JP2004297704A - 任意位置再生用連続再生データ転送装置及び任意位置再生用ｍｐｅｇデータ転送装置及びプログラム - Google Patents
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Abstract
【課題】ＩＰネットワークを利用し、配信サーバからＭＰＥＧ２トランスポートストリームを送信し、受信クライアントで、そのストリームを受信する映像配信（ＶＯＤ）システムに係り、スキップによる再生の品質を向上させることを課題とする。
【解決手段】ＰＣＲジャンプ量管理部３０６は、ジャンプ命令を入力した場合に、指定時間に対応するＴＳパケット群を読み出し、ＧＯＰ（グループオブピクチャ）の制御情報中のＰＣＲ（プログラムクロックリファレンス）について、前回との差分を求め、総ＰＣＲジャンプ量を管理する。これにより、ＰＣＲ更新部３０８、ＰＴＳ更新部３０９、及びＤＴＳ更新部３１０は、ＰＣＲ、ＰＴＳ、及びＤＴＳの連続性を担保するように更新する。
【選択図】 図３
【解決手段】ＰＣＲジャンプ量管理部３０６は、ジャンプ命令を入力した場合に、指定時間に対応するＴＳパケット群を読み出し、ＧＯＰ（グループオブピクチャ）の制御情報中のＰＣＲ（プログラムクロックリファレンス）について、前回との差分を求め、総ＰＣＲジャンプ量を管理する。これにより、ＰＣＲ更新部３０８、ＰＴＳ更新部３０９、及びＤＴＳ更新部３１０は、ＰＣＲ、ＰＴＳ、及びＤＴＳの連続性を担保するように更新する。
【選択図】 図３
Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ＩＰネットワークを利用し、配信サーバからＭＰＥＧ２トランスポートストリームを送信し、受信クライアントで、そのストリームを受信する映像配信（ＶＯＤ）システムに係り、スキップによる再生の品質を向上させる技術に関する。
【０００２】
【従来の技術】
ＩＰネットワークを利用し、配信サーバからＭＰＥＧ２トランスポートストリームを送信し、受信クライアントで、そのストリームを受信する映像配信（ＶＯＤ）システムに関しては、通常連続して再生することを目的としている。
【０００３】
しかし、映像の利用方法によっては、スキップ（任意位置へのジャンプ）して再生することも想定される。
【０００４】
但し、単純にスキップしてデータを転送するだけでは、ＭＰＥＧデータを正常に再生することができない。具体的には、ストリーム全体の時間を示すＰＣＲ等の連続的な規則性が破られるために、デコーダの制御が混乱し、映像が一時的に乱れる。
【０００５】
【特許文献１】
特開２００２−３１９２７３号公報
【特許文献２】
特開平０９−３１２８４２号公報
【０００６】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記した従来技術の欠点を除くためになされたものであって、その目的とするところは、ＩＰネットワークを利用し、配信サーバからＭＰＥＧ２トランスポートストリームを送信し、受信クライアントで、そのストリームを受信する映像配信（ＶＯＤ）システムに関し、スキップによる再生の品質を向上させることを課題とする。
【０００７】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る任意位置再生用連続再生データ転送装置は、
連続再生データから部分データを読み出し、出力する連続再生データ転送装置であって、以下の要素を有することを特徴とする
（１）連続再生データから、順次部分データを読み出す逐次部分データ取得部
（２）連続再生データ再生中にジャンプして再生する位置を示す指定時間を伴うジャンプ命令を入力するジャップ命令入力部
（３）ジャンプ命令を入力した場合に、連続再生データから、指定時間に対応する部分データを読み出すジャンプ部分データ取得部
（４）ジャンプ命令を入力した場合に、読み出した部分データの連続再生用制御情報中の時間情報と、ジャンプ前に出力した部分データの連続再生用制御情報中の時間情報との差分を算出し、差分として算出した今回時間情報ジャンプ量を総時間情報ジャンプ量に加えて記憶する時間情報ジャンプ量管理部
（５）総時間情報ジャンプ量に基づいて、読み出した部分データの連続再生用制御情報中の時間情報を更新する時間情報更新部
（６）連続再生用制御情報中の時間情報を更新した部分データを、順次出力する部分データ出力部。
【０００８】
本発明に係る任意位置再生用ＭＰＥＧデータ転送装置は、
ＭＰＥＧデータからＴＳパケット群を読み出し、出力するＭＰＥＧデータ転送装置であって、以下の要素を有することを特徴とする
（１）ＭＰＥＧデータから、順次ＴＳパケット群を読み出す逐次ＴＳデータ取得部
（２）ＭＰＥＧデータ再生中にジャンプして再生する位置を示す指定時間を伴うジャンプ命令を入力するジャップ命令入力部
（３）ジャンプ命令を入力した場合に、ＭＰＥＧデータから、指定時間に対応するＴＳパケット群を読み出すジャンプＴＳデータ取得部
（４）ジャンプ命令を入力した場合に、読み出したＴＳパケット群により構成されるＧＯＰ（グループオブピクチャ）の制御情報中のＰＣＲ（プログラムクロックリファレンス）、ＰＴＳ（プレゼンテイションタイムスタンプ）、又はＤＴＳ（デコーディングタイムスタンプ）のうち少なくとも一つである時間情報と、ジャンプ前に出力したＴＳパケット群により構成されるＧＯＰの制御情報中の前述と同種の時間情報との差分を算出し、差分として算出した今回時間情報ジャンプ量を総時間情報ジャンプ量に加えて記憶する時間情報ジャンプ量管理部
（５）総時間情報ジャンプ量に基づいてＰＣＲジャンプ量を特定し、読み出したＴＳパケット群により構成されるＧＯＰの制御情報中のＰＣＲから、ＰＣＲジャンプ量を差し引いて更新するＰＣＲ更新部
（６）総時間情報ジャンプ量に基づいてＰＴＳジャンプ量を特定し、読み出したＴＳパケット群により構成されるＧＯＰの制御情報中のＰＴＳから、ＰＴＳジャンプ量を差し引いて更新するＰＴＳ更新部
（７）総時間情報ジャンプ量に基づいてＤＴＳジャンプ量を特定し、読み出したＴＳパケット群により構成されるＧＯＰの制御情報中のＤＴＳから、ＤＴＳジャンプ量を差し引いて更新するＤＴＳ更新部
（８）ＧＯＰの制御情報中のＰＣＲとＰＴＳとＤＴＳを更新したＴＳパケット群を、順次出力するＴＳデータ出力部。
【０００９】
総時間情報ジャンプ量は、読み出したＴＳパケット群により構成されるＧＯＰの制御情報中のＰＣＲと、ジャンプ前に出力したＴＳパケット群により構成されるＧＯＰの制御情報中のＰＣＲとの差分である今回ＰＣＲジャンプ量を加えた総ＰＣＲジャンプ量であることを特徴とする。
【００１０】
ＴＳデータ出力部は、ＴＳパケットの送信の際に、ＣＣの連続する規則性を担保することを特徴とする。
【００１１】
本発明に係るプログラムは、
連続再生データから部分データを読み出し、出力する任意位置再生用連続再生データ転送装置となるコンピュータに、以下の手順を実行させるためのプログラムであることを特徴とする
