JP2004307340A - トランドラプリルの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】市販の原料化合物から出発してトランドラプリルを製造するための長い工程中、最終直前の2工程に係り、簡便な反応操作によりトランドラプリルを得る方法を提供すること。
【解決手段】第三級アミンを含有する溶媒中、(2S, 3aR, 7aS)−ヘキサヒドロ−2−インドリンカルボン酸ベンジルエステルと光学活性10−カンファースルホン酸との塩と、N−[1−(S)−エトキシカルボニル−3−フェニルプロピル]−L−アラニル・N−カルボキシ無水物又はN−[1−(S)−エトキシカルボニル−3−フェニルプロピル]−L−アラニンとを反応させて、(2S, 3aR, 7aS)−1−[(S)−N−[(S)−1−エトキシカルボニル−3−フェニルプロピル]アラニル]ヘキサヒドロ−2−インドリンカルボン酸ベンジルエステルとし、これを水素で還元することにより、トランドラプリルを得る。
【選択図】なし
【解決手段】第三級アミンを含有する溶媒中、(2S, 3aR, 7aS)−ヘキサヒドロ−2−インドリンカルボン酸ベンジルエステルと光学活性10−カンファースルホン酸との塩と、N−[1−(S)−エトキシカルボニル−3−フェニルプロピル]−L−アラニル・N−カルボキシ無水物又はN−[1−(S)−エトキシカルボニル−3−フェニルプロピル]−L−アラニンとを反応させて、(2S, 3aR, 7aS)−1−[(S)−N−[(S)−1−エトキシカルボニル−3−フェニルプロピル]アラニル]ヘキサヒドロ−2−インドリンカルボン酸ベンジルエステルとし、これを水素で還元することにより、トランドラプリルを得る。
【選択図】なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、抗高血圧薬として有用な(2S, 3aR, 7aS)−1−[(S)−N−[(S)−1−エトキシカルボニル−3−フェニルプロピル]アラニル]ヘキサヒドロ−2−インドリンカルボン酸、すなわちトランドラプリル[式(IV)の化合物]を製造する方法に関する。
【化5】
【0002】
【従来の技術】本発明に係る従来技術として、L−プロリンと、式(II)
【化6】
で表されるN−[1−(S)−エトキシカルボニル−3−フェニルプロピル]−L−アラニル・N−カルボキシ無水物とを塩基の存在下で反応させ、酸性条件下で脱炭酸してN−[1−(S)−エトキシカルボニル−3−フェニルプロピル]−L−アラニル−L−プロリン(一般名:エナラプリル)とする方法が開示されている(特許文献1参照)。
また、遊離アミノ酸と式(II)の化合物とを水性液中で塩基の存在下に縮合させた後、中性から酸性条件下で脱炭酸してN−[1−(S)−エトキシカルボニル−3−フェニルプロピル]−L−アラニル−アミノ酸を製造する方法が開示されている(特許文献2参照)。
さらに、式(V)の化合物から8工程を経て式(IV)のトランドラプリルを製造する方法が開示されている(特許文献3参照)。
【化7】
【0003】
【特許文献1】
特公平5−41159号公報
【特許文献2】
国際公開第99/05164号パンフレット
【特許文献3】
特公平5−87504号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、市販されている原料化合物から出発してトランドラプリルを製造するための長い工程中、最終直前の2工程に係り、簡便な反応操作によりトランドラプリルを得る方法を提供することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
市販されている原料化合物から出発してトランドラプリルを製造するまでの工程には、トランドラプリル合成中間体と酸性基を有する光学活性化合物とのジアステレオ塩を光学分割する工程が含まれ、光学分割後得られた一方のジアステレオ塩を遊離塩基とする工程も含まれている。
本発明者等は、ジアステレオ塩を遊離塩基とする工程を実質的に省くことによって、1工程を短縮できるのみならず、収率が向上することを見出し本発明を完成することができた。
【0006】
