JP2004309175A - 制御命令入力装置、制御命令入力方法及びプログラム - Google Patents
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Abstract
【課題】頭部に装着するレーザポインタ等のポインタと三次元位置角度センサシステムを利用した目標位置を計測するための制御命令入力装置及び方法。
【解決手段】使用者は、頭部に装着したレーザポインタ1により、計測したい机上位置を指示する。位置角度センサシステム2は、レシーバA5及びB6、トランスミッタ4により検出されたそれぞれの位置及び姿勢を入力し、処理に必要なそれぞれの座標系での位置座標及び姿勢角度を計測処理し、PC3に出力する。PC3は、位置角度センサシステム2に接続され、目標位置座標を求める処理等の各種処理を実行する。PC3は、机上での作業を想定し、リーチングの目標位置を机上平面上の点とすれば、机上平面とレーザポインタ1の光線(直線)との交点として目標位置を求めることができる。
【選択図】 図1
【解決手段】使用者は、頭部に装着したレーザポインタ1により、計測したい机上位置を指示する。位置角度センサシステム2は、レシーバA5及びB6、トランスミッタ4により検出されたそれぞれの位置及び姿勢を入力し、処理に必要なそれぞれの座標系での位置座標及び姿勢角度を計測処理し、PC3に出力する。PC3は、位置角度センサシステム2に接続され、目標位置座標を求める処理等の各種処理を実行する。PC3は、机上での作業を想定し、リーチングの目標位置を机上平面上の点とすれば、机上平面とレーザポインタ1の光線(直線)との交点として目標位置を求めることができる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、制御命令入力装置及び方法に係り、特に、運動機能に障害がある者が各種命令を入力するための制御命令入力装置及び方法に関する。
【0002】
本発明は、目標位置座標等の各種の制御命令を入力するための装置及び方法であって、機能的電気刺激(Functional Electrical Stimulation、以下FES)システム関連に限定されるものではないが、FESシステムに関連して、例えば、上肢運動機能麻痺者がFESシステムを使用して机上で作業する場合、任意の位置への手先リーチングを獲得する制御命令入力装置及び方法に適用することができる。FESと関連して、頭部を利用して制御命令をシステムに与えることは、四肢麻痺者の動作再建、又は、片麻痺者が両手を使う動作を再建するとき、などに必要になる。
【0003】
さらに、本発明は、リーチングに限定されるものではないが、リーチングに関係して、
・手を伸ばす目標位置の検出
・現在の手の位置の検出
・障害物の検出等に利用することができる。
【0004】
その他、本発明は、四肢のいずれかに障害のある方が、環境制御機器、パソコン等の各種機器を操作するようなシステムに応用が可能である。
【0005】
【従来の技術】
脊髄損傷や脳卒中などにより失われた運動機能を再建する方法としてFESがあり、これまでに、その臨床的有効性が示されてきた。臨床応用されている現在のFESシステムでは、患者がシステムを操作する際に、残存する機能を使ってスイッチ等を操作し、運動機能を再建する。しかし、患者の残存機能は運動機能麻痺等のために限られており、特に、四肢麻痺者や、FESで両手を使った運動機能を再建したい片麻痺者等では、利用できる残存機能は肩や頭部等にある機能に制限される。日常生活動作(activities of living、ADL)の補助におけるFESの実用性を向上させるためには、上述の点を解決する必要がある。
【0006】
FESシステムの操作の方法については、スイッチ操作的な方法についてのものがいくつか報告されている(非特許文献1〜3、6〜10)。
【0007】
【非特許文献1】
N. Hoshimiya, A. Naito, M. Yajima and Y. Handa, ”A multichannel FES system for the restoration of motor functions in high spinal cord injury patients: a respiration−controlled system for multijoint upper extremity,” IEEE Trans. Biomed. Eng., vol.36, no.7, pp.754−760, July 1989.
【非特許文献2】
半田 勉,亀山順一,高橋博達,半田康延,星宮 望,”筋電制御式機能的電気刺激システムの開発とその臨床応用”,バイオメカニズム11,pp.285−292, 1992.
【非特許文献3】
M.W. Johnson, P.H. Peckham, ”Evaluation of shoulder movement as a command control source,” IEEE Trans. Biomed. Eng., vol.37, no.9, pp.876−885, Sept. 1990.
【非特許文献4】
有野恵子,渡辺高志,大庭茂男,二見亮弘,星宮 望,半田康延,“任意のリーチングを再建するFESシステムの構築に関する基礎的検討,” 信学技報, MBE98−137, 1999.
【非特許文献5】
安西昭裕,渡辺高志,村上 肇,二見亮弘,星宮 望,半田康延,“任意のFES手先リーチング再建のための目標検出に関する検討,” 信学技報, MBE2001−164, 2002.
【非特許文献6】
J.R. Buckett, P.H. Peckham, G.B. Thrope, S.D. Braswell and M.W.Keith, “A flexible, portable system for neuromuscular stimulation in the paralyzed upper extremity,” IEEE Trans. Biomed. Eng., vol.35, no.11, pp.897−904, Nov. 1988.
【非特許文献7】
真狩弘夫,村上 肇,渡辺高志,星宮 望,半田康延,“機能的電気刺激(FES)システムの制御命令としての耳介動作の検討,” 医用電子と生体工学,Vol.32, No.2, pp.121−128, 1994.
【非特許文献8】
村上 肇,森田健司,渡辺高志,星宮 望,半田康延,“機能的電気刺激(FES)システムの制御命令としての舌動作の検討,” 医用電子と生体工学, Vol.33, No.4, pp.365−369, 1995.
【非特許文献9】
古瀬則夫,渡辺高志,二見亮弘,星宮 望,半田康延,“運動機能麻痺者の残存運動機能を用いた制御命令入力システム,” 医用電子と生体工学,Vol.37,No.2,pp.152−160, 1999.
【非特許文献10】
渡邉高志,山岸史歩,村上 肇,古瀬則夫,星宮 望,“FESを使用する片麻痺者のための下肢動作からの人工神経回路による制御命令検出,” 電子情報通信学会論文誌,Vol.J86−D−II, No.2, pp.371−375, 2003.
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の制御命令入力方法は、入力できる制御命令数が少ないことや、拡張性に乏しく特定の用途にしか利用できないことや、使用の際のキャリブレーション等の設定が必要なこと等の課題がある。
【0009】
そこで、本発明者らは、再建する動作を使用者が少しでも自由に決定できるようにする方法を開発してきた。これまでに、任意の位置への手先のリーチングを再建することに着目し、リーチング目標位置の取得法、リーチングの手先軌道の生成法を検討してきた(例えば、非特許文献4、5参照)。上肢の動作は、リーチングと手の動作との組合せで実現されることが多いので、リーチングは上肢の動作において基本的かつ重要であるといえる。実際、リーチング位置を自由に変更することが可能になれば、文字を書く際の紙の押さえ、机上物体の把持などを運動機能麻痺者が自分で容易に行えるようになるので、日常生活動作(ADL)の補助におけるFESの実用性が大きく改善される。
【0010】
しかしながら、従来の目標位置の計測では、目標位置センサシステムを使用する際に、条件によってはキャリブレーションを必要としており、設定や操作に手間がかかり、必ずしも簡単に使用することはできなかった。すなわち、従来は、例えば、目標位置センサシステムをセットした後の最初の使用時、机上レシーバが移動した場合、使用する都度など、センサシステムと机上座標系との対応付けが必要であった。
【0011】
本発明は、以上の点に鑑み、頭部に装着するレーザポインタ等のポインタと三次元位置角度センサシステムを利用して、システムの製作時又は設定時にキャリブレーションを行うだけで、使用の際にはキャリブレーションを必要としない、操作性のよい目標位置を計測するための制御命令入力装置及び方法を提供することを目的とする。また、本発明は、机上の位置座標、及び、障害物や把持対象となる机上の物体の高さを計測するための制御命令入力装置及び方法を提供することを目的とする。
【0012】
また、本発明は、使用者が移動した場合でも簡便に使用でき、実用的である制御命令入力装置及び方法を提供することを目的とする。さらに、本発明は、片麻痺者や車椅子を使用する四肢麻痺者が机上で作業することを想定し、任意の位置へのリーチングの再建を実現するために、机上のリーチングの目標位置、すなわち、手先を移動させる机上位置座標を計測する制御命令入力装置及び方法を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
基準座標系における位置及び姿勢の基準を定めるための信号を発生する基準設定部と、
第1座標系のひとつの座標平面と測定面とが平行になるように測定面上に配置され、第1の座標系で前記基準設定部からの信号を受信する第1検出部と、
測定面上の目標位置を指示するポインタと、
前記ポインタと一体化され、第2の座標系で前記基準設定部からの信号を受信する第2検出部と、
前記基準設定部、前記第1及び第2検出部の検出データを入力及び処理し、基準座標系での前記第1及び第2検出部の位置及び姿勢を測定する位置角度センサシステムと、
前記位置角度センサシステムの測定データに基づき、前記ポインタが指示した基準座標での測定面上の目標位置座標を測定する処理部とを備え、
前記処理部は、
前記第1及び第2検出部の基準座標系での位置座標及び姿勢角度を前記位置角度センサシステムにより計測する手段と、
得られた姿勢角度に基づき、第1座標系から基準座標系へ変換する第1回転行列と、第2座標系から基準座標系へ変換する第2回転行列を求める手段と、
測定面に対する法線ベクトルTNを、第1回転行列を用いて求める手段と、
前記ポインタの基準座標系での方向ベクトルTULを、前記第2検出部の第2座標系での方向ベクトルと、第2回転行列とを用いて求める手段と、
前記ポインタの基準座標系での位置ベクトルTPL0を、前記第2検出部の基準座標系での位置ベクトルと、前記ポインタの第2座標系での位置と、第2回転行列とを用いて求める手段と、
求められた法線ベクトルTNと方向ベクトルTULと位置ベクトルTPL0とに基づき、測定面上での前記ポインタにより指示された目標位置座標を計算する手段と、を有する制御命令入力装置が提供される。
