JP2004293678A - アクチュエータ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】出力ポート13,14に対する流体の給排を切り換えるアクチュエータ本体の駆動を制御する制御基板が子局制御ユニットの収容ケースに設けられている。収容ケースは着脱可能な第1分割ケース51と第2分割ケース52とから構成されている。第1分割ケース51内には、制御基板を分割した出力制御部が収容され、第2分割ケース52内には制御基板を分割した通信制御部が収容されている。そして、出力制御部と通信制御部とは、各分割ケース51,52に設けられているコネクタによって切り離し可能に接続されている。
【選択図】 図4
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、アクチュエータに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種のアクチュエータとして、電磁弁によって流体の給排切換を行うことで多数の流体圧シリンダ等を駆動させる電磁弁マニホールド(特許文献1参照)が知られている。電磁弁マニホールドは、2つの出力ポートを有する複数のマニホールドブロックが連設され、各マニホールドブロックに設けた電磁弁の開閉によって各出力ポートに対する流体の給排が切り換えられる。複数のマニホールドブロックのうち連設方向端部に配置されたマニホールドブロックには、子局制御ユニットが並設される。この子局制御ユニットは、収容ケース内に電磁弁の開閉を制御する制御基板が収容されている。複数の電磁弁マニホールドを制御する親局と子局制御ユニットとの間ではシリアル伝送によって省配線化がなされる一方、各電磁弁と子局制御ユニットとの間ではパラレル伝送によって個々の電磁弁に対応した駆動信号等が出力されるようになっている。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−257736号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、従来技術における電磁弁マニホールドは、電磁弁の動作が不良になる原因として主に以下の2つに大別される。第1の不良原因としては、電磁弁がオフされるときに電源電圧よりも遙かに大きいサージ電圧がかかったり、コイルが短絡して大電流が発生したりすることで、制御基板の一部である出力制御部が故障することが挙げられる。第2の不良原因としては、制御基板の一部である通信制御部等の故障により、親局と子局制御ユニットとの間の通信状態が悪くなることが挙げられる。このような場合には、子局制御ユニット全体を交換、つまり全ての制御基板を交換することにより、電磁弁の動作不良を解消しているが、その故障原因が上記第1及び第2の不良原因のうちどちらかを判別することは困難である。
【0005】
本発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的は、制御ユニットの故障原因を容易に判別することができるアクチュエータを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
(請求項1の発明)
請求項1に記載の発明では、流体の供給又は排出がなされる出力ポートを有するとともに、この出力ポートに対する流体の給排を切り換えるアクチュエータ本体と、前記アクチュエータ本体の駆動を制御する制御基板が収容ケース内に収容された制御ユニットとを備えたアクチュエータにおいて、前記制御ユニットの収容ケースを着脱可能な複数の分割ケースから構成し、各分割ケース内に前記制御基板を分割した分割基板をそれぞれ収容し、各分割ケースに収容されている分割基板同士を着脱可能なコネクタによって電気的に接続したことを要旨とする。
【0007】
この構成によれば、アクチュエータ本体が動作不良となった場合には、複数ある分割ケースのうち任意の分割ケースを新しいものに交換した後、アクチュエータの動作させる。そして、アクチュエータが正常に動作すれば、交換した分割ケース内にある分割基板が故障していると判別でき、正常に動作しなれば交換していない別の分割ケース内にある分割基板が故障していると判別できる。従って、どの分割ケース内に収容されている分割基板が故障しているかを判別することができる。
