JP2004307928A - 成型コークスの性状別高炉装入方法 - Google Patents

成型コークスの性状別高炉装入方法 Download PDF

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眞六 松崎
Masaaki Naito
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Abstract

【課題】大径成型コークスと小径成型コークスを造り分け、それぞれの性状(反応性、粒径、強度等)に応じて、高炉内の所定の位置に適正量装入する装入方法を提供する。
【解決手段】高炉用コークスとして室炉コークスと成型コークスを併用する成型コークスの性状別高炉装入方法において、(a)小径成型コークス(平均粒径10〜30mm)と大径成型コークス(平均粒径60〜80mm)を造り分け、(b)炉壁近傍に小径成型コークスを、必要であれば鉄原料と混合して装入し(全コークス質量の10〜30%)、(c)炉中心部に大径成型コークスを装入する(全コークス質量の2〜10%)。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、反応性が高い成型コークスを高炉用コークスとして使用する場合において、造り分けた大径成型コークスと小径成型コークスを、それぞれの反応性に基づいて高炉内の所定の場所に装入する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、高炉用コークスとして、室炉コークスと成型コークス(微粉炭を加圧成型、乾留して製造したコークス)が併用されている(例えば、特許文献1〜4、参照)。
【0003】
特許文献1には、全コークス量の30%未満の成型コークスを、炉壁部において室炉コークスと層状に装入するコークスの装入方法が記載されている。
【0004】
また、特許文献2には、炉頂バンカ内において、成型コークスの上に室炉コークスを貯槽した後、高炉内に装入する(その結果、炉内で、下層が成型コークス、上層が室炉コークスのコークス層が形成される)コークスの装入方法が記載されている。
【0005】
また、特許文献3には、細粒の室炉コークスを成型コークスと混合して高炉内装入する装入方法が記載されている。さらに、特許文献4には、高炉コークス(室炉コークス)層の全上面に、小塊コークス(6〜25mmの室炉コークス)及び/又は成型コークスを装入する装入方法が記載されている。
【0006】
成型コークスは、反応性の高いコークスであり、高炉内の還元反応を促進しようとする場合にはその使用が促進されるべきものであるが、上記装入方法にみられるように、室炉コークスを補完するコークスとして主として使用されている。
【0007】
また、成型コークスを積極的に使用する試みにおいても、大径の室炉コークスの代替品としての使用・装入が検討されているだけである。
【0008】
このように、成型コークスの使用が必ずしも充分に行なわれていないのが実情であるが、特許文献5には、高炉用コークスとして、全量、成型コークスを使用する装入方法が記載されている。
【0009】
この装入方法においては、室炉コークスより粒径が小さい成型コークスを粒径に応じて所定位置に装入するが、粒径の大きい成型コークスを炉中心部に装入しても、室炉コークスを使用する場合に比べ、従来どおりの通気性を確保することは難しい。
【0010】
高炉用コークスとして、室炉コークスがベースとなるにしても、強粘結炭の枯渇や、コークス炉の老朽化、また、銑鉄製造コストの低減を考慮すれば、成型コークの積極使用が求められることは必定であり、成型コークスの製造、使用に対して何らかの改善工夫が求められている。
【0011】
【特許文献1】
特開平6−212216号公報
【特許文献2】
特開平6−340907号公報
【特許文献3】
特開平7−166214号公報
【特許文献4】
特開平7−268410号公報
【特許文献5】
特開平6−271906号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記実情に鑑み、反応性の高い成型コークスを高炉用コークスとして積極的に使用するため、成型コークスの製造においては、大径のものと小径のものを造り分け、それぞれの性状(反応性、粒径、強度等)に応じて、高炉内の所定の位置に適正量装入する装入方法を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
成型コークスは、微粉炭を加圧成型し、乾留して製造するコークスであるので、製造時、粒径制御が容易である。
【0014】
そこで、本発明者は、高炉内での、通気性、反応形態の相違を考慮して、炉壁近傍装入用として、反応性の高い小径の成型コークスと、炉中心部装入用として、反応性の良好な大径の成型コークスを造り分けることを発想した。
【0015】
本発明は、上記造り分けの発想の下において、装入方法を検討した結果なされたもので、その要旨は、以下のとおりである。
【0016】
(1) 高炉用コークスとして室炉コークスと成型コークスを併用する高炉装入方法において、
(a)小径成型コークスと大径成型コークスを造り分け、
(b)炉壁近傍に小径成型コークスを装入し、
(c)炉中心部に大径成型コークスを装入する、
ことを特徴とする成型コークスの性状別高炉装入方法。
【0017】
(2) 前記小径成型コークスの平均粒径が10〜30mmであることを特徴とする前記(1)に記載の成型コークスの性状別高炉装入方法。
【0018】
(3) 前記大径成型コークスの平均粒径が60〜80mmであることを特徴とする前記(1)又は(2)に記載の成型コークスの性状別高炉装入方法。
【0019】
(4) 前記小径成型コークスの使用割合が全コークス質量の10〜30%であることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれかに記載の成型コークスの性状別高炉装入方法。
【0020】
(5) 前記大径成型コークスの使用割合が全コークス質量の2〜10%であることを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれかに記載の成型コークスの性状別高炉装入方法。