すなわち、本発明によれば、
(1)第三級アミンを含有する溶媒中、式(I)
【化8】
で表される(2S, 3aR, 7aS)−ヘキサヒドロ−2−インドリンカルボン酸ベンジルエステルと光学活性10−カンファースルホン酸との塩と、
式(II)
【化9】
で表されるN−[1−(S)−エトキシカルボニル−3−フェニルプロピル]−L−アラニル・N−カルボキシ無水物又はN−[1−(S)−エトキシカルボニル−3−フェニルプロピル]−L−アラニンとを反応させて式(III)
【化10】
で表される(2S, 3aR, 7aS)−1−[(S)−N−[(S)−1−エトキシカルボニル−3−フェニルプロピル]アラニル]ヘキサヒドロ−2−インドリンカルボン酸ベンジルエステルとし、これを水素で還元することを特徴とする式(IV)
【化11】
で表される(2S, 3aR, 7aS)−1−[(S)−N−[(S)−1−エトキシカルボニル−3−フェニルプロピル]アラニル]ヘキサヒドロ−2−インドリンカルボン酸の製造方法、
(2)光学活性10−カンファースルホン酸が(1R)−(−)−10−カンファースルホン酸である請求項1記載の方法、
(3)光学活性10−カンファースルホン酸が(1S)−(+)−10−カンファースルホン酸である請求項1記載の方法、
(4)第三級アミンがトリエチルアミンであり、溶媒がN,N−ジメチルホルムアミドである請求項1、2又は3記載の方法
を提供することができる。
【0007】
【発明の実施の形態】
式(I)の化合物と光学活性10−カンファースルホン酸との塩と、式(II)の化合物又はN−[1−(S)−エトキシカルボニル−3−フェニルプロピル]−L−アラニンとの反応で用いる溶媒としては、N,N−ジメチルホルムアミド、トルエン、キシレン、ベンゼン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、n−ペンタン、n−オクタン、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、アセトニトリル、塩化メチレン、クロロホルムなどが挙げられるが、なかでもN,N−ジメチルホルムアミドが好ましい。また、第三級アミンとしては、トリエチルアミン、トリメチルアミン、N−メチルモルホリン、N−エチルピペラジン等が好適に使用でき、その使用量は反応溶液中の酸を中和するに十分な量でよい。
反応させる式(I)の化合物と光学活性10−カンファースルホン酸との塩及び式(II)の化合物又はN−(1S−カルボエトキシ−3−フェニルプロピル)−S−アラニンの使用量は、特に限定はないが式(I)の化合物に対し式(II)の化合物又はN−[1−(S)−エトキシカルボニル−3−フェニルプロピル]−L−アラニンを1.0〜1.2倍モル程度が好ましい。
なお、式(I)の化合物とN−[1−(S)−エトキシカルボニル−3−フェニルプロピル]−L−アラニンとの反応は、N,N´−ジシクロヘキシルカルボジイミドや1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド等と1−ヒドロキシスクシンイミドや1−ヒドロキシベンゾトリアゾール等とを組合せた縮合剤を用いることによって、好適に進行する。それら縮合剤の使用量は、特に限定はないが、式(I)の化合物に対し、それぞれ1.0〜1.2倍モル程度が好ましい。
反応は比較的低温で良好に進行し、−20℃〜50℃の範囲内が好ましい。
反応後に式(III)の化合物を単離する操作法も、特に困難はなく常法にしたがって処理すればよい。
【0008】
次いで式(III)の化合物を水素ガスで還元する反応は、通常、溶媒中で行われ、溶媒としてエタノール、メタノール、イソプロピルアルコール、トルエン、キシレン、ベンゼン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、n−ペンタン、n−オクタン、テトラヒドロフラン等が挙げられるが、中でもエタノール、メタノール、イソプロピルアルコールが好ましい。
この還元反応は、通常の還元的脱ベンジル化反応において使用される触媒、例えばパラジウム炭素、白金炭素、又はラネ−ニッケル等の触媒の存在下で1〜5気圧の水素を用い、−20℃〜50℃の範囲内で容易に行うことができる。
