JP2004304078A - 電解コンデンサ用電解液及び該電解液を用いた電解コンデンサ - Google Patents
電解コンデンサ用電解液及び該電解液を用いた電解コンデンサ Download PDFInfo
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Abstract
【課題】低インピーダンス特性、高耐電圧特性を有し、更に高温寿命特性も良好な電解コンデンサ用電解液およびそれを用いた電解コンデンサを提供することを目的とする。
【解決手段】四弗化アルミニウム塩及びキレート化剤を含有する電解コンデンサ用電解液およびそれを用いた電解コンデンサ。
【選択図】 なし
【解決手段】四弗化アルミニウム塩及びキレート化剤を含有する電解コンデンサ用電解液およびそれを用いた電解コンデンサ。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は電解コンデンサ用電解液及び該電解液を用いた電解コンデンサに関し、特に低インピーダンス特性、高耐電圧特性及び良好な高温寿命特性を有する電解コンデンサ用電解液及び該電解液を用いた電解コンデンサに関する。
【0002】
【従来の技術】
電解コンデンサは、一般に陽極箔と陰極箔とをセパレータを介して積層或いは巻回し、これをケースに収納して密封した構造を有する。すなわち、高純度のアルミニウム箔に化学的あるいは電気化学的にエッチング処理を施して表面積を拡大させた陰極電極箔と、高純度のアルミニウム箔にエッチング処理のみならずホウ酸アンモニウム水溶液等の化成液にて化成処理を施して表面に酸化皮膜層を形成させた陽極電極箔とを、マニラ紙等からなるセパレータを介して巻回又は積層してコンデンサ素子を形成し、そして、このコンデンサ素子に電解コンデンサ駆動用の電解液を含浸した後、アルミニウム等からなる外装ケースへ収納し、そしてさらに、外装ケースの開口部に弾性ゴムからなる封口体を装着し、絞り加工により外装ケースを密封することにより得られる。
【0003】
ここで、コンデンサ素子に含浸される電解コンデンサ等の電解液としては、γ−ブチロラクトン等の非プロトン性溶媒に芳香族カルボン酸(フタル酸等)の第四級アンモニウム塩を電解質としたもの(特許文献1)、マレイン酸の第四級アンモニウム塩を電解質としたもの(特許文献2)、脂肪族飽和モノカルボン酸(蟻酸等)の第四級アンモニウム塩を電解質としたもの(特許文献3)、脂肪族飽和ジカルボン酸(マロン酸等)の第4級アンモニウム塩を電解質としたもの(特許文献4)などが知られている。
【0004】
また、高電導率を有する電解コンデンサ駆動用の電解液として、γ−ブチロラクトンを主溶媒とし、電解質として環状アミジン化合物を四級化したカチオンであるイミダゾリニウムカチオンやイミダゾリウムカチオンをカチオン成分とし酸の共役塩基をアニオン成分とした塩を溶解させたものが知られている(特許文献5及び特許文献6参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開昭62−145715号公報
【特許文献2】
特開昭62−145713号公報
【特許文献3】
特開昭62−226614号公報
【特許文献4】
特開昭62−248217号公報
【特許文献5】
特開平08−321440号公報
【特許文献6】
特開平08−321441号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、近年、電子情報機器のデジタル化によるこれら電子情報機器の心臓部であるマイクロプロセッサの駆動周波数の高速化が進むに伴い、周辺回路の電子部品の消費電力が増大化しリップル電流の増大化が著しいため、これらの回路に用いられる電解コンデンサには、低インピーダンス特性が要求されるようになった。
【0007】
また、特に車載の分野では、自動車性能の高機能化による消費電力の増大に伴い、低インピーダンス特性に対する要求が高くなっている。また、車載用回路の駆動電圧は14Vから42Vへと進展しつつあり、このような高い駆動電圧に対応するには、電解コンデンサの耐電圧特性が28V乃至84V以上が必要である。さらに、この分野では高温使用の要求があるため、電解コンデンサには高温寿命特性が要求されるようになった。
【0008】
しかしながら、現在、このような要望にこたえる電解コンデンサの実用化には問題点が存在する。たとえば、低インピーダンス特性を有し、さらに高耐電圧特性を有しつつも、高温寿命特性も良好な電解コンデンサは実現できていない。
【0009】
そこで、本発明は、低インピーダンス特性を有し、さらに高耐電圧特性を有し、高温寿命特性も良好な電解コンデンサ用電解液およびそれを用いた電解コンデンサを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決しようとする手段】
これらの課題を解決するために鋭意検討を進めた結果、本発明者らは、電解液が特定の条件を満たす場合に優れた電解コンデンサ用電解液を得ることができることを見出し、更に、該電解液を用いることにより低インピーダンス特性を有し、さらに高耐電圧特性を有しつつも、高温寿命特性も良好な電解コンデンサを得ることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
すなわち、本発明の電解コンデンサ用電解液は、四弗化アルミニウム塩及びキレート化剤を含有することを特徴としており、本発明の電解コンデンサは、該電解コンデンサ用電解液が用いられていることを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の電解コンデンサ用電解液及び該電解液を用いた電解コンデンサについて詳細に説明する。
【0013】
本発明は、第一に、四弗化アルミニウム塩及びキレート化剤を含有する優れた電解コンデンサ用電解液を提供するものである。すなわち、アニオン成分としての四弗化アルミニウムイオンを含有する電解コンデンサ用電解液中に、更にキレート化剤を添加することにより、火花電圧の高く比抵抗の低い電解液を得ることができることを見出したものである。
