【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液体組成物とブラックインクを含む複数の色のインクを用い、これらのインクを組み合わせて被記録媒体にカラー画像を記録する際に使用するカラーインクジェット記録用インクセット、インクジェット記録方法、インクジェット記録機器類及びブリード緩和方法に関し、とりわけ、普通紙に対して、充分な画像濃度を有し、鮮明で高品質な画像を得られ、更に、良好な耐擦過性、耐マーカー性及びブリーディングも良好なカラーインクジェット記録用インクセット、これを用いたインクジェット記録方法、インクジェット記録機器及びブリード緩和方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、インクジェット方式の記録において、特に普通紙に対して、印字濃度、印字品位、耐水性、耐光性等の堅牢性に優れた黒色画像を形成するための顔料を用いたブラックインク、又、ブラックインクで印字された画像とカラーインクで印字された画像との境界滲み(以下ブリーディングと呼ぶ)を生じることのないインクセット、及びそれを用いたインクジェット記録方法や機器類が報告されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、酸性カーボンブラックとアルカリ可溶性の重合体を用いたインクが記載されている。しかしながら、該特許文献1に記載されているような酸性カーボンブラックとアルカリ可溶性の重合体を用いたインクの場合、アルカリ可溶性の重合体によりカーボンブラックが分散されるが、この樹脂分散型顔料インクは、ヘッドのフェイス面に濡れやすいという、ヘッドに対する信頼性が低いという問題があった。
【0004】
又、特許文献2及び3では、カーボンブラック顔料の表面に水溶性基を導入することにより、ヘッドに対する信頼性を改善する自己分散顔料インクが提案されている。しかしながら、これらの樹脂分散型や自己分散型顔料インクで被記録材、特に普通紙上に印刷を行った場合、インクが十分に乾いた後、印字面を強く擦った際、印字面が汚れてしまうという耐擦過性や、水性マーカーで印字面をなぞった場合の耐マーカー性が悪いといった問題があった。
【0005】
又、特許文献4には、化学的に改質されたブラック顔料、即ち、官能基により水溶性にしたブラック顔料からなるブラックインクとブラックインクよりも高いイオン強度を有するカラーインクとを用いて、イオン強度の急激な変化によって溶解した顔料の凝集を起こすことで、ブリードを軽減し得るインクセットが記載されている。しかしながら、これらのインクセットの場合において、ブラックインクの印字濃度及び印字品位は満足させることはできるが、ブリードを抑える効果は不十分であり、滲みを軽減させるために高分子量コロイドを添加しなければらなず、その結果、ブラックインクの粘度が上がり、吐出性能が低下する場合があった。
【0006】
【特許文献1】
特開平3−210373号公報
【特許文献2】
特開平8−3498号公報
【特許文献3】
特開平10−195360号公報
【特許文献4】
特開平10−272768号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、記録ヘッドに対する信頼性に優れ、耐擦過性や耐マーカー性に優れ、且つ被記録媒体上に形成されたブラック画像とカラー画像との境界領域におけるブリードが良好なカラーインクジェット記録用インクセット、これを用いたインクジェット記録方法、インクジェット記録機器及びブリード緩和方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の目的は以下の本発明によって達成される。即ち、本発明は、少なくとも、色材を含有しない無色又は淡色の液体組成物と、ブラックインクとカラーインクを含む2色以上のインクと、を用いてカラー画像を被記録媒体上に記録するためのインクセットにおいて、該液体組成物が水素イオン濃度の変化に対して緩衝作用を持つものであり、ブラックインク又はカラーインクのうち少なくとも1方が、水と、水溶性有機溶剤と、無機又は有機顔料と、を含み、該無機又は有機顔料は、その表面に少なくとも1つの親水性モノマーと少なくとも1つの疎水性モノマーとの共重合体からなる高分子が直接若しくは1つ以上の原子団を介して化学的に結合しているものであることを特徴とするインクセットを提供する。
【0009】
上記本発明において、上記顔料がカーボンブラックであること;上記高分子の分散度Mw/Mnが2以下であること;上記高分子の重量平均分子量が、1,000以上30,000以下の範囲にあり、且つ上記高分子の酸価若しくはアミン価が100以上500以下であること;表面改質された顔料の、顔料に対する高分子の含有率が5質量%以上40質量%以下の範囲にあること、更に好ましくは10質量%以上25質量%以下の範囲にあること;表面改質された顔料が、水性顔料インク全質量に対して0.1〜15質量%、好ましくは1〜10質量%の範囲で含まれていることが好ましい。
【0010】
又、上記本発明において、更に下記構造式(1)〜(4)で表わされる少なくとも1種の界面活性剤を含むことが好ましい。
(但し、上記構造式(1)中、Rはアルキル基を表わし、nは整数を表わす。)
(但し、上記構造式(2)中、Rはアルキル基を表わし、nは整数を表わす。)
(但し、上記構造式(3)中、Rは水素原子又はアルキル基を表わし、m及びnは、夫々整数を表わす。)
【0011】
(但し、上記構造式(4)中、m及びnは、夫々整数を表わす。)
【0012】
又、上記本発明において、液体組成物のpH値が、液体組成物50mlに対して1規定の水酸化リチウム水溶液1ml添加した際のpH値と添加前のpH値との差が1.0以内になるように調整されており、且つブラックインク及びカラーインクがアニオン性物質を含むこと;液体組成物のpHがブラックインク及びカラーインクのpHよりも低いこと;液体組成物のpHがブラックインク及びカラーインクのpHよりも低く、且つ該液体組成物のpHが酸性から中性領域をとり、該ブラックインク及びカラーインクのpHが中性からアルカリ性領域をとること;液体組成物が、有機酸或いは無機酸及び有機酸塩或いは無機酸塩を含むことが好ましい。
【0013】
又、上記本発明において、液体組成物のpH値が、液体組成物50mlに対して1規定の硫酸水溶液1.5ml添加した際のpH値と添加前のpH値との差が1.0以内になるように調整されており、且つブラックインク及びカラーインクがカチオン性物質を含むこと;液体組成物のpHが中性からアルカリ性領域をとり、該ブラックインク及びカラーインクのpHが酸性から中性領域をとることが好ましい。
【0014】
又、上記本発明において、液体組成物が、有機酸或いは無機酸と有機酸或いは無機酸のアンモニウム塩又はアミン塩を含み、且つ塩基性のpHを有すること;インクセットが、カラーインクジェット記録用であることが好ましい。
【0015】
又、本発明は、水素イオン濃度の変化に対して緩衝作用を有する液体組成物を記録信号に応じてオリフィスから吐出させて、被記録媒体に付与する工程(A)と、ブラックインク又はカラーインクを記録信号に応じてオリフィスから吐出させて、被記録媒体に付与する工程(B)とを有することを特徴とするインクジェット記録方法を提供する。
【0016】
又、上記本発明において、工程(A)を工程(B)に先立って行うか、又は、工程(B)を工程(A)に先立って行うことができ、更に工程(B)を工程(A)に先立って行い、更に工程(B)を行うことができる。更に上記インクジェット記録方法が、インク及び液体組成物に熱エネルギーを作用させてインクを吐出する方法であることが好ましい。
【0017】
又、本発明は、水素イオン濃度の変化に対して緩衝作用を有する液体組成物を収容している液体組成物収容部、ブラックインクを収容しているブラックインク収容部、及びカラーインクを収容しているカラーインク収容部、及び該液体組成物と該ブラックインクと該カラーインクとの各々を吐出させるためのヘッド部を具備していることを特徴とする記録ユニットを提供する。該記録ユニットは、ヘッド部が液体組成物及びインクに熱エネルギーを作用させてインク滴を吐出させるヘッドであること;インク収容部がポリウレタン、セルロース、ポリビニルアセテート又はポリオレフィン系樹脂で形成されていることが好ましい。
【0018】
又、本発明は、水素イオン濃度の変化に対して緩衝作用を有する液体組成物を収容している液体組成物収容部と、ブラックインクを収容しているブラックインク収容部と、カラーインクを収容しているカラーインク収容部とを具備していることを特徴とするインクカートリッジを提供する。該インクカートリッジは、液体組成物収容部及びインク収容部がポリオレフィンで形成された接液面を有することが好ましい。
【0019】
又、本発明は、水素イオン濃度の変化に対して緩衝作用を有する液体組成物を収容している液体組成物収容部と、ブラックインクを収容しているブラックインク収容部と、カラーインクを収容しているカラーインク収容部と該液体組成物と該ブラックインクと該カラーインクとを各々吐出させるためのヘッド部と、を具備していることを特徴とするインクジェット記録装置を提供する。該インクジェット記録装置においては、ヘッド部がインクに熱エネルギーを作用させてインク滴を吐出させるヘッドであること;液体組成物収容部及びインク収容部がポリウレタン、セルロース、ポリビニルアセテート又はポリオレフィン系樹脂で形成されていることが好ましい。
【0020】
又、本発明は、水素イオン濃度の変化に対して緩衝作用を有する液体組成物を用いて、被記録媒体上にインクジェット法によって形成するブラック画像とカラー画像との境界領域におけるブリードを緩和する方法を提供する。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下に好ましい実施の形態を挙げて本発明を更に具体的に説明する。先ず、有色インクについて順次説明する。
<ブラックインク>
本発明で用いるブラックインクにおいては、色材としては特に限定されないが、カーボンブラックが好適に使用され、インクとしては水性顔料インクが使用される。好ましいカーボンブラックの例は下記の通りである。
【0022】
例えば、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック顔料で、例えば、レイヴァン(Raven)7000、レイヴァン5750、レイヴァン5250、レイヴァン5000ULTRA−I、レイヴァン3500、レイヴァン2000、レイヴァン1500、レイヴァン1250、レイヴァン1200、レイヴァン1190ULTRA−II、レイヴァン1170、レイヴァン1255(以上コロンビア社製)、ブラックパールズ(Black Pearls)L、リーガル(Regal)400R、リーガル330R、リーガル660R、モウグル(Mogul)L、モナク(Monarch)700、モナク800、モナク880、モナク900、モナク1000、モナク1100、モナク1300、モナク1400、モナク2000、ヴァルカン(Valcan)XC−72R(以上キャボット社製)、カラーブラック(Color Black)FW1、カラーブラックFW2、カラーブラックFW2V、カラーブラックFW18、カラーブラックFW200、カラーブラックS150、カラーブラックS160、カラーブラックS170、プリンテックス(Printex)35、プリンテックスU、プリンテックスV、プリンテックス140U、プリンテックス140V、スペシャルブラック(Special Black)6、スペシャルブラック5、スペシャルブラック4A、スペシャルブラック4(以上デグッサ社製)、No.25、No.33、No.40、No.47、No.52、No.900、No.2300、MCF−88、MA600、MA7、MA8、MA100(以上三菱化学社製)等の市販品や、別途新たに調製されたものも使用することができるが、これらに限定されるものではなく従来公知のカーボンブラックを使用することが可能である。又、マグネタイト、フェライト等の磁性体微粒子やチタンブラック等を黒色顔料として用いてもよい。
【0023】
本発明の水性顔料インクには、少なくとも1つの親水性モノマーと少なくとも1つの疎水性モノマーとの共重合体からなる高分子が結合した顔料を色材として含んでなる。上記親水性モノマーと疎水性モノマーとからなる共重合体は、アニオン性を有するアニオン性ポリマー、或いはカチオン性を有するカチオン性ポリマーを含むものが好適に用いられる。上記アニオン性ポリマーを含むポリマーとしては、疎水性モノマーと親水性モノマーからなる共重合体、或いはこれらの塩等が挙げられる。
【0024】
上記共重合体を構成する代表的な疎水性モノマーとしては、次のモノマーがあるが、これらに限定されるものではない:スチレン、ビニルナフタレン等の芳香族ビニル化合物、メチル(メタ)アクリレート(本発明において「(メタ)アクリル」とは、アクリル及びメタクリルの双方を意味する)、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、2−トリメチルシロキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、p−トリル(メタ)アクリレート及びソルビル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリロニトリル等である。又、上記親水性モノマーとしては、次のモノマーがあるがこれらに限定されるものではない。例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸等が挙げられる。
【0025】
上記疎水性モノマー及びアニオン性モノマーからなる重合体としては、ブロック共重合体、ランダム共重合体、グラフト共重合体、又はこれらの塩等が挙げられ、酸価としては100〜500の範囲のものが好ましく、酸価のばらつきが平均酸価の10%以内であることが好ましい。尚、前記の塩とは、ナトリウム、リチウム、カリウム等のアルカリ金属塩の他、アンモニウム塩、アルキルアミン塩、アルカノールアミン塩等が挙げられ、これらを単独ないしは数種類を適宜組み合わせて使用できる。
【0026】
上記アニオン性ポリマー(共重合体)の重量平均分子量が1,000〜30,000の範囲のものが好ましく、更に好ましくは3,000〜20,000の範囲のものが好ましく使用され、更にポリマーの分散度Mw/Mnが2以下であることが好ましい。アニオン性ポリマーの含有量は、顔料に対して5質量%以上40質量%以下であることが好ましい。より好ましくは10質量%以上25質量%以下の割合で使用される。
【0027】
又、本発明におけるカチオン性ポリマーとしては、疎水性モノマーとカチオン性からなる共重合体、或いはこれらの塩等が挙げられる。代表的な疎水性モノマーとしては、次のモノマーがあるが、これらに限定されるものではない。例えば、スチレン、ビニルナフタレン等の芳香族ビニル化合物、メチル(メタ)アクリレート(本発明において「(メタ)アクリル」とは、アクリル及びメタクリルの双方を意味する)、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、2−トリメチルシロキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、p−トリル(メタ)アクリレート及びソルビル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリロニトリル等である。
【0028】
カチオン性モノマーとしては、次のモノマーがあるが、これらに限定されるものではない。例えば、アリルアミン、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、第3−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N−ビニルカルバゾール、(メタ)アクリルアミド及びジメチル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
【0029】
上記疎水性モノマー及びカチオン性モノマーからなる共重合体としては、ブロック共重合体、ランダム共重合体、グラフト共重合体、又はこれらの塩等が挙げられ、アミン価としては100〜500の範囲のものが好ましく、アミン価のばらつきが平均アミン価の10%以内であることが好ましい。アミン価とは、試料1gを中和するのに要する塩酸に当量のKOHのmg数で表す。尚、前記の塩とは、酢酸、塩酸、硝酸等の塩が挙げられ、これらを単独ないしは数種類を適宜組み合わせて使用できる。
【0030】
上記カチオン性ポリマー(共重合体)の重量平均分子量は1,000〜30,000の範囲のものが好ましく、更に好ましくは、3,000〜20,000の範囲のものが好ましく使用され、更にポリマーの分散度Mw/Mnが2以下であることが好ましい。カチオン性ポリマーの含有量は、顔料に対して5質量%以上40質量%以下であることが好ましい。より好ましくは10質量%以上25質量%以下の割合で使用される。
【0031】
本発明に用いられる水性媒体の例としては、例えば、水、或いは水と水溶性有機溶剤との混合溶媒が挙げられる。水溶性有機溶剤としては、インクの乾燥防止効果を有するものが特に好ましい。水としては脱イオン水を使用することが望ましい。
【0032】
具体的には、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール等の炭素数1〜4のアルキルアルコール類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類;アセトン、ジアセトンアルコール等のケトン又はケトアルコール類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオジグリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール等のアルキレン基が2〜6個の炭素原子を含むアルキレングリコール類;ポリエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート等の低級アルキルエーテルアセテート;グリセリン;エチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、ジエチレングリコールメチル(又はエチル)エーテル、トリエチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテル類;N−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等が挙げられる。上記の如き水溶性有機溶剤は、単独でも或いは混合物としても使用することができる。
【0033】
本発明にかかるブラックインク中に含有される水溶性有機溶剤の含有量は特に限定されないが、インク全質量に対して、好ましくは3〜50質量%の範囲が好適である。又、インクに含有される水の含有量はインク全質量に対して好ましくは50〜95質量%の範囲である。
【0034】
又、インクの保湿性維持のために、尿素、尿素誘導体、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン等の保湿性固形分もインク成分として用いてもよい。尿素、尿素誘導体、トリメチロールプロパン等、保湿性固形分のインク中の含有量は一般にはインクに対して0.1〜20.0質量%の範囲が好ましく、より好ましくは3.0〜10.0質量%の範囲である。
【0035】
更に、本発明のインクには上記成分以外にも必要に応じて界面活性剤、pH調整剤、防錆剤、防腐剤、防カビ剤、酸化防止剤、還元防止剤、蒸発促進剤、キレート化剤等、種々の添加剤を含有させてもよい。
【0036】
上記界面活性剤としては下記構造式(1)〜(4)で表される界面活性剤のいずれかを含有することが好ましい。
(但し、上記構造式(1)中、Rはアルキル基を表わし、nは整数を表わす。)
(但し、上記構造式(2)中、Rはアルキル基を表わし、nは整数を表わす。)
(但し、上記構造式(3)中、Rは水素原子又はアルキル基を表わし、m及びnは、夫々整数を表わす。)
【0037】
(但し、上記構造式(4)中、m及びnは、夫々整数を表わす。)
【0038】
本発明にかかるブラックインクは、筆記具用インクやインクジェット記録用インクに用いることができる。インクジェット記録方法としては、インクに力学的エネルギーを作用させ、液滴を吐出する記録方法、及びインクに熱エネルギーを加えてインクの発泡により液滴を吐出する記録方法があり、それらの記録方法に本発明のインクは特に好適である。
【0039】
ところで本発明にかかるブラックインクをインクジェット記録用に用いる場合には、該インクはインクジェットヘッドから吐出可能である特性を有することが好ましい。インクジェットヘッドからの吐出性という観点からは、該液体の特性としては、例えば、その粘度を1〜15mPa・s、表面張力が25mN/m以上、特には粘度を1〜5mPa・s、表面張力が25〜50mN/mとすることが好ましい。
【0040】
本発明の顔料インクの分析方法としては、色材としてカーボンブラックを用いた場合について説明するが、これにより顔料が特に限定されるわけではない。本発明の表面改質されたカーボンブラックの表面改質状態を分析する方法としては特に限定されず、通常考えられ得る方法を用いて分析を行うことができる。好ましくは、ESCAやTOF−SIMS等で表面改質されたカーボンブラック表面の化学結合状態を分析する方法が挙げられる。
【0041】
表面処理された顔料は、顔料に結合した高分子と顔料に結合していない高分子(フリーの高分子)を含む場合が多いが、顔料に結合している高分子の分子量を測定する方法としては特に限定されないが、前記表面改質した顔料を含むインクを塩析若しくは凝析させてから固形分を濾過した後蒸発乾固させ、上記フリーの高分子の良溶媒を用いてフリーの高分子の抽出を行う方法が好ましい。この良溶媒によって抽出されたフリーの高分子は基本的に顔料に結合していないため、この量が高分子全体の7質量%未満であることが好適である。更に好ましくは5質量%未満である。以下、フリーの高分子の良溶媒を用いてフリーの高分子の抽出を行う方法について詳細に説明する。分析を行うにあたり試料の前処理を以下のように実施する。
【0042】
本発明において、上記表面改質されたカーボンブラックを塩析若しくは凝析した後に乾固させ、上記フリーの高分子の良溶媒を用いてフリーの高分子の抽出を行う方法は[1]塩析若しくは凝析、[2]洗浄、[3]乾固、[4]抽出、[5]乾燥という手順によって行うことができる。以下順を追って説明する。
【0043】
[1]上記表面改質されたカーボンブラックを塩析若しくは凝析させる方法としては特に限定されず、例えば、(a)塩化ナトリウム、塩化カリウム等の塩で塩析させる、(b)硝酸や塩酸等の酸を用いて酸析させる等の方法を用いることができる。この際、必要に応じて塩析等の前工程として限外濾過等を行ってもよい。
[2]上記塩析若しくは酸析等を行った後のカーボンブラック沈殿物を純水で十分に洗浄する。特に、[1](b)の酸析を行う際には、洗浄後の濾液が中性になるまで十分に洗浄を行うのが好ましい。
【0044】
[3]洗浄後の上記カーボンブラック沈殿物は、オーブン等で十分に乾燥させてカーボンブラック乾固物として取り出すことができる。乾燥条件等は特に限定されず、例えば、60℃で2時間程度乾燥させればよい。
[4]上記カーボンブラック乾固物は、必要に応じて上記フリーの高分子の良溶媒を用いてフリーの高分子の抽出を行うことができる。
【0045】
上記フリーの高分子の良溶媒としては特に限定されず、例えば、テトロヒドロフラン(THF)等の良溶媒を用いることができる。この場合、良溶媒を用いて何度も上記カーボンブラック乾固物を洗浄し、抽出作業を繰り返すのが好ましい。
[5]良溶媒で上記フリーの高分子を抽出した後のカーボンブラック乾固物は、最後にオーブン等で十分に乾燥を行い、残存水分や残存溶剤を揮発させる。上記使用するオーブン等としては特に限定されず、例えば、市販の真空乾燥機等を用いて乾燥を行うことができる。又、乾燥条件等については上記カーボンブラック乾固物から十分に残存水や残存溶剤が除去できる条件であれば特に限定されず、例えば、数百Pa以下の真空度で、60℃×3時間程度乾燥させればよい。
【0046】
熱重量分析を用いることにより、顔料に対する高分子の結合量をより定量的に測定することができる。以下熱重量分析について詳細に説明する。上記表面改質されたカーボンブラックを塩析若しくは凝析した後に乾固させ、上記フリーの高分子の良溶媒を用いてフリーの高分子の抽出を行った際の抽出量を測定する方法としては特に限定されず、例えば、十分に乾燥させた上記フリーの高分子の良溶媒による抽出前後のカーボンブラック乾固物を熱重量分析(Thermogravimetric Analysis)等により測定し、重量減少率から求めることができる。
【0047】
上記重量減少率(%)とは、
重量減少量/初期重量×100・・・・・(1)式
で表される数値であり、重量減少率が小さいほど重量減少が少ないことを表す。上記重量減少率は熱重量分析において100℃〜700℃まで昇温した際の値とする。上記熱重量分析における分析条件等は特に限定されず、前処理、昇温速度等通常の条件で測定することができる。
【0048】
本発明の水性顔料インクに含まれる上記抽出前後のカーボンブラック乾固物においては、抽出前の重量減少率と抽出後の重量減少率の差が5%未満であることが好ましい。即ち、本発明の水性顔料インクに含まれる上記表面改質されたカーボンブラックは、上記高分子がカーボンブラックと直接若しくは1つ以上の原子団を介して化学的に結合しているため、溶媒抽出により抽出されるフリーの高分子は非常に少量であり、溶媒抽出前の試料の熱重量分析結果におけるフリーの高分子に起因する減量と、溶媒抽出後の試料の熱重量分析結果におけるフリーの高分子に起因する減量との差が小さく、重量減少率は小さくなる。
【0049】
これに対して、一般的に用いられる樹脂分散顔料では、上記高分子がカーボンブラック(顔料)と化学的に結合していないため、溶媒抽出前の試料では熱重量分析における高分子に起因する減量が大きいのに対し、溶媒抽出後の試料では、溶媒抽出によりフリーの高分子が既に除去されているため熱重量分析におけるフリーの高分子に起因する重量減少は小さくなり、抽出前後での重量減少率の差は大きくなる。
【0050】
図3は、樹脂分散タイプのインクを酸析した後洗浄乾固させた試料について熱重量分析を行った結果である。図4は樹脂分散タイプのインクを酸析した後洗浄乾固させ、更にTHFを用いて溶媒抽出した後の試料について熱重量分析を行った結果である。両者共に十分に蒸発乾固させてあり、水分や溶剤は除去されている。図3では350℃付近に樹脂に起因する重量減少が認められる。図4では350℃付近での重量減少は図3に比べて非常に少なくなっている。両者の結果から、樹脂分散タイプのインクではTHFで溶媒抽出することにより溶媒中に樹脂が大量に抽出されて、除去されたことがわかる。これは、樹脂分散タイプのインクでは樹脂分とカーボンブラックが化学的に結合していないために生じる現象である。
【0051】
次に、図1には本発明のインクを酸析した後洗浄乾固させた試料について熱重量分析を行った結果を示した。図2には、本発明のインクを酸析した後洗浄乾固させ、更にTHFを用いて溶媒抽出した後の試料について熱重量分析を行った結果を示した。図1及び図2の結果から、350℃付近での樹脂に起因する重量減少率が溶媒抽出前後であまり変化しておらず、このことより、溶媒抽出により樹脂が除去されなかった、つまり、カーボンブラックと樹脂とが化学的に結合していることがわかる。
【0052】
上記熱重量分析を用いる以外にも、樹脂とカーボンブラックの結合状態を調査する方法がある。例えば、上記表面改質されたカーボンブラックを塩析若しくは凝析した後に乾固させ、上記フリーの高分子の良溶媒を用いてフリーの高分子の抽出を行う方法と、TG−GC−MS(熱重量分析−ガスクロマトグラフ−マススペクトル)とを組み合わせて分析することにより、熱重量分析で発生したガスを更に分析することができ、カーボンブラック乾固物に結合していた高分子の状態を詳細に知ることができる。このような分析方法も、又、好適な方法である。
【0053】
カーボンブラックに直接若しくは1つ以上の原子団を介して高分子を化学的に結合させる方法としては、通常用いられる方法によって行えばよく、特に限定されるものではないが、例えば、以下の方法等を用いることができる。
