JP2004303632A - 非水電解質電池用電解質 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は前記実情に鑑みてなされたもので、カルシウム金属上でカルシウムの析出を可能にし、安全性の高い充放電可能な非水電解質電池用電解質を提供する。
【解決手段】カルシウム塩を有機溶媒に溶解させた非水電解質電池用電解質において、アルコキシドを含むことを特徴とする。
【選択図】 図1
【解決手段】カルシウム塩を有機溶媒に溶解させた非水電解質電池用電解質において、アルコキシドを含むことを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、非水電解質電池にかかり、特にカルシウムをイオン伝導体とする非水電解質電池に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、高エネルギー密度の二次電池として、非水電解液を使用し、リチウムイオンを正極と負極との間で移動させて充放電を行うようにした非水電解質二次電池の研究が盛んに行われている。
【0003】
近年、小型ビデオカメラ、携帯電話、ノートパソコン等の携帯用電子・通信機器等に用いられる電池として、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な合金もしくは炭素材料、珪素材料などを負極活物質とし、層状のコバルト酸リチウム(LiCoO2)、ニッケル酸リチウム(LiNiO2)、あるいはスピネル型のマンガン酸リチウム(LiMn2O4)等のリチウム遷移金属複合酸化物を正極活物質材料とするとともに、エチレンカーボネートやジエチルカーボネートなどの有機溶媒にLiBF4やLiPF6等のリチウム塩からなる電解質を溶解させたものを用いたリチウムイオン電池で代表される非水電解質電池は、小型軽量でかつ高容量で充放電可能な電池として実用化が期待されている。
【0004】
また、フッ化炭素を正極活物質として用い、リチウム、ナトリウムなどのアルカリ金属よりなる負極と、非水電解質とを用いた電池も提案されている(特許文献1参照)。
【0005】
その一方で、エネルギー密度という観点から、マグネシウム、カルシウムなどのアルカリ土類金属あるいはアルミニウムなどの軽金属を負極活物質として用いる研究が行われている。
【0006】
イオン伝導媒体としてリチウムイオンに代えてカルシウムイオンを用いた場合、反応電子数が大きくまた安価であるという利点がある。
【0007】
このようにカルシウムイオンを活物質として用いた電池も提案されているもののカルシウムイオンを活物質として用いた電池の実用化を困難にしているのは、負極上に生成されるSEI被膜が原因であると考えられている。リチウムイオンなどの1価のイオンはSEI被膜を伝導し易いが、カルシウムなどの2価のイオンはSEI被膜を伝導しにくいため、析出あるいは挿入が困難であると報告されている(非特許文献1参照)。
このように従来、負極上に生成されたSEI被膜が2価のカルシウム電池の実現を困難にしていた。
ところが、近年電解質中に、グリニヤール試薬を添加することにより、マグネシウム金属上にマグネシウムが析出することを明らかにし、2価イオンであるマグネシウムを用いたマグネシウム電池の実現可能性を示唆している(非特許文献2参照)。グリニヤール試薬は、塩ではなく有機金属化合物であり、爆発の危険もあり、安全性にも問題があった。
このため更なる高容量化、高安全性を可能にする非水系カルシウム電池に必要不可欠な電解液、すなわち、負極活物質にカルシウムが析出または挿入することが可能な非水系カルシウム電池用電解液が求められている。
【0008】
【特許文献1】
特公昭48−25666号公報
【非特許文献1】
2価のカルシウムイオンが、SEI被膜中を伝送しにくく、析出あるいは挿入が困難であることの報告例:D.Aurbach.R.Skaletaky、and Y.Gofer, J.Electrochem.Soc.Vol,138,3536(1991)
【非特許文献2】
充電可能なマグネシウム電池のプロトタイプシステム:D.Aurbach.Nature407(2000)724
【発明が解決しようとする課題】
このようにカルシウムを活物質として用いた電池も提案されているものの、従来の非水電解質電池では、電解質として、過塩素酸マグネシウムや、グリニヤール試薬などを用いているため、反応性が高く、安全性に問題があった。
一方、有機電解液に溶解するカルシウム塩として過塩素酸カルシウム(Ca(ClO4)2)などの過塩素酸塩が提案されている。
【0009】
しかし過塩素酸カルシウムは過酸化物の塩であり、化学的に不安定であって酸素を放出し易い性質をもっているため、実際に電解質として用いるには危険性が高く、このようなカルシウムの過酸化物塩を電解質として用いた非水電解質電池は、実用に供し得る程度のものではなかった。
【0010】
本発明は、前記実情に鑑みてなされたもので、負極活物質へのカルシウムイオンの析出・挿入を可能にし、高容量で、安全性の高い非水電解質電池を提供するための電解質を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明の非水電解質電池用電解質は、カルシウム塩を有機溶媒に溶解させた非水電解質において、アルコキシドを含むことを特徴とする。
【0012】