【0021】
(6) 前記小径成型コークスを鉄原料と混合して装入することを特徴とする前記(1)〜(5)のいずれかに記載の成型コークスの性状別高炉装入方法。
【0022】
【発明の実施の形態】
本発明について図面に基づいて詳細に説明する。本発明においては、まず、小径の成型コークス(小径成型コークス)と、大径の成型コークス(大型成型コークス)を造り分ける。
【0023】
そして、本発明においては、図1に示すように、ベルレス装入装置(図示なし)から高炉1内に旋回シュート2を介して装入する高炉用コークスとして、所要粒径の室炉コークス6をベースとしつつも、成型コークスの性状(反応性、粒径、強度等)に応じ、鉄原料層3上の炉壁近傍に小径成型コークス4を適正量装入し、同炉中心部に大径成型コークス5を適正量装入する。
【0024】
この点が、上記成型コークスの造り分けも含め本発明の特徴である。
【0025】
小径成型コークスは、大径成型コークスに比べ反応性が高く、高炉の炉壁近傍に装入するが、鉄原料(焼結鉱、焼成ペレット、還元ペレット等)と混合して装入してもよい。小径成型コークスの平均粒径は、鉄原料と混合することを考慮して、10〜30mmが好ましい。その平均粒径が10mmより小さい場合には通気性が悪化し、逆に、その平均粒径が30mmを超える場合には反応性が低下するため好ましくない。
【0026】
小径成型コークスは、全コークス質量の10〜30%の質量割合で使用するのが好ましい。
【0027】
使用量が30%を超えると、炉壁近傍における成型コークスの量が増えすぎて、反応性向上効果が頭打ちとなり、かえって、コークス比など還元剤比が増加するなどの悪影響を及ぼす。
【0028】
一方、使用量が10%未満であると、炉壁近傍における鉄鉱石の還元反応の向上効果を確保することができない。
【0029】
大径成型コークスは、小径成型コークスに比べJIS反応性は同じものの、反応界面積が減少するため、実際の反応性は低下してソリューションロス反応による粒子形の減少、粉化が少ない。
【0030】
したがって、大径成型コークスは、炉中心部の通気性を確保するため有効であり、炉中心部に装入する。
【0031】
大径成型コークスの平均粒径は、炉中心部で所要の通気性を確保するため、60〜80mmが好ましい。
【0032】
その平均粒径が60mmより小さい場合には通気性が悪化し、逆に、その平均粒径が80mmを超える場合には、製造設備上の制約又は搬送性の低下のため好ましくない。
【0033】
大径成型コークスは、全コークス質量の2〜10%の質量割合で使用するのが好ましい。
【0034】
使用量が10%を超えると、炉中心部の通気性が良い部分が拡大し、炉全体の還元効率を低下せしめる結果となり、還元剤比の増大を招く等の悪影響を及ぼすことになる。
【0035】
一方、使用量が2%未満であると、炉中心部において所要の通気性を確保することができない。
【0036】
小径成型コークスと大径成型コークスを合せた使用量の上限は、炉内全体の通気性や、反応形態を考慮すれば、30%が好ましい。即ち、炉中心部と炉壁の中間部には、全コークスの使用量の少なくとも70%の割合で室炉コークスを装入するのが好ましい。
【0037】
【実施例】
次に、本発明の実施例を説明するが、本発明は、実施例で採用した条件等に限定されるものではない。本発明の実施においては、本発明の目的を達成する範囲内で、適宜、条件等を設定、変更できる。
【0038】
(実施例)
表1に示すように、成型コークス炉で、平均粒径70mmの大径成型コークスと平均粒径20mmの小径成型コークスを造り分け、全コークス量の5%の割合で大径成型コークスを使用し、炉中心部に装入し、また、全コークス量の20%の割合で小径成型コークスを鉄原料と混合して使用し、炉壁近傍に装入して、高炉操業を行なった。
【0039】
表1に、製造した大径成型コークスと小径成型コークスの反応性と強度を併せて示す。
【0040】
反応性は、JIS試験を行って求めた。強度は、DI(ドラムインデックス、150回転した時の15mmオーバーの質量%)で求めた。
【0041】
操業結果の一例を表2に示す。表2に示すように、室炉コークスを100%使用する期間Aに比べ、小径成型コークスを35%使用した期間Bでは、還元剤比の低減を図ることができた。しかし、炉内の通気性を表す通気抵抗指数は、1.7から2.0へと上昇し、通気性は悪化した。
【0042】
そこで、通気性を確保するため、期間Cにおいて、大径成型コークスを10%使用することにより、通気性を改善し、出銑比の増加を図った。
【0043】
しかし、大径成型コークスを過剰に使用したことにより還元剤比が悪化したため、期間Dにおいて、大径成型コークスを5%に低減した。その結果、還元剤比及び出銑比が最適となり、通気抵抗指数も問題のないレベルで安定化させることができた。
【0044】
また、成型コークス炉の稼動により、室炉コークス炉の稼働率を90%まで低減できた。
【0045】
【表1】
Figure 2004307928
【0046】
【表2】
Figure 2004307928
【0047】
【発明の効果】
本発明によれば、大径成型コークスと小径成型コークスを造り分け、それぞれの性状に応じて高炉内に装入するので、室炉コークス炉の稼働率を低減でき、コークス炉の長寿命化を図ることができた。また、室炉コークスの粒子径制御手段はコークス炉の稼働率又は配合変更しかなかったが、成型コークス炉製造装置の成型機を変えることにより容易に行なえるため、高炉の通気還元状況に応じて粒度構成を容易に変えることができるため、還元剤比、銑鉄製造コストの低減が図れる。
【0048】
したがって、本発明によれば、コークス炉操業と高炉操業を併せた操業において、還元剤比の低減のみならず生産性を高め、銑鉄製造コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施態様を説明する図である。
【符号の説明】
1…高炉
2…旋回シュート
3…鉄原料層
4…小径成型コークス
5…大径成型コークス
6…室炉コークス