【0014】
本発明の電解コンデンサ用電解液のキレート化剤は、ジシアンジアミド等のグアニジン類、ガラクトースやグルコース等の糖類、リグノスルホン酸塩等のリグニン類、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ニトリロ三酢酸(NTA)、グリコールエーテルジアミン四酢酸(GEDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、トリエチレンテトラミン六酢酸(TTHA)等のアミノポリカルボン酸類及びこれらの塩から選択される少なくとも一種類以上であることが好ましい。
【0015】
これらの塩としてはアンモニウム塩、アミン塩、四級アンモニウム塩、または四級化環状アミジニウムイオンをカチオン成分とする塩を用いることができる。
【0016】
アミン塩を構成するアミンとしては、一級アミン(メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、エチレンジアミン、モノエタノールアミン等)、二級アミン(ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、エチルメチルアミン、ジフェニルアミン、ジエタノールアミン等)、三級アミン(トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリエタノールアミン等)が挙げられる。また、第四級アンモニウム塩を構成する第四級アンモニウムとしてはテトラアルキルアンモニウム(テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラプロピルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、メチルトリエチルアンモニウム、ジメチルジエチルアンモニウム等)、ピリジウム(1−メチルピリジウム、1−エチルピリジウム、1,3−ジエチルピリジウム等)が挙げられる。
【0017】
さらに、四級化環状アミジニウムイオンをカチオン成分とする塩においては、カチオン成分となる四級化環状アミジニウムイオンは、N,N,N’,−置換アミジン基をもつ環状化合物を四級化したカチオンであり、N,N,N’−置換アミジン基をもつ環状化合物としては、以下の化合物が挙げられる。イミダゾール単環化合物(1−メチルイミダゾール、1−フェニルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、1−エチル−2−メチルイミダゾール、2−エチル−1−メチルイミダゾール、1,2−ジエチルイミダゾール、1,2,4−トリメチルイミダゾール等のイミダゾール同族体、1−メチル−2−オキシメチルイミダゾール、1−メチル−2−オキシエチルイミダゾール等のオキシアルキル誘導体、1−メチル−4(5)−ニトロイミダゾール等のニトロ誘導体、1,2−ジメチル−5(4)−アミノイミダゾール等のアミノ誘導体等)、ペンゾイミダゾール化合物(1−メチルベンゾイミダゾール、1−メチル−2−ベンジルベンゾイミダゾール、1−メチル−5(6)−ニトロベンゾイミダゾール等)、2−イミダゾリン環を有する化合物(1−メチルイミダゾリン、1,2−ジメチルイミダゾリン、1,2,4−トリメチルイミダゾリン、1−メチル−2−フェニルイミダゾリン、1−エチル−2−メチルイミダゾリン、1,4−ジメチル−2−エチルイミダゾリン、1−メチル−2−エトキシメチルイミダゾリン等)、テトラヒドロピリミジン環を有する化合物(1−メチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジン、1,2−ジメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジン、1,5−ジアザビシクロ〔4,3,0〕ノネン−5、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)−ウンデセン−7等)等である。
【0018】
本発明の電解コンデンサ用電解液のキレート化剤の含有量は、好ましくは電解液全重量の0.1〜3.0重量%、さらに好ましくは0.3〜1.5重量%である。キレート化剤の濃度がこの範囲であると十分なキレート化効果が得られず、一方、キレート化剤の濃度がこの範囲を超えると比抵抗が上昇する。
【0019】
本発明の電解コンデンサ用電解液の四弗化アルミニウム塩は、四弗化アルミニウムをアニオン成分とする塩であるが、この塩としてはアンモニウム塩、アミン塩、四級アンモニウム塩、または四級化環状アミジニウムイオンをカチオン成分とする塩を用いることができる。
【0020】
アミン塩を構成するアミンとしては、一級アミン(メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、エチレンジアミン、モノエタノールアミン等)、二級アミン(ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、エチルメチルアミン、ジフェニルアミン、ジエタノールアミン等)、三級アミン(トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリエタノールアミン等)が挙げられる。また、第四級アンモニウム塩を構成する第四級アンモニウムとしてはテトラアルキルアンモニウム(テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラプロピルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、メチルトリエチルアンモニウム、ジメチルジエチルアンモニウム等)、ピリジウム(1−メチルピリジウム、1−エチルピリジウム、1,3−ジエチルピリジウム等)が挙げられる。
【0021】