カーボンブラックに、ポリエチレンイミン等の末端にアミノ基を有するポリマーをジアゾニウム反応で結合させる方法;カーボンブラックに、分子内にアミノ基とカルボキシル基を有するポリマーをジアゾニウム反応で結合させる方法;等の方法を用いることができる。この他に、最も典型的な例がWO 01/51566 A1に開示されている。
【0054】
上記方法が、アニオンタイプの高分子を化学的に結合させる場合には下記の3工程を含むこととなる。
第1工程;カーボンブラックにジアゾニウム反応でアミノフェニル−(2−サルフェイトエチル)−サルフォン(APSES)を付加させる工程。
第2工程;APSES処理をしたカーボンブラックにポリエチレンイミンやペンタエチレンヘキサミン(PEHA)を付加させる工程。
第3工程;疎水性モノマーとカルボキシル基を有する親水性モノマーとの共重合体を結合させる工程。
【0055】
上記方法が、カチオンタイプの高分子を化学的に結合させる場合には下記の2工程を含むこととなる。
第1工程;カーボンブラックにジアゾニウム反応でアミノフェニル−(2−サルフェイトエチル)−サルフォン(APSES)を付加させる工程。
第2工程;上述したカチオン性ポリマー(疎水性モノマーと親水性モノマーとの共重合体)を結合させる工程。
【0056】
以上のように本発明の水性顔料インクは、インクジェット記録で用いられる際に、特に効果的である。インクジェット記録方法としては、インクに力学的エネルギーを作用させてインクを吐出する記録方法、及びインクに熱エネルギーを加えてインクの発泡によりインクを吐出するインクジェット記録方法があり、それらのインクジェット記録方法に本発明の水性顔料インクは特に好適である。
【0057】
<カラーインク>
本発明において使用するカラーインクの色材としては、公知の染料又は顔料が用いられるが、発色性を考慮して、特にアニオン性染料が好ましく用いられる。アニオン性染料としては、既存のものでも、新規に合成したものでも適度な色調と濃度を有するものであれば、大抵のものを用いることができる。これらの染料又は顔料は、単独でも混合しても使用することができる。
【0058】
(アニオン性染料)
下記に、本発明で使用できるアニオン性染料の具体例について、インクの色調別に例示するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(イエロー用の色材)
C.I.ダイレクトイエロー:1、2、4、8、11、12、26、27、28、33、34、39、41、44、48、50、58、85、86、87、88、89、98、100、110、132、135、142、144
C.I.アシッドイエロー:1、3、4、7、11、12、13、14、17、19、23、25、29、34、36、38、40、41、42、44、53、55、61、76、79、98、99
C.I.リィアクティブイエロー:1、2、3、4、6、7、11、12、13、14、15、16、17、18、22、23、24、25、26、27、37、42
C.I.フードイエロー:3
【0059】
(マゼンタ用の色材)
C.I.ダイレクトレッド:1、2、4、8、9、11、13、15、20、23、24、28、31、33、37、39、46、51、59、62、63、73、75、79、80、81、83、87、89、90、95、99、101、110、189、197、201、218、220、224、225、226、227、228、229、230
C.I.アシッドレッド:1、4、6、8、9、13、14、15、18、21、26、27、32、35、37、42、51、52、80、83、87、89、92、106、114、115、133、134、145、158、198、249、257、265、289
C.I.リィアクティブレッド:1、2、3、4、5、6、7、8、11、12、13、15、17、19、20、21、22、23、24、28、29、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、58、59、63、64、180
C.I.フードレッド:87、92、94
【0060】
(シアン用の色材)
C.I.ダイレクトブルー:1、2、6、8、15、22、25、34、41、70、71、76、77、78、80、86、90、98、106、108、120、142、158、163、168、199、200、201、202、203、207、218、226、236、287
C.I.アシッドブルー:1、7、9、15、22、23、25、27、29、40、43、55、59、62、74、78、80、81、90、100、102、104、111、117、127、138、158、161、185、254
C.I.リィアクティブブルー:1、2、3、4、5、7、8、9、13、14、15、17、18、19、20、21、25、26、27、28、29、32、33、34、37、38、39、40、41、43、44、46、100
【0061】
(カチオン性染料)
カチオン性染料の例としては、
C.I.ベーシックイエロー:1、2、11、13、14、19、21、25、32、33、36、51
C.I.ベーシックレッド:1、2、9、12、13、37、38、39、92
C.I.ベーシックブルー:1、3、5、7、9、19、24、25、26、28、29、45、54、65
C.I.ベーシックブラック:2、8
【0062】
カラー顔料インクに用いる顔料の例としては、具体的には、トルイジンレッド、トルイジンマルーン、ハンザエロー、ベンジジンエロー、ピラゾロンレッド等の不溶性アゾ顔料、リトールレッド、ヘリオボルドー、ピグメントスカーレット、パーマネントレッド2B等の溶性アゾ顔料、アリザリン、インダントロン、チオインジゴマルーン等の建染染料からの誘導体、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン等のフタロシアニン系顔料、キナクリドンレッド、キナクリドンマゼンタ等のキナクリドン系顔料、ペリレンレッド、ペリレンスカーレット等のペリレン系顔料、イソインドリノンエロー、イソインドリノンオレンジ等のイソインドリノン系顔料、ベンズイミダゾロンエロー、ベンズイミダゾロンオレンジ、ベンズイミダゾロンレッド等のイミダゾロン系顔料、ピランスロンレッド、ピランスロンオレンジ等のピランスロン系顔料、インジゴ系顔料、チオインジゴ系顔料、縮合アゾ系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、フラバンスロンエロー、アシルアミドエロー、キノフタロンエロー、ニッケルアゾエロー、銅アゾメチンエロー、ペリノンオレンジ、アンスロンオレンジ、ジアンスラキノニルレッド、ジオキサジンバイオレット等のその他の顔料が例示できる。
【0063】
又、有機顔料を、カラーインデックス(C.I.)ナンバーにて示すと、C.I.ピグメントイエロー1、2、3、12、13、14、16、17、20、24、74、83、86、93、97、109、110、117、120、125、128、137、138、147、148、150、151、153、154、166、168、180、185、C.I.ピグメントオレンジ16、36、43、51、55、59、61、71、C.I.ピグメントレッド5、7、9、12、48、49、52、53、57、97、112、122、123、149、168、175、176、177、180、192、202、207、215、216、217、220、223、224、226、227、228、238、240、254、255、272、C.I.ピグメントバイオレット19、23、29、30、37、40、50、C.I.ピグメントブルー1、2、3、15、15:1、15:3、15:4、15:6、16、22、60、64、C.I.ピグメントグリーン7、36、C.I.ピグメントブラウン23、25、26等が例示できる。
【0064】
これらの顔料はインク中に樹脂分散されていても、水溶性基を結合させることにより自己分散されていても、本発明のブラックインクと同様に樹脂結合型自己分散をしていてもかまわない。これらのカラーインク用の色材のなかで、より好ましいのはアニオン性染料である。発色性や安全性等を考慮すると、選択性の幅が広いのがアニオン性染料だからである。
【0065】
上記した色材の含有量としては、インク全質量中の0.2〜15質量%の範囲とするのが好ましく、より好ましくは0.5〜10質量%の範囲とする。即ち、この範囲とすることで、例えば、発色性やインクの吐出安定性等のインクジェット記録用インクとしての信頼性を、より一層向上させることができる。
【0066】
カラーインクに用いられる水性媒体の例としては、例えば、水、或いは水と水溶性有機溶剤との混合溶媒が挙げられる。水溶性有機溶剤としては、インクの乾燥防止効果を有するものを用いることが特に好ましい。
【0067】
この際に使用できる水溶性有機溶媒としては、具体的には、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール等の炭素数1〜4のアルキルアルコール類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類;アセトン、ジアセトンアルコール等のケトン又はケトアルコール類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオジグリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール等のアルキレン基が2〜6個の炭素原子を含むアルキレングリコール類;ポリエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート等の低級アルキルエーテルアセテート;グリセリン;エチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、ジエチレングリコールメチル(又はエチル)エーテル、トリエチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテル類;トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン等の多価アルコール;N−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等が挙げられる。
【0068】
上記の如き水溶性有機溶剤は、単独でも、或いは、適宜に選択して混合物としても使用することができる。又、上記水溶性有機溶剤のインク中における含有量は、特に限定されないが、インク全質量に対して、3〜50質量%の範囲が好適である。又、インクに含有される水の含有量は、インク全質量に対して50〜95質量%の範囲とすることが好ましい。
【0069】
本発明で使用するカラーインクに上記したような特性を担持させるための好ましい水性媒体の組成としては、例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン、チオグリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、イソプロピルアルコール及びアセチレンアルコールを含むものとすることが好ましい。尚、アセチレンアルコールとしては、例えば、下記式で示されるアセチレンアルコールを挙げることができる。
【0070】
(上記式中、R1、R2、R3及びR4は、アルキル基、具体的には、例えば、炭素数1〜4の直鎖状又は分岐状のアルキル基を表し、m及びnは、夫々整数を表し、m=0且つn=0、若しくは1≦m+n≦30であって、m+n=1の場合は、m又はnは0である。)
【0071】
カラーインク中には、上記で述べた成分の他に、そのインク中の色材の極性と同じか、又はノニオン性の少なくとも1種の界面活性剤を含有させるとよい。これらの界面活性剤を含有させることによって、インクに所望の浸透性や粘度を付与させることができ、インクジェット記録用インクに要求される性能をより一層満足させることができる。この際に使用される界面活性剤としては、下記に挙げるような、イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤及び両性界面活性剤、或いは、これらの2種以上の混合物のいずれでもよい。
【0072】
(アニオン性界面活性剤)
脂肪酸塩、高級アルコール酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩類、高級アルコールリン酸エステル塩、アルキル硫酸塩、アルキル硫酸エステル塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルスルホ酢酸塩、スルホコハク酸ジアルキルエステル塩等。
(カチオン性界面活性剤)
脂肪族アミン塩、第4級アンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩等。
【0073】
(非イオン性界面活性剤)
高級アルコールエチレンオキサイド付加物、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物、脂肪族エチレンオキサイド付加物、多価アルコール脂肪酸エステルエチレンオキサイド付加物、脂肪族アミドエチレンオキサイド付加物、高級アルキルアミンエチレンオキサイド付加物、ポリプロピレングリコールエチレンオキサイド付加物、多価アルコールの脂肪酸エステル、アルカノールアミンの脂肪酸アミド類等。
(両性界面活性剤)
アミノ酸型、ベタイン型両性界面活性剤等。
【0074】
本発明においては、これらのものはいずれも好ましく使用されるが、より好ましくは、高級アルコールのエチレンオキサイド付加物、アルキルフェノールのエチレンオキサイド付加物、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイド共重合体、アセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物等の非イオン性界面活性剤を用いる。更に、上記エチレンオキサイド付加物の付加モル数が4〜20の範囲のものが特に好ましい。
【0075】
上記のような界面活性剤の各インク中における添加量については特に制限はないが、インク全質量の0.01〜10質量%の範囲とするのが好ましい。0.01質量%未満では、界面活性剤の種類にもよるが、一般に所望の浸透性が得られず、10質量%を超える場合には、インクの初期粘度が大きくなり、好ましくない。更に好ましくは、インク全質量の0.1〜5.0質量%の範囲とするのがよい。
【0076】
この他、本発明のインクセットを構成する各インク中には上記成分の他、必要に応じて、保湿剤としての尿素、チオ尿素、エチレン尿素、アルキル尿素、アルキルチオ尿素、ジアルキル尿素及びジアルキルチオ尿素等の含窒素化合物や、インクに所望の性能を与えるための、pH調整剤、粘度調整剤、防腐剤、酸化防止剤、蒸発促進剤、防錆剤、防カビ剤及びキレート化剤等の添加剤を配合してもよい。
【0077】
上記したカラーインクは、筆記具用インクやインクジェット記録用インクに用いることができる。インクジェット記録方法としては、インクに力学的エネルギーを作用させ、液滴を吐出する記録方法、及びインクに熱エネルギーを加えてインクの発泡により液滴を吐出する記録方法があるが、それらの記録方法に特に好適である。ところで、上記カラーインクをインクジェット記録用に用いる場合には、該インクはインクジェットヘッドから吐出可能である特性を有することが好ましい。インクジェットヘッドからの吐出性という観点からは、該液体の特性としては、例えば、その粘度を1〜15cps、表面張力が25dyn/cm以上、特には粘度を1〜5cps、表面張力が25〜50dyn/cmとすることが好ましい。
【0078】
<液体組成物>
本発明で使用する液体組成物は水素イオン濃度に対して緩衝作用を有することが特徴である。ブラックインク若しくはカラーインクがカチオン性の場合においては、液体組成物のpH値が、液体組成物50mlに対して1規定の硫酸水溶液1.5ml添加した際のpH値と添加前のpH値との差が1.0以内になるように調整されていることが好ましい。このとき、液体組成物中に含有される緩衝剤としては、有機酸或いは無機酸のアンモニウム塩、有機酸或いは無機酸のアミン塩、アルカリ金属の水酸化物、アンモニア、塩基性アミン、塩基性アミノ酸、リン酸二水素ナトリウム、グリシン、塩化ナトリウム、四ホウ酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、塩酸、炭酸ナトリウム、ジメチルグリシンナトリウム、ホウ酸、アルカリ金属の塩化物、ポリアミン、ポリイミン等の緩衝剤を単独で、若しくは適宜組み合わせて用いることができる。そしてより具体的には、例えば、リン酸二水素ナトリウム/水酸化ナトリウム、グリシン+塩化ナトリウム/水酸化ナトリウム、四ホウ酸ナトリウム/水酸化ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム/四ホウ酸ナトリウム、四ホウ酸ナトリウム/炭酸ナトリウム、塩酸/炭酸ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム/水酸化ナトリウム、塩化アンモニウム/アンモニア、ジメチルグリシンナトリウム/塩酸、ホウ酸+塩化カリウム/炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウム/炭酸水素ナトリウム等が挙げられる。
【0079】
本発明において、上記に挙げたものはいずれも好ましく使用できるが有機酸或いは無機酸のアンモニウム塩又はアミン塩からなる群の少なくとも1種と、アルカリ金属の水酸化物、アンモニア、塩基性アミン、塩基性アミノ酸からなる群の少なくとも1種とを含むことが好ましい。
【0080】
又、ブラックインク又はカラーインクがアニオン性の場合、液体組成物のpH値が、液体組成物50mlに対して1規定の水酸化リチウム水溶液1ml添加した際のpH値と添加前のpH値との差が1.0以内になるように調整されていることが好ましい。
【0081】
液体組成物中に含まれる緩衝剤としては、クエン酸、コハク酸、フタル酸、フマル酸、酢酸、乳酸、酒石酸、炭酸、ジエチルバルビルツ酸等の有機酸、りん酸、ホウ酸、硫酸、塩酸、硝酸等の無機酸、クエン酸リチウム、クエン酸2水素カリウム、フタル酸水素カリウム、硫酸リチウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸アンモニウム等の硫酸塩、酢酸ナトリウム、酢酸リチウム、酢酸カリウム、酢酸アンモニウム等の酢酸塩、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム等の炭酸塩、乳酸ナトリウム、りん酸リチウム、りん酸1ナトリウム、りん酸2ナトリウム、りん酸3ナトリウム、りん酸カリウム、りん酸2カリウム、りん酸3カリウム、りん酸2水素カリウム、りん酸1アンモニウム、りん酸2アンモニウム、りん酸3アンモニウム等のりん酸塩、4ホウ酸ナトリウム、ジエチルバルビルツ酸ナトリウム等の有機酸のアルカリ金属塩、塩化カリウム、塩化ナトリウム、塩化リチウム等の無機アルカリ金属塩、水酸化ナトリウムや水酸化リチウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム等の水酸化物、グリシン等の緩衝剤を単独で、若しくは適宜組み合わせて使用できる。
【0082】
具体的には、液体組成物中に、フタル酸水素カリウム/塩酸、フタル酸水素カリウム/水酸化ナトリウム、クエン酸カリウム/クエン酸、クエン酸2水素カリウム/塩酸、クエン酸2水素カリウム/水酸化ナトリウム、4ホウ酸ナトリウム/コハク酸、クエン酸2水素カリウム/4ホウ酸ナトリウム、乳酸ナトリウム/乳酸、酢酸ナトリウム/酢酸、りん酸水素2カリウム/クエン酸、酒石酸/酒石酸ナトリウム、ホウ酸+クエン酸/りん酸3ナトリウム、グリシン+塩化ナトリウム/塩酸、クエン酸+りん酸2水素カリウム+ホウ酸+ジエチルバルビルツ酸/りん酸3ナトリウム、ジエチルバルビルツ酸ナトリウム+酢酸ナトリウム/塩酸等が挙げられるが、これらの組み合わせに限定されるものではない。
【0083】
これらの塩の液体組成物への添加量は好ましくは0.1〜10質量%、更に好ましくは1〜8質量%である。これらの範囲にすることで、液体組成物のpHを一定にすることができ、且つ液体組成物の安定性を保つことができる。
【0084】
本発明で使用する液体組成物は水素イオン濃度に対して緩衝作用を有することが特徴であるが、具体的にはブラックインク及び、カラーインクがアニオン性物質を含む場合、液体組成物50mlに対し、1規定の水酸化リチウム水溶液を1.0ml添加した際のpH値と、添加前のpH値の差が1.0以内になるような緩衝作用をもつ液体組成物がインクとの反応性を考慮すると好ましい。又、ブラックインク及び、カラーインクがカチオン性物質を含む場合、液体組成物50mlに対し、1規定の硫酸水溶液を1.5ml添加した際のpH値と、添加前のpH値の差が1.0以内になるような緩衝作用をもつ液体組成物がインクとの反応性を考慮すると好ましい。液体組成物に用いられる水性媒体の例としては、例えば、水、或いは水と水溶性有機溶剤との混合溶媒が挙げられる。水溶性有機溶剤としては、インクの乾燥防止効果を有するものを用いることが特に好ましい。
【0085】
この際に使用できる水溶性有機溶剤としては、具体的には、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール等の炭素数1〜4のアルキルアルコール類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類;アセトン、ジアセトンアルコール等のケトン又はケトアルコール類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオジグリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール等のアルキレン基が2〜6個の炭素原子を含むアルキレングリコール類;ポリエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート等の低級アルキルエーテルアセテート;グリセリン;エチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、ジエチレングリコールメチル(又はエチル)エーテル、トリエチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテル類;トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン等の多価アルコール;N−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等が挙げられる。
【0086】
上記の如き水溶性有機溶剤は、単独でも、或いは、適宜に選択して混合物としても使用することができる。又、上記水溶性有機溶剤の液体組成物中における含有量は、特に限定されないが、液体組成物全質量に対して、3〜50質量%の範囲が好適である。又、液体組成物に含有される水の含有量は、液体組成物全質量に対して50〜95質量%の範囲とすることが好ましい。
【0087】
本発明で使用する液体組成物に上記したような特性を担持させるための好ましい水性媒体の組成としては、例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン、チオグリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、イソプロピルアルコール及びアセチレンアルコールを含むものとすることが好ましい。尚、アセチレンアルコールとしては、例えば、下記式で示されるアセチレンアルコールを挙げることができる。
【0088】
(上記式中、R1、R2、R3及びR4は、アルキル基、具体的には、例えば、炭素数1〜4の直鎖状又は分岐状のアルキル基を表し、m及びnは、夫々整数を表し、m=0且つn=0、若しくは1≦m+n≦30であって、m+n=1の場合は、m又はnは0である。)
【0089】
液体組成物中には、上記で述べた成分の他に、そのインク中の色材の極性と同じか、又はノニオン性の少なくとも1種の界面活性剤を含有させるとよい。これらの界面活性剤を含有させることによって、液体組成物に所望の浸透性や粘度を付与させることができ、インクジェット記録用インクに要求される性能をより一層満足させることができる。この際に使用される界面活性剤としては、下記に挙げるような、イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤及び両性界面活性剤、或いは、これらの2種以上の混合物のいずれでもよい。
【0090】
(アニオン性界面活性剤)
脂肪酸塩、高級アルコール酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩類、高級アルコールリン酸エステル塩、アルキル硫酸塩、アルキル硫酸エステル塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルスルホ酢酸塩、スルホコハク酸ジアルキルエステル塩等。
(カチオン性界面活性剤)
脂肪族アミン塩、第4級アンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩等。
【0091】
(非イオン性界面活性剤)
高級アルコールエチレンオキサイド付加物、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物、脂肪族エチレンオキサイド付加物、多価アルコール脂肪酸エステルエチレンオキサイド付加物、脂肪族アミドエチレンオキサイド付加物、高級アルキルアミンエチレンオキサイド付加物、ポリプロピレングリコールエチレンオキサイド付加物、多価アルコールの脂肪酸エステル、アルカノールアミンの脂肪酸アミド類等。
(両性界面活性剤)
アミノ酸型、ベタイン型両性界面活性剤等。
【0092】
上記のような界面活性剤の各液体組成物中における添加量については特に制限はないが、液体組成物全質量の0.01〜10質量%の範囲とするのが好ましい。0.01質量%未満では、界面活性剤の種類にもよるが、一般に所望の浸透性が得られず、10質量%を超える場合には、液体組成物の初期粘度が大きくなり、好ましくない。更に好ましくは、液体組成物全質量の0.1〜5.0質量%の範囲とするのがよい。
【0093】
上記した液体組成物は、インクジェット記録用に用いることができる。インクジェット記録方法としては、インクに力学的エネルギーを作用させ、液滴を吐出する記録方法、及びインクに熱エネルギーを加えてインクの発泡により液滴を吐出する記録方法があるが、それらの記録方法に特に好適である。ところで、上記液体組成物をインクジェット記録用に用いる場合には、該液体組成物はインクジェットヘッドから吐出可能である特性を有することが好ましい。インクジェットヘッドからの吐出性という観点からは、該液体の特性としては、例えば、その粘度を1〜15cps、表面張力が25dyn/cm以上、特には粘度を1〜5cps、表面張力が25〜50dyn/cmとすることが好ましい。
【0094】
<インクジェット記録装置>
上記に説明した液体組成物、ブラックインク及びカラーインクを組み合わせてなる本発明のインクセットは、インク滴を記録信号に応じてオリフィスから吐出させて被記録媒体に記録を行うインクジェット記録方法に好適に用いられるが、特に、熱エネルギーの作用により、インク滴を吐出させて記録を行うインクジェット記録方式にとりわけ好適に用いられる。本発明のインクセットを用いて好適に記録を行う記録方法としては、記録ヘッド内に収容された各色のインクに記録信号に対応した熱エネルギーを与え、該エネルギーにより液滴を発生させるインクジェット記録方法が挙げられるが、以下にこのようなインクジェット記録方法を適用した本発明のインクジェット記録装置の1例について説明する。
【0095】
先ず、その装置の主要部であるヘッド構成例を、図5、図6及び図7に示す。図5は、インク流路に沿ったヘッド13の断面図であり、図6は、図5のA−B線での断面図である。ヘッド13は、インクを通す溝14を有する、ガラス、セラミック又はプラスチック板等と、感熱記録に用いられる発熱ヘッド15(図では薄膜ヘッドが示されているが、これに限定されるものではない。)とを接着して得られる。発熱ヘッド15は、酸化シリコン等で形成される保護膜16、アルミニウム電極17−1及び17−2、ニクロム等で形成される発熱抵抗体層18、蓄熱層19、及びアルミナ等の放熱性のよい基板20より成っている。
