JP2004308554A - 流体ポンプ - Google Patents

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Akira Sato
昭 佐藤
Eijiro Yajima
英次郎 矢嶋
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Alps Alpine Co Ltd
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Alps Electric Co Ltd
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Abstract

【課題】ダイヤフラムを高周波で駆動させた場合でも流量が飽和することのなく動作周波数に応じた流量が得られる流体用ポンプを提供する。
【解決手段】振動板2bに圧電体2c、2cが積層されてなるダイヤフラム2と、ダイヤフラム2の一面2a側に形成されたポンプ室3と、ポンプ室3に設けられた流入口4及び流出口5と、流入口4及び流出口5に各々設けられた逆止弁6,7とから構成され、各逆止弁6,7には流入口4及び流出口4を各々開閉する弁体が備えられ、各弁体が金属から形成されてなる弁板を備えているものであることを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、流体ポンプに関するものであり、特に、ダイヤフラム及び逆止弁に金属材料若しくは圧電素子を用いた流体ポンプに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、圧電素子からなるダイヤフラムを備えた流体ポンプが知られている。下記特許文献1には、ダイヤフラムに振動センサを備えた流体ポンプが開示されている。この特許文献1に代表される圧電型の流体ポンプには流体を一方向に搬送するための逆止弁が備えられている。逆止弁を構成する弁体には、通常、ゴム等の部材が用いられている。
【0003】
【特許文献1】
実開平1−93378号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の流体ポンプにおいて、流体の流量を大きくするためにダイヤフラムの駆動周波数を高めようとすると、ダイヤフラムの駆動に逆止弁の開閉が追従できず、動作周波数に応じた流量が得られないという問題があった。すなわち、ダイヤフラムの高速駆動によって流体の送圧が高まり、この流体送圧の上昇によって流入側及び流入側のゴム製の弁体が変形し、流体が逆流して流量損失が増大するおそれがあった。
【0005】
また、逆止弁は流体の圧力によって受動的に開閉するため、流体によって弁体が押された際に流体の圧力損が生じ、この圧力損によって流体の流量が低下するといった問題があった。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、ダイヤフラムを高周波で駆動させた場合でも流量が飽和することのなく動作周波数に応じた流量が得られる流体用ポンプを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明は以下の構成を採用した。
本発明の流体ポンプは、振動板に圧電体が積層されてなるダイヤフラムと、該ダイヤフラムの一面側に形成されたポンプ室と、該ポンプ室に設けられた流入口及び流出口と、前記流入口及び前記流出口に各々設けられた逆止弁とから構成され、前記の各逆止弁には前記流入口及び前記流出口を各々開閉する弁体が備えられ、各弁体が金属で形成されてなる弁板を備えていることを特徴とする。
【0008】
上記構成により、ダイヤフラムの駆動周波数を高めても、ダイヤフラムの駆動に逆止弁の開閉動作を追従させることが可能になる。
【0009】
また本発明の流体ポンプにおいては、前記弁体として、前記弁板に別の圧電体を積層させてなるものが好ましい。
【0010】
