JP2004296518A - 半導体装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】外部トランジスタを挿入することなく、ソースとドレイン間のリーク電流を低減することができる半導体装置を提供する。
【解決手段】ドレイン電極7とチャネル2aとの間に形成された、例えばn型のチャネル2aの電荷と異なる極性をもつp型の半導体層5により、チャネル2aとドレイン電極7との間に電位障壁が形成され、電位障壁の高さをスイッチ電極8により制御することにより、待機状態におけるソース電極4とドレイン電極7との間のリーク電流を低減することができる。
【選択図】図1
【解決手段】ドレイン電極7とチャネル2aとの間に形成された、例えばn型のチャネル2aの電荷と異なる極性をもつp型の半導体層5により、チャネル2aとドレイン電極7との間に電位障壁が形成され、電位障壁の高さをスイッチ電極8により制御することにより、待機状態におけるソース電極4とドレイン電極7との間のリーク電流を低減することができる。
【選択図】図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体装置に関し、特に、半導体層上にソース電極、ドレイン電極、ゲート電極が形成されたトランジスタを有する半導体装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、携帯電話等の移動体通信システムにおいて端末の小型化及び低消費電力化が強く求められている。そのため、それを構成するトランジスタ等のデバイスにおいても同様な要求がなされている。
【0003】
例えば、現在の移動体通信の柱ともいえるデジタルセルラー用パワーアンプについては、電界効果トランジスタ(FET:Feild Effect Transistor)や2次元電子ガスを電子のチャネル層に用いた高電子移動度トランジスタ(HEMT:High Electron Mobility Transistor)等を複数個用いて構成される。
【0004】
図13は、電界効果トランジスタの一例を示す断面図である。
図13に示す電界効果トランジスタは、例えばGaAsやSiからなる半絶縁性の基板101上に半導体層102が形成され、この半導体層102に例えばn型のチャネル103が形成される。半導体層102上には、ゲート電極105を挟んでソース電極106およびドレイン電極107が形成されている。
【0005】
図14は、高電子移動度トランジスタの一例を示す断面図である。
図14に示す高電子移動度トランジスタは、GaAs等からなる半絶縁性の基板101上に不純物を含有しない半導体層102が形成され、半導体層102の内部には例えばn型のチャネル(層)103が形成され、チャネル103の近傍にn型の電子供給層104が形成されている。半導体層102上には、ゲート電極105を挟んでソース電極106とドレイン電極107が形成されている。
【0006】
図13および図14に示すトランジスタでは、現在、低消費電力化の観点から信号入力がない状態でのソース・ドレイン間のリーク電流が問題になってきている。
【0007】
すなわち、図15に示すように、ドレイン電極107にはドレイン電圧供給回路111によりドレイン電圧Vddが印加され、ソース電極106が接地GNDされている場合に、ゲート電極105にはゲート電圧供給回路110により電圧が印加されていないか、あるいはしきい値電圧Vthよりも低いゲート電圧Vgしか印加されていないにもかかわらず、ソース・ドレイン間に電流が流れてしまうことにより、低消費電力化の妨げとなる。
【0008】
従来、トランジスタのソース・ドレイン間のリーク電流を低減するため、様々な工夫が行われている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1記載の技術では、半導体層内部の構造を工夫することによりリーク電流の低減を図るものである。
【0009】
【特許文献1】
特開2002−190480号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、半導体層内部の不純物領域の濃度等を制御することによるリーク電流の低減には限界がある。そこで、リーク電流の対策として、図16に示すように、ドレイン電圧供給回路111とドレイン電極107との間に、外部トランジスタ113を挿入し、外部トランジスタ113のゲートに接続するスイッチ端子114への電圧印加を制御して、外部トランジスタ113をドレインスイッチとして用いることによって、リーク電流の低減を図る方法が考えられる。
【0011】
外部トランジスタを設けることにより、上記した半導体層内部構造の改良に比して、リーク電流を低減させることができるが、この場合パッケージ面積が大きくなることや、ドレインスイッチ用の外部トランジスタのコストが新たにかかることがデメリットとして生じる。
【0012】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、外部トランジスタを挿入することなく、ソースとドレイン間のリーク電流を低減することができる半導体装置を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明の半導体装置は、チャネルを形成する半導体層上にソース電極およびドレイン電極が形成され、前記ソース電極と前記ドレイン電極との間における前記半導体層上にゲート電極が形成された半導体装置であって、前記ドレイン電極と前記チャネルとの間に形成され、前記チャネルの電荷と異なる極性をもつ電位障壁層と、前記電位障壁層の電位を制御するスイッチ電極とを有する。
【0014】
前記ソース電極と前記ドレイン電極との間隔が、前記ソース電極と前記スイッチ電極との間隔よりも短くなるように前記スイッチ電極が配置されている。
【0015】
前記ゲート電極および前記スイッチ電極が同一の電極材により形成されている。
【0016】
前記半導体層は、前記チャネルが内部に形成され、前記ドレイン電極と前記チャネルとの間に存在する前記半導体層が他の領域に比して薄く形成されている。
【0017】
上記の本発明の半導体装置では、ドレイン電極とチャネルとの間に、チャネルの電荷と異なる極性をもつ電位障壁層が形成されていることから、この電位障壁層によりチャネルの電荷に対する電位障壁が形成され、待機時におけるチャネルとドレイン電極間の電荷の移動が防止される。
そして、電位障壁層の電位を制御するスイッチ電極が設けられていることから、動作時において、スイッチ電極により電位障壁層の電位が制御、すなわち電位障壁層による電位障壁の高さが引き下げられて、チャネルとドレイン電極間の電荷の移動が行われる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の半導体装置の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0019】
第1実施形態
図1は、本実施形態に係る半導体装置の断面図である。
図1に示す半導体装置1は、半絶縁性のGaAs等からなる基板1上に例えばn型のGaAs等からなる半導体層2が形成されており、当該半導体層2にn型のチャネル2aが形成される。半導体層2上には、ゲート電極3およびソース電極4が形成されている。
【0020】
ドレイン電極が形成される領域には、チャネル2aの極性と異なるp型の半導体層(電子障壁層)5が形成され、さらにp型の半導体層5上にn型の半導体層6が形成されており、n型の半導体層6上にドレイン電極7が形成されている。n型半導体層6はドレイン電極7のコンタクト抵抗低減のために設けられている。p型の半導体層5の露出した領域には、スイッチ電極8が形成されている。
【0021】
ゲート電極3およびスイッチ電極8は、同一の電極材により形成されており、例えば、チタンTi、白金Pt、金Auの積層膜により形成される。また、ソース電極4およびドレイン電極7は、同一の電極材により形成されており、例えばAuGeおよびNiの積層膜により形成される。
【0022】
図示した例では、ショットキー障壁ゲート構造(MESFET)を挙げているが、ゲート電極3下の半導体層2内にp型拡散層を形成したpn接合ゲート構造(JFET:JunctionFET)を採用することも可能である。また、GaAsのMESFETの例を挙げたが、基板1としてInPを用い、半導体層2にInAs系半導体を用いてもよい。