【0096】
インク21は、吐出オリフィス(微細孔)22まできており、圧力によりメニスカス23を形成している。今、アルミニウム電極17−1及び17−2に電気信号情報が加わると、発熱ヘッド15のnで示される領域が急激に発熱し、ここに接しているインク21に気泡が発生し、その圧力でメニスカス23が突出し、インク21が吐出しインク小滴24となり、吐出オリフィス22より被記録媒体25に向って飛翔する。
【0097】
図7には、図5に示すヘッドを多数並べたマルチヘッドの外観図を示す。該マルチヘッドは、マルチ溝26を有するガラス板27と、図5で説明したものと同様の発熱ヘッド28を密着して作製されている。
【0098】
図8に、上記ヘッドを組み込んだインクジェット記録装置の1例を示す。図8において、61はワイピング部材としてのブレードであり、その一端はブレード保持部材によって保持されて固定端となり、カンチレバーの形態をなす。ブレード61は記録ヘッド65による記録領域に隣接した位置に配置され、又、本例の場合、記録ヘッド65の移動経路中に突出した形態で保持される。62は記録ヘッド65の吐出口面のキャップであり、ブレード61に隣接するホームポジションに配設され、記録ヘッド65の移動方向と垂直な方向に移動して、インク吐出口面と当接し、キャッピングを行う構成を備える。更に、63はブレード61に隣接して設けられるインク吸収体であり、ブレード61と同様、記録ヘッド65の移動経路中に突出した形態で保持される。
【0099】
上記ブレード61、キャップ62及びインク吸収体63によって吐出回復部64が構成され、ブレード61及びインク吸収体63によってインク吐出口面の水分、塵挨等の除去が行われる。65は吐出エネルギー発生手段を有し、吐出口を配した吐出口面に対向する被記録媒体にインクを吐出して記録を行う記録ヘッド、66は記録ヘッド65を搭載してその移動を行うためのキャリッジである。キャリッジ66はガイド軸67と摺動可能に係合し、キャリッジ66の一部はモーター68によって駆動されるベルト69と接続(不図示)している。これによりキャリッジ66はガイド軸67に沿った移動が可能となり、記録ヘッド65による記録領域及びその隣接した領域の移動が可能となる。
【0100】
51は被記録媒体を挿入するための給紙部、52は不図示のモーターにより駆動する紙送りローラーである。これらの構成によって記録ヘッド65の吐出口面と対向する位置へ被記録媒体が給紙され、記録が進行するにつれて排紙ローラー53を配した排紙部へ排紙される。
【0101】
上記構成において記録ヘッド65が記録終了等でホームポジションに戻る際、吐出回復部64のキャップ62は記録ヘッド65の移動経路から退避しているが、ブレード61は移動経路中に突出している。この結果、記録ヘッド65の吐出口面がワイピングされる。尚、キャップ62が記録ヘッド65の吐出面に当接してキャッピングを行う場合、キャップ62は記録ヘッドの移動経路中に突出するように移動する。
【0102】
記録ヘッド65がホームポジションから記録開始位置へ移動する場合、キャップ62及びブレード61は、上述したワイピング時の位置と同一の位置にある。この結果、この移動においても記録ヘッド65の吐出口面はワイピングされる。上述の記録ヘッド65のホームポジションへの移動は、記録終了時や吐出回復時ばかりでなく、記録ヘッド65が記録のために記録領域を移動する間に所定の間隔で記録領域に隣接したホームポジションへ移動し、この移動に伴って上記ワイピングが行われる。
【0103】
図9は、ヘッドにインク供給部材、例えば、チューブを介して供給されるインクを収容したインクカートリッジ45の1例を示す図である。ここで、40は供給用インクを収容したインク収容部、例えば、インク袋であり、その先端にはゴム製の栓42が設けられている。この栓42に針(不図示)を挿入することにより、インク袋40中のインクをヘッドに供給可能ならしめる。44は廃インクを受容するインク吸収体である。インク収容部としては、インクとの接液面がポリオレフィン、特にポリエチレンで形成されているものが本発明にとって好ましい。
【0104】
本発明のインクジェット記録装置は、上記の如きヘッドとインクカートリッジとが別体となったものに限らず、図10に示す如きそれらが一体になったものにも好適に用いられる。図10において、70は記録ユニットであって、この中にはインクを収容したインク収容部、例えば、インク吸収体が収納されており、かかるインク吸収体中のインクが複数のオリフィスを有するヘッド部71からインク滴として吐出される構成になっている。
【0105】
インク吸収体の材料としては、ポリウレタン、セルロース、ポリビニルアセテート又はポリオレフィン系樹脂を用いることが好ましい。72は、記録ユニット内部を大気に連通させるための大気連通口である。この記録ユニット70は、図8で示す記録ヘッドに代えて用いられるものであって、キャリッジ66に対し着脱自在になっている。
【0106】
図11は、本発明に適用可能なインクジェット記録装置を示す斜視図である。記録装置111の給紙位置に挿入された被記録媒体106は、送リローラ109によって記録ヘッドユニットl03の記録可能領城へ搬送される。記録可能領域における被記録媒体の下部には、プラテン108が設けられる。キャリッジ112は、ガイド軸l04とガイド軸l05の2つのガイド軸によって定められた方向に移動可能な構成となっており、記録領域を往復走査する。キャリッジ112には、複数の色インクを吐出する記録ヘッドと、夫々の記録ヘッドにインクを供給するインクタンクを含む記録ヘッドユニット103が搭載されている。この例のインクジェット記録装置に設けられる複数の色のインクは、ブラック(Bk)、シアン(C)、マゼンタ(M)及びイエロー(Y)の4色のインクである。
【0107】
キャリッジが移動可能な領域の左端には、下部に回復系ユニット1l0があり、非記録時に記録ヘッドの吐出口部をキャップしたりする。この左端を記録ヘッドのホームポジションと呼ぶ。107は、スイッチ部と表示素子部であり、スイッチ部は記録装置の電源のオン/オフや各種記録モードの設定時等に使用され、スイッチ部は記録装置の状態を表示する役割をする。
【0108】
図12は、図11の記録ヘッドユニットを示す斜視図である。
キャリッジ112には、Bk、C、M、Yの各色のインクを吐出する記録ヘッド102と、Bk用インクタンク20Bk、C用インクタンク20C、M用インクタンク20M、Y用インクタンク20Yが搭載される。各タンクは記録ヘッドとの接続部を介して記録ヘッドと接続し、吐出口にインクを供給する。
この例以外にも、例えば、C、M及びYの各色インクのタンクが一体構造であっても良い。
【0109】
図13は、記録ヘッドの発熱体付近の拡大断面図である。この例のインクジェット記録装置は、各インク吐出口に対応して、電気・熱変換体である発熱体を配置し、記録情報に対応する駆動信号を発熱体に印加して、ノズルからインクを吐出させる記録方式を採用するものである。発熱体31は、全てのノズルに対して夫々独立に発熱可能な構成となっている。
【0110】
発熱体31の発熱により急速に加熱されたノズル内のインクは、膜沸騰により気泡を形成し、この気泡生成の圧力により、図13に示すようにインク滴35が被記録媒体106に向かって吐出され、被記録媒体上に文字や画像が形成される。吐出口37の各々には、吐出口に連通するインク液路が設けられており、インク液路38が配設される部位の後方には、これら液路にインクを供給するための共通液室32が設けられている。吐出口の各々に対応するインク液路には、これら吐出口からインク滴を吐出するために利用される熱エネルギーを発生する電気・熱変換体である発熱体31や、これに電力を供給するための電極配線が設けられている。
【0111】
これらの発熱体31や電極配線は、シリコン等からなる基板33上に成膜技術によって形成される。発熱体31の上には、インクと発熱体31が直接接触しないように、保護膜36が形成されている。更に、この基板上に、樹脂やガラス材よりなる隔壁34を積層することによって、上記の吐出口、インク液路、共通液室等が構成される。
【0112】
このように、電気・熱変換体である発熱体を使用した記録方式は、インク滴吐出時に熱エネルギー印加により形成される気泡を使用しているため、通称バブルジェット(登録商標)記録方式と呼ばれている。尚、上記した本発明の記録装置においては、インクに熱エネルギーを作用させてインク液滴を吐出するインクジェット記録装置を例に挙げて説明したが、その他、圧電素子を使用するピエゾ方式等、その他の方式のインクジェット記録装置としてもよい。
【0113】
次に本発明に好適に使用できる記録装置及び記録ヘッドの他の具体例を説明する。図14は、本発明に係る吐出時に気泡を大気と連通する吐出方式の液体吐出ヘッドとしての液体吐出ヘッド及びこのヘッドを用いる液体吐出装置としてのインクジェットプリンタの1例の要部を示す概略斜視図である。
【0114】
図14においては、インクジェットプリンタは、ケーシング1008内に長手方向に沿って設けられる被記録媒体としての用紙1028を図14に示す矢印Pで示す方向に間欠的に搬送する搬送装置1030と、搬送装置1030による用紙1028の搬送方向Pに略直交する方向Sに略平行に往復運動せしめられる記録部1010と、記録部1010を往復運動させる駆動手段としての移動駆動部1006とを含んで構成されている。
【0115】
移動駆動部1006は、所定の間隔をもって対向配置される回転軸に配されるプーリ1026a及び1026bに巻きかけられるベルト1016と、ローラユニット1022a及び1022bに略平行に配置され記録部1010のキャリッジ部材1010aに連結されるベルト1016を順方向及び逆方向に駆動させるモータ1018とを含んで構成されている。
【0116】
モータ1018が作動状態とされてベルト1016が図14の矢印R方向に回転したとき、記録部1010のキャリッジ部材1010aは図14の矢印S方向に所定の移動量だけ移動される。又、モータ1018が作動状態とされてベルト1016が図14の矢印R方向とは逆方向に回転したとき、記録部1010のキャリッジ部材1010aは図14の矢印S方向とは反対の方向に所定の移動量だけ移動されることとなる。更に、移動駆動部1006の一端部には、キャリッジ部材1010aのホームポジションとなる位置に、記録部1010の吐出回復処理を行うための回復ユニット1026が記録部1010のインク吐出口配列に対向して設けられている。
【0117】
記録部1010は、インクジェットカートリッジ(以下、単にカートリッジと記述する場合がある)1012Y、1012M、1012C及び1012Bkが各色、例えば、イエロー、マゼンタ、シアン及びブラックごとにそれぞれ、キャリッジ部材1010aに対して着脱自在に備えられる。
【0118】
図15は上述のインクジェット記録装置に搭載可能なインクジェットカートリッジの1例を示す。本例におけるカートリッジ1012は、シリアルタイプのものであり、インクジェット記録ヘッド100と、インク等の液体を収容する液体タンク1001とで主要部が構成されている。
【0119】
インクジェット記録ヘッド100は液体を吐出するための多数の吐出口832が形成されており、インク等の液体は、液体タンク1001から図示しない液体供給通路を介して液体吐出ヘッド100の共通液室(図16参照)へと導かれるようになっている。カートリッジ1012は、インクジェット記録ヘッド100と液体タンク1001とを一体的に形成し、必要に応じて液体タンク1001内に液体を補給できるようにしたものであるが、この液体吐出ヘッド100に対し、液体タンク1001を交換可能に連結した構造を採用するようにしてもよい。
【0120】
このような構成のインクジェットプリンタに搭載され得る上述の液体吐出ヘッドの具体例を以下に更に詳しく説明する。図16は本発明の基本的な形態を示す液体吐出ヘッドの要部を模式的に示す概略斜視図であり、図17〜図20は図16に示した液体吐出ヘッドの吐出口形状を示す正面図である。尚、電気熱変換素子を駆動するための電気的な配線等は省略している。
【0121】
本例の液体吐出ヘッドにおいては、例えば、図16に示されるような、ガラス、セラミックス、プラスチック或いは金属等からなる基板934が用いられる。このような基板の材質は、本発明の本質ではなく、流路構成部材の一部として機能し、インク吐出エネルギー発生素子、及び後述する液流路、吐出口を形成する材料層の支持体として、機能し得るものであれば、特に限定されるものではない。そこで、本例では、Si基板(ウエハ)を用いた場合で説明する。吐出口は、レーザー光による形成方法の他、例えば、後述するオリフィスプレート(吐出口プレート)935を感光性樹脂として、MPA(Mirror Projection Aliner)等の露光装置により形成することもできる。
【0122】
図16において934は電気熱変換素子(以下、ヒータと記述する場合がある)931及び共通液室部としての長溝状の貫通口からなるインク供給口933を備える基板であり、インク供給口933の長手方向の両側に熱エネルギー発生手段であるヒータ931がそれぞれ1列ずつ千鳥状に電気熱変換素子の間隔が、例えば、300dpiで配列されている。この基板934上にはインク流路を形成するためのインク流路壁936が設けられている。このインク流路壁936には、更に吐出口832を備える吐出口プレート935が設けられている。
【0123】
ここで、図16においてはインク流路壁936と吐出口プレート935とは、別部材として示されているが、このインク流路壁936を例えば、スピンコート等の手法によって基板934上に形成することによりインク流路壁936と吐出口プレート935とを同一部材として同時に形成することも可能である。本例では、更に、吐出口面(上面)935a側は撥水処理が施されている。
【0124】
本例では、図14の矢印S方向に走査しながら記録を行うシリアルタイプのヘッドを用い、例えば、1,200dpiで記録を行う。駆動周波数は10kHzであり、1つの吐出口では最短時間間隔100μsごとに吐出を行うことになる。
【0125】
又、ヘッドの実例寸法の1例としては、例えば、図17に示すように、隣接するノズルを流体的に隔離する隔壁936aは、幅w=14μmである。図16に示すように、インク流路壁936により形成される発泡室1337は、N1(発泡室の幅寸法)=33μm、N2(発泡室の長さ寸法)=35μmである。ヒータ931のサイズは30μm×30μmでヒータ抵抗値は53Ωであり、駆動電圧は10.3Vである。又、インク流路壁936及び隔壁936aの高さは12μmで、吐出口プレート厚は11μmのものが使用できる。
【0126】
図18に示すように、吐出口832を含む吐出口プレートに設けられた吐出口部940の断面のうち、インクの吐出方向(オリフィスプレート935の厚み方向)に交差する方向で切断してみた断面の形状は概略星形となっており、鈍角の角を有する6つの起部832aと、これら起部832aの間に交互に配され且つ鋭角の角を有する6つの伏部832bとから概略構成されている。即ち、吐出口の中心Oから局所的に離れた領域としての伏部832bをその頂部、この領域に隣接する吐出口の中心Oから局所的に近い領域としての起部832aをその基部として、図16に示すオリフィスプレートの厚み方向(液体の吐出方向)に6つの溝が形成されている(溝部の位置については図21の1141a参照)。
【0127】
本例においては、吐出口部940は、例えば、その厚み方向に交差する方向で切断した断面が一辺27μmの二つの正三角形を60度回転させた状態で組み合わせた形状となっており、図18に示すT1は8μmである。起部832aの角度はすべて120度であり、伏部832bの角度はすべて60度である。
【0128】
従って、吐出口の中心Oと、互いに隣接する溝の中心部(溝の頂部と、この頂部に隣接する2つの基部とを結んでできる図形の中心(重心))を結んで形成される多角形の重心Gとが一致するようになっている。本例の吐出口832の開口面積は400μm2であり、溝部の開口面積(溝の頂部と、この頂部に隣接する2つの基部とを結んでできる図形の面積)は1つあたり約33μm2となっている。図19は図18に示した吐出口の部分のインク付着状態を示す模式図である。
【0129】
次に、上述の構成のインクジェット記録ヘッドによる液体の吐出動作について図21〜図28を用いて説明する。図21〜図28は、図16〜図20に記載の液体吐出ヘッドの液体吐出動作を説明するための断面図であり、図20に示す発泡室1337のX−X断面図である。この断面において吐出口部940のオリフィスプレート厚み方向の端部は、溝1141の頂部1141aとなっている。
【0130】
図21はヒータ上に膜状の気泡が生成した状態を示し、図22は図21の約1μs後、図23は図21の約2μs後、図24は図21の約3μs後、図25は図21の約4μs後、図26は図21の約5μs後、図27は図21の約6μs後、図28は図21の約7μs後の状態をそれぞれ示している。尚、以下の説明において、「落下」又は「落とし込み」、「落ち込み」とは、いわゆる重力方向への落下という意味ではなく、ヘッドの取り付け方向によらず、電気熱変換素子の方向への移動をいう。
【0131】
先ず、図21に示すように、記録信号等に基づいたヒータ931への通電に伴いヒータ931上の液流路1338内に気泡101が生成されると、約2μs間に図22及び図23に示すように急激に体積膨張して成長する。気泡101の最大体積時における高さは吐出口面935aを上回るが、このとき、気泡の圧力は大気圧の数分の1から10数分の1にまで減少している。
【0132】
次に、気泡101の生成から約2μs後の時点で気泡101は上述のように最大体積から体積減少に転じるが、これとほぼ同時にメニスカス1004の形成も始まる。このメニスカス1004も図23に示すようにヒータ931側への方向に後退、即ち落下してゆく。
【0133】
ここで、本例においては、吐出口部に複数の溝1141を分散させて有していることにより、メニスカス1004が後退する際に、溝1141の部分ではメニスカス後退方向FMとは反対方向FCに毛管力が作用する。その結果、仮に何らかの原因により気泡101の状態に多少のバラツキが認められたとしても、メニスカスの後退時のメニスカス及び主液滴(以下、液体又はインクと記述する場合がある)Iaの形状が、吐出口中心に対して略対称形状となるように補正される。
【0134】
そして、本例では、このメニスカス1004の落下速度が気泡101の収縮速度よりも速いために、図25に示すように気泡の生成から約4μs後の時点で気泡101が吐出口832の下面近傍で大気に連通する。このとき、吐出口832の中心軸近傍の液体(インク)はヒータ931に向かって落ち込んでゆく。これは、大気に連通する前の気泡101の負圧によってヒータ931側に引き戻された液体(インク)Iaが、気泡101の大気連通後も慣性でヒータ931面方向の速度を保持しているからである。
【0135】
ヒータ931側に向かって落ち込んでいった液体(インク)は、図26に示すように気泡101の生成から約5μs後の時点でヒータ931の表面に到達し、図27に示すようにヒータ931の表面を覆うように拡がってゆく。このようにヒータ931の表面を覆うように拡がった液体はヒータ931の表面に沿った水平方向のベクトルを有するが、ヒータ931の表面に交差する、例えば、垂直方向のベクトルは消滅し、ヒータ931の表面上に留まろうとし、それよりも上側の液体、即ち吐出方向の速度ベクトルを保つ液体を下方向に引っ張ることになる。
【0136】
その後、ヒータ931の表面に拡がった液体と上側の液体(主液滴)との間の液体部分Ibが細くなってゆき、気泡101の生成から約7μs後の時点で図28に示すようにヒータ931の表面の中央で液体部分Ibが切断され、吐出方向の速度ベクトルを保つ主液滴Iaとヒータ931の表面上に拡がった液体Icとに分離される。このように分離の位置は液流路1338内部、より好ましくは吐出口832よりも電気熱変換素子931側が望ましい。
【0137】
主液滴Iaは吐出方向に偏りがなく、吐出ヨレすることなく、吐出口832の中央部分から吐出され、被記録媒体の被記録面の所定位置に着弾される。又、ヒータ931の表面上に拡がった液体Icは、従来であれば主液滴の後続としてサテライト滴となって飛翔するものであるが、ヒータ931の表面上に留まり、吐出されない。
【0138】
このようにサテライト滴の吐出を抑制することができるため、サテライト滴の吐出により発生し易いスプラッシュを防止することができ、霧状に浮遊するミストにより被記録媒体の被記録面が汚れるのを確実に防止することができる。尚、図25〜28において、Idは溝部に付着したインク(溝内のインク)を、又、Ieは液流路内に残存しているインクを表している。
【0139】
このように、本例の液体吐出ヘッドでは、気泡が最大体積に成長した後の体積減少段階で液体を吐出する際に、吐出口の中心に対して分散した複数の溝により、吐出時の主液滴の方向を安定化させることができる。その結果、吐出方向のヨレのない、着弾精度の高い液体吐出ヘッドを提供することができる。又、高い駆動周波数での発泡ばらつきに対しても吐出を安定して行うことができることによる、高速高精細印字を実現することができる。
【0140】
特に、気泡の体積減少段階でこの気泡を始めて大気と連通させることで液体を吐出することにより、気泡を大気に連通させて液滴を吐出する際に発生するミストを防止できるので、所謂、突然不吐の要因となる、吐出口面に液滴が付着する状態を抑制することもできる。
【0141】
又、本発明に好適に使用できる、吐出時に気泡を大気と連通する吐出方式の記録ヘッドの他の実施態様として、例えば、特許第2783647号公報に記載のように、いわゆるエッジシュータータイプが挙げられる。
【0142】
本発明は、特にインクジェット記録方式の中でも熱エネルギーを利用して飛翔的液滴を形成し、記録を行うインクジェット方式の記録ヘッド、記録装置において、優れた効果をもたらすものである。
【0143】
その代表的な構成や原理については、例えば、米国特許第4,723,129号明細書、同第4,740,796号明細書に開示されている基本的な原理を用いて行うものが好ましい。この方式はいわゆるオンデマンド型、コンティニュアス型のいずれにも適用可能であるが、特に、オンデマンド型の場合には、液体(インク)が保持されているシートや液路に対応して配置されている電気熱変換体に、記録情報に対応していて核沸騰を越える急速な温度上昇を与える少なくとも1つの駆動信号を印加することによって、電気熱変換体に熱エネルギーを発生せしめ、記録ヘッドの熱作用面に膜沸騰を生じさせて、結果的にこの駆動信号に1対1で対応した液体(インク)内の気泡を形成できるので有効である。この気泡の成長、収縮により吐出用開口を介して液体(インク)を吐出させて、少なくとも1つの滴を形成する。この駆動信号をパルス形状とすると、即時適切に気泡の成長収縮が行なわれるので、特に応答性に優れた液体(インク)の吐出が達成でき、より好ましい。
【0144】
このパルス形状の駆動信号としては、米国特許第4,463,359号明細書、同第4,345,262号明細書に記載されているようなものが適している。尚、上記熱作用面の温度上昇率に関する発明の米国特許第4,313,124号明細書に記載されている条件を採用すると、更に優れた記録を行なうことができる。
【0145】
記録ヘッドの構成としては、上述の各明細書に開示されているような吐出口、液路、電気熱変換体の組み合わせ構成(直線状液流路又は直角状液流路)の他に、熱作用部が屈曲する領域に配置されている構成を開示する米国特許第4,558,333号明細書、米国特許第4,459,600号明細書を用いた構成も本発明に含まれるものである。
【0146】
加えて、複数の電気熱変換体に対して、共通するスリットを電気熱変換体の吐出部とする構成を開示する特開昭59−123670号公報や熱エネルギーの圧力波を吸収する開孔を吐出部に対応させる構成を開示する特開昭59−138461号公報に基づいた構成としても本発明は有効である。
【0147】
更に、記録装置が記録できる最大被記録媒体の幅に対応した長さを有するフルラインタイプの記録ヘッドとしては、上述した明細書に開示されているような複数記録ヘッドの組み合わせによってその長さを満たす構成や、一体的に形成された1個の記録ヘッドとしての構成のいずれでもよいが、本発明は、上述した効果を一層有効に発揮することができる。
【0148】
加えて、装置本体に装着されることで、装置本体との電気的な接続や装置本体からのインクの供給が可能になる交換自在のチップタイプの記録ヘッド、或いは記録ヘッド自体に一体的にインクタンクが設けられたカートリッジタイプの記録ヘッドを用いた場合にも本発明は有効である。
【0149】
又、本発明の記録装置の構成として設けられる、記録ヘッドに対しての回復手段、予備的な補助手段等を付加することは本発明の効果を一層安定できるので好ましいものである。これらを具体的に挙げれば、記録ヘッドに対してのキャッピング手段、クリーニング手段、加圧或いは吸引手段、電気熱変換体或いはこれとは別の加熱素子或いはこれらの組み合わせによる予備加熱手段、記録とは別の吐出を行う予備吐出モードを行うことも安定した記録を行うために有効である。
【0150】
更に、記録装置の記録モードとしては黒色等の主流色のみの記録モードだけではなく、記録ヘッドを一体的に構成するか複数個の組み合わせによってでもよいが、異なる色の複色カラー、又は混色によるフルカラーの少なくとも1つを備えた装置にも本発明は極めて有効である。
【0151】
以上説明した本発明の実施形態においては、インクを液体として説明しているが、室温やそれ以下で固化するインクであって、室温で軟化するもの、若しくは液体であるもの、或いは上述のインクジェット方式ではインク自体を30℃以上70℃以下の範囲内で温度調整を行ってインクの粘性を安定吐出範囲にあるように温度制御するものが一般的であるから、使用記録信号付与時にインクが液状をなすものであればよい。
【0152】
加えて、積極的に熱エネルギーによる昇温をインクの固形状態から液体状態への状態変化のエネルギーとして使用せしめることで防止するか、又はインクの蒸発防止を目的として放置状態で固化するインクを用いるかして、いずれにしても熱エネルギーの記録信号に応じた付与によってインクが液化し、液状インクとして吐出するものや、被記録媒体に到達する時点では既に固化し始めるもの等のような、熱エネルギーによって初めて液化する性質のインクの使用も本発明には適用可能である。このような場合のインクは、特開昭54−56847号公報或いは特開昭60−71260号公報に記載されるような、多孔質シート凹部又は貫通孔に液状又は固形物として保持された状態で、電気熱変換体に対して対向するような形態としてもよい。本発明においては、上述した各インクに対して最も有効なものは、上述した膜沸騰方式を実行するものである。
【0153】
更に加えて、本発明に係る記録装置の形態としては、ワードプロセッサやコンピュータ等の情報処理機器の画像出力端末として一体又は別体に設けられるものの他、リーダと組み合せた複写装置、更には送受信機能を有するファクシミリ装置の形態を採るものであってもよい。
【0154】
次に、上述した液体吐出ヘッドを搭載する液体吐出装置の概略について説明する。図29は、本発明の液体吐出ヘッドを装着して適用することのできる液体吐出装置の1例であるインクジェット記録装置600の概略斜視図である。
【0155】
図29において、インクジェットヘッドカートリッジ601は、上述した液体吐出ヘッドとこの液体吐出ヘッドに供給するインクを保持するインクタンクとが一体となったものである。このインクジェットヘッドカートリッジ601は、駆動モータ602の正逆回転に連動して駆動力伝達ギア603、604を介して回転するリードスクリュ605の螺旋溝606に対して係合するキャリッジ607上に搭載されており、駆動モータ602の動力によってキャリッジ607とともにガイド608に沿って矢印a、b方向に往復移動される。被記録媒体P’は、図示しない被記録媒体搬送手段によってプラテンローラ609上を搬送され、紙押え板610によりキャリッジ607の移動方向にわたってプラテンローラ609に対して押圧される。
【0156】
リードスクリュ605の一端の近傍には、フォトカプラ611、612が配設されている。これらはキャリッジ607のレバー607aのこの域での存在を確認して駆動モータ602の回転方向切り換え等を行うためのホームポジション検知手段である。
【0157】
