JP2004292650A - 樹脂用可塑剤および樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】各種樹脂に可塑剤を添加して得られる樹脂組成物であって、結晶核剤を構成成分として用い無くても、特に柔軟性、透明性に優れ、ブリードアウトやブロッキングの少ない樹脂組成物を与えることのできる当該樹脂用可塑剤、および当該樹脂用可塑剤を含有してなる樹脂組成物を提供すること。
【解決手段】一般式(1):Fa−COO−((CHR1)l(CHR2)m−O)n((CHR3)l’(CHR4)m’−O)n’−R5(式中、Faは炭素数4〜12のアルキル基、R1、R2、R3、R4は水素原子またはメチル基、R5は炭素数1〜8のアルキル基、l、l’は0〜6の整数、m、m’は0〜6の整数(ただし1≦l+m≦6、1≦l’+m’≦6)、n、n’は0〜5の整数(ただし1≦n+n’≦5)を表す。)で表される化合物を主成分とする樹脂用可塑剤を用いる。
【選択図】 なし
【解決手段】一般式(1):Fa−COO−((CHR1)l(CHR2)m−O)n((CHR3)l’(CHR4)m’−O)n’−R5(式中、Faは炭素数4〜12のアルキル基、R1、R2、R3、R4は水素原子またはメチル基、R5は炭素数1〜8のアルキル基、l、l’は0〜6の整数、m、m’は0〜6の整数(ただし1≦l+m≦6、1≦l’+m’≦6)、n、n’は0〜5の整数(ただし1≦n+n’≦5)を表す。)で表される化合物を主成分とする樹脂用可塑剤を用いる。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、樹脂用可塑剤および可塑化された樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリアセタール、ビニル樹脂、スチロール系樹脂、アクリル樹脂またはセルロース系樹脂等の各種プラスチックに柔軟性、耐久性、耐寒性、電気特性等を付与するため、可塑剤が用いられている。可塑剤は、主に塩化ビニル樹脂に対して用いられており、フタル酸系、脂肪酸系、リン酸系、ポリエステル系可塑剤などが知られている。
【0003】
ところでプラスチックはその軽量さ、成形のしやすさから建築材、包装材、雑貨など多彩な用途に用いられているが、プラスチックに添加される添加剤の人体および環境への影響懸念、燃焼熱が高いことによる焼却処理施設への悪影響、また、自然環境で生分解され難いといった問題点があった。
【0004】
このような問題を解決する手段として、各種生分解性プラスチックが提案され商業生産が行われるに至っている。なかでも透明性が比較的良好であることからポリエステルの一種であるポリ乳酸が注目を集めて久しいが、価格面や柔軟性に欠けるといった物性の点から医療用途などごく限られた特殊分野で使用されるに留まっていた。
【0005】
価格面に関しては、近年原料となるL−乳酸が発酵法により安価に製造されるようになってきたことや、ポリ乳酸の大量生産が計画されコストメリットが期待できる状況となり改善されつつある。
【0006】
一方、ポリ乳酸の柔軟性については各種公知の可塑剤の添加による改善が図られているものの、可塑化効果が不十分であったり、可塑剤添加により樹脂の透明性を損なってしまうなどの問題があった。さらには一部の可塑剤では人体、環境への影響懸念等もあり満足できるものではなく、環境負荷を低減できる可塑剤の開発が切望されている。
【0007】
このようなことから、柔軟性を改良するための可塑剤や、柔軟性を改良した乳酸系樹脂組成物が提案されている(例えば、特許文献1および2参照)。しかし、特許文献1に記載の発明では透明性、耐ブリードアウト性および柔軟性は十分とはいえず、また、特許文献2の発明では結晶核剤を添加しなければならないという問題があった。
【0008】
【特許文献1】
特開2002−178473号公報
【特許文献2】
特開2002−146170号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、各種樹脂に可塑剤を添加して得られる樹脂組成物であって、結晶核剤を構成成分として用い無くても、特に柔軟性、透明性に優れ、ブリードアウトやブロッキングの少ない樹脂組成物を与えることのできる当該樹脂用可塑剤、および当該樹脂用可塑剤を含有してなる樹脂組成物を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく各種樹脂に可塑性を付与し得る可塑剤について検討したところ、各種プラスチック(特に乳酸系樹脂)に特定の構造を有する脂肪酸誘導体を用いることにより前記課題を解決し得ることを見出し本発明を完成した。
【0011】
