JP2004302821A - 画像処理装置および方法、記録媒体、並びにプログラム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】混合比演算部71は、画素取得部74により取得された、注目画素の画素値は、2次元方向に隣接する複数の画素の画素値により演算されるとして方程式を生成し、生成した方程式を演算することにより、注目画素に隣接する複数の画素の画素値のそれぞれに対する重みを検出する(注目画素の空間混合比を演算する)。倍密画素演算部72は、混合比演算部71により演算された注目画素の空間混合比(重み)に応じて、注目画素が1次元方向に2倍密化される2倍密画素の画素値や、注目画素が2次元方向に4倍密化される4倍密画素の画素値等を演算する。
【選択図】 図15
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像処理装置および方法、記録媒体、並びにプログラムに関し、特に、データが取得された現実世界を考慮した画像処理装置および方法、記録媒体、並びにプログラムに関する。
【0002】
【従来の技術】
実世界(現実世界)における事象をセンサで検出し、センサが出力するサンプリングデータを処理する技術が広く利用されている。例えば、実世界をイメージセンサで撮像し、画像データであるサンプリングデータを処理する画像処理技術が広く利用されている。
【0003】
また、第1の次元を有する現実世界の信号である第1の画像をセンサによって検出することにより得た、第1の次元に比較し次元が少ない第2の次元を有し、第1の信号に対する歪を含む第2の画像を取得し、第2の画像に基づく画像処理を行うことにより、第2の画像に比して歪の軽減された第3の画像を生成するようにしているものもある(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−250119号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、データが取得された現実世界を考慮した画像処理はこれまで考えられていなかった。
【0006】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、データが取得された現実世界を考慮し、現実世界の事象に対して、より正確で、より精度の高い処理結果を得ることができるようにすることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の画像処理装置は、それぞれ空間積分効果を有する、センサの複数の検出素子により現実世界の光信号が射影されて取得された画素値を有する複数の画素からなる画像データにおいて、空間方向のうちの2次元方向に4倍密化される画素を注目画素として、注目画素の画素値を検出する画素値検出手段と、検出手段により検出された注目画素の画素値は、2次元方向に隣接する複数の画素の画素値により演算されるとして方程式を生成し、生成した方程式を演算することにより、注目画素に隣接する複数の画素の画素値のそれぞれに対する重みを検出する重み検出手段と、重み検出手段により検出された、2次元方向に注目画素と隣接する複数の画素の画素値のそれぞれに対する重みに応じて、注目画素が2次元方向に4倍密化される4倍密画素の画素値を演算する画素値演算手段とを備えることを特徴とする。
【0008】
重み検出手段は、注目画素の画素値は、2次元方向のうちの第1の1次元方向に隣接する2つの画素の画素値の重み付け加算により演算されるとして第1の方程式を生成し、生成した第1の方程式を演算することにより、第1の1次元方向に注目画素と隣接する2つの画素の画素値のそれぞれに対する重みを検出し、画素値演算手段は、第1の1次元方向に注目画素と隣接する2つの画素の画素値のそれぞれに対する重みに応じて、注目画素が第1の1次元方向に2倍密化される2倍密画素の画素値を演算し、重み検出手段は、注目画素における2倍密画素を注目倍密画素として、注目倍密画素の画素値は、2次元方向のうちの第1の1次元方向に直交する第2の1次元方向に隣接する2倍密画素の画素値の重み付け加算により演算されるとして第2の方程式を生成し、生成した第2の方程式を演算することにより、第2の1次元方向に注目倍密画素と隣接する2つの2倍密画素の画素値のそれぞれに対する重みを検出し、画素値演算手段は、第2の1次元方向に注目倍密画素と隣接する2つの2倍密画素の画素値のそれぞれに対する重みに応じて、注目画素における4倍密画素の画素値を演算するようにすることができる。
【0009】
重み検出手段は、注目画素の画素値は、2次元方向のうちの第1の1次元方向に隣接する2つの画素の画素値の重み付け加算により演算されるとして第1の方程式を生成し、生成した第1の方程式を演算することにより、第1の1次元方向に注目画素と隣接する2つの画素の画素値のそれぞれに対する重みを検出するとともに、注目画素の画素値は、2次元方向のうちの第1の1次元方向に直交する第2の1次元方向に隣接する2つの画素の画素値の重み付け加算により演算されるとして第2の方程式を生成し、生成した第2の方程式を演算することにより、第2の1次元方向に注目画素と隣接する2つの画素の画素値のそれぞれに対する重みを検出するとともに、画素値演算手段は、第1の1次元方向に注目画素と隣接する2つの画素の画素値のそれぞれに対する重み、および、第2の1次元方向に注目画素と隣接する2つの画素の画素値のそれぞれに対する重みに応じて、注目画素における4倍密画素の画素値を演算するようにすることができる。
【0010】
重み検出手段は、注目画素の画素値は、2次元方向のうちの第1の1次元方向に2分割され、かつ、第1の1次元方向に直交する第2の1次元方向に2分割される4つの画素成分により構成されるとして、第1の1次元方向に対する画素成分のそれぞれの値の重み付け加算により注目画素の画素値が演算されるとして第1の方程式を生成するとともに、第2の1次元方向に対する画素成分のそれぞれの値の重み付け加算により注目画素の画素値が演算されるとして第2の方程式を生成し、画素成分のそれぞれの値は、画素成分の位置と対応する位置に属する複数の画素の画素値の平均値であるとして、画素成分のそれぞれの値を第1および第2の方程式のそれぞれに代入して演算することにより、第1の1次元方向、および、第2の1次元方向のそれぞれに対応する重みを検出し、画素値演算手段は、第1の1次元方向、および、第2の1次元方向のそれぞれに対応する重みに応じて、注目画素における4倍密画素の画素値を演算するようにすることができる。
【0011】
本発明の画像処理方法は、それぞれ空間積分効果を有する、センサの複数の検出素子により現実世界の光信号が射影されて取得された画素値を有する複数の画素からなる画像データにおいて、空間方向のうち所定の2次元方向に4倍密化される画素を注目画素として、注目画素の画素値を検出する画素値検出ステップと、検出ステップの処理により検出された注目画素の画素値は、2次元方向に隣接する複数の画素の画素値により演算されるとして方程式を生成し、生成した方程式を演算することにより、注目画素に隣接する複数の画素の画素値のそれぞれに対する重みを検出する重み検出ステップと、重み検出ステップの処理により検出された、2次元方向に注目画素と隣接する複数の画素の画素値のそれぞれに対する重みに応じて、注目画素が2次元方向に4倍密化される4倍密画素の画素値を演算する画素値演算ステップとを含むことを特徴とする。
【0012】
本発明の記録媒体のプログラムは、それぞれ空間積分効果を有する、センサの複数の検出素子により現実世界の光信号が射影されて取得された画素値を有する複数の画素からなる画像データにおいて、空間方向のうち所定の2次元方向に4倍密化される画素を注目画素として、注目画素の画素値を検出する画素値検出ステップと、検出ステップの処理により検出された注目画素の画素値は、2次元方向に隣接する複数の画素の画素値により演算されるとして方程式を生成し、生成した方程式を演算することにより、注目画素に隣接する複数の画素の画素値のそれぞれに対する重みを検出する重み検出ステップと、重み検出ステップの処理により検出された、2次元方向に注目画素と隣接する複数の画素の画素値のそれぞれに対する重みに応じて、注目画素が2次元方向に4倍密化される4倍密画素の画素値を演算する画素値演算ステップとを含むことを特徴とする。
【0013】
本発明のプログラムは、それぞれ空間積分効果を有する、センサの複数の検出素子により現実世界の光信号が射影されて取得された画素値を有する複数の画素からなる画像データにおいて、空間方向のうち所定の2次元方向に4倍密化される画素を注目画素として、注目画素の画素値を検出する画素値検出ステップと、検出ステップの処理により検出された注目画素の画素値は、2次元方向に隣接する複数の画素の画素値により演算されるとして方程式を生成し、生成した方程式を演算することにより、注目画素に隣接する複数の画素の画素値のそれぞれに対する重みを検出する重み検出ステップと、重み検出ステップの処理により検出された、2次元方向に注目画素と隣接する複数の画素の画素値のそれぞれに対する重みに応じて、注目画素が2次元方向に4倍密化される4倍密画素の画素値を演算する画素値演算ステップとを含むことを特徴とする。
【0014】
本発明の画像処理装置および方法、記録媒体、並びにプログラムにおいては、それぞれ空間積分効果を有する、センサの複数の検出素子により現実世界の光信号が射影されて取得された画素値を有する複数の画素からなる画像データにおいて、空間方向のうち所定の2次元方向に4倍密化される画素が注目画素とされて、その画素値が検出される。次に、検出された注目画素の画素値は、2次元方向に隣接する複数の画素の画素値により演算されるとして方程式が生成され、生成された方程式が演算されることにより、注目画素に隣接する複数の画素の画素値のそれぞれに対する重みが検出される。そして、このようにして検出された、2次元方向に注目画素と隣接する複数の画素の画素値のそれぞれに対する重みに応じて、注目画素が2次元方向に4倍密化される4倍密画素の画素値が演算される。
【0015】
画像処理装置は、独立した装置であっても良いし、画像処理を行うブロックであっても良い。
【0016】
【発明の実施の形態】
はじめに、従来の画像処理と比較しつつ、本発明の画像処理の原理を説明する。
【0017】
図1は、従来の画像処理装置4における処理の原理を説明する図である。
【0018】
図1に示されるように、空間、時間、および質量の次元を有する実世界1の事象(現象)は、センサ2により取得され、データ化される。実世界1の事象とは、光(画像)、音声、圧力、温度、質量、濃度、明るさ/暗さ、またはにおいなどをいう。実世界1の事象は、時空間方向に分布している。例えば、実世界1の画像は、実世界1の光の強度の時空間方向の分布である。
【0019】
センサ2に注目すると、空間、時間、および質量の次元を有する実世界1の事象のうち、センサ2が取得可能な、実世界1の事象が、センサ2により、データ3に変換される。センサ2によって、実世界1の事象を示す情報が取得されるとも言える。
【0020】
即ち、センサ2は、実世界1の事象を示す情報を、データ3に変換する。空間、時間、および質量の次元を有する実世界1の事象(現象)を示す情報である信号がセンサ2により取得され、データ化されるとも言える。
【0021】
以下、実世界1における、画像、音声、圧力、温度、質量、濃度、明るさ/暗さ、またはにおいなどの事象の分布を、実世界1の事象を示す情報である信号とも称する。また、実世界1の事象を示す情報である信号を、単に、実世界1の信号とも称する。本明細書において、信号は、現象および事象を含み、送信側に意思がないものも含むものとする。
