JP2004290820A - 重金属類汚染土壌の浄化方法 - Google Patents

重金属類汚染土壌の浄化方法 Download PDF

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Abstract

【課題】浄化期間中の作業員及び近隣の健康リスクを低減し、かつ低コストで重金属含有量を低減するのに有効な処理技術を提供する。
【解決手段】重金属類を含む汚染土壌1の表層を、適当な勾配をもって造成し、生分解性を有する不織布3を敷設し、地被植物4を所要の密度で植栽することによって、汚染土壌1を被覆すると共に、汚染土壌1中の重金属を植物体中に回収し、この地被植物4を定期的に刈り取ることによって重金属を土壌から除去する。地被植物4を植栽した土壌には、キレート剤を添加することによって、地被植物4の重金属吸収性を高めることができる。地被植物4は、生育特性に優れたものと重金属類の吸収に優れたものを組み合わせて植栽する。
【選択図】 図3

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、重金属汚染土壌の溶出量基準に加え、含有容量基準に対しても効果のある浄化技術を、汚染土壌がもたらす環境リスクを低減しつつ効率よく浄化を進める方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
重金属により汚染された土壌を浄化する方法として、従来、実用化された技術としては、セメント等の固化剤を用いて汚染土壌を固化体中に封じ込める方法、化学薬品を用いて汚染物質を不溶化する方法、水や溶媒を用いて汚染土壌を洗浄し、汚染物質と土壌を分離する方法、電気浸透により汚染物質を回収する方法、加熱処理より汚染物質と土壌を分離する方法等がある。
【0003】
また、重金属類の溶出拡散を防止した条件下で、植物を用いて浄化を行う工法も、例えば下記の特許文献1〜4に記載されたような技術が開発されている。このうち、特許文献1は、生育特性が異なる少なくとも二種類以上の植物を組み合わせて植栽することによる浄化方法であり、特許文献2は、シバ科のトールフェクスを用いて均一かつ効率よく浄化する浄化方法であり、特許文献3は、重金属汚染土壌に重金属蓄積能力の高い植物を植栽し、次いでこの植物全体を植栽地より除去し、除去した植物を密封系の焼却炉で焼却する浄化方法であり、特許文献4は、重金属不溶化材で不溶化を行った後に、可溶化された部分を植物によって吸収する浄化方法である。
【0004】
特許文献1
特開2001−276801
特許文献2
特開2001−276800
特許文献3
特開2000−288529
特許文献4
特開2000−279940
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、セメントによる固化法、薬品による不溶化法、汚染物質と土壌を分離する方法、電気浸透法等は、工場跡地等の高濃度で汚染された局部汚染を対象として行われているが、浄化対策実施期間中に発生する粉塵等により汚染物質が周辺環境へ拡散するおそれがあるため、作業員の健康や周辺環境へ与える環境リスクを低減するための補助工法及び環境モニタリングが必要となり、施工コストが上昇する問題が指摘されている。また、これらの浄化方法は、高濃度の局部汚染を主な対象として開発されたもので、いずれも、多量の費用とエネルギを必要とする問題が指摘されている。
【0006】
更に従来の工法は、その多くが、汚染物質である重金属の溶出量の低減を目的として実施されており、すなわち溶出量基準への対応を主な目的としているが、現在は、固化あるいは不溶化した重金属の溶出量基準に加え、含有量基準が定められており、すなわち含有量値の低減も可能となる処理工法が求められている。しかしながら、セメント等による固化や、化学薬品による不溶化工法は、周辺への汚染物質の溶出を防止するものであって、土壌中の汚染物質の含有量自体を低減するものではないため、含有量基準を満たすことは困難である。
【0007】
