２は、前記制御装置６２の一部を構成すると共に、前記液圧センサ１８によって検出された検出レベルＬでの液圧の検出値と、気体が含まれていない状態での、検出レベルＬと液面レベルＬｈとの間の液体の水頭圧に基づく検出値とを比較して、両者の比又は差に基づいて、検出レベルＬよりも上側の液体に含まれる気体の量を演算するようにされている。
【００３４】
この場合、前記制御バルブ３６の開度を、予め定められた液面レベルＬｈとなるように設定しておけば、演算は容易である。
【００３５】
又、液体容器１６への液体流入量を頻繁に変更させるような場合は、前記制御バルブ３６の開度信号あるいは流量計３４からの流量信号を１つの変数として前記演算装置２２に入力させ、流入量との関係から液面レベルＬｈを演算し、これに基づいて、気体含有量を演算するようにしてもよい。
【００３６】
この気体含有量測定装置１０においては、液体の圧力を高低に変化させたり、複雑な演算をしたりすることなく、簡単且つ確実に、しかも、連続的に気体含有量を測定することができる。
【００３７】
従って、この測定した気体含有量に基づいて、制御装置６２の一部を構成する変速制御装置２４Ａを介して前記消泡剤ポンプ６０による消泡剤添加量を制御して、主流路５４における発泡を、最適な量の消泡剤によって抑制することができる。
【００３８】
なお、上記実施の形態の例において、バイパス管５６の取出口５６Ａは、白水タンク６６の下流側の循環ポンプ６８の吐出側に配置されているが、本発明はこれに限定されるものでなく、主流路５４の任意の位置から抄紙原料水を取り出すものであればよい。但し、循環ポンプの下流側に隣接して設けた場合は、抄紙原料水を容易に取り出すことができるので、例えば図１において２点鎖線で示されるように、デキュレーター７４の下流側の循環ポンプ７６の吐出側に隣接して、取出口５７Ａを有するバイパス管５７を設けてもよい。
【００３９】
又、上記実施の形態の例の消泡剤添加システム５０は、抄紙機５２に関するものであるが、本発明はこれに限定されるものでなく、流動液体中の発泡を抑制するものであれば、該液体の種類は問わない。従って、例えば、潤滑油、ポリマー含有液、界面活性剤含有液等の、隔離して流送する際に液体中に気泡が混入し易い場合に一般的に適用されるものである。
【００４０】
なお、前記消泡剤は、抄紙系の場合、水溶性活性剤型、自己乳化型、エマルジョン型、又はオイル型の４種類があり、そのいずれであってもよい。又、石油系の液体の場合は、自己乳化タイプ消泡剤等の、液体の性質に合わせて選択する。
【００４１】
又、上記気体含有量測定装置１０において、液面レベル制御手段２０の一部としての流出口１４が水平開口とされているが、本発明はこれに限定されるものでなく、液面レベルを一定に維持しつつ流体を溢出させるものであればよい。
【００４２】
例えば、筒状の液体容器の上端近傍に同一の水平レベルで多数の流出孔を形成してもよい。但し、本実施の形態の例のように、流出口１４を水平開口とするのが、構造が簡単で製造コストを低くすることができる。
【００４３】
又、上記液体容器１６は、傾斜底面３８を備えた構成となっているが、本発明はこれに限定されるものでなく、水平の底面であってもよい。
【００４４】
但し、この実施の形態の例のように、傾斜底面３８を設けた場合は、液体容器１６の必要な容積を小さくすることができるという利点がある。
【００４５】
【発明の効果】
本発明は上記のように構成したので、流動液体中における気体含有量を簡単に、且つ連続して正確に測定し、最適な量の消泡剤を流動液体中に添加することができるという優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の実施の形態の例に係る消泡剤添加システムを適用した抄紙機を示すブロック図
【図２】同消泡剤添加システムにおける気体含有量測定装置を示す一部ブロック図を含む正面図
【図３】同上面図
【図４】同側面図
【符号の説明】
１０…気体含有量測定装置
１２…流入口
１４…流出口
１６…液体容器
１８…液圧センサ
２０…液面レベル制御手段
２２…演算装置
３０…回収パイプ
３４…流量計
３６…制御バルブ
３８…傾斜底面
４０…溢流捕集皿
５０…消泡剤添加システム
５２…抄紙機
５４…主流路
５６、５７…バイパス管
５６Ａ、５６Ｂ…取出口
５６Ｂ…戻し口
６０…消泡剤ポンプ
６２…制御装置
６４…ワイヤーパート
６５…ドレンパン
６６…白水タンク
６８、７６…循環ポンプ
７０…種箱
