JP2004300248A - 感熱性高分子化合物の分子量制御方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】単量体若しくは単量体混合物を、水性媒質中、重合開始剤の存在下、重合反応させて、低温親水性−高温疎水性可逆変化型感熱性高分子化合物を製造するに当り、単量体若しくは単量体混合物に対し、その100質量部当り0.005〜5.0質量部の範囲の割合で含硫黄系連鎖移動剤を加え、その添加量を増減することにより生成する重合体若しくは共重合体の分子量を変える。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、低温親水性−高温疎水性可逆変化型感熱性高分子化合物の分子量を簡単に、かつ正確に制御する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、温度によって水に対する挙動が可逆的に変化する感熱性高分子が機能材料の1種として広く注目されるようになり、例えば非イオン性界面活性剤の吸着剤、感温遮光剤、感温増粘剤、防染剤、海洋防汚材料、人工筋肉、ドラッグデリバリーシステム材料などとしての用途開発が研究されている。
【0003】
そして、このような感熱性高分子材料の1種として、所定温度以下においては水に可溶であるが、それ以上になると水に不溶となる、いわゆる感熱性水溶性−水不溶性可逆変化を示すN‐アルキルアクリルアミド系重合体又は共重合体が知られている(特許文献1参照)。
【0004】
また、ポリ(N‐イソプロピルアクリルアミド)の希薄水溶液が、コイル・グロビュール転移に基づく相転移を起こす性質を有し、転移温度以上において2相に分離して、重合体分子の濃度に不均一分布を生じ、微細なパターンを形成するため強い光散乱を呈することも知られている(非特許文献1、非特許文献2、非特許文献3参照)。
【0005】
さらに、ゲルを放置すると、自然に水分を分離して容積が収縮する現象をシネレシス(Syneresis)といい、ヨーグルトを長時間放置すると上面に水が析出したり、寒天の表面に汗をかく現象として知られているが、カチオン性又はアニオン性界面活性剤の存在下、N‐アルキルアクリルアミド系単量体2種以上を共重合させることにより、このようなシネレシス現象を示す共重合体が得られることから、この現象を利用した感熱性離水剤が提供されている(特許文献2参照)。
【0006】
ところで、一般に高分子化合物においては、その利用目的に応じて、それぞれに必要な物性を与えるため、分子量を制御しなければならない場合がある。例えば、このものを高濃度で溶剤に溶かして塗布液を調製する場合には、粘度を低くする必要があるが、これには分子量を小さくしなければならないし、また固形化した場合の耐熱性を高めるためには、分子量を大きくしなければならない。さらに、ポリカルボン酸ポリマーを分散剤、スケーリング防止剤、洗剤添加剤、金属イオン封鎖剤なととして使用する場合には、その効果を十分に発揮させるには、50,000以下の分子量、特に10,000以下の非常に小さい分子量が要求される。
【0007】
そして、このような分子量の小さいポリマーを生成させるために次亜リン酸又はその塩のような連鎖移動剤を用いることが知られている(特許文献3参照)。
そのほか、ポリマーの分子量の調節剤としては、1,1‐ジフェニルエチレン(特許文献4参照)、末端に不飽和基をもつオリゴマー又はマクロモノマー(特許文献5参照)などが知られている。
【0008】
【特許文献1】
特開昭58−78758号公報(特許請求の範囲その他)
【特許文献2】
特開平11−35641号公報(特許請求の範囲その他)
【特許文献3】
特開平6−287208号公報(特許請求の範囲その他)
【特許文献4】
特開平8−3208号公報(特許請求の範囲その他)
【特許文献5】
特開平11−124402号公報(特許請求の範囲その他)
【非特許文献1】
「ジャーナル・オブ・フィジカル・ケミストリー(J.Phys.Chem.)」,第93巻,1989年,p.3311
【非特許文献2】
「高分子論文集」,第46巻,第7号,1989年,p.437
【非特許文献3】
「高分子論文集」,第47巻,第6号,1990年,p.467