【0009】
前記式(I)の化合物と式(II)の化合物は、ともに既知化合物であり、文献記載の方法により製造することができる。例えば、式(I)の化合物は、ミケルビンセント(Michel Vincennt)ら,ドラッグ デザイン アンド ディスカバリ(Drug Design and Discovery),第9巻,p.11−28(1992)(イギリス)に記載された方法により、また、式(II)の化合物は、前記の特公平5−41159号公報(特許文献1)の参考例−1に記載された方法により、それぞれ製造することができる。
なお、式(I)の化合物と光学活性10−カンファースルホン酸との塩は、例えばトルエン中加温下で、式(I)の化合物と1.0〜1.1倍モルの(1R)−(−)−10−カンファースルホン酸又は(1S)−(+)−10−カンファースルホン酸を混合することによって容易に製造できる。
【0010】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0011】
実施例1
(1)(2S, 3aR, 7aS)−ヘキサヒドロ−2−インドリンカルボン酸ベンジルエステルと(1R)−(−)−10−カンファースルホン酸との塩9.84g(0.02モル)、トリエチルアミン2.13g(0.021モル)及びN,N−ジメチルホルムアミド30mlの混合溶液に、N−[1−(S)−エトキシカルボニル−3−フェニルプロピル]−L−アラニル・N−カルボキシ無水物6.4g(0.021モル)とN,N−ジメチルホルムアミド10mlとの混合溶液を滴下した。
この反応液を15℃〜20℃で暫時撹拌後、30℃〜35℃で約30分撹拌し、室温まで放冷した。その間、炭酸ガスの発生が認められた。次いで反応溶液にt−ブチルメチルエーテル100mlを加え、室温下撹拌しながら5重量%の炭酸水素ナトリウム水溶液60mlを滴下した。その滴下後さらに1時間撹拌を継続した後、有機層を分離し、水洗後、無水硫酸マグネシウムを加えて乾燥し、加温下で溶媒を減圧留去して(2S, 3aR, 7aS)−1−[(S)−N−[(S)−1−エトキシカルボニル−3−フェニルプロピル]アラニル]ヘキサヒドロ−2−インドリンカルボン酸ベンジルエステルを淡黄色の油状物として11.3g得た(高速液体クロマトグラフィーによる面積百分率91.3%;換算収率99.1%)。
【0012】
IRν max cm‐ 1 (film):3318(NH);2932,2856(CH);1742,1648(C=O)
1H−NMR1NMR(DMSO−d6)δ(ppm):1.03(3H,d,C−CH3),1.16(3H,m,O−CH2 CH 3 ),2.52(2H,q,Ar−CH 2CH2−),3.80〜4.15(2H,m,O−CH 2CH3),4.53(1H,dd),5.00〜5.15(2H,m,O−CH 2−Ar),7.11〜7.27(5H,m,Ar−H),7.27〜7.40(5H,m,Ar−H)
MASS m/z:520(M+)
【0013】
(2)(1)で得られた淡黄色の油状物11.0g(換算モル数:0.0193モル)をエタノール220mlに溶解し、5%パラジウム炭素(約50%含水)0.3gの存在下に水素ガスで還元して(2S, 3aR, 7aS)−1−[(S)−N−[(S)−1−エトキシカルボニル−3−フェニルプロピル]アラニル]ヘキサヒドロ−2−インドリンカルボン酸、すなわちトランドラプリルの粗晶7.7gを得た。これをイソプロピルアルコールとt−ブチルメチルエーテルの混合溶媒から再結晶して白色結晶6.9g[0.016モル、収率82.9%;(1)及び(2)のトータル収率82%]を得た。融点124℃
【0014】
旋光度[α]D 20:−18.2°[乾燥後、0.15g、エタノール(99.5)、15ml、100mm]
IRν max cm‐ 1 (nujol):3278(NH);1736、1654(C=O)
1H−NMR1NMR(DMSO−d6)δ(ppm):1.0〜2.3(19H,m),2.4〜2.65(2H,m),2.7〜3.7(3H,m),3.95〜4.2(2H,m),4.25〜4.4(1H,m),7.0〜7.4(5H,m,Ar−H)
