JP2004309545A - プラズマディスプレイ装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】プラズマディスプレイ装置において、パネルと保持板との分離を容易に行えるようにすることを目的とする。
【解決手段】少なくとも前面側が透明な一対の基板を基板間に放電空間が形成されるように対向配置しかつ複数の放電セルを有するパネル10と、このパネル10が接着材17を介在させて保持される金属製のシャーシ部材14と、このシャーシ部材14の背面側に配置されかつ放熱板20aに前記パネル10に表示信号を供給するための半導体素子を実装して構成したデータドライバー20とを備え、前記接着材17の一部を前記シャーシ部材14から露出させ、その接着材17に前記データドライバー20の放熱板20aを接着した。
【選択図】 図9
【解決手段】少なくとも前面側が透明な一対の基板を基板間に放電空間が形成されるように対向配置しかつ複数の放電セルを有するパネル10と、このパネル10が接着材17を介在させて保持される金属製のシャーシ部材14と、このシャーシ部材14の背面側に配置されかつ放熱板20aに前記パネル10に表示信号を供給するための半導体素子を実装して構成したデータドライバー20とを備え、前記接着材17の一部を前記シャーシ部材14から露出させ、その接着材17に前記データドライバー20の放熱板20aを接着した。
【選択図】 図9
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、大画面で、薄型、軽量のディスプレイ装置として知られているプラズマディスプレイ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、プラズマディスプレイ装置は、視認性に優れた表示パネル(薄型表示デバイス)として注目されており、高精細化および大画面化が進められている。
【0003】
このプラズマディスプレイ装置には、大別して、駆動的にはAC型とDC型があり、放電形式では面放電型と対向放電型の2種類があるが、高精細化、大画面化および製造の簡便性から、現状では、AC型で面放電型のプラズマディスプレイ装置が主流を占めるようになってきている。
【0004】
このようなプラズマディスプレイ装置においては、ガラスが主材料のパネルとアルミニウムなどの金属製の保持板との接着をアクリル系、ウレタン系、またはシリコン系材料からなる両面接着材を用いて、または熱伝導シートを介在させて固定していた(特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】
特許第2807672号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
このようなプラズマディスプレイ装置においては、パネルとシャーシ部材とは、輸送中や使用中に脱落してはならず、またパネルで発生した熱を効率よくシャーシ部材に伝えるためには、パネルとシャーシ部材とを全体的に密着させて接着する必要がある。
【0007】
一方、ディスプレイがなんらかのトラブルで故障し、廃棄するときにリサイクルするためには、金属であるシャーシ部材とガラスであるパネルとの分離が必要である。
【0008】
しかし、パネルとシャーシ部材は、輸送中や使用中に脱落してはならず、また熱伝導シートの使用時も熱効率の観点からより強固に接着されており、そのため、パネルとシャーシ部材の分離は、まずパネルを粉々にして、そのガラス片をキサゲなどで少しずつシャーシ部材から除去しなければならなく、この分離作業は非常に時間と手間がかかるものであった。
【0009】
本発明はこのような問題を解決するもので、パネルと保持板との分離を容易に行えるようにすることを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明のプラズマディスプレイ装置は、熱伝導性部材の一部を前記保持板から露出させ、その熱伝導性部材に駆動回路ブロックの放熱板を接着したものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