一方、上記特許文献1〜4に記載されているような、植物を用いた浄化方法では、一般に、浄化に必要な期間が長期にわたるばかりでなく、汚染の拡散を促進してしまうおそれがあるといった問題が指摘される。
【0008】
また、近年は、天然由来の重金属類による広域汚染や、一般家庭に用いられている住宅資材等に由来する汚染が報じられるケースも増加する傾向にある。そしてこのような汚染の浄化に対しては、基準値超過範囲の浄化に多量の費用とエネルギを投入することが困難であるため、安価な処理工法が求められている。
【0009】
本発明は、上述のような問題に鑑みてなされたものであって、その技術的課題は、浄化期間中の作業員及び近隣の健康リスクを低減し、かつ低コストで重金属含有量を低減するのに有効な処理技術を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記従来の技術的課題を有効に解決するための手段として、請求項1の発明に係る重金属類汚染土壌の浄化方法は、重金属類を含む土壌の表層を、地被植物の植栽と生分解性を有する多孔質体の敷設によって被覆し、これによって、汚染物質の地下浸透、揮散及び汚染された土壌粒子の拡散を抑えると共に、地被植物に土壌中の重金属類を回収させるものである。なお、ここでいう「生分解性」とは、土壌微生物の働きにより分解される性質をいい、このため生分解性を有する多孔質体は経時的に分解されて土壌成分となり、残留しない。
【0011】
請求項2の発明に係る重金属類汚染土壌の浄化方法は、請求項1の記載において、重金属類を含む土壌の表層を、適当な勾配をもって造成することによって、雨水や漂流水の浸透を抑制するものである。
【0012】
請求項3の発明に係る重金属類汚染土壌の浄化方法は、請求項1の記載において、地被植物の植栽に先行して、生分解性を有する多孔質体の敷設によって土壌の表層を被覆するものである。
【0013】
請求項4の発明に係る重金属類汚染土壌の浄化方法は、請求項1の記載において、地被植物を植栽した土壌にキレート剤を添加することにより、地被植物への重金属類の吸収を促進させるものである。
【0014】
請求項5の発明に係る重金属類汚染土壌の浄化方法は、請求項1の記載において、生分解性を有する多孔質体が、生分解性を有する繊維の不織布からなるものである。
【0015】
請求項6の発明に係る重金属類汚染土壌の浄化方法は、請求項1の記載において、地被植物の播種に際して、生分解性を有する多孔質体の表面に栄養塩類と共に種子を固定するものである。
【0016】
請求項7の発明に係る重金属類汚染土壌の浄化方法は、請求項1の記載において、植栽した地被植物を定期的に刈り取ることにより、植物体に回収した重金属類を除去するものである。
【0017】
請求項8の発明に係る重金属類汚染土壌の浄化方法は、請求項1の記載において、相対的に生育特性に優れた地被植物と相対的に重金属類の吸収に優れた地被植物とを組み合わせて植栽するものである。
【0018】
請求項9の発明に係る重金属類汚染土壌の浄化方法は、請求項1の記載において、地被植物は、コケ植物、地被用草本類、わい性低木類、ツル植物類のいずれかから1以上選択される。
【0019】
請求項10の発明に係る重金属類汚染土壌の浄化方法は、請求項9の記載において、コケ植物は、セン綱、タイ綱、ツノゴケ綱のいずれかから1以上選択され、地被用草本類は、サイトモ科、キツネノマゴ科、キク科、ヒメウラボシ科、ウラボシ科、ナズナ科、ナデシコ科、イソマツ科、スジヒトツバ科、ヤブレガサウラボシ科、イワデンダ科、ヒメシダ科、ツルキジノオ科、シシガシラ科、チャセンシダ科、シシラン科、ツルシダ科、シノブ科、マチン科、セリ科、ユリ科、ホングウシダ科、コバノイシカグマ科、タカワラビ科、ヘゴ科、コケシノブ科、ウラジロ科、ゼンマイ科、マツバラン科、ホウライシダ科、オシダ科、イノモトソウ科、イワヒバ科、アヤメ科、クワ科、シソ科、バラ科、カンアオイ科、ユキノシタ科、ラン科、アカザ科、シュウカイドウ科、キキョウ科、カヤツリグサ科、ツルナ科、マメ科、ゴマノハグサ科、ヒルガオ科、メギ科、トクサ科、イネ科、アカネ科、フクロソウ科、キンポウゲ科、ドクダミ科、ヒユ科、ザクロソウ科、アマ科、ヒカゲノカズラ科、ヒガンバナ科、サクラソウ科、タデ科、ナス科、ムサラキ科、カタバミ科、ブドウ科、イラクサ科、ハナシノブ科、クマツヅラ科、ツユクサ科、ベンケイソウ科、イワヒバ科、キョウチクトウ科、スミレ科のいずれかから1以上選択され、わい性低木類は、イチイ科、ヒノキ科、センリョウ科、ツゲ科、モチノキ科、ツバキ科、オトギリソウ科、グミ科、マタタビ科、トケイソウ科、ミズキ科、ツツジ科、ジンチョウゲ科、トウダイグサ科、サボテン科、ヤシ科、トベラ科、マンサク科、フジウツギ科、モクセイ科、ロウバイ科のいずれかから1以上選択され、ツル植物類は、ヤブコウジ科、スイカズラ科、フジウツギ科、モクレン科、ノウゼンカズラ科、ニシキギ科、ウコギ科、アケビ科のいずれかから1以上選択される。
【0020】
請求項11の発明に係る重金属類汚染土壌の浄化方法は、請求項10に記載されたイネ科の植物が、ヌカボ属、アワガエリ属、カモガヤ属、ウシノケグサ属、ドクムギ属、イチゴツナギ属、ヤギュウシバ属、ギョウギシバ属、カゼクサ属、シバ属、ムカデシバ属、ツルヒメシバ属、スズメノヒエ属、チカラシバ属、イヌシバ属のいずれかから1以上選択される。
【0021】
【発明の実施の形態】
次に、本発明に係る重金属類汚染土壌の浄化方法の好ましい実施の形態について、図面を参照しながら説明する。まず図1は、重金属類汚染土壌(以下、汚染土壌という)1及びその周辺の清浄な土壌(以下、周辺土壌という)2を概略的に示す鉛直断面図である。本発明で浄化対象とする汚染土壌1は、特に、鉛、カドミウム、ヒ素等の重金属元素の単体、化合物又はイオンを含有する土壌であり、土壌汚染対策法で土壌の溶出量及び含有量基準値が定められたものをさす。
【0022】
汚染土壌1及び周辺土壌2の表面は、予め、一定の勾配αとなるように造成する。勾配αは、0.1〜5%程度とし、好ましくは概ね3%程度とすることによって、降雨等に由来する表流水の地下浸透を抑制することができ、また、後述する不織布3及び地被植物4による保水能力と相俟って、表流水の地下浸透を20%程度まで削減することができる。なお、元々の地盤がこのような勾配をもっている場合は、造成の必要はない。
【0023】
図2は、本発明において、図1における汚染土壌1の表層を、生分解性を有する不織布3で被覆した状態を概略的に示す鉛直断面図である。すなわち、この形態による浄化方法においては、まず、汚染土壌1の表層に、生分解性を有する多孔質体、好ましくは例えばポリ乳酸系、あるいはセルロース系等、生分解性を有する材質の繊維からなる不織布3を敷設する。なお、不織布3は、後述する地被植物の根が、汚染土壌1の表層における所要の深さまで分布可能となるように、適切な厚さとする。
【0024】
この不織布3は、後述する地被植物が生育するまでの間、汚染土壌1の表面を被覆することにより汚染物質の揮散や、風で土壌粒子が飛散することによる汚染拡散を防止する作用を有するものであり、加えて、汚染土壌1の範囲を周辺土壌2と明確に区別して、第三者の立ち入りを制限して安全性を確保することができる。しかも不織布3は地表に敷設するだけなので、作業者への健康リスクは殆どなく、多大なエネルギ消費もない。
【0025】
不織布3には芝草等、地被植物の種子を播種する。この場合、種子は、風による飛散や降雨による汚染圏外への流出などを防止して、発芽率を高めるため、栄養塩類と共に不織布3の表面に固定すると良い。播種の密度は、発芽後の生育態様等を考慮して、適切に決定する。
【0026】
本発明において使用可能な地被植物としては、コケ植物、地被用草本類、わい性低木類、ツル植物類等があり、これらの中から1以上組み合わせて選択することができる。