支持部材613は、上述のインクジェットヘッドカートリッジ601の吐出口のある前面(吐出口面)を覆うキャップ部材614を支持するものである。又、インク吸引手段615は、キャップ部材614の内部にインクジェットヘッドカートリッジ601から空吐出等されて溜まったインクを吸引するものである。このインク吸引手段615によりキャップ内開口部(不図示)を介してインクジェットヘッドカートリッジ601の吸引回復が行われる。インクジェットヘッドカートリッジ601の吐出口面を払拭するためのクリーニングブレード617は、移動部材618により前後方向(上記キャリッジ607の移動方向に直交する方向)に移動可能に設けられている。これらクリーニングブレード617及び移動部材618は、本体支持体619に支持されている。クリーニングブレード617は、この形態に限らず、他の周知のクリーニングブレードであってもよい。
【0158】
液体吐出ヘッドの吸引回復操作にあたって、吸引を開始させるためのレバー620は、キャリッジ607と係合するカム621の移動に伴って移動し、駆動モータ602からの駆動力がクラッチ切り換え等の公知の伝達手段で移動制御される。インクジェットヘッドカートリッジ601の液体吐出ヘッドに設けられた発熱体に信号を付与したり、前述した各機構の駆動制御を司ったりするインクジェット記録制御部は装置本体側に設けられており、ここには図示しない。
【0159】
上述の構成を有するインクジェット記録装置600は、図示しない被記録媒体搬送手段によりプラテンローラ609上を搬送される被記録媒体P’に対し、インクジェットヘッドカートリッジ601は被記録媒体P’の全幅にわたって往復移動しながら記録を行う。
【0160】
【実施例】
次に、実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、下記実施例より限定されるものではない。尚、文中「部」、及び「%」とあるのは、特に断りのない限り質量基準である。
【0161】
[顔料分散液の作製]
(顔料分散液1)
比表面積220g/m2でDBP吸油量112ml/100gのカーボンブラック500g、アミノフェニル−2−サルフェトエチル−スルフォン(APSES)45g、蒸留水900gを反応器に投入し、55℃に保温し、回転数300RPM、20分間攪拌した。この後、25%濃度の亜硝酸ナトリウム40gを15分間滴下し、更に蒸留水50gを加えた。この後、60℃に保温し、2時間反応させた。反応物を蒸留水で希釈しながら取り出し、固形分15%の濃度に調整した。この後、遠心分離処理及び不純物を除去する精製処理を行った。この作成した分散液は、カーボンブラックに前述したAPSESの官能基が結合した分散液となった。この分散液をA1とした。
【0162】
次いで、この分散液中のカーボンブラックに結合した官能基のモル数を求めるために、以下の操作を行った。分散液中のNaイオンをプローブ式ナトリウム電極で測定し、カーボンブラック粉末当りに換算した。次いで、15%濃度の分散液A1をペンタエチレンヘキサミン(PEHA)溶液に強力に攪拌しながら室温に保ち1時間かけて、滴下した。このときのPEHA濃度は、前記測定したNaイオンのモル数の1〜10倍量の濃度で溶液量は分散液A1と同量で行った。更にこの混合物を18〜48時間攪拌し、この後不純物を除去する精製処理を行い、最終的に固形分10%のペンタエチレンヘキサミン(PEHA)が結合した分散液となった。この分散液をB1とした。
【0163】
次に前記得られた10%濃度の分散液B1の500gをスチレン−アクリル酸樹脂を溶解した水溶液に攪拌しながら滴下した。このスチレン−アクリル酸樹脂水溶液は、重量平均分子量15,000、酸価140、分散度Mw/Mn1.5のスチレン−アクリル酸190gをとり、1,800gの蒸留水を加え、樹脂を中和するのに必要なNaOHを加え、攪拌して溶解調整したものを使用した。上記滴下混合物をパイレックス(登録商標)蒸発皿に移し、150℃で15時間加熱し、蒸発させた。蒸発乾燥物を室温に冷却した。次いで、この蒸発乾燥物をpH=9.0に調整したNaOH添加蒸留水中に分散機を用いて分散した。更に攪拌しながら、1.0MのNaOHを添加してpHを10〜11に調整した。この後、脱塩、不純物を除去する精製及び粗大粒子除去を行い、顔料分散液1を得た。顔料分散液1の物性値は以下の通りであった。
固形分10% pH=10.1 平均粒子径130nm
【0164】
(顔料分散液2)
顔料分散液1と同様の作成方法で、分散液B1を作成し、重量平均分子量15,000、酸価140、分散度Mw/Mn1.5のスチレン−アクリル酸樹脂の代わりに、重量平均分子量5,000、酸価140、分散度Mw/Mn1.8のスチレン−アクリル酸樹脂を用いて、後の操作を同様に行い、顔料分散液2を得た。顔料分散液2の物性値は以下の通りであった。
固形分10.5% pH=10 平均粒子径134nm
【0165】
(顔料分散液3)
顔料分散液1と同様の作成方法で、分散液B1を作成し、重量平均分子量15,000、酸価140、分散度Mw/Mn1.5のスチレン−アクリル酸樹脂の代わりに、重量平均分子量4,000、酸価480、分散度Mw/Mn2.2のスチレン−アクリル酸樹脂を用いて、後の操作を同様に行い、顔料分散液3を得た。顔料分散液3の物性値は以下の通りであった。
固形分10% pH=9.0 平均粒子径140nm
【0166】
(顔料分散液4)
顔料分散液1と同様の作成方法で、分散液A1を作成し、次いで、顔料分散液1のペンタエチレンヘキサミン(PEHA)の代わりに、アミン価200、重量平均分子量10,000、分散度Mw/Mn1.8のスチレン−N,N,−ジメチルアミノエチルメタクリレート樹脂(St−DM)を用い同様の処理を行い、最終的にSt−DMがカーボンブラックに結合した顔料分散液4を得た。顔料分散液4の物性値は、以下の通りであった。
固形分11% pH=5.5 平均粒子径120nm
【0167】
(顔料分散液5)
顔料分散液1と同様の作成方法で、分散液A1を作成し、次いで、顔料分散液1のペンタエチレンヘキサミン(PEHA)の代わりに、アミン価450、重量平均分子量4,000、分散度Mw/Mn1.8のスチレン−N,N,−ジメチルアミノエチルメタクリレート樹脂(St−DM)を用い同様の処理を行い、最終的にSt−DMがカーボンブラックに結合した顔料分散液5を得た。顔料分散液5の物性値は、以下の通りであった。
固形分10% pH4.5 平均粒子径142nm
【0168】
<実施例>
[ブラックインクの作製]
上記で得られた樹脂結合タイプの自己分散型カーボンブラックを用い、下記の成分を混合し、十分攪拌して溶解或いは分散した後、ポアサイズ3.0μmのミクロフィルター(富士フィルム製)にて加圧ろ過し、本発明のインクを調製した。
(ブラックインク1(重量減少率2.5%))
・上記顔料分散液1 50部
・グリセリン 5部
・1,5−ペンタンジオール 6部
・トリメチロールプロパン 5部
・アセチレングリコールEO付加物 0.1部
・純水 残部
【0169】
(ブラックインク2(重量減少率4%))
・上記顔料分散液2 45部
・グリセリン 5部
・1,5−ペンタンジオール 5部
・トリメチロールプロパン 6部
・アセチレングリコールEO付加物 0.1部
・純水 残部
【0170】
(ブラックインク3(重量減少率6.2%))
・上記顔料分散液3 50部
・グリセリン 7部
・ジエチレングリコール 3部
・トリメチロールプロパン 6部
・アセチレングリコールEO付加物 0.1部
・純水 残部
【0171】
(ブラックインク4(重量減少率1.8%))
・上記顔料分散液4 50部
・グリセリン 5部
・1,5−ペンタンジオール 5部
・トリメチロールプロパン 5部
・アセチレングリコールEO付加物 0.1部
・純水 残部
【0172】
(ブラックインク5(重量減少率3.8%))
・上記顔料分散液5 50部
・グリセリン 5部
・1,5−ペンタンジオール 5部
・トリメチロールプロパン 6部
・アセチレングリコールEO付加物 0.15部
・純水 残部
【0173】
[カラー顔料分散体の作製]
(カラー顔料分散体1)
・スチレン−アクリル酸共重合体
(重量平均分子量5,000) 5.5部
・モノエタノールアミン 1.0部
・ジエチレングリコール 5.0部
・純水 67.5部
【0174】
上記成分を混合し、ウォーターバスで70℃に加熱し、樹脂成分を完全に溶解させ、この溶液にC.I.Pigment Yellow 74を20部、イソプロピルアルコールを1.0部加え、30分間プレミキシングを行った後、下記条件で分散処理を行い、更に遠心分離処理を行い粗大粒子を除去した後、イエロー顔料分散体1を得た。
分散機;サンドグラインダー
粉砕メディア;ジルコニウムビーズ 1mm径
粉砕メディア充填率;50%(体積)
粉砕時間;3時間
【0175】
又、イエロー顔料分散体のC.I.Pigment Yellow 74の代わりに、C.I.Pigment Red 122を加え、同じように分散処理を行い、マゼンタ顔料分散体1を、又、イエロー顔料分散体のC.I.Pigment Yellow 74の代わりに、C.I.Pigment Blue 15:3を加え、同じように分散処理を行い、シアン顔料分散体1を得た。
【0176】
(カラー顔料分散体2)
次に、各色顔料分散体1の作製条件の中で、顔料分散剤がスチレン−アクリル酸共重合体(重量平均分子量5,000)の代わりに、ポリオキシエチレンアミンを5.5部を使用する以外は同じ条件で各色顔料分散体2を作製した。
【0177】
[カラーインクの作製]
下記の成分を混合し、十分攪拌して溶解或いは分散した後、ポアサイズ3.0μmのミクロフィルター(富士フィルム製)にて加圧ろ過し、本発明のカラーインクを調製した。
(シアンインク1)
・C.I.ダイレクトブルー199 3部
・グリセリン 7部
・2−ピロリドン 5部
・エチレングリコール 6部
・アセチレングリコールEO付加物 1部
・純水 残部
【0178】
(シアンインク2)
・C.I.ベーシックブルー100 3部
・グリセリン 7部
・2−ピロリドン 5部
・エチレングリコール 6部
・アセチレングリコールEO付加物 1部
・純水 残部
【0179】
(シアンインク3)
・前記シアン顔料分散体1 30部
・グリセリン 8部
・ジエチレングリコール 8部
・ポリエチレングリコール♯400 5部
・アセチレングリコールEO付加物 0.8部
・純水 残部
【0180】
(シアンインク4)
・前記シアン顔料分散体2 30部
・グリセリン 8部
・ジエチレングリコール 8部
・ポリエチレングリコール♯400 5部
・アセチレングリコールEO付加物 0.8部
・純水 残部
【0181】
(マゼンタインク1)
・C.I.アシッドレッド289 3部
・グリセリン 6部
・ジエチレングリコール 5部
・トリエチレングリコール 7部
・アセチレングリコールEO付加物 1部
・純水 残部
【0182】
(マゼンタインク2)
・C.I.ベーシックレッド12 3部
・グリセリン 6部
・ジエチレングリコール 5部
・トリエチレングリコール 7部
・アセチレングリコールEO付加物 1部
・純水 残部
【0183】
(マゼンタインク3)
・前記マゼンタ顔料分散体1 30部
・グリセリン 8部
・ジエチレングリコール 8部
・ポリエチレングリコール♯400 5部
・アセチレングリコールEO付加物 0.8部
・純水 残部
【0184】
(マゼンタインク4)
・前記マゼンタ顔料分散体2 30部
・グリセリン 8部
・ジエチレングリコール 8部
・ポリエチレングリコール♯400 5部
・アセチレングリコールEO付加物 0.8部
・純水 残部
【0185】
(イエローインク1)
・C.I.アシッドイエロー23 3部
・グリセリン 7部
・ジエチレングリコール 7部
・尿素 6部
・アセチレングリコールEO付加物 1部
・純水 残部
【0186】
(イエローインク2)
・C.I.ベーシックイエロー21 3部
・グリセリン 7部
・ジエチレングリコール 7部
・尿素 6部
・アセチレングリコールEO付加物 1部
・純水 残部
【0187】
(イエローインク3)
・前記イエロー顔料分散体1 30部
・グリセリン 8部
・ジエチレングリコール 8部
・ポリエチレングリコール♯400 5部
・アセチレングリコールEO付加物 0.8部
・純水 残部
【0188】
(イエローインク4)
・前記イエロー顔料分散体2 30部
・グリセリン 8部
・ジエチレングリコール 8部
・ポリエチレングリコール♯400 5部
・アセチレングリコールEO付加物 0.8部
・純水 残部
【0189】
[液体組成物の作製]
下記の成分を混合し、十分攪拌して溶解或いは分散した後、ポアサイズ3.0μmのミクロフィルター(富士フィルム製)にて加圧ろ過し、本発明の液体組成物を調製した。
(液体組成物用ベースインク)
・グリセリン 5.0部
・1,5−ペンタンジオール 5.0部
・トリメチロールプロパン 7.0部
・アセチレノールEH 0.3部
・純水 残部
【0190】
(液体組成物1)
・液体組成物用ベースインク 89.7部
・クエン酸3ナトリウム 0.3部
・純水 残部
硫酸を用いて、pHを5に調整。
【0191】
(液体組成物2)
・液体組成物用ベースインク 89.7部
・クエン酸3ナトリウム 0.3部
・純水 10.0部
硫酸を用いて、pHを4に調整。
【0192】
(液体組成物3)
・液体組成物用ベースインク 90.0部
・酢酸ナトリウム 0.55部
・酢酸 0.66部
・純水 8.79部
【0193】
(液体組成物4)
・液体組成物用ベースインク 90.0部
・安息香酸アンモニウム 1.46部
・アンモニア 0.88部
・純水 7.66部
【0194】
(液体組成物5)
・液体組成物用ベースインク 90.0部
・硫酸アンモニウム 2.0部
・水酸化リチウム 0.3部
・純水 7.7部
【0195】
(液体組成物6)
・液体組成物用ベースインク 90.0部
・純水 10.0部
【0196】
各インクセットに用いた液体組成物が、水素イオン濃度の変化に対して緩衝作用を持つか否かを、液体組成物1〜3及び6については50mlの液体組成物に対して1規定の水酸化リチウム水溶液を1.0ml添加した液体組成物のpH値と、硫酸水溶液を添加しない状態での液体組成物のpH値との差を測定することにより調べた。
又、液体組成物4〜5及び6については50mlの液体組成物に対して1規定の硫酸水溶液を1.5ml添加したインクのpH値と、硫酸水溶液を添加しない状態でのインクのpH値との差を測定することにより調べた。その結果を表2に示した。又、ブラックインク1〜5のpHは、下記表1の通りであった。
【0197】
表1
・ブラックインク1のpH=9.7
・ブラックインク2のpH=9.9
・ブラックインク3のpH=8.7
・ブラックインク4のpH=5.6
・ブラックインク5のpH=4.7
【0198】
【0199】
[評価方法及び評価基準]
上記実施例及び比較例で使用するインクと液体組成物を用いて、記録信号に応じて熱エネルギーをインクに付与することにより、インクを吐出させるオンデマンド型マルチ記録ヘッドを有するインクジェット記録装置BJ−F870(キヤノン製)を以下のように改造した。BJ−F870のブラック(Bk)タンク挿入部に、液体組成物を充填したインクタンクを挿入し、ホトシアン、ホトマゼンタタンク挿入部に上記実施例及び比較例のブラックインクを注入したインクタンクを1つずつ計2タンク挿入し、他のシアンタンク、マゼンタタンク、イエロータンクの挿入部にはBJ−F870の純正のインクタンクをそのまま挿入し使用した。印字方法は、BJ−F870を用い、ヘッドのノズル幅分の印字をホームポジションから反ホームポジションへのスキャン時のみ印字を行う、1スキャン片方向印字で行った。
【0200】
液体組成物の被記録媒体への付与は、上記量ブラックタンク挿入部に、液体組成物インクを充填したインクタンクを挿入したヘッドで付与した。又、インクの被記録媒体への付与量は、1スキャン片方向印字で1/600inch×1/600inchを1ピクセルとし(以後1ピクセルは、1/600inch×1/600inchとする)1つの記録ヘッドによる最大液体及びインク付与量を1ピクセル当たり4ドットとし、1ピクセル当たり4ドットの付与量を100%dutyとした。
【0201】
次に上記実施例及び比較例におけるインクの被記録媒体への付与は、ホトシアン、ホトマゼンタタンク挿入部に上記実施例及び比較例のブラックインクを注入したインクタンクを搭載した2つのヘッドで付与した。又、ブラックインクの被記録媒体の付与量は、二つのヘッドを用いることで1スキャン片方向印字で1ピクセル当たり最大8ドット付与できるように調整し、2つ記録ヘッドを用いることで1ピクセル当たり8ドットの付与量最大200%dutyの印字を可能とした。尚、各記録ヘッドにおける各液体組成物及びインクの1ドット当たりの吐出体積は約5plである。
【0202】
1.印字持続性
前記ブラックインクと前記インクジェット記録装置を用い、二つのブラックヘッドのどちらか一方を使用し、1ピクセル当たり100%dutyの印字でノズルチェックパターンが最初に入っているベタ印字を連続してA4用紙3枚に印字し、次にその後2時間印字を行わず、その後再びベタ印字を連続して3枚印字するサイクルを10回繰り返した。そのときの印字みだれ、及び不吐出の有無を下記の基準で評価した。
A:印字みだれ及び不吐出がみられない。
B:印字みだれが若干みられるが、不吐出はみられない。
C:印字みだれ、不吐出がみられる。
【0203】
2.耐マーカー性
上記ブラックインクを前記インクジェット記録装置を用い2つ記録ヘッドを用いることで、Bkインクの付与量を1ピクセル当たり200%dutyで下記の被記録媒体A、B、Cに文字の印字を行い1日放置した後、市販の水性蛍光マーカーペン(例えば、ゼブラ製蛍光ペンOPTEX OP−100−Y)を用いて印字部分をマーキングして、マーキング部分の汚れを観察して以下の基準で評価した。
A:全ての紙で汚れが目立たない。
B:一部の紙で汚れが目立つ。
C:全ての紙で汚れが目立つ。
【0204】
A:キヤノン(株)社製 PPC用紙NSK
B:キヤノン(株)社製 PPC用紙NDK
C:ゼロックス(株)社製 PPC用紙4024
【0205】
3.ブラックインクとカラーインク間のブリーディング
ブラックインクとカラーインクを同一のスキャンで印字する印字方法で、上記普通紙3紙に液体組成物及び各インクセットを用い、ブラックインクは二つのブラックヘッドを用いた200%dutyのベタ部と、イエロー、又はマゼンタ、又はシアンインクの100%dutyのベタ部が隣接するようなパターンを液体組成物のインク各色に対し100%dutyの付与量で印字した。評価基準は以下の通りである。得られた結果を表4に示した。
【0206】
A:全ての境界で目視にてブリードが認められない。
B:目視でわずかにブリードが認められるが、気になるレベルではない。
C:目視でブリードが認められる。
上記評価方法にて、液体組成物と実施例のインクの組み合わせ及び液体組成物と比較例のインクの組み合せを下記表3に記す。又、上記評価項目1〜3の評価結果を下記表4に記す。
【0207】
【0208】
【0209】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、ヘッドへの信頼性、耐マーカー性が良好で、更にはブラックインクとカラーインクとの間にブリードを生じることがないカラーインクジェット記録用インクセット、インクジェット記録方法、インクジェット記録機器及びブリード緩和方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のインクを酸析した後洗浄乾固させた試料について熱重量分析を行った結果を示す図である
【図2】本発明のインクを酸析した後洗浄乾固させ、更にTHFを用いて溶媒抽出した後の試料について熱重量分析を行った結果を示す図である。
【図3】樹脂分散タイプのインクを酸析した後洗浄乾固させた試料について熱重量分析を行った結果を示す図である。
【図4】樹脂分散タイプのインクを酸析した後洗浄乾固させ、更にTHFを用いて溶媒抽出した後の試料について熱重量分析を行った結果を示す図である。
【図5】インクジェット記録装置ヘッドの縦断面図である。
【図6】インクジェット記録装置ヘッドの縦横面図である。
【図7】図5に示したヘッドをマルチ化したヘッドの外観斜視図である。
【図8】インクジェット記録装置の1例を示す斜視図である。
【図9】インクカートリッジの縦断面図である。
【図10】記録ユニットの1例を示す斜視図である。
【図11】インクジェット記録装置を示す斜視図である。
【図12】図11の記録ヘッドユニットを示す斜視図である。
【図13】記録ヘッドの発熱体付近の拡大断面図である。
【図14】液体吐出ヘッドを搭載可能なインクジェットプリンタの1例の要部を示す概略斜視図である。
【図15】液体吐出ヘッドを備えたインクジェットカートリッジの1例を示す概略斜視図である。
【図16】液体吐出ヘッドの1例の要部を模式的に示す概略斜視図である。
【図17】液体吐出ヘッドの1例の一部を抽出した概念図である。
【図18】図17に示した吐出口の部分の拡大図である。
【図19】図18に示した吐出口の部分のインク付着状態を示す模式図である。
【図20】図17における主要部の模式図である。
【図21】図20中のX−X斜視断面形状に対応し図22〜図28と共に液体吐出ヘッドの液体吐出動作を経時的に説明するための概略断面図である。
【図22】図20中のX−X斜視断面形状に対応し図21及び図23〜図28と共に液体吐出ヘッドの液体吐出動作を経時的に説明するための概略断面図である。
【図23】図20中のX−X斜視断面形状に対応し図21、図22及び図24〜図28と共に液体吐出ヘッドの液体吐出動作を経時的に説明するための概略断面図である。
【図24】図20中のX−X斜視断面形状に対応し図21〜図23及び図25〜図28と共に液体吐出ヘッドの液体吐出動作を経時的に説明するための概略断面図である。
【図25】図20中のX−X斜視断面形状に対応し図21〜図24及び図26〜図28と共に液体吐出ヘッドの液体吐出動作を経時的に説明するための概略断面図である。
【図26】図20中のX−X斜視断面形状に対応し図21〜図25及び図27、図28と共に液体吐出ヘッドの液体吐出動作を経時的に説明するための概略断面図である。
【図27】図20中のX−X斜視断面形状に対応し図21〜図26及び図28と共に液体吐出ヘッドの液体吐出動作を経時的に説明するための概略断面図である。
【図28】図20中のX−X斜視断面形状に対応し図21〜図27と共に液体吐出ヘッドの液体吐出動作を経時的に説明するための概略断面図である。
【図29】本発明の液体吐出ヘッドを装着して適用することのできる液体吐出装置の1例であるインクジェット記録装置600の概略斜視図である。
【符号の説明】
13:ヘッド
14:インク溝
15:発熱ヘッド
16:保護膜
17:アルミニウム電極
18:発熱抵抗体層
19:蓄熱層
20:基板
21:インク
22:吐出オリフィス(微細孔)
23:メニスカス
24:インク滴
25:被記録媒体
26:マルチ溝
27:ガラス板
28:発熱ヘッド
31:発熱体
32:共通液室
33:基板
34:隔壁
35:インク滴
36:保護膜
37:吐出口
38:インク液路
40:インク袋
42:栓
44:インク吸収体
45:インクカートリッジ
51:給紙部
52:紙送りローラー
53:排紙ローラー
61:ブレード
62:キャップ
63:インク吸収体
64:吐出回復部
65:記録ヘッド
66:キャリッジ
67:ガイド軸
68:モーター
69:ベルト
70:記録ユニット
71:ヘッド部
72:大気連通口
102:記録ヘッド
103:記録ヘッドユニット
104:ガイド軸
105:ガイド軸
106:被記録媒体
107:スイッチ部と表示素子部
108:プラテン
109:送りローラ
110:回復系ユニット
111:記録装置
112:キャリッジ
20Bk、20C、20M、20Y:インクのタンク
600:インクジェット記録装置
601:インクジェットヘッドカートリッジ
602:駆動モータ
603、604:駆動力伝達ギア
605:リードスクリュ
606:螺旋溝
607:キャリッジ
607a:レバー
608:ガイド
609:プラテンローラ
610:紙押え板
611、612:フォトカプラ
613:支持部材
614:キャップ部材
615:インク吸引手段
617:クリーニングブレード
618:移動部材
619:本体支持体
620:(吸引開始)レバー
621:カム
832:吐出口
832a:起部
832b:伏部
931:電気熱変換素子(ヒータ、インク吐出エネルギ発生素子)
933:インク供給口(開口部)
934:基板
935:オリフィスプレート(吐出口プレート)
935a:吐出口面
936:インク流路壁
936a:隔壁
940:吐出口部
1337:発泡室
1338:液流路
1141:溝
1141a:頂部
100:インクジェット記録ヘッド(液体吐出ヘッド)
101:気泡
1004:メニスカス
1001:液体タンク
1006:移動駆動部
1008:ケーシング
1010:記録部
1010a:キャリッジ部材
1012:インクジェットカートリッジ
1012Y、M、C、Bk:インクジェットカートリッジ
1016:ベルト
1018:モータ
1020:駆動部
1022a、1022b:ローラユニット
1024a、1024b:ローラユニット
1026:回復ユニット
1026a、1026b:プーリ
1028:被記録媒体
1030:搬送手段
C:濡れインク
FM:メニスカス後退方向
FC:メニスカス後退方向と反対方向
G:重心
I:インク
Ia:主液滴(液体、インク)
Ib、Ic:液体(インク)
Id:溝部に付着したインク(溝内のインク)
Ie:液流路内に残存しているインク
L:液室(インク供給口)から吐出口に向かう線
N1:発泡室の幅寸法
N2:発泡室の長さ寸法
O:吐出口の中心
P’:被記録媒体
P:用紙の搬送方向
R:ベルトの回転方向
S:用紙の搬送方向と略直交する方向
T1:吐出口伏部寸法
w:隔壁の幅寸法[0001]
TECHNICAL FIELD OF THE INVENTION
The present invention uses a plurality of color inks including a liquid composition and a black ink, a color ink jet recording ink set used when recording a color image on a recording medium by combining these inks, an ink jet recording method, Ink-jet recording equipment and bleed mitigation methods, especially for plain paper, have a sufficient image density to obtain clear and high-quality images, and also have good scratch resistance, marker resistance and bleeding The present invention relates to a good ink set for color ink jet recording, an ink jet recording method using the same, an ink jet recording apparatus, and a bleed mitigation method.
[0002]
[Prior art]
Conventionally, in the recording of the ink jet system, especially for plain paper, print density, print quality, water resistance, black ink using a pigment for forming a black image with excellent robustness such as light resistance, An ink set which does not cause boundary bleeding (hereinafter referred to as bleeding) between an image printed with black ink and an image printed with color ink, and an ink jet recording method and apparatus using the same have been reported.
