JP2004309982A - 土石流簡易体験装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】土石流独特の臭気を利用しつつ、土石流の発生状況を三次元的な立体映像で見せ、更にその立体映像に合わせた立体音響や振動・衝撃を体験者に体感させて、土石流をリアルに体験させ得る土石流簡易体験装置を提供する。
【解決手段】体験室Rの椅子S1〜S3の正面側に配した映像面1と、該椅子Sに座り偏光メガネGを付けた体験者に対し土石流の発生前後に亘る立体映像を見せるべく映像面1に画像を表示させる映像機器Vと、立体映像に合わせた立体音響を椅子上の体験者に聴かせる立体音響装置STと、立体映像に合わせた振動・衝撃を椅子上の体験者に体感させるように該椅子を駆動し得る椅子駆動装置BSと、立体映像における土石流発生後の所定時期に土石流の匂いを模した所定の臭気を体験室R内に発生、拡散させる臭気発生装置SMと、体験室R内を強制換気するための換気装置VEとを備える。
【選択図】 図1
【解決手段】体験室Rの椅子S1〜S3の正面側に配した映像面1と、該椅子Sに座り偏光メガネGを付けた体験者に対し土石流の発生前後に亘る立体映像を見せるべく映像面1に画像を表示させる映像機器Vと、立体映像に合わせた立体音響を椅子上の体験者に聴かせる立体音響装置STと、立体映像に合わせた振動・衝撃を椅子上の体験者に体感させるように該椅子を駆動し得る椅子駆動装置BSと、立体映像における土石流発生後の所定時期に土石流の匂いを模した所定の臭気を体験室R内に発生、拡散させる臭気発生装置SMと、体験室R内を強制換気するための換気装置VEとを備える。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、土石流を体感させてその恐さを未経験者に模擬体験させるための土石流簡易体験装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
土石流を体感させその恐怖を未経験者に模擬体験させておくことができれば、貴重な体験となり、実際の土石流発生の際に避難を早くしたり或いはその被害を少なくしたりする上で非常に有益であるが、従来では、一般の人に土石流を模擬体験させるための簡易の土石流体験装置は存在しなかった。尚、降雨量に応じた様々な降雨状況や降雨強さを模擬体験可能とした簡易の降雨体験装置は、下記特許文献1により従来公知である。
【0003】
【特許文献1】
特許第2884510号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで土石流の恐怖、すさまじさは、土石流発生の状況を単に平面的な映像と音で表現するだけでは中々、伝えることができない。
【0005】
また土石流を実際に体験したり土石流発生直後の災害現場に行ったことある複数の体験者の話によれば、土石流の発生直後に独特の臭気が現場近くに漂うことが判明したが、これは、土石流の発生の際に樹木と樹木、樹木と岩石や土砂、或いは岩石と岩石等が強くこすれ合ったときの摩擦熱等に起因して発生するらしく、この土石流独特の臭気が腐葉土の匂いをベースとし、これに煙の臭い又は燻した臭いと、腐敗臭又は発酵臭とを付加した匂いであることを本発明者が突きとめた。そして、このような土石流独特の臭気を利用すれば、土石流を体験者によりリアルに体感させることができるであろう。
【0006】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであって、上記の土石流独特の臭気を利用しつつ、土石流発生の状況を三次元的な立体映像で見せ、更にその立体映像に合わせた立体音響や振動・衝撃を体験者に体感させるようにして、土石流をリアルに体験させることができる土石流簡易体験装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1の発明は、人が出入り可能な体験室を内部に形成し車両により運搬可能なハウジングと、その体験室の床面に設置された椅子と、その椅子の正面側に配設された映像面と、前記椅子に座り偏光メガネを装着した体験者に対し少なくとも土石流の発生前後に亘る立体映像を見せるべく前記映像面に画像を表示させる映像機器と、前記立体映像に合わせた立体音響を前記椅子上の体験者に聴かせるための立体音響装置と、前記立体映像に合わせた振動・衝撃を前記椅子上の体験者が体感し得るように該椅子を駆動し得る椅子駆動装置と、前記立体映像における土石流発生後の所定時期に所定の臭気を体験室内に発生、拡散させる臭気発生装置と、体験室内を強制換気するための換気装置とを備えたことを特徴とする。
【0008】