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、低温親水性−高温疎水性可逆変化型感熱性高分子化合物を製造する際に、その分子量を任意に制御する方法を提供することを目的としてなされたものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、感熱性高分子化合物の分子量を、簡単に、かつできるだけ正確に制御する方法を開発すべく鋭意研究を重ねた結果、その重合反応に際して、含硫黄系連鎖移動剤を加え、その添加量を増減すれば容易に生成する感熱性高分子化合物の分子量をその添加量に従って変化させ得ることを見出し、この知見に基づいて本発明をなすに至った。
【0011】
すなわち、本発明は、単量体若しくは単量体混合物を、水性媒質中、重合開始剤の存在下、重合反応させて、低温親水性−高温疎水性可逆変化型感熱性高分子化合物を製造するに当り、単量体若しくは単量体混合物に対し、その100質量部当り0.005〜5.0質量部の範囲の割合で含硫黄系連鎖移動剤を加え、その添加量を増減することにより生成する重合体若しくは共重合体の分子量を変えることを特徴とする感熱性高分子化合物の分子量制御方法を提供するものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明方法は、単量体若しくは単量体混合物を、水性媒質中、放射線照射又は重合開始剤を用いる重合反応によって低温親水性−高温疎水性の可逆変化を示す感熱性高分子化合物を製造する方法であるが、この際の単量体原料としては、単独で重合させたときに、上記の感熱性高分子化合物を生成する単量体又はその混合物あるいはこの単量体とこれ以外の単量体との混合物のいずれかが用いられる。
【0013】
上記の単独で重合させたときに低温親水性−高温疎水性の可逆変化を示す感熱性高分子化合物を生成する単量体としては、例えば、N‐エチルアクリルアミド、N‐n‐プロピルアクリルアミド、N‐イソプロピルアクリルアミド、N‐シクロプロピルアクリルアミド、N,N‐ジエチルアクリルアミド、N‐メチル‐N‐エチルアクリルアミド、N‐メチル‐N‐n‐プロピルアクリルアミド、N‐メチル‐N‐イソプロピルアクリルアミド、N‐アクリロイルピペリジン、N‐アクリロイルピロリジン、N‐アクリロイルモルホリン、N‐メトキシプロピルアクリルアミド、N‐エトキシプロピルアクリルアミド、N‐イソプロポキシプロピルアクリルアミド、N‐エトキシエチルアクリルアミド、N‐(2,2‐ジメトキシエチル)‐N‐メチルアクリルアミド、N‐1‐メチル‐2‐メトキシエチルアクリルアミド、N‐1‐メトキシメチルプロピルアクリルアミド、N‐ジ(2‐メトキシエチル)アクリルアミド、N‐2‐メトキシエチル‐N‐n‐プロピルアクリルアミド、N‐2‐メトキシエチル‐N‐エチルアクリルアミド、N‐2‐メトキシエチル‐N‐イソプロピルアクリルアミド、N‐メトキシエトキシプロピルアクリルアミド、N‐テトラヒドロフルフリルアクリルアミド、N‐(1,3‐ジオキソラン‐2‐イル)メチルアクリルアミド、N‐メチル‐N‐(1,3‐ジオキソラン‐2‐イル)メチルアクリルアミド、N‐シクロプロピルアクリルアミド、N‐ピロリジノメチルアクリルアミド、N‐ピペリジノメチルアクリルアミド、N‐2‐モルホリノエチルアクリレート、N‐2‐モルホリノエトキシエチルアクリレート及び対応するメタクリレートを挙げることができる。このほか、8‐アクリロイル‐1,4‐ジオキサ‐8‐アザスピロ[4,5]デカンのようなスピロ型化合物も用いることができる。
この中で入手が容易な点で、特にN,N‐ジエチルアクリルアミド、N‐n‐プロピルアクリルアミド、N‐イソプロピルアクリルアミドが好ましい。
本発明方法においては、これらの単量体を単独で用いてもよいし、またこれらの中の2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0014】
次に、上記の単量体は、それぞれ単独で、又は2種以上を組み合わせて重合又は共重合させると、所定温度において可逆的に低温親水性−高温疎水性変化を示す感熱性高分子化合物を与えるものであるが、本発明方法においては、このような単量体の少なくとも1種と、単独で重合させた場合に、感熱性を示さない重合体を与える単量体の少なくとも1種とを組み合わせて用いることもできる。
【0015】
