JP2004304607A - 光送信器 - Google Patents
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Abstract
【課題】光出力レベルおよび波長を長期に渡って高精度かつ安定に制御すること。
【解決手段】光源パワー設定値とLDユニット6の出力光の検出パワーとの偏差が零になるようにLDを駆動制御するAPC_LD制御系と、波長設定値とLDユニットの出力光の検出波長との偏差が零になるようにLDユニット6の温度制御モジュールを制御するAWC制御系と、光送信器出力パワー設定値と外部変調器の出力光の検出パワーとの偏差が零になるようにLDを駆動制御するAPC_TX制御系と、制御装置20とを備え、通常運転時は、APC_LD制御、AWC制御をシリアルに実行させるとともに、この通常運転時、TXパワーモニタ信号と光送信器出力パワー設定値との誤差を検出し、この検出誤差が所定の設定値よりも大きくなった場合、LDパワー設定値を変更し、この変更後、APC_LD制御、APC_TX制御、AWC制御をシリアルに実行させる。
【選択図】 図1
【解決手段】光源パワー設定値とLDユニット6の出力光の検出パワーとの偏差が零になるようにLDを駆動制御するAPC_LD制御系と、波長設定値とLDユニットの出力光の検出波長との偏差が零になるようにLDユニット6の温度制御モジュールを制御するAWC制御系と、光送信器出力パワー設定値と外部変調器の出力光の検出パワーとの偏差が零になるようにLDを駆動制御するAPC_TX制御系と、制御装置20とを備え、通常運転時は、APC_LD制御、AWC制御をシリアルに実行させるとともに、この通常運転時、TXパワーモニタ信号と光送信器出力パワー設定値との誤差を検出し、この検出誤差が所定の設定値よりも大きくなった場合、LDパワー設定値を変更し、この変更後、APC_LD制御、APC_TX制御、AWC制御をシリアルに実行させる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、温度制御モジュールを有する光源ユニットから出力される光を外部変調器で変調して出力する光送信器に関し、さらに詳しくは経年変化を考慮して光出力および波長を一定に制御する光送信器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
光通信システムの大容量化に伴い、周波数利用効率の高い波長分割多重通信(WDM)通信を適用すること、チャープの発生が少ない外部変調器を用いた長距離伝送を採用することが安価なシステム構築に有効である。WDM通信では、ある波長間隔毎に複数の送信波が存在するため、隣接チャネルへの影響を押さえるためには各送信波の波長安定度が重要となる。
【0003】
WDMでは、波長間隔が例えば100GHzグリッドであるが、DWDM(DenseWDM:高密度波長分割多重)では、波長間隔が50GHzグリッド、さらには25GHzグリッドとさらに狭くなり、より波長安定度が厳しく求められる。
【0004】
このような光通信システムにおいては、半導体レーザ(LD:Laser Diode)が用いられることが多く、このLDの波長安定化技術の一つに、自動温度制御回路(Automatic Temperature Control Circuit)を用いたLDのチップ温度安定化の手法がある。この手法では、LDのチップ温度を一定に保つことにより、温度とLD駆動条件から決まる発振波長に波長が安定化される。
【0005】
しかしながら、この手法はあくまでもLDのチップ温度の一定制御に過ぎず、LD自体の経年劣化による波長変動などは制御に反映されない。すなわち、この自動温度制御回路で波長安定化制御を実施した状態においても、長期間の連続運転中に僅かずつ波長シフトが生じる。
【0006】
したがって、長期間において波長を安定させるためには、上記自動温度制御による波長制御に加え、波長ロッカなど、波長や出力をモニタするモニタ手段を別途設け、このモニタ手段のモニタ信号に基づく制御を行うことで、LD自体の経時劣化の影響を受けない、波長の安定化動作を実現することが必須である。
【0007】
例えば、特許文献1に記載の発明においては、光出力波長を一定にするために波長モニタ回路で検出された波長検出値と、波長設定値との誤差信号を波長制御回路で検出し、誤差が0になるよう制御値を決定する。この制御値に応じてLD温度制御回路でLDのチップ温度を制御する。また光出力レベルを一定にするためにパワーモニタ回路で検出されたパワー検出値と、LDパワー設定値との誤差信号をパワー制御回路で検出し、誤差が0になるよう制御値を決定する。この制御値に応じてLD駆動電流制御回路でLDのLD駆動電流を制御する。さらに、LDの光出力波長とLD温度との関係、光出力波長とLD駆動電流との関係を予め把握しておくことによって、LD駆動電流の変化による波長変動をLD温度によって補償している。例えば光送信器出力信号レベルがΔPだけ高くなった場合にLDの駆動電流は−ΔIだけ変化させる必要がある場合、LDの光出力波長とLD温度の関係がQ(nm/℃)、光出力波長とLD駆動電流の関係がZ(nm/mA)で示される場合、波長は−ΔI×Z(nm)だけ変化するため、LD温度をΔI/Q(℃)上昇させることで、同一波長を得るようにしている。
【0008】
【特許文献1】
特開2000−196185号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
このように特許文献1に記載の従来技術では、LDの光出力波長とLD温度の関係、光出力波長とLD駆動電流の関係を一意に決定しているが、外部環境変化や経年劣化により上記の関係がずれた場合、従来技術ではこれがそのまま波長誤差となるという問題がある。
【0010】
特に、上記問題によって、上記従来技術は、50GHzグリッド、さらには25GHzグリッドと狭波長間隔化が進むDWDM用の光送信器としては適用が困難である。
【0011】
この発明は上記に鑑みてなされたもので、光出力レベルおよび波長を長期に渡って高精度かつ安定に制御することができる光送信器を得ることを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、この発明にかかる光送信器は、温度制御モジュールを有する光源ユニットから出力される光を外部変調器で変調して出力する光送信器において、光源パワー設定値と前記光源ユニットの出力光の検出パワーとの偏差が零になるように前記光源ユニットの光源を駆動制御する第1の制御系と、波長設定値と前記光源ユニットの出力光の検出波長との偏差が零になるように前記温度制御モジュールを温度制御する第2の制御系と、光送信器出力パワー設定値と前記外部変調器の出力光の検出パワーとの偏差が零になるように前記光源ユニットの光源を駆動制御する第3の制御系と、前記第1、第2および第3の制御系を制御する制御装置とを備え、前記第1および第2の制御系による制御をシリアルに繰り返し実行中に、前記第3の制御系によって光送信器出力パワー設定値と前記外部変調器の出力光の検出パワーとの偏差を検出し、この検出偏差が所定の設定値よりも大きくなった場合、前記光源パワー設定値を変更し、この変更後、前記制御装置は、第1の制御系による制御を実行させ、この後第3の制御系による制御および第2の制御系による制御をシリアルに実行させることを特徴としている。
【0013】
この発明によれば、通常運転時は、第1および第2の制御系の制御をシリアルに実行させるとともに、この通常運転時、第3の制御系によって光送信器出力パワー設定値と前記外部変調器の出力光の検出パワーとの偏差を検出し、この検出偏差が所定の設定値よりも大きくなった場合、光源パワー設定値を変更し、この変更後、第1の制御系による制御、第3の制御系による制御および第2の制御系による制御をシリアルに実行させるようにしたので、外部環境変化や経年劣化により光源や外部変調器の特性が変化しても、高精度かつ安定な光出力レベル、光出力波長を得ることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる光送信器の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0015】
実施の形態1.