かかる構成によれば、アルコキシドを含む非水電解質を用いているため、カルシウムイオンがアルコキシド存在下で負極上に析出可能となる。また非水電解質として、過酸化物系の物質を使用することなく形成可能であるため安全性も向上する。
【0013】
さらにまた、カルシウムイオンの酸化還元電位は、以下に示すように、標準水素電極基準(Normal hydrogen electrode, NHE)に対して−2.866Vと低い。またCaイオン1モルの酸化あるいは還元に対して電子は2モル移動するため高エネルギー密度が期待できるイオン種である。
Ca2++2e−⇔Ca −2.866V vs.NHE
従って、上記電解質を用いることにより、高エネルギー密度の非水電解質二次電池を提供することが可能となる。
【0014】
また、前記非水電解質は金属アルコキシド(M(ORa)n)(Rはアルキル基、a≧1、n≧1)を含むのが望ましい。
さらに、前記金属アルコキシドはカルシウムアルコキシド(Ca(ORa) n)(Rはアルキル基、a≧1、n≧1)であるのが望ましい。
また、前記カルシウムアルコキシド(Ca(ORa)n)はカルシウムエトキシドであるのが望ましい。
このようにカルシウムエトキシドなどの金属アルコキシドを非水電解質に含むことにより、カルシウムイオンの析出が容易となる。
【0015】
またアルコキシドとしては、カルシウムエトキシドの他、カルシウムメトキシド、カルシウムプロポキシド、カルシウムブトキシドなどが上げられ、これらは非水電解液中で錯体を形成していると考えられる。
【0016】
また、カルシウムイオンと安定な錯体を形成するものは同様の効果を得ることができる。カルシウムイオンと安定な錯体を形成するものとしてポリエチレンオキサイド、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ペンタエチレングリコール、ヘキサエチレングリコール、ヘプタエチレングリコール、オクタエチレングリコール、グライム、ジグライム、トリグライム、ヘプタグライム、オクタグライム、15−クラウン−5,18−クラウン−6などのオキシエチレン基を有する化合物、非環状ポリオキシエチレン(POE)、ポリエチレングリコール(PEG)、クラウンエーテル化合物などがあげられる。
なお、非水電解質として金属アルコキシドを有機溶媒に溶解した形態であるのが望ましいが、金属アルコキシドを含む固体電解質の形態であってもよい。
【0017】
さらに、前記非水電解質は、カルシウムのイミド塩またはカルシウムのスルホン酸塩を含むのが望ましい。これにより、過酸化物系ではなく、化学的に安定な物質であるカルシウムのイミド塩またはカルシウムのスルホン酸塩を電解質として含むため、安全で高容量の非水電解質電池を提供することが可能となる。
【0018】
また、前記非水電解質が、カルシウムのスルホニルイミド塩を含むものを含み、これにより、安全かつ高容量の電池を実現することができる。
【0019】
前記カルシウムのスルホニルイミド塩としては、カルシウムのアルキルスルホニルイミド塩が望ましい。
【0020】
また、このカルシウムのアルキルスルホニルイミド塩としては、Ca[N(CF3SO2)2]2、Ca[N(C2F5SO2)2]2、Ca[(C4F9SO2) (CF3SO2)N]2、Ca[(C6F5SO2) (CF3SO2)N]2、Ca[(C8F17SO2) (CF3SO2)N]2、Ca[N(CF3CH2OSO2)2]2、Ca[N(CF3CF2CH2OSO2)2]2、Ca[N(CF3)2CHOSO2)2]2から選択される少なくとも1種を含むのが望ましい。
【0021】
さらにまた、前記電解質としては、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドカルシウムCa[N(CF3SO2)2]2を含むものが特に望ましい。
【0022】
また、前記スルホン酸塩としては、アルキルスルホン酸塩が望ましい。
【0023】
また、このアルキルスルホン酸塩としては、Ca(CF3SO3)2、Ca(CH3SO3)2、Ca(C4F9SO3)2、Ca(C6F5SO3)2、Ca(C8F17SO3)2から選択される少なくとも1種を含むのが望ましい。
【0024】
また、前記電解質が、トリフルオロメタンスルホン酸カルシウムCa(CF3SO3)2を含むものがさらに望ましい。
【0025】
ここで、カルシウムのイミド塩あるいはスルホン酸塩は、一種類で使用してもよいが、また二種類以上を組み合わせて使用してもよい。なおこの電解質は有機溶媒に0.1から1.5M、好ましくは0.5〜1.5Mの濃度で溶解されて使用される。
この濃度を用いることにより、実験結果から導電率の高い電解液を提供できることがわかっている。
【0026】