【0022】
センサ2から出力されるデータ3(検出信号)は、実世界1の事象を示す情報を、実世界1に比較して、より低い次元の時空間に射影して得られた情報である。例えば、動画像の画像データであるデータ3は、実世界1の3次元の空間方向および時間方向の画像が、2次元の空間方向、および時間方向からなる時空間に射影されて得られた情報である。また、例えば、データ3がデジタルデータであるとき、データ3は、サンプリングの単位に応じて、丸められている。データ3がアナログデータであるとき、データ3において、ダイナミックレンジに応じて、情報が圧縮されているか、またはリミッタなどにより、情報の一部が削除されている。
【0023】
このように、所定の次元を有する実世界1の事象を示す情報である信号をデータ3(検出信号)に射影することにより、実世界1の事象を示す情報の一部が欠落する。即ち、センサ2が出力するデータ3において、実世界1の事象を示す情報の一部が欠落している。
【0024】
従来の画像処理装置4は、このようなデータ3を処理の基準とすると共に、データ3を処理の対象として、高解像度化などの処理を実行する。従来の画像処理装置4においては、実世界1が考慮されることはなく、データ3が最終的な基準となり、データ3に含まれている情報以上の情報を出力として得ることはできない。
【0025】
また、従来の画像処理装置4において、データ3に存在する、センサ2による歪み(実世界1の情報である信号とデータ3との差)は全く考慮されないので、従来の画像処理装置4は、歪みを含んだままの信号を出力することになる。さらに、画像処理装置4の処理の内容によっては、データ3に存在する、センサ2による歪みがさらに増幅されて、増幅された歪みを含むデータが出力されることになる。
【0026】
このように、従来の画像処理においては、データ3が取得された実世界1(の信号)そのものが考慮されることはなかった。換言すれば、従来の画像処理においては、データ3に含まれている情報の枠内で実世界1を捉えていたので、データ3に含まれている情報および歪みにより、信号処理の限界が決定される。
【0027】
これに対して、本発明の画像処理においては、実世界1(の信号)そのものを明確に考慮して、処理が実行される。
【0028】
図2は、本発明に係る画像処理装置11における処理の原理を説明する図である。
【0029】
実世界1の事象を示す情報である信号をセンサ2が取得し、センサ2が、実世界1の情報である信号を射影したデータ3を出力する点では、従来と同様である。
【0030】
しかしながら、本発明においては、センサ2により取得された、実世界1の事象を示す情報である信号が明確に考慮される。即ち、データ3が、センサ2による歪み(実世界1の情報である信号とデータ3との差)を含むことを意識して画像処理がなされる。
【0031】
このようにすることで、本発明の画像処理においては、データ3に含まれている情報および歪みにより処理の結果が限定されることがなく、例えば、従来に比較して、実世界1の事象に対して、より正確で、より精度の高い処理結果を得ることができるようになる。即ち、本発明によれば、センサ2に入力された、実世界1の事象を示す情報である信号に対して、より正確で、より精度の高い処理結果を得ることができるようになる。
【0032】
具体的には、データ3は、射影により実世界1の事象を示す情報の一部が欠落しているものの、データ3は、実世界1の事象(現象)を示す情報である信号を推定するための有意情報を含んでいる。
【0033】
本発明においては、実世界1の情報である信号を推定するための有意情報として、空間混合を利用する。
【0034】
ここで、空間混合について説明する前に、空間混合を理解する上で欠かすことができない概念である、センサ2の積分効果について説明する。
【0035】
画像を撮像するセンサ2である、CCD(Charge−Coupled Device)またはCMOS(Complementary Metal−Oxide Semiconductor)センサなどのイメージセンサは、現実世界を撮像するとき、現実世界の情報である信号を2次元のデータに投影する。イメージセンサの各検出素子は、いわゆる受光面(受光領域)として、それぞれ所定の面積を有する。所定の面積を有する受光面に入射した光は、検出素子毎に、空間方向および時間方向に積分され、各検出素子に対して1つの画素値に変換される。即ち、1つの検出素子は、1つの画素に対応することになる。
【0036】
図3乃至図6を参照して、画像の空間的時間的な積分について説明する。
【0037】
イメージセンサは、現実世界の対象物(オブジェクト)を撮像し、撮像の結果得られた画像データを1フレーム単位で出力する。即ち、イメージセンサは、実世界1の対象物で反射された光である、実世界1の信号を取得し、データ3を出力する。
【0038】
例えば、イメージセンサは、1秒間に30フレームからなる画像データを出力する。この場合、イメージセンサの露光時間は、1/30秒とすることができる。露光時間は、イメージセンサが入射された光の電荷への変換を開始してから、入射された光の電荷への変換を終了するまでの期間である。以下、露光時間をシャッタ時間とも称する。
【0039】
図3は、イメージセンサ上の検出素子の配置の例を説明する図である。図3中において、A乃至Iは、個々の画素に対応する検出素子を示す。画素は、画像データにより表示される画像に対応する平面上に配置されている。1つの画素に対応する1つの検出素子は、イメージセンサ上に配置されている。イメージセンサが実世界1の画像を撮像するとき、1つの検出素子は、画像データを構成する1つの画素に対応する1つの画素値を出力する。例えば、検出素子の空間方向Xの位置(X座標)は、画像データにより表示される画像上の横方向の位置に対応し、検出素子の空間方向Yの位置(Y座標)は、画像データにより表示される画像上の縦方向の位置に対応する。
【0040】
実世界1の光の強度の分布は、3次元の空間方向および時間方向に広がりを有するが、イメージセンサは、2次元の空間方向および時間方向で、実世界1の光を取得し、2次元の空間方向および時間方向の光の強度の分布を表現するデータ3を生成する。
【0041】
図4で示されるように、例えば、CCDである検出素子は、シャッタ時間に対応する期間、受光面(受光領域)(検出領域)に入力された光を電荷に変換して、変換された電荷を蓄積する。光は、3次元の空間上の位置、および時刻により、強度が決定される実世界1の情報(信号)である。実世界1の光の強度の分布は、3次元の空間上の位置x,y、およびz、並びに時刻tを変数とする関数F(x,y,z,t)で表すことができる。
【0042】
CCDである検出素子に蓄積される電荷の量は、2次元の空間上の広がりを有する受光面の全体に入射された光の強さと、光が入射されている時間にほぼ比例する。検出素子は、シャッタ時間に対応する期間において、受光面の全体に入射された光から変換された電荷を、既に蓄積されている電荷に加えていく。即ち、検出素子は、シャッタ時間に対応する期間、2次元の空間上の広がりを有する受光面の全体に入射される光を積分して、積分された光に対応する量の電荷を蓄積する。検出素子は、空間(受光面)および時間(シャッタ時間)に対して、積分効果があるとも言える。
【0043】
検出素子に蓄積された電荷は、図示せぬ回路により、電圧値に変換され、電圧値はさらにデジタルデータなどの画素値に変換されて、データ3として出力される。従って、イメージセンサから出力される個々の画素値は、実世界1の情報(信号)の時間的空間的に広がりを有するある部分を、シャッタ時間の時間方向および検出素子の受光面の空間方向について積分した結果である、1次元の空間に射影した値を有する。
【0044】
即ち、1つの画素の画素値は、F(x,y,t)の積分で表される。F(x,y,t)は、検出素子の受光面における、光の強度の分布を表す関数である。例えば、画素値Pは、式(1)で表される。
【0045】
【数1】
【0046】
式(1)において、x1は、検出素子の受光面の左側の境界の空間座標(X座標)である。x2は、検出素子の受光面の右側の境界の空間座標(X座標)である。式(1)において、y1は、検出素子の受光面の上側の境界の空間座標(Y座標)である。y2は、検出素子の受光面の下側の境界の空間座標(Y座標)である。また、t1は、入射された光の電荷への変換を開始した時刻である。t2は、入射された光の電荷への変換を終了した時刻である。
【0047】
なお、実際には、イメージセンサから出力される画像データの画素値は、例えばフレーム全体として、そのゲインが補正されている。
【0048】
画像データの各画素値は、イメージセンサの各検出素子の受光面に入射した光の積分値であり、イメージセンサに入射された光のうち、検出素子の受光面よりも微小な実世界1の光の波形は、積分値としての画素値に隠されてしまう。
【0049】
以下、本明細書において、所定の次元を基準として表現される信号の波形を単に波形とも称する。
【0050】
このように、実世界1の画像は、画素を単位として、空間方向および時間方向に積分されて、実世界1の画像とは異なる(実世界1の画像が歪んだ)画像データとなる。
【0051】
積分効果を有するイメージセンサにより撮像された画像の、空間方向の積分効果についてさらに説明する。
【0052】
図5は、検出素子D乃至検出素子Fに入射される光と、検出素子D乃至検出素子Fのそれぞれから出力される画素値との関係を説明する図である。
【0053】
図5のF(x)は、空間上(検出素子上)の空間方向Xの座標xを変数とする、実世界1の光の強度の分布を表す関数の例である。言い換えれば、F(x)は、空間方向Yおよび時間方向に一定である場合の、実世界1の光の強度の分布を表す関数の例である。さらに、言い換えれば、F(x)は、実世界1の信号をX方向に射影した1次元の波形と捉えることもできる。従って、以下、F(x)を、X断面波形と称する。
【0054】
また、図5において、Lは、検出素子D乃至検出素子Fの受光面の空間方向Xの長さを示す。
【0055】
1つの画素の画素値は、F(x)の積分で表される。例えば、検出素子Eに対応する画素の画素値Pは、式(2)で表される。
【0056】
【数2】
【0057】
式(2)において、x1は、検出素子Eの受光面の左側の境界の空間方向Xの空間座標である。x2は、検出素子Eの受光面の右側の境界の空間方向Xの空間座標である。
【0058】
同様に、積分効果を有するイメージセンサにより撮像された画像の、時間方向の積分効果についてさらに説明する。
【0059】
図6は、時間の経過と、1つの画素に対応する検出素子に入射される光と、検出素子から出力される画素値との関係を説明する図である。図6のF(t)は、時刻tを変数とする、実世界1の光の強度の分布を表す関数である。言い換えれば、F(t)は、空間方向Yおよび空間方向Xに一定である場合の、実世界1の光の強度の分布を表す関数の例である。tsは、シャッタ時間を示す。
【0060】
フレーム#n−1は、フレーム#nに対して時間的に前のフレームであり、フレーム#n+1は、フレーム#nに対して時間的に後のフレームである。即ち、フレーム#n−1、フレーム#n、およびフレーム#n+1は、フレーム#n−1、フレーム#n、およびフレーム#n+1の順で表示される。
【0061】
なお、図6で示される例において、シャッタ時間tsとフレーム間隔とが同一である。
【0062】
1つの画素の画素値は、F(t)の積分で表される。例えば、フレーム#nの画素の画素値Pは、式(3)で表される。
【0063】
【数3】
【0064】
