JP2004315623A - 水性塗料組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】高い反応性および貯蔵安定性を両立化させたメラミン樹脂を使用して、塗膜耐水性および塗膜硬化性を両立化させた水性塗料組成物を提供すること。
【解決手段】水性媒体中に分散された、樹脂粒子および顔料粒子を少なくとも含む水性塗料組成物において、該樹脂粒子がバインダー樹脂(a)でなるシェル部、およびバインダー樹脂の硬化剤(b)でなるコア部から成り、該バインダー樹脂(a)がアニオン変性アクリル樹脂であって、かつその溶解性パラメーター(δa)が9.3〜10.7の範囲にあり、該硬化剤(b)がトリアジン1核当たり平均1.5〜2.5個の範囲のイミノ基を有する疎水性メラミン樹脂であって、かつその溶解性パラメーター(δb)が9.5〜10.5の範囲にある、水性塗料組成物。
【選択図】 なし
【解決手段】水性媒体中に分散された、樹脂粒子および顔料粒子を少なくとも含む水性塗料組成物において、該樹脂粒子がバインダー樹脂(a)でなるシェル部、およびバインダー樹脂の硬化剤(b)でなるコア部から成り、該バインダー樹脂(a)がアニオン変性アクリル樹脂であって、かつその溶解性パラメーター(δa)が9.3〜10.7の範囲にあり、該硬化剤(b)がトリアジン1核当たり平均1.5〜2.5個の範囲のイミノ基を有する疎水性メラミン樹脂であって、かつその溶解性パラメーター(δb)が9.5〜10.5の範囲にある、水性塗料組成物。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、特に自動車用中塗り、あるいは上塗り等の水性塗料に有用な水性塗料組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、塗料分野、特に自動車塗装分野において、中/上塗り塗料の水性化が強く求められている。塗装工程における作業環境の改善、VOC(揮散性有機化合物)削減による低公害化が主たる理由であるが、そのために元来溶剤型塗料用としての疎水性バインダー樹脂に替わって、カルボキシル基等のアニオン性官能基を相当量付与したアクリル樹脂、ポリエステル樹脂に代表される親水性樹脂に、架橋剤として水溶性メラミン樹脂を配合してなる樹脂組成物は、電着塗料や自動車外板の中塗り、上塗り等の分野における水性塗料に多く利用されてきた。しかしながら、この水溶性メラミン樹脂を配合すると、水分散性、貯蔵安定性の点では問題はないが、これを配合した水性塗料より形成される塗膜においては、溶剤型の塗料と比べると耐水性に問題があった。そこで近年、この問題を解決するため、こうした水性塗料の架橋剤として、疎水性メラミン樹脂を使用した例が幾つか提案されている。
【0003】
しかしながら、かかる疎水性メラミン樹脂を使用した場合、水溶性メラミン樹脂の場合と比較して塗料の熱的安定性、機械的安定性、および耐水性等の物性に優れた塗膜が得られる一方で、疎水性メラミン樹脂の配合量が多いと塗料の水分散性、および塗膜の仕上り性(外観)に劣るという問題点があった。つまり疎水性メラミン樹脂をいかに安定に水分散化できるかが、水性塗料の製造において重要な課題であった。
【0004】
こうした問題の解決策として例えば、特開2002−308993号公報(特許文献1)には、疎水性メラミン樹脂と水酸基含有アニオン性アクリル樹脂、及びポリエステル樹脂とを加熱処理して得た反応物を含んでなる水性樹脂分散液が提案されている。この方法では、疎水性メラミン樹脂と親水性バインダーとを加温処理(反応)して、メラミン樹脂の水分散性を改良し、かつ塗膜の仕上がり性、耐水性を向上させることができるが、共縮合物を得るための反応条件の制御が困難であり、増粘し易く、また分子量分布不均一化による製造ロットぶれが大きいという問題点があった。
【0005】
また、特表2001−510225号公報(特許文献2)には、疎水性メラミン樹脂の分散剤として、例えばエチレンオキサイド単位およびプロピレンオキサイド単位からなるブロックコポリマーに代表されるポリエーテルポリオールを使用しているが、このようなノニオン性樹脂の配合は、塗膜耐水性の顕著な低下を招く恐れがあった。
【0006】
そのために、必要とされる塗膜硬化性を維持した上で、硬化塗膜の耐湿性、接着性改良を行うためには、特開平8−188746号公報(特許文献3)、特開平11−236522号公報(特許文献4)、特開平11−209664号公報(特許文献5)、特開平9−100439号公報(特許文献6)、および特表平8−505655号公報(特許文献7)等に示されるように、トリアジン1核当たり1.5個、好ましくは1.7個を超えるイミノ基を有するメラミン樹脂を使用する必要があるが、イミノ残基が多いと反応性が高い反面、塗料の貯蔵安定性が低く、そのため塗料系のゲル化により増粘し易く、塗膜の肌不良を招きやすいという欠点がある。また前記メラミン樹脂は、イミノ残基を多くするために、アルキルエーテル化度が低く、通常炭素数1〜4の低級アルコールを使用しているために、どちらかといえば親水性であることが多い。そのために本発明における水性塗料組成物用の硬化剤としては不向きであった。
【0007】
【特許文献1】
特開2002−308993号公報
【特許文献2】
特表2001−510225号公報
【特許文献3】
特開平8−188746号公報
【特許文献4】
特開平11−236522号公報
【特許文献5】
特開平11−209664号公報
【特許文献6】
特開平9−100439号公報
【特許文献7】
特表平8−505655号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、高い反応性および貯蔵安定性を両立化させたメラミン樹脂を使用して、塗膜耐水性および塗膜硬化性を両立化させた水性塗料組成物を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、水性媒体中に分散された、樹脂粒子および顔料粒子を少なくとも含む水性塗料組成物において、
該樹脂粒子がバインダー樹脂(a)でなるシェル部、およびバインダー樹脂の硬化剤(b)でなるコア部から成り、
該バインダー樹脂(a)が酸価10〜100のアニオン変性アクリル樹脂であって、かつその溶解性パラメーター(δa)が9.3〜10.7の範囲にあり、
該硬化剤(b)がトリアジン1核当たり平均1.5〜2.5個の範囲のイミノ基を有する疎水性メラミン樹脂であって、かつその溶解性パラメーター(δb)が9.5〜10.5の範囲にある、水性塗料組成物を提供するものであり、そのことにより上記目的が達成される。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の水性塗料組成物は樹脂粒子および顔料粒子を少なくとも含んでいる。樹脂粒子および顔料粒子は、共に水性媒体中に分散されている。樹脂粒子はバインダー樹脂(a)およびバインダー樹脂の硬化剤(b)を含み、両者が反応することで塗膜が硬化する。
【0011】
バインダー樹脂(a)は、アニオン変性アクリル樹脂であることが好ましい。アニオン変性アクリル樹脂は、酸性基を有するモノマーを含むアクリル系および/または非アクリル系モノマーをもとに、当該業者にとって公知の溶液重合法あるいは塊状重合法で合成することができる。
【0012】
酸性基を有するモノマーは、例えばカルボン酸基を有するモノマーとして(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸等が挙げられる。リン酸基を有するモノマーとしてモノ(メタ)アクリロイルアシッドホスフェート(城北化学工業社製「JAMP−514」)、モノ(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)アシッドホスフェート(共栄化学社製「ライトエステルPM」および「ライトエステルPA」)等が挙げられる。
【0013】
目的のアクリル共重合体は、上記酸性基を有するモノマーの少なくとも1種類と、ヒドロキシル基含有アクリルモノマーと、その他のアクリル系および/または非アクリル系モノマーとを共重合することによって得られる。
【0014】
その際に用いることのできるヒドロキシル基含有アクリルモノマーとしては、例えば2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、あるいは2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートのような水酸基含有(メタ)アクリルエステルと、ε−カプロラクトンとの付加生成物が挙げられる。
【0015】
また、アクリル系モノマーの例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0016】
また、非アクリル系モノマーの例としては、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、(メタ)アクリルニトリル、(メタ)アクリルアミドおよび酢酸ビニルを挙げることができる。
【0017】
上記アニオン変性アクリル樹脂は、ヒドロキシル価が70〜160の範囲となるように分子設計することが好ましい。ヒドロキシル価が70未満では塗膜の硬化不良を招き、反対に160を超えると硬化後塗膜中に過剰の水酸基が残存する結果、耐水性が低下することがある。またアニオン変性アクリル樹脂の水酸基は、1級水酸基に対して、一部もしくは全てを2級水酸基に置換し硬化反応速度を調整することで、膜表面平滑性を高めることができる。また、同時に層間密着性の向上にも効果がある。
【0018】
アニオン変性アクリル樹脂の数平均分子量は1,500〜20,000、好ましくは2,000〜10,000の範囲であれば好適である。数平均分子量が1,500未満では耐水性や耐チッピング性等の塗膜性能が劣り、また硬化形成塗膜の耐溶剤性等の物性が劣る場合がある。反対に20,000を超えると、樹脂溶液の粘度が高いために得られた樹脂の乳化分散等の操作上ハンドリングが困難なばかりか、フロー性が劣るために得られた塗膜の膜外観が著しく低下してしまうことがある。なお、アニオン変性アクリル樹脂は1種のみ使用することもできるが、塗膜性能のバランス化を計るために、2種あるいはそれ以上の種類を合わせて使用することもできる。
【0019】
アニオン変性アクリル樹脂は、酸価が10〜100、好ましくは20〜60の範囲となるように分子設計する。酸価が10未満では酸基の中和による水媒体中での乳化分散不良を招き、反対に100を超えると硬化後塗膜中に過剰の酸基が残存する結果、耐水性が低下することがある。
【0020】
また、アニオン変性アクリル樹脂は、前記の公知技術に見られるバインダー樹脂と比較して、その溶解性パラメーター(δa)が比較的疎水領域を示す9.3〜10.7の範囲にあることが必要である。
【0021】
溶解性パラメーターδが、9.3未満では、硬化塗膜の疎水性が過度に高くなる結果、自動車用中/上塗り塗料に使用した場合に、層間密着性に劣る場合がある。反対に10.7を超えると硬化塗膜の親水性が高くなる結果、耐水性に劣る場合がある。
【0022】
ただし、上記溶解性パラメーターδとは、当該業者等の間で一般にSP(ソルビリティ・パラメーター)とも呼ばれるものであって、樹脂の親水性または疎水性の度合いを示す尺度であり、また樹脂間の相溶性を判断する上でも重要な尺度である。例えば下記のような濁度測定法をもとに数値定量化されるものである
(参考文献:K.W.Suh,D.H.Clarke J.Polymer.Sci.,A−1,5,1671(1967).)。
