JP2004298321A - 栄養管理用電卓 - Google Patents

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Abstract

【課題】患者の近傍で輸液剤もしくは経腸栄養剤のエネルギ量(kcal)を算出かつ滴下速度を視認可能に表示する栄養管理用電卓を提供する。
【解決手段】患者が1日に消費する1日消費エネルギ量と栄養指標を算出し、栄養指標に基づいて患者に投与する輸液剤もしくは経腸栄養剤のエネルギ量(kcal)、表示部6の算出結果表示部12に表示する。また、算出されたエネルギ量を満たす輸液剤もしくは経腸栄養剤に含まれるナトリウム等の電解質の電解質量(mg)を電解質当量(mEq/L)に換算し、投与時間及び滴下速度を算出する。そして、表示部に配置された複数の表示素子により構成される滴下速度表示部14において、表示素子を順次点滅させて算出された滴下速度を視認可能に表示する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、病院内等において患者巡回の際に、患者に投与する1日消費エネルギ量(kcal)と患者の栄養状態とに適した輸液剤もしくは経腸栄養剤のエネルギ量(kcal)を算出すると共に、患者に輸液剤もしくは経腸栄養剤を投与する際の滴下速度を表示する栄養管理用電卓に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
輸液剤もしくは経腸栄養剤は、患者の病態や、手術の侵襲度に応じた栄養管理を適切に行うために、有効成分の組成やエネルギ量が異なる多数の製品が存在する。
【0003】
輸液剤では、例えば開始液、維持液、脱水補給液、術後回復液、細胞外液補充剤、単一組成高濃度電解質液、糖液、アミノ酸液、糖及び電解質液からなる高カロリー輸液用基本液、糖及び電解質及びアミノ酸液からなる高カロリー輸液用キット製品、脂肪乳剤、総合ビタミン製剤、微量元素製剤、血漿増量剤がある。経腸栄養剤としては、肝不全用成分栄養剤、経腸成分栄養剤等が使用されている。
【0004】
ここで、患者に対する輸液剤もしくは経腸栄養剤のエネルギ量の算出は、体重や年齢あるいは手術侵襲度など断片的な患者情報をパーソナルコンピューターに入力して行われていた。また、算出されたエネルギ量を静脈を経てもしくは経腸的に適切に患者に投与するためには、その点滴速度を持続投与可能な時間に応じて調整する必要がある。この調整は、点滴筒内で滴下する液滴の時間あたりの落下数を目安に行われていたため、その調整作業は煩雑であり、正確性を維持しながら、より簡便に調整可能な技術の応用が望まれていた。
【0005】
なお、特定の計算を行うものではないが、通常の電子式卓上計算機(電卓)の機能に加えて特定の機能を有する電卓が存在する。例えば、電卓が備える任意の操作キーの機能の意義、操作方法、操作例等を電卓の表示部において表示する電卓が存在する(例えば、特許文献1参照)。即ち、電卓のモードを通常の計算を行うモードから機能説明を行う機能説明モードに切り替えた後に、機能説明の対象となる操作キーを操作することにより、操作された操作キーについての機能説明が電卓の表示部に表示される電卓が存在する。
【0006】
【特許文献1】
特開平11−296484号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、医師や栄養士等が患者巡回を行った際に、その場で患者に対する輸液剤もしくは経腸栄養剤の液剤量(ml)を決定することができれば、より適切に患者の栄養管理を行うことができる。また、パーソナルコンピュータ等により輸液剤もしくは経腸栄養剤のエネルギ量(kcal)を算出している場合には、表計算用ソフトウェア等の使用方法を習得しなければならないと共に、複雑な操作を行うことが求められる。また、カルテ等に患者の基本情報及び栄養情報等を記載した後に、パーソナルコンピュータ等に改めて各情報を入力、再度、患者の近傍に戻り調整作業を行わなければならないため、煩雑な作業を医療従事者に強いている。
【0008】
また、算出された速度で輸液剤もしくは経腸栄養剤が滴下されているか否かは、看護師等が点滴筒内での時間当たりの滴下数を目視することによって確認していた。即ち、看護師等が腕時計等により時間を確認しながら輸液剤もしくは経腸栄養剤の滴下数を数えて確認が行われており、看護師等の医療従事者に大きな負担を与えている。
【0009】
この発明の課題は、患者巡回の際に患者の状態を確認しながら、患者の近傍で容易な操作により患者に対する輸液剤もしくは経腸栄養剤のエネルギ量(kcal)を算出すると共に、患者に投与する輸液剤もしくは経腸栄養剤の滴下速度を視覚的に容易に把握できるように表示する栄養管理用電卓を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の栄養管理用電卓は、筐体を備え、該筐体の表面に入力部と表示部とを備えた携帯可能な栄養管理用電卓であって、前記入力部を介して入力された、患者に投与される輸液剤もしくは経腸栄養剤の液剤量及び投与時間に基づいて、患者に投与される輸液剤もしくは経腸栄養剤の滴下速度を算出する滴下速度算出手段と、前記滴下速度算出手段により算出された滴下速度を、前記表示部に配置された表示素子により視認可能に表示する滴下速度表示手段とを備えることを特徴とする。