このような感熱性を示さない重合体を与える単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸のような不飽和カルボン酸、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n‐ブチルアクリレート、tert‐ブチルアクリレート、2‐エチルヘキシルアクリレート、2‐アセトアセトキシエチルアクリレート、2‐アセトアセトキシプロピルアクリレート、3‐アセトアセトキシプロピルアクリレート、4‐シアノアセトアセトキシエチルアクリレート、2‐ヒドロキシエチルアクリレート、3‐ヒドロキシプロピルアクリレートのようなアクリル酸エステル類及び対応するメタクリル酸エステル類、アクリルアミド、N‐メチロールアクリルアミド、N‐ヒドロキシプロピルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミドのようなアクリルアミド類及び対応するメタクリルアミド類、N‐アクリロイルベンズヒドラジド類、N‐メタクリロイルベンズヒドラジドのような不飽和ヒドラジド、アクリロニトリル、メタクリロニトリルのような不飽和ニトリル類、酢酸ビニル、塩化ビニル、スチレン、α‐メチルスチレン、N‐ビニルイミダゾール、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテルのようなビニル化合物類を挙げることができる。これらの単量体はそれぞれ単独で用いてもよいし、また2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0016】
これらの単量体はいずれも水溶液として用いる必要上、水溶性のものが好ましい。また、これらの単量体を用いる場合は、単独で感熱性重合体を与える単量体100質量部当り、70質量部を超えない割合で用いるのが好ましい。これよりも多くなると、可逆的に親水性−疎水性変化を示す共重合体を与えることが困難になる。これらの単量体は、単量体全量として2〜15質量%の濃度の水溶液として用いられる。
【0017】
これらの単量体若しくは単量体混合物の重合を、界面活性剤の存在下で行うと、感熱性高分子化合物がマイクロビーズ分散液として得られるが、本発明方法は、このようなものに対しても有効である。この際用いる界面活性剤は、カチオン性界面活性剤及びアニオン性界面活性剤の中から選ばれる。
【0018】
カチオン性界面活性剤としては、例えばトリメチルステアリルアンモニウムクロリド、トリメチルセチルアンモニウムクロリド、トリメチルセチルアンモニウムブロミド、トリメチルn‐テトラデシルアンモニウムクロリドなどが用いられるが、その他のトリ低級アルキル長鎖アルキルアンモニウム塩も用いることができる。
【0019】
また、アニオン性界面活性剤としては、例えばドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、4‐n‐オクチルベンゼンスルホン酸ナトリウムのようなアルキルベンゼンスルホン酸塩、ノニルフェノール硫酸エステルナトリウムのような硫酸エステル塩、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウムのような慣用のアニオン性界面活性剤などが用いられる。
これらのカチオン性界面活性剤又はアニオン性界面活性剤は、それぞれ単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0020】
これらの界面活性剤は、重合反応が終了後、使用に際し、水洗、透析により除去する必要があるが、界面活性剤として重合性二重結合をもつ、いわゆる反応性界面活性剤を用いると、このものは重合の際、共重合体中に単量体単位の一部として取り込まれ、これを除去するための処理を省略することができるので有利である。
【0021】
この反応性界面活性剤としては、例えば、グリセロール‐1‐アリル‐3‐アルキルフェニル‐2‐ポリオキシエチレン硫酸塩、アルキルスルホコハク酸アルケニルエステル塩、ポリオキシエチレン(メタ)アクリレート硫酸エステル塩、アルキルスルホコハク酸アルケニルエーテル塩などのアニオン性のものや、例えば、カチオン系(メタ)アクリル酸エステル類、カチオン系(メタ)アクリルアミド類、カチオン系スチレン誘導体類、ω‐アルケニルトリアルキルアンモニウム四級塩などのカチオン性のものを挙げることができる。
【0022】
これらの界面活性剤は、臨界ミセル濃度以上の濃度で反応媒体としての水に添加することが必要である。単量体のN‐n‐プロピルアクリルアミド及びN‐tert‐ブチルアクリルアミドはいずれも水に対し不溶であるが、これらの界面活性剤を臨界ミセル濃度以上で存在させることにより可溶化させることができる。
【0023】