Ｌ…検出レベル
Ｌｈ…液面レベル
【発明の属する技術分野】
この発明は、流動液体中の気体含有量を測定して、適量の消泡剤を液体に添加する消泡剤添加システムに関する。
【０００２】
【従来の技術】
従来、例えば抄紙機における白水中に消泡剤を添加して、抄紙系における液中に気泡が発生することを抑制するための抄紙系消泡方法として、例えば特許文献１に記載されるように、白水ピットに自己乳化タイプ消泡剤をポンプにより所定量添加し、同時に抄紙系の液中気泡量を気泡検出装置で測定して、制御装置によりポンプの出力を制御することにより、エマルジョンタイプ消泡剤を抄紙系の液中気泡量に比例して添加する方法が開示されている。
【０００３】
一方、流動液体中の気泡含有量の動的計量装置として、特許文献２に記載されるように、エンジンオイル等の輸送ライン中に、気泡を含有する流動液体の見掛けの密度を求めるための容量流量測定器及び質量流量測定器、この流動液体の圧力を高圧条件と低圧条件に調整する圧力調整バルブの設置、並びに気泡含有量演算式によって、高圧条件下及び低圧条件下において、気泡を含有する流動液体中の気泡含有量並びに溶解気体の気泡化量を定量するようにしたものがある。
【０００４】
又、特許文献３に記載されるように、製紙パルプやコーティングペースト等の流体の気体含有量を測定する気体含有量測定方法及び気体含有量測定装置がある。
【０００５】
これは、ポンプ等によって流体に圧力の変化を発生させ、このときの、マイクロ波信号の伝送時間、位相及び減衰をこのマイクロ波信号が流体を通過するときに測定し、流体の圧力変化によって生じたマイクロ波信号の伝送時間、位相及び減衰の変化に基づいて、気体含有量を決定するようにしたものである。
【０００６】
【特許文献１】
特開平８−１１３８９１号公報
【特許文献２】
特許第２６４３０２０号公報
【特許文献３】
特表２００１−５２５９３４号公報
【０００７】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献１における気泡検出装置については、単に液中の気泡量を測定するとのみ記載されていて、その具体的な構成は開示されていない。又、特許文献２及び３に開示された発明においては、流体に圧力変化を発生させる必要があり、構造が複雑であると共に、複雑な演算をする必要があるという問題点があった。
【０００８】
この発明は、上記従来の問題点に鑑みてなされたものであって、簡単な構成で流動液体中の気体含有量を常時連続して正確に測定して、正確な量の消泡剤を添加するシステムを提供することを目的とする。
【０００９】
【課題を解決するための手段】
この発明は、液体の主流路から、該液体を連続的に取り出し、且つ、前記主流路に戻すバイパス管と、このバイパス管の途中に配置され、該バイパス管を流れる前記液体の気体含有量を測定する気体含有量測定装置と、前記バイパス管における気体含有量測定装置の下流側を含む、前記主流路におけるバイパス管による取出口よりも下流側に消泡剤を添加する消泡剤ポンプと、前記気体含有量測定装置による測定結果に基づいて、前記消泡剤ポンプによる消泡剤添加量を制御する制御装置と、を有してなり、前記気体含有量測定装置は、前記バイパス管からの液体の流入口及びこの流入口よりも高いレベルに設けられた流出口を備えた液体容器と、この液体容器における前記流入口よりも高く、且つ、流出口よりも低い検出レベルに設けられ、この検出レベルでの液圧を検出する液圧センサと、前記流出口近傍での液体の液面レベルを制御する液面レベル制御手段とを有してなり、前記制御装置は、前記液圧センサのセンサ出力及び前記液体の液面レベルの情報とに基づいて、前記液圧センサの検出レベルから液面レベルまでの間の液体の気体含有量を算出する演算装置を含んでなることを特徴とする消泡剤添加システムにより、上記目的を達成するものである。
【００１０】
又、前記消泡剤添加システムにおいて、前記主流路は、抄紙機における抄紙原料水の循環管路であって、この循環管路には少なくとも１基の循環ポンプが配置され、前記バイパス管は、前記主流路における前記循環ポンプの下流側に接近して接続するようにしてもよい。
【００１１】
更に、前記消泡剤添加システムにおいて、前記バイパス管の出口は、抄紙工程でのワイヤーパート及びプレスパートの少なくとも一方におけるドレンパンに開放して設けるようにしてもよい。
【００１２】
又、前記消泡剤添加システムにおいて、前記液面レベル制御手段は、前記液面レベルが一定になるように、前記流入口から液体容器へ流入する液体の流量を制御するようにしてもよい。