すなわち、本発明の請求項1記載の発明は、少なくとも前面側が透明な一対の基板を基板間に放電空間が形成されるように対向配置しかつ複数の放電セルを有するパネルと、このパネルが熱伝導性部材を介在させて保持される金属製の保持板と、この保持板の背面側に配置されかつ放熱板に前記パネルに表示信号を供給するための半導体素子を実装して構成した駆動回路ブロックとを備え、前記熱伝導性部材の一部を前記保持板から露出させ、その熱伝導性部材に前記駆動回路ブロックの放熱板を接着したものである。
【0012】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1において、熱伝導性部材は延伸剥離式の接着材としたものである。
【0013】
以下、本発明の一実施の形態によるプラズマディスプレイ装置について、図1〜図9を用いて説明するが、本発明の実施の態様はこれに限定されるものではない。
【0014】
図1にプラズマディスプレイ装置におけるパネルの構造を示している。図1に示すように、ガラス基板などの透明な前面側の基板1上には、走査電極と維持電極とで対をなすストライプ状の表示電極2が複数列形成され、そしてその電極群を覆うように誘電体層3が形成され、その誘電体層3上には保護膜4が形成されている。
【0015】
また、前記前面側の基板1に対向配置される背面側の基板5上には、走査電極及び維持電極の表示電極2と交差するように、オーバーコート層6で覆われた複数列のストライプ状のデータ電極7が形成されている。このデータ電極7間のオーバーコート層6上には、データ電極7と平行に複数の隔壁8が配置され、この隔壁8間の側面およびオーバーコート層6の表面に蛍光体層9が設けられている。
【0016】
これらの基板1と基板5とは、走査電極および維持電極の表示電極2とデータ電極7とがほぼ直交するように、微小な放電空間を挟んで対向配置されるとともに、周囲が封止され、そして前記放電空間には、ヘリウム、ネオン、アルゴン、キセノンのうちの一種または混合ガスが放電ガスとして封入されている。また、放電空間は、隔壁8によって複数の区画に仕切ることにより、表示電極2とデータ電極7との交点が位置する複数の放電セルが設けられ、その各放電セルには、赤色、緑色及び青色となるように蛍光体層9が一色ずつ順次配置されている。
【0017】
図2にこのプラズマディスプレイパネルの電極配列を示している。図2に示すように走査電極および維持電極とデータ電極とは、M行×N列のマトリックス構成であり、行方向にはM行の走査電極SCN1〜SCNMおよび維持電極SUS1〜SUSMが配列され、列方向にはN列のデータ電極D1〜DNが配列されている。
【0018】
このような電極構成のプラズマディスプレイパネルにおいては、データ電極と走査電極の間に書き込みパルスを印加することにより、データ電極と走査電極の間でアドレス放電を行い、放電セルを選択した後、走査電極と維持電極との間に、交互に反転する周期的な維持パルスを印加することにより、走査電極と維持電極との間で維持放電を行い、所定の表示を行うものである。
【0019】
図3に上記で説明した構造のパネルを組み込んだプラズマディスプレイ装置の全体構成の一例を示している。図において、パネル10を収容する筐体は、前面枠11と金属製のバックカバー12とから構成され、前面枠11の開口部には光学フィルターおよびパネル10の保護を兼ねたガラス等からなる前面カバー13が配置されている。また、この前面カバー13には電磁波の不要輻射を抑制するために、例えば銀蒸着が施されている。さらに、バックカバー12には、パネル10等で発生した熱を外部に放出するための複数の通気孔12aが設けられている。
【0020】
前記パネル10は、アルミニウム等からなる放熱板を兼ねた保持板としてのシャーシ部材14の前面に熱伝導性部材である延伸剥離接着材(図示せず)を介して接着することにより保持され、そしてシャーシ部材14の後面側には、パネル10を表示駆動させるための複数の回路ブロック15が取り付けられている。前記熱伝導性接着材は、パネル10で発生した熱をシャーシ部材14に効率よく伝え、放熱を行うためのものである。また、回路ブロック15はパネル10の表示駆動とその制御を行うための電気回路を備えており、パネル10の縁部に引き出された電極引出部に、シャーシ部材14の四辺の縁部を越えて延びる複数のフレキシブル配線板(図示せず)によって電気的に接続されている。
【0021】
また、シャーシ部材14の後面には、回路ブロック15を取り付けたり、バックカバー12を固定するためのボス部14aがダイカスト等による一体成型により突設されている。なお、このシャーシ部材14は、アルミニウム平板に固定ピンを固定して構成してもよい。