上記請求項1の特徴によれば、体験室の椅子に座り偏光メガネを付けた体験者に対し、土石流の発生前後に亘る三次元的な立体映像を見せることができ、この立体映像における土石流発生後の所定時期に臭気発生装置から、土石流の匂いを模した所定の臭気を体験室内に発生、拡散させることができて、体験者に土石流の匂いをタイミングよく嗅がせることができ、更にその体験者に土石流の立体映像に合わせた立体音響をタイミングよく聴かせると共に、土石流の立体映像に合わせた振動・衝撃を椅子を通して直接、体感させることができるため、視覚、聴覚、臭覚、振動等の体感を全て活用して、土石流をリアルに体験させることができ、実際の土石流発生の際に避難を早くしたり或いはその被害を少なくしたりする上で非常に有益である。更に上記映像が、土石流の発生直後の現場から他の映像に切り替わるのに応じて、臭気発生装置からの前記所定の臭気の発生、拡散を停止させ且つ換気装置を作動開始させるようにすれば、体験室内に残留する上記所定の臭気を速やかに除去することができ、これにより、次回の模擬体験の開始時期を早めて、一回当たりの体験所要時間の短縮を図ることができる。また上記ハウジング内に椅子、映像面、映像機器、立体音響装置、椅子駆動装置、臭気発生装置及び換気装置を一纏めにユニット化でき、その全体を車両で運搬できるため、取り扱いが簡便であるばかりか、本装置を各地に容易に移動でき、多くの人に土石流を簡易に体験させることができる。
【0009】
また請求項2は、前記請求項1の発明の特徴に加えて、前記所定の臭気は、腐葉土の匂いをベースとし、これに煙の臭い又は燻した臭いと、腐敗臭又は発酵臭とを付加した匂いであることを特徴とし、この特徴によれば、実際の土石流の匂いに極力似せた臭気を体験者に嗅がせることができる。
【0010】
また請求項3の発明は、前記請求項1又は2の発明の特徴に加えて、前記臭気発生装置は、前記所定の臭気と、該所定の臭気を消臭するための消臭剤とを体験室に選択的に噴出し得るように構成されていることを特徴とし、この特徴によれば、上記立体映像が、土石流の発生直後の現場から他の映像に切り替わるのに応じて、臭気発生装置からは、前記所定の臭気の発生、拡散を停止させ、それに代えて消臭剤を体験室に噴出させることができるから、この消臭剤が上記所定の臭気を迅速に消臭し得る効果と、換気装置による強制換気効果とが相俟って、体験室内に残留する上記所定の臭気を一層速やかに除去することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を、添付図面に例示した本発明の実施例に基づいて以下に具体的に説明する。
【0012】
添付図面において、図1は、本発明の実施例に係る土石流簡易体験装置の全体縦断面図、図2は、前記土石流簡易体験装置の全体平面図(図1の2−2矢視断面図)、図3は、図1の3−3矢視断面図である。
【0013】
図1〜図3において、土石流簡易体験装置Aは、図示しないトラック等の自走車両の平坦な荷台上に随時に搭載できるよう箱状に形成されたハウジングHを有している。このハウジングH内には、人が出入り可能な体験室Rと、その体験室Rの後側に隔壁Wを挟んで隣接する機械室Mとが画成され、体験室Rへは、ハウジングHの一側面に設けた開閉扉Tを開けて体験者が出入りできるようになっている。ハウジングHの一側面下部には、開閉扉Tに対応してステップHsが一体に連設される。また前記機械室Mへは、ハウジングHの後壁に設けた開閉扉T′を開けて管理者が出入りできるようになっている。尚、体験室R及び機械室Mには各々エアコンACが設けられる。
【0014】
またハウジングH内には、体験室Rの床面に設置された複数の椅子S1〜S3と、その体験室Rの前面(図示例では上半部)、即ち椅子S1〜S3の正面側に設置固定された映像面としてのスクリーン1と、椅子S1〜S3に座る体験者に対し少なくとも土石流の発生前後に亘る立体映像を見せるべく映像面1に画像を表示させる映像機器Vと、前記立体映像に合わせた立体音響を椅子S1〜S3上の体験者に聴かせるための立体音響装置STと、前記立体映像に合わせた振動・衝撃を椅子S1〜S3上の体験者に体感させるように該椅子S1〜S3を駆動し得る椅子駆動装置BSと、前記立体映像における土石流発生後の所定時期に土石流の匂いを模した所定の臭気を体験室R内に発生、拡散させる臭気発生装置SMと、体験室R内を強制換気するための換気装置VEと、以上の各機器V,ST,BS,SM,VEを集中的に制御すべく前記機械室Mに配備される制御装置Cとが配備されており、それらとハウジングHとで本発明の土石流簡易体験装置Aが構成される。
【0015】
各椅子S1〜S3は、各々複数人掛け(図示例では3人掛け)であって、体験室Rの床面に前後に複数列設置されており、スクリーン1に最も近い第1椅子S1が最も低位であり、その後ろの第2椅子S2、更にその後ろの第3椅子S3が順次に高くなるように配設される。
【0016】
各椅子S1〜S3と体験室Rの床面との間には、土石流を映し出す前記立体映像に合わせた振動・衝撃を椅子S1〜S3上の体験者に体感させるように該椅子S1〜S3を駆動し得る椅子駆動装置としてのボディソニック装置BSが配設される。このボディソニック装置BSは、各椅子S1〜S3の底部に連動連結されて各椅子S1〜S3を加振し得る図示しないアクチュエータ(一般にボディソニックスピーカと呼ばれる)を有しており、このアクチュエータに制御装置Cから前記立体映像に合わせた駆動信号を出力することで、該アクチュエータが椅子S1〜S3に前記立体映像に合わせた振動・衝撃を付与し得るようになっている。尚、このようなボディソニック装置の構造自体は、従来周知である。
【0017】