[0003]
For example, Patent Literature 1 discloses an ink using acidic carbon black and an alkali-soluble polymer. However, in the case of an ink using an acidic carbon black and an alkali-soluble polymer as described in Patent Document 1, carbon black is dispersed by the alkali-soluble polymer. There is a problem that the head face is easily wetted and the reliability of the head is low.
[0004]
Further, Patent Documents 2 and 3 propose self-dispersing pigment inks in which a water-soluble group is introduced into the surface of a carbon black pigment to improve the reliability of the head. However, when printing is performed on a recording material, particularly plain paper, with these resin-dispersed or self-dispersed pigment inks, after the ink has dried sufficiently, when the printed surface is strongly rubbed, the printed surface is stained. There is a problem that the scratch resistance is poor and the marker resistance when the printed surface is traced with a water-based marker is poor.
[0005]
Patent Document 4 discloses a method of using a chemically modified black pigment, that is, a black ink composed of a black pigment made water-soluble by a functional group and a color ink having a higher ionic strength than the black ink. An ink set that can reduce bleed by causing aggregation of a dissolved pigment due to a rapid change in ionic strength is described. However, in the case of these ink sets, the print density and print quality of the black ink can be satisfied, but the effect of suppressing bleed is insufficient, and a high molecular weight colloid must be added to reduce bleeding. First, as a result, the viscosity of the black ink was increased, and the ejection performance was sometimes reduced.
[0006]
[Patent Document 1]
JP-A-3-210373
[Patent Document 2]
JP-A-8-3498
[Patent Document 3]
JP-A-10-195360
[Patent Document 4]
JP-A-10-272768
[0007]
[Problems to be solved by the invention]
Accordingly, an object of the present invention is to provide a color having excellent reliability with respect to a recording head, excellent abrasion resistance and marker resistance, and having good bleed in a boundary region between a black image and a color image formed on a recording medium. An object of the present invention is to provide an ink set for ink jet recording, an ink jet recording method using the same, an ink jet recording apparatus, and a bleed mitigation method.
[0008]
[Means for Solving the Problems]
The above object is achieved by the present invention described below. That is, the present invention is to record a color image on a recording medium using at least a colorless or pale color liquid composition containing no coloring material and two or more colors of ink including a black ink and a color ink. In the ink set, the liquid composition has a buffering action against a change in hydrogen ion concentration, and at least one of the black ink and the color ink contains water, a water-soluble organic solvent, and an inorganic or organic The inorganic or organic pigment, a polymer comprising a copolymer of at least one hydrophilic monomer and at least one hydrophobic monomer on the surface thereof, directly or via one or more atomic groups. An ink set characterized by being chemically bonded is provided.
[0009]
In the present invention, the pigment is carbon black; the degree of dispersion Mw / Mn of the polymer is 2 or less; and the weight average molecular weight of the polymer is in the range of 1,000 to 30,000. The acid value or the amine value of the polymer is not less than 100 and not more than 500; and the content of the polymer with respect to the pigment of the surface-modified pigment is not less than 5% by mass and not more than 40% by mass. More preferably in the range of 10% by mass to 25% by mass; the surface-modified pigment accounts for 0.1 to 15% by mass, preferably 1 to 10% by mass, based on the total mass of the aqueous pigment ink. It is preferable that it is included in the range.
[0010]
Further, in the present invention, it is preferable to further include at least one surfactant represented by the following structural formulas (1) to (4).
(However, in the structural formula (1), R represents an alkyl group, and n represents an integer.)
(However, in the structural formula (2), R represents an alkyl group, and n represents an integer.)
(However, in the structural formula (3), R represents a hydrogen atom or an alkyl group, and m and n each represent an integer.)
[0011]
(In the above structural formula (4), m and n each represent an integer.)
[0012]
In the present invention, the pH value of the liquid composition is such that the difference between the pH value when 1 ml of 1N lithium hydroxide aqueous solution is added to 50 ml of the liquid composition and the pH value before addition is within 1.0. And the pH of the liquid composition is lower than the pH of the black ink and the color ink; and the pH of the liquid composition is lower than the pH of the black ink and the color ink. The pH of the liquid composition is lower than the pH of the color ink, and the pH of the liquid composition ranges from acidic to neutral, and the pH of the black ink and the color ink ranges from neutral to alkaline; It preferably contains an inorganic acid and an organic acid salt or an inorganic acid salt.
[0013]
Further, in the present invention, the difference between the pH value of 1.5 mL of a 1N aqueous sulfuric acid solution and the pH value of the liquid composition before the addition is within 1.0 with respect to 50 ml of the liquid composition. And the black ink and the color ink contain a cationic substance; the pH of the liquid composition ranges from neutral to alkaline, and the pH of the black ink and color ink is acidic to neutral. It is preferable to take an area.
[0014]
Further, in the present invention, the liquid composition contains an organic acid or an inorganic acid and an ammonium salt or an amine salt of the organic acid or the inorganic acid, and has a basic pH; Preferably, there is.
[0015]
The present invention also provides a step (A) of discharging a liquid composition having a buffering action against a change in hydrogen ion concentration from an orifice in accordance with a recording signal and applying the liquid composition to a recording medium, (B) of discharging the ink from an orifice in response to a print signal to give the print to a recording medium.
[0016]
In the present invention, the step (A) can be performed prior to the step (B), or the step (B) can be performed prior to the step (A). ), And the step (B) can be further performed. Further, it is preferable that the ink jet recording method is a method of ejecting the ink by applying thermal energy to the ink and the liquid composition.
[0017]
Further, the present invention provides a liquid composition storage section containing a liquid composition having a buffering action against a change in hydrogen ion concentration, a black ink storage section containing black ink, and a color ink storage section. And a head unit for discharging the liquid composition, the black ink, and the color ink, respectively. In the recording unit, a head portion is a head that applies thermal energy to a liquid composition and ink to eject ink droplets; an ink containing portion is formed of polyurethane, cellulose, polyvinyl acetate, or polyolefin resin. Is preferred.
[0018]
Further, the present invention provides a liquid composition storage section containing a liquid composition having a buffering action against a change in hydrogen ion concentration, a black ink storage section containing black ink, and a color ink storage section containing color ink. And a color ink storage section. It is preferable that the ink cartridge has a liquid contact surface in which the liquid composition storage portion and the ink storage portion are formed of polyolefin.
[0019]
Further, the present invention provides a liquid composition storage section containing a liquid composition having a buffering action against a change in hydrogen ion concentration, a black ink storage section containing black ink, and a color ink storage section containing color ink. An ink jet recording apparatus comprising: a color ink container, a liquid composition, a head for discharging the black ink, and the color ink. In the ink jet recording apparatus, the head section is a head for ejecting ink droplets by applying thermal energy to ink; the liquid composition storage section and the ink storage section are formed of polyurethane, cellulose, polyvinyl acetate or polyolefin resin. It is preferred that
[0020]
Further, the present invention provides a method for reducing bleed in a boundary region between a black image and a color image formed on a recording medium by an ink-jet method using a liquid composition having a buffering action against a change in hydrogen ion concentration. I will provide a.
[0021]
BEST MODE FOR CARRYING OUT THE INVENTION
Hereinafter, the present invention will be described more specifically with reference to preferred embodiments. First, the colored inks will be described sequentially.
<Black ink>
In the black ink used in the present invention, the coloring material is not particularly limited, but carbon black is preferably used, and an aqueous pigment ink is used as the ink. Examples of preferred carbon blacks are as follows.
[0022]
For example, carbon black pigments such as furnace black, lamp black, acetylene black, and channel black. , Ray-Van 1200, Ray-Van 1190ULTRA-II, Ray-Van 1170, Ray-Van 1255 (all manufactured by Columbia), Black Pearls L, Regal 400R, Regal 330R, Regal 660R, Mogul L, Monarch ) 700, Monac 800, Monac 880, Monac 900, Monac 1000, Monac 110 0, Monak 1300, Monak 1400, Monak 2000, Valcan XC-72R (manufactured by Cabot Corporation), Color Black (Color Black) FW1, Color Black FW2, Color Black FW2V, Color Black FW18, Color Black FW200, Color Black S150, Color Black S160, Color Black S170, Printex 35, Printex U, Printex V, Printex 140U, Printex 140V, Special Black 6, Special Black 5, Special Black 4, Special Black 4A, Special Black 4 (from Degussa), No. 25, no. 33, no. 40, no. 47, no. 52, no. 900, No. Commercially available products such as 2300, MCF-88, MA600, MA7, MA8, MA100 (manufactured by Mitsubishi Chemical Corporation) and those newly prepared separately can also be used, but are not limited thereto, and are not limited to these. Known carbon black can be used. Further, magnetic fine particles such as magnetite and ferrite, titanium black and the like may be used as a black pigment.
[0023]
The aqueous pigment ink of the present invention contains, as a coloring material, a pigment to which a polymer composed of a copolymer of at least one hydrophilic monomer and at least one hydrophobic monomer is bonded. As the copolymer comprising the hydrophilic monomer and the hydrophobic monomer, a copolymer containing an anionic polymer having an anionic property or a cationic polymer having a cationic property is preferably used. Examples of the polymer containing the anionic polymer include a copolymer composed of a hydrophobic monomer and a hydrophilic monomer, or a salt thereof.
[0024]
Representative hydrophobic monomers that make up the copolymer include, but are not limited to, the following: aromatic vinyl compounds such as styrene and vinyl naphthalene, methyl (meth) acrylate (the present invention). In the present invention, “(meth) acryl” means both acryl and methacryl), phenyl (meth) acrylate, benzyl (meth) acrylate, hydroxyethyl (meth) acrylate, hydroxypropyl (meth) acrylate, 2-ethoxy Ethyl (meth) acrylate, 2-trimethylsiloxyethyl (meth) acrylate, glycidyl (meth) acrylate, alkyl (meth) acrylates such as p-tolyl (meth) acrylate and sorbyl (meth) acrylate, (meth) acrylonitrile, etc. It is. The hydrophilic monomers include, but are not limited to, the following monomers. For example, acrylic acid, methacrylic acid, maleic acid and the like can be mentioned.
[0025]
Examples of the polymer composed of the hydrophobic monomer and the anionic monomer include block copolymers, random copolymers, graft copolymers, and salts thereof, and have an acid value in the range of 100 to 500. It is preferable that the variation of the acid value is within 10% of the average acid value. The above-mentioned salts include ammonium salts, alkylamine salts, alkanolamine salts and the like in addition to alkali metal salts such as sodium, lithium and potassium, and these can be used alone or in appropriate combination of several kinds.
[0026]
The weight average molecular weight of the anionic polymer (copolymer) is preferably in the range of 1,000 to 30,000, more preferably in the range of 3,000 to 20,000. It is preferable that the degree of dispersion Mw / Mn is 2 or less. The content of the anionic polymer is preferably from 5% by mass to 40% by mass with respect to the pigment. More preferably, it is used at a ratio of 10% by mass or more and 25% by mass or less.
[0027]
Examples of the cationic polymer in the present invention include a copolymer composed of a hydrophobic monomer and a cationic compound, or a salt thereof. Representative hydrophobic monomers include, but are not limited to, the following monomers: For example, aromatic vinyl compounds such as styrene and vinylnaphthalene, methyl (meth) acrylate (in the present invention, “(meth) acryl” means both acryl and methacryl), phenyl (meth) acrylate, benzyl (meth) A) acrylate, hydroxyethyl (meth) acrylate, hydroxypropyl (meth) acrylate, 2-ethoxyethyl (meth) acrylate, 2-trimethylsiloxyethyl (meth) acrylate, glycidyl (meth) acrylate, p-tolyl (meth) acrylate and (Meth) acrylic acid alkyl esters such as sorbyl (meth) acrylate; and (meth) acrylonitrile.
[0028]
Cationic monomers include, but are not limited to, the following monomers: For example, allylamine, dimethylaminoethyl (meth) acrylate, diethylaminoethyl (meth) acrylate, tert-butylaminoethyl (meth) acrylate, dimethylaminopropyl (meth) acrylamide, N-vinylcarbazole, (meth) acrylamide and dimethyl ( (Meth) acrylamide and the like.
[0029]
Examples of the copolymer comprising the hydrophobic monomer and the cationic monomer include a block copolymer, a random copolymer, a graft copolymer, and a salt thereof, and the like. The amine value is in the range of 100 to 500. It is preferable that the dispersion of the amine value is within 10% of the average amine value. The amine value is represented by the number of mg of KOH equivalent to hydrochloric acid required to neutralize 1 g of a sample. The above-mentioned salts include salts such as acetic acid, hydrochloric acid and nitric acid, and these can be used alone or in appropriate combination of several kinds.
[0030]
The weight average molecular weight of the cationic polymer (copolymer) is preferably in the range of 1,000 to 30,000, more preferably in the range of 3,000 to 20,000. Is preferably 2 or less. The content of the cationic polymer is preferably from 5% by mass to 40% by mass with respect to the pigment. More preferably, it is used at a ratio of 10% by mass or more and 25% by mass or less.
[0031]
Examples of the aqueous medium used in the present invention include, for example, water or a mixed solvent of water and a water-soluble organic solvent. As the water-soluble organic solvent, those having an effect of preventing drying of the ink are particularly preferable. It is desirable to use deionized water as the water.
[0032]
Specifically, for example, alkyl alcohols having 1 to 4 carbon atoms such as methyl alcohol, ethyl alcohol, n-propyl alcohol, isopropyl alcohol, n-butyl alcohol, sec-butyl alcohol, and tert-butyl alcohol; dimethylformamide; Amides such as dimethylacetamide; ketones or keto alcohols such as acetone and diacetone alcohol; ethers such as tetrahydrofuran and dioxane; polyalkylene glycols such as polyethylene glycol and polypropylene glycol; ethylene glycol, propylene glycol, butylene glycol, tri 2 to 6 alkylene groups such as ethylene glycol, 1,2,6-hexanetriol, thiodiglycol, hexylene glycol and diethylene glycol Alkylene glycols containing carbon atoms; lower alkyl ether acetates such as polyethylene glycol monomethyl ether acetate; glycerin; ethylene glycol monomethyl (or ethyl) ether, diethylene glycol methyl (or ethyl) ether, triethylene glycol monomethyl (or ethyl) ether and the like Lower alkyl ethers of polyhydric alcohols; N-methyl-2-pyrrolidone, 2-pyrrolidone, 1,3-dimethyl-2-imidazolidinone and the like. The water-soluble organic solvents as described above can be used alone or as a mixture.
[0033]
The content of the water-soluble organic solvent contained in the black ink according to the present invention is not particularly limited, but is preferably in the range of 3 to 50% by mass based on the total mass of the ink. The content of water contained in the ink is preferably in the range of 50 to 95% by mass based on the total mass of the ink.
[0034]
Further, in order to maintain the moisture retention of the ink, a moisture retaining solid such as urea, a urea derivative, trimethylolpropane, and trimethylolethane may be used as an ink component. The content of a moisturizing solid in the ink, such as urea, a urea derivative, and trimethylolpropane, is generally preferably in the range of 0.1 to 20.0% by mass, more preferably 3.0 to 10% by mass of the ink. The range is 0% by mass.
[0035]
Further, in addition to the above components, the ink of the present invention may further contain, if necessary, a surfactant, a pH adjuster, a rust inhibitor, a preservative, a fungicide, an antioxidant, a reduction inhibitor, an evaporation accelerator, Various additives such as an agent may be contained.
[0036]
The surfactant preferably contains any of the surfactants represented by the following structural formulas (1) to (4).
(However, in the structural formula (1), R represents an alkyl group, and n represents an integer.)
(However, in the structural formula (2), R represents an alkyl group, and n represents an integer.)
(However, in the structural formula (3), R represents a hydrogen atom or an alkyl group, and m and n each represent an integer.)
[0037]
(In the above structural formula (4), m and n each represent an integer.)
[0038]
The black ink according to the present invention can be used for writing implement ink and ink jet recording ink. Ink jet recording methods include a recording method in which mechanical energy is applied to ink to eject droplets, and a recording method in which thermal energy is applied to ink to eject droplets by bubbling of the ink. The ink of the present invention is particularly suitable.
[0039]
By the way, when the black ink according to the present invention is used for ink jet recording, it is preferable that the ink has characteristics capable of being ejected from an ink jet head. From the viewpoint of the ejection property from the inkjet head, the properties of the liquid include, for example, a viscosity of 1 to 15 mPa · s and a surface tension of 25 mN / m or more, particularly a viscosity of 1 to 5 mPa · s and a surface tension of It is preferable to be 25 to 50 mN / m.
[0040]
As a method for analyzing the pigment ink of the present invention, a case where carbon black is used as a coloring material will be described, but the pigment is not particularly limited by this. The method for analyzing the surface-modified state of the surface-modified carbon black of the present invention is not particularly limited, and the analysis can be performed using a method that can be generally considered. Preferably, a method of analyzing the chemical bonding state on the surface of the carbon black surface-modified by ESCA, TOF-SIMS, or the like is used.
[0041]
Surface-treated pigments often contain a polymer bound to the pigment and a polymer not bound to the pigment (free polymer). Although not particularly limited, the ink containing the surface-modified pigment is salted out or coagulated, the solid content is filtered, and the solid content is evaporated to dryness. Is preferred. Since the free polymer extracted by the good solvent is basically not bonded to the pigment, the amount is preferably less than 7% by mass of the whole polymer. More preferably, it is less than 5% by mass. Hereinafter, a method of extracting a free polymer using a good solvent of the free polymer will be described in detail. In performing the analysis, the sample is pre-treated as follows.
[0042]
In the present invention, the method of salting out or coagulating the surface-modified carbon black, drying it, and extracting the free polymer using a good solvent of the free polymer is described in [1] Salting out Alternatively, it can be carried out by the procedure of coagulation, [2] washing, [3] drying, [4] extraction, and [5] drying. The description will be made in the following order.
[0043]
[1] The method of salting out or coagulating the surface-modified carbon black is not particularly limited. For example, (a) salting out with a salt such as sodium chloride or potassium chloride, (b) nitric acid or hydrochloric acid For example, a method such as acid precipitation using an acid such as above can be used. At this time, ultrafiltration or the like may be performed as a pre-process such as salting out, if necessary.
[2] The carbon black precipitate after the above salting out or aciding out is sufficiently washed with pure water. In particular, when performing the acid precipitation of [1] (b), it is preferable to sufficiently wash the filtrate after washing until the filtrate becomes neutral.
[0044]
[3] The carbon black precipitate after washing can be sufficiently dried in an oven or the like and taken out as a dried carbon black. The drying conditions and the like are not particularly limited. For example, drying may be performed at 60 ° C. for about 2 hours.
[4] From the dried carbon black, a free polymer can be extracted using a good solvent of the free polymer as needed.
[0045]
The good solvent for the free polymer is not particularly limited, and for example, a good solvent such as tetrahydrofuran (THF) can be used. In this case, it is preferable to repeatedly wash the dried carbon black using a good solvent and repeat the extraction operation.
[5] The dried carbon black after extracting the free polymer with a good solvent is finally sufficiently dried in an oven or the like to volatilize residual moisture and the residual solvent. The oven or the like used is not particularly limited, and for example, drying can be performed using a commercially available vacuum dryer or the like. The drying conditions and the like are not particularly limited as long as the remaining water and the remaining solvent can be sufficiently removed from the dried carbon black. For example, at a degree of vacuum of several hundred Pa or less, about 60 ° C. × 3 hours. It may be dried.
[0046]
By using thermogravimetric analysis, the amount of the polymer bound to the pigment can be measured more quantitatively. Hereinafter, the thermogravimetric analysis will be described in detail. As a method of measuring the amount of extraction when extracting the free polymer using a good solvent of the free polymer, after the surface-modified carbon black is salted out or coagulated, and then dried. There is no particular limitation, and for example, the dried carbon black before and after the extraction of the sufficiently dried free polymer with a good solvent is measured by thermogravimetric analysis or the like, and can be determined from the weight loss rate. .
[0047]
The weight loss rate (%)
Weight loss / initial weight x 100 ... (1)
The smaller the weight loss rate, the smaller the weight loss. The weight loss rate is a value when the temperature is increased from 100 ° C. to 700 ° C. in thermogravimetric analysis. The analysis conditions and the like in the thermogravimetric analysis are not particularly limited, and the measurement can be performed under ordinary conditions such as a pretreatment and a heating rate.
[0048]
In the dried carbon black product before and after the extraction contained in the aqueous pigment ink of the present invention, it is preferable that the difference between the weight loss rate before the extraction and the weight loss rate after the extraction is less than 5%. That is, the surface-modified carbon black contained in the aqueous pigment ink of the present invention is obtained by solvent extraction because the polymer is chemically bonded to the carbon black directly or via one or more atomic groups. The amount of free polymer extracted by the solvent is very small, and the weight loss due to the free polymer in the thermogravimetric analysis of the sample before solvent extraction and the amount of free polymer in the thermogravimetric analysis of the sample after solvent extraction are very small. The difference from the weight loss due to the molecule is small, and the rate of weight loss is small.
[0049]
On the other hand, in a resin dispersion pigment that is generally used, since the above polymer is not chemically bonded to carbon black (pigment), the weight loss due to the polymer in thermogravimetric analysis is not obtained in the sample before solvent extraction. On the other hand, in the sample after solvent extraction, the free polymer has already been removed by solvent extraction, so the weight loss due to the free polymer in thermogravimetric analysis is small, and the weight loss before and after extraction is small. The difference in rates is large.
[0050]
FIG. 3 shows the results of performing thermogravimetric analysis on a sample obtained by washing out and drying the resin dispersion type ink after acid precipitation. FIG. 4 shows the results of thermogravimetric analysis of a sample after the resin dispersion type ink was subjected to acid precipitation, washed and dried, and further subjected to solvent extraction using THF. Both have been sufficiently evaporated to dryness, and water and solvent have been removed. In FIG. 3, a decrease in weight due to the resin is observed around 350 ° C. In FIG. 4, the weight loss around 350 ° C. is much smaller than in FIG. From both results, it can be seen that in the resin dispersion type ink, a large amount of resin was extracted into the solvent and removed by solvent extraction with THF. This is a phenomenon that occurs in the resin dispersion type ink because the resin component and carbon black are not chemically bonded.
[0051]
Next, FIG. 1 shows the result of thermogravimetric analysis of a sample obtained by washing out and drying the ink of the present invention after acid precipitation. FIG. 2 shows the results of thermogravimetric analysis of a sample after the ink of the present invention was subjected to acid precipitation, washed and dried, and further subjected to solvent extraction using THF. From the results of FIGS. 1 and 2, the weight loss rate due to the resin at around 350 ° C. did not change much before and after the solvent extraction, and as a result, the resin was not removed by the solvent extraction. It can be seen that the black and the resin are chemically bonded.
[0052]
Other than using the thermogravimetric analysis, there is a method of examining the bonding state between the resin and carbon black. For example, a method in which the surface-modified carbon black is salted out or coagulated and then dried, and a free polymer is extracted using a good solvent of the free polymer, and TG-GC-MS ( By analyzing in combination with thermogravimetric analysis-gas chromatograph-mass spectrum), the gas generated by thermogravimetric analysis can be further analyzed, and the state of the polymer bound to the dried carbon black can be determined in detail. You can know. Such an analysis method is also a preferable method.
[0053]
The method of chemically bonding a polymer to carbon black directly or via one or more atomic groups may be performed by a commonly used method, and is not particularly limited. Examples thereof include the following methods. Can be used.
A method in which a polymer having an amino group at the terminal such as polyethyleneimine is bonded to carbon black by a diazonium reaction; a method in which a polymer having an amino group and a carboxyl group in the molecule is bonded to carbon black by a diazonium reaction; Can be used. In addition, the most typical examples are disclosed in WO 01/51566 A1.
[0054]
When the above method chemically binds an anionic type polymer, the method includes the following three steps.
First step: a step of adding aminophenyl- (2-sulfateethyl) -sulfone (APSES) to carbon black by a diazonium reaction.
Second step: a step of adding polyethyleneimine and pentaethylenehexamine (PEHA) to the APSES-treated carbon black.
Third step: a step of bonding a copolymer of a hydrophobic monomer and a hydrophilic monomer having a carboxyl group.
[0055]
When the above method chemically binds a cation-type polymer, the method includes the following two steps.
First step: a step of adding aminophenyl- (2-sulfateethyl) -sulfone (APSES) to carbon black by a diazonium reaction.
Second step: a step of bonding the above-mentioned cationic polymer (a copolymer of a hydrophobic monomer and a hydrophilic monomer).
[0056]
As described above, the aqueous pigment ink of the present invention is particularly effective when used in inkjet recording. As the inkjet recording method, there are a recording method of ejecting the ink by applying mechanical energy to the ink, and an inkjet recording method of ejecting the ink by foaming the ink by applying thermal energy to the ink. The aqueous pigment ink of the present invention is particularly suitable.
[0057]
<Color ink>
As the coloring material of the color ink used in the present invention, known dyes or pigments are used, and anionic dyes are particularly preferably used in consideration of coloring properties. As the anionic dye, any of existing dyes and newly synthesized dyes can be used as long as they have appropriate color tone and density. These dyes or pigments can be used alone or in combination.
[0058]
(Anionic dye)
Hereinafter, specific examples of the anionic dye that can be used in the present invention will be described for each color tone of the ink, but the present invention is not limited thereto.