（１）連続再生データから、順次部分データを読み出す手順
（２）連続再生データ再生中にジャンプして再生する位置を示す指定時間を伴うジャンプ命令を入力する手順
（３）ジャンプ命令を入力した場合に、連続再生データから、指定時間に対応する部分データを読み出す手順
（４）ジャンプ命令を入力した場合に、読み出した部分データの連続再生用制御情報中の時間情報と、ジャンプ前に出力した部分データの連続再生用制御情報中の時間情報との差分を算出し、差分として算出した今回時間情報ジャンプ量を総時間情報ジャンプ量に加えて記憶する手順
（５）総時間情報ジャンプ量に基づいて、読み出した部分データの連続再生用制御情報中の時間情報を更新する手順
（６）連続再生用制御情報中の時間情報を更新した部分データを、順次出力する手順。
【００１２】
【発明の実施の形態】
実施の形態１．
以下本発明を図面に示す実施例に基づいて説明する。図１は、ＭＰＥＧデータ転送システムのネットワーク環境を示す図である。
配信サーバ１と受信クライアント３は、ＩＰネットワーク２（インターネットあるいはイントラネット等）を介して接続されている。ＭＰＥＧデータ（連続再生データの例）は、配信サーバ１に記憶されており、受信クライアント３は、配信サーバ１からＭＰＥＧデータを受信して、再生するように構成されている。
【００１３】
図２は、映像ストリームにおけるＰＣＲの概念を示す図である。
トランスポートストリームは、１８８バイトの固定長のＴＳパケット（トランスポートパケット、部分データの例）が複数個集まって構成される。ＴＳパケットは４バイト固定長のパケットヘッダと可変長のアダプテーションフィールドおよびペイロード（ｐａｙｌｏａｄ）で構成され、アダプテーションフィールドには、ＰＣＲ（Ｐｒｏｇｒａｍ Ｃｌｏｃｋ Ｒｅｆｅｒｅｎｃｅ）の情報の伝送する機能がある。ＰＣＲは２７ＭＨｚのタイムスタンプで、ＰＣＲは、符号化した時の基準時間を復号器のＳＴＣで再現するために参照される。
従って、図に示すように、オリジナルの状態の映像ストリーム中には、符号化の時間的連続性を前提としたＰＣＲ（図中、カッコ内の値）が、所定の間隔で格納されている。
【００１４】
ここで、映像データをジャンプして再生することを想定する。例えば、ＰＣＲ２の位置からＰＣＲ５へジャンプして再生する場合には、ＰＣＲが、（２０）から（５０）へ飛躍し、再生側の処理の前提となっている連続性を害し、再生動作を阻害する。
【００１５】
そこで、本発明では、ジャンプ後のＰＣＲを調整し、ＰＣＲの連続性を担保し、再生を正常に行わせる。具体的には、ジャンプ後のオリジナルＰＣＲからジャンプ量を差し引くことにより、ジャンプ後の調整ＰＣＲを求め、調整ＰＣＲにデータを書き換える。
【００１６】
図３は、配信サーバ（任意位置再生用ＭＰＥＧデータ転送装置）の構成を示す図である。
配信サーバは、ジャンプ命令入力部３０１、ＭＰＥＧデータ記憶部３０２、ジャンプＴＳデータ取得部３０３、再生時間管理部３０４、ＴＳデータ記憶部３０５、ＰＣＲジャンプ量管理部３０６、インデックステーブル記憶部３０７、ＰＣＲ更新部３０８、ＰＴＳ（Ｐｒｅｓｅｎｔａｔｉｏｎ Ｔｉｍｅ Ｓｔａｍｐ）更新部３０９、ＤＴＳ（Ｄｅｃｏｒｄｉｎｇ Ｔｉｍｅ Ｓｔａｍｐ）更新部３１０、ＴＳデータ出力部３１１、及び逐次ＴＳデータ取得部３１２の各要素を有している。
インデックステーブル記憶部３０７は、ＭＰＥＧデータ記憶部３０２に記憶しているＭＰＥＧデータについて、ＧＯＰ毎にＧＯＰ番号とファイルポインタとオリジナルＰＣＲの対応付けるインデックステーブルを予め記憶している。
【００１７】
続いて、処理について説明する。図４は、任意位置再生用ＭＰＥＧデータ転送の全体処理フローを示す図である。
通常は、逐次ＴＳデータ転送処理（Ｓ４０３）により、ＴＳパケット群が転送され、ジャンプ命令入力部３０１により、ジャンプ命令を入力すると（Ｓ４０１）、ジャンプＴＳデータ転送処理（Ｓ４０２）を行う。
【００１８】
次に、ジャンプＴＳデータ転送処理（Ｓ４０２）について説明する。図５は、ジャンプＴＳデータ転送処理フローを示す図である。
まず、ジャンプＴＳデータ取得部３０３により、ジャンプＴＳデータ取得処理（Ｓ５０１）を行う。
【００１９】
図６は、ジャンプＴＳデータ取得処理フローを示す図である。
ジャンプＴＳデータ取得部３０３は、ジャンプ命令入力部３０１からジャンプ命令中に含まれる指定時間を取得する（Ｓ６０１）。そして、指定時間にビットレートを乗じることにより、ファイルポインタ（再生時間）を計算する（Ｓ６０２）。そして、ファイルポインタにより特定されるＴＳパケット群をＭＰＥＧデータ記憶部３０２から読み込む（Ｓ６０３）。そして、そのＴＳパケット群をＴＳデータ記憶部に記憶させる（Ｓ６０４）。最後に、再生時間管理部３０４で管理する再生時間の値を更新する（Ｓ６０５）。
【００２０】
続いて、図５に示すように、ＰＣＲジャンプ量管理部３０６により、総ＰＣＲジャンプ量更新処理（Ｓ５０２）を行う。
【００２１】
図７は、総ＰＣＲジャンプ量更新処理フローを示す図である。
ＰＣＲジャンプ量管理部３０６は、後述するようにＰＣＲジャンプ量管理部３０６内部に記憶している転送オリジナルＰＣＲを取得する（Ｓ７０１）。また、前述のファイルポインタに対応するオリジナルＰＣＲ（ジャンプ位置オリジナルＰＣＲ）を、インデックステーブル記憶部３０７から取得する（Ｓ７０２）。そして、ジャンプ位置オリジナルＰＣＲから転送オリジナルＰＣＲを差し引くことにより、今回ＰＣＲジャンプ量を算出する（Ｓ７０３）。
また、後述するようにＰＣＲジャンプ量管理部３０６内部に記憶している総ＰＣＲジャンプ量（ジャンプ前の総ＰＣＲジャンプ量）を取得し（Ｓ７０４）、そのジャンプ前の総ＰＣＲジャンプ量に今回ＰＣＲジャンプ量を加えることによりジャンプ後の総ＰＣＲジャンプ量を算出する（Ｓ７０５）。算出したジャンプ後の総ＰＣＲジャンプ量を、総ＰＣＲジャンプ量として内部に記憶する（Ｓ７０６）。
最後に、内部に記憶している転送オリジナルＰＣＲを、前記ジャンプ位置オリジナルＰＣＲ更新する（Ｓ７０７）。
【００２２】
図８は、ＰＣＲジャンプ量管理部の記憶部を示す図である。ＰＣＲジャンプ量管理部３０６は、総ＰＣＲジャンプ量８０１と転送オリジナルＰＣＲ８０２を記憶する領域を有している。総ＰＣＲジャンプ量８０１は、複数のジャンプを繰り返し場合に、全体としてのジャンプ量を記憶するものである。転送オリジナルＰＣＲ８０２は、ＴＳパケット群の転送の際に、そのＴＳパケット群に含まれていたオリジナルＰＣＲを記憶する領域である。これにより、前回の転送時に送ったデータのＰＣＲを知ることができるように構成されている。
【００２３】
続いて、図５に示すように、ＰＣＲ更新部３０８により、ＰＣＲ更新処理（Ｓ５０３）を行う。
【００２４】
図９は、ＰＣＲ更新処理フローを示す図である。