さらに、上記電解質には、以下に示すような、融点60℃以下の室温溶融塩を用いることができる。この室温溶融塩としては、トリメチルプロピルアンモニウム・ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド((CH3)3N+(C3H7)N−(SO2CF3)2)、トリメチルオクチルアンモニウム・ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド((CH3)N+(C8H17)N−(SO2CF3)2)、トリメチルアリルアンモニウム・ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド((CH3)3N+(Allyl)N−(SO2CF3)2、トリヘキシルアンモニウム・ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド((CH3)3N+(C6H13)N−(SO2CF3)2)、トリメチルエチルアンモニウム・2,2,2−トリフルオロ−N−(トリフルオロメチルスルホニル)アセトアミド((CH3)2N+(C2H5)(CF3CO)N−(SO2CF3))、トリメチルアリルアンモニウム・2,2,2−トリフルオロ−N−(トリフルオロメチルスルホニル)アセトアミド((CH3)3N+(Allyl)(CF3CO)N−(SO2CF3))、トリメチルプロピルアンモニウム・2,2,2−トリフルオロ−N−(トリフルオロメチルスルホニル)アセトアミド((CH3)3N+(C3H7)(CF3CO)N−(SO2CF3))、テトラエチルアンモニウム・2,2,2−トリフルオロ−N−(トリフルオロメチルスルホニル)アセトアミド((C2H5)4N+(CF3CO)N−(SO2CF3))、トリエチルメチルアンモニウム・2,2,2−トリフルオロ−N−(トリフルオロメチルスルホニル)アセトアミド((C2H5)N+(CH3)(CF3CO)N−(SO2CF3))、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム・ビス(ペンタフルオロエチルスルホニル)イミド((C2H5)(C3H3N2)+(CH3)N−(SO2C2F5)2)、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム・ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド((C2H5)(C3H3N2)+(CH3)N−(SO2CF3)2)、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム・テトラフルオロボレート((C2H5)(C3H3N2)+(CH3)BF4 −)、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム・ペンタフルオロボレート(C2H5)(C3H3N2)+(CH3)PF6 −)から選択される少なくとも1種以上を含むことを特徴とする。
【0027】
非水電解質で用いられる有機溶媒(非水溶媒)としては、環状エステル、環状炭酸エステル、鎖状炭酸エステルなどのエステル類、環状エーテル、鎖状エーテル、ニトリル類、アミド類などがあげられる。環状炭酸エステルとしては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネートなどがあげられ、これらの水素の一部または全部をフッ素化されているものも用いることが可能で、トリフルオロプロピレンカーボネートやフルオロエチルカーボネートなどがあげられる。鎖状炭酸エステルとしては、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルプロピルカーボネート、メチルイソプロピルカーボネートなどがあげられ、これらの水素の一部または全部をフッ素化されているものも用いることが可能である。エステル類としては酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、γ−ブチロラクトンなどがあげられる。上記の環状エーテル類としては1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソラン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、プロピレンオキシド、1,2−ブチレンオキシド、1,4−ジオキサン、1,3,5−トリオキサン、フラン、2−メチルフラン、1,8−シネオール、クラウンエーテルなどがあげられる。また、鎖状エーテルとしては、1,2−ジメトキシエタン、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジヘキシルエーテル、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、メチルフェニルエーテル、エチルフェニルエーテル、ブチルフェニルエーテル、ペンチルフェニルエーテル、メトキシトルエン、ベンジルエチルエーテル、ジフェニルエーテル、ジベンジルエーテル、o−ジメトキシベンゼン、1,2−ジエトキシエタン、1,2−ジブトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジメトキシメタン、1,1−ジエトキシエタン、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテルから選択される少なくとも1種を用いることができる。ニトリル類としては、アセトニトリル類、アミド類としてはジメチルホルムアミドなどである。また、これらを2種以上混合した混合溶媒も有効である。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。
(実施例1)
【0029】
1.非水電解質の調製