Claims (6)

  1. 高炉用コークスとして室炉コークスと成型コークスを併用する高炉装入方法において、
    (a)小径成型コークスと大径成型コークスを造り分け、
    (b)炉壁近傍に小径成型コークスを装入し、
    (c)炉中心部に大径成型コークスを装入する、
    ことを特徴とする成型コークスの性状別高炉装入方法。
  2. 前記小径成型コークスの平均粒径が10〜30mmであることを特徴とする請求項1に記載の成型コークスの性状別高炉装入方法。
  3. 前記大径成型コークスの平均粒径が60〜80mmであることを特徴とする請求項1又は2に記載の成型コークスの性状別高炉装入方法。
  4. 前記小径成型コークスの使用割合が全コークス質量の10〜30%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の成型コークスの性状別高炉装入方法。
  5. 前記大径成型コークスの使用割合が全コークス質量の2〜10%であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の成型コークスの性状別高炉装入方法。
  6. 前記小径成型コークスを鉄原料と混合して装入することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の成型コークスの性状別高炉装入方法。
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JP2007231326A (ja) * 2006-02-28 2007-09-13 Jfe Steel Kk 高炉操業方法
WO2013172043A1 (ja) * 2012-05-18 2013-11-21 Jfeスチール株式会社 高炉への原料装入方法

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