【0011】
この請求項1記載の栄養管理用電卓によれば、患者に投与される輸液剤もしくは経腸栄養剤の液剤量及び投与時間に基づいて算出された滴下速度を、表示部に配置された表示素子により視認可能に表示している。従って、実際に投与されている輸液剤もしくは経腸栄養剤の滴下速度と、表示されている滴下速度とを比較して容易に滴下速度を確認することができるため、滴下速度の調整作業における医療従事者の負担を軽減することができる。
【0012】
また、請求項2記載の栄養管理用電卓は、筐体を備え、該筐体の表面に入力部と表示部とを備えた携帯可能な栄養管理用電卓であって、前記入力部を介して入力された患者基本情報に基づいて算出された1日消費エネルギ量及び前記入力部を介して入力された患者栄養情報に基づいて算出された栄養指標に基づいて、患者に投与する輸液剤もしくは経腸栄養剤のエネルギ量を算出するエネルギ量算出手段と、前記エネルギ量算出手段により算出されたエネルギ量を、前記表示部に表示するエネルギ量表示手段とを備えることを特徴とする。
【0013】
この請求項2記載の栄養管理用電卓によれば、患者基本情報及び患者栄養情報を入力することにより、患者に投与する輸液剤もしくは経腸栄養剤のエネルギ量を算出し、表示している。従って、患者巡回の際に、患者の近傍で簡易な作業により迅速に患者に投与する輸液剤もしくは経腸栄養剤のエネルギ量を算出することができる。
【0014】
また、請求項3記載の栄養管理用電卓は、筐体を備え、該筐体の表面に入力部と表示部とを備えた携帯可能な栄養管理用電卓であって、前記入力部において患者基本情報及び患者栄養情報を入力する入力手段と、前記入力手段により入力された患者基本情報に基づいて、患者が1日に消費する1日消費エネルギ量を算出する1日消費エネルギ量算出手段と、前記入力手段により入力された患者栄養情報に基づいて、患者の栄養状態を示す栄養指標を算出する栄養指標算出手段と、前記1日消費エネルギ量算出手段により算出された1日消費エネルギ量及び栄養指標算出手段により算出された栄養指標に基づいて、患者に投与する輸液剤もしくは経腸栄養剤のエネルギ量を算出するエネルギ量算出手段と、前記投与量算出手段及び前記栄養指標算出手段により算出された結果の中の少なくとも一つを前記表示部に表示する表示手段と、前記患者に投与されるエネルギ量を満たす輸液剤もしくは経腸栄養剤の液剤量及び該輸液剤もしくは経腸栄養剤の投与時間に基づいて、該輸液剤もしくは経腸栄養剤の滴下速度を算出する滴下速度算出手段と、前記滴下速度算出手段により算出された滴下速度を、前記表示部に配置された表示素子により視認可能に表示する滴下速度表示手段とを備えることを特徴とする。
【0015】
また、請求項4記載の栄養管理用電卓は、前記入力部を介して入力された患者に投与される輸液剤もしくは経腸栄養剤中に含まれるナトリウム、塩化ナトリウム又はカリウムの何れか一つ以上の電解質量又は電解質当量を、電解質量又は電解質当量に相互に変換する相互変換手段を更に備え、前記表示手段は、前記相互変換手段により変換された結果を前記表示部に表示することを特徴とする。
【0016】
また、請求項5記載の栄養管理用電卓は、前記患者基本情報が患者の身長、体重、年齢、性別、活動係数及びストレス係数を含むことを特徴とする。
【0017】
また、請求項6記載の栄養管理用電卓は、前記患者栄養情報が患者の上腕三頭筋部皮下脂肪厚及び上腕三頭筋部周囲長を含むことを特徴とする。
【0018】
この請求項3〜請求項6記載の栄養管理用電卓によれば、まず、患者の身長、体重、年齢等を含む患者基本情報に基づいて患者が1日に消費する1日消費エネルギ量(患者が1日に必要とする総エネルギ量:kcal)を算出している。次に、患者の上腕三頭筋部皮下脂肪厚及び上腕三頭筋部周囲長を含む患者栄養情報に基づいて患者の栄養状態を示す栄養指標を算出し、1日消費エネルギ量及び栄養指標に基づいて患者に投与する輸液剤もしくは経腸栄養剤のエネルギ量(kcal)、即ち、輸液剤もしくは経腸栄養剤により患者に摂取させるカロリ量(kcal)を算出している。また、算出されたカロリ量を満たす輸液剤もしくは経腸栄養剤の投与時間及び、患者に投与される輸液剤もしくは経腸栄養剤の液剤量(ml)に基づいて滴下速度を算出している。そして、算出された滴下速度を表示部に配置された表示素子により視認可能に表示している。従って、医師等が患者巡回を行う際に携帯することによって、患者を診察等した直後に患者の近傍で、患者に投与することが必要な輸液剤または経腸栄養剤のエネルギ量(kcal)を算出することができる。また、患者毎に必要な輸液剤もしくは経腸栄養剤のエネルギ量(kcal)を各患者を診察等した際にその場で算出することができることから、個々の患者の栄養状態を適切に管理することができる。