【0008】
(請求項2の発明)
請求項2に記載の発明では、前記コネクタは、各分割ケースに設けられたそれぞれの分割基板に実装され、各分割ケースの着脱に伴って接離可能であることを要旨とする。
【0009】
この構成によれば、各分割基板を接続するコネクタ同士の接続は、分割ケースの着脱と同時になされるため、分割ケースの交換作業を容易に行うことができる。
【0010】
(請求項3の発明)
請求項3に記載の発明では、前記各分割ケースのうち特定の分割ケースは、アクチュエータ本体に形成された流体通路の端部を閉塞するように同アクチュエータ本体に対して並設され、特定の分割ケース内に収容されている分割基板は、アクチュエータ本体に形成される流体通路の流体圧力を受ける隔壁部の上部に重設されていることを要旨とする。
【0011】
この構成によれば、特定の分割ケースにおいて流体圧力を受ける箇所は、他の箇所よりも厚く形成されるため、その厚み分だけデッドスペースが形成されることとなる。そして、このデッドスペースに分割基板が配置がされるため、特定の分割ケースの小型化を図ることができ、ひいてはアクチュエータ全体の小型化を実現できる。
【0012】
(請求項4の発明)
請求項4に記載の発明では、前記各分割ケース内に収容される分割基板は、制御機能別に分けられていることを要旨とする。
【0013】
この構成によれば、故障している分割基板を特定できれば、どのような制御機能が故障しているのかを容易に判別することができるため、メンテナンスや故障時の対処が行い易くなる。
【0014】
(請求項5の発明)
請求項5に記載の発明では、前記分割基板は、可撓性を有しかつ所定の長さを有するケーブルを介して電気的に接続されていることを要旨とする。
【0015】
この構成によれば、例えばアクチュエータの仕様等が変更になることに伴い、制御基板のレイアウトが変更になっても、それに応じて各分割基板の配置向きを容易に変更することができるため、制御基板のレイアウト変更をいっそう容易行うことができる。
【0016】
(請求項6の発明)
請求項6に記載の発明では、前記制御基板の制御機能には、外部に設けられる親局との間で通信信号を送受信する機能と、前記通信信号の送受信状態を表示する機能と、前記通信信号に基づいてアクチュエータ本体を駆動させるための駆動信号を生成する機能と、前記駆動信号の電流値を増幅してアクチュエータ本体に出力する機能と、前記制御基板及びアクチュエータ本体に供給される外部からの電源電圧に含まれるノイズ成分を除去する機能と、前記電源電圧を前記制御基板に印加する制御用電圧に変圧する機能と、前記制御用電圧をアクチュエータ本体に印加する駆動用電圧に変圧する機能とが含まれており、前記各制御機能のうち少なくともいずれか1つの制御機能が、前記複数ある分割基板のいずれかに含まれていることを要旨とする。
【0017】
この構成にすれば、アクチュエータ本体の駆動を制御するのに必要な各種制御機能のうち少なくとも1つを最小単位として分割基板に持たせてあるため、制御基板のレイアウトの自由度をよりいっそう高めることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を電磁弁マニホールドに具体化した一実施形態について、図面を参照して説明する。
【0019】
図1に示すように、アクチュエータとしての電磁弁マニホールド11は、一方向に連設された複数のマニホールドブロック12を備えており、このマニホールドブロック12の前面には、それぞれ第1出力ポート13及び第2出力ポート14が設けられている。第1出力ポート13及び第2出力ポート14からは、そこに接続される図示しない外部流体配管を介して、エアシリンダ等の外部流体圧機器を駆動するための流体が給排される。流体としては、エアシリンダであれば圧縮エアを用いているが、エアシリンダ以外の外部流体圧機器を用いる場合には、油等の液体に適用することも可能である。
【0020】
