JP2004293980A - 加熱炉 - Google Patents
加熱炉 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004293980A JP2004293980A JP2003088749A JP2003088749A JP2004293980A JP 2004293980 A JP2004293980 A JP 2004293980A JP 2003088749 A JP2003088749 A JP 2003088749A JP 2003088749 A JP2003088749 A JP 2003088749A JP 2004293980 A JP2004293980 A JP 2004293980A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- combustion air
- combustion
- gas
- heating furnace
- heated
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Classifications
-
- Y—GENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02E—REDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
- Y02E20/00—Combustion technologies with mitigation potential
- Y02E20/34—Indirect CO2mitigation, i.e. by acting on non CO2directly related matters of the process, e.g. pre-heating or heat recovery
Landscapes
- Pre-Mixing And Non-Premixing Gas Burner (AREA)
- Air Supply (AREA)
- Combustion Of Fluid Fuel (AREA)
- Muffle Furnaces And Rotary Kilns (AREA)
Abstract
【課題】被加熱物を局所的に加熱してしまうことを防止できると共に,コンパクトに形成できる加熱炉を提供すること。
【解決手段】バーナ31,32は,燃料ガスFを噴出させるガスノズル411,421と,燃焼用空気Aを噴出させる燃焼用空気ノズル511,521とを有しており,ガスノズル411,421と燃焼用空気ノズル511,521とを内壁11から環状燃焼空間13に突出させてなる。燃焼用空気ノズル511,521は,燃焼用空気Aの噴出方向をガスノズル411,421の燃料ガスFの噴出方向に交錯させるよう配設してある。加熱炉1は,燃焼用空気ノズル511,521より噴出された燃焼用空気Aが,燃料ガスFと燃焼用空気Aとの燃焼による火炎が被加熱物2に接触しないよう,この火炎を内壁11に向けて押し出すよう構成してある。
【選択図】 図1
【解決手段】バーナ31,32は,燃料ガスFを噴出させるガスノズル411,421と,燃焼用空気Aを噴出させる燃焼用空気ノズル511,521とを有しており,ガスノズル411,421と燃焼用空気ノズル511,521とを内壁11から環状燃焼空間13に突出させてなる。燃焼用空気ノズル511,521は,燃焼用空気Aの噴出方向をガスノズル411,421の燃料ガスFの噴出方向に交錯させるよう配設してある。加熱炉1は,燃焼用空気ノズル511,521より噴出された燃焼用空気Aが,燃料ガスFと燃焼用空気Aとの燃焼による火炎が被加熱物2に接触しないよう,この火炎を内壁11に向けて押し出すよう構成してある。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【技術分野】
本発明は,筒状の内壁の略軸中心部に配置した被加熱物を加熱するための加熱炉に関する。
【0002】
【従来技術】
被加熱物を加熱する加熱炉においては,略円環状の側壁を備えると共にこの側壁の軸方向を上下方向に配して設置され,上記側壁の軸中心部に被加熱物を配置すると共にバーナの燃焼によりこれを加熱するタイプの加熱炉がある。そして,このような加熱炉により,例えば,被加熱物に熱処理を行う焼鈍炉を構成したものとしては,特許文献1に示すものがある。
この焼鈍炉においては,上記側壁の下部の円周方向に互いに180°ずれた対称位置にそれぞれバーナを配設し,各バーナより交互に燃焼を行って上記被加熱物の加熱を行う。
【0003】
【特許文献1】
特開平9−170032号公報(第1図,第2図等)
【0004】
【解決しようとする課題】
しかしながら,上記従来の加熱炉においては,上記被加熱物にバーナの燃焼による火炎が接触することにより起こる影響については,十分な考慮がなされていない。すなわち,被加熱物に火炎が直接接触すると,この接触部分が局所的に激しく加熱されてしまう。そのため,上記従来の加熱炉は,火炎が接触すると不都合を生じる被加熱物を加熱するために用いる場合には適していない。
【0005】
また,限られたスペースに上記加熱炉を設置しようとする場合,上記加熱炉を小さくする必要がある。しかし,上記被加熱物の大きさは維持したまま上記加熱炉を小さくするためには,上記バーナによる燃焼ガスを通過させる上記側壁と被加熱物との間の空間を狭くする必要が生じる。そのため,上記燃焼による火炎が上記被加熱物に一層接触し易くなってしまう。
【0006】
本発明は,かかる従来の問題点に鑑みてなされたもので,被加熱物を局所的に加熱してしまうことを防止できると共に,コンパクトに形成することができる加熱炉を提供しようとするものである。
【0007】
【課題の解決手段】
本発明は,筒状の内壁の略軸中心部に被加熱物を配置し,該被加熱物と上記内壁との間に形成された環状燃焼空間に向けてバーナから火炎を発生させて上記被加熱物を加熱するよう構成された加熱炉において,
上記バーナは,燃料ガスを噴出させるガスノズルと,燃焼用空気を噴出させる燃焼用空気ノズルとを有していると共に,上記ガスノズルと上記燃焼用空気ノズルとを上記内壁から上記環状燃焼空間に向けて配設させてなり,
上記燃焼用空気ノズルは,上記燃焼用空気の噴出方向を上記ガスノズルの上記燃料ガスの噴出方向に交錯させるよう配設してあり,
上記燃料ガスと上記燃焼用空気との燃焼による火炎が,上記燃焼用空気ノズルより噴出された上記燃焼用空気によって上記内壁に向けて押し出されると共に,上記被加熱物に接触することなく上記内壁に沿って円弧状に形成されるよう構成してあることを特徴とする加熱炉にある(請求項1)。
【0008】
本発明の加熱炉においては,上記燃焼用空気ノズルより噴出させた燃焼用空気と,上記ガスノズルより噴出させた燃料ガスとを燃焼させ,この燃焼の際の燃焼ガスにより上記被加熱物を加熱する。そして,この際に,上記燃焼用空気は,燃料ガスの噴出方向に対して交錯させる方向に噴出させる。これにより,燃料ガスと燃焼用空気との燃焼による火炎は,上記内壁の方向に押し出されると共に上記内壁に沿った円弧状に形成され,上記被加熱物との接触が避けられる。
そのため,上記加熱炉によれば,被加熱物の一部を火炎により局所的に加熱してしまうことがなく,この局所的な加熱により被加熱物が悪影響を受けることがない。
【0009】
また,上記燃焼による火炎は,上記内壁に沿った円弧状に形成されることにより,上記被加熱物より離れた方向に向けられる。そのため,上記被加熱物の大きさは維持したまま,上記環状燃焼空間を被加熱物と上記内壁との間の距離を小さくするように狭くしても,上記火炎が上記被加熱物に接触することを防止することができる。
【0010】
それ故,本発明によれば,被加熱物を局所的に加熱してしまうことを防止できると共に,コンパクトな加熱炉を形成することができる。そして,本発明の加熱炉は,例えば,これを設置するためのスペースが限られている状況下においても,設置が可能となる。
また,上記のごとく,上記環状燃焼空間を狭くすることにより,上記バーナの燃焼ガスを充満させる空間の体積が小さくなる。そのため,本発明によれば,熱効率の高い加熱炉を形成することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
上述した本発明における好ましい実施の形態につき説明する。
上記燃焼用空気ノズルは,上記筒状の内壁の軸方向に向けて長い縦長形状を有しており,かつ当該燃焼用空気ノズルの近傍には,上記燃焼用空気の噴出方向を上記燃料ガスの噴出方向に交錯させるための噴出ガイドが設けてあることが好ましい(請求項2)。