すなわち本発明は、一般式(1):Fa−COO−((CHR1)l(CHR2)m−O)n((CHR3)l’(CHR4)m’−O)n’−R5(式中、Faは炭素数4〜12のアルキル基、R1、R2、R3、R4は水素原子またはメチル基、R5は炭素数1〜8のアルキル基、l、l’は0〜6の整数、m、m’は0〜6の整数(ただし1≦l+m≦6、1≦l’+m’≦6)、n、n’は0〜5の整数(ただし1≦n+n’≦5)を表す。)で表される化合物を主成分とする樹脂用可塑剤;(a)炭素数5〜13の脂肪酸、および(b)一般式(2):HO−((CHR1)l(CHR2)m−O)n((CHR3)l’(CHR4)m’−O)n’−R5 (式中、R1、R2、R3、R4は水素原子またはメチル基、R5は炭素数1〜8のアルキル基、l、l’は0〜6の整数、m、m’は0〜6の整数(ただし1≦l+m≦6、1≦l’+m’≦6)、n、n’は0〜5の整数(ただし1≦n+n’≦5)を表す。)で表される化合物を反応させることにより得られる樹脂用可塑剤;当該樹脂用可塑剤を含有してなる樹脂組成物に係る。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明で用いられる可塑剤は一般式(1):Fa−COO−((CHR1)l(CHR2)m−O)n((CHR3)l’(CHR4)m’−O)n’−R5(式中、Faは炭素数4〜12のアルキル基、R1、R2、R3、R4は水素原子またはメチル基、R5は炭素数1〜8のアルキル基、l、l’は0〜6の整数、m、m’は0〜6の整数(ただし1≦l+m≦6、1≦l’+m’≦6)、n、n’は0〜5の整数(ただし1≦n+n’≦5)を表す。)で表される。当該可塑剤の製造方法は特に制限されないが、(a)炭素数5〜13の脂肪酸および(b)一般式(2):HO−((CHR1)l(CHR2)m−O)n−R3(式中、R1、R2、R3、R4は水素原子またはメチル基、炭素数1〜8のアルキル基、l、l’は0〜6の整数、m、m’は0〜6の整数(ただし1≦l+m≦6、1≦l’+m’≦6)、n、n’は0〜5の整数(ただし1≦n+n’≦5)を表す。)で表される化合物を反応させることにより得られる。
【0013】
(a)炭素数5〜13の脂肪酸としては、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、オクチル酸、イソノナン酸などの飽和脂肪酸;ウンデシレン酸などの不飽和脂肪酸などを例示できる。これらの中では、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、オクチル酸、イソノナン酸からなる群より選ばれる少なくとも一種の脂肪酸であることが特に乳酸系樹脂に用いた場合に、得られる乳酸系樹脂組成物の柔軟性の向上が著しく、かつブリードアウトが少ないため好ましい。
【0014】
(b)成分としては、一般式(2)で表される化合物であれば、特に制限されず公知の物を使用することができる。式中、l+m、l’+m’が6を超える場合、n+n’が7を超える場合には、樹脂との相溶性が悪くなり、得られる樹脂組成物の透明性が悪化するため好ましくない。具体的にはエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル等のアルキレングリコールモノアルキルエーテル類等が挙げられる。(b)成分の中では、樹脂(特に乳酸系樹脂)との相溶性、樹脂(特に乳酸系樹脂)の可塑化が良好なことから、トリエチレングリコールモノメチルエーテルを用いることが好ましい。
【0015】
(a)成分と(b)成分との反応には公知のエステル化反応法を採用できる。具体的には150℃〜300℃程度の高温条件において、生成する水を系外に除去しながら行われる。また、エステル化反応中に空気が混入すると生成するエステル化物が着色する恐れがある為、反応は窒素やヘリウム等の不活性ガスの下で行うことが好ましい。なお、反応に際して必ずしもエステル化触媒を必要としないが、反応時間の短縮のために酢酸、パラトルエンスルホン酸などの酸触媒、水酸化カルシウムなどのアルカリ金属の水酸化物、酸化カルシウム、酸化マグネシウム等の金属酸化物等を使用することもできる。
【0016】
特に調製するエステル化物のオキシアルキレン鎖が長大である場合は、前記、150℃〜300℃程度の高温条件でエステル化反応を行うとオキシアルキレン鎖部分が分解しやすく、アルキレングリコールやジアルキレングリコールを生成するため目的物が得られ難い。その場合には炭素数5〜13の脂肪酸として、より反応性の高い酸塩化物を用いて、比較的低温でエステル化反応を行うことが好ましい。
【0017】
本発明で使用される樹脂としては、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリアセタール、ビニル樹脂、スチロール系樹脂、アクリル樹脂およびセルロース系樹脂などが挙げられる。
【0018】
ポリオレフィンとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−1−ブテン、ポリメチルペンテン、ポリメチルブテンなどのオレフィン単独重合体、プロピレン・エチレンランダム共重合体などのオレフィン共重合体などを挙げることができる。このようなポリオレフィンは、単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0019】
ポリアミドとしては、ナイロン−6、ナイロン−66、ナイロン−10、ナイロン−12、ナイロン−46等の脂肪族ポリアミド、芳香族ジカルボン酸と脂肪族ジアミンより製造される芳香族ポリアミドなどを挙げることができる。このようなポリアミドは、単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0020】
