JP2004307782A - 良着火燃焼性炭化物およびその製造法 - Google Patents
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Abstract
【課題】着火性および燃焼性の良い炭化物を提供する。
【解決手段】多孔質炭化物に良引火性物質を含有させたことを特長とする良着火燃焼性炭化物であり、多孔質炭化物を、良引火性物質内に一定時間浸漬した後に引き上げて、所定時間放置することを特長とする良着火燃焼性炭化物の製造法である。
【選択図】 図1
【解決手段】多孔質炭化物に良引火性物質を含有させたことを特長とする良着火燃焼性炭化物であり、多孔質炭化物を、良引火性物質内に一定時間浸漬した後に引き上げて、所定時間放置することを特長とする良着火燃焼性炭化物の製造法である。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、着火および着火後の燃焼性の良い炭化物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、燃料としての種々の炭化物、例えば木炭、オガ炭、練炭などが利用されているが、いずれも着火性は良くなく、そのため種々の着火剤を用いたり、外部からの強制加熱にて着火する手段が多用されているが、本発明にて示すように、多孔質の炭化物そのもの自体が良好な着火性および着火後の燃焼性を有するものは、現在のところ見当たらない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
数ある炭化物のなかで、大衆性に富むものに木炭がある。
木炭にも種類があり、一般に着火性の困難なものほど燃焼時間が長い傾向がある。従来から有る標準的な木炭着火法は、紙や木片等の上に木炭を載せ、紙に着火してそれが木片に移り、やがて木炭に着火して木炭燃焼になるものである。
しかし、木炭の量に対する紙や木片の量やその配置が適切であることとともに十分な空気提供が行われることが必要であり、通常はうちわや送風機などで風を送り続けることが行われる。この方法は木炭の燃焼まで数十分かかるものである上、前記した紙や木片の量などによっては着火が不十分となることも多く、確実な着火方法とは言い難い。また、煙が出るとともに発生ガスの臭いが出る。
近年、このような着火不良事態を避けるために、種々の着火剤が開発され市販されている。たとえば、引火・燃焼性に富む物質を練り状にしたものを木炭に付着させ、この着火剤に点火してその燃焼により木炭に着火させるものがある。
しかし、その成分により煙が出たり、着火時に大きな炎が上がるので危険性を有し、屋外ではともかく屋内ではその使用に難がある。
また、ガスバーナーを用いて木炭にその炎を当て続けて着火する方法もあるが、あくまでも業務的な方法で、家庭的な手段ではない。
以上の着火手段は、木炭の外面から着火させて燃焼に導くものであり、着火から十分な燃焼に移るまでに相当の時間を有するものである。
本発明は、以上のような従来からの多孔質炭化物とくに木炭への着火および燃焼に関わる課題を解決するために発明されたもので、着火の容易性とともに着火後の燃焼性も良好なる新規な炭化物およびその製法を提供することを目的として開発されたものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
課題を解決する手段として本発明は、良引火性物質内に多孔質炭化物を浸漬して得られる良着火燃焼性炭化物であり、またその製法である。
すなわち、本発明は、多孔質炭化物に良引火性物質を含有させたことを特長とする良着火燃焼性炭化物であり、また、多孔質炭化物を、良引火性物質内に一定時間浸漬した後に引き上げて、所定時間放置することを特長とする良着火燃焼性炭化物の製造法である。
【0005】
【発明の実施の形態】
燃料用炭化物の代表例として木炭があるが、木炭は多孔質であることが知られている。この木炭を良引火性物質例えばアルコール類に浸漬すると、毛細管現象によりアルコールは木炭の細孔内に入り込み、アルコールを含んだ木炭となる。
これを浸漬液から引き上げるが、この状態では木炭表面にもアルコールが付着しており、取扱に不便である。そのため、引き上げた後に所定時間別室空間内に放置すると、木炭表面のアルコールは蒸発気化し、扱いやすいものとなる。
使用時は、適当な耐熱容器内にこのアルコールを含んだ木炭を入れ、その上に通常の木炭を載せる。紙片を少しねじったものを、この処理済みの木炭間隙に差し込み、着火する。紙片から出る炎にて処理後の木炭に含まれているアルコールが気化するとともに着火燃焼し、処理後の木炭自体が燃焼を始める。