図1は、この発明にかかる光送信器が適用されるWDM(DWDM)光ファイバ通信システムの構成を示すものである。図1において、複数の光送信器1(1−1〜1−n)は合波器2の入力端に接続され、合波器2の出力端が光伝送路としての1本の光ファイバ5の入力端に接続されている。光ファイバ5の出力端は分波器3と接続され、分波器3の出力端が複数の光受信器4(4−1〜4−n)と接続されている。
【0016】
複数の光送信器1−1〜1−nはそれぞれ伝送路、通信方式に応じた所定の光出力波長λ1〜λn、光出力レベルP1〜Pnを持つ光変調信号を出力する。合波器2は1本の光ファイバ5で複数の光変調信号の伝送を可能とするため、光送信器1−1〜1−nからの複数の光変調信号を多重化する。光ファイバ5は多重化された光変調信号を伝送する。分波器3は光ファイバ5を介して受信した多重化された光変調信号をそれぞれの波長毎に分離する。光受信器4−1〜4−nは各波長毎の入力光変調信号を復調する。
【0017】
図2は、図1に示した光送信器1(1−1〜1−n)の内部構成を示すものである。光送信器1は、レーザダイオードユニット(以下LDユニットという)6、外部変調器7、カップラ8、第1パワーモニタ回路9、第2パワーモニタ回路10、波長モニタ回路11、パワー制御回路12、波長制御回路13、LD駆動電流制御回路14、LD温度制御回路15および制御装置20を具備している。
【0018】
LDユニット6は、連続光(CW(continuous wave)光)を出力する光源としてのLDと、LD温度を所望の温度に保持するための温度制御モジュールとしてのペルチェモジュール(図示せず、以後TECと称す:Thermoelectric Cooler)とを具備する。また、LDユニット6は、サーミスタ等の温度センサ(図示せず)を具備している。LD6の前面光は、外部変調器7に入射され、背面光は第1パワーモニタ回路9および波長モニタ回路11に入射される。
【0019】
外部変調器7は、LiNbO3(リチウムナイオベート)等を材料としたマッハツェンダー型光変調器、電界吸収型光変調器、その他の光変調器で構成され、変調信号によりCW光を変調する。カップラ8は外部変調器7からの光変調信号の一部をパワーモニタ用に分岐し、残りを図1の合波器2までの光伝送路に供給する。
【0020】
第1パワーモニタ回路9は、例えば、フォトダイオード(PD)等の光検出器で構成され、この光検出器でLDユニット6からの背面光を検出することで、LDの光強度をモニタするLDパワーモニタ信号を出力する。PDは、入力光強度が増加するとPD電流が増加し、入力光強度が減少するとPD電流が減少する特性をもつ。従ってPD電流をモニタすることにより、レーザ光強度変化を検出することができる。第1パワーモニタ回路9でモニタされたLDパワーモニタ信号はパワー制御回路12に入力される。
【0021】
波長モニタ回路11は、入力された背面光の波長を弁別し、波長に応じて変化する波長モニタ信号を出力する回路であり、例えば波長フィルタとPDなどの光検出器とで構成される。波長フィルタは、入力光波長に応じて透過率を変える特性を有している。波長フィルタとしては、例えばファブリペローエタロンや、複屈折フィルタ、薄膜フィルタ、ファイバーグレーティング等を用いる。波長フィルタの入力光波長に応じて透過率を変える特性を利用して、波長フィルタで波長情報を強度情報に変換する。そして、PDなどの光検出器で波長フィルタからの光信号を電気信号に変換することにより、波長に応じた強度の電気信号を得ることができる。波長モニタ回路11でモニタされた波長モニタ信号は波長制御回路13に入力される。
【0022】
第2パワーモニタ回路10は、PD等の光検出器で構成され、この光検出器でカップラ8を介して入力される光送信器1の出力を検出することで、光送信器の光強度をモニタする光送信器パワーモニタ信号(以下TXパワーモニタ信号という)を出力する。
【0023】
パワー制御回路12は、LDパワー設定値と第1パワーモニタ回路9からのLDパワーモニタ信号とに基づきLD駆動電流制御回路14に与える制御値を制御するLDパワー制御(以下、APC_LD制御という、automatic power control)と、光送信器出力パワー設定値と第2パワーモニタ回路10からのTXパワーモニタ信号とに基づきLD駆動電流制御回路14に与える制御値を制御する光送信器パワー制御(以下、APC_TX制御という)との2種類のパワー制御を実行する。
【0024】
APC_LD制御においては、パワー制御回路12は、第1パワーモニタ回路9からのLDパワーモニタ信号とLDパワー設定値との誤差信号を検出し、この誤差信号が0になるよう制御値を決定し、決定した制御値をLD駆動電流制御回路14に入力する。LD駆動電流制御回路14は、この制御値に応じてLDのLD駆動電流を制御する。例えば、LDのLD駆動電流を大きくした場合、LDからの光出力レベルが大きくなるため、LDパワーモニタ信号がLDパワー設定値より小さい場合はLD駆動電流を大きくし、LDパワーモニタ信号がLDパワー設定値より大きい場合はLD駆動電流を小さくするようなフィードバック制御をLDパワーモニタ信号とLDパワー設定値が一致するまで実行する。このようなAPC_LD制御によって、LDからの光出力レベルを一定に保つようにする。
【0025】
APC_TX制御においては、パワー制御回路12は、第2パワーモニタ回路10からのTXパワーモニタ信号と光送信器出力パワー設定値との誤差信号を検出し、この誤差信号が0になるよう決定した制御値をLD駆動電流制御回路14に入力する。LD駆動電流制御回路14は、この制御値に応じてLDのLD駆動電流を制御する。例えば、TXパワーモニタ信号が光送信器出力パワー設定値より小さい場合は、LD駆動電流を大きくし、TXパワーモニタ信号が光送信器出力パワー設定値より大きい場合は、LD駆動電流を小さくするようなフィードバック制御をTXパワーモニタ信号とLDパワー設定値が一致するまで実行する。このようなAPC_TX制御によって光送信器1からの光出力レベルを一定に保つようにする。
【0026】
波長制御回路13には、第1パワーモニタ回路9により検出されたLDパワーモニタ信号と、波長モニタ回路11により検出された波長モニタ信号が入力される。波長制御回路13では、波長モニタ信号をLDパワーモニタ信号で除算して、波長モニタ信号とLDパワーモニタ信号の比をとることで、光出力レベルによらない波長検出値を得る。波長制御回路13ではこの波長検出値と波長設定値との誤差信号を検出し、誤差が0になるよう制御値を決定し、決定した制御値をLD温度制御回路15に出力する。LD温度制御回路15では、この制御値に応じてLDユニット6のペルチェモジュールの温度すなわちTEC温度を制御する。例えばLDのTEC温度を大きくした場合、LDからの光出力波長は長波長側へシフトするため、波長検出値が波長設定値より小さい場合はTEC温度を大きくし、波長検出値が波長設定値より大きい場合はTEC温度を小さくするようなフィードバック制御を波長検出値と波長設定値とが一致するまで実行する。このような自動波長制御を以下AWC制御(automatic wave control)と称する。このような、AWC制御によりLDからの光出力波長を一定に保つようにする。
【0027】
制御装置20は、予め設定された波長設定値、LDパワー設定値および光送信器出力パワー設定値を波長制御回路13、パワー制御回路12に設定するとともに、上記3つの制御(APC_LD制御、APC_TX制御およびAWC制御)をシリアルに実行させる際の順番などを制御する。制御装置20は、光送信器内の上述した各構成要素を制御するが、ここでは便宜上、制御装置20と各構成要素との結線は省略している。
【0028】
このように、光送信器1内には、APC_LD制御系、APC_TX制御系およびAWC制御系の3つの制御系が存在しており、これら3つの制御系によってLDの駆動電流およびTEC温度を制御している。これらの3つの制御(APC_LD制御、APC_TX制御、AWC制御)が同時に行われると、それぞれの制御が競合して所望の光出力レベル、光出力波長が得られない可能性がある。
【0029】
そこで、この実施の形態1においては、図3に示すような手順でAPC_LD制御、APC_TX制御、AWC制御を実行するようにしている。
【0030】