過剰の金属カルシウムにエチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)の混合溶媒(体積比EC:DMC=50:50)に、電解質として1モル/リットルの、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドカルシウムCa[N(CF3SO2)2]2(カルシウムのイミド塩)を溶かして非水電解液90mlを添加し、さらにエタノールを10ml滴下し、カルシウムエトキシドを生成し、非水電解液(非水電解質)を調製した。以下にこの反応式を示す。
Ca(過剰)+2EtOH
→Ca(OEt)2+H2↑
【0030】
2.電極の作製
カルシウム金属板を所定の大きさにカットし、カルシウム金属(Ca)からなる作用極、対極、および参照極を作成した。
【0031】
3.試験セルの作製
上述のようにして作製した作用極、対極および参照極にタンタルからなる集電リードを取り付け、作用極12a、対極11および参照極13とし、上記非水電解質14を試験セル容器10内に注液して図1に示すような試験セルを形成した。15はセパレータである。
【0032】
4.試験
上述のようにして作製した試験セルを、参照極13に対する作用極12aの電位が+1〜−1V(vs.Ca/Ca2+)、電位走査速度を1mV/sにし、参照極に対する作用極の初期の電位である0V(vs.Ca/Ca2+)から酸化方向に走査させた後、還元方向に走査させる操作を行い、測定した結果を図2に示す。
この図2から明らかなように、酸化側、還元側どちらも可逆的に電流が流れ、カルシウムの溶解・析出を確認することができた。
【0033】
(比較例)
次に本発明の比較例として、アセトニトリルに、電解質として1モル/リットルの、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドカルシウムCa[N(CF3SO2)2]2を溶かして非水電解質を調製した他は、前記実施例と同様にして非水電解質を調製した。
【0034】
そして他は前記実施例と同様にしてセルを組み立てた。
上述のようにして作製した試験セルを、参照極13に対する作用極12aの電位が+1〜−1V(vs.Ca/Ca2+)、電位走査速度を1mV/sにし、参照極に対する作用極の初期の電位である0V(vs.Ca/Ca2+)から酸化方向に走査させた後、還元方向に走査させる操作を行い、測定した結果を図3に示す。
この図3から明らかなように、酸化側では電流が流れ、カルシウムの溶解は確認できたが、還元側では電流が流れず、カルシウムの析出を確認することができなかった。
【0035】
次に、非水電解質の導電率を測定する。
ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドカルシウムCa[N(CF3SO2)2]2をプロピレンカーボネート(PC)、γ−ブチロラクトン(γ−BL)およびエチレンカーボネート(EC)、ジメチルカーボネート(DMC)の混合溶媒(体積比EC:DMC=50:50)に溶解させた非水電解質の導電率を測定した。その結果を表1に示す。
【0036】
一方、同様に、トリフルオロメタンスルホン酸カルシウムCa(CF3SO2)2を、プロピレンカーボネート(PC)、γ−ブチロラクトン(γ−BL)およびエチレンカーボネート(EC)、ジメチルカーボネート(DMC)の混合溶媒に溶解させた非水電解質の導電率を測定した。
【0037】
この結果を次表1に示す。この結果カルシウムのイミド塩であるCa[N(CF3SO2)2]2は、カルシウムのスルホン酸塩であるCa(CF3SO3)2に比べ導電率が高く、前者の方が優れている。
【0038】
【表1】
【0039】
これらの実験結果から、Ca(CF3SO3)2 よりも、Ca[N(CF3SO2)2]2のほうが、導電率が高い。従って本発明の電池には,カルシウムのスルホン酸塩よりも、カルシウムのイミド塩が好適である。
【0040】
また、前記実施の形態では、非水電解質として、室温溶融塩および有機溶媒に電解質を溶解させた非水電解質を用いた例について説明したが、固体電解質を用いたポリマー電池(高分子固体電解質電池)に適用することも可能である。
【0041】
【発明の効果】
以上説明してきたように、本発明によれば、アルコキシドを含む非水電解質を含むことにより、カルシウムイオンの溶解・析出が可能となり、安全な非水電解質電池用電解質を形成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例の非水電解質電池の試験セルを示す斜視図である。
【図2】本発明の実施例の作用極のサイクリックボルタメトリを示す図である。
【図3】比較例の作用極のサイクリックボルタメトリを示す図である。
【符号の説明】
10 試験セル容器
11 負極
12a 正極
13 参照極
14 非水電解質
15 セパレータ
【発明の属する技術分野】
本発明は、非水電解質電池にかかり、特にカルシウムをイオン伝導体とする非水電解質電池に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、高エネルギー密度の二次電池として、非水電解液を使用し、リチウムイオンを正極と負極との間で移動させて充放電を行うようにした非水電解質二次電池の研究が盛んに行われている。
【0003】
