JP2004307450A - オレフィン類に関する脱水素プロセス - Google Patents
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Abstract
【解決手段】該プロセスは、約400℃から約700℃の温度、約0.1から約10気圧で分子状酸素の存在下において、アルカンと酸素のモル比率を約1:0.0001から1:0.04の間でアルカンをクロム系脱水素触媒と接触させることを含む。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、相当するパラフィンの通常脱水素によりオレフィンを製造する際のプロセスに関する。より詳しくは、本発明は酸素の存在下でクロム系脱水素触媒(chromium−based dehydrogenation catalyst)を使用するオレフィン製造用の改良された脱水素プロセスに関する。
【0002】
【従来の技術】
炭化水素の脱水素は重要な工業的プロセスである。これは工業プロセスに関する供給原料として、脱水素化炭化水素に対して大きな需要があるからである。例えば、脱水素化炭化水素はとりわけ界面活性剤、高オクタン価ガソリン、医薬製品、プラスチックおよび合成ゴムの生産に使用される。ある特定な脱水素プロセスの一例は、イソブタンを脱水素化してイソブチレンを製造し、それからそれを重合して接着剤用の粘着付与剤、モーターオイル用の粘度指数添加剤およびプラスチック用の抗衝撃用添加剤および抗酸化添加剤として提供する。イソブチレンは同様にメチル第三級ブチルエーテル(MTBE)の製造に用いられまたは二量化してイソオクタンにすることができる。MTBEおよびイソオクタンはガソリン燃料中の抗ノッキング剤として用いられる。
【0003】
アルケン類の主な伝統的源は蒸気分解および流体接触分解であった。両方のプロセスは同時に他の幅広い生成物を限られた範囲で与える。しかしながら、イソブチレンまたはプロピレンのような特定のアルケン類に需要が増大し、その需要を満足させるのに高価な分解装置を用いるのは価格効率が良いとはいえない。アルケン類を供給するのに最も優れた技術的選択はアルカン類の通常の脱水素であった。
【0004】
アルカン脱水素の技術的実施に影響する主な因子はシングルパス転化率を制限する熱力学的平衡および当該脱水素反応の吸熱特性である。これに加えて、従来の脱水素に必要な温度では熱的分解を生じ、これがアルケン選択率を、特にプロパンの脱水素において低下させる。
【0005】
低級アルカン類の脱水素用の酸化クロムに基づく2種の型の触媒は、科学的文献および特許文献に記述されてきた:アルカリ金属を添加したγ,δ/,θ‐アルミナに担持させた酸化クロムおよびZrO2に担持させた酸化クロム。アルカリ金属を添加したγ,δ/,θ‐アルミナに担持させた酸化クロムはLumnus CatofinおよびSnamprogetti‐Yarsintezの流動床脱水素プロセスで使用されている。一方、ZrO2に担持させた酸化クロムはアルミナと比較してより高い熱安定性用につき検討された。
【0006】
酸化クロム担持触媒の活性部位の性質は長年に亘り論議されてきた。Cr2O3は全ての酸化クロムの中で最も安定な形である。
【0007】
Cr6+種の2つの型がか焼処理後および反応前の、アルミナに担持された酸化クロムに見出されていた。水素で還元した後は、全てのCr6+はCr3+に還元されていると一般的には考えられている。しかしながら、Grunert等(J.Catal.110(1986),138)によれば当該還元は二工程で生じる:Cr6+からCr3+が非常に速い工程で、次いでCr3+からより低い酸化状態になる(Cr2+)より遅い工程が続く。当該脱水素反応の活性部位はGrunert,W.等(J.Catal.99(1986),149;Delmon,B.等(J.Catal.24(1972),336)およびKonig,P.等(Acta Chim.Acad.Sci.Hung.76(1976),123)によればCr+3、Ashmawy,F.M.(J.Chem.Soc.,Faraday Trans.76(1980),2096)によればCr2+とCr3+の両方、Lunsford,H.等(J.Catal.91(1985),155)によれば配位的不飽和(coordinatively unsaturated)Cr2+だと推測されていた。