【0022】
図4〜図7に本発明の一実施の形態によるプラズマディスプレイ装置の主要部を示している。図において、10はパネルであり、このパネル10は、上述したように前面パネルを構成する基板1と背面パネルを構成する基板5とを重ね合わせ、周縁部をフリットガラスによる接合材10aで封着することにより構成されている。16はパネル10と回路ブロック15とを接続するためのフレキシブル配線板である。
【0023】
17はパネル10をシャーシ部材14に接着して保持するための上述した延伸剥離式の接着材で、熱伝導性が良好なアクリル系、シリコン系の合成樹脂材料により構成されている。この延伸剥離式の接着材は、かなり伸縮性に富み、感圧接着層を有するもので、フックやハンガーなどの物体を壁に着脱自在に装着する場合など広範囲のさまざまな用途に使用されている。この延伸剥離式の接着材17は、パネル10とシャーシ部材14との間に配設し、押圧力を加えて硬化させることで、パネル10とシャーシ部材14とを接着し、また接着材17を引っ張ることで、接着材17の幅方向に歪みが発生して、この歪みによって接着力が大幅に減少して剥離するもので、この延伸剥離式の接着材は、弾性に富んだ基材の両面に感圧接着層を形成したものや、感圧接着層のみで構成されるものがある。
【0024】
また、この接着材17は、図5に示すように、パネル10とシャーシ部材14の間に蛇行した形状に塗布することにより配設され、しかもパネル10とシャーシ部材14の間からその一部を数ミリから数センチ程度食み出させ、表出部17aが設けられている。すなわち、パネル10を保持板であるシャーシ部材14から分離するときは、図5、図6に示すように、パネル10の端部より表出した表出部17aをもって、接着材17を引っ張ればよく、これにより接着材17の接着力が減少し、容易にパネル10とシャーシ部材14を分離することができる。
【0025】
図7にパネルとシャーシ部材を接着する場合の製造工程の一例を示しており、以下その説明を行う。
【0026】
まず、図7(a)に示すように、パネル10はプレス装置の下金型18上に位置決めして設置し、一方図7(b)に示すように、シャーシ部材14のパネル接着面側に延伸剥離式の熱伝導性の接着材17を塗布することにより配設する。なお、パネル10の背面側には、パネル10の内部空間の排気及び放電ガスの封入を行うためのチップ管10bが配置されている。
【0027】
その後、パネル10を下側にした状態で、シャーシ部材14の接着材17を配設した側が下面側となるようにシャーシ部材14を反転させ、図7(c)に示すように、パネル10にシャーシ部材14をアライメントを行いながら重ね合わせる。
【0028】
次に、図7(d)に示すように、上金型19によってシャーシ部材14上から押圧力を加えながら、上金型19に配置したヒーター(図示せず)により加熱して接着材17を硬化させることにより、パネル10とシャーシ部材14とを接着材17により接着する。図7(e)はパネル10とシャーシ部材14とを接着した後、回路ブロック15を取り付けた状態を示している。
【0029】
ここで、上記図7では、シャーシ部材14側に接着材17を塗布する例で説明したが、図8に示すようにパネル10のシャーシ部材14が接着される背面側に接着材17を塗布するようにしてもよい。
【0030】
また、上記のようにシャーシ部材14に接着材17を塗布する場合は、パネル10を加熱しておくことにより、図7(d)のように上金型19によってシャーシ部材14上から押圧力を加えながら、加熱して接着材17を硬化させるときに、短時間で接着材17を硬化させることができる。なお、図8のように、パネル10側に接着材17を塗布する場合は、シャーシ部材14を加熱するようにすればよい。
【0031】
図9は本発明によるプラズマディスプレイ装置において、フレキシブル配線板と回路ブロックとの接続部分の詳細構成の一例を示す断面図である。図9において、20はパネル10のデータ電極に表示信号を供給するための駆動回路ブロックとしてのデータドライバーで、放熱板20aにパネル10に表示信号を供給するための半導体素子(図示せず)を実装することにより構成され、フレキシブル配線板16によってパネル10と接続されるとともに、回路ブロック15とデータドライバー20のフレキシブル配線板20bによって接続されている。
【0032】
