JP2004306730A - 空気入りタイヤ - Google Patents

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Yoshihiko Suzuki
好彦 鈴木
Tetsuo Ochiai
哲夫 落合
Yoshihisa Inoue
芳久 井上
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Abstract

【課題】優れた耐摩耗性、耐カット性、耐チッピング性、及び発熱耐久性を有し、更に、摩耗後の外観も良好な空気入りタイヤを提供する。
【解決手段】トレッド部がタイヤ表面からキャップA、キャップB、及びアンダーCの3層構造からなり、前記キャップAを構成するゴム組成物が天然ゴム単独又は天然ゴムとジエン系ゴムとの配合物を含んでなり、前記キャップBを構成するゴム組成物が、天然ゴム及び/又はジエン系ゴムからなるゴム成分 100重量部に対して、硫黄をa重量部、式RN−(C=S)−S−S−(CH−S−S−(C=S)−NRによって表される配合剤Bをb重量部、及び1種以上のスルフェンアミド系加硫促進剤を合計でc重量部含んでなり、かつ前記a、b、及びcが、b≧0.2、1.5≦a+b/2≦2.5、0.5≦c/(a+b/2)≦0.9の関係を同時に満足し、そして前記アンダーCを構成するゴム組成物が天然ゴム単独又は天然ゴムとジエン系ゴムとの配合物を含んでなる空気入りタイヤ。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、空気入りタイヤ、より詳細には、優れた耐摩耗性、耐カット性、耐チッピング性、及び発熱耐久性を有し、更に、摩耗後においても良好な外観を維持することができる空気入りタイヤ、特に重荷重用空気入りタイヤ(例えば、トラック、バス用タイヤ)に関する。
【0002】
【従来の技術】
優れた耐摩耗性を有する空気入りタイヤに対する要求はタイヤ技術分野において継続的に存在しており、キャップトレッドにおいて特定のゴム成分及びカーボンブラック等を使用することによって、タイヤの耐摩耗性を向上させようとする試みが従来から行われている。しかしながら、上記の如き方法によってタイヤの耐摩耗性を向上させると、もう1つの重要な要求条件である発熱耐久性が悪化することは当業者に広く知られているところである。
【0003】
従って、これらの二律背反の関係にある両特性を単一のタイヤトレッドにおいて両立させることは困難であることから、当該技術分野においては、多層構造を有するタイヤトレッドにおいて、耐摩耗性を向上させたキャップトレッドの下層に低発熱性ゴム組成物を配置することによって、上記両特性を両立させようとする試みが従来から行われてきた。
【0004】
例えば、特開平11−60810号公報においては、トレッド部が、キャップゴムC層、ベースゴムA層、及びベースゴムB層の3層構造からなる空気入りタイヤにおいて、天然ゴムとポリスチレンブタジエンゴムとを所定の比率で配合したゴム成分に特定の高ストラクチャーカーボンブラックを所定量配合したものを前記C層に使用し、天然ゴムとジエン系ゴムとを所定の比率で配合したゴム成分に特定の高ストラクチャーカーボンブラックとシリカとを所定量配合したものを前記A層に使用し、さらに天然ゴムとジエン系ゴムとを所定の比率で配合したゴム成分に特定の高ストラクチャーカーボンブラックを所定量配合したものを前記B層に使用し、かつ、前記C層、A層、及びB層のゴム組成物のtanδの大きさを、C層>A層>B層と規定することによって、優れた耐摩耗性、発熱耐久性、及び耐ワンダリング性を有する重荷重用空気入りタイヤを提供することが開示されている。
【0005】
しかしながら、上記開示を始めとする従来技術のゴム組成物においては、ある程度のレベルにおいて耐摩耗性及び低発熱性が両立されるものの、さらなる向上が望まれることは言うまでもなく、また、老化後の耐チッピング性が不十分であるために、例えば、摩耗後のタイヤの外観確保が困難となる等の欠点を有しているのが実状である。
【0006】
この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては次のものがある。