【0023】
さらに、化合物半導体のみならずシリコン半導体であってもよい。基板1としてシリコン基板を採用する場合には、半導体層2としてp型の半導体領域を形成することによりn型のチャネル2aが形成される。この場合には、ソース電極4およびドレイン電極7下の半導体層2にn型のソース・ドレイン領域となる不純物領域を形成し、ゲート電極3と半導体層2との間には酸化シリコンからなるゲート絶縁膜を形成することにより実現される。
【0024】
次に、本実施形態に係る半導体装置の動作について、図2を参照して説明する。図2は、図1のA−A’界面のエネルギーバンド図である。
【0025】
ドレイン電極7直下のn型のチャネル2aとp型の半導体層5との間には、pn接合により互いのフェルミ準位が一致することにより、p型の半導体層5はチャネル2aの電子に対して高さVFの電位障壁を形成する。電位障壁の高さVFは、接合する前のn型のチャネル2aとp型の半導体層5とのフェルミ準位の差であり、n型のチャネル2aとp型の半導体層5の不純物濃度によって異なる。ドレイン電極7には、正のドレイン電圧Vddが印加されている状態を示し、このドレイン電圧Vddによりn型の半導体層6のフェルミ準位は上がり、p型の半導体層5のフェルミ準位よりも約Vddの電位差が形成されている。
【0026】
上記の半導体装置のゲート電極3に信号が入力される際には、スイッチ電極8には電位障壁の高さVFを越える正電圧Vが印加され、この結果電子障壁の高さが低くなり(VF−V)、n型のチャネル2aからp型の半導体層5を介してn型の半導体層6へ電子が流れることにより、ソース電極4とドレイン電極7との間に信号電流が流れることとなる。
【0027】
上記の半導体装置のゲート電極3に信号が入力されずに待機状態となっている際には、スイッチ電極8には電位障壁の高さVF以下の正電圧が印加されているか、あるいは電圧が印加されていないことから、電位障壁の存在によりn型のチャネル2aからn型の半導体層6へは電子が流れない。従って、待機状態におけるソース電極4とドレイン電極7との間に流れるリーク電流が低減される。
【0028】
以上のように、本実施形態に係る半導体装置によれば、ドレイン電極7とチャネル2aとの間に形成された、チャネル2aの電荷と異なる極性をもつ半導体層5により、チャネル2aとドレイン電極7との間に電位障壁が形成され、電位障壁の高さをスイッチ電極8により制御することにより、待機状態におけるソース電極4とドレイン電極7との間のリーク電流を低減することができる。
【0029】
このように、p型半導体層6およびスイッチ電極8をドレインスイッチとして用いることにより、外部トランジスタをドレインスイッチとして用いる場合に比べて、同等のリーク電流の低減効果を達成しつつ、低コスト化および小面積化を図ることができる。
【0030】
また、本実施形態では、ソース電極4とドレイン電極7との間隔が、ソース電極4とスイッチ電極8との間隔よりも短くなるようにスイッチ電極8が配置されており、ソース電極4とドレイン電極7との間隔を増大することがないことから、高速化を維持したままリーク電流を低減することができる。なお、スイッチ電極8がゲート電極3とドレイン電極7との間に配置されていてもよく、この場合には高速化の観点からは劣るが、同様にリーク電流の低減の効果を有する。
【0031】
第2実施形態
本実施形態では、第1実施形態で説明したドレインスイッチをHEMTに適用した例について説明する。図3は、本実施形態に係る半導体装置の一例を示す断面図である。
【0032】
図3に示す半導体装置は、例えば半絶縁性のGaAsよりなる基板11上に、不純物が添加されていないundoped−GaAsよりなるバッファ層12を介して、III−V族化合物半導体よりなる障壁層13、n型のチャネル層14および障壁層15が順次積層されている。障壁層15上には、エッチングストッパ層16を介してゲート電極19およびソース電極20が形成されている。
【0033】
ドレイン電極が形成される領域には、エッチングストッパ層16上に、チャネル層14の極性と異なるp型の半導体層(電子障壁層)17が形成され、さらにp型の半導体層17上にn型の半導体層18が形成されており、n型の半導体層18上にドレイン電極21が形成されている。p型の半導体層17の露出した領域には、スイッチ電極22が形成されている。各電極19〜22が形成されていない領域には、絶縁膜23が形成されている。
【0034】
以下、各層について説明する。
障壁層13,15は、チャネル層14を構成する半導体よりも広いバンドギャップを有する半導体で構成されている。例えば、Alx Ga1−x As混晶が好ましく、通常アルミニウム(Al)の組成比は、x=0.2〜0.3である。
【0035】
障壁層13,15は、基本的に不純物を含まない高抵抗層13a,13c,15a,15cにより構成されるが、チャネル層14から約2〜4nm離れた所に、高濃度のn型不純物を含む電子供給層13b,15bを有している。
【0036】
電子供給層13b,15bは、厚さが約4nmでありn型不純物としてシリコン(Si)を1.0×1012〜2.0×1012/cm2 程度添加してある。また、電子供給層13b,15bとチャネル層14との間の不純物を添加していない高抵抗層13c,15cは、2nm程度の厚さを有する。
【0037】
チャネル層14は、ソース電極20とドレイン電極21との間の電流経路であり、障壁層13,15を構成する半導体よりも狭いバンドギャップを有する半導体により構成されている。
例えば、Inx Ga1−x Asが好ましく、通常Inの組成比がx=0.1〜0.2程度の不純物を添加していないundoped−InGaAs混晶により構成される。これにより、チャネル層14には、電子供給層13b,15bから供給された電子が蓄積され、n型のチャネルとなる。
【0038】
エッチングストッパ層16は、p型の半導体層17およびn型の半導体層18を選択エッチングする時に、エッチングを止める役割を果たしている。例えば、半導体層17,18がAlGaAsにより形成されている場合に、エッチングストッパ層16はGaAsにより構成される。
【0039】
ゲート電極19およびスイッチ電極22は、同一の電極材により構成され、基板側からチタン(Ti)、白金(Pt)および金(Au)を順次積層した構成となっている。
【0040】
ソース電極20及びドレイン電極21は、基板側から金ゲルマニウム(AuGe)合金、ニッケル(Ni)を順次積層して構成されており、障壁層15に対しエッチングストッパ層16を介してオーミック接触している。
【0041】
上記の本実施形態に係る半導体装置では、n型のチャネル層14とp型の半導体層17との間に、不純物が添加されていない高抵抗層15aを有するが、価電子帯と伝導体のほぼ真ん中にフェルミ準位をもつ高抵抗層15aを介しても、n型のチャネル層14の電子に対する電位障壁がp型の半導体層17により形成されることは第1実施形態と同様である。従って、第1実施形態と同様にp型の半導体層17により形成される電位障壁により、待機時におけるソース電極20とドレイン電極21との間を流れるリーク電流は低減される。
【0042】
本実施形態に係る半導体装置によれば、第1実施形態と同様に、ドレイン電極21とチャネル層14との間に形成された、チャネル層14の電荷と異なる極性をもつ半導体層17により、チャネル層14とドレイン電極21との間に電位障壁が形成され、電位障壁の高さをスイッチ電極22により制御することにより、待機状態におけるソース電極20とドレイン電極21との間のリーク電流を低減しつつ、トランジスタ動作を行うことができる。
【0043】
このように、p型の半導体層17およびスイッチ電極22をドレインスイッチとして用いることにより、外部トランジスタをドレインスイッチとして用いる場合に比べて、同等のリーク電流の低減効果を達成しつつ、低コスト化および小面積化を図ることができる。
【0044】
なお、本実施形態では、電子供給層13b,15bがチャネル層14の上下にあるダブルヘテロ構造のHEMTについて説明したが、電子供給層14が一つしかないシングルヘテロ構造のHEMTについても同様に適用可能である。
【0045】
図4は、シングルヘテロ構造の半導体装置の一例を示す断面図である。