この場合には,上記縦長形状の燃焼用空気ノズルにより,上記軸方向に向けて長い縦長の火炎を形成することができる。そのため,上記環状燃焼空間を狭くして縦長の形状にした場合においても,この縦長の環状燃焼空間に合わせて上記縦長の火炎を発生させることができる。
【0012】
そのため,上記バーナの燃焼による火炎が上記被加熱物に接触することを容易に防止できると共に,上記加熱炉を一層小さくすることができ,かつ一層熱効率のよい加熱炉を形成することができる。
また,上記噴出ガイドの形成により,上記燃焼用空気の噴出方向を上記燃料ガスの噴出方向に対して交錯させることが容易になる。そのため,上記燃焼用空気ノズルの簡単な工夫により,上記優れた加熱炉を形成することができる。
【0013】
また,上記加熱炉には,上記バーナが2つ配設されていると共に,該各バーナは,それぞれ上記燃焼用空気を通過させる燃焼用空気通路とこれに配置された蓄熱体とを有しており,該各バーナにより,燃焼と排気とを交互に行うリジェネバーナ(リジェネレイティブバーナ)が構成されていることが好ましい(請求項3)。
【0014】
この場合には,上記燃焼用空気通路は,当該バーナにおいて燃焼を行う際には,燃焼用空気を噴出させるための通路となり,当該バーナにおいて排気を行う際には,排気ガスを排気するための排気通路となる。そして,この場合には,一方のバーナにおいて燃焼を行い,この燃焼による燃焼ガスにより上記被加熱物を加熱した後には,他方のバーナにおいては,上記加熱後の排気ガスを上記蓄熱体を通過させて,この排気ガスにおける排熱を上記蓄熱体に蓄えることができる。
【0015】
そして,次に,この他方のバーナにおいて燃焼を行うときには,上記排熱を蓄えた蓄熱体に対して上記燃焼用空気を通過させて吸熱した後に燃焼を行うことにより,上記蓄熱体における熱量を利用して燃焼を行うことができる。これにより,上記一方のバーナの排気ガスにおける排熱を回収することができる。そのため,上記加熱炉の熱効率を一層向上させることができる。
【0016】
また,上記被加熱物は,反応室を有する筒状の反応筒であり,該反応筒は,上記反応室に触媒を保持すると共に,該触媒に燃料ガス及び燃焼用空気を含有する原料ガスを投入してこれらを反応させ,一酸化炭素ガス,水素ガス及び窒素ガスを含有する雰囲気ガスを生成するものであることが好ましい(請求項4)。
この場合には,上記加熱炉を雰囲気ガスを生成するための雰囲気ガス生成炉(変成炉)として用いることができる。そして,上記加熱炉の優れた性質により,上記燃焼による火炎が反応筒を局部加熱して上記雰囲気ガスの生成に悪影響を及ぼしてしまうことを防止でき,小さな設置スペースで,効率的に上記雰囲気ガスの生成を行うことができる。
【0017】
また,上記被加熱物が上記内壁の軸方向の両端部にまで位置している場合には,上記各バーナは,上記内壁の軸方向に離して配設してあることが好ましい。
この場合には,上記コンパクトに形成した加熱炉において,上記各バーナをできるだけ互いに離れた位置に配設することができる。そのため,燃焼を行う一方のバーナの燃焼による燃焼ガスをできるだけ長い時間上記被加熱物に接触させてから,他方のバーナの燃焼用空気ノズルへと排気することができる。
そのため,上記加熱炉における熱効率を一層向上させることができる。
【0018】
また,上記各バーナにおける上記燃焼用空気ノズルは,上記各バーナにおける燃焼後に上記環状燃焼空間を進んだ燃焼ガスの流れ方向に対して互いに対向するよう配設してあることが好ましい。
ところで,上記加熱炉においては,一方のバーナにおいて燃焼させた燃焼ガスを,上記被加熱物を加熱しながら,この被加熱物の回りを旋回させ,上記環状燃焼空間を通過させる。その後,上記被加熱物を加熱した後の排気ガスを,他方のバーナの燃焼用空気ノズルへと排気する。
【0019】
このとき,この排気ガスが流れる流れ方向に対して上記燃焼用空気ノズルが対向していることにより,この燃焼用空気ノズルに対して滑らかに上記排気ガスを排気することができる。また,このことは,他方のバーナにおいて燃焼を行ったときにおいても同様である。
【0020】
【実施例】
以下に,図面を用いて本発明の加熱炉にかかる実施例につき説明する。
本例の加熱炉1は,図1〜図3に示すごとく,筒状の内壁11の略軸中心部に被加熱物2を配置し,この被加熱物2と上記内壁11との間に形成された環状燃焼空間13に向けてバーナ31,32から火炎を発生させて上記被加熱物2を加熱するよう構成されている。
【0021】
上記バーナ31,32は,燃料ガスFを噴出させるガスノズル411,421と,燃焼用空気Aを噴出させる燃焼用空気ノズル511,521とを有していると共に,上記ガスノズル411,421と上記燃焼用空気ノズル511,521とを上記内壁11から上記環状燃焼空間13に向けて配設させてなる。また,本例のガスノズル411,421及び燃焼用空気ノズル511,521は,内壁11から環状燃焼空間13に向けて突出した位置に配設されている。
【0022】
上記燃焼用空気ノズル511,521は,図4に示すごとく,上記燃焼用空気Aの噴出方向を上記ガスノズル411,421の上記燃料ガスFの噴出方向に交錯させるよう配設してある。また,図1,図2に示すごとく,燃焼用空気ノズル511,521における燃焼用空気Aの噴出方向は,上記内壁11の方向に向けられている。
そして,上記加熱炉1は,図1,図2に示すごとく,上記燃料ガスFと上記燃焼用空気Aとの燃焼による火炎が,上記燃焼用空気ノズル511,521より噴出された燃焼用空気Aによって上記内壁11に向けて押し出されると共に,上記被加熱物2に接触することなく内壁11に沿って円弧状に形成されるよう構成してある。
【0023】
以下に,これを詳説する。
図3に示すごとく,上記筒状の内壁11は,環状の側壁面111と,この側壁面111の軸方向Lの両端に位置する両端面112とにより形成されている。本例の内壁11の側壁面111は略円環形状を有しており,上記被加熱物2は円柱形状を有している。そして,上記環状燃焼空間13は,上記被加熱物2の全周において,上記内壁11の側壁面111と上記被加熱物2の外周面201との間に略一定の隙間Wを形成している。
また,上記加熱炉1は,その外壁12も,上記内壁11にほぼ沿った円筒形状を有している。そして,上記加熱炉1は,上記内壁11の軸方向Lを上下方向(鉛直方向)に向けて設置した縦型加熱炉を形成している。
【0024】
また,本例の被加熱物2は,熱処理炉6等に供給するための雰囲気ガスHを生成する反応筒2である。そして,本例では,上記加熱炉1及び反応筒2により,雰囲気ガス生成炉(変成炉)を形成している。
上記反応筒2は,その内部に反応室20を形成しており,この反応室20にはニッケル,コバルト,白金,ルテニウム等の触媒21が保持されている。また,この触媒21は,反応室20の加熱炉1内に位置する部位に配置されている。
【0025】
上記反応筒2には,その一端202から炭化水素系の燃料ガスF及び燃焼用空気Aを含有する原料ガスMが投入される。そして,上記バーナ31,32の燃焼ガスG1により反応筒2を加熱して,この反応筒2においては,上記触媒21を介して上記原料ガスMを反応させる。そして,この反応の後には,上記反応筒2の他端203より,一酸化炭素ガス,水素ガス及び窒素ガスを含有する雰囲気ガスHが生成される。
また,上記熱処理炉6においては,上記雰囲気ガスHを利用して,例えば,鋼の浸炭処理等の熱処理を行うことができる。
【0026】
また,図1〜図3に示すごとく,上記加熱炉1は,2つのバーナ31,32を有している。2つのバーナ31,32は,上記加熱炉1の下側に第1バーナ31として,加熱炉1の上側に第2バーナ32として配設されている。また,各バーナ31,32には,上記燃焼用空気Aを通過させる燃焼用空気通路51,52が形成されており,この燃焼用空気通路51,52には,熱量を蓄えるための蓄熱体512,522が配置されている。
【0027】
そして,上記加熱炉1においては,各バーナ31,32により,燃焼と排気とを交互に行うリジェネバーナが構成されている。
こうして,図4に示すごとく,第1バーナ31は,第1ガス管41,第1ガスノズル411,第1燃焼用空気通路51,第1燃焼用空気ノズル511及び第1蓄熱体512を有しており,第2バーナ32は,第2ガス管42,第2ガスノズル421,第2燃焼用空気通路52,第2燃焼用空気ノズル521及び第2蓄熱体522を有している。
【0028】