【0008】
イソブタンおよび同様にエタンの脱水素における活性は、どのような当該種が存在してもクロム含量に比例することが見出されていた。同様に、酸化クロムを担持したZrO2でのプロパン脱水素の場合も(Indovina等,Appl.Catal.81(1992),113)、クロムの原子当たりの活性は全クロム量と同じであることが見出された。当該活性は単核(mononuclear)Cr3+種の存在によるものと考えられた。
【0009】
しかしながら、水素は脱水素反応生成物の一部として存在するのでCr3+の更なる還元が続くのであろう。本発明では、酸化状態のより低いクロム種が脱水素の間に望ましくない分解反応を生じる原因となり、コークス生成の原因となることを示す。分解生成物およびコークスの生成を最小限とするには、クロム触媒部位の酸化状態を当該反応循環の間に機能的レドックス系(redox system)により制御しなければならない。本発明によるレドックス系は、供給原料中の炭化水素に酸素添加することで示すようにCr2+/Cr3+/O2と考えられる。
【0010】
文献によると、酸素は水素生成物との反応により脱水素反応の熱力学的平衡をオレフィン産出増加の方向へ変えることができる。酸素は同様にコークスを燃焼し、当該触媒表面からコークス沈着をなくすと考えられている。コークスが集積せず、その結果当該触媒は不活性化されないので、当該触媒の再生を回避することができる。そのような反応は酸化的脱水素反応と呼ばれている。最近まで軽アルカン類、特にC3およびC4‐オレフィン類を酸化的脱水素反応により製造するのに利用できる商業的プロセスは、適した触媒が無かったので存在しなかった。既知の酸化的脱水素反応プロセスは幾つかの特許公報に記載されている。
【0011】
例えば、米国特許第4,996,387号明細書は、当該触媒の一部を再生ガスおよび希釈剤を含む酸素混合物と接触させ、当該触媒の残りの部分を炭化水素供給原料および希釈剤と接触させることを循環して行う、脱水素触媒の連続的再生を伴う脱水素プロセスを開示した。この開示では、脱水素媒体とは隔てた方式において触媒再生の目的で酸素を添加している。
【0012】
カナダ特許第912,051号明細書では、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の化合物および反応促進剤(promoter)を含有する固体触媒の存在下において、酸素およびハロゲンによりパラフィンおよびオレフィン類の脱水素を行う蒸気相プロセスにつき記載している。米国特許第3,697,614号明細書は、溶融アルカリ金属水酸化物含有アルミナを用い、好ましくは重クロム酸塩、モリブデン酸塩、タングステン酸塩、マンガン酸塩、過マンガン酸塩、鉄酸塩およびメタバナジン酸塩からなる溶液遷移金属酸化(solution transition metal oxygenation)による酸化的脱水素でのオレフィン製造に関したものである。
【0013】
米国特許第4,046,833号明細書は、3個から6個の炭素原子を含むパラフィン系炭化水素を相当するモノオレフィンに脱水素する蒸気相プロセスを開示しているが、当該プロセスは酸素の存在下およびバナジウムとアルミニウムを含有する酸化的脱水素触媒の存在下で実施される。効果的なパラフィンと酸素の比は1:0.04から1:10の範囲が特許請求されている。言及した発明における実施例は異なる酸素濃度による異なる条件下で試験した数種の触媒組成物の効果を示しているに過ぎない。
【0014】
米国特許第4,788,371号明細書では、少なくとも1種の貴金属成分を含む脱水素触媒を用いた他の酸化的脱水素プロセスを開示している。当該開示によれば、酸素含有ガスを含むアルカン供給原料は当該貴金属触媒を含有する脱水素反応器に導入される。当該反応器供給原料に加えた酸素はアルカンとのモル比が、米国特許第4,046,833号明細書と非常に類似している(そして以下に説明するつもりの本発明で用いた比率とは異なる)。当該記述系への酸素の効果は、貴重な炭化水素の燃焼を最小限にしながら水素を燃焼することである。