また、このデータドライバー20の放熱板20aは、シャーシ部材14から露出させた接着材17の表出部17a上に接着され、これによりデータドライバー20が配置されており、データドライバー20で発生した熱も熱伝導性の良好な接着材17を通して放熱されるように構成している。
【0033】
なお、図9において、11aは前面カバー13を前面枠11に取り付けるための取付け具、13aはパネル10と前面カバー13との間に配置されるスペーサである。
【0034】
すなわち、本実施の形態においては、パネル10の熱をシャーシ部材14に伝熱する接着材17の一部を露出させ、その表出部17aにデータドライバー20の放熱板20aを接着してデータドライバー20を配置したもので、データドライバー20の熱も効果的に放熱させることができる。
【0035】
また、本実施の形態によれば、延伸剥離式の熱伝導性の接着材17をパネル10とシャーシ部材14の間に蛇行した形状に配設し、しかもパネル10とシャーシ部材14の間からその一部を食み出させておくことにより、パネル10を保持板であるシャーシ部材14から分離するとき、パネル10の端部より表出した表出部17aをもって、接着材17を引っ張ることにより接着材17の接着力が減少し、容易にパネル10とシャーシ部材14を分離することができる。
【0036】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明にかかるプラズマディスプレイ装置によれば、廃棄時などにパネルと保持板の分離を容易に行うことができ、製品のリサイクルに十分対応することができ、しかも駆動回路ブロックで発生する熱を効果的に放熱することができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態によるプラズマディスプレイ装置のパネル構造を示す斜視図
【図2】同パネルの電気配線図
【図3】プラズマディスプレイ装置の内部構成を示す分解斜視図
【図4】同プラズマディスプレイ装置の接着構造を示す概略断面図
【図5】同じく接着材の配置状況を示す平面図
【図6】接着材を剥離する場合の状況を示す概略断面図
【図7】同プラズマディスプレイ装置において、パネルとシャーシ部材を接着する場合の工程を示す概略工程図
【図8】同じく要部の工程の他の例を示す概略図
【図9】同プラズマディスプレイ装置の要部の構造を示す概略断面図
【符号の説明】
10 パネル
14 シャーシ部材
17 接着材
17a 表出部
20 データドライバー
20a 放熱板
【発明の属する技術分野】
本発明は、大画面で、薄型、軽量のディスプレイ装置として知られているプラズマディスプレイ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、プラズマディスプレイ装置は、視認性に優れた表示パネル(薄型表示デバイス)として注目されており、高精細化および大画面化が進められている。
【0003】
このプラズマディスプレイ装置には、大別して、駆動的にはAC型とDC型があり、放電形式では面放電型と対向放電型の2種類があるが、高精細化、大画面化および製造の簡便性から、現状では、AC型で面放電型のプラズマディスプレイ装置が主流を占めるようになってきている。
【0004】
このようなプラズマディスプレイ装置においては、ガラスが主材料のパネルとアルミニウムなどの金属製の保持板との接着をアクリル系、ウレタン系、またはシリコン系材料からなる両面接着材を用いて、または熱伝導シートを介在させて固定していた(特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】
特許第2807672号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
このようなプラズマディスプレイ装置においては、パネルとシャーシ部材とは、輸送中や使用中に脱落してはならず、またパネルで発生した熱を効率よくシャーシ部材に伝えるためには、パネルとシャーシ部材とを全体的に密着させて接着する必要がある。
【0007】
一方、ディスプレイがなんらかのトラブルで故障し、廃棄するときにリサイクルするためには、金属であるシャーシ部材とガラスであるパネルとの分離が必要である。
【0008】