近年、小型ビデオカメラ、携帯電話、ノートパソコン等の携帯用電子・通信機器等に用いられる電池として、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な合金もしくは炭素材料、珪素材料などを負極活物質とし、層状のコバルト酸リチウム(LiCoO2)、ニッケル酸リチウム(LiNiO2)、あるいはスピネル型のマンガン酸リチウム(LiMn2O4)等のリチウム遷移金属複合酸化物を正極活物質材料とするとともに、エチレンカーボネートやジエチルカーボネートなどの有機溶媒にLiBF4やLiPF6等のリチウム塩からなる電解質を溶解させたものを用いたリチウムイオン電池で代表される非水電解質電池は、小型軽量でかつ高容量で充放電可能な電池として実用化が期待されている。
【0004】
また、フッ化炭素を正極活物質として用い、リチウム、ナトリウムなどのアルカリ金属よりなる負極と、非水電解質とを用いた電池も提案されている(特許文献1参照)。
【0005】
その一方で、エネルギー密度という観点から、マグネシウム、カルシウムなどのアルカリ土類金属あるいはアルミニウムなどの軽金属を負極活物質として用いる研究が行われている。
【0006】
イオン伝導媒体としてリチウムイオンに代えてカルシウムイオンを用いた場合、反応電子数が大きくまた安価であるという利点がある。
【0007】
このようにカルシウムイオンを活物質として用いた電池も提案されているもののカルシウムイオンを活物質として用いた電池の実用化を困難にしているのは、負極上に生成されるSEI被膜が原因であると考えられている。リチウムイオンなどの1価のイオンはSEI被膜を伝導し易いが、カルシウムなどの2価のイオンはSEI被膜を伝導しにくいため、析出あるいは挿入が困難であると報告されている(非特許文献1参照)。
このように従来、負極上に生成されたSEI被膜が2価のカルシウム電池の実現を困難にしていた。
ところが、近年電解質中に、グリニヤール試薬を添加することにより、マグネシウム金属上にマグネシウムが析出することを明らかにし、2価イオンであるマグネシウムを用いたマグネシウム電池の実現可能性を示唆している(非特許文献2参照)。グリニヤール試薬は、塩ではなく有機金属化合物であり、爆発の危険もあり、安全性にも問題があった。
このため更なる高容量化、高安全性を可能にする非水系カルシウム電池に必要不可欠な電解液、すなわち、負極活物質にカルシウムが析出または挿入することが可能な非水系カルシウム電池用電解液が求められている。
【0008】
【特許文献1】
特公昭48−25666号公報
【非特許文献1】
2価のカルシウムイオンが、SEI被膜中を伝送しにくく、析出あるいは挿入が困難であることの報告例:D.Aurbach.R.Skaletaky、and Y.Gofer, J.Electrochem.Soc.Vol,138,3536(1991)
【非特許文献2】
充電可能なマグネシウム電池のプロトタイプシステム:D.Aurbach.Nature407(2000)724
【発明が解決しようとする課題】
このようにカルシウムを活物質として用いた電池も提案されているものの、従来の非水電解質電池では、電解質として、過塩素酸マグネシウムや、グリニヤール試薬などを用いているため、反応性が高く、安全性に問題があった。
一方、有機電解液に溶解するカルシウム塩として過塩素酸カルシウム(Ca(ClO4)2)などの過塩素酸塩が提案されている。
【0009】
しかし過塩素酸カルシウムは過酸化物の塩であり、化学的に不安定であって酸素を放出し易い性質をもっているため、実際に電解質として用いるには危険性が高く、このようなカルシウムの過酸化物塩を電解質として用いた非水電解質電池は、実用に供し得る程度のものではなかった。
【0010】
本発明は、前記実情に鑑みてなされたもので、負極活物質へのカルシウムイオンの析出・挿入を可能にし、高容量で、安全性の高い非水電解質電池を提供するための電解質を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明の非水電解質電池用電解質は、カルシウム塩を有機溶媒に溶解させた非水電解質において、アルコキシドを含むことを特徴とする。
【0012】
かかる構成によれば、アルコキシドを含む非水電解質を用いているため、カルシウムイオンがアルコキシド存在下で負極上に析出可能となる。また非水電解質として、過酸化物系の物質を使用することなく形成可能であるため安全性も向上する。
【0013】
さらにまた、カルシウムイオンの酸化還元電位は、以下に示すように、標準水素電極基準(Normal hydrogen electrode, NHE)に対して−2.866Vと低い。またCaイオン1モルの酸化あるいは還元に対して電子は2モル移動するため高エネルギー密度が期待できるイオン種である。
Ca2++2e−⇔Ca −2.866V vs.NHE
従って、上記電解質を用いることにより、高エネルギー密度の非水電解質二次電池を提供することが可能となる。
【0014】
また、前記非水電解質は金属アルコキシド(M(ORa)n)(Rはアルキル基、a≧1、n≧1)を含むのが望ましい。
さらに、前記金属アルコキシドはカルシウムアルコキシド(Ca(ORa) n)(Rはアルキル基、a≧1、n≧1)であるのが望ましい。
また、前記カルシウムアルコキシド(Ca(ORa)n)はカルシウムエトキシドであるのが望ましい。