【特許文献1】
特開平11−60810号公報
【特許文献2】
特開2001−2833号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、優れた耐摩耗性、耐カット性、耐チッピング性、及び発熱耐久性を有し、更に、摩耗後においても良好な外観を維持することができる空気入りタイヤを提供することである。
【0008】
本発明のもう1つの目的は、上述の如きタイヤとして望ましい種々の特性を達成しつつ、スチールベルトコートゴム組成物に対するトレッド部の圧着が容易な空気入りタイヤを提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、タイヤ表面からキャップトレッドA、低発熱性キャップトレッドB、及び高粘着性アンダートレッドCの3層構造からなるトレッド部を有する空気入りタイヤであって、
(a)前記キャップトレッドAを構成するゴム組成物が、天然ゴム単独又は天然ゴムとジエン系ゴムとの配合物を含んでなり、
(b)前記キャップトレッドBを構成するゴム組成物が、天然ゴム及び/又はジエン系ゴムからなるゴム成分100重量部に対して、硫黄をa重量部、下式
N−(C=S)−S−S−(CH−S−S−(C=S)−NR [R=CCH, x=6]
によって表される配合剤Bをb重量部、及び1種以上のスルフェンアミド系加硫促進剤を合計でc重量部含んでなり、かつ
前記a、b、及びcが、下式
b≧0.2、
1.5≦a+b/2≦2.5、
0.5≦c/(a+b/2)≦0.9
の関係を同時に満足し、そして
(c)前記アンダートレッドCを構成するゴム組成物が、天然ゴム単独又は天然ゴムとジエン系ゴムとの配合物を含んでなる、
ことを特徴とする空気入りタイヤによって達成される。
【0010】
【発明の実施の形態】
図1に示すように、本発明に係る空気入りタイヤは、タイヤ表面からキャップトレッドA(2)、キャップトレッドB(3)、及びアンダートレッドC(4)の3層構造からなるトレッド部を有する空気入りタイヤである。
【0011】
本発明に係る空気入りタイヤのトレッド部のキャップトレッドAを構成するゴム組成物は、従来からタイヤ用ゴム組成物に一般的に配合されている天然ゴム(NR)、ポリイソプレンゴム(IR)、各種スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、及び各種ポリブタジエンゴム(BR)などのジエン系ゴムとすることができ、これらは単独又は任意のブレンドとして使用することができる。好ましくは、キャップトレッドAを構成するゴム組成物は、天然ゴム単独又は天然ゴムとジエン系ゴムとの配合物を含んでなる。キャップトレッドAを構成するゴム組成物の具体例としては、以下に示す実施例において記載するゴム組成物Aを挙げることができる。
【0012】
本発明に係る空気入りタイヤのトレッド部の低発熱性キャップトレッドBを構成するゴム組成物は、天然ゴム及び/又はジエン系ゴムからなるゴム成分100重量部に対して、硫黄をa重量部、下式
N−(C=S)−S−S−(CH−S−S−(C=S)−NR [R=CCH, x=6]
によって表される配合剤Bをb重量部、及び1種以上のスルフェンアミド系加硫促進剤を合計でc重量部含んでなり、かつ
前記a、b、及びcが、下式
b≧0.2、
1.5≦a+b/2≦2.5、
0.5≦c/(a+b/2)≦0.9
の関係を同時に満足する。
【0013】
上記の式におけるa+b/2は、本発明に係る空気入りタイヤのトレッド部のキャップトレッドBを構成するゴム組成物中の架橋剤成分の配合量に対応する値であり、また、c/(a+b/2)は、本発明に係る空気入りタイヤのトレッド部のキャップトレッドBを構成するゴム組成物中の、架橋剤成分の配合量に対する、加硫促進剤の配合量に対応する値である。上記加硫系成分を、上記3個の関係式を同時に満足する条件下で配合してなるゴム組成物をキャップトレッドBにおいて使用することによって、所望の特性を有する空気入りタイヤを得ることができる。
【0014】