また,図4に示すごとく,上記各バーナ31,32において,上記各燃焼用空気ノズル511,521は,上記燃焼用空気通路51,52の先端部に形成されている。また,上記各ガスノズル411,421は,上記各バーナ31,32の内部に設けた各ガス管41,42の先端部に形成されている。
また,各バーナ31,32において,各ガス管41,42と各燃焼用空気通路51,52とは別々に配設してあり,各バーナ31,32は,各ガスノズル411,421に対して上記被加熱物2に近い側に各燃焼用空気ノズル511,521が位置するよう上記加熱炉1に配設してある。また,各ガスノズル411,421は,各燃焼用空気ノズル511,521の上下方向における略中央部分に隣接して配設してある。
【0029】
また,図4に示すごとく,上記各燃焼用空気ノズル511,521の近傍には,上記燃焼用空気Aの噴出方向を上記燃料ガスFの噴出方向に交錯させるための噴出ガイド53がそれぞれ設けてある。本例の各噴出ガイド53は,各燃焼用空気ノズル511,521の近傍に位置する各燃焼用空気通路51,52の側壁の一部を,各ガスノズル411,421の方向に向けて傾斜させて設けることにより形成されている。
【0030】
一方で,図5に示すごとく,上記各噴出ガイド53は,各燃焼用空気ノズル511,521の先端部に各ガスノズル411,421の方向に傾斜させて配設した各ガイド板により形成しても勿論よい。
また,上記各噴出ガイド53の形成により,上記各燃焼用空気ノズル511,521の開口面積は,上記各燃焼用空気通路51,52の通路断面積に対して絞られている。
【0031】
また,図4に示すごとく,上記各燃焼用空気通路51,52は,上記内壁11の軸方向Lに向けて長い縦長断面形状を有しており,上記各燃焼用空気ノズル511,521は,各燃焼用空気通路51,52の先端部において上記軸方向Lに向けて長い縦長形状を形成している。
また,上記各バーナ31,32の各燃焼用空気通路51,52には,それぞれ3方弁54が接続されており,各燃焼用空気通路51,52は,各3方弁54の切換動作によって燃焼用空気Aの供給通路55に接続されるか,又は排気ガスG2の排気通路56に接続される。
【0032】
なお,図示は省略するが,上記各3方弁54の代わりに,上記各バーナ31,32の各燃焼用空気通路51,52に共通して使用する4方弁を用い,この1つの4方弁の切換動作によって,各燃焼用空気通路51,52を上記供給通路55又は上記排気通路56に交互に接続することもできる。
【0033】
上記ガス管41,42は,2重管構造を有しており,内管43を上記燃料ガスFを通過させ,外管44を上記燃料ガスFと上記燃焼用空気Aとの混合気よりなるパイロットガスを通過させるよう構成されている。なお,このパイロットガスは,上記各ガスノズル411,421より噴出された燃料ガスFと上記各燃焼用空気ノズル511,521より噴出された燃焼用空気Aとの混合気に着火させるために用いる。
【0034】
また,図6に示すごとく,本例の各ガスノズル411,421は,各燃焼用空気ノズル511,521に対して1箇所に形成されている。一方で,図7,図8に示すごとく,ガスノズル411,421は,燃焼用空気ノズル511,521に対して2箇所に形成されていてもよく,3箇所に形成されていてもよい。
なお,本例の各ガスノズル411,421は,図5に示すごとく,上記各ガス管41,42の先端部にそれぞれ1つずつ形成されている。一方で,ガスノズル411,421は,ガス管41,42の先端部を封鎖板により封鎖すると共にこの封鎖板に設けた複数の開口穴により,燃焼用空気ノズル511,521に対して複数箇所に形成されていてもよい。
【0035】
また,各ガスノズル411,421による燃料ガスFの噴出は,各燃焼用空気ノズル511,521の縦長方向に向けて傾斜させた状態で行ってもよい。また,各ガスノズル411,421は,燃焼用空気ノズル511,521の縦長方向に向けて長い縦長形状に形成することもできる。
【0036】
また,図3に示すごとく,上記被加熱物(反応筒)2は,上記加熱炉1の内壁11の軸方向L(上下方向)の両端部にまで形成されている。そして,上記第1バーナ31と第2バーナ32とは,内壁11の軸方向Lにできるだけ離れた位置に互いに配設してある。
また,上記各バーナ31,32における上記燃焼用空気ノズル511,521は,上記各バーナ31,32における燃焼後に上記環状燃焼空間13を進んだ燃焼ガスG1の流れ方向に対して互いに対向するよう配設してある。
【0037】
本例では,図1,図2に示すごとく,第1バーナ31と第2バーナ32とは,上記加熱炉1の上方から見たときに,上記加熱炉1の円周方向Cに離れた位置に,各燃焼用空気ノズル511,521が互いに直交するよう配設した。一方で,図9に示すごとく,第1バーナ31と第2バーナ32とは,上記加熱炉1の上方から見たときに,上記加熱炉1の円周方向Cの近い位置に,各燃焼用空気ノズル511,521が互いに直交するよう配設しても勿論よい。また,図10に示すごとく,第1バーナ31と第2バーナ32とは,上記加熱炉1の上方から見たときに,この加熱炉1において,各燃焼用空気ノズル511,521が互いに平行になるよう配設しても勿論よい。
【0038】
以下に,上記リジェネバーナを構成した加熱炉1における燃焼動作につき説明し,この加熱炉1による作用効果につき説明する。
図1に示すごとく,上記加熱炉1の下側に配設した第1バーナ31において燃焼を行う際には,上記第1ガス管41に燃料ガスFを流入させると共に上記第1燃焼用空気通路51に燃焼用空気Aを流入させる。また,第1バーナ31において燃焼を行う際には,第1バーナ31及び第2バーナ32に設けた3方弁54の切換動作により,第1バーナ31の第1燃焼用空気通路51は燃焼用空気Aの供給通路55に接続され,第2バーナ32の第2燃焼用空気通路52は排気ガスG2の排気通路56に接続されている。
【0039】
そして,同図に示すごとく,第1ガスノズル411より燃料ガスFを噴出させると共に第1燃焼用空気ノズル511より燃焼用空気Aを噴出させ,これらの混合気は,上記パイロットガスにより形成されたパイロット火炎により着火されて燃焼する。
このとき,上記燃焼用空気Aの噴出方向が上記燃料ガスFの噴出方向に交錯していると共に上記内壁11の側壁面111の方向を向いていることにより,燃焼用空気Aは,燃料ガスFを内壁11の方向に押し出すようにして噴出される。
【0040】
また,燃焼用空気Aと燃料ガスFとが燃焼して火炎を形成したときには,燃焼用空気Aはこの火炎を上記内壁11の方向に押し出すようにして噴出される。また,上記縦長形状の各燃焼用空気ノズル511,521により,燃焼用空気Aは,内壁11の軸方向Lに向けて長い縦長に噴出される。
こうして,上記火炎は,上記内壁11の方向に向けて形成されると共に,内壁11の軸方向Lに向けて長い縦長の形状に形成される。また,この火炎は,内壁11に沿って円弧状に形成されると共に,被加熱物(反応筒)2との接触が避けられた状態で,内壁11に沿って被加熱物2の回りを旋回するようにして形成される。
【0041】
その後,上記燃焼による燃焼ガスG1は,上記被加熱物2を加熱しながら,この被加熱物2の回りを旋回して上記環状燃焼空間13を通過する。このとき,上記第1バーナ31と第2バーナ32とが上下方向に離れた位置に配設されていることにより,上記燃焼ガスG1は上記被加熱物2を十分に加熱した後,第2バーナ32へと流れる。
【0042】
そして,上記被加熱物2を加熱した後の排気ガスG2は,上記第2燃焼用空気ノズル521より第2バーナ32の第2燃焼用空気通路52を通過して,加熱炉1の外部に排気される。このとき,この排気ガスG2は,第2燃焼用空気通路52に配置した第2蓄熱体522に熱量を与え,第2蓄熱体522は,排気ガスG2における排熱を蓄える。
こうして,第1バーナ31による燃焼と第2バーナ32による排気とが行われる。
【0043】
次いで,図2に示すごとく,上記第1バーナ31における燃焼が終わると,第2バーナ32において燃焼を行うために第1バーナ31及び第2バーナ32に設けた各3方弁54の切換動作により,第1バーナ31の第1燃焼用空気通路51は上記排気通路56に接続され,第2バーナ32の第2燃焼用空気通路52は上記供給通路55に接続される。
【0044】
そして,同図に示すごとく,上記第2ガス管42に燃料ガスFを流入させると共に上記第2燃焼用空気通路52に燃焼用空気Aを流入させる。このとき,この燃焼用空気Aには,上記第1バーナ31からの排気ガスG2による排熱を蓄えた第2蓄熱体522における熱量が与えられる。そのため,第2バーナ32において燃焼を行う際には,第2蓄熱体522における熱量を利用して燃焼を行うことができ,第1バーナ31の排気ガスG2における排熱を回収することができる。