【0014】
本発明の第2の解決手段によると、
基準座標系における位置及び姿勢の基準を定めるための信号を発生する基準設定部と、
第1座標系のひとつの座標平面と測定面とが平行になるように測定面上に配置され、第1の座標系で前記基準設定部からの信号を受信する第1検出部と、
測定面上の目標位置を指示するポインタと、
前記ポインタと一体化され、第2の座標系で前記基準設定部からの信号を受信する第2検出部と、
前記基準設定部、前記第1及び第2検出部の検出データを入力及び処理し、基準座標系での前記第1及び第2検出部の位置及び姿勢を測定する位置角度センサシステムと、
前記位置角度センサシステムの測定データに基づき、前記ポインタが指示した基準座標での測定面上の目標位置座標を測定する処理部と
を備えた制御命令入力装置における制御命令入力方法又はプログラムであって、前記処理部が、前記第1及び第2検出部の基準座標系での位置座標及び姿勢角度を前記位置角度センサシステムにより計測するステップと、
前記処理部が、得られた姿勢角度に基づき、第1座標系から基準座標系へ変換する第1回転行列と、第2座標系から基準座標系へ変換する第2回転行列を求めるステップと、
前記処理部が、測定面に対する法線ベクトルTNを、第1回転行列を用いて求めるステップと、
前記処理部が、前記ポインタの基準座標系での方向ベクトルTULを、前記第2検出部の第2座標系での方向ベクトルと、第2回転行列とを用いて求めるステップと、
前記処理部が、前記ポインタの基準座標系での位置ベクトルTPL0を、前記第2検出部の基準座標系での位置ベクトルと、前記ポインタの第2座標系での位置と、第2回転行列とを用いて求めるステップと、
前記処理部が、求められた法線ベクトルTNと方向ベクトルTULと位置ベクトルTPL0とに基づき、測定面上での前記ポインタにより指示された目標位置座標を計算するステップと、を含む制御命令入力方法、及び、これら各ステップをコンピュータに実行させるための制御命令入力プログラムが提供される。
【0015】
【発明の実施の形態】
1.制御命令入力装置
1.1 目標位置座標計測システム
図1に、制御命令入力装置の構成図を示す。この図は、本実施の形態による机上の目標位置座標計測システムの概略を示す。本実施の形態では、制御命令として、机上でポインタにより指示したときの目標位置座標を例に説明するが、これに限らず、適宜のデータの入力に本実施の形態を適用することができる。
【0016】
制御命令入力装置を備えた目標位置計測システムは、レーザポインタ1と、位置角度センサシステム2と、パーソナルコンピュータ(PC)3と、トランスミッタ(基準設定部)4と、レシーバA(第1検出部)5と、レシーバB(第2検出部)6とを備える。
【0017】
レーザポインタ1は、各種レーザが用いられ、目標位置を指示する。ここでは、レーザ光源によるポインタを例に示すが、レーザ以外の適宜のポインタを用いることができる。トランスミッタ4は、例えば発信コイルを含むことができる。レシーバA5及びレシーバB6は、それぞれ受信コイルを有することができる。
【0018】
トランスミッタ4は、基準座標系の基準点(原点)に配置され、位置座標センサシステム2からの指示により、位置座標及び姿勢(例:オイラー角)を検出する際の基準を作るために磁界を発生する。レシーバA5、B6は、トランスミッタ4が発生した磁界を検出して、位置座標センサシステム2へ出力する。
【0019】
位置角度センサシステム2は、目標位置を推定するために、磁気式又はジャイロ式等で三次元の頭部や机の位置及び角度(姿勢)を計測する。位置角度センサシステム2は、レシーバA5及びB6の検出信号に基づき、トランスミッタ4の座標系(これを、T座標系(基準座標)と呼ぶ。)での、レシーバA5及びB6の三次元位置座標とオイラー角を計測する。本実施の形態では、一例として、位置角度センサシステム2に磁気式のものを使用したが、同様の情報を計測可能なセンサシステムであればこれに限定されない。
【0020】
図2は、PC3の構成図を示す。PC3は、中央処理装置(CPU)である処理部31、入力部32、出力部33、表示部34、記憶部35及びインターフェース(I/F)部36を有する。また、これら各部は、スター又はバス等の適宜の接続手段で接続されている。記憶部35は、位置角度センサシステム2から入力された位置座標及び姿勢角度の測定データ、計算された目標位置等の各種データを記憶する。
【0021】
使用者は、頭部に装着したレーザポインタ1により、計測したい机上位置を指示する。位置角度センサシステム2は、レシーバA5及びB6、トランスミッタ4により検出されたそれぞれの位置及び姿勢を入力し、処理に必要なそれぞれの座標系での位置座標及び姿勢角度を計測処理し、PC3に出力する。PC3は、位置角度センサシステム2に接続され、目標位置座標を求める処理等の各種処理を実行する。PC3は、例えば机上7での作業を想定し、リーチングの目標位置を机上平面上の点とすれば、机上平面とレーザポインタ1の光線(直線)との交点として目標位置を求めることができる。
【0022】
2.制御命令入力処理
2.1 目標位置計測処理
図3に、目標位置座標計測の説明図を示す。以下では、目標位置座標計測の原理について、位置角度センサシステムを用いた計測システムの場合について説明する。
【0023】
まず、位置角度センサシステム2のレシーバB6をレーザポインタ1と一体型にする。使用者は、これを頭部にバンドで装着する。位置角度センサシステム2のトランスミッタは使用者が座る椅子に固定する。机上平面の方程式を得るために、レシーバA5を机上に配置する。この配置において、T座標系で考えれば、机上に配置したレシーバA5のT座標系での位置ベクトルTPA及び机上平面に対する法線ベクトルTNから、机上平面内の任意の点のT座標系での位置ベクトルTPは次式により求まる。
TN・(TP−TPA)=0 (1)
【0024】
また、レーザポインタ1の光線上の任意の点TPLは、レーザポインタ1の位置ベクトルTPL0、レーザポインタ1の光線の方向ベクトルTULから次式となる。
TPL=TPL0+cTUL (2)
ここで、cは実数である。
【0025】
レーザポインタ1により指示される机上の点は、TPL=TPとなるので、式(1)、式(2)より次式が得られる。
【0026】
【数1】
【0027】
よって、指示された机上の点は、式(3)を式(2)に代入して次式により求まる。
【0028】
【数2】
【0029】
T座標系での机上平面に対する法線ベクトルTNは、机上レシーバA5の座標系(これを、A座標系と呼ぶ)のxy平面と机上平面とが平行になるようにレシーバA5を配置し、z軸とTNとを平行にすれば、A座標系での点Akz=(0,0,1)t(ここで、t:転置、列ベクトルを表す。)を用いて、次式で求まる。
TN=T ARAkZ (5)
ここで、T ARは、A座標系からT座標系への回転行列を表し、位置角度センサシステム2により計測されたレシーバA5のオイラー角(アジマス角ψ、エレベーション角θ、ロール角φ)を用いると次式になる。
【0030】
【数3】
ここで、C:cos、S:sinを表す。
【0031】
T座標系でのレーザポインタ1の光線の方向ベクトルTULは、レーザポインタ1と一体型にしたレシーバB6の座標系(B座標系)での方向ベクトルBULを用いて次式で求められる。
TUL=T BRBUL (7)
T BRは、B座標系からT座標系への回転行列である。B座標系での光線の方向ベクトルBULは、レーザポインタ1とレシーバを一体型にして製作することにより既知となり、固定ベクトルとして与えられる。本実施の形態の実験で用いたB座標系での光線の方向ベクトルBULについては後述する。
【0032】
B座標系でのレーザポインタ1の位置ベクトルBPL0も、レーザポインタ1とレシーバB6を一体型にして製作することにより既知になる。後述の本実施の形態の実験では、レーザポインタ1を2つのレシーバで挟み、それらの位置座標中間への位置ベクトルとしてBPL0を実験的に計測し、定ベクトルBPL0=(−0.995,0.005,1.496)tとした。これにより、T座標系でのレーザポインタ1の位置ベクトルTPL0は次式により求まる。
TPL0=T BRBPL0+TPB (8)
【0033】
以上により、机上平面内の任意の点TPは、位置角度センサシステムにより計測されるレシーバA5、B6の三次元位置座標及びオイラー角により決定される。
【0034】
図4に、机上目標位置座標を計測するためのフローチャートを示す。
机上目標位置座標の計測処理が開始されると、PC3(処理部31)は、位置角度センサシステム2により計測された、B座標系でのレーザポインタ1の位置座標BPL0、光線の方向ベクトルBULを入力部32等により設定する(S101)。なお、PC3がこれら初期設定をするかわりに位置角度センサシステム2に直接設定してもよい。これらの値(ベクトル)は、目標位置座標計測システムの製作時に決定されており、既知である。PC3は、位置角度センサシステム2により、レシーバA5及びレシーバB6のそれぞれの三次元位置座標(TPA、TPB)及びオイラー角の計測を行い、そのデータを入力する(S103)。
PC3は、測定されたレシーバA5及びレシーバB6のそれぞれのオイラー角に基づき、式(6)に従って、A座標系をT座標系に変換する行列T AR、B座標系をT座標系に変換する行列T BRを計算する。(S105)。
【0035】
PC3は、以上の各ステップで得られた、BPL0、BUL、TPA、TPB、T AR、T BRに基づき、式(8)を用いてT座標系でのレーザポインタ1の位置座標TPL0、を計算し、式(7)を用いて光線の方向ベクトルTULの計算する(S107)。また、PC3は、式(5)に従って、机上平面に対する法線ベクトルをT座標系でのベクトルTNに変換する(S107)。さらに、PC3は、式(4)に従って、机上目標位置TPの計算を行う(S109)。
【0036】
PC3は、位置座標取得命令が有るか無いかを判断する(S111)。ここで、位置情報取得命令は、使用者によるスイッチ操作や随意動作や、PC3の入力部等の適宜の入力手段により指示入力される。随意動作としては、例えば、うなずく等の頭部を上下する動作、頭部を横に振る動作等の特徴的動作が挙げられる。頭部に装着したレシーバB6は、その特徴的動作を検出し、さらに位置角度センサシステム2がその検出信号を解析することにより、PC3は位置情報取得命令を指示入力することができる。位置情報取得命令が有る場合、PC3は、位置角度センサシステム2により目標位置座標の取得を行い、目標位置座標を記憶部35等の適宜のメモリに記憶する(S113)。位置情報取得命令が無い場合、ステップS115に移る。PC3は、終了命令が有るか無いかを判断する(S115)。終了命令が有る場合は机上目標位置座標取得を終了し、一方、終了命令が無い場合はステップS117に移る。ここで、終了命令も、使用者によるスイッチ操作や随意動作などでトランスミッタ4や、PC3の入力部等の適宜の入力手段により指示入力される。つぎに、位置角度センサシステム2は、計測時間になったかどうかを判断し(S117)、計測時間になるまで待ち、計測時間になったら、ステップS103に戻り計測処理を繰り返す。なお、PC3は、所定のタイミングで、測定された各データ、目標位置座標を適宜記憶部35に記憶したり、出力部33又は表示部34に出力することができる。