【0023】
硬化剤(b)は、イミノ官能性を有する疎水性メラミン樹脂であることが好ましい。メラミン架橋剤は、ホルムアルデヒドと、メラミン環上の6個の活性水素のうちのいずれか、もしくは全てとの置換反応により形成されるものである。
【0024】
この反応で生成するメチロール基は比較的不安定であり、また、一般的には、塗料組成物に用いられるビヒクルに対して相溶性がない。従って、その後、メチロール基のうちの幾つか、もしくは全てに、アルコールを付加反応させてメチロール基をアルキルエーテル化し、樹脂の疎水性を高める。この付加反応(アルキルエーテル化反応)には、アルキル基炭素数C4〜C10の1価アルコールで行ったものが好適である。
【0025】
1価アルコールの具体例としてはC4の一価アルコール:n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、およびt−ブチルアルコール;C6〜C10の一価アルコール:ヘキシルアルコール、オクチルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール、エチレングリコールモノ2−エチルヘキシルエーテル、ベンジルアルコール等が挙げられる。
【0026】
該メラミン樹脂中のアルキルエーテル基の量は、特に制限はないが、トリアジン環1核当り2〜3.9モル程度であるのが適当である。そして上記メチロール基のほとんどがアルキルエーテル化されていることが化学的安定性を高めるために好ましい。
【0027】
また本発明において「イミノ官能性」なる用語は、トリアジン核のホルムアルデヒドによる置換反応およびアルキルエーテル化反応後の残存イミノ基、すなわち下記構造式に示されたトリアジン核に結合するセグメント
【0028】
【化1】
【0029】
[式中、ORは炭素数4〜10の芳香環を含んでいても良いアルキルエーテル基である。]
において、−NHで表されるイミノ基をトリアジン1核当たり平均1.5〜2.5個有することを意味する。
【0030】
メラミン樹脂のイミノ含有率は、もしも化学式が知られているならば容易に計算することができ、又は滴定もしくは該当するプロトンの核磁気共鳴スペクトルにより決定することができる。従って、メラミン樹脂は、その計算された又は決定されたイミノ基含有量が上記の範囲内にあるならば十分なイミノ官能性を有するものと考えられる。ただし、トリアジン1核当たりのイミノ基が2.5個を超えるようであると、前記アルキルエーテルメチロール化による疎水化が不十分となるため好ましくない。
【0031】
またイミノ官能性を有するメラミン樹脂を合成する場合、本発明における上記炭素数C4〜C10を有する中級程度の一価アルコールの使用は、従来技術に見られる炭素数1〜4の低級一価アルコールを使用する場合と比較して、アルコキシメチロール基による隣接イミノ(−NH)基の立体的な保護効果を高めることにより、常温周辺での反応性を抑制し、貯蔵安定性は確保する反面、焼き付け温度領域での十分な反応性の発現は確保できると推定される。
【0032】
また、C11以上の炭素数を有する高級一価アルコールの使用は、立体的障害効果ばかりが顕著化し、イミノ基の反応性が低下するために好ましくない。
【0033】
また本発明で用いるメラミン樹脂は、使用される水性塗料から得られる硬化塗膜の高品質外観を確保するために、基本的にはモノメリックメラミンであり1核体の割合が25重量%以上、好ましくは30重量%以上で、トリアジン1核当たりの、一価アルコールでエーテル化されたメチロール基の数が平均2.5個以上で、平均縮合度が2以下、好ましくは1.0〜1.5で、重量平均分子量が2,000以下、好ましくは300〜1,800である分子量範囲のメラミンが好ましい。
【0034】
平均縮合度が2を超えると、メラミン樹脂の粘度が大きくなりすぎて、熱フロー性に乏しくなり、塗膜外観を損なう場合がある。これらの条件に適合するメラミン樹脂の具体例としてはユーバン225(三井サイテック社製)が挙げられる。
【0035】
架橋剤(b)である疎水性メラミン樹脂の溶解性パラメーター(δb)は9.5〜10.5の範囲にあることが必要である。また、疎水性メラミン樹脂の溶解性パラメーター(δb)は前記バインダー樹脂(a)であるアニオン変性アクリル樹脂の溶解性パラメーター(δa)との間に、式
【0036】
【数2】
δa―δb≦±0.2
【0037】
で示される関係にあることが必要である。また、そのためにアニオン変性アクリル樹脂の溶解性パラメーター(δa)が9.7〜10.3の範囲にあることが必要である。
【0038】
バインダー樹脂(a)と架橋剤(b)の両者の関係(溶解性パラメーター値の適性範囲および、それらの差値)が上式の数値範囲内であれば、ほぼ完全な相溶性を確保できるために、両者を混合することによって容易に均一化できるためである。また、バインダー樹脂のカルボキシル基等の酸性基をアミン等の塩基にて、その適当量を中和した後、水性媒体中に分散すれば、架橋剤(b)をコアとして粒子化可能で、容易に高安定性の水性分散体を得ることができるためである。
【0039】
溶解性パラメーターの値が上式の数値範囲を超えると、両者間の相溶性が部分的あるいは完全に失われる結果、水性媒体中に分散した粒子の安定性が乏しくなる場合がある。
【0040】
またバインダー樹脂(a)および硬化剤(b)を水性媒体中に分散せしめた粒子中のバインダー樹脂(a)中の硬化剤(b)の配合量は、粒子の全固形分に対して15〜40重量%の範囲が適当である。
【0041】
この配合比が15重量%未満では塗膜硬化不良を招く結果、機械的強度などの塗膜物性が低くなることがあり、また、上塗り塗装時に塗料シンナーによって塗膜が侵されるなど外観不良を招く場合がある。一方、40重量%を超えると、逆に硬化過剰となって、耐衝撃性等の塗膜物性不良などを招くことがある。なお、硬化剤(b)は、塗膜物性や硬化度の調節等の都合により、複数種を組み合わせて使用しても良い。
【0042】
さて、本発明の水性塗料組成物の適用例として、自動車ボデー用の中塗り塗料の場合について以下に詳細に述べる。
【0043】
自動車ボデーの塗装における水性中塗り塗料とは、電着膜下地を隠蔽し、上塗り塗装後の表面平滑性を確保し、耐衝撃性、耐チッピング性等の膜物性を付与するために塗布されるものである。
【0044】
水性中塗り塗料用途の樹脂ディスパージョンは、前記バインダー樹脂(a)に対して樹脂中の酸性基を適当量のアンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の無機塩基、もしくはメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、イソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジメチルドデシルアミン等の炭素数1〜20の直鎖状又は分枝状のアルキル基含有1〜3級アミン;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノメチルジエタノールアミン、ジメチルモノエタノールアミン、2−アミノー2−メチルプロパノール等の炭素数1〜20の直鎖状又は分枝状アルキル基及び炭素数1〜20の直鎖状又は分枝状のヒドロキシアルキル基を含有する1〜3級アミン;トリエタノールアミン、トリプロパノールアミン、トリドデシルアルコールアミン等の炭素数1〜20の直鎖状又は分枝状のヒドロキシアルキル基のみを含有する3級アミン;ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン等の炭素数1〜20の置換又は非置換鎖状ポリアミン;モルホリン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン等の炭素数1〜20の置換又は非置換環状モノアミン;ピペラジン、N−メチルピペラジン、N,N−ジメチルピペラジン等の炭素数1〜20の置換又は非置換環状ポリアミン等の有機塩基で中和処理した後、バインダー樹脂(a)は硬化剤(b)と共に混合し、アニオン性樹脂ディスパージョンとして水中に乳化分散させることによって調製される。バインダー樹脂(a)は樹脂粒子中にシェルとして、また硬化剤(b)は、コアとして含有される。
【0045】
樹脂粒子の平均粒子径は、それぞれ0.01〜0.5μm、好ましくは0.02〜0.3μm、より好ましくは0.05〜0.2μmである。平均粒子径が0.01μm未満であると、樹脂成分を水分散するのに必要な中和剤、あるいは乳化剤が過量となり、塗膜耐水性が低下する。また平均粒子径0.5μmを超えると、粒子の分散性が低下するために、中塗り塗料の貯蔵安定性が低くなる。
【0046】
また水性塗料系における粘性制御のために、さらに必要に応じて公知の粘性制御剤を水性中塗り塗料中に含有してもよい。
【0047】
上記粘性制御剤としては、例えば、セルロース系のものとして、ビスコース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、市販されているものとしてチローゼMH及びチローゼH(いずれもヘキスト社製);アルカリ増粘型のものとして、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、市販されているものとしては、プライマルASE−60、プライマルTT−615、プライマルRM−5(いずれもローム&ハース社製)、ユーカーポリフォーブ(ユニオンカーバイド社製)等;ノニオン性のものとして、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイド、市販されているものとしては、アデカノールUH−420,アデカノールUH−462、アデカノールUH−472(いずれも旭電化工業社製)、プライマルRH−1020(ローム&ハース社製)、クラレポバール(クラレ社製)等;両親媒性分子内部にウレタン結合を含むウレタン会合型増粘剤として市販されているものとしては、アデカノールSDX−1014(旭電化社製)を挙げることができる。
【0048】
上記粘性制御剤の中でも、分子内部にウレタン結合を含むウレタン会合型増粘剤が水性塗料中において粘性制御効果が高く、本発明においてもより好ましく用いることができる。
【0049】
前記粘性制御剤は、何れか単独の使用でも良く、また複数種を組み合わせて使用しても良い。
【0050】
前記粘性制御剤の添加量は、水性中塗り塗料の樹脂固形分に対して、0.01〜40重量部であり、好ましくは0.05〜30重量部、より好ましくは0.1〜20重量部である。0.01重量部未満であると、充分な粘性制御効果が得られず、また40重量部を超えるとフロー性が極度に損なわれる結果、焼付け塗膜の外観が低下する。
【0051】
また前記水性中塗り塗料は、エラストマーを含んでいてもよい。
【0052】
上記エラストマーを含むことによって、得られる中塗り塗膜に柔軟性を付与し、耐衝撃性耐チッピング性を向上することができる。さらに本発明においては、前述のように電着複層塗膜の内、中塗り塗膜に直接接する樹脂層(β)が形成されているので、電着塗膜と中塗り塗膜間の物性の一体化が向上し、結果として耐衝撃性および耐チッピング性を飛躍的に向上させることができる。
【0053】
上記エラストマーは、その設計ガラス転移温度が、−110〜10℃であることが好ましい。10℃を超えると、得られる塗膜の柔軟性や耐衝撃性の効果が低くなり、−110℃未満のものはエラストマーの実際上の設計が困難である。上記設計ガラス転移温度は、上記エラストマーを製造する際の原料(単量体もしくはホモポリマー)に基づく既知のガラス転移温度および配合量比から、公知の方法により予想値を計算しても良い。