式(3)において、t1は、入射された光の電荷への変換を開始した時刻である。t2は、入射された光の電荷への変換を終了した時刻である。
【0065】
以下、センサ2による空間方向の積分効果を単に空間積分効果と称し、センサ2による時間方向の積分効果を単に時間積分効果と称する。また、空間積分効果または時間積分効果を単に積分効果とも称する。
【0066】
次に、空間混合について説明する。
【0067】
ここでは、実世界1の信号が、センサ2により射影されてデータ3となる際、センサ2の積分効果により、実世界1における2つ以上の物体に対する信号が混合されて1つの値(画素値)となることを、混合と称している。
【0068】
即ち、空間混合とは、上述したセンサ2の空間積分効果による、2つ以上の物体に対する信号の空間方向の混合をいう。
【0069】
図7は、空間混合の概念を説明する図である。
【0070】
図7において、実世界1の光信号の1部分21(以下、領域21と称する)は、センサ2の1つの検出素子(画素)と同じ面積を有する領域を表している。
【0071】
領域21がセンサ2に検出されると、センサ2からは、領域21が時空間方向(X方向,Y方向,およびt方向)に積分された値(1つの画素値)22が出力される。なお、画素値22は、図中、画像として表現されているが、実際には、所定の値を表すデータである。
【0072】
実世界1の領域21は、前景に対応する光信号(例えば、図中白い領域)と、背景に対応する光信号(例えば、図中黒い領域)に明確に区分される。
【0073】
これに対して、画素値22は、前景に対応する実世界1の光信号と、背景に対応する実世界1の光信号が積分された値である。換言すると、画素値22は、前景に対応する光のレベルと背景に対応する光のレベルが空間的に混合されたレベルに対応する値である。
【0074】
このように、実世界1の光信号のうちの1画素(センサ2の検出素子)に対応する部分が、同一レベルの光信号が空間的に一様に分布する部分ではなく、前景と背景のように異なるレベルの光信号のそれぞれが分布する部分である場合、その領域は、センサ2により検出されると、センサ2の空間積分効果により、異なる光のレベルがあたかも空間的に混合されて(空間方向に積分されて)1つの画素値となってしまう。このことを、ここでは、空間混合と称している。
【0075】
従来の画像処理装置4(図1)は、このような空間混合については全く考慮せず、即ち、実世界1、センサ2、およびデータ3のそれぞれの関係は考慮せず、データ3を正として画像処理を行っていた。
【0076】
これに対して、本発明の画像処理装置11(図2)は、データ3の空間混合を考慮して、即ち、実世界1の信号が、センサ2の空間積分効果によりデータ3になること(実世界1、センサ2、データ3のそれぞれの関係)を明確に考慮して、画像処理を行う。
【0077】
さらに、本発明の画像処理装置11が実行する画像処理の原理について、従来の画像処理装置4が実行する画像処理と比較しつつ、具体的な例を挙げて説明する。
【0078】
図8は、データ3の1例を表している。
【0079】
図8において、図中水平方向の軸は、空間方向の1方向であるX方向を表しており、垂直方向の軸は、画素値を表している。
【0080】
また、図8において、9個の「丸印」のそれぞれは、所定の実世界1の信号が、センサ2により取得され、上述した積分効果により複数の画素値からなるデータ3に変換された場合、データ3を構成する複数の画素値のうちの、X方向に並ぶ所定の9個の画素(センサ2の検出素子に対応する画素)の画素値のそれぞれを表している。
【0081】
なお、ここでは、データ3は、画像処理装置4または画像処理装置11に入力される画像データであるので、以下、データ3を入力画像と適宜称し、データ3を構成する各画素値のそれぞれを、入力画素値と適宜称する。また、入力画素値を有する画素(即ち、検出素子に対応する画素)を、入力画素と適宜称する。
【0082】
例えば、いま、図8に「丸印」として示される入力画素値に基づいて、空間解像度を高解像度化する画像処理について考える。
【0083】
画像には空間近傍相関が強いという一般特性があり、従来の画像処理装置4(図1)は、この一般特性を利用する手法、例えば、線形補間という手法を利用して、空間解像度を高解像度化する画像処理を行っている。
【0084】
図9は、従来の画像処理装置4が、図8に「丸印」として示される入力画素値に対して、線形補間を行った結果を表している。
【0085】
図9において、図中水平方向の軸は、空間方向の1方向であるX方向を表しており、垂直方向の軸は、画素値を表している。
【0086】
また、図9において、9個の「丸印」のそれぞれは、図8に示される9個の「丸印」のそれぞれと同一の入力画素値を表している。所定の2つの「丸印」の間に示される2つの「バツ印」のそれぞれは、線形補間により新たに創造された画素の画素値を表している。
【0087】
ここでいう線形補間とは、これから創造する画素に最も似ている入力画素は、それに最も近い(空間的に近い)入力画素であるという仮定のもと、隣接周辺画素(入力画素)の各画素値の加重平均で、入力画素間の新たな画素の画素値を演算する(即ち、新たな画素を創造する)手法である。
【0088】
即ち、従来の画像処理装置4は、例えば、次の式(4)と式(5)を演算することで、線形補間による新たな画素値を創造する(空間解像度を高解像度化する画像処理を行う)。
【0089】
H0 = S0×2/3 + S1×1/3 ・・・(4)
H1 = S0×1/3 + S1×2/3 ・・・(5)
【0090】
なお、式(4)と式(5)において、S0は、2つの入力画素値(図9の「丸印」)のうちの、図9中左側に示される入力画素値を、S1は、他方の入力画素値(図9中右側に示される入力画素値)を、それぞれ表している。また、H0は、入力画素値S0を有する入力画素と、入力画素値S1を有する入力画素との間に新たに創造される2つの画素の画素値(図9の「バツ印」)のうちの、図9中左側に示される画素値(入力画素値S0の入力画素に近いほうの画素の画素値)を、H1は、他方の画素値(図9中右側に示される画素値。即ち、入力画素値S1の入力画素に近いほうの画素の画素値)を、それぞれ表している。
【0091】
図9のみに注目すると、「バツ印(即ち、新たに創造された画素の画素値)」は、あたかも正しい画素値(即ち、実世界1の信号に忠実な値)であるように見える。しかしながら、図9(図9に示される「バツ印」)と、センサ2に対して2倍のサンプリングレートの撮像素子(図示せず)を実際に使って撮影した結果である図10(図10に「二重丸」として示される画素値)を比較すると、「バツ印(即ち、従来の画像処理装置4により創造された画素の画素値)」のうちの幾つかは、「二重丸印」とは全く異なる(即ち、実世界1の信号を忠実に再現できていない)ことがわかる。
【0092】
なお、図10において、図中水平方向の軸は、空間方向の1方向であるX方向を表しており、垂直方向の軸は、画素値を表している。
【0093】
また、図10において、9個の「丸印」のそれぞれは、図8や図9と比較した場合にわかり易い様に、図8や図9に示される9個の「丸印」のそれぞれと同一の入力画素値を表している。
【0094】
「二重丸印」は、上述したように、図8の「丸印(入力画素値)」に対応する実世界1の信号が、センサ2に対して2倍のサンプリングレートの撮像素子(図示せず)により取得され、上述した積分効果により複数の画素値からなる画像データに変換された場合、その画像データを構成する複数の画素値のうちの、X方向に並ぶ画素(即ち、図示せぬ撮像素子の検出素子に対応する画素)の画素値のそれぞれを表している。
【0095】
このように、従来の画像処理装置4(図1)は、線形補間のような、センサ2から出力されたデータ3を原点(基準)とするとともに、データ3を処理の対象とする手法を利用して画像処理を行っていた。即ち、センサ2から出力されたデータ3は、積分効果により実世界1の信号とは異なるもの(歪んだもの)となっているにも関わらず、従来の画像処理装置4は、その実世界1の信号とは異なるデータ3を正として画像処理を行っていた。
【0096】
その結果、従来の画像処理装置4が、たとえ、空間解像度を高解像度化する線形補間等の手法を利用して新たな画素を創造したとしても、創造した画素のうちの、幾つかの画素の画素値は、図10の「二重丸印」で示される画素値とは大きく異なる値となってしまうという課題、即ち、実世界1の信号を忠実に再現できないという課題が発生してしまう。
【0097】
さらに、従来の画像処理装置4が実行する線形補間について説明する。
【0098】
具体的には、例えば、いま、従来の画像処理装置4が、線形補間を利用して、入力画像を、X方向に2倍密にするとする。即ち、例えば、図11に示されるように、従来の画像処理装置4は、各入力画素31のそれぞれの位置に、注目画素31がX方向に倍密化された画素(入力画素の解像度に対してX方向に2倍の解像度の画素)32,33を創造する。
【0099】
なお、以下、入力画素が所定の1次元方向(この例では、X方向)に倍密化された画素を、入力画素と区別するために、倍密画素と称する。
【0100】
より具体的には、例えば、いま、図12に示されるように、センサ2のX方向に連続する3つの検出素子(画素)と空間的に同一の大きさを有する、実世界1の部分41(以下、このような部分を、図7の部分21と同様に領域と称する)が存在したとする。
【0101】
この場合、この領域41は、センサ2により取得されると、その積分効果により、3つの画素値51、画素値52、および画素値53からなるデータ3となって、センサ2より出力される。なお、画素値51乃至画素値53のそれぞれは、図中、画像として表現されているが、実際には、所定の値を表すデータである。
【0102】
図12に示されるように、実世界1の領域41は、画素値52に対応するセンサ2の検出素子(画素)に相当する部分において、前景に対応する光信号(例えば、図中斜線の間隔が狭い領域)と、背景に対応する光信号(例えば、図中斜線の間隔が広い領域)に明確に区分される。
【0103】
これに対して、画素値52は、前景に対応する実世界1の光信号と、背景に対応する実世界1の光信号が積分された値である。換言すると、画素値52は、空間混合による値(前景に対応する光のレベルと背景に対応する光のレベルが空間的に混合されたレベルに対応する値)である。
【0104】
このような画素値51乃至画素値53からなるデータ3が、従来の画像処理装置4に入力されると、図13に示されるように、従来の画像処理装置4は、入力されたデータ3の画素値51乃至画素値53を処理の基準とすると共に、データ3を処理の対象として、線形補間を施す。
【0105】
その結果、従来の画像処理装置4からは、元の領域(実世界1の信号の部分)41(図12)とは異なる画像(データ)61が出力されてしまう。即ち、上述したように、元の領域41は、2つの光のレベルに明確に区分されているのに対して、従来の画像処理装置4から出力されるデータ61に対応する画像(X方向に連続して並ぶ6個の倍密画素)は、グラデーションになってしまう。これは、従来の画像処理装置4が、画素値52は空間混合された結果であるという事実(実世界1を忠実に表していないという事実)を無視し(考慮せず)、画素値52は正しい値(実世界1を忠実に表した値)であるとして画像処理を行ったためである。
【0106】
このように、従来の画像処理装置4は、たとえ、空間解像度を高解像度化する線形補間等の手法を利用して倍密画素を創造したとしても、創造した倍密画素のうちの、幾つかの倍密画素の画素値(例えば、図13の入力画素値52に対応する倍密画素)は、実世界1の信号を忠実に再現できていない(例えば、図12の領域41の対応する部分のレベルとは大きく異なる値となってしまう)という課題を有することになる。