MASS m/z:430(M+)
【0015】
実施例2
(1)(2S, 3aR, 7aS)−ヘキサヒドロ−2−インドリンカルボン酸ベンジルエステルと(1R)−(−)−10−カンファースルホン酸との塩9.84g(0.02モル)、N−[1−(S)−エトキシカルボニル−3−フェニルプロピル]−L−アラニン5.6g(0.02モル)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール2.7g(0.2モル)、トリエチルアミン4.5g(0.0445モル)及びN,N−ジメチルホルムアミド40mlの混合溶液を、−5℃〜0℃に保って撹拌しながら、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩4.3g(0.0224モル)を添加した。約20℃まで昇温後、暫時撹拌した。次いで反応溶液にt−ブチルメチルエーテル50mlを加え、室温下撹拌しながら5重量%の炭酸水素ナトリウム水溶液100mlを注加した。その後さらに1時間撹拌を継続した後、有機層を分離し、水洗後、無水硫酸マグネシウムを加えて乾燥し、加温下で溶媒を減圧留去して(2S, 3aR, 7aS)−1−[(S)−N−[(S)−1−エトキシカルボニル−3−フェニルプロピル]アラニル]ヘキサヒドロ−2−インドリンカルボン酸ベンジルエステルを淡黄色油状物として10.8g得た。
【0016】
前記淡黄色油状物のIR、1H−NMR及びMASSのデータは、実施例11NMR(1)に記載のデータにそれぞれ一致した。
【0017】
(2)(1)で得られた淡黄色の油状物10.3gを実施例1(2)と同様にして還元し、再結晶してトランドラプリルの白色結晶6.2g[(1)及び(2)のトータル収率76%]を得た。融点124℃
【0018】
前記白色結晶の旋光度[α]D 20、IR、1H−NMR及びMASSのデータは、実施例11NMR(2)に記載のデータにそれぞれ一致した。
【0019】
【発明の効果】本発明によれば、市販の原料化合物から出発してトランドラプリルを製造するための長い工程中、最終直前の3工程を実質的に簡便な2工程に短縮でき、トランドラプリルを高収率で得ることができる。
【発明の属する技術分野】本発明は、抗高血圧薬として有用な(2S, 3aR, 7aS)−1−[(S)−N−[(S)−1−エトキシカルボニル−3−フェニルプロピル]アラニル]ヘキサヒドロ−2−インドリンカルボン酸、すなわちトランドラプリル[式(IV)の化合物]を製造する方法に関する。
【化5】
【0002】
【従来の技術】本発明に係る従来技術として、L−プロリンと、式(II)
【化6】
で表されるN−[1−(S)−エトキシカルボニル−3−フェニルプロピル]−L−アラニル・N−カルボキシ無水物とを塩基の存在下で反応させ、酸性条件下で脱炭酸してN−[1−(S)−エトキシカルボニル−3−フェニルプロピル]−L−アラニル−L−プロリン(一般名:エナラプリル)とする方法が開示されている(特許文献1参照)。
また、遊離アミノ酸と式(II)の化合物とを水性液中で塩基の存在下に縮合させた後、中性から酸性条件下で脱炭酸してN−[1−(S)−エトキシカルボニル−3−フェニルプロピル]−L−アラニル−アミノ酸を製造する方法が開示されている(特許文献2参照)。
さらに、式(V)の化合物から8工程を経て式(IV)のトランドラプリルを製造する方法が開示されている(特許文献3参照)。
【化7】
【0003】
【特許文献1】
特公平5−41159号公報
【特許文献2】
国際公開第99/05164号パンフレット
【特許文献3】
特公平5−87504号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、市販されている原料化合物から出発してトランドラプリルを製造するための長い工程中、最終直前の2工程に係り、簡便な反応操作によりトランドラプリルを得る方法を提供することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
