JP2004293733A - オートマチックトランスミッションの非常時回路 - Google Patents
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Abstract
【課題】運転手の誤操作により非常用スイッチがOFFになっても、電源異常と判断されることが無く、通常の走行モードを保持出来る様なオートマチックトランスミッションの非常時回路の提供。
【解決手段】イグニッションスイッチ(ING SW)とオートマチックトランスミッションのコントロールユニット(ATM ECU)との間に、非常用スイッチ(EMG SW)が介装されている回路(C1)と、ホールドリレー(HOLD RLY)が介装されている回路(C2)とが並列に設けられており、前記ホールドリレー(HOLD RLY)は、イグニッションスイッチ(INGSW)と非常用スイッチ(EMG SW)とがONになればOFFからONとなり、イグニッションスイッチ(ING SW)がONであればOFFとはならない様に構成されている。
【選択図】 図1
【解決手段】イグニッションスイッチ(ING SW)とオートマチックトランスミッションのコントロールユニット(ATM ECU)との間に、非常用スイッチ(EMG SW)が介装されている回路(C1)と、ホールドリレー(HOLD RLY)が介装されている回路(C2)とが並列に設けられており、前記ホールドリレー(HOLD RLY)は、イグニッションスイッチ(INGSW)と非常用スイッチ(EMG SW)とがONになればOFFからONとなり、イグニッションスイッチ(ING SW)がONであればOFFとはならない様に構成されている。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はオートマチックトランスミッションの電子制御に関するものであり、より詳細には、オートマチックトランスミッションの非常時における制御に関する。
【0002】
【従来の技術】
オートマチックトランスミッション(ATM)は、以前は油圧回路により機械的に変速するものが多かったが、近年は電子制御により変速操作を行うものが主流となっている。
この様な電子制御によるATMにおいて、制御エラーが発生した場合や、制御系に電流が供給されなくなる電源異常が発生した場合等の様な非常時には、その時点における走行状態に対応して、車両を停止したり、或いは、とりあえず走行出来る状態を維持する(例えば高速道路走行時における停車や極低速での追突防止のためにギヤを3速にホールドする)等の制御を行う。
【0003】
非常時の制御は、非常用スイッチ(エマージェンシースイッチ)EMG SWを操作して、当該スイッチEMG SWをOFFすることにより、実行される。すなわち、非常用スイッチEMG SWが切れると、ATMのコントロールユニットには電流が流れなくなり、エラーと判断される(例えば、非特許文献1参照)。
【0004】
その様な従来のオートマチックトランスミッションの非常時回路が図4で示されている。
車両用電源である通常はバッテリに連通するラインL3にイグニッションスイッチIGN SWの入力側が連結され、イグニッションスイッチIGN SWの出力側に非常用スイッチEMG SWを介装したラインL5がトランスミッションのコントロールユニットATM ECUに連通されている。
したがって、イグニッションスイッチIGN SWと非常用スイッチEMG SWとはシリーズに構成されているので、どちらかの一方がOFFであれば、コントロールユニットATM ECUに制御用の電流が供給されないことになっている。
【0005】
ここで、走行中に、非常用スイッチEMG SWを誤って操作し、OFFにしてしまう場合が存在する。
その様な誤操作により非常用スイッチEMG SWをOFFにした場合であっても、ATMのコントロールユニットECUは、図5で示す様に、電源異常と判断して、エラーモードを選択してしまう。
【0006】
すなわち、自動車発進時にイグニッションスイッチIGN SWをONにする(ステップS31)。この時点で、通常は非常用スイッチEMG SWはONとなっている(ステップS32)。
イグニッションスイッチIGN SWと非常用スイッチEMG SWとが双方共にONであれば、ATMのコントロールユニットECUに通電され作動ONの状態になる(ステップS33)。
【0007】
上記の通電によるATMのコントロールユニットECUの作動時に、運転手が誤って(ステップSE)、非常用スイッチSMG SWを操作してOFFにしてしまうと(ステップS34)、ラインL5は遮断され、ATMのコントロールユニットECUへの電流供給が停止されて電源異常と判断される。