【0037】
2.2 物体の高さの計測
図5に、物体の高さ計測方法の概略図を示す。便宜上、A座標系でのベクトルを用いて説明する。最初に、位置角度センサシステム2は、物体の下部をレーザポインタ1で指示したときのレーザポインタ1の光線の方向ベクトルAUL、光線と机上平面との交点の位置ベクトルAS1を取得する。次に、位置角度センサシステム2は、物体の上部を指示したときのレーザポインタ1の光線の方向ベクトルAUL、光線と机上平面との交点の位置ベクトルAS2を取得する。物体の上部を指示したときの光線の方向ベクトルAULと机上平面の法線ベクトルAkZ=(0,0,1)tから光線と机のなす角αを算出し、次式により物体の高さhを求めることができる。
【0038】
【数4】
【0039】
3.目標計測法の実験的評価
計測精度を実験的に評価したところ、目標位置を安定に指示できる装置を使用した実験、健常被験者での実験の結果から、試作した計測システムでも10mm程度以下の精度で目標の位置や物体の高さを計測でき、FESシステムで利用するのにほぼ十分であることが確認された。
【0040】
3.1 実験方法
3.1.1 目標位置の設定と光線の方向ベクトルの取得
図6に、評価実験のための机上目標位置の概要図を示す。●は目標指示点、◇は高さを計測する際に物体を置いた位置を示す。
【0041】
机上に設置したレシーバAの原点、x軸、y軸を用いて机上平面上の座標系(A座標系)を設定した。指示する目標位置は、A座標系をもとに机上に100mm間隔で20点用意され(図●印)、レシーバAが目標点No.20上になるように設定した。
【0042】
レーザポインタ1(例:W26×D90×H15mm,約28g)と位置角度センサシステム2のレシーバB6(例:W28.3×D22.9×H15.2mm,約17g)を一体型に固定し、また、目標点を安定に指示できるように、木製の目標指示装置を製作した。そして、目標指示装置を設置した椅子を机のほぼ正面に配置し、目標位置No.9をレーザポインタ1で安定に指示した状態で5s間(サンプリング周期50ms)計測を行い、各座標系間の回転行列、レシーバA5、B6の位置座標の5s間の平均を求めた。B座標系での光線の方向ベクトルBULは、このときのレーザポインタ1の位置ベクトルBPL0とレーザポインタ1で指示した机上の点の位置ベクトルBPNo9から次式により求めた。
TPNo9=T ARAPNo9+TPA
この計測により得られた光線の方向ベクトルBULは、x成分で規格化してBUL=(1.0,−0.034346,−0.011254)tとなった。
【0043】
実験では、A座標系をもとに目標位置を設定したので、本手法により得られたT座標系での位置座標TPを次式によりA座標系での位置座標APに変換して評価した。
AP=A TR(TP−TPA)=T AR−1(TP−TPA)
【0044】
3.1.2 目標指示装置による目標位置の指示
目標指示装置を椅子に設置し、目標位置20点をNo.1〜20まで順にレーザポインタ1で安定に指示し、各点を5s間ずつ計測した(サンプリング周期50ms)。位置角度センサシステム2の計測結果から、回転行列、レシーバA5、B6の座標のそれぞれについて5s間の平均値を求め、机上座標を計算した。
椅子の向きは正面、右向き、左向きの3通りとし、20点の計測が終了するごとに、椅子を適当に動かしてから椅子の向きを変更した。計測は、椅子の各向きについて3回ずつ行った。
【0045】
3.1.3 健常被験者による目標位置の指示
健常被験者5名(21〜25歳男性)で、図3の目標位置20点について計測を行った。なお、被験者には実験前に概要を説明し、参加の承諾を得た。
【0046】
目標位置の計測は、目標点No.1〜No.20までを順に指示して行い、各位置において、3s後に計測する旨を被験者に伝え、計測開始時にもう一度合図を送り5s間計測した(サンプリング周期50ms)。この計測を計3回行い、20点の計測の終了ごとに被験者はセンサをはずして椅子から離れて休憩をし、椅子を適当に動かしてから次の計測を行った。椅子の位置、向き、休憩時間などは被験者が自由に決定した。
【0047】
3.1.4 物体の高さの計測
高さの異なる2種類の円柱状の物体(高さは、物体1:104mm、直径55mm、物体2:50mm、直径85mm)について、設定座標のうち10ヶ所(図6◇印)に置いた場合に高さの計測を行った。計測は、目標指示装置、健常被験者2名(3.1.3での被験者A、B)により行われ、10ヶ所での計測が終了するごとに休憩を入れ、計3回の計測を行った。各点の計測時間は5sで、被験者への指示は上述の実施の形態の実験と同様である。被験者が休憩する際には、センサをはずして椅子から離れた。計測時の椅子の向きは、目標の指示を行いやすいように被験者が自由に設定した。
【0048】
3.2 計測結果
3.2.1 目標指示装置による目標位置の指示
図7に、目標指示装置により指示した机上目標点20点の位置座標計測誤差(mm)についての図を示す。
【0049】
ここでは、目標位置座標と計測値の間の距離を誤差とし、各目標位置での誤差を計算した。図中、目標位置20点についての誤差の平均と標準偏差が示される。左向きの場合の誤差が大きい傾向があったが、あまり大きな差はなく、全体の平均での誤差は、6.7±3.6mmで、最大誤差は17.0mmとなった。
【0050】
3.2.2 健常被験者による目標位置の指示
図8に、健常被験者による机上目標点20点の位置座標計測誤差(mm)についての図を示す。
図中、計測値の誤差を机上目標点20点の平均と標準偏差が示される。全被験者での誤差の平均は10.3±6.3mmで、最大誤差は33.0mmであった。被験者Cでは2回目、3回目の計測で誤差が大きく増加した結果になった。健常被験者の場合、目標指示装置に比べて、平均誤差、最大誤差が大きくなる傾向があった。
【0051】
3.2.3 机上の物体の高さの計測
図9に、物体の高さの計測誤差の絶対値(mm)についての図を示す。
ここでは、10箇所で計測した物体の高さについて誤差の絶対値を求めた。図中、その平均値及び標準偏差が示される。平均で3〜7mm程度の誤差があり、最大誤差は10〜18mm程度となった。
【0052】
4.考察
4.1 計測誤差
目標指示装置での指示による目標位置座標計測の平均誤差は約7mm、健常者の場合には約10mmであった。これらの誤差の原因として、位置角度センサシステム2の計測誤差について考える。
【0053】
本実験では、目標指示装置を用いて目標点No.9を指示した時の位置角度センサシステム2の出力値からB座標系でのレーザポインタ1の光線の方向ベクトルBULを事前に取得したが、目標位置計測実験で目標点No.9を指示したときの結果からBULを求めると、被験者ごと、あるいは計測ごとに異なっていた。そこで、目標位置計測実験の結果について、各計測で目標点No.9を指示したときの位置角度センサシステム2の計測結果からBULを求め、これを用いて机上の目標点20点について位置を再計算した。その結果、計測値の誤差の平均は目標指示装置で6.4±3.7mm、健常者で6.8±4.5mm、最大誤差は目標指示装置の場合が15.2mm、健常者で24.5mmとなり、目標指示装置と健常者とでほぼ同程度の誤差になった。
【0054】
また、目標指示装置を利用し、一度BULを計測した後、レシーバやトランスミッタ4の位置、向きを複数変えて目標位置座標計測を行った。その結果、トランスミッタ4とレシーバの位置関係によっては、計測値の誤差が大きくなる場合があることが確認された。このことから、トランスミッタ4とレシーバの位置関係が異なると位置角度センサシステム2の計測誤差が異なり、それが目標位置の計測誤差の一因になったことが推測される。
【0055】
位置角度センサシステム2として使用したFASTRAKのオイラー角の計測精度は0.15degであるとされているが(”3SPACE FASTRAK(登録商標) User’s Manual Rev. F,” Polhemus Inc., 1993. 参照)、実際に机上の点を指示したときの5s間の計測結果では、オイラー角の各成分に0.2deg〜2deg程度の変動が見られた。そこで、5s間の平均値が0.4deg変化したと仮定して目標位置No.9を指示したときの誤差を推定すると、レシーバB6のアジマス角ψだけが変化した場合には3.4mm程度、エレベーション角θだけが変化すると7mm程度、ロール角φだけが変化した場合には0.2mm程度の距離の誤差になった。また、x座標、y座標、z座標については、5s間の変動が3〜10mm程度であり、平均で5mm変化したと仮定し、各座標の変化による誤差を計算した結果、5〜6.4mmの距離の誤差が生じた。これらの結果から、位置角度センサシステム2の計測値の変動により7mm程度の誤差が容易に生じることが推測される。
【0056】
以上のことから、位置角度センサシステム2のトランスミッタ4とレシーバ5、6の配置の違いによる計測値の変動と、一定保持中でも位置角度センサシステムの計測値が変動することが誤差の原因であると推測され、本実験により得られた位置の計測誤差はほぼ妥当な値であると考えられる。
【0057】
一方、高さの計測については、物体の下部と上部を指示して計測するといった簡易的な方法であり、指示した上部の点のx、y座標が下部の指示点のx、y座標と異なると誤差が増大する。実験結果では、これら2点のx、y座標の差は小さく、概ね良好な精度で高さを計測できた。本実施の形態での高さの計測方法には検討の余地があるが、本手法を用いた実験システムでも、机上位置を精度良く計測できていることを示す結果であるといえる。
【0058】
ところで、FESでは筋に非線形性や時変性があり、精度の高い位置制御の実現は現状では困難であると考えられる。多チャネル閉ループFES制御により手関節角度の制御実験を行った結果では、目標軌道を円軌道として追従制御を行った場合、目標動作の動作速度が3.9cm/sの遅い場合でも平均誤差が4.6〜8.6mmほどであり、また、一時的に関節角度を保持する制御の場合をみても2.9〜6.4mmの平均誤差であった。これらのことから、本実験で使用したシステムでも、椅子の向きや被験者の位置、さらにはセンサの着脱にかかわらず、10mm程度の精度で目標位置座標を計測可能であり、また、机上に置かれた物体の高さを計測する場合にも、平均で7mm程度の誤差であったので、目標物や障害物の情報を取得するためのユーザ・インターフェイスとして活用できると考えられる。
【0059】
4.2 臨床応用
我々が以前に四肢麻痺者で行った頭部動作による文字入力システムの評価において、四肢麻痺者と健常者との間で、頭部動作による文字入力システムの操作能力に差は見られなかった(非特許文献9参照)。また、本手法においても、レーザポインタ1で目標位置を指示している5sの間、机上レシーバA5、目標指示装置のレシーバB6、健常被験者のレシーバB6の間で、位置角度センサシステム2の計測値の変動範囲に大きな差はなかった。これらのことから、頭部動作による目標指示は有効であると考えられる。片麻痺者のFESによる運動機能再建を考えた場合、健側上肢と患側上肢との協調的な動作を実現することが望まれており、上肢によらない制御命令の入力が必要である。この点からも、頭部動作を利用する本手法は有用であるといえる。