前記映像機器Vは、椅子S1〜S3に座り偏光メガネGを装着した体験者に対し少なくとも土石流の発生前後に亘る立体映像を見せるべく映像面1に画像を表示させるためのものであって、機械室Mに配設される。この映像機器Vとして、本実施例ではレーザーディスクプレーヤ(図示せず)と、それが出力する信号を映像化して、隔壁Wの開口を通してスクリーン1に映写する3Dプロジェクタ等の映写機2とを備え、これら映像機器Vの作動は、前記制御装置Cによりコントロールされる。
【0018】
前記立体音響装置STは、前記立体映像に合わせた立体音響を椅子S1〜S3上の体験者に聴かせるためのものであって、体験室Rの前壁と左右の両側壁に設置されるスピーカ3と、これらスピーカ3に駆動信号を出力すべく機械室Mに配設される4チャンネルアンプ4とを備える。そのアンプ4の作動も、前記制御装置Cによりコントロールされる。
【0019】
前記臭気発生装置SMは、前記立体映像における土石流発生後の所定時期に土石流の匂いを模した所定の臭気を体験室R内に発生、拡散させるためのものであるが、図示例では、前記所定の臭気と、該所定の臭気を消臭するための消臭剤とを体験室Rに選択的に噴出し得るように構成される。
【0020】
臭気発生装置SMは、従来公知の業務用消臭器と同様の構造のものを2個使用し、その1つは、前記所定の臭気の元となる原液を体験室Rに微細な霧状に噴霧し、該臭気の微粒子を体験室R内に積極的に拡散させる機能を持つものであり、またもう1つは、前記消臭剤を同じく体験室Rに微細な霧状に噴霧し、その消臭剤の微粒子を体験室R内に積極的に拡散させる機能を持つものである。前記臭気発生装置SMは、体験室Rの前壁の、スクリーン1直下に配設した収納ボックス5内に収納されており、このボックス5の正面には、該ボックス5内と体験室R内とを連通させるルーバ付き開口5aが設けられる。
【0021】
ところで土石流を実際に体験したり土石流発生直後の災害現場に行ったことある複数の体験者の体験談によれば、土石流の発生直後の一時期に特有の臭気が現場近くに漂うことが判明しており、この臭気は、土石流の発生の際に樹木と樹木、樹木と岩石や土砂、或いは岩石と岩石等が強くこすれ合ったときの摩擦熱等に起因して発生するらしく、この土石流独特の臭気が腐葉土の匂いをベースとし、これに煙の臭い又は燻した臭いと、腐敗臭又は発酵臭とを付加した匂いであることが突きとめられた。従って、本実施例においても、土石流の匂いを模した前記所定の臭気を得るために、腐葉土の匂いをベースとし、これに煙の臭い又は燻した臭いと、腐敗臭又は発酵臭とを付加した匂いを発するような原液を予め調合、用意しておき、この原液を微細な霧状にして前記臭気発生装置SMで体験室Rに噴霧、拡散できるようにするものである。尚、前記臭気発生装置SMの作動も、前記立体映像に合わせて制御装置Cによりコントロールされる。
【0022】
また前記換気装置VEは、ハウジングHの左右両側壁の上部に適宜間隔をおいてそれぞれ配設される複数の換気扇7より構成される。これら換気扇7の作動も、前記立体映像の進行に合わせて制御装置Cによりコントロールされる。
【0023】
機械室Mには、制御装置Cとその操作盤Caが設けられており、この操作盤Caに設けた操作部材をマニュアル操作すれば、前記した各機器V,ST,BS,SM,VEを個別に操作することも可能である。
【0024】
次に前記実施例の作用を説明する。先ず、土石流簡易体験装置Aを車両に搭載して所望の場所まで運搬し、その運搬先の地面等にハウジングHをクレーン等で降ろす。
【0025】
土石流簡易体験装置Aの使用に当たっては先ず、開閉扉Tを開けて、体験希望者を体験室R内に入場させ、各椅子S1〜S3に座らせると共に、偏光メガネGを付けさせる。
【0026】
次に映像機器Vを作動させて、スクリーン1に、土石流の発生前後に亘る現場の状況を三次元的な立体映像で見せる。この場合、本実施例では、単に土石流の発生現場の様子だけでなく、近隣の或る親子4人の家族の様子も実写で映像化しており、その家族の土石流発生前の不安げな様子、近隣の異変(例えば大雨、停電、川の水が無くなる等)により避難所への避難に至るまでの様子、避難所で土石流の発生や家が押し潰されたことを知る様子、早めの避難や日頃の準備、危険箇所の認識等が重要であるかを痛感した様子等がストーリィ化された映像で示されており、そのストーリィの途中で土石流の発生状況等が三次元的(3D)なリアルな映像で体験者に示される。
【0027】
しかも、上記立体映像における土石流発生直後の特定時期(例えば近くの川の上流で土石流が発生し体験者に迫って来たような場面から災害直後の場面にかけて)に臭気発生装置SMから、土石流の匂いを模した所定の臭気を体験室R内に発生、拡散させるようになっているため、体験者に土石流の匂いをタイミングよく嗅がせ、強く印象づけ、記憶に残すことができる。更にその体験者に土石流の上記立体映像に合わせた立体音響を立体音響装置STの各スピーカ4よりタイミングよく聴かせると共に、土石流の立体映像に合わせた振動・衝撃をボディソニック装置BSの椅子S1〜S3を通して直接、体感させることができる。
【0028】