ポリアセタールとしては、ポリホルムアルデヒド(ポリオキシメチレン)、ポリアセトアルデヒド、ポリプロピオンアルデヒド、ポリブチルアルデヒドなどを挙げることができる。このようなポリアセタールは、単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0021】
ビニル樹脂としては、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、サラン、酢酸ビニル樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリビニルメチルエーテルなどを挙げることができる。このようなビニル樹脂は、単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0022】
スチロール系樹脂としては、ポリスチレン、AS樹脂、ABS樹脂などを挙げることができる。このようなスチロール系樹脂は、単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0023】
アクリル樹脂としては、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸メチルなどを挙げることができる。このようなアクリル樹脂は、単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0024】
セルロース系樹脂としては、セロハン、セルロイド、セルロースアセテート、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、メチルアセテート、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルエチルセルロースなどを挙げることができる。このようなセルロース系樹脂は、単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0025】
ポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどの芳香族系ポリエステル、ポリカプロラクトン、ポリヒドロキシブチレート、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート・アジペート共重合体、乳酸系樹脂などを挙げることができ、乳酸系樹脂が特に好ましい。このようなポリエステルは、単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0026】
乳酸系樹脂としては、乳酸を重合して得られるポリエステル樹脂であれば特に制限されず使用できる。なお、重合に用いられる乳酸はL−体であっても、D−体であっても良く、L−体とD−体の混合物であっても良い。なお、L−体とD−体の混合物を使用する場合には、L−体とD−体の使用割合は使用目的に応じて任意に決定できる。また、乳酸系樹脂は、ポリ乳酸のホモポリマーに限らず、コポリマー、ブレンドポリマーなどであっても良い。コポリマーを形成する成分としては、例えばグリコール酸、3−ヒドロキシ酪酸、5−ヒドロキシ吉草酸、6−ヒドロキシカプロン酸などに代表されるヒドロキシカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、グルタル酸、デカンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸などに代表されるジカルボン酸、エチレングリコール、プロパンジオール、オクタンジオール、ドデカンジオール、グリセリン、ソルビタン、ポリエチレングリコールなどに代表される多価アルコール、グリコリド、ε−カプロラクトン、δ−ブチロラクトンに代表されるラクトン類が挙げられる。ポリ乳酸とブレンドするポリマーとしては、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンアジペート−ブチレンテレフタレート共重合体、セルロース、硝酸セルロース、メチルセルロース、再生セルロース、グリコーゲン、キチン、キトサンなどが挙げられる。
【0027】
これら樹脂のうちでは、ポリエステルが好ましく、特に乳酸系樹脂が相溶性および可塑化効果が良好であるため好ましい。
【0028】
当該可塑剤の使用量は、樹脂100重量部に対し、1〜300重量部程度、好ましくは5〜150重量部、より好ましくは10〜100重量部である。かかる範囲で使用することにより、樹脂の柔軟性を向上させるとともに、透明性を損なわず、経時的な物性低下の少ない、樹脂組成物を提供することができるため好ましい。なお、必要に応じて本発明で提示される可塑剤および従来公知の可塑剤を2種以上同時に使用してもよい。
【0029】
樹脂に、可塑剤を配合する方法としては特に制限はないが、通常のブレンダーまたはミキサー等で混合する方法、押出機、バンバリーミキサー等を用いて溶融混練する方法等が挙げられる。また、樹脂の重合反応工程の段階から可塑剤を混合してもよい。
【0030】