【００１３】
更に、前記消泡剤添加システムにおいて、前記液面レベル制御手段は、前記流入口に液体を供給するパイプに設けられた流量制御弁を含むようにしてもよい。
【００１４】
更に又、前記消泡剤添加システムにおいて、前記液体容器は、傾斜底面を有する縦長の筒状体であり、前記傾斜底面の最下端近傍に前記流入口が設けられ、該傾斜底面の最上端は、前記検出レベルよりも低いレベルとしてもよい。
【００１５】
又、前記消泡剤添加システムにおいて、前記液面レベル制御手段は、前記液体容器の上端に、液体が溢出するように水平に形成された水平開口を含んでなるようにしてもよい。
【００１６】
更に、前記消泡剤添加システムにおいて、前記液体容器に、前記水平開口の周囲を囲み、且つ、該水平開口から溢出した液体を捕集する輪状の溢流捕集皿を設けるようにしてもよい。
【００１７】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の形態の例を図面を参照して詳細に説明する。
【００１８】
図１に示されるように、この発明の実施の形態の例に係る消泡剤添加システム５０は、抄紙機５２における原料水循環系に消泡剤を添加するものであって、抄紙原料水の循環管路である主流路５４から、該抄紙原料水の一部を連続的に取り出し、且つ該主流路５４に戻すバイパス管５６と、このバイパス管５６の途中に配置され、該バイパス管を流れる前記抄紙原料水の気体含有量を測定する気体含有量測定装置１０と、前記バイパス管５６における気体含有量測定装置１０の下流側を含む、前記主流路５４におけるバイパス管５６による取出口５６Ａよりも下流側に、消泡剤を添加する消泡剤ポンプ６０と、前記気体含有量測定装置１０による測定結果に基づいて、前記消泡剤ポンプにより消泡剤添加量を制御する制御装置６２と、を備えて構成されている。
【００１９】
前記抄紙機５２は、ワイヤーを用いて抄紙するワイヤーパート６４に対して、主流路５４から原料と希釈水の混合された抄紙原料水を供給し、抄紙後の白水をドレンパン６５により受け止めて、白水タンク６６に貯留した後、循環ポンプ６８により再度主流路５４に送り込んで、種箱７０から供給される原料水と共に、前記ワイヤーパート６４に向けて、抄紙原料水として循環させるように構成されている。
【００２０】
図の符号７２はワイヤーパート６４で漉かれた紙をロールによって押圧して紙に含まれる水分を搾り出すためのプレスパートを示す。
【００２１】
又、符号７４は前記種箱７０よりも下流側の主流路５４の途中に設けられ、抄紙原料水を真空脱気するためのデキュレーター、７６はデキュレーター７４を通った原料水を圧送するための循環ポンプ、７８は抄紙原料水を濾過するためのスクリーン、８０は抄紙原料水を整流してワイヤーパート６４に供給するためのインレットをそれぞれ示す。
【００２２】
又、符号７２Ａはプレスパート７２において搾り出された白水を回収するためのドレンパン、７２Ｂはドレンパン７２Ａからの白水を集めるためのクーチピットを示す。このクーチピット７２Ｂの白水は、前記白水タンク６６に戻される。
【００２３】
前記バイパス管５６は、前記主流路５４における循環ポンプ６８の下流側であって、前記種箱７０の下流側に接近した位置に取出口５６Ａを有している。又、戻し口５６Ｂは、前記ワイヤーパート６４におけるドレンパン６５に開放されている。
【００２４】
次に、前記気体含有量測定装置１０について図２〜図４を参照して詳細に説明する。
【００２５】
この流動液体の気体含有量測定装置１０は、液体の流入口１２及びこの流入口１２よりも高いレベルに設けられた流出口１４を備えた液体容器１６と、この液体容器１６における、前記流入口１２よりも高く、且つ、前記流出口１４よりも低い検出レベルＬに設けられ、この検出レベルＬでの液圧を検出する液圧センサ１８と、前記流出口１４近傍での液体の液面レベルＬｈを制御する液面レベル制御手段２０と、前記液圧センサ１８のセンサ出力及び前記液体の液面レベルＬｈの情報とに基づいて、前記液圧センサ１８の検出レベルＬから液面レベルＬｈまでの間の液体の気体含有量を算出する演算装置２２とを備えて構成されている。この演算装置２２は、後述の変速制御装置２４Ａとともに、前記制御装置６２を構成している。
【００２６】
前記バイパス管５６の途中には、前記主流路５４側から、手動バルブ３２、流量計３４、制御バルブ３６がこの順で配置されている。
【００２７】
