JP2004294123A - インダクタンス算出法及び直流重畳特性算出法 - Google Patents
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Abstract
【課題】特に試作品を製作することなく、かつ少ない計算量で磁性部品のインダクタンス、直流重畳特性を算定できるインダクタンス算出法及び直流重畳特性算出法を提供する。
【解決手段】直流バイアス電流に交流電流が重畳した電流で励磁されて使用される磁性部品21のインダクタンス算出法であって、磁性部品21と同一材質で反磁界係数が極小である形状をした磁性材料の磁束密度B及び磁界Hを測定するBH測定手段と、該磁束密度B、磁界H、及び磁性部品21の形状データ、並びに直流バイアス電流値から磁束を求める磁束算出手段と、(異なる直流バイアス電流値に対する磁束の差)/(直流バイアス電流値の差)を算出し、インダクタンスを求めるインダクタンス算出手段とを具備することを特徴とする。
【選択図】図1
【解決手段】直流バイアス電流に交流電流が重畳した電流で励磁されて使用される磁性部品21のインダクタンス算出法であって、磁性部品21と同一材質で反磁界係数が極小である形状をした磁性材料の磁束密度B及び磁界Hを測定するBH測定手段と、該磁束密度B、磁界H、及び磁性部品21の形状データ、並びに直流バイアス電流値から磁束を求める磁束算出手段と、(異なる直流バイアス電流値に対する磁束の差)/(直流バイアス電流値の差)を算出し、インダクタンスを求めるインダクタンス算出手段とを具備することを特徴とする。
【選択図】図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インダクタンス算出法及び直流重畳特性算出法に関し、例えばスイッチング電源の平滑チョークのように直流バイアス電流に交流電流が重畳した電流で励磁された磁性部品のインダクタンスを計算するインダクタンス算出法及び直流重畳特性算出法に関するものである。
【0002】
【従来技術】
従来のインダクタンス算出法として、
直流バイアス電流に交流電流が重畳した電流で励磁された磁性部品のインダクタンスを算出する際に、磁性部品と同一材質で反磁界係数が極小である形状をした磁性材料の初磁化特性に基づいて磁性部品の直流バイアス電流成分に対する磁束密度(Bdc)を算出する第1磁束密度算出手段;
第1磁束密度算出手段が算出した磁束密度(Bdc)と磁性材料13の増分透磁率(μ)に基づいて材料定数を決定する定数決定手段;
材料定数に基づいて磁性部品の交流電流成分に対する磁束密度(Bac)を算出する第2磁束密度算出手段;
および、第2磁束密度算出手段が算出した磁束密度(Bac)に基づいて磁性部品3のインダクタンス(L)を算出する計算手段;
を具備するインダクタンス算出法が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
この特許文献1のインダクタンス算出法によれば、磁性部品と同一材質で反磁界係数が極小である形状をした磁性材料の初磁化特性から算出された磁性部品の直流バイアス電流成分に対する磁束密度(Bdc)と磁性材料の増分透磁率(μ)に基づいて材料定数を決定し、材料定数から算出された磁性部品の交流電流成分に対する磁束密度(Bac)に基づいて磁性部品のインダクタンス(L)を算出するため、1個の磁性材料により任意の形状をした磁性部品の直流重畳特性を特に磁性部品を試作することなく精度よく算出でき、試作費用および試作期間が短縮されると記載されている。
【0004】
また、1回の計算が小型計算機でも比較的短時間に行えるため複数の材質特性,形状に関して計算水準を設けることができ、機器の設計上必要とされる所定の直流重畳特性に対し最適な材質,形状を決定しうると記載されている。
【0005】
【特許文献1】
特開2003−17779号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特許文献1に記載されたインダクタンス算出法では、インダクダンスを算出するのに未だ計算量が多く、時間がかかるという問題があった。
【0007】
即ち、従来、直流バイアス電流に交流電流が重畳した電流で励磁されて使用される磁性部品のインダクタンスは、交流電流成分による磁束を用いなければ算出できないものと考えられており、このため、直流バイアス電流成分による磁束と、交流電流成分による磁束を求め、インダクタンスを算出していた。従って、インダクタンスを算出するには、直流バイアス電流成分による磁束と、交流電流成分による磁束を求める計算が必要となり、計算量が多く、磁性部品のインダクタンス、直流重畳特性を算定することが困難であった。
【0008】