さらに、四級化環状アミジニウムイオンをカチオン成分とする塩においては、カチオン成分となる四級化環状アミジニウムイオンは、N,N,N’,−置換アミジン基をもつ環状化合物を四級化したカチオンであり、N,N,N’−置換アミジン基をもつ環状化合物としては、以下の化合物が挙げられる。イミダゾール単環化合物(1−メチルイミダゾール、1−フェニルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、1−エチル−2−メチルイミダゾール、2−エチル−1−メチルイミダゾール、1,2−ジエチルイミダゾール、1,2,4−トリメチルイミダゾール等のイミダゾール同族体、1−メチル−2−オキシメチルイミダゾール、1−メチル−2−オキシエチルイミダゾール等のオキシアルキル誘導体、1−メチル−4(5)−ニトロイミダゾール等のニトロ誘導体、1,2−ジメチル−5(4)−アミノイミダゾール等のアミノ誘導体等)、ペンゾイミダゾール化合物(1−メチルベンゾイミダゾール、1−メチル−2−ベンジルベンゾイミダゾール、1−メチル−5(6)−ニトロベンゾイミダゾール等)、2−イミダゾリン環を有する化合物(1−メチルイミダゾリン、1,2−ジメチルイミダゾリン、1,2,4−トリメチルイミダゾリン、1−メチル−2−フェニルイミダゾリン、1−エチル−2−メチルイミダゾリン、1,4−ジメチル−2−エチルイミダゾリン、1−メチル−2−エトキシメチルイミダゾリン等)、テトラヒドロピリミジン環を有する化合物(1−メチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジン、1,2−ジメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジン、1,5−ジアザビシクロ〔4,3,0〕ノネン−5、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)−ウンデセン−7等)等である。
【0022】
本発明の電解コンデンサ用電解液の四弗化アルミニウム塩の含有量は、好ましくは電解液全重量の5〜40重量%、さらに好ましくは10〜35重量%である。四弗化アルミニウム塩の濃度がこの範囲であると十分な電気伝導率が得られず、一方、四弗化アルミニウム塩の濃度がこの範囲より大きい場合、電解液の粘性の増加、低温での塩の析出等の問題が生じてしまう可能性があり、耐電圧が低下する。
【0023】
本発明の電解液に用いる溶媒としては、プロトン性極性溶媒、非プロトン性溶媒、及びこれらの混合物を用いることができる。プロトン性極性溶媒としては、一価アルコール類(エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロブタノール、シクロペンタノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール等)、多価アルコール類およびオキシアルコール化合物類(エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、メトキシプロピレングリコール、ジメトキシプロパノール等)などが挙げられる。また、非プロトン性の極性溶媒としては、アミド系(N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−エチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−エチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホリックアミド等)、ラクトン類(γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、γ−バレロラクトン等)、スルホラン系(スルホラン、3−メチルスルホラン、2,4−ジメチルスルホラン等)、環状アミド系(N−メチル−2−ピロリドン等)、カーボネイト類(エチレンカーボネイト、プロピレンカーボネイト、イソブチレンカーボネイト等)、ニトリル系(アセトニトリル等)、スルホキシド系(ジメチルスルホキシド等)、2−イミダゾリジノン系〔1,3−ジアルキル−2−イミダゾリジノン(1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、1,3−ジエチルー2−イミダゾリジノン、1,3−ジ(n−プロピル)−2−イミダゾリジノン等)、1,3,4−トリアルキル−2−イミダゾリジノン(1,3,4−トリメチルー2−イミダゾリジノン等)〕などが代表として、挙げられる。中でも、γ−ブチロラクトンを用いるとインピーダンス特性が向上するので好ましく、スルホラン、3−メチルスルホラン、2,4−ジメチルスルホランを用いると高温特性が向上するので好ましく、エチレングリコールを用いると耐電圧特性が向上するので好ましい。
【0024】
本発明の電解コンデンサ用電解液の溶媒は、さらに優れた電気伝導率、熱安定性、耐電圧性を有する電解液を得る観点から、60重量%乃至95重量%含有させることが好ましい。
【0025】
本発明の電解コンデンサの例としては、アルミニウム電解コンデンサ、タンタル電解コンデンサ、ニオブ電解コンデンサを挙げることができる。電解コンデンサの構造や材質は、本発明による電解液を使用するものである限り、特に制限されない。従って、従来から使用されている電解コンデンサや新たに提案されている電解コンデンサに本発明の電解液を使用する場合は、全て本発明の範囲内に含まれる。
【0026】
本発明は、第二に、本発明による電解液を使用した飛躍的に性能の向上した電解コンデンサを提供するものである。すなわち、本発明による電解液を電解コンデンサに使用することにより、低インピーダンス特性、高耐電圧特性及び良好な高温寿命特性を有する電解コンデンサを得ることができることを見出したものである。すなわち、本発明の電解液を用いた電解コンデンサは、四弗化アルミニウム塩が用られているため、工程中、又は使用中に混入した水分によって、電解液と電極箔との反応性は大きくなって高温寿命試験中に特性が低下するが、電解液中にキレート化剤を添加することにより、キレート化剤が電極箔表面の反応活性点をカバーして、電解液と電極箔の反応を抑制するため、安定した特性を得ることができる。
