JP2004310941A - 磁気記録再生装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】シリンダ保持部材と、テープ引き出し部材のガイド部材を一体に形成し、またガイド部材の溝穴部の外形線が、テープ引き出し部材が摺動する上面にて切れ目なく閉じている構成とすることにより、部品点数の削減、小型化軽量化を実現する。
【選択図】 図4
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁気記録再生装置に関する物である。
【0002】
【従来の技術】
近年、磁気記録再生装置に於いて、さらなる小型化に加え、部品点数の削減、構成の簡素化が激化している。特にローディング機構部に関しては、非常に複雑な物であり、部品点数が多くなり、VTR全体の大きさ、コストに大きく影響するため、ローディング機構に関する開発は非常に重要な物となってきている。
【0003】
以下に従来の磁気記録再生装置について図10,11を用いて説明する。図10は従来の磁気記録再生装置のテープ装着位置を示す平面図である。図11は同従来の磁気記録再生装置のテープ引き出し位置を示す平面図である。図10,11において1はシャーシ、2はシャーシ1に設けられたシリンダーベース、3は回転ヘッドシリンダーで、シリンダーベース2に固定されている。4はカセットで、内部にテープ5が収められている。6はレールでねじ7a,7b,7c,7d,7eによって、シャーシ1に固定されている。8a,8bはボートで、それぞれテープ引出しポスト9a,9b,9c,9dが植立されている。レール6はボート8a,8bをシリンダーベース2へ案内するように保持している。ボート8a,8bは図示されないボート駆動手段によって駆動され、シリンダーベース2へ案内され、図示されないボート位置決め手段によって回転ヘッドシリンダー3の周囲の所定の位置に位置決めされる。そのような、ボート8a,8bの移動に伴い、カセット4内のテープ5は図10の位置から引き出されて、図11に示すように、回転ヘッドシリンダー3の周囲に券回させられる。
【0004】
【特許文献1】
特開平11−328773号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら上記の従来の構成では、レールという複雑で且つ大きな部品が別途必要となり、且つレールをシャーシに固定するための取り付け部、および取り付け位置の確保が必要で、また取り付けねじも必要であった。
【0006】
その結果、部品点数が増大しコストアップの原因となると同時に、レール固定の位置確保のためにメカニズムを大きくし、またローディング部の構成の自由度を制約する要因となっていた。
【0007】
本発明は上記従来の問題点を解決するもので、レールとシリンダベースを完全に一体化する事により、部品点数を削減し単純で安価なローディング機構を実現するとともに、ローディング部の構成の自由度を向上させることができ、部品点数が少なく、より小型ローディング部を持つ磁気記録再生装置を実現する事を目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明の磁気記録再生装置は、回転ヘッドシリンダを装着するシリンダ保持部材(シリンダベース)と、テープ引き出し部材(ボート)をガイドするガイド部材(レール)とを一体化する構成を有している。
【0009】
この構成によって、部品点数を削減し単純で安価なローディング機構を実現するとともに、ローディング部の構成の自由度を向上させることができ、部品点数が少なく、より小型ローディング部を持つ磁気記録再生装置を提供することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の請求項1に記載の発明は、テープカセット内からテープを引き出し、シャーシ上に存在する回転ヘッドを搭載する回転ヘッドシリンダに巻回し、前記テープを走行させる事により記録再生を行う磁気記録再生装置で、前記テープカセットを装着しうる状態をテープ装着状態、前記テープカセットから前記テープを引き出し前記回転ヘッドシリンダに巻回し前記テープが走行しうる状態をテープ引き出し状態とする時、前記テープ装着状態においては前記テープカセットの開口部内に存在し、前記テープ引き出し状態のおいては前記回転ヘッドシリンダ近傍のテープ引き出し位置に移動して、前記テープカセットよりテープを引き出し、前記回転ヘッドシリンダにテープを巻回するテープ引き出し部材と、