市販されている原料化合物から出発してトランドラプリルを製造するまでの工程には、トランドラプリル合成中間体と酸性基を有する光学活性化合物とのジアステレオ塩を光学分割する工程が含まれ、光学分割後得られた一方のジアステレオ塩を遊離塩基とする工程も含まれている。
本発明者等は、ジアステレオ塩を遊離塩基とする工程を実質的に省くことによって、1工程を短縮できるのみならず、収率が向上することを見出し本発明を完成することができた。
【0006】
すなわち、本発明によれば、
(1)第三級アミンを含有する溶媒中、式(I)
【化8】
で表される(2S, 3aR, 7aS)−ヘキサヒドロ−2−インドリンカルボン酸ベンジルエステルと光学活性10−カンファースルホン酸との塩と、
式(II)
【化9】
で表されるN−[1−(S)−エトキシカルボニル−3−フェニルプロピル]−L−アラニル・N−カルボキシ無水物又はN−[1−(S)−エトキシカルボニル−3−フェニルプロピル]−L−アラニンとを反応させて式(III)
【化10】
で表される(2S, 3aR, 7aS)−1−[(S)−N−[(S)−1−エトキシカルボニル−3−フェニルプロピル]アラニル]ヘキサヒドロ−2−インドリンカルボン酸ベンジルエステルとし、これを水素で還元することを特徴とする式(IV)
【化11】
で表される(2S, 3aR, 7aS)−1−[(S)−N−[(S)−1−エトキシカルボニル−3−フェニルプロピル]アラニル]ヘキサヒドロ−2−インドリンカルボン酸の製造方法、
(2)光学活性10−カンファースルホン酸が(1R)−(−)−10−カンファースルホン酸である請求項1記載の方法、
(3)光学活性10−カンファースルホン酸が(1S)−(+)−10−カンファースルホン酸である請求項1記載の方法、
(4)第三級アミンがトリエチルアミンであり、溶媒がN,N−ジメチルホルムアミドである請求項1、2又は3記載の方法
を提供することができる。
【0007】
【発明の実施の形態】
式(I)の化合物と光学活性10−カンファースルホン酸との塩と、式(II)の化合物又はN−[1−(S)−エトキシカルボニル−3−フェニルプロピル]−L−アラニンとの反応で用いる溶媒としては、N,N−ジメチルホルムアミド、トルエン、キシレン、ベンゼン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、n−ペンタン、n−オクタン、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、アセトニトリル、塩化メチレン、クロロホルムなどが挙げられるが、なかでもN,N−ジメチルホルムアミドが好ましい。また、第三級アミンとしては、トリエチルアミン、トリメチルアミン、N−メチルモルホリン、N−エチルピペラジン等が好適に使用でき、その使用量は反応溶液中の酸を中和するに十分な量でよい。
反応させる式(I)の化合物と光学活性10−カンファースルホン酸との塩及び式(II)の化合物又はN−(1S−カルボエトキシ−3−フェニルプロピル)−S−アラニンの使用量は、特に限定はないが式(I)の化合物に対し式(II)の化合物又はN−[1−(S)−エトキシカルボニル−3−フェニルプロピル]−L−アラニンを1.0〜1.2倍モル程度が好ましい。
なお、式(I)の化合物とN−[1−(S)−エトキシカルボニル−3−フェニルプロピル]−L−アラニンとの反応は、N,N´−ジシクロヘキシルカルボジイミドや1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド等と1−ヒドロキシスクシンイミドや1−ヒドロキシベンゾトリアゾール等とを組合せた縮合剤を用いることによって、好適に進行する。それら縮合剤の使用量は、特に限定はないが、式(I)の化合物に対し、それぞれ1.0〜1.2倍モル程度が好ましい。
反応は比較的低温で良好に進行し、−20℃〜50℃の範囲内が好ましい。
反応後に式(III)の化合物を単離する操作法も、特に困難はなく常法にしたがって処理すればよい。
【0008】
次いで式(III)の化合物を水素ガスで還元する反応は、通常、溶媒中で行われ、溶媒としてエタノール、メタノール、イソプロピルアルコール、トルエン、キシレン、ベンゼン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、n−ペンタン、n−オクタン、テトラヒドロフラン等が挙げられるが、中でもエタノール、メタノール、イソプロピルアルコールが好ましい。