【0027】
本発明のアルミニウム電解コンデンサには、例えば陽極箔と陰極箔とをセパレータ紙を介して巻回して形成した素子を用いる。陽極箔には、純度99.9%のアルミニウム箔を酸性溶液中で化学的あるいは電気化学的なエッチングにより拡面処理した後、アジピン酸アンモニウムやホウ酸、リン酸等の水溶液中で化成処理を行い、その表面に酸化アルミニウム皮膜層を形成したものを用いてもよい。陰極箔には、純度99.9%のアルミニウム箔をエッチングして拡面処理した箔を用いてもよい。更に、陰極箔にはエッチングしたアルミニウム箔の表面に窒化チタンの薄膜を形成したものを用いてもよい。このように構成したコンデンサ素子のセパレータに本発明による電解液を含浸する。この電解液をセパレータに含浸した素子を有底筒状のアルミニウムよりなる外装ケースに収納し、外装ケースの開口端部にブチルゴム製の封口体を挿入し、更に外装ケースの端部を絞り加工して電解コンデンサの封口を行うことによりアルミニウム電解コンデンサを得ることができる。封口体の表面をテフロン(登録商標)等の樹脂でコーティングしたり、ベークライト等の板を貼り付けると溶媒蒸気の透過性が低減するので更に好ましい。
【0028】
セパレータには、通常マニラ紙やクラフト紙等の紙が用いられるが、ガラス繊維、ポリプロピレン、ポリエチレン等の不織布を用いることもできる。
【0029】
封口体に用いるブチルゴムには、イソブチレンとイソプレンとの共重合体からなる生ゴムに補強剤(カーボンブラック等)、増量剤(クレイ、タルク、炭酸カルシウム等)、加工助剤(ステアリン酸、酸化亜鉛等)、加硫剤等を添加して混線した後、圧延、成型したゴム弾性体を用いることができる。加硫剤には、アルキルフェノールホルマリン樹脂;過酸化物(ジクミルペルオキシド、1,1−ジ−(t−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン等);キノイド(p−キノンジオキシム、p,p’−ジベンゾイルキノンジオキシム等);イオウ等を用いることができる。
【0030】
また本発明のアルミニウム電解コンデンサは、ハーメチックシール構造や樹脂ケースに密閉した構造のものであってもよい。ゴム封止構造のアルミニウム電解コンデンサの場合、ゴムを通して気体が多少透過するため、過酷な環境、たとえば高温環境下においてはコンデンサ内部から大気中へ溶媒が揮発し、高温高湿環境下においては大気中からコンデンサ内部へ水分が混入し、静電容量の減少等の好ましくない特性変化を起こす。一方、ハーメチックシール構造や樹脂ケースに密閉した構造のアルミニウム電解コンデンサの場合、気体の透過量が極めて小さいため上述の過酷な環境下においても安定した特性を示すことが可能である。
【0031】
【実施例】
次にこの発明について実施例を示して説明する。なお、本発明の範囲はこれらの実施例により限定されるものではなく、実施例中の材料、使用量、割合、操作等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。
【0032】
コンデンサ素子は陽極電極箔と陰極電極箔をセパレータを介して巻回して形成する。また陽極電極箔、陰極電極箔には陽極引出し用のリード線、陰極引出し用のリード線がそれぞれ接続されている。これらのリード線は、電極箔に当接する接続部とこの接続部と一体に形成した丸棒部、および丸棒部の先端に固着した外部接続部からなる。また、接続部および丸棒部は99%のアルミニウム、外部接続部は銅メッキ鉄鋼線(以下CP線とする)からなる。このリード線の、少なくとも丸棒部の表面には、リン酸アンモニウム水溶液による化成処理により酸化アルミニウムからなる陽極酸化皮膜が形成されている。このリード線は、接続部においてそれぞれステッチや超音波溶接等の手段により両極電極箔に電気的に接続されている。陽極電極箔は、純度99.9%のアルミニウム箔を酸性溶液中で化学的あるいは電気化学的にエッチングして拡面処理した後、アジピン酸アンモニウムの水溶液中で化成処理を行い、その表面に陽極酸化皮膜層を形成したものを用い、陰極箔は、純度99.9%のアルミニウム箔をエッチングして拡面処理した箔を用いる。そして、電解液を含浸したコンデンサ素子を、有底筒状のアルミニウムよりなる外装ケースに収納し、外装ケースの開口部に封口体を装着するとともに、外装ケースの端部に絞り加工を施して外装ケースを密封する。封口体は、リード線をそれぞれ導出する貫通孔を備えている。
【0033】
ここで用いた電解コンデンサ用電解液を(表1)に示す。
【0034】
【表1】
【0035】
以上のように構成した電解コンデンサの定格は、100WV−22μFであり、これらの電解コンデンサの特性を評価した。試験条件は105℃、1000時間負荷である。その結果を(表2)に示す。
【0036】
【表2】
【0037】
(表1)から明らかなように、実施例及び比較例の電解コンデンサ用電解液の火花電圧は従来例に比べて高く、比抵抗も低い。
【0038】
そして、(表2)から明らかなように、負荷試験後の実施例のΔCap(静電容量変化率)もtanδ(誘電損失の正接)も比較例のものより低く、高温寿命特性が良好である。よって、実施例の電解コンデンサは比較例のものと同等の優れた火花電圧及び比抵抗を備えつつ、更に高温寿命特性において著しい効果を発揮している。
【0039】
【発明の効果】
本発明の電解コンデンサ用電解液によれば、低比抵抗特性及び高い火花電圧が得られる。またこの電解コンデンサ用電解液を使用する電解コンデンサによれば、低インピーダンス特性、高耐電圧特性のみならず、高温寿命特性が得られる。
【産業上の利用分野】
本発明は電解コンデンサ用電解液及び該電解液を用いた電解コンデンサに関し、特に低インピーダンス特性、高耐電圧特性及び良好な高温寿命特性を有する電解コンデンサ用電解液及び該電解液を用いた電解コンデンサに関する。