【0019】
また、請求項7記載の栄養管理用電卓は、前記患者基本情報に含まれる患者の身長に代えて、患者の膝高の長さが入力された場合に、前記膝高の長さに基づいて患者の推定身長を算出することを特徴とする。
【0020】
この請求項7記載の栄養管理用電卓によれば、寝たきりの患者や背中が曲がっている患者等、身長を計測することが不可能な患者についても、膝高の長さを入力することにより、患者の推定身長を算出することができる。従って、身長の計測が困難な患者についても1日消費エネルギ量を適切に算出することができ、患者の栄養状態を的確に管理することができる。
【0021】
また、請求項8記載の栄養管理用電卓は、前記滴下速度表示手段が、前記表示部に配置された単数もしくは複数の表示素子を輸液剤もしくは経腸栄養剤が滴下されるタイミングに合わせて点滅させることにより、前記滴下速度を視認可能に表示することを特徴とする。
【0022】
この請求項8記載の栄養管理用電卓によれば、輸液剤もしくは経腸栄養剤の滴下速度を、実際に輸液剤もしくは経腸栄養剤が滴下されるタイミングに合わせ、かつ、視認可能に表示することができる。従って、表示されている滴下速度と実際に滴下されている輸液剤もしくは経腸栄養剤とを比較することにより、容易に輸液剤もしくは経腸栄養剤の滴下速度を確認することができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、実施の形態に係る栄養管理用電卓について説明する。図1は、実施の形態に係る栄養管理用電卓の外観図である。この栄養管理用電卓2は、医師等が患者巡回を行う際に携帯することが可能な旅券サイズの筐体を備え、その表面部分に入力部4及び表示部6を備えている。
【0024】
また、表示部6は、図1に示すように、患者の身長、体重及び年齢等を表示する患者基本情報表示部10、算出結果を表示する算出結果表示部12及び輸液剤もしくは経腸栄養剤の滴下速度を表示する滴下速度表示部14により構成されている。なお、滴下速度表示部14は、表示部6の右縁部に沿って複数の表示素子を所定の間隔を空けて一列に配置することにより構成されている。
【0025】
図2は、実施の形態に係る栄養管理用電卓2のブロック構成図である。栄養管理用電卓2は、この栄養管理用電卓2におけるデータの処理を制御するデータ制御部20を備えている。データ制御部20には、患者の身長や体重等を含む患者基本情報等を入力する入力部4及び、患者基本情報表示部10、算出結果表示部12及び滴下速度表示部14から構成される表示部6が接続されている。また、データ制御部20には、入力部4を介して入力された患者基本情報や患者栄養情報等を記憶すると共に、患者の膝高の長さから推定身長を算出するための膝高長・推定身長換算テーブル、患者の1日消費エネルギ量を算出するための数式、栄養指標を算出する際に用いられる標準値及び栄養指標を算出するための数式等を記憶しているデータ記憶部22が接続されている。
【0026】
ここで、データ記憶部22に記憶されている患者基本情報には、患者の身長、体重、年齢、性別、活動係数及びストレス係数が含まれる。活動係数は、寝たきりの状態とベッドで起上の状態とでは、患者のエネルギ代謝が変化することから、患者の活動状況に基づくエネルギ代謝の状況を示している。また、ストレス係数(障害因子)は、手術による侵襲や発熱等によりエネルギ代謝が高まることから、手術及び発熱等の患者の病態により高まったエネルギ代謝の状況を示している。
【0027】
また、データ記憶部22に記憶されている膝高長・推定身長換算テーブルは、患者の膝高の長さから身長を推定するためのテーブルである。寝たきりの患者や、背中の曲がった患者等については、正確な身長を測定することができないため、これらの患者については、身長に代えて膝高の長さを入力する。この膝高の長さが入力された場合には、膝高長・推定身長換算テーブルを参照することにより、入力された膝高の長さに基づいて推定身長が算出され、算出された推定身長が患者基本情報に含まれる身長としてデータ記憶部22に記憶される。なお、データ記憶部22には、アジア人を対象とした膝高長・推定身長換算テーブルが記憶されている。
【0028】
また、データ記憶部22に記憶されている患者栄養情報には、患者の上腕三頭筋皮下脂肪厚(TSF:triceps skin fold thickness)及び上腕三頭筋周囲長(AC:midupper arm circumference)の値が含まれる。また、データ記憶部22に記憶されている栄養指標を算出する際に用いられる標準値は、入力された患者栄養情報に基づいて栄養指標を算出する際に用いられる上腕三頭筋皮下脂肪厚及び上腕三頭筋周囲長等の各性別における年代毎の標準値である。
【0029】
次に、図3のフローチャートを参照して、実施の形態に係る栄養管理用電卓による輸液剤もしくは経腸栄養剤のエネルギ量(kcal)及び滴下速度を算出する処理について説明する。