【0015】
水素および1種以上の有機化合物の混合物からの水素除去に関わる数多くのプロセスが同様に開示されていた:例えば、米国特許第4,788,371号明細書は、その中に参照されている他の特許と共に炭化水素の脱水素用のプロセスを開示しているが、その中で炭化水素の脱水素で得られた水素は酸素と触媒的反応をしている。これらのプロセス全ての欠点は、当該酸素ガスの幾らかが当該水素のみとではなく有機化合物と化学的に反応して望ましくない生成物に転化することである。
【0016】
欧州特許第A1‐0219271号公報および第A1‐0219272号公報は同様に炭化水素の脱水素用のプロセスを開示し、そこでは炭化水素の脱水素で得られた水素は除去されている。これらのプロセスでは、当該脱水素はゼオライト触媒の存在下で起こり、当該水素は二酸化硫黄または亜酸化窒素のような酸性酸化物と化学反応して除去される。これらのプロセスは、二酸化硫黄および亜酸化窒素は酸素が有機化合物に対するような反応性はないので、酸素ガスを用いるプロセスの欠点を共有はしない。これらのプロセスは同じように水素の除去においても効果はより低いようである。
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
上記した酸化的脱水素反応プロセスは以下に説明する本発明のプロセスとは全体的に異なっている。それらは一般的に低オレフィン選択率という不利があり、適した活性および選択的触媒がないので現在まで商業的スケールで使用されておらず、それらのプロセスでこれまで利用されている酸素濃度は本発明とは一致しない。
【0018】
パラフィンの接触的脱水素によるオレフィン類の製造では、勿論一回の転化パスでできるだけ高いオレフィン収率を得るのが望ましい。また、ホットスポット効果(hot spot effect)を最小限にして結果的に当該触媒の寿命を増加させるには、当該触媒上に最小限のコークス量が生成する条件下で反応を行なうのが望ましい。またコークス生成を減少させて脱水素反応期間を増加させることも望ましい。
【0019】
本発明の長所は、オレフィン収率および選択率を向上させる一方、熱分解を減少させ、供給原料消費を減少させ、触媒寿命を延ばしながら高パラフィン転化を維持させることである。
【0020】
本発明の目的は、高アルカン転化および向上したオレフィン選択率を備えたオレフィン類の製造用の脱水素プロセスを提供することである。
【0021】
本発明の他の目的は、高収率で、より少ない供給原料消費およびより少ないコークス生成を伴うオレフィン類製造用の炭化水素脱水素のためのプロセスを提供することである。
【0022】
本発明の他の目的は脱水素反応の循環時間(cycle time)を長くすることである。
【0023】
本発明の他の目的および長所は以下の説明から明らかであろう。
【0024】
【課題を解決するための手段】
本発明は、相当するアルカンから通常の脱水素でオレフィンを製造する際の改善されたプロセスおよび特に酸素を用いクロム系(chromium−based)脱水素触媒による改良された炭化水素の脱水素用に改善されたプロセスを提供する。本プロセスにおいて有用な当該クロム系脱水素触媒は、少量の酸素の存在下で水素の酸化に対し驚くほど選択的であり、望んだ脱水素された生成物の収率が増加することを発見した。従って、本発明のプロセスは広くは炭化水素転化プロセス、特に少量の酸素を用いてクロム系脱水素触媒による炭化水素の脱水素のプロセスを目指している。
【0025】
当該発明の炭化水素脱水素プロセスにおいては、脱水素可能な炭化水素および少量の純粋酸素を、当該炭化水素と酸素のモル比約1:0.0001および1:0.04の間で含む供給原料の脱水素を促進するために、10〜20重量%のクロムを含む脱水素触媒が用いられる。当該発明の好ましい実施形態の例によれば、当該脱水素可能な炭化水素はイソブタンであり、当該酸素を当該触媒中のクロムのグラム当たり0.0001から0.001モルの間の量を供し、反応温度は560℃から600℃の間である。
【0026】
本発明の実施態様の更なる例では、純粋酸素の代わりに空気または他の酸素含有ガスを用いる。
【0027】
【発明の実施の形態】
本発明は、相当するアルカンの通常の脱水素でオレフィンおよび特にイソブチレンを製造する際の改善されたプロセスに関する。当該プロセスは脱水素触媒におけるクロム部位の酸化状態を制御することで脱水素反応の間に起こる副反応を最小限にすることを目的とする。これは少量の酸素を添加することで達成された。当該発明のような酸素添加は、当該反応に対するその場での(in situ)熱源をもたらし、コークス生成を減少させ、オレフィン選択率を高めて脱水素の触媒的循環(catalytic cycle)を長くする。当該発明の他の実施態様では、酸素の代わりに空気または酸素含有ガスを使用することができる。
【0028】
本発明で有効な脱水素触媒はクロムを10〜20重量%、そして好ましくはクロムを12〜18重量%含む。当該クロム系脱水素触媒は噴霧乾燥、ペレット化および成型されていてよく、好ましくは噴霧乾燥されたものである。本プロセスで使用する触媒は単独または担体材料に担持或いは浸漬して使用することができる。適した担体材料にはアルミナ、シリカ、トリア、ジルコニア、チタニア、りん酸ホウ素、炭化ケイ素、軽石、珪藻土、粘土などが含まれる。当該発明の触媒は好ましくは摩擦抵抗、最適な表面積および粒子サイズなどの望ましい物性を得るためにか焼する。
【0029】
イソブタンのような脱水素可能なパラフィン系炭化水素の脱水素は、本プロセスでは当該脱水素可能パラフィン系炭化水素を通常の脱水素に適した条件で前述の触媒と接触させて達成する。その条件は約400℃から約700℃、好ましくは約500℃から約650℃およびより好ましくは約560℃から約600℃の範囲の温度および約0.1から約10気圧の範囲の反応圧を含む。
【0030】
当該発明のプロセスにおける酸素濃度は当該発明の説明した利益を得るために非常に重要である。一つの実施態様では、イソブタンの脱水素で必要とされる酸素量は、当該触媒中のクロムのグラム当たり酸素0.0001から0.001モルの間であり、好ましくは0.0002から0.0008モルの間である。加えて、脱水素可能炭化水素と酸素のモル比は望ましくは1:0.0001から1:0.04の間であり、好ましくは1:0.001から1:0.04の間であり、より好ましくは1:0.01から1:0.035の間である。
【0031】
酸素は、比較的冷たいアルカン炭化水素供給原料流または蒸気希釈剤(steam diluent)に混合または当該供給アルカン炭化水素とは別に反応器へ直接添加するように、本プロセスへは種々な方法で加えることができる。
【0032】
不活性な希釈剤を本発明の脱水素プロセスに使用することができる。当該脱水素プロセスに悪い影響を与えない不活性材料であれば、いずれも希釈剤として使用してもよい。適した希釈剤の例にはメタン、エタン、プロパン、窒素または蒸気である。
【0033】
当該発明のプロセスは脱水素可能パラフィン系炭化水素のいずれにも応用でき、固定床、移動床および流動床を含む脱水素反応器のいずれの型でも応用できる。当該発明の好ましい実施態様では、固定床触媒系または米国特許第3,725,249号明細書で示されたような濃縮相(dense phase)移動床系を利用する。
【0034】
本発明に対する一つの固定床触媒反応系は、当該反応器へ一つの注入口並びに当該プロセスの生成物と副生成物を放出する反応器出口を備えた単一反応器内の単一反応域から構成される。
【0035】
当該発明の他の実施態様では、固定床触媒系は当該反応域に沿って複数の別個の酸素入口があり、酸素は当該反応域の触媒床に異なる点に注入できる。この型の配置は複数触媒床を有する反応系を模している。
【0036】
それに代わる実施態様では、本発明のプロセスは米国特許第3,725,249号明細書に記載されたシステムのような移動床触媒系で遂行される。当該発明の本実施態様は、当該触媒が触媒へのコークス沈着により不活性化することで知られている反応に使用すると相当有効である。本実施態様では、本プロセスの触媒は当該プロセスの複数の反応域を連続的に移動し、一旦不活性化すると連続触媒再生系に移される。一旦再生すると、当該触媒は当該反応系に返される。