【0002】
【従来の技術】
電解コンデンサは、一般に陽極箔と陰極箔とをセパレータを介して積層或いは巻回し、これをケースに収納して密封した構造を有する。すなわち、高純度のアルミニウム箔に化学的あるいは電気化学的にエッチング処理を施して表面積を拡大させた陰極電極箔と、高純度のアルミニウム箔にエッチング処理のみならずホウ酸アンモニウム水溶液等の化成液にて化成処理を施して表面に酸化皮膜層を形成させた陽極電極箔とを、マニラ紙等からなるセパレータを介して巻回又は積層してコンデンサ素子を形成し、そして、このコンデンサ素子に電解コンデンサ駆動用の電解液を含浸した後、アルミニウム等からなる外装ケースへ収納し、そしてさらに、外装ケースの開口部に弾性ゴムからなる封口体を装着し、絞り加工により外装ケースを密封することにより得られる。
【0003】
ここで、コンデンサ素子に含浸される電解コンデンサ等の電解液としては、γ−ブチロラクトン等の非プロトン性溶媒に芳香族カルボン酸(フタル酸等)の第四級アンモニウム塩を電解質としたもの(特許文献1)、マレイン酸の第四級アンモニウム塩を電解質としたもの(特許文献2)、脂肪族飽和モノカルボン酸(蟻酸等)の第四級アンモニウム塩を電解質としたもの(特許文献3)、脂肪族飽和ジカルボン酸(マロン酸等)の第4級アンモニウム塩を電解質としたもの(特許文献4)などが知られている。
【0004】
また、高電導率を有する電解コンデンサ駆動用の電解液として、γ−ブチロラクトンを主溶媒とし、電解質として環状アミジン化合物を四級化したカチオンであるイミダゾリニウムカチオンやイミダゾリウムカチオンをカチオン成分とし酸の共役塩基をアニオン成分とした塩を溶解させたものが知られている(特許文献5及び特許文献6参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開昭62−145715号公報
【特許文献2】
特開昭62−145713号公報
【特許文献3】
特開昭62−226614号公報
【特許文献4】
特開昭62−248217号公報
【特許文献5】
特開平08−321440号公報
【特許文献6】
特開平08−321441号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、近年、電子情報機器のデジタル化によるこれら電子情報機器の心臓部であるマイクロプロセッサの駆動周波数の高速化が進むに伴い、周辺回路の電子部品の消費電力が増大化しリップル電流の増大化が著しいため、これらの回路に用いられる電解コンデンサには、低インピーダンス特性が要求されるようになった。
【0007】
また、特に車載の分野では、自動車性能の高機能化による消費電力の増大に伴い、低インピーダンス特性に対する要求が高くなっている。また、車載用回路の駆動電圧は14Vから42Vへと進展しつつあり、このような高い駆動電圧に対応するには、電解コンデンサの耐電圧特性が28V乃至84V以上が必要である。さらに、この分野では高温使用の要求があるため、電解コンデンサには高温寿命特性が要求されるようになった。
【0008】
しかしながら、現在、このような要望にこたえる電解コンデンサの実用化には問題点が存在する。たとえば、低インピーダンス特性を有し、さらに高耐電圧特性を有しつつも、高温寿命特性も良好な電解コンデンサは実現できていない。
【0009】
そこで、本発明は、低インピーダンス特性を有し、さらに高耐電圧特性を有し、高温寿命特性も良好な電解コンデンサ用電解液およびそれを用いた電解コンデンサを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決しようとする手段】
これらの課題を解決するために鋭意検討を進めた結果、本発明者らは、電解液が特定の条件を満たす場合に優れた電解コンデンサ用電解液を得ることができることを見出し、更に、該電解液を用いることにより低インピーダンス特性を有し、さらに高耐電圧特性を有しつつも、高温寿命特性も良好な電解コンデンサを得ることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
すなわち、本発明の電解コンデンサ用電解液は、四弗化アルミニウム塩及びキレート化剤を含有することを特徴としており、本発明の電解コンデンサは、該電解コンデンサ用電解液が用いられていることを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の電解コンデンサ用電解液及び該電解液を用いた電解コンデンサについて詳細に説明する。
【0013】
本発明は、第一に、四弗化アルミニウム塩及びキレート化剤を含有する優れた電解コンデンサ用電解液を提供するものである。すなわち、アニオン成分としての四弗化アルミニウムイオンを含有する電解コンデンサ用電解液中に、更にキレート化剤を添加することにより、火花電圧の高く比抵抗の低い電解液を得ることができることを見出したものである。
【0014】
本発明の電解コンデンサ用電解液のキレート化剤は、ジシアンジアミド等のグアニジン類、ガラクトースやグルコース等の糖類、リグノスルホン酸塩等のリグニン類、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ニトリロ三酢酸(NTA)、グリコールエーテルジアミン四酢酸(GEDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、トリエチレンテトラミン六酢酸(TTHA)等のアミノポリカルボン酸類及びこれらの塩から選択される少なくとも一種類以上であることが好ましい。
【0015】
これらの塩としてはアンモニウム塩、アミン塩、四級アンモニウム塩、または四級化環状アミジニウムイオンをカチオン成分とする塩を用いることができる。
【0016】