図4に示すように、図3に示したチャネル層14下の障壁層13は形成されずにバッファ層12上にチャネル層14が形成されている。なお、バッファ層12を設けずに電子供給層をもたない障壁層13を残してもよい。その他の構成については、図3に示した半導体装置と同様である。
【0046】
次に、本実施形態に係る半導体装置の製造方法について、図5〜図7を参照して説明する。なお、一例として図3に示すダブルヘテロ構造のHEMTの製造方法について説明する。
【0047】
まず、図5(a)に示すように、半絶縁性の単結晶GaAsよりなる基板11の上に、例えばMOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法により、不純物を添加しないundoped−GaAsを、3〜5μm程度エピタキシャル成長させてバッファ層12を形成する。
続いて、バッファ層12の上に、MOCVD法により、不純物を添加しないundoped−AlGaAsを、200nm程度エピタキシャル成長させて高抵抗層13aを形成する。続いて、高抵抗層13a上に、例えばMOCVD法により、n型不純物としてシリコンを添加したn型AlGaAsを、約4nm程度エピタキシャル成長させて電子供給層13bを形成する。続いて、電子供給層13b上に、例えばMOCVD法により、不純物を添加しないundoped−AlGaAsを、約2nm程度エピタキシャル成長させて高抵抗層13cを形成する。これにより、障壁層13が形成される。
【0048】
次に、図5(b)に示すように、障壁層13上に、例えばMOCVD法により、不純物を添加しないundoped−InGaAsを、10nm程度エピタキシャル成長させて、チャネル層14を形成する。
続いて、チャネル層14上に、例えばMOCVD法により、不純物を添加しないundoped−AlGaAsを、約2nm程度エピタキシャル成長させて高抵抗層15cを形成する。続いて、高抵抗層15c上に、例えばMOCVD法により、n型不純物としてシリコンを添加したn型AlGaAsを、約4nm程度エピタキシャル成長させて電子供給層15bを形成する。続いて、電子供給層15b上に、例えばMOCVD法により、不純物を添加しないundoped−AlGaAsを、約130nm程度エピタキシャル成長させて高抵抗層15aを形成する。これにより、チャネル層14上に障壁層15が形成される。
【0049】
次に、図6(c)に示すように、障壁層15上に、例えばMOCVD法により、n型不純物としてシリコンを添加したn型GaAsをエピタキシャル成長させて、エッチングストッパ層16を形成する。続いて、エッチングストッパ層16上に、例えばMOCVD法により、p型不純物として亜鉛を添加したp型AlGaAsをエピタキシャル成長させて、p型の半導体層17を形成する。続いて、p型の半導体層17上に、例えばMOCVD法により、n型不純物としてシリコンを添加したn型AlGaAsをエピタキシャル成長させて、n型の半導体層18を形成する。
【0050】
次に、図6(d)に示すように、n型の半導体層18上にフォトリソグラフィ技術により、ドレイン電極およびスイッチ電極を形成する領域を保護する図示しないレジストを形成し、当該レジストをエッチングマスクとして、n型の半導体層18およびp型の半導体層17を選択エッチングする。このとき、エッチングストッパ層16は、エッチングストッパとして機能する。その後、レジストを除去する。
【0051】
次に、図7(e)に示すように、n型の半導体層18およびエッチングストッパ層16上にフォトリソグラフィ技術により、スイッチ電極を形成する領域を開口するレジストを形成し、当該レジストをエッチングマスクとして、n型の半導体層18を選択エッチングする。このとき、p型の半導体層17は、エッチングストッパとして機能する。その後、レジストを除去する。
【0052】
次に、図7(f)に示すように、フォトリソグラフィ技術により、ゲート電極およびスイッチ電極を形成する領域を開口する図示しないレジストを形成し、レジストの開口を含む全面にチタンTi、白金Pt、金Auを順次蒸着し、リフトオフ法により、レジスト上の電極材をレジストとともに除去することにより、ゲート電極19およびスイッチ電極22を形成する。なお、レジストの開口に露出したエッチングストッパ層16を除去した後に電極材を蒸着してもよい。
【0053】
なお、図17(e)と図17(f)に示す工程の間に、通常の化合物系HEMTに用いられているように、ゲート電極下の障壁層15をエッチングして薄膜化するリセスエッチング工程を設けてもよい。あるいは、JHEMT(JunctionHEMT)に用いられているように、ゲート電極の下部にのみp型不純物を注入する不純物ドーピング工程を設けてもよい。
【0054】
以降の工程としては、全面に窒化シリコン等からなる絶縁膜23を堆積させた後、フォトリソグラフィ技術により、ソースおよびドレインとなる領域を開口する図示しないレジストを形成し、レジストの開口に露出した絶縁膜23を除去する。
続いて、レジストの開口を含む全面に金ゲルマニウム合金AuGeおよびニッケルNiを順次蒸着し、リフトオフ法により、レジスト上の電極材をレジストとともに除去する。その後、例えば400°程度の熱処理により合金化させて、ソース電極20およびドレイン電極21を形成する。最後に、ゲート電極19上およびスイッチ電極22上の絶縁膜23をエッチングし、外部とコンタクトを取れるようにすることにより、図3に示す半導体装置が製造される。
【0055】
本実施形態に係る半導体装置の製造方法によれば、基板作製時のエピタキシャル成長段階で、予めp型の半導体層17およびn型の半導体層18を形成し、ゲート電極19と同時にスイッチ電極22を形成することによって、製造工程の増加を抑えつつ、上記した作用をもつドレインスイッチを作製することがでる。
【0056】
第3実施形態
本実施形態では、第1実施形態で説明したドレインスイッチをHEMTに適用した他の例について説明する。図8は、本実施形態に係る半導体装置の一例を示す断面図である。なお、第2実施形態と同一の構成要素には、同一の符号を付しており、その説明は省略する。
【0057】
本実施形態に係る半導体装置では、p型の半導体層17が形成される領域における障壁層15が薄膜化されている。そして、薄膜化された障壁層15上に、第2実施形態と同様のp型の半導体層17、n型の半導体層18、ドレイン電極21およびスイッチ電極22が形成されている。
【0058】
p型の半導体層17が形成された領域を除いて、障壁層15上には例えば窒化シリコンからなる絶縁膜31がゲート電極19およびソース電極20を開口するように形成されている。また、絶縁膜31を含む全面に、各電極19〜22を開口する窒化シリコンからなる絶縁膜32,33が形成されている。
【0059】
上記の本実施形態に係る半導体装置では、ドレイン電極21とチャネル層14との間の障壁層15、特に高抵抗層15aの膜厚が薄膜化されていることから、上記したリーク電流の低減の効果に加えて、高速化および低抵抗化を図ることができる。
【0060】
なお、本実施形態では、電子供給層13b,15bがチャネル層14の上下にあるダブルヘテロ構造のHEMTについて説明したが、電子供給層14が一つしかないシングルヘテロ構造のHEMTについても同様に適用可能である。
【0061】
図9は、シングルヘテロ構造の半導体装置の一例を示す断面図である。
図9に示すように、図8に示したチャネル層14下の障壁層13は形成されずにバッファ層12上にチャネル層14が形成されている。なお、バッファ層12を設けずに電子供給層をもたない障壁層13を残してもよい。その他の構成については、図8に示した半導体装置と同様である。
【0062】
次に、本実施形態に係る半導体装置の製造方法について、図10〜図12を参照して説明する。なお、一例として図8に示すダブルヘテロ構造のHEMTの製造方法について説明する。
【0063】
まず、図10(a)に示すように、半絶縁性の単結晶GaAsよりなる基板11の上に、例えばMOCVD法により、不純物を添加しないundoped−GaAsを、3〜5μm程度エピタキシャル成長させてバッファ層12を形成する。
続いて、バッファ層12の上に、MOCVD法により、不純物を添加しないundoped−AlGaAsを、200nm程度エピタキシャル成長させて高抵抗層13aを形成する。続いて、高抵抗層13a上に、例えばMOCVD法により、n型不純物としてシリコンを添加したn型AlGaAsを、約4nm程度エピタキシャル成長させて電子供給層13bを形成する。続いて、電子供給層13b上に、例えばMOCVD法により、不純物を添加しないundoped−AlGaAsを、約2nm程度エピタキシャル成長させて高抵抗層13cを形成する。これにより、障壁層13が形成される。