上記の構成により、逆止弁を流体の圧力によらず能動的に開閉させることができ、逆止弁による流体の圧損がなく、流量を高めることができる。また、弁体に弁板が備えられているので、ダイヤフラムを高周波で駆動させた場合でも弁体が変形することがなく、動作周波数に応じた流量を得ることができる。
【0011】
また本発明の流体ポンプにおいては、前記弁体が前記流入口及び前記流出口に対して片持ちまたは両持ちまたは三方持ちの状態で開閉自在に固定されていることが好ましい。
【0012】
また本発明の流体ポンプは、先に記載の流体ポンプであり、前記逆止弁の閉鎖時に前記弁板が前記流入口または前記流出口に密着されることを特徴とする。この構成により、流入側及び流出側の逆止弁から流体が逆流するおそれがなく、駆動周波数に応じた流量を得ることができる。
【0013】
また本発明の流体ポンプにおいては、前記ダイヤフラムがユニモルフ型圧電素子またはバイモルフ型圧電素子であることが好ましい。また、前記弁体もユニモルフ型圧電素子またはバイモルフ型圧電素子であることが好ましい。
【0014】
また本発明の流体ポンプにおいては、前記の各弁体が非対称型のバイモルフ型圧電素子であり、一方の弁体の分極方向と他方の弁体の分極方向とが同一方向であってもよく、逆方向であっても良い。また各弁体の分極方向が逆方向の場合には、前記ダイヤフラムと前記の各逆止弁とを同一位相の交流により駆動させても良い。
【0015】
各弁体の分極方向が逆方向の場合に、双方の弁体に同一位相の交流を流せば、一方の逆止弁が「開」のときに他方は必ず「閉」となり、また一方の逆止弁が「閉」のときに他方は必ず「開」となる。従って、各弁体の分極方向が逆方向の場合、一の電源に対して各逆止弁を並列に接続することができ、流体ポンプの駆動回路を単純にすることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0017】
(第1の実施形態)
第1の実施形態の流体ポンプは、逆止弁の弁体をバイモルフ型圧電素子で構成し、かつ弁体を三方持ちで取り付けた例である。図1に本実施形態の流体ポンプの断面模式図を示す。
【0018】
図1に示す流体ポンプ1は、ダイヤフラム2と、ダイヤフラム2の一面2a側に形成されたポンプ室3と、ポンプ室3に設けられた流入口4及び流出口5と、流入口4及び流出口5に各々設けられた逆止弁6,7とから概略構成されている。ダイヤフラム2は箱状の筐体8の内部に収納されており、筐体8の内部がダイヤフラム2によって2分されている。そしてダイヤフラム2の一面2a側の内部空間がポンプ室3とされている。
【0019】
ダイヤフラム2の一面2aと対向する壁面3aには流入口4及び流出口5が開口されている。流入口4及び流出口5には流入配管9及び流出配管10がそれぞれ接続されている。また流入口4及び流出口5には逆止弁6、7が備えられており、これらの逆止弁6、7によって、流入口4から流体をポンプ室3内に導入するとともに流出口5から流体をポンプ室3外に吐出し、この逆方向には流体を流さないようになっている。このようにして、ポンプ室3を介して流入管9から流出管10に向けて流体を一方向に搬送できるようになっている。
【0020】
ダイヤフラム2は、金属製の振動板2bの両面に圧電体2c、2cが積層されてなるいわゆるバイモルフ型圧電素子である。このダイヤフラム2に対して交流電流が印加されると、図1の一点鎖線に示すように交流電流の周波数に対応する振動数をもってダイヤフラム2自体が振幅し、この振幅にともなってポンプ室3の内容積が周期的に増減する。ポンプ室3の内容積が増加するときには流入側の逆止弁6が開いて流体がポンプ室3内に流入する。このとき、もう一方の逆止弁7は閉鎖されていてポンプ室3外への流体の流出を防いでいる。ポンプ室3の内容積が減少するときには流出側の逆止弁7が開いて流体がポンプ室3外に吐出される。このとき、もう一方の逆止弁6は閉鎖されていてポンプ室3外への流体の逆流を防いでいる。このようにして、ダイヤフラム2の振幅に応じた量の流体を吐出できるようになっている。
【0021】