【0037】
【実施例】
実施例1から9を参照すると当該発明についてより詳しく説明が行われ、理解されるであろう。これらの実施例は実例で示すが、当該特許請求する発明はこれらの実施例に制限を受けない。
【0038】
以下の実施例で使用する触媒は市販され入手できる14%のクロムを含有するクロム‐アルミナ系(chromium−alumina based)脱水素触媒で、噴霧乾燥法で製造したものである(United Catalyst,Inc.から得た触媒T‐2715)。
【0039】
当該触媒の5または1グラムを1インチ管からなる標準SS固定床反応器に充填する。1/8インチのサーモウエルを反応管の軸方向に設置して温度測定を可能とした。当該反応器は望む温度に維持するために電気加熱するオーブン中に置く。反応器からの流出物はオンラインで接続したFIDおよびTCD検出器を備えたGC HP 6890へ導かれる。窒素は物質収支を正確に計算する際の内部標準を与えるために一定速度で反応器からの流出物に導入する。当該触媒は、所与の組成の供給原料を反応器へ導入する前に、反応温度にて5分間ヘリウム33.3cc/分にて前処理した。当該反応器での生成物の分析を行ない、表1および表2に報告した。当該反応生成物の分析後、反応を終了し、当該触媒を窒素で一挙に排出させて反応温度と同一にて33.3cc/分の酸素流を用いて再生させた。当該触媒前処理(pretreatment)は水素、窒素またはメタンでもできる。触媒前処理の目的は当該触媒を還元し、反応用に用意することである。酸素による再生は限定されたことではなく、空気を用いても実施できる。
【0040】
下の表で示した、得られたパーセント転化はイソブチレンおよび他の生成物へ転化した全イソブタンを表す。報告したイソブチレンへの選択率は、転化したブタンに基づく得たイソブチレンのパーセントで、全てのパーセントはモル基準で計算した。生産性(Prod.gHC =/gcat・h)は触媒グラム当たり、時間当たりに生産されたイソブチレン(HC =)のグラムとして定義される。供給原料消費量(Cons.gHC/gcat・h)は触媒グラム当たり、時間当たりに消費したイソブタンのグラムで定義する。W/Fは、S.T.Pにおいて測定した反応物流ml/秒の流速で触媒グラム重量を割ったものと定義する。
【0041】
表1では、イソブタン脱水素において実施した実験条件を示した。表1における全ての実施例は触媒5gで実施した。実施例1から6は580℃で、実施例7〜9は575℃で、酸素添加なしでイソブタン25ml/分を用いて実施した。反応温度は580℃であった。結果は表2に示した。報告した結果は反応5分後で測定した触媒活性を表しているが、実施例2および5は反応10分後に測定した。表2において、Xは転化を表し;Sは選択率を表し;Yは収率をモル%で表し;iC4はイソブタンを表し;iC4 =はイソブチレンを表し、そしてH2面積は水素ピーク面積カウント(hydrogen peak area count)を表す。
【0042】
【0043】
表2:イソブタン脱水素結果
【0044】
実施例1、3、4および6についての結果を選択し、図1から図5に図示した。図1、2および3から、供給原料中の酸素のイソブタンに対する比が最大O2/イソブタンモル比0.0275まで増加するに従って、イソブタン転化が低下する一方、イソブチレン選択率および収率は増加することが分かる。更に酸素濃度が増加すると、転化および選択率共に減少する。前述したO2濃度での操業では炭化水素供給原料であるイソブタンを約5%節約するので、この結果は非常に重要である。加えて、当該発明のように酸素の添加は継続的なイソブタン節約およびより長い反応時間におけるイソブチレン生産性向上ができ(実施例2および5)、コークス生成減少により反応時間を長くできる。
【0045】