【0064】
次に、図10(b)に示すように、障壁層13上に、例えばMOCVD法により、不純物を添加しないundoped−InGaAsを、10nm程度エピタキシャル成長させて、チャネル層14を形成する。
続いて、チャネル層14上に、例えばMOCVD法により、不純物を添加しないundoped−AlGaAsを、約2nm程度エピタキシャル成長させて高抵抗層15cを形成する。続いて、高抵抗層15c上に、例えばMOCVD法により、n型不純物としてシリコンを添加したn型AlGaAsを、約4nm程度エピタキシャル成長させて電子供給層15bを形成する。続いて、電子供給層15b上に、例えばMOCVD法により、不純物を添加しないundoped−AlGaAsを、約130nm程度エピタキシャル成長させて高抵抗層15aを形成する。これにより、チャネル層14上に障壁層15が形成される。
【0065】
次に、図11(c)に示すように、リソグラフィ技術により、ドレイン電極およびスイッチ電極を形成する領域における障壁層15を開口する図示しないレジストを形成し、当該レジストをエッチングマスクとして、障壁層15の高抵抗層15aを薄膜化する。レジストを除去した後、障壁層15の全面に、CVD法により例えば窒化シリコン膜を堆積させて絶縁膜31を形成する。
【0066】
次に、図11(d)に示すように、リソグラフィ技術により、p型半導体層を形成する領域を開口する図示しないレジストを形成し、当該レジストをマスクとして絶縁膜31を除去する。レジストを除去した後、絶縁膜31から露出した障壁層15上に、例えばMOCVD法により、p型不純物として亜鉛を添加したp型AlGaAsを選択的にエピタキシャル成長させて、p型の半導体層17を形成する。続いて、p型の半導体層17上に、例えばMOCVD法により、n型不純物としてシリコンを添加したn型AlGaAsを選択的にエピタキシャル成長させて、n型の半導体層18を形成する。
【0067】
次に、図12(e)に示すように、n型の半導体層18および絶縁膜31上に、フォトリソグラフィ技術により、スイッチ電極を形成する領域を開口する図示しないレジストを形成し、当該レジストをエッチングマスクとして、n型の半導体層18を選択エッチングする。このとき、p型の半導体層17は、エッチングストッパとして機能する。その後、レジストを除去する。
【0068】
次に、図12(f)に示すように、全面に、CVD法により例えば窒化シリコン膜を堆積させて絶縁膜32を形成した後、絶縁膜32上に、フォトリソグラフィ技術により、ゲート電極およびスイッチ電極を形成する領域を開口する図示しないレジストを形成する。
続いて、レジストの開口に露出した絶縁膜32,31をエッチングにより除去した後、レジストの開口を含む全面にチタンTi、白金Pt、金Auを順次蒸着し、リフトオフ法により、レジスト上の電極材をレジストとともに除去することにより、ゲート電極19およびスイッチ電極22を形成する。
【0069】
なお、図12(e)と図12(f)に示す工程の間に、通常の化合物系HEMTに用いられているように、ゲート電極下の障壁層15をエッチングして薄膜化するリセスエッチング工程を設けてもよい。あるいは、JHEMT(JunctionHEMT)に用いられているように、ゲート電極の下部にのみp型不純物を注入する不純物ドーピング工程を設けてもよい。
【0070】
以降の工程としては、全面に窒化シリコン等からなる絶縁膜33を堆積させた後、フォトリソグラフィ技術により、ソースおよびドレインとなる領域を開口する図示しないレジストを形成し、レジストの開口に露出した絶縁膜33,32,31を除去する。
続いて、レジストの開口を含む全面に金ゲルマニウム合金AuGeおよびニッケルNiを順次蒸着し、リフトオフ法により、レジスト上の電極材をレジストとともに除去する。その後、例えば400°程度の熱処理により合金化させて、ソース電極20およびドレイン電極21を形成する。最後に、ゲート電極19上およびスイッチ電極22上の絶縁膜33をエッチングし、外部とコンタクトを取れるようにすることにより、図8に示す半導体装置が製造される。
【0071】
本実施形態に係る半導体装置の製造方法によれば、障壁層15をエッチングにより薄膜化した後、薄膜化した部分の障壁層15上に絶縁膜31を用いて選択的にエピタキシャル成長させてp型の半導体層17およびn型の半導体層18を形成することにより、上記したリーク電流の低減に加え、低抵抗化および高速化を図ることができる半導体装置を作製することができる。
【0072】
本発明は、上記の実施形態の説明に限定されない。例えば、本実施形態ではチャネル(層)2a,14がn型で、電位障壁を形成する半導体層17がp型の例について説明したが、p型のチャネル2a,14についても同様に適用可能である。この場合には、上記の説明において不純物導電型および印加電圧の極性を逆にすることで実現される。また、本実施形態で挙げた材料や数値は一例であり、これに限定されるものではない。
その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の変更が可能である。
【0073】
【発明の効果】
本発明によれば、外部トランジスタを挿入することなく、ソースとドレイン間のリーク電流を低減することができる。従って、外部トランジスタを新たに設ける場合に比べて、低コスト化および小面積化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態に係る半導体装置の一例を示す断面図である。
【図2】図1のA−A’界面のエネルギーバンド図である。
【図3】第2実施形態に係るダブルヘテロ構造の半導体装置の一例を示す断面図である。
【図4】第2実施形態に係るシングルヘテロ構造の半導体装置の一例を示す断面図である。
【図5】第2実施形態に係る半導体装置の製造における工程断面図である。
【図6】第2実施形態に係る半導体装置の製造における工程断面図である。
【図7】第2実施形態に係る半導体装置の製造における工程断面図である。
【図8】第3実施形態に係るダブルヘテロ構造の半導体装置の一例を示す断面図である。
【図9】第3実施形態に係るシングルヘテロ構造の半導体装置の一例を示す断面図である。
【図10】第3実施形態に係る半導体装置の製造における工程断面図である。
【図11】第3実施形態に係る半導体装置の製造における工程断面図である。
【図12】第3実施形態に係る半導体装置の製造における工程断面図である。
【図13】従来の電界効果トランジスタの一例を示す断面図である。
【図14】従来の高電子移動度トランジスタの一例を示す断面図である。
【図15】従来の電界効果トランジスタの問題点であるリーク電流を説明するための図である。
【図16】外部トランジスタを挿入してリーク電流を低減した電界効果トランジスタを説明するための図である。
【符号の説明】
1…基板、2…半導体層、2a…チャネル、3…ゲート電極、4…ソース電極、5…p型の半導体層、6…n型の半導体層、7…ドレイン電極、8…スイッチ電極、11…基板、12…バッファ層、13…障壁層、13a,13c…高抵抗層、13b…電子供給層、14…チャネル層、15…障壁層、15a,15c…高抵抗層、15b…電子供給層、16…エッチングストッパ層、17…p型の半導体層、18…n型の半導体層、19…ゲート電極、20…ソース電極、21…ドレイン電極、22…スイッチ電極、23…絶縁膜、31,32,33…絶縁膜、101…基板、102…半導体層、103…チャネル、104…電子供給層、105…ゲート電極、106…ソース電極、107…ドレイン電極、111…ドレイン電圧供給回路、112…ゲート電圧供給回路、113…外部トランジスタ、114…スイッチ端子。
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体装置に関し、特に、半導体層上にソース電極、ドレイン電極、ゲート電極が形成されたトランジスタを有する半導体装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、携帯電話等の移動体通信システムにおいて端末の小型化及び低消費電力化が強く求められている。そのため、それを構成するトランジスタ等のデバイスにおいても同様な要求がなされている。