前記テープ引き出し部材にはボス部が設けられ、前記テープ引き出し部材がその上面を摺動し、且つ前記ボス部が係合する溝穴部を持ち、前記テープカセット開口部内から前記テープ引き出し状態の間を前記テープ引き出し部材が往復しうるよう案内するガイド部材を前記シャーシに設け、前記ガイド部材の溝穴部の外形線が、前記テープ引き出し部材が摺動する上面にて、切れ目なく閉じている物であり、部品点数を削減し単純で安価なローディング機構を実現するとともに、ローディング部の構成の自由度を向上させることができるという作用を有する。
【0011】
請求項2に記載の発明は、テープカセット内からテープを引き出し、シャーシ上に存在する回転ヘッドを搭載する回転ヘッドシリンダに巻回し、前記テープを走行させる事により記録再生を行う磁気記録再生装置で、前記シャーシ上に存在し前記回転ヘッドシリンダを装着するシリンダ保持部材と、前記シャーシに前記テープカセットが装着される状態を、テープ装着状態、前記テープカセットから前記テープを引き出し前記回転ヘッドシリンダに前記テープを巻回し前記テープが走行しうる状態を、テープ引き出し状態とする時、前記テープ装着状態においては、前記テープカセットの開口部内に存在し、前記テープ引き出し状態のおいては、シリンダ近傍のテープ引き出し位置に移動して前記テープカセットよりテープを引き出し、前記回転ヘッドシリンダにテープを巻回するテープ引き出し部材と、前記テープ引き出し部材を、前記テープカセット開口部内から前記テープ引き出し位置の間を往復しうる様案内するガイド部材とからなる磁気記録再生装置で、前記シリンダ保持部材と、前記ガイド部材が一体に形成された物で、部品点数を削減し単純で安価なローディング機構を実現するとともに、ローディング部の構成の自由度を向上させることができるという作用を有する。
【0012】
請求項3に記載の発明は、シリンダ保持部材とガイド部材が、PPS(ポリフェニレンサルファイド)、PES(ポリエーテルスルホン)、PEI(ポリエーテルイミド)、PC(ポリカーボネート)、PA(ポリアミド)、PI(ポリイミド)、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、PPE(変性ポリフェニレンエーテル)、LCP(液晶ポリマー)、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)の樹脂により一体成形されたもので、部品点数を削減し単純で安価なローディング機構を実現するとともに、ローディング部の構成の自由度を向上させることができるという作用を有する。
【0013】
請求項4に記載の発明は、回転ヘッドシリンダ近傍のテープ引き出し位置においてテープ引き出し部材を位置決めする位置決め部材があって、前記位置決め部材と、ガイド部材と、シリンダ保持部材とが一体形成された物であり、部品点数を削減し単純で安価なローディング機構を実現するとともに、ローディング部の構成の自由度を向上させることができるという作用を有する。
【0014】
請求項5に記載の発明は、シリンダ保持部材とガイド部材と位置決め部材とが、PPS(ポリフェニレンサルファイド)、PES(ポリエーテルスルホン)、PEI(ポリエーテルイミド)、PC(ポリカーボネート)、PA(ポリアミド)、PI(ポリイミド)、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、PPE(変性ポリフェニレンエーテル)、LCP(液晶ポリマー)、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)の樹脂により一体成形された物であり、部品点数を削減し単純で安価なローディング機構を実現するとともに、ローディング部の構成の自由度を向上させることができるという作用を有する。
【0015】