端部に配置されているマニホールドブロック12には、1つの給排ブロック15が隣接配置されている。この給排ブロック15の前面には、共通供給ポート17と共通排出ポート18とが設けられている。共通供給ポート17は、各マニホールドブロック12が連設された状態で内部に形成される図示しない共通供給流路に通じている。共通供給ポート17に流体が供給されると、共通供給流路を介して各マニホールドブロック12内に流体が供給される。共通排出ポート18は、各マニホールドブロック12が連設された状態で内部に形成される図示しない共通排出流路に通じている。共通排出ポート18を経由して共通排出流路内の流体が排出される。
【0021】
前記各マニホールドブロック12の上部には、それらの第1及び第2出力ポート13,14に対する流体の給排を切り換える電気的駆動手段としての電磁弁19が搭載されている。すなわち、電磁弁19の開閉が一方に切り換えられると、共通供給ポート17及び第1出力ポート13と、共通排出ポート18及び第2出力ポート14とが互いに連通される。電磁弁19の開閉が他方に切り換えられると、共通供給ポート17及び第2出力ポート14と、共通排出ポート18及び第1出力ポート13とが互いに連通される。なお、本実施形態では、電磁弁19とマニホールドブロック12とを合わせてアクチュエータ本体が構成されている。
【0022】
各マニホールドブロック12に連設状態で形成される前記共通供給流路及び共通排出流路は、それらの一端部がエンドブロック21により閉塞され、他端部が子局制御ユニット22によって閉塞されている。電磁弁マニホールド11は、以上のマニホールドブロック12、給排ブロック15、電磁弁19、エンドブロック21及び子局制御ユニット22によって構成されている。そして、これら各部品からなる電磁弁マニホールド11は、取付部材を構成するリテーナ23によって組付けレール24上に固定されている。
【0023】
図2に示すように、電磁弁マニホールド11は例えば生産工場内の適宜の位置に多数配置される。これらの電磁弁マニホールド11に設けられる各子局制御ユニット22は、信号線25を介して親局26に接続されている。親局26は、プログラマブルコントローラよりなる制御装置であって、親局26と子局制御ユニット22との間では通信信号が信号線25を介してシリアル伝送されるようになっている。
【0024】
図3,図4に示すように、子局制御ユニット22の収容ケース30内には、各電磁弁19の開閉を制御する制御基板31が設けられている。制御基板31は、通信制御部32と出力制御部33とに大別されている。通信制御部32は、親局26と子局制御ユニット22との間でシリアル伝送される通信信号を、パラレル伝送による電磁弁駆動信号に変換する制御機能を有する。電磁弁駆動信号は各電磁弁19に個別に対応した信号であって、この電磁弁駆動信号に基づいて各電磁弁19は開閉する。出力制御部33は、変換された電磁弁駆動信号を各電磁弁19に対して個別に出力する出力制御機能を有する。
【0025】
制御基板31の通信制御部32は、更に5つの制御機能別に細分化されており、各制御機能につき1つずつの分割基板である表示・設定基板34、マイコン基板35、通信コネクタ基板36、降圧基板37及び電源コネクタ基板38から構成されている。表示・設定基板34は、親局26と子局制御ユニット22との間で通信信号が正常にシリアル伝送されているかを、発光ダイオード等の発光手段で表示する表示制御機能を有するとともに、複数ある子局制御ユニット22を識別するためのアドレスを付与する制御機能を有する。発光ダイオードの発光状態は、図1に示す収容ケース30の上面に設けられた表示窓39を介して上側から見ることができるようになっている。各子局制御ユニット22を識別するためのアドレスは、収容ケース30の上面に設けられた操作窓40aを介して操作スイッチ40によって設定されるようになっている。マイクロコンピュータが実装されたマイコン基板35は、親局26からシリアル伝送される通信信号に基づいて、各電磁弁19に個別に対応する電磁弁駆動信号を出力するという制御機能を有する。
【0026】