このように体験者の三次元的な視覚、聴覚、臭覚、振動等の体感を全て活用して、土石流について臨場感よくリアルに体験させることができるため、この貴重な体験は、体験者に日頃から豪雨下での土石流の警戒・避難に対する心づもりを持たせると共に、危険箇所の認識、避難ルート、避難手順等への意識を強く持たせることができ、実際の土石流発生の際に避難を早くしたり或いはその被害を少なくしたりする上で非常に有益となる。
【0029】
また上記立体映像が、土石流の発生直後の現場から他の映像に切り替わるのに応じて、臭気発生装置SMからは、前記所定の臭気の発生、拡散を停止させ、それに代えて消臭剤を体験室Rに噴出させるようにし、それと略同時に、換気装置Vの各換気扇7を一斉に作動開始させることができるから、この消臭剤が上記所定の臭気を迅速に消臭し得る効果と、換気装置VEによる強制換気効果とが相俟って、体験室R内に残留する前記所定の臭気を迅速に除去することができ、これにより、次回の模擬体験の開始時期を早めて、一回当たりの体験所要時間の短縮を図ることができる。
【0030】
また上記ハウジングH内に椅子S1〜S3、スクリーン1、映像機器V、立体音響装置ST、椅子駆動装置BS、臭気発生装置SMおよび換気装置VEをひとまとめにユニット化でき、その全体を車両で纏めて運搬できるため、取り扱いが簡便であるばかりか、体験装置Aを各地に容易に移動できて、多くの人に土石流体験を簡易に行わせることができる。
【0031】
以上、本発明の実施例について説明したが、本発明はその実施例に限定されることなく、本発明の範囲内で種々の実施例が可能である。例えば前記実施例では、映像機器Vとしてレーザーディスクプレーヤとその映像信号を、映像面としてのスクリーン1に映写する映写機(3Dプロジェクタ)2とで構成したものを示したが、本発明では、映像面1を大型の液晶モニター又はCRTモニターとし、該モニターに映像を表示させる信号を出力可能なパソコン等を映像機器としてもよい。
【0032】
また前記実施例では、土石流の発生現場の様子だけでなく、近隣の或る家族の、土石流発生の前後に亘る様子もストーリィ化して映像化したものを示したが、本発明では、単に土石流の発生現場の様子だけを三次元的に映像化してもよく、即ち上記家族の様子をストーリィ化した映像は省略可能である。
【0033】
【発明の効果】
以上のように各請求項の発明によれば、体験室の椅子に座り偏光メガネを付けた体験者に対し、土石流の発生前後に亘る三次元的な立体映像を見せることができ、この立体映像における土石流発生後の所定時期に臭気発生装置から、土石流の匂いを模した所定の臭気を体験室内に発生、拡散させることができて、体験者に土石流の匂いをタイミングよく嗅がせることができ、更にその体験者に土石流の立体映像に合わせた立体音響をタイミングよく聴かせると共に、土石流の立体映像に合わせた振動・衝撃を椅子を通して直接、体感させることができるようにしたので、体験者の視覚、聴覚、臭覚、振動等の体感を全て活用して、土石流をリアルに体験させることができ、このリアルな体験は、実際の土石流発生の際に避難を早くしたり或いはその被害を少なくしたりする上で非常に有益となる。更に上記立体映像が、土石流の発生直後の現場から他の映像に切り替わるのに応じて、臭気発生装置からの前記所定の臭気の発生、拡散を停止させ且つ換気装置を作動開始させることにより、体験室内の残留臭気を速やかに除去することができて、次回の模擬体験に早めに備えることができる。また上記ハウジング内に椅子、映像面、映像機器、立体音響装置、椅子駆動装置、臭気発生装置及び換気装置を一纏めにユニット化でき、その全体を車両で運搬できるため、取り扱いが簡便であるばかりか、体験装置を各地に容易に移動し、多くの人に土石流体験を簡易に行わせることができる。
【0034】
また特に請求項2の発明によれば、前記所定の臭気は、腐葉土の匂いをベースとし、これに煙の臭い又は燻した臭いと、腐敗臭又は発酵臭とを付加した匂いとしたので、実際の土石流の匂いに極力似せた臭気を体験者に嗅がせることができる。
【0035】
また特に請求項3の発明によれば、上記映像が、土石流の発生直後の現場から他の映像に切り替わるのに応じて、臭気発生装置からは、前記所定の臭気の発生、拡散を停止させ、それに代えて消臭剤を体験室に噴霧することができるから、この消臭剤が上記所定の臭気を迅速に消臭し得る効果と、換気装置による強制換気効果とが相俟って、体験室内に残留する上記所定の臭気を一層速やかに除去することができ、次回の模擬体験の開始時期を一層早めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に係る土石流簡易体験装置の全体縦断面図
【図2】前記土石流簡易体験装置の全体平面図(図1の2−2矢視断面図)
【図3】図1の3−3矢視断面図
【符号の説明】
A・・・・土石流簡易体験装置
BS・・・ボディソニック装置(椅子駆動装置)
G・・・・偏光メガネ
H・・・・ハウジング
R・・・・体験室
S1〜S3・・第1〜第3椅子
SM・・・臭気発生装置
ST・・・立体音響装置
V・・・・映像機器
VE・・・換気装置
1・・・・映像面
【発明の属する技術分野】