なお、本発明の樹脂組成物は、帯電防止剤、発泡剤、耐熱安定剤、耐光安定剤、耐候安定剤、滑剤、離型剤、無機充填剤、顔料分散剤、顔料、染料などの各種配合剤を、本発明の目的を損なわない範囲で含有していてもよい。なお、本発明の樹脂組成物は、結晶核剤を含有させなくても透明性に優れたものとなるが、結晶核剤の使用を排除するものではない。
【0031】
本発明の樹脂組成物は一般的な熱可塑性プラスチックと同様に、押出し成形、射出成形、延伸フィルム成形、ブロー成形などの成形方法を用いることが可能であり、家庭用品から工業用品にいたる広い用途、たとえば、食品容器、電気部品、電子部品、自動車部品、機械機構部品、フィルム、シート、繊維などの素材として好適に使用される。
【0032】
【発明の効果】
本発明の樹脂用可塑剤は、炭素数5〜13の脂肪酸を主原料とするものであり、樹脂に添加することにより可塑効果を発現させる。また、本発明に係る乳酸系樹脂組成物は、透明で柔軟性を有するとともに、経時的変化の少ないものであり、結晶核剤を添加しなくてもブリードアウトやブロッキングを防止することができる。さらに、当該乳酸系樹脂組成物は従来の汎用プラスチックと比較して生分解性が良好であり、燃焼熱も低く、ゴミ処理問題の解決に役立つ。
【0033】
【実施例】
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0034】
実施例1
冷却管および攪拌装置をつけた1リットルの反応容器にエナント酸(商品名 ヘプチル酸 伊藤製油(株)製)260.0g(2.0モル)を加え、これにトリエチレングリコールモノメチルエーテル361.2g(2.2モル)およびトリフェニルフォスファイト1.6g(エナント酸 100重量部に対して0.6重量部)を150℃で15分かけて滴下した。滴下終了後280℃に昇温し、5時間攪拌した。未反応物を190℃で減圧留去し、トリエチレングリコールモノメチルエーテルエナント酸エステル541.8gを得た。
【0035】
実施例2
冷却管および攪拌装置をつけた1リットルの反応容器にオクチル酸(商品名 オクチル酸 協和発酵工業(株)製)288.4g(2.0モル)を加え、これにトリエチレングリコールモノメチルエーテル361.2g(2.2モル)およびトリフェニルフォスファイト1.7g(オクチル酸 100重量部に対して0.6重量部)を150℃で15分かけて滴下した。滴下終了後280℃に昇温し、5時間攪拌した。未反応物を190℃で減圧留去し、トリエチレングリコールモノメチルエーテルオクチル酸エステル566.6gを得た。
【0036】
実施例3
冷却管および攪拌装置をつけた1リットルの反応容器にイソノナン酸(商品名キョーワノイック−N 協和発酵工業(株)製)304.0g(2.0モル)を加え、これにトリエチレングリコールモノメチルエーテル361.2g(2.2モル)およびトリフェニルフォスファイト1.8g(イソノナン酸 100重量部に対して0.6重量部)を150℃で15分かけて滴下した。滴下終了後280℃に昇温し、5時間攪拌した。未反応物を190℃で減圧留去し、トリエチレングリコールモノメチルエーテルイソノナン酸エステル605.3gを得た。
【0037】
(評価例1〜3および比較評価例1〜2)
ポリ乳酸(商品名 LACTY 9031 (株)島津製作所製 重量平均分子量14万 融点133℃)100重量部に対し実施例で得られた可塑剤を表1に示される量を添加し、設定温度190℃でトルクレオメーター(商品名:プラスチコーダーPL−2000、ブラベンダー社製)により所定量溶融混練し、樹脂組成物を得た。この樹脂組成物を用いて、溶融温度170℃、冷却温度20℃で圧縮成形し試験片(80×80mm、厚さ1mm)を作成した。この試験片について透明性評価及びガラス転移温度の測定を行った。
【0038】
(透明性)
得られた試験片を目視により判断した。○:濁りなし、×:濁りあり
結果を表1に示す。
【0039】
(柔軟性)
得られた樹脂組成物のガラス転移温度を測定することで、指標とした。ガラス転移温度が雰囲気温度以下であれば、樹脂組成物はゴム状態、つまり柔軟性のある状態といえる。
ガラス転移温度はセイコー電子製DSC(示差走査熱量計 DSC220C)により測定を行った。
【0040】
(耐ブリードアウト性)
得られた試験片を室内に保管し、1週間後耐ブリードアウト性を確認した。
○:ブリードアウトなし、△:ややブリードアウトあり、×:ブリードアウトが著しい
【0041】
【表1】
【0042】
表1中可塑剤のトリアセチンは商品名 トリアセチン 大八化学工業(株)製である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、樹脂用可塑剤および可塑化された樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリアセタール、ビニル樹脂、スチロール系樹脂、アクリル樹脂またはセルロース系樹脂等の各種プラスチックに柔軟性、耐久性、耐寒性、電気特性等を付与するため、可塑剤が用いられている。可塑剤は、主に塩化ビニル樹脂に対して用いられており、フタル酸系、脂肪酸系、リン酸系、ポリエステル系可塑剤などが知られている。
【0003】