図4は、O2/イソブタンのモル比が約0.0275において最も低いコークス選択率が生じることを示した。より高いまたはより低いO2/イソブタンのモル比は、より高いコークス選択率を生じるようである。図5は、実施例1,3および4で(または実施例2および5における)与えた水素ピーク面積は、酸素がオレフィン生成を促進する範囲においては酸素量に関わらず殆ど同じであることを示す。当該水素ピーク面積は追加の酸素を添加すると減少し、イソブタン転化およびイソブチレン選択率は降下する(実施例6参照)。更なる酸素の添加は反応平衡により予想されるように、当該反応を生成物側に移行する。
【0046】
当該実施例は明らかにクロムレドックス特性の選択的制御剤としての酸素の機能を示す。クロムの酸素分子による酸化は、水素または触媒表面におけるコークス活性種の酸化より相当早く進行することを示す。
【0047】
より低いW/F比におけるイソブタン脱水素の運転は、実施例7,8および9における生産性並びに供給原料消費速度の数字から分かるように当該発明のプロセスを用いる際でも魅力的ではない。
【0048】
本発明の好ましい実施態様をかくして詳細に説明したが、添付した特許請求の範囲で定義した発明は、本発明の本質または範囲から外れることなくそれを多く変形することができるので、本明細書において述べた特定の詳細に限定されることはないことは理解すべきである。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、当該発明のプロセスにおいて、酸素濃度の関数としてイソブタン転化を表した図である。
【図2】図2は、当該発明のプロセスにおいて、酸素濃度の関数としてイソブチレン選択率を表した図である。
【図3】図3は、当該発明のプロセスにおいて、酸素濃度の関数としてイソブチレン収率を表した図である。
【図4】図4は、当該発明のプロセスにおいて、酸素濃度の関数としてコークス選択率を表した図である。
【図5】図5は、当該発明のプロセスにおいて、酸素濃度の関数として水素ピーク面積カウントを表した図である。
Claims (18)
- 約400℃から700℃の温度、約0.1から約10気圧の圧力において分子状酸素の存在下で、アルカンと酸素のモル比を約1:0.0001から1:0.04にてアルカンをクロム系脱水素触媒と接触させることを含む、アルカン脱水素方法。
- 前記アルカンがイソブタンである、請求項1記載の方法。
- 前記触媒がクロムを10〜20重量%含む、請求項1記載の方法。
- 前記触媒がクロムを12〜18重量%含む、請求項1記載の方法。
- 当該温度が約500℃から約650℃である、請求項4記載の方法。
- 当該温度が約560℃から約600℃である、請求項4記載の方法。
- 当該アルカン脱水素を固定床触媒、移動床触媒または流動床触媒において実施する、請求項1記載の方法。
- 前記の接触は不活性希釈剤の存在下で行う、請求項1記載の方法。
- 当該不活性希釈剤がメタン、エタン、プロパン、窒素または蒸気である、請求項8記載の方法。
- 前記の接触はメタン、エタン、プロパン、窒素または蒸気の存在下で行う、請求項5記載の方法。
- 前記の接触はメタン、エタン、プロパン、窒素または蒸気の存在下で行う、請求項6記載の方法。
- 当該アルカンと酸素のモル比は約1:0.001から1:0.04である、請求項1記載の方法。
- 当該アルカンと酸素のモル比は約1:0.01から1:0.035である、請求項1記載の方法。
- 当該アルカンと酸素のモル比は約1:0.01から1:0.035である、請求項5記載の方法。
- 前記触媒中のクロムの量に対する酸素存在量は、当該触媒中のクロムのグラム当たり酸素約0.0001から0.001モルである、請求項4記載の方法。
- 前記触媒中のクロムの量に対する酸素存在量は、当該触媒中のクロムのグラム当たり酸素約0.0002から0.0008モルである、請求項4記載の方法。
- 前記触媒中のクロムの量に対する酸素存在量は、当該触媒中のクロムのグラム当たり酸素約0.0001から0.001モルである、請求項12記載の方法。
- 前記触媒中のクロムの量に対する酸素存在量は、当該触媒中のクロムのグラム当たり酸素約0.0001から0.001モルである、請求項13記載の方法。
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