【0045】
その後,第2バーナ32においても,上記第1バーナ31と同様に燃焼が行われ,燃焼による火炎が,内壁11の方向に向けて形成されると共に内壁11の軸方向Lに向けて長い縦長の形状に形成される。また,第2バーナ32による燃焼ガスG1が上記被加熱物2を加熱しながら環状燃焼空間13を通過し,被加熱物2を加熱した後の排気ガスG2が上記第1燃焼用空気ノズル511より第1バーナ31の第1燃焼用空気通路51を通過して,加熱炉1の外部に排気される。そして,このときには,第1バーナ31における第1蓄熱体512に排気ガスG2における排熱が蓄えられる。
次いで,第1バーナ31において燃焼が行われる際には,第1蓄熱体512における排熱を回収して燃焼が行われる。そして,以降は,同様にして,各バーナ31,32において交互に燃焼と排気とが繰り返される。
【0046】
本例の加熱炉1においては,上記のごとく,燃料ガスFと燃焼用空気Aとの燃焼による火炎は,上記内壁11の方向に押し出されると共にこの内壁11に沿った円弧状に形成され,上記被加熱物(反応筒)2との接触が避けられる。そのため,上記加熱炉1によれば,被加熱物2の一部を火炎により局所的に加熱してしまうことがなく,局所的な加熱により被加熱物2が悪影響を受けることがない。
【0047】
また,上記燃焼による火炎は,上記内壁11に沿った円弧状に形成されることにより,上記被加熱物2より離れた方向に向けられる。そのため,上記被加熱物2の大きさは維持したまま,上記環状燃焼空間13を被加熱物2と上記内壁11との間の距離を小さくするように狭くしても,上記火炎が上記被加熱物2に接触することを防止することができる。
【0048】
それ故,本例によれば,被加熱物2を局所的に加熱してしまうことを防止できると共に,コンパクトな加熱炉1を形成することができる。そして,本例の加熱炉1は,例えば,これを設置するためのスペースが限られている状況下においても,設置が可能となる。
また,上記のごとく,上記環状燃焼空間13を狭くすることにより,上記各バーナ31,32の燃焼ガスG1を充満させる空間の体積が小さくなる。そのため,本例によれば,熱効率の高い加熱炉1を形成することができる。
【0049】
また,本例の加熱炉1においては,上記のごとく,上記2つのバーナ31,32を,この加熱炉1の内壁11に対してできるだけ離れた位置に配設し,一方のバーナ31又は32による燃焼ガスG1が排気ガスG2として他方のバーナ31又は32に排気されるまでの時間をできるだけ長くした。そのため,一方のバーナ31又は32による燃焼ガスG1をできるだけ長い時間上記被加熱物2に接触させてから,被加熱物2を加熱した後の排気ガスG2を他方のバーナ31又は32の燃焼用空気ノズル511,521へと排気することができる。
【0050】
また,燃焼による燃焼ガスG1が上記環状燃焼空間13を旋回しながら進むことを考慮して,この燃焼ガスG1の進行方向に対して対向するように各バーナ31,32の燃焼用空気ノズル511,521を配設した。そのため,燃焼ガスG1は,できるだけ長い時間,環状燃焼空間13を進んだ後には,速やかに排気される。
また,本例の加熱炉1によれば,上記構成により,従来の加熱炉1のように内壁11の一部に排気ガスG2の排出を助ける排気ガス排出穴を形成することなく,燃焼を行うことも可能となる。
【0051】
それ故,本例によれば,熱効率が一層高い加熱炉1を形成することができる。そして,上記のごとく,上記反応筒2において雰囲気ガスHを生成する際には,上記燃焼による火炎が反応筒2を局部加熱して雰囲気ガスHの生成に悪影響を及ぼしてしまうことを防止でき,小さな設置スペースで,かつ効率的に上記雰囲気ガスHの生成を行うことができる。
【0052】
また,上記各バーナ31,32においては,上記各噴出ガイド53の形成により,排気ガスG2は,上記環状燃焼空間13より各燃焼用空気ノズル511,521へ流入した後には,各燃焼用空気通路51,52内で横方向に拡大する流れとなる。そのため,排気ガスG2の流速は減少し,排気ガスG2を各蓄熱体512,522に対して長い時間接触させることができる。そのため,上記各噴出ガイド53の形成により,上記各蓄熱体512,522による排熱の回収効率が向上できると考えられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例における,第1バーナ及び第2バーナを配設した加熱炉をその上方から見た状態を示す図で,第1バーナにおいて燃焼を行うと共に第2バーナにおいて排気を行っている状態を示す断面説明図。
【図2】実施例における,第1バーナ及び第2バーナを配設した加熱炉をその上方から見た状態を示す図で,第2バーナにおいて燃焼を行うと共に第1バーナにおいて排気を行っている状態を示す断面説明図。
【図3】実施例における,加熱炉を示す斜視図。
【図4】実施例における,第1バーナ又は第2バーナを加熱炉の上方から見た状態を示す断面説明図。
【図5】実施例における,噴出ガイドをガイド板により形成した第1バーナ又は第2バーナを示す断面説明図。
【図6】実施例における,第1バーナ又は第2バーナを正面から見た状態を示す図で,第1ガスノズル又は第2ガスノズルの形成状態を示す説明図。
【図7】実施例における,第1バーナ又は第2バーナを正面から見た状態を示す図で,第1ガスノズル又は第2ガスノズルを2箇所に形成した状態を示す説明図。
【図8】実施例における,第1バーナ又は第2バーナを正面から見た状態を示す図で,第1ガスノズル又は第2ガスノズルを3箇所に形成した状態を示す説明図。
【図9】実施例における,第1バーナ及び第2バーナを配設した加熱炉をその上方から見た状態を示す図で,それらを加熱炉の円周方向の近い位置に,各燃焼用空気ノズルが互いに直交するよう配設した状態を示す説明図。
【図10】実施例における,第1バーナ及び第2バーナを配設した加熱炉をその上方から見た状態を示す図で,それらを加熱炉において,各燃焼用空気ノズルが互いに平行になるよう配設した状態を示す説明図。
【符号の説明】
1...加熱炉,
11...内壁,
13...環状燃焼空間,
2...被加熱物(反応筒),
20...反応室,
21...触媒,
31...第1バーナ,
32...第2バーナ,
41...第1ガス管,
411...第1ガスノズル,
42...第2ガス管,
421...第2ガスノズル,
51...第1燃焼用空気通路,
511...第1燃焼用空気ノズル,
512...第1蓄熱体,
52...第2燃焼用空気通路,
521...第2燃焼用空気ノズル,
522...第2蓄熱体,
53...噴出ガイド,
6...熱処理炉,
F...燃料ガス,
A...燃焼用空気,
G1...燃焼ガス,
G2...排気ガス,
【技術分野】
本発明は,筒状の内壁の略軸中心部に配置した被加熱物を加熱するための加熱炉に関する。
【0002】
【従来技術】
被加熱物を加熱する加熱炉においては,略円環状の側壁を備えると共にこの側壁の軸方向を上下方向に配して設置され,上記側壁の軸中心部に被加熱物を配置すると共にバーナの燃焼によりこれを加熱するタイプの加熱炉がある。そして,このような加熱炉により,例えば,被加熱物に熱処理を行う焼鈍炉を構成したものとしては,特許文献1に示すものがある。
この焼鈍炉においては,上記側壁の下部の円周方向に互いに180°ずれた対称位置にそれぞれバーナを配設し,各バーナより交互に燃焼を行って上記被加熱物の加熱を行う。
【0003】
【特許文献1】
特開平9−170032号公報(第1図,第2図等)
【0004】
【解決しようとする課題】
しかしながら,上記従来の加熱炉においては,上記被加熱物にバーナの燃焼による火炎が接触することにより起こる影響については,十分な考慮がなされていない。すなわち,被加熱物に火炎が直接接触すると,この接触部分が局所的に激しく加熱されてしまう。そのため,上記従来の加熱炉は,火炎が接触すると不都合を生じる被加熱物を加熱するために用いる場合には適していない。
【0005】
また,限られたスペースに上記加熱炉を設置しようとする場合,上記加熱炉を小さくする必要がある。しかし,上記被加熱物の大きさは維持したまま上記加熱炉を小さくするためには,上記バーナによる燃焼ガスを通過させる上記側壁と被加熱物との間の空間を狭くする必要が生じる。そのため,上記燃焼による火炎が上記被加熱物に一層接触し易くなってしまう。
【0006】
本発明は,かかる従来の問題点に鑑みてなされたもので,被加熱物を局所的に加熱してしまうことを防止できると共に,コンパクトに形成することができる加熱炉を提供しようとするものである。
【0007】