(Color material for yellow)
C. I. Direct Yellow: 1, 2, 4, 8, 11, 12, 26, 27, 28, 33, 34, 39, 41, 44, 48, 50, 58, 85, 86, 87, 88, 89, 98, 100 , 110, 132, 135, 142, 144
C. I. Acid Yellow: 1, 3, 4, 7, 11, 12, 13, 14, 17, 19, 23, 25, 29, 34, 36, 38, 40, 41, 42, 44, 53, 55, 61, 76 , 79, 98, 99
C. I. Reactive Yellow: 1, 2, 3, 4, 6, 7, 11, 12, 13, 14, 15, 16, 17, 18, 22, 23, 24, 25, 26, 27, 37, 42
C. I. Food yellow: 3
[0059]
(Coloring material for magenta)
C. I. Direct Red: 1, 2, 4, 8, 9, 11, 13, 15, 20, 23, 24, 28, 31, 33, 37, 39, 46, 51, 59, 62, 63, 73, 75, 79 , 80, 81, 83, 87, 89, 90, 95, 99, 101, 110, 189, 197, 201, 218, 220, 224, 225, 226, 227, 228, 229, 230
C. I. Acid Red: 1, 4, 6, 8, 9, 13, 14, 15, 18, 21, 26, 27, 32, 35, 37, 42, 51, 52, 80, 83, 87, 89, 92, 106 , 114, 115, 133, 134, 145, 158, 198, 249, 257, 265, 289
C. I. Reactive Red: 1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8, 11, 12, 13, 15, 17, 19, 20, 21, 22, 23, 24, 28, 29, 31, 32, 33, 34, 35, 36, 37, 38, 39, 40, 41, 42, 43, 44, 45, 46, 47, 48, 49, 50, 58, 59, 63, 64, 180
C. I. Food Red: 87, 92, 94
[0060]
(Color material for cyan)
C. I. Direct Blue: 1, 2, 6, 8, 15, 22, 25, 34, 41, 70, 71, 76, 77, 78, 80, 86, 90, 98, 106, 108, 120, 142, 158, 163 , 168, 199, 200, 201, 202, 203, 207, 218, 226, 236, 287
C. I. Acid Blue: 1, 7, 9, 15, 22, 23, 25, 27, 29, 40, 43, 55, 59, 62, 74, 78, 80, 81, 90, 100, 102, 104, 111, 117 , 127, 138, 158, 161, 185, 254
C. I. Reactive Blue: 1, 2, 3, 4, 5, 7, 8, 9, 13, 14, 15, 17, 18, 19, 20, 21, 25, 26, 27, 28, 29, 32, 33, 34, 37, 38, 39, 40, 41, 43, 44, 46, 100
[0061]
(Cationic dye)
Examples of cationic dyes include:
C. I. Basic Yellow: 1, 2, 11, 13, 14, 19, 21, 25, 32, 33, 36, 51
C. I. Basic Red: 1, 2, 9, 12, 13, 37, 38, 39, 92
C. I. Basic Blue: 1, 3, 5, 7, 9, 19, 24, 25, 26, 28, 29, 45, 54, 65
C. I. Basic black: 2, 8
[0062]
Examples of the pigment used in the color pigment ink include, specifically, insoluble azo pigments such as toluidine red, toluidine maroon, hansa yellow, benzidine yellow, and pyrazolone red, lithol red, helio bordeaux, pigment scarlet, permanent red 2B and the like. Soluble azo pigments, derivatives from vat dyes such as alizarin, indanthrone, and thioindigo maroon; phthalocyanine-based pigments such as phthalocyanine blue and phthalocyanine green; quinacridone-based pigments such as quinacridone red and quinacridone magenta; perylene red; perylene scarlet; Isoindolinone pigments such as perylene pigments, isoindolinone yellow, isoindolinone orange, benzimidazolone yellow, benzimidazolone orange, benzimidazolo Red and other imidazolone pigments, pyranthrone red, pyranthrone orange and other pyranthrone pigments, indigo pigments, thioindigo pigments, condensed azo pigments, diketopyrrolopyrrole pigments, flavanthrone yellow, acylamide yellow, quinophthalone yellow And other pigments such as nickel azo yellow, copper azomethine yellow, perinone orange, anthrone orange, dianthraquinonyl red, and dioxazine violet.
[0063]
Further, when the organic pigment is represented by a color index (CI) number, C.I. I. Pigment Yellow 1, 2, 3, 12, 13, 14, 16, 17, 20, 24, 74, 83, 86, 93, 97, 109, 110, 117, 120, 125, 128, 137, 138, 147, 148, 150, 151, 153, 154, 166, 168, 180, 185, C.I. I. Pigment Orange 16, 36, 43, 51, 55, 59, 61, 71, C.I. I. Pigment Red 5, 7, 9, 12, 48, 49, 52, 53, 57, 97, 112, 122, 123, 149, 168, 175, 176, 177, 180, 192, 202, 207, 215, 216, 217, 220, 223, 224, 226, 227, 228, 238, 240, 254, 255, 272, C.I. I. Pigment Violet 19, 23, 29, 30, 37, 40, 50, C.I. I. Pigment Blue 1, 2, 3, 15, 15: 1, 15: 3, 15: 4, 15: 6, 16, 22, 60, 64, C.I. I. Pigment Green 7, 36, C.I. I. Pigment Brown 23, 25, 26, and the like.
[0064]
These pigments may be resin-dispersed in the ink, may be self-dispersed by bonding a water-soluble group, or may be resin-bonded self-dispersed similarly to the black ink of the present invention. Among these coloring materials for color inks, anionic dyes are more preferred. This is because anionic dyes have a wide range of selectivity in consideration of coloring properties and safety.
[0065]
The content of the coloring material is preferably in the range of 0.2 to 15% by mass, more preferably in the range of 0.5 to 10% by mass based on the total mass of the ink. That is, by setting the content within this range, for example, the reliability as an inkjet recording ink, such as the color developability and the ink ejection stability, can be further improved.
[0066]
Examples of the aqueous medium used for the color ink include, for example, water or a mixed solvent of water and a water-soluble organic solvent. As the water-soluble organic solvent, it is particularly preferable to use one having an ink drying prevention effect.
[0067]
Examples of the water-soluble organic solvent that can be used at this time include, for example, carbon alcohols such as methyl alcohol, ethyl alcohol, n-propyl alcohol, isopropyl alcohol, n-butyl alcohol, sec-butyl alcohol, and tert-butyl alcohol. Amides such as dimethylformamide and dimethylacetamide; ketones or ketoalcohols such as acetone and diacetone alcohol; ethers such as tetrahydrofuran and dioxane; polyalkylene glycols such as polyethylene glycol and polypropylene glycol And the like: ethylene glycol, propylene glycol, butylene glycol, triethylene glycol, 1,2,6-hexanetriol, thiodiglycol, hexylene glycol, die Alkylene glycols having an alkylene group containing 2 to 6 carbon atoms such as len glycol; lower alkyl ether acetates such as polyethylene glycol monomethyl ether acetate; glycerin; ethylene glycol monomethyl (or ethyl) ether, diethylene glycol methyl (or ethyl) ether , Lower alkyl ethers of polyhydric alcohols such as triethylene glycol monomethyl (or ethyl) ether; polyhydric alcohols such as trimethylolpropane and trimethylolethane; N-methyl-2-pyrrolidone, 2-pyrrolidone, 1,3- Dimethyl-2-imidazolidinone and the like.
[0068]
The water-soluble organic solvents as described above can be used alone or as an appropriate mixture. The content of the water-soluble organic solvent in the ink is not particularly limited, but is preferably in the range of 3 to 50% by mass based on the total mass of the ink. Further, the content of water contained in the ink is preferably in the range of 50 to 95% by mass based on the total mass of the ink.
[0069]
The preferred aqueous medium composition for supporting the above-described properties in the color ink used in the present invention includes, for example, glycerin, trimethylolpropane, thioglycol, ethylene glycol, diethylene glycol, isopropyl alcohol and acetylene alcohol. Is preferred. In addition, as an acetylene alcohol, the acetylene alcohol shown by a following formula can be mentioned, for example.
[0070]
(In the above formula, R 1 , R 2 , R 3 And R 4 Represents an alkyl group, specifically, for example, a linear or branched alkyl group having 1 to 4 carbon atoms, m and n each represent an integer, and m = 0 and n = 0 or 1 When ≦ m + n ≦ 30 and m + n = 1, m or n is 0. )
[0071]
The color ink may contain, in addition to the components described above, at least one surfactant having the same polarity as the color material in the ink or a nonionic surfactant. By including these surfactants, desired permeability and viscosity can be imparted to the ink, and the performance required for the ink for inkjet recording can be further satisfied. The surfactant used in this case may be any of the following ionic surfactants, nonionic surfactants and amphoteric surfactants, or a mixture of two or more of them.
[0072]
(Anionic surfactant)
Fatty acid salts, higher alcohol acid ester salts, alkyl benzene sulfonates, higher alcohol phosphate salts, alkyl sulfates, alkyl sulfates, dialkyl sulfosuccinates, alkyl sulfo acetates, dialkyl sulfosuccinates and the like.
(Cationic surfactant)
Aliphatic amine salts, quaternary ammonium salts, alkylpyridinium salts and the like.
[0073]
(Nonionic surfactant)
Higher alcohol ethylene oxide adduct, alkylphenol ethylene oxide adduct, aliphatic ethylene oxide adduct, polyhydric alcohol fatty acid ester ethylene oxide adduct, aliphatic amide ethylene oxide adduct, higher alkylamine ethylene oxide adduct, polypropylene glycol ethylene oxide Adducts, fatty acid esters of polyhydric alcohols, fatty acid amides of alkanolamines, and the like.
(Amphoteric surfactant)
Amino acid type, betaine type amphoteric surfactant and the like.
[0074]
In the present invention, any of these is preferably used, and more preferably, ethylene oxide adduct of higher alcohol, ethylene oxide adduct of alkylphenol, ethylene oxide-propylene oxide copolymer, ethylene oxide of acetylene glycol A nonionic surfactant such as an adduct is used. Further, those having an addition mole number of the ethylene oxide adduct in the range of 4 to 20 are particularly preferable.
[0075]
The amount of the surfactant added in each ink is not particularly limited, but is preferably in the range of 0.01 to 10% by mass of the total mass of the ink. If the amount is less than 0.01% by mass, depending on the type of the surfactant, desired permeability cannot be generally obtained. If the amount exceeds 10% by mass, the initial viscosity of the ink increases, which is not preferable. More preferably, the content is in the range of 0.1 to 5.0% by mass of the total mass of the ink.
[0076]
In addition, each of the inks constituting the ink set of the present invention contains, in addition to the above components, urea, thiourea, ethylene urea, alkyl urea, alkyl thiourea, dialkyl urea and dialkyl thiourea as a humectant, if necessary. Addition of a pH adjuster, a viscosity adjuster, a preservative, an antioxidant, an evaporation promoter, a rust preventive, a fungicide, a chelating agent, etc. for giving desired performance to the ink. You may mix | blend an agent.
[0077]
The color inks described above can be used for writing implement inks and ink jet recording inks. Ink jet recording methods include a recording method in which mechanical energy is applied to ink to eject droplets, and a recording method in which thermal energy is applied to ink to eject droplets by bubbling of the ink. It is particularly suitable for By the way, when the color ink is used for inkjet recording, it is preferable that the ink has a characteristic that can be ejected from an inkjet head. From the viewpoint of the ejection property from the inkjet head, the properties of the liquid include, for example, a viscosity of 1 to 15 cps and a surface tension of 25 dyn / cm or more, particularly a viscosity of 1 to 5 cps and a surface tension of 25 to 50 dyn / cm. cm is preferable.
[0078]
<Liquid composition>
The liquid composition used in the present invention is characterized by having a buffering action on the hydrogen ion concentration. When the black ink or the color ink is cationic, the pH value of the liquid composition is the difference between the pH value when 1.5 ml of a 1N aqueous sulfuric acid solution is added to 50 ml of the liquid composition and the pH value before addition. It is preferable that the difference is adjusted to be within 1.0. At this time, as a buffer contained in the liquid composition, an ammonium salt of an organic acid or an inorganic acid, an amine salt of an organic acid or an inorganic acid, a hydroxide of an alkali metal, ammonia, a basic amine, a basic amino acid Buffers such as sodium dihydrogen phosphate, glycine, sodium chloride, sodium tetraborate, sodium carbonate, sodium bicarbonate, hydrochloric acid, sodium carbonate, sodium dimethylglycine, boric acid, alkali metal chlorides, polyamines, polyimines, etc. They can be used alone or in appropriate combinations. And more specifically, for example, sodium dihydrogen phosphate / sodium hydroxide, glycine + sodium chloride / sodium hydroxide, sodium tetraborate / sodium hydroxide, sodium dihydrogen phosphate / sodium tetraborate, tetraborate Sodium acid / sodium carbonate, hydrochloric acid / sodium carbonate, sodium dihydrogen phosphate / sodium hydroxide, ammonium chloride / ammonia, sodium dimethylglycine / hydrochloric acid, boric acid + potassium chloride / sodium carbonate, sodium carbonate / sodium hydrogen carbonate, etc. Can be
[0079]
In the present invention, any of the above-mentioned ones can be preferably used, but at least one of a group consisting of an ammonium salt or an amine salt of an organic acid or an inorganic acid, and an alkali metal hydroxide, ammonia, a basic amine, or a base And at least one member of the group consisting of sex amino acids.
[0080]
When the black ink or the color ink is anionic, the pH value of the liquid composition is the difference between the pH value when 1 ml of a 1N aqueous lithium hydroxide solution is added to 50 ml of the liquid composition and the pH value before addition. It is preferable that the difference is adjusted to be within 1.0.
[0081]
Examples of the buffer contained in the liquid composition include citric acid, succinic acid, phthalic acid, fumaric acid, acetic acid, lactic acid, tartaric acid, carbonic acid, organic acids such as diethylbarbirtic acid, phosphoric acid, boric acid, sulfuric acid, and hydrochloric acid. , Inorganic acids such as nitric acid, lithium citrate, potassium dihydrogen citrate, potassium hydrogen phthalate, lithium sulfate, sodium sulfate, potassium sulfate, ammonium sulfate and other sulfates, sodium acetate, lithium acetate, potassium acetate, ammonium acetate, etc. Acetate, lithium carbonate, sodium carbonate, sodium bicarbonate, potassium carbonate, potassium bicarbonate, carbonates such as ammonium carbonate and ammonium bicarbonate, sodium lactate, lithium phosphate, monosodium phosphate, disodium phosphate, phosphoric acid Trisodium, potassium phosphate, dipotassium phosphate, tripotassium phosphate, glue Phosphates such as potassium dihydrogen acid, monoammonium phosphate, diammonium phosphate and triammonium phosphate; alkali metal salts of organic acids such as sodium tetraborate and sodium diethyl barbilate; potassium chloride; sodium chloride; Inorganic alkali metal salts such as lithium chloride, hydroxides such as sodium hydroxide, lithium hydroxide, potassium hydroxide, and ammonium hydroxide, and buffers such as glycine can be used alone or in appropriate combination.
[0082]
Specifically, in the liquid composition, potassium hydrogen phthalate / hydrochloric acid, potassium hydrogen phthalate / sodium hydroxide, potassium citrate / citric acid, potassium dihydrogen citrate / hydrochloric acid, potassium dihydrogen citrate / hydroxide Sodium, 4 sodium borate / succinic acid, potassium dihydrogen citrate / 4 sodium borate, sodium lactate / lactic acid, sodium acetate / acetic acid, 2 potassium hydrogen phosphate / citric acid, tartaric acid / sodium tartrate, boric acid + citric acid Trisodium phosphate, glycine + sodium chloride / hydrochloric acid, citric acid + potassium dihydrogenphosphate + boric acid + diethylbarbirtuic acid / trisodium phosphate, sodium diethylbarbirutate + sodium acetate / hydrochloric acid, etc. However, the present invention is not limited to these combinations.
[0083]
The amount of these salts added to the liquid composition is preferably 0.1 to 10% by mass, more preferably 1 to 8% by mass. When the content is within these ranges, the pH of the liquid composition can be kept constant, and the stability of the liquid composition can be maintained.
[0084]
The liquid composition used in the present invention is characterized in that it has a buffering effect on the hydrogen ion concentration. Specifically, when the black ink and the color ink contain an anionic substance, the liquid composition is used for 50 ml of the liquid composition. 1. A liquid composition having a buffering action such that the difference between the pH value when 1.0 ml of a 1N aqueous lithium hydroxide solution is added and the pH value before the addition is within 1.0 is considered to increase the reactivity with the ink. It is preferable to consider it. When the black ink and the color ink contain a cationic substance, the difference between the pH value when 1.5 ml of a 1N aqueous sulfuric acid solution is added to 50 ml of the liquid composition and the pH value before addition is 1. A liquid composition having a buffering action so as to be within 0 is preferable in consideration of the reactivity with the ink. Examples of the aqueous medium used in the liquid composition include, for example, water or a mixed solvent of water and a water-soluble organic solvent. As the water-soluble organic solvent, it is particularly preferable to use one having an ink drying prevention effect.
[0085]
Examples of the water-soluble organic solvent that can be used at this time include, for example, carbon alcohols such as methyl alcohol, ethyl alcohol, n-propyl alcohol, isopropyl alcohol, n-butyl alcohol, sec-butyl alcohol, and tert-butyl alcohol. Amides such as dimethylformamide and dimethylacetamide; ketones or ketoalcohols such as acetone and diacetone alcohol; ethers such as tetrahydrofuran and dioxane; polyalkylene glycols such as polyethylene glycol and polypropylene glycol And the like: ethylene glycol, propylene glycol, butylene glycol, triethylene glycol, 1,2,6-hexanetriol, thiodiglycol, hexylene glycol, die Alkylene glycols having an alkylene group containing 2 to 6 carbon atoms such as len glycol; lower alkyl ether acetates such as polyethylene glycol monomethyl ether acetate; glycerin; ethylene glycol monomethyl (or ethyl) ether, diethylene glycol methyl (or ethyl) ether , Lower alkyl ethers of polyhydric alcohols such as triethylene glycol monomethyl (or ethyl) ether; polyhydric alcohols such as trimethylolpropane and trimethylolethane; N-methyl-2-pyrrolidone, 2-pyrrolidone, 1,3- Dimethyl-2-imidazolidinone and the like.
[0086]
The water-soluble organic solvents as described above can be used alone or as an appropriate mixture. The content of the water-soluble organic solvent in the liquid composition is not particularly limited, but is preferably in the range of 3 to 50% by mass based on the total mass of the liquid composition. Further, the content of water contained in the liquid composition is preferably in the range of 50 to 95% by mass based on the total mass of the liquid composition.
[0087]
Preferred aqueous medium compositions for supporting the above-mentioned properties in the liquid composition used in the present invention include, for example, glycerin, trimethylolpropane, thioglycol, ethylene glycol, diethylene glycol, isopropyl alcohol and acetylene alcohol. Preferably. In addition, as an acetylene alcohol, the acetylene alcohol shown by a following formula can be mentioned, for example.
[0088]
(In the above formula, R 1 , R 2 , R 3 And R 4 Represents an alkyl group, specifically, for example, a linear or branched alkyl group having 1 to 4 carbon atoms, m and n each represent an integer, and m = 0 and n = 0 or 1 When ≦ m + n ≦ 30 and m + n = 1, m or n is 0. )
[0089]
The liquid composition may contain, in addition to the components described above, at least one surfactant having the same polarity as the colorant in the ink or a nonionic surfactant. By including these surfactants, desired permeability and viscosity can be imparted to the liquid composition, and the performance required for the inkjet recording ink can be further satisfied. The surfactant used in this case may be any of the following ionic surfactants, nonionic surfactants and amphoteric surfactants, or a mixture of two or more of them.
[0090]
(Anionic surfactant)
Fatty acid salts, higher alcohol acid ester salts, alkyl benzene sulfonates, higher alcohol phosphate salts, alkyl sulfates, alkyl sulfates, dialkyl sulfosuccinates, alkyl sulfo acetates, dialkyl sulfosuccinates and the like.
(Cationic surfactant)
Aliphatic amine salts, quaternary ammonium salts, alkylpyridinium salts and the like.
[0091]
(Nonionic surfactant)
Higher alcohol ethylene oxide adduct, alkylphenol ethylene oxide adduct, aliphatic ethylene oxide adduct, polyhydric alcohol fatty acid ester ethylene oxide adduct, aliphatic amide ethylene oxide adduct, higher alkylamine ethylene oxide adduct, polypropylene glycol ethylene oxide Adducts, fatty acid esters of polyhydric alcohols, fatty acid amides of alkanolamines, and the like.
(Amphoteric surfactant)
Amino acid type, betaine type amphoteric surfactant and the like.
[0092]
The amount of the surfactant described above in each liquid composition is not particularly limited, but is preferably in the range of 0.01 to 10% by mass based on the total mass of the liquid composition. If the amount is less than 0.01% by mass, depending on the type of the surfactant, desired permeability cannot be generally obtained. If the amount exceeds 10% by mass, the initial viscosity of the liquid composition increases, which is not preferable. More preferably, the content is in the range of 0.1 to 5.0% by mass of the total mass of the liquid composition.
[0093]
The above liquid composition can be used for inkjet recording. Ink jet recording methods include a recording method in which mechanical energy is applied to ink to eject droplets, and a recording method in which thermal energy is applied to ink to eject droplets by bubbling of the ink. It is particularly suitable for When the liquid composition is used for inkjet recording, it is preferable that the liquid composition has characteristics capable of being ejected from an inkjet head. From the viewpoint of the ejection property from the inkjet head, the properties of the liquid include, for example, a viscosity of 1 to 15 cps and a surface tension of 25 dyn / cm or more, particularly a viscosity of 1 to 5 cps and a surface tension of 25 to 50 dyn / cm. cm is preferable.
[0094]
<Inkjet recording device>
The ink set of the present invention comprising a combination of the above-described liquid composition, black ink and color ink is suitable for an ink jet recording method in which ink droplets are ejected from an orifice according to a recording signal to perform recording on a recording medium. Although it is used, it is particularly suitably used in an ink jet recording system in which recording is performed by ejecting ink droplets by the action of thermal energy. As a recording method for suitably performing recording using the ink set of the present invention, there is provided an ink jet recording method in which thermal energy corresponding to a recording signal is applied to inks of respective colors accommodated in a recording head and droplets are generated by the energy. An example of the inkjet recording apparatus of the present invention to which such an inkjet recording method is applied will be described below.
[0095]
First, examples of the configuration of a head, which is a main part of the apparatus, are shown in FIGS. 5, 6, and 7. FIG. FIG. 5 is a cross-sectional view of the head 13 along the ink flow path, and FIG. 6 is a cross-sectional view taken along line AB in FIG. The head 13 includes a glass, ceramic or plastic plate having a groove 14 through which ink passes, and a heating head 15 (a thin film head is shown in the figure, but is not limited to this). ) Is obtained by bonding. The heating head 15 has a good heat dissipation property such as a protective film 16 formed of silicon oxide or the like, aluminum electrodes 17-1 and 17-2, a heating resistor layer 18 formed of nichrome or the like, a heat storage layer 19, and alumina. It consists of a substrate 20.
[0096]
The ink 21 has a discharge orifice (fine hole) 22 and forms a meniscus 23 by pressure. Now, when electric signal information is applied to the aluminum electrodes 17-1 and 17-2, the area indicated by n of the heating head 15 generates heat rapidly, and bubbles are generated in the ink 21 in contact with the area, and the pressure is increased by the pressure. The meniscus 23 protrudes, the ink 21 is ejected to form an ink droplet 24, and flies from the ejection orifice 22 toward the recording medium 25.
[0097]
FIG. 7 shows an external view of a multi-head in which many heads shown in FIG. 5 are arranged. The multi-head is manufactured by closely contacting a glass plate 27 having a multi-groove 26 and a heating head 28 similar to that described with reference to FIG.
[0098]
FIG. 8 shows an example of an ink jet recording apparatus incorporating the above head. In FIG. 8, reference numeral 61 denotes a blade serving as a wiping member, one end of which is held by a blade holding member and serves as a fixed end, and forms a cantilever. The blade 61 is arranged at a position adjacent to a recording area of the recording head 65, and in this example, is held in a form protruding into the movement path of the recording head 65. Reference numeral 62 denotes a cap on the ejection port surface of the recording head 65, which is disposed at a home position adjacent to the blade 61, moves in a direction perpendicular to the direction in which the recording head 65 moves, comes into contact with the ink ejection port surface, and is capped. Is provided. Further, reference numeral 63 denotes an ink absorber provided adjacent to the blade 61, and is held in a form protruding into the movement path of the recording head 65, similarly to the blade 61.
[0099]
The blade 61, the cap 62, and the ink absorber 63 constitute an ejection recovery unit 64, and the blade 61 and the ink absorber 63 remove moisture, dust, and the like from the ink ejection port surface. Reference numeral 65 denotes a recording head that has ejection energy generating means and performs recording by ejecting ink to a recording medium facing an ejection port surface provided with ejection ports. Carriage. The carriage 66 is slidably engaged with the guide shaft 67, and a part of the carriage 66 is connected to a belt 69 driven by a motor 68 (not shown). As a result, the carriage 66 can move along the guide shaft 67, and the recording head 65 can move the recording area and the adjacent area.
[0100]
Reference numeral 51 denotes a paper feed unit for inserting a recording medium, and reference numeral 52 denotes a paper feed roller driven by a motor (not shown). With these configurations, the recording medium is fed to a position facing the discharge port surface of the recording head 65, and is discharged to a discharge section provided with a discharge roller 53 as recording proceeds.
[0101]
In the above configuration, when the recording head 65 returns to the home position at the end of recording or the like, the cap 62 of the ejection recovery unit 64 is retracted from the moving path of the recording head 65, but the blade 61 protrudes into the moving path. As a result, the ejection port surface of the recording head 65 is wiped. When capping is performed with the cap 62 in contact with the ejection surface of the recording head 65, the cap 62 moves so as to protrude into the movement path of the recording head.
[0102]
When the recording head 65 moves from the home position to the recording start position, the cap 62 and the blade 61 are at the same position as the position at the time of wiping described above. As a result, the ejection port surface of the recording head 65 is also wiped during this movement. The movement of the print head 65 to the home position is performed not only at the end of printing or at the time of ejection recovery, but also at the home position adjacent to the printing area at a predetermined interval while the printing head 65 moves through the printing area for printing. And the wiping is performed along with this movement.