ＰＣＲ更新部３０８は、ＰＣＲジャンプ量管理部３０６から総ＰＣＲジャンプ量を取得する（Ｓ９０１）。また、ＴＳデータ記憶部３０５のＴＳパケット群により構成されるＧＯＰ（グループオブピクチャ）の制御情報中のＰＣＲ（オリジナルＰＣＲ）を取得する（Ｓ９０２）。そして、連続するように調整したＰＣＲ（調整ＰＣＲ）を算出する（Ｓ９０３）。具体的には、オリジナルＰＣＲから総ＰＣＲジャンプ量を差し引くことにより求める。最後に、ＴＳデータ記憶部のＴＳパケット群により構成されるＧＯＰの制御情報中のＰＣＲを、調整ＰＣＲに更新する（Ｓ９０４）。
【００２５】
続いて、図５に示すように、ＰＴＳ更新部３０９により、ＰＴＳ更新処理（Ｓ５０４）を行う。
【００２６】
図１０は、ＰＴＳ更新処理フローを示す図である。
ＰＴＳ更新部３０９は、まず、ＰＣＲジャンプ量管理部３０６から総ＰＣＲジャンプ量を取得し（Ｓ１００１）、総ＰＣＲジャンプ量を３００で割ることにより、総ＰＴＳジャンプ量を算出する（Ｓ１００２）。そして、ＴＳデータ記憶部のＴＳパケット群により構成されるＧＯＰの制御情報中のＰＴＳ（オリジナルＰＴＳ）を取得し（Ｓ１００３）、連続するように調整したＰＴＳ（調整ＰＴＳ）を算出する（Ｓ１００４）。具体的には、オリジナルＰＴＳから総ＰＴＳジャンプ量を差し引いて求める。そして、ＴＳデータ記憶部のＴＳパケット群により構成されるＧＯＰの制御情報中のＰＴＳを、調整ＰＴＳに更新する（Ｓ１００５）。
【００２７】
続いて、図５に示すように、ＤＴＳ更新部３１０により、ＤＴＳ更新処理（Ｓ５０５）を行う。
【００２８】
図１１は、ＤＴＳ更新処理フローを示す図である。
ＤＴＳ更新部３１０は、まず、ＰＣＲジャンプ量管理部３０６から総ＰＣＲジャンプ量を取得し（Ｓ１１０１）、総ＰＣＲジャンプ量を３００割ることにより、総ＤＴＳジャンプ量を算出する（Ｓ１１０２）。そして、ＴＳデータ記憶部のＴＳパケット群により構成されるＧＯＰの制御情報中のＤＴＳ（オリジナルＤＴＳ）を取得し（Ｓ１１０３）、連続するように調整したＤＴＳ（調整ＤＴＳ）を算出する（Ｓ１１０４）。具体的には、オリジナルＤＴＳから総ＤＴＳジャンプ量を差し引いて求める。そして、ＴＳデータ記憶部のＴＳパケット群により構成されるＧＯＰの制御情報中のＤＴＳを、調整ＤＴＳに更新する（Ｓ１１０５）。
【００２９】
続いて、図５に示すように、ＴＳデータ出力部３１１によりＴＳデータ出力処理（Ｓ５０６）を行う。図１３は、ＴＳデータ出力部の記憶部を示す図である。
転送ＣＣ１３０１について説明する。図１４は、ＭＰＥＧデータの構成を示す図である。ＧＯＰは、複数の画像の情報を含み、ＰＣＲ，ＰＴＳ、ＤＴＳは、ＧＯＰの制御情報に格納されている。また、転送されるＴＳパケット毎に順次連続的に循環するＣＣ（コンティニュティカウンタ）が格納されている。
転送ＣＣ１３０１は、ＴＳパケットの転送の度に、ＴＳパケットに格納するＣＣの値を順次連続的に循環するように更新する為に用いられる。
【００３０】
図１２は、ＴＳデータ出力処理フローを示す図である。
ＴＳデータ出力部３１１は、ＴＳパケット毎に以下の処理を繰り返す（Ｓ１２０１）。ＴＳデータ記憶部のＴＳパケットを順次対象とし（Ｓ１２０２）、ＴＳデータ出力部の内部で記憶している転送ＣＣ（前回転送時のＣＣ）を取得し（Ｓ１２０３）、今回転送時のＣＣを算出する（Ｓ１２０４）。具体的には、０≦前回転送時のＣＣ≦１４の場合には、前回転送時のＣＣに１を加え、前回転送時のＣＣ＝１５の場合は、０とする。そして、当該ＴＳパケットのＣＣを、今回転送時のＣＣに書き換える（Ｓ１２０５）。最後に、ＴＳデータ出力部の内部で記憶している転送ＣＣに、今回転送時のＣＣを書き込む（Ｓ１２０７）。
すべてのＴＳパケットについて処理した時点でループを終了し（Ｓ１２０７）、ＴＳデータ記憶部のＴＳパケット群を順次、受信クライアント３へ出力する（Ｓ１２０８）。
【００３１】
次に、逐次ＴＳデータ転送処理（Ｓ４０３）について説明する。図１５は、逐次ＴＳデータ転送処理フローを示す図である。
まず、逐次ＴＳデータ取得部３１２により、逐次ＴＳデータ取得処理（Ｓ１５０１）を行う。
【００３２】
図１６は、逐次ＴＳデータ取得処理フローを示す図である。
逐次ＴＳデータ取得部３１２は、再生時間管理部３０４から再生時間を取得し（Ｓ１６０１）、再生時間に対応するＴＳパケット群を読み込み（Ｓ１６０２）、読みこんだＴＳパケット群をＴＳデータ記憶部３０５に記憶させる（Ｓ１６０３）。そして、再生時間管理部３０４の再生時間を更新する（Ｓ１６０４）。
【００３３】
続いて、図１５に示すように、転送オリジナルＰＣＲ更新処理（Ｓ１５０２）を行う。この処理では、読み込んだＴＳパケット群により構成されるＧＯＰの制御情報中のＰＣＲ（オリジナルＰＣＲ）を取得し、ＰＣＲジャンプ量管理部３０６の転送オリジナルＰＣＲ８０２をそのオリジナルＰＣＲに書き換える。
【００３４】
続いて、図１５に示すように、ＰＣＲ更新処理（Ｓ１５０３）、ＰＴＳ更新処理（Ｓ１５０４）、ＤＴＳ更新処理（Ｓ１５０５）、ＴＳデータ出力処理（Ｓ１５０６）の処理を行う。これらは、前述の処理と同様である。
【００３５】
実施の形態２．
配信サーバ１は、オリジナルのＴＳデータ群と、時間情報（調整ＰＣＲ、調整ＰＴＳ、調整ＤＴＳ）を併せて送信し、受信クライアント３は、当該時間情報に基づいて、受信したＴＳデータ群により構成されるＧＯＰの制御情報を更新して再生する形態について説明する。
【００３６】
図１７は、実施の形態２における配信サーバの構成を示す図である。図９のＳ９０４、図１０のＳ１００５、図１１のＳ１１０５の処理を省略し、ＴＳデータ出力部３１１は、ＴＳパケット群の送信の際に、併せて調整ＰＣＲ、調整ＰＴＳ、調整ＤＴＳを送信する。
【００３７】
図１８は、実施の形態２における受信クライアントの構成を示す図である。
ＴＳデータ入力部１０１は、ＴＳデータ群と、調整ＰＣＲ、調整ＰＴＳ、及び調整ＤＴＳを受信し、ＴＳデータ記憶部１０３にＴＳデータ群を記憶し、調整ＰＣＲ、調整ＰＴＳ、及び調整ＤＴＳを時間情報記憶部１０２に記憶する。時間情報更新部１０４は、ＴＳデータ群により構成されるＧＯＰの制御情報のオリジナルＰＣＲ、オリジナルＰＴＳ、及びオリジナルＤＴＳを、調整ＰＣＲ、調整ＰＴＳ、及び調整ＤＴＳに更新する。そして、デコーダ１２０により再生する。
【００３８】
実施の形態３．
配信サーバ１は、オリジナルのＴＳデータ群と総ＰＣＲジャンプ量を送信し、受信クライアント３は、当該総ＰＣＲジャンプ量に基づいて、受信したＴＳデータ群により構成されるＧＯＰの制御情報を更新して再生する形態について説明する。
【００３９】
図１９は、実施の形態３における配信サーバの構成を示す図である。配信サーバ１は、図５のＳ５０３からＳ５０５、及び図１５のＳ１５０３からＳ１５０５を省略する。
【００４０】
図２０は、実施の形態３における受信クライアントの構成を示す図である。ＴＳデータ入力部１０１は、オリジナルのＴＳデータ群と総ＰＣＲジャンプ量を受信し、ＰＣＲジャンプ量記憶部１０５は、総ＰＣＲジャンプ量を記憶し、ＴＳデータ記憶部１０３は、オリジナルのＴＳデータ群を記憶する。ＰＣＲ更新部１０６、ＰＴＳ更新部１０７、及びＤＴＳ更新部１０８は、実施の形態１と同様に、受信したＴＳデータ群により構成されるＧＯＰの制御情報を更新し、デコーダ１２０により再生する。