本発明は、特に試作品を製作することなく、かつ少ない計算量で磁性部品のインダクタンス、直流重畳特性を算定できるインダクタンス算出法及び直流重畳特性算出法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題に対して、本発明者等は鋭意検討した結果、近年の磁性部品は1MHz以上の高周波領域で使用され、ますます小型化されており、このような高周波で用いられる小型の磁性部品では、印加される電磁波の波長が磁性部品の最大長さよりも充分に大きくなってきており、このような条件の磁性部品では、インダクタンスを算出するに際し、従来から算出されていた、直流バイアス電流成分のみによる磁束を求め、即ち、異なる直流バイアス電流値に対するそれぞれの磁束を求め、(異なる直流バイアス電流値に対する磁束の差)/(直流バイアス電流値の差)を算出し、インダクタンスを求めることができることを見出し、また、このように計算量を少なくしてインダクタンスを求めた場合でも、実測値に極めて近いインダクタンスが得られることを見出し、本発明に至った。
【0010】
即ち、本発明のインダクタンス算出法は、直流バイアス電流に交流電流が重畳した電流で励磁されて使用される磁性部品のインダクタンス算出法であって、
磁性部品と同一材質で反磁界係数が極小である形状をした磁性材料の磁束密度B及び磁界Hを測定するBH測定手段と、
該磁束密度B、磁界H、及び前記磁性部品の形状データ、並びに直流バイアス電流値から磁束を求める磁束算出手段と、
(異なる直流バイアス電流値に対する磁束の差)/(直流バイアス電流値の差)を算出し、インダクタンスを求めるインダクタンス算出手段とを具備することを特徴とする。
【0011】
このようなインダクタンス算出法では、従来、算出されていた直流バイアス電流値に対する磁束のみを用いて、インダクタンスを求めることができるため、従来のように、交流電流値による磁束を算出する必要がなく、このため、インダクタンス算出精度を低下させることなく、インダクタンスを算出するための計算量を大幅に低減できる。
【0012】
さらに、本発明のインダクタンス算出法は、磁性部品は、磁界に対する磁束密度が非線形の材料からなることを特徴とする。磁界に対する磁束密度が非線形の材料からなる磁性部品のインダクタンスを算出する場合は、その計算量が多くなるが、本発明のインダクタンス算出法によれば、計算量を著しく低減できる。
【0013】
本発明の直流重畳特性算出法は、直流バイアス電流に交流電流が重畳した電流で励磁されて使用される磁性部品の直流重畳特性算出法であって、
磁性部品と同一材質で反磁界係数が極小である形状をした磁性材料の磁束密度B及び磁界Hを測定するBH測定手段と、
該磁束密度B、磁界H、及び前記磁性部品の形状データ、並びに直流バイアス電流値から磁束を求める第1磁束算出手段と、
直流バイアス電流値を変化させた時の磁束を求める第2磁束算出手段と、
(第2磁束算出手段で求めた磁束−第1磁束算出手段で求めた磁束)/(第2磁束算出手段の直流バイアス電流値−第1磁束算出手段の直流バイアス電流値)を算出し、インダクタンスを求めるインダクタンス算出手段と、
前記第2磁束算出手段で求めた磁束を第1磁束算出手段で求めた磁束とし、前記第2磁束算出手段から前記インダクタンス算出手段を繰り返して前記磁性部品の直流重畳特性を求める手段とを具備することを特徴とする。
【0014】
このような直流重畳特性算出法では、上記したように、インダクタンスを算出するために要する計算量を大幅に低減できるため、直流重畳特性(直流バイアス電流に対するインダクタンス)を容易にかつ簡単に得ることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、図1を基に本発明の直流重畳特性算出法を説明する。先ず、図2に示すトロイダルコアの直流重畳特性をある周波数で測定する。図2において、符号11はコア、符号12は巻線である。この後、以下の手法でトロイダルコアの直流重畳特性を、その磁性体の任意周波数でのB−H曲線に変換する。
【0016】
これには、定常または準定常磁界計算を行うが、そのためにマックスウェル方程式から電界や磁界の時間変化の項を取り除き、かつ電界を0にした近似をする。
【0017】
つまり、マックスウェル方程式
dDi/dt + Ii = (rot H)i ・・・(1)
ここで、Di:電束密度ベクトル(単位As)、d/dt:時間に関する偏微分、Ii:電流密度ベクトル(単位A/m/m)、ここで、rot Hとは、磁場ベクトルの回転であり、
【数1】
【0018】
を意味し、iとはベクトルの成分を意味し、x、y、zのいずれかである。
【0019】
式(1)の左辺一項目の電束密度ベクトルの特徴的な時間変化が右辺の磁界の特徴的な空間変化よりも圧倒的に小さいとして左辺一項目を無視する。この近似は現実のインダクタンス解析において非常に妥当な近似である。
【0020】
またこの近似は、交流電流の周波数から算出される電磁波の波長が、磁性部品の最大長さよりも遥かに長いという仮定と同等である。尚、電磁波の波長λは、交流周波数fと真空中の光速cから、λ=c/fで算出される。