【0060】
頭部動作を利用して手先を任意の点に誘導させる方法が提案されているが、著者らも指摘しているように、この方法は、最終到達位置に誤差が生じた場合の修正時に使用する方が、より適していると思われる。そのような目的での動作の修正方法については、我々も検討しており、より汎用性の高い方法を提案している。これらの方法に対して、本実施の形態で提案した方法は、刺激データを随時作成するため、刺激データがない場合や、目標位置が大きく異なるため既存の刺激データに大幅な修正が要求される場合でも簡便に動作を再建できる。また、使用者である患者が関与しない閉ループ制御を実現でき、患者の負担を軽減できる。さらに、上述のような使用者自身による位置や動作の微調整法と本手法とを組み合わせることで、高い精度での位置制御を実現可能であり、より実用的なシステムが実現されることも期待できる。
【0061】
本手法では、机上座標の範囲と命令とを対応させれば、簡易な制御命令入力システムを構成できるといった拡張性もある。また、机上物体の形状認識(非特許文献5)などへの発展性も有している。一方、本法を実用化するためには目標位置を指示したときに使用者が指示したことをシステムに伝える方法が必要である。ニューラルネットで学習したうなずき動作を利用することによりディスプレイ上の文字を高認識率で取得できることが確認されているので、この方法を応用することが一つの方法として考えられる。また、本手法は、机上平面上の点の位置を計測する方法であるが、レーザポインタ1から目標位置までの距離を計測できれば、(2)式のcを計測できることになるので、机上のレシーバA5は不要となり、三次元空間内の任意の点の位置が計測可能になる。本手法を実用化するためには、以上のような点についても今後検討が必要である。
【0062】
5.応用例
つぎに、本発明の応用について例示して説明する。
図10に、コマンドシートに関する応用例の説明図を示す。
この例では、コマンドシート11は、複数のブロックを含み、各ブロックに所定のコマンド(制御命令)が示される。PC3は、記憶部35内に、コマンドシート11内のコマンドを示す各ブロックの位置(座標)に対応してコマンドを記憶したファイルを備える。制御命令を記載したコマンドシート11がレーザポインタ1で指示されると、PC3は、位置角度センサシステム2により位置座標を得て、その位置座標に従い記憶部35を参照して所望のコマンドを選択及び認識することができる。
【0063】
図11に、ポインティングデバイスに関する応用例の説明図を示す。
この例では、PC3の表示部(ディスプレイ)34に、レシーバA5と一体型にした平板(またはシート)12を装着し、ディスプレイ表示面である平板12をレーザポインタで指示して、PC3の表示部34上のポインティングデバイス(マウス、タッチペン等)を移動させたい位置を指定する。レーザポインタ1で目標位置が指示されると、PC3は、位置角度センサシステム2により位置座標を得て、その位置座標を入力することで、ポインティングデバイスとして機能させることができる。また、PC3は、頭部の動きを利用してレーザポインタ1での目標位置の指示動作を検出することや、さらに、特徴的動作(うなずき、横振り等の急な動き)をレシーバB6により検出することで、ポインティングデバイスによる、入力・クリック・ドラッグ・移動等の各種動作を識別することも可能である。
【0064】
6.むすび
本実施の形態では、任意のリーチングを再建するために、机上のリーチング目標位置座標の計測方法を提案した。そして、レーザポインタと三次元位置角度センサシステムを利用した目標位置計測システムを構築し、机上の目標20点の位置、机上に配置した物体の高さを、目標指示装置と健常被験者により計測して、本手法の実験的評価を行った。目標位置計測の平均誤差は7〜10mm程度、高さの計測誤差は平均で3〜7mm程度であり、本実施の形態での実験システムでも、FESシステムで利用するためにほぼ十分な精度を有することが確認された。また、これらの計測誤差が、位置角度センサシステムの特性や計測誤差に起因することも示唆した。本手法は、使用者が移動した場合でも簡便に使用できる方法であり、また、拡張性もあるので、十分に実用的な手法であると考えられる。
【0065】
本発明の制御命令入力方法又は制御命令入力装置・システムは、その各手順をコンピュータに実行させるための制御命令入力プログラム、制御命令入力プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体、制御命令入力プログラムを含みコンピュータの内部メモリにロード可能なプログラム製品、そのプログラムを含むサーバ等のコンピュータ、等により提供されることができる。
【0066】
【発明の効果】
本発明によると、以上のように、頭部に装着するレーザポインタ等のポインタと三次元位置角度センサシステムを利用して、システムの製作時又は設定時にキャリブレーションを行うだけで、使用の際にはキャリブレーションを必要としない、操作性のよい目標位置を計測するための制御命令入力装置及び方法を提供することができる。また、本発明によると、机上の位置座標、及び、障害物や把持対象となる机上の物体の高さを計測するための制御命令入力装置及び方法を提供することができる。
【0067】
また、本発明によると、使用者が移動した場合でも簡便に使用でき、実用的である制御命令入力装置及び方法を提供することができる。さらに、本発明によると、片麻痺者や車椅子を使用する四肢麻痺者が机上で作業することを想定し、任意の位置へのリーチングの再建を実現するために、机上のリーチングの目標位置、すなわち、手先を移動させる机上位置座標を計測する制御命令入力装置及び方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】制御命令入力装置の構成図。
【図2】PC3の構成図。
【図3】目標位置座標計測の説明図。
【図4】机上目標位置座標を計測するためのフローチャート。
【図5】物体の高さ計測方法の概略図。
【図6】評価実験のための机上目標位置の概要図。
【図7】目標指示装置により指示した机上目標点20点の位置座標計測誤差(mm)についての図。
【図8】健常被験者による机上目標点20点の位置座標計測誤差(mm)についての図。
【図9】物体の高さの計測誤差の絶対値(mm)についての図。
【図10】コマンドシートに関する応用例の説明図。
【図11】ポインティングデバイスに関する応用例の説明図。
【符号の説明】
1 レーザポインタ
2 位置角度センサシステム
3 パーソナルコンピュータ(PC)
4 トランスミッタ(基準設定部)
5 レシーバA(第1検出部)
6 レシーバB(第2検出部)
【発明の属する技術分野】
本発明は、制御命令入力装置及び方法に係り、特に、運動機能に障害がある者が各種命令を入力するための制御命令入力装置及び方法に関する。
【0002】
本発明は、目標位置座標等の各種の制御命令を入力するための装置及び方法であって、機能的電気刺激(Functional Electrical Stimulation、以下FES)システム関連に限定されるものではないが、FESシステムに関連して、例えば、上肢運動機能麻痺者がFESシステムを使用して机上で作業する場合、任意の位置への手先リーチングを獲得する制御命令入力装置及び方法に適用することができる。FESと関連して、頭部を利用して制御命令をシステムに与えることは、四肢麻痺者の動作再建、又は、片麻痺者が両手を使う動作を再建するとき、などに必要になる。
【0003】
さらに、本発明は、リーチングに限定されるものではないが、リーチングに関係して、
・手を伸ばす目標位置の検出
・現在の手の位置の検出
・障害物の検出等に利用することができる。
【0004】
その他、本発明は、四肢のいずれかに障害のある方が、環境制御機器、パソコン等の各種機器を操作するようなシステムに応用が可能である。
【0005】
【従来の技術】
脊髄損傷や脳卒中などにより失われた運動機能を再建する方法としてFESがあり、これまでに、その臨床的有効性が示されてきた。臨床応用されている現在のFESシステムでは、患者がシステムを操作する際に、残存する機能を使ってスイッチ等を操作し、運動機能を再建する。しかし、患者の残存機能は運動機能麻痺等のために限られており、特に、四肢麻痺者や、FESで両手を使った運動機能を再建したい片麻痺者等では、利用できる残存機能は肩や頭部等にある機能に制限される。日常生活動作(activities of living、ADL)の補助におけるFESの実用性を向上させるためには、上述の点を解決する必要がある。
【0006】
FESシステムの操作の方法については、スイッチ操作的な方法についてのものがいくつか報告されている(非特許文献1〜3、6〜10)。
【0007】
【非特許文献1】
N. Hoshimiya, A. Naito, M. Yajima and Y. Handa, ”A multichannel FES system for the restoration of motor functions in high spinal cord injury patients: a respiration−controlled system for multijoint upper extremity,” IEEE Trans. Biomed. Eng., vol.36, no.7, pp.754−760, July 1989.
【非特許文献2】
半田 勉,亀山順一,高橋博達,半田康延,星宮 望,”筋電制御式機能的電気刺激システムの開発とその臨床応用”,バイオメカニズム11,pp.285−292, 1992.
【非特許文献3】
M.W. Johnson, P.H. Peckham, ”Evaluation of shoulder movement as a command control source,” IEEE Trans. Biomed. Eng., vol.37, no.9, pp.876−885, Sept. 1990.
【非特許文献4】
有野恵子,渡辺高志,大庭茂男,二見亮弘,星宮 望,半田康延,“任意のリーチングを再建するFESシステムの構築に関する基礎的検討,” 信学技報, MBE98−137, 1999.
【非特許文献5】
安西昭裕,渡辺高志,村上 肇,二見亮弘,星宮 望,半田康延,“任意のFES手先リーチング再建のための目標検出に関する検討,” 信学技報, MBE2001−164, 2002.
【非特許文献6】
J.R. Buckett, P.H. Peckham, G.B. Thrope, S.D. Braswell and M.W.Keith, “A flexible, portable system for neuromuscular stimulation in the paralyzed upper extremity,” IEEE Trans. Biomed. Eng., vol.35, no.11, pp.897−904, Nov. 1988.
【非特許文献7】
真狩弘夫,村上 肇,渡辺高志,星宮 望,半田康延,“機能的電気刺激(FES)システムの制御命令としての耳介動作の検討,” 医用電子と生体工学,Vol.32, No.2, pp.121−128, 1994.