上記硫黄及びスルフェンアミド系加硫促進剤としては、ゴム配合技術分野において周知のものを使用することができ、それぞれ、粉末硫黄並びにN−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリル−スルフェンアミド(TBBS)(例えば、大内新興化学工業(株)製「ノクセラーNS−F」)及びN−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド(CBS)(例えば、大内新興化学工業(株)製「ノクセラーCZ−G」)等を例として挙げることができる。
【0015】
上記配合剤B自体は、ゴム配合技術分野において既知の化合物であり、例えば、特開2001−2833号公報において、ジエン系ゴムおよび常套の添加剤からなる加硫性ゴム組成物に、ゴム100重量部に対して、a)上記配合剤Bを0.5〜3.8重量部、b)硫黄を0.5〜2重量部、及びc)少なくとも1種の加硫促進剤を0.5〜3.0重量部を配合することによって、加硫後のゴム組成物の発熱性を悪化させること無く、耐引裂性及び耐老化性を向上させることが開示されている。
【0016】
しかしながら、本発明では、ゴム成分100重量部に対する、硫黄、配合剤B、及び1種以上の特定の加硫促進剤(具体的には、スルフェンアミド系加硫促進剤)の配合量(それぞれ、a、b、及びc重量部(複数種の加硫促進剤を使用する場合には、それらの合計配分量を表す))を、上記3個の関係式を同時に満足するように規定することにより、ゴム組成物の他の特性を犠牲にすること無く、ひときわ優れた耐摩耗性、耐カット性、耐チッピング性、及び発熱耐久性を達成し、更に、タイヤ摩耗時の外観を良好に維持することができることを見出したものである。
【0017】
具体的には、bが0.2重量部未満である場合には、加硫後のゴム組成物において、老化後の破断伸びの低下を抑制することができず、かつ低発熱性が不十分となる。a+b/2が1.5重量部未満である場合には、加硫後のゴム組成物の低発熱性が不十分となり、逆にa+b/2が2.5重量部を超えると、加硫後のゴム組成物の破断伸びが不十分となり、老化後の破断伸びの低下を抑制することもできない。また、c/(a+b/2)が0.5未満である場合には、加硫後のゴム組成物において、老化後の破断伸びの低下を抑制することができず、かつ低発熱性が不十分となり、逆にc/(a+b/2)が0.9を超えると、加硫後のゴム組成物の破断伸びが不十分となる。すなわち、上記a、b、及びcの値を上記3個の関係式を同時に満足させた場合にのみ、優れた耐摩耗性、耐カット性、耐チッピング性、及び発熱耐久性を達成し、更に、摩耗後においても良好な外観を維持することができるのである。
【0018】
本発明に係る空気入りタイヤのトレッド部の高粘着性アンダートレッドCを構成するゴム組成物は、スチールベルトコートゴム組成物に対する良好な接着性を提供する限り、従来からタイヤ用ゴム組成物に一般的に配合されている天然ゴム(NR)、ポリイソプレンゴム(IR)及び各種スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、各種ポリブタジエンゴム(BR)などのジエン系ゴムとすることができ、これらは単独又は任意のブレンドとして使用することができる。好ましくは、アンダートレッドCを構成するゴム組成物は、天然ゴム単独又は天然ゴムとジエン系ゴムとの配合物を含んでなる。アンダートレッドCを構成するゴム組成物の具体例としては、以下に示す実施例において記載するゴム組成物Cを挙げることができる。
【0019】
本発明に係る空気入りタイヤのトレッド部のキャップトレッドA及びアンダートレッドCを構成するゴム組成物には、更に、硫黄、加硫及び/若しくは架橋促進剤、カーボンブラック、シリカ、各種オイル、老化防止剤、充填剤、可塑化剤、軟化剤、並びに/又はゴム配合技術分野において一般的に使用される他の各種添加剤を配合することができる。これらの添加剤の配合量も、本発明の目的に反しない限り、従来の一般的な配合量とすることができる。
【0020】