【0021】
その電磁波の波長は、磁性部品の最大長さに当該磁性体の比透磁率(μr)の平方根を乗算した値より長いことが望ましい。
【0022】
式(1)の左辺を一項目を無視すると式(1)は
Ii = (rot H)i ・・・(2)
となる。
【0023】
式(2)をトロイダルリングコアの周を境界とする面に関して面積分すると
Σi∫Ji(ds)i = Σi∫(rot H)i(ds)i ・・・(3)
となる。ここで、ΣiJi(ds)i:電流密度ベクトルと面密度ベクトルの内積である。
【0024】
式(3)の右辺にストークスの定理を用いると
Σi∫Ji(ds)i = Σi∫Hi(dl)i ・・・(4)
となる。ここで、(dl)i:トロイダルリングコアの一周に沿った線積分である。
【0025】
式(4)の左辺はトロイダルリングコアに囲まれた面を貫通する全電流である。
【0026】
また、トロイダルリングコアの場合、常にその断面が一定形状でかつ一定面積であるので、磁場ベクトルの大きさは一定であり、方向はトロイダルリングコアの周方向である。
【0027】
よって、式(4)は
n×I= H×π×D ・・・(5)
と簡略化できる。ここで、n:トロイダルコアの銅線の単位長さ当たりの巻数、I:銅線を流れる電流(A)、D:トロイダルコアの平均直径(m)である。また、磁場Hは電流Iの方向に右ねじをまわしたときにねじが進む方向である。
【0028】
一方、トロイダルコア中を貫通する磁束に関しても、その断面が一定形状、一定面積の為
Φ=n×π×D×S×B ・・・(6)
と表せる。ここで、Φ:磁束(Wb)、S:トロイダルコアの断面積(m×m)、B:磁束密度(Wb/m/m =T)である。磁束密度Bと磁場Hは同じ方向を持っている。
【0029】
インダクタンスはその定義から
L=dΦ/dI ・・・(7)
である。ここで、L:インダクタンス(H/m)である。
【0030】
式(5)と式(6)を使うと(7)式は
L=n×n×S×dB/dH ・・・(8)
と表せ、インダクタンスとB−H曲線の傾きが比例する事を示している。
【0031】
トロイダルコアの直流重畳特性はインダクタンスの交流電流に重畳した直流バイアス電流に対する依存性を示すものなので、
L=L(I) ・・・(9)
である。
【0032】
式(5)から電流値は磁界に比例しているので
L=L(π×D×H/n) ・・・(10)
と表せる。
【0033】
式(8)と式(10)から
dB/dH=dB/dH(H) ・・・(11)
となり、Hと透磁率dB/dHの関係を示すグラフ(図3)が描ける。
【0034】
ここで、HとBの方向は一致していると仮定する。つまり、異方性が少ない磁性材料に関して成り立つ式である。
【0035】
このグラフから、一個の未知数を残しB−H曲線が描けることになる。
【0036】
この一個の未知数は残留磁化が大きくないような一般の場合には、H=0でB=0になるように決めても問題ない。
【0037】
また、式(1)では交流電流の周波数が小さいとした近似を利用しているが、その場合でも磁性部品の物性値としては一般的に周波数に依存しており、その依存性はトロイダルコアの直流重畳特性の測定値に現れる。
【0038】
以上のようにして、図4に示すような、トロイダルコアのB−H曲線が得られる。
【0039】
次に、適当な磁性体コアの形状データを読み込む。この後、銅線一本当たりの直流バイアス電流値Iiを入力する。上記で求めたB−H曲線とIiを入力として静磁界計算を行うためには、下記式(12)、(13)、(14)の連立方程式を使う。
【0040】
直流バイアス電流成分に対する磁束は次の式を使って求める事ができる。
【0041】
Ii=(rot H)i・・・(12)
ここで、i=x、y、zであり、Hi:磁場ベクトル(単位はA/m)
Bi=μ(|Hi|)×Hi・・・(13)
ここで、Bi:磁束密度ベクトル(単位はWb/m2)、μ(|Hi|):透磁率、||は絶対値を意味する。つまり、透磁率μが略磁場の絶対値のみに依存する非線型磁性体を扱う。逆に、透磁率が磁場の方向にも依存する場合は、異方性を持つという。
【0042】
(div B)=0・・・(14)
つまり、Iiを与えて、(12)、(13)、(14)式を連立させて、未知量HiとBiを求めるという事である。
【0043】
しかし、(12)、(13)、(14)式は一般の形状を有する磁性体の場合、これを直接解くことは極めて困難である。そこで差分法あるいは有限要素法を用いて解く。これにより、コイルを貫通する磁束密度Bが求まり、それを巻線が境界であるような断面(断面積S)で積分し、コイルの巻数Tnを乗算すれば磁束が求まる。すなわち、
Φ=Tn×S×B ...(15)
である。
【0044】
上記したように、式(12)、(13)、(14)により磁束密度Biと磁場 Hiの分布が求まる。