次に、本発明方法における重合の開始は、従来公知のラジカル重合方法に従い、例えば放射線又は電子線を照射する、ラジカル重合開始剤の存在下に加熱する、あるいは光増感剤の存在下に光照射することによって行われる。これらの方法の中で特に有利なのはラジカル重合開始剤の存在下に加熱する方法である。この際のラジカル重合開始剤としては、水溶性のものであればよく、特に制限はない。このようなものとしては、例えば過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過酸化水素、tert‐ブチルヒドロパーオキシドなどの過酸化物、亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、硝酸第二セリウムアンモニウムなどのレドックス系開始剤、2,2′‐アゾビス‐2‐アミジノプロパン塩酸塩、2,2′‐アゾビス‐2,4‐ジメチルバレロニトリル、4,4′‐アゾビス‐4‐シアノバレリン酸及びその塩などのアゾ化合物などを用いることができる。これらのラジカル重合開始剤は単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよく、また、その使用量は、単量体の合計量に対して、通常0.01〜100質量%、好ましくは0.05〜8質量%の範囲である。
また、重合温度については、使用する単量体及び開始剤の種類により異なり特に制限はないが、通常0〜100℃の範囲で行われる。
【0024】
本発明方法により、生成する感熱性高分子化合物の分子量を制御するには、重合反応を含硫黄系連鎖移動剤の存在下で行い、この含硫黄連鎖移動剤の添加量を所望の分子量になるように増減するだけでよい。
【0025】
この含硫黄系連鎖移動剤としては、亜硫酸水素塩、二亜硫酸塩、亜ジチオン酸塩のような無機化合物や、有機硫化物、有機二硫化物、ポリスルフィド、スルホキシド、スルホン、メルカプト化合物のような有機化合物を挙げることができる。このような化合物としては、例えばジ‐n‐ブチルスルフィド、ジ‐n‐オクチルスルフィド、ジフェニルスルフィド、チオジグリコール、エチルチオエタノール、ジイソプロピルジスルフィド、ジ‐n‐ブチルジスルフィド、ジ‐n‐ヘキシルジスルフィド、ジアセチルジスルフィド、ジエタノールスルフィド、ジ‐tert‐ブチルトリスルフィド、エチルチオグリコレート、システイン、2‐メルカプトエタノール、1,3‐メルカプトプロパノール、3‐メルカプトプロパン‐1,2‐ジオール、1,4‐メルカプトブタノール、メルカプト酢酸、3‐メルカプトプロピオン酸、メルカプトコハク酸、チオグリセリン、チオ酢酸、チオ尿素、n‐ブチルメルカプタン、n‐ヘキシルメルカプタン、n‐ドデシルメルカプタンなどがあるが、特に添加量の増減に反比例して正確に分子量を制御しうるという点で、2‐メルカプトエタノールや3‐メルカプトプロパノールのようなメルカプトアルカノール及び2‐メルカプトプロピオン酸、3‐メルカプトプロピオン酸のようなメルカプトカルボン酸が好ましい。
【0026】
すなわち、単量体又は単量体混合物100重量部当り0.005〜5.0質量部の範囲において、式
logMw=klogC
(ただし、Mwは質量平均分子量、Cはメルカプトアルカノールの濃度、kは比例定数)
が成り立つ。
【0027】
したがって、例えば含硫黄連鎖移動剤として2‐メルカプトエタノールを用いた場合、単量体又は単量体混合物100質量部当り、その添加量を0.005〜1.0質量部の範囲で増減することにより、分子量を1,000から3,000,000まで制御することができる。
この関係は、界面活性剤の存在下、又は不存在下のいずれにおいてもほとんど変わらない。
【0028】
【実施例】
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
【0029】
実施例1
キャピラリー栓と冷却管を備えたU字管付き500ml体積の三角フラスコ中に、蒸留水200gとN‐イソプロピルアクリルアミド18.35gを装入し、これに異なった量の2‐メルカプトエタノールを加え、窒素ガスを30分間激しく通したのち、60℃の恒温槽中において窒素気流下にかきまぜながら、過硫酸アンモニウム0.05gを添加し、60℃で2時間重合反応させた。次いで空気を吹き込んで重合を停止させ、得られた各重合体の質量平均分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した。このようにして得た重合体の質量平均分子量を縦軸とし、N‐イソプロピルアクリルアミド100g当りの添加量に換算した2‐メルカプトエタノールの添加量(質量%)を横軸としたグラフを図1に実線で示す。
【0030】
実施例2