請求項6に記載の発明は、テープカセット内からテープを引き出し、シャーシ上に存在する回転ヘッドを搭載する回転ヘッドシリンダに巻回し、前記テープを走行させる事により記録再生を行う磁気記録再生装置で、前記シャーシ上に存在し前記回転ヘッドシリンダを装着するシリンダ保持部材と、前記テープカセットを装着しうる状態をテープ装着状態、前記テープカセットから前記テープを引き出し前記回転ヘッドシリンダに前記テープを巻回し前記テープが走行しうる状態をテープ引き出し状態とする時、前記テープ装着状態においては、前記テープカセットの開口部内に存在し、前記テープ引き出し状態のおいては、シリンダ近傍のテープ引き出し位置に移動して前記テープカセットよりテープを引き出し、前記回転ヘッドシリンダにテープを巻回するテープ引き出し部材と、前記テープ引き出し部材を、前記テープカセット開口部内から前記テープ引き出し位置の間を往復しうる様案内するガイド部材と、回転ヘッドシリンダ近傍のテープ引き出し位置においてテープ引き出し部材を位置決めする位置決め部材とからなる磁気記録再生装置で、前記シリンダ保持部材と、前記ガイド部材と、前記位置決め部材とが一体に形成された請求項1記載の磁気記録再生装置であり、部品点数を削減し単純で安価なローディング機構を実現するとともに、ローディング部の構成の自由度を向上させることができるという作用を有する。
【0016】
請求項7に記載の発明は、テープ引き出し部材に設けられたボス部に段差部を設け、前記テープ引き出し部材はU字状のボート板を備え、前記ボス部に回動自在にボート駆動部材を設け、前記ボート駆動部材はレールとボート板との間に設けられ、前記ボス部がガイド部材の溝穴部に挿入された後、前記ボート駆動部材が前記ボス部に挿入された後、前記ボート板が前記ボス部に設けられた段差部に弾性変形させられて係合することにより、前記テープ引き出し部材が前記ガイド部材に対して摺動自在に組み立てられるものであり、装置の組み立て時に、シリンダベースがシャーシに取り付けられた状態で、ボートをシリンダベースの長穴部に上方から挿入し、その後、ボート駆動部材をボートの突起部に挿入した後、ボート板を後ろから水平に差し込むだけで、ボートをシリンダベースに摺動自在に組み付けることが可能になり、また、ボート板を取り付けるのにねじが不要であり、シリンダベースとSリンク(ボート駆動部材)とボートとの組み立てが容易で、レールやボートといった高精度の部品のユニットの構成の自由度を向上させ、部品点数の少ない磁気記録再生装置が実現できるという作用を有する。
【0017】
以下、本発明の実施の形態について、図1から図9を用いて説明する。
【0018】
(実施の形態1)
本発明の磁気記録再生装置は、シャーシがメインシャーシと、サブシャーシの2枚構成となっている。
【0019】
最初に、サブシャーシの構成について説明する。
【0020】
図1は、本発明の磁気記録再生装置のサブシャーシの平面図であり、図1において、1はサブシャーシ、2,6,9,10はテープ引き出し部材である。2はTRアームで、サブシャーシ1上の支点2a周りに回動自在に支持されている。2の一端の表方向にはTRポスト2bが、他端の裏方向にはTRアーム駆動ピン2cが設けてある。10はT3アームで、サブシャーシ1上の支点10a周りに回動自在に支持されている。10の一端の表方向にはT3ポスト10bが、他端の裏方向にはT3アーム駆動ピン10cが設けてある。4はSアームで、サブシャーシ1上の支点4a周りに回動自在に支持されている。4の一端の裏方向にはSアーム駆動ピン4cが、他端の表方向にはSリンクピン4bが設けてある。
【0021】
Sリンクピン4bには、Sリンク5が回動自在に取り付けてあり、またSリンク5の他端には、Sボート6がボス6bを介し回動自在に取り付けてある。7はTアームで、Sアームと同様の構成である。Tアーム7は、サブシャーシ1上の支点7a周りに回動自在に支持され、一端の裏方向にはTアーム駆動ピン7bが設けてある。8はTリンクで、一端はTリンクピン8aを介しTアーム7に対し回動自在に取り付けられてある。また、Tリンク8の他端には、Tボート9がボス9bを介し回動自在に取り付けてある。
【0022】
Sボート6にはテープをガイドするSローラポスト6aが植立されてあり、Tボート9には、Tローラポスト9aが植立されてある。
【0023】
このように全てのテープ引き出し部材はサブシャーシ1の上に設けられてある。
【0024】