【0045】
磁束密度 Biを巻線を貫通した面積で積分すると磁束Φが得られる。銅線に流す電流Iの場合の磁束をΦとし、電流(I+ΔI)の場合の磁束をΦ(I+ΔI)とすると、インダクタンスLは
L=(Φ(I+ΔI)―Φ(I))/ΔI...(16)
となる。
【0046】
次に、インダクタンスの直流バイアス電流依存性である直流重畳特性を求めるには、以下のように行なう。ある直流バイアス電流値をInとし、その時の磁束をΦnとすると、そこでのインダクタンスLnは式(11)から
Ln=(Φn―Φn−1)/(In―In−1) ...(17)
と表せる。つまり、様々な直流バイアス電流値に対して磁束を求め、隣有った直流バイアス電流値でのそれぞれの磁束の増分を計算すれば、インダクタンスになる。この方法で計算すれば、図5に示すように、低直流バイアス電流値ではインダクタンスLは一定を保つが、直流バイアス電流値Iを増加させるとインダクタンスが低くなっていく事がわかる。これは、磁束が直流バイアス電流値に比例しなくなったことによる。
【0047】
例えば、インダクタンスが低直流バイアス電流値でのインダクタンスLに対してk%にまで低下する直流バイアス電流値が知りたいという目的であれば、式(16)を使ってインダクタンスがk%以下に低下するまで、直流バイアス電流値を少しずつ増加させながら計算を続ける。そうすれば、インダクタンスがk%低下するまでの、インダクタンスと直流バイアス電流値の関係を表すグラフ(図6)が求まることとなり、そこからk%低下する直流バイアス電流値がわかる。k%に成る直流バイアス電流値が分からなくとも、k%のインダクタンス値を2つの挟む隣有ったインダクタンス値を与える、2つの隣り合った直流バイアス電流値を適当に内挿して求めればいい。
【0048】
同じ事を磁性体コア形状を変化させつつ繰り返せば、それらに対する直流重畳特性が計算でき、最適形状を探索できる。
【0049】
【実施例】
先ず、図2のトロイダルリングコアの直流重畳特性の測定をした。トロイダルリングコアは断面が2mm×1mmの長方形で、一周が10mmであり、それには巻線が11回巻かれているとする。トロイダルリングコアの直流重畳特性はインピーダンスアナライザーにより測定する。周波数特性と温度特性も測定できる。
【0050】
上記で測定した直流重畳特性から式(15)を使いB−H曲線を算出する。この際、B−H曲線は原点から始まると仮定する。B−H曲線を図4に示す。
【0051】
図7に、インダクタンスを算出する磁性部品21のコアの形状を示す。磁性部品21は、ドラム形状をしており、図7において、符号21aが芯、符号21b、21cが鍔、符号22が銅線であり、この図では、鍔部軸対称形状をしており、高さが2.5mm、上下鍔径が6.8mm、上下鍔厚みが0.55mm、また芯径が2.8mmである。巻線数は28である。
【0052】
B−H曲線と磁性体コアの形状、それにそのコアに巻きつけたコイルに流す直流バイアス電流値を入力として、式(12)、(13)、(14)を数値的に解き、磁束密度分布を求め、この磁束密度分布からコイルを貫通する磁束を求める。
【0053】
コイルに流す直流バイアス電流値を△I毎に変えて、同じ計算を繰り返し、上記したように、直流重畳特性を算出した。その結果を図8に示す。比較の為に実測値も記載した。小電流のインダクタンス(所謂インダクタンス)に関しては1%程度の誤差であり、インダクタンスが10%劣化する電流値は0.1A程度の誤差で一致している。
【0054】
【発明の効果】
本発明の直流重畳特性算出法は、トロイダルコア等の一定断面を有する閉磁路コアでの直流重畳特性を使って、同じ周波数での直流重畳特性を任意の形状のコアで計算する事ができる。また、電磁場計算はコイルに流す交流電流の周波数から換算される電磁波の波長が、コイルの典型的なサイズに対して桁違い大きい場合には、静磁場を仮定する事が可能となり、通常の電磁場解析よりも計算時間を短縮できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の直流重畳特性算出法を示すフローチャートである。
【図2】B−H曲線の測定に使うトロイダルリングコアの斜視図である。
【図3】図2のトロイダルリングコアの磁場(H)と透磁率(dB/dH)のグラフ
【図4】図2のトロイダルリングコアのB−H曲線のグラフである。
【図5】磁性部品の直流重畳特性のグラフである。
【図6】磁性部品の直流重畳特性のグラフである。
【図7】ドラムコアの軸対称断面図である。
【図8】ドラムコアの直流重畳特性実測値とシミュレーション値のグラフである。
【符号の説明】
11・・・トロイダルリングコア
21・・・磁性部品
【発明の属する技術分野】
本発明は、インダクタンス算出法及び直流重畳特性算出法に関し、例えばスイッチング電源の平滑チョークのように直流バイアス電流に交流電流が重畳した電流で励磁された磁性部品のインダクタンスを計算するインダクタンス算出法及び直流重畳特性算出法に関するものである。