【0054】
上記エラストマーの使用できる数平均分子量は、1,000〜300,000、好ましくは5,000〜200,000の範囲である。1,000未満であると、分子量が低いために充分な耐衝撃性(耐チッピング性)が発現されない。また300,000を超えると、樹脂粘度が高すぎて、乳化分散操作を行うことが困難になる。
【0055】
上記エラストマーとしては、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等の共役ジエン系単量体のホモポリマー、又は、共役ジエン系単量体とエチレン、プロピレン、エチリデン、ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、酢酸ビニル、スチレン、アクリルニトリル、イソブチレン、(メタ)アクリル酸(エステル)等の単量体とのランダムもしくはブロックコポリマー;ジイソシアネートとジオールとの重付加反応によって合成されるポリウレタン系熱可塑性エラストマー;テレフタル酸ジメチル、1,4−ブタンジオール、ポリ(テトラメチレン)グリコール等を原料とし、エステル交換反応及び重縮合反応によって合成されるポリエステル系熱可塑性エラストマー;ラクタム、ジカルボン酸、ポリエーテルジオールを原料とし、エステル交換及び重縮合反応によって合成されるポリアミド系エラストマーを挙げることができる。
【0056】
上記エラストマーは、水分散化されたものか、または水溶性のものを使用することによって、上記水性中塗り塗料中に安定に存在せしめることができる。
【0057】
上記水分散化の方法としては、例えば、別途、分散樹脂、界面活性剤等の分散剤を適用して水性媒体中中にエマルションとして導入することができる。上記エラストマー分散樹脂としては、水性中塗り塗料の構成樹脂である前記樹脂(a)をそのままか、あるいは適当量の中和剤にて、エラストマーと共に水性媒体中分散することが、塗膜中のエラストマー粒子の分散性と塗膜耐水性の確保のためには好ましい。また別法として、2分子末端に水酸基等の反応性基を有するテレケリックオリゴマー(例としてポリブタジエンジオール、テトラメチレングリコールジオールあるいはε―ポリカプロラクトンジオール等)にたとえばウレタン化反応等にて、酸性基、ノニオン性基等の極性官能基を導入し、そのままか、あるいは適当量の塩基性中和剤にてアニオン化した上で水性媒体中に分散し、自己乳化エマルションをなすことによって目的を達成することができる。
【0058】
さらに乳化重合法によって得られたポリブタジエン、ポリイソプレン等の共役ジエン系ゴムエマルションあるいはアクリル系ゴムエマルションをそのまま塗料に配合しても良い。
【0059】
中塗り塗膜の断面構造としては、エラストマー粒子が分散相となり、上記バインダー樹脂(a)が連続相となるミクロドメイン構造を構成するように設計する必要がある。そのためには、これらのエラストマー分散体の平均粒子径は、サブミクロン領域、特に0.01〜0.2μmの範囲であることが中塗り塗膜表面の外観を良好に維持するためにも望ましい。エラストマー粒子の平均粒子径が、0.01μm未満であると、樹脂成分を水分散するのに必要な中和剤、あるいは乳化剤が過量となり、塗膜耐水性が低下する恐れがある。また平均粒子径が0.2μmを超えると、中塗り塗膜外観が低下する。
【0060】
上記水性中塗り塗料中の樹脂固形分に対する上記エラストマーの含有量は、固形分基準で5〜40重量%、好ましくは10〜20重量%である。5重量%未満であると、得られる塗膜の耐チッピング性に充分な改良効果が期待できない。また40重量%を超えると中塗り外観の低下が著しくなる。
【0061】
ただし、上記樹脂固形分とは、これらエラストマー、主樹脂であるバインダー樹脂(a)、および硬化剤(b)の他、顔料分散剤をも含めた中塗り皮膜を構成する全樹脂バインダーの合計固形分量を示す。
【0062】
さらに上記水性中塗り塗料は、通常、顔料を含むものである。
【0063】
上記水性中塗り塗料において用いることができる顔料は、その例としては、カーボンブラック、二酸化チタン、グラファイト等の着色顔料、カオリン、珪酸アルミ(クレー)、タルク等の体質顔料、リンモリブデン酸アルミ等の防錆顔料が挙げられる。また特に耐候性の向上、隠蔽性の確保、および安価である点から、無機系着色顔料を中心に利用することが好ましい。特に二酸化チタンは、白色の着色隠蔽性に優れ、しかも安価であることから、より好ましい。
【0064】
また有機系着色顔料を併用することができる。上記有機系着色顔料としては、例えば、アゾキレート系顔料、不溶性アゾ系顔料、縮合アゾ系顔料、フタロシアニン顔料、インジゴ顔料、ペリレン系顔料、ペリレン系顔料、ジオキサン系顔料、キナクリドン系顔料、イソインドリノン系顔料等が挙げられる。
【0065】
上記顔料としてカーボンブラックと二酸化チタンを主要顔料とした標準的なグレー系水性中塗り塗料とすることができるし、近年、特に高級車両を対象とした中塗り設計である上塗り塗料と明度又は色相等を合わせたセットグレーや各種の着色顔料を組み合わせた、いわゆるカラー水性中塗り塗料とすることもできる。
【0066】
前記中塗り塗料中に含有される顔料および樹脂固形分の合計重量に対する顔料の重量比(PWC)が、10〜60重量%の範囲にあることが好ましい。
【0067】
10重量%未満では、顔料不足の為に隠蔽性が低下する恐れがある。60重量%を超えると、顔料過多により硬化時の粘性増大を招き、フロー性が低下して塗膜外観が低下する。
【0068】
ただし、上記樹脂固形分とは、主樹脂、硬化剤の他、顔料分散樹脂をも含めたベース塗膜を構成する全樹脂バインダーの合計固形分量を示す。
【0069】
上記顔料は、一般的に用いられている顔料分散樹脂で予め分散を行い、顔料分散ペーストを調製した後、水性中塗り塗料の調製に際して適量を配合する。
【0070】
上記顔料分散樹脂は、顔料親和部分及び親水部分を含む構造を有する樹脂であり、樹脂種は特に限定されないが、当該業者により公知の方法に従って製造することができるものである。
【0071】
また前記バインダー樹脂(a)をそのままか、あるいは必要に応じて、アミン等の塩基にて、その適当量を中和して使用しても良い。
【0072】
上記顔料分散剤の数平均分子量は、1,000〜100,000であることが好ましい。1,000未満で有ると、分散安定性が充分でない場合があり、100,000を超えると、粘度が高すぎて取り扱いが困難となる場合がある。好ましくは2,000〜70,000であり、より好ましくは、4,000〜50,000である。
【0073】
好ましく用いられる顔料分散剤市販品として、例えばディスパーbyk190、ディスパーbyk182、ディスパーbyk184(いずれもビックケミー社製)、EFKAポリマー4550(EFKA社製)、ソルスパース27000、ソルスパース41000、ソルスパース53095(いずれもアビシア社製)等を挙げることができる。
【0074】
上記顔料分散剤は、顔料と共に公知の方法にしたがって、混合分散して顔料分散ペーストを得ることができる。上記顔料分散ペースト中の上記顔料分散樹脂の配合割合は、顔料分散ペーストの固形分に対して1〜20重量%である。1重量%未満であると、顔料を安定に分散することができない、20重量%を超えると、塗膜物性が劣る場合がある。好ましくは、5〜15重量%である。
【0075】
前記水性中塗り塗料は、少なくともバインダー樹脂(a)および硬化剤(b)を水性媒体中に分散せしめた粒子を含んでなる水性樹脂分散体(A)、および顔料分散ペーストを必須成分として混合し、さらに必要に応じて、前記粘性制御剤および/又は上記エラストマー、その他の塗料添加剤を混合して調製されるものである。この際、その他の塗料添加剤としては、紫外線吸収剤、酸化防止剤、乳化剤、消泡剤、表面調整剤、ワキ防止剤等を挙げることができる。
【0076】
前記中塗り塗料の塗装方法としては、特に限定されず、例えば、通称「リアクトガン」と呼ばれるエアー静電スプレー;通称「マイクロ・マイクロ(μμ)ベル」、「マイクロ(μ)ベル」、「メタベル」等と呼ばれる回転噴霧式の静電塗装機等を用いることができる。好ましくは、回転噴霧式の静電塗装機を用いる塗装方法である。
【0077】
上記中塗り塗膜の乾燥膜厚は、用途により変化するが、15〜50μm、好ましくは25〜40μmである。15μm未満であると、下地が隠蔽できず、膜切れが発生することがあり、50μmを越えると、鮮映性が低下したり、塗装時にムラ、タレ等の不具合が起こることがある。
【0078】
通常中塗り塗膜において、下地である電着膜表面粗さ(ムジ感)の影響を最小化し、耐衝撃性(チッピング性)および耐候性を発現させるために、30〜40μm程度の乾燥膜厚が最適とされている。
【0079】
上記水性中塗り塗膜を加熱硬化させる温度としては、130〜180℃、好ましくは140〜170℃にて行うことによって、高い架橋度の硬化塗膜を得ることができる。180℃を超えると、塗膜が過度に堅く、脆くなり、130℃未満では硬化が充分でなく、耐溶剤性や膜強度等の膜物性が低くなる。
【0080】
【発明の効果】
本発明における水性塗料組成物の硬化剤としてのメラミン樹脂が、トリアジン核に炭素数C4〜C10を有するアルキルエーテル化を施すことで疎水変性にしながらも、同時に一定量以上のイミノ官能基を残存させることで高反応性を保持しつつも貯蔵安定性が高いメラミン樹脂を調製し、これと相溶性を有する疎水性バインダー樹脂と共に水性媒体中に分散した水性塗料組成物を得た。
【0081】
この水性塗料組成物は、例えば前記自動車ボデー用中塗り塗料として用いた場合には、従来の水性中塗り塗料と比較して、塗料の水分散性(熱的安定性、機械的安定性)の著しい向上、および耐水性および仕上がり性(高品質外観)等に優れた硬化塗膜を得ることができた。
【0082】
近年、例えば特開2003−47895号公報に示されるように、水性塗料組成物の応用例として、例えば被塗物にスプレー塗装する場合、被塗物に付着しなかったオーバースプレー塗料を水性媒体、特に好ましくは水で回収して、その組成を調整し直すことによって再度水性塗料として再利用(リサイクル)する方法が既に提案されており、未塗着塗料の回収および再利用を前提とした水性塗料のリサイクルシステムも公知である。このようなリサイクルシステムを用いて水性塗料を再利用することで、塗料廃棄物を無くすことができ、省資源化が達成される。
【0083】
その際に樹脂や顔料が分離、凝集せずに、かつ塗料希釈水の濾過・塗料の回収効率を高めることができるという再利用性(リサイクル性)を確保し、これをコントロールする上で、長期間再利用性を維持することが必要である。
【0084】
本発明の水性塗料組成物は、上述のごとく分散安定性を向上させた結果、上記リサイクル性を確保する上で著しく効果があることが判った。
【0085】
【実施例】
以下、具体的な実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施例により限定されるものではない。なお、部および%(パーセント)は、重量部および重量%を意味する。
【0086】
製造例1
硬化剤(b−1)の製造
撹拌機、温度計、還流コンデンサーおよび窒素導入管を備えた4ッ口フラスコにメラミン126部(1モル)、80%パラホルムアルデヒド168.8部(4.5モル)、n−ブタノール740部およびトリエタノールアミン1部を仕込み、還流温度まで昇温した。
【0087】