アミン塩を構成するアミンとしては、一級アミン(メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、エチレンジアミン、モノエタノールアミン等)、二級アミン(ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、エチルメチルアミン、ジフェニルアミン、ジエタノールアミン等)、三級アミン(トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリエタノールアミン等)が挙げられる。また、第四級アンモニウム塩を構成する第四級アンモニウムとしてはテトラアルキルアンモニウム(テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラプロピルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、メチルトリエチルアンモニウム、ジメチルジエチルアンモニウム等)、ピリジウム(1−メチルピリジウム、1−エチルピリジウム、1,3−ジエチルピリジウム等)が挙げられる。
【0017】
さらに、四級化環状アミジニウムイオンをカチオン成分とする塩においては、カチオン成分となる四級化環状アミジニウムイオンは、N,N,N’,−置換アミジン基をもつ環状化合物を四級化したカチオンであり、N,N,N’−置換アミジン基をもつ環状化合物としては、以下の化合物が挙げられる。イミダゾール単環化合物(1−メチルイミダゾール、1−フェニルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、1−エチル−2−メチルイミダゾール、2−エチル−1−メチルイミダゾール、1,2−ジエチルイミダゾール、1,2,4−トリメチルイミダゾール等のイミダゾール同族体、1−メチル−2−オキシメチルイミダゾール、1−メチル−2−オキシエチルイミダゾール等のオキシアルキル誘導体、1−メチル−4(5)−ニトロイミダゾール等のニトロ誘導体、1,2−ジメチル−5(4)−アミノイミダゾール等のアミノ誘導体等)、ペンゾイミダゾール化合物(1−メチルベンゾイミダゾール、1−メチル−2−ベンジルベンゾイミダゾール、1−メチル−5(6)−ニトロベンゾイミダゾール等)、2−イミダゾリン環を有する化合物(1−メチルイミダゾリン、1,2−ジメチルイミダゾリン、1,2,4−トリメチルイミダゾリン、1−メチル−2−フェニルイミダゾリン、1−エチル−2−メチルイミダゾリン、1,4−ジメチル−2−エチルイミダゾリン、1−メチル−2−エトキシメチルイミダゾリン等)、テトラヒドロピリミジン環を有する化合物(1−メチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジン、1,2−ジメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジン、1,5−ジアザビシクロ〔4,3,0〕ノネン−5、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)−ウンデセン−7等)等である。
【0018】
本発明の電解コンデンサ用電解液のキレート化剤の含有量は、好ましくは電解液全重量の0.1〜3.0重量%、さらに好ましくは0.3〜1.5重量%である。キレート化剤の濃度がこの範囲であると十分なキレート化効果が得られず、一方、キレート化剤の濃度がこの範囲を超えると比抵抗が上昇する。
【0019】
本発明の電解コンデンサ用電解液の四弗化アルミニウム塩は、四弗化アルミニウムをアニオン成分とする塩であるが、この塩としてはアンモニウム塩、アミン塩、四級アンモニウム塩、または四級化環状アミジニウムイオンをカチオン成分とする塩を用いることができる。
【0020】
アミン塩を構成するアミンとしては、一級アミン(メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、エチレンジアミン、モノエタノールアミン等)、二級アミン(ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、エチルメチルアミン、ジフェニルアミン、ジエタノールアミン等)、三級アミン(トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリエタノールアミン等)が挙げられる。また、第四級アンモニウム塩を構成する第四級アンモニウムとしてはテトラアルキルアンモニウム(テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラプロピルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、メチルトリエチルアンモニウム、ジメチルジエチルアンモニウム等)、ピリジウム(1−メチルピリジウム、1−エチルピリジウム、1,3−ジエチルピリジウム等)が挙げられる。
【0021】
さらに、四級化環状アミジニウムイオンをカチオン成分とする塩においては、カチオン成分となる四級化環状アミジニウムイオンは、N,N,N’,−置換アミジン基をもつ環状化合物を四級化したカチオンであり、N,N,N’−置換アミジン基をもつ環状化合物としては、以下の化合物が挙げられる。イミダゾール単環化合物(1−メチルイミダゾール、1−フェニルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、1−エチル−2−メチルイミダゾール、2−エチル−1−メチルイミダゾール、1,2−ジエチルイミダゾール、1,2,4−トリメチルイミダゾール等のイミダゾール同族体、1−メチル−2−オキシメチルイミダゾール、1−メチル−2−オキシエチルイミダゾール等のオキシアルキル誘導体、1−メチル−4(5)−ニトロイミダゾール等のニトロ誘導体、1,2−ジメチル−5(4)−アミノイミダゾール等のアミノ誘導体等)、ペンゾイミダゾール化合物(1−メチルベンゾイミダゾール、1−メチル−2−ベンジルベンゾイミダゾール、1−メチル−5(6)−ニトロベンゾイミダゾール等)、2−イミダゾリン環を有する化合物(1−メチルイミダゾリン、1,2−ジメチルイミダゾリン、1,2,4−トリメチルイミダゾリン、1−メチル−2−フェニルイミダゾリン、1−エチル−2−メチルイミダゾリン、1,4−ジメチル−2−エチルイミダゾリン、1−メチル−2−エトキシメチルイミダゾリン等)、テトラヒドロピリミジン環を有する化合物(1−メチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジン、1,2−ジメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジン、1,5−ジアザビシクロ〔4,3,0〕ノネン−5、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)−ウンデセン−7等)等である。