この還元反応は、通常の還元的脱ベンジル化反応において使用される触媒、例えばパラジウム炭素、白金炭素、又はラネ−ニッケル等の触媒の存在下で1〜5気圧の水素を用い、−20℃〜50℃の範囲内で容易に行うことができる。
【0009】
前記式(I)の化合物と式(II)の化合物は、ともに既知化合物であり、文献記載の方法により製造することができる。例えば、式(I)の化合物は、ミケルビンセント(Michel Vincennt)ら,ドラッグ デザイン アンド ディスカバリ(Drug Design and Discovery),第9巻,p.11−28(1992)(イギリス)に記載された方法により、また、式(II)の化合物は、前記の特公平5−41159号公報(特許文献1)の参考例−1に記載された方法により、それぞれ製造することができる。
なお、式(I)の化合物と光学活性10−カンファースルホン酸との塩は、例えばトルエン中加温下で、式(I)の化合物と1.0〜1.1倍モルの(1R)−(−)−10−カンファースルホン酸又は(1S)−(+)−10−カンファースルホン酸を混合することによって容易に製造できる。
【0010】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0011】
実施例1
(1)(2S, 3aR, 7aS)−ヘキサヒドロ−2−インドリンカルボン酸ベンジルエステルと(1R)−(−)−10−カンファースルホン酸との塩9.84g(0.02モル)、トリエチルアミン2.13g(0.021モル)及びN,N−ジメチルホルムアミド30mlの混合溶液に、N−[1−(S)−エトキシカルボニル−3−フェニルプロピル]−L−アラニル・N−カルボキシ無水物6.4g(0.021モル)とN,N−ジメチルホルムアミド10mlとの混合溶液を滴下した。
この反応液を15℃〜20℃で暫時撹拌後、30℃〜35℃で約30分撹拌し、室温まで放冷した。その間、炭酸ガスの発生が認められた。次いで反応溶液にt−ブチルメチルエーテル100mlを加え、室温下撹拌しながら5重量%の炭酸水素ナトリウム水溶液60mlを滴下した。その滴下後さらに1時間撹拌を継続した後、有機層を分離し、水洗後、無水硫酸マグネシウムを加えて乾燥し、加温下で溶媒を減圧留去して(2S, 3aR, 7aS)−1−[(S)−N−[(S)−1−エトキシカルボニル−3−フェニルプロピル]アラニル]ヘキサヒドロ−2−インドリンカルボン酸ベンジルエステルを淡黄色の油状物として11.3g得た(高速液体クロマトグラフィーによる面積百分率91.3%;換算収率99.1%)。
【0012】
IRν max cm‐ 1 (film):3318(NH);2932,2856(CH);1742,1648(C=O)
1H−NMR1NMR(DMSO−d6)δ(ppm):1.03(3H,d,C−CH3),1.16(3H,m,O−CH2 CH 3 ),2.52(2H,q,Ar−CH 2CH2−),3.80〜4.15(2H,m,O−CH 2CH3),4.53(1H,dd),5.00〜5.15(2H,m,O−CH 2−Ar),7.11〜7.27(5H,m,Ar−H),7.27〜7.40(5H,m,Ar−H)
MASS m/z:520(M+)
【0013】
(2)(1)で得られた淡黄色の油状物11.0g(換算モル数:0.0193モル)をエタノール220mlに溶解し、5%パラジウム炭素(約50%含水)0.3gの存在下に水素ガスで還元して(2S, 3aR, 7aS)−1−[(S)−N−[(S)−1−エトキシカルボニル−3−フェニルプロピル]アラニル]ヘキサヒドロ−2−インドリンカルボン酸、すなわちトランドラプリルの粗晶7.7gを得た。これをイソプロピルアルコールとt−ブチルメチルエーテルの混合溶媒から再結晶して白色結晶6.9g[0.016モル、収率82.9%;(1)及び(2)のトータル収率82%]を得た。融点124℃
【0014】
旋光度[α]D 20:−18.2°[乾燥後、0.15g、エタノール(99.5)、15ml、100mm]