通信コネクタ基板36は、親局26との間で通信信号をシリアル伝送する制御機能を有する。通信コネクタ基板36には前記信号線25の端子が接続される通信用コネクタ42が設けられ、この通信用コネクタ42は、収容ケース30前面に設けられ、電磁弁マニホールド11の各ポート13,14,17,18が配置されている面と同じ面側となっている。
【0027】
降圧基板37は、子局制御ユニット22に供給される電源電圧(DC24V)を、通信制御部32における各電子部品に供給する制御用電圧(DC5V)に変圧する制御機能を有する。電源コネクタ基板38は、各電磁弁19と子局制御ユニット22に電源からの電力を取り込むとともに、電源電圧に含まれるノイズを除去する制御機能を有する。電源コネクタ基板38には電源から延びる給電線の端子が接続される電源用コネクタ44が設けられ、この電源用コネクタ44は、収容ケース30前面に設けられ、電磁弁マニホールド11の各ポート13,14,17,18が配置されている面と同じ面側となっている。電源用コネクタ44は2つ設けられており、一方は各電磁弁19に電力を供給するためのものであって、他方は子局制御ユニット22自体を駆動させるものである。但し、この電源用コネクタ44は外部に1つだけ、内部で2つに分割する構成でもよい。
【0028】
前記制御基板31の出力制御部33は、2つの制御機能別に細分化されており、各制御機能につき1つずつの分割基板である昇圧基板45及び電流増幅基板46から構成されている。昇圧基板45は、通信制御部32における降圧基板37によって降圧された制御用電圧(DC5V)を、各電磁弁19を開閉するのに必要な駆動用電圧(DC24V)に昇圧する制御機能を有する。電流増幅基板46は、トランジスタにより電磁弁駆動信号の電流を増幅させる制御機能を有する。
【0029】
図4,図5に示すように、子局制御ユニット22の収容ケース30は、前記エンドブロック21とは反対側にあるマニホールドブロック12に並設されたL状の第1分割ケース51と、この第1分割ケース51に載置される第2分割ケース52とに分けて構成されている。第1分割ケース(特定の分割ケース)51は、前記エンドブロック21と同様の役割、つまり各マニホールドブロック12に連設状態で形成される共通供給流路及び共通排出流路を閉塞する役割がある。
【0030】
第2分割ケース52内には、前記表示・設定基板34、マイコン基板35、通信コネクタ基板36、降圧基板37及び電源コネクタ基板38、つまり制御基板31の通信制御部32が収容されている。マイコン基板35と降圧基板37とは、ピンヘッダ53によって電気的に接続されている。ピンヘッダ53は、マイコン基板35と降圧基板37との間隔を保持する役割もある。マイコン基板35及び表示・設定基板34、マイコン基板35及び通信コネクタ基板36、降圧基板37及び電源コネクタ基板38は、それぞれ可撓性を有しかつ所定の長さを有するフラットケーブル54によって電気的に接続されている。
【0031】
通信制御部32における各基板34〜38は、第2分割ケース52の上下方向に所定の間隔をおいて3段に配置されている。すなわち、降圧基板37と電源コネクタ基板38とは最下部に配置され、マイコン基板35と通信コネクタ基板36とは中間部に配置され、表示・設定基板34のみが最上部である第2分割ケース52の内頂部に配置されている。なお、第2分割ケース52の下面及び一側面は開口されているが、その開口縁に突設された支持突部52aに係止されることにより、最下部に配置された降圧基板37と電源コネクタ基板38とは支持されている。
【0032】
通信コネクタ基板36と電源コネクタ基板38との間には、それらの間隔を保持するスペーサ55が設けられている。このスペーサ55には第2分割ケース52の上面から差し込まれる固定ネジ56が挿入され、この固定ネジ56が第1分割ケース51上に突設されたネジ孔部57に螺合されることによって、通信コネクタ基板36及び電源コネクタ基板38の固定がなされている。
【0033】