【0107】
そこで、このような課題を解決するために、本発明の画像処理装置11(図2)は、上述したように、データ3と実世界1の信号の関係(データ3は、センサ2の積分効果により、実世界1の信号とは異なるものであるという事実)を明確に考慮して、即ち、空間混合を考慮して画像処理を行う。
【0108】
具体的には、例えば、いま、本発明の画像処理装置11も、上述した従来の画像処理装置4と同様に、入力画像を、X方向に2倍密にする画像処理を行うとする。即ち、例えば、上述した図11に示されるように、画像処理装置11は、各入力画素31のそれぞれにおける、倍密画素32と倍密画素33を創造する。
【0109】
図14は、このような本発明の画像処理装置11の画像処理の概容を説明する図である。
【0110】
図14に示されるように、本発明の画像処理装置11には、例えば、混合比演算部71と倍密画素演算部72が設けられている(後述する図15に示されるように、その他のブロックがさらに設けられることもある)。
【0111】
例えば、いま、本発明の画像処理装置11も、従来の画像処理装置4(図13)と同様に、画素値51乃至画素値53からなるデータ3(図12の領域41に対応するデータ3)を入力したとする。
【0112】
この場合、画像処理装置11の混合比演算部71は、入力画素値52が空間混合された値であることを明確に考慮し、領域41(図12)を推定し、推定した結果(即ち、図14に示されるように、推定領域81)を倍密画素演算部72に供給する。
【0113】
詳細には、混合比演算部71は、空間混合が起きる画素(いまの場合、入力画素値52に対応する画素)内での光の混合の比率(以下、このような比率を、空間混合比と称する)を演算することで、元の実世界1の信号を推定する。
【0114】
具体的には、図14に示されるように、入力画素値52は、図中左隣の入力画素値51と同一の光のレベルがα分だけ、かつ、図中右隣の入力画素値53と同一の光のレベルが1−α分だけ混合されたレベルに対応する値である。この場合、αが空間混合比となる。
【0115】
即ち、空間混合比をαと、入力画素値51をS1と、入力画素値52をS0と、入力画素値53をS2と、それぞれ記述した場合、次の式(6)で示される関係が成立する。
【0116】
S0 = S1×α + S2×(1−α) ・・・(6)
【0117】
式(6)より、空間混合比αは、次の式(7)のように示される。
【0118】
α =(S0−S1−S2)/(S1−S2) ・・・(7)
【0119】
従って、混合比演算部71は、式(7)の右辺を演算して、入力画素値52における空間混合比αを算出することで、図12の実世界1の領域41を推定する(推定領域81を生成する)。
【0120】
換言すると、上述した式(6)で示されるように、αは、画素値52に対応する画素における、それのX方向に対して左側に隣接する画素(画素値51に対応する画素)に対する重みとも言える。同様に、(1−α)は、画素値52に対応する画素における、それのX方向に対して右側に隣接する画素(画素値53に対応する画素)に対する重みとも言える。このような観点からは、混合比演算部71は、空間混合が起きた画素における、その画素に隣接する複数の画素のそれぞれに対する重みを検出するとも言える。
【0121】
倍密画素演算部72は、混合比演算部71により演算された混合比αを利用して、入力画素51乃至入力画素53のそれぞれにおける、倍密画素の画素値を演算する。即ち、倍密画素演算部72は、混合比演算部71により演算された混合比αを利用して、図14に示されるような、X方向に連続して並ぶ6つの倍密画素からなる画像(データ)82を創造し、出力する。
【0122】
具体的には、倍密画素演算部72は、混合比演算部71により演算された混合比αに基づいて生成される推定領域81を、各倍密画素のそれぞれの空間的位置に対応する範囲で再積分することで、各倍密画素のそれぞれの画素値を演算する。
【0123】
即ち、図12に示されるように、実世界1の領域(部分)41が、センサ2により1度積分されて画素値51乃至画素値53となり、図14に示されるように、混合比演算部71により、その画素値51乃至画素値53から領域41が推測され(画素52における空間混合比αが演算され、演算された空間混合比αより推定領域81が生成され)、倍密画素演算部72により、推測された実世界1の領域(即ち、推定領域81)が再度積分されて、倍密画素の画素値(画像データ82)が生成される。従って、以下、倍密画素演算部72が実行する演算処理を再積分とも称する。
【0124】
換言すると、上述したように、混合比演算部71を重みを検出する重み検出部として捉え、かつ、混合比演算部71が重みを検出したときに利用した3つの画素のうちの中心の画素(例えば、図14の画素値52を有する画素)を注目画素とすると、倍密画素演算部72は、混合比演算部71により検出された、注目画素とX方向に隣接する複数の画素の画素値のそれぞれに対する重みに応じて、注目画素がX方向に2倍密化される倍密画素の画素値を演算する(画像データ82を生成する)ともいえる。
【0125】
このようにして、本発明の画像処理装置11により生成された(創造された)画像(データ)82は、図13の従来の画像処理装置4により生成された画像(データ)61に比較して、図12の元の実世界1の領域(部分)41をより忠実に再現していることがわかる。
【0126】
このように、本発明の画像処理装置11は、空間混合を明確に考慮した画像処理を実行するので、即ち、空間混合が起きた画素における空間混合比を演算し、演算した空間混合比より元の実世界1の信号を推定し、推定した実世界1の信号をその処理の基準とするとともに、推定した実世界1の信号を再積分することで新たな倍密画素を創造するので、実世界1の信号を忠実に再現することが可能になる。
【0127】
より具体的には、本発明の画像処理装置11は、例えば、図15に示されるように構成される。即ち、図15は、本発明の画像処理装置11の構成例を表すブロック図である。
【0128】
なお、画像処理装置11の各機能をハードウェアで実現するか、ソフトウェアで実現するかは問わない。つまり、図15は、ハードウェアのブロック図と考えても、ソフトウェアによる機能ブロック図と考えても良い。ただし、図15をソフトウエアの機能ブロック図と考えた場合、後述する図29の構成の情報処理装置等に、図15の機能ブロック図を実現可能なソフトウエアがインストールされ、実行されることになる。
【0129】
図15において、フレーム記憶部73は、図2のデータ3を入力画像として入力し、1フレームを単位として記憶する。
【0130】
画素取得部74は、フレーム記憶部73に記憶された1フレームの入力画像内の注目画素の画素値と、注目画素のX方向に対して左右に隣接する2つの画素の画素値のそれぞれを取得し、上述した混合比演算部71に供給する。
【0131】
混合比演算部71と倍密画素演算部72のそれぞれは、図14のそれらと同様の構成と機能を有するものであるので、それらの説明については省略する。
【0132】
倍密フレーム記憶部75は、入力画像の各画素のそれぞれが注目画素とされて、倍密画素演算部72より、注目画素における2つの倍密画素の画素値のそれぞれが順次供給されてきたとき、それら2つの画素値を順次記憶する。
【0133】
そして、倍密フレーム記憶部75は、1フレーム分の入力画素のうちの最後の入力画素が注目画素とされて、倍密画素演算部72より、注目画素における2つの倍密画素の画素値のそれぞれが供給されてきたとき、供給された2つの画素値(倍密画素の画素値)と、それまでに記憶した画素値(倍密画素の画素値)から構成される画像、即ち、入力画像に対してX方向に2倍密の画像を、出力画像として出力する。
【0134】
次に、図16のフローチャートを参照して、本発明の画像処理装置11(図2と図15)の画像の処理を生成する処理について説明する。
【0135】
はじめに、ステップS1において、画像処理装置11(図2)は、データ3(図2)である画像データを入力する。即ち、1フレームの入力画像(データ)が、図15のフレーム記憶部73に記憶される。
【0136】
画素取得部74は、ステップS2において、フレーム記憶部73に記憶された1フレームの入力画像内の未処理画素を注目画素として、その画素値を取得する(検出する)とともに、ステップS3において、その注目画素の左右の(X方向に対して両隣の)画素のそれぞれの画素値を取得し、取得した3つの画素(注目画素とその左右の画素)の画素値を混合比演算部71に供給する。
【0137】
例えば、上述した図12の画素値52に対応する入力画素が注目画素とされた場合、3つの画素値51乃至画素値53のそれぞれが取得されることになる。
【0138】
ステップS4において、混合比演算部71は、画素取得部74より供給された、注目画素、およびその左右の画素のそれぞれの画素値を用いて、注目画素の空間混合比を演算する。
【0139】
即ち、混合比演算部71は、上述した式(7)の右辺のうちの、S1に注目画素の左隣の画素の画素値を、S0に注目画素の画素値を、S2に注目画素の右隣の画素の画素値を、それぞれ代入した上、式(7)の右辺を演算することで、注目画素の空間混合比αを演算し、倍密画素演算部72に供給する。
【0140】
ステップS5において、倍密画素演算部72は、混合比演算部71より供給された空間混合比を用いて注目画素における2つの倍密画素のそれぞれの画素値を演算する。
【0141】
そして、ステップS6において、倍密画素演算部72は、水平2倍密画像として創造した2つの倍密画素の画素値を、倍密フレーム記憶部75が記憶している出力画像(水平2倍密画像)の対応する位置に出力する(記憶させる)。
【0142】
即ち、倍密画素演算部72は、ステップS5において、注目画素の空間混合比に基づいて推定される実世界1の信号を、2つの倍密画素のそれぞれに対応する積分範囲(2つの倍密画素の空間的な配置位置)で再積分し、ステップS6において、2つの再積分値のそれぞれを、2つの倍密画素のそれぞれの画素値として倍密フレーム記憶部75に供給する。
【0143】
ステップS7において、画像処理装置11は、フレーム記憶部73に記憶された1フレームの入力画像内に未処理画素があるか否かを判定する。
【0144】
ステップS7において、未処理画素があると判定された場合、処理はステップS2に戻り、それ以降の処理が繰り返される。即ち、未処理画素が、順次注目画素とされて、ステップS2乃至S7の処理が繰り返される。
【0145】
そして、全画素の処理が終了すると(ステップS7において、入力画像内に未処理画素がないと判定されると)、ステップS8において、倍密フレーム記憶部75が、いままで記憶していた倍密画素から構成される、1フレームの入力画像に対応する水平2倍密画像を出力する。
【0146】
ところで、上述した例では、本発明の画像処理装置11は、水平(X方向の)2倍密の画像を生成する(例えば、図11に示されるように、入力画素31に対して、X方向の倍密画素32と倍密画素33を生成する)画像処理を行ったが、上述した図15の構成を有し、上述した図16のフローチャートに示される処理を同様に実行すれば、垂直(Y方向の)2倍密の画像を生成する(例えば、図17に示されるように、入力画素31に対して、Y方向の倍密画素81と倍密画素82を生成する)こともできる。
【0147】
さらに、本発明の画像処理装置11は、例えば、上述した図15の構成を有することで、2倍密画像よりも高解像度な画像を生成することも可能である。
【0148】