【0003】
例えば、現在の移動体通信の柱ともいえるデジタルセルラー用パワーアンプについては、電界効果トランジスタ(FET:Feild Effect Transistor)や2次元電子ガスを電子のチャネル層に用いた高電子移動度トランジスタ(HEMT:High Electron Mobility Transistor)等を複数個用いて構成される。
【0004】
図13は、電界効果トランジスタの一例を示す断面図である。
図13に示す電界効果トランジスタは、例えばGaAsやSiからなる半絶縁性の基板101上に半導体層102が形成され、この半導体層102に例えばn型のチャネル103が形成される。半導体層102上には、ゲート電極105を挟んでソース電極106およびドレイン電極107が形成されている。
【0005】
図14は、高電子移動度トランジスタの一例を示す断面図である。
図14に示す高電子移動度トランジスタは、GaAs等からなる半絶縁性の基板101上に不純物を含有しない半導体層102が形成され、半導体層102の内部には例えばn型のチャネル(層)103が形成され、チャネル103の近傍にn型の電子供給層104が形成されている。半導体層102上には、ゲート電極105を挟んでソース電極106とドレイン電極107が形成されている。
【0006】
図13および図14に示すトランジスタでは、現在、低消費電力化の観点から信号入力がない状態でのソース・ドレイン間のリーク電流が問題になってきている。
【0007】
すなわち、図15に示すように、ドレイン電極107にはドレイン電圧供給回路111によりドレイン電圧Vddが印加され、ソース電極106が接地GNDされている場合に、ゲート電極105にはゲート電圧供給回路110により電圧が印加されていないか、あるいはしきい値電圧Vthよりも低いゲート電圧Vgしか印加されていないにもかかわらず、ソース・ドレイン間に電流が流れてしまうことにより、低消費電力化の妨げとなる。
【0008】
従来、トランジスタのソース・ドレイン間のリーク電流を低減するため、様々な工夫が行われている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1記載の技術では、半導体層内部の構造を工夫することによりリーク電流の低減を図るものである。
【0009】
【特許文献1】
特開2002−190480号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、半導体層内部の不純物領域の濃度等を制御することによるリーク電流の低減には限界がある。そこで、リーク電流の対策として、図16に示すように、ドレイン電圧供給回路111とドレイン電極107との間に、外部トランジスタ113を挿入し、外部トランジスタ113のゲートに接続するスイッチ端子114への電圧印加を制御して、外部トランジスタ113をドレインスイッチとして用いることによって、リーク電流の低減を図る方法が考えられる。
【0011】
外部トランジスタを設けることにより、上記した半導体層内部構造の改良に比して、リーク電流を低減させることができるが、この場合パッケージ面積が大きくなることや、ドレインスイッチ用の外部トランジスタのコストが新たにかかることがデメリットとして生じる。
【0012】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、外部トランジスタを挿入することなく、ソースとドレイン間のリーク電流を低減することができる半導体装置を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明の半導体装置は、チャネルを形成する半導体層上にソース電極およびドレイン電極が形成され、前記ソース電極と前記ドレイン電極との間における前記半導体層上にゲート電極が形成された半導体装置であって、前記ドレイン電極と前記チャネルとの間に形成され、前記チャネルの電荷と異なる極性をもつ電位障壁層と、前記電位障壁層の電位を制御するスイッチ電極とを有する。
【0014】
前記ソース電極と前記ドレイン電極との間隔が、前記ソース電極と前記スイッチ電極との間隔よりも短くなるように前記スイッチ電極が配置されている。
【0015】
前記ゲート電極および前記スイッチ電極が同一の電極材により形成されている。
【0016】
前記半導体層は、前記チャネルが内部に形成され、前記ドレイン電極と前記チャネルとの間に存在する前記半導体層が他の領域に比して薄く形成されている。
【0017】
上記の本発明の半導体装置では、ドレイン電極とチャネルとの間に、チャネルの電荷と異なる極性をもつ電位障壁層が形成されていることから、この電位障壁層によりチャネルの電荷に対する電位障壁が形成され、待機時におけるチャネルとドレイン電極間の電荷の移動が防止される。
そして、電位障壁層の電位を制御するスイッチ電極が設けられていることから、動作時において、スイッチ電極により電位障壁層の電位が制御、すなわち電位障壁層による電位障壁の高さが引き下げられて、チャネルとドレイン電極間の電荷の移動が行われる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の半導体装置の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0019】
第1実施形態
図1は、本実施形態に係る半導体装置の断面図である。
図1に示す半導体装置1は、半絶縁性のGaAs等からなる基板1上に例えばn型のGaAs等からなる半導体層2が形成されており、当該半導体層2にn型のチャネル2aが形成される。半導体層2上には、ゲート電極3およびソース電極4が形成されている。
【0020】
ドレイン電極が形成される領域には、チャネル2aの極性と異なるp型の半導体層(電子障壁層)5が形成され、さらにp型の半導体層5上にn型の半導体層6が形成されており、n型の半導体層6上にドレイン電極7が形成されている。n型半導体層6はドレイン電極7のコンタクト抵抗低減のために設けられている。p型の半導体層5の露出した領域には、スイッチ電極8が形成されている。
【0021】
ゲート電極3およびスイッチ電極8は、同一の電極材により形成されており、例えば、チタンTi、白金Pt、金Auの積層膜により形成される。また、ソース電極4およびドレイン電極7は、同一の電極材により形成されており、例えばAuGeおよびNiの積層膜により形成される。
【0022】
図示した例では、ショットキー障壁ゲート構造(MESFET)を挙げているが、ゲート電極3下の半導体層2内にp型拡散層を形成したpn接合ゲート構造(JFET:JunctionFET)を採用することも可能である。また、GaAsのMESFETの例を挙げたが、基板1としてInPを用い、半導体層2にInAs系半導体を用いてもよい。
【0023】
さらに、化合物半導体のみならずシリコン半導体であってもよい。基板1としてシリコン基板を採用する場合には、半導体層2としてp型の半導体領域を形成することによりn型のチャネル2aが形成される。この場合には、ソース電極4およびドレイン電極7下の半導体層2にn型のソース・ドレイン領域となる不純物領域を形成し、ゲート電極3と半導体層2との間には酸化シリコンからなるゲート絶縁膜を形成することにより実現される。
【0024】
次に、本実施形態に係る半導体装置の動作について、図2を参照して説明する。図2は、図1のA−A’界面のエネルギーバンド図である。
【0025】
ドレイン電極7直下のn型のチャネル2aとp型の半導体層5との間には、pn接合により互いのフェルミ準位が一致することにより、p型の半導体層5はチャネル2aの電子に対して高さVFの電位障壁を形成する。電位障壁の高さVFは、接合する前のn型のチャネル2aとp型の半導体層5とのフェルミ準位の差であり、n型のチャネル2aとp型の半導体層5の不純物濃度によって異なる。ドレイン電極7には、正のドレイン電圧Vddが印加されている状態を示し、このドレイン電圧Vddによりn型の半導体層6のフェルミ準位は上がり、p型の半導体層5のフェルミ準位よりも約Vddの電位差が形成されている。
【0026】