ところでプラスチックはその軽量さ、成形のしやすさから建築材、包装材、雑貨など多彩な用途に用いられているが、プラスチックに添加される添加剤の人体および環境への影響懸念、燃焼熱が高いことによる焼却処理施設への悪影響、また、自然環境で生分解され難いといった問題点があった。
【0004】
このような問題を解決する手段として、各種生分解性プラスチックが提案され商業生産が行われるに至っている。なかでも透明性が比較的良好であることからポリエステルの一種であるポリ乳酸が注目を集めて久しいが、価格面や柔軟性に欠けるといった物性の点から医療用途などごく限られた特殊分野で使用されるに留まっていた。
【0005】
価格面に関しては、近年原料となるL−乳酸が発酵法により安価に製造されるようになってきたことや、ポリ乳酸の大量生産が計画されコストメリットが期待できる状況となり改善されつつある。
【0006】
一方、ポリ乳酸の柔軟性については各種公知の可塑剤の添加による改善が図られているものの、可塑化効果が不十分であったり、可塑剤添加により樹脂の透明性を損なってしまうなどの問題があった。さらには一部の可塑剤では人体、環境への影響懸念等もあり満足できるものではなく、環境負荷を低減できる可塑剤の開発が切望されている。
【0007】
このようなことから、柔軟性を改良するための可塑剤や、柔軟性を改良した乳酸系樹脂組成物が提案されている(例えば、特許文献1および2参照)。しかし、特許文献1に記載の発明では透明性、耐ブリードアウト性および柔軟性は十分とはいえず、また、特許文献2の発明では結晶核剤を添加しなければならないという問題があった。
【0008】
【特許文献1】
特開2002−178473号公報
【特許文献2】
特開2002−146170号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、各種樹脂に可塑剤を添加して得られる樹脂組成物であって、結晶核剤を構成成分として用い無くても、特に柔軟性、透明性に優れ、ブリードアウトやブロッキングの少ない樹脂組成物を与えることのできる当該樹脂用可塑剤、および当該樹脂用可塑剤を含有してなる樹脂組成物を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく各種樹脂に可塑性を付与し得る可塑剤について検討したところ、各種プラスチック(特に乳酸系樹脂)に特定の構造を有する脂肪酸誘導体を用いることにより前記課題を解決し得ることを見出し本発明を完成した。
【0011】
すなわち本発明は、一般式(1):Fa−COO−((CHR1)l(CHR2)m−O)n((CHR3)l’(CHR4)m’−O)n’−R5(式中、Faは炭素数4〜12のアルキル基、R1、R2、R3、R4は水素原子またはメチル基、R5は炭素数1〜8のアルキル基、l、l’は0〜6の整数、m、m’は0〜6の整数(ただし1≦l+m≦6、1≦l’+m’≦6)、n、n’は0〜5の整数(ただし1≦n+n’≦5)を表す。)で表される化合物を主成分とする樹脂用可塑剤;(a)炭素数5〜13の脂肪酸、および(b)一般式(2):HO−((CHR1)l(CHR2)m−O)n((CHR3)l’(CHR4)m’−O)n’−R5 (式中、R1、R2、R3、R4は水素原子またはメチル基、R5は炭素数1〜8のアルキル基、l、l’は0〜6の整数、m、m’は0〜6の整数(ただし1≦l+m≦6、1≦l’+m’≦6)、n、n’は0〜5の整数(ただし1≦n+n’≦5)を表す。)で表される化合物を反応させることにより得られる樹脂用可塑剤;当該樹脂用可塑剤を含有してなる樹脂組成物に係る。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明で用いられる可塑剤は一般式(1):Fa−COO−((CHR1)l(CHR2)m−O)n((CHR3)l’(CHR4)m’−O)n’−R5(式中、Faは炭素数4〜12のアルキル基、R1、R2、R3、R4は水素原子またはメチル基、R5は炭素数1〜8のアルキル基、l、l’は0〜6の整数、m、m’は0〜6の整数(ただし1≦l+m≦6、1≦l’+m’≦6)、n、n’は0〜5の整数(ただし1≦n+n’≦5)を表す。)で表される。当該可塑剤の製造方法は特に制限されないが、(a)炭素数5〜13の脂肪酸および(b)一般式(2):HO−((CHR1)l(CHR2)m−O)n−R3(式中、R1、R2、R3、R4は水素原子またはメチル基、炭素数1〜8のアルキル基、l、l’は0〜6の整数、m、m’は0〜6の整数(ただし1≦l+m≦6、1≦l’+m’≦6)、n、n’は0〜5の整数(ただし1≦n+n’≦5)を表す。)で表される化合物を反応させることにより得られる。
【0013】
(a)炭素数5〜13の脂肪酸としては、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、オクチル酸、イソノナン酸などの飽和脂肪酸;ウンデシレン酸などの不飽和脂肪酸などを例示できる。これらの中では、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、オクチル酸、イソノナン酸からなる群より選ばれる少なくとも一種の脂肪酸であることが特に乳酸系樹脂に用いた場合に、得られる乳酸系樹脂組成物の柔軟性の向上が著しく、かつブリードアウトが少ないため好ましい。