また、本発明に係る空気入りタイヤのトレッド部のキャップトレッドBを構成するゴム組成物には、更に、カーボンブラック、シリカ、各種オイル、老化防止剤、充填剤、可塑化剤、軟化剤、及び/又はゴム配合技術分野において一般的に使用される他の各種添加剤を配合することができる。これらの添加剤の配合量も、本発明の目的に反しない限り、従来の一般的な配合量とすることができる。
【0021】
本発明の好ましい態様によれば、本発明に係る空気入りタイヤの表面に存在する溝を規定している壁面に、前記キャップトレッドAの下にあるトレッドが露出していてはならず、当該壁面がすべて前記キャップトレッドAによって構成されていることが望ましい。
【0022】
本発明のもう1つの好ましい態様によれば、タイヤとしての摩耗の早い段階において高粘着性トレッドが露出することを防止するために、前記アンダートレッドCが、本発明に係る空気入りタイヤの表面に存在する各溝の最底部を結ぶ線によって規定される領域内に存在していることが望ましい。
【0023】
本発明のさらにもう1つの好ましい態様によれば、本発明に係る空気入りタイヤのショルダー部及びクラウンセンター部において、前記キャップトレッドAの前記トレッド部全体に対する厚み比率が35〜80%、好ましくは40〜60%であり、前記低発熱性キャップトレッドBの前記トレッド部全体に対する厚み比率が60〜10%、好ましくは55〜20%であり、そして前記アンダートレッドCの前記トレッド部全体に対する厚み比率が2〜20%、好ましくは3〜10%であることが望ましい。
【0024】
前記タイヤのショルダー部及びクラウンセンター部における前記キャップトレッドBの前記トレッド部全体に対する厚み比率が10%以下である場合には、タイヤとしての低発熱性が不良となり、発熱耐久性が不十分なものとなる。逆に前記タイヤのショルダー部及びクラウンセンター部における前記キャップトレッドBの前記トレッド部全体に対する厚み比率が60%を超えると、更に高い低発熱性が得られるものの、相対的に前記キャップトレッドAの前記トレッド部全体に対する厚み比率が小さくなるため、タイヤとしての摩耗の早い段階において前記キャップトレッドBが露出することになり、その結果、耐摩耗性が低下するので好ましくない。
【0025】
また、前記タイヤのショルダー部及びクラウンセンター部における前記アンダートレッドCの前記トレッド部全体に対する厚み比率が2%以下である場合には、スチールベルトコートゴム組成物に対するトレッド部の圧着が困難となり、良好な圧着を達成するために、有機溶剤塗布などの、トレッド部への前処理が必要となり、成形作業性が不十分なものとなる。逆に前記タイヤのショルダー部及びクラウンセンター部における前記アンダートレッドCの前記トレッド部全体に対する厚み比率が20%を超えると、相対的に前記キャップトレッドA及び前記キャップトレッドBの前記トレッド部全体に対する厚み比率が小さくなるため、タイヤとしての摩耗の早い段階において前記アンダートレッドCが露出することになり、その結果、耐摩耗性が低下するので好ましくない。
【0026】
本発明のさらにもう1つの好ましい態様によれば、前記アンダートレッドCにおける硫黄の配合量がS 重量部であり、スチールベルトコートゴム組成物における硫黄の配合量がSsb重量部であって、前記S 及びSsbが、前記a及びbと共に、a+b/2<S ≦Ssbの関係を満足することが望ましい。各トレッドにおける硫黄の配合量をこのように規定することによって、上述の如きタイヤとして望ましい種々の特性を達成しつつ、スチールベルトコートゴム組成物のスチールベルトに対する良好な接着性を維持することができる。
【0027】
以下に記載する標準例、実施例、及び比較例によって本発明を更に詳しく説明するが、本発明の技術的範囲は、これらの例に限定されるものではない。
【0028】
【実施例】
例1:キャップトレッドBのゴム組成による加硫物性及びタイヤ性能への影響
この例においては、先ず、以下の表Iに示す各種ゴム組成物を調製し、各々のゴム組成物をプレス加硫して試験片を調製し、加硫後の物性(加硫物性)を評価した。
【0029】
【表1】
Figure 2004306730
【0030】
キャップトレッドBのためのゴム組成物の調製(標準例、実施例1〜4、及び比較例1〜5)
配合成分