上記の半導体装置のゲート電極3に信号が入力される際には、スイッチ電極8には電位障壁の高さVFを越える正電圧Vが印加され、この結果電子障壁の高さが低くなり(VF−V)、n型のチャネル2aからp型の半導体層5を介してn型の半導体層6へ電子が流れることにより、ソース電極4とドレイン電極7との間に信号電流が流れることとなる。
【0027】
上記の半導体装置のゲート電極3に信号が入力されずに待機状態となっている際には、スイッチ電極8には電位障壁の高さVF以下の正電圧が印加されているか、あるいは電圧が印加されていないことから、電位障壁の存在によりn型のチャネル2aからn型の半導体層6へは電子が流れない。従って、待機状態におけるソース電極4とドレイン電極7との間に流れるリーク電流が低減される。
【0028】
以上のように、本実施形態に係る半導体装置によれば、ドレイン電極7とチャネル2aとの間に形成された、チャネル2aの電荷と異なる極性をもつ半導体層5により、チャネル2aとドレイン電極7との間に電位障壁が形成され、電位障壁の高さをスイッチ電極8により制御することにより、待機状態におけるソース電極4とドレイン電極7との間のリーク電流を低減することができる。
【0029】
このように、p型半導体層6およびスイッチ電極8をドレインスイッチとして用いることにより、外部トランジスタをドレインスイッチとして用いる場合に比べて、同等のリーク電流の低減効果を達成しつつ、低コスト化および小面積化を図ることができる。
【0030】
また、本実施形態では、ソース電極4とドレイン電極7との間隔が、ソース電極4とスイッチ電極8との間隔よりも短くなるようにスイッチ電極8が配置されており、ソース電極4とドレイン電極7との間隔を増大することがないことから、高速化を維持したままリーク電流を低減することができる。なお、スイッチ電極8がゲート電極3とドレイン電極7との間に配置されていてもよく、この場合には高速化の観点からは劣るが、同様にリーク電流の低減の効果を有する。
【0031】
第2実施形態
本実施形態では、第1実施形態で説明したドレインスイッチをHEMTに適用した例について説明する。図3は、本実施形態に係る半導体装置の一例を示す断面図である。
【0032】
図3に示す半導体装置は、例えば半絶縁性のGaAsよりなる基板11上に、不純物が添加されていないundoped−GaAsよりなるバッファ層12を介して、III−V族化合物半導体よりなる障壁層13、n型のチャネル層14および障壁層15が順次積層されている。障壁層15上には、エッチングストッパ層16を介してゲート電極19およびソース電極20が形成されている。
【0033】
ドレイン電極が形成される領域には、エッチングストッパ層16上に、チャネル層14の極性と異なるp型の半導体層(電子障壁層)17が形成され、さらにp型の半導体層17上にn型の半導体層18が形成されており、n型の半導体層18上にドレイン電極21が形成されている。p型の半導体層17の露出した領域には、スイッチ電極22が形成されている。各電極19〜22が形成されていない領域には、絶縁膜23が形成されている。
【0034】
以下、各層について説明する。
障壁層13,15は、チャネル層14を構成する半導体よりも広いバンドギャップを有する半導体で構成されている。例えば、Alx Ga1−x As混晶が好ましく、通常アルミニウム(Al)の組成比は、x=0.2〜0.3である。
【0035】
障壁層13,15は、基本的に不純物を含まない高抵抗層13a,13c,15a,15cにより構成されるが、チャネル層14から約2〜4nm離れた所に、高濃度のn型不純物を含む電子供給層13b,15bを有している。
【0036】
電子供給層13b,15bは、厚さが約4nmでありn型不純物としてシリコン(Si)を1.0×1012〜2.0×1012/cm2 程度添加してある。また、電子供給層13b,15bとチャネル層14との間の不純物を添加していない高抵抗層13c,15cは、2nm程度の厚さを有する。
【0037】
チャネル層14は、ソース電極20とドレイン電極21との間の電流経路であり、障壁層13,15を構成する半導体よりも狭いバンドギャップを有する半導体により構成されている。
例えば、Inx Ga1−x Asが好ましく、通常Inの組成比がx=0.1〜0.2程度の不純物を添加していないundoped−InGaAs混晶により構成される。これにより、チャネル層14には、電子供給層13b,15bから供給された電子が蓄積され、n型のチャネルとなる。
【0038】
エッチングストッパ層16は、p型の半導体層17およびn型の半導体層18を選択エッチングする時に、エッチングを止める役割を果たしている。例えば、半導体層17,18がAlGaAsにより形成されている場合に、エッチングストッパ層16はGaAsにより構成される。
【0039】
ゲート電極19およびスイッチ電極22は、同一の電極材により構成され、基板側からチタン(Ti)、白金(Pt)および金(Au)を順次積層した構成となっている。
【0040】
ソース電極20及びドレイン電極21は、基板側から金ゲルマニウム(AuGe)合金、ニッケル(Ni)を順次積層して構成されており、障壁層15に対しエッチングストッパ層16を介してオーミック接触している。
【0041】
上記の本実施形態に係る半導体装置では、n型のチャネル層14とp型の半導体層17との間に、不純物が添加されていない高抵抗層15aを有するが、価電子帯と伝導体のほぼ真ん中にフェルミ準位をもつ高抵抗層15aを介しても、n型のチャネル層14の電子に対する電位障壁がp型の半導体層17により形成されることは第1実施形態と同様である。従って、第1実施形態と同様にp型の半導体層17により形成される電位障壁により、待機時におけるソース電極20とドレイン電極21との間を流れるリーク電流は低減される。
【0042】
本実施形態に係る半導体装置によれば、第1実施形態と同様に、ドレイン電極21とチャネル層14との間に形成された、チャネル層14の電荷と異なる極性をもつ半導体層17により、チャネル層14とドレイン電極21との間に電位障壁が形成され、電位障壁の高さをスイッチ電極22により制御することにより、待機状態におけるソース電極20とドレイン電極21との間のリーク電流を低減しつつ、トランジスタ動作を行うことができる。
【0043】
このように、p型の半導体層17およびスイッチ電極22をドレインスイッチとして用いることにより、外部トランジスタをドレインスイッチとして用いる場合に比べて、同等のリーク電流の低減効果を達成しつつ、低コスト化および小面積化を図ることができる。
【0044】
なお、本実施形態では、電子供給層13b,15bがチャネル層14の上下にあるダブルヘテロ構造のHEMTについて説明したが、電子供給層14が一つしかないシングルヘテロ構造のHEMTについても同様に適用可能である。
【0045】
図4は、シングルヘテロ構造の半導体装置の一例を示す断面図である。
図4に示すように、図3に示したチャネル層14下の障壁層13は形成されずにバッファ層12上にチャネル層14が形成されている。なお、バッファ層12を設けずに電子供給層をもたない障壁層13を残してもよい。その他の構成については、図3に示した半導体装置と同様である。
【0046】
次に、本実施形態に係る半導体装置の製造方法について、図5〜図7を参照して説明する。なお、一例として図3に示すダブルヘテロ構造のHEMTの製造方法について説明する。
【0047】
まず、図5(a)に示すように、半絶縁性の単結晶GaAsよりなる基板11の上に、例えばMOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法により、不純物を添加しないundoped−GaAsを、3〜5μm程度エピタキシャル成長させてバッファ層12を形成する。
続いて、バッファ層12の上に、MOCVD法により、不純物を添加しないundoped−AlGaAsを、200nm程度エピタキシャル成長させて高抵抗層13aを形成する。続いて、高抵抗層13a上に、例えばMOCVD法により、n型不純物としてシリコンを添加したn型AlGaAsを、約4nm程度エピタキシャル成長させて電子供給層13bを形成する。続いて、電子供給層13b上に、例えばMOCVD法により、不純物を添加しないundoped−AlGaAsを、約2nm程度エピタキシャル成長させて高抵抗層13cを形成する。これにより、障壁層13が形成される。
【0048】