図3において、ステップS100〜S130の手順は、初期設定手順である。初期設定においては、外部変調器7の出力光が所望の値となるようLDパワー設定値を設定した後、設定したLDパワー設定値とLDパワーモニタ信号とが一致するまでAPC_LD制御を実行する(ステップS100,S110)。つぎに、LD波長設定値を設定し、この後設定したLD波長設定値と波長検出値とが一致するまでAWC制御を実行する(ステップS120,S130)。なお、この時点で、光送信器出力パワー設定値を、所定所望の値に設定する。
【0031】
このような初期設定が終了すると、光送信器1は全体的に動作され、光送信器1の通常の光送信動作が実行される。この送信動作中には、APC_LD制御、AWC制御の順番に、2つの制御を同時ではなくシリアルに実行させる(ステップS140)。
【0032】
このように2つの制御をシリアルに実行されている間、パワー制御回路12は、APC_TX制御で使用している第2パワーモニタ回路10からのTXパワーモニタ信号と光送信器出力パワー設定値との誤差信号が所定の閾値以上となったか否かを判定している。この誤差信号が所定の閾値よりも小さいときは、APC_LD制御、AWC制御の2つの制御をこの順に順次繰り返し実行する(ステップS140,S150)。しかし、ステップS150で誤差信号が所定の閾値よりも大きいと判断すると、パワー制御回路12は、設定されたLDパワー設定値の値を変更する(ステップS160)。すなわち、第2パワーモニタ回路10からのTXパワーモニタ信号が光送信器出力パワー設定値に対しΔPだけ変化した場合は、変化分ΔP分だけLDパワー設定値を変更する。例えば、TXパワーモニタ信号が光送信器出力パワー設定値に対しΔPだけ大きくなった場合は、変化分ΔP分だけLDパワー設定値を小さくする。
【0033】
つぎに、パワー制御回路12は、変更されたLDパワー設定値とLDパワーモニター信号の誤差信号が0になるように、APC_LD制御を行う(ステップS170)。つぎに、パワー制御回路12は、APC_TX制御を実行させて、TXパワーモニタ信号と光送信器出力パワー設定値との誤算信号を0にする(ステップS180)。
【0034】
最後にAWC制御を行うことで、光送信器1から所望の光出力レベル、光出力波長を得る(ステップS190)。この後は、手順をステップS140に復帰させ、APC_LD制御、AWC制御の順番に、2つの制御をシリアルに実行させる。これ以降も、パワー制御回路12は、ステップS150において、第2パワーモニタ回路10からのTXパワーモニタ信号と光送信器出力パワー設定値との誤差信号が所定の閾値以上となったか否かを判定しており、誤差信号が所定の閾値よりも小さい限り、ステップS140の通常手順を実行するが、ステップS150で誤差信号が所定の閾値よりも大きくなると、上述したステップS160〜S190の手順を実行する。
【0035】
このようにこの実施の形態1においては、通常運転時は、APC_LD制御、AWC制御をシリアルに実行させるとともに、この通常運転時、パワー制御回路12によってTXパワーモニタ信号と光送信器出力パワー設定値との誤差を検出し、この検出誤差が所定の設定値よりも大きくなった場合、LDパワー設定値を変更し、この変更後、APC_LD制御、APC_TX制御、AWC制御をシリアルに実行させるようにしたので、外部環境変化や経年劣化により光源、及び外部変調器の特性が変化しても、高精度かつ安定な光出力レベル、光出力波長を得ることができる。
【0036】
実施の形態2.
次にこの発明の実施の形態2を図4および図5を用いて説明する。図4は実施の形態2の光送信器の内部構成を示す図である。図5は、実施の形態2におけるAPC_LD制御、AWC制御およびAPC_TX制御の3つの制御の動作手順を示すフローチャートである。図4においては、先の図2に示した実施の形態1の構成に比較器16を追加している。図4に示した各構成要素において、図2の構成要素と基本的に同じ動作を実行するものに関しては同じ符号を付しており、重複する説明は省略する。
【0037】
実施の形態2においては、LDパワー設定値を変更する際に、この変更に対応する波長ずれを算出し、この波長ずれがある範囲以上となる場合は、制御量が小さくなるようにLDパワー設定値を再設定するようにしている。すなわち、パワー制御回路12からの制御値に基づき決定されるLD駆動電流と波長には比例関係があり、LD駆動電流が大きくなると光出力波長は長波長側へシフトし、小さくなると短波長側へシフトするので、LDパワー設定値の変更によるAPC_LDおよびAPC_TX制御時には所望の波長からのずれが生じることになる。実施の形態2はこのような波長ずれに対処しようとするものである。
【0038】
比較器16は、変更前のLDパワー設定値を記憶している。比較器16は、変更された新たなLDパワー設定値がパワー制御回路12から入力された場合は、変更前後のLDパワー設定値の差ΔPをこの差に対応する波長変動値Δλに変換し、この波長変動値Δλを所定の設定値λthと比較し、Δλ>λthであるか否かの比較結果をパワー制御回路12に通知する。すなわち、比較器16は、LD出力パワーの変動量ΔPと波長変動値Δλとの対応関係を示すデータを記憶保持しており、この記憶保持データに基づいて変更前後のLD出力パワーの差ΔPを波長変動値Δλに変換する。なお、ΔPとΔλとの対応関係にLDの最大変化量(nm/mA)を用いることで、経年変化を含めても所望の波長変動閾値を超えることがないようにしている。
【0039】
パワー制御回路12では、比較器16からの比較結果に応じて、LDパワー設定値を変更するか否かを決定する。すなわち、パワー制御回路12は、Δλ>λthである比較結果が比較器16から通知されると、LDパワー設定値を波長変動値の限界λthを越えない値に設定する。例えば、先の実施の形態1では、TXパワーモニタ信号が光送信器出力パワー設定値に対しΔPだけ大きくなった場合は、LDパワー設定値を小さくするようなLDパワー設定値の変更を行っているが、実施の形態2では、パワー制御回路12はΔλ>λthである場合は、例えば、TXパワーモニタ信号が光送信器出力パワー設定値に対しΔPだけ大きくなった際、この変化分ΔPよりも少ない変化分ΔP´(<ΔP)だけ小さくなるようなLDパワー設定値を再設定する。そして、この決定したLDパワー設定値を用いて前述した制御を実行する。なお、LDパワー設定値が変更された場合、この変更されたLDパワー設定値は比較器16に通知される。比較器16では、変更されたLDパワー設定値で、記憶している“変更前のLDパワー設定値”を更新する。
【0040】
以下、図5に従って実施の形態2におけるAPC_LD制御、APC_TX制御およびAWC制御について説明する。
【0041】
ステップS300〜S330の手順は、先のステップS100〜S130と同様、初期設定手順である。初期設定においては、外部変調器7の出力光が所望の値となるようLDパワー設定値を設定した後、設定したLDパワー設定値とLDパワーモニタ信号とが一致するまでAPC_LD制御を実行する(ステップS300,S310)。つぎに、LD波長設定値を設定し、この後設定したLD波長設定値と波長検出値とが一致するまでAWC制御を実行する(ステップS320,S330)。なお、この時点で、光送信器出力パワー設定値を、所望の値に設定する。
【0042】
このような初期設定が終了すると、光送信器1は全体的に動作され、光送信器1の通常の光送信動作が実行される。この送信動作中には、APC_LD制御、AWC制御の順番に、2つの制御をシリアルに実行させる(ステップS340)。
【0043】
このように2つの制御をシリアルに実行されている間、パワー制御回路12は、先の実施の形態1と同様、APC_TX制御で使用している第2パワーモニタ回路10からのTXパワーモニタ信号と光送信器出力パワー設定値との誤差信号が所定の閾値以上となったか否かを判定している(ステップS350)。この誤差信号が所定の閾値よりも小さいときは、APC_LD制御、AWC制御の2つの制御をこの順に順次繰り返し実行する(ステップS340,S350)。しかし、ステップS350で誤差信号が所定の閾値よりも大きいと判断すると、パワー制御回路12は、設定されたLDパワー設定値の値を変更する(ステップS360)。すなわち、第2パワーモニタ回路10からのTXパワーモニタ信号が光送信器出力パワー設定値に対しΔPだけ変化した場合は、変化分ΔP分だけLDパワー設定値を変更する。
【0044】