第1分割ケース51内の基板収容部51aには、取付ネジ63によって着脱可能に取り付けられるカバー64が設けられている。基板収容部51aとカバー64とによって囲まれる収容空間には、前記昇圧基板45と電流増幅基板46とが収容され、これらの基板45,46は、それぞれ可撓性を有しかつ所定の長さを有するフラットケーブル58によって電気的に接続されている。昇圧基板45はL状をなす第1分割ケース51の底部に取り付けられている一方、電流増幅基板46は第1分割ケース51の側部に取り付けられている。つまり、昇圧基板45と電流増幅基板46とは直交する位置関係をもって配置されている。
【0034】
第1分割ケース51の下部は流体圧力を受けるための隔壁部51bとなっており、その隔壁部51bの真上に電流増幅基板46が重設されている。隔壁部51bは流体圧力を受けるため、第1分割ケース51における他の側壁部分よりも厚く形成されている関係上、隔壁部51bの上方にはデッドスペースが形成され、このデッドスペースに電流増幅基板46が配置されている。
【0035】
図4,図6に示すように、昇圧基板45上にはカバー64に形成された開口部64aを介して外部に突出された第1コネクタ61が設けられている。この第1コネクタ61は、前記第2分割ケース52内にある降圧基板37の下面に設けられた第2コネクタ62と対峙する位置に配置されている。そして、両コネクタ61,62は、第1分割ケース51に第2分割ケース52を組み付けることにより接続され、第1分割ケース51から第2分割ケース52を取り外すことにより離れる。両コネクタ61,62の接続により、第1分割ケース51内にある出力制御部33と、第2分割ケース52内にある通信制御部32とは、電気的に接続されている。
【0036】
さて、電磁弁マニホールド11における電磁弁19の動作が不良になり、故障原因を調べる場合には以下のように行う。すなわち、固定ネジ56を緩めて第1分割ケース51から第2分割ケース52を取り外すと、第1分割ケース51にある第1コネクタ61と、第2分割ケース52にある第2コネクタ62とが切り離され、制御基板31の出力制御部33と通信制御部32とが分離される。そして、第2分割ケース52を新たなものに交換し、それを再び第1分割ケース51に装着すると、それと同時に第1コネクタ61に第2コネクタ62が差し込まれ、制御基板31の出力制御部33と通信制御部32とが再び電気的に接続される。この状態で、電源を供給して電磁弁マニホールド11が正常に駆動すれば、第2分割ケース52内にある通信制御部32に不良原因があると判別できる一方、異常が解消されていなければ、第1分割ケース51内にある出力制御部33、又はそれ以外に不良原因があると判別できる。
【0037】
判別した結果、電磁弁マニホールド11が正常に動作しなければ、上述した方法で第1分割ケース51から第2分割ケース52を取り外した後、組付けレール24から第1分割ケース51を取り外して新しいものに交換し、それを再び組付けレール24に組み付ける。そして、第1分割ケース51に交換する前の第2分割ケース52を再び組み付ける。この状態で、電源を供給して電磁弁マニホールド11が正常に駆動すれば、第1分割ケース51内にある出力制御部33に不良原因があると判別できる一方、異常が解消されていなければ、第2分割ケース52を新しいものに交換した後に電源を供給する。これによっても異常が解消されていなければ、通信制御部32及び出力制御部33以外の箇所、つまり子局制御ユニット22以外に故障原因があると判別できる。
【0038】
従って、本実施形態によれば以下のような効果を得ることができる。
(1)電磁弁マニホールド11における子局制御ユニット22の収容ケース30は、互いに着脱自在なる第1及び第2分割ケース51,52から構成されている。そして、電磁弁マニホールド11の動作が不良となった場合には、第1分割ケース51又は第2分割ケース52のいずれか一方を新しいものに交換することにより、制御基板31の通信制御部32、制御基板31の出力制御部33、或いは制御基板31以外のどこに故障原因があるかを判別することができる。従って、簡単な方法でもって電磁弁マニホールド11の故障原因を判別することができ、故障原因が判別された後の対処が容易なものとなる。
【0039】