【0014】
(b)成分としては、一般式(2)で表される化合物であれば、特に制限されず公知の物を使用することができる。式中、l+m、l’+m’が6を超える場合、n+n’が7を超える場合には、樹脂との相溶性が悪くなり、得られる樹脂組成物の透明性が悪化するため好ましくない。具体的にはエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル等のアルキレングリコールモノアルキルエーテル類等が挙げられる。(b)成分の中では、樹脂(特に乳酸系樹脂)との相溶性、樹脂(特に乳酸系樹脂)の可塑化が良好なことから、トリエチレングリコールモノメチルエーテルを用いることが好ましい。
【0015】
(a)成分と(b)成分との反応には公知のエステル化反応法を採用できる。具体的には150℃〜300℃程度の高温条件において、生成する水を系外に除去しながら行われる。また、エステル化反応中に空気が混入すると生成するエステル化物が着色する恐れがある為、反応は窒素やヘリウム等の不活性ガスの下で行うことが好ましい。なお、反応に際して必ずしもエステル化触媒を必要としないが、反応時間の短縮のために酢酸、パラトルエンスルホン酸などの酸触媒、水酸化カルシウムなどのアルカリ金属の水酸化物、酸化カルシウム、酸化マグネシウム等の金属酸化物等を使用することもできる。
【0016】
特に調製するエステル化物のオキシアルキレン鎖が長大である場合は、前記、150℃〜300℃程度の高温条件でエステル化反応を行うとオキシアルキレン鎖部分が分解しやすく、アルキレングリコールやジアルキレングリコールを生成するため目的物が得られ難い。その場合には炭素数5〜13の脂肪酸として、より反応性の高い酸塩化物を用いて、比較的低温でエステル化反応を行うことが好ましい。
【0017】
本発明で使用される樹脂としては、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリアセタール、ビニル樹脂、スチロール系樹脂、アクリル樹脂およびセルロース系樹脂などが挙げられる。
【0018】
ポリオレフィンとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−1−ブテン、ポリメチルペンテン、ポリメチルブテンなどのオレフィン単独重合体、プロピレン・エチレンランダム共重合体などのオレフィン共重合体などを挙げることができる。このようなポリオレフィンは、単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0019】
ポリアミドとしては、ナイロン−6、ナイロン−66、ナイロン−10、ナイロン−12、ナイロン−46等の脂肪族ポリアミド、芳香族ジカルボン酸と脂肪族ジアミンより製造される芳香族ポリアミドなどを挙げることができる。このようなポリアミドは、単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0020】
ポリアセタールとしては、ポリホルムアルデヒド(ポリオキシメチレン)、ポリアセトアルデヒド、ポリプロピオンアルデヒド、ポリブチルアルデヒドなどを挙げることができる。このようなポリアセタールは、単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0021】
ビニル樹脂としては、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、サラン、酢酸ビニル樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリビニルメチルエーテルなどを挙げることができる。このようなビニル樹脂は、単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0022】
スチロール系樹脂としては、ポリスチレン、AS樹脂、ABS樹脂などを挙げることができる。このようなスチロール系樹脂は、単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0023】
アクリル樹脂としては、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸メチルなどを挙げることができる。このようなアクリル樹脂は、単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0024】
セルロース系樹脂としては、セロハン、セルロイド、セルロースアセテート、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、メチルアセテート、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルエチルセルロースなどを挙げることができる。このようなセルロース系樹脂は、単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0025】
ポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどの芳香族系ポリエステル、ポリカプロラクトン、ポリヒドロキシブチレート、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート・アジペート共重合体、乳酸系樹脂などを挙げることができ、乳酸系樹脂が特に好ましい。このようなポリエステルは、単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0026】
乳酸系樹脂としては、乳酸を重合して得られるポリエステル樹脂であれば特に制限されず使用できる。なお、重合に用いられる乳酸はL−体であっても、D−体であっても良く、L−体とD−体の混合物であっても良い。なお、L−体とD−体の混合物を使用する場合には、L−体とD−体の使用割合は使用目的に応じて任意に決定できる。また、乳酸系樹脂は、ポリ乳酸のホモポリマーに限らず、コポリマー、ブレンドポリマーなどであっても良い。コポリマーを形成する成分としては、例えばグリコール酸、3−ヒドロキシ酪酸、5−ヒドロキシ吉草酸、6−ヒドロキシカプロン酸などに代表されるヒドロキシカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、グルタル酸、デカンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸などに代表されるジカルボン酸、エチレングリコール、プロパンジオール、オクタンジオール、ドデカンジオール、グリセリン、ソルビタン、ポリエチレングリコールなどに代表される多価アルコール、グリコリド、ε−カプロラクトン、δ−ブチロラクトンに代表されるラクトン類が挙げられる。ポリ乳酸とブレンドするポリマーとしては、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンアジペート−ブチレンテレフタレート共重合体、セルロース、硝酸セルロース、メチルセルロース、再生セルロース、グリコーゲン、キチン、キトサンなどが挙げられる。
【0027】
これら樹脂のうちでは、ポリエステルが好ましく、特に乳酸系樹脂が相溶性および可塑化効果が良好であるため好ましい。
【0028】
当該可塑剤の使用量は、樹脂100重量部に対し、1〜300重量部程度、好ましくは5〜150重量部、より好ましくは10〜100重量部である。かかる範囲で使用することにより、樹脂の柔軟性を向上させるとともに、透明性を損なわず、経時的な物性低下の少ない、樹脂組成物を提供することができるため好ましい。なお、必要に応じて本発明で提示される可塑剤および従来公知の可塑剤を2種以上同時に使用してもよい。
【0029】
樹脂に、可塑剤を配合する方法としては特に制限はないが、通常のブレンダーまたはミキサー等で混合する方法、押出機、バンバリーミキサー等を用いて溶融混練する方法等が挙げられる。また、樹脂の重合反応工程の段階から可塑剤を混合してもよい。
【0030】
なお、本発明の樹脂組成物は、帯電防止剤、発泡剤、耐熱安定剤、耐光安定剤、耐候安定剤、滑剤、離型剤、無機充填剤、顔料分散剤、顔料、染料などの各種配合剤を、本発明の目的を損なわない範囲で含有していてもよい。なお、本発明の樹脂組成物は、結晶核剤を含有させなくても透明性に優れたものとなるが、結晶核剤の使用を排除するものではない。
【0031】
本発明の樹脂組成物は一般的な熱可塑性プラスチックと同様に、押出し成形、射出成形、延伸フィルム成形、ブロー成形などの成形方法を用いることが可能であり、家庭用品から工業用品にいたる広い用途、たとえば、食品容器、電気部品、電子部品、自動車部品、機械機構部品、フィルム、シート、繊維などの素材として好適に使用される。
【0032】
【発明の効果】
本発明の樹脂用可塑剤は、炭素数5〜13の脂肪酸を主原料とするものであり、樹脂に添加することにより可塑効果を発現させる。また、本発明に係る乳酸系樹脂組成物は、透明で柔軟性を有するとともに、経時的変化の少ないものであり、結晶核剤を添加しなくてもブリードアウトやブロッキングを防止することができる。さらに、当該乳酸系樹脂組成物は従来の汎用プラスチックと比較して生分解性が良好であり、燃焼熱も低く、ゴミ処理問題の解決に役立つ。
【0033】
【実施例】
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0034】
実施例1
冷却管および攪拌装置をつけた1リットルの反応容器にエナント酸(商品名 ヘプチル酸 伊藤製油(株)製)260.0g(2.0モル)を加え、これにトリエチレングリコールモノメチルエーテル361.2g(2.2モル)およびトリフェニルフォスファイト1.6g(エナント酸 100重量部に対して0.6重量部)を150℃で15分かけて滴下した。滴下終了後280℃に昇温し、5時間攪拌した。未反応物を190℃で減圧留去し、トリエチレングリコールモノメチルエーテルエナント酸エステル541.8gを得た。
【0035】
実施例2