11はSリール台、12はTリール台で、それぞれ軸11a,12a周りに回動自在に支持されている。Sリール台11、Tリール台12はカセット(図示せず)をサブシャーシに装着した際、カセットのリールハブと契合し、テープの巻き取りを行う物である。また、Sリール台11の周囲にはテープ走行時のテープテンションを制御するためのブレーキバンド(TRバンド)3が巻き付いてあり、TRバンドの一端はTRアーム2の2d部に回動自在に支持され、他端はサブシャーシ上の3aに回動自在に支持されている。そして、テープ走行時にはTRアーム2に取り付けたTRバネ2eの力により、TRバンド3を介しSリール台11に負荷トルクが働く構成となっている。
【0025】
1bはサブシャーシ調整板で、溝穴1aがもうけてあり、またサブシャーシ1にねじ(図示せず)により固定されている。
【0026】
次に本発明の磁気記録再生装置のメインシャーシの構成について図2を用いて説明する。21はメインシャーシで、4本のカム溝穴21a,21b,21c,21dが設けてある。23は正逆回転可能なモータで、モータの回転力は、モータウォーム23、連結ウォーム24、そして、24,25のギアを介し、モードギア27に伝えられる。モードギア27は支点27a周りに回動可能で上面に、サブシャーシ1(図1)と契合しサブシャーシを動かすサブシャーシ駆動ピン27bが設けてある。28はシリンダベースで、3点28cでメインシャーシにねじ止めされる。3つの28dはシリンダ止めようねじ穴で、このシリンダベース上にシリンダ(図示せず)をのせ、裏面からこの穴を用いシリンダをねじ止めする。
【0027】
また、28a、28bは、先に説明したサブシャーシ1上に搭載されたSボート6、Tボート9がテープを引き出す際にガイドするガイド溝である。29,30は、弾性体であるねじりコイルバネで、所定の力でもって予圧を加えた状態でメインシャーシ21上に固定されている。
【0028】
28c、28dは、それぞれSボート6,Tボート9のテープ引き出し状態における位置決め部であり、上記ねじりコイルバネ29,30の力により各ボートが各位置決め部に押圧位置決めされる構成となっている。
【0029】
またガイド溝28a、28bの形状は、図に示すように外形線がボートが摺動する面にて切れ目なく閉じている。また、シリンダ取り付け部28c、28dと、ガイド溝28a、28bと、位置決め部28c、28dとは樹脂一体成形されており、これら全体でシリンダベース28を形成している。従って、シリンダベースの取り付けは前記28cの三点のみで、ガイド溝部28a、28bの周囲には取り付け部は一切設けていない。
【0030】
本発明の磁気記録再生装置において、図1のサブシャーシ側を、図2のメインシャーシ側の上に積み重ねる。図3は、本発明の磁気記録再生装置の平面図であり、カセットを装着する状態の図である。サブシャーシ1は、メインシャーシ21に対し矢印A方向に摺動可能な状態でガイドされている。また、TRアーム2のTRアーム駆動ピン2cは、メインシャーシ21のカム溝21aに摺動可能に契合し、T3アーム10のT3アーム駆動ピン10cはカム溝21cに、Sアーム4のSアーム駆動ピン4cはカム溝21bに、そしてTアーム7のTアーム駆動ピン7bは、カム溝21dに摺動可能に契合している。
【0031】
また、メインシャーシ21にあるモードギア27上のサブシャーシ駆動ピン27bは、サブシャーシ調整板1b(図示せず)の溝穴1aに摺動可能に契合している。
【0032】
以上のように構成された磁気記録再生装置について、図3を用いてその動作を説明する。
【0033】
図3はカセット装着位置の平面図で、各テープ引き出し部材の引き出しポスト2b,6a,9a,10bは全てテープ31aの手前、カセット開講部の中にある。この状態から、モータ23が回転すると、モードギア27が矢印B方向に回転すると、サブシャーシ駆動ピン27bも矢印B方向に回転し、このサブシャーシ駆動ピン27bがサブシャーシ調整板の溝穴1aを駆動し、サブシャーシが矢印A方向に移動する。
【0034】
ここで図4を用いてサブシャーシ1がモードギア27により駆動される動作について説明する。ここでは、サブシャーシ1に固定されているサブシャーシ調整板1bの動作を持ってこれを説明する。
【0035】