次に、図5(b)に示すように、障壁層13上に、例えばMOCVD法により、不純物を添加しないundoped−InGaAsを、10nm程度エピタキシャル成長させて、チャネル層14を形成する。
続いて、チャネル層14上に、例えばMOCVD法により、不純物を添加しないundoped−AlGaAsを、約2nm程度エピタキシャル成長させて高抵抗層15cを形成する。続いて、高抵抗層15c上に、例えばMOCVD法により、n型不純物としてシリコンを添加したn型AlGaAsを、約4nm程度エピタキシャル成長させて電子供給層15bを形成する。続いて、電子供給層15b上に、例えばMOCVD法により、不純物を添加しないundoped−AlGaAsを、約130nm程度エピタキシャル成長させて高抵抗層15aを形成する。これにより、チャネル層14上に障壁層15が形成される。
【0049】
次に、図6(c)に示すように、障壁層15上に、例えばMOCVD法により、n型不純物としてシリコンを添加したn型GaAsをエピタキシャル成長させて、エッチングストッパ層16を形成する。続いて、エッチングストッパ層16上に、例えばMOCVD法により、p型不純物として亜鉛を添加したp型AlGaAsをエピタキシャル成長させて、p型の半導体層17を形成する。続いて、p型の半導体層17上に、例えばMOCVD法により、n型不純物としてシリコンを添加したn型AlGaAsをエピタキシャル成長させて、n型の半導体層18を形成する。
【0050】
次に、図6(d)に示すように、n型の半導体層18上にフォトリソグラフィ技術により、ドレイン電極およびスイッチ電極を形成する領域を保護する図示しないレジストを形成し、当該レジストをエッチングマスクとして、n型の半導体層18およびp型の半導体層17を選択エッチングする。このとき、エッチングストッパ層16は、エッチングストッパとして機能する。その後、レジストを除去する。
【0051】
次に、図7(e)に示すように、n型の半導体層18およびエッチングストッパ層16上にフォトリソグラフィ技術により、スイッチ電極を形成する領域を開口するレジストを形成し、当該レジストをエッチングマスクとして、n型の半導体層18を選択エッチングする。このとき、p型の半導体層17は、エッチングストッパとして機能する。その後、レジストを除去する。
【0052】
次に、図7(f)に示すように、フォトリソグラフィ技術により、ゲート電極およびスイッチ電極を形成する領域を開口する図示しないレジストを形成し、レジストの開口を含む全面にチタンTi、白金Pt、金Auを順次蒸着し、リフトオフ法により、レジスト上の電極材をレジストとともに除去することにより、ゲート電極19およびスイッチ電極22を形成する。なお、レジストの開口に露出したエッチングストッパ層16を除去した後に電極材を蒸着してもよい。
【0053】
なお、図17(e)と図17(f)に示す工程の間に、通常の化合物系HEMTに用いられているように、ゲート電極下の障壁層15をエッチングして薄膜化するリセスエッチング工程を設けてもよい。あるいは、JHEMT(JunctionHEMT)に用いられているように、ゲート電極の下部にのみp型不純物を注入する不純物ドーピング工程を設けてもよい。
【0054】
以降の工程としては、全面に窒化シリコン等からなる絶縁膜23を堆積させた後、フォトリソグラフィ技術により、ソースおよびドレインとなる領域を開口する図示しないレジストを形成し、レジストの開口に露出した絶縁膜23を除去する。
続いて、レジストの開口を含む全面に金ゲルマニウム合金AuGeおよびニッケルNiを順次蒸着し、リフトオフ法により、レジスト上の電極材をレジストとともに除去する。その後、例えば400°程度の熱処理により合金化させて、ソース電極20およびドレイン電極21を形成する。最後に、ゲート電極19上およびスイッチ電極22上の絶縁膜23をエッチングし、外部とコンタクトを取れるようにすることにより、図3に示す半導体装置が製造される。
【0055】
本実施形態に係る半導体装置の製造方法によれば、基板作製時のエピタキシャル成長段階で、予めp型の半導体層17およびn型の半導体層18を形成し、ゲート電極19と同時にスイッチ電極22を形成することによって、製造工程の増加を抑えつつ、上記した作用をもつドレインスイッチを作製することがでる。
【0056】
第3実施形態
本実施形態では、第1実施形態で説明したドレインスイッチをHEMTに適用した他の例について説明する。図8は、本実施形態に係る半導体装置の一例を示す断面図である。なお、第2実施形態と同一の構成要素には、同一の符号を付しており、その説明は省略する。
【0057】
本実施形態に係る半導体装置では、p型の半導体層17が形成される領域における障壁層15が薄膜化されている。そして、薄膜化された障壁層15上に、第2実施形態と同様のp型の半導体層17、n型の半導体層18、ドレイン電極21およびスイッチ電極22が形成されている。
【0058】
p型の半導体層17が形成された領域を除いて、障壁層15上には例えば窒化シリコンからなる絶縁膜31がゲート電極19およびソース電極20を開口するように形成されている。また、絶縁膜31を含む全面に、各電極19〜22を開口する窒化シリコンからなる絶縁膜32,33が形成されている。
【0059】
上記の本実施形態に係る半導体装置では、ドレイン電極21とチャネル層14との間の障壁層15、特に高抵抗層15aの膜厚が薄膜化されていることから、上記したリーク電流の低減の効果に加えて、高速化および低抵抗化を図ることができる。
【0060】
なお、本実施形態では、電子供給層13b,15bがチャネル層14の上下にあるダブルヘテロ構造のHEMTについて説明したが、電子供給層14が一つしかないシングルヘテロ構造のHEMTについても同様に適用可能である。
【0061】
図9は、シングルヘテロ構造の半導体装置の一例を示す断面図である。
図9に示すように、図8に示したチャネル層14下の障壁層13は形成されずにバッファ層12上にチャネル層14が形成されている。なお、バッファ層12を設けずに電子供給層をもたない障壁層13を残してもよい。その他の構成については、図8に示した半導体装置と同様である。
【0062】
次に、本実施形態に係る半導体装置の製造方法について、図10〜図12を参照して説明する。なお、一例として図8に示すダブルヘテロ構造のHEMTの製造方法について説明する。
【0063】
まず、図10(a)に示すように、半絶縁性の単結晶GaAsよりなる基板11の上に、例えばMOCVD法により、不純物を添加しないundoped−GaAsを、3〜5μm程度エピタキシャル成長させてバッファ層12を形成する。
続いて、バッファ層12の上に、MOCVD法により、不純物を添加しないundoped−AlGaAsを、200nm程度エピタキシャル成長させて高抵抗層13aを形成する。続いて、高抵抗層13a上に、例えばMOCVD法により、n型不純物としてシリコンを添加したn型AlGaAsを、約4nm程度エピタキシャル成長させて電子供給層13bを形成する。続いて、電子供給層13b上に、例えばMOCVD法により、不純物を添加しないundoped−AlGaAsを、約2nm程度エピタキシャル成長させて高抵抗層13cを形成する。これにより、障壁層13が形成される。
【0064】
次に、図10(b)に示すように、障壁層13上に、例えばMOCVD法により、不純物を添加しないundoped−InGaAsを、10nm程度エピタキシャル成長させて、チャネル層14を形成する。
続いて、チャネル層14上に、例えばMOCVD法により、不純物を添加しないundoped−AlGaAsを、約2nm程度エピタキシャル成長させて高抵抗層15cを形成する。続いて、高抵抗層15c上に、例えばMOCVD法により、n型不純物としてシリコンを添加したn型AlGaAsを、約4nm程度エピタキシャル成長させて電子供給層15bを形成する。続いて、電子供給層15b上に、例えばMOCVD法により、不純物を添加しないundoped−AlGaAsを、約130nm程度エピタキシャル成長させて高抵抗層15aを形成する。これにより、チャネル層14上に障壁層15が形成される。
【0065】
次に、図11(c)に示すように、リソグラフィ技術により、ドレイン電極およびスイッチ電極を形成する領域における障壁層15を開口する図示しないレジストを形成し、当該レジストをエッチングマスクとして、障壁層15の高抵抗層15aを薄膜化する。レジストを除去した後、障壁層15の全面に、CVD法により例えば窒化シリコン膜を堆積させて絶縁膜31を形成する。