【００４１】
実施の形態４．
配信サーバ１は、オリジナルのＴＳデータ群とインデックステーブルを送信し、受信クライアント３は、当該インデックステーブルに基づいて、受信したＴＳデータ群により構成されるＧＯＰの制御情報を更新して再生する形態について説明する。
【００４２】
図２１は、実施の形態４における配信サーバの構成を示す図である。インデックステーブル記憶部３１４は、インデックステーブル送信部３１３に記憶しているインデックステーブルを送信するように構成されている。配信サーバ１は、図５のＳ５０２からＳ５０５、及び図１５のＳ１５０２からＳ１５０５を省略する。
【００４３】
図２２は、実施の形態４における受信クライアントの構成を示す図である。インデックステーブル受信部１０９により受信したインデックステーブルは、インデックステーブル記憶部１１０に記憶され、ＰＣＲジャンプ量管理部１１２はジャンプ命令に含まれる指定時間を取得し、図５のＳ５０２に相当する処理を行う。その後、Ｓ５０３からＳ５０５に相当する処理を行い、デコーダにより再生する。ジャンプしない場合も、同様にＳ１５０３からＳ１５０５に相当する処理を行い、デコーダにより再生する。
【００４４】
ＰＣＲ、ＰＴＳ、及びＤＴＳは、いずれも時間情報の例である。
【００４５】
前述の例では、時間情報としてのＰＣＲについて差分を算出し、今回ＰＣＲジャンプ量を総ＰＣＲジャンプ量に加えたが、ＰＣＲに代えて、ＰＴＳあるいはＤＴＳを用いて、今回ＰＴＳジャンプ量を総ＰＴＳジャンプ量に加え、あるいは今回ＤＴＳジャンプ量を総ＤＴＳジャンプ量に加え、総ＰＴＳジャンプ量あるいは総ＤＴＳジャンプ量を総時間情報ジャンプ量として用いてもよい。その場合、他の時間情報を所定のレートで換算し求める点は、前述の例と同様である。
【００４６】
配信サーバ１と受信クライアント３は、コンピュータであり、各要素はプログラムにより処理を実行することができる。また、プログラムを記憶媒体に記憶させ、記憶媒体からコンピュータに読み取られるようにすることができる。
【００４７】
【発明の効果】
本発明においては、総ＰＣＲジャンプ量を管理し、ＴＳデータ群により構成されるＧＯＰの制御情報のオリジナルＰＣＲ、オリジナルＰＴＳ、及びオリジナルＤＴＳと調整ＰＣＲ、調整ＰＴＳ、及び調整ＤＴＳに更新するので、デコーダの制御における混乱が生じない。そのため、ＭＰＥＧ２データのスキップ再生にかかる品質が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図１】ＭＰＥＧデータ転送システムのネットワーク環境を示す図である。
【図２】映像ストリームにおけるＰＣＲの概念を示す図である。
【図３】配信サーバ（任意位置再生用ＭＰＥＧデータ転送装置）の構成を示す図である。
【図４】任意位置再生用ＭＰＥＧデータ転送の全体処理フローを示す図である。
【図５】ジャンプＴＳデータ転送処理フローを示す図である。
【図６】ジャンプＴＳデータ取得処理フローを示す図である。
【図７】総ＰＣＲジャンプ量更新処理フローを示す図である。
【図８】ＰＣＲジャンプ量管理部の記憶部を示す図である。
【図９】ＰＣＲ更新処理フローを示す図である。
【図１０】ＰＴＳ更新処理フローを示す図である。
【図１１】ＤＴＳ更新処理フローを示す図である。
【図１２】ＴＳデータ出力処理フローを示す図である。
【図１３】ＴＳデータ出力部の記憶部を示す図である。
【図１４】ＭＰＥＧデータの構成を示す図である。
【図１５】逐次ＴＳデータ転送処理フローを示す図である。
【図１６】逐次ＴＳデータ取得処理フローを示す図である。
【図１７】実施の形態２における配信サーバの構成を示す図である。
【図１８】実施の形態２における受信クライアントの構成を示す図である。
【図１９】実施の形態３における配信サーバの構成を示す図である。
【図２０】実施の形態３における受信クライアントの構成を示す図である。
【図２１】実施の形態４における配信サーバの構成を示す図である。
【図２２】実施の形態４における受信クライアントの構成を示す図である。
【符号の説明】
１ 配信サーバ、２ ＩＰネットワーク、３ 受信クライアント、１０１ ＴＳデータ入力部、１０２ 時間情報記憶部、１０３ ＴＳデータ記憶部、１０４時間情報更新部、１０５ ＰＣＲジャンプ量記憶部、１０６ ＰＣＲ更新部、１０７ ＰＴＳ更新部、１０８ ＤＴＳ更新部、１０９ インデックステーブル受信部、１１０ インデックステーブル記憶部、１１１ ジャンプ命令出力部、１１２ ＰＣＲジャンプ量管理部、１２０ デコーダ、３０１ ジャンプ命令入力部、３０２ ＭＰＥＧデータ記憶部、３０３ ジャンプＴＳデータ取得部、３０４ 再生時間管理部、３０５ ＴＳデータ記憶部、３０６ ＰＣＲジャンプ量管理部、３０７ インデックステーブル記憶部、３０８ ＰＣＲ更新部、３０９ＰＴＳ更新部、３１０ ＤＴＳ更新部、３１１ ＴＳデータ出力部、３１２ 逐次ＴＳデータ取得部、３１３ インデックステーブル送信部、３１４ インデックステーブル記憶部、８０１ 総ＰＣＲジャンプ量、８０２ 転送オリジナルＰＣＲ、１３０１ 転送ＣＣ。
【発明の属する技術分野】
本発明は、ＩＰネットワークを利用し、配信サーバからＭＰＥＧ２トランスポートストリームを送信し、受信クライアントで、そのストリームを受信する映像配信（ＶＯＤ）システムに係り、スキップによる再生の品質を向上させる技術に関する。
【０００２】
【従来の技術】
ＩＰネットワークを利用し、配信サーバからＭＰＥＧ２トランスポートストリームを送信し、受信クライアントで、そのストリームを受信する映像配信（ＶＯＤ）システムに関しては、通常連続して再生することを目的としている。
【０００３】
しかし、映像の利用方法によっては、スキップ（任意位置へのジャンプ）して再生することも想定される。
【０００４】
但し、単純にスキップしてデータを転送するだけでは、ＭＰＥＧデータを正常に再生することができない。具体的には、ストリーム全体の時間を示すＰＣＲ等の連続的な規則性が破られるために、デコーダの制御が混乱し、映像が一時的に乱れる。
【０００５】
【特許文献１】
特開２００２−３１９２７３号公報
【特許文献２】
特開平０９−３１２８４２号公報
【０００６】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記した従来技術の欠点を除くためになされたものであって、その目的とするところは、ＩＰネットワークを利用し、配信サーバからＭＰＥＧ２トランスポートストリームを送信し、受信クライアントで、そのストリームを受信する映像配信（ＶＯＤ）システムに関し、スキップによる再生の品質を向上させることを課題とする。
【０００７】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る任意位置再生用連続再生データ転送装置は、