すると、その上にある通常の木炭への着火・燃焼が行われ、焼き物等に利用可能な状態となる。この通常木炭が燃焼状態に至れば、その上に木炭を追加していくことで、燃焼を継続させることができる。
【0006】
【実施例】
以下、本発明の実施例について説明する。
まず、木炭を用意する。この木炭は多孔性に富む黒炭である。(常温放置状態)
この木炭は5cm程度の長さに切りそろえたものを数個用意する。
次ぎに、液体貯留可能な蓋付き容器を準備する。この容器内にアルコール類としてのエチルアルコールを適量入れ、準備した木炭をかごに入れてアルコール内に沈めて蓋を閉め、1時間ほど放置した。比重の関係で木炭はアルコール内に沈んでいる。放置後、この木炭を引き上げて、別の蓋付き容器内に格子状枠体を入れてその上に5時間ほど放置した。
この放置していた木炭を取りだして、耐熱容器内に入れ、その上に一般の木炭を数個載せてから、紙片をねじったものをこの処理後の木炭間隙に入れて着火した。紙片から出る炎にて処理後の木炭に着火して燃焼し、やがてその上の木炭に着火して燃焼状態となったが、紙片着火から木炭燃焼まで約10分間であった。
さらに、木炭に対するエチルアルコール含有量の変化と着火燃焼性の関係を知るべく下記の実験を行った。
【0007】
常温放置状態の木炭を加熱して水分を除去した無水木炭90gを、エチルアルコールに浸漬する時間を15分単位で変化させ、浸漬後に引き上げてから別の密閉容器内で約24時間放置して木炭表面に付着したアルコールを気化させ、その重量を測定した。
その結果、エチルアルコール20g以下では着火性・燃焼性に劣り、30g以上では着火燃焼性は良いものの火力が強すぎて炎が大きくなり、取扱の安全性に難がある結果を得た。また、最適条件は25g含有の場合であり、好ましくは23〜27gの範囲であるとの知見を得た。
【0008】
【表1】
【0009】
【表2】
また、ジエチルエーテル50%エチルアルコール50%の混合液で同様の実験を行ったところ、使用可能範囲は17〜26g含有時であることが分かった。
ジエチルエーテルはエチルアルコールより単位重量あたりの発熱量が高いため、エチルアルコールのみの場合に比べ、少ない含有量で同様の効果があるものと思われる。
メチルアルコールはエチルアルコールよりさらに発熱量が低いため、同様の実験をすれば、26g〜38gが使用可能範囲であり、ジエチルエーテルのみでは15〜23gであると思われる。以上の結果をふまえ、浸漬液成分の単位重量あたりの発熱量から導き出される対無水木炭重量比における良引火性物質の使用可能含有範囲および好適使用含有範囲を算出したのが以下の表である。
【0010】
【表3】
【0011】
【表4】
ただし、実験に使用した木炭(黒炭)では、無水木炭90gに対してエチルアルコール35gが最大含有量であるとの実験結果を得たので、木炭使用の場合は無水木炭重量比で39%が上限となる。なお、単位重量あたりの発熱量は、エチルアルコールに対し、メチルアルコールは低い値である。従って、エチルアルコールとメチルアルコールの混合物の場合は、表3および表4の結果と最大含有量の関係から、使用可能含有量は22〜39%、好適使用含有量は25〜39%であることがわかる。しかし、多孔質炭化物の種類によってはより巾のある含有が考え得るので、実験結果をふまえ、対無水炭化物に対する良引火性物質の含有重量比としては、15〜45%が妥当であると想定した。
以上のことから、良引火性物質を対無水炭化物重量比で15〜45%の範囲内から良引火性物質(浸漬液)種類により選択した上限値および下限値からなる範囲を含有させた炭化物が着火性および燃焼性に良好であるとの結果を得た。
【0012】
本発明の概要については既述したが、本発明は木炭自体を着火剤的に利用できるところにその特長がある。
既述したように、従来からの着火剤は木炭とは別の物質であり、まずその着火剤に点火し、木炭表面の着火をうながし、やがて木炭の燃焼がその内部に進んで行くものである。従って、強力な火力を必要とするために、強引火・燃焼性を有する物質を用いている。ゆえに着火剤の急激な燃焼が起こり、大きな炎を発するのである。しかるに本発明では、木炭内部の孔に良引火性物質を含ませるために、表面に着火するとその熱で内部の引火性物質が気化するとともに燃焼して、木炭成分自体への着火燃焼が行われる。つまり表面の一部だけではなく全体で燃焼がなされるために、木炭自体の着火燃焼が早まり、安定した火力が得られ、そしてこれが種火となってその上に載置された木炭をも燃焼させるのである。