ダイヤフラム2を構成する振動板2bには、厚みが0.05〜0.15mmのステンレス等の金属板を用いることが好ましい。また、圧電体2c、2cには、厚みが0.2〜0.5mmのPZT等を用いることが好ましい。また上記の筐体8の材質としては、樹脂または金属等を採用できる。更に流体の種類に応じてポンプ室3内壁に保護膜を形成しても良い。
【0022】
図2には、流体ポンプ1に備えられた逆止弁6、7の断面模式図を示す。図2Aは流入側の逆止弁6が開閉する様子を示し、図2Bには流出側の逆止弁7が開閉する様子を示している。また図3には各逆止弁6、7の平面図を示す。図2A及び図3に示すように、流入側の逆止弁6は流入口4を開閉する弁体6aが備えられてなり、弁体6aが流入口4のポンプ室3側から流入口4を塞ぐ形で取り付けられて構成されている。また図2B及び図3に示すように、流出側の逆止弁7は、弁体7aが流出口5のポンプ室3側と反対側から流出口5を塞ぐ形で取り付けられて構成されている。尚、各弁体6a、7aは、筐体8に対して3点支持の状態で取り付けられている。
【0023】
各弁体6a、7aは、弁板6b、7bの両面に別の圧電体6c、7cが積層させてなるいわゆるバイモルフ型圧電素子である。弁板6b、7bは、図3に示すように金属板が略円形に打ち抜かれてなり、弁板6b、7bの外周部には3方向に突出する固定片6d、7dが設けられている。固定片6d、7dの先端には折曲部6e、7eが形成されており、この折曲部6e、7eが図2A及び図2Bに示すように、流入口4及び流出口5の周辺に設けられた嵌合穴3bに嵌め込まれている。
【0024】
圧電体6c、7cは、図2及び図3に示すように平面視形状が弁板6b、7bよりも小さく形成されており、これにより弁板6b、7bの周辺部が圧電体6c、7cから露出するようになっている。特に、圧電体6c、7cの平面視形状を、流入口4及び流出口5の断面形状よりも小さくすることが好ましい。このような構成により、図2に示すように弁板6b、7bの露出部分のみが流入口4の周辺部4aまたは流出口5の周辺部5aに密着する。尚、弁板6b、7bの両面に積層される圧電体6c、7c同士は同一形状に形成されることが好ましい。
【0025】
弁体6a、7aを構成する弁板6b、7bには、厚みが0.05〜0.15mmのステンレス等の金属板を用いることが好ましい。また、圧電体6c、7cには、厚みが0.2〜0.5mm程度のPZT等を用いることが好ましい。
【0026】
尚、図5には本実施形態の流体ポンプ1に適用可能な逆止弁の別の例を示す。この例の逆止弁の弁体16a、17aは、図4に示すように、弁板16b、17bに圧電体16c、17cが積層されて構成されている。弁板16b、17bは平面視略矩形に打ち抜かれて形成され、弁板16b、17bの相互に対向する2辺には折曲部16d、17dが設けられている。そして、この折曲部16d、17dが流入口4及び流出口5の周辺に設けられた嵌合穴に嵌め込まれて固定されている。このように本実施形態では、弁体を2点支持で取り付けても良い。
【0027】
上記の弁体6a,7aに対して交流電流が印加されると、交流電流の周波数に対応する振動数をもって弁体6a、7a自体が振幅し、流入口4及び流出口5を周期的に開閉させる。すなわち、弁体6a,7aの形状が、図2A及び図2Bの上段に示す「閉」の状態から図2A及び図2Bの下段に示す「開」の状態に周期的に変化する。図2A、図2Bの上段に示す閉状態の弁体6a,7aは、圧電体6c,7cに電圧が何ら印加されていない状態であり、図2A、図2Bの下段に示す開状態の弁体6a,7aは、圧電体6c,7cに電圧が印加されている状態である。このように、本実施形態の逆止弁6,7は、流体の圧力とは無関係に、圧電体6c,7cに印加される電流に応じて能動的に動作する。
【0028】
尚、上記の流体ポンプ1では、後に説明する理由により、流入側及び流出側の各弁体6a,7aを非対称型バイモルフ型圧電素子で構成するとともに流入側の弁体6aの分極方向をポンプ室3側に配向させ、流出側の弁体7aの分極方向をポンプ室3側と反対側に配向させることが好ましい。
【0029】