連続再生データから部分データを読み出し、出力する連続再生データ転送装置であって、以下の要素を有することを特徴とする
（１）連続再生データから、順次部分データを読み出す逐次部分データ取得部
（２）連続再生データ再生中にジャンプして再生する位置を示す指定時間を伴うジャンプ命令を入力するジャップ命令入力部
（３）ジャンプ命令を入力した場合に、連続再生データから、指定時間に対応する部分データを読み出すジャンプ部分データ取得部
（４）ジャンプ命令を入力した場合に、読み出した部分データの連続再生用制御情報中の時間情報と、ジャンプ前に出力した部分データの連続再生用制御情報中の時間情報との差分を算出し、差分として算出した今回時間情報ジャンプ量を総時間情報ジャンプ量に加えて記憶する時間情報ジャンプ量管理部
（５）総時間情報ジャンプ量に基づいて、読み出した部分データの連続再生用制御情報中の時間情報を更新する時間情報更新部
（６）連続再生用制御情報中の時間情報を更新した部分データを、順次出力する部分データ出力部。
【０００８】
本発明に係る任意位置再生用ＭＰＥＧデータ転送装置は、
ＭＰＥＧデータからＴＳパケット群を読み出し、出力するＭＰＥＧデータ転送装置であって、以下の要素を有することを特徴とする
（１）ＭＰＥＧデータから、順次ＴＳパケット群を読み出す逐次ＴＳデータ取得部
（２）ＭＰＥＧデータ再生中にジャンプして再生する位置を示す指定時間を伴うジャンプ命令を入力するジャップ命令入力部
（３）ジャンプ命令を入力した場合に、ＭＰＥＧデータから、指定時間に対応するＴＳパケット群を読み出すジャンプＴＳデータ取得部
（４）ジャンプ命令を入力した場合に、読み出したＴＳパケット群により構成されるＧＯＰ（グループオブピクチャ）の制御情報中のＰＣＲ（プログラムクロックリファレンス）、ＰＴＳ（プレゼンテイションタイムスタンプ）、又はＤＴＳ（デコーディングタイムスタンプ）のうち少なくとも一つである時間情報と、ジャンプ前に出力したＴＳパケット群により構成されるＧＯＰの制御情報中の前述と同種の時間情報との差分を算出し、差分として算出した今回時間情報ジャンプ量を総時間情報ジャンプ量に加えて記憶する時間情報ジャンプ量管理部
（５）総時間情報ジャンプ量に基づいてＰＣＲジャンプ量を特定し、読み出したＴＳパケット群により構成されるＧＯＰの制御情報中のＰＣＲから、ＰＣＲジャンプ量を差し引いて更新するＰＣＲ更新部
（６）総時間情報ジャンプ量に基づいてＰＴＳジャンプ量を特定し、読み出したＴＳパケット群により構成されるＧＯＰの制御情報中のＰＴＳから、ＰＴＳジャンプ量を差し引いて更新するＰＴＳ更新部
（７）総時間情報ジャンプ量に基づいてＤＴＳジャンプ量を特定し、読み出したＴＳパケット群により構成されるＧＯＰの制御情報中のＤＴＳから、ＤＴＳジャンプ量を差し引いて更新するＤＴＳ更新部
（８）ＧＯＰの制御情報中のＰＣＲとＰＴＳとＤＴＳを更新したＴＳパケット群を、順次出力するＴＳデータ出力部。
【０００９】
総時間情報ジャンプ量は、読み出したＴＳパケット群により構成されるＧＯＰの制御情報中のＰＣＲと、ジャンプ前に出力したＴＳパケット群により構成されるＧＯＰの制御情報中のＰＣＲとの差分である今回ＰＣＲジャンプ量を加えた総ＰＣＲジャンプ量であることを特徴とする。
【００１０】
ＴＳデータ出力部は、ＴＳパケットの送信の際に、ＣＣの連続する規則性を担保することを特徴とする。
【００１１】
本発明に係るプログラムは、
連続再生データから部分データを読み出し、出力する任意位置再生用連続再生データ転送装置となるコンピュータに、以下の手順を実行させるためのプログラムであることを特徴とする
（１）連続再生データから、順次部分データを読み出す手順
（２）連続再生データ再生中にジャンプして再生する位置を示す指定時間を伴うジャンプ命令を入力する手順
（３）ジャンプ命令を入力した場合に、連続再生データから、指定時間に対応する部分データを読み出す手順
（４）ジャンプ命令を入力した場合に、読み出した部分データの連続再生用制御情報中の時間情報と、ジャンプ前に出力した部分データの連続再生用制御情報中の時間情報との差分を算出し、差分として算出した今回時間情報ジャンプ量を総時間情報ジャンプ量に加えて記憶する手順
（５）総時間情報ジャンプ量に基づいて、読み出した部分データの連続再生用制御情報中の時間情報を更新する手順
（６）連続再生用制御情報中の時間情報を更新した部分データを、順次出力する手順。
【００１２】
【発明の実施の形態】
実施の形態１．
以下本発明を図面に示す実施例に基づいて説明する。図１は、ＭＰＥＧデータ転送システムのネットワーク環境を示す図である。
配信サーバ１と受信クライアント３は、ＩＰネットワーク２（インターネットあるいはイントラネット等）を介して接続されている。ＭＰＥＧデータ（連続再生データの例）は、配信サーバ１に記憶されており、受信クライアント３は、配信サーバ１からＭＰＥＧデータを受信して、再生するように構成されている。
【００１３】
図２は、映像ストリームにおけるＰＣＲの概念を示す図である。
トランスポートストリームは、１８８バイトの固定長のＴＳパケット（トランスポートパケット、部分データの例）が複数個集まって構成される。ＴＳパケットは４バイト固定長のパケットヘッダと可変長のアダプテーションフィールドおよびペイロード（ｐａｙｌｏａｄ）で構成され、アダプテーションフィールドには、ＰＣＲ（Ｐｒｏｇｒａｍ Ｃｌｏｃｋ Ｒｅｆｅｒｅｎｃｅ）の情報の伝送する機能がある。ＰＣＲは２７ＭＨｚのタイムスタンプで、ＰＣＲは、符号化した時の基準時間を復号器のＳＴＣで再現するために参照される。
従って、図に示すように、オリジナルの状態の映像ストリーム中には、符号化の時間的連続性を前提としたＰＣＲ（図中、カッコ内の値）が、所定の間隔で格納されている。
【００１４】
ここで、映像データをジャンプして再生することを想定する。例えば、ＰＣＲ２の位置からＰＣＲ５へジャンプして再生する場合には、ＰＣＲが、（２０）から（５０）へ飛躍し、再生側の処理の前提となっている連続性を害し、再生動作を阻害する。
【００１５】
そこで、本発明では、ジャンプ後のＰＣＲを調整し、ＰＣＲの連続性を担保し、再生を正常に行わせる。具体的には、ジャンプ後のオリジナルＰＣＲからジャンプ量を差し引くことにより、ジャンプ後の調整ＰＣＲを求め、調整ＰＣＲにデータを書き換える。
【００１６】
図３は、配信サーバ（任意位置再生用ＭＰＥＧデータ転送装置）の構成を示す図である。
配信サーバは、ジャンプ命令入力部３０１、ＭＰＥＧデータ記憶部３０２、ジャンプＴＳデータ取得部３０３、再生時間管理部３０４、ＴＳデータ記憶部３０５、ＰＣＲジャンプ量管理部３０６、インデックステーブル記憶部３０７、ＰＣＲ更新部３０８、ＰＴＳ（Ｐｒｅｓｅｎｔａｔｉｏｎ Ｔｉｍｅ Ｓｔａｍｐ）更新部３０９、ＤＴＳ（Ｄｅｃｏｒｄｉｎｇ Ｔｉｍｅ Ｓｔａｍｐ）更新部３１０、ＴＳデータ出力部３１１、及び逐次ＴＳデータ取得部３１２の各要素を有している。