木材に比べて木炭はその着火が困難である。
これは、木炭の製造過程で木材に含まれる炭化水素成分が抜けて、炭素分の多い無定形炭素に変わるためである。そのため、種々の着火手段が研究されてきたのであるが、本発明は木炭の多孔質に着目し、この孔内に良引火性物質を含ませることができればあたかも木材燃焼に類似の効果が得られるのではないかとの想定により、実験を行ってこの発明を得たのである。
木炭には水は禁物とされている。なぜなら水を含んだ木炭を加熱すると、染みこんだ水が水蒸気化して木炭が燃焼中に割れて弾け飛ぶからである。
つまり、木炭を液中に浸漬することは危険行為なのである。
だが、本発明はこのタブーに挑戦し、アルコール等であればその気化性および引火燃焼性のため、浸漬してもなんら問題がないばかりか、既述のような有益な効果をもたらすことを見いだし、本発明がなされたのである。
【0013】
本発明は多孔質炭化物を対象とするものであり、木炭、オガ炭、豆炭、練炭、竹炭、石炭等がその範囲に含まれる。また、炭化可能な物質を炭化させて、多孔質形状に固化したものも対象である。
良引火性物質は、エーテル類、アルコール類、ガソリン、二硫化炭素、アセトン、シンナー類、ベンゼン、オクタンなどが対象である。
以上のうち、安全性、毒性、取扱の容易性等を考慮した結果、アルコール類やエーテル類が適当であるとの知見を得た。
アルコール類には、メチルアルコール(メタノール)、エチルアルコール(エタノール)、イソプロピルアルコール他がある。この中で使用しやすいのはエチルアルコールやメチルアルコールであり、両者を混合して用いてもよい。
エーテル類には、メチルエーテル、エチルエーテル、ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル他があるが、一般的なのはジエチルエーテルである。
エーテルは粘度が低く、揮発性が高いので取扱に注意を要するが、効果としてはアルコールの場合と同様である。エタノール、メタノール、エーテルともに引火点が低く、揮発性の高い可燃性液体として知られる。また、3者とも表面張力が小さく、浸透性を有するので、木炭の細孔に侵入して既述の効果が得られる。
【0014】
本発明において、浸漬後に蓋付き容器内で放置するのは、木炭表面に付着した浸漬液を蒸発させて取扱に適したものにするためである。
容器に入れずに放置すると、浸漬液の揮発性のためたちまち気化し、細孔内の液も消失されてしまう。しかし、密閉容器内での放置であれば、始めは気化が盛んであるが、やがて容器内にその蒸気が充満し、気化速度が遅くなり、所定時間の放置にて木炭表面に付着していた浸漬液のみが気化し、細孔内には浸漬液が残っている状態となり、その放置時間管理が容易となる利点がある。
なお、図2でかごの下に位置するのは格子状枠体であり、浸漬後の炭に含まれた引火性物質を滴下させて適量を含んだ炭とし、使用時の安全性を配慮したものとした。なお、非使用時は木炭細孔に含まれる良引火性物質成分の気化を防ぐために、非通気性素材にてくるんで保管することが肝要である。
【0015】
【発明の効果】
本発明によれば、多孔質炭化物の孔内に良引火性物質を含有させるので、容易に着火するとともに燃焼性に富み、この燃焼した炭化物自体を種火として利用することができ、従来より困難であった炭化物の着火および燃焼性を改善することに寄与する、有用かつ新規なる良着火燃焼性炭化物とその製造法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の浸漬状態説明図
【図2】本発明の浸漬後の引き上げ乾燥状態説明図
【符号の説明】
1 容器
2 蓋
3 浸漬液(良引火性物質)
4 木炭
5 かご
6 格子状枠体
【発明の属する技術分野】
この発明は、着火および着火後の燃焼性の良い炭化物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、燃料としての種々の炭化物、例えば木炭、オガ炭、練炭などが利用されているが、いずれも着火性は良くなく、そのため種々の着火剤を用いたり、外部からの強制加熱にて着火する手段が多用されているが、本発明にて示すように、多孔質の炭化物そのもの自体が良好な着火性および着火後の燃焼性を有するものは、現在のところ見当たらない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
数ある炭化物のなかで、大衆性に富むものに木炭がある。