【0002】
【従来技術】
従来のインダクタンス算出法として、
直流バイアス電流に交流電流が重畳した電流で励磁された磁性部品のインダクタンスを算出する際に、磁性部品と同一材質で反磁界係数が極小である形状をした磁性材料の初磁化特性に基づいて磁性部品の直流バイアス電流成分に対する磁束密度(Bdc)を算出する第1磁束密度算出手段;
第1磁束密度算出手段が算出した磁束密度(Bdc)と磁性材料13の増分透磁率(μ)に基づいて材料定数を決定する定数決定手段;
材料定数に基づいて磁性部品の交流電流成分に対する磁束密度(Bac)を算出する第2磁束密度算出手段;
および、第2磁束密度算出手段が算出した磁束密度(Bac)に基づいて磁性部品3のインダクタンス(L)を算出する計算手段;
を具備するインダクタンス算出法が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
この特許文献1のインダクタンス算出法によれば、磁性部品と同一材質で反磁界係数が極小である形状をした磁性材料の初磁化特性から算出された磁性部品の直流バイアス電流成分に対する磁束密度(Bdc)と磁性材料の増分透磁率(μ)に基づいて材料定数を決定し、材料定数から算出された磁性部品の交流電流成分に対する磁束密度(Bac)に基づいて磁性部品のインダクタンス(L)を算出するため、1個の磁性材料により任意の形状をした磁性部品の直流重畳特性を特に磁性部品を試作することなく精度よく算出でき、試作費用および試作期間が短縮されると記載されている。
【0004】
また、1回の計算が小型計算機でも比較的短時間に行えるため複数の材質特性,形状に関して計算水準を設けることができ、機器の設計上必要とされる所定の直流重畳特性に対し最適な材質,形状を決定しうると記載されている。
【0005】
【特許文献1】
特開2003−17779号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特許文献1に記載されたインダクタンス算出法では、インダクダンスを算出するのに未だ計算量が多く、時間がかかるという問題があった。
【0007】
即ち、従来、直流バイアス電流に交流電流が重畳した電流で励磁されて使用される磁性部品のインダクタンスは、交流電流成分による磁束を用いなければ算出できないものと考えられており、このため、直流バイアス電流成分による磁束と、交流電流成分による磁束を求め、インダクタンスを算出していた。従って、インダクタンスを算出するには、直流バイアス電流成分による磁束と、交流電流成分による磁束を求める計算が必要となり、計算量が多く、磁性部品のインダクタンス、直流重畳特性を算定することが困難であった。
【0008】
本発明は、特に試作品を製作することなく、かつ少ない計算量で磁性部品のインダクタンス、直流重畳特性を算定できるインダクタンス算出法及び直流重畳特性算出法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題に対して、本発明者等は鋭意検討した結果、近年の磁性部品は1MHz以上の高周波領域で使用され、ますます小型化されており、このような高周波で用いられる小型の磁性部品では、印加される電磁波の波長が磁性部品の最大長さよりも充分に大きくなってきており、このような条件の磁性部品では、インダクタンスを算出するに際し、従来から算出されていた、直流バイアス電流成分のみによる磁束を求め、即ち、異なる直流バイアス電流値に対するそれぞれの磁束を求め、(異なる直流バイアス電流値に対する磁束の差)/(直流バイアス電流値の差)を算出し、インダクタンスを求めることができることを見出し、また、このように計算量を少なくしてインダクタンスを求めた場合でも、実測値に極めて近いインダクタンスが得られることを見出し、本発明に至った。
【0010】
即ち、本発明のインダクタンス算出法は、直流バイアス電流に交流電流が重畳した電流で励磁されて使用される磁性部品のインダクタンス算出法であって、
磁性部品と同一材質で反磁界係数が極小である形状をした磁性材料の磁束密度B及び磁界Hを測定するBH測定手段と、
該磁束密度B、磁界H、及び前記磁性部品の形状データ、並びに直流バイアス電流値から磁束を求める磁束算出手段と、
(異なる直流バイアス電流値に対する磁束の差)/(直流バイアス電流値の差)を算出し、インダクタンスを求めるインダクタンス算出手段とを具備することを特徴とする。
【0011】
このようなインダクタンス算出法では、従来、算出されていた直流バイアス電流値に対する磁束のみを用いて、インダクタンスを求めることができるため、従来のように、交流電流値による磁束を算出する必要がなく、このため、インダクタンス算出精度を低下させることなく、インダクタンスを算出するための計算量を大幅に低減できる。
【0012】
さらに、本発明のインダクタンス算出法は、磁性部品は、磁界に対する磁束密度が非線形の材料からなることを特徴とする。磁界に対する磁束密度が非線形の材料からなる磁性部品のインダクタンスを算出する場合は、その計算量が多くなるが、本発明のインダクタンス算出法によれば、計算量を著しく低減できる。
【0013】
本発明の直流重畳特性算出法は、直流バイアス電流に交流電流が重畳した電流で励磁されて使用される磁性部品の直流重畳特性算出法であって、
磁性部品と同一材質で反磁界係数が極小である形状をした磁性材料の磁束密度B及び磁界Hを測定するBH測定手段と、
該磁束密度B、磁界H、及び前記磁性部品の形状データ、並びに直流バイアス電流値から磁束を求める第1磁束算出手段と、
直流バイアス電流値を変化させた時の磁束を求める第2磁束算出手段と、
(第2磁束算出手段で求めた磁束−第1磁束算出手段で求めた磁束)/(第2磁束算出手段の直流バイアス電流値−第1磁束算出手段の直流バイアス電流値)を算出し、インダクタンスを求めるインダクタンス算出手段と、
前記第2磁束算出手段で求めた磁束を第1磁束算出手段で求めた磁束とし、前記第2磁束算出手段から前記インダクタンス算出手段を繰り返して前記磁性部品の直流重畳特性を求める手段とを具備することを特徴とする。
【0014】
このような直流重畳特性算出法では、上記したように、インダクタンスを算出するために要する計算量を大幅に低減できるため、直流重畳特性(直流バイアス電流に対するインダクタンス)を容易にかつ簡単に得ることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、図1を基に本発明の直流重畳特性算出法を説明する。先ず、図2に示すトロイダルコアの直流重畳特性をある周波数で測定する。図2において、符号11はコア、符号12は巻線である。この後、以下の手法でトロイダルコアの直流重畳特性を、その磁性体の任意周波数でのB−H曲線に変換する。
【0016】
これには、定常または準定常磁界計算を行うが、そのためにマックスウェル方程式から電界や磁界の時間変化の項を取り除き、かつ電界を0にした近似をする。
【0017】
つまり、マックスウェル方程式
dDi/dt + Ii = (rot H)i ・・・(1)
ここで、Di:電束密度ベクトル(単位As)、d/dt:時間に関する偏微分、Ii:電流密度ベクトル(単位A/m/m)、ここで、rot Hとは、磁場ベクトルの回転であり、
【数1】
【0018】
を意味し、iとはベクトルの成分を意味し、x、y、zのいずれかである。
【0019】
式(1)の左辺一項目の電束密度ベクトルの特徴的な時間変化が右辺の磁界の特徴的な空間変化よりも圧倒的に小さいとして左辺一項目を無視する。この近似は現実のインダクタンス解析において非常に妥当な近似である。
【0020】
またこの近似は、交流電流の周波数から算出される電磁波の波長が、磁性部品の最大長さよりも遥かに長いという仮定と同等である。尚、電磁波の波長λは、交流周波数fと真空中の光速cから、λ=c/fで算出される。
【0021】
その電磁波の波長は、磁性部品の最大長さに当該磁性体の比透磁率(μr)の平方根を乗算した値より長いことが望ましい。
【0022】
式(1)の左辺を一項目を無視すると式(1)は
Ii = (rot H)i ・・・(2)
となる。
【0023】
式(2)をトロイダルリングコアの周を境界とする面に関して面積分すると
Σi∫Ji(ds)i = Σi∫(rot H)i(ds)i ・・・(3)
となる。ここで、ΣiJi(ds)i:電流密度ベクトルと面密度ベクトルの内積である。
【0024】
式(3)の右辺にストークスの定理を用いると
Σi∫Ji(ds)i = Σi∫Hi(dl)i ・・・(4)
となる。ここで、(dl)i:トロイダルリングコアの一周に沿った線積分である。
【0025】
式(4)の左辺はトロイダルリングコアに囲まれた面を貫通する全電流である。
【0026】
また、トロイダルリングコアの場合、常にその断面が一定形状でかつ一定面積であるので、磁場ベクトルの大きさは一定であり、方向はトロイダルリングコアの周方向である。
【0027】
よって、式(4)は
n×I= H×π×D ・・・(5)
と簡略化できる。ここで、n:トロイダルコアの銅線の単位長さ当たりの巻数、I:銅線を流れる電流(A)、D:トロイダルコアの平均直径(m)である。また、磁場Hは電流Iの方向に右ねじをまわしたときにねじが進む方向である。
【0028】
一方、トロイダルコア中を貫通する磁束に関しても、その断面が一定形状、一定面積の為
Φ=n×π×D×S×B ・・・(6)
と表せる。ここで、Φ:磁束(Wb)、S:トロイダルコアの断面積(m×m)、B:磁束密度(Wb/m/m =T)である。磁束密度Bと磁場Hは同じ方向を持っている。
【0029】
インダクタンスはその定義から