インデックステーブル記憶部３０７は、ＭＰＥＧデータ記憶部３０２に記憶しているＭＰＥＧデータについて、ＧＯＰ毎にＧＯＰ番号とファイルポインタとオリジナルＰＣＲの対応付けるインデックステーブルを予め記憶している。
【００１７】
続いて、処理について説明する。図４は、任意位置再生用ＭＰＥＧデータ転送の全体処理フローを示す図である。
通常は、逐次ＴＳデータ転送処理（Ｓ４０３）により、ＴＳパケット群が転送され、ジャンプ命令入力部３０１により、ジャンプ命令を入力すると（Ｓ４０１）、ジャンプＴＳデータ転送処理（Ｓ４０２）を行う。
【００１８】
次に、ジャンプＴＳデータ転送処理（Ｓ４０２）について説明する。図５は、ジャンプＴＳデータ転送処理フローを示す図である。
まず、ジャンプＴＳデータ取得部３０３により、ジャンプＴＳデータ取得処理（Ｓ５０１）を行う。
【００１９】
図６は、ジャンプＴＳデータ取得処理フローを示す図である。
ジャンプＴＳデータ取得部３０３は、ジャンプ命令入力部３０１からジャンプ命令中に含まれる指定時間を取得する（Ｓ６０１）。そして、指定時間にビットレートを乗じることにより、ファイルポインタ（再生時間）を計算する（Ｓ６０２）。そして、ファイルポインタにより特定されるＴＳパケット群をＭＰＥＧデータ記憶部３０２から読み込む（Ｓ６０３）。そして、そのＴＳパケット群をＴＳデータ記憶部に記憶させる（Ｓ６０４）。最後に、再生時間管理部３０４で管理する再生時間の値を更新する（Ｓ６０５）。
【００２０】
続いて、図５に示すように、ＰＣＲジャンプ量管理部３０６により、総ＰＣＲジャンプ量更新処理（Ｓ５０２）を行う。
【００２１】
図７は、総ＰＣＲジャンプ量更新処理フローを示す図である。
ＰＣＲジャンプ量管理部３０６は、後述するようにＰＣＲジャンプ量管理部３０６内部に記憶している転送オリジナルＰＣＲを取得する（Ｓ７０１）。また、前述のファイルポインタに対応するオリジナルＰＣＲ（ジャンプ位置オリジナルＰＣＲ）を、インデックステーブル記憶部３０７から取得する（Ｓ７０２）。そして、ジャンプ位置オリジナルＰＣＲから転送オリジナルＰＣＲを差し引くことにより、今回ＰＣＲジャンプ量を算出する（Ｓ７０３）。
また、後述するようにＰＣＲジャンプ量管理部３０６内部に記憶している総ＰＣＲジャンプ量（ジャンプ前の総ＰＣＲジャンプ量）を取得し（Ｓ７０４）、そのジャンプ前の総ＰＣＲジャンプ量に今回ＰＣＲジャンプ量を加えることによりジャンプ後の総ＰＣＲジャンプ量を算出する（Ｓ７０５）。算出したジャンプ後の総ＰＣＲジャンプ量を、総ＰＣＲジャンプ量として内部に記憶する（Ｓ７０６）。
最後に、内部に記憶している転送オリジナルＰＣＲを、前記ジャンプ位置オリジナルＰＣＲ更新する（Ｓ７０７）。
【００２２】
図８は、ＰＣＲジャンプ量管理部の記憶部を示す図である。ＰＣＲジャンプ量管理部３０６は、総ＰＣＲジャンプ量８０１と転送オリジナルＰＣＲ８０２を記憶する領域を有している。総ＰＣＲジャンプ量８０１は、複数のジャンプを繰り返し場合に、全体としてのジャンプ量を記憶するものである。転送オリジナルＰＣＲ８０２は、ＴＳパケット群の転送の際に、そのＴＳパケット群に含まれていたオリジナルＰＣＲを記憶する領域である。これにより、前回の転送時に送ったデータのＰＣＲを知ることができるように構成されている。
【００２３】
続いて、図５に示すように、ＰＣＲ更新部３０８により、ＰＣＲ更新処理（Ｓ５０３）を行う。
【００２４】
図９は、ＰＣＲ更新処理フローを示す図である。
ＰＣＲ更新部３０８は、ＰＣＲジャンプ量管理部３０６から総ＰＣＲジャンプ量を取得する（Ｓ９０１）。また、ＴＳデータ記憶部３０５のＴＳパケット群により構成されるＧＯＰ（グループオブピクチャ）の制御情報中のＰＣＲ（オリジナルＰＣＲ）を取得する（Ｓ９０２）。そして、連続するように調整したＰＣＲ（調整ＰＣＲ）を算出する（Ｓ９０３）。具体的には、オリジナルＰＣＲから総ＰＣＲジャンプ量を差し引くことにより求める。最後に、ＴＳデータ記憶部のＴＳパケット群により構成されるＧＯＰの制御情報中のＰＣＲを、調整ＰＣＲに更新する（Ｓ９０４）。
【００２５】
続いて、図５に示すように、ＰＴＳ更新部３０９により、ＰＴＳ更新処理（Ｓ５０４）を行う。
【００２６】
図１０は、ＰＴＳ更新処理フローを示す図である。
ＰＴＳ更新部３０９は、まず、ＰＣＲジャンプ量管理部３０６から総ＰＣＲジャンプ量を取得し（Ｓ１００１）、総ＰＣＲジャンプ量を３００で割ることにより、総ＰＴＳジャンプ量を算出する（Ｓ１００２）。そして、ＴＳデータ記憶部のＴＳパケット群により構成されるＧＯＰの制御情報中のＰＴＳ（オリジナルＰＴＳ）を取得し（Ｓ１００３）、連続するように調整したＰＴＳ（調整ＰＴＳ）を算出する（Ｓ１００４）。具体的には、オリジナルＰＴＳから総ＰＴＳジャンプ量を差し引いて求める。そして、ＴＳデータ記憶部のＴＳパケット群により構成されるＧＯＰの制御情報中のＰＴＳを、調整ＰＴＳに更新する（Ｓ１００５）。
【００２７】
続いて、図５に示すように、ＤＴＳ更新部３１０により、ＤＴＳ更新処理（Ｓ５０５）を行う。
【００２８】
図１１は、ＤＴＳ更新処理フローを示す図である。
ＤＴＳ更新部３１０は、まず、ＰＣＲジャンプ量管理部３０６から総ＰＣＲジャンプ量を取得し（Ｓ１１０１）、総ＰＣＲジャンプ量を３００割ることにより、総ＤＴＳジャンプ量を算出する（Ｓ１１０２）。そして、ＴＳデータ記憶部のＴＳパケット群により構成されるＧＯＰの制御情報中のＤＴＳ（オリジナルＤＴＳ）を取得し（Ｓ１１０３）、連続するように調整したＤＴＳ（調整ＤＴＳ）を算出する（Ｓ１１０４）。具体的には、オリジナルＤＴＳから総ＤＴＳジャンプ量を差し引いて求める。そして、ＴＳデータ記憶部のＴＳパケット群により構成されるＧＯＰの制御情報中のＤＴＳを、調整ＤＴＳに更新する（Ｓ１１０５）。
【００２９】
続いて、図５に示すように、ＴＳデータ出力部３１１によりＴＳデータ出力処理（Ｓ５０６）を行う。図１３は、ＴＳデータ出力部の記憶部を示す図である。
転送ＣＣ１３０１について説明する。図１４は、ＭＰＥＧデータの構成を示す図である。ＧＯＰは、複数の画像の情報を含み、ＰＣＲ，ＰＴＳ、ＤＴＳは、ＧＯＰの制御情報に格納されている。また、転送されるＴＳパケット毎に順次連続的に循環するＣＣ（コンティニュティカウンタ）が格納されている。
転送ＣＣ１３０１は、ＴＳパケットの転送の度に、ＴＳパケットに格納するＣＣの値を順次連続的に循環するように更新する為に用いられる。
【００３０】
図１２は、ＴＳデータ出力処理フローを示す図である。
ＴＳデータ出力部３１１は、ＴＳパケット毎に以下の処理を繰り返す（Ｓ１２０１）。ＴＳデータ記憶部のＴＳパケットを順次対象とし（Ｓ１２０２）、ＴＳデータ出力部の内部で記憶している転送ＣＣ（前回転送時のＣＣ）を取得し（Ｓ１２０３）、今回転送時のＣＣを算出する（Ｓ１２０４）。具体的には、０≦前回転送時のＣＣ≦１４の場合には、前回転送時のＣＣに１を加え、前回転送時のＣＣ＝１５の場合は、０とする。そして、当該ＴＳパケットのＣＣを、今回転送時のＣＣに書き換える（Ｓ１２０５）。最後に、ＴＳデータ出力部の内部で記憶している転送ＣＣに、今回転送時のＣＣを書き込む（Ｓ１２０７）。