還流温度で1時間メチロール化反応を行った後、パラトルエンスルホン酸1部を加えて還流下にアルキル化反応を3時間行った。pHメーターで確認しながらトリエタノールアミンを加えて中和後、減圧下にイソプロピルアルコール(IPA)およびn−ブタノールを留去、n−ブタノールによりアルキルエーテル化されたメラミン樹脂(b−1)を得た。得られた樹脂は不揮発分80%であった。
【0088】
得られたアルキルエーテル化メラミン樹脂の特性を分析した。分析結果を表2に示す。分析方法について以下説明する。
【0089】
1.トリアジン1核当りのイミノ基及びアルキルエーテル基の平均数
1H−NMR及び合成時の物質収支により算出した。
【0090】
2.1核体の含有量
高速液体クロマトグラフィーで得られるクロマトグラムより面積比により求めた。1核体の溶出時間は約32分、2核体の溶出時間は約30.5分及び3核体以上は約30.5分以下である。なお、高速液体クロマトグラフィーの測定条件は表1のとおりである。
【0091】
【表1】
【0092】
3.溶解性パラメーター
メラミン樹脂(固形分)0.5gを秤取し、アセトン10mlに溶解した後、ヘキサンおよび水の滴下により濁度を生じる必要滴下量(ml)を測定して算出した。
【0093】
4.重量平均分子量
合成した樹脂をGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)で測定した。
【0094】
製造例2
硬化剤(b−2)の製造
撹拌機、温度計、還流コンデンサーおよび窒素導入管を備えた4ッ口フラスコにメラミン126部(1モル)、80%パラホルムアルデヒド168.8部(4.5モル)、n−ヘキサノールとn−ブタノールの混合物[n−ヘキサノール:n−ブタノール=222部(3モル):370.7部(5モル)]およびトリエタノールアミン1部を仕込み、還流温度まで昇温した。
【0095】
還流温度で1時間メチロール化反応を行った後、パラトルエンスルホン酸1部を加えて還流下にアルキル化反応を3時間行った。pHメーターで確認しながらトリエタノールアミンを加えて中和後、減圧下にIPAおよびn−ブタノールを留去、n−ヘキサノールとn−ブタノールにより混合アルキルエーテル化されたメラミン樹脂(b−2)を得た。得られた樹脂は不揮発分80%であった。
【0096】
製造例1と同様にして、得られたアルキルエーテル化メラミン樹脂の特性を分析した。分析結果を表2に示す。
【0097】
【表2】
【0098】
製造例3
バインダー樹脂(a−1)の製造
攪拌機、冷却器、窒素導入管、温度計および滴下ロートを備え付けた反応容器に、メチルイソブチルケトン30部を仕込み、窒素雰囲気下110℃に加熱保持した。さらに2−ヒドロキシプロピルアクリレート25.5部、2−エチルヘキシルアクリレート26.9部、メタクリル酸3.8部、n−ブチルアクリレート30.5部、スチレン13.3部およびt−ブチルパーオクトエート6部の混合物を滴下ロートから3時間かけて滴下し、その後さらにt−ブチルパーオクトエート0.2部を滴下して110℃で1.5時間保持した。得られたアニオン変性アクリル樹脂[バインダー樹脂(a−1)]は、固形分74.4%、数平均分子量4,000、ヒドロキシル価=110および酸価=25であり、溶解性パラメーターδa−1=10.5であった。
【0099】
水性樹脂分散体(A−1)の製造
この樹脂溶液に対して製造例2で調製したメラミン樹脂(硬化剤(b−2)、溶解性パラメーターδb−2=10.5、固形分80%溶液)78.5部、およびジメチルエタノールアミン1.3部を加えて30分間攪拌した後、さらにイオン交換水で不揮発分33.4%まで希釈し、アニオン変性アクリル樹脂を主体とする水性樹脂分散体(A−1)(レーザー光散乱法による平均粒子径=0.16μm)を得た。
【0100】
製造例4
バインダー樹脂(a−2)の製造
攪拌機、冷却器、窒素導入管、温度計および滴下ロートを備え付けた反応容器に、メチルイソブチルケトン30部を仕込み、窒素雰囲気下110℃に加熱保持した。さらに2−ヒドロキシプロピルアクリレート25.5部、2−エチルヘキシルアクリレート26.9部、メタクリル酸3.8部、n−ブチルアクリレート30.5部、スチレン13.3部およびt−ブチルパーオクトエート6部の混合物を滴下ロートから3時間かけて滴下し、その後さらにt−ブチルパーオクトエート0.2部を滴下して110℃で1.5時間保持した。得られたアニオン変性アクリル樹脂[バインダー樹脂(a−2)]は、固形分74.4%、数平均分子量4,000、ヒドロキシル価=110および酸価=25であり、溶解性パラメーターδa−2=10.2であった。
【0101】
水性樹脂分散体(A−2)の製造
この樹脂溶液に対して製造例1で調製したメラミン樹脂(硬化剤(b−1)、溶解性パラメーターδb−1=10.2、固形分80%溶液)78.5部、およびジメチルエタノールアミン1.3部を加えて30分間攪拌した後、さらにイオン交換水で不揮発分33.4%まで希釈し、アニオン変性アクリル樹脂を主体とする水性樹脂分散体(A−2)(レーザー光散乱法による平均粒子径=0.18μm)を得た。
【0102】
比較製造例1
バインダー樹脂(a−3)の製造
攪拌機、冷却器、窒素導入管、温度計および滴下ロートを備え付けた反応容器に、メチルイソブチルケトン30部を仕込み、窒素雰囲気下110℃に加熱保持した。さらに2−ヒドロキシプロピルアクリレート25.5部、2−エチルアクリレート12.4部、メタクリル酸3.8部、n−ブチルアクリレート53.8部、スチレン4.5部およびt−ブチルパーオクトエート6部の混合物を滴下ロートから3時間かけて滴下し、その後さらにt−ブチルパーオクトエート0.2部を滴下して110℃で1.5時間保持した。得られたアニオン変性アクリル樹脂[バインダー樹脂(a−3)]は、固形分74.4%、数平均分子量4,000、ヒドロキシル価=110および酸価=25であり、溶解性パラメーターδa−3=11.0であった。
【0103】
水性樹脂分散体(A−3)の製造
この樹脂溶液に対して製造例1で調製したメラミン樹脂(硬化剤(b−1)、、溶解性パラメーターδb−1=10.2、固形分80%溶液)78.5部、およびジメチルエタノールアミン1.3部を加えて30分間攪拌した後、さらにイオン交換水で不揮発分33.4%まで希釈し、アニオン変性アクリル樹脂を主体とする水性樹脂分散体(A−3)(レーザー光散乱法による平均粒子径=0.20μm)を得た。
【0104】
比較製造例2
水性樹脂分散体(A−4)の製造
製造例4で得られたアクリル樹脂溶液に対して硬化剤「ユーバン20N−60」(疎水性ブチル化メラミン樹脂、三井サイテック社製、イミノ基0.95モル、n−ブチルエーテル基2.35モル、1核体10%未満、硬化剤(b−3)、溶解性パラメーターδb−3=10.0、固形分60%溶液)41.7部、およびジメチルエタノールアミン1.3部を加えて30分間攪拌した後、さらにイオン交換水で不揮発分33.4%まで希釈し、アニオン変性アクリル樹脂を主体とする水性樹脂分散体(A−4)(レーザー光散乱法による平均粒子径=0.17μm)を得た。
【0105】
製造例5
水性中塗り塗料用顔料分散体(B)の製造
以下の配合物に対して予備混合を行った後、ペイントコンディショナー中でガラスビーズ媒体を加え、室温で粒度5μm以下となるまで分散し、顔料分散体(B)を得た。
【0106】
【表3】
【0107】
実施例1
水性塗料組成物の製造
製造例3で得られた水性樹脂分散体(A−1)66.7部、製造例5で得られた顔料分散体(B)49.3部、BYKケミー社製界面活性剤「BYK380」(商品名)1.0部、エアープロダクツ社製界面活性剤「サーフィノール104DPM」(商品名)0.5部、共栄化学社製シリコン系界面活性剤「KL245」(商品名)0.4部、シェル化学社製炭化水素系溶剤「シェルゾール71」(商品名)1.0部、および脱イオン水10.4部を混合して水性塗料組成物を得た(固形分濃度40%)。得られた水性塗料組成物を以下の1〜3の特性について評価した。結果を表5に示す。
【0108】
1.熱的分散安定性
水性塗料組成物を40℃で14日間保存して、沈降や相分離が生じるかどうかを目視で確認した。
【0109】
2.硬化塗膜の仕上がり性
パワーニックス110グレー(鉛フリー電着塗料、日本ペイント社製)を用いて、リン酸亜鉛処理したダル鋼鈑に対して、電圧200Vで乾燥膜厚が20μmになるように電着塗装した後、160℃で10分間焼き付けた。ハンディサーフE−30A(東京精密社製)を用いて、JIS B 0601に従ってこの硬化電着膜の表面粗さを測定したところ(カットオフ2.5mm)、Ra値は0.30であった。
【0110】
水性塗料組成物をイオン交換水を用いて粘度がフォードカップNo.4を用いて20℃で30秒になるまで希釈し、これを硬化電着膜上にエアースプレーにて塗装し、60℃で3分間プレ乾燥した後、さらに140℃で30分間焼き付けを行った。硬化電着膜と同様にして、得られた塗板の塗膜表面粗差を測定した。また光沢値はBYKガードナー社製マイクログロス計を用いて60度グロス値を測定した。
【0111】
3.硬化塗膜の耐水性
水性塗料組成物をイオン交換水を用いて粘度がフォードカップNo.4を用いて20℃で30秒になるまで希釈し、これをブリキ板上にエアースプレーにて塗装し、60℃で3分間プレ乾燥した後、さらに140℃で30分間焼き付けを行った。得られた塗板を温水40℃7日間浸漬した前後の塗膜重量を測定し、次式に従って塗膜水膨潤率(%)を計算した。
【0112】
【数3】
【0113】
実施例2
成分の配合を表4に示すように変更すること以外は実施例1と同様にして水性塗料組成物を調製し、評価した。更に、再利用性(リサイクル性)についても、以下のようにして評価した。結果を表5に示す。
【0114】
4.水性塗料組成物の再利用性(リサイクル性)
水性塗料組成物を脱イオン水を用いてNK−2カップで30秒となるように希釈した。これを予め調製した捕集液(溶剤組成比が水/ブチルジグリコール=90/10でありジメチルエタノールアミンによりpHが9.0に調製され、誘電率が65であるもの)にエアスプレーにより固形分5重量%となるまで吹き込み、塗料希釈液とした。
【0115】
これをNK−2カップで30秒となるまで限外濾過濃縮し、濃縮塗料を得た。得られた濃縮塗料の粒径をJIS−5400にて測定した。
【0116】
比較例1
成分の配合を表4に示すように変更すること以外は実施例1と同様にして水性塗料組成物を調製し、評価した。更に、再利用性(リサイクル性)について、実施例2と同様にして評価した。結果を表5に示す。
【0117】
比較例2
成分の配合を表4に示すように変更すること以外は実施例1と同様にして水性塗料組成物を調製し、評価した。結果を表5に示す。
【0118】
【表4】
【0119】
【表5】
【0120】
a)熱的分散安定性の評価基準
【表6】
【0121】
b)リサイクル性の評価基準
【表7】
【発明の属する技術分野】
本発明は、特に自動車用中塗り、あるいは上塗り等の水性塗料に有用な水性塗料組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、塗料分野、特に自動車塗装分野において、中/上塗り塗料の水性化が強く求められている。塗装工程における作業環境の改善、VOC(揮散性有機化合物)削減による低公害化が主たる理由であるが、そのために元来溶剤型塗料用としての疎水性バインダー樹脂に替わって、カルボキシル基等のアニオン性官能基を相当量付与したアクリル樹脂、ポリエステル樹脂に代表される親水性樹脂に、架橋剤として水溶性メラミン樹脂を配合してなる樹脂組成物は、電着塗料や自動車外板の中塗り、上塗り等の分野における水性塗料に多く利用されてきた。しかしながら、この水溶性メラミン樹脂を配合すると、水分散性、貯蔵安定性の点では問題はないが、これを配合した水性塗料より形成される塗膜においては、溶剤型の塗料と比べると耐水性に問題があった。そこで近年、この問題を解決するため、こうした水性塗料の架橋剤として、疎水性メラミン樹脂を使用した例が幾つか提案されている。