図5には流体ポンプ1の回路図を示す。この流体ポンプ1には、交流電源11が接続されており、交流電源11には第1駆動回路12と、第1駆動回路12から分岐された第2駆動回路13とが設けられている。第1駆動回路12にはダイヤフラム2が接続され、ダイヤフラム2を駆動できるようになっている。また第1駆動回路12には変圧器14が設けられており、交流を変圧してダイヤフラム2の振幅量を制御することで流体の流量を調整できるようになっている。また第2駆動回路13には逆止弁6,7が接続され、逆止弁6,7を駆動できるようになっている。第2駆動回路13には更に分岐部15が設けられており、交流を更に降圧できるようになっている。
【0030】
図6には、第2駆動回路13の詳細な構成を示す。図6に示すように、流入側及び流出側の各弁体6a、7aが非対称型バイモルフ型圧電素子で構成されている。また流入側の弁体6aの圧電素子6cの分極方向がポンプ室3側に配向され、流出側の弁体7aの圧電素子7c分極方向がポンプ室3側と反対側に配向されている。そして、一つの電源から各弁体7a、7aに対して位相が同じ交流電流を印加できるように構成している。このような構成により、一方の弁体が「開」の時に他方の弁体を必ず「閉」にすることができ、流体を搬送させることができる。また、ダイヤフラム2の駆動電流と各弁体6a、7aの駆動電流とを同一の位相にすることができ、流体ポンプ1の回路構成を簡素に構成できる。更に、弁体6a、7aに印加する電流を半波整流波とし、弁体6a、7aが「閉」の時に電流を印加させないようにすれば、弁体6a、7aを構成する圧電体6c、7cの寿命を延ばすことができる。尚、ここで「非対称型」とは、弁板6b、7bの厚さ方向と垂直な方向を対称軸として圧電体6c、7cの分極方向が非対称となっている状態を言う。
【0031】
図7及び図8には第2駆動回路の別の構成を示す。
図7には流入側及び流出側の各弁体6a、7aを非対称型バイモルフ型圧電素子で構成するとともに各弁体6a、7aの分極方向をポンプ室3側に配向させた場合の回路図を示す。図7に示す例では、流入側、流出側の弁体6a、7aの分極方向を共にポンプ室3側に配向させている。そして、各弁体6a、7aに対して位相が180度ずれた交流電流を印加できるように構成している。このような構成により、一方の弁体が「開」の時に他方の弁体を必ず「閉」にすることができ、流体を搬送させることができる。
【0032】
図8には流入側及び流出側の各弁体6a、7aを対称型バイモルフ型圧電素子で構成した場合の回路図を示す。図8に示す例では、各弁体6a、7aに対して位相が180度ずれた交流電流を印加できるように構成している。このような構成により、一方の弁体が「開」の時に他方の弁体を必ず「閉」にすることができ、流体を搬送させることができる。尚、ここで「対称型」とは、弁板6b、7bの厚さ方向と垂直な方向を対称軸として圧電体6c、7cの分極方向が対称となっている状態を言う。
【0033】
上記の流体ポンプ1によれば、流体の圧力とは無関係に、圧電体6c、7cに印加される電流に応じて逆止弁6,7が能動的に動作するので、逆止弁6,7による流体の圧損がなく、流量を高めることができる。また、弁体6a,7aに弁板6b、7bが備えられているので、ダイヤフラム2を高周波で駆動させた場合でも弁体6a,7aが変形することがなく、動作周波数に応じた流量を得ることができる。また弁体6a,7aに備えられた圧電体6c,7cの形状が小さく、弁板6b,7bの周辺部が露出しているので、逆止弁6,7が確実に閉じられ、流体の逆流が生じない。
【0034】
また、ダイヤフラム2にバイモルフ型圧電素子を用いているので、ダイヤフラム2の振幅幅を大きくすることができ、単位振幅あたりの流体の吐出量を大きくすることができる。
【0035】
(第2の実施形態)
第2の実施形態の流体ポンプは、逆止弁の弁体をバイモルフ型圧電素子で構成し、かつ弁体を片持ちで取り付けた例である。図9に本実施形態の流体ポンプに備えられた逆止弁26,27の断面模式図を示し、図10には本実施形態の流体ポンプの逆止弁26,27の平面図を示す。
本実施形態の逆止弁26,27の弁体26a,27aと第1の実施形態の弁体6a,7aとの相違点は、弁体26a,27aが一点支持の状態で取り付けられた点である。
【0036】