すべてのＴＳパケットについて処理した時点でループを終了し（Ｓ１２０７）、ＴＳデータ記憶部のＴＳパケット群を順次、受信クライアント３へ出力する（Ｓ１２０８）。
【００３１】
次に、逐次ＴＳデータ転送処理（Ｓ４０３）について説明する。図１５は、逐次ＴＳデータ転送処理フローを示す図である。
まず、逐次ＴＳデータ取得部３１２により、逐次ＴＳデータ取得処理（Ｓ１５０１）を行う。
【００３２】
図１６は、逐次ＴＳデータ取得処理フローを示す図である。
逐次ＴＳデータ取得部３１２は、再生時間管理部３０４から再生時間を取得し（Ｓ１６０１）、再生時間に対応するＴＳパケット群を読み込み（Ｓ１６０２）、読みこんだＴＳパケット群をＴＳデータ記憶部３０５に記憶させる（Ｓ１６０３）。そして、再生時間管理部３０４の再生時間を更新する（Ｓ１６０４）。
【００３３】
続いて、図１５に示すように、転送オリジナルＰＣＲ更新処理（Ｓ１５０２）を行う。この処理では、読み込んだＴＳパケット群により構成されるＧＯＰの制御情報中のＰＣＲ（オリジナルＰＣＲ）を取得し、ＰＣＲジャンプ量管理部３０６の転送オリジナルＰＣＲ８０２をそのオリジナルＰＣＲに書き換える。
【００３４】
続いて、図１５に示すように、ＰＣＲ更新処理（Ｓ１５０３）、ＰＴＳ更新処理（Ｓ１５０４）、ＤＴＳ更新処理（Ｓ１５０５）、ＴＳデータ出力処理（Ｓ１５０６）の処理を行う。これらは、前述の処理と同様である。
【００３５】
実施の形態２．
配信サーバ１は、オリジナルのＴＳデータ群と、時間情報（調整ＰＣＲ、調整ＰＴＳ、調整ＤＴＳ）を併せて送信し、受信クライアント３は、当該時間情報に基づいて、受信したＴＳデータ群により構成されるＧＯＰの制御情報を更新して再生する形態について説明する。
【００３６】
図１７は、実施の形態２における配信サーバの構成を示す図である。図９のＳ９０４、図１０のＳ１００５、図１１のＳ１１０５の処理を省略し、ＴＳデータ出力部３１１は、ＴＳパケット群の送信の際に、併せて調整ＰＣＲ、調整ＰＴＳ、調整ＤＴＳを送信する。
【００３７】
図１８は、実施の形態２における受信クライアントの構成を示す図である。
ＴＳデータ入力部１０１は、ＴＳデータ群と、調整ＰＣＲ、調整ＰＴＳ、及び調整ＤＴＳを受信し、ＴＳデータ記憶部１０３にＴＳデータ群を記憶し、調整ＰＣＲ、調整ＰＴＳ、及び調整ＤＴＳを時間情報記憶部１０２に記憶する。時間情報更新部１０４は、ＴＳデータ群により構成されるＧＯＰの制御情報のオリジナルＰＣＲ、オリジナルＰＴＳ、及びオリジナルＤＴＳを、調整ＰＣＲ、調整ＰＴＳ、及び調整ＤＴＳに更新する。そして、デコーダ１２０により再生する。
【００３８】
実施の形態３．
配信サーバ１は、オリジナルのＴＳデータ群と総ＰＣＲジャンプ量を送信し、受信クライアント３は、当該総ＰＣＲジャンプ量に基づいて、受信したＴＳデータ群により構成されるＧＯＰの制御情報を更新して再生する形態について説明する。
【００３９】
図１９は、実施の形態３における配信サーバの構成を示す図である。配信サーバ１は、図５のＳ５０３からＳ５０５、及び図１５のＳ１５０３からＳ１５０５を省略する。
【００４０】
図２０は、実施の形態３における受信クライアントの構成を示す図である。ＴＳデータ入力部１０１は、オリジナルのＴＳデータ群と総ＰＣＲジャンプ量を受信し、ＰＣＲジャンプ量記憶部１０５は、総ＰＣＲジャンプ量を記憶し、ＴＳデータ記憶部１０３は、オリジナルのＴＳデータ群を記憶する。ＰＣＲ更新部１０６、ＰＴＳ更新部１０７、及びＤＴＳ更新部１０８は、実施の形態１と同様に、受信したＴＳデータ群により構成されるＧＯＰの制御情報を更新し、デコーダ１２０により再生する。
【００４１】
実施の形態４．
配信サーバ１は、オリジナルのＴＳデータ群とインデックステーブルを送信し、受信クライアント３は、当該インデックステーブルに基づいて、受信したＴＳデータ群により構成されるＧＯＰの制御情報を更新して再生する形態について説明する。
【００４２】
図２１は、実施の形態４における配信サーバの構成を示す図である。インデックステーブル記憶部３１４は、インデックステーブル送信部３１３に記憶しているインデックステーブルを送信するように構成されている。配信サーバ１は、図５のＳ５０２からＳ５０５、及び図１５のＳ１５０２からＳ１５０５を省略する。
【００４３】
図２２は、実施の形態４における受信クライアントの構成を示す図である。インデックステーブル受信部１０９により受信したインデックステーブルは、インデックステーブル記憶部１１０に記憶され、ＰＣＲジャンプ量管理部１１２はジャンプ命令に含まれる指定時間を取得し、図５のＳ５０２に相当する処理を行う。その後、Ｓ５０３からＳ５０５に相当する処理を行い、デコーダにより再生する。ジャンプしない場合も、同様にＳ１５０３からＳ１５０５に相当する処理を行い、デコーダにより再生する。
【００４４】
ＰＣＲ、ＰＴＳ、及びＤＴＳは、いずれも時間情報の例である。
【００４５】
前述の例では、時間情報としてのＰＣＲについて差分を算出し、今回ＰＣＲジャンプ量を総ＰＣＲジャンプ量に加えたが、ＰＣＲに代えて、ＰＴＳあるいはＤＴＳを用いて、今回ＰＴＳジャンプ量を総ＰＴＳジャンプ量に加え、あるいは今回ＤＴＳジャンプ量を総ＤＴＳジャンプ量に加え、総ＰＴＳジャンプ量あるいは総ＤＴＳジャンプ量を総時間情報ジャンプ量として用いてもよい。その場合、他の時間情報を所定のレートで換算し求める点は、前述の例と同様である。
【００４６】
配信サーバ１と受信クライアント３は、コンピュータであり、各要素はプログラムにより処理を実行することができる。また、プログラムを記憶媒体に記憶させ、記憶媒体からコンピュータに読み取られるようにすることができる。
【００４７】
【発明の効果】
本発明においては、総ＰＣＲジャンプ量を管理し、ＴＳデータ群により構成されるＧＯＰの制御情報のオリジナルＰＣＲ、オリジナルＰＴＳ、及びオリジナルＤＴＳと調整ＰＣＲ、調整ＰＴＳ、及び調整ＤＴＳに更新するので、デコーダの制御における混乱が生じない。そのため、ＭＰＥＧ２データのスキップ再生にかかる品質が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図１】ＭＰＥＧデータ転送システムのネットワーク環境を示す図である。
【図２】映像ストリームにおけるＰＣＲの概念を示す図である。
【図３】配信サーバ（任意位置再生用ＭＰＥＧデータ転送装置）の構成を示す図である。
【図４】任意位置再生用ＭＰＥＧデータ転送の全体処理フローを示す図である。
【図５】ジャンプＴＳデータ転送処理フローを示す図である。
【図６】ジャンプＴＳデータ取得処理フローを示す図である。
【図７】総ＰＣＲジャンプ量更新処理フローを示す図である。
【図８】ＰＣＲジャンプ量管理部の記憶部を示す図である。
【図９】ＰＣＲ更新処理フローを示す図である。
【図１０】ＰＴＳ更新処理フローを示す図である。
【図１１】ＤＴＳ更新処理フローを示す図である。