キャピラリー栓と冷却管を備えたU字管付500ml体積の三角フラスコ中に、蒸留水200gとN‐イソプロピルアクリルアミド18.35gとグリセロール(1)‐アリル‐3‐アルキルフェニル(2)‐ポリオキシエチレン(10モル付加)硫酸エステル塩型界面活性剤(旭電化社製、商品名「SE10N」)0.7gを装入し、これに異なった量の2‐メルカプトエタノールを加え、窒素ガスを30分間激しく通したのち、60℃の恒温槽中において窒素気流下にかきまぜながら、過硫酸アンモニウム0.05gを添加し、60℃で2時間重合反応させた。次いで空気を吹き込んで重合を停止させ、得られた各重合体の質量平均分子量をGPCにより測定した。このようにして得た重合体の質量平均分子量を縦軸とし、N‐イソプロピルアクリルアミド100g当りの添加量に換算した2‐メルカプトエタノールの添加量(質量%)を横軸としたグラフを図1に破線で示す。
このように、界面活性剤を用いた場合も、これを用いない場合とほとんど同様に分子量の制御を行うことができる。
【0031】
実施例3
キャピラリー栓と冷却管を備えたU字管付き500ml体積の三角フラスコ中に、蒸留水200gとN‐イソプロピルアクリルアミド18.34gを装入し、これに異なった量の2‐メルカプトエタノールと過硫酸アンモニウム0.05gを加え、窒素ガスを通じ、かきまぜながら25℃において6時間重合反応させたのち、空気を吹き込んで反応を停止させた。次いでGPCにより、このようにして得た各重合体の質量平均分子量を測定し、これを縦軸とし、N‐イソプロピルアクリルアミド100g当りの添加量に換算したメルカプトエタノールの添加量(質量%)を横軸としたグラフを図2に示す。
このように、重合温度を低くすると、重合時間は長くなるが、同様に分子量の制御を行うことができる。
【0032】
実施例4
キャピラリー栓と冷却管を備えたU字管付き500ml体積の三角フラスコ中に、蒸留水200gとN,N‐ジエチルアクリルアミド9.46gを装入し、これに異なった量の2‐メルカプトエタノールを加え、窒素ガスを30分間激しく通したのち、60℃の恒温槽中において窒素気流下にかきまぜながら、過硫酸アンモニウム0.05gを添加し、60℃で2時間重合反応させた。次いで空気を吹き込んで重合を停止させ、得られた各重合体の質量平均分子量をGPCにより測定した。このようにして得た重合体の質量平均分子量を縦軸とし、ジエチルアクリルアミド100g当りの添加量に換算した2‐メルカプトエタノールの添加量(質量%)を横軸としたグラフを図3に示す。
【0033】
実施例5
キャピラリー栓と冷却管を備えたU字管付500ml体積の三角フラスコ中に、蒸留水200gとN‐n‐プロピルアクリルアミド9.28gとグリセロール(1)‐アリル‐3‐アルキルフェニル(2)‐ポリオキシエチレン(10モル付加)硫酸エステル塩型界面活性剤(旭電化社製、商品名「SE10N」)0.7gを装入し、これに異なった量の2‐メルカプトエタノールを加え、窒素ガスを30分間激しく通したのち、60℃の恒温槽中において窒素気流下にかきまぜながら、過硫酸アンモニウム0.05gを添加し、60℃で2時間重合反応させた。次いで空気を吹き込んで重合を停止させ、得られた各重合体の質量平均分子量をGPCにより測定した。このようにして得た重合体の質量平均分子量を縦軸とし、N‐n‐プロピルアクリルアミド100g当りの添加量に換算した2‐メルカプトエタノールの添加量(質量%)を横軸としたグラフを図4に示す。
【0034】
実施例6
キャピラリー栓と冷却管を備えたU字管付き500ml体積の三角フラスコ中に、蒸留水200gとN‐イソプロピルアクリルアミド14.10gとアクリルアミド5.90gを装入し、これに異なった量の2‐メルカプトエタノールを加え、窒素ガスを30分間激しく通したのち、80℃の恒温槽中において窒素気流下にかきまぜながら、過硫酸アンモニウム0.05gを添加し、80℃で2時間重合反応させた。次いで空気を吹き込んで重合を停止させ、得られた各重合体の質量平均分子量をGPCにより測定した。このようにして得た各重合体の質量平均分子量を縦軸とし、N‐イソプロピルアクリルアミドとアクリルアミドとの合計量100g当りの添加量に換算した2‐メルカプトエタノールの添加量(質量%)を横軸としたグラフを図5に実線で示す。この図から分るように、単量体が2種の単量体混合物であっても、分子量の制御を行うことができる。
【0035】
実施例7