(2)故障率頻度が高い出力制御部33と、故障頻度が低い通信制御部32とが別々の分割ケース51,52に収容されている。故障時には確率的に見て出力制御部33の方が通信制御部32よりも交換率は高いが、通信制御部32よりも基板構成が簡単な出力制御部33は、低コストな交換可能な部品であるため、ユーザにとってほとんどの場合コストをかけずに子局制御ユニット22を復帰させることができる。
【0040】
(3)出力制御部33に設けられた第1コネクタ61と、通信制御部32に設けられた第2コネクタ62とは、第1分割ケース51に対して第2分割ケース52を着脱することに伴って接離するようになっている。従って、両分割ケース51,52の着脱作業とは別に両コネクタ61,62を着脱する作業を不要とすることができ、電磁弁マニホールド11の故障原因判別時に伴う作業性を向上することができる。
【0041】
(4)収容ケース30の一部を構成する第1分割ケース51内に収容される電流増幅基板46は、各マニホールドブロック12が連設された状態で形成される共通供給流路の端部に、流体圧力を受ける箇所と重設する位置に配置されている。そのため、第1分割ケース51において圧力流体を受ける隔壁部51bにより形成されるデッドスペースには電流増幅基板46が収められている。マニホールドブロック12の連設方向における電磁弁マニホールド10全体の寸法を短くすることができ、電磁弁マニホールド10の小型化を実現することができる。
【0042】
(5)電磁弁マニホールド11において、制御基板31が制御機能別に7つの分割基板である表示・設定基板34、マイコン基板35、通信コネクタ基板36、降圧基板37、電源コネクタ基板38、昇圧基板45及び電流増幅基板46に細分化されている。そのため、電磁弁マニホールド11が例えば仕様変更によって、子局制御ユニット22の内部構造が変更することがあっても、その変更に合わせて制御基板31の配置位置や形状等といったレイアウトを容易に変更することができる。つまり、制御基板31を複数枚の基板34〜38,45,46に分割したことで、それら基板34〜38,45,46の配置位置を自在に変更することができるため、電磁弁マニホールド11の仕様変更に合わせた新しい制御基板31を設計及び製作する必要がない。この結果、制御基板31の共通化を図ることでその汎用性を高くでき、子局制御ユニット22の製造コストを低減することができる。
【0043】
(6)制御基板31の通信制御部32では、表示・設定基板34及びマイコン基板35、マイコン基板35及び通信コネクタ基板36、更には降圧基板37及び電源コネクタ基板38がフラットケーブル54を介して接続されている。又、制御基板31の出力制御部33では、昇圧基板45と電流増幅基板46とがフラットケーブル58で接続されている。そのため、電磁弁マニホールド11の仕様変更に伴い、各基板34〜38,45,46の配置位置を変更するが、それら基板が比較的狭い空間部に配置される場合でも、フラットケーブル54,58は可撓性を有しているので、フラットケーブル54,58を折り曲げながら容易に収容することができる。しかも、フラットケーブル54,58をある程度の長さに設定しておけば、各基板34〜38,45,46の配置間隔の自由度を高くすることができる。
【0044】
(7)通信コネクタ基板36と電源コネクタ基板38との間に設けたスペーサ55に固定ネジ56が挿通され、その固定ネジ56が第1分割ケース51のネジ孔部57にねじ込まれている。従って、スペーサ55及び固定ネジ56でもって、両基板36,38が位置ずれするのを防止することができるとともに、両基板36,38の間隔を保持することができる。
【0045】
(別の実施形態)
本発明の実施形態は以下のように変更してもよい。
・前記実施形態では、収容ケース30を第1及び第2分割ケース51,52から構成したが、3つ以上の分割ケースから構成してもよい。
【0046】
・第1分割ケース51に通信制御部32を収容し、第2分割ケース52内に出力制御部33を収容してもよい。
・前記マニホールドブロック12と電磁弁19とから構成されるアクチュエータ本体を1つだけ設けてもよい。
【0047】