【非特許文献8】
村上 肇,森田健司,渡辺高志,星宮 望,半田康延,“機能的電気刺激(FES)システムの制御命令としての舌動作の検討,” 医用電子と生体工学, Vol.33, No.4, pp.365−369, 1995.
【非特許文献9】
古瀬則夫,渡辺高志,二見亮弘,星宮 望,半田康延,“運動機能麻痺者の残存運動機能を用いた制御命令入力システム,” 医用電子と生体工学,Vol.37,No.2,pp.152−160, 1999.
【非特許文献10】
渡邉高志,山岸史歩,村上 肇,古瀬則夫,星宮 望,“FESを使用する片麻痺者のための下肢動作からの人工神経回路による制御命令検出,” 電子情報通信学会論文誌,Vol.J86−D−II, No.2, pp.371−375, 2003.
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の制御命令入力方法は、入力できる制御命令数が少ないことや、拡張性に乏しく特定の用途にしか利用できないことや、使用の際のキャリブレーション等の設定が必要なこと等の課題がある。
【0009】
そこで、本発明者らは、再建する動作を使用者が少しでも自由に決定できるようにする方法を開発してきた。これまでに、任意の位置への手先のリーチングを再建することに着目し、リーチング目標位置の取得法、リーチングの手先軌道の生成法を検討してきた(例えば、非特許文献4、5参照)。上肢の動作は、リーチングと手の動作との組合せで実現されることが多いので、リーチングは上肢の動作において基本的かつ重要であるといえる。実際、リーチング位置を自由に変更することが可能になれば、文字を書く際の紙の押さえ、机上物体の把持などを運動機能麻痺者が自分で容易に行えるようになるので、日常生活動作(ADL)の補助におけるFESの実用性が大きく改善される。
【0010】
しかしながら、従来の目標位置の計測では、目標位置センサシステムを使用する際に、条件によってはキャリブレーションを必要としており、設定や操作に手間がかかり、必ずしも簡単に使用することはできなかった。すなわち、従来は、例えば、目標位置センサシステムをセットした後の最初の使用時、机上レシーバが移動した場合、使用する都度など、センサシステムと机上座標系との対応付けが必要であった。
【0011】
本発明は、以上の点に鑑み、頭部に装着するレーザポインタ等のポインタと三次元位置角度センサシステムを利用して、システムの製作時又は設定時にキャリブレーションを行うだけで、使用の際にはキャリブレーションを必要としない、操作性のよい目標位置を計測するための制御命令入力装置及び方法を提供することを目的とする。また、本発明は、机上の位置座標、及び、障害物や把持対象となる机上の物体の高さを計測するための制御命令入力装置及び方法を提供することを目的とする。
【0012】
また、本発明は、使用者が移動した場合でも簡便に使用でき、実用的である制御命令入力装置及び方法を提供することを目的とする。さらに、本発明は、片麻痺者や車椅子を使用する四肢麻痺者が机上で作業することを想定し、任意の位置へのリーチングの再建を実現するために、机上のリーチングの目標位置、すなわち、手先を移動させる机上位置座標を計測する制御命令入力装置及び方法を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
基準座標系における位置及び姿勢の基準を定めるための信号を発生する基準設定部と、
第1座標系のひとつの座標平面と測定面とが平行になるように測定面上に配置され、第1の座標系で前記基準設定部からの信号を受信する第1検出部と、
測定面上の目標位置を指示するポインタと、
前記ポインタと一体化され、第2の座標系で前記基準設定部からの信号を受信する第2検出部と、
前記基準設定部、前記第1及び第2検出部の検出データを入力及び処理し、基準座標系での前記第1及び第2検出部の位置及び姿勢を測定する位置角度センサシステムと、
前記位置角度センサシステムの測定データに基づき、前記ポインタが指示した基準座標での測定面上の目標位置座標を測定する処理部とを備え、
前記処理部は、
前記第1及び第2検出部の基準座標系での位置座標及び姿勢角度を前記位置角度センサシステムにより計測する手段と、
得られた姿勢角度に基づき、第1座標系から基準座標系へ変換する第1回転行列と、第2座標系から基準座標系へ変換する第2回転行列を求める手段と、
測定面に対する法線ベクトルTNを、第1回転行列を用いて求める手段と、
前記ポインタの基準座標系での方向ベクトルTULを、前記第2検出部の第2座標系での方向ベクトルと、第2回転行列とを用いて求める手段と、
前記ポインタの基準座標系での位置ベクトルTPL0を、前記第2検出部の基準座標系での位置ベクトルと、前記ポインタの第2座標系での位置と、第2回転行列とを用いて求める手段と、
求められた法線ベクトルTNと方向ベクトルTULと位置ベクトルTPL0とに基づき、測定面上での前記ポインタにより指示された目標位置座標を計算する手段と、を有する制御命令入力装置が提供される。
【0014】
本発明の第2の解決手段によると、
基準座標系における位置及び姿勢の基準を定めるための信号を発生する基準設定部と、
第1座標系のひとつの座標平面と測定面とが平行になるように測定面上に配置され、第1の座標系で前記基準設定部からの信号を受信する第1検出部と、
測定面上の目標位置を指示するポインタと、
前記ポインタと一体化され、第2の座標系で前記基準設定部からの信号を受信する第2検出部と、
前記基準設定部、前記第1及び第2検出部の検出データを入力及び処理し、基準座標系での前記第1及び第2検出部の位置及び姿勢を測定する位置角度センサシステムと、
前記位置角度センサシステムの測定データに基づき、前記ポインタが指示した基準座標での測定面上の目標位置座標を測定する処理部と
を備えた制御命令入力装置における制御命令入力方法又はプログラムであって、前記処理部が、前記第1及び第2検出部の基準座標系での位置座標及び姿勢角度を前記位置角度センサシステムにより計測するステップと、
前記処理部が、得られた姿勢角度に基づき、第1座標系から基準座標系へ変換する第1回転行列と、第2座標系から基準座標系へ変換する第2回転行列を求めるステップと、
前記処理部が、測定面に対する法線ベクトルTNを、第1回転行列を用いて求めるステップと、
前記処理部が、前記ポインタの基準座標系での方向ベクトルTULを、前記第2検出部の第2座標系での方向ベクトルと、第2回転行列とを用いて求めるステップと、
前記処理部が、前記ポインタの基準座標系での位置ベクトルTPL0を、前記第2検出部の基準座標系での位置ベクトルと、前記ポインタの第2座標系での位置と、第2回転行列とを用いて求めるステップと、
前記処理部が、求められた法線ベクトルTNと方向ベクトルTULと位置ベクトルTPL0とに基づき、測定面上での前記ポインタにより指示された目標位置座標を計算するステップと、を含む制御命令入力方法、及び、これら各ステップをコンピュータに実行させるための制御命令入力プログラムが提供される。
【0015】
【発明の実施の形態】
1.制御命令入力装置
1.1 目標位置座標計測システム
図1に、制御命令入力装置の構成図を示す。この図は、本実施の形態による机上の目標位置座標計測システムの概略を示す。本実施の形態では、制御命令として、机上でポインタにより指示したときの目標位置座標を例に説明するが、これに限らず、適宜のデータの入力に本実施の形態を適用することができる。
【0016】
制御命令入力装置を備えた目標位置計測システムは、レーザポインタ1と、位置角度センサシステム2と、パーソナルコンピュータ(PC)3と、トランスミッタ(基準設定部)4と、レシーバA(第1検出部)5と、レシーバB(第2検出部)6とを備える。
【0017】
レーザポインタ1は、各種レーザが用いられ、目標位置を指示する。ここでは、レーザ光源によるポインタを例に示すが、レーザ以外の適宜のポインタを用いることができる。トランスミッタ4は、例えば発信コイルを含むことができる。レシーバA5及びレシーバB6は、それぞれ受信コイルを有することができる。
【0018】
トランスミッタ4は、基準座標系の基準点(原点)に配置され、位置座標センサシステム2からの指示により、位置座標及び姿勢(例:オイラー角)を検出する際の基準を作るために磁界を発生する。レシーバA5、B6は、トランスミッタ4が発生した磁界を検出して、位置座標センサシステム2へ出力する。
【0019】
位置角度センサシステム2は、目標位置を推定するために、磁気式又はジャイロ式等で三次元の頭部や机の位置及び角度(姿勢)を計測する。位置角度センサシステム2は、レシーバA5及びB6の検出信号に基づき、トランスミッタ4の座標系(これを、T座標系(基準座標)と呼ぶ。)での、レシーバA5及びB6の三次元位置座標とオイラー角を計測する。本実施の形態では、一例として、位置角度センサシステム2に磁気式のものを使用したが、同様の情報を計測可能なセンサシステムであればこれに限定されない。
【0020】
図2は、PC3の構成図を示す。PC3は、中央処理装置(CPU)である処理部31、入力部32、出力部33、表示部34、記憶部35及びインターフェース(I/F)部36を有する。また、これら各部は、スター又はバス等の適宜の接続手段で接続されている。記憶部35は、位置角度センサシステム2から入力された位置座標及び姿勢角度の測定データ、計算された目標位置等の各種データを記憶する。
【0021】
使用者は、頭部に装着したレーザポインタ1により、計測したい机上位置を指示する。位置角度センサシステム2は、レシーバA5及びB6、トランスミッタ4により検出されたそれぞれの位置及び姿勢を入力し、処理に必要なそれぞれの座標系での位置座標及び姿勢角度を計測処理し、PC3に出力する。PC3は、位置角度センサシステム2に接続され、目標位置座標を求める処理等の各種処理を実行する。PC3は、例えば机上7での作業を想定し、リーチングの目標位置を机上平面上の点とすれば、机上平面とレーザポインタ1の光線(直線)との交点として目標位置を求めることができる。
【0022】
2.制御命令入力処理
2.1 目標位置計測処理
図3に、目標位置座標計測の説明図を示す。以下では、目標位置座標計測の原理について、位置角度センサシステムを用いた計測システムの場合について説明する。
【0023】
まず、位置角度センサシステム2のレシーバB6をレーザポインタ1と一体型にする。使用者は、これを頭部にバンドで装着する。位置角度センサシステム2のトランスミッタは使用者が座る椅子に固定する。机上平面の方程式を得るために、レシーバA5を机上に配置する。この配置において、T座標系で考えれば、机上に配置したレシーバA5のT座標系での位置ベクトルTPA及び机上平面に対する法線ベクトルTNから、机上平面内の任意の点のT座標系での位置ベクトルTPは次式により求まる。
TN・(TP−TPA)=0 (1)
【0024】
また、レーザポインタ1の光線上の任意の点TPLは、レーザポインタ1の位置ベクトルTPL0、レーザポインタ1の光線の方向ベクトルTULから次式となる。