このようにカルシウムエトキシドなどの金属アルコキシドを非水電解質に含むことにより、カルシウムイオンの析出が容易となる。
【0015】
またアルコキシドとしては、カルシウムエトキシドの他、カルシウムメトキシド、カルシウムプロポキシド、カルシウムブトキシドなどが上げられ、これらは非水電解液中で錯体を形成していると考えられる。
【0016】
また、カルシウムイオンと安定な錯体を形成するものは同様の効果を得ることができる。カルシウムイオンと安定な錯体を形成するものとしてポリエチレンオキサイド、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ペンタエチレングリコール、ヘキサエチレングリコール、ヘプタエチレングリコール、オクタエチレングリコール、グライム、ジグライム、トリグライム、ヘプタグライム、オクタグライム、15−クラウン−5,18−クラウン−6などのオキシエチレン基を有する化合物、非環状ポリオキシエチレン(POE)、ポリエチレングリコール(PEG)、クラウンエーテル化合物などがあげられる。
なお、非水電解質として金属アルコキシドを有機溶媒に溶解した形態であるのが望ましいが、金属アルコキシドを含む固体電解質の形態であってもよい。
【0017】
さらに、前記非水電解質は、カルシウムのイミド塩またはカルシウムのスルホン酸塩を含むのが望ましい。これにより、過酸化物系ではなく、化学的に安定な物質であるカルシウムのイミド塩またはカルシウムのスルホン酸塩を電解質として含むため、安全で高容量の非水電解質電池を提供することが可能となる。
【0018】
また、前記非水電解質が、カルシウムのスルホニルイミド塩を含むものを含み、これにより、安全かつ高容量の電池を実現することができる。
【0019】
前記カルシウムのスルホニルイミド塩としては、カルシウムのアルキルスルホニルイミド塩が望ましい。
【0020】
また、このカルシウムのアルキルスルホニルイミド塩としては、Ca[N(CF3SO2)2]2、Ca[N(C2F5SO2)2]2、Ca[(C4F9SO2) (CF3SO2)N]2、Ca[(C6F5SO2) (CF3SO2)N]2、Ca[(C8F17SO2) (CF3SO2)N]2、Ca[N(CF3CH2OSO2)2]2、Ca[N(CF3CF2CH2OSO2)2]2、Ca[N(CF3)2CHOSO2)2]2から選択される少なくとも1種を含むのが望ましい。
【0021】
さらにまた、前記電解質としては、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドカルシウムCa[N(CF3SO2)2]2を含むものが特に望ましい。
【0022】
また、前記スルホン酸塩としては、アルキルスルホン酸塩が望ましい。
【0023】
また、このアルキルスルホン酸塩としては、Ca(CF3SO3)2、Ca(CH3SO3)2、Ca(C4F9SO3)2、Ca(C6F5SO3)2、Ca(C8F17SO3)2から選択される少なくとも1種を含むのが望ましい。
【0024】
また、前記電解質が、トリフルオロメタンスルホン酸カルシウムCa(CF3SO3)2を含むものがさらに望ましい。
【0025】
ここで、カルシウムのイミド塩あるいはスルホン酸塩は、一種類で使用してもよいが、また二種類以上を組み合わせて使用してもよい。なおこの電解質は有機溶媒に0.1から1.5M、好ましくは0.5〜1.5Mの濃度で溶解されて使用される。
この濃度を用いることにより、実験結果から導電率の高い電解液を提供できることがわかっている。
【0026】
さらに、上記電解質には、以下に示すような、融点60℃以下の室温溶融塩を用いることができる。この室温溶融塩としては、トリメチルプロピルアンモニウム・ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド((CH3)3N+(C3H7)N−(SO2CF3)2)、トリメチルオクチルアンモニウム・ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド((CH3)N+(C8H17)N−(SO2CF3)2)、トリメチルアリルアンモニウム・ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド((CH3)3N+(Allyl)N−(SO2CF3)2、トリヘキシルアンモニウム・ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド((CH3)3N+(C6H13)N−(SO2CF3)2)、トリメチルエチルアンモニウム・2,2,2−トリフルオロ−N−(トリフルオロメチルスルホニル)アセトアミド((CH3)2N+(C2H5)(CF3CO)N−(SO2CF3))、トリメチルアリルアンモニウム・2,2,2−トリフルオロ−N−(トリフルオロメチルスルホニル)アセトアミド((CH3)3N+(Allyl)(CF3CO)N−(SO2CF3))、トリメチルプロピルアンモニウム・2,2,2−トリフルオロ−N−(トリフルオロメチルスルホニル)アセトアミド((CH3)3N+(C3H7)(CF3CO)N−(SO2CF3))、テトラエチルアンモニウム・2,2,2−トリフルオロ−N−(トリフルオロメチルスルホニル)アセトアミド((C2H5)4N+(CF3CO)N−(SO2CF3))、トリエチルメチルアンモニウム・2,2,2−トリフルオロ−N