図6において、(1)はカセット取り出し位置の状態で、図3と同じ位置の図である。(1)においてサブシャーシ調整板1bの溝穴1aの構成について説明する。溝穴1aは、円弧部“あ”とこれに連続する円弧部“い”と直線部“う”からなる。円弧部“あ”と“い”は、図に見るように反対の方向に凸形状をしている。(2)の状態は、カセットを挿入位置である。(1)と(2)において、サブシャーシ駆動ピン27bは、円弧部“あ”の間を進み27b2の位置に来る。円弧部“あ”は、モードギア27の回転中心27aを中心とする円弧形状であり、サブシャーシ駆動ピン27bの回転円弧と同芯円をしている。そのため、サブシャーシ調整板1bは矢印A方向へ移動しない事となる。これは、カセット取り出し位置と、カセット挿入位置の間では、サブシャーシは停止している必要があり、この間では移動していないことを示している。
【0036】
次にさらにモードギア27が矢印B方向に回転すると、サブシャーシ駆動ピンは、27B3の位置に至り、円弧部“い”に入ってくる((3)参照)。
【0037】
円弧部“い”はこの位置にては、モードギア27と同芯円をしていないため、サブシャーシ調整板1bは、サブシャーシ駆動ピン27b3に押されて矢印A方向に移動している。これは、サブシャーシ(図示せず)が同様に矢印A方向に移動していることを示す。さらにモードギア27が矢印B方向に回転すると、(4)に示すようにサブシャーシ駆動ピンは27b4に至り、溝穴1aの直線部“う”と係合しており、サブシャーシは、矢印A方向に移動を続けている。そしてさらにモードギア27が矢印B方向に回転を続けると(5)に示すようにサブシャーシ駆動ピンは27b5に至り、再び円弧部“い”に入ってくる。(5)の状態に於いては、溝穴“い”部は、サブシャーシ駆動ピン27b5の回転円弧と同芯円をしている。従って、サブシャーシ調整板1bは矢印A方向へ移動せず停止する。
【0038】
この状態は、後に図6にて説明するが、テープカセット内よりテープが引き出された位置にサブシャーシが来た状態でストップ状態という位置である。従って、これ以上サブシャーシは移動できない。一方、モードギアは、これ以降もテープを走行させる位置(プレイモード)を形成するためにさらにB方向に回転する。
【0039】
しかし、先に述べてように、サブシャーシ駆動ピン27b5は、円弧部“い”に有るためサブシャーシ調整板1bは矢印方向に移動せず、(6)の状態、つまりプレイ位置に至る。また、モードギア27が矢印B方向と逆方向に回転した場合、これらとは逆方向の動きで、サブシャーシ調整板は矢印A方向とは逆方向に移動する。
【0040】
このように、単純に回転運動するモードギア27に直接サブシャーシ駆動ピン27を植立させても、サブシャーシ側の溝穴1aの形状を工夫する事により、所定の区間サブシャーシを停止させ、また移動させることができる。さらに、本発明の溝穴1aの溝幅は、サブシャーシ駆動ピン27bの直径と概略同じでよいため、ここに余計な隙間を設けることなく、安定してサブシャーシを駆動することができる。また、余計な部品が介在していないため、駆動力の伝達効率が極めてよく駆動源であるモータ23に対する負担が少なくでき、小型で安価なモータを使用することが出来る。
【0041】
以上サブシャーシの駆動方法を説明した。
【0042】
次に図3から図5、図6とサブシャーシ1が移動し、テープが引き出される動作を説明する。
【0043】
図5は図3からサブシャーシが矢印A方向に若干進んだ状態である。本図において、サブシャーシ駆動ピン27bとサブシャーシ調整板の溝穴1aの位置関係は、先に図4にて説明した様に、モードギア27が矢印B方向に回転し(3)テープ引き出し途中1の位置に来た状態である。図5においては、前述したように各引き出し部材2,4,7,10の各々の駆動ピン2c、4c、7b、10cが、メインシャーシ21のカム溝2a、21b、21c、21dと各々契合しており、これに規制されて各々矢印C,D,E,F方向に回転し、本図の状態まで引き出されている。テープ引き出し部材であるSボート6,Tボート9は、シリンダベース28のガイド溝28a,28bにガイドされ図5の位置まで引き出されている。そしてこの結果、テープは31bの状態まで引き出されている。
【0044】
さらに、モードギア27が矢印B方向に回転し、サブシャーシ1がさらに矢印A方向に移動し、テープ31bがシリンダに巻回し磁気記録再生ができる状態まで来た位置が図6である。図6の状態は、サブシャーシ駆動ピン27bと溝穴1aの位置関係は、図4の(5)ストップ状態に来た状態である。従って図6よりさらにモードギア27が矢印B方向に回転し、ピンチローラ(図示せず)がキャプスタン軸33にテープを押圧し、キャプスタン軸33が回転してーう31Cを駆動する状態(プレイモード)に行こうしても、サブシャーシ1は矢印A方向に移動せずこの位置を保つことができる。