木炭にも種類があり、一般に着火性の困難なものほど燃焼時間が長い傾向がある。従来から有る標準的な木炭着火法は、紙や木片等の上に木炭を載せ、紙に着火してそれが木片に移り、やがて木炭に着火して木炭燃焼になるものである。
しかし、木炭の量に対する紙や木片の量やその配置が適切であることとともに十分な空気提供が行われることが必要であり、通常はうちわや送風機などで風を送り続けることが行われる。この方法は木炭の燃焼まで数十分かかるものである上、前記した紙や木片の量などによっては着火が不十分となることも多く、確実な着火方法とは言い難い。また、煙が出るとともに発生ガスの臭いが出る。
近年、このような着火不良事態を避けるために、種々の着火剤が開発され市販されている。たとえば、引火・燃焼性に富む物質を練り状にしたものを木炭に付着させ、この着火剤に点火してその燃焼により木炭に着火させるものがある。
しかし、その成分により煙が出たり、着火時に大きな炎が上がるので危険性を有し、屋外ではともかく屋内ではその使用に難がある。
また、ガスバーナーを用いて木炭にその炎を当て続けて着火する方法もあるが、あくまでも業務的な方法で、家庭的な手段ではない。
以上の着火手段は、木炭の外面から着火させて燃焼に導くものであり、着火から十分な燃焼に移るまでに相当の時間を有するものである。
本発明は、以上のような従来からの多孔質炭化物とくに木炭への着火および燃焼に関わる課題を解決するために発明されたもので、着火の容易性とともに着火後の燃焼性も良好なる新規な炭化物およびその製法を提供することを目的として開発されたものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
課題を解決する手段として本発明は、良引火性物質内に多孔質炭化物を浸漬して得られる良着火燃焼性炭化物であり、またその製法である。
すなわち、本発明は、多孔質炭化物に良引火性物質を含有させたことを特長とする良着火燃焼性炭化物であり、また、多孔質炭化物を、良引火性物質内に一定時間浸漬した後に引き上げて、所定時間放置することを特長とする良着火燃焼性炭化物の製造法である。
【0005】
【発明の実施の形態】
燃料用炭化物の代表例として木炭があるが、木炭は多孔質であることが知られている。この木炭を良引火性物質例えばアルコール類に浸漬すると、毛細管現象によりアルコールは木炭の細孔内に入り込み、アルコールを含んだ木炭となる。
これを浸漬液から引き上げるが、この状態では木炭表面にもアルコールが付着しており、取扱に不便である。そのため、引き上げた後に所定時間別室空間内に放置すると、木炭表面のアルコールは蒸発気化し、扱いやすいものとなる。
使用時は、適当な耐熱容器内にこのアルコールを含んだ木炭を入れ、その上に通常の木炭を載せる。紙片を少しねじったものを、この処理済みの木炭間隙に差し込み、着火する。紙片から出る炎にて処理後の木炭に含まれているアルコールが気化するとともに着火燃焼し、処理後の木炭自体が燃焼を始める。
すると、その上にある通常の木炭への着火・燃焼が行われ、焼き物等に利用可能な状態となる。この通常木炭が燃焼状態に至れば、その上に木炭を追加していくことで、燃焼を継続させることができる。
【0006】
【実施例】
以下、本発明の実施例について説明する。
まず、木炭を用意する。この木炭は多孔性に富む黒炭である。(常温放置状態)
この木炭は5cm程度の長さに切りそろえたものを数個用意する。
次ぎに、液体貯留可能な蓋付き容器を準備する。この容器内にアルコール類としてのエチルアルコールを適量入れ、準備した木炭をかごに入れてアルコール内に沈めて蓋を閉め、1時間ほど放置した。比重の関係で木炭はアルコール内に沈んでいる。放置後、この木炭を引き上げて、別の蓋付き容器内に格子状枠体を入れてその上に5時間ほど放置した。
この放置していた木炭を取りだして、耐熱容器内に入れ、その上に一般の木炭を数個載せてから、紙片をねじったものをこの処理後の木炭間隙に入れて着火した。紙片から出る炎にて処理後の木炭に着火して燃焼し、やがてその上の木炭に着火して燃焼状態となったが、紙片着火から木炭燃焼まで約10分間であった。
さらに、木炭に対するエチルアルコール含有量の変化と着火燃焼性の関係を知るべく下記の実験を行った。
【0007】
常温放置状態の木炭を加熱して水分を除去した無水木炭90gを、エチルアルコールに浸漬する時間を15分単位で変化させ、浸漬後に引き上げてから別の密閉容器内で約24時間放置して木炭表面に付着したアルコールを気化させ、その重量を測定した。