実施の形態2においては、この変更したLDパワー設定値はまず比較器16に入力される。比較器16では、前述したように、パワー制御回路12から変更された新たなLDパワー設定値が入力された場合は、記憶していた変更前のLDパワー設定値とパワー制御回路12から入力された変更後のLDパワー設定値との差ΔPを求め、この差ΔPをこの差に対応する波長変動値Δλに変換し、この波長変動値Δλを所定の設定値λthと比較し、Δλ>λthであるか否かの比較結果をパワー制御回路12に通知する(ステップS370)。比較器16は、Δλ≦λthである比較結果をパワー制御回路12に通知する際には、パワー制御回路12から入力された変更後のLDパワー設定値で、記憶している“変更前のLDパワー設定値”を更新する。また、比較器16は、Δλ>λthである比較結果をパワー制御回路12に通知する際には、その後パワー制御回路12から再通知される変更後のLDパワー設定値で記憶している“変更前のLDパワー設定値”を更新する。
【0045】
パワー制御回路12では、比較器16からの比較結果に応じて、LDパワー設定値を変更するか否かを決定する。すなわち、パワー制御回路12は、Δλ≦λthである比較結果が比較器16から通知されると、その後は先の実施の形態1と同様の、ステップS380〜S400の手順を実行する。まず、ステップS360で設定したLDパワー設定値を目標値としたAPC_LD制御を行うことで、LDパワー設定値とLDパワーモニター信号の誤差信号が0にする(ステップS380)。つぎに、パワー制御回路12は、APC_TX制御を実行させて、TXパワーモニタ信号と光送信器出力パワー設定値との誤算信号を0にする(ステップS390)。つぎに、AWC制御を行うことで(ステップS400)、光送信器1から所望の光出力レベル、光出力波長を得る。この後は、手順をステップS340に復帰させ、APC_LD制御、AWC制御、の順番に、2つの制御をシリアルに実行させる。
【0046】
一方、ステップS360において、Δλ>λthである比較結果が比較結果が比較器16から通知されると、パワー制御回路12はLDパワー設定値を波長変動値の限界λthを越えない値に再設定する(ステップS410)。すなわち、前述したように、Δλ>λthである場合は、例えば、TXパワーモニタ信号が光送信器出力パワー設定値に対しΔPだけ小さくなった際、この変化分ΔPよりも少ない変化分ΔP´(<ΔP)だけ大きくなるようなLDパワー設定値を再設定する。別言すれば、APC_LD制御およびAPC_TX制御を開始する前のLDパワー設定値をPb、LD駆動電流をIbとし、APC_LD制御およびAPC_TX制御を開始した後のLDパワー設定値をPa、LD駆動電流をIaとすると、LDパワー設定値をPbからPaに変更した場合のLD6の駆動電流変化量Ib−Iaによる波長変動が所望の波長変動値△λより大きい場合は、波長変動が所望の波長変動値△λ以内になるようLDパワー設定値をPaからこのPaよりも変更前の光送信器出力パワー設定値Pbに近い値であるPb´に変更する。
【0047】
そして、この再決定したLDパワー設定値を用いて、前述と同様に、APC_LD制御、APC_TX制御、AWC制御を順番にシリアルに実行する(ステップS420〜S440)。なお、パワー制御回路12で再変更されたLDパワー設定値は比較器16に通知される。比較器16では、前述したように、変更されたLDパワー設定値で、記憶している“変更前のLDパワー設定値”を更新する。このようにして、光送信器1から所望の光出力レベル、光出力波長を得る。
【0048】
その後、手順をステップS350に復帰させる。ステップS350においては、パワー制御回路12は、第2パワーモニタ回路10からのTXパワーモニタ信号と光送信器出力パワー設定値との誤差信号が所定の閾値以上となったか否かを判定し、(ステップS350)。この判定結果に応じてその後制御手順をステップS340に復帰させるか、あるいはステップS360に移行させるかを決定する。
【0049】
このようにこの実施の形態2においては、LDパワー設定値を変更する際に、この変更に対応する波長ずれを算出し、この波長ずれがある範囲以上となる場合は、制御量が小さくなるようにLDパワー設定値を再設定するようにしているので、光送信器出力レベルを一定にするための制御中の過渡応答期間においても、より高精度の波長精度を得ることができる。
【0050】
実施の形態3.
次にこの発明の実施の形態3を図6を用いて説明する。図6は実施の形態3の光送信器の内部構成を示す図である。図6においては、先の図2に示した実施の形態1の構成にタイマ17を追加している。図6に示した各構成要素において、図2の構成要素と基本的に同じ動作を実行するものに関しては同じ符号を付しており、重複する説明は省略する。
【0051】
実施の形態3においては、追加したタイマ17を用いることにより、図3あるいは図5のステップS350での判定を、ステップS340で行われるAPC_LD制御およびAWC制御の制御周期より充分に長い周期で実行させるようにしている。
【0052】
図6において、タイマ17は、第2パワーモニタ回路10から入力されるTXパワーモニタ信号をパワー制御回路12に入力する周期をそのタイマ設定値に応じて決定するものである。このタイマ設定値は、TXパワーモニタ信号のパワー制御回路12への入力周期が、LDパワーモニタ信号や波長モニタ信号のサンプリング周期に比べ充分に長くなるような値に設定されている。
【0053】
通常、外部変調器7の損失は、主に外部環境変化や経年変化により変動するため、その変化スピードはAPC_LD制御、AWC制御の周期より十分長くなる。そこで、実施の形態3においては、タイマ17を用いることにより、TXパワーモニタ信号と光送信器出力パワー設定値との誤差を検出する周期を、APC_LD制御およびAWC制御の制御周期より充分に長い周期で実行させるようにしている。これにより、実施の形態3によれば、そのためのハードウェア構成、ソフトウェア構成を簡単且つ軽減することが可能となる。
【0054】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、通常運転時は、第1および第2の制御系の制御をシリアルに実行させるとともに、この通常運転時、第3の制御系によって光送信器出力パワー設定値と前記外部変調器の出力光の検出パワーとの偏差を検出し、この検出偏差が所定の設定値よりも大きくなった場合、光源パワー設定値を変更し、この変更後、第1の制御系による制御、第3の制御系による制御および第2の制御系による制御をシリアルに実行させるようにしたので、外部環境変化や経年劣化により光源、及び外部変調器の特性が変化しても、高精度かつ安定な光出力レベル、光出力波長を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明を適用するWDM(DWDM)光ファイバ通信システムの構成を示すブロック図である。
【図2】この発明の光送信器の実施の形態1の内部構成を示すブロック図である。
【図3】実施の形態1の動作を示すフローチャートである。
【図4】この発明の光送信器の実施の形態2の内部構成を示すブロック図である。
【図5】実施の形態2の動作を示すフローチャートである。
【図6】この発明の光送信器の実施の形態3の内部構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
1 光送信器、2 合波器、3 分波器、4 光受信器、5 光ファイバ、6LDユニット、7 外部変調器、8 カップラ、9 第1パワーモニタ回路、10 第2パワーモニタ回路、11 波長モニタ回路、12 パワー制御回路、13 波長制御回路、14 LD駆動電流制御回路、15 LD温度制御回路、16 比較器、17 タイマ、20 制御装置。
【発明の属する技術分野】
この発明は、温度制御モジュールを有する光源ユニットから出力される光を外部変調器で変調して出力する光送信器に関し、さらに詳しくは経年変化を考慮して光出力および波長を一定に制御する光送信器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
光通信システムの大容量化に伴い、周波数利用効率の高い波長分割多重通信(WDM)通信を適用すること、チャープの発生が少ない外部変調器を用いた長距離伝送を採用することが安価なシステム構築に有効である。WDM通信では、ある波長間隔毎に複数の送信波が存在するため、隣接チャネルへの影響を押さえるためには各送信波の波長安定度が重要となる。
【0003】
WDMでは、波長間隔が例えば100GHzグリッドであるが、DWDM(DenseWDM:高密度波長分割多重)では、波長間隔が50GHzグリッド、さらには25GHzグリッドとさらに狭くなり、より波長安定度が厳しく求められる。