具体的には、例えば、本発明の画像処理装置11は、水平垂直(XY方向)4倍密の画像を生成する(例えば、図18に示されるように、入力画素31に対して、XY方向に4倍密の画素83乃至画素86を生成する)画像処理も実行することができる。
【0149】
以下、本発明の画像処理装置11が水平垂直(XY方向)4倍密の画像を生成する実施の形態について説明する。
【0150】
なお、以下、各画素を区別するために、入力画素に対して水平垂直(XY方向)4倍密の画素を4倍密画素と称する。これに伴い、上述した倍密画素と称している画素のうちの、X方向(水平方向)の倍密画素を水平2倍密画素と、Y方向垂直方向)の倍密画素を垂直2倍密画素と、それぞれ称する。
【0151】
また、4倍密画素の創造を実現する画像処理装置11は、様々な構成が可能であり、後述する本発明の画像処理を実行可能な構成であれば、いずれの構成が採用されてもよいが、上述したように、図15に示される構成でも足りる。従って、以下においても、画像処理装置11は、例えば、図15に示されるように構成されるとして説明する。
【0152】
ただし、図15においては、倍密画素演算部72の出力は、倍密フレーム記憶部75のみに供給されているが、4倍密画素の創造の場合、後述するように、必要に応じて、倍密画素演算部72の出力が、混合比演算部71に供給されるときもある(即ち、改めて図示はしないが、この場合、混合比演算部71と倍密画素演算部72の間の矢印は、両方向の矢印となることに相当する)。
【0153】
また、4倍密画素の創造の場合、混合比演算部71は、必要に応じて、画素取得部74を介さずに、直接(自分自身で)フレーム記憶部73や倍密フレーム記憶部75に記憶されている画素値を取得する(検出する)こともできる(即ち、改めて図示はしないが、この場合、フレーム記憶部73から混合比演算部71に矢印が引かれるとともに、倍密フレーム記憶部75から混合比演算部71に矢印が引かれることに相当する)。
【0154】
空間混合比を利用して4倍密画素を創造する(それらの画素値を演算する)手法は、特に限定されず、様々な手法が存在するが、ここでは、それらのうちの3つの手法(第1乃至第3の手法)についてそれぞれ具体的に説明する。
【0155】
第1の手法は、画像処理装置11が、はじめに上述した一連の処理を実行して、水平方向(X方向)の空間混合比を演算し、それを用いて注目画素における水平2倍密画素を創造した後、さらに、創造した水平2倍密画素に対して、上述した一連の処理と同様の処理を実行して、垂直方向(Y方向)の空間混合比を演算し、それを用いて水平2倍密画素に対してさらに垂直方向に2倍密の画素、即ち、注目画素における4倍密画素を創造する手法である。
【0156】
なお、以下、水平方向(X方向)の空間混合比と、垂直方向(Y方向)の空間混合比を区別する必要がある場合、水平方向(X方向)の空間混合比を水平混合比と、垂直方向(Y方向)の空間混合比を垂直混合比と、それぞれ称する。
【0157】
このような第1の手法に対して、第2の手法と第3の手法は、画像処理装置11が、注目画素の水平混合比と、垂直混合比のそれぞれを併せて(ほぼ同時に)演算し、演算した水平混合比と垂直混合比のそれぞれを用いて、注目画素における4倍密画素を一気に創造する手法である。
【0158】
なお、第2の手法と第3の手法の差異は、水平混合比、および、垂直混合比の算出方法の違いであるが、これらの算出方法については後述する。
【0159】
以下、図面を参照して、本発明の画像処理装置11が、4倍密画素を創造する3つの手法(第1乃至第3の手法)のそれぞれの詳細について、その順番に個別に説明していく。
【0160】
図19は、4倍密画素を創造する第1の手法が適用される本発明の画像処理装置11(図2と図15)の画像の処理を表すフローチャートである。そこで、以下、図19のフローチャートを参照して、4倍密画素を創造する第1の手法が適用される本発明の画像処理装置11の画像の処理について説明する。
【0161】
上述したように、第1の手法においては、はじめに注目画素の水平混合比が演算され、演算された水平混合比を用いて、注目画素における2つの水平2倍密画素が創造される。これらの処理は、ステップS21乃至S25の処理で実行される。なお、ステップS21乃至S25の処理のそれぞれは、ステップS1乃至S5(図16)の処理のそれぞれと基本的に同様の処理とされるので、その処理の詳細な説明は省略する。
【0162】
例えば、いま、図20に示されるように、注目画素が画素90とされ、その画素値S0、注目画素90の左(注目画素90のX方向に対して左隣)の画素91の画素値S1、および、注目画素90の右(注目画素90のX方向に対して右隣)の画素92の画素値S2から、水平混合比(以下、水平混合比をαxと記述する)が演算され(上述した式(7)の右辺が演算されて水平混合比αxが算出され)、水平混合比αxを用いて、注目画素90における、水平2倍密画素90−1の画素値H1と水平2倍密画素90−2の画素値H2が算出されたとする。
【0163】
図19に戻り、ステップS26において、混合比演算部71は、2つの水平2倍密画素のうちの一方を注目倍密画素とし、その画素値を倍密画素演算部72より取得する(なお、図15においては、上述したように、倍密画素演算部72から混合比演算部71に向かう方向の矢印は図示されていないが、ここでは、矢印が両方向の矢印であるとする)。
【0164】
いまの場合、図20に示されるように、注目画素90における、水平2倍密画素90−1の画素値H1と水平2倍密画素90−2の画素値H2のうちのいずれか一方が取得される(検出される)。例えば、いま、画素値H1が取得されたとする。
【0165】
図19に戻り、ステップS27において、混合比演算部71は、注目倍密画素の上下の水平2倍密画素のそれぞれの画素値を取得する(検出する)。
【0166】
いまの場合、図20に示されるように、混合比演算部71は、注目倍密画素90−1の上(Y方向)に位置する、画素93における水平2倍密画素93−1の画素値H3と、注目倍密画素90−1の下(Y方向)に位置する、画素94における水平2倍密画素94−1の画素値H5のそれぞれを取得する。
【0167】
なお、注目倍密画素90−1の画素値H1が算出された時点よりも時間的に前に倍密画素演算部72により画素値H3と画素値H5が既に演算されている場合、混合比演算部71は、画素値H3と画素値H5を倍密画素演算部72より取得してもよい。ただし、この場合、倍密画素演算部72は、その演算結果を保持する必要がある。或いは、図示はしないが、倍密フレーム記憶部75が、後述する4倍密画素の画素値とともに、水平2倍密画素の画素値(いまの場合、画素値H3と画素値H5)もあわせて記憶し、混合比演算部71が、倍密フレーム記憶部75より画素値H3と画素値H5を取得してもよい。
【0168】
或いは、図示はしないが、混合比演算部71は、画素93における水平2倍密画素93−1の画素値H3は、画素93の画素値S3と等しいとみなし、画素値H3として画素値S3をフレーム記憶部73より取得するとともに、画素94における水平2倍密画素94−1の画素値H5は、画素94の画素値S4と等しいとみなし、画素値H5として画素値S4をフレーム記憶部73より取得してもよい。
【0169】
図19に戻り、ステップS28において、混合比演算部71は、注目倍密画素、およびその上下の水平2倍密画素のそれぞれの画素値を用いて注目倍密画素の垂直混合比を演算する。
【0170】
いまの場合、図20に示されるように、注目倍密画素が水平2倍密画素90−1とされ、その画素値H1、注目倍密画素90−1の上の水平2倍密画素93−1の画素値H3、および、注目倍密画素90−1の下の水平2倍密画素94−1の画素値H5が取得されている。従って、注目倍密画素90−1の垂直混合比をαyと記述すると、混合比演算部71は、上述した式(7)に対応する次の式(8)の右辺を演算することで、注目倍密画素90−1の垂直混合比αyを演算し、倍密画素演算部72に供給する。
【0171】
αy = (H1−H3−H5)/(H3−H5) ・・・(8)
【0172】
図19に戻り、ステップS29において、倍密画素演算部72は、混合比演算部71より供給された垂直混合比(いまの場合、式(8)で演算された垂直混合比αy)を用いて、注目倍密画素における、さらにY方向に2倍密の2つの画素(即ち、注目画素における4倍密画素)の画素値を演算する。
【0173】
いまの場合、図20に示されるように、注目画素は90とされ、かつ、注目倍密画素は、注目画素90における水平2倍密画素90−1とされているので、図21に示されるように、注目画素90における、4つの4倍密画素90−3乃至4倍密画素90−6のうちの、4倍密画素90−3の画素値HH1と4倍密画素90−5の画素値HH3が演算される。
【0174】
具体的には、倍密画素演算部72は、混合比演算部71により演算された(式(8)で示される)垂直混合比αyに基づいて推定される実世界1を、4倍密画素90−3と4倍密画素90−5のそれぞれの空間的位置に対応する範囲で再積分することで、4倍密画素90−3の画素値HH1と、4倍密画素90−5の画素値HH3を演算する。
【0175】
図19に戻り、ステップS30において、混合比演算部71は、2つの水平2倍密画素を処理したか否かを判定する。
【0176】
いまの場合、図20に示されるように、注目画素は画素90とされ、注目画素における水平2倍密画素90−1と水平2倍密画素90−2のうちの、水平2倍密画素90−2についての処理がまだ実行されていないので、ステップS30(図19)において、2つの水平2倍密画素を処理していないと判定され、処理はステップS26(図19)に戻り、それ以降の処理が繰り返される。
【0177】
即ち、今度は、水平2倍密画素90−2が注目倍密画素とされ、その画素値H2、注目倍密画素90−2の上の水平2倍密画素93−2の画素値H4、および、注目倍密画素90−2の下の水平2倍密画素94−2の画素値H6が取得され、上述した式(8)に対応する次の式(9)の右辺が演算されて、注目倍密画素90−2の垂直混合比αyが算出される。
【0178】
αy = (H2−H4−H6)/(H4−H6) ・・・(9)
【0179】
そして、このようにして演算された(式(9)で表される)注目倍密画素90−2の垂直混合比αyを用いて、図21に示される、注目画素90における4つの4倍密画素90−3乃至4倍密画素90−6のうちの、残りの4倍密画素90−4の画素値HH2と、4倍密画素90−6の画素値HH4が演算される。
【0180】
図19に戻り、ステップS31において、倍密画素演算部72は、水平垂直4倍密画像として創造した4つの4倍密画素の画素値(いまの場合、図21の注目画素90における、4つの4倍密画素90−3乃至4倍密画素90−6のそれぞれの画素値HH1乃至画素値HH4)を、倍密フレーム記憶部75が記憶している出力画像(水平垂直4倍密画像)の対応する位置に出力する(記憶させる)。
【0181】
ステップS32において、画像処理装置11は、フレーム記憶部73に記憶された1フレームの入力画像内に未処理画素があるか否かを判定する。
【0182】
ステップS32において、未処理画素があると判定された場合、処理はステップS22に戻り、それ以降の処理が繰り返される。即ち、未処理画素が、順次注目画素とされて、ステップS22乃至S32の処理が繰り返される。
【0183】
そして、全画素の処理が終了すると(ステップS32において、入力画像内に未処理画素がないと判定されると)、ステップS33において、倍密フレーム記憶部75が、いままで記憶していた4倍密画素から構成される、1フレームの入力画像に対応する水平垂直4倍密画像を出力する。
【0184】