【0008】
この結果、制御系に重大なエラーが発生したと判断して、例えば走行停止や、停止が危険な高速道路では暫定的に所定のシフト位置で走行継続させる、等のエマージェンシー対応のエラーモード処置(ステップS35)がなされてしまう。さらには、それ以後の回路診断でもエラー箇所の発見が困難で遅れることになる。
【0009】
このように、電源異常が生じていないのにエラーモードで走行してしまうことは、危険を惹起してしまう恐れがある。また、ATMのコントロールユニットECUが電源系統の異常とカウントしてしまうので、整備に際しては、電源系統が優先的にチェックされることになる。そのため、仮に電源系統以外に不具合箇所が存在したとしても、当該箇所のチェックの優先順位が低くなり、場合によってはチェックされない恐れも存在する。
誤操作をさけるために取扱い説明書では、非常用スイッチEMG SWの操作手順を強調して特記しているが、誤操作は免れないものとして装置でフェールセーフを行う必要がある。
【0010】
【非特許文献1】
日産ディーゼル工業株式会社発行 コンドルシリーズ(A850)取扱説明書 (6−10頁)
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上述した従来技術の問題点に鑑みて提案されたものであり、運転手の誤操作により非常用スイッチがOFFになっても、電源異常と判断されることが無く、通常の走行モードを保持出来る様なオートマチックトランスミッションの非常時回路の提供を目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】
発明者は、本来、非常用スイッチ(EMG SW)はイグニッションスイッチ(IGN SW)がOFFになってから操作するべきものであることに着目した。
本発明のオートマチックトランスミッション(ATM)の非常時回路は、イグニッションスイッチ(ING SW)とオートマチックトランスミッションのコントロールユニット(ATM ECU)との間に、非常用スイッチ(EMG SW)が介装されている回路(C1)と、ホールドリレー(HOLD RLY)が介装されている回路(C2)とが並列に設けられており、前記ホールドリレー(HOLD RLY)は、イグニッションスイッチ(ING SW)と非常用スイッチ(EMG SW)とがONになればOFFからONとなり、イグニッションスイッチ(ING SW)がONであればOFFとはならない様に構成されている(請求項1)。
【0013】
係る構成を具備する本発明によれば、前記ホールドリレー(HOLD RLY)はイグニッションスイッチ(ING SW)がONであればOFFとはならない様に構成されているので、誤操作により非常用スイッチ(EMG SW)がOFFとなり、非常用スイッチ(EMG SW)が介装されている回路(C1)が開いても、それと並列に設けられたホールドリレー(HOLD RLY)が介装されている回路(C2)を介して、オートマチックトランスミッションのコントロールユニット(ATM ECU)には電流が流れる。
そのため、誤操作により非常用スイッチ(EMG SW)が介装されている回路(C1)が開いても、電源異常と判定すること無く、通常の走行を続けるべく制御を続行することが出来る。
【0014】
一方、電源異常が生じた場合には、イグニッションスイッチ(ING SW)と非常用スイッチ(EMG SW)とがOFFとなることにより、オートマチックトランスミッションのコントロールユニット(ATM ECU)には電流が供給されなくなるので、当該ユニット(ATM ECU)は電源異常と判定し、エラーモードを選択することが出来る。
【0015】
本発明の実施に際して、前記ホールドリレー(HOLD RLY)は非常用スイッチ(EMG SW)が介装されている回路(C1)に電流が流れた場合にONとなる様に構成されているのが好ましい(請求項2)。
【0016】
具体的には、前記ホールドリレー(HOLD RLY)内のコイル(L)の一端はホールドリレー(HOLD RLY)を介装する回路(C2)に接続されており、ホールドリレー(HOLD RLY)がOFFで非常用スイッチ(EMGSW)が介装されている回路(C1)に電流が流れると、当該非常用スイッチ(EMG SW)が介装されている回路(C1)との合流点及びホールドリレー(HOLD RLY)を介装する回路(C2)を介して、前記コイル(L)が通電される様に構成されているのが好ましい(請求項3)。
【0017】