天然ゴム(NR):STR−20
ポリブタジエンゴム(BR):日本ゼオン株式会社製「Nipol BR1220」
カーボンブラック(CB−1):昭和キャボット(株)製「ショウブラックN110」(SAF)
カーボンブラック(CB−2):昭和キャボット(株)製「ショウブラックN220」(ISAF)
カーボンブラック(CB−3):昭和キャボット(株)製「ショウブラックN330」(HAF)
亜鉛華:正同化学工業(株)製「亜鉛華3号」
ステアリン酸:花王石鹸(株)製「Lunac YA」
老化防止剤:FLEXSIS社製「SANTOFLEX 6PPD」(N−フェニル−N’−1,3−ジメチルブチル−p−フェニレンジアミン)
パラフィンワックス:大内新興化学工業(株)製、サンノック
硫黄(a):5%油処理の粉末硫黄
配合剤B(b): RN−(C=S)−S−S−(CH−S−S−(C=S)−NR [R=CCH, x=6]
加硫促進剤TBBS(c1):大内新興化学工業(株)製「ノクセラーNS−F」(N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリル−スルフェンアミド)
加硫促進剤CBS(c2):大内新興化学工業(株)製「ノクセラーCZ−G」(N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド)
【0031】
各種ゴム組成物及び加硫物性評価用試験片の調製
硫黄、配合剤B、及び加硫促進剤を除くすべての上記成分を、上記の表Iにおいて規定されている配合量で、1.8リットルの密閉型ミキサーで3〜5分間混練し、165±5℃に達したときにマスターバッチを放出した。このマスターバッチに、上記の表Iに示す配合量の硫黄、配合剤B、及び加硫促進剤を添加し、8インチのオープンロールで混練して、各ゴム組成物を得た。次に、これらのゴム組成物を、15×15×0.2cmの金型中で150℃において40分間プレス加硫して、各ゴム組成物についての加硫物性評価用試験片を調製した。
【0032】
各種試験片の加硫物性
各種ゴム組成物からなる上記試験片の各種加硫物性を、以下の試験方法に従って測定した。
1)破断伸び:未老化及び老化(空気中で80℃において96時間保持)後の上記試験片(ダンベル状3号型とした)について、室温において、JIS K6251に準拠して測定した。破断伸びが大きいほど、耐チッピング性が高いことを意味する。なお、上記の表Iにおいては、各破断伸びを以下の如く略記した。
EBB@RT:未老化の試験片の室温における破断伸び
EBA@RT:老化後の試験片の室温における破断伸び
【0033】
2)破断伸び保持率:
上記の如く室温において測定された、老化後の破断伸びの未老化の破断伸びに対する保持率を百分率で表したもの。破断伸び保持率が高いほど、老化後も耐チッピング製が維持されることを意味する。なお、上記の表Iにおいては、破断伸び保持率を「EBR」と略記した。
【0034】
3)HBU指数:グッドリッチ製フレキソメーターによってHBU(ヒートビルドアップ(発熱温度を示す))を測定し、標準例におけるHBUを100とした指数によって表示した。この指数が小さいほど、低発熱性が良好である(発熱が小さい)ことを示す。
【0035】
タイヤ性能評価用試験タイヤの製造
次に、上記標準例、実施例1〜4、及び比較例1〜5のゴム組成物の各々をキャップトレッドBにおいて使用して、タイヤ性能評価用試験タイヤを製造した。この際、キャップトレッドA及びアンダートレッドCのゴム組成物をそれぞれゴム組成物A及びCに固定し、タイヤのショルダー部及びクラウンセンター部におけるキャップトレッドA、キャップトレッドB、及びアンダートレッドCのトレッド部全体に対する厚み比率をそれぞれ40%、55%、及び5%に固定した条件下で、1000R20 14PRサイズのブロックパターンにおいて、各種試験タイヤを製造した。キャップトレッドA及びアンダートレッドCにおいて使用したゴム組成物A及びCの組成を以下の表IIに示す。
【0036】
【表2】
Figure 2004306730
【0037】
各種試験タイヤのタイヤ性能