【課題の解決手段】
本発明は,筒状の内壁の略軸中心部に被加熱物を配置し,該被加熱物と上記内壁との間に形成された環状燃焼空間に向けてバーナから火炎を発生させて上記被加熱物を加熱するよう構成された加熱炉において,
上記バーナは,燃料ガスを噴出させるガスノズルと,燃焼用空気を噴出させる燃焼用空気ノズルとを有していると共に,上記ガスノズルと上記燃焼用空気ノズルとを上記内壁から上記環状燃焼空間に向けて配設させてなり,
上記燃焼用空気ノズルは,上記燃焼用空気の噴出方向を上記ガスノズルの上記燃料ガスの噴出方向に交錯させるよう配設してあり,
上記燃料ガスと上記燃焼用空気との燃焼による火炎が,上記燃焼用空気ノズルより噴出された上記燃焼用空気によって上記内壁に向けて押し出されると共に,上記被加熱物に接触することなく上記内壁に沿って円弧状に形成されるよう構成してあることを特徴とする加熱炉にある(請求項1)。
【0008】
本発明の加熱炉においては,上記燃焼用空気ノズルより噴出させた燃焼用空気と,上記ガスノズルより噴出させた燃料ガスとを燃焼させ,この燃焼の際の燃焼ガスにより上記被加熱物を加熱する。そして,この際に,上記燃焼用空気は,燃料ガスの噴出方向に対して交錯させる方向に噴出させる。これにより,燃料ガスと燃焼用空気との燃焼による火炎は,上記内壁の方向に押し出されると共に上記内壁に沿った円弧状に形成され,上記被加熱物との接触が避けられる。
そのため,上記加熱炉によれば,被加熱物の一部を火炎により局所的に加熱してしまうことがなく,この局所的な加熱により被加熱物が悪影響を受けることがない。
【0009】
また,上記燃焼による火炎は,上記内壁に沿った円弧状に形成されることにより,上記被加熱物より離れた方向に向けられる。そのため,上記被加熱物の大きさは維持したまま,上記環状燃焼空間を被加熱物と上記内壁との間の距離を小さくするように狭くしても,上記火炎が上記被加熱物に接触することを防止することができる。
【0010】
それ故,本発明によれば,被加熱物を局所的に加熱してしまうことを防止できると共に,コンパクトな加熱炉を形成することができる。そして,本発明の加熱炉は,例えば,これを設置するためのスペースが限られている状況下においても,設置が可能となる。
また,上記のごとく,上記環状燃焼空間を狭くすることにより,上記バーナの燃焼ガスを充満させる空間の体積が小さくなる。そのため,本発明によれば,熱効率の高い加熱炉を形成することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
上述した本発明における好ましい実施の形態につき説明する。
上記燃焼用空気ノズルは,上記筒状の内壁の軸方向に向けて長い縦長形状を有しており,かつ当該燃焼用空気ノズルの近傍には,上記燃焼用空気の噴出方向を上記燃料ガスの噴出方向に交錯させるための噴出ガイドが設けてあることが好ましい(請求項2)。
この場合には,上記縦長形状の燃焼用空気ノズルにより,上記軸方向に向けて長い縦長の火炎を形成することができる。そのため,上記環状燃焼空間を狭くして縦長の形状にした場合においても,この縦長の環状燃焼空間に合わせて上記縦長の火炎を発生させることができる。
【0012】
そのため,上記バーナの燃焼による火炎が上記被加熱物に接触することを容易に防止できると共に,上記加熱炉を一層小さくすることができ,かつ一層熱効率のよい加熱炉を形成することができる。
また,上記噴出ガイドの形成により,上記燃焼用空気の噴出方向を上記燃料ガスの噴出方向に対して交錯させることが容易になる。そのため,上記燃焼用空気ノズルの簡単な工夫により,上記優れた加熱炉を形成することができる。
【0013】
また,上記加熱炉には,上記バーナが2つ配設されていると共に,該各バーナは,それぞれ上記燃焼用空気を通過させる燃焼用空気通路とこれに配置された蓄熱体とを有しており,該各バーナにより,燃焼と排気とを交互に行うリジェネバーナ(リジェネレイティブバーナ)が構成されていることが好ましい(請求項3)。
【0014】
この場合には,上記燃焼用空気通路は,当該バーナにおいて燃焼を行う際には,燃焼用空気を噴出させるための通路となり,当該バーナにおいて排気を行う際には,排気ガスを排気するための排気通路となる。そして,この場合には,一方のバーナにおいて燃焼を行い,この燃焼による燃焼ガスにより上記被加熱物を加熱した後には,他方のバーナにおいては,上記加熱後の排気ガスを上記蓄熱体を通過させて,この排気ガスにおける排熱を上記蓄熱体に蓄えることができる。
【0015】
そして,次に,この他方のバーナにおいて燃焼を行うときには,上記排熱を蓄えた蓄熱体に対して上記燃焼用空気を通過させて吸熱した後に燃焼を行うことにより,上記蓄熱体における熱量を利用して燃焼を行うことができる。これにより,上記一方のバーナの排気ガスにおける排熱を回収することができる。そのため,上記加熱炉の熱効率を一層向上させることができる。
【0016】
また,上記被加熱物は,反応室を有する筒状の反応筒であり,該反応筒は,上記反応室に触媒を保持すると共に,該触媒に燃料ガス及び燃焼用空気を含有する原料ガスを投入してこれらを反応させ,一酸化炭素ガス,水素ガス及び窒素ガスを含有する雰囲気ガスを生成するものであることが好ましい(請求項4)。
この場合には,上記加熱炉を雰囲気ガスを生成するための雰囲気ガス生成炉(変成炉)として用いることができる。そして,上記加熱炉の優れた性質により,上記燃焼による火炎が反応筒を局部加熱して上記雰囲気ガスの生成に悪影響を及ぼしてしまうことを防止でき,小さな設置スペースで,効率的に上記雰囲気ガスの生成を行うことができる。
【0017】
また,上記被加熱物が上記内壁の軸方向の両端部にまで位置している場合には,上記各バーナは,上記内壁の軸方向に離して配設してあることが好ましい。
この場合には,上記コンパクトに形成した加熱炉において,上記各バーナをできるだけ互いに離れた位置に配設することができる。そのため,燃焼を行う一方のバーナの燃焼による燃焼ガスをできるだけ長い時間上記被加熱物に接触させてから,他方のバーナの燃焼用空気ノズルへと排気することができる。
そのため,上記加熱炉における熱効率を一層向上させることができる。
【0018】
また,上記各バーナにおける上記燃焼用空気ノズルは,上記各バーナにおける燃焼後に上記環状燃焼空間を進んだ燃焼ガスの流れ方向に対して互いに対向するよう配設してあることが好ましい。
ところで,上記加熱炉においては,一方のバーナにおいて燃焼させた燃焼ガスを,上記被加熱物を加熱しながら,この被加熱物の回りを旋回させ,上記環状燃焼空間を通過させる。その後,上記被加熱物を加熱した後の排気ガスを,他方のバーナの燃焼用空気ノズルへと排気する。
【0019】
このとき,この排気ガスが流れる流れ方向に対して上記燃焼用空気ノズルが対向していることにより,この燃焼用空気ノズルに対して滑らかに上記排気ガスを排気することができる。また,このことは,他方のバーナにおいて燃焼を行ったときにおいても同様である。
【0020】
【実施例】
以下に,図面を用いて本発明の加熱炉にかかる実施例につき説明する。
本例の加熱炉1は,図1〜図3に示すごとく,筒状の内壁11の略軸中心部に被加熱物2を配置し,この被加熱物2と上記内壁11との間に形成された環状燃焼空間13に向けてバーナ31,32から火炎を発生させて上記被加熱物2を加熱するよう構成されている。
【0021】
上記バーナ31,32は,燃料ガスFを噴出させるガスノズル411,421と,燃焼用空気Aを噴出させる燃焼用空気ノズル511,521とを有していると共に,上記ガスノズル411,421と上記燃焼用空気ノズル511,521とを上記内壁11から上記環状燃焼空間13に向けて配設させてなる。また,本例のガスノズル411,421及び燃焼用空気ノズル511,521は,内壁11から環状燃焼空間13に向けて突出した位置に配設されている。
【0022】
上記燃焼用空気ノズル511,521は,図4に示すごとく,上記燃焼用空気Aの噴出方向を上記ガスノズル411,421の上記燃料ガスFの噴出方向に交錯させるよう配設してある。また,図1,図2に示すごとく,燃焼用空気ノズル511,521における燃焼用空気Aの噴出方向は,上記内壁11の方向に向けられている。
そして,上記加熱炉1は,図1,図2に示すごとく,上記燃料ガスFと上記燃焼用空気Aとの燃焼による火炎が,上記燃焼用空気ノズル511,521より噴出された燃焼用空気Aによって上記内壁11に向けて押し出されると共に,上記被加熱物2に接触することなく内壁11に沿って円弧状に形成されるよう構成してある。
【0023】
以下に,これを詳説する。