しかし、パネルとシャーシ部材は、輸送中や使用中に脱落してはならず、また熱伝導シートの使用時も熱効率の観点からより強固に接着されており、そのため、パネルとシャーシ部材の分離は、まずパネルを粉々にして、そのガラス片をキサゲなどで少しずつシャーシ部材から除去しなければならなく、この分離作業は非常に時間と手間がかかるものであった。
【0009】
本発明はこのような問題を解決するもので、パネルと保持板との分離を容易に行えるようにすることを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明のプラズマディスプレイ装置は、熱伝導性部材の一部を前記保持板から露出させ、その熱伝導性部材に駆動回路ブロックの放熱板を接着したものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
すなわち、本発明の請求項1記載の発明は、少なくとも前面側が透明な一対の基板を基板間に放電空間が形成されるように対向配置しかつ複数の放電セルを有するパネルと、このパネルが熱伝導性部材を介在させて保持される金属製の保持板と、この保持板の背面側に配置されかつ放熱板に前記パネルに表示信号を供給するための半導体素子を実装して構成した駆動回路ブロックとを備え、前記熱伝導性部材の一部を前記保持板から露出させ、その熱伝導性部材に前記駆動回路ブロックの放熱板を接着したものである。
【0012】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1において、熱伝導性部材は延伸剥離式の接着材としたものである。
【0013】
以下、本発明の一実施の形態によるプラズマディスプレイ装置について、図1〜図9を用いて説明するが、本発明の実施の態様はこれに限定されるものではない。
【0014】
図1にプラズマディスプレイ装置におけるパネルの構造を示している。図1に示すように、ガラス基板などの透明な前面側の基板1上には、走査電極と維持電極とで対をなすストライプ状の表示電極2が複数列形成され、そしてその電極群を覆うように誘電体層3が形成され、その誘電体層3上には保護膜4が形成されている。
【0015】
また、前記前面側の基板1に対向配置される背面側の基板5上には、走査電極及び維持電極の表示電極2と交差するように、オーバーコート層6で覆われた複数列のストライプ状のデータ電極7が形成されている。このデータ電極7間のオーバーコート層6上には、データ電極7と平行に複数の隔壁8が配置され、この隔壁8間の側面およびオーバーコート層6の表面に蛍光体層9が設けられている。
【0016】
これらの基板1と基板5とは、走査電極および維持電極の表示電極2とデータ電極7とがほぼ直交するように、微小な放電空間を挟んで対向配置されるとともに、周囲が封止され、そして前記放電空間には、ヘリウム、ネオン、アルゴン、キセノンのうちの一種または混合ガスが放電ガスとして封入されている。また、放電空間は、隔壁8によって複数の区画に仕切ることにより、表示電極2とデータ電極7との交点が位置する複数の放電セルが設けられ、その各放電セルには、赤色、緑色及び青色となるように蛍光体層9が一色ずつ順次配置されている。
【0017】
図2にこのプラズマディスプレイパネルの電極配列を示している。図2に示すように走査電極および維持電極とデータ電極とは、M行×N列のマトリックス構成であり、行方向にはM行の走査電極SCN1〜SCNMおよび維持電極SUS1〜SUSMが配列され、列方向にはN列のデータ電極D1〜DNが配列されている。
【0018】
このような電極構成のプラズマディスプレイパネルにおいては、データ電極と走査電極の間に書き込みパルスを印加することにより、データ電極と走査電極の間でアドレス放電を行い、放電セルを選択した後、走査電極と維持電極との間に、交互に反転する周期的な維持パルスを印加することにより、走査電極と維持電極との間で維持放電を行い、所定の表示を行うものである。
【0019】
図3に上記で説明した構造のパネルを組み込んだプラズマディスプレイ装置の全体構成の一例を示している。図において、パネル10を収容する筐体は、前面枠11と金属製のバックカバー12とから構成され、前面枠11の開口部には光学フィルターおよびパネル10の保護を兼ねたガラス等からなる前面カバー13が配置されている。また、この前面カバー13には電磁波の不要輻射を抑制するために、例えば銀蒸着が施されている。さらに、バックカバー12には、パネル10等で発生した熱を外部に放出するための複数の通気孔12aが設けられている。