−(トリフルオロメチルスルホニル)アセトアミド((C2H5)N+(CH3)(CF3CO)N−(SO2CF3))、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム・ビス(ペンタフルオロエチルスルホニル)イミド((C2H5)(C3H3N2)+(CH3)N−(SO2C2F5)2)、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム・ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド((C2H5)(C3H3N2)+(CH3)N−(SO2CF3)2)、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム・テトラフルオロボレート((C2H5)(C3H3N2)+(CH3)BF4 −)、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム・ペンタフルオロボレート(C2H5)(C3H3N2)+(CH3)PF6 −)から選択される少なくとも1種以上を含むことを特徴とする。
【0027】
非水電解質で用いられる有機溶媒(非水溶媒)としては、環状エステル、環状炭酸エステル、鎖状炭酸エステルなどのエステル類、環状エーテル、鎖状エーテル、ニトリル類、アミド類などがあげられる。環状炭酸エステルとしては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネートなどがあげられ、これらの水素の一部または全部をフッ素化されているものも用いることが可能で、トリフルオロプロピレンカーボネートやフルオロエチルカーボネートなどがあげられる。鎖状炭酸エステルとしては、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルプロピルカーボネート、メチルイソプロピルカーボネートなどがあげられ、これらの水素の一部または全部をフッ素化されているものも用いることが可能である。エステル類としては酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、γ−ブチロラクトンなどがあげられる。上記の環状エーテル類としては1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソラン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、プロピレンオキシド、1,2−ブチレンオキシド、1,4−ジオキサン、1,3,5−トリオキサン、フラン、2−メチルフラン、1,8−シネオール、クラウンエーテルなどがあげられる。また、鎖状エーテルとしては、1,2−ジメトキシエタン、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジヘキシルエーテル、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、メチルフェニルエーテル、エチルフェニルエーテル、ブチルフェニルエーテル、ペンチルフェニルエーテル、メトキシトルエン、ベンジルエチルエーテル、ジフェニルエーテル、ジベンジルエーテル、o−ジメトキシベンゼン、1,2−ジエトキシエタン、1,2−ジブトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジメトキシメタン、1,1−ジエトキシエタン、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテルから選択される少なくとも1種を用いることができる。ニトリル類としては、アセトニトリル類、アミド類としてはジメチルホルムアミドなどである。また、これらを2種以上混合した混合溶媒も有効である。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。
(実施例1)
【0029】
1.非水電解質の調製
過剰の金属カルシウムにエチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)の混合溶媒(体積比EC:DMC=50:50)に、電解質として1モル/リットルの、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドカルシウムCa[N(CF3SO2)2]2(カルシウムのイミド塩)を溶かして非水電解液90mlを添加し、さらにエタノールを10ml滴下し、カルシウムエトキシドを生成し、非水電解液(非水電解質)を調製した。以下にこの反応式を示す。
Ca(過剰)+2EtOH
→Ca(OEt)2+H2↑
【0030】
2.電極の作製
カルシウム金属板を所定の大きさにカットし、カルシウム金属(Ca)からなる作用極、対極、および参照極を作成した。
【0031】
3.試験セルの作製
上述のようにして作製した作用極、対極および参照極にタンタルからなる集電リードを取り付け、作用極12a、対極11および参照極13とし、上記非水電解質14を試験セル容器10内に注液して図1に示すような試験セルを形成した。15はセパレータである。
【0032】
4.試験