冷却管および攪拌装置をつけた1リットルの反応容器にオクチル酸(商品名 オクチル酸 協和発酵工業(株)製)288.4g(2.0モル)を加え、これにトリエチレングリコールモノメチルエーテル361.2g(2.2モル)およびトリフェニルフォスファイト1.7g(オクチル酸 100重量部に対して0.6重量部)を150℃で15分かけて滴下した。滴下終了後280℃に昇温し、5時間攪拌した。未反応物を190℃で減圧留去し、トリエチレングリコールモノメチルエーテルオクチル酸エステル566.6gを得た。
【0036】
実施例3
冷却管および攪拌装置をつけた1リットルの反応容器にイソノナン酸(商品名キョーワノイック−N 協和発酵工業(株)製)304.0g(2.0モル)を加え、これにトリエチレングリコールモノメチルエーテル361.2g(2.2モル)およびトリフェニルフォスファイト1.8g(イソノナン酸 100重量部に対して0.6重量部)を150℃で15分かけて滴下した。滴下終了後280℃に昇温し、5時間攪拌した。未反応物を190℃で減圧留去し、トリエチレングリコールモノメチルエーテルイソノナン酸エステル605.3gを得た。
【0037】
(評価例1〜3および比較評価例1〜2)
ポリ乳酸(商品名 LACTY 9031 (株)島津製作所製 重量平均分子量14万 融点133℃)100重量部に対し実施例で得られた可塑剤を表1に示される量を添加し、設定温度190℃でトルクレオメーター(商品名:プラスチコーダーPL−2000、ブラベンダー社製)により所定量溶融混練し、樹脂組成物を得た。この樹脂組成物を用いて、溶融温度170℃、冷却温度20℃で圧縮成形し試験片(80×80mm、厚さ1mm)を作成した。この試験片について透明性評価及びガラス転移温度の測定を行った。
【0038】
(透明性)
得られた試験片を目視により判断した。○:濁りなし、×:濁りあり
結果を表1に示す。
【0039】
(柔軟性)
得られた樹脂組成物のガラス転移温度を測定することで、指標とした。ガラス転移温度が雰囲気温度以下であれば、樹脂組成物はゴム状態、つまり柔軟性のある状態といえる。
ガラス転移温度はセイコー電子製DSC(示差走査熱量計 DSC220C)により測定を行った。
【0040】
(耐ブリードアウト性)
得られた試験片を室内に保管し、1週間後耐ブリードアウト性を確認した。
○:ブリードアウトなし、△:ややブリードアウトあり、×:ブリードアウトが著しい
【0041】
【表1】
【0042】
表1中可塑剤のトリアセチンは商品名 トリアセチン 大八化学工業(株)製である。
Claims (9)
- 下記一般式(1)で表される化合物を主成分とする樹脂用可塑剤。
一般式(1):Fa−COO−((CHR1)l(CHR2)m−O)n((CHR3)l’(CHR4)m’−O)n’−R5(式中、Faは炭素数4〜12のアルキル基、R1、R2、R3、R4は水素原子またはメチル基、R5は炭素数1〜8のアルキル基、l、l’は0〜6の整数、m、m’は0〜6の整数(ただし1≦l+m≦6、1≦l’+m’≦6)、n、n’は0〜5の整数(ただし1≦n+n’≦5)を表す。) - 前記一般式(1)で表される化合物を主成分とする請求項1記載の乳酸系樹脂用可塑剤。
- (a)炭素数5〜13の脂肪酸、および(b)下記一般式(2)で表される化合物を反応させることにより得られる樹脂用可塑剤。
一般式(2):HO−((CHR1)l(CHR2)m−O)n((CHR3)l’(CHR4)m’−O)n’−R5 (式中、R1、R2、R3、R4は水素原子またはメチル基、R5は炭素数1〜8のアルキル基、l、l’は0〜6の整数、m、m’は0〜6の整数(ただし1≦l+m≦6、1≦l’+m’≦6)、n、n’は0〜5の整数(ただし1≦n+n’≦5)を表す。) - (a)成分が、エナント酸、オクチル酸またはイソノナン酸である請求項3に記載の樹脂用可塑剤。
- (b)成分が、トリエチレングリコールモノメチルエーテルである請求項3または4に記載の樹脂用可塑剤。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の樹脂用可塑剤を含有してなる樹脂組成物。
- 樹脂100重量部に対し、請求項1〜5のいずれかに記載の樹脂用可塑剤を1〜300重量部含有してなる請求項6記載の樹脂組成物。
- 樹脂が、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリアセタール、ビニル樹脂、スチロール系樹脂、アクリル樹脂およびセルロース系樹脂からなる群より選ばれるいずれか少なくとも1種である請求項7記載の樹脂組成物。
- ポリエステルが、乳酸系樹脂である請求項8記載の樹脂組成物。
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JP2007070488A (ja) * | 2005-09-07 | 2007-03-22 | Mikasa Sangyo Kk | 生分解性を有するキャップ |
-
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- 2003-03-27 JP JP2003087189A patent/JP2004292650A/ja active Pending
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