なお、上述した例では、はじめに水平混合比が求められ、その水平混合比を利用して水平2倍密画素の画素値が演算された後、垂直混合比が求められ、その垂直混合比を利用して4倍密画素の画素値が演算されたが、当然ながら、処理の順序はその逆でもよい。即ち、はじめに垂直混合比が求められ、その垂直混合比を利用して垂直2倍密画素の画素値が演算された後、水平混合比が求められ、その水平混合比を利用して4倍密画素の画素値が演算されてもよい。
【0185】
このように、4倍密画素を創造する第1の手法が適用される、本発明の画像処理装置11においては、例えば、図15の混合比演算部71が、注目画素の画素値(例えば、図20の画素90の画素値S0)は、2次元方向(例えば、空間方向のうちのX方向とY方向)のうちの第1の1次元方向(例えば、X方向)に隣接する2つの画素の画素値(例えば、図20の画素90の画素値S1と画素92の画素値S2)の重み付け加算により演算されるとして第1の方程式(例えば、上述した式(7)に対応する方程式)を生成し、生成した第1の方程式を演算することにより、第1の1次元方向に注目画素と隣接する2つの画素の画素値のそれぞれに対する重み(例えば、水平混合比αx(具体的には、例えば、画素91に対する重みはαxであり、画素92に対する重みは(1−αx)である)を検出する(例えば、図19のステップS24の処理を演算する。
【0186】
すると、例えば、図15の倍密画素演算部72は、第1の1次元方向に注目画素と隣接する2つの画素の画素値のそれぞれに対する重みに応じて、注目画素が第1の1次元方向に2倍密化される2倍密画素の画素値(例えば、図20の注目画素90における、水平2倍密画素90−1の画素値H1と水平2倍密画素90−2の画素値H2)を演算する。(例えば、図19のステップS25の処理を実行する)。
【0187】
次に、例えば、図15の混合比演算部71は、注目画素における2倍密画素のうちの一方を注目倍密画素として、注目倍密画素の画素値は、2次元方向のうちの第1の1次元方向(例えば、X方向)に直交する第2の1次元方向(例えば、Y方向)に隣接する2倍密画素の画素値(例えば、注目倍密画素が水平2倍密画素90−1の場合、水平2倍密画素93−1の画素値H3と水平2倍密画素94−1の画素値H5であり、注目倍密画素が水平2倍密画素90−2の場合、水平2倍密画素93−2の画素値H4と水平2倍密画素94−2の画素値H6)の重み付け加算により演算されるとして第2の方程式(例えば、上述した式(8)または式(9)に対応する方程式)を生成し、生成した第2の方程式を演算することにより、第2の1次元方向に注目倍密画素と隣接する2つの2倍密画素の画素値のそれぞれに対する重み(例えば、垂直混合比αy(具体的には、例えば、水平2倍密画素93−1または水平2倍密画素93−2に対する重みはαyであり、水平2倍密画素94−1または水平2倍密画素94−2に対する重みは(1−αy)である))を検出する(例えば、図19のステップS28の処理を実行する)。
【0188】
注目画素における2つの2倍密画素のそれぞれに対して以上の処理が実行されると、例えば、図15の倍密画素演算部72は、第2の1次元方向に注目倍密画素と隣接する2つの2倍密画素の画素値のそれぞれに対する重みに応じて、注目画素における4倍密画素の画素値(例えば、図21の注目画素90における、4つの4倍密画素90−3乃至4倍密画素90−6のそれぞれの画素値HH1乃至画素値HH4)を演算する。
【0189】
次に、4倍密画素を創造する第2の手法について説明する。第2の手法は、2倍密画素を創造した上で4倍密画素を創造する第1の手法に対して、画像処理装置11が、注目画素の水平混合比と、垂直混合比のそれぞれを併せて演算し、演算した水平混合比と垂直混合比のそれぞれを用いて、注目画素における4倍密画素を一気に創造する手法である。
【0190】
図22は、このような、4倍密画素を創造する第2の手法が適用される本発明の画像処理装置11(図2と図15)の画像の処理を表すフローチャートである。そこで、以下、図22のフローチャートを参照して、4倍密画素を創造する第2の手法が適用される本発明の画像処理装置11の画像の処理について説明する。
【0191】
はじめに、ステップS51において、画像処理装置11(図2)は、データ3(図2)である画像データを入力する。即ち、1フレームの入力画像(データ)が、図15のフレーム記憶部73に記憶される。
【0192】
画素取得部74は、ステップS52において、フレーム記憶部73に記憶された1フレームの入力画像内の未処理画素を注目画素として、その画素値を取得する(検出する)とともに、ステップS53において、混合比の演算に必要な、注目画素の近隣の画素のそれぞれの画素値を取得し、取得した複数の画素(注目画素とその近隣の画素)の画素値を、混合比演算部71に供給する。
【0193】
具体的には、第2の手法においては、後述するように、注目画素の水平混合比と垂直混合比が一緒に算出される。従って、第2の手法においては、画素取得部74は、注目画素の画素値の他に、注目画素の水平混合比の演算に必要な、注目画素の左右の(X方向に対して両隣の)画素のそれぞれの画素値、および、注目画素の垂直混合比の演算に必要な、注目画素の上下の(Y方向に対して両隣の)画素のそれぞれの画素値を取得する。
【0194】
例えば、いま、図23に示される3×3画素群のうちの中心の画素90が注目画素とされた場合、第2の手法においては、画素取得部74は、注目画素90の画素値S0、注目画素90の水平混合比の演算に必要な、注目画素90の左側(X方向に対して隣接する画素のうちの一方の)画素91の画素値S1、および、注目画素90の右側(X方向に対して隣接する画素のうちの他方の)画素92の画素値S2、並びに、注目画素90の垂直混合比の演算に必要な、注目画素90の上側の(Y方向に対して隣接する画素のうちの一方の)画素93の画素値S3、および、注目画素90の下側の(Y方向に対して隣接する画素のうちの他方の)画素94の画素値S4を、それぞれ取得することになる。
【0195】
図22に戻り、ステップS54において、混合比演算部71は、画素取得部74より供給された、注目画素、およびその近隣の画素のそれぞれの画素値を用いて、注目画素の水平混合比と垂直混合比のそれぞれを演算する。
【0196】
即ち、いまの場合、混合比演算部71は、上述した式(7)に対応する次の式(10)の右辺を演算することで、注目画素90の水平混合比αxを演算し、倍密画素演算部72に供給する。
【0197】
αx = (S0−S1−S2)/(S1−S2) ・・・(10)
【0198】
また、混合比演算部71は、上述した式(7)に対応する次の式(11)の右辺を演算することで、注目画素90の垂直混合比αyを演算し、倍密画素演算部72に供給する。
αy = (S0−S3−S4)/(S3−S4) ・・・(11)
【0199】
なお、式(10)と式(11)において、S0は注目画素90の画素値を、S1は注目画素90の左側に隣接する画素91の画素値を、S2は注目画素90の右側に隣接する画素92の画素値を、S3は注目画素90の上側に隣接する画素93の画素値を、S4は注目画素90の下側に隣接する画素94の画素値を、それぞれ表している。
【0200】
ステップS55において、倍密画素演算部72は、混合比演算部71より供給された水平混合比と垂直混合比のそれぞれを用いて、注目画素における4つの4倍密画素のそれぞれの画素値を演算する。
【0201】
そして、ステップS56において、倍密画素演算部72は、水平垂直4倍密画像として創造した4つの4倍密画素の画素値を、倍密フレーム記憶部75が記憶している出力画像(水平垂直4倍密画像)の対応する位置に出力する(記憶させる)。
【0202】
即ち、いまの場合、倍密画素演算部72は、ステップS55において、注目画素90の水平混合比αxと垂直混合比αyに基づいて推定される実世界1の信号を、4つの4倍密画素のそれぞれに対応する積分範囲(即ち、図21で示される4つの4倍密画素90−3乃至4倍密画素90−6のそれぞれの空間的な配置位置)で再積分する。そして、倍密画素演算部72は、ステップS56において、4つの再積分値のそれぞれを、4つの倍密画素のそれぞれの画素値(即ち、図21で示される4つの4倍密画素90−3乃至4倍密画素90−6のそれぞれの画素値HH1乃至画素値HH4)として倍密フレーム記憶部75に供給する。
【0203】
ステップS57において、画像処理装置11は、フレーム記憶部73に記憶された1フレームの入力画像内に未処理画素があるか否かを判定する。
【0204】
ステップS57において、未処理画素があると判定された場合、処理はステップS52に戻り、それ以降の処理が繰り返される。即ち、未処理画素が、順次注目画素とされて、ステップS52乃至S57の処理が繰り返される。
【0205】
そして、全画素の処理が終了すると(ステップS57において、入力画像内に未処理画素がないと判定されると)、ステップS58において、倍密フレーム記憶部75が、いままで記憶していた4倍密画素から構成される、1フレームの入力画像に対応する水平垂直4倍密画像を出力する。
【0206】
このように、4倍密画素を創造する第2の手法においては、例えば、図15の混合比演算部71が、注目画素の画素値(例えば、図23の画素90の画素値S0)は、2次元方向(空間方向のうちのX方向とY方向)のうちの第1の1次元方向(例えば、X方向)に隣接する2つの画素の画素値(例えば、図23の画素91の画素値S1と画素92の画素値S2)の重み付け加算により演算されるとして第1の方程式(例えば、式(10)に対応する方程式)を生成し、生成した第1の方程式を演算することにより、第1の1次元方向に注目画素と隣接する2つの画素の画素値のそれぞれに対する重み(例えば、水平混合比αx(具体的には、例えば、画素91に対する重みはαxであり、画素92に対する重みは(1−αx)である)を検出するとともに、注目画素の画素値は、2次元方向のうちの第1の1次元方向(例えば、X方向)に直交する第2の1次元方向(例えば、Y方向)に隣接する2つの画素の画素値(例えば、図23の画素93の画素値S3と画素94の画素値S4)の重み付け加算により演算されるとして第2の方程式(例えば、式(11)に対応する方程式)を生成し、生成した第2の方程式を演算することにより、第2の1次元方向に注目画素と隣接する2つの画素の画素値のそれぞれに対する重み(例えば、水平混合比αy(具体的には、例えば、画素93に対する重みはαyであり、画素94に対する重みは(1−αy)である)を検出する(例えば、図22のステップS54の処理を実行する)。
【0207】
すると、例えば、図15の倍密画素演算部72は、第1の1次元方向に注目画素と隣接する2つの画素の画素値のそれぞれに対する重み、および、第2の1次元方向に注目画素と隣接する2つの画素の画素値のそれぞれに対する重みに応じて、注目画素における4倍密画素の画素値(例えば、図21の注目画素90における、4つの4倍密画素90−3乃至4倍密画素90−6のそれぞれの画素値HH1乃至画素値HH4)を演算する(例えば、図22のステップS55の処理を実行する)。
【0208】
次に、4倍密画素を創造する第3の手法について説明する。
【0209】
第3の手法と、上述した第2の手法を比較するに、画像処理装置11が、注目画素の水平混合比と、垂直混合比のそれぞれをはじめに演算した後、演算した水平混合比と垂直混合比のそれぞれを用いて、注目画素における4倍密画素を一気に創造する点は基本的に同様である。
【0210】
従って、4倍密画素を創造する第3の手法が適用される画像処理装置11も、上述した図22のフローチャートに従って、画像の処理を実行する点は同じである。即ち、図22は、4倍密画素を創造する第3の手法が適用される画像処理装置11の画像の処理のフローチャートとしても引用される。