前記液体容器１６は、傾斜底面３８を有する縦長の筒状体であって、前記傾斜底面３８の最下端近傍に前記流入口１２が設けられ、又、該傾斜底面３８の最上端は、前記液圧センサ１８の検出レベルＬよりも低いレベルとなるようにされている。
【００２８】
ここで、前記流入口１２及びこれに接続されるバイパス管５６は、前記筒状の液体容器１６の断面積に対してかなり小さい断面積（直径比で１／５程度）とされ、これによって、液体容器１６内の液体が、流入口１２からの新たな流体によって乱されないようにしている。
【００２９】
前記液体容器１６の上端の前記流出口１４は、液体が溢出するように水平に形成された水平開口とされ、この流出口１４の形状と、流入口１２から流入する液体の流量を制御する前記制御バルブ３６とによって、前記液面レベル制御手段２０が構成されている。
【００３０】
例えば、制御バルブ３６の開度を大きくして、液体容器１６内への流入液体量を増大すれば、流出口１４における液体の液面レベルＬｈが高くなり、逆に、制御バルブ３６を絞れば、液面レベルＬｈは低くなる。又、流出口１４に切欠き等を設ければ、液面レベルＬｈが低くなる。
【００３１】
前記液体容器１６における水平開口（流出口）１４の周囲は、流出口１４から溢出した液体を捕集するための輪状の溢流捕集皿４０が設けられている。
【００３２】
又、この溢流捕集皿４０の底面には、図３に示されるように、２個所の捕集口４２が設けられ、ここから、前記回収パイプ３０によって、液体が回収されるようになっている。
【００３３】
前記演算装置２２は、前記制御装置６２の一部を構成すると共に、前記液圧センサ１８によって検出された検出レベルＬでの液圧の検出値と、気体が含まれていない状態での、検出レベルＬと液面レベルＬｈとの間の液体の水頭圧に基づく検出値とを比較して、両者の比又は差に基づいて、検出レベルＬよりも上側の液体に含まれる気体の量を演算するようにされている。
【００３４】
この場合、前記制御バルブ３６の開度を、予め定められた液面レベルＬｈとなるように設定しておけば、演算は容易である。
【００３５】
又、液体容器１６への液体流入量を頻繁に変更させるような場合は、前記制御バルブ３６の開度信号あるいは流量計３４からの流量信号を１つの変数として前記演算装置２２に入力させ、流入量との関係から液面レベルＬｈを演算し、これに基づいて、気体含有量を演算するようにしてもよい。
【００３６】
この気体含有量測定装置１０においては、液体の圧力を高低に変化させたり、複雑な演算をしたりすることなく、簡単且つ確実に、しかも、連続的に気体含有量を測定することができる。
【００３７】
従って、この測定した気体含有量に基づいて、制御装置６２の一部を構成する変速制御装置２４Ａを介して前記消泡剤ポンプ６０による消泡剤添加量を制御して、主流路５４における発泡を、最適な量の消泡剤によって抑制することができる。
【００３８】
なお、上記実施の形態の例において、バイパス管５６の取出口５６Ａは、白水タンク６６の下流側の循環ポンプ６８の吐出側に配置されているが、本発明はこれに限定されるものでなく、主流路５４の任意の位置から抄紙原料水を取り出すものであればよい。但し、循環ポンプの下流側に隣接して設けた場合は、抄紙原料水を容易に取り出すことができるので、例えば図１において２点鎖線で示されるように、デキュレーター７４の下流側の循環ポンプ７６の吐出側に隣接して、取出口５７Ａを有するバイパス管５７を設けてもよい。
【００３９】
又、上記実施の形態の例の消泡剤添加システム５０は、抄紙機５２に関するものであるが、本発明はこれに限定されるものでなく、流動液体中の発泡を抑制するものであれば、該液体の種類は問わない。従って、例えば、潤滑油、ポリマー含有液、界面活性剤含有液等の、隔離して流送する際に液体中に気泡が混入し易い場合に一般的に適用されるものである。
【００４０】
なお、前記消泡剤は、抄紙系の場合、水溶性活性剤型、自己乳化型、エマルジョン型、又はオイル型の４種類があり、そのいずれであってもよい。又、石油系の液体の場合は、自己乳化タイプ消泡剤等の、液体の性質に合わせて選択する。
【００４１】
又、上記気体含有量測定装置１０において、液面レベル制御手段２０の一部としての流出口１４が水平開口とされているが、本発明はこれに限定されるものでなく、液面レベルを一定に維持しつつ流体を溢出させるものであればよい。
【００４２】