図3に示すごとく,上記筒状の内壁11は,環状の側壁面111と,この側壁面111の軸方向Lの両端に位置する両端面112とにより形成されている。本例の内壁11の側壁面111は略円環形状を有しており,上記被加熱物2は円柱形状を有している。そして,上記環状燃焼空間13は,上記被加熱物2の全周において,上記内壁11の側壁面111と上記被加熱物2の外周面201との間に略一定の隙間Wを形成している。
また,上記加熱炉1は,その外壁12も,上記内壁11にほぼ沿った円筒形状を有している。そして,上記加熱炉1は,上記内壁11の軸方向Lを上下方向(鉛直方向)に向けて設置した縦型加熱炉を形成している。
【0024】
また,本例の被加熱物2は,熱処理炉6等に供給するための雰囲気ガスHを生成する反応筒2である。そして,本例では,上記加熱炉1及び反応筒2により,雰囲気ガス生成炉(変成炉)を形成している。
上記反応筒2は,その内部に反応室20を形成しており,この反応室20にはニッケル,コバルト,白金,ルテニウム等の触媒21が保持されている。また,この触媒21は,反応室20の加熱炉1内に位置する部位に配置されている。
【0025】
上記反応筒2には,その一端202から炭化水素系の燃料ガスF及び燃焼用空気Aを含有する原料ガスMが投入される。そして,上記バーナ31,32の燃焼ガスG1により反応筒2を加熱して,この反応筒2においては,上記触媒21を介して上記原料ガスMを反応させる。そして,この反応の後には,上記反応筒2の他端203より,一酸化炭素ガス,水素ガス及び窒素ガスを含有する雰囲気ガスHが生成される。
また,上記熱処理炉6においては,上記雰囲気ガスHを利用して,例えば,鋼の浸炭処理等の熱処理を行うことができる。
【0026】
また,図1〜図3に示すごとく,上記加熱炉1は,2つのバーナ31,32を有している。2つのバーナ31,32は,上記加熱炉1の下側に第1バーナ31として,加熱炉1の上側に第2バーナ32として配設されている。また,各バーナ31,32には,上記燃焼用空気Aを通過させる燃焼用空気通路51,52が形成されており,この燃焼用空気通路51,52には,熱量を蓄えるための蓄熱体512,522が配置されている。
【0027】
そして,上記加熱炉1においては,各バーナ31,32により,燃焼と排気とを交互に行うリジェネバーナが構成されている。
こうして,図4に示すごとく,第1バーナ31は,第1ガス管41,第1ガスノズル411,第1燃焼用空気通路51,第1燃焼用空気ノズル511及び第1蓄熱体512を有しており,第2バーナ32は,第2ガス管42,第2ガスノズル421,第2燃焼用空気通路52,第2燃焼用空気ノズル521及び第2蓄熱体522を有している。
【0028】
また,図4に示すごとく,上記各バーナ31,32において,上記各燃焼用空気ノズル511,521は,上記燃焼用空気通路51,52の先端部に形成されている。また,上記各ガスノズル411,421は,上記各バーナ31,32の内部に設けた各ガス管41,42の先端部に形成されている。
また,各バーナ31,32において,各ガス管41,42と各燃焼用空気通路51,52とは別々に配設してあり,各バーナ31,32は,各ガスノズル411,421に対して上記被加熱物2に近い側に各燃焼用空気ノズル511,521が位置するよう上記加熱炉1に配設してある。また,各ガスノズル411,421は,各燃焼用空気ノズル511,521の上下方向における略中央部分に隣接して配設してある。
【0029】
また,図4に示すごとく,上記各燃焼用空気ノズル511,521の近傍には,上記燃焼用空気Aの噴出方向を上記燃料ガスFの噴出方向に交錯させるための噴出ガイド53がそれぞれ設けてある。本例の各噴出ガイド53は,各燃焼用空気ノズル511,521の近傍に位置する各燃焼用空気通路51,52の側壁の一部を,各ガスノズル411,421の方向に向けて傾斜させて設けることにより形成されている。
【0030】
一方で,図5に示すごとく,上記各噴出ガイド53は,各燃焼用空気ノズル511,521の先端部に各ガスノズル411,421の方向に傾斜させて配設した各ガイド板により形成しても勿論よい。
また,上記各噴出ガイド53の形成により,上記各燃焼用空気ノズル511,521の開口面積は,上記各燃焼用空気通路51,52の通路断面積に対して絞られている。
【0031】
また,図4に示すごとく,上記各燃焼用空気通路51,52は,上記内壁11の軸方向Lに向けて長い縦長断面形状を有しており,上記各燃焼用空気ノズル511,521は,各燃焼用空気通路51,52の先端部において上記軸方向Lに向けて長い縦長形状を形成している。
また,上記各バーナ31,32の各燃焼用空気通路51,52には,それぞれ3方弁54が接続されており,各燃焼用空気通路51,52は,各3方弁54の切換動作によって燃焼用空気Aの供給通路55に接続されるか,又は排気ガスG2の排気通路56に接続される。
【0032】
なお,図示は省略するが,上記各3方弁54の代わりに,上記各バーナ31,32の各燃焼用空気通路51,52に共通して使用する4方弁を用い,この1つの4方弁の切換動作によって,各燃焼用空気通路51,52を上記供給通路55又は上記排気通路56に交互に接続することもできる。
【0033】
上記ガス管41,42は,2重管構造を有しており,内管43を上記燃料ガスFを通過させ,外管44を上記燃料ガスFと上記燃焼用空気Aとの混合気よりなるパイロットガスを通過させるよう構成されている。なお,このパイロットガスは,上記各ガスノズル411,421より噴出された燃料ガスFと上記各燃焼用空気ノズル511,521より噴出された燃焼用空気Aとの混合気に着火させるために用いる。
【0034】
また,図6に示すごとく,本例の各ガスノズル411,421は,各燃焼用空気ノズル511,521に対して1箇所に形成されている。一方で,図7,図8に示すごとく,ガスノズル411,421は,燃焼用空気ノズル511,521に対して2箇所に形成されていてもよく,3箇所に形成されていてもよい。
なお,本例の各ガスノズル411,421は,図5に示すごとく,上記各ガス管41,42の先端部にそれぞれ1つずつ形成されている。一方で,ガスノズル411,421は,ガス管41,42の先端部を封鎖板により封鎖すると共にこの封鎖板に設けた複数の開口穴により,燃焼用空気ノズル511,521に対して複数箇所に形成されていてもよい。
【0035】
また,各ガスノズル411,421による燃料ガスFの噴出は,各燃焼用空気ノズル511,521の縦長方向に向けて傾斜させた状態で行ってもよい。また,各ガスノズル411,421は,燃焼用空気ノズル511,521の縦長方向に向けて長い縦長形状に形成することもできる。
【0036】
また,図3に示すごとく,上記被加熱物(反応筒)2は,上記加熱炉1の内壁11の軸方向L(上下方向)の両端部にまで形成されている。そして,上記第1バーナ31と第2バーナ32とは,内壁11の軸方向Lにできるだけ離れた位置に互いに配設してある。
また,上記各バーナ31,32における上記燃焼用空気ノズル511,521は,上記各バーナ31,32における燃焼後に上記環状燃焼空間13を進んだ燃焼ガスG1の流れ方向に対して互いに対向するよう配設してある。
【0037】
本例では,図1,図2に示すごとく,第1バーナ31と第2バーナ32とは,上記加熱炉1の上方から見たときに,上記加熱炉1の円周方向Cに離れた位置に,各燃焼用空気ノズル511,521が互いに直交するよう配設した。一方で,図9に示すごとく,第1バーナ31と第2バーナ32とは,上記加熱炉1の上方から見たときに,上記加熱炉1の円周方向Cの近い位置に,各燃焼用空気ノズル511,521が互いに直交するよう配設しても勿論よい。また,図10に示すごとく,第1バーナ31と第2バーナ32とは,上記加熱炉1の上方から見たときに,この加熱炉1において,各燃焼用空気ノズル511,521が互いに平行になるよう配設しても勿論よい。
【0038】
以下に,上記リジェネバーナを構成した加熱炉1における燃焼動作につき説明し,この加熱炉1による作用効果につき説明する。
図1に示すごとく,上記加熱炉1の下側に配設した第1バーナ31において燃焼を行う際には,上記第1ガス管41に燃料ガスFを流入させると共に上記第1燃焼用空気通路51に燃焼用空気Aを流入させる。また,第1バーナ31において燃焼を行う際には,第1バーナ31及び第2バーナ32に設けた3方弁54の切換動作により,第1バーナ31の第1燃焼用空気通路51は燃焼用空気Aの供給通路55に接続され,第2バーナ32の第2燃焼用空気通路52は排気ガスG2の排気通路56に接続されている。
【0039】