キャップトレッドBが各種ゴム組成物からなる上記試験タイヤの各種タイヤ性能を、以下の試験方法に従って測定した。
4)タイヤ発熱指数:試験タイヤをリムサイズ20×7.00Tのホイールに装着し、空気圧7.25kg/cm(0.71MPa )、初期荷重2700kg、速度100km/hの条件下で走行させ、1時間毎に荷重を135kgずつ増加させ、クロスプライベルト層のエッジ部付近におけるトレッド部の温度を測定し、この温度が110℃となる荷重を求めた。この評価結果は、標準例のゴム組成物をキャップトレッドBにおいて使用した試験タイヤを100とした指数で表示した。この指数が大きいほど、低発熱性が良好である(発熱が小さい)ことを示す。
【0038】
5)走行後の外観:試験タイヤをダンプトラックの駆動軸に装着し、摩耗率が70%以上に達した時点での外観を目視評価し、標準例のゴム組成物をキャップトレッドBにおいて使用した試験タイヤを基準として、以下の如く等級付けた。
◎ … 大幅に向上
○ … 向上
= … 同等
× … 悪化
【0039】
各種ゴム組成物についての加硫物性及びタイヤ性能の評価
上記試験片及び試験タイヤについての、上記1)〜3)の各種加硫物性並びに上記4)及び5)のタイヤ性能の測定結果は、上記の表Iに示されている。標準例は、標準的な組成を有する対照標準である。
【0040】
比較例1は、配合剤Bの配合量(b)が0.2重量部未満(具体的には0.10重量部)であるために、標準例と比較して、破断伸び保持率、HBU指数、及び各種タイヤ性能における改善は認められなかった。
【0041】
比較例2は、a+b/2の値が1.5重量部未満(具体的には1.40重量部)であるために、HBU指数が増大し、タイヤ発熱指数も悪化した。
【0042】
比較例3は、比較例2とは逆に、a+b/2の値が2.5重量部を超えている(具体的には2.55重量部である)ために、未老化の破断伸びが低下し、破断伸び保持率も低下した。その結果、耐チッピング性が悪化し、走行後の外観も悪化した。
【0043】
比較例4は、c/(a+b/2)の値が0.5未満(具体的には0.41)であるために、標準例と比較して、破断伸び保持率及びHBU指数が改善されなかった。
【0044】
比較例5は、比較例4とは逆に、c/(a+b/2)の値が0.9を超えている(具体的には0.91である)ために、未老化の破断伸びが大幅に低下し、その結果、耐チッピング性が悪化し、走行後の外観も悪化した。
【0045】
上記比較例1〜5に対し、実施例1〜4は、b、a+b/2、及びc/(a+b/2)の値はすべて、本発明の範囲内に入っている。その結果、標準例と比較して、未老化の破断伸びが維持され、破断伸び保持率も改善された。その結果、耐チッピング性が改善され、走行後の外観も向上した。また、HBU指数及びタイヤ発熱指数も改善された。
【0046】
例2:トレッド部における各トレッドの厚み比率による成形作業性及びタイヤ性能への影響
タイヤ性能評価用試験タイヤの製造
この例においては、上記例1において使用したゴム組成物A、実施例1のゴム組成物、及びゴム組成物Cを、それぞれトレッド部のキャップトレッドA、キャップトレッドB、及びアンダートレッドCにおいて使用し、タイヤのショルダー部及びクラウンセンター部におけるキャップトレッドA、キャップトレッドB、及びアンダートレッドCのトレッド部全体に対する厚み比率を、以下の表III に記載されているように変化させて、例1と同様に、1000R20 14PRサイズのブロックパターンにおいて、各種試験タイヤを製造した。
【0047】
【表3】
Figure 2004306730
【0048】
各種試験タイヤの成形作業性
本明細書において規定される「成形作業性」とは、未加硫タイヤ製造時のスチールベルトへのトレッド部の圧着の容易さを意味する。より具体的には、「成形作業性」は、トレッド部を、その両側又は片側の端部が垂れ下がらないようにスチールベルトに圧着するために必要とされる、トレッド部の前処理のレベルに応じて以下の如く等級付けされる。
○ … 有機溶剤を塗布すること無く、容易に圧着可能(良好)
△ … ベベルステッチャーをかけるなど、念入りな圧着を行えば、有機溶剤を塗布する必要は無い(中庸)