【0030】
まず、入力部4を介して患者の身長、体重、年齢、性別、活動係数及びストレス係数を患者基本情報として入力する(ステップS10)。この時、患者が寝たきりや背中が曲がっている等により、身長を計測することが困難な場合には、身長に代えて膝高の長さを入力する。膝高の長さが入力された場合には、データ記憶部22に記憶されている膝高長・推定身長換算テーブルを参照して、入力された膝高の長さから推定身長が算出され、算出された推定身長が患者の身長として記憶される。なお、入力された患者基本情報の中から患者の性別、身長、年齢及び体重が患者基本情報表示部10に表示される。また、患者の年齢に代えて患者の生年月日が入力された場合には、入力された生年月日に基づいて患者の年齢が算出される。また、患者の入院日を入力して、患者の入院年月数を算出し、算出された入院年月日を算出結果表示部12に表示するようにしてもよい。
【0031】
また、活動係数としては、例えば、患者が寝たきりの状態であれば1.0、患者がベッド上に起上している場合には1.2の値が入力される。また、ストレス係数としては、例えば、一般的外科手術後であれば、0.9〜1.1の範囲の値が入力され、発熱している場合には、体温が37℃以上1℃につき1に0.12を加えた数値が入力される。なお、活動係数及びストレス係数を、看護師による患者の観察結果や、患者の状態を診察した結果等に基づいて患者巡回を行った医師が任意に決定し、栄養管理用電卓2に入力するようにしてもよい。なお、入力された患者基本情報は、データ記憶部22に記憶される。
【0032】
次に、データ記憶部22に記憶されている患者基本情報に基づいて患者が1日に必要とする総エネルギ量(1日消費エネルギ量:kcal)を算出する(ステップS11)。即ち、まず、患者の性別、年齢、身長及び体重に基づいて基礎エネルギ需要量(BEE:basal energic expenditure)(kcal)を算出する。このBEEは、データ記憶部22に記憶されているBEE算出用の数式を用いて、例えば、女性の場合には「655+(9.6×体重)+(1.8×身長)−(4.7×年齢)kcal/day(Harris−Benedictの式)」等の数式を用いて算出される。次に、算出されたBEEにデータ記憶部22に記憶されている患者基本情報に含まれている活動係数及びストレス係数を乗算し、1日消費エネルギ量(kcal)を算出する。なお、算出された1日消費エネルギ量は、データ記憶部22に記憶される。
【0033】
次に、入力部4を介して、患者の上腕三頭筋部皮下脂肪厚(TSF:triceps skin foldthickness)、上腕三頭筋部周囲長(AC:midupper arm circumference)を含む患者栄養情報を入力する(ステップS12)。即ち、TSFを測定するための専用器具、例えば、皮下脂肪厚測定用キャリパーを用いて患者のTSFを測定し、測定結果を栄養管理用電卓2に入力する。この時、通常、測定は3回行い、各測定回におけるTSFの値が入力され、各測定回における値の合計値を測定回数で除算して得られた平均値が患者のTSFとしてデータ記憶部22に記憶される。同様に、ACを3回測定して各測定回における値を入力し、各測定回における測定値の平均値が患者のACとしてデータ記憶部22に記憶される。
【0034】
次に、データ記憶部22に記憶されている患者栄養情報に基づいて、患者の栄養状態を示す栄養指標を算出する(ステップS13)。ここで、まず、上腕三頭筋囲(AMC:midupper arm muscle circumference)を、AMC=AC−π×TSFにより算出する。次に、データ記憶部22に記憶されている患者栄養情報及び各性別における年代毎のTSF、AC及びAMCの標準値に基づいて栄養指標を算出する。即ち、「(%)=(患者のTSFの値)/(TSFの標準値)×100」として、患者の体脂肪量を示す栄養指標(TSFの栄養指標)を算出し、「(%)=(患者のACの値)/(ACの標準値)×100」及び「(%)=(患者のAMCの値)/(AMCの標準値)×100」により患者の筋蛋白量を示す栄養指標(ACの栄養指標及びAMCの栄養指標)を算出する。なお、算出された栄養指標は、データ記憶部22に記憶される。
【0035】
ここで、それぞれの栄養指標の値に基づいて、患者に栄養障害が生じているか否かが判断される。即ち、栄養指標の値が90%以上となっている場合には栄養状態が正常であると判断され、60%以下の場合には高度、60〜80%の場合には中程度、90%以下の場合には軽度の栄養障害があると判断される。従って、TSFの栄養指標、ACの栄養指標及びAMCの栄養指標のそれぞれの値に基づいて、患者に栄養障害が生じているか否かが判断される。
【0036】
なお、栄養障害が生じているか否かの判断においては、AMCの栄養指標が特に重視される。即ち、AMCの栄養指標の値が低いことは、筋蛋白量の低下を意味する。筋蛋白量が低下している場合には、例えば、創傷治癒の遅延等が生じる可能性があり、患者の回復に影響を与える可能性が高くなっていることを示しているためである。