IRν max cm‐ 1 (nujol):3278(NH);1736、1654(C=O)
1H−NMR1NMR(DMSO−d6)δ(ppm):1.0〜2.3(19H,m),2.4〜2.65(2H,m),2.7〜3.7(3H,m),3.95〜4.2(2H,m),4.25〜4.4(1H,m),7.0〜7.4(5H,m,Ar−H)
MASS m/z:430(M+)
【0015】
実施例2
(1)(2S, 3aR, 7aS)−ヘキサヒドロ−2−インドリンカルボン酸ベンジルエステルと(1R)−(−)−10−カンファースルホン酸との塩9.84g(0.02モル)、N−[1−(S)−エトキシカルボニル−3−フェニルプロピル]−L−アラニン5.6g(0.02モル)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール2.7g(0.2モル)、トリエチルアミン4.5g(0.0445モル)及びN,N−ジメチルホルムアミド40mlの混合溶液を、−5℃〜0℃に保って撹拌しながら、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩4.3g(0.0224モル)を添加した。約20℃まで昇温後、暫時撹拌した。次いで反応溶液にt−ブチルメチルエーテル50mlを加え、室温下撹拌しながら5重量%の炭酸水素ナトリウム水溶液100mlを注加した。その後さらに1時間撹拌を継続した後、有機層を分離し、水洗後、無水硫酸マグネシウムを加えて乾燥し、加温下で溶媒を減圧留去して(2S, 3aR, 7aS)−1−[(S)−N−[(S)−1−エトキシカルボニル−3−フェニルプロピル]アラニル]ヘキサヒドロ−2−インドリンカルボン酸ベンジルエステルを淡黄色油状物として10.8g得た。
【0016】
前記淡黄色油状物のIR、1H−NMR及びMASSのデータは、実施例11NMR(1)に記載のデータにそれぞれ一致した。
【0017】
(2)(1)で得られた淡黄色の油状物10.3gを実施例1(2)と同様にして還元し、再結晶してトランドラプリルの白色結晶6.2g[(1)及び(2)のトータル収率76%]を得た。融点124℃
【0018】
前記白色結晶の旋光度[α]D 20、IR、1H−NMR及びMASSのデータは、実施例11NMR(2)に記載のデータにそれぞれ一致した。
【0019】
【発明の効果】本発明によれば、市販の原料化合物から出発してトランドラプリルを製造するための長い工程中、最終直前の3工程を実質的に簡便な2工程に短縮でき、トランドラプリルを高収率で得ることができる。
Claims (4)
- 第三級アミンを含有する溶媒中、式(I)
式(II)
- 光学活性10−カンファースルホン酸が(1R)−(−)−10−カンファースルホン酸である請求項1記載の方法。
- 光学活性10−カンファースルホン酸が(1S)−(+)−10−カンファースルホン酸である請求項1記載の方法。
- 第三級アミンがトリエチルアミンであり、溶媒がN,N−ジメチルホルムアミドである請求項1、2又は3記載の方法。
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JP2003073056A JP2004307340A (ja) | 2003-02-17 | 2003-03-18 | トランドラプリルの製造方法 |
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WO2006085332A1 (en) * | 2005-02-14 | 2006-08-17 | Lupin Limited | Improved process for preparation of highly pure trandolapril |
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- 2003-03-18 JP JP2003073056A patent/JP2004307340A/ja active Pending
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