さらに、本発明において、異常発生時にオートマチックトランスミッションのコントロールユニット(ATM ECU)へ電流を供給するための電流供給回路(L15)は、イグニッションスイッチ(ING SW)とオートマチックトランスミッションのコントロールユニット(ATM ECU)とを結んでいるのが好ましい(請求項4)。
【0018】
より詳細には、前記電流供給回路(L15)は、前記非常用スイッチ(EMGSW)が介装されている回路(C1)とホールドリレー(HOLD RLY)を介装する回路(C2)との分岐点(A)よりもイグニッションスイッチ(ING SW)側の領域と、合流点(B)よりもオートマチックトランスミッションのコントロールユニット(ATM ECU)側の領域とを結んでいるのが好ましい(請求項5)。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明のオートマチックトランスミッションの非常時回路を回路図で示している。
【0020】
イグニッションスイッチING SWの下流側(オートマチックトランスミッションのコントロールユニットATM ECU側)は、分岐箇所Aで非常用スイッチEMG SWが介装されている回路C1と、ホールドリレーHOLD RLYが介装されている回路C2とに分岐している。
【0021】
分岐した2つの回路はオートマチックトランスミッションのコントロールユニットATM ECUの上流側(イグニッションスイッチING SW側)の合流箇所Bで合流する。
ホールドリレーHOLD RLYのコイルLは、その一端Laが回路C2に合流している。
【0022】
異常発生時にオートマチックトランスミッションのコントロールユニットATM ECUへ電流を供給するためのバイパス回路L15は、イグニッションスイッチING SWと分岐箇所Aとの間の領域(符号「C」で示す箇所)と、合流箇所BとオートマチックトランスミッションのコントロールユニットATM ECUとの間の領域(符号「D」で示す箇所)とを結んでいる。
【0023】
図1で示すオートマチックトランスミッションの非常時回路の作動を説明するのが図2の動作フロー図である。
図2において、自動車発進時にはイグニッションスイッチING SWをONにする(図2のステップS1)。この時点で、通常、非常用スイッチEMG SWはONとなっている(ステップS2)。
【0024】
イグニッションスイッチING SW及び非常用スイッチEMG SWが双方共にONであれば、回路C1に電流が流れ、ホールドリレーHOLD RLYのコイルLの端部Laに電圧が印加されるので、ホールドリレーHOLD RLYがON状態となる(ステップS3)。
それとともに、回路C1を介して電流が供給されるオートマチックトランスミッションのコントロールユニットATM ECUが作動状態(ON)となる(ステップS4)。
【0025】
この状態で、運転手が誤って(ステップSE)、非常用スイッチEMG SWを操作してOFFにしてしまうと(ステップS5)、回路C1は開放するが、イグニッションスイッチING SWはONのままである。そして、ホールドリレーHOLD RLYはONのままなので、回路C2を介してオートマチックトランスミッションのコントロールユニットATM ECUへ電流が供給される状態が維持される(ステップS6)。
【0026】
そして、オートマチックトランスミッションのコントロールユニットATM ECUは、非常用スイッチEMG SWがOFFになっているが、回路C2を介して電流が供給されているので、電源系統には異常は無いと判定し、エラーモードとはならずに通常の走行モードを維持する。
【0027】
一方、異常が発生して(ステップSA)、イグニッションスイッチING SWがOFFになった(ステップS8)後に非常用スイッチEMG SWがOFFになったならば(ステップS9)、その時点で回路C1が開放され且つホールドリレーHOLD RLYもOFFとなる。
【0028】
その状態で、イグニッションスイッチING SWをONにすれば(ステップS10)、バイパス回路L15を介してオートマチックトランスミッションのコントロールユニットATM ECUに電流が供給されて、コントロールユニットATM ECUが作動する。オートマチックトランスミッションのコントロールユニットATM ECUは、イグニッションスイッチIGN SWと非常用スイッチEMG SWの双方がOFFである事を検出して、電源異常が生じたと判断して、エラーモードを選択する。OFFでなければ、ループして非常用スイッチEMG SWの状態を監視する。OFFであれば、ステップS22に進む。