【0004】
このような光通信システムにおいては、半導体レーザ(LD:Laser Diode)が用いられることが多く、このLDの波長安定化技術の一つに、自動温度制御回路(Automatic Temperature Control Circuit)を用いたLDのチップ温度安定化の手法がある。この手法では、LDのチップ温度を一定に保つことにより、温度とLD駆動条件から決まる発振波長に波長が安定化される。
【0005】
しかしながら、この手法はあくまでもLDのチップ温度の一定制御に過ぎず、LD自体の経年劣化による波長変動などは制御に反映されない。すなわち、この自動温度制御回路で波長安定化制御を実施した状態においても、長期間の連続運転中に僅かずつ波長シフトが生じる。
【0006】
したがって、長期間において波長を安定させるためには、上記自動温度制御による波長制御に加え、波長ロッカなど、波長や出力をモニタするモニタ手段を別途設け、このモニタ手段のモニタ信号に基づく制御を行うことで、LD自体の経時劣化の影響を受けない、波長の安定化動作を実現することが必須である。
【0007】
例えば、特許文献1に記載の発明においては、光出力波長を一定にするために波長モニタ回路で検出された波長検出値と、波長設定値との誤差信号を波長制御回路で検出し、誤差が0になるよう制御値を決定する。この制御値に応じてLD温度制御回路でLDのチップ温度を制御する。また光出力レベルを一定にするためにパワーモニタ回路で検出されたパワー検出値と、LDパワー設定値との誤差信号をパワー制御回路で検出し、誤差が0になるよう制御値を決定する。この制御値に応じてLD駆動電流制御回路でLDのLD駆動電流を制御する。さらに、LDの光出力波長とLD温度との関係、光出力波長とLD駆動電流との関係を予め把握しておくことによって、LD駆動電流の変化による波長変動をLD温度によって補償している。例えば光送信器出力信号レベルがΔPだけ高くなった場合にLDの駆動電流は−ΔIだけ変化させる必要がある場合、LDの光出力波長とLD温度の関係がQ(nm/℃)、光出力波長とLD駆動電流の関係がZ(nm/mA)で示される場合、波長は−ΔI×Z(nm)だけ変化するため、LD温度をΔI/Q(℃)上昇させることで、同一波長を得るようにしている。
【0008】
【特許文献1】
特開2000−196185号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
このように特許文献1に記載の従来技術では、LDの光出力波長とLD温度の関係、光出力波長とLD駆動電流の関係を一意に決定しているが、外部環境変化や経年劣化により上記の関係がずれた場合、従来技術ではこれがそのまま波長誤差となるという問題がある。
【0010】
特に、上記問題によって、上記従来技術は、50GHzグリッド、さらには25GHzグリッドと狭波長間隔化が進むDWDM用の光送信器としては適用が困難である。
【0011】
この発明は上記に鑑みてなされたもので、光出力レベルおよび波長を長期に渡って高精度かつ安定に制御することができる光送信器を得ることを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、この発明にかかる光送信器は、温度制御モジュールを有する光源ユニットから出力される光を外部変調器で変調して出力する光送信器において、光源パワー設定値と前記光源ユニットの出力光の検出パワーとの偏差が零になるように前記光源ユニットの光源を駆動制御する第1の制御系と、波長設定値と前記光源ユニットの出力光の検出波長との偏差が零になるように前記温度制御モジュールを温度制御する第2の制御系と、光送信器出力パワー設定値と前記外部変調器の出力光の検出パワーとの偏差が零になるように前記光源ユニットの光源を駆動制御する第3の制御系と、前記第1、第2および第3の制御系を制御する制御装置とを備え、前記第1および第2の制御系による制御をシリアルに繰り返し実行中に、前記第3の制御系によって光送信器出力パワー設定値と前記外部変調器の出力光の検出パワーとの偏差を検出し、この検出偏差が所定の設定値よりも大きくなった場合、前記光源パワー設定値を変更し、この変更後、前記制御装置は、第1の制御系による制御を実行させ、この後第3の制御系による制御および第2の制御系による制御をシリアルに実行させることを特徴としている。
【0013】
この発明によれば、通常運転時は、第1および第2の制御系の制御をシリアルに実行させるとともに、この通常運転時、第3の制御系によって光送信器出力パワー設定値と前記外部変調器の出力光の検出パワーとの偏差を検出し、この検出偏差が所定の設定値よりも大きくなった場合、光源パワー設定値を変更し、この変更後、第1の制御系による制御、第3の制御系による制御および第2の制御系による制御をシリアルに実行させるようにしたので、外部環境変化や経年劣化により光源や外部変調器の特性が変化しても、高精度かつ安定な光出力レベル、光出力波長を得ることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる光送信器の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0015】
実施の形態1.
図1は、この発明にかかる光送信器が適用されるWDM(DWDM)光ファイバ通信システムの構成を示すものである。図1において、複数の光送信器1(1−1〜1−n)は合波器2の入力端に接続され、合波器2の出力端が光伝送路としての1本の光ファイバ5の入力端に接続されている。光ファイバ5の出力端は分波器3と接続され、分波器3の出力端が複数の光受信器4(4−1〜4−n)と接続されている。
【0016】
複数の光送信器1−1〜1−nはそれぞれ伝送路、通信方式に応じた所定の光出力波長λ1〜λn、光出力レベルP1〜Pnを持つ光変調信号を出力する。合波器2は1本の光ファイバ5で複数の光変調信号の伝送を可能とするため、光送信器1−1〜1−nからの複数の光変調信号を多重化する。光ファイバ5は多重化された光変調信号を伝送する。分波器3は光ファイバ5を介して受信した多重化された光変調信号をそれぞれの波長毎に分離する。光受信器4−1〜4−nは各波長毎の入力光変調信号を復調する。
【0017】
図2は、図1に示した光送信器1(1−1〜1−n)の内部構成を示すものである。光送信器1は、レーザダイオードユニット(以下LDユニットという)6、外部変調器7、カップラ8、第1パワーモニタ回路9、第2パワーモニタ回路10、波長モニタ回路11、パワー制御回路12、波長制御回路13、LD駆動電流制御回路14、LD温度制御回路15および制御装置20を具備している。
【0018】
LDユニット6は、連続光(CW(continuous wave)光)を出力する光源としてのLDと、LD温度を所望の温度に保持するための温度制御モジュールとしてのペルチェモジュール(図示せず、以後TECと称す:Thermoelectric Cooler)とを具備する。また、LDユニット6は、サーミスタ等の温度センサ(図示せず)を具備している。LD6の前面光は、外部変調器7に入射され、背面光は第1パワーモニタ回路9および波長モニタ回路11に入射される。
【0019】
外部変調器7は、LiNbO3(リチウムナイオベート)等を材料としたマッハツェンダー型光変調器、電界吸収型光変調器、その他の光変調器で構成され、変調信号によりCW光を変調する。カップラ8は外部変調器7からの光変調信号の一部をパワーモニタ用に分岐し、残りを図1の合波器2までの光伝送路に供給する。
【0020】
第1パワーモニタ回路9は、例えば、フォトダイオード(PD)等の光検出器で構成され、この光検出器でLDユニット6からの背面光を検出することで、LDの光強度をモニタするLDパワーモニタ信号を出力する。PDは、入力光強度が増加するとPD電流が増加し、入力光強度が減少するとPD電流が減少する特性をもつ。従ってPD電流をモニタすることにより、レーザ光強度変化を検出することができる。第1パワーモニタ回路9でモニタされたLDパワーモニタ信号はパワー制御回路12に入力される。
【0021】
波長モニタ回路11は、入力された背面光の波長を弁別し、波長に応じて変化する波長モニタ信号を出力する回路であり、例えば波長フィルタとPDなどの光検出器とで構成される。波長フィルタは、入力光波長に応じて透過率を変える特性を有している。波長フィルタとしては、例えばファブリペローエタロンや、複屈折フィルタ、薄膜フィルタ、ファイバーグレーティング等を用いる。波長フィルタの入力光波長に応じて透過率を変える特性を利用して、波長フィルタで波長情報を強度情報に変換する。そして、PDなどの光検出器で波長フィルタからの光信号を電気信号に変換することにより、波長に応じた強度の電気信号を得ることができる。波長モニタ回路11でモニタされた波長モニタ信号は波長制御回路13に入力される。