上述のようにして作製した試験セルを、参照極13に対する作用極12aの電位が+1〜−1V(vs.Ca/Ca2+)、電位走査速度を1mV/sにし、参照極に対する作用極の初期の電位である0V(vs.Ca/Ca2+)から酸化方向に走査させた後、還元方向に走査させる操作を行い、測定した結果を図2に示す。
この図2から明らかなように、酸化側、還元側どちらも可逆的に電流が流れ、カルシウムの溶解・析出を確認することができた。
【0033】
(比較例)
次に本発明の比較例として、アセトニトリルに、電解質として1モル/リットルの、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドカルシウムCa[N(CF3SO2)2]2を溶かして非水電解質を調製した他は、前記実施例と同様にして非水電解質を調製した。
【0034】
そして他は前記実施例と同様にしてセルを組み立てた。
上述のようにして作製した試験セルを、参照極13に対する作用極12aの電位が+1〜−1V(vs.Ca/Ca2+)、電位走査速度を1mV/sにし、参照極に対する作用極の初期の電位である0V(vs.Ca/Ca2+)から酸化方向に走査させた後、還元方向に走査させる操作を行い、測定した結果を図3に示す。
この図3から明らかなように、酸化側では電流が流れ、カルシウムの溶解は確認できたが、還元側では電流が流れず、カルシウムの析出を確認することができなかった。
【0035】
次に、非水電解質の導電率を測定する。
ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドカルシウムCa[N(CF3SO2)2]2をプロピレンカーボネート(PC)、γ−ブチロラクトン(γ−BL)およびエチレンカーボネート(EC)、ジメチルカーボネート(DMC)の混合溶媒(体積比EC:DMC=50:50)に溶解させた非水電解質の導電率を測定した。その結果を表1に示す。
【0036】
一方、同様に、トリフルオロメタンスルホン酸カルシウムCa(CF3SO2)2を、プロピレンカーボネート(PC)、γ−ブチロラクトン(γ−BL)およびエチレンカーボネート(EC)、ジメチルカーボネート(DMC)の混合溶媒に溶解させた非水電解質の導電率を測定した。
【0037】
この結果を次表1に示す。この結果カルシウムのイミド塩であるCa[N(CF3SO2)2]2は、カルシウムのスルホン酸塩であるCa(CF3SO3)2に比べ導電率が高く、前者の方が優れている。
【0038】
【表1】
【0039】
これらの実験結果から、Ca(CF3SO3)2 よりも、Ca[N(CF3SO2)2]2のほうが、導電率が高い。従って本発明の電池には,カルシウムのスルホン酸塩よりも、カルシウムのイミド塩が好適である。
【0040】
また、前記実施の形態では、非水電解質として、室温溶融塩および有機溶媒に電解質を溶解させた非水電解質を用いた例について説明したが、固体電解質を用いたポリマー電池(高分子固体電解質電池)に適用することも可能である。
【0041】
【発明の効果】
以上説明してきたように、本発明によれば、アルコキシドを含む非水電解質を含むことにより、カルシウムイオンの溶解・析出が可能となり、安全な非水電解質電池用電解質を形成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例の非水電解質電池の試験セルを示す斜視図である。
【図2】本発明の実施例の作用極のサイクリックボルタメトリを示す図である。
【図3】比較例の作用極のサイクリックボルタメトリを示す図である。
【符号の説明】
10 試験セル容器
11 負極
12a 正極
13 参照極
14 非水電解質
15 セパレータ
Claims (5)
- カルシウム塩を有機溶媒に溶解させた非水電解質において、前記非水電解質がアルコキシドを含むことを特徴とする非水電解質電池用電解質。
- 前記非水電解質は金属アルコキシド(M(ORa) n)(Rはアルキル基、a≧1、n≧1)を含むことを特徴とする請求項1に記載の非水電解質電池用電解質。
- 前記金属アルコキシドはカルシウムアルコキシド(Ca(ORa) n)(Rはアルキル基、a≧1、n≧1)であることを特徴とする請求項1に記載の非水電解質電池用電解質。
- 前記カルシウムアルコキシド(Ca(ORa)n)はカルシウムエトキシドであることを特徴とする請求項1に記載の非水電解質電池用電解質。
- 前記非水電解質はビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドカルシウムCa[N(CF3SO2)2]2を含むことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の非水電解質電池用電解質。
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JP2011108540A (ja) * | 2009-11-19 | 2011-06-02 | Asahi Kasei Corp | 正極電極用活物質 |
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2003
- 2003-03-31 JP JP2003096835A patent/JP2004303632A/ja active Pending
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