すなわち図9及び図10に示すように、各弁体26a,27aは、弁板26b,27bの両面に別の圧電体26c,27cが積層させて構成されている。そして弁板26b,27bは、金属板が平面視略矩形に打ち抜かれてなり、弁板26b,27bの外周部に固定片26d、27dが一つだけ設けられている。固定片26d、27dは弁板26b,27bから折曲されており、折曲部26e,27eが流入口4及び流出口5の周辺に設けられた嵌合穴に嵌め込まれている。
【0037】
本実施形態の流体ポンプによれば、第1の実施形態の流体ポンプと同様な効果が得られる。
【0038】
(第3の実施形態)
第3の実施形態の流体ポンプは、逆止弁の弁体をユニモルフ型圧電素子で構成し、かつ弁体を両持ちで取り付けた例である。図11に本実施形態の流体ポンプに備えられた逆止弁36、37の断面模式図を示す。
本実施形態の逆止弁36、37の弁体36a、37aと第1の実施形態の弁体6a、7aとの相違点は、弁体36a、37aをユニモルフ型圧電素子で構成した点である。
【0039】
すなわち図11に示すように、各弁体36a、37aは、弁板36b、37bの一面に厚さ方向に分極させた圧電体36c、37cが積層させてなるいわゆるユニモルフ型圧電素子である。弁板36b、37bの外周部には固定片36d、37dが設けられ、固定片36d、37dの先端が折り曲げられて折曲部36e、37eとされ、この折曲部36e、37eが、流入口4及び流出口5の周辺に設けられた嵌合穴に嵌め込まれている。また圧電体36c、37cは、弁板36b、37bのポンプ室3側の面に積層されており、その平面視形状が弁板36b、37bよりも小さく形成されている。特に、流出側の弁体37aに積層される圧電体37cは、その平面視形状を流出口の断面形状よりも小さくすることが好ましい。
【0040】
また図12には逆止弁46、47の別の例を示す。図12に示すように、各弁体46a、47aは、弁板46b、47bの他面に厚さ方向に分極させた圧電体46c、47cが積層させてなるユニモルフ型圧電素子である。圧電体46c、47cは、弁板46b、47bのポンプ室3と反対側の面に積層されており、その平面視形状が弁板46b、47bよりも小さくなるように形成されている。特に、流入側の弁体46aに積層される圧電体46bは、その平面視形状を流入口4の断面形状よりも小さくすることが好ましい。
【0041】
本実施形態の流体ポンプによれば、第1の実施形態の流体ポンプと同様な効果が得られる。
【0042】
(第4の実施形態)
第4の実施形態の流体ポンプは、逆止弁の弁体をユニモルフ型圧電素子で構成し、かつ弁体を片持ちで取り付けた例である。図13に本実施形態の流体ポンプに備えられた逆止弁56、57の断面模式図を示す。
本実施形態の逆止弁56、57の弁体56a、57aと第1の実施形態の弁体6a、7aとの相違点は、弁体56a、57aをユニモルフ型圧電素子で構成し、かつ弁体56a、57aが一点支持の状態で取り付けられた点である。
【0043】
すなわち図13に示すように、各弁体56a、57aは、弁板56b、57bの一面に厚さ方向に分極させた圧電体56c、57cが積層させてなるいわゆるユニモルフ型圧電素子である。弁板56b、57bの外周部には固定片56d、57dが一つ設けられ、固定片56d、57dの先端が折り曲げられて折曲部56e、57eとされ、この折曲部56e、57eが流入口4及び流出口5の周辺に設けられた嵌合穴に嵌め込まれている。また圧電体56、57は、弁板56b、57bのポンプ室3側の面に積層されており、その平面視形状が弁板56b、57bよりも小さく形成されている。特に、流出側の弁体57aに積層される圧電体57cは、その平面視形状を流出口5の断面形状よりも小さくすることが好ましい。
【0044】
また図14には逆止弁66、67の別の例を示す。図14に示すように、各弁体66a、67aは、弁板66b、67bの他面に厚さ方向に分極させた圧電体66c、67cが積層させてなるユニモルフ型圧電素子である。圧電体66c、67cは、弁板66b、67bポンプ室3と反対側の面に積層されており、その平面視形状が弁板66b、67bよりも小さくなるように形成されている。特に、図14Aに示すように、流入側の弁体66aに積層される圧電体66cは、その平面視形状を流入口4の断面形状よりも小さくすることが好ましい。