・第1分割ケース51の外部にワイヤハーネス等を介して第1コネクタ61を設けるとともに、第2分割ケース52の外部にワイヤハーネス等を介して第2コネクタ62を設けてもよい。そして、両分割ケース51,52の着脱とは別々に両コネクタ61,62を接続できるようにしてもよい。
【0048】
・前記実施形態では、制御基板31の通信制御部32において、制御機能別に5つに分割された表示・設定基板34、マイコン基板35、通信コネクタ基板36、降圧基板37、電源コネクタ基板38から構成した。これ以外に、前記基板34〜38が有するそれぞれの制御機能のうち、少なくとも2つ以上合わせ持つ基板としてもよい。
【0049】
・前記実施形態において、1つの表示・設定基板34に、2つの制御機能が持ち合わせられているが、この制御機能を分けてもよい。すなわち、表示・設定基板34を2つに分割し、一方の基板にシリアル伝送される通信信号の通信状態を表示する制御機能を持たせ、他方の基板に複数ある子局制御ユニット22を識別する制御機能とを持たせ、それらの基板をフラットケーブルで電気的に接続してもよい。
【0050】
・前記実施形態では、制御基板31の出力制御部33において、制御機能別に2つに分割した昇圧基板45と電流増幅基板46とから構成したが、出力制御部33を両基板45,46の制御機能を合わせ持つ1つの基板から構成してもよい。
【0051】
・第1分割ケース51内にある通信制御部32において、表示・設定基板34及びマイコン基板35、マイコン基板35及び通信コネクタ基板36、或いは降圧基板37及び電源コネクタ基板38をコネクタによって接続してもよい。
【0052】
・第2分割ケース52内にある出力制御部33において、昇圧基板45及び電流増幅基板46をコネクタによって接続してもよい。
・マイコン基板35と降圧基板37とをフラットケーブルによって電気的に接続してもよい。
【0053】
次に、特許請求の範囲に記載された技術的思想のほかに、前述した実施形態によって把握される技術的思想を以下に示す。
(1)請求項1〜5のいずれかにおいて、前記制御基板の制御機能には、外部に設けられる親局との間で通信信号を送受信する機能と、前記通信信号の送受信状態を表示する機能と、前記通信信号に基づいてアクチュエータ本体を駆動させるための駆動信号を生成する機能と、前記駆動信号の電流値を増幅してアクチュエータ本体に出力する機能と、前記制御基板及びアクチュエータ本体に供給される外部からの電源電圧に含まれるノイズ成分を除去する機能と、前記電源電圧を前記制御基板に印加する制御用電圧に絶縁状態で変圧する機能と、前記制御用電圧をアクチュエータ本体に印加する駆動用電圧に絶縁状態で変圧する機能とが含まれており、前記各制御機能のうち少なくともいずれか1つの制御機能が、前記複数ある分割基板のいずれかに含まれている。
【0054】
(2)流体の供給又は排出が交互になされる一対の出力ポートを有するとともに、各出力ポートに対する流体の給排を電磁弁の開閉によって切り換える複数のアクチュエータ本体を連設し、前記各アクチュエータ本体の駆動を制御する制御基板を有する制御ユニットを、連設方向端部に位置する前記アクチュエータ本体に並設した電磁弁マニホールドにおいて、前記制御ユニットの収容ケースを着脱可能な複数の分割ケースから構成し、それらの分割ケース内に前記制御基板を分割した分割基板を収容し、その分割分割基板同士を着脱可能なコネクタによって電気的に接続したことを特徴とする電磁弁マニホールド。
【0055】
(3)アクチュエータ本体の駆動を制御するための制御基板を収容ケース内に収容した制御ユニットであって、前記収容ケースを着脱可能な複数の分割ケースから構成し、それらの分割ケース内に前記制御基板を制御機能別に分割した分割基板を収容し、各分割ケースの着脱に伴って接離するコネクタを介して、各分割ケースに収容されている分割基板同士を電気的に接続したことを特徴とする制御ユニット。
【0056】
この構成によれば、制御基板のレイアウトが変更になっても、複数の分割基板の配置位置を変更すれば、制御基板のレイアウトを容易に変更できるため、新たな制御基板を製作する必要がない。よって、制御基板の共通化を図ることができ、制御ユニットの製造コストの低下を実現できる。