【0037】
次に、ステップS11において算出された1日消費エネルギ量(kcal)及びステップS13において算出された栄養指標に基づいて患者に対する輸液剤もしくは経腸栄養剤のエネルギ量(kcal)を算出する(ステップS14)。即ち、患者が1日に消費するエネルギ量(kcal)であって、かつ、栄養指標により示される患者の栄養状態から患者に必要なカロリ量、即ち、患者に投与する必要があるエネルギ量(kcal)が算出される。なお、算出されたエネルギ量(kcal)は算出結果表示部12に表示される。
【0038】
また、算出された1日消費エネルギ量(kcal)及び患者の栄養状態に基づいて、患者に投与する輸液剤もしくは経腸栄養剤が医師等により選択される。即ち、輸液剤もしくは経腸栄養剤によってその液剤量(ml)や栄養素の組成が異なるため、算出されたエネルギ量(kcal)を満たす輸液剤もしくは経腸栄養剤の中から患者の年齢、性別及び病態等を考慮した適切な輸液剤もしくは経腸栄養剤を医師等が選択する。
【0039】
次に、患者に投与する輸液剤もしくは経腸栄養剤の電解質についてその重量基準の電解質量(mg)と電解質当量(mEq/L)との換算を行う(ステップS15)。例えば、輸液剤もしくは経腸栄養剤中に含まれているナトリウム(Na)の重量基準の量(mg)、Naの原子価及び原子量を入力する。そして、データ記憶部22に記憶されている電解質量を電解質当量に換算する数式、「電解質当量(mEq/L)=(輸液剤もしくは経腸栄養剤中に含まれているNaの量)mg/(輸液剤もしくは経腸栄養剤の液剤量)dL×10×(Naの原子価)/(Naの原子量)」に基づいて、Naの電解質量(mg)を電解質当量(mEq/L)に換算し、換算された電解質当量(mEq/L)をデータ記憶部22に記憶する。また、同様にして、患者に投与する輸液剤もしくは経腸栄養剤に含まれている他の電解質、例えば、塩化ナトリウム(NaCl)の重量基準の電解質量(mg)を電解質当量(mEq/L)に換算することができる。更に、代表的電解質イオンであるカリウム(K)の重量基準の電解質量(mg)を電解質当量(mEq/L)に換算し、換算されたNaCl及びKのそれぞれの電解質当量(mEq/L)を、データ記憶部22に記憶するようにしてもよい。なお、Na、NaCl及びKのそれぞれの原子価と原子量とが、データ記憶部22に記憶されている場合には、輸液剤もしくは経腸栄養剤の液剤量(dL)とNa、NaCl又はKの量(mg)とを入力することにより、それぞれの重量基準の電解質量(mg)を電解質当量(mEq/L)に変換することができる。なお、例えば、論文等の文献において、文献毎に重量単位が異なっている場合に、電解質量(mg)と電解質当量(mEq/L)とを相互に換算すべく、この栄養管理用電卓を用いてもよい。
【0040】
次に、ステップS15において電解質量(mg)を電解質当量(mEq/L)に換算した結果を算出結果表示部12に表示する(ステップS16)。ここで、表示された電解質当量(mEq/L)に基づいて、患者に投与される輸液剤もしくは経腸栄養剤の液剤中に含まれることが必要な電解質当量が確認、決定される。即ち、換算された電解質当量(mEq/L)では、摂取すべき電解質の量が不十分となっている患者に対しては、輸液剤もしくは経腸栄養剤に電解質又は電解質輸液剤を追加し、患者が必要とする電解質を確実に投与するようにする。また、表示された電解質当量(mEq/L)を参考に副作用の懸念がない最大投与速度、患者の病態及び患者の栄養状態等を考慮した上で、医師及び栄養士等により輸液剤もしくは経腸栄養剤の投与時間が決定される。
【0041】
なお、電解質を含まない輸液剤もしくは経腸栄養剤を患者に対して投与する場合には、輸液剤もしくは経腸栄養剤に含まれているその他の成分、例えば、アミノ酸量、糖の量、液剤量、エネルギ量及び患者の希望等を考慮した上で、医師及び栄養士等により投与時間が決定される。
【0042】
次に、患者に投与される輸液剤もしくは経腸栄養剤の液剤量(ml)と、ステップS15において算出された電解質量等に基づいて、医師等により決定された投与時間とを入力部4を介して入力する(ステップS17)。なお、入力された輸液剤もしくは経腸栄養剤の液剤量(ml)及び投与時間は、データ記憶部22に記憶される。
【0043】
次に、入力された輸液剤もしくは経腸栄養剤の液剤量(ml)及び投与時間に基づいて輸液剤もしくは経腸栄養剤の滴下速度を算出する(ステップS18)。ここで、滴下速度を算出する際には、まず、患者が成人か小児かを選択する。即ち、成人か小児かにより輸液剤もしくは経腸栄養剤を投与する際に用いられる点滴筒の太さが異なるため、点滴の滴数が異なってくる。そのため、成人か小児かが選択された後に、患者に輸液剤もしくは経腸栄養剤を投与する際の点滴の滴下速度(滴/分)が算出される。なお、算出された滴下速度は、データ記憶部22に記憶される。