【0045】
また、図6の状態において、テープ引き出し部材である。Sボート6、図2にして示したねじりコイルバネ29(図6には図示せず)によりSアーム4、Sリンク5を介し位置決め部28cに押圧され位置決めされている。同様にTボート9は、ねじりコイルバネ30(図6には図示せず)により、Tアーム9,Tリンク8を介し位置決め部28dに押圧され位置決めされている。この押圧位置決め機構を、図7,図8にて説明する。
【0046】
図7は、図6の要部を抜き出した図である。図7において、Sボート6の押圧位置決め方法について説明する。
【0047】
サブシャーシ1上のSアーム4は、Sアーム駆動ピン4cがメインシャーシ21上のカム溝21bにガイドされながら図7の状態に至る。この状態において、SSアーム駆動ピン4Cはメインシャーシ21上に装着されている弾性体であるねじりコイルバネ29に当接したわませるように構成されている。従ってSアーム7は、ねじりコイルバネ29の力により回転中心29a周りにD方向に回転力を受ける。この力により、Sリンクは矢印D1方向に、Sボート6は矢印D2方向に押圧され、シリンダベース28上に存在する位置決め部28Cに押圧位置決めされテープの引き出しが完了する。同様に、Tボート9も、弾性体であるねじりコイルバネ30によりTアーム7は、ねじりコイルバネ30の力により回転中心30a周りにE方向に回転力を受ける。この力により、Tリンクは矢印E1方向に、Tボート9は矢印E2方向に押圧され、シリンダベース28上に存在する位置決め部28dに押圧位置決めされテープの引き出しが完了する。このようにSボート6、Tボート9の押圧機構としては、メインシャーシ21に弾性体であるねじりコイルバネを固定しておくだけでよく極めて単純な構成で各ボートの位置決め機構が構成されて、部品点数の削減、省スペース化、品質の向上に貢献している。 次に、Sボート6の位置決め機構について、図8を用いて説明する。
【0048】
図8は、Sボート位置決め機構の上面図(1)、側面図(2)、裏面図(3)で、各要素を模式的に描いた図である。図8において、弾性体であるねじりコイルバネ29によりSアームはA方向に付勢され、これによりボート6はボス6bをシリンダベースのガイド溝部28aより下部をSリンク5により押圧される。((2)参照)。また、Sボート6の下部前方には平面方向から見て反円弧状の突起部6dが一体に設けてあり、またシリンダベースのシリンダ近傍(図示せず)の裏面には、その法線がSボート6の進行方向Bとは逆方向で且つ下向きの矢印C方向を向くような斜面が設けてある。
【0049】
次に、図8をもちいてSボートの押圧決め機構の動作について説明する。
【0050】
Sリンク5により下部を押圧されたSボートは、その先端部の突起6dがシリンダベース28の斜面28cに押圧される。これによりSボート全体は矢印B方向に押圧されると同時に、矢印Cそして、Sボート6の下方をB方向に押圧されるため矢印D方向の力も受け、結果として、Sボート6下面6c(3点)はシリンダベース上面28dに沿うこととなる。シリンダベース上面28d、およびSボート下面は精度よく形成されており、これらが当接する事により、Sボート6は精度よくシリンダベース28位置決めされることとなる。このように、Sボート6の一部に一体に突起6dを設け、シリンダベース28側には一体に斜面を設けるという単純な構成により、精度よくテープ引き出し部材であるSボート6を位置決めすることができる。Sボート6の上には、テープ走行上、メインシャーシに対する傾き精度が極めて重要であるテープガイドポストである、S1ポスト6aが植立されてあり、本発明において、極めて簡単な構成で、重要ポストを精度よく位置決めでき、メカニズムの部品点数の削減、小型化のみならず、性能の向上にも貢献する事ができる。
【0051】
そして、図9に示すように、モータからの駆動力の流れをサブシャーシまで一本化し、サブシャーシを移動させることにより各テープ引き出し部材を動かすと言う極めてシンプルな力の流れを実現した。
【0052】