【0020】
前記パネル10は、アルミニウム等からなる放熱板を兼ねた保持板としてのシャーシ部材14の前面に熱伝導性部材である延伸剥離接着材(図示せず)を介して接着することにより保持され、そしてシャーシ部材14の後面側には、パネル10を表示駆動させるための複数の回路ブロック15が取り付けられている。前記熱伝導性接着材は、パネル10で発生した熱をシャーシ部材14に効率よく伝え、放熱を行うためのものである。また、回路ブロック15はパネル10の表示駆動とその制御を行うための電気回路を備えており、パネル10の縁部に引き出された電極引出部に、シャーシ部材14の四辺の縁部を越えて延びる複数のフレキシブル配線板(図示せず)によって電気的に接続されている。
【0021】
また、シャーシ部材14の後面には、回路ブロック15を取り付けたり、バックカバー12を固定するためのボス部14aがダイカスト等による一体成型により突設されている。なお、このシャーシ部材14は、アルミニウム平板に固定ピンを固定して構成してもよい。
【0022】
図4〜図7に本発明の一実施の形態によるプラズマディスプレイ装置の主要部を示している。図において、10はパネルであり、このパネル10は、上述したように前面パネルを構成する基板1と背面パネルを構成する基板5とを重ね合わせ、周縁部をフリットガラスによる接合材10aで封着することにより構成されている。16はパネル10と回路ブロック15とを接続するためのフレキシブル配線板である。
【0023】
17はパネル10をシャーシ部材14に接着して保持するための上述した延伸剥離式の接着材で、熱伝導性が良好なアクリル系、シリコン系の合成樹脂材料により構成されている。この延伸剥離式の接着材は、かなり伸縮性に富み、感圧接着層を有するもので、フックやハンガーなどの物体を壁に着脱自在に装着する場合など広範囲のさまざまな用途に使用されている。この延伸剥離式の接着材17は、パネル10とシャーシ部材14との間に配設し、押圧力を加えて硬化させることで、パネル10とシャーシ部材14とを接着し、また接着材17を引っ張ることで、接着材17の幅方向に歪みが発生して、この歪みによって接着力が大幅に減少して剥離するもので、この延伸剥離式の接着材は、弾性に富んだ基材の両面に感圧接着層を形成したものや、感圧接着層のみで構成されるものがある。
【0024】
また、この接着材17は、図5に示すように、パネル10とシャーシ部材14の間に蛇行した形状に塗布することにより配設され、しかもパネル10とシャーシ部材14の間からその一部を数ミリから数センチ程度食み出させ、表出部17aが設けられている。すなわち、パネル10を保持板であるシャーシ部材14から分離するときは、図5、図6に示すように、パネル10の端部より表出した表出部17aをもって、接着材17を引っ張ればよく、これにより接着材17の接着力が減少し、容易にパネル10とシャーシ部材14を分離することができる。
【0025】
図7にパネルとシャーシ部材を接着する場合の製造工程の一例を示しており、以下その説明を行う。
【0026】
まず、図7(a)に示すように、パネル10はプレス装置の下金型18上に位置決めして設置し、一方図7(b)に示すように、シャーシ部材14のパネル接着面側に延伸剥離式の熱伝導性の接着材17を塗布することにより配設する。なお、パネル10の背面側には、パネル10の内部空間の排気及び放電ガスの封入を行うためのチップ管10bが配置されている。
【0027】
その後、パネル10を下側にした状態で、シャーシ部材14の接着材17を配設した側が下面側となるようにシャーシ部材14を反転させ、図7(c)に示すように、パネル10にシャーシ部材14をアライメントを行いながら重ね合わせる。
【0028】
次に、図7(d)に示すように、上金型19によってシャーシ部材14上から押圧力を加えながら、上金型19に配置したヒーター(図示せず)により加熱して接着材17を硬化させることにより、パネル10とシャーシ部材14とを接着材17により接着する。図7(e)はパネル10とシャーシ部材14とを接着した後、回路ブロック15を取り付けた状態を示している。
【0029】
ここで、上記図7では、シャーシ部材14側に接着材17を塗布する例で説明したが、図8に示すようにパネル10のシャーシ部材14が接着される背面側に接着材17を塗布するようにしてもよい。
【0030】