本発明は、土石流を体感させてその恐さを未経験者に模擬体験させるための土石流簡易体験装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
土石流を体感させその恐怖を未経験者に模擬体験させておくことができれば、貴重な体験となり、実際の土石流発生の際に避難を早くしたり或いはその被害を少なくしたりする上で非常に有益であるが、従来では、一般の人に土石流を模擬体験させるための簡易の土石流体験装置は存在しなかった。尚、降雨量に応じた様々な降雨状況や降雨強さを模擬体験可能とした簡易の降雨体験装置は、下記特許文献1により従来公知である。
【0003】
【特許文献1】
特許第2884510号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで土石流の恐怖、すさまじさは、土石流発生の状況を単に平面的な映像と音で表現するだけでは中々、伝えることができない。
【0005】
また土石流を実際に体験したり土石流発生直後の災害現場に行ったことある複数の体験者の話によれば、土石流の発生直後に独特の臭気が現場近くに漂うことが判明したが、これは、土石流の発生の際に樹木と樹木、樹木と岩石や土砂、或いは岩石と岩石等が強くこすれ合ったときの摩擦熱等に起因して発生するらしく、この土石流独特の臭気が腐葉土の匂いをベースとし、これに煙の臭い又は燻した臭いと、腐敗臭又は発酵臭とを付加した匂いであることを本発明者が突きとめた。そして、このような土石流独特の臭気を利用すれば、土石流を体験者によりリアルに体感させることができるであろう。
【0006】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであって、上記の土石流独特の臭気を利用しつつ、土石流発生の状況を三次元的な立体映像で見せ、更にその立体映像に合わせた立体音響や振動・衝撃を体験者に体感させるようにして、土石流をリアルに体験させることができる土石流簡易体験装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1の発明は、人が出入り可能な体験室を内部に形成し車両により運搬可能なハウジングと、その体験室の床面に設置された椅子と、その椅子の正面側に配設された映像面と、前記椅子に座り偏光メガネを装着した体験者に対し少なくとも土石流の発生前後に亘る立体映像を見せるべく前記映像面に画像を表示させる映像機器と、前記立体映像に合わせた立体音響を前記椅子上の体験者に聴かせるための立体音響装置と、前記立体映像に合わせた振動・衝撃を前記椅子上の体験者が体感し得るように該椅子を駆動し得る椅子駆動装置と、前記立体映像における土石流発生後の所定時期に所定の臭気を体験室内に発生、拡散させる臭気発生装置と、体験室内を強制換気するための換気装置とを備えたことを特徴とする。
【0008】
上記請求項1の特徴によれば、体験室の椅子に座り偏光メガネを付けた体験者に対し、土石流の発生前後に亘る三次元的な立体映像を見せることができ、この立体映像における土石流発生後の所定時期に臭気発生装置から、土石流の匂いを模した所定の臭気を体験室内に発生、拡散させることができて、体験者に土石流の匂いをタイミングよく嗅がせることができ、更にその体験者に土石流の立体映像に合わせた立体音響をタイミングよく聴かせると共に、土石流の立体映像に合わせた振動・衝撃を椅子を通して直接、体感させることができるため、視覚、聴覚、臭覚、振動等の体感を全て活用して、土石流をリアルに体験させることができ、実際の土石流発生の際に避難を早くしたり或いはその被害を少なくしたりする上で非常に有益である。更に上記映像が、土石流の発生直後の現場から他の映像に切り替わるのに応じて、臭気発生装置からの前記所定の臭気の発生、拡散を停止させ且つ換気装置を作動開始させるようにすれば、体験室内に残留する上記所定の臭気を速やかに除去することができ、これにより、次回の模擬体験の開始時期を早めて、一回当たりの体験所要時間の短縮を図ることができる。また上記ハウジング内に椅子、映像面、映像機器、立体音響装置、椅子駆動装置、臭気発生装置及び換気装置を一纏めにユニット化でき、その全体を車両で運搬できるため、取り扱いが簡便であるばかりか、本装置を各地に容易に移動でき、多くの人に土石流を簡易に体験させることができる。
【0009】
また請求項2は、前記請求項1の発明の特徴に加えて、前記所定の臭気は、腐葉土の匂いをベースとし、これに煙の臭い又は燻した臭いと、腐敗臭又は発酵臭とを付加した匂いであることを特徴とし、この特徴によれば、実際の土石流の匂いに極力似せた臭気を体験者に嗅がせることができる。
【0010】
また請求項3の発明は、前記請求項1又は2の発明の特徴に加えて、前記臭気発生装置は、前記所定の臭気と、該所定の臭気を消臭するための消臭剤とを体験室に選択的に噴出し得るように構成されていることを特徴とし、この特徴によれば、上記立体映像が、土石流の発生直後の現場から他の映像に切り替わるのに応じて、臭気発生装置からは、前記所定の臭気の発生、拡散を停止させ、それに代えて消臭剤を体験室に噴出させることができるから、この消臭剤が上記所定の臭気を迅速に消臭し得る効果と、換気装置による強制換気効果とが相俟って、体験室内に残留する上記所定の臭気を一層速やかに除去することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を、添付図面に例示した本発明の実施例に基づいて以下に具体的に説明する。