L=dΦ/dI ・・・(7)
である。ここで、L:インダクタンス(H/m)である。
【0030】
式(5)と式(6)を使うと(7)式は
L=n×n×S×dB/dH ・・・(8)
と表せ、インダクタンスとB−H曲線の傾きが比例する事を示している。
【0031】
トロイダルコアの直流重畳特性はインダクタンスの交流電流に重畳した直流バイアス電流に対する依存性を示すものなので、
L=L(I) ・・・(9)
である。
【0032】
式(5)から電流値は磁界に比例しているので
L=L(π×D×H/n) ・・・(10)
と表せる。
【0033】
式(8)と式(10)から
dB/dH=dB/dH(H) ・・・(11)
となり、Hと透磁率dB/dHの関係を示すグラフ(図3)が描ける。
【0034】
ここで、HとBの方向は一致していると仮定する。つまり、異方性が少ない磁性材料に関して成り立つ式である。
【0035】
このグラフから、一個の未知数を残しB−H曲線が描けることになる。
【0036】
この一個の未知数は残留磁化が大きくないような一般の場合には、H=0でB=0になるように決めても問題ない。
【0037】
また、式(1)では交流電流の周波数が小さいとした近似を利用しているが、その場合でも磁性部品の物性値としては一般的に周波数に依存しており、その依存性はトロイダルコアの直流重畳特性の測定値に現れる。
【0038】
以上のようにして、図4に示すような、トロイダルコアのB−H曲線が得られる。
【0039】
次に、適当な磁性体コアの形状データを読み込む。この後、銅線一本当たりの直流バイアス電流値Iiを入力する。上記で求めたB−H曲線とIiを入力として静磁界計算を行うためには、下記式(12)、(13)、(14)の連立方程式を使う。
【0040】
直流バイアス電流成分に対する磁束は次の式を使って求める事ができる。
【0041】
Ii=(rot H)i・・・(12)
ここで、i=x、y、zであり、Hi:磁場ベクトル(単位はA/m)
Bi=μ(|Hi|)×Hi・・・(13)
ここで、Bi:磁束密度ベクトル(単位はWb/m2)、μ(|Hi|):透磁率、||は絶対値を意味する。つまり、透磁率μが略磁場の絶対値のみに依存する非線型磁性体を扱う。逆に、透磁率が磁場の方向にも依存する場合は、異方性を持つという。
【0042】
(div B)=0・・・(14)
つまり、Iiを与えて、(12)、(13)、(14)式を連立させて、未知量HiとBiを求めるという事である。
【0043】
しかし、(12)、(13)、(14)式は一般の形状を有する磁性体の場合、これを直接解くことは極めて困難である。そこで差分法あるいは有限要素法を用いて解く。これにより、コイルを貫通する磁束密度Bが求まり、それを巻線が境界であるような断面(断面積S)で積分し、コイルの巻数Tnを乗算すれば磁束が求まる。すなわち、
Φ=Tn×S×B ...(15)
である。
【0044】
上記したように、式(12)、(13)、(14)により磁束密度Biと磁場 Hiの分布が求まる。
【0045】
磁束密度 Biを巻線を貫通した面積で積分すると磁束Φが得られる。銅線に流す電流Iの場合の磁束をΦとし、電流(I+ΔI)の場合の磁束をΦ(I+ΔI)とすると、インダクタンスLは
L=(Φ(I+ΔI)―Φ(I))/ΔI...(16)
となる。
【0046】
次に、インダクタンスの直流バイアス電流依存性である直流重畳特性を求めるには、以下のように行なう。ある直流バイアス電流値をInとし、その時の磁束をΦnとすると、そこでのインダクタンスLnは式(11)から
Ln=(Φn―Φn−1)/(In―In−1) ...(17)
と表せる。つまり、様々な直流バイアス電流値に対して磁束を求め、隣有った直流バイアス電流値でのそれぞれの磁束の増分を計算すれば、インダクタンスになる。この方法で計算すれば、図5に示すように、低直流バイアス電流値ではインダクタンスLは一定を保つが、直流バイアス電流値Iを増加させるとインダクタンスが低くなっていく事がわかる。これは、磁束が直流バイアス電流値に比例しなくなったことによる。
【0047】
例えば、インダクタンスが低直流バイアス電流値でのインダクタンスLに対してk%にまで低下する直流バイアス電流値が知りたいという目的であれば、式(16)を使ってインダクタンスがk%以下に低下するまで、直流バイアス電流値を少しずつ増加させながら計算を続ける。そうすれば、インダクタンスがk%低下するまでの、インダクタンスと直流バイアス電流値の関係を表すグラフ(図6)が求まることとなり、そこからk%低下する直流バイアス電流値がわかる。k%に成る直流バイアス電流値が分からなくとも、k%のインダクタンス値を2つの挟む隣有ったインダクタンス値を与える、2つの隣り合った直流バイアス電流値を適当に内挿して求めればいい。
【0048】
同じ事を磁性体コア形状を変化させつつ繰り返せば、それらに対する直流重畳特性が計算でき、最適形状を探索できる。