具体的には、コケ植物は、セン綱、タイ綱、ツノゴケ綱のいずれかから1以上選択され、地被用草本類は、サイトモ科、キツネノマゴ科、キク科、ヒメウラボシ科、ウラボシ科、ナズナ科、ナデシコ科、イソマツ科、スジヒトツバ科、ヤブレガサウラボシ科、イワデンダ科、ヒメシダ科、ツルキジノオ科、シシガシラ科、チャセンシダ科、シシラン科、ツルシダ科、シノブ科、マチン科、セリ科、ユリ科、ホングウシダ科、コバノイシカグマ科、タカワラビ科、ヘゴ科、コケシノブ科、ウラジロ科、ゼンマイ科、マツバラン科、ホウライシダ科、オシダ科、イノモトソウ科、イワヒバ科、アヤメ科、クワ科、シソ科、バラ科、カンアオイ科、ユキノシタ科、ラン科、アカザ科、シュウカイドウ科、キキョウ科、カヤツリグサ科、ツルナ科、マメ科、ゴマノハグサ科、ヒルガオ科、メギ科、トクサ科、イネ科、アカネ科、フクロソウ科、キンポウゲ科、ドクダミ科、ヒユ科、ザクロソウ科、アマ科、ヒカゲノカズラ科、ヒガンバナ科、サクラソウ科、タデ科、ナス科、ムサラキ科、カタバミ科、ブドウ科、イラクサ科、ハナシノブ科、クマツヅラ科、ツユクサ科、ベンケイソウ科、イワヒバ科、キョウチクトウ科、スミレ科のいずれかから1以上選択され、わい性低木類は、イチイ科、ヒノキ科、センリョウ科、ツゲ科、モチノキ科、ツバキ科、オトギリソウ科、グミ科、マタタビ科、トケイソウ科、ミズキ科、ツツジ科、ジンチョウゲ科、トウダイグサ科、サボテン科、ヤシ科、トベラ科、マンサク科、フジウツギ科、モクセイ科、ロウバイ科のいずれかから1以上選択され、ツル植物類は、ヤブコウジ科、スイカズラ科、フジウツギ科、モクレン科、ノウゼンカズラ科、ニシキギ科、ウコギ科、アケビ科のいずれかから1以上選択される。このため、地域による気候や地形、土質等に合わせて、植栽に適した植物を選択することができる。
【0027】
特に、汚染土壌1が複数の重金属により汚染されている場合は、相対的に生育特性に優れた地被植物、すなわち表層拡散経路の遮断能力に優れた地被植物と、重金属に対する吸収能力が相対的に優れた地被植物を組み合わせて植栽することが有効である。例えば、カラシナ・ヒマワリ等は、カドミウムに対する吸収能力が高く、したがって、カドミウムに汚染された土壌については、芝草類と、カラシナ・ヒマワリ等を組み合わせて植栽するのが良い。
【0028】
また、上述した植物のうち、芝草のようなイネ科の植物が特に有用であり、ヌカボ属、アワガエリ属、カモガヤ属、ウシノケグサ属、ドクムギ属、イチゴツナギ属、ヤギュウシバ属、ギョウギシバ属、カゼクサ属、シバ属、ムカデシバ属、ツルヒメシバ属、スズメノヒエ属、チカラシバ属、イヌシバ属のいずれかから1以上選択することが好ましい。
【0029】
イネ科を植栽する場合、その種類としては、生育特性に優れた芝草であるトールフェスク等を選択することが考えられる。生育特性に優れた芝草は、短期間で生育して地表を覆い、汚染物質の表層拡散経路を遮断するからである。しかしトールフェスクは、重金属類に対する吸収能力がそれほど高くないため、重金属類の吸収能力に優れた芝草であるペレニアルライグラスと適当な割合で組み合わせて植栽することが好ましい。
【0030】
図3は、本発明において、播種した地被植物が成長した状態を概略的に示す鉛直断面図である。地被植物4は、例えば芝草の場合、生育につれて地下茎が這うように延びて、汚染土壌1上の不織布3を覆うように密生するようになる。またその根4aは、種類にもよるが数十cmの深さまで高密度で成長する。このため、土壌微生物による不織布3の分解が進行した状態でも、地被植物4によって汚染物質の表層拡散を遮断する効果が維持される。
【0031】
汚染土壌1の表層は、生分解性の不織布3に加え、成長した地被植物4で被覆されるので、汚染土壌1は、引き続き周辺土壌2と明確に区別されることになる。したがって、汚染範囲を第三者に知らしめ、立ち入りを制限して安全性を確保することができる。
【0032】
地被植物4の生育過程では、pH調整を行ったクエン酸等のキレート剤を添加することによって、汚染土壌1からの重金属の吸収を促進することができる。使用するキレート剤としては、クエン酸、ニトリロトリ酢酸(NTA)、エチレンシアミントリクロロ酢酸(EDTA)等が有効であるが、土壌への残留性等を考慮すれば、クエン酸の使用が好ましい。
【0033】
植栽した芝などの地被植物4が十分に生育したら、これ定期的にを刈り取ることによって、植物体の地上部内に回収した重金属類を除去する。粉塵の発生を抑える観点からも、地被植物4は、掘り取るのではなく、地上部のみを刈り取ることが好ましい。
【0034】