【0029】
図1、図2で示すオートマチックトランスミッションの非常時回路の作動を、図3を参照してさらに説明する。
最初に、非常用スイッチEMG SWの状態を確認する(ステップS21)。OFFでなければ、ループして非常用スイッチEMG SWの状態を監視する。OFFであれば、ステップS22に進む。
【0030】
ステップS22では、非常用スイッチEMG SWがOFFとなる以前にイグニッションスイッチIGN SWがOFFげあったか否かを確認する。イグニッションスイッチIGN SWがOFFであったなら(異常時)としてのルートを選択してステップS23に進み、イグニッションスイッチIGN SWがONであったなら(誤操作)としてのルートを選択してステップS26に進む。
【0031】
ステップS23では、ホールドリレーHOLD RLYはOFF状態にあることを示している。
この状態でステップS24で、イグニッションスイッチIGN SWがONであることを確認する。ONでなければ、ループしてイグニッションスイッチIGN SWの状態を監視する。ONであれば、ステップS25に進む。
【0032】
ステップS25では、バイパス回路L15経由でオートマチックトランスミッションのコントロールユニットATM ECUに電流が供給される。そして、電源が異常として判定し、エラーモードで安全を確保して走行する。
【0033】
一方ステップS22で(誤操作)としてのルートを選択して、ステップS26に進むと、ホールドリレーHOLD RLYはON状態にあるとして、ステップS27でオートマチックトランスミッションのコントロールユニットATM ECUに電流が供給される。そして、電源異常と判定せずに正常なモードで走行する。
【0034】
なお、図示の実施形態はあくまでも例示であり、本発明の技術的範囲を限定する趣旨の記述ではない旨を付記する。
【0035】
【発明の効果】
本発明の作用効果を以下に列挙する。
(a) 本発明の構成で、イグニッションスイッチとオートマチックトランスミッションのコントロールユニットとの間に非常用スイッチと並列に、ホールドリレーを設けたので、誤操作による非常用スイッチOFFがあっても回路で誤操作を確認してエラーモードを選択することがなく、正常な走行ができる。
(b) さらに、非常用スイッチとホールドリレーをバイパスする電流供給回路を設けたので、非常用スイッチがOFFとなりホールドリレーがOFFとなってもオートマチックトランスミッションのコントロールユニットへの電流供給は確実に保証される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の非常時回路の実施形態を示す側面図。
【図2】同上の作動説明用ブロック図。
【図3】図1、2の作動用フローチャト。
【図4】従来の非常時回路の図。
【図5】同上の作動説明用ブロック図。
【符号の説明】
ATM・・・・・・オートマチックトランスミッション
EMG SW・・・・非常用スイッチ
ING SW・・・・イグニッションスイッチ
ATM ECU・・・コントロールユニット
HOLD RLY・・ホールドリレー
C1、C2・・・・・回路
L15・・・・・・・電源供給(バイパス)回路
【発明の属する技術分野】
本発明はオートマチックトランスミッションの電子制御に関するものであり、より詳細には、オートマチックトランスミッションの非常時における制御に関する。
【0002】
【従来の技術】
オートマチックトランスミッション(ATM)は、以前は油圧回路により機械的に変速するものが多かったが、近年は電子制御により変速操作を行うものが主流となっている。
この様な電子制御によるATMにおいて、制御エラーが発生した場合や、制御系に電流が供給されなくなる電源異常が発生した場合等の様な非常時には、その時点における走行状態に対応して、車両を停止したり、或いは、とりあえず走行出来る状態を維持する(例えば高速道路走行時における停車や極低速での追突防止のためにギヤを3速にホールドする)等の制御を行う。
【0003】
非常時の制御は、非常用スイッチ(エマージェンシースイッチ)EMG SWを操作して、当該スイッチEMG SWをOFFすることにより、実行される。すなわち、非常用スイッチEMG SWが切れると、ATMのコントロールユニットには電流が流れなくなり、エラーと判断される(例えば、非特許文献1参照)。
【0004】
その様な従来のオートマチックトランスミッションの非常時回路が図4で示されている。