【0012】
添付図面において、図1は、本発明の実施例に係る土石流簡易体験装置の全体縦断面図、図2は、前記土石流簡易体験装置の全体平面図(図1の2−2矢視断面図)、図3は、図1の3−3矢視断面図である。
【0013】
図1〜図3において、土石流簡易体験装置Aは、図示しないトラック等の自走車両の平坦な荷台上に随時に搭載できるよう箱状に形成されたハウジングHを有している。このハウジングH内には、人が出入り可能な体験室Rと、その体験室Rの後側に隔壁Wを挟んで隣接する機械室Mとが画成され、体験室Rへは、ハウジングHの一側面に設けた開閉扉Tを開けて体験者が出入りできるようになっている。ハウジングHの一側面下部には、開閉扉Tに対応してステップHsが一体に連設される。また前記機械室Mへは、ハウジングHの後壁に設けた開閉扉T′を開けて管理者が出入りできるようになっている。尚、体験室R及び機械室Mには各々エアコンACが設けられる。
【0014】
またハウジングH内には、体験室Rの床面に設置された複数の椅子S1〜S3と、その体験室Rの前面(図示例では上半部)、即ち椅子S1〜S3の正面側に設置固定された映像面としてのスクリーン1と、椅子S1〜S3に座る体験者に対し少なくとも土石流の発生前後に亘る立体映像を見せるべく映像面1に画像を表示させる映像機器Vと、前記立体映像に合わせた立体音響を椅子S1〜S3上の体験者に聴かせるための立体音響装置STと、前記立体映像に合わせた振動・衝撃を椅子S1〜S3上の体験者に体感させるように該椅子S1〜S3を駆動し得る椅子駆動装置BSと、前記立体映像における土石流発生後の所定時期に土石流の匂いを模した所定の臭気を体験室R内に発生、拡散させる臭気発生装置SMと、体験室R内を強制換気するための換気装置VEと、以上の各機器V,ST,BS,SM,VEを集中的に制御すべく前記機械室Mに配備される制御装置Cとが配備されており、それらとハウジングHとで本発明の土石流簡易体験装置Aが構成される。
【0015】
各椅子S1〜S3は、各々複数人掛け(図示例では3人掛け)であって、体験室Rの床面に前後に複数列設置されており、スクリーン1に最も近い第1椅子S1が最も低位であり、その後ろの第2椅子S2、更にその後ろの第3椅子S3が順次に高くなるように配設される。
【0016】
各椅子S1〜S3と体験室Rの床面との間には、土石流を映し出す前記立体映像に合わせた振動・衝撃を椅子S1〜S3上の体験者に体感させるように該椅子S1〜S3を駆動し得る椅子駆動装置としてのボディソニック装置BSが配設される。このボディソニック装置BSは、各椅子S1〜S3の底部に連動連結されて各椅子S1〜S3を加振し得る図示しないアクチュエータ(一般にボディソニックスピーカと呼ばれる)を有しており、このアクチュエータに制御装置Cから前記立体映像に合わせた駆動信号を出力することで、該アクチュエータが椅子S1〜S3に前記立体映像に合わせた振動・衝撃を付与し得るようになっている。尚、このようなボディソニック装置の構造自体は、従来周知である。
【0017】
前記映像機器Vは、椅子S1〜S3に座り偏光メガネGを装着した体験者に対し少なくとも土石流の発生前後に亘る立体映像を見せるべく映像面1に画像を表示させるためのものであって、機械室Mに配設される。この映像機器Vとして、本実施例ではレーザーディスクプレーヤ(図示せず)と、それが出力する信号を映像化して、隔壁Wの開口を通してスクリーン1に映写する3Dプロジェクタ等の映写機2とを備え、これら映像機器Vの作動は、前記制御装置Cによりコントロールされる。
【0018】
前記立体音響装置STは、前記立体映像に合わせた立体音響を椅子S1〜S3上の体験者に聴かせるためのものであって、体験室Rの前壁と左右の両側壁に設置されるスピーカ3と、これらスピーカ3に駆動信号を出力すべく機械室Mに配設される4チャンネルアンプ4とを備える。そのアンプ4の作動も、前記制御装置Cによりコントロールされる。
【0019】
前記臭気発生装置SMは、前記立体映像における土石流発生後の所定時期に土石流の匂いを模した所定の臭気を体験室R内に発生、拡散させるためのものであるが、図示例では、前記所定の臭気と、該所定の臭気を消臭するための消臭剤とを体験室Rに選択的に噴出し得るように構成される。
【0020】
臭気発生装置SMは、従来公知の業務用消臭器と同様の構造のものを2個使用し、その1つは、前記所定の臭気の元となる原液を体験室Rに微細な霧状に噴霧し、該臭気の微粒子を体験室R内に積極的に拡散させる機能を持つものであり、またもう1つは、前記消臭剤を同じく体験室Rに微細な霧状に噴霧し、その消臭剤の微粒子を体験室R内に積極的に拡散させる機能を持つものである。前記臭気発生装置SMは、体験室Rの前壁の、スクリーン1直下に配設した収納ボックス5内に収納されており、このボックス5の正面には、該ボックス5内と体験室R内とを連通させるルーバ付き開口5aが設けられる。