【0022】
第2パワーモニタ回路10は、PD等の光検出器で構成され、この光検出器でカップラ8を介して入力される光送信器1の出力を検出することで、光送信器の光強度をモニタする光送信器パワーモニタ信号(以下TXパワーモニタ信号という)を出力する。
【0023】
パワー制御回路12は、LDパワー設定値と第1パワーモニタ回路9からのLDパワーモニタ信号とに基づきLD駆動電流制御回路14に与える制御値を制御するLDパワー制御(以下、APC_LD制御という、automatic power control)と、光送信器出力パワー設定値と第2パワーモニタ回路10からのTXパワーモニタ信号とに基づきLD駆動電流制御回路14に与える制御値を制御する光送信器パワー制御(以下、APC_TX制御という)との2種類のパワー制御を実行する。
【0024】
APC_LD制御においては、パワー制御回路12は、第1パワーモニタ回路9からのLDパワーモニタ信号とLDパワー設定値との誤差信号を検出し、この誤差信号が0になるよう制御値を決定し、決定した制御値をLD駆動電流制御回路14に入力する。LD駆動電流制御回路14は、この制御値に応じてLDのLD駆動電流を制御する。例えば、LDのLD駆動電流を大きくした場合、LDからの光出力レベルが大きくなるため、LDパワーモニタ信号がLDパワー設定値より小さい場合はLD駆動電流を大きくし、LDパワーモニタ信号がLDパワー設定値より大きい場合はLD駆動電流を小さくするようなフィードバック制御をLDパワーモニタ信号とLDパワー設定値が一致するまで実行する。このようなAPC_LD制御によって、LDからの光出力レベルを一定に保つようにする。
【0025】
APC_TX制御においては、パワー制御回路12は、第2パワーモニタ回路10からのTXパワーモニタ信号と光送信器出力パワー設定値との誤差信号を検出し、この誤差信号が0になるよう決定した制御値をLD駆動電流制御回路14に入力する。LD駆動電流制御回路14は、この制御値に応じてLDのLD駆動電流を制御する。例えば、TXパワーモニタ信号が光送信器出力パワー設定値より小さい場合は、LD駆動電流を大きくし、TXパワーモニタ信号が光送信器出力パワー設定値より大きい場合は、LD駆動電流を小さくするようなフィードバック制御をTXパワーモニタ信号とLDパワー設定値が一致するまで実行する。このようなAPC_TX制御によって光送信器1からの光出力レベルを一定に保つようにする。
【0026】
波長制御回路13には、第1パワーモニタ回路9により検出されたLDパワーモニタ信号と、波長モニタ回路11により検出された波長モニタ信号が入力される。波長制御回路13では、波長モニタ信号をLDパワーモニタ信号で除算して、波長モニタ信号とLDパワーモニタ信号の比をとることで、光出力レベルによらない波長検出値を得る。波長制御回路13ではこの波長検出値と波長設定値との誤差信号を検出し、誤差が0になるよう制御値を決定し、決定した制御値をLD温度制御回路15に出力する。LD温度制御回路15では、この制御値に応じてLDユニット6のペルチェモジュールの温度すなわちTEC温度を制御する。例えばLDのTEC温度を大きくした場合、LDからの光出力波長は長波長側へシフトするため、波長検出値が波長設定値より小さい場合はTEC温度を大きくし、波長検出値が波長設定値より大きい場合はTEC温度を小さくするようなフィードバック制御を波長検出値と波長設定値とが一致するまで実行する。このような自動波長制御を以下AWC制御(automatic wave control)と称する。このような、AWC制御によりLDからの光出力波長を一定に保つようにする。
【0027】
制御装置20は、予め設定された波長設定値、LDパワー設定値および光送信器出力パワー設定値を波長制御回路13、パワー制御回路12に設定するとともに、上記3つの制御(APC_LD制御、APC_TX制御およびAWC制御)をシリアルに実行させる際の順番などを制御する。制御装置20は、光送信器内の上述した各構成要素を制御するが、ここでは便宜上、制御装置20と各構成要素との結線は省略している。
【0028】
このように、光送信器1内には、APC_LD制御系、APC_TX制御系およびAWC制御系の3つの制御系が存在しており、これら3つの制御系によってLDの駆動電流およびTEC温度を制御している。これらの3つの制御(APC_LD制御、APC_TX制御、AWC制御)が同時に行われると、それぞれの制御が競合して所望の光出力レベル、光出力波長が得られない可能性がある。
【0029】
そこで、この実施の形態1においては、図3に示すような手順でAPC_LD制御、APC_TX制御、AWC制御を実行するようにしている。
【0030】
図3において、ステップS100〜S130の手順は、初期設定手順である。初期設定においては、外部変調器7の出力光が所望の値となるようLDパワー設定値を設定した後、設定したLDパワー設定値とLDパワーモニタ信号とが一致するまでAPC_LD制御を実行する(ステップS100,S110)。つぎに、LD波長設定値を設定し、この後設定したLD波長設定値と波長検出値とが一致するまでAWC制御を実行する(ステップS120,S130)。なお、この時点で、光送信器出力パワー設定値を、所定所望の値に設定する。
【0031】
このような初期設定が終了すると、光送信器1は全体的に動作され、光送信器1の通常の光送信動作が実行される。この送信動作中には、APC_LD制御、AWC制御の順番に、2つの制御を同時ではなくシリアルに実行させる(ステップS140)。
【0032】
このように2つの制御をシリアルに実行されている間、パワー制御回路12は、APC_TX制御で使用している第2パワーモニタ回路10からのTXパワーモニタ信号と光送信器出力パワー設定値との誤差信号が所定の閾値以上となったか否かを判定している。この誤差信号が所定の閾値よりも小さいときは、APC_LD制御、AWC制御の2つの制御をこの順に順次繰り返し実行する(ステップS140,S150)。しかし、ステップS150で誤差信号が所定の閾値よりも大きいと判断すると、パワー制御回路12は、設定されたLDパワー設定値の値を変更する(ステップS160)。すなわち、第2パワーモニタ回路10からのTXパワーモニタ信号が光送信器出力パワー設定値に対しΔPだけ変化した場合は、変化分ΔP分だけLDパワー設定値を変更する。例えば、TXパワーモニタ信号が光送信器出力パワー設定値に対しΔPだけ大きくなった場合は、変化分ΔP分だけLDパワー設定値を小さくする。
【0033】
つぎに、パワー制御回路12は、変更されたLDパワー設定値とLDパワーモニター信号の誤差信号が0になるように、APC_LD制御を行う(ステップS170)。つぎに、パワー制御回路12は、APC_TX制御を実行させて、TXパワーモニタ信号と光送信器出力パワー設定値との誤算信号を0にする(ステップS180)。
【0034】
最後にAWC制御を行うことで、光送信器1から所望の光出力レベル、光出力波長を得る(ステップS190)。この後は、手順をステップS140に復帰させ、APC_LD制御、AWC制御の順番に、2つの制御をシリアルに実行させる。これ以降も、パワー制御回路12は、ステップS150において、第2パワーモニタ回路10からのTXパワーモニタ信号と光送信器出力パワー設定値との誤差信号が所定の閾値以上となったか否かを判定しており、誤差信号が所定の閾値よりも小さい限り、ステップS140の通常手順を実行するが、ステップS150で誤差信号が所定の閾値よりも大きくなると、上述したステップS160〜S190の手順を実行する。
【0035】
このようにこの実施の形態1においては、通常運転時は、APC_LD制御、AWC制御をシリアルに実行させるとともに、この通常運転時、パワー制御回路12によってTXパワーモニタ信号と光送信器出力パワー設定値との誤差を検出し、この検出誤差が所定の設定値よりも大きくなった場合、LDパワー設定値を変更し、この変更後、APC_LD制御、APC_TX制御、AWC制御をシリアルに実行させるようにしたので、外部環境変化や経年劣化により光源、及び外部変調器の特性が変化しても、高精度かつ安定な光出力レベル、光出力波長を得ることができる。
【0036】
実施の形態2.