TPL=TPL0+cTUL (2)
ここで、cは実数である。
【0025】
レーザポインタ1により指示される机上の点は、TPL=TPとなるので、式(1)、式(2)より次式が得られる。
【0026】
【数1】
【0027】
よって、指示された机上の点は、式(3)を式(2)に代入して次式により求まる。
【0028】
【数2】
【0029】
T座標系での机上平面に対する法線ベクトルTNは、机上レシーバA5の座標系(これを、A座標系と呼ぶ)のxy平面と机上平面とが平行になるようにレシーバA5を配置し、z軸とTNとを平行にすれば、A座標系での点Akz=(0,0,1)t(ここで、t:転置、列ベクトルを表す。)を用いて、次式で求まる。
TN=T ARAkZ (5)
ここで、T ARは、A座標系からT座標系への回転行列を表し、位置角度センサシステム2により計測されたレシーバA5のオイラー角(アジマス角ψ、エレベーション角θ、ロール角φ)を用いると次式になる。
【0030】
【数3】
ここで、C:cos、S:sinを表す。
【0031】
T座標系でのレーザポインタ1の光線の方向ベクトルTULは、レーザポインタ1と一体型にしたレシーバB6の座標系(B座標系)での方向ベクトルBULを用いて次式で求められる。
TUL=T BRBUL (7)
T BRは、B座標系からT座標系への回転行列である。B座標系での光線の方向ベクトルBULは、レーザポインタ1とレシーバを一体型にして製作することにより既知となり、固定ベクトルとして与えられる。本実施の形態の実験で用いたB座標系での光線の方向ベクトルBULについては後述する。
【0032】
B座標系でのレーザポインタ1の位置ベクトルBPL0も、レーザポインタ1とレシーバB6を一体型にして製作することにより既知になる。後述の本実施の形態の実験では、レーザポインタ1を2つのレシーバで挟み、それらの位置座標中間への位置ベクトルとしてBPL0を実験的に計測し、定ベクトルBPL0=(−0.995,0.005,1.496)tとした。これにより、T座標系でのレーザポインタ1の位置ベクトルTPL0は次式により求まる。
TPL0=T BRBPL0+TPB (8)
【0033】
以上により、机上平面内の任意の点TPは、位置角度センサシステムにより計測されるレシーバA5、B6の三次元位置座標及びオイラー角により決定される。
【0034】
図4に、机上目標位置座標を計測するためのフローチャートを示す。
机上目標位置座標の計測処理が開始されると、PC3(処理部31)は、位置角度センサシステム2により計測された、B座標系でのレーザポインタ1の位置座標BPL0、光線の方向ベクトルBULを入力部32等により設定する(S101)。なお、PC3がこれら初期設定をするかわりに位置角度センサシステム2に直接設定してもよい。これらの値(ベクトル)は、目標位置座標計測システムの製作時に決定されており、既知である。PC3は、位置角度センサシステム2により、レシーバA5及びレシーバB6のそれぞれの三次元位置座標(TPA、TPB)及びオイラー角の計測を行い、そのデータを入力する(S103)。
PC3は、測定されたレシーバA5及びレシーバB6のそれぞれのオイラー角に基づき、式(6)に従って、A座標系をT座標系に変換する行列T AR、B座標系をT座標系に変換する行列T BRを計算する。(S105)。
【0035】
PC3は、以上の各ステップで得られた、BPL0、BUL、TPA、TPB、T AR、T BRに基づき、式(8)を用いてT座標系でのレーザポインタ1の位置座標TPL0、を計算し、式(7)を用いて光線の方向ベクトルTULの計算する(S107)。また、PC3は、式(5)に従って、机上平面に対する法線ベクトルをT座標系でのベクトルTNに変換する(S107)。さらに、PC3は、式(4)に従って、机上目標位置TPの計算を行う(S109)。
【0036】
PC3は、位置座標取得命令が有るか無いかを判断する(S111)。ここで、位置情報取得命令は、使用者によるスイッチ操作や随意動作や、PC3の入力部等の適宜の入力手段により指示入力される。随意動作としては、例えば、うなずく等の頭部を上下する動作、頭部を横に振る動作等の特徴的動作が挙げられる。頭部に装着したレシーバB6は、その特徴的動作を検出し、さらに位置角度センサシステム2がその検出信号を解析することにより、PC3は位置情報取得命令を指示入力することができる。位置情報取得命令が有る場合、PC3は、位置角度センサシステム2により目標位置座標の取得を行い、目標位置座標を記憶部35等の適宜のメモリに記憶する(S113)。位置情報取得命令が無い場合、ステップS115に移る。PC3は、終了命令が有るか無いかを判断する(S115)。終了命令が有る場合は机上目標位置座標取得を終了し、一方、終了命令が無い場合はステップS117に移る。ここで、終了命令も、使用者によるスイッチ操作や随意動作などでトランスミッタ4や、PC3の入力部等の適宜の入力手段により指示入力される。つぎに、位置角度センサシステム2は、計測時間になったかどうかを判断し(S117)、計測時間になるまで待ち、計測時間になったら、ステップS103に戻り計測処理を繰り返す。なお、PC3は、所定のタイミングで、測定された各データ、目標位置座標を適宜記憶部35に記憶したり、出力部33又は表示部34に出力することができる。
【0037】
2.2 物体の高さの計測
図5に、物体の高さ計測方法の概略図を示す。便宜上、A座標系でのベクトルを用いて説明する。最初に、位置角度センサシステム2は、物体の下部をレーザポインタ1で指示したときのレーザポインタ1の光線の方向ベクトルAUL、光線と机上平面との交点の位置ベクトルAS1を取得する。次に、位置角度センサシステム2は、物体の上部を指示したときのレーザポインタ1の光線の方向ベクトルAUL、光線と机上平面との交点の位置ベクトルAS2を取得する。物体の上部を指示したときの光線の方向ベクトルAULと机上平面の法線ベクトルAkZ=(0,0,1)tから光線と机のなす角αを算出し、次式により物体の高さhを求めることができる。
【0038】
【数4】
【0039】
3.目標計測法の実験的評価
計測精度を実験的に評価したところ、目標位置を安定に指示できる装置を使用した実験、健常被験者での実験の結果から、試作した計測システムでも10mm程度以下の精度で目標の位置や物体の高さを計測でき、FESシステムで利用するのにほぼ十分であることが確認された。
【0040】
3.1 実験方法
3.1.1 目標位置の設定と光線の方向ベクトルの取得
図6に、評価実験のための机上目標位置の概要図を示す。●は目標指示点、◇は高さを計測する際に物体を置いた位置を示す。
【0041】
机上に設置したレシーバAの原点、x軸、y軸を用いて机上平面上の座標系(A座標系)を設定した。指示する目標位置は、A座標系をもとに机上に100mm間隔で20点用意され(図●印)、レシーバAが目標点No.20上になるように設定した。
【0042】
レーザポインタ1(例:W26×D90×H15mm,約28g)と位置角度センサシステム2のレシーバB6(例:W28.3×D22.9×H15.2mm,約17g)を一体型に固定し、また、目標点を安定に指示できるように、木製の目標指示装置を製作した。そして、目標指示装置を設置した椅子を机のほぼ正面に配置し、目標位置No.9をレーザポインタ1で安定に指示した状態で5s間(サンプリング周期50ms)計測を行い、各座標系間の回転行列、レシーバA5、B6の位置座標の5s間の平均を求めた。B座標系での光線の方向ベクトルBULは、このときのレーザポインタ1の位置ベクトルBPL0とレーザポインタ1で指示した机上の点の位置ベクトルBPNo9から次式により求めた。
TPNo9=T ARAPNo9+TPA
この計測により得られた光線の方向ベクトルBULは、x成分で規格化してBUL=(1.0,−0.034346,−0.011254)tとなった。
【0043】
実験では、A座標系をもとに目標位置を設定したので、本手法により得られたT座標系での位置座標TPを次式によりA座標系での位置座標APに変換して評価した。
AP=A TR(TP−TPA)=T AR−1(TP−TPA)
【0044】
3.1.2 目標指示装置による目標位置の指示
目標指示装置を椅子に設置し、目標位置20点をNo.1〜20まで順にレーザポインタ1で安定に指示し、各点を5s間ずつ計測した(サンプリング周期50ms)。位置角度センサシステム2の計測結果から、回転行列、レシーバA5、B6の座標のそれぞれについて5s間の平均値を求め、机上座標を計算した。
椅子の向きは正面、右向き、左向きの3通りとし、20点の計測が終了するごとに、椅子を適当に動かしてから椅子の向きを変更した。計測は、椅子の各向きについて3回ずつ行った。
【0045】
3.1.3 健常被験者による目標位置の指示
健常被験者5名(21〜25歳男性)で、図3の目標位置20点について計測を行った。なお、被験者には実験前に概要を説明し、参加の承諾を得た。
【0046】
目標位置の計測は、目標点No.1〜No.20までを順に指示して行い、各位置において、3s後に計測する旨を被験者に伝え、計測開始時にもう一度合図を送り5s間計測した(サンプリング周期50ms)。この計測を計3回行い、20点の計測の終了ごとに被験者はセンサをはずして椅子から離れて休憩をし、椅子を適当に動かしてから次の計測を行った。椅子の位置、向き、休憩時間などは被験者が自由に決定した。
【0047】
3.1.4 物体の高さの計測
高さの異なる2種類の円柱状の物体(高さは、物体1:104mm、直径55mm、物体2:50mm、直径85mm)について、設定座標のうち10ヶ所(図6◇印)に置いた場合に高さの計測を行った。計測は、目標指示装置、健常被験者2名(3.1.3での被験者A、B)により行われ、10ヶ所での計測が終了するごとに休憩を入れ、計3回の計測を行った。各点の計測時間は5sで、被験者への指示は上述の実施の形態の実験と同様である。被験者が休憩する際には、センサをはずして椅子から離れた。計測時の椅子の向きは、目標の指示を行いやすいように被験者が自由に設定した。
【0048】
3.2 計測結果
3.2.1 目標指示装置による目標位置の指示
図7に、目標指示装置により指示した机上目標点20点の位置座標計測誤差(mm)についての図を示す。
【0049】
ここでは、目標位置座標と計測値の間の距離を誤差とし、各目標位置での誤差を計算した。図中、目標位置20点についての誤差の平均と標準偏差が示される。左向きの場合の誤差が大きい傾向があったが、あまり大きな差はなく、全体の平均での誤差は、6.7±3.6mmで、最大誤差は17.0mmとなった。
【0050】
3.2.2 健常被験者による目標位置の指示
図8に、健常被験者による机上目標点20点の位置座標計測誤差(mm)についての図を示す。
図中、計測値の誤差を机上目標点20点の平均と標準偏差が示される。全被験者での誤差の平均は10.3±6.3mmで、最大誤差は33.0mmであった。被験者Cでは2回目、3回目の計測で誤差が大きく増加した結果になった。健常被験者の場合、目標指示装置に比べて、平均誤差、最大誤差が大きくなる傾向があった。