[0103]
FIG. 9 is a diagram illustrating an example of an ink cartridge 45 that stores ink supplied to the head via an ink supply member, for example, a tube. Here, reference numeral 40 denotes an ink storage portion that stores the supply ink, for example, an ink bag, and a rubber stopper 42 is provided at the tip thereof. By inserting a needle (not shown) into the stopper 42, the ink in the ink bag 40 can be supplied to the head. An ink absorber 44 receives the waste ink. It is preferable for the present invention that the ink container has a liquid contact surface with the ink formed of polyolefin, particularly polyethylene.
[0104]
The ink jet recording apparatus according to the present invention is not limited to the above-described head and the ink cartridge which are separately provided, but may be suitably used for an integrated one as shown in FIG. In FIG. 10, reference numeral 70 denotes a recording unit, in which an ink storage unit storing ink, for example, an ink absorber is stored, and a head unit having a plurality of orifices in which the ink in the ink absorber is stored. It is configured to be ejected from 71 as ink droplets.
[0105]
As a material of the ink absorber, it is preferable to use polyurethane, cellulose, polyvinyl acetate, or polyolefin resin. Reference numeral 72 denotes an atmosphere communication port for communicating the inside of the recording unit with the atmosphere. This recording unit 70 is used in place of the recording head shown in FIG. 8, and is detachable from the carriage 66.
[0106]
FIG. 11 is a perspective view showing an ink jet recording apparatus applicable to the present invention. The recording medium 106 inserted at the paper feed position of the recording device 111 is transported by the transport roller 109 to a recordable area of the recording head unit 103. A platen 108 is provided below the recording medium in the recordable area. The carriage 112 is configured to be movable in a direction determined by two guide shafts, a guide shaft 104 and a guide shaft 105, and reciprocally scans a recording area. On the carriage 112, a print head unit that includes a print head that discharges a plurality of color inks and an ink tank that supplies ink to each print head is mounted. The plurality of color inks provided in the ink jet recording apparatus of this example are four color inks of black (Bk), cyan (C), magenta (M), and yellow (Y).
[0107]
At the left end of the area where the carriage can move, there is a recovery system unit 110 at the bottom, which caps the ejection opening of the print head during non-printing. This left end is called the home position of the recording head. Reference numeral 107 denotes a switch unit and a display element unit. The switch unit is used when turning on / off the power of the recording apparatus, setting various recording modes, and the like. The switch unit plays a role in displaying the state of the recording apparatus.
[0108]
FIG. 12 is a perspective view showing the recording head unit of FIG.
The carriage 112 is equipped with a recording head 102 that ejects ink of each color of Bk, C, M, and Y, an ink tank 20Bk for Bk, an ink tank 20C for C, an ink tank 20M for M, and an ink tank 20Y for Y. You. Each tank is connected to the print head via a connection to the print head, and supplies ink to the ejection openings.
In addition to this example, for example, the tanks for the respective color inks of C, M and Y may have an integral structure.
[0109]
FIG. 13 is an enlarged cross-sectional view near the heating element of the recording head. In the ink jet recording apparatus of this example, a heating element which is an electric-to-heat converter is arranged corresponding to each ink ejection port, and a drive signal corresponding to recording information is applied to the heating element to eject ink from a nozzle. The recording method is adopted. The heating element 31 is configured to be capable of generating heat independently for all nozzles.
[0110]
The ink in the nozzle, which is rapidly heated by the heat generated by the heating element 31, forms bubbles due to film boiling, and the ink droplet 35 is ejected toward the recording medium 106 as shown in FIG. As a result, characters and images are formed on the recording medium. Each of the discharge ports 37 is provided with an ink liquid path communicating with the discharge port. Behind the portion where the ink liquid path 38 is provided, a common liquid chamber for supplying ink to these liquid paths is provided. 32 are provided. In the ink liquid passage corresponding to each of the ejection ports, a heating element 31 which is an electric-to-heat converter that generates thermal energy used for ejecting ink droplets from these ejection ports, and supplies power to the heating element 31 Electrode wiring is provided.
[0111]
These heating elements 31 and electrode wirings are formed on a substrate 33 made of silicon or the like by a film forming technique. A protective film 36 is formed on the heating element 31 so that the ink does not directly contact the heating element 31. Further, by laminating a partition wall 34 made of a resin or a glass material on this substrate, the above-described discharge port, ink liquid path, common liquid chamber, and the like are formed.
[0112]
As described above, the recording method using the heating element, which is an electric-heat converter, uses a bubble formed by applying thermal energy at the time of ejecting an ink droplet, and is generally called a bubble jet (registered trademark) recording method. Have been. In the above-described recording apparatus of the present invention, an ink jet recording apparatus that ejects ink droplets by applying thermal energy to ink has been described as an example, but in addition, a piezo method using a piezoelectric element, etc. May be used as the ink jet recording apparatus.
[0113]
Next, other specific examples of the recording apparatus and the recording head which can be suitably used in the present invention will be described. FIG. 14 is a schematic perspective view showing an essential part of an example of a liquid discharge head as a liquid discharge head of a discharge method and a liquid jet apparatus using this head, which communicates bubbles with the atmosphere at the time of discharge according to the present invention. It is.
[0114]
In FIG. 14, an inkjet printer includes a transport device 1030 that intermittently transports a sheet 1028 as a recording medium provided in a casing 1008 along a longitudinal direction in a direction indicated by an arrow P shown in FIG. The recording unit 1010 is configured to reciprocate substantially parallel to a direction S that is substantially perpendicular to the transport direction P of the sheet 1028 by 1030, and a movement driving unit 1006 as a driving unit that reciprocates the recording unit 1010. .
[0115]
The movement driving unit 1006 includes a belt 1016 wound around pulleys 1026a and 1026b disposed on rotating shafts that are disposed to face each other at a predetermined interval, and a carriage member 1010a of the recording unit 1010 disposed substantially parallel to the roller units 1022a and 1022b. And a motor 1018 for driving a belt 1016 connected to the motor 1010 in the forward and reverse directions.
[0116]
When the motor 1018 is activated and the belt 1016 rotates in the direction of arrow R in FIG. 14, the carriage member 1010a of the recording unit 1010 is moved by a predetermined amount in the direction of arrow S in FIG. When the motor 1018 is activated and the belt 1016 rotates in the direction opposite to the direction of the arrow R in FIG. 14, the carriage member 1010a of the recording unit 1010 moves in a predetermined direction in the direction opposite to the direction of the arrow S in FIG. It will be moved by the moving amount. Further, at one end of the movement driving unit 1006, a recovery unit 1026 for performing an ejection recovery process of the recording unit 1010 is provided at a position serving as a home position of the carriage member 1010a so as to face the ink ejection port arrangement of the recording unit 1010. Is provided.
[0117]
The recording unit 1010 is configured such that inkjet cartridges 1012Y, 1012M, 1012C, and 1012Bk are detachable from the carriage member 1010a for each color, for example, yellow, magenta, cyan, and black, respectively. Be prepared for.
[0118]
FIG. 15 shows an example of an ink jet cartridge that can be mounted on the above ink jet recording apparatus. The cartridge 1012 in this example is of a serial type, and its main part is composed of an ink jet recording head 100 and a liquid tank 1001 that stores a liquid such as ink.
[0119]
The ink jet recording head 100 has a large number of discharge ports 832 for discharging liquid, and a liquid such as ink is supplied from the liquid tank 1001 to a common liquid chamber (see FIG. 16). The cartridge 1012 integrally forms the ink jet recording head 100 and the liquid tank 1001 so that liquid can be supplied into the liquid tank 1001 as needed. A structure in which the tanks 1001 are interchangeably connected may be adopted.
[0120]
A specific example of the above-described liquid discharge head that can be mounted on the ink jet printer having such a configuration will be described in more detail below. FIG. 16 is a schematic perspective view schematically showing a main part of a liquid discharge head showing a basic mode of the present invention, and FIGS. 17 to 20 are front views showing discharge port shapes of the liquid discharge head shown in FIG. FIG. Note that electrical wiring and the like for driving the electrothermal transducer are omitted.
[0121]
In the liquid ejection head of this example, for example, a substrate 934 made of glass, ceramics, plastic, metal, or the like as shown in FIG. 16 is used. The material of such a substrate is not the essence of the present invention, and functions as a part of the flow path constituting member, and serves as a support for a material layer forming an ink discharge energy generating element, a liquid flow path described later, and a discharge port. There is no particular limitation as long as it can function. Therefore, in this example, a case where a Si substrate (wafer) is used will be described. The ejection port can be formed by an exposure apparatus such as an MPA (Mirror Projection Liner) using, for example, an orifice plate (ejection port plate) 935 described later as a photosensitive resin, in addition to the laser beam forming method.
[0122]
In FIG. 16, reference numeral 934 denotes a substrate provided with an electrothermal conversion element (hereinafter, sometimes referred to as a heater) 931 and an ink supply port 933 formed of a long groove-shaped through hole as a common liquid chamber. On both sides in the longitudinal direction, heaters 931 serving as thermal energy generating means are arranged in a staggered pattern with a spacing of the electrothermal conversion elements of, for example, 300 dpi. On the substrate 934, an ink flow path wall 936 for forming an ink flow path is provided. The ink flow path wall 936 is further provided with a discharge port plate 935 having a discharge port 832.
[0123]
Here, in FIG. 16, the ink flow path wall 936 and the ejection port plate 935 are shown as separate members, but the ink flow path wall 936 is formed on the substrate 934 by, for example, a method such as spin coating. Thus, the ink flow path wall 936 and the discharge port plate 935 can be formed simultaneously as the same member. In this example, the ejection port surface (upper surface) 935a is further subjected to a water-repellent treatment.
[0124]
In this example, a serial type head that performs printing while scanning in the direction of arrow S in FIG. 14 is used, and printing is performed at, for example, 1,200 dpi. The driving frequency is 10 kHz, and one ejection port performs ejection at a minimum time interval of 100 μs.
[0125]
As an example of the actual dimensions of the head, for example, as shown in FIG. 17, a partition wall 936a that fluidly isolates adjacent nozzles has a width w = 14 μm. As shown in FIG. 16, the bubbling chamber 1337 formed by the ink flow path wall 936 has N 1 (Width of foaming chamber) = 33 μm, N 2 (Length dimension of foaming chamber) = 35 μm. The size of the heater 931 is 30 μm × 30 μm, the heater resistance value is 53Ω, and the driving voltage is 10.3V. The height of the ink flow path wall 936 and the partition wall 936a is 12 μm, and the thickness of the ejection port plate is 11 μm.
[0126]
As shown in FIG. 18, of the cross section of the discharge port portion 940 provided in the discharge port plate including the discharge port 832, a cross section cut in a direction intersecting the ink discharge direction (the thickness direction of the orifice plate 935). Has a general star shape, and is roughly composed of six raised portions 832a having obtuse angles and six recessed portions 832b alternately arranged between these raised portions 832a and having acute angles. ing. That is, the bottom 832b as a region locally distant from the center O of the discharge port is the top, and the raised portion 832a as a region locally close to the center O of the discharge port adjacent to this region is the base. Six grooves are formed in the thickness direction (liquid ejection direction) of the orifice plate shown in FIG. 16 (refer to 1141a in FIG. 21 for the positions of the grooves).
[0127]
In this example, the discharge port portion 940 has, for example, a shape obtained by combining two equilateral triangles each having a side of 27 μm, which are cut in a direction intersecting the thickness direction, in a state rotated by 60 degrees. T shown in 1 Is 8 μm. The angles of the raised portions 832a are all 120 degrees, and the angles of the bent portions 832b are all 60 degrees.
[0128]
Accordingly, a polygon formed by connecting the center O of the discharge port and the center of the groove adjacent to each other (the center (center of gravity) of a figure formed by connecting the top of the groove and two bases adjacent to the top). With the center of gravity G. The opening area of the discharge port 832 in this example is 400 μm. 2 And the opening area of the groove (the area of the figure formed by connecting the top of the groove and the two bases adjacent to the top) is about 33 μm per one. 2 It has become. FIG. 19 is a schematic diagram showing the state of ink adhesion at the ejection port shown in FIG.
[0129]
Next, the operation of discharging the liquid by the ink jet recording head having the above configuration will be described with reference to FIGS. 21 to 28 are cross-sectional views for explaining the liquid discharging operation of the liquid discharging head shown in FIGS. 16 to 20, and are XX cross-sectional views of the bubbling chamber 1337 shown in FIG. In this cross section, the end of the discharge port 940 in the thickness direction of the orifice plate is the top 1141a of the groove 1141.
[0130]
21 shows a state in which a film-like bubble is generated on the heater. FIG. 22 is about 1 μs after FIG. 21, FIG. 23 is about 2 μs after FIG. 21, FIG. 24 is about 3 μs after FIG. 21, and FIG. 21 shows a state after about 4 μs in FIG. 21, FIG. 26 shows a state after about 5 μs in FIG. 21, FIG. 27 shows a state after about 6 μs in FIG. 21, and FIG. In the following description, "fall" or "drop" does not mean "drop in the direction of gravity", and does not mean movement in the direction of the electrothermal transducer regardless of the mounting direction of the head. Say.
[0131]
First, as shown in FIG. 21, when air bubbles 101 are generated in the liquid flow path 1338 on the heater 931 due to energization of the heater 931 based on a recording signal or the like, the period shown in FIGS. As shown, it grows rapidly with volume expansion. The height of the bubble 101 at the maximum volume is higher than the discharge port surface 935a, but at this time, the pressure of the bubble has been reduced from a fraction of the atmospheric pressure to a fraction of the atmospheric pressure.
[0132]
Next, at about 2 μs after the generation of the bubble 101, the bubble 101 starts to decrease in volume from the maximum volume as described above, and almost at the same time, the formation of the meniscus 1004 starts. The meniscus 1004 also retreats toward the heater 931 as shown in FIG. 23, that is, falls.
[0133]
Here, in this example, since the plurality of grooves 1141 are dispersed in the discharge port portion, when the meniscus 1004 retreats, the meniscus retreat direction F M Opposite direction F C Capillary force acts on. As a result, even if a slight variation in the state of the bubble 101 is recognized for some reason, the meniscus and the main liquid droplet (hereinafter, sometimes referred to as liquid or ink) at the time of the meniscus retreating are I a Is corrected so as to be substantially symmetrical with respect to the center of the discharge port.
[0134]
In this example, since the falling speed of the meniscus 1004 is higher than the contraction speed of the bubble 101, the bubble 101 is generated near the lower surface of the discharge port 832 at about 4 μs after the bubble is generated as shown in FIG. Communicate with atmosphere. At this time, the liquid (ink) near the central axis of the ejection port 832 falls toward the heater 931. This is because the liquid (ink) I drawn back to the heater 931 by the negative pressure of the bubble 101 before communicating with the atmosphere. a However, the velocity in the plane of the heater 931 is maintained by inertia even after the bubbles 101 communicate with the atmosphere.
[0135]
The liquid (ink) that has dropped toward the heater 931 reaches the surface of the heater 931 at about 5 μs after the generation of the bubble 101 as shown in FIG. 26, and as shown in FIG. Spread to cover the surface. The liquid spread so as to cover the surface of the heater 931 has a horizontal vector along the surface of the heater 931, but the vector crossing the surface of the heater 931, for example, the vector in the vertical direction disappears, and the heater 931. , And the liquid above it, that is, the liquid that maintains the velocity vector in the ejection direction, will be pulled downward.
[0136]
Then, the liquid portion I between the liquid spread on the surface of the heater 931 and the upper liquid (main droplet) b At about 7 μs after the bubble 101 is generated, as shown in FIG. 28, the liquid portion I is formed at the center of the surface of the heater 931. b Is cut, and the main droplet I that maintains the velocity vector in the ejection direction a And the liquid I spread on the surface of the heater 931 c And separated into Thus, the separation position is desirably inside the liquid flow path 1338, more preferably on the electrothermal conversion element 931 side than the discharge port 832.
[0137]
Main droplet I a Is discharged from the central portion of the discharge port 832 without being displaced in the discharge direction and without being distorted, and is landed at a predetermined position on the recording surface of the recording medium. The liquid I spread on the surface of the heater 931 c In the related art, a satellite droplet flies as a satellite droplet following the main droplet, but stays on the surface of the heater 931 and is not ejected.
[0138]
Since the ejection of satellite droplets can be suppressed in this way, it is possible to prevent splash, which is likely to be caused by the ejection of satellite droplets, and to ensure that the recording surface of the recording medium is not stained by mist floating in a mist state. Can be prevented. 25 to 28, I d Indicates the ink attached to the groove (ink in the groove) and I e Represents the ink remaining in the liquid flow path.
[0139]
As described above, in the liquid ejection head of this example, when the liquid is ejected at the volume reduction stage after the bubble has grown to the maximum volume, the plurality of grooves dispersed with respect to the center of the ejection port cause the main ejection during ejection. The direction of the droplet can be stabilized. As a result, it is possible to provide a liquid ejection head with high landing accuracy, with no deviation in the ejection direction. Further, high-speed and high-definition printing can be realized because the ejection can be stably performed even with respect to foaming variation at a high driving frequency.
[0140]
In particular, by discharging the liquid by starting the bubble and communicating with the atmosphere at the stage of reducing the volume of the bubble, it is possible to prevent mist generated when the bubble is discharged by connecting the bubble to the atmosphere, so-called suddenly It is also possible to suppress a state in which droplets adhere to the ejection port surface, which is a cause of non-discharge.
[0141]
Further, as another embodiment of a recording head of a discharge system which can be suitably used in the present invention and which communicates bubbles with the atmosphere at the time of discharge, there is a so-called edge shooter type as described in, for example, Japanese Patent No. 2783647. .
[0142]
The present invention provides an excellent effect particularly in an ink jet recording head and a recording apparatus in which a flying droplet is formed by utilizing thermal energy and recording is performed among the ink jet recording methods.
[0143]
Regarding the typical configuration and principle, it is preferable to use the basic principle disclosed in, for example, US Pat. Nos. 4,723,129 and 4,740,796. . This method can be applied to both the so-called on-demand type and the continuous type. In particular, in the case of the on-demand type, it is arranged corresponding to the sheet or liquid path holding the liquid (ink). Applying at least one drive signal corresponding to recording information and providing a rapid temperature rise exceeding nucleate boiling to the electrothermal transducer, thereby causing the electrothermal transducer to generate heat energy, and This is effective because a film in the liquid (ink) corresponding to this drive signal can be formed on a one-to-one basis by causing film boiling on the heat acting surface. By discharging the liquid (ink) through the discharge opening by the growth and contraction of the bubble, at least one droplet is formed. When the drive signal is formed into a pulse shape, the growth and shrinkage of the bubble are performed immediately and appropriately, so that the ejection of the liquid (ink) having particularly excellent responsiveness can be achieved, which is more preferable.
[0144]
As the pulse-shaped drive signal, those described in U.S. Pat. Nos. 4,463,359 and 4,345,262 are suitable. If the conditions described in U.S. Pat. No. 4,313,124 concerning the temperature rise rate of the heat acting surface are adopted, more excellent recording can be performed.
[0145]
As a configuration of the recording head, in addition to a combination configuration (a linear liquid flow path or a rectangular liquid flow path) of a discharge port, a liquid path, and an electrothermal converter as disclosed in each of the above-mentioned specifications, The present invention also includes a configuration using U.S. Pat. No. 4,558,333 and U.S. Pat. No. 4,459,600 which disclose a configuration in which an action portion is arranged in a bending region. is there.
[0146]
In addition, JP-A-59-123670 which discloses a configuration in which a common slit is used as a discharge portion of an electrothermal transducer for a plurality of electrothermal transducers, and an aperture for absorbing a pressure wave of thermal energy. The present invention is also effective as a configuration based on JP-A-59-138461 which discloses a configuration corresponding to a discharge unit.
[0147]
Further, as a full-line type recording head having a length corresponding to the width of the maximum recording medium that can be recorded by the recording apparatus, its length is determined by a combination of a plurality of recording heads as disclosed in the above-mentioned specification. The present invention can exhibit the above-mentioned effects more effectively, though it may be either a configuration that satisfies or a configuration as a single recording head that is integrally formed.
[0148]
In addition, a replaceable chip-type recording head that can be electrically connected to the apparatus main body and supplied with ink from the apparatus main body by being attached to the apparatus main body, or ink that is integrated with the recording head itself The present invention is also effective when a cartridge type recording head provided with a tank is used.
[0149]
Further, it is preferable to add recovery means for the printhead, preliminary auxiliary means, and the like provided as components of the printing apparatus of the present invention since the effects of the present invention can be further stabilized. If these are specifically mentioned, capping means for the recording head, cleaning means, pressurizing or suction means, preheating means using an electrothermal transducer or another heating element or a combination thereof, and printing Performing a preliminary ejection mode for performing another ejection is also effective for performing stable printing.
[0150]
Further, the recording mode of the recording apparatus is not limited to a recording mode of only a mainstream color such as black, and may be a recording head integrally formed or a combination of a plurality of recording heads. The present invention is extremely effective for an apparatus having at least one of full colors.
[0151]
In the embodiment of the present invention described above, the ink is described as a liquid. However, an ink that solidifies at room temperature or below and that softens at room temperature or is a liquid, or the above-described ink jet system In general, the temperature of the ink itself is controlled within a range of 30 ° C. or more and 70 ° C. or less to control the temperature so that the viscosity of the ink is in a stable ejection range. Anything should do.
[0152]
In addition, positively prevent temperature rise due to thermal energy by using it as energy for changing the state of the ink from a solid state to a liquid state, or use ink that solidifies in a standing state to prevent evaporation of the ink. In either case, the ink is liquefied by the application of the thermal energy according to the recording signal, and the ink is liquefied and ejected as a liquid ink, or the ink already starts to solidify when it reaches the recording medium. The use of an ink that liquefies for the first time by energy is also applicable to the present invention. In such a case, the ink is held in a state of being held as a liquid or solid substance in the concave portion or through hole of the porous sheet as described in JP-A-54-56847 or JP-A-60-71260. Alternatively, it may be configured to face the electrothermal converter. In the present invention, the most effective one for each of the above-mentioned inks is to execute the above-mentioned film boiling method.
[0153]
In addition, as a form of the recording apparatus according to the present invention, in addition to those provided integrally or separately as an image output terminal of an information processing device such as a word processor or a computer, a copying apparatus combined with a reader, and further, a transmission / reception function A facsimile device may be used.
[0154]
Next, an outline of a liquid ejection apparatus equipped with the above-described liquid ejection head will be described. FIG. 29 is a schematic perspective view of an ink jet recording apparatus 600 which is an example of a liquid ejection apparatus to which the liquid ejection head of the present invention can be mounted and applied.
[0155]
In FIG. 29, an ink jet head cartridge 601 is formed by integrating the above-described liquid ejection head and an ink tank that holds ink to be supplied to the liquid ejection head. The inkjet head cartridge 601 is mounted on a carriage 607 that engages with a spiral groove 606 of a lead screw 605 that rotates via driving force transmission gears 603 and 604 in conjunction with forward and reverse rotation of a driving motor 602. The carriage 607 is reciprocated along the guide 608 with the power of the drive motor 602 in the directions of arrows a and b. The recording medium P ′ is conveyed on the platen roller 609 by a recording medium conveying unit (not shown), and is pressed against the platen roller 609 by the paper pressing plate 610 in the moving direction of the carriage 607.
[0156]
Photocouplers 611 and 612 are provided near one end of the lead screw 605. These are home position detecting means for confirming the presence of the lever 607a of the carriage 607 in this area and switching the rotation direction of the drive motor 602 and the like.
[0157]
The support member 613 supports the cap member 614 that covers the front surface (discharge port surface) of the above-described inkjet head cartridge 601 having the discharge ports. Further, the ink suction means 615 is for sucking the ink accumulated inside the cap member 614 due to idle discharge or the like from the inkjet head cartridge 601. The ink suction unit 615 performs suction recovery of the ink jet head cartridge 601 through an opening (not shown) in the cap. A cleaning blade 617 for wiping the ejection opening surface of the ink jet head cartridge 601 is provided so as to be movable in a front-rear direction (a direction orthogonal to the moving direction of the carriage 607) by a moving member 618. The cleaning blade 617 and the moving member 618 are supported by a main body support 619. The cleaning blade 617 is not limited to this mode, and may be another known cleaning blade.
[0158]
In the suction recovery operation of the liquid discharge head, the lever 620 for starting suction moves with the movement of the cam 621 engaged with the carriage 607, and the driving force from the driving motor 602 transmits a known transmission such as clutch switching. The movement is controlled by means. An ink jet recording control unit for giving a signal to a heating element provided in the liquid ejection head of the ink jet head cartridge 601 and for controlling the driving of each mechanism described above is provided on the apparatus main body side. Not shown.
[0159]
In the ink jet recording apparatus 600 having the above-described configuration, the ink jet head cartridge 601 reciprocates over the entire width of the recording medium P ′ with respect to the recording medium P ′ conveyed on the platen roller 609 by the recording medium conveying means (not shown). While recording.
[0160]
【Example】
Next, the present invention will be described more specifically with reference to examples and comparative examples, but the present invention is not limited to the following examples unless it exceeds the gist. In the following description, “parts” and “%” are based on mass unless otherwise specified.