その結果、エチルアルコール20g以下では着火性・燃焼性に劣り、30g以上では着火燃焼性は良いものの火力が強すぎて炎が大きくなり、取扱の安全性に難がある結果を得た。また、最適条件は25g含有の場合であり、好ましくは23〜27gの範囲であるとの知見を得た。
【0008】
【表1】
【0009】
【表2】
また、ジエチルエーテル50%エチルアルコール50%の混合液で同様の実験を行ったところ、使用可能範囲は17〜26g含有時であることが分かった。
ジエチルエーテルはエチルアルコールより単位重量あたりの発熱量が高いため、エチルアルコールのみの場合に比べ、少ない含有量で同様の効果があるものと思われる。
メチルアルコールはエチルアルコールよりさらに発熱量が低いため、同様の実験をすれば、26g〜38gが使用可能範囲であり、ジエチルエーテルのみでは15〜23gであると思われる。以上の結果をふまえ、浸漬液成分の単位重量あたりの発熱量から導き出される対無水木炭重量比における良引火性物質の使用可能含有範囲および好適使用含有範囲を算出したのが以下の表である。
【0010】
【表3】
【0011】
【表4】
ただし、実験に使用した木炭(黒炭)では、無水木炭90gに対してエチルアルコール35gが最大含有量であるとの実験結果を得たので、木炭使用の場合は無水木炭重量比で39%が上限となる。なお、単位重量あたりの発熱量は、エチルアルコールに対し、メチルアルコールは低い値である。従って、エチルアルコールとメチルアルコールの混合物の場合は、表3および表4の結果と最大含有量の関係から、使用可能含有量は22〜39%、好適使用含有量は25〜39%であることがわかる。しかし、多孔質炭化物の種類によってはより巾のある含有が考え得るので、実験結果をふまえ、対無水炭化物に対する良引火性物質の含有重量比としては、15〜45%が妥当であると想定した。
以上のことから、良引火性物質を対無水炭化物重量比で15〜45%の範囲内から良引火性物質(浸漬液)種類により選択した上限値および下限値からなる範囲を含有させた炭化物が着火性および燃焼性に良好であるとの結果を得た。
【0012】
本発明の概要については既述したが、本発明は木炭自体を着火剤的に利用できるところにその特長がある。
既述したように、従来からの着火剤は木炭とは別の物質であり、まずその着火剤に点火し、木炭表面の着火をうながし、やがて木炭の燃焼がその内部に進んで行くものである。従って、強力な火力を必要とするために、強引火・燃焼性を有する物質を用いている。ゆえに着火剤の急激な燃焼が起こり、大きな炎を発するのである。しかるに本発明では、木炭内部の孔に良引火性物質を含ませるために、表面に着火するとその熱で内部の引火性物質が気化するとともに燃焼して、木炭成分自体への着火燃焼が行われる。つまり表面の一部だけではなく全体で燃焼がなされるために、木炭自体の着火燃焼が早まり、安定した火力が得られ、そしてこれが種火となってその上に載置された木炭をも燃焼させるのである。
木材に比べて木炭はその着火が困難である。
これは、木炭の製造過程で木材に含まれる炭化水素成分が抜けて、炭素分の多い無定形炭素に変わるためである。そのため、種々の着火手段が研究されてきたのであるが、本発明は木炭の多孔質に着目し、この孔内に良引火性物質を含ませることができればあたかも木材燃焼に類似の効果が得られるのではないかとの想定により、実験を行ってこの発明を得たのである。
木炭には水は禁物とされている。なぜなら水を含んだ木炭を加熱すると、染みこんだ水が水蒸気化して木炭が燃焼中に割れて弾け飛ぶからである。
つまり、木炭を液中に浸漬することは危険行為なのである。
だが、本発明はこのタブーに挑戦し、アルコール等であればその気化性および引火燃焼性のため、浸漬してもなんら問題がないばかりか、既述のような有益な効果をもたらすことを見いだし、本発明がなされたのである。
【0013】
本発明は多孔質炭化物を対象とするものであり、木炭、オガ炭、豆炭、練炭、竹炭、石炭等がその範囲に含まれる。また、炭化可能な物質を炭化させて、多孔質形状に固化したものも対象である。
良引火性物質は、エーテル類、アルコール類、ガソリン、二硫化炭素、アセトン、シンナー類、ベンゼン、オクタンなどが対象である。
以上のうち、安全性、毒性、取扱の容易性等を考慮した結果、アルコール類やエーテル類が適当であるとの知見を得た。
アルコール類には、メチルアルコール(メタノール)、エチルアルコール(エタノール)、イソプロピルアルコール他がある。この中で使用しやすいのはエチルアルコールやメチルアルコールであり、両者を混合して用いてもよい。