【0051】
3.2.3 机上の物体の高さの計測
図9に、物体の高さの計測誤差の絶対値(mm)についての図を示す。
ここでは、10箇所で計測した物体の高さについて誤差の絶対値を求めた。図中、その平均値及び標準偏差が示される。平均で3〜7mm程度の誤差があり、最大誤差は10〜18mm程度となった。
【0052】
4.考察
4.1 計測誤差
目標指示装置での指示による目標位置座標計測の平均誤差は約7mm、健常者の場合には約10mmであった。これらの誤差の原因として、位置角度センサシステム2の計測誤差について考える。
【0053】
本実験では、目標指示装置を用いて目標点No.9を指示した時の位置角度センサシステム2の出力値からB座標系でのレーザポインタ1の光線の方向ベクトルBULを事前に取得したが、目標位置計測実験で目標点No.9を指示したときの結果からBULを求めると、被験者ごと、あるいは計測ごとに異なっていた。そこで、目標位置計測実験の結果について、各計測で目標点No.9を指示したときの位置角度センサシステム2の計測結果からBULを求め、これを用いて机上の目標点20点について位置を再計算した。その結果、計測値の誤差の平均は目標指示装置で6.4±3.7mm、健常者で6.8±4.5mm、最大誤差は目標指示装置の場合が15.2mm、健常者で24.5mmとなり、目標指示装置と健常者とでほぼ同程度の誤差になった。
【0054】
また、目標指示装置を利用し、一度BULを計測した後、レシーバやトランスミッタ4の位置、向きを複数変えて目標位置座標計測を行った。その結果、トランスミッタ4とレシーバの位置関係によっては、計測値の誤差が大きくなる場合があることが確認された。このことから、トランスミッタ4とレシーバの位置関係が異なると位置角度センサシステム2の計測誤差が異なり、それが目標位置の計測誤差の一因になったことが推測される。
【0055】
位置角度センサシステム2として使用したFASTRAKのオイラー角の計測精度は0.15degであるとされているが(”3SPACE FASTRAK(登録商標) User’s Manual Rev. F,” Polhemus Inc., 1993. 参照)、実際に机上の点を指示したときの5s間の計測結果では、オイラー角の各成分に0.2deg〜2deg程度の変動が見られた。そこで、5s間の平均値が0.4deg変化したと仮定して目標位置No.9を指示したときの誤差を推定すると、レシーバB6のアジマス角ψだけが変化した場合には3.4mm程度、エレベーション角θだけが変化すると7mm程度、ロール角φだけが変化した場合には0.2mm程度の距離の誤差になった。また、x座標、y座標、z座標については、5s間の変動が3〜10mm程度であり、平均で5mm変化したと仮定し、各座標の変化による誤差を計算した結果、5〜6.4mmの距離の誤差が生じた。これらの結果から、位置角度センサシステム2の計測値の変動により7mm程度の誤差が容易に生じることが推測される。
【0056】
以上のことから、位置角度センサシステム2のトランスミッタ4とレシーバ5、6の配置の違いによる計測値の変動と、一定保持中でも位置角度センサシステムの計測値が変動することが誤差の原因であると推測され、本実験により得られた位置の計測誤差はほぼ妥当な値であると考えられる。
【0057】
一方、高さの計測については、物体の下部と上部を指示して計測するといった簡易的な方法であり、指示した上部の点のx、y座標が下部の指示点のx、y座標と異なると誤差が増大する。実験結果では、これら2点のx、y座標の差は小さく、概ね良好な精度で高さを計測できた。本実施の形態での高さの計測方法には検討の余地があるが、本手法を用いた実験システムでも、机上位置を精度良く計測できていることを示す結果であるといえる。
【0058】
ところで、FESでは筋に非線形性や時変性があり、精度の高い位置制御の実現は現状では困難であると考えられる。多チャネル閉ループFES制御により手関節角度の制御実験を行った結果では、目標軌道を円軌道として追従制御を行った場合、目標動作の動作速度が3.9cm/sの遅い場合でも平均誤差が4.6〜8.6mmほどであり、また、一時的に関節角度を保持する制御の場合をみても2.9〜6.4mmの平均誤差であった。これらのことから、本実験で使用したシステムでも、椅子の向きや被験者の位置、さらにはセンサの着脱にかかわらず、10mm程度の精度で目標位置座標を計測可能であり、また、机上に置かれた物体の高さを計測する場合にも、平均で7mm程度の誤差であったので、目標物や障害物の情報を取得するためのユーザ・インターフェイスとして活用できると考えられる。
【0059】
4.2 臨床応用
我々が以前に四肢麻痺者で行った頭部動作による文字入力システムの評価において、四肢麻痺者と健常者との間で、頭部動作による文字入力システムの操作能力に差は見られなかった(非特許文献9参照)。また、本手法においても、レーザポインタ1で目標位置を指示している5sの間、机上レシーバA5、目標指示装置のレシーバB6、健常被験者のレシーバB6の間で、位置角度センサシステム2の計測値の変動範囲に大きな差はなかった。これらのことから、頭部動作による目標指示は有効であると考えられる。片麻痺者のFESによる運動機能再建を考えた場合、健側上肢と患側上肢との協調的な動作を実現することが望まれており、上肢によらない制御命令の入力が必要である。この点からも、頭部動作を利用する本手法は有用であるといえる。
【0060】
頭部動作を利用して手先を任意の点に誘導させる方法が提案されているが、著者らも指摘しているように、この方法は、最終到達位置に誤差が生じた場合の修正時に使用する方が、より適していると思われる。そのような目的での動作の修正方法については、我々も検討しており、より汎用性の高い方法を提案している。これらの方法に対して、本実施の形態で提案した方法は、刺激データを随時作成するため、刺激データがない場合や、目標位置が大きく異なるため既存の刺激データに大幅な修正が要求される場合でも簡便に動作を再建できる。また、使用者である患者が関与しない閉ループ制御を実現でき、患者の負担を軽減できる。さらに、上述のような使用者自身による位置や動作の微調整法と本手法とを組み合わせることで、高い精度での位置制御を実現可能であり、より実用的なシステムが実現されることも期待できる。
【0061】
本手法では、机上座標の範囲と命令とを対応させれば、簡易な制御命令入力システムを構成できるといった拡張性もある。また、机上物体の形状認識(非特許文献5)などへの発展性も有している。一方、本法を実用化するためには目標位置を指示したときに使用者が指示したことをシステムに伝える方法が必要である。ニューラルネットで学習したうなずき動作を利用することによりディスプレイ上の文字を高認識率で取得できることが確認されているので、この方法を応用することが一つの方法として考えられる。また、本手法は、机上平面上の点の位置を計測する方法であるが、レーザポインタ1から目標位置までの距離を計測できれば、(2)式のcを計測できることになるので、机上のレシーバA5は不要となり、三次元空間内の任意の点の位置が計測可能になる。本手法を実用化するためには、以上のような点についても今後検討が必要である。
【0062】
5.応用例
つぎに、本発明の応用について例示して説明する。
図10に、コマンドシートに関する応用例の説明図を示す。
この例では、コマンドシート11は、複数のブロックを含み、各ブロックに所定のコマンド(制御命令)が示される。PC3は、記憶部35内に、コマンドシート11内のコマンドを示す各ブロックの位置(座標)に対応してコマンドを記憶したファイルを備える。制御命令を記載したコマンドシート11がレーザポインタ1で指示されると、PC3は、位置角度センサシステム2により位置座標を得て、その位置座標に従い記憶部35を参照して所望のコマンドを選択及び認識することができる。
【0063】
図11に、ポインティングデバイスに関する応用例の説明図を示す。
この例では、PC3の表示部(ディスプレイ)34に、レシーバA5と一体型にした平板(またはシート)12を装着し、ディスプレイ表示面である平板12をレーザポインタで指示して、PC3の表示部34上のポインティングデバイス(マウス、タッチペン等)を移動させたい位置を指定する。レーザポインタ1で目標位置が指示されると、PC3は、位置角度センサシステム2により位置座標を得て、その位置座標を入力することで、ポインティングデバイスとして機能させることができる。また、PC3は、頭部の動きを利用してレーザポインタ1での目標位置の指示動作を検出することや、さらに、特徴的動作(うなずき、横振り等の急な動き)をレシーバB6により検出することで、ポインティングデバイスによる、入力・クリック・ドラッグ・移動等の各種動作を識別することも可能である。
【0064】
6.むすび
本実施の形態では、任意のリーチングを再建するために、机上のリーチング目標位置座標の計測方法を提案した。そして、レーザポインタと三次元位置角度センサシステムを利用した目標位置計測システムを構築し、机上の目標20点の位置、机上に配置した物体の高さを、目標指示装置と健常被験者により計測して、本手法の実験的評価を行った。目標位置計測の平均誤差は7〜10mm程度、高さの計測誤差は平均で3〜7mm程度であり、本実施の形態での実験システムでも、FESシステムで利用するためにほぼ十分な精度を有することが確認された。また、これらの計測誤差が、位置角度センサシステムの特性や計測誤差に起因することも示唆した。本手法は、使用者が移動した場合でも簡便に使用できる方法であり、また、拡張性もあるので、十分に実用的な手法であると考えられる。
【0065】
本発明の制御命令入力方法又は制御命令入力装置・システムは、その各手順をコンピュータに実行させるための制御命令入力プログラム、制御命令入力プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体、制御命令入力プログラムを含みコンピュータの内部メモリにロード可能なプログラム製品、そのプログラムを含むサーバ等のコンピュータ、等により提供されることができる。
【0066】
【発明の効果】
本発明によると、以上のように、頭部に装着するレーザポインタ等のポインタと三次元位置角度センサシステムを利用して、システムの製作時又は設定時にキャリブレーションを行うだけで、使用の際にはキャリブレーションを必要としない、操作性のよい目標位置を計測するための制御命令入力装置及び方法を提供することができる。また、本発明によると、机上の位置座標、及び、障害物や把持対象となる机上の物体の高さを計測するための制御命令入力装置及び方法を提供することができる。
【0067】