【図１２】ＴＳデータ出力処理フローを示す図である。
【図１３】ＴＳデータ出力部の記憶部を示す図である。
【図１４】ＭＰＥＧデータの構成を示す図である。
【図１５】逐次ＴＳデータ転送処理フローを示す図である。
【図１６】逐次ＴＳデータ取得処理フローを示す図である。
【図１７】実施の形態２における配信サーバの構成を示す図である。
【図１８】実施の形態２における受信クライアントの構成を示す図である。
【図１９】実施の形態３における配信サーバの構成を示す図である。
【図２０】実施の形態３における受信クライアントの構成を示す図である。
【図２１】実施の形態４における配信サーバの構成を示す図である。
【図２２】実施の形態４における受信クライアントの構成を示す図である。
【符号の説明】
１ 配信サーバ、２ ＩＰネットワーク、３ 受信クライアント、１０１ ＴＳデータ入力部、１０２ 時間情報記憶部、１０３ ＴＳデータ記憶部、１０４時間情報更新部、１０５ ＰＣＲジャンプ量記憶部、１０６ ＰＣＲ更新部、１０７ ＰＴＳ更新部、１０８ ＤＴＳ更新部、１０９ インデックステーブル受信部、１１０ インデックステーブル記憶部、１１１ ジャンプ命令出力部、１１２ ＰＣＲジャンプ量管理部、１２０ デコーダ、３０１ ジャンプ命令入力部、３０２ ＭＰＥＧデータ記憶部、３０３ ジャンプＴＳデータ取得部、３０４ 再生時間管理部、３０５ ＴＳデータ記憶部、３０６ ＰＣＲジャンプ量管理部、３０７ インデックステーブル記憶部、３０８ ＰＣＲ更新部、３０９ＰＴＳ更新部、３１０ ＤＴＳ更新部、３１１ ＴＳデータ出力部、３１２ 逐次ＴＳデータ取得部、３１３ インデックステーブル送信部、３１４ インデックステーブル記憶部、８０１ 総ＰＣＲジャンプ量、８０２ 転送オリジナルＰＣＲ、１３０１ 転送ＣＣ。
Claims (5)
- 連続再生データから部分データを読み出し、出力する連続再生データ転送装置であって、以下の要素を有することを特徴とする任意位置再生用連続再生データ転送装置
（１）連続再生データから、順次部分データを読み出す逐次部分データ取得部
（２）連続再生データ再生中にジャンプして再生する位置を示す指定時間を伴うジャンプ命令を入力するジャップ命令入力部
（３）ジャンプ命令を入力した場合に、連続再生データから、指定時間に対応する部分データを読み出すジャンプ部分データ取得部
（４）ジャンプ命令を入力した場合に、読み出した部分データの連続再生用制御情報中の時間情報と、ジャンプ前に出力した部分データの連続再生用制御情報中の時間情報との差分を算出し、差分として算出した今回時間情報ジャンプ量を総時間情報ジャンプ量に加えて記憶する時間情報ジャンプ量管理部
（５）総時間情報ジャンプ量に基づいて、読み出した部分データの連続再生用制御情報中の時間情報を更新する時間情報更新部
（６）連続再生用制御情報中の時間情報を更新した部分データを、順次出力する部分データ出力部。 - ＭＰＥＧデータからＴＳパケット群を読み出し、出力するＭＰＥＧデータ転送装置であって、以下の要素を有することを特徴とする任意位置再生用ＭＰＥＧデータ転送装置
（１）ＭＰＥＧデータから、順次ＴＳパケット群を読み出す逐次ＴＳデータ取得部
（２）ＭＰＥＧデータ再生中にジャンプして再生する位置を示す指定時間を伴うジャンプ命令を入力するジャップ命令入力部
（３）ジャンプ命令を入力した場合に、ＭＰＥＧデータから、指定時間に対応するＴＳパケット群を読み出すジャンプＴＳデータ取得部
（４）ジャンプ命令を入力した場合に、読み出したＴＳパケット群により構成されるＧＯＰ（グループオブピクチャ）の制御情報中のＰＣＲ（プログラムクロックリファレンス）、ＰＴＳ（プレゼンテイションタイムスタンプ）、又はＤＴＳ（デコーディングタイムスタンプ）のうち少なくとも一つである時間情報と、ジャンプ前に出力したＴＳパケット群により構成されるＧＯＰの制御情報中の前述と同種の時間情報との差分を算出し、差分として算出した今回時間情報ジャンプ量を総時間情報ジャンプ量に加えて記憶する時間情報ジャンプ量管理部
（５）総時間情報ジャンプ量に基づいてＰＣＲジャンプ量を特定し、読み出したＴＳパケット群により構成されるＧＯＰの制御情報中のＰＣＲから、ＰＣＲジャンプ量を差し引いて更新するＰＣＲ更新部
（６）総時間情報ジャンプ量に基づいてＰＴＳジャンプ量を特定し、読み出したＴＳパケット群により構成されるＧＯＰの制御情報中のＰＴＳから、ＰＴＳジャンプ量を差し引いて更新するＰＴＳ更新部
（７）総時間情報ジャンプ量に基づいてＤＴＳジャンプ量を特定し、読み出したＴＳパケット群により構成されるＧＯＰの制御情報中のＤＴＳから、ＤＴＳジャンプ量を差し引いて更新するＤＴＳ更新部
（８）ＧＯＰの制御情報中のＰＣＲとＰＴＳとＤＴＳを更新したＴＳパケット群を、順次出力するＴＳデータ出力部。 - 総時間情報ジャンプ量は、読み出したＴＳパケット群により構成されるＧＯＰの制御情報中のＰＣＲと、ジャンプ前に出力したＴＳパケット群により構成されるＧＯＰの制御情報中のＰＣＲとの差分である今回ＰＣＲジャンプ量を加えた総ＰＣＲジャンプ量であることを特徴とする請求項２記載の任意位置再生用ＭＰＥＧデータ転送装置。
- ＴＳデータ出力部は、ＴＳパケットの送信の際に、ＣＣの連続する規則性を担保することを特徴とする請求項２記載の任意位置再生用ＭＰＥＧデータ転送装置。
- 連続再生データから部分データを読み出し、出力する任意位置再生用連続再生データ転送装置となるコンピュータに、以下の手順を実行させるためのプログラム
（１）連続再生データから、順次部分データを読み出す手順
（２）連続再生データ再生中にジャンプして再生する位置を示す指定時間を伴うジャンプ命令を入力する手順
（３）ジャンプ命令を入力した場合に、連続再生データから、指定時間に対応する部分データを読み出す手順
（４）ジャンプ命令を入力した場合に、読み出した部分データの連続再生用制御情報中の時間情報と、ジャンプ前に出力した部分データの連続再生用制御情報中の時間情報との差分を算出し、差分として算出した今回時間情報ジャンプ量を総時間情報ジャンプ量に加えて記憶する手順
（５）総時間情報ジャンプ量に基づいて、読み出した部分データの連続再生用制御情報中の時間情報を更新する手順
（６）連続再生用制御情報中の時間情報を更新した部分データを、順次出力する手順。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2003090716A JP3772154B2 (ja) | 2003-03-28 | 2003-03-28 | 任意位置再生用連続再生データ転送装置及び任意位置再生用ｍｐｅｇデータ転送装置及びプログラム |
Applications Claiming Priority (1)
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|---|---|---|---|
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