【0045】
本実施形態の流体ポンプによれば、第1の実施形態の流体ポンプと同様な効果が得られる。
【0046】
尚、上記第1〜第4の実施形態では、弁体に圧電体を設けているが、圧電体はなくても良く、この場合は流体ポンプの構造を簡単にでき、しかもダイヤフラムの高周波駆動に十分に追従できる。
【0047】
【実施例】
停止状態のポンプ室の内容積を10mlとし、弁体を構成する金属板の厚さを0.075mm、直径を0.5mmとし、弁体を構成する圧電体の厚さを0.3mm、直径を4mmとして、第1の実施形態と同様の流体ポンプを製造した。これを実施例1とした。また、逆止弁の弁体をゴム製としたこと以外は上記実施例1と同様にして比較例1の流体ポンプを製造した。
【0048】
実施例1及び比較例1の各流体ポンプに交流電源を接続し、周波数を30Hz〜500Hzに変化させたときの流体ポンプの流量を測定した。結果を図15に示す。
【0049】
図15に示すように、実施例1の流体ポンプでは、周波数が500Hzに達するまでの間、流量が直線的に増加しており、駆動周波数に逆止弁が追従できていることがわかる。一方、比較例1の流体ポンプでは、周波数が300Hzを過ぎたあたりで流量の増加が鈍くなり、流量自体も実施例1と比べて大幅に少ないことがわかる。これは、逆止弁がゴム製であるため、ダイヤフラムの高速駆動によって流体の送圧が高まり、この流体送圧の上昇によって流入側及び流入側の弁体が変形し、流体が逆流して流量が低下したためと考えられる。
【0050】
次に、停止状態のポンプ室の内容積を8mlとし、逆止弁の直径を5mmとし、弁体をゴム製としたこと以外は上記実施例1と同様にして比較例2の流体ポンプを製造した。この比較例2の流体ポンプに交流電源を接続し、周波数を50Hz〜120Hzに変化させたときの流体ポンプの流量を測定した。結果を図16に示す。また、ダイヤフラムの単位振幅あたりの吐出量も測定した。結果を図17に示す。
【0051】
図16に示すように、比較例2の流体ポンプでは、周波数が90Hzを過ぎたあたりで流量が低下している。また図17に示すように、単位振幅あたりの吐出量は駆動周波数の上昇と共に直線的に低下している。これは、比較例1と同様に、逆止弁がゴム製であるため、ダイヤフラムの高速駆動によって流体の送圧が高まり、この流体送圧の上昇によって流入側及び流入側の弁体が変形し、流体が逆流して流量が低下したためと考えられる。また、比較例2のように小型化を行うと、更に低い周波数で流量が低下することが判る。
【0052】
本発明の技術範囲は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。例えば、ダイヤフラムはバイモルフ型圧電素子に限らず、ユニモルフ型圧電素子を用いても良い。また、逆止弁の弁体の取付方法は、折曲部を嵌合穴に嵌め込む方法に限らず、弁体を流入口の周辺部及び流出口の周辺部と一体に形成しても良い。また圧電体の材質はPZTに限らず、他の材質のものを用いても良い。
【0053】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように、本発明の流体ポンプによれば、逆止弁を金属で形成し、更に流体の圧力によらず安定して開閉させることができ、更に弁板に圧電体を積層すれば逆止弁を能動的に開閉させることが可能となり、逆止弁による流体の圧損がなく、流量を高めることができる。また、弁体に弁板が備えられているので、ダイヤフラムを高周波で駆動させた場合でも弁体が変形することがなく、動作周波数に応じた流量を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態の流体ポンプを示す断面模式図。
【図2】図1の流体ポンプに備えられた逆止弁を示す図であって、Aは流入側の逆止弁が開閉する様子を示す断面模式図、Bは流出側の逆止弁が開閉する様子を示す断面模式図。