また、本発明によると、使用者が移動した場合でも簡便に使用でき、実用的である制御命令入力装置及び方法を提供することができる。さらに、本発明によると、片麻痺者や車椅子を使用する四肢麻痺者が机上で作業することを想定し、任意の位置へのリーチングの再建を実現するために、机上のリーチングの目標位置、すなわち、手先を移動させる机上位置座標を計測する制御命令入力装置及び方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】制御命令入力装置の構成図。
【図2】PC3の構成図。
【図3】目標位置座標計測の説明図。
【図4】机上目標位置座標を計測するためのフローチャート。
【図5】物体の高さ計測方法の概略図。
【図6】評価実験のための机上目標位置の概要図。
【図7】目標指示装置により指示した机上目標点20点の位置座標計測誤差(mm)についての図。
【図8】健常被験者による机上目標点20点の位置座標計測誤差(mm)についての図。
【図9】物体の高さの計測誤差の絶対値(mm)についての図。
【図10】コマンドシートに関する応用例の説明図。
【図11】ポインティングデバイスに関する応用例の説明図。
【符号の説明】
1 レーザポインタ
2 位置角度センサシステム
3 パーソナルコンピュータ(PC)
4 トランスミッタ(基準設定部)
5 レシーバA(第1検出部)
6 レシーバB(第2検出部)
Claims (13)
- 基準座標系における位置及び姿勢の基準を定めるための信号を発生する基準設定部と、
第1座標系のひとつの座標平面と測定面とが平行になるように測定面上に配置され、第1の座標系で前記基準設定部からの信号を受信する第1検出部と、
測定面上の目標位置を指示するポインタと、
前記ポインタと一体化され、第2の座標系で前記基準設定部からの信号を受信する第2検出部と、
前記基準設定部、前記第1及び第2検出部の検出データを入力及び処理し、基準座標系での前記第1及び第2検出部の位置及び姿勢を測定する位置角度センサシステムと、
前記位置角度センサシステムの測定データに基づき、前記ポインタが指示した基準座標での測定面上の目標位置座標を測定する処理部とを備え、
前記処理部は、
前記第1及び第2検出部の基準座標系での位置座標及び姿勢角度を前記位置角度センサシステムにより計測する手段と、
得られた姿勢角度に基づき、第1座標系から基準座標系へ変換する第1回転行列と、第2座標系から基準座標系へ変換する第2回転行列を求める手段と、
測定面に対する法線ベクトルTNを、第1回転行列を用いて求める手段と、
前記ポインタの基準座標系での方向ベクトルTULを、前記第2検出部の第2座標系での方向ベクトルと、第2回転行列とを用いて求める手段と、
前記ポインタの基準座標系での位置ベクトルTPL0を、前記第2検出部の基準座標系での位置ベクトルと、前記ポインタの第2座標系での位置と、第2回転行列とを用いて求める手段と、
求められた法線ベクトルTNと方向ベクトルTULと位置ベクトルTPL0とに基づき、測定面上での前記ポインタにより指示された目標位置座標を計算する手段と、を有する制御命令入力装置。 - 前記ポインタ及び前記第2検出部は、頭部に装着されることを特徴とする請求項1に記載の制御命令入力装置。
- 基準座標系における位置及び姿勢の基準を定めるための信号を発生する基準設定部と、
第1座標系のひとつの座標平面と測定面とが平行になるように測定面上に配置され、第1の座標系で前記基準設定部からの信号を受信する第1検出部と、
測定面上の目標位置を指示するポインタと、
前記ポインタと一体化され、第2の座標系で前記基準設定部からの信号を受信する第2検出部と、
前記基準設定部、前記第1及び第2検出部の検出データを入力及び処理し、基準座標系での前記第1及び第2検出部の位置及び姿勢を測定する位置角度センサシステムと、
前記位置角度センサシステムの測定データに基づき、前記ポインタが指示した基準座標での測定面上の目標位置座標を測定する処理部とを備えた制御命令入力装置における制御命令入力方法であって、
前記処理部は、
前記第1及び第2検出部の基準座標系での位置座標及び姿勢角度を前記位置角度センサシステムにより計測するステップと、
得られた姿勢角度に基づき、第1座標系から基準座標系へ変換する第1回転行列と、第2座標系から基準座標系へ変換する第2回転行列を求めるステップと、測定面に対する法線ベクトルTNを、第1回転行列を用いて求めるステップと、
前記ポインタの基準座標系での方向ベクトルTULを、前記第2検出部の第2座標系での方向ベクトルと、第2回転行列とを用いて求めるステップと、
前記ポインタの基準座標系での位置ベクトルTPL0を、前記第2検出部の基準座標系での位置ベクトルと、前記ポインタの第2座標系での位置と、第2回転行列とを用いて求めるステップと、
求められた法線ベクトルTNと方向ベクトルTULと位置ベクトルTPL0とに基づき、測定面上での前記ポインタにより指示された目標位置座標を計算するステップと、を含む前記制御命令入力方法。 - 前記ポインタの第2座標系での位置ベクトルBPL0及び方向ベクトルBBLを、予め設定するステップをさらに含む請求項3に記載の制御命令入力方法。
- 前記第2検出部が、基準座標系で目標位置座標を取得する命令を出力するステップと、
前記位置角度センサシステムは、取得する命令を前記第2検出部から受信するステップと、
前記処理部は、前記位置角度センサシステムからの命令に応じて、目標位置座標を計算して、記憶部に記憶又は出力部に出力するステップと、をさらに含む請求項3に記載の制御命令入力方法。 - 測定された各位置座標、姿勢角度、目標位置座標のいずれか又は複数を記憶部に記憶するステップをさらに含む請求項3に記載の制御命令入力方法。
- 測定面に対する法線ベクトルTNは、第1座標系での点Akz=(0,0,1)tを用いて(t:転置)、次式で求める請求項3に記載の制御命令入力方法。
TN=T ARAkZ (5)
(T AR:第1回転行列) - 回転行列T ARは、前記第1及び第2検出部のアジマス角ψ、エレベーション角θ、ロール角φを用いて表される請求項3に記載の制御命令入力方法。
- ポインタの基準座標系での方向ベクトルTULは、前記第2検出部の第2座標系での方向ベクトルBULを用いて次式で求める請求項3に記載の制御命令入力方法。
TUL=T BRBUL (7)
(T BR:第2回転行列) - ポインタの基準座標系での位置ベクトルTPL0は、前記ポインタの第2座標系での予め設定された位置ベクトルBPL0と、前記第2検出部の第2座標系での位置ベクトルTPBを用いて、次式により求める請求項3に記載の制御命令入力方法。
TPL0=T BRBPL0+TPB (8) - 前記処理部が、物体の下部を前記ポインタで指示したときの、前記ポインタの方向と測定面との交点の位置ベクトルを取得するステップと、
前記処理部が、物体の上部を前記ポインタで指示したときの、前記ポインタの方向と測定面との交点の位置ベクトルを取得するステップと、
前記処理部が、前記ポインタの方向ベクトルと測定面との角度と、取得した2つの位置ベクトルとに基づき、物体の高さを求めるステップとをさらに含む請求項3に記載の制御命令入力方法。 - 物体の上面及び下面のそれぞれの形状を前記ポインタでなぞったとき、上面及び下面でそれぞれ取得したデータに基づき、取得したデータに含まれる特異雑音を除去するステップをさらに含む請求項3に記載の制御命令入力方法。
- 基準座標系における位置及び姿勢の基準を定めるための信号を発生する基準設定部と、
第1座標系のひとつの座標平面と測定面とが平行になるように測定面上に配置され、第1の座標系で前記基準設定部からの信号を受信する第1検出部と、
測定面上の目標位置を指示するポインタと、
前記ポインタと一体化され、第2の座標系で前記基準設定部からの信号を受信する第2検出部と、
前記基準設定部、前記第1及び第2検出部の検出データを入力及び処理し、基準座標系での前記第1及び第2検出部の位置及び姿勢を測定する位置角度センサシステムと、
前記位置角度センサシステムの測定データに基づき、前記ポインタが指示した基準座標での測定面上の目標位置座標を測定する処理部と
を備えた制御命令入力装置における制御命令入力プログラムであって、
前記処理部が、前記第1及び第2検出部の基準座標系での位置座標及び姿勢角度を前記位置角度センサシステムにより計測するステップと、
前記処理部が、得られた姿勢角度に基づき、第1座標系から基準座標系へ変換する第1回転行列と、第2座標系から基準座標系へ変換する第2回転行列を求めるステップと、
前記処理部が、測定面に対する法線ベクトルTNを、第1回転行列を用いて求めるステップと、
前記処理部が、前記ポインタの基準座標系での方向ベクトルTULを、前記第2検出部の第2座標系での方向ベクトルと、第2回転行列とを用いて求めるステップと、
前記処理部が、前記ポインタの基準座標系での位置ベクトルTPL0を、前記第2検出部の基準座標系での位置ベクトルと、前記ポインタの第2座標系での位置と、第2回転行列とを用いて求めるステップと、
前記処理部が、求められた法線ベクトルTNと方向ベクトルTULと位置ベクトルTPL0とに基づき、測定面上での前記ポインタにより指示された目標位置座標を計算するステップと、をコンピュータに実行させるための制御命令入力プログラム。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003099450A JP2004309175A (ja) | 2003-04-02 | 2003-04-02 | 制御命令入力装置、制御命令入力方法及びプログラム |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2004309175A true JP2004309175A (ja) | 2004-11-04 |
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ID=33463916
Family Applications (1)
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JP2003099450A Pending JP2004309175A (ja) | 2003-04-02 | 2003-04-02 | 制御命令入力装置、制御命令入力方法及びプログラム |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR101948017B1 (ko) * | 2017-06-02 | 2019-02-14 | 허윤선 | 3차원 좌표 획득 방법 |
JP2020530555A (ja) * | 2017-07-26 | 2020-10-22 | ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツングRobert Bosch Gmbh | 物体の位置を認識する装置および方法 |
-
2003
- 2003-04-02 JP JP2003099450A patent/JP2004309175A/ja active Pending
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