【0211】
しかしながら、画像処理装置11が、注目画素の水平混合比と、垂直混合比のそれぞれを演算する演算方法が、第2の手法と第3の手法で異なる。そこで、はじめに、第3の手法における、注目画素の水平混合比と、垂直混合比のそれぞれを演算する演算方法について説明する。
【0212】
即ち、第3の手法においては、図24に示されるように、注目画素90の画素値S0は、図中示されるように配置される4つの画素成分101乃至画素成分104の各値(画素値に相当する値)T1乃至T4の集まりであると考える。
【0213】
この場合、注目画素90の画素値S0は、注目画素90の水平混合比αxを使用すると次の式(12)のように表され、また、注目画素90の垂直混合比αyを使用すると次の式(13)のように表される。
【0214】
αx = (T1+T3)×αx + (T2+T4)×(1−αx) ・・・(12)
αy = (T1+T2)×αy + (T3+T4)×(1−αy) ・・・(13)
【0215】
また、画素成分101乃至画素成分104の各値T1乃至T4のそれぞれは、周辺3画素の画素値の平均値として表される(ただし、実際には、ゲイン調整が必要となる)。
【0216】
具体的には、図25に示されるように、画素成分101の値T1は、画素91の画素値S1、画素95の画素値S5、および画素93の画素値S3の平均値とされる。同様に、図26に示されるように、画素成分102の値T2は、画素93の画素値S3、画素96の画素値S6、および画素92の画素値S2の平均値とされる。図27に示されるように、画素成分103の値T3は、画素91の画素値S1、画素97の画素値S7、および画素94の画素値S4の平均値とされる。図28に示されるように、画素成分104の値T4は、画素94の画素値S4、画素98の画素値S8、および画素92の画素値S2の平均値とされる。
【0217】
即ち、画素成分101乃至画素成分104の各値T1乃至T4のそれぞれは、次の式(14)乃至式(17)のそれぞれとして表される。
【0218】
T1=(S1+S5+S3)/3 ・・・(14)
T2=(S3+S6+S2)/3 ・・・(15)
T3=(S1+S7+S4)/3 ・・・(16)
T4=(S4+S8+S2)/3 ・・・(17)
【0219】
従って、第3の手法においては、図22のステップS52とS53において、画素取得部74は、注目画素90をその中心に含む3×3画素群(例えば、図23で示される、9個の画素90乃至画素98からなる画素群)のそれぞれの画素値(例えば、図23で示される画素値S0乃至S8のそれぞれ)を取得し、混合比演算部71に供給する。
【0220】
すると、混合比演算部71は、上述した式(12)乃至式(17)のそれぞれを利用して、注目画素90の水平混合比αxと垂直混合比αyを演算し、倍密画素演算部72に供給する。
【0221】
なお、それ以外の処理(ステップS52乃至S54以外の処理)については、上述した第2の手法と基本的に同様の処理とされるので、その説明については省略する。
【0222】
このように、4倍密画素を創造する第3の手法が適用される画像処理装置11においては、例えば、図15の混合比演算部71は、注目画素の画素値(例えば、図24の画素90の画素値S0)は、2次元方向(例えば、空間方向のうちのX方向とY方向)のうちの第1の1次元方向(例えば、X方向)に2分割され、かつ、第1の1次元方向に直交する第2の1次元方向(Y方向)に2分割される4つの画素成分(例えば、図24のように配置される(分割される)画素成分101乃至画素成分104)により構成されるとして、第1の1次元方向に対する画素成分のそれぞれの値(例えば、図24の画素成分101乃至画素成分104のそれぞれの値T1乃至T4)の重み付け加算により注目画素の画素値が演算されるとして第1の方程式(例えば、式(12)に対応する方程式)を生成するとともに、第2の1次元方向に対する画素成分のそれぞれの値の重み付け加算により注目画素の画素値が演算されるとして第2の方程式(例えば、式(13)に対応する方程式)を生成し、画素成分のそれぞれの値は、画素成分の位置と対応する位置に属する複数の画素の画素値の平均値(例えば、図25に示されるように、画素成分101の値T1は、画素91の画素値S1、画素95の画素値S5、および、画素93の画素値S3の平均値。同様に、その他の画素成分102乃至画素成分104のそれぞれも、図26乃至図28に示される通りである)であるとして(例えば、式(14)乃至式(17)が成立するとして)、画素成分のそれぞれの値を第1および第2の方程式のそれぞれに代入して演算することにより、第1の1次元方向、および、第2の1次元方向のそれぞれに対応する重み(例えば、式(12)の水平混合比αxと式(13)の垂直混合比αy)を検出する(例えば、図22のステップS54の処理を実行する)。
【0223】
そして、例えば、図15の倍密画素演算部72は、第1の1次元方向、および、第2の1次元方向のそれぞれに対応する重みに応じて、注目画素における4倍密画素の画素値(例えば、図21の注目画素90における、4つの4倍密画素90−3乃至4倍密画素90−6のそれぞれの画素値HH1乃至画素値HH4)を演算する(例えば、図22のステップS55の処理を実行する)。
【0224】
以上のように、本発明の画像処理装置11(例えば、図2の画像処理装置11(その構成は、図15))は、入力画像の水平垂直4倍密の画像を生成することができる。
【0225】
即ち、本発明の画像処理装置においては、4倍密画素を創造する場合、それぞれ空間積分効果を有する、センサ(例えば、図2のセンサ2)の複数の検出素子(例えば、図3の検出素子A乃至I)により現実世界(例えば、図2の実世界1)の光信号が射影されて取得された画素値を有する複数の画素からなる画像データ(例えば、図2のデータ3であって、図15の入力画像)において、空間方向のうちの2次元方向(例えば、X方向とY方向)に4倍密化される画素(例えば、図20と図21の画素90)を注目画素として、注目画素の画素値を検出する。
【0226】
すると、例えば、図15の混合比演算部71は、画素取得部74により検出された注目画素の画素値は、2次元方向に隣接する複数の画素の画素値(例えば、図20の画素91の画素値S1および画素92の画素値S2、並びに、画素93の画素値S3および画素94の画素値S4)により演算されるとして方程式(例えば、式(7)に対応する方程式)を生成し、生成した前記方程式を演算することにより、注目画素に隣接する複数の画素の画素値のそれぞれに対する重み(例えば、式(7)の空間混合比αであって、具体的には、図20の注目画素90の水平混合比αx(および、(1−αx))、または、垂直混合比αy(1−αy))を検出する。
【0227】
そして、例えば、図15の倍密画素演算部72は、混合比演算部71により検出された(演算された)、2次元方向に注目画素と隣接する複数の画素の画素値のそれぞれに対する重みに応じて、注目画素が2次元方向に4倍密化される4倍密画素の画素値(例えば、図21の注目画素90における、4つの4倍密画素90−3乃至4倍密画素90−6のそれぞれの画素値HH1乃至画素値HH4)を演算する。
【0228】
これにより、例えば、従来の線形補間が苦手とするエッジ部で、より実世界1に近い画像を再現することが可能になる。即ち、本発明においては、従来の線形補間等の画像処理に比較して、精度のよい画像処理をエッジ部に対して実行することができる。勿論、本発明においては、線形補間が得意とする平坦部やグラデーション部でも悪さをせずに、即ち、線形補間と同等以上の精度で画像処理を実行することができる。
【0229】
ところで、上述した一連の処理は、ハードウエアにより実行させることもできるが、ソフトウエアにより実行させることができる。
【0230】
この場合、上述した図2の画像処理装置11は、例えば、図29に示されるようなパーソナルコンピュータにより構成される。
【0231】
図29に示されるように、CPU(Central Processing Unit)151は、ROM(Read Only Memory)152に記録されているプログラム、または記憶部158からRAM(Random Access Memory)153にロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。RAM153にはまた、CPU151が各種の処理を実行する上において必要なデータなども適宜記憶される。
【0232】
CPU151、ROM152、およびRAM153は、バス154を介して相互に接続されている。このバス154にはまた、入出力インタフェース155も接続されている。
【0233】
入出力インタフェース155には、キーボード、マウスなどよりなる入力部156、ディスプレイなどよりなる出力部157、ハードディスクなどより構成される記憶部158、モデム、ターミナルアダプタなどより構成される通信部159が接続されている。通信部159は、インターネット等のネットワークを介しての他の情報処理装置との通信処理を行う。
【0234】
入出力インタフェース155にはまた、必要に応じてドライブ160が接続され、磁気ディスク161、光ディスク162、光磁気ディスク163、或いは半導体メモリ164などが適宜装着され、それらから読み出されたコンピュータプログラムが、必要に応じて記憶部158にインストールされる。
【0235】
一連の処理をソフトウエアにより実行させる場合には、そのソフトウエアを構成するプログラム(例えば、上述した図15の機能ブロック図を実現可能なプログラム)が、専用のハードウエアに組み込まれているコンピュータ、または、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能な、例えば汎用のパーソナルコンピュータなどに、ネットワークや記録媒体からインストールされる。
【0236】
この記録媒体は、図25に示されるように、装置本体とは別に、ユーザにプログラムを提供するために配布される、プログラムが記録されている磁気ディスク(フロッピディスクを含む)161、光ディスク(CD−ROM(Compact Disk−Read Only Memory),DVD(Digital Versatile Disk)を含む)162、光磁気ディスク(MD(Mini−Disk)を含む)163、もしくは半導体メモリ164などにより構成されるだけでなく、装置本体に予め組み込まれた状態でユーザに提供される、プログラムが記録されているROM152や、記憶部158に含まれるハードディスクなどで構成される。
【0237】
また、図2のセンサ2は、固体撮像素子である、例えば、BBD(Bucket Brigade Device)、CID(Charge Injection Device)、またはCPD(Charge Priming Device)などのセンサでもよい。
【0238】
なお、本明細書において、記録媒体に記録されるプログラムを記述するステップは、記載された順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別に実行される処理をも含むものである。
【0239】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、正確で、精度の高い処理結果を得ることができるようになる。
【0240】
また、本発明によれば、現実世界の事象に対して、より正確で、より精度の高い処理結果を得ることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の画像処理装置の処理の原理を説明する図である。