例えば、筒状の液体容器の上端近傍に同一の水平レベルで多数の流出孔を形成してもよい。但し、本実施の形態の例のように、流出口１４を水平開口とするのが、構造が簡単で製造コストを低くすることができる。
【００４３】
又、上記液体容器１６は、傾斜底面３８を備えた構成となっているが、本発明はこれに限定されるものでなく、水平の底面であってもよい。
【００４４】
但し、この実施の形態の例のように、傾斜底面３８を設けた場合は、液体容器１６の必要な容積を小さくすることができるという利点がある。
【００４５】
【発明の効果】
本発明は上記のように構成したので、流動液体中における気体含有量を簡単に、且つ連続して正確に測定し、最適な量の消泡剤を流動液体中に添加することができるという優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の実施の形態の例に係る消泡剤添加システムを適用した抄紙機を示すブロック図
【図２】同消泡剤添加システムにおける気体含有量測定装置を示す一部ブロック図を含む正面図
【図３】同上面図
【図４】同側面図
【符号の説明】
１０…気体含有量測定装置
１２…流入口
１４…流出口
１６…液体容器
１８…液圧センサ
２０…液面レベル制御手段
２２…演算装置
３０…回収パイプ
３４…流量計
３６…制御バルブ
３８…傾斜底面
４０…溢流捕集皿
５０…消泡剤添加システム
５２…抄紙機
５４…主流路
５６、５７…バイパス管
５６Ａ、５６Ｂ…取出口
５６Ｂ…戻し口
６０…消泡剤ポンプ
６２…制御装置
６４…ワイヤーパート
６５…ドレンパン
６６…白水タンク
６８、７６…循環ポンプ
７０…種箱
Ｌ…検出レベル
Ｌｈ…液面レベル
Claims (8)
- 液体の主流路から、該液体を連続的に取り出し、且つ、前記主流路に戻すバイパス管と、
このバイパス管の途中に配置され、該バイパス管を流れる前記液体の気体含有量を測定する気体含有量測定装置と、
前記バイパス管における気体含有量測定装置の下流側を含む、前記主流路におけるバイパス管による取出口よりも下流側に消泡剤を添加する消泡剤ポンプと、
前記気体含有量測定装置による測定結果に基づいて、前記消泡剤ポンプによる消泡剤添加量を制御する制御装置と、を有してなり、
前記気体含有量測定装置は、前記バイパス管からの液体の流入口及びこの流入口よりも高いレベルに設けられた流出口を備えた液体容器と、この液体容器における前記流入口よりも高く、且つ、流出口よりも低い検出レベルに設けられ、この検出レベルでの液圧を検出する液圧センサと、前記流出口近傍での液体の液面レベルを制御する液面レベル制御手段とを有してなり、
前記制御装置は、前記液圧センサのセンサ出力及び前記液体の液面レベルの情報とに基づいて、前記液圧センサの検出レベルから液面レベルまでの間の液体の気体含有量を算出する演算装置を含んでなることを特徴とする消泡剤添加システム。 - 請求項１において、前記主流路は、抄紙機における抄紙原料水の循環管路であって、この循環管路には少なくとも１基の循環ポンプが配置され、前記バイパス管は、前記主流路における前記循環ポンプの下流側に接近して接続されたことを特徴とする消泡剤添加システム。
- 請求項２において、前記バイパス管の出口は、抄紙工程でのワイヤーパート及びプレスパートの少なくとも一方におけるドレンパンに開放して設けられたことを特徴とする消泡剤添加システム。
- 請求項１、２又は３において、前記液面レベル制御手段は、前記液面レベルが一定になるように、前記流入口から液体容器へ流入する液体の流量を制御するようにされたことを特徴とする消泡剤添加システム。
- 請求項４において、前記液面レベル制御手段は、前記流入口に液体を供給するパイプに設けられた流量制御弁を含むことを特徴とする消泡剤添加システム。
- 請求項１乃至５のいずれかにおいて、前記液体容器は、傾斜底面を有する縦長の筒状体であり、前記傾斜底面の最下端近傍に前記流入口が設けられ、該傾斜底面の最上端は、前記検出レベルよりも低いレベルとされたことを特徴とする消泡剤添加システム。
- 請求項１乃至６のいずれかにおいて、前記液面レベル制御手段は、前記液体容器の上端に、液体が溢出するように水平に形成された水平開口を含んでなることを特徴とする消泡剤添加システム。
- 請求項７において、前記液体容器に、前記水平開口の周囲を囲み、且つ、該水平開口から溢出した液体を捕集する輪状の溢流捕集皿を設けたことを特徴とする消泡剤添加システム。
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