以上のように本実施の形態によれば、ガイド溝28a、28bの形状は、図に示すように外形線がボートが摺動する面にて切れ目なく閉じており、また、シリンダ取り付け部28c、28dと、ガイド溝28a、28bと、位置決め部28c、28dとは樹脂一体成形され留事により、部品点数を削減するとともに、締結部品を削減し、また部品取り付けのための範囲を少なくしローディング部の構成の自由度を向上させることができる。
【0053】
さらには、図2に示すようにメインシャーシの下部が異形をしているが、これは機構部品の点数が減少した結果メインシャーシに余分なスペースが発生し、その部分をカットする事が可能となった結果であり、さらなるメカニズムの小型化を達成する事ができる。
【0054】
なお、以上の説明では、弾性体に29,30のねじりコイルバネを用いたが、板バネ、樹脂バネ等弾性体であれば同様の効果が得られることは自明である。
【0055】
【発明の効果】
以上のように本発明は、シリンダ保持部材と、テープ引き出し部材のガイド部材を一体に形成し、またガイド部材の溝穴部の外形線が、テープ引き出し部材が摺動する上面にて切れ目なく閉じている構成とすることにより、部品点数を削減するとともに、締結部品を削減し、また部品取り付けのための範囲を少なくしローディング部の構成の自由度を向上させることができるという優れた効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態における磁気記録再生装置のサブシャーシの平面図
【図2】本発明の実施の形態における磁気記録再生装置のメインシャーシ平面図
【図3】本発明の実施の形態における磁気記録再生装置のメカニズムの平面図(テープ装着位置)
【図4】本発明の実施の形態におけるサブシャーシの駆動メカニズムの平面図
【図5】本発明の実施の形態における磁気記録再生装置のメカニズムの平面図(テープ引き出し途中)
【図6】本発明の実施の形態における磁気記録再生装置のメカニズムの平面図(テープ引き出し完了位置)
【図7】本発明の実施形態におけるテープ引き出し部材の押圧部構成の平面図
【図8】本発明の実施形態におけるテープ引き出し部材の位置決め方法を示す模式図
【図9】本発明の実施の形態おけるテープ引き出し力の、力の流れ図
【図10】従来の磁気記録再生装置のテープ装着位置を示す平面図
【図11】従来の磁気記録再生装置のテープ引き出し位置を示す平面図
【符号の説明】
1 サブシャーシ
2 TRアーム(テープ引き出し部材)
4 Sアーム
5 Sリンク
6 Sボート(テープ引き出し部材)
7 Tアーム
8 Tリンク
9 Tボート(テープ引き出し部材)
10 T3アーム(テープ引き出し部材)
21 メインシャーシ
21a,21b,21c,21d カム溝
27 モードギア(回転体)
27b サブシャーシ駆動ピン(突起)
31 テープカセット
32 回転ヘッドシリンダ
28 シリンダベース
29、30 ねじりコイルばね(弾性体)
Claims (7)
- テープカセット内からテープを引き出し、シャーシ上に存在する回転ヘッドを搭載する回転ヘッドシリンダに巻回し、前記テープを走行させる事により記録再生を行う磁気記録再生装置で、
前記テープカセットを装着しうる状態をテープ装着状態、
前記テープカセットから前記テープを引き出し前記回転ヘッドシリンダに巻回し前記テープが走行しうる状態をテープ引き出し状態とする時、
前記テープ装着状態においては前記テープカセットの開口部内に存在し、
前記テープ引き出し状態のおいては前記回転ヘッドシリンダ近傍のテープ引き出し位置に移動して、前記テープカセットよりテープを引き出し、前記回転ヘッドシリンダにテープを巻回するテープ引き出し部材と、
前記テープ引き出し部材にはボス部が設けられ、
前記テープ引き出し部材がその上面を摺動し、且つ前記ボス部が係合する溝穴部を持ち、
前記テープカセット開口部内から前記テープ引き出し状態の間を前記テープ引き出し部材が往復しうるよう案内するガイド部材を前記シャーシに設け、
前記ガイド部材の溝穴部の外形線が、前記テープ引き出し部材が摺動する上面にて、切れ目なく閉じていることを特徴とする磁気記録再生装置。 - テープカセット内からテープを引き出し、シャーシ上に存在する回転ヘッドを搭載する回転ヘッドシリンダに巻回し、前記テープを走行させる事により記録再生を行う磁気記録再生装置で、