【0057】
【発明の効果】
本発明によれば、制御ユニットの故障原因を容易に判別することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】電磁弁マニホールドの斜視図。
【図2】電磁弁マニホールドの子局と親局との接続関係を示す説明図。
【図3】電磁弁マニホールドに用いられる制御基板を詳細に示す概略図。
【図4】電磁弁マニホールドを分解して示す斜視図。
【図5】子局制御ユニットの第1分割ケースと第2分割ケースとを分解して示す斜視図。
【図6】制御基板の通信制御部と出力制御部との電気的接続部分を示す断面図。
【符号の説明】
11…電磁弁マニホールド(アクチュエータ)、12…マニホールドブロック(アクチュエータ本体)、13…第1出力ポート、14…第2出力ポート、19…電磁弁(アクチュエータ本体)、22…子局制御ユニット(制御ユニット)、26…親局、30…収容ケース、31…制御基板、34…表示・設定基板(分割基板)、35…マイコン基板(分割基板)、36…通信コネクタ基板(分割基板)、37…降圧基板(分割基板)、38…電源コネクタ基板(分割基板)、45…昇圧基板(分割基板)、46…電流増幅基板(分割基板)、51…第1分割ケース(特定の分割ケース)、51b…隔壁部、52…第2分割ケース、61…第1コネクタ、62…第2コネクタ。
Claims (6)
- 流体の供給又は排出がなされる出力ポートを有するとともに、この出力ポートに対する流体の給排を切り換えるアクチュエータ本体と、前記アクチュエータ本体の駆動を制御する制御基板が収容ケース内に収容された制御ユニットとを備えたアクチュエータにおいて、
前記制御ユニットの収容ケースを着脱可能な複数の分割ケースから構成し、各分割ケース内に前記制御基板を分割した分割基板をそれぞれ収容し、各分割ケースに収容されている分割基板同士を着脱可能なコネクタによって電気的に接続したことを特徴とするアクチュエータ。 - 前記コネクタは、各分割ケースに設けられたそれぞれの分割基板に実装され、各分割ケースの着脱に伴って接離可能であることを特徴とする請求項1に記載のアクチュエータ。
- 前記各分割ケースのうち特定の分割ケースは、アクチュエータ本体に形成された流体通路の端部を閉塞するように同アクチュエータ本体に対して並設され、特定の分割ケース内に収容されている分割基板は、アクチュエータ本体に形成される流体通路における流体圧力を受ける隔壁部の上部に重設されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のアクチュエータ。
- 前記各分割ケース内に収容される分割基板は、制御機能別に分けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のアクチュエータ。
- 前記分割基板は、可撓性を有しかつ所定の長さを有するケーブルを介して電気的に接続されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のアクチュエータ。
- 前記制御基板の制御機能には、
外部に設けられる親局との間で通信信号を送受信する機能と、
前記通信信号の送受信状態を表示する機能と、
前記通信信号に基づいてアクチュエータ本体を駆動させるための駆動信号を生成する機能と、
前記駆動信号の電流値を増幅してアクチュエータ本体に出力する機能と、
前記制御基板及びアクチュエータ本体に供給される外部からの電源電圧に含まれるノイズ成分を除去する機能と、
前記電源電圧を前記制御基板に印加する制御用電圧に変圧する機能と、
前記制御用電圧をアクチュエータ本体に印加する駆動用電圧に変圧する機能とが含まれており、
これら制御機能のうち少なくとも1つが、制御基板を複数の分割基板に分割することの最小単位として設定されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のアクチュエータ。
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