車両用電源である通常はバッテリに連通するラインL3にイグニッションスイッチIGN SWの入力側が連結され、イグニッションスイッチIGN SWの出力側に非常用スイッチEMG SWを介装したラインL5がトランスミッションのコントロールユニットATM ECUに連通されている。
したがって、イグニッションスイッチIGN SWと非常用スイッチEMG SWとはシリーズに構成されているので、どちらかの一方がOFFであれば、コントロールユニットATM ECUに制御用の電流が供給されないことになっている。
【0005】
ここで、走行中に、非常用スイッチEMG SWを誤って操作し、OFFにしてしまう場合が存在する。
その様な誤操作により非常用スイッチEMG SWをOFFにした場合であっても、ATMのコントロールユニットECUは、図5で示す様に、電源異常と判断して、エラーモードを選択してしまう。
【0006】
すなわち、自動車発進時にイグニッションスイッチIGN SWをONにする(ステップS31)。この時点で、通常は非常用スイッチEMG SWはONとなっている(ステップS32)。
イグニッションスイッチIGN SWと非常用スイッチEMG SWとが双方共にONであれば、ATMのコントロールユニットECUに通電され作動ONの状態になる(ステップS33)。
【0007】
上記の通電によるATMのコントロールユニットECUの作動時に、運転手が誤って(ステップSE)、非常用スイッチSMG SWを操作してOFFにしてしまうと(ステップS34)、ラインL5は遮断され、ATMのコントロールユニットECUへの電流供給が停止されて電源異常と判断される。
【0008】
この結果、制御系に重大なエラーが発生したと判断して、例えば走行停止や、停止が危険な高速道路では暫定的に所定のシフト位置で走行継続させる、等のエマージェンシー対応のエラーモード処置(ステップS35)がなされてしまう。さらには、それ以後の回路診断でもエラー箇所の発見が困難で遅れることになる。
【0009】
このように、電源異常が生じていないのにエラーモードで走行してしまうことは、危険を惹起してしまう恐れがある。また、ATMのコントロールユニットECUが電源系統の異常とカウントしてしまうので、整備に際しては、電源系統が優先的にチェックされることになる。そのため、仮に電源系統以外に不具合箇所が存在したとしても、当該箇所のチェックの優先順位が低くなり、場合によってはチェックされない恐れも存在する。
誤操作をさけるために取扱い説明書では、非常用スイッチEMG SWの操作手順を強調して特記しているが、誤操作は免れないものとして装置でフェールセーフを行う必要がある。
【0010】
【非特許文献1】
日産ディーゼル工業株式会社発行 コンドルシリーズ(A850)取扱説明書 (6−10頁)
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上述した従来技術の問題点に鑑みて提案されたものであり、運転手の誤操作により非常用スイッチがOFFになっても、電源異常と判断されることが無く、通常の走行モードを保持出来る様なオートマチックトランスミッションの非常時回路の提供を目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】
発明者は、本来、非常用スイッチ(EMG SW)はイグニッションスイッチ(IGN SW)がOFFになってから操作するべきものであることに着目した。
本発明のオートマチックトランスミッション(ATM)の非常時回路は、イグニッションスイッチ(ING SW)とオートマチックトランスミッションのコントロールユニット(ATM ECU)との間に、非常用スイッチ(EMG SW)が介装されている回路(C1)と、ホールドリレー(HOLD RLY)が介装されている回路(C2)とが並列に設けられており、前記ホールドリレー(HOLD RLY)は、イグニッションスイッチ(ING SW)と非常用スイッチ(EMG SW)とがONになればOFFからONとなり、イグニッションスイッチ(ING SW)がONであればOFFとはならない様に構成されている(請求項1)。
【0013】
係る構成を具備する本発明によれば、前記ホールドリレー(HOLD RLY)はイグニッションスイッチ(ING SW)がONであればOFFとはならない様に構成されているので、誤操作により非常用スイッチ(EMG SW)がOFFとなり、非常用スイッチ(EMG SW)が介装されている回路(C1)が開いても、それと並列に設けられたホールドリレー(HOLD RLY)が介装されている回路(C2)を介して、オートマチックトランスミッションのコントロールユニット(ATM ECU)には電流が流れる。