【0003】
しかしながら、かかる疎水性メラミン樹脂を使用した場合、水溶性メラミン樹脂の場合と比較して塗料の熱的安定性、機械的安定性、および耐水性等の物性に優れた塗膜が得られる一方で、疎水性メラミン樹脂の配合量が多いと塗料の水分散性、および塗膜の仕上り性(外観)に劣るという問題点があった。つまり疎水性メラミン樹脂をいかに安定に水分散化できるかが、水性塗料の製造において重要な課題であった。
【0004】
こうした問題の解決策として例えば、特開2002−308993号公報(特許文献1)には、疎水性メラミン樹脂と水酸基含有アニオン性アクリル樹脂、及びポリエステル樹脂とを加熱処理して得た反応物を含んでなる水性樹脂分散液が提案されている。この方法では、疎水性メラミン樹脂と親水性バインダーとを加温処理(反応)して、メラミン樹脂の水分散性を改良し、かつ塗膜の仕上がり性、耐水性を向上させることができるが、共縮合物を得るための反応条件の制御が困難であり、増粘し易く、また分子量分布不均一化による製造ロットぶれが大きいという問題点があった。
【0005】
また、特表2001−510225号公報(特許文献2)には、疎水性メラミン樹脂の分散剤として、例えばエチレンオキサイド単位およびプロピレンオキサイド単位からなるブロックコポリマーに代表されるポリエーテルポリオールを使用しているが、このようなノニオン性樹脂の配合は、塗膜耐水性の顕著な低下を招く恐れがあった。
【0006】
そのために、必要とされる塗膜硬化性を維持した上で、硬化塗膜の耐湿性、接着性改良を行うためには、特開平8−188746号公報(特許文献3)、特開平11−236522号公報(特許文献4)、特開平11−209664号公報(特許文献5)、特開平9−100439号公報(特許文献6)、および特表平8−505655号公報(特許文献7)等に示されるように、トリアジン1核当たり1.5個、好ましくは1.7個を超えるイミノ基を有するメラミン樹脂を使用する必要があるが、イミノ残基が多いと反応性が高い反面、塗料の貯蔵安定性が低く、そのため塗料系のゲル化により増粘し易く、塗膜の肌不良を招きやすいという欠点がある。また前記メラミン樹脂は、イミノ残基を多くするために、アルキルエーテル化度が低く、通常炭素数1〜4の低級アルコールを使用しているために、どちらかといえば親水性であることが多い。そのために本発明における水性塗料組成物用の硬化剤としては不向きであった。
【0007】
【特許文献1】
特開2002−308993号公報
【特許文献2】
特表2001−510225号公報
【特許文献3】
特開平8−188746号公報
【特許文献4】
特開平11−236522号公報
【特許文献5】
特開平11−209664号公報
【特許文献6】
特開平9−100439号公報
【特許文献7】
特表平8−505655号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、高い反応性および貯蔵安定性を両立化させたメラミン樹脂を使用して、塗膜耐水性および塗膜硬化性を両立化させた水性塗料組成物を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、水性媒体中に分散された、樹脂粒子および顔料粒子を少なくとも含む水性塗料組成物において、
該樹脂粒子がバインダー樹脂(a)でなるシェル部、およびバインダー樹脂の硬化剤(b)でなるコア部から成り、
該バインダー樹脂(a)が酸価10〜100のアニオン変性アクリル樹脂であって、かつその溶解性パラメーター(δa)が9.3〜10.7の範囲にあり、
該硬化剤(b)がトリアジン1核当たり平均1.5〜2.5個の範囲のイミノ基を有する疎水性メラミン樹脂であって、かつその溶解性パラメーター(δb)が9.5〜10.5の範囲にある、水性塗料組成物を提供するものであり、そのことにより上記目的が達成される。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の水性塗料組成物は樹脂粒子および顔料粒子を少なくとも含んでいる。樹脂粒子および顔料粒子は、共に水性媒体中に分散されている。樹脂粒子はバインダー樹脂(a)およびバインダー樹脂の硬化剤(b)を含み、両者が反応することで塗膜が硬化する。
【0011】
バインダー樹脂(a)は、アニオン変性アクリル樹脂であることが好ましい。アニオン変性アクリル樹脂は、酸性基を有するモノマーを含むアクリル系および/または非アクリル系モノマーをもとに、当該業者にとって公知の溶液重合法あるいは塊状重合法で合成することができる。
【0012】
酸性基を有するモノマーは、例えばカルボン酸基を有するモノマーとして(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸等が挙げられる。リン酸基を有するモノマーとしてモノ(メタ)アクリロイルアシッドホスフェート(城北化学工業社製「JAMP−514」)、モノ(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)アシッドホスフェート(共栄化学社製「ライトエステルPM」および「ライトエステルPA」)等が挙げられる。
【0013】
目的のアクリル共重合体は、上記酸性基を有するモノマーの少なくとも1種類と、ヒドロキシル基含有アクリルモノマーと、その他のアクリル系および/または非アクリル系モノマーとを共重合することによって得られる。
【0014】
その際に用いることのできるヒドロキシル基含有アクリルモノマーとしては、例えば2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、あるいは2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートのような水酸基含有(メタ)アクリルエステルと、ε−カプロラクトンとの付加生成物が挙げられる。
【0015】
また、アクリル系モノマーの例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0016】
また、非アクリル系モノマーの例としては、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、(メタ)アクリルニトリル、(メタ)アクリルアミドおよび酢酸ビニルを挙げることができる。
【0017】
上記アニオン変性アクリル樹脂は、ヒドロキシル価が70〜160の範囲となるように分子設計することが好ましい。ヒドロキシル価が70未満では塗膜の硬化不良を招き、反対に160を超えると硬化後塗膜中に過剰の水酸基が残存する結果、耐水性が低下することがある。またアニオン変性アクリル樹脂の水酸基は、1級水酸基に対して、一部もしくは全てを2級水酸基に置換し硬化反応速度を調整することで、膜表面平滑性を高めることができる。また、同時に層間密着性の向上にも効果がある。
【0018】
アニオン変性アクリル樹脂の数平均分子量は1,500〜20,000、好ましくは2,000〜10,000の範囲であれば好適である。数平均分子量が1,500未満では耐水性や耐チッピング性等の塗膜性能が劣り、また硬化形成塗膜の耐溶剤性等の物性が劣る場合がある。反対に20,000を超えると、樹脂溶液の粘度が高いために得られた樹脂の乳化分散等の操作上ハンドリングが困難なばかりか、フロー性が劣るために得られた塗膜の膜外観が著しく低下してしまうことがある。なお、アニオン変性アクリル樹脂は1種のみ使用することもできるが、塗膜性能のバランス化を計るために、2種あるいはそれ以上の種類を合わせて使用することもできる。
【0019】
アニオン変性アクリル樹脂は、酸価が10〜100、好ましくは20〜60の範囲となるように分子設計する。酸価が10未満では酸基の中和による水媒体中での乳化分散不良を招き、反対に100を超えると硬化後塗膜中に過剰の酸基が残存する結果、耐水性が低下することがある。
【0020】
また、アニオン変性アクリル樹脂は、前記の公知技術に見られるバインダー樹脂と比較して、その溶解性パラメーター(δa)が比較的疎水領域を示す9.3〜10.7の範囲にあることが必要である。
【0021】
溶解性パラメーターδが、9.3未満では、硬化塗膜の疎水性が過度に高くなる結果、自動車用中/上塗り塗料に使用した場合に、層間密着性に劣る場合がある。反対に10.7を超えると硬化塗膜の親水性が高くなる結果、耐水性に劣る場合がある。
【0022】
ただし、上記溶解性パラメーターδとは、当該業者等の間で一般にSP(ソルビリティ・パラメーター)とも呼ばれるものであって、樹脂の親水性または疎水性の度合いを示す尺度であり、また樹脂間の相溶性を判断する上でも重要な尺度である。例えば下記のような濁度測定法をもとに数値定量化されるものである
(参考文献:K.W.Suh,D.H.Clarke J.Polymer.Sci.,A−1,5,1671(1967).)。
【0023】
硬化剤(b)は、イミノ官能性を有する疎水性メラミン樹脂であることが好ましい。メラミン架橋剤は、ホルムアルデヒドと、メラミン環上の6個の活性水素のうちのいずれか、もしくは全てとの置換反応により形成されるものである。
【0024】
この反応で生成するメチロール基は比較的不安定であり、また、一般的には、塗料組成物に用いられるビヒクルに対して相溶性がない。従って、その後、メチロール基のうちの幾つか、もしくは全てに、アルコールを付加反応させてメチロール基をアルキルエーテル化し、樹脂の疎水性を高める。この付加反応(アルキルエーテル化反応)には、アルキル基炭素数C4〜C10の1価アルコールで行ったものが好適である。
【0025】
1価アルコールの具体例としてはC4の一価アルコール:n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、およびt−ブチルアルコール;C6〜C10の一価アルコール:ヘキシルアルコール、オクチルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール、エチレングリコールモノ2−エチルヘキシルエーテル、ベンジルアルコール等が挙げられる。
【0026】
該メラミン樹脂中のアルキルエーテル基の量は、特に制限はないが、トリアジン環1核当り2〜3.9モル程度であるのが適当である。そして上記メチロール基のほとんどがアルキルエーテル化されていることが化学的安定性を高めるために好ましい。
【0027】
また本発明において「イミノ官能性」なる用語は、トリアジン核のホルムアルデヒドによる置換反応およびアルキルエーテル化反応後の残存イミノ基、すなわち下記構造式に示されたトリアジン核に結合するセグメント
【0028】
【化1】
【0029】
[式中、ORは炭素数4〜10の芳香環を含んでいても良いアルキルエーテル基である。]
において、−NHで表されるイミノ基をトリアジン1核当たり平均1.5〜2.5個有することを意味する。
【0030】
メラミン樹脂のイミノ含有率は、もしも化学式が知られているならば容易に計算することができ、又は滴定もしくは該当するプロトンの核磁気共鳴スペクトルにより決定することができる。従って、メラミン樹脂は、その計算された又は決定されたイミノ基含有量が上記の範囲内にあるならば十分なイミノ官能性を有するものと考えられる。ただし、トリアジン1核当たりのイミノ基が2.5個を超えるようであると、前記アルキルエーテルメチロール化による疎水化が不十分となるため好ましくない。