【0021】
ところで土石流を実際に体験したり土石流発生直後の災害現場に行ったことある複数の体験者の体験談によれば、土石流の発生直後の一時期に特有の臭気が現場近くに漂うことが判明しており、この臭気は、土石流の発生の際に樹木と樹木、樹木と岩石や土砂、或いは岩石と岩石等が強くこすれ合ったときの摩擦熱等に起因して発生するらしく、この土石流独特の臭気が腐葉土の匂いをベースとし、これに煙の臭い又は燻した臭いと、腐敗臭又は発酵臭とを付加した匂いであることが突きとめられた。従って、本実施例においても、土石流の匂いを模した前記所定の臭気を得るために、腐葉土の匂いをベースとし、これに煙の臭い又は燻した臭いと、腐敗臭又は発酵臭とを付加した匂いを発するような原液を予め調合、用意しておき、この原液を微細な霧状にして前記臭気発生装置SMで体験室Rに噴霧、拡散できるようにするものである。尚、前記臭気発生装置SMの作動も、前記立体映像に合わせて制御装置Cによりコントロールされる。
【0022】
また前記換気装置VEは、ハウジングHの左右両側壁の上部に適宜間隔をおいてそれぞれ配設される複数の換気扇7より構成される。これら換気扇7の作動も、前記立体映像の進行に合わせて制御装置Cによりコントロールされる。
【0023】
機械室Mには、制御装置Cとその操作盤Caが設けられており、この操作盤Caに設けた操作部材をマニュアル操作すれば、前記した各機器V,ST,BS,SM,VEを個別に操作することも可能である。
【0024】
次に前記実施例の作用を説明する。先ず、土石流簡易体験装置Aを車両に搭載して所望の場所まで運搬し、その運搬先の地面等にハウジングHをクレーン等で降ろす。
【0025】
土石流簡易体験装置Aの使用に当たっては先ず、開閉扉Tを開けて、体験希望者を体験室R内に入場させ、各椅子S1〜S3に座らせると共に、偏光メガネGを付けさせる。
【0026】
次に映像機器Vを作動させて、スクリーン1に、土石流の発生前後に亘る現場の状況を三次元的な立体映像で見せる。この場合、本実施例では、単に土石流の発生現場の様子だけでなく、近隣の或る親子4人の家族の様子も実写で映像化しており、その家族の土石流発生前の不安げな様子、近隣の異変(例えば大雨、停電、川の水が無くなる等)により避難所への避難に至るまでの様子、避難所で土石流の発生や家が押し潰されたことを知る様子、早めの避難や日頃の準備、危険箇所の認識等が重要であるかを痛感した様子等がストーリィ化された映像で示されており、そのストーリィの途中で土石流の発生状況等が三次元的(3D)なリアルな映像で体験者に示される。
【0027】
しかも、上記立体映像における土石流発生直後の特定時期(例えば近くの川の上流で土石流が発生し体験者に迫って来たような場面から災害直後の場面にかけて)に臭気発生装置SMから、土石流の匂いを模した所定の臭気を体験室R内に発生、拡散させるようになっているため、体験者に土石流の匂いをタイミングよく嗅がせ、強く印象づけ、記憶に残すことができる。更にその体験者に土石流の上記立体映像に合わせた立体音響を立体音響装置STの各スピーカ4よりタイミングよく聴かせると共に、土石流の立体映像に合わせた振動・衝撃をボディソニック装置BSの椅子S1〜S3を通して直接、体感させることができる。
【0028】
このように体験者の三次元的な視覚、聴覚、臭覚、振動等の体感を全て活用して、土石流について臨場感よくリアルに体験させることができるため、この貴重な体験は、体験者に日頃から豪雨下での土石流の警戒・避難に対する心づもりを持たせると共に、危険箇所の認識、避難ルート、避難手順等への意識を強く持たせることができ、実際の土石流発生の際に避難を早くしたり或いはその被害を少なくしたりする上で非常に有益となる。
【0029】
また上記立体映像が、土石流の発生直後の現場から他の映像に切り替わるのに応じて、臭気発生装置SMからは、前記所定の臭気の発生、拡散を停止させ、それに代えて消臭剤を体験室Rに噴出させるようにし、それと略同時に、換気装置Vの各換気扇7を一斉に作動開始させることができるから、この消臭剤が上記所定の臭気を迅速に消臭し得る効果と、換気装置VEによる強制換気効果とが相俟って、体験室R内に残留する前記所定の臭気を迅速に除去することができ、これにより、次回の模擬体験の開始時期を早めて、一回当たりの体験所要時間の短縮を図ることができる。
【0030】
また上記ハウジングH内に椅子S1〜S3、スクリーン1、映像機器V、立体音響装置ST、椅子駆動装置BS、臭気発生装置SMおよび換気装置VEをひとまとめにユニット化でき、その全体を車両で纏めて運搬できるため、取り扱いが簡便であるばかりか、体験装置Aを各地に容易に移動できて、多くの人に土石流体験を簡易に行わせることができる。
【0031】
以上、本発明の実施例について説明したが、本発明はその実施例に限定されることなく、本発明の範囲内で種々の実施例が可能である。例えば前記実施例では、映像機器Vとしてレーザーディスクプレーヤとその映像信号を、映像面としてのスクリーン1に映写する映写機(3Dプロジェクタ)2とで構成したものを示したが、本発明では、映像面1を大型の液晶モニター又はCRTモニターとし、該モニターに映像を表示させる信号を出力可能なパソコン等を映像機器としてもよい。