【0044】
次に、ステップS18において算出された滴下速度を滴下速度表示部14に表示する(ステップS19)。即ち、滴下速度表示部14を構成する複数の表示素子を交互に点滅させることによって、輸液剤もしくは経腸栄養剤の実際の滴下速度を視覚的に把握することができるように表示する。
【0045】
図4は、滴下速度表示部14における滴下速度の表示状態を説明するための図である。図4に示すように、滴下速度表示部14は3つの表示素子、例えば、LED(発光ダイオード:Light Emitting Diode)を表示部6の右縁部において垂直方向に等間隔で配置して構成されている。ここで、輸液剤もしくは経腸栄養剤パック32から点滴筒34へ滴下される輸液剤または経腸栄養剤が0滴目又は4滴目等の場合には何れの表示素子も点灯せず、1滴目又は5滴目等の場合には最も上部に配置されている表示素子のみが点灯する。また、輸液剤もしくは経腸栄養剤パック32から点滴筒34へ滴下される輸液剤もしくは経腸栄養剤が2滴目又は6滴目等の場合には最上部及びその次の位置に配置されている表示素子が点灯し、3滴目又は7滴目等の場合には全ての表示素子が点灯する。従って、表示部6の右縁部に配置された表示素子が、実際に輸液剤もしくは経腸栄養剤パック32から点滴筒34へ滴下される滴下速度に対応して滴下される方向に順次点滅することにより、輸液剤もしくは経腸栄養剤の実際の滴下速度を視覚的に容易に把握することができる。
【0046】
図5は、栄養管理用電卓2の表示部6における表示状態を説明するための図である。表示部6の患者基本情報表示部10には、患者の年齢「45」、性別「1」(男性の場合には「1」、女性の場合には「2」)、身長(cm)「155」及び体重(kg)「52」が表示されている。また、算出結果表示部12には、輸液剤もしくは経腸栄養剤の液剤量(ml)として投与量(ml)「120」、投与時間として所要時間(hr)「1」及び滴下速度として滴下(滴/分)「30」が表示されている。更に、滴下速度表示部14においては、算出結果表示部12に表示されている滴下速度「30」(滴/分)が、滴下速度表示部14を構成する複数の表示素子を順次点滅させることにより表示されている。
【0047】
なお、実際に患者に輸液剤もしくは経腸栄養剤を投与する際の滴下速度は、栄養管理用電卓2の滴下速度表示部14に表示されている滴下速度を参照して、看護師等の医療従事者により調整される。即ち、栄養管理用電卓2において、輸液剤もしくは経腸栄養剤の滴下速度が容易に視認できるように複数の表示素子を順次点滅させて表示されている。従って、実際に滴下されている輸液剤もしくは経腸栄養剤の速度と滴下速度表示部14に表示されている滴下速度を比較することにより、医療従事者の負担を軽減して容易に輸液剤もしくは経腸栄養剤の滴下速度を調整することができる。
【0048】
この発明の実施の形態に係る栄養管理用電卓によれば、医師等が患者巡回の際に携帯することによって、患者の近傍で1日消費エネルギ量(kcal)を算出すると共に、電解質量(mg)及び電解質当量(mEq/L)とを相互に換算することができる。従って、患者の状態を的確に把握しながら、その場で輸液剤もしくは経腸栄養剤のエネルギ量(kcal)を算出して、患者に投与する輸液剤もしくは経腸栄養剤の液剤量(ml)を決定することができ、患者の栄養状態を適切に管理することができる。また、旅券サイズであることから、例えば、白衣のポケット等に収容して携帯することができる。
【0049】
また、この発明の実施の形態に係る栄養管理用電卓によれば、患者の身長、体重、性別等の患者基本情報及び患者の栄養状態を示す患者栄養情報を入力することにより、輸液剤もしくは経腸栄養剤により患者に投与すべきエネルギ量(kcal)を算出することができる。
【0050】
また、この発明の実施の形態に係る栄養管理用電卓によれば、算出された輸液剤もしくは経腸栄養剤の滴下速度を、滴下速度表示部を構成する複数の表示素子を順次点滅させることにより視覚的に容易に把握することができるように表示している。従って、算出された滴下速度で輸液剤もしくは経腸栄養剤が滴下されているか否かの確認を、滴下速度表示部の表示と比較することにより容易に行うことができる。
【0051】
なお、上述の実施の形態に係る栄養管理用電卓によれば、患者基本情報に基づいて1日消費エネルギ量のみを算出しているが、患者の肥満指数や理想体重を算出するようにしてもよい。即ち、肥満指数(BMI:body mass index)は、体重(kg)/[身長(m)]で算出することができ、理想体重は、[身長(m)]×22で算出することができる。従って、BMIや理想体重を算出することにより、患者の栄養状態を適切に把握して、患者の栄養管理を的確に行うようにすることができる。
【0052】