[0161]
[Preparation of pigment dispersion]
(Pigment dispersion liquid 1)
Specific surface area 220g / m 2 Then, 500 g of carbon black having a DBP oil absorption of 112 ml / 100 g, 45 g of aminophenyl-2-sulfoethyl-sulfone (APSES), and 900 g of distilled water are charged into the reactor, kept at 55 ° C., stirred at 300 rpm, and stirred for 20 minutes. did. Thereafter, 40 g of sodium nitrite having a concentration of 25% was added dropwise for 15 minutes, and 50 g of distilled water was further added. Thereafter, the temperature was maintained at 60 ° C., and the reaction was performed for 2 hours. The reaction product was taken out while diluting with distilled water and adjusted to a concentration of 15% solids. Thereafter, a centrifugal separation treatment and a purification treatment for removing impurities were performed. The dispersion thus prepared was a dispersion in which the above-described functional group of APSES was bonded to carbon black. This dispersion was designated as A1.
[0162]
Next, the following operation was performed to determine the number of moles of the functional group bonded to the carbon black in the dispersion. The Na ion in the dispersion was measured with a probe-type sodium electrode, and was converted per carbon black powder. Next, the dispersion A1 having a concentration of 15% was added dropwise to the pentaethylenehexamine (PEHA) solution over 1 hour while maintaining the temperature at room temperature with vigorous stirring. The concentration of PEHA at this time was 1 to 10 times the measured number of moles of Na ions, and the amount of the solution was the same as that of the dispersion A1. The mixture was further stirred for 18 to 48 hours, followed by a purification treatment for removing impurities, and finally a dispersion having pentaethylenehexamine (PEHA) with a solid content of 10% bound thereto. This dispersion was designated as B1.
[0163]
Next, 500 g of the obtained dispersion B1 having a concentration of 10% was dropped into an aqueous solution in which a styrene-acrylic acid resin was dissolved while stirring. This styrene-acrylic acid resin aqueous solution takes 190 g of styrene-acrylic acid having a weight average molecular weight of 15,000, an acid value of 140 and a degree of dispersion Mw / Mn of 1.5, and adds 1,800 g of distilled water to neutralize the resin. NaOH necessary for this was added, and the mixture was adjusted to dissolve by stirring. The above drop mixture was transferred to a Pyrex (registered trademark) evaporation dish, heated at 150 ° C. for 15 hours, and evaporated. The evaporated product was cooled to room temperature. Next, the evaporatively dried product was dispersed in NaOH-added distilled water adjusted to pH = 9.0 using a disperser. While further stirring, 1.0 M NaOH was added to adjust the pH to 10-11. Thereafter, desalting, purification for removing impurities, and removal of coarse particles were performed to obtain a pigment dispersion liquid 1. The physical properties of Pigment Dispersion 1 were as follows.
Solid content 10% pH = 10.1 Average particle size 130nm
[0164]
(Pigment dispersion liquid 2)
Dispersion B1 was prepared in the same manner as in Pigment Dispersion 1, and instead of a styrene-acrylic acid resin having a weight average molecular weight of 15,000, an acid value of 140 and a degree of dispersion Mw / Mn of 1.5, a weight average molecular weight of 5 was prepared. Using a styrene-acrylic acid resin having a molecular weight of 4,000, an acid value of 140 and a degree of dispersion Mw / Mn of 1.8, the subsequent operation was performed in the same manner to obtain a pigment dispersion liquid 2. The physical properties of Pigment Dispersion Liquid 2 were as follows.
Solid content 10.5% pH = 10 Average particle size 134nm
[0165]
(Pigment dispersion 3)
Dispersion B1 was prepared in the same manner as in Pigment Dispersion 1, and instead of a styrene-acrylic acid resin having a weight average molecular weight of 15,000, an acid value of 140, and a dispersity of Mw / Mn of 1.5, a weight average molecular weight of 4 was prepared. Using a styrene-acrylic acid resin having a molecular weight of 4,000, an acid value of 480 and a degree of dispersion Mw / Mn of 2.2, the subsequent operation was performed in the same manner to obtain a pigment dispersion liquid 3. The physical properties of Pigment Dispersion Liquid 3 were as follows.
Solid content 10% pH = 9.0 Average particle diameter 140nm
[0166]
(Pigment dispersion liquid 4)
Dispersion A1 was prepared in the same manner as in Pigment Dispersion 1, and then, instead of pentaethylenehexamine (PEHA) of Pigment Dispersion 1, an amine value of 200, a weight average molecular weight of 10,000, and a degree of dispersion Mw / The same treatment was performed using a styrene-N, N, -dimethylaminoethyl methacrylate resin (St-DM) having an Mn of 1.8 to finally obtain a pigment dispersion liquid 4 in which St-DM was bonded to carbon black. The physical properties of Pigment Dispersion Liquid 4 were as follows.
Solid content 11% pH = 5.5 Average particle size 120nm
[0167]
(Pigment dispersion liquid 5)
Dispersion A1 was prepared in the same manner as in Pigment Dispersion 1, and then, instead of Pentaethylenehexamine (PEHA) of Pigment Dispersion 1, an amine value of 450, a weight average molecular weight of 4,000, and a dispersity of Mw / The same treatment was performed using a styrene-N, N, -dimethylaminoethyl methacrylate resin (St-DM) having an Mn of 1.8 to finally obtain a pigment dispersion liquid 5 in which St-DM was bonded to carbon black. The physical properties of Pigment Dispersion Liquid 5 were as follows.
Solid content 10% pH 4.5 Average particle size 142 nm
[0168]
<Example>
[Preparation of black ink]
Using the resin-bonded type self-dispersion type carbon black obtained above, the following components are mixed and sufficiently stirred to be dissolved or dispersed, and then pressurized with a micro filter having a pore size of 3.0 μm (manufactured by Fuji Film). After filtration, the ink of the present invention was prepared.
(Black ink 1 (2.5% weight loss))
・ 150 parts of the above pigment dispersion
・ Glycerin 5 parts
・ 1,5-pentanediol 6 parts
・ 5 parts of trimethylolpropane
・ Acetylene glycol EO adduct 0.1 part
・ Remaining pure water
[0169]
(Black ink 2 (weight loss rate 4%))
・ 45 parts of the above pigment dispersion liquid
・ Glycerin 5 parts
・ 5 parts of 1,5-pentanediol
・ 6 parts of trimethylolpropane
・ Acetylene glycol EO adduct 0.1 part
・ Remaining pure water
[0170]
(Black ink 3 (weight reduction rate 6.2%))
-350 parts of the above pigment dispersion
・ Glycerin 7 parts
・ Diethylene glycol 3 parts
・ 6 parts of trimethylolpropane
・ Acetylene glycol EO adduct 0.1 part
・ Remaining pure water
[0171]
(Black ink 4 (weight loss 1.8%))
-450 parts of the above pigment dispersion
・ Glycerin 5 parts
・ 5 parts of 1,5-pentanediol
・ 5 parts of trimethylolpropane
・ Acetylene glycol EO adduct 0.1 part
・ Remaining pure water
[0172]
(Black ink 5 (3.8% weight loss))
・ 550 parts of the above pigment dispersion
・ Glycerin 5 parts
・ 5 parts of 1,5-pentanediol
・ 6 parts of trimethylolpropane
・ Acetylene glycol EO adduct 0.15 parts
・ Remaining pure water
[0173]
[Preparation of color pigment dispersion]
(Color pigment dispersion 1)
・ Styrene-acrylic acid copolymer
(Weight average molecular weight 5,000) 5.5 parts
・ Monoethanolamine 1.0 part
・ Diethylene glycol 5.0 parts
・ 67.5 parts of pure water
[0174]
The above components were mixed and heated to 70 ° C. in a water bath to completely dissolve the resin components. I. Pigment Yellow 74, 20 parts of isopropyl alcohol, 1.0 part of isopropyl alcohol, premixing for 30 minutes, dispersion treatment under the following conditions, further centrifugation treatment to remove coarse particles, and then yellow pigment dispersion 1 was obtained.
Dispersing machine; Sand grinder
Grinding media; zirconium beads 1mm diameter
Grinding media filling rate: 50% (volume)
Grinding time: 3 hours
[0175]
In addition, C.I. I. Pigment Yellow 74, instead of C.I. I. Pigment Red 122 is added, and the dispersion treatment is performed in the same manner to obtain a magenta pigment dispersion 1 or a yellow pigment dispersion C.I. I. Pigment Yellow 74, instead of C.I. I. Pigment Blue 15: 3 was added, and dispersion treatment was performed in the same manner to obtain a cyan pigment dispersion 1.
[0176]
(Color pigment dispersion 2)
Next, in the preparation conditions of each color pigment dispersion 1, 5.5 parts of polyoxyethylene amine is used as the pigment dispersant instead of the styrene-acrylic acid copolymer (weight average molecular weight 5,000). Except for the above, each color pigment dispersion 2 was prepared under the same conditions.
[0177]
[Preparation of color ink]
After mixing and dissolving or dispersing the following components with sufficient stirring, the mixture was subjected to pressure filtration with a micro filter (manufactured by Fuji Film) having a pore size of 3.0 μm to prepare a color ink of the present invention.
(Cyan ink 1)
・ C. I. Direct Blue 199 3 copies
・ Glycerin 7 parts
・ 2-pyrrolidone 5 parts
・ Ethylene glycol 6 parts
・ Acetylene glycol EO adduct 1 part
・ Remaining pure water
[0178]
(Cyan ink 2)
・ C. I. Basic Blue 100 3 copies
・ Glycerin 7 parts
・ 2-pyrrolidone 5 parts
・ Ethylene glycol 6 parts
・ Acetylene glycol EO adduct 1 part
・ Remaining pure water
[0179]
(Cyan ink 3)
-30 parts of the cyan pigment dispersion 1
・ Glycerin 8 parts
・ Diethylene glycol 8 parts
・ Polyethylene glycol♯400 5 parts
・ Acetylene glycol EO adduct 0.8 parts
・ Remaining pure water
[0180]
(Cyan ink 4)
-30 parts of the cyan pigment dispersion 2
・ Glycerin 8 parts
・ Diethylene glycol 8 parts
・ Polyethylene glycol♯400 5 parts
・ Acetylene glycol EO adduct 0.8 parts
・ Remaining pure water
[0181]
(Magenta ink 1)
・ C. I. Acid Red 289 3 parts
・ Glycerin 6 parts
・ Diethylene glycol 5 parts
・ 7 parts of triethylene glycol
・ Acetylene glycol EO adduct 1 part
・ Remaining pure water
[0182]
(Magenta ink 2)
・ C. I. Basic Red 12 3 parts
・ Glycerin 6 parts
・ Diethylene glycol 5 parts
・ 7 parts of triethylene glycol
・ Acetylene glycol EO adduct 1 part
・ Remaining pure water
[0183]
(Magenta ink 3)
-30 parts of the magenta pigment dispersion 130
・ Glycerin 8 parts
・ Diethylene glycol 8 parts
・ Polyethylene glycol♯400 5 parts
・ Acetylene glycol EO adduct 0.8 parts
・ Remaining pure water
[0184]
(Magenta ink 4)
-30 parts of the magenta pigment dispersion 2
・ Glycerin 8 parts
・ Diethylene glycol 8 parts
・ Polyethylene glycol♯400 5 parts
・ Acetylene glycol EO adduct 0.8 parts
・ Remaining pure water
[0185]
(Yellow ink 1)
・ C. I. Acid Yellow 23 3 parts
・ Glycerin 7 parts
・ Diethylene glycol 7 parts
・ Urea 6 parts
・ Acetylene glycol EO adduct 1 part
・ Remaining pure water
[0186]
(Yellow ink 2)
・ C. I. Basic Yellow 21 3 parts
・ Glycerin 7 parts
・ Diethylene glycol 7 parts
・ Urea 6 parts
・ Acetylene glycol EO adduct 1 part
・ Remaining pure water
[0187]
(Yellow ink 3)
-30 parts of the yellow pigment dispersion 130
・ Glycerin 8 parts
・ Diethylene glycol 8 parts
・ Polyethylene glycol♯400 5 parts
・ Acetylene glycol EO adduct 0.8 parts
・ Remaining pure water
[0188]
(Yellow ink 4)
-30 parts of the yellow pigment dispersion 2
・ Glycerin 8 parts
・ Diethylene glycol 8 parts
・ Polyethylene glycol♯400 5 parts
・ Acetylene glycol EO adduct 0.8 parts
・ Remaining pure water
[0189]
[Preparation of liquid composition]
After mixing and dissolving or dispersing the following components with sufficient stirring, the mixture was subjected to pressure filtration with a micro filter having a pore size of 3.0 μm (manufactured by Fuji Film) to prepare a liquid composition of the present invention.
(Base ink for liquid composition)
・ Glycerin 5.0 parts
・ 1,5-pentanediol 5.0 parts
・ 7.0 parts of trimethylolpropane
・ Acetylenol EH 0.3 parts
・ Remaining pure water
[0190]
(Liquid composition 1)
-89.7 parts of base ink for liquid composition
・ 0.3 parts of trisodium citrate
・ Remaining pure water
Adjust the pH to 5 with sulfuric acid.
[0191]
(Liquid composition 2)
-89.7 parts of base ink for liquid composition
・ 0.3 parts of trisodium citrate
・ Pure water 10.0 parts
Adjust the pH to 4 using sulfuric acid.
[0192]
(Liquid composition 3)
・ 90.0 parts of base ink for liquid composition
・ Sodium acetate 0.55 parts
・ Acetic acid 0.66 parts
・ Pure water 8.79 parts
[0193]
(Liquid composition 4)
・ 90.0 parts of base ink for liquid composition
-Ammonium benzoate 1.46 parts
・ Ammonia 0.88 parts
・ Pure water 7.66 parts
[0194]
(Liquid composition 5)
・ 90.0 parts of base ink for liquid composition
・ Ammonium sulfate 2.0 parts
・ 0.3 parts of lithium hydroxide
・ 7.7 parts of pure water
[0195]
(Liquid composition 6)
・ 90.0 parts of base ink for liquid composition
・ Pure water 10.0 parts
[0196]
Whether or not the liquid composition used for each ink set has a buffering effect on the change of the hydrogen ion concentration is determined by determining whether the liquid compositions 1 to 3 and 6 have 50 ml of the liquid composition in 1N water. The examination was carried out by measuring the difference between the pH value of the liquid composition to which 1.0 ml of the lithium oxide aqueous solution was added and the pH value of the liquid composition without the addition of the aqueous sulfuric acid solution.
For the liquid compositions 4 to 5 and 6, the pH value of the ink in which 1.5 ml of a 1N aqueous sulfuric acid solution was added to 50 ml of the liquid composition, and the pH value of the ink in the state in which the aqueous sulfuric acid solution was not added. Was determined by measuring the difference between The results are shown in Table 2. The pH of the black inks 1 to 5 was as shown in Table 1 below.
[0197]
Table 1
-PH of black ink 1 = 9.7
-PH of black ink 2 = 9.9
PH of black ink 3 = 8.7
-PH of black ink 4 = 5.6
PH of black ink 5 = 4.7
[0198]
[0199]
[Evaluation method and evaluation criteria]
An ink jet recording apparatus BJ- having an on-demand type multi-recording head for discharging ink by applying thermal energy to the ink in accordance with a recording signal using the ink and the liquid composition used in the above Examples and Comparative Examples. F870 (manufactured by Canon) was modified as follows. An ink tank filled with a liquid composition was inserted into the black (Bk) tank insertion portion of BJ-F870, and one ink tank filled with the black ink of the above-described Example and Comparative Example was inserted into the photocyan and photomagenta tank insertion portions A total of two tanks were inserted, and genuine BJ-F870 ink tanks were used as they were in the other cyan, magenta, and yellow tanks. The printing method was BJ-F870, and was performed in one-scan unidirectional printing in which printing for the nozzle width of the head was performed only when scanning from the home position to the opposite home position.
[0200]
The liquid composition was applied to the recording medium by a head having an ink tank filled with the liquid composition ink inserted into the above-described black tank insertion portion. The amount of ink applied to the recording medium is 1/600 inch × 1/600 inch per pixel in one scan unidirectional printing (hereinafter, 1 pixel is 1/600 inch × 1/600 inch). Is 4 dots per pixel, and the applied amount of 4 dots per pixel is 100% duty.
[0201]
Next, the ink was applied to the recording medium in the above Examples and Comparative Examples using two heads each having an ink tank in which the black ink of the above Examples and Comparative Examples was injected into the photocyan and photomagenta tank insertion portions. . The amount of black ink to be applied to the recording medium is adjusted so that a maximum of 8 dots per pixel can be applied in one scan unidirectional printing by using two heads, and by using two recording heads. Printing with a maximum applied amount of 8 dots of 200% duty was enabled. The ejection volume per dot of each liquid composition and ink in each recording head is about 5 pl.
[0202]
1. Printing persistence
Using the black ink and the ink jet recording apparatus, one of two black heads is used, and a solid print in which a nozzle check pattern is first inserted at 100% duty per pixel is continuously performed on A4 paper 3. A cycle in which printing was performed on one sheet, then printing was not performed for 2 hours, and then solid printing was continuously performed three times again was repeated 10 times. At that time, the presence or absence of print bleeding and non-ejection were evaluated according to the following criteria.
A: No printing bleeding and non-discharge are observed.
B: Some printing bleeding was observed, but no ejection failure was observed.
C: Printing bleeding and non-ejection are observed.
[0203]
2. Marker resistance
By using the above-described ink jet recording apparatus and two recording heads for the above black ink, the following printing of characters was performed on the recording mediums A, B, and C at a duty of 200% duty per pixel by applying the Bk ink. After the standing, the printed portion was marked using a commercially available water-based fluorescent marker pen (for example, a zebra fluorescent pen OPTEX OP-100-Y), and the stain on the marked portion was observed and evaluated according to the following criteria.
A: Stain is not conspicuous on all papers.
B: Dirt is conspicuous on some papers.
C: Stain is conspicuous on all papers.
[0204]
A: PSK paper NSK manufactured by Canon Inc.
B: PPC paper NDK manufactured by Canon Inc.
C: PPC paper 4024 manufactured by Xerox Corporation
[0205]
3. Bleeding between black ink and color ink
In a printing method of printing black ink and color ink by the same scan, using a liquid composition and each ink set on the three plain papers described above, the black ink is a solid portion of 200% duty using two black heads, A pattern in which 100% duty solid portions of yellow, magenta, or cyan ink were adjacent to each other was printed with a 100% duty applied amount for each color of the liquid composition ink. The evaluation criteria are as follows. Table 4 shows the obtained results.
[0206]
A: No bleed is visually observed at all boundaries.
B: Slight bleeding is visually observed, but not at a level of concern.
C: Bleed is visually observed.
Table 3 below shows combinations of the liquid composition and the inks of the examples and combinations of the liquid composition and the inks of the comparative examples by the above evaluation method. Table 4 below shows the evaluation results of the above evaluation items 1 to 3.
[0207]
[0208]
[0209]
【The invention's effect】
INDUSTRIAL APPLICABILITY As described above, according to the present invention, an ink set for color inkjet recording, which has good head reliability and marker resistance, and does not cause bleeding between black ink and color ink, A recording method, an inkjet recording device, and a bleed mitigation method are provided.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a diagram showing a result of performing thermogravimetric analysis on a sample obtained by washing out and drying to dryness after an acid of the ink of the present invention is precipitated.
FIG. 2 is a diagram showing the results of thermogravimetric analysis of a sample after the ink of the present invention has been subjected to acid precipitation, washed and dried, and further subjected to solvent extraction using THF.
FIG. 3 is a diagram showing a result of performing thermogravimetric analysis on a sample obtained by washing out and drying out a resin dispersion type ink after acid precipitation.
FIG. 4 is a diagram showing the results of thermogravimetric analysis of a sample after acid precipitation of a resin dispersion type ink, washing to dryness, and further solvent extraction using THF.
FIG. 5 is a longitudinal sectional view of an ink jet recording apparatus head.
FIG. 6 is a vertical and horizontal view of an ink jet recording apparatus head.
FIG. 7 is an external perspective view of a head obtained by multiplying the head shown in FIG. 5;
FIG. 8 is a perspective view illustrating an example of an ink jet recording apparatus.
FIG. 9 is a longitudinal sectional view of the ink cartridge.
FIG. 10 is a perspective view illustrating an example of a recording unit.
FIG. 11 is a perspective view showing an ink jet recording apparatus.
FIG. 12 is a perspective view showing the recording head unit of FIG.
FIG. 13 is an enlarged sectional view of the vicinity of a heating element of a recording head.
FIG. 14 is a schematic perspective view showing a main part of an example of an ink jet printer on which a liquid discharge head can be mounted.
FIG. 15 is a schematic perspective view showing one example of an ink jet cartridge provided with a liquid ejection head.
FIG. 16 is a schematic perspective view schematically showing a main part of an example of a liquid ejection head.
FIG. 17 is a conceptual diagram in which a part of an example of a liquid ejection head is extracted.
18 is an enlarged view of a portion of a discharge port shown in FIG.
FIG. 19 is a schematic view showing the state of ink adhesion at the ejection port shown in FIG. 18;
20 is a schematic view of a main part in FIG.
21 is a schematic cross-sectional view corresponding to the XX perspective cross-sectional shape in FIG. 20 and illustrating the liquid discharge operation of the liquid discharge head with time along with FIGS. 22 to 28. FIG.
FIG. 22 is a schematic cross-sectional view corresponding to the XX perspective cross-sectional shape in FIG. 20 and illustrating the liquid discharging operation of the liquid discharging head with time along with FIGS. 21 and 23 to 28;
23 is a schematic cross-sectional view corresponding to the XX perspective cross-sectional shape in FIG. 20, and illustrating the liquid discharging operation of the liquid discharging head with time along with FIGS. 21, 22, and 24 to 28. FIG.
24 is a schematic cross-sectional view corresponding to the XX perspective cross-sectional shape in FIG. 20, and illustrating the liquid discharge operation of the liquid discharge head with time along with FIGS. 21 to 23 and 25 to 28.
FIG. 25 is a schematic cross-sectional view corresponding to the XX perspective cross-sectional shape in FIG. 20 and illustrating the liquid discharge operation of the liquid discharge head with time along with FIGS. 21 to 24 and 26 to 28;
26 is a schematic cross-sectional view corresponding to the XX perspective cross-sectional shape in FIG. 20 and illustrating the liquid discharge operation of the liquid discharge head with time along with FIGS. 21 to 25, 27, and 28. FIG.
FIG. 27 is a schematic cross-sectional view corresponding to the XX perspective cross-sectional shape in FIG. 20 and illustrating the liquid discharging operation of the liquid discharging head with time along with FIGS. 21 to 26 and 28;
28 is a schematic cross-sectional view corresponding to the XX perspective cross-sectional shape in FIG. 20 and explaining the liquid discharge operation of the liquid discharge head with time along with FIGS.
FIG. 29 is a schematic perspective view of an ink jet recording apparatus 600, which is an example of a liquid ejection apparatus to which the liquid ejection head of the present invention can be mounted and applied.
[Explanation of symbols]
13: Head
14: Ink groove
15: Heating head
16: protective film
17: Aluminum electrode
18: Heating resistor layer
19: Thermal storage layer
20: Substrate
21: Ink
22: Discharge orifice (micro hole)
23: Meniscus
24: ink drop
25: Recording medium
26: Multi groove
27: glass plate
28: Heating head
31: Heating element
32: Common liquid chamber
33: Substrate
34: Partition wall
35: Ink drop
36: protective film
37: Discharge port
38: ink liquid path
40: Ink bag
42: stopper
44: Ink absorber
45: Ink cartridge
51: Paper feed unit
52: Paper feed roller
53: Discharge roller
61: Blade
62: Cap
63: ink absorber
64: Discharge recovery unit
65: Recording head
66: Carriage
67: Guide shaft
68: Motor
69: Belt
70: Recording unit
71: Head section
72: Atmospheric communication port
102: Recording head
103: Recording head unit
104: guide shaft
105: Guide shaft
106: Recording medium
107: switch section and display element section
108: Platen
109: Feed roller
110: Recovery unit
111: recording device
112: Carriage
20Bk, 20C, 20M, 20Y: Ink tank
600: inkjet recording apparatus
601: inkjet head cartridge
602: drive motor
603, 604: driving force transmission gear
605: Lead screw
606: spiral groove
607: Carriage
607a: Lever
608: Guide
609: Platen roller
610: Paper holding plate
611, 612: Photo coupler
613: Support member
614: Cap member
615: ink suction means
617: Cleaning blade
618: Moving member
619: Main body support
620: (start suction) lever
621: cam
832: Discharge port
832a: Start
832b: Folded part
931: Electrothermal conversion element (heater, ink ejection energy generation element)
933: Ink supply port (opening)
934: Substrate
935: Orifice plate (discharge port plate)
935a: Discharge port surface
936: Ink channel wall
936a: Partition wall
940: Discharge port
1337: Foaming room
1338: Liquid flow path
1141: Groove
1141a: Top
100: inkjet recording head (liquid ejection head)
101: Bubbles
1004: Meniscus
1001: Liquid tank
1006: Movement drive unit
1008: Casing
1010: Recording unit
1010a: carriage member
1012: inkjet cartridge
1012Y, M, C, Bk: inkjet cartridge
1016: Belt
1018: Motor
1020: drive unit
1022a, 1022b: Roller unit
1024a, 1024b: Roller unit
1026: Recovery unit
1026a, 1026b: pulley
1028: Recording medium
1030: Conveying means
C: Wet ink
F M : Meniscus retreat direction
F C : The direction opposite to the meniscus retreat direction
G: Center of gravity
I: Ink
I a : Main droplet (liquid, ink)
I b , I c : Liquid (ink)
I d : Ink attached to the groove (ink in the groove)
I e : Ink remaining in the liquid flow path
L: line from the liquid chamber (ink supply port) to the discharge port
N 1 : Width of foaming chamber
N 2 : Length dimension of foaming chamber
O: Center of discharge port
P ': Recording medium
P: paper transport direction
R: Direction of belt rotation
S: Direction substantially perpendicular to the paper transport direction
T 1 : Dimensions of discharge port
w: Width of partition wall