また、上記のようにシャーシ部材14に接着材17を塗布する場合は、パネル10を加熱しておくことにより、図7(d)のように上金型19によってシャーシ部材14上から押圧力を加えながら、加熱して接着材17を硬化させるときに、短時間で接着材17を硬化させることができる。なお、図8のように、パネル10側に接着材17を塗布する場合は、シャーシ部材14を加熱するようにすればよい。
【0031】
図9は本発明によるプラズマディスプレイ装置において、フレキシブル配線板と回路ブロックとの接続部分の詳細構成の一例を示す断面図である。図9において、20はパネル10のデータ電極に表示信号を供給するための駆動回路ブロックとしてのデータドライバーで、放熱板20aにパネル10に表示信号を供給するための半導体素子(図示せず)を実装することにより構成され、フレキシブル配線板16によってパネル10と接続されるとともに、回路ブロック15とデータドライバー20のフレキシブル配線板20bによって接続されている。
【0032】
また、このデータドライバー20の放熱板20aは、シャーシ部材14から露出させた接着材17の表出部17a上に接着され、これによりデータドライバー20が配置されており、データドライバー20で発生した熱も熱伝導性の良好な接着材17を通して放熱されるように構成している。
【0033】
なお、図9において、11aは前面カバー13を前面枠11に取り付けるための取付け具、13aはパネル10と前面カバー13との間に配置されるスペーサである。
【0034】
すなわち、本実施の形態においては、パネル10の熱をシャーシ部材14に伝熱する接着材17の一部を露出させ、その表出部17aにデータドライバー20の放熱板20aを接着してデータドライバー20を配置したもので、データドライバー20の熱も効果的に放熱させることができる。
【0035】
また、本実施の形態によれば、延伸剥離式の熱伝導性の接着材17をパネル10とシャーシ部材14の間に蛇行した形状に配設し、しかもパネル10とシャーシ部材14の間からその一部を食み出させておくことにより、パネル10を保持板であるシャーシ部材14から分離するとき、パネル10の端部より表出した表出部17aをもって、接着材17を引っ張ることにより接着材17の接着力が減少し、容易にパネル10とシャーシ部材14を分離することができる。
【0036】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明にかかるプラズマディスプレイ装置によれば、廃棄時などにパネルと保持板の分離を容易に行うことができ、製品のリサイクルに十分対応することができ、しかも駆動回路ブロックで発生する熱を効果的に放熱することができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態によるプラズマディスプレイ装置のパネル構造を示す斜視図
【図2】同パネルの電気配線図
【図3】プラズマディスプレイ装置の内部構成を示す分解斜視図
【図4】同プラズマディスプレイ装置の接着構造を示す概略断面図
【図5】同じく接着材の配置状況を示す平面図
【図6】接着材を剥離する場合の状況を示す概略断面図
【図7】同プラズマディスプレイ装置において、パネルとシャーシ部材を接着する場合の工程を示す概略工程図
【図8】同じく要部の工程の他の例を示す概略図
【図9】同プラズマディスプレイ装置の要部の構造を示す概略断面図
【符号の説明】
10 パネル
14 シャーシ部材
17 接着材
17a 表出部
20 データドライバー
20a 放熱板
Claims (2)
- 少なくとも前面側が透明な一対の基板を基板間に放電空間が形成されるように対向配置しかつ複数の放電セルを有するパネルと、このパネルが熱伝導性部材を介在させて保持される金属製の保持板と、この保持板の背面側に配置されかつ放熱板に前記パネルに表示信号を供給するための半導体素子を実装して構成した駆動回路ブロックとを備え、前記熱伝導性部材の一部を前記保持板から露出させ、その熱伝導性部材に前記駆動回路ブロックの放熱板を接着したことを特徴とするプラズマディスプレイ装置。
- 熱伝導性部材が延伸剥離式の接着材である請求項1に記載のプラズマディスプレイ装置。
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-
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