【図2】本発明の画像処理装置の処理の原理を説明する図である。
【図3】イメージセンサ上の画素の配置の例を説明する図である。
【図4】CCDである検出素子の動作を説明する図である。
【図5】各画素のそれぞれに対応する検出素子に入射される光と、画素値との関係を説明する図である。
【図6】時間の経過と、1つの画素に対応する検出素子に入射される光と、画素値との関係を説明する図である。
【図7】センサの積分効果と空間混合を説明する図である。
【図8】センサから出力されるデータの例を示す図である。
【図9】図1の従来の画像処理装置が、図8のデータに対して従来の線形補間を施した結果を示す図である。
【図10】図9との比較のために、図1のセンサに対して2倍のサンプリングレートを有する撮像素子から出力されるデータ(図8のデータの位置に対応するデータ)の例を示す図である。
【図11】水平(X方向)2倍密の画像を説明する図である。
【図12】センサから出力されるデータの他の例を示す図である。
【図13】図1の従来の画像処理装置が図12のデータに対して画像処理を施した結果を説明する図である。
【図14】図2の本発明の画像処理装置が図12のデータに対して画像処理を施した結果を説明する図である。
【図15】本発明の画像処理装置の構成例を表すブロック図である。
【図16】図15の画像処理装置の画像の処理のうちの、2倍密画像を生成する処理の例を説明するフローチャートである。
【図17】垂直(Y方向)2倍密の画像を説明する図である。
【図18】水平垂直(XY方向)4倍密の画像を説明する図である。
【図19】図15の画像処理装置の画像の処理のうちの、4倍密画像を生成する処理の例を説明するフローチャートである。
【図20】4倍密画素を創造する場合に利用される空間混合比の演算に必要な画素値の例を説明する図である。
【図21】創造される4倍密画素の例を説明する図である。
【図22】図15の画像処理装置の画像の処理のうちの、4倍密画像を生成する処理の他の例を説明するフローチャートである。
【図23】4倍密画素を創造する場合に利用される空間混合比の演算に必要な画素値の他の例を説明する図である。
【図24】4倍密画素を創造する場合に利用される空間混合比の演算に必要な画素成分の値の例を説明する図である。
【図25】図24の画素成分と、図23の画素との関係を説明する図である。
【図26】図24の画素成分と、図23の画素との関係を説明する図である。
【図27】図24の画素成分と、図23の画素との関係を説明する図である。
【図28】図24の画素成分と、図23の画素との関係を説明する図である。
【図29】本発明の画像処理装置の他の構成例を表すブロック図である。
【符号の説明】
1 実世界, 2 センサ, 3 センサ, 11 画像処理装置, 71 混合比演算部, 72 倍密画素演算部, 73 フレーム記憶部, 74 画素取得部, 75 倍密フレーム記憶部, 90乃至98 入力画素, 90−1,90−2 2倍密画素, 90−3乃至90−6 4倍密画素, 93−1,93−2,94−1,94−2 2倍密画素, 101乃いたる104 画素成分, 151 CPU, 152 ROM, 153 RAM, 158 記憶部, 161 磁気ディスク, 162 光ディスク, 163 光磁気ディスク, 164 半導体メモリ, S0乃至S8 入力画素の画素値, T1乃至T4 画素成分の値, H0乃至H6 2倍密画素の画素値, HH1乃至HH4 4倍密画素の画素値
Claims (7)
- それぞれ空間積分効果を有する、センサの複数の検出素子により現実世界の光信号が射影されて取得された画素値を有する複数の画素からなる画像データにおいて、空間方向のうちの2次元方向に4倍密化される前記画素を注目画素として、前記注目画素の前記画素値を検出する画素値検出手段と、
前記検出手段により検出された前記注目画素の前記画素値は、前記2次元方向に隣接する複数の前記画素の前記画素値により演算されるとして方程式を生成し、生成した前記方程式を演算することにより、前記注目画素に隣接する複数の前記画素の前記画素値のそれぞれに対する重みを検出する重み検出手段と、
前記重み検出手段により検出された、前記2次元方向に前記注目画素と隣接する複数の前記画素の前記画素値のそれぞれに対する前記重みに応じて、前記注目画素が前記2次元方向に4倍密化される4倍密画素の画素値を演算する画素値演算手段と
を備えることを特徴とする画像処理装置。 - 前記重み検出手段は、前記注目画素の前記画素値は、前記2次元方向のうちの第1の1次元方向に隣接する2つの前記画素の前記画素値の重み付け加算により演算されるとして第1の方程式を生成し、生成した前記第1の方程式を演算することにより、前記第1の1次元方向に前記注目画素と隣接する2つの前記画素の前記画素値のそれぞれに対する重みを検出し、
前記画素値演算手段は、前記第1の1次元方向に前記注目画素と隣接する2つの前記画素の前記画素値のそれぞれに対する前記重みに応じて、前記注目画素が前記第1の1次元方向に2倍密化される2倍密画素の画素値を演算し、
前記重み検出手段は、前記注目画素における前記2倍密画素を注目倍密画素として、前記注目倍密画素の前記画素値は、前記2次元方向のうちの前記第1の1次元方向に直交する第2の1次元方向に隣接する2倍密画素の画素値の重み付け加算により演算されるとして第2の方程式を生成し、生成した前記第2の方程式を演算することにより、前記第2の1次元方向に前記注目倍密画素と隣接する2つの前記2倍密画素の画素値のそれぞれに対する重みを検出し、
前記画素値演算手段は、前記第2の1次元方向に前記注目倍密画素と隣接する2つの前記2倍密画素の前記画素値のそれぞれに対する前記重みに応じて、前記注目画素における前記4倍密画素の前記画素値を演算する
ことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。 - 前記重み検出手段は、
前記注目画素の前記画素値は、前記2次元方向のうちの第1の1次元方向に隣接する2つの前記画素の前記画素値の重み付け加算により演算されるとして第1の方程式を生成し、生成した前記第1の方程式を演算することにより、前記第1の1次元方向に前記注目画素と隣接する2つの前記画素の前記画素値のそれぞれに対する重みを検出するとともに、
前記注目画素の前記画素値は、前記2次元方向のうちの前記第1の1次元方向に直交する第2の1次元方向に隣接する2つの前記画素の前記画素値の重み付け加算により演算されるとして第2の方程式を生成し、生成した前記第2の方程式を演算することにより、前記第2の1次元方向に前記注目画素と隣接する2つの前記画素の前記画素値のそれぞれに対する重みを検出し、
前記画素値演算手段は、前記第1の1次元方向に前記注目画素と隣接する2つの前記画素の前記画素値のそれぞれに対する前記重み、および、前記第2の1次元方向に前記注目画素と隣接する2つの前記画素の前記画素値のそれぞれに対する前記重みに応じて、前記注目画素における前記4倍密画素の前記画素値を演算する
ことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。 - 前記重み検出手段は、
前記注目画素の前記画素値は、前記2次元方向のうちの第1の1次元方向に2分割され、かつ、前記第1の1次元方向に直交する第2の1次元方向に2分割される4つの画素成分により構成されるとして、前記第1の1次元方向に対する前記画素成分のそれぞれの値の重み付け加算により前記注目画素の前記画素値が演算されるとして第1の方程式を生成するとともに、前記第2の1次元方向に対する前記画素成分のそれぞれの前記値の重み付け加算により前記注目画素の前記画素値が演算されるとして第2の方程式を生成し、
前記画素成分のそれぞれの前記値は、前記画素成分の位置と対応する位置に属する複数の前記画素の前記画素値の平均値であるとして、前記画素成分のそれぞれの前記値を前記値を前記第1および前記第2の方程式のそれぞれに代入して演算することにより、前記第1の1次元方向、および、前記第2の1次元方向のそれぞれに対応する重みを検出し、
前記画素値演算手段は、前記第1の1次元方向、および、前記第2の1次元方向のそれぞれに対応する前記重みに応じて、前記注目画素における前記4倍密画素の前記画素値を演算する
ことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。 - それぞれ空間積分効果を有する、センサの複数の検出素子により現実世界の光信号が射影されて取得された画素値を有する複数の画素からなる画像データにおいて、空間方向のうち所定の2次元方向に4倍密化される前記画素を注目画素として、前記注目画素の前記画素値を検出する画素値検出ステップと、
前記検出ステップの処理により検出された前記注目画素の前記画素値は、前記2次元方向に隣接する複数の前記画素の前記画素値により演算されるとして方程式を生成し、生成した前記方程式を演算することにより、前記注目画素に隣接する複数の前記画素の前記画素値のそれぞれに対する重みを検出する重み検出ステップと、
前記重み検出ステップの処理により検出された、前記2次元方向に前記注目画素と隣接する複数の前記画素の前記画素値のそれぞれに対する前記重みに応じて、前記注目画素が前記2次元方向に4倍密化される4倍密画素の画素値を演算する画素値演算ステップと
を含むことを特徴とする画像処理方法。 - それぞれ空間積分効果を有する、センサの複数の検出素子により現実世界の光信号が射影されて取得された画素値を有する複数の画素からなる画像データにおいて、空間方向のうち所定の2次元方向に4倍密化される前記画素を注目画素として、前記注目画素の前記画素値を検出する画素値検出ステップと、
前記検出ステップの処理により検出された前記注目画素の前記画素値は、前記2次元方向に隣接する複数の前記画素の前記画素値により演算されるとして方程式を生成し、生成した前記方程式を演算することにより、前記注目画素に隣接する複数の前記画素の前記画素値のそれぞれに対する重みを検出する重み検出ステップと、
前記重み検出ステップの処理により検出された、前記2次元方向に前記注目画素と隣接する複数の前記画素の前記画素値のそれぞれに対する前記重みに応じて、前記注目画素が前記2次元方向に4倍密化される4倍密画素の画素値を演算する画素値演算ステップと
を含むことを特徴とする画像処理をコンピュータに実行させるプログラムが記録されている記録媒体。 - それぞれ空間積分効果を有する、センサの複数の検出素子により現実世界の光信号が射影されて取得された画素値を有する複数の画素からなる画像データにおいて、空間方向のうち所定の2次元方向に4倍密化される前記画素を注目画素として、前記注目画素の前記画素値を検出する画素値検出ステップと、
前記検出ステップの処理により検出された前記注目画素の前記画素値は、前記2次元方向に隣接する複数の前記画素の前記画素値により演算されるとして方程式を生成し、生成した前記方程式を演算することにより、前記注目画素に隣接する複数の前記画素の前記画素値のそれぞれに対する重みを検出する重み検出ステップと、
前記重み検出ステップの処理により検出された、前記2次元方向に前記注目画素と隣接する複数の前記画素の前記画素値のそれぞれに対する前記重みに応じて、前記注目画素が前記2次元方向に4倍密化される4倍密画素の画素値を演算する画素値演算ステップと
をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
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