そのため、誤操作により非常用スイッチ(EMG SW)が介装されている回路(C1)が開いても、電源異常と判定すること無く、通常の走行を続けるべく制御を続行することが出来る。
【0014】
一方、電源異常が生じた場合には、イグニッションスイッチ(ING SW)と非常用スイッチ(EMG SW)とがOFFとなることにより、オートマチックトランスミッションのコントロールユニット(ATM ECU)には電流が供給されなくなるので、当該ユニット(ATM ECU)は電源異常と判定し、エラーモードを選択することが出来る。
【0015】
本発明の実施に際して、前記ホールドリレー(HOLD RLY)は非常用スイッチ(EMG SW)が介装されている回路(C1)に電流が流れた場合にONとなる様に構成されているのが好ましい(請求項2)。
【0016】
具体的には、前記ホールドリレー(HOLD RLY)内のコイル(L)の一端はホールドリレー(HOLD RLY)を介装する回路(C2)に接続されており、ホールドリレー(HOLD RLY)がOFFで非常用スイッチ(EMGSW)が介装されている回路(C1)に電流が流れると、当該非常用スイッチ(EMG SW)が介装されている回路(C1)との合流点及びホールドリレー(HOLD RLY)を介装する回路(C2)を介して、前記コイル(L)が通電される様に構成されているのが好ましい(請求項3)。
【0017】
さらに、本発明において、異常発生時にオートマチックトランスミッションのコントロールユニット(ATM ECU)へ電流を供給するための電流供給回路(L15)は、イグニッションスイッチ(ING SW)とオートマチックトランスミッションのコントロールユニット(ATM ECU)とを結んでいるのが好ましい(請求項4)。
【0018】
より詳細には、前記電流供給回路(L15)は、前記非常用スイッチ(EMGSW)が介装されている回路(C1)とホールドリレー(HOLD RLY)を介装する回路(C2)との分岐点(A)よりもイグニッションスイッチ(ING SW)側の領域と、合流点(B)よりもオートマチックトランスミッションのコントロールユニット(ATM ECU)側の領域とを結んでいるのが好ましい(請求項5)。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明のオートマチックトランスミッションの非常時回路を回路図で示している。
【0020】
イグニッションスイッチING SWの下流側(オートマチックトランスミッションのコントロールユニットATM ECU側)は、分岐箇所Aで非常用スイッチEMG SWが介装されている回路C1と、ホールドリレーHOLD RLYが介装されている回路C2とに分岐している。
【0021】
分岐した2つの回路はオートマチックトランスミッションのコントロールユニットATM ECUの上流側(イグニッションスイッチING SW側)の合流箇所Bで合流する。
ホールドリレーHOLD RLYのコイルLは、その一端Laが回路C2に合流している。
【0022】
異常発生時にオートマチックトランスミッションのコントロールユニットATM ECUへ電流を供給するためのバイパス回路L15は、イグニッションスイッチING SWと分岐箇所Aとの間の領域(符号「C」で示す箇所)と、合流箇所BとオートマチックトランスミッションのコントロールユニットATM ECUとの間の領域(符号「D」で示す箇所)とを結んでいる。
【0023】
図1で示すオートマチックトランスミッションの非常時回路の作動を説明するのが図2の動作フロー図である。
図2において、自動車発進時にはイグニッションスイッチING SWをONにする(図2のステップS1)。この時点で、通常、非常用スイッチEMG SWはONとなっている(ステップS2)。
【0024】
イグニッションスイッチING SW及び非常用スイッチEMG SWが双方共にONであれば、回路C1に電流が流れ、ホールドリレーHOLD RLYのコイルLの端部Laに電圧が印加されるので、ホールドリレーHOLD RLYがON状態となる(ステップS3)。
それとともに、回路C1を介して電流が供給されるオートマチックトランスミッションのコントロールユニットATM ECUが作動状態(ON)となる(ステップS4)。
【0025】
この状態で、運転手が誤って(ステップSE)、非常用スイッチEMG SWを操作してOFFにしてしまうと(ステップS5)、回路C1は開放するが、イグニッションスイッチING SWはONのままである。そして、ホールドリレーHOLD RLYはONのままなので、回路C2を介してオートマチックトランスミッションのコントロールユニットATM ECUへ電流が供給される状態が維持される(ステップS6)。