【0022】
本発明の電解コンデンサ用電解液の四弗化アルミニウム塩の含有量は、好ましくは電解液全重量の5〜40重量%、さらに好ましくは10〜35重量%である。四弗化アルミニウム塩の濃度がこの範囲であると十分な電気伝導率が得られず、一方、四弗化アルミニウム塩の濃度がこの範囲より大きい場合、電解液の粘性の増加、低温での塩の析出等の問題が生じてしまう可能性があり、耐電圧が低下する。
【0023】
本発明の電解液に用いる溶媒としては、プロトン性極性溶媒、非プロトン性溶媒、及びこれらの混合物を用いることができる。プロトン性極性溶媒としては、一価アルコール類(エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロブタノール、シクロペンタノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール等)、多価アルコール類およびオキシアルコール化合物類(エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、メトキシプロピレングリコール、ジメトキシプロパノール等)などが挙げられる。また、非プロトン性の極性溶媒としては、アミド系(N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−エチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−エチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホリックアミド等)、ラクトン類(γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、γ−バレロラクトン等)、スルホラン系(スルホラン、3−メチルスルホラン、2,4−ジメチルスルホラン等)、環状アミド系(N−メチル−2−ピロリドン等)、カーボネイト類(エチレンカーボネイト、プロピレンカーボネイト、イソブチレンカーボネイト等)、ニトリル系(アセトニトリル等)、スルホキシド系(ジメチルスルホキシド等)、2−イミダゾリジノン系〔1,3−ジアルキル−2−イミダゾリジノン(1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、1,3−ジエチルー2−イミダゾリジノン、1,3−ジ(n−プロピル)−2−イミダゾリジノン等)、1,3,4−トリアルキル−2−イミダゾリジノン(1,3,4−トリメチルー2−イミダゾリジノン等)〕などが代表として、挙げられる。中でも、γ−ブチロラクトンを用いるとインピーダンス特性が向上するので好ましく、スルホラン、3−メチルスルホラン、2,4−ジメチルスルホランを用いると高温特性が向上するので好ましく、エチレングリコールを用いると耐電圧特性が向上するので好ましい。
【0024】
本発明の電解コンデンサ用電解液の溶媒は、さらに優れた電気伝導率、熱安定性、耐電圧性を有する電解液を得る観点から、60重量%乃至95重量%含有させることが好ましい。
【0025】
本発明の電解コンデンサの例としては、アルミニウム電解コンデンサ、タンタル電解コンデンサ、ニオブ電解コンデンサを挙げることができる。電解コンデンサの構造や材質は、本発明による電解液を使用するものである限り、特に制限されない。従って、従来から使用されている電解コンデンサや新たに提案されている電解コンデンサに本発明の電解液を使用する場合は、全て本発明の範囲内に含まれる。
【0026】
本発明は、第二に、本発明による電解液を使用した飛躍的に性能の向上した電解コンデンサを提供するものである。すなわち、本発明による電解液を電解コンデンサに使用することにより、低インピーダンス特性、高耐電圧特性及び良好な高温寿命特性を有する電解コンデンサを得ることができることを見出したものである。すなわち、本発明の電解液を用いた電解コンデンサは、四弗化アルミニウム塩が用られているため、工程中、又は使用中に混入した水分によって、電解液と電極箔との反応性は大きくなって高温寿命試験中に特性が低下するが、電解液中にキレート化剤を添加することにより、キレート化剤が電極箔表面の反応活性点をカバーして、電解液と電極箔の反応を抑制するため、安定した特性を得ることができる。
【0027】
本発明のアルミニウム電解コンデンサには、例えば陽極箔と陰極箔とをセパレータ紙を介して巻回して形成した素子を用いる。陽極箔には、純度99.9%のアルミニウム箔を酸性溶液中で化学的あるいは電気化学的なエッチングにより拡面処理した後、アジピン酸アンモニウムやホウ酸、リン酸等の水溶液中で化成処理を行い、その表面に酸化アルミニウム皮膜層を形成したものを用いてもよい。陰極箔には、純度99.9%のアルミニウム箔をエッチングして拡面処理した箔を用いてもよい。更に、陰極箔にはエッチングしたアルミニウム箔の表面に窒化チタンの薄膜を形成したものを用いてもよい。このように構成したコンデンサ素子のセパレータに本発明による電解液を含浸する。この電解液をセパレータに含浸した素子を有底筒状のアルミニウムよりなる外装ケースに収納し、外装ケースの開口端部にブチルゴム製の封口体を挿入し、更に外装ケースの端部を絞り加工して電解コンデンサの封口を行うことによりアルミニウム電解コンデンサを得ることができる。封口体の表面をテフロン(登録商標)等の樹脂でコーティングしたり、ベークライト等の板を貼り付けると溶媒蒸気の透過性が低減するので更に好ましい。