【0049】
【実施例】
先ず、図2のトロイダルリングコアの直流重畳特性の測定をした。トロイダルリングコアは断面が2mm×1mmの長方形で、一周が10mmであり、それには巻線が11回巻かれているとする。トロイダルリングコアの直流重畳特性はインピーダンスアナライザーにより測定する。周波数特性と温度特性も測定できる。
【0050】
上記で測定した直流重畳特性から式(15)を使いB−H曲線を算出する。この際、B−H曲線は原点から始まると仮定する。B−H曲線を図4に示す。
【0051】
図7に、インダクタンスを算出する磁性部品21のコアの形状を示す。磁性部品21は、ドラム形状をしており、図7において、符号21aが芯、符号21b、21cが鍔、符号22が銅線であり、この図では、鍔部軸対称形状をしており、高さが2.5mm、上下鍔径が6.8mm、上下鍔厚みが0.55mm、また芯径が2.8mmである。巻線数は28である。
【0052】
B−H曲線と磁性体コアの形状、それにそのコアに巻きつけたコイルに流す直流バイアス電流値を入力として、式(12)、(13)、(14)を数値的に解き、磁束密度分布を求め、この磁束密度分布からコイルを貫通する磁束を求める。
【0053】
コイルに流す直流バイアス電流値を△I毎に変えて、同じ計算を繰り返し、上記したように、直流重畳特性を算出した。その結果を図8に示す。比較の為に実測値も記載した。小電流のインダクタンス(所謂インダクタンス)に関しては1%程度の誤差であり、インダクタンスが10%劣化する電流値は0.1A程度の誤差で一致している。
【0054】
【発明の効果】
本発明の直流重畳特性算出法は、トロイダルコア等の一定断面を有する閉磁路コアでの直流重畳特性を使って、同じ周波数での直流重畳特性を任意の形状のコアで計算する事ができる。また、電磁場計算はコイルに流す交流電流の周波数から換算される電磁波の波長が、コイルの典型的なサイズに対して桁違い大きい場合には、静磁場を仮定する事が可能となり、通常の電磁場解析よりも計算時間を短縮できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の直流重畳特性算出法を示すフローチャートである。
【図2】B−H曲線の測定に使うトロイダルリングコアの斜視図である。
【図3】図2のトロイダルリングコアの磁場(H)と透磁率(dB/dH)のグラフ
【図4】図2のトロイダルリングコアのB−H曲線のグラフである。
【図5】磁性部品の直流重畳特性のグラフである。
【図6】磁性部品の直流重畳特性のグラフである。
【図7】ドラムコアの軸対称断面図である。
【図8】ドラムコアの直流重畳特性実測値とシミュレーション値のグラフである。
【符号の説明】
11・・・トロイダルリングコア
21・・・磁性部品
Claims (3)
- 直流バイアス電流に交流電流が重畳した電流で励磁されて使用される磁性部品のインダクタンス算出法であって、
磁性部品と同一材質で反磁界係数が極小である形状をした磁性材料の磁束密度B及び磁界Hを測定するBH測定手段と、
該磁束密度B、磁界H、及び前記磁性部品の形状データ、並びに直流バイアス電流値から磁束を求める磁束算出手段と、
(異なる直流バイアス電流値に対する磁束の差)/(直流バイアス電流値の差)を算出し、インダクタンスを求めるインダクタンス算出手段とを具備することを特徴とするインダクタンス算出法。 - 磁性部品は、磁界に対する磁束密度が非線形である材料からなることを特徴とする請求項1記載のインダクタンス算出法。
- 直流バイアス電流に交流電流が重畳した電流で励磁されて使用される磁性部品の直流重畳特性算出法であって、
磁性部品と同一材質で反磁界係数が極小である形状をした磁性材料の磁束密度B及び磁界Hを測定するBH測定手段と、
該磁束密度B、磁界H、及び前記磁性部品の形状データ、並びに直流バイアス電流値から磁束を求める第1磁束算出手段と、
直流バイアス電流値を変化させた時の磁束を求める第2磁束算出手段と、
(第2磁束算出手段で求めた磁束−第1磁束算出手段で求めた磁束)/(第2磁束算出手段の直流バイアス電流値−第1磁束算出手段の直流バイアス電流値)を算出し、インダクタンスを求めるインダクタンス算出手段と、
前記第2磁束算出手段で求めた磁束を第1磁束算出手段で求めた磁束とし、前記第2磁束算出手段から前記インダクタンス算出手段を繰り返して前記磁性部品の直流重畳特性を求める手段とを具備することを特徴とする直流重畳特性算出法。
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- 2003-03-25 JP JP2003083760A patent/JP2004294123A/ja active Pending
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