そして,同図に示すごとく,第1ガスノズル411より燃料ガスFを噴出させると共に第1燃焼用空気ノズル511より燃焼用空気Aを噴出させ,これらの混合気は,上記パイロットガスにより形成されたパイロット火炎により着火されて燃焼する。
このとき,上記燃焼用空気Aの噴出方向が上記燃料ガスFの噴出方向に交錯していると共に上記内壁11の側壁面111の方向を向いていることにより,燃焼用空気Aは,燃料ガスFを内壁11の方向に押し出すようにして噴出される。
【0040】
また,燃焼用空気Aと燃料ガスFとが燃焼して火炎を形成したときには,燃焼用空気Aはこの火炎を上記内壁11の方向に押し出すようにして噴出される。また,上記縦長形状の各燃焼用空気ノズル511,521により,燃焼用空気Aは,内壁11の軸方向Lに向けて長い縦長に噴出される。
こうして,上記火炎は,上記内壁11の方向に向けて形成されると共に,内壁11の軸方向Lに向けて長い縦長の形状に形成される。また,この火炎は,内壁11に沿って円弧状に形成されると共に,被加熱物(反応筒)2との接触が避けられた状態で,内壁11に沿って被加熱物2の回りを旋回するようにして形成される。
【0041】
その後,上記燃焼による燃焼ガスG1は,上記被加熱物2を加熱しながら,この被加熱物2の回りを旋回して上記環状燃焼空間13を通過する。このとき,上記第1バーナ31と第2バーナ32とが上下方向に離れた位置に配設されていることにより,上記燃焼ガスG1は上記被加熱物2を十分に加熱した後,第2バーナ32へと流れる。
【0042】
そして,上記被加熱物2を加熱した後の排気ガスG2は,上記第2燃焼用空気ノズル521より第2バーナ32の第2燃焼用空気通路52を通過して,加熱炉1の外部に排気される。このとき,この排気ガスG2は,第2燃焼用空気通路52に配置した第2蓄熱体522に熱量を与え,第2蓄熱体522は,排気ガスG2における排熱を蓄える。
こうして,第1バーナ31による燃焼と第2バーナ32による排気とが行われる。
【0043】
次いで,図2に示すごとく,上記第1バーナ31における燃焼が終わると,第2バーナ32において燃焼を行うために第1バーナ31及び第2バーナ32に設けた各3方弁54の切換動作により,第1バーナ31の第1燃焼用空気通路51は上記排気通路56に接続され,第2バーナ32の第2燃焼用空気通路52は上記供給通路55に接続される。
【0044】
そして,同図に示すごとく,上記第2ガス管42に燃料ガスFを流入させると共に上記第2燃焼用空気通路52に燃焼用空気Aを流入させる。このとき,この燃焼用空気Aには,上記第1バーナ31からの排気ガスG2による排熱を蓄えた第2蓄熱体522における熱量が与えられる。そのため,第2バーナ32において燃焼を行う際には,第2蓄熱体522における熱量を利用して燃焼を行うことができ,第1バーナ31の排気ガスG2における排熱を回収することができる。
【0045】
その後,第2バーナ32においても,上記第1バーナ31と同様に燃焼が行われ,燃焼による火炎が,内壁11の方向に向けて形成されると共に内壁11の軸方向Lに向けて長い縦長の形状に形成される。また,第2バーナ32による燃焼ガスG1が上記被加熱物2を加熱しながら環状燃焼空間13を通過し,被加熱物2を加熱した後の排気ガスG2が上記第1燃焼用空気ノズル511より第1バーナ31の第1燃焼用空気通路51を通過して,加熱炉1の外部に排気される。そして,このときには,第1バーナ31における第1蓄熱体512に排気ガスG2における排熱が蓄えられる。
次いで,第1バーナ31において燃焼が行われる際には,第1蓄熱体512における排熱を回収して燃焼が行われる。そして,以降は,同様にして,各バーナ31,32において交互に燃焼と排気とが繰り返される。
【0046】
本例の加熱炉1においては,上記のごとく,燃料ガスFと燃焼用空気Aとの燃焼による火炎は,上記内壁11の方向に押し出されると共にこの内壁11に沿った円弧状に形成され,上記被加熱物(反応筒)2との接触が避けられる。そのため,上記加熱炉1によれば,被加熱物2の一部を火炎により局所的に加熱してしまうことがなく,局所的な加熱により被加熱物2が悪影響を受けることがない。
【0047】
また,上記燃焼による火炎は,上記内壁11に沿った円弧状に形成されることにより,上記被加熱物2より離れた方向に向けられる。そのため,上記被加熱物2の大きさは維持したまま,上記環状燃焼空間13を被加熱物2と上記内壁11との間の距離を小さくするように狭くしても,上記火炎が上記被加熱物2に接触することを防止することができる。
【0048】
それ故,本例によれば,被加熱物2を局所的に加熱してしまうことを防止できると共に,コンパクトな加熱炉1を形成することができる。そして,本例の加熱炉1は,例えば,これを設置するためのスペースが限られている状況下においても,設置が可能となる。
また,上記のごとく,上記環状燃焼空間13を狭くすることにより,上記各バーナ31,32の燃焼ガスG1を充満させる空間の体積が小さくなる。そのため,本例によれば,熱効率の高い加熱炉1を形成することができる。
【0049】
また,本例の加熱炉1においては,上記のごとく,上記2つのバーナ31,32を,この加熱炉1の内壁11に対してできるだけ離れた位置に配設し,一方のバーナ31又は32による燃焼ガスG1が排気ガスG2として他方のバーナ31又は32に排気されるまでの時間をできるだけ長くした。そのため,一方のバーナ31又は32による燃焼ガスG1をできるだけ長い時間上記被加熱物2に接触させてから,被加熱物2を加熱した後の排気ガスG2を他方のバーナ31又は32の燃焼用空気ノズル511,521へと排気することができる。
【0050】
また,燃焼による燃焼ガスG1が上記環状燃焼空間13を旋回しながら進むことを考慮して,この燃焼ガスG1の進行方向に対して対向するように各バーナ31,32の燃焼用空気ノズル511,521を配設した。そのため,燃焼ガスG1は,できるだけ長い時間,環状燃焼空間13を進んだ後には,速やかに排気される。
また,本例の加熱炉1によれば,上記構成により,従来の加熱炉1のように内壁11の一部に排気ガスG2の排出を助ける排気ガス排出穴を形成することなく,燃焼を行うことも可能となる。
【0051】
それ故,本例によれば,熱効率が一層高い加熱炉1を形成することができる。そして,上記のごとく,上記反応筒2において雰囲気ガスHを生成する際には,上記燃焼による火炎が反応筒2を局部加熱して雰囲気ガスHの生成に悪影響を及ぼしてしまうことを防止でき,小さな設置スペースで,かつ効率的に上記雰囲気ガスHの生成を行うことができる。
【0052】
また,上記各バーナ31,32においては,上記各噴出ガイド53の形成により,排気ガスG2は,上記環状燃焼空間13より各燃焼用空気ノズル511,521へ流入した後には,各燃焼用空気通路51,52内で横方向に拡大する流れとなる。そのため,排気ガスG2の流速は減少し,排気ガスG2を各蓄熱体512,522に対して長い時間接触させることができる。そのため,上記各噴出ガイド53の形成により,上記各蓄熱体512,522による排熱の回収効率が向上できると考えられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例における,第1バーナ及び第2バーナを配設した加熱炉をその上方から見た状態を示す図で,第1バーナにおいて燃焼を行うと共に第2バーナにおいて排気を行っている状態を示す断面説明図。
【図2】実施例における,第1バーナ及び第2バーナを配設した加熱炉をその上方から見た状態を示す図で,第2バーナにおいて燃焼を行うと共に第1バーナにおいて排気を行っている状態を示す断面説明図。
【図3】実施例における,加熱炉を示す斜視図。
【図4】実施例における,第1バーナ又は第2バーナを加熱炉の上方から見た状態を示す断面説明図。
【図5】実施例における,噴出ガイドをガイド板により形成した第1バーナ又は第2バーナを示す断面説明図。
【図6】実施例における,第1バーナ又は第2バーナを正面から見た状態を示す図で,第1ガスノズル又は第2ガスノズルの形成状態を示す説明図。
【図7】実施例における,第1バーナ又は第2バーナを正面から見た状態を示す図で,第1ガスノズル又は第2ガスノズルを2箇所に形成した状態を示す説明図。
【図8】実施例における,第1バーナ又は第2バーナを正面から見た状態を示す図で,第1ガスノズル又は第2ガスノズルを3箇所に形成した状態を示す説明図。
【図9】実施例における,第1バーナ及び第2バーナを配設した加熱炉をその上方から見た状態を示す図で,それらを加熱炉の円周方向の近い位置に,各燃焼用空気ノズルが互いに直交するよう配設した状態を示す説明図。