【0066】
次に、図11(d)に示すように、リソグラフィ技術により、p型半導体層を形成する領域を開口する図示しないレジストを形成し、当該レジストをマスクとして絶縁膜31を除去する。レジストを除去した後、絶縁膜31から露出した障壁層15上に、例えばMOCVD法により、p型不純物として亜鉛を添加したp型AlGaAsを選択的にエピタキシャル成長させて、p型の半導体層17を形成する。続いて、p型の半導体層17上に、例えばMOCVD法により、n型不純物としてシリコンを添加したn型AlGaAsを選択的にエピタキシャル成長させて、n型の半導体層18を形成する。
【0067】
次に、図12(e)に示すように、n型の半導体層18および絶縁膜31上に、フォトリソグラフィ技術により、スイッチ電極を形成する領域を開口する図示しないレジストを形成し、当該レジストをエッチングマスクとして、n型の半導体層18を選択エッチングする。このとき、p型の半導体層17は、エッチングストッパとして機能する。その後、レジストを除去する。
【0068】
次に、図12(f)に示すように、全面に、CVD法により例えば窒化シリコン膜を堆積させて絶縁膜32を形成した後、絶縁膜32上に、フォトリソグラフィ技術により、ゲート電極およびスイッチ電極を形成する領域を開口する図示しないレジストを形成する。
続いて、レジストの開口に露出した絶縁膜32,31をエッチングにより除去した後、レジストの開口を含む全面にチタンTi、白金Pt、金Auを順次蒸着し、リフトオフ法により、レジスト上の電極材をレジストとともに除去することにより、ゲート電極19およびスイッチ電極22を形成する。
【0069】
なお、図12(e)と図12(f)に示す工程の間に、通常の化合物系HEMTに用いられているように、ゲート電極下の障壁層15をエッチングして薄膜化するリセスエッチング工程を設けてもよい。あるいは、JHEMT(JunctionHEMT)に用いられているように、ゲート電極の下部にのみp型不純物を注入する不純物ドーピング工程を設けてもよい。
【0070】
以降の工程としては、全面に窒化シリコン等からなる絶縁膜33を堆積させた後、フォトリソグラフィ技術により、ソースおよびドレインとなる領域を開口する図示しないレジストを形成し、レジストの開口に露出した絶縁膜33,32,31を除去する。
続いて、レジストの開口を含む全面に金ゲルマニウム合金AuGeおよびニッケルNiを順次蒸着し、リフトオフ法により、レジスト上の電極材をレジストとともに除去する。その後、例えば400°程度の熱処理により合金化させて、ソース電極20およびドレイン電極21を形成する。最後に、ゲート電極19上およびスイッチ電極22上の絶縁膜33をエッチングし、外部とコンタクトを取れるようにすることにより、図8に示す半導体装置が製造される。
【0071】
本実施形態に係る半導体装置の製造方法によれば、障壁層15をエッチングにより薄膜化した後、薄膜化した部分の障壁層15上に絶縁膜31を用いて選択的にエピタキシャル成長させてp型の半導体層17およびn型の半導体層18を形成することにより、上記したリーク電流の低減に加え、低抵抗化および高速化を図ることができる半導体装置を作製することができる。
【0072】
本発明は、上記の実施形態の説明に限定されない。例えば、本実施形態ではチャネル(層)2a,14がn型で、電位障壁を形成する半導体層17がp型の例について説明したが、p型のチャネル2a,14についても同様に適用可能である。この場合には、上記の説明において不純物導電型および印加電圧の極性を逆にすることで実現される。また、本実施形態で挙げた材料や数値は一例であり、これに限定されるものではない。
その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の変更が可能である。
【0073】
【発明の効果】
本発明によれば、外部トランジスタを挿入することなく、ソースとドレイン間のリーク電流を低減することができる。従って、外部トランジスタを新たに設ける場合に比べて、低コスト化および小面積化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態に係る半導体装置の一例を示す断面図である。
【図2】図1のA−A’界面のエネルギーバンド図である。
【図3】第2実施形態に係るダブルヘテロ構造の半導体装置の一例を示す断面図である。
【図4】第2実施形態に係るシングルヘテロ構造の半導体装置の一例を示す断面図である。
【図5】第2実施形態に係る半導体装置の製造における工程断面図である。
【図6】第2実施形態に係る半導体装置の製造における工程断面図である。
【図7】第2実施形態に係る半導体装置の製造における工程断面図である。
【図8】第3実施形態に係るダブルヘテロ構造の半導体装置の一例を示す断面図である。
【図9】第3実施形態に係るシングルヘテロ構造の半導体装置の一例を示す断面図である。
【図10】第3実施形態に係る半導体装置の製造における工程断面図である。
【図11】第3実施形態に係る半導体装置の製造における工程断面図である。
【図12】第3実施形態に係る半導体装置の製造における工程断面図である。
【図13】従来の電界効果トランジスタの一例を示す断面図である。
【図14】従来の高電子移動度トランジスタの一例を示す断面図である。
【図15】従来の電界効果トランジスタの問題点であるリーク電流を説明するための図である。
【図16】外部トランジスタを挿入してリーク電流を低減した電界効果トランジスタを説明するための図である。
【符号の説明】
1…基板、2…半導体層、2a…チャネル、3…ゲート電極、4…ソース電極、5…p型の半導体層、6…n型の半導体層、7…ドレイン電極、8…スイッチ電極、11…基板、12…バッファ層、13…障壁層、13a,13c…高抵抗層、13b…電子供給層、14…チャネル層、15…障壁層、15a,15c…高抵抗層、15b…電子供給層、16…エッチングストッパ層、17…p型の半導体層、18…n型の半導体層、19…ゲート電極、20…ソース電極、21…ドレイン電極、22…スイッチ電極、23…絶縁膜、31,32,33…絶縁膜、101…基板、102…半導体層、103…チャネル、104…電子供給層、105…ゲート電極、106…ソース電極、107…ドレイン電極、111…ドレイン電圧供給回路、112…ゲート電圧供給回路、113…外部トランジスタ、114…スイッチ端子。
Claims (4)
- チャネルを形成する半導体層上にソース電極およびドレイン電極が形成され、前記ソース電極と前記ドレイン電極との間における前記半導体層上にゲート電極が形成された半導体装置であって、
前記ドレイン電極と前記チャネルとの間に形成され、前記チャネルの電荷と異なる極性をもつ電位障壁層と、
前記電位障壁層の電位を制御するスイッチ電極と
を有する半導体装置。 - 前記ソース電極と前記ドレイン電極との間隔が、前記ソース電極と前記スイッチ電極との間隔よりも短くなるように前記スイッチ電極が配置されている
請求項1記載の半導体装置。 - 前記ゲート電極および前記スイッチ電極が同一の電極材により形成されている
請求項1記載の半導体装置。 - 前記半導体層は、前記チャネルが内部に形成され、
前記ドレイン電極と前記チャネルとの間に存在する前記半導体層が他の領域に比して薄く形成されている
請求項1記載の半導体装置。
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2003
- 2003-03-25 JP JP2003083425A patent/JP2004296518A/ja not_active Abandoned
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US9564514B2 (en) | 2014-11-21 | 2017-02-07 | International Business Machines Corporation | Reducing direct source-to-drain tunneling in field effect transistors with low effective mass channels |
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