【0026】
そして、オートマチックトランスミッションのコントロールユニットATM ECUは、非常用スイッチEMG SWがOFFになっているが、回路C2を介して電流が供給されているので、電源系統には異常は無いと判定し、エラーモードとはならずに通常の走行モードを維持する。
【0027】
一方、異常が発生して(ステップSA)、イグニッションスイッチING SWがOFFになった(ステップS8)後に非常用スイッチEMG SWがOFFになったならば(ステップS9)、その時点で回路C1が開放され且つホールドリレーHOLD RLYもOFFとなる。
【0028】
その状態で、イグニッションスイッチING SWをONにすれば(ステップS10)、バイパス回路L15を介してオートマチックトランスミッションのコントロールユニットATM ECUに電流が供給されて、コントロールユニットATM ECUが作動する。オートマチックトランスミッションのコントロールユニットATM ECUは、イグニッションスイッチIGN SWと非常用スイッチEMG SWの双方がOFFである事を検出して、電源異常が生じたと判断して、エラーモードを選択する。OFFでなければ、ループして非常用スイッチEMG SWの状態を監視する。OFFであれば、ステップS22に進む。
【0029】
図1、図2で示すオートマチックトランスミッションの非常時回路の作動を、図3を参照してさらに説明する。
最初に、非常用スイッチEMG SWの状態を確認する(ステップS21)。OFFでなければ、ループして非常用スイッチEMG SWの状態を監視する。OFFであれば、ステップS22に進む。
【0030】
ステップS22では、非常用スイッチEMG SWがOFFとなる以前にイグニッションスイッチIGN SWがOFFげあったか否かを確認する。イグニッションスイッチIGN SWがOFFであったなら(異常時)としてのルートを選択してステップS23に進み、イグニッションスイッチIGN SWがONであったなら(誤操作)としてのルートを選択してステップS26に進む。
【0031】
ステップS23では、ホールドリレーHOLD RLYはOFF状態にあることを示している。
この状態でステップS24で、イグニッションスイッチIGN SWがONであることを確認する。ONでなければ、ループしてイグニッションスイッチIGN SWの状態を監視する。ONであれば、ステップS25に進む。
【0032】
ステップS25では、バイパス回路L15経由でオートマチックトランスミッションのコントロールユニットATM ECUに電流が供給される。そして、電源が異常として判定し、エラーモードで安全を確保して走行する。
【0033】
一方ステップS22で(誤操作)としてのルートを選択して、ステップS26に進むと、ホールドリレーHOLD RLYはON状態にあるとして、ステップS27でオートマチックトランスミッションのコントロールユニットATM ECUに電流が供給される。そして、電源異常と判定せずに正常なモードで走行する。
【0034】
なお、図示の実施形態はあくまでも例示であり、本発明の技術的範囲を限定する趣旨の記述ではない旨を付記する。
【0035】
【発明の効果】
本発明の作用効果を以下に列挙する。
(a) 本発明の構成で、イグニッションスイッチとオートマチックトランスミッションのコントロールユニットとの間に非常用スイッチと並列に、ホールドリレーを設けたので、誤操作による非常用スイッチOFFがあっても回路で誤操作を確認してエラーモードを選択することがなく、正常な走行ができる。
(b) さらに、非常用スイッチとホールドリレーをバイパスする電流供給回路を設けたので、非常用スイッチがOFFとなりホールドリレーがOFFとなってもオートマチックトランスミッションのコントロールユニットへの電流供給は確実に保証される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の非常時回路の実施形態を示す側面図。
【図2】同上の作動説明用ブロック図。
【図3】図1、2の作動用フローチャト。
【図4】従来の非常時回路の図。
【図5】同上の作動説明用ブロック図。
【符号の説明】
ATM・・・・・・オートマチックトランスミッション
EMG SW・・・・非常用スイッチ
ING SW・・・・イグニッションスイッチ
ATM ECU・・・コントロールユニット
HOLD RLY・・ホールドリレー
C1、C2・・・・・回路