次にこの発明の実施の形態2を図4および図5を用いて説明する。図4は実施の形態2の光送信器の内部構成を示す図である。図5は、実施の形態2におけるAPC_LD制御、AWC制御およびAPC_TX制御の3つの制御の動作手順を示すフローチャートである。図4においては、先の図2に示した実施の形態1の構成に比較器16を追加している。図4に示した各構成要素において、図2の構成要素と基本的に同じ動作を実行するものに関しては同じ符号を付しており、重複する説明は省略する。
【0037】
実施の形態2においては、LDパワー設定値を変更する際に、この変更に対応する波長ずれを算出し、この波長ずれがある範囲以上となる場合は、制御量が小さくなるようにLDパワー設定値を再設定するようにしている。すなわち、パワー制御回路12からの制御値に基づき決定されるLD駆動電流と波長には比例関係があり、LD駆動電流が大きくなると光出力波長は長波長側へシフトし、小さくなると短波長側へシフトするので、LDパワー設定値の変更によるAPC_LDおよびAPC_TX制御時には所望の波長からのずれが生じることになる。実施の形態2はこのような波長ずれに対処しようとするものである。
【0038】
比較器16は、変更前のLDパワー設定値を記憶している。比較器16は、変更された新たなLDパワー設定値がパワー制御回路12から入力された場合は、変更前後のLDパワー設定値の差ΔPをこの差に対応する波長変動値Δλに変換し、この波長変動値Δλを所定の設定値λthと比較し、Δλ>λthであるか否かの比較結果をパワー制御回路12に通知する。すなわち、比較器16は、LD出力パワーの変動量ΔPと波長変動値Δλとの対応関係を示すデータを記憶保持しており、この記憶保持データに基づいて変更前後のLD出力パワーの差ΔPを波長変動値Δλに変換する。なお、ΔPとΔλとの対応関係にLDの最大変化量(nm/mA)を用いることで、経年変化を含めても所望の波長変動閾値を超えることがないようにしている。
【0039】
パワー制御回路12では、比較器16からの比較結果に応じて、LDパワー設定値を変更するか否かを決定する。すなわち、パワー制御回路12は、Δλ>λthである比較結果が比較器16から通知されると、LDパワー設定値を波長変動値の限界λthを越えない値に設定する。例えば、先の実施の形態1では、TXパワーモニタ信号が光送信器出力パワー設定値に対しΔPだけ大きくなった場合は、LDパワー設定値を小さくするようなLDパワー設定値の変更を行っているが、実施の形態2では、パワー制御回路12はΔλ>λthである場合は、例えば、TXパワーモニタ信号が光送信器出力パワー設定値に対しΔPだけ大きくなった際、この変化分ΔPよりも少ない変化分ΔP´(<ΔP)だけ小さくなるようなLDパワー設定値を再設定する。そして、この決定したLDパワー設定値を用いて前述した制御を実行する。なお、LDパワー設定値が変更された場合、この変更されたLDパワー設定値は比較器16に通知される。比較器16では、変更されたLDパワー設定値で、記憶している“変更前のLDパワー設定値”を更新する。
【0040】
以下、図5に従って実施の形態2におけるAPC_LD制御、APC_TX制御およびAWC制御について説明する。
【0041】
ステップS300〜S330の手順は、先のステップS100〜S130と同様、初期設定手順である。初期設定においては、外部変調器7の出力光が所望の値となるようLDパワー設定値を設定した後、設定したLDパワー設定値とLDパワーモニタ信号とが一致するまでAPC_LD制御を実行する(ステップS300,S310)。つぎに、LD波長設定値を設定し、この後設定したLD波長設定値と波長検出値とが一致するまでAWC制御を実行する(ステップS320,S330)。なお、この時点で、光送信器出力パワー設定値を、所望の値に設定する。
【0042】
このような初期設定が終了すると、光送信器1は全体的に動作され、光送信器1の通常の光送信動作が実行される。この送信動作中には、APC_LD制御、AWC制御の順番に、2つの制御をシリアルに実行させる(ステップS340)。
【0043】
このように2つの制御をシリアルに実行されている間、パワー制御回路12は、先の実施の形態1と同様、APC_TX制御で使用している第2パワーモニタ回路10からのTXパワーモニタ信号と光送信器出力パワー設定値との誤差信号が所定の閾値以上となったか否かを判定している(ステップS350)。この誤差信号が所定の閾値よりも小さいときは、APC_LD制御、AWC制御の2つの制御をこの順に順次繰り返し実行する(ステップS340,S350)。しかし、ステップS350で誤差信号が所定の閾値よりも大きいと判断すると、パワー制御回路12は、設定されたLDパワー設定値の値を変更する(ステップS360)。すなわち、第2パワーモニタ回路10からのTXパワーモニタ信号が光送信器出力パワー設定値に対しΔPだけ変化した場合は、変化分ΔP分だけLDパワー設定値を変更する。
【0044】
実施の形態2においては、この変更したLDパワー設定値はまず比較器16に入力される。比較器16では、前述したように、パワー制御回路12から変更された新たなLDパワー設定値が入力された場合は、記憶していた変更前のLDパワー設定値とパワー制御回路12から入力された変更後のLDパワー設定値との差ΔPを求め、この差ΔPをこの差に対応する波長変動値Δλに変換し、この波長変動値Δλを所定の設定値λthと比較し、Δλ>λthであるか否かの比較結果をパワー制御回路12に通知する(ステップS370)。比較器16は、Δλ≦λthである比較結果をパワー制御回路12に通知する際には、パワー制御回路12から入力された変更後のLDパワー設定値で、記憶している“変更前のLDパワー設定値”を更新する。また、比較器16は、Δλ>λthである比較結果をパワー制御回路12に通知する際には、その後パワー制御回路12から再通知される変更後のLDパワー設定値で記憶している“変更前のLDパワー設定値”を更新する。
【0045】
パワー制御回路12では、比較器16からの比較結果に応じて、LDパワー設定値を変更するか否かを決定する。すなわち、パワー制御回路12は、Δλ≦λthである比較結果が比較器16から通知されると、その後は先の実施の形態1と同様の、ステップS380〜S400の手順を実行する。まず、ステップS360で設定したLDパワー設定値を目標値としたAPC_LD制御を行うことで、LDパワー設定値とLDパワーモニター信号の誤差信号が0にする(ステップS380)。つぎに、パワー制御回路12は、APC_TX制御を実行させて、TXパワーモニタ信号と光送信器出力パワー設定値との誤算信号を0にする(ステップS390)。つぎに、AWC制御を行うことで(ステップS400)、光送信器1から所望の光出力レベル、光出力波長を得る。この後は、手順をステップS340に復帰させ、APC_LD制御、AWC制御、の順番に、2つの制御をシリアルに実行させる。
【0046】
一方、ステップS360において、Δλ>λthである比較結果が比較結果が比較器16から通知されると、パワー制御回路12はLDパワー設定値を波長変動値の限界λthを越えない値に再設定する(ステップS410)。すなわち、前述したように、Δλ>λthである場合は、例えば、TXパワーモニタ信号が光送信器出力パワー設定値に対しΔPだけ小さくなった際、この変化分ΔPよりも少ない変化分ΔP´(<ΔP)だけ大きくなるようなLDパワー設定値を再設定する。別言すれば、APC_LD制御およびAPC_TX制御を開始する前のLDパワー設定値をPb、LD駆動電流をIbとし、APC_LD制御およびAPC_TX制御を開始した後のLDパワー設定値をPa、LD駆動電流をIaとすると、LDパワー設定値をPbからPaに変更した場合のLD6の駆動電流変化量Ib−Iaによる波長変動が所望の波長変動値△λより大きい場合は、波長変動が所望の波長変動値△λ以内になるようLDパワー設定値をPaからこのPaよりも変更前の光送信器出力パワー設定値Pbに近い値であるPb´に変更する。
【0047】
そして、この再決定したLDパワー設定値を用いて、前述と同様に、APC_LD制御、APC_TX制御、AWC制御を順番にシリアルに実行する(ステップS420〜S440)。なお、パワー制御回路12で再変更されたLDパワー設定値は比較器16に通知される。比較器16では、前述したように、変更されたLDパワー設定値で、記憶している“変更前のLDパワー設定値”を更新する。このようにして、光送信器1から所望の光出力レベル、光出力波長を得る。
【0048】
その後、手順をステップS350に復帰させる。ステップS350においては、パワー制御回路12は、第2パワーモニタ回路10からのTXパワーモニタ信号と光送信器出力パワー設定値との誤差信号が所定の閾値以上となったか否かを判定し、(ステップS350)。この判定結果に応じてその後制御手順をステップS340に復帰させるか、あるいはステップS360に移行させるかを決定する。
【0049】
このようにこの実施の形態2においては、LDパワー設定値を変更する際に、この変更に対応する波長ずれを算出し、この波長ずれがある範囲以上となる場合は、制御量が小さくなるようにLDパワー設定値を再設定するようにしているので、光送信器出力レベルを一定にするための制御中の過渡応答期間においても、より高精度の波長精度を得ることができる。
【0050】
実施の形態3.