【図3】図1の流体ポンプに備えられた逆止弁を示す平面模式図。
【図4】図1の流体ポンプに備えられた逆止弁の別の例を示す平面模式図。
【図5】図1の流体ポンプの回路図。
【図6】流入側及び流出側の各弁体を非対称型バイモルフ型圧電素子で構成するとともに各弁体の分極方向を逆方向にさせた場合の回路図。
【図7】流入側及び流出側の各弁体を非対称型バイモルフ型圧電素子で構成するとともに各弁体の分極方向を一致させた場合の回路図。
【図8】流入側及び流出側の各弁体を対称型バイモルフ型圧電素子で構成した場合の回路図。
【図9】本発明の第2の実施形態の流体ポンプに備えられた逆止弁を示す図であって、Aは流入側の逆止弁が開閉する様子を示す断面模式図、Bは流出側の逆止弁が開閉する様子を示す断面模式図。
【図10】図6の流体ポンプに備えられた逆止弁を示す平面模式図。
【図11】本発明の第3の実施形態の流体ポンプに備えられた逆止弁を示す図であって、Aは流入側の逆止弁が開閉する様子を示す断面模式図、Bは流出側の逆止弁が開閉する様子を示す断面模式図。
【図12】図11の流体ポンプに備えられた逆止弁の別の例を示す平面模式図。
【図13】本発明の第4の実施形態の流体ポンプに備えられた逆止弁を示す図であって、Aは流入側の逆止弁が開閉する様子を示す断面模式図、Bは流出側の逆止弁が開閉する様子を示す断面模式図。
【図14】図13の流体ポンプに備えられた逆止弁の別の例を示す平面模式図。
【図15】実施例1と比較例1の流体ポンプの流量と駆動周波数との関係を示すグラフ。
【図16】比較例2の流体ポンプの流量と駆動周波数との関係を示すグラフ。
【図17】比較例2の流体ポンプの単位振幅あたりの吐出量と駆動周波数との関係を示すグラフ。
【符号の説明】
1…流体ポンプ、2…ダイヤフラム、2a…一面、2b…振動板、2c…圧電体、3…ポンプ室、4…流入口、5…流出口、6、7…逆止弁、6a、7a…弁体、6b、7b…弁板、6c、7c…別の圧電体

Claims (9)

  1. 振動板に圧電体が積層されてなるダイヤフラムと、該ダイヤフラムの一面側に形成されたポンプ室と、該ポンプ室に設けられた流入口及び流出口と、前記流入口及び前記流出口に各々設けられた逆止弁とから構成され、前記の各逆止弁には前記流入口及び前記流出口を各々開閉する弁体が備えられ、各弁体が金属で形成されてなる弁板を備えていることを特徴とする流体ポンプ。
  2. 前記弁体が、前記弁板に別の圧電体を積層させてなるものであることを特徴とする請求項1に記載の流体ポンプ。
  3. 前記弁体が前記流入口及び前記流出口に対して片持ちまたは両持ちまたは三方持ちの状態で開閉自在に固定されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の流体ポンプ。
  4. 前記逆止弁の閉鎖時に前記弁板が前記流入口または前記流出口に密着されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の流体ポンプ。
  5. 前記ダイヤフラムがユニモルフ型圧電素子またはバイモルフ型圧電素子であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の流体ポンプ
  6. 前記弁体がユニモルフ型圧電素子またはバイモルフ型圧電素子であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の流体ポンプ
  7. 前記の各弁体が非対称型のバイモルフ型圧電素子であり、一方の弁体の分極方向と他方の弁体の分極方向とが同一方向であることを特徴とする請求項6に記載の流体ポンプ。
  8. 前記の各弁体が非対称型のバイモルフ型圧電素子であり、一方の弁体の分極方向と他方の弁体の分極方向とが逆方向であることを特徴とする請求項6に記載の流体ポンプ。
  9. 前記ダイヤフラムと前記の各逆止弁とが同一位相の交流により駆動されることを特徴とする請求項8に記載の流体ポンプ。
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