【図10】実施例における,第1バーナ及び第2バーナを配設した加熱炉をその上方から見た状態を示す図で,それらを加熱炉において,各燃焼用空気ノズルが互いに平行になるよう配設した状態を示す説明図。
【符号の説明】
1...加熱炉,
11...内壁,
13...環状燃焼空間,
2...被加熱物(反応筒),
20...反応室,
21...触媒,
31...第1バーナ,
32...第2バーナ,
41...第1ガス管,
411...第1ガスノズル,
42...第2ガス管,
421...第2ガスノズル,
51...第1燃焼用空気通路,
511...第1燃焼用空気ノズル,
512...第1蓄熱体,
52...第2燃焼用空気通路,
521...第2燃焼用空気ノズル,
522...第2蓄熱体,
53...噴出ガイド,
6...熱処理炉,
F...燃料ガス,
A...燃焼用空気,
G1...燃焼ガス,
G2...排気ガス,
Claims (4)
- 筒状の内壁の略軸中心部に被加熱物を配置し,該被加熱物と上記内壁との間に形成された環状燃焼空間に向けてバーナから火炎を発生させて上記被加熱物を加熱するよう構成された加熱炉において,
上記バーナは,燃料ガスを噴出させるガスノズルと,燃焼用空気を噴出させる燃焼用空気ノズルとを有していると共に,上記ガスノズルと上記燃焼用空気ノズルとを上記内壁から上記環状燃焼空間に向けて配設させてなり,
上記燃焼用空気ノズルは,上記燃焼用空気の噴出方向を上記ガスノズルの上記燃料ガスの噴出方向に交錯させるよう配設してあり,
上記燃料ガスと上記燃焼用空気との燃焼による火炎が,上記燃焼用空気ノズルより噴出された上記燃焼用空気によって上記内壁に向けて押し出されると共に,上記被加熱物に接触することなく上記内壁に沿って円弧状に形成されるよう構成してあることを特徴とする加熱炉。 - 請求項1において,上記燃焼用空気ノズルは,上記筒状の内壁の軸方向に向けて長い縦長形状を有しており,かつ当該燃焼用空気ノズルの近傍には,上記燃焼用空気の噴出方向を上記燃料ガスの噴出方向に交錯させるための噴出ガイドが設けてあることを特徴とする加熱炉。
- 請求項1又は2において,上記加熱炉には,上記バーナが2つ配設されていると共に,該各バーナは,それぞれ上記燃焼用空気を通過させる燃焼用空気通路とこれに配置された蓄熱体とを有しており,該各バーナにより,燃焼と排気とを交互に行うリジェネバーナが構成されていることを特徴とする加熱炉。
- 請求項1〜3のいずれか一項において,上記被加熱物は,反応室を有する筒状の反応筒であり,該反応筒は,上記反応室に触媒を保持すると共に,該触媒に燃料ガス及び燃焼用空気を含有する原料ガスを投入してこれらを反応させ,一酸化炭素ガス,水素ガス及び窒素ガスを含有する雰囲気ガスを生成するものであることを特徴とする加熱炉。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003088749A JP2004293980A (ja) | 2003-03-27 | 2003-03-27 | 加熱炉 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003088749A JP2004293980A (ja) | 2003-03-27 | 2003-03-27 | 加熱炉 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004293980A true JP2004293980A (ja) | 2004-10-21 |
Family
ID=33402795
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003088749A Pending JP2004293980A (ja) | 2003-03-27 | 2003-03-27 | 加熱炉 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004293980A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010260769A (ja) * | 2009-05-08 | 2010-11-18 | Dowa Thermotech Kk | 変成炉の加熱方法及び変成炉 |
WO2016016919A1 (ja) * | 2014-07-28 | 2016-02-04 | 大阪瓦斯株式会社 | 加熱炉 |
CN108050536A (zh) * | 2017-11-30 | 2018-05-18 | 江苏中科重工股份有限公司 | 低温空气预热器 |
-
2003
- 2003-03-27 JP JP2003088749A patent/JP2004293980A/ja active Pending
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010260769A (ja) * | 2009-05-08 | 2010-11-18 | Dowa Thermotech Kk | 変成炉の加熱方法及び変成炉 |
WO2016016919A1 (ja) * | 2014-07-28 | 2016-02-04 | 大阪瓦斯株式会社 | 加熱炉 |
CN108050536A (zh) * | 2017-11-30 | 2018-05-18 | 江苏中科重工股份有限公司 | 低温空气预热器 |
CN108050536B (zh) * | 2017-11-30 | 2019-10-29 | 江苏中科重工股份有限公司 | 低温空气预热器 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
EP0356092B1 (en) | Gas turbine combustor | |
JP4523054B2 (ja) | 燃料電池の改質器用バーナとそれを備えた改質器 | |
KR100866327B1 (ko) | 플라즈마 버너 및 매연여과장치 | |
JP5216369B2 (ja) | バーナおよびその運転方法 | |
JP5057938B2 (ja) | 水素生成装置、およびこれを備えた燃料電池システム | |
JP5936400B2 (ja) | 管状火炎バーナ及びラジアントチューブ式加熱装置 | |
JP2004293980A (ja) | 加熱炉 | |
JP2006250429A (ja) | リジェネバーナシステム | |
JP6152417B2 (ja) | 液体燃料の触媒燃焼を行うための触媒加熱器と反応器とに使用される燃料噴射システム | |
JP2007093180A (ja) | マイクロコンバスタの起動方法 | |
JP2008014581A (ja) | ラジアントチューブバーナ | |
JP2005188844A (ja) | 管状火炎バーナ | |
JP7302273B2 (ja) | バーナ | |
JP2004205113A (ja) | ラジアントチューブバーナ | |
JP4068041B2 (ja) | 低NOxバーナ | |
JP2009008315A (ja) | 煙道一体型バーナー | |
JP2003279002A (ja) | 蓄熱式ラジアントチューブ燃焼装置 | |
JP2005121329A (ja) | シングルエンド型蓄熱式ラジアントチューブバーナ | |
JP2019015439A (ja) | 蓄熱式燃焼設備 | |
JP3946575B2 (ja) | エアヒートバーナ | |
WO2023007929A1 (ja) | 燃焼器 | |
KR100866330B1 (ko) | 플라즈마 버너 및 매연여과장치 | |
JP3691863B2 (ja) | ラジアントチューブバーナ及びそれを用いた交互燃焼型ラジアントチューブバーナシステム | |
JP3102435U (ja) | 燃焼器 | |
KR101019725B1 (ko) | 플라즈마를 이용한 연료 개질기능이 구비된 플라즈마 버너장치 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20050510 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20071015 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20080115 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20080624 |