次にこの発明の実施の形態3を図6を用いて説明する。図6は実施の形態3の光送信器の内部構成を示す図である。図6においては、先の図2に示した実施の形態1の構成にタイマ17を追加している。図6に示した各構成要素において、図2の構成要素と基本的に同じ動作を実行するものに関しては同じ符号を付しており、重複する説明は省略する。
【0051】
実施の形態3においては、追加したタイマ17を用いることにより、図3あるいは図5のステップS350での判定を、ステップS340で行われるAPC_LD制御およびAWC制御の制御周期より充分に長い周期で実行させるようにしている。
【0052】
図6において、タイマ17は、第2パワーモニタ回路10から入力されるTXパワーモニタ信号をパワー制御回路12に入力する周期をそのタイマ設定値に応じて決定するものである。このタイマ設定値は、TXパワーモニタ信号のパワー制御回路12への入力周期が、LDパワーモニタ信号や波長モニタ信号のサンプリング周期に比べ充分に長くなるような値に設定されている。
【0053】
通常、外部変調器7の損失は、主に外部環境変化や経年変化により変動するため、その変化スピードはAPC_LD制御、AWC制御の周期より十分長くなる。そこで、実施の形態3においては、タイマ17を用いることにより、TXパワーモニタ信号と光送信器出力パワー設定値との誤差を検出する周期を、APC_LD制御およびAWC制御の制御周期より充分に長い周期で実行させるようにしている。これにより、実施の形態3によれば、そのためのハードウェア構成、ソフトウェア構成を簡単且つ軽減することが可能となる。
【0054】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、通常運転時は、第1および第2の制御系の制御をシリアルに実行させるとともに、この通常運転時、第3の制御系によって光送信器出力パワー設定値と前記外部変調器の出力光の検出パワーとの偏差を検出し、この検出偏差が所定の設定値よりも大きくなった場合、光源パワー設定値を変更し、この変更後、第1の制御系による制御、第3の制御系による制御および第2の制御系による制御をシリアルに実行させるようにしたので、外部環境変化や経年劣化により光源、及び外部変調器の特性が変化しても、高精度かつ安定な光出力レベル、光出力波長を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明を適用するWDM(DWDM)光ファイバ通信システムの構成を示すブロック図である。
【図2】この発明の光送信器の実施の形態1の内部構成を示すブロック図である。
【図3】実施の形態1の動作を示すフローチャートである。
【図4】この発明の光送信器の実施の形態2の内部構成を示すブロック図である。
【図5】実施の形態2の動作を示すフローチャートである。
【図6】この発明の光送信器の実施の形態3の内部構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
1 光送信器、2 合波器、3 分波器、4 光受信器、5 光ファイバ、6LDユニット、7 外部変調器、8 カップラ、9 第1パワーモニタ回路、10 第2パワーモニタ回路、11 波長モニタ回路、12 パワー制御回路、13 波長制御回路、14 LD駆動電流制御回路、15 LD温度制御回路、16 比較器、17 タイマ、20 制御装置。
Claims (4)
- 温度制御モジュールを有する光源ユニットから出力される光を外部変調器で変調して出力する光送信器において、
光源パワー設定値と前記光源ユニットの出力光の検出パワーとの偏差が零になるように前記光源ユニットの光源を駆動制御する第1の制御系と、
波長設定値と前記光源ユニットの出力光の検出波長との偏差が零になるように前記温度制御モジュールを温度制御する第2の制御系と、
光送信器出力パワー設定値と前記外部変調器の出力光の検出パワーとの偏差が零になるように前記光源ユニットの光源を駆動制御する第3の制御系と、
前記第1、第2および第3の制御系を制御する制御装置と、
を備え、
前記第1および第2の制御系による制御をシリアルに繰り返し実行中に、前記第3の制御系によって光送信器出力パワー設定値と前記外部変調器の出力光の検出パワーとの偏差を検出し、この検出偏差が所定の設定値よりも大きくなった場合、前記光源パワー設定値を変更し、この変更後、前記制御装置は、第1の制御系による制御を実行させ、この後第3の制御系による制御および第2の制御系による制御をシリアルに実行させることを特徴とする光送信器。 - 前記制御装置は、第1の制御系による制御、第3の制御系による制御および第2の制御系による制御をこの順にシリアルに実行させた後は、前記第3の制御系によって光送信器出力パワー設定値と前記外部変調器の出力光の検出パワーとの偏差を検出しながら前記第1および第2の制御系による制御をシリアルに繰り返し実行させることを特徴とする請求項1に記載の光送信器。
- 前記第3の制御系は、前記変更しようとする今回の光源パワー設定値と今回までに用いていた光源パワー設定値との差に対応する波長差を所定の設定値と比較する比較器を有し、前記比較器の比較結果において波長差が所定の設定値よりも小さい場合は、前記制御装置は、第1の制御系による制御、第3の制御系による制御および第2の制御系による制御をこの順にシリアルに実行させ、また前記比較器の比較結果において波長差が所定の設定値よりも大きい場合は、前記波長差が前記所定の設定値内となるように変更しようとする今回の光源パワー設定値を再変更し、その後前記制御装置は、第1の制御系による制御、第3の制御系による制御および第2の制御系による制御をこの順にシリアルに実行させることを特徴とする請求項1または2に記載の光送信器。
- 前記第3の制御系によって行われる光送信器出力パワー設定値と前記外部変調器の出力光の検出パワーとの偏差の検出周期を第1または第2の制御系の制御周期よりも充分に長く設定したことを特徴とする請求項1〜3の何れか一つに記載の光送信器。
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