実施例6における80℃(転移温度以上)で2時間という重合条件を、40℃(転移温度未満)で4時間という重合条件に変えた以外は、実施例6と全く同様にして、N‐イソプロピルアクリルアミドとアクリルアミドとを共重合させた。このようにして得た各重合体の質量平均分子量を縦軸とし、N‐イソプロピルアクリルアミドとアクリルアミドとの合計量100g当りの添加量に換算した2‐メルカプトエタノールの添加量(質量%)を横軸としたグラフを図5に破線で示す。
この図から明らかなように、重合温度として転移温度以上を用いた場合、あるいは転移温度未満を用いた場合のいずれにおいても同様に分子量の制御が可能である。
【0036】
実施例8
キャピラリー栓と冷却管を備えたU字管付き500ml体積の三角フラスコ中に、蒸留水200gとN‐イソプロピルアクリルアミド18.35gを装入し、これに異なった量の3‐メルカプトプロピオン酸を加え、窒素ガスを30分間激しく通したのち、60℃の恒温槽中において窒素気流下にかきまぜながら、過硫酸アンモニウム0.05gを添加し、60℃で2時間重合反応させた。次いで空気を吹き込んで重合を停止させ、得られた各重合体の質量平均分子量をGPCにより測定した。このようにして得た重合体の質量平均分子量を縦軸とし、N‐イソプロピルアクリルアミド100g当りの添加量に換算した3‐メルカプトプロピオン酸の添加量(質量%)を横軸としたグラフを図6に示す。
【0037】
【発明の効果】
本発明方法によると、重合反応により感熱性高分子化合物を製造する際に、連鎖移動剤を加え、その量を増減するだけで容易に感熱性高分子化合物の分子量を制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1及び2における2‐メルカプトエタノールの添加量と得られる感熱性高分子化合物の分子量との関係を示すグラフ。
【図2】実施例3における2‐メルカプトエタノールの添加量と得られる感熱性高分子化合物の分子量との関係を示すグラフ。
【図3】実施例4における2‐メルカプトエタノールの添加量と得られる感熱性高分子化合物の分子量との関係を示すグラフ。
【図4】実施例5における2‐メルカプトエタノールの添加量と得られる感熱性高分子化合物の分子量との関係を示すグラフ。
【図5】実施例6及び7における異なった重合温度での2‐メルカプトエタノールの添加量と得られる感熱性高分子化合物の分子量との関係を示すグラフ。
【図6】実施例8における3‐メルカプトプロピオン酸の添加量と得られる感熱性高分子化合物の分子量との関係を示すグラフ。
Claims (2)
- 単量体若しくは単量体混合物を、水性媒質中、重合開始剤の存在下、重合反応させて、低温親水性−高温疎水性可逆変化型感熱性高分子化合物を製造するに当り、単量体若しくは単量体混合物に対し、その100質量部当り0.005〜5.0質量部の範囲の割合で含硫黄系連鎖移動剤を加え、その添加量を増減することにより生成する重合体若しくは共重合体の分子量を変えることを特徴とする感熱性高分子化合物の分子量制御方法。
- 含硫黄系連鎖移動剤がメルカプタン、メルカプトアルカノール又はメルカプトカルボン酸である請求項1記載の感熱性高分子化合物の分子量制御方法。
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---|---|---|---|---|
JP2009114271A (ja) * | 2007-11-05 | 2009-05-28 | Nitto Denko Corp | ヒドロキシ基又は第1級アミノ基を有する多孔質樹脂粒子とその製造方法 |
JP2010209278A (ja) * | 2009-03-12 | 2010-09-24 | Nippon Steel Chem Co Ltd | 末端変性可溶性多官能ビニル芳香族共重合体、その製造方法、硬化性樹脂組成物及び硬化物 |
-
2003
- 2003-03-31 JP JP2003093842A patent/JP2004300248A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2009114271A (ja) * | 2007-11-05 | 2009-05-28 | Nitto Denko Corp | ヒドロキシ基又は第1級アミノ基を有する多孔質樹脂粒子とその製造方法 |
JP2010209278A (ja) * | 2009-03-12 | 2010-09-24 | Nippon Steel Chem Co Ltd | 末端変性可溶性多官能ビニル芳香族共重合体、その製造方法、硬化性樹脂組成物及び硬化物 |
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