前記シャーシ上に存在し前記回転ヘッドシリンダを装着するシリンダ保持部材と、
前記シャーシに前記テープカセットが装着される状態を、テープ装着状態、
前記テープカセットから前記テープを引き出し前記回転ヘッドシリンダに前記テープを巻回し前記テープが走行しうる状態を、テープ引き出し状態とする時、
前記テープ装着状態においては、前記テープカセットの開口部内に存在し、 前記テープ引き出し状態のおいては、シリンダ近傍のテープ引き出し位置に移動して前記テープカセットよりテープを引き出し、前記回転ヘッドシリンダにテープを巻回するテープ引き出し部材と、
前記テープ引き出し部材を、前記テープカセット開口部内から前記テープ引き出し位置の間を往復しうる様案内するガイド部材とからなる磁気記録再生装置で、
前記シリンダ保持部材と、前記ガイド部材が一体に形成されたことを特徴とする磁気記録再生装置。 - シリンダ保持部材とガイド部材が、PPS(ポリフェニレンサルファイド)、PES(ポリエーテルスルホン)、PEI(ポリエーテルイミド)、PC(ポリカーボネート)、PA(ポリアミド)、PI(ポリイミド)、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、PPE(変性ポリフェニレンエーテル)、LCP(液晶ポリマー)、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)の樹脂により一体成形されたことを特徴とする請求項2記載の磁気記録再生装置。
- 回転ヘッドシリンダ近傍のテープ引き出し位置においてテープ引き出し部材を位置決めする位置決め部材があって、前記位置決め部材と、ガイド部材と、シリンダ保持部材とが一体形成された事を特徴とする請求項3記載の磁気記録再生装置。
- シリンダ保持部材とガイド部材と位置決め部材とが、PPS(ポリフェニレンサルファイド)、PES(ポリエーテルスルホン)、PEI(ポリエーテルイミド)、PC(ポリカーボネート)、PA(ポリアミド)、PI(ポリイミド)、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、PPE(変性ポリフェニレンエーテル)、LCP(液晶ポリマー)、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)の樹脂により一体成形されたことを特徴とする請求項2記載の磁気記録再生装置。
- テープカセット内からテープを引き出し、シャーシ上に存在する回転ヘッドを搭載する回転ヘッドシリンダに巻回し、前記テープを走行させる事により記録再生を行う磁気記録再生装置で、
前記シャーシ上に存在し前記回転ヘッドシリンダを装着するシリンダ保持部材と、
前記テープカセットを装着しうる状態をテープ装着状態、
前記テープカセットから前記テープを引き出し前記回転ヘッドシリンダに前記テープを巻回し前記テープが走行しうる状態をテープ引き出し状態とする時、
前記テープ装着状態においては、前記テープカセットの開口部内に存在し、 前記テープ引き出し状態のおいては、シリンダ近傍のテープ引き出し位置に移動して前記テープカセットよりテープを引き出し、前記回転ヘッドシリンダにテープを巻回するテープ引き出し部材と、
前記テープ引き出し部材を、前記テープカセット開口部内から前記テープ引き出し位置の間を往復しうる様案内するガイド部材と、
回転ヘッドシリンダ近傍のテープ引き出し位置においてテープ引き出し部材を位置決めする位置決め部材とからなる磁気記録再生装置で、
前記シリンダ保持部材と、前記ガイド部材と、前記位置決め部材とが一体に形成されたことを特徴とする請求項1記載の磁気記録再生装置。 - テープ引き出し部材に設けられたボス部に段差部を設け、前記テープ引き出し部材はU字状のボート板を備え、前記ボス部に回動自在にボート駆動部材を設け、前記ボート駆動部材はレールとボート板との間に設けられ、前記ボス部がガイド部材の溝穴部に挿入された後、前記ボート駆動部材が前記ボス部に挿入された後、前記ボート板が前記ボス部に設けられた段差部に弾性変形させられて係合することにより、前記テープ引き出し部材が前記ガイド部材に対して摺動自在に組み立てられることを特徴とする請求項6記載の磁気記録再生装置。
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