また、上述の実施の形態に係る栄養管理用電卓においては、データ記憶部22に、アジア人用の膝高長・推定身長換算テーブルを記憶しているが、欧米人用の膝高長・推定身長換算テーブルを記憶するようにしてもよい。即ち、患者がアジア人であるか欧米人であるかにより、患者の膝高の長さから推定身長を算出する際に用いる膝高長・推定身長換算テーブルを選択することができるようにしてもよい。この場合には、患者の人種に対応させて適切な推定身長を算出することができる。
【0053】
また、上述の実施の形態に係る栄養管理用電卓においては、滴下速度表示部に表示された滴下速度を参照して輸液剤もしくは経腸栄養剤の滴下速度を制御しているが、滴下速度制御装置を用いて輸液剤もしくは経腸栄養剤の滴下速度を制御するようにしてもよい。例えば、栄養管理用電卓2において滴下速度制御装置との間の通信を制御する通信制御部を備え、算出された滴下速度を通信制御部を介して滴下速度制御装置に送信し、滴下速度制御装置により輸液剤もしくは経腸栄養剤の滴下速度を制御するようにしてもよい。即ち、図6に示すように、患者に投与される輸液剤もしくは経腸栄養剤を収容した輸液剤もしくは経腸栄養剤パック32に接続されている点滴筒34に、輸液剤もしくは経腸栄養剤の滴下速度を制御する滴下速度制御装置30を接続し、この滴下速度制御装置30に対して栄養管理用電卓2から通信制御部を介して算出された滴下速度を送信し、算出された滴下速度により輸液剤もしくは経腸栄養剤の滴下が行われるようにしてもよい。
【0054】
また、上述の実施の形態に係る栄養管理用電卓においては、算出結果表示部においては、算出結果を表示しているが、任意のデータを表示するようにしてもよい。例えば、滴下速度が算出された後に、輸液剤もしくは経腸栄養剤の投与時間を入力した場合には、輸液剤もしくは経腸栄養剤の液剤量(ml)を表示するようにしてもよい。同様に、輸液剤もしくは経腸栄養剤の液剤量(ml)を入力した場合には輸液剤もしくは経腸栄養剤の投与時間が表示されるようにしてもよい。この場合には、患者に投与されている輸液剤もしくは経腸栄養剤の液剤量(ml)や輸液剤もしくは経腸栄養剤を投与するために必要な投与時間等を容易に確認することができる。
【0055】
また、上述の実施の形態に係る栄養管理用電卓においては、滴下速度表示部に表示されている滴下速度を参照することにより、実際の滴下速度の確認を行っているが、実際の滴下速度を計測することができるようにしてもよい。例えば、実際に滴下されている輸液剤もしくは経腸栄養剤の速度に対応させて所定のボタンを所定の回数押すことにより、実際の滴下速度を数値で表示するようにしてもよい。この場合には、滴下速度表示部に表示されている滴下速度も数値で表示することにより、滴下速度の確認を行うことができる。
【0056】
また、上述の実施の形態に係る栄養管理用電卓においては、複数の表示素子により滴下速度表示部が構成されているが、一の表示素子により滴下速度表示部を構成するようにしてもよい。即ち、一の表示素子を輸液剤もしくは経腸栄養剤の滴下速度に対応させて点滅させることにより、滴下速度を表示するようにしてもよい。
【0057】
【発明の効果】
この発明によれば、携帯可能な大きさの栄養管理用電卓において、患者に投与される輸液剤もしくは経腸栄養剤の液剤量(ml)及び投与時間に基づいて算出された滴下速度を、表示部に配置された表示素子により視認可能に表示している。従って、実際に投与されている輸液剤もしくは経腸栄養剤が、算出された滴下速度により滴下されているか否かの確認を容易に行うことができる。
【0058】
また、この発明によれば、患者に投与される輸液剤もしくは経腸栄養剤中に含まれている電解質量と電解質当量とを相互に変換することができる。従って、患者に投与される輸液剤もしくは経腸栄養剤中に含まれている電解質が、患者が必要としている電解質当量を満たしているか否かの確認を容易に行い、例えば、電解質が不足している場合には、必要な量の電解質当量を追加して、患者の栄養状態を適切に管理することができる。
【0059】
また、この発明によれば、患者の1日消費エネルギ量を算出するための患者基本情報及び患者の栄養状態を示す栄養指標を算出するための患者栄養情報を入力し、患者基本情報から算出された1日消費エネルギ量及び患者栄養情報から算出された栄養指標に基づいて輸液剤もしくは経腸栄養剤により患者に摂取させるカロリ量を算出している。また、患者に投与される輸液剤もしくは経腸栄養剤中に含まれている電解質量(mg)と電解質当量(mEq/L)とを相互に換算している。また、換算された電解質当量(mEq/L)及び患者の病態等を考慮して決定された投与時間、及び患者に投与される輸液剤もしくは経腸栄養剤の液剤量(ml)に基づいて滴下速度を算出している。そして、算出された滴下速度を表示部に配置された表示素子により視認可能に表示している。従って、医師等が患者巡回を行う際に携帯することによって、患者を診察等した直後に患者の近傍で、患者に必要な輸液剤もしくは経腸栄養剤のエネルギ量(kcal)を算出し、患者に投与すべき輸液剤もしくは経腸栄養剤の液剤量(ml)を決定することができる。また、患者毎に必要な輸液剤もしくは経腸栄養剤の液剤量(ml)を各患者を診察等した際にその場で決定することができることから、個々の患者の栄養状態を適切に管理することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態に係る栄養管理用電卓の外観図である。