【0031】
またイミノ官能性を有するメラミン樹脂を合成する場合、本発明における上記炭素数C4〜C10を有する中級程度の一価アルコールの使用は、従来技術に見られる炭素数1〜4の低級一価アルコールを使用する場合と比較して、アルコキシメチロール基による隣接イミノ(−NH)基の立体的な保護効果を高めることにより、常温周辺での反応性を抑制し、貯蔵安定性は確保する反面、焼き付け温度領域での十分な反応性の発現は確保できると推定される。
【0032】
また、C11以上の炭素数を有する高級一価アルコールの使用は、立体的障害効果ばかりが顕著化し、イミノ基の反応性が低下するために好ましくない。
【0033】
また本発明で用いるメラミン樹脂は、使用される水性塗料から得られる硬化塗膜の高品質外観を確保するために、基本的にはモノメリックメラミンであり1核体の割合が25重量%以上、好ましくは30重量%以上で、トリアジン1核当たりの、一価アルコールでエーテル化されたメチロール基の数が平均2.5個以上で、平均縮合度が2以下、好ましくは1.0〜1.5で、重量平均分子量が2,000以下、好ましくは300〜1,800である分子量範囲のメラミンが好ましい。
【0034】
平均縮合度が2を超えると、メラミン樹脂の粘度が大きくなりすぎて、熱フロー性に乏しくなり、塗膜外観を損なう場合がある。これらの条件に適合するメラミン樹脂の具体例としてはユーバン225(三井サイテック社製)が挙げられる。
【0035】
架橋剤(b)である疎水性メラミン樹脂の溶解性パラメーター(δb)は9.5〜10.5の範囲にあることが必要である。また、疎水性メラミン樹脂の溶解性パラメーター(δb)は前記バインダー樹脂(a)であるアニオン変性アクリル樹脂の溶解性パラメーター(δa)との間に、式
【0036】
【数2】
δa―δb≦±0.2
【0037】
で示される関係にあることが必要である。また、そのためにアニオン変性アクリル樹脂の溶解性パラメーター(δa)が9.7〜10.3の範囲にあることが必要である。
【0038】
バインダー樹脂(a)と架橋剤(b)の両者の関係(溶解性パラメーター値の適性範囲および、それらの差値)が上式の数値範囲内であれば、ほぼ完全な相溶性を確保できるために、両者を混合することによって容易に均一化できるためである。また、バインダー樹脂のカルボキシル基等の酸性基をアミン等の塩基にて、その適当量を中和した後、水性媒体中に分散すれば、架橋剤(b)をコアとして粒子化可能で、容易に高安定性の水性分散体を得ることができるためである。
【0039】
溶解性パラメーターの値が上式の数値範囲を超えると、両者間の相溶性が部分的あるいは完全に失われる結果、水性媒体中に分散した粒子の安定性が乏しくなる場合がある。
【0040】
またバインダー樹脂(a)および硬化剤(b)を水性媒体中に分散せしめた粒子中のバインダー樹脂(a)中の硬化剤(b)の配合量は、粒子の全固形分に対して15〜40重量%の範囲が適当である。
【0041】
この配合比が15重量%未満では塗膜硬化不良を招く結果、機械的強度などの塗膜物性が低くなることがあり、また、上塗り塗装時に塗料シンナーによって塗膜が侵されるなど外観不良を招く場合がある。一方、40重量%を超えると、逆に硬化過剰となって、耐衝撃性等の塗膜物性不良などを招くことがある。なお、硬化剤(b)は、塗膜物性や硬化度の調節等の都合により、複数種を組み合わせて使用しても良い。
【0042】
さて、本発明の水性塗料組成物の適用例として、自動車ボデー用の中塗り塗料の場合について以下に詳細に述べる。
【0043】
自動車ボデーの塗装における水性中塗り塗料とは、電着膜下地を隠蔽し、上塗り塗装後の表面平滑性を確保し、耐衝撃性、耐チッピング性等の膜物性を付与するために塗布されるものである。
【0044】
水性中塗り塗料用途の樹脂ディスパージョンは、前記バインダー樹脂(a)に対して樹脂中の酸性基を適当量のアンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の無機塩基、もしくはメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、イソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジメチルドデシルアミン等の炭素数1〜20の直鎖状又は分枝状のアルキル基含有1〜3級アミン;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノメチルジエタノールアミン、ジメチルモノエタノールアミン、2−アミノー2−メチルプロパノール等の炭素数1〜20の直鎖状又は分枝状アルキル基及び炭素数1〜20の直鎖状又は分枝状のヒドロキシアルキル基を含有する1〜3級アミン;トリエタノールアミン、トリプロパノールアミン、トリドデシルアルコールアミン等の炭素数1〜20の直鎖状又は分枝状のヒドロキシアルキル基のみを含有する3級アミン;ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン等の炭素数1〜20の置換又は非置換鎖状ポリアミン;モルホリン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン等の炭素数1〜20の置換又は非置換環状モノアミン;ピペラジン、N−メチルピペラジン、N,N−ジメチルピペラジン等の炭素数1〜20の置換又は非置換環状ポリアミン等の有機塩基で中和処理した後、バインダー樹脂(a)は硬化剤(b)と共に混合し、アニオン性樹脂ディスパージョンとして水中に乳化分散させることによって調製される。バインダー樹脂(a)は樹脂粒子中にシェルとして、また硬化剤(b)は、コアとして含有される。
【0045】
樹脂粒子の平均粒子径は、それぞれ0.01〜0.5μm、好ましくは0.02〜0.3μm、より好ましくは0.05〜0.2μmである。平均粒子径が0.01μm未満であると、樹脂成分を水分散するのに必要な中和剤、あるいは乳化剤が過量となり、塗膜耐水性が低下する。また平均粒子径0.5μmを超えると、粒子の分散性が低下するために、中塗り塗料の貯蔵安定性が低くなる。
【0046】
また水性塗料系における粘性制御のために、さらに必要に応じて公知の粘性制御剤を水性中塗り塗料中に含有してもよい。
【0047】
上記粘性制御剤としては、例えば、セルロース系のものとして、ビスコース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、市販されているものとしてチローゼMH及びチローゼH(いずれもヘキスト社製);アルカリ増粘型のものとして、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、市販されているものとしては、プライマルASE−60、プライマルTT−615、プライマルRM−5(いずれもローム&ハース社製)、ユーカーポリフォーブ(ユニオンカーバイド社製)等;ノニオン性のものとして、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイド、市販されているものとしては、アデカノールUH−420,アデカノールUH−462、アデカノールUH−472(いずれも旭電化工業社製)、プライマルRH−1020(ローム&ハース社製)、クラレポバール(クラレ社製)等;両親媒性分子内部にウレタン結合を含むウレタン会合型増粘剤として市販されているものとしては、アデカノールSDX−1014(旭電化社製)を挙げることができる。
【0048】
上記粘性制御剤の中でも、分子内部にウレタン結合を含むウレタン会合型増粘剤が水性塗料中において粘性制御効果が高く、本発明においてもより好ましく用いることができる。
【0049】
前記粘性制御剤は、何れか単独の使用でも良く、また複数種を組み合わせて使用しても良い。
【0050】
前記粘性制御剤の添加量は、水性中塗り塗料の樹脂固形分に対して、0.01〜40重量部であり、好ましくは0.05〜30重量部、より好ましくは0.1〜20重量部である。0.01重量部未満であると、充分な粘性制御効果が得られず、また40重量部を超えるとフロー性が極度に損なわれる結果、焼付け塗膜の外観が低下する。
【0051】
また前記水性中塗り塗料は、エラストマーを含んでいてもよい。
【0052】
上記エラストマーを含むことによって、得られる中塗り塗膜に柔軟性を付与し、耐衝撃性耐チッピング性を向上することができる。さらに本発明においては、前述のように電着複層塗膜の内、中塗り塗膜に直接接する樹脂層(β)が形成されているので、電着塗膜と中塗り塗膜間の物性の一体化が向上し、結果として耐衝撃性および耐チッピング性を飛躍的に向上させることができる。
【0053】
上記エラストマーは、その設計ガラス転移温度が、−110〜10℃であることが好ましい。10℃を超えると、得られる塗膜の柔軟性や耐衝撃性の効果が低くなり、−110℃未満のものはエラストマーの実際上の設計が困難である。上記設計ガラス転移温度は、上記エラストマーを製造する際の原料(単量体もしくはホモポリマー)に基づく既知のガラス転移温度および配合量比から、公知の方法により予想値を計算しても良い。
【0054】
上記エラストマーの使用できる数平均分子量は、1,000〜300,000、好ましくは5,000〜200,000の範囲である。1,000未満であると、分子量が低いために充分な耐衝撃性(耐チッピング性)が発現されない。また300,000を超えると、樹脂粘度が高すぎて、乳化分散操作を行うことが困難になる。
【0055】
上記エラストマーとしては、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等の共役ジエン系単量体のホモポリマー、又は、共役ジエン系単量体とエチレン、プロピレン、エチリデン、ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、酢酸ビニル、スチレン、アクリルニトリル、イソブチレン、(メタ)アクリル酸(エステル)等の単量体とのランダムもしくはブロックコポリマー;ジイソシアネートとジオールとの重付加反応によって合成されるポリウレタン系熱可塑性エラストマー;テレフタル酸ジメチル、1,4−ブタンジオール、ポリ(テトラメチレン)グリコール等を原料とし、エステル交換反応及び重縮合反応によって合成されるポリエステル系熱可塑性エラストマー;ラクタム、ジカルボン酸、ポリエーテルジオールを原料とし、エステル交換及び重縮合反応によって合成されるポリアミド系エラストマーを挙げることができる。
【0056】
上記エラストマーは、水分散化されたものか、または水溶性のものを使用することによって、上記水性中塗り塗料中に安定に存在せしめることができる。
【0057】
上記水分散化の方法としては、例えば、別途、分散樹脂、界面活性剤等の分散剤を適用して水性媒体中中にエマルションとして導入することができる。上記エラストマー分散樹脂としては、水性中塗り塗料の構成樹脂である前記樹脂(a)をそのままか、あるいは適当量の中和剤にて、エラストマーと共に水性媒体中分散することが、塗膜中のエラストマー粒子の分散性と塗膜耐水性の確保のためには好ましい。また別法として、2分子末端に水酸基等の反応性基を有するテレケリックオリゴマー(例としてポリブタジエンジオール、テトラメチレングリコールジオールあるいはε―ポリカプロラクトンジオール等)にたとえばウレタン化反応等にて、酸性基、ノニオン性基等の極性官能基を導入し、そのままか、あるいは適当量の塩基性中和剤にてアニオン化した上で水性媒体中に分散し、自己乳化エマルションをなすことによって目的を達成することができる。