【0032】
また前記実施例では、土石流の発生現場の様子だけでなく、近隣の或る家族の、土石流発生の前後に亘る様子もストーリィ化して映像化したものを示したが、本発明では、単に土石流の発生現場の様子だけを三次元的に映像化してもよく、即ち上記家族の様子をストーリィ化した映像は省略可能である。
【0033】
【発明の効果】
以上のように各請求項の発明によれば、体験室の椅子に座り偏光メガネを付けた体験者に対し、土石流の発生前後に亘る三次元的な立体映像を見せることができ、この立体映像における土石流発生後の所定時期に臭気発生装置から、土石流の匂いを模した所定の臭気を体験室内に発生、拡散させることができて、体験者に土石流の匂いをタイミングよく嗅がせることができ、更にその体験者に土石流の立体映像に合わせた立体音響をタイミングよく聴かせると共に、土石流の立体映像に合わせた振動・衝撃を椅子を通して直接、体感させることができるようにしたので、体験者の視覚、聴覚、臭覚、振動等の体感を全て活用して、土石流をリアルに体験させることができ、このリアルな体験は、実際の土石流発生の際に避難を早くしたり或いはその被害を少なくしたりする上で非常に有益となる。更に上記立体映像が、土石流の発生直後の現場から他の映像に切り替わるのに応じて、臭気発生装置からの前記所定の臭気の発生、拡散を停止させ且つ換気装置を作動開始させることにより、体験室内の残留臭気を速やかに除去することができて、次回の模擬体験に早めに備えることができる。また上記ハウジング内に椅子、映像面、映像機器、立体音響装置、椅子駆動装置、臭気発生装置及び換気装置を一纏めにユニット化でき、その全体を車両で運搬できるため、取り扱いが簡便であるばかりか、体験装置を各地に容易に移動し、多くの人に土石流体験を簡易に行わせることができる。
【0034】
また特に請求項2の発明によれば、前記所定の臭気は、腐葉土の匂いをベースとし、これに煙の臭い又は燻した臭いと、腐敗臭又は発酵臭とを付加した匂いとしたので、実際の土石流の匂いに極力似せた臭気を体験者に嗅がせることができる。
【0035】
また特に請求項3の発明によれば、上記映像が、土石流の発生直後の現場から他の映像に切り替わるのに応じて、臭気発生装置からは、前記所定の臭気の発生、拡散を停止させ、それに代えて消臭剤を体験室に噴霧することができるから、この消臭剤が上記所定の臭気を迅速に消臭し得る効果と、換気装置による強制換気効果とが相俟って、体験室内に残留する上記所定の臭気を一層速やかに除去することができ、次回の模擬体験の開始時期を一層早めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に係る土石流簡易体験装置の全体縦断面図
【図2】前記土石流簡易体験装置の全体平面図(図1の2−2矢視断面図)
【図3】図1の3−3矢視断面図
【符号の説明】
A・・・・土石流簡易体験装置
BS・・・ボディソニック装置(椅子駆動装置)
G・・・・偏光メガネ
H・・・・ハウジング
R・・・・体験室
S1〜S3・・第1〜第3椅子
SM・・・臭気発生装置
ST・・・立体音響装置
V・・・・映像機器
VE・・・換気装置
1・・・・映像面
Claims (3)
- 人が出入り可能な体験室(R)を内部に形成し車両により運搬可能なハウジング(H)と、その体験室(R)の床面に設置された椅子(S1〜S3)と、その椅子(S1〜S3)の正面側に配設された映像面(1)と、前記椅子(S1〜S3)に座り偏光メガネ(G)を装着した体験者に対し少なくとも土石流の発生前後に亘る立体映像を見せるべく前記映像面(1)に画像を表示させる映像機器(V)と、前記立体映像に合わせた立体音響を前記椅子(S1〜S3)上の体験者に聴かせるための立体音響装置(ST)と、前記立体映像に合わせた振動・衝撃を前記椅子(S1〜S3)上の体験者に体感させるように該椅子(S1〜S3)を駆動し得る椅子駆動装置(BS)と、前記立体映像における土石流発生後の所定時期に土石流の匂いを模した所定の臭気を体験室(R)内に発生、拡散させる臭気発生装置(SM)と、体験室(R)内を強制換気するための換気装置(VE)とを備えたことを特徴とする、土石流簡易体験装置。
- 前記所定の臭気は、腐葉土の匂いをベースとし、これに煙の臭い又は燻した臭いと、腐敗臭又は発酵臭とを付加した匂いであることを特徴とする、請求項1に記載の土石流簡易体験装置。
- 前記臭気発生装置(SM)は、前記所定の臭気と、該所定の臭気を消臭するための消臭剤とを体験室(R)に選択的に噴出し得るように構成されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の土石流簡易体験装置。
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- 2003-04-10 JP JP2003106819A patent/JP2004309982A/ja active Pending
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