【0028】
セパレータには、通常マニラ紙やクラフト紙等の紙が用いられるが、ガラス繊維、ポリプロピレン、ポリエチレン等の不織布を用いることもできる。
【0029】
封口体に用いるブチルゴムには、イソブチレンとイソプレンとの共重合体からなる生ゴムに補強剤(カーボンブラック等)、増量剤(クレイ、タルク、炭酸カルシウム等)、加工助剤(ステアリン酸、酸化亜鉛等)、加硫剤等を添加して混線した後、圧延、成型したゴム弾性体を用いることができる。加硫剤には、アルキルフェノールホルマリン樹脂;過酸化物(ジクミルペルオキシド、1,1−ジ−(t−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン等);キノイド(p−キノンジオキシム、p,p’−ジベンゾイルキノンジオキシム等);イオウ等を用いることができる。
【0030】
また本発明のアルミニウム電解コンデンサは、ハーメチックシール構造や樹脂ケースに密閉した構造のものであってもよい。ゴム封止構造のアルミニウム電解コンデンサの場合、ゴムを通して気体が多少透過するため、過酷な環境、たとえば高温環境下においてはコンデンサ内部から大気中へ溶媒が揮発し、高温高湿環境下においては大気中からコンデンサ内部へ水分が混入し、静電容量の減少等の好ましくない特性変化を起こす。一方、ハーメチックシール構造や樹脂ケースに密閉した構造のアルミニウム電解コンデンサの場合、気体の透過量が極めて小さいため上述の過酷な環境下においても安定した特性を示すことが可能である。
【0031】
【実施例】
次にこの発明について実施例を示して説明する。なお、本発明の範囲はこれらの実施例により限定されるものではなく、実施例中の材料、使用量、割合、操作等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。
【0032】
コンデンサ素子は陽極電極箔と陰極電極箔をセパレータを介して巻回して形成する。また陽極電極箔、陰極電極箔には陽極引出し用のリード線、陰極引出し用のリード線がそれぞれ接続されている。これらのリード線は、電極箔に当接する接続部とこの接続部と一体に形成した丸棒部、および丸棒部の先端に固着した外部接続部からなる。また、接続部および丸棒部は99%のアルミニウム、外部接続部は銅メッキ鉄鋼線(以下CP線とする)からなる。このリード線の、少なくとも丸棒部の表面には、リン酸アンモニウム水溶液による化成処理により酸化アルミニウムからなる陽極酸化皮膜が形成されている。このリード線は、接続部においてそれぞれステッチや超音波溶接等の手段により両極電極箔に電気的に接続されている。陽極電極箔は、純度99.9%のアルミニウム箔を酸性溶液中で化学的あるいは電気化学的にエッチングして拡面処理した後、アジピン酸アンモニウムの水溶液中で化成処理を行い、その表面に陽極酸化皮膜層を形成したものを用い、陰極箔は、純度99.9%のアルミニウム箔をエッチングして拡面処理した箔を用いる。そして、電解液を含浸したコンデンサ素子を、有底筒状のアルミニウムよりなる外装ケースに収納し、外装ケースの開口部に封口体を装着するとともに、外装ケースの端部に絞り加工を施して外装ケースを密封する。封口体は、リード線をそれぞれ導出する貫通孔を備えている。
【0033】
ここで用いた電解コンデンサ用電解液を(表1)に示す。
【0034】
【表1】
【0035】
以上のように構成した電解コンデンサの定格は、100WV−22μFであり、これらの電解コンデンサの特性を評価した。試験条件は105℃、1000時間負荷である。その結果を(表2)に示す。
【0036】
【表2】
【0037】
(表1)から明らかなように、実施例及び比較例の電解コンデンサ用電解液の火花電圧は従来例に比べて高く、比抵抗も低い。
【0038】
そして、(表2)から明らかなように、負荷試験後の実施例のΔCap(静電容量変化率)もtanδ(誘電損失の正接)も比較例のものより低く、高温寿命特性が良好である。よって、実施例の電解コンデンサは比較例のものと同等の優れた火花電圧及び比抵抗を備えつつ、更に高温寿命特性において著しい効果を発揮している。
【0039】
【発明の効果】
本発明の電解コンデンサ用電解液によれば、低比抵抗特性及び高い火花電圧が得られる。またこの電解コンデンサ用電解液を使用する電解コンデンサによれば、低インピーダンス特性、高耐電圧特性のみならず、高温寿命特性が得られる。
Claims (7)
- 四弗化アルミニウム塩及びキレート化剤を含有する電解コンデンサ用電解液。
- キレート化剤がグアニジン類、糖類、リグニン類、アミノポリカルボン酸類及びこれらの塩から選択される少なくとも一種類以上である請求項1記載の電解コンデンサ用電解液。
- グアニジン類がジシアンジアミドである請求項2記載の電解コンデンサ用電解液。
- 糖類がガラクトース及び/又はグルコースである請求項2記載の電解コンデンサ用電解液。
- リグニン類がリグノスルホン酸塩である請求項2記載の電解コンデンサ用電解液。
- アミノポリカルボン酸類がエチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ニトリロ三酢酸(NTA)、グリコールエーテルジアミン四酢酸(GEDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、トリエチレンテトラミン六酢酸(TTHA)から選択される少なくとも一種類以上である請求項2記載の電解コンデンサ用電解液。
- 請求項1乃至6記載の電解コンデンサ用電解液が用いられている電解コンデンサ。
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