【0058】
さらに乳化重合法によって得られたポリブタジエン、ポリイソプレン等の共役ジエン系ゴムエマルションあるいはアクリル系ゴムエマルションをそのまま塗料に配合しても良い。
【0059】
中塗り塗膜の断面構造としては、エラストマー粒子が分散相となり、上記バインダー樹脂(a)が連続相となるミクロドメイン構造を構成するように設計する必要がある。そのためには、これらのエラストマー分散体の平均粒子径は、サブミクロン領域、特に0.01〜0.2μmの範囲であることが中塗り塗膜表面の外観を良好に維持するためにも望ましい。エラストマー粒子の平均粒子径が、0.01μm未満であると、樹脂成分を水分散するのに必要な中和剤、あるいは乳化剤が過量となり、塗膜耐水性が低下する恐れがある。また平均粒子径が0.2μmを超えると、中塗り塗膜外観が低下する。
【0060】
上記水性中塗り塗料中の樹脂固形分に対する上記エラストマーの含有量は、固形分基準で5〜40重量%、好ましくは10〜20重量%である。5重量%未満であると、得られる塗膜の耐チッピング性に充分な改良効果が期待できない。また40重量%を超えると中塗り外観の低下が著しくなる。
【0061】
ただし、上記樹脂固形分とは、これらエラストマー、主樹脂であるバインダー樹脂(a)、および硬化剤(b)の他、顔料分散剤をも含めた中塗り皮膜を構成する全樹脂バインダーの合計固形分量を示す。
【0062】
さらに上記水性中塗り塗料は、通常、顔料を含むものである。
【0063】
上記水性中塗り塗料において用いることができる顔料は、その例としては、カーボンブラック、二酸化チタン、グラファイト等の着色顔料、カオリン、珪酸アルミ(クレー)、タルク等の体質顔料、リンモリブデン酸アルミ等の防錆顔料が挙げられる。また特に耐候性の向上、隠蔽性の確保、および安価である点から、無機系着色顔料を中心に利用することが好ましい。特に二酸化チタンは、白色の着色隠蔽性に優れ、しかも安価であることから、より好ましい。
【0064】
また有機系着色顔料を併用することができる。上記有機系着色顔料としては、例えば、アゾキレート系顔料、不溶性アゾ系顔料、縮合アゾ系顔料、フタロシアニン顔料、インジゴ顔料、ペリレン系顔料、ペリレン系顔料、ジオキサン系顔料、キナクリドン系顔料、イソインドリノン系顔料等が挙げられる。
【0065】
上記顔料としてカーボンブラックと二酸化チタンを主要顔料とした標準的なグレー系水性中塗り塗料とすることができるし、近年、特に高級車両を対象とした中塗り設計である上塗り塗料と明度又は色相等を合わせたセットグレーや各種の着色顔料を組み合わせた、いわゆるカラー水性中塗り塗料とすることもできる。
【0066】
前記中塗り塗料中に含有される顔料および樹脂固形分の合計重量に対する顔料の重量比(PWC)が、10〜60重量%の範囲にあることが好ましい。
【0067】
10重量%未満では、顔料不足の為に隠蔽性が低下する恐れがある。60重量%を超えると、顔料過多により硬化時の粘性増大を招き、フロー性が低下して塗膜外観が低下する。
【0068】
ただし、上記樹脂固形分とは、主樹脂、硬化剤の他、顔料分散樹脂をも含めたベース塗膜を構成する全樹脂バインダーの合計固形分量を示す。
【0069】
上記顔料は、一般的に用いられている顔料分散樹脂で予め分散を行い、顔料分散ペーストを調製した後、水性中塗り塗料の調製に際して適量を配合する。
【0070】
上記顔料分散樹脂は、顔料親和部分及び親水部分を含む構造を有する樹脂であり、樹脂種は特に限定されないが、当該業者により公知の方法に従って製造することができるものである。
【0071】
また前記バインダー樹脂(a)をそのままか、あるいは必要に応じて、アミン等の塩基にて、その適当量を中和して使用しても良い。
【0072】
上記顔料分散剤の数平均分子量は、1,000〜100,000であることが好ましい。1,000未満で有ると、分散安定性が充分でない場合があり、100,000を超えると、粘度が高すぎて取り扱いが困難となる場合がある。好ましくは2,000〜70,000であり、より好ましくは、4,000〜50,000である。
【0073】
好ましく用いられる顔料分散剤市販品として、例えばディスパーbyk190、ディスパーbyk182、ディスパーbyk184(いずれもビックケミー社製)、EFKAポリマー4550(EFKA社製)、ソルスパース27000、ソルスパース41000、ソルスパース53095(いずれもアビシア社製)等を挙げることができる。
【0074】
上記顔料分散剤は、顔料と共に公知の方法にしたがって、混合分散して顔料分散ペーストを得ることができる。上記顔料分散ペースト中の上記顔料分散樹脂の配合割合は、顔料分散ペーストの固形分に対して1〜20重量%である。1重量%未満であると、顔料を安定に分散することができない、20重量%を超えると、塗膜物性が劣る場合がある。好ましくは、5〜15重量%である。
【0075】
前記水性中塗り塗料は、少なくともバインダー樹脂(a)および硬化剤(b)を水性媒体中に分散せしめた粒子を含んでなる水性樹脂分散体(A)、および顔料分散ペーストを必須成分として混合し、さらに必要に応じて、前記粘性制御剤および/又は上記エラストマー、その他の塗料添加剤を混合して調製されるものである。この際、その他の塗料添加剤としては、紫外線吸収剤、酸化防止剤、乳化剤、消泡剤、表面調整剤、ワキ防止剤等を挙げることができる。
【0076】
前記中塗り塗料の塗装方法としては、特に限定されず、例えば、通称「リアクトガン」と呼ばれるエアー静電スプレー;通称「マイクロ・マイクロ(μμ)ベル」、「マイクロ(μ)ベル」、「メタベル」等と呼ばれる回転噴霧式の静電塗装機等を用いることができる。好ましくは、回転噴霧式の静電塗装機を用いる塗装方法である。
【0077】
上記中塗り塗膜の乾燥膜厚は、用途により変化するが、15〜50μm、好ましくは25〜40μmである。15μm未満であると、下地が隠蔽できず、膜切れが発生することがあり、50μmを越えると、鮮映性が低下したり、塗装時にムラ、タレ等の不具合が起こることがある。
【0078】
通常中塗り塗膜において、下地である電着膜表面粗さ(ムジ感)の影響を最小化し、耐衝撃性(チッピング性)および耐候性を発現させるために、30〜40μm程度の乾燥膜厚が最適とされている。
【0079】
上記水性中塗り塗膜を加熱硬化させる温度としては、130〜180℃、好ましくは140〜170℃にて行うことによって、高い架橋度の硬化塗膜を得ることができる。180℃を超えると、塗膜が過度に堅く、脆くなり、130℃未満では硬化が充分でなく、耐溶剤性や膜強度等の膜物性が低くなる。
【0080】
【発明の効果】
本発明における水性塗料組成物の硬化剤としてのメラミン樹脂が、トリアジン核に炭素数C4〜C10を有するアルキルエーテル化を施すことで疎水変性にしながらも、同時に一定量以上のイミノ官能基を残存させることで高反応性を保持しつつも貯蔵安定性が高いメラミン樹脂を調製し、これと相溶性を有する疎水性バインダー樹脂と共に水性媒体中に分散した水性塗料組成物を得た。
【0081】
この水性塗料組成物は、例えば前記自動車ボデー用中塗り塗料として用いた場合には、従来の水性中塗り塗料と比較して、塗料の水分散性(熱的安定性、機械的安定性)の著しい向上、および耐水性および仕上がり性(高品質外観)等に優れた硬化塗膜を得ることができた。
【0082】
近年、例えば特開2003−47895号公報に示されるように、水性塗料組成物の応用例として、例えば被塗物にスプレー塗装する場合、被塗物に付着しなかったオーバースプレー塗料を水性媒体、特に好ましくは水で回収して、その組成を調整し直すことによって再度水性塗料として再利用(リサイクル)する方法が既に提案されており、未塗着塗料の回収および再利用を前提とした水性塗料のリサイクルシステムも公知である。このようなリサイクルシステムを用いて水性塗料を再利用することで、塗料廃棄物を無くすことができ、省資源化が達成される。
【0083】
その際に樹脂や顔料が分離、凝集せずに、かつ塗料希釈水の濾過・塗料の回収効率を高めることができるという再利用性(リサイクル性)を確保し、これをコントロールする上で、長期間再利用性を維持することが必要である。
【0084】
本発明の水性塗料組成物は、上述のごとく分散安定性を向上させた結果、上記リサイクル性を確保する上で著しく効果があることが判った。
【0085】
【実施例】
以下、具体的な実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施例により限定されるものではない。なお、部および%(パーセント)は、重量部および重量%を意味する。
【0086】
製造例1
硬化剤(b−1)の製造
撹拌機、温度計、還流コンデンサーおよび窒素導入管を備えた4ッ口フラスコにメラミン126部(1モル)、80%パラホルムアルデヒド168.8部(4.5モル)、n−ブタノール740部およびトリエタノールアミン1部を仕込み、還流温度まで昇温した。
【0087】
還流温度で1時間メチロール化反応を行った後、パラトルエンスルホン酸1部を加えて還流下にアルキル化反応を3時間行った。pHメーターで確認しながらトリエタノールアミンを加えて中和後、減圧下にイソプロピルアルコール(IPA)およびn−ブタノールを留去、n−ブタノールによりアルキルエーテル化されたメラミン樹脂(b−1)を得た。得られた樹脂は不揮発分80%であった。
【0088】
得られたアルキルエーテル化メラミン樹脂の特性を分析した。分析結果を表2に示す。分析方法について以下説明する。
【0089】
1.トリアジン1核当りのイミノ基及びアルキルエーテル基の平均数
1H−NMR及び合成時の物質収支により算出した。
【0090】
2.1核体の含有量
高速液体クロマトグラフィーで得られるクロマトグラムより面積比により求めた。1核体の溶出時間は約32分、2核体の溶出時間は約30.5分及び3核体以上は約30.5分以下である。なお、高速液体クロマトグラフィーの測定条件は表1のとおりである。
【0091】
【表1】
【0092】
3.溶解性パラメーター
メラミン樹脂(固形分)0.5gを秤取し、アセトン10mlに溶解した後、ヘキサンおよび水の滴下により濁度を生じる必要滴下量(ml)を測定して算出した。
【0093】
4.重量平均分子量
合成した樹脂をGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)で測定した。
【0094】
製造例2
硬化剤(b−2)の製造
撹拌機、温度計、還流コンデンサーおよび窒素導入管を備えた4ッ口フラスコにメラミン126部(1モル)、80%パラホルムアルデヒド168.8部(4.5モル)、n−ヘキサノールとn−ブタノールの混合物[n−ヘキサノール:n−ブタノール=222部(3モル):370.7部(5モル)]およびトリエタノールアミン1部を仕込み、還流温度まで昇温した。
【0095】
還流温度で1時間メチロール化反応を行った後、パラトルエンスルホン酸1部を加えて還流下にアルキル化反応を3時間行った。pHメーターで確認しながらトリエタノールアミンを加えて中和後、減圧下にIPAおよびn−ブタノールを留去、n−ヘキサノールとn−ブタノールにより混合アルキルエーテル化されたメラミン樹脂(b−2)を得た。得られた樹脂は不揮発分80%であった。
【0096】
製造例1と同様にして、得られたアルキルエーテル化メラミン樹脂の特性を分析した。分析結果を表2に示す。
【0097】
【表2】
【0098】
製造例3
バインダー樹脂(a−1)の製造