エーテル類には、メチルエーテル、エチルエーテル、ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル他があるが、一般的なのはジエチルエーテルである。
エーテルは粘度が低く、揮発性が高いので取扱に注意を要するが、効果としてはアルコールの場合と同様である。エタノール、メタノール、エーテルともに引火点が低く、揮発性の高い可燃性液体として知られる。また、3者とも表面張力が小さく、浸透性を有するので、木炭の細孔に侵入して既述の効果が得られる。
【0014】
本発明において、浸漬後に蓋付き容器内で放置するのは、木炭表面に付着した浸漬液を蒸発させて取扱に適したものにするためである。
容器に入れずに放置すると、浸漬液の揮発性のためたちまち気化し、細孔内の液も消失されてしまう。しかし、密閉容器内での放置であれば、始めは気化が盛んであるが、やがて容器内にその蒸気が充満し、気化速度が遅くなり、所定時間の放置にて木炭表面に付着していた浸漬液のみが気化し、細孔内には浸漬液が残っている状態となり、その放置時間管理が容易となる利点がある。
なお、図2でかごの下に位置するのは格子状枠体であり、浸漬後の炭に含まれた引火性物質を滴下させて適量を含んだ炭とし、使用時の安全性を配慮したものとした。なお、非使用時は木炭細孔に含まれる良引火性物質成分の気化を防ぐために、非通気性素材にてくるんで保管することが肝要である。
【0015】
【発明の効果】
本発明によれば、多孔質炭化物の孔内に良引火性物質を含有させるので、容易に着火するとともに燃焼性に富み、この燃焼した炭化物自体を種火として利用することができ、従来より困難であった炭化物の着火および燃焼性を改善することに寄与する、有用かつ新規なる良着火燃焼性炭化物とその製造法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の浸漬状態説明図
【図2】本発明の浸漬後の引き上げ乾燥状態説明図
【符号の説明】
1 容器
2 蓋
3 浸漬液(良引火性物質)
4 木炭
5 かご
6 格子状枠体
Claims (6)
- 多孔質炭化物に良引火性物質を対無水炭化物重量比で15〜45%の範囲内から良引火性物質の種類により選択した上限値および下限値からなる範囲を含有させたことを特長とする良着火燃焼性炭化物。
- 良引火性物質をアルコール類とした請求項1記載の良着火燃焼性炭化物。
- 良引火性物質をエーテル類とした請求項1記載の良着火燃焼性炭化物。
- 良引火性物質をアルコール類とエーテル類の混合物とした請求項1記載の良着火燃焼性炭化物。
- 多孔質炭化物を木炭とした請求項1〜4のいずれかの項に記載の良着火燃焼性炭化物。
- 多孔質炭化物を、良引火性物質内に一定時間浸漬した後に引き上げて所定時間放置することにより、良引火性物質の対無水炭化物重量比を、15〜45%の範囲内から良引火性物質の種類により選択した上限値および下限値からなる範囲を含有させることを特長とする良着火燃焼性炭化物の製造法。
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JP2003133801A JP2004307782A (ja) | 2003-04-04 | 2003-04-04 | 良着火燃焼性炭化物およびその製造法 |
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JP2004307782A true JP2004307782A (ja) | 2004-11-04 |
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Family Applications (1)
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JP2003133801A Pending JP2004307782A (ja) | 2003-04-04 | 2003-04-04 | 良着火燃焼性炭化物およびその製造法 |
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- 2003-04-04 JP JP2003133801A patent/JP2004307782A/ja active Pending
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