【図2】この発明の実施の形態に係る栄養管理用電卓のブロック構成図である。
【図3】この発明の実施の形態に係る栄養管理用電卓による処理を説明するためのフローチャートである。
【図4】この発明の実施の形態に係る滴下速度表示部における滴下速度の表示状態を説明するための図である。
【図5】この発明の実施の形態に係る表示部における表示状態を説明するための図である。
【図6】この発明の実施の形態に係る栄養管理用電卓から滴下速度制御装置に対して滴下速度を送信する処理を説明するための図である。
【符号の説明】
2…栄養管理用電卓、4…入力部、6…表示部、10…患者基本情報表示部、12…算出結果表示部、14…滴下速度表示部、20…データ制御部、22…データ記憶部、30…滴下速度制御装置、32…輸液剤もしくは経腸栄養剤パック、34…点滴筒。

Claims (8)

  1. 筐体を備え、該筐体の表面に入力部と表示部とを備えた携帯可能な栄養管理用電卓であって、
    前記入力部を介して入力された、患者に投与される輸液剤もしくは経腸栄養剤の液剤量及び投与時間に基づいて、患者に投与される輸液剤もしくは経腸栄養剤の滴下速度を算出する滴下速度算出手段と、
    前記滴下速度算出手段により算出された滴下速度を、前記表示部に配置された表示素子により視認可能に表示する滴下速度表示手段と
    を備えることを特徴とする栄養管理用電卓。
  2. 筐体を備え、該筐体の表面に入力部と表示部とを備えた携帯可能な栄養管理用電卓であって、
    前記入力部を介して入力された患者基本情報に基づいて算出された1日消費エネルギ量及び前記入力部を介して入力された患者栄養情報に基づいて算出された栄養指標に基づいて、患者に投与する輸液剤もしくは経腸栄養剤のエネルギ量を算出するエネルギ量算出手段と、
    前記エネルギ量算出手段により算出されたエネルギ量を、前記表示部に表示するエネルギ量表示手段と
    を備えることを特徴とする栄養管理用電卓。
  3. 筐体を備え、該筐体の表面に入力部と表示部とを備えた携帯可能な栄養管理用電卓であって、
    前記入力部において患者基本情報及び患者栄養情報を入力する入力手段と、
    前記入力手段により入力された患者基本情報に基づいて、患者が1日に消費する1日消費エネルギ量を算出する1日消費エネルギ量算出手段と、
    前記入力手段により入力された患者栄養情報に基づいて、患者の栄養状態を示す栄養指標を算出する栄養指標算出手段と、
    前記1日消費エネルギ量算出手段により算出された1日消費エネルギ量及び栄養指標算出手段により算出された栄養指標に基づいて、患者に投与する輸液剤もしくは経腸栄養剤のエネルギ量を算出するエネルギ量算出手段と、
    前記投与量算出手段及び前記栄養指標算出手段により算出された結果の中の少なくとも一つを前記表示部に表示する表示手段と、
    前記患者に投与されるエネルギ量を満たす輸液剤もしくは経腸栄養剤の液剤量及び該輸液剤もしくは経腸栄養剤の投与時間に基づいて、該輸液剤もしくは経腸栄養剤の滴下速度を算出する滴下速度算出手段と、
    前記滴下速度算出手段により算出された滴下速度を、前記表示部に配置された表示素子により視認可能に表示する滴下速度表示手段と
    を備えることを特徴とする栄養管理用電卓。
  4. 前記入力部を介して入力された患者に投与される輸液剤もしくは経腸栄養剤中に含まれるナトリウム、塩化ナトリウム又はカリウムの何れか一つ以上の電解質量又は電解質当量を、電解質量又は電解質当量に相互に変換する相互変換手段を更に備え、
    前記表示手段は、前記相互変換手段により変換された結果を前記表示部に表示することを特徴とする請求項3記載の栄養管理用電卓。
  5. 前記患者基本情報は、患者の身長、体重、年齢、性別、活動係数及びストレス係数を含むことを特徴とする請求項3又は請求項4記載の栄養管理用電卓。
  6. 前記患者栄養情報は、患者の上腕三頭筋部皮下脂肪厚及び上腕三頭筋部周囲長を含むことを特徴とする請求項3又は請求項4記載の栄養管理用電卓。
  7. 前記患者基本情報に含まれる患者の身長に代えて、患者の膝高の長さが入力された場合には、
    前記膝高の長さに基づいて患者の推定身長を算出することを特徴とする請求項5記載の栄養管理用電卓。
  8. 前記滴下速度表示手段は、前記表示部に配置された単数もしくは複数の表示素子を輸液剤もしくは経腸栄養剤が滴下されるタイミングに合わせて点滅させることにより、前記滴下速度を視認可能に表示することを特徴とする請求項1、請求項3〜請求項7の何れか一項に記載の栄養管理用電卓。
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