攪拌機、冷却器、窒素導入管、温度計および滴下ロートを備え付けた反応容器に、メチルイソブチルケトン30部を仕込み、窒素雰囲気下110℃に加熱保持した。さらに2−ヒドロキシプロピルアクリレート25.5部、2−エチルヘキシルアクリレート26.9部、メタクリル酸3.8部、n−ブチルアクリレート30.5部、スチレン13.3部およびt−ブチルパーオクトエート6部の混合物を滴下ロートから3時間かけて滴下し、その後さらにt−ブチルパーオクトエート0.2部を滴下して110℃で1.5時間保持した。得られたアニオン変性アクリル樹脂[バインダー樹脂(a−1)]は、固形分74.4%、数平均分子量4,000、ヒドロキシル価=110および酸価=25であり、溶解性パラメーターδa−1=10.5であった。
【0099】
水性樹脂分散体(A−1)の製造
この樹脂溶液に対して製造例2で調製したメラミン樹脂(硬化剤(b−2)、溶解性パラメーターδb−2=10.5、固形分80%溶液)78.5部、およびジメチルエタノールアミン1.3部を加えて30分間攪拌した後、さらにイオン交換水で不揮発分33.4%まで希釈し、アニオン変性アクリル樹脂を主体とする水性樹脂分散体(A−1)(レーザー光散乱法による平均粒子径=0.16μm)を得た。
【0100】
製造例4
バインダー樹脂(a−2)の製造
攪拌機、冷却器、窒素導入管、温度計および滴下ロートを備え付けた反応容器に、メチルイソブチルケトン30部を仕込み、窒素雰囲気下110℃に加熱保持した。さらに2−ヒドロキシプロピルアクリレート25.5部、2−エチルヘキシルアクリレート26.9部、メタクリル酸3.8部、n−ブチルアクリレート30.5部、スチレン13.3部およびt−ブチルパーオクトエート6部の混合物を滴下ロートから3時間かけて滴下し、その後さらにt−ブチルパーオクトエート0.2部を滴下して110℃で1.5時間保持した。得られたアニオン変性アクリル樹脂[バインダー樹脂(a−2)]は、固形分74.4%、数平均分子量4,000、ヒドロキシル価=110および酸価=25であり、溶解性パラメーターδa−2=10.2であった。
【0101】
水性樹脂分散体(A−2)の製造
この樹脂溶液に対して製造例1で調製したメラミン樹脂(硬化剤(b−1)、溶解性パラメーターδb−1=10.2、固形分80%溶液)78.5部、およびジメチルエタノールアミン1.3部を加えて30分間攪拌した後、さらにイオン交換水で不揮発分33.4%まで希釈し、アニオン変性アクリル樹脂を主体とする水性樹脂分散体(A−2)(レーザー光散乱法による平均粒子径=0.18μm)を得た。
【0102】
比較製造例1
バインダー樹脂(a−3)の製造
攪拌機、冷却器、窒素導入管、温度計および滴下ロートを備え付けた反応容器に、メチルイソブチルケトン30部を仕込み、窒素雰囲気下110℃に加熱保持した。さらに2−ヒドロキシプロピルアクリレート25.5部、2−エチルアクリレート12.4部、メタクリル酸3.8部、n−ブチルアクリレート53.8部、スチレン4.5部およびt−ブチルパーオクトエート6部の混合物を滴下ロートから3時間かけて滴下し、その後さらにt−ブチルパーオクトエート0.2部を滴下して110℃で1.5時間保持した。得られたアニオン変性アクリル樹脂[バインダー樹脂(a−3)]は、固形分74.4%、数平均分子量4,000、ヒドロキシル価=110および酸価=25であり、溶解性パラメーターδa−3=11.0であった。
【0103】
水性樹脂分散体(A−3)の製造
この樹脂溶液に対して製造例1で調製したメラミン樹脂(硬化剤(b−1)、、溶解性パラメーターδb−1=10.2、固形分80%溶液)78.5部、およびジメチルエタノールアミン1.3部を加えて30分間攪拌した後、さらにイオン交換水で不揮発分33.4%まで希釈し、アニオン変性アクリル樹脂を主体とする水性樹脂分散体(A−3)(レーザー光散乱法による平均粒子径=0.20μm)を得た。
【0104】
比較製造例2
水性樹脂分散体(A−4)の製造
製造例4で得られたアクリル樹脂溶液に対して硬化剤「ユーバン20N−60」(疎水性ブチル化メラミン樹脂、三井サイテック社製、イミノ基0.95モル、n−ブチルエーテル基2.35モル、1核体10%未満、硬化剤(b−3)、溶解性パラメーターδb−3=10.0、固形分60%溶液)41.7部、およびジメチルエタノールアミン1.3部を加えて30分間攪拌した後、さらにイオン交換水で不揮発分33.4%まで希釈し、アニオン変性アクリル樹脂を主体とする水性樹脂分散体(A−4)(レーザー光散乱法による平均粒子径=0.17μm)を得た。
【0105】
製造例5
水性中塗り塗料用顔料分散体(B)の製造
以下の配合物に対して予備混合を行った後、ペイントコンディショナー中でガラスビーズ媒体を加え、室温で粒度5μm以下となるまで分散し、顔料分散体(B)を得た。
【0106】
【表3】
【0107】
実施例1
水性塗料組成物の製造
製造例3で得られた水性樹脂分散体(A−1)66.7部、製造例5で得られた顔料分散体(B)49.3部、BYKケミー社製界面活性剤「BYK380」(商品名)1.0部、エアープロダクツ社製界面活性剤「サーフィノール104DPM」(商品名)0.5部、共栄化学社製シリコン系界面活性剤「KL245」(商品名)0.4部、シェル化学社製炭化水素系溶剤「シェルゾール71」(商品名)1.0部、および脱イオン水10.4部を混合して水性塗料組成物を得た(固形分濃度40%)。得られた水性塗料組成物を以下の1〜3の特性について評価した。結果を表5に示す。
【0108】
1.熱的分散安定性
水性塗料組成物を40℃で14日間保存して、沈降や相分離が生じるかどうかを目視で確認した。
【0109】
2.硬化塗膜の仕上がり性
パワーニックス110グレー(鉛フリー電着塗料、日本ペイント社製)を用いて、リン酸亜鉛処理したダル鋼鈑に対して、電圧200Vで乾燥膜厚が20μmになるように電着塗装した後、160℃で10分間焼き付けた。ハンディサーフE−30A(東京精密社製)を用いて、JIS B 0601に従ってこの硬化電着膜の表面粗さを測定したところ(カットオフ2.5mm)、Ra値は0.30であった。
【0110】
水性塗料組成物をイオン交換水を用いて粘度がフォードカップNo.4を用いて20℃で30秒になるまで希釈し、これを硬化電着膜上にエアースプレーにて塗装し、60℃で3分間プレ乾燥した後、さらに140℃で30分間焼き付けを行った。硬化電着膜と同様にして、得られた塗板の塗膜表面粗差を測定した。また光沢値はBYKガードナー社製マイクログロス計を用いて60度グロス値を測定した。
【0111】
3.硬化塗膜の耐水性
水性塗料組成物をイオン交換水を用いて粘度がフォードカップNo.4を用いて20℃で30秒になるまで希釈し、これをブリキ板上にエアースプレーにて塗装し、60℃で3分間プレ乾燥した後、さらに140℃で30分間焼き付けを行った。得られた塗板を温水40℃7日間浸漬した前後の塗膜重量を測定し、次式に従って塗膜水膨潤率(%)を計算した。
【0112】
【数3】
【0113】
実施例2
成分の配合を表4に示すように変更すること以外は実施例1と同様にして水性塗料組成物を調製し、評価した。更に、再利用性(リサイクル性)についても、以下のようにして評価した。結果を表5に示す。
【0114】
4.水性塗料組成物の再利用性(リサイクル性)
水性塗料組成物を脱イオン水を用いてNK−2カップで30秒となるように希釈した。これを予め調製した捕集液(溶剤組成比が水/ブチルジグリコール=90/10でありジメチルエタノールアミンによりpHが9.0に調製され、誘電率が65であるもの)にエアスプレーにより固形分5重量%となるまで吹き込み、塗料希釈液とした。
【0115】
これをNK−2カップで30秒となるまで限外濾過濃縮し、濃縮塗料を得た。得られた濃縮塗料の粒径をJIS−5400にて測定した。
【0116】
比較例1
成分の配合を表4に示すように変更すること以外は実施例1と同様にして水性塗料組成物を調製し、評価した。更に、再利用性(リサイクル性)について、実施例2と同様にして評価した。結果を表5に示す。
【0117】
比較例2
成分の配合を表4に示すように変更すること以外は実施例1と同様にして水性塗料組成物を調製し、評価した。結果を表5に示す。
【0118】
【表4】
【0119】
【表5】
【0120】
a)熱的分散安定性の評価基準
【表6】
【0121】
b)リサイクル性の評価基準
【表7】
Claims (6)
- 水性媒体中に分散された、樹脂粒子および顔料粒子を少なくとも含む水性塗料組成物において、
該樹脂粒子がバインダー樹脂(a)でなるシェル部、およびバインダー樹脂の硬化剤(b)でなるコア部から成り、
該バインダー樹脂(a)が酸価10〜100のアニオン変性アクリル樹脂であって、かつその溶解性パラメーター(δa)が9.3〜10.7の範囲にあり、
該硬化剤(b)がトリアジン1核当たり平均1.5〜2.5個の範囲のイミノ基を有する疎水性メラミン樹脂であって、かつその溶解性パラメーター(δb)が9.5〜10.5の範囲にある、水性塗料組成物。 - 前記疎水性メラミン樹脂が、炭素数4〜10の1価アルコールを使用してエーテル化されたものである請求項1記載の水性塗料組成物。
- 前記疎水性メラミン樹脂が、トリアジン1核体の構成割合が25重量%以上のモノメリックメラミン樹脂である請求項1記載の水性塗料組成物。
- 自動車用中塗り塗料として用いられる請求項1〜4のいずれか記載の水性塗料組成物。
- 被塗物に付着しなかったオーバースプレー塗料を水又は水性媒体で回収して、その組成を調整し直すことによって再度水性塗料として再利用する方法に用いられる、請求項1〜4のいずれか記載の水性塗料組成物。
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JP2003110077A JP2004315623A (ja) | 2003-04-15 | 2003-04-15 | 水性塗料組成物 |
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Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2007013558A1 (ja) | 2005-07-27 | 2007-02-01 | Nippon Paint Co., Ltd. | 水性メタリック塗料組成物及び複層塗膜形成方法 |
JP2008126140A (ja) * | 2006-11-21 | 2008-06-05 | Nippon Paint Co Ltd | 上塗り塗膜形成方法及びその方法に用いられるクリヤー塗料組成物 |
WO2018034342A1 (ja) * | 2016-08-19 | 2018-02-22 | 大阪有機化学工業株式会社 | 易剥離膜形成用硬化性樹脂組成物及びその製造方法 |
WO2018033995A1 (ja) * | 2016-08-19 | 2018-02-22 | 大阪有機化学工業株式会社 | 易剥離膜形成用硬化性樹脂組成物及びその製造方法 |
US20220135711A1 (en) * | 2020-10-30 | 2022-05-05 | National University Of Singapore | Dielectric elastomeric material |
-
2003
- 2003-04-15 JP JP2003110077A patent/JP2004315623A/ja active Pending
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