L15・・・・・・・電源供給(バイパス)回路
Claims (5)
- イグニッションスイッチとオートマチックトランスミッションのコントロールユニットとの間に、非常用スイッチが介装されている回路と、ホールドリレーが介装されている回路とが並列に設けられており、前記ホールドリレーは、イグニッションスイッチと非常用スイッチとがONになればOFFからONとなり、イグニッションスイッチがONであればOFFとはならない様に構成されていることを特徴とするオートマチックトランスミッションの非常時回路。
- 前記ホールドリレーは非常用スイッチが介装されている回路に電流が流れた場合にONとなる様に構成されている請求項1のオートマチックトランスミッションの非常時回路。
- 前記ホールドリレー内のコイルの一端はホールドリレーを介装する回路に接続されており、ホールドリレーがOFFで非常用スイッチが介装されている回路に電流が流れると、当該非常用スイッチが介装されている回路との合流点及びホールドリレーを介装する回路を介して、前記コイルが通電される様に構成されている請求項2のオートマチックトランスミッションの非常時回路。
- 異常発生時にオートマチックトランスミッションのコントロールユニットへ電流を供給するための電流供給回路は、イグニッションスイッチとオートマチックトランスミッションのコントロールユニットとを結んでいる請求項1〜3の何れか1項のオートマチックトランスミッションの非常時回路。
- 前記電流供給回路は、前記非常用スイッチが介装されている回路とホールドリレーを介装する回路との分岐点よりもイグニッションスイッチ側の領域と、合流点よりもオートマチックトランスミッションのコントロールユニット側の領域とを結んでいる請求項4の何れか1項のオートマチックトランスミッションの非常時回路。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003089788A JP2004293733A (ja) | 2003-03-28 | 2003-03-28 | オートマチックトランスミッションの非常時回路 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2004293733A true JP2004293733A (ja) | 2004-10-21 |
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ID=33403562
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2003089788A Pending JP2004293733A (ja) | 2003-03-28 | 2003-03-28 | オートマチックトランスミッションの非常時回路 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2004293733A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR101091674B1 (ko) | 2005-08-09 | 2011-12-08 | 현대자동차주식회사 | 주행중 시동키 오조작시의 시동꺼짐 방지방법 |
US11255915B2 (en) | 2018-11-30 | 2022-02-22 | Lg Energy Solution, Ltd. | Switch control apparatus and method |
EP4074958A1 (en) * | 2021-03-25 | 2022-10-19 | Suzuki Motor Corporation | Operation stop control device, electrical system for straddle-type vehicle, and switch discrimination method |
-
2003
- 2003-03-28 JP JP2003089788A patent/JP2004293733A/ja active Pending
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KR101091674B1 (ko) | 2005-08-09 | 2011-12-08 | 현대자동차주식회사 | 주행중 시동키 오조작시의 시동꺼짐 방지방법 |
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