× … 有機溶剤を塗布しなければ圧着不可能(不良)
【0049】
各種試験タイヤのタイヤ性能
種々の厚み比率のトレッド部を有する上記試験タイヤのタイヤ発熱指数及び摩耗率70%以上走行後の外観を、例1と同様に測定した。
【0050】
各種試験タイヤの成形作業性及びタイヤ性能の評価
上記試験タイヤについての成形作業性及びタイヤ性能の測定結果は、上記の表III に示されている。
【0051】
比較例6及び7は、スチールベルトコートゴム組成物に対する良好な接着性を提供すべき高粘着性アンダートレッドCがトレッド部に存在しない。このため、比較例6及び7はいずれも、成形作業性が不良であった。
【0052】
比較例8は、優れた低発熱性及びタイヤ摩耗時の耐チッピング性を提供すべき低発熱性キャップトレッドBがトレッド部に存在しない。このため、走行後の外観が悪化した。
【0053】
上記比較例6〜9に対し、実施例5〜7は、本発明に係るキャップトレッドA、低発熱性キャップトレッドB、及び高粘着性アンダートレッドCをいずれも具備し、かつそれらの厚み比率も本発明の範囲内に入っている。その結果、成形作業性、タイヤ発熱指数、及び走行後の外観のすべてにおいて、良好な結果が得られた。
【0054】
また、実施例8は、アンダートレッドCの厚み比率が1%と低いものの、本発明に係るキャップトレッドA、低発熱性キャップトレッドB、及び高粘着性アンダートレッドCをいずれも具備しており、中庸な成形作業性(有機溶剤を塗布する必要が無い)を維持しつつ、良好な低発熱性及び走行後の外観を達成することができた。
【0055】
【発明の効果】
本発明により、優れた耐摩耗性、耐カット性、耐チッピング性、及び発熱耐久性を有し、更に、摩耗後においても良好な外観を維持することができる空気入りタイヤが提供される。本発明の空気入りタイヤは、特に重荷重タイヤ(例えば、トラック、バス用タイヤ)として有用である。
【0056】
また、本発明により、上述の如きタイヤとして望ましい種々の特性を達成しつつ、スチールベルトコートゴム組成物に対するトレッド部の圧着が容易な空気入りタイヤも提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】トレッド部がキャップトレッドA、キャップトレッドB、及びアンダートレッドCを含んでなる、本発明の好ましい態様に係る空気入りタイヤの部分断面図である。
【符号の説明】
1…トレッド部
2…キャップトレッドA
3…キャップトレッドB
4…アンダートレッドC
5…ショルダー部
6…クラウンセンター部
7…溝底

Claims (1)

  1. タイヤ表面からキャップトレッドA、低発熱性キャップトレッドB、及び高粘着性アンダートレッドCの3層構造からなるトレッド部を有する空気入りタイヤであって、
    (a)前記キャップトレッドAを構成するゴム組成物が、天然ゴム単独又は天然ゴムとジエン系ゴムとの配合物を含んでなり、
    (b)前記キャップトレッドBを構成するゴム組成物が、天然ゴム及び/又はジエン系ゴムからなるゴム成分100重量部に対して、硫黄をa重量部、下式
    N−(C=S)−S−S−(CH−S−S−(C=S)−NR [R=CCH, x=6]
    によって表される配合剤Bをb重量部、及び1種以上のスルフェンアミド系加硫促進剤を合計でc重量部含んでなり、かつ
    前記a、b、及びcが、下式
    b≧0.2、
    1.5≦a+b/2≦2.5、
    0.5≦c/(a+b/2)≦0.9
    の関係を同時に満足し、そして
    (c)前記アンダートレッドCを構成するゴム組成物が、天然ゴム単独又は天然ゴムとジエン系ゴムとの配合物を含んでなる、
    ことを特徴とする空気入りタイヤ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2008111012A (ja) * 2006-10-30 2008-05-15 Toyo Tire & Rubber Co Ltd タイヤキャップトレッド用ゴム組成物
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