上述の形態による方法では、含有量として概ね5,000mg/kg程度の重金属類を含む土壌まで、効率よく浄化を進めることができ、深さ50cmまでの土壌中の重金属含有量を環境基準値以下まで低減するのに有効である。また、単に芝草等の地被植物を栽培した場合の重金属類の吸収量は、40mg/kg程度にとどまるが、pH調整を行ったクエン酸等のキレート剤を添加することによって、6,000mg/kgを超過する吸収量を得ることができる。これにより、例えば年間10g/mを超える鉛の除去効果が得られる。また、原位置で汚染土壌1の浄化を行うため、掘削等による汚染粉塵の発生をゼロに抑えることができる。
【0035】
図4は、施工完了状態を概略的に示す鉛直断面図である。すなわち、浄化が完了した土壌1’の表層には、必要に応じて清浄土5による覆土を行う。このとき、土壌1’の表層に敷設されている不織布3も覆土されることになるが、この不織布3は、ポリ乳酸系、あるいはセルロース系等、生分解性を有する材質の繊維からなるものであるため、土壌微生物によって経年的に分解され、残留しない。なお、覆土によって、図4のように、地盤表面を水平に造成又は復元することができる。
【0036】
【実施例】
200mg/kgの濃度の鉛を含む汚染土壌を対象として、浄化試験を実施した。芝種としては、鉛の吸収能力に優れたペレニアルライグラスと、生育に優れたトールフェスクを混合して播種した。栽培容器には内径20cmの樹脂製円筒を用い、汚染土壌を50cmの深さで充填し、その表面には、ポリ乳酸系の生分解性の不織布を敷いた。
【0037】
発芽し生育した芝草の刈り取りは、月に1〜2回実施し、刈り取り1週間前に水酸化カリウムにてpHを5.0に調整したクエン酸溶液を、汚染土壌の乾土あたりで10m mol/kgとなるように散布した。なお、キレート処理による吸収促進効果を確認する目的で、クエン酸散布を行わない区を設けた。刈り取った植物体は、摂氏80度に設定した通風乾燥機で乾燥した後にボールミルで粉砕し、硝酸で分解して得られた検液中の鉛濃度をICP発光分光法にて測定した。
【0038】
キレート処理を行わない場合の植物体に含まれる鉛濃度は30〜50mg/kgDWであったが、キレート処理を行った場合は6,000〜7,000mg/kgDW、平均6,670mg/kgDWであった。刈り取りによって得られた植物体量は、キレート処理の有無に影響を受けず、乾燥重量で年間2kg/m程度となった。また、処理後の土壌についてはポリ乳酸系の不織布の残留は認められなかった。
【0039】
これにより、年間に汚染地盤1mあたり13.3gの鉛が除去され、3年間の栽培により、深度50cmまで鉛の含有量基準150mg/kgを下回る138.4mg/kgまでの浄化が可能であることがわかった。以上から、汚染物質の拡散を防ぎつつ効率よく浄化を進める効果が得られた。
【0040】
【発明の効果】
請求項1の発明に係る重金属類汚染土壌の浄化方法によれば、重金属類を含む土壌の表層を、生分解される多孔質体及び地被植物の植栽により被覆して、汚染物質の地下浸透、揮散及び汚染された土壌粒子の拡散を抑えると共に、汚染土壌の範囲が、敷設した多孔質体によって周辺土壌と区別されるので、第三者の立ち入りを制限して安全性を確保することができる。また、地被植物に土壌中の重金属類を回収させるものであるため、周辺環境への悪影響を排除した条件下での浄化が可能である。したがって施工作業員や近隣の健康リスクを低減し、しかも低コストで、深さ50cm程度までの土壌中の重金属含有量を環境基準値以下に低減することができる。
【0041】
請求項2の発明に係る重金属類汚染土壌の浄化方法によれば、請求項1による効果に加え、雨水や漂流水の浸透を抑制することによって、浸透による汚染の拡散を有効に防止することができる。
【0042】
請求項3の発明に係る重金属類汚染土壌の浄化方法によれば、請求項1による効果に加え、植栽した地被植物が十分に生育していない期間でも、汚染土壌の範囲が、敷設した多孔質体によって周辺土壌と区別されるので、第三者の立ち入りを制限して安全性を確保することができ、かつ多孔質体がその遮蔽機能及び保水機能によって、汚染物質の地下浸透、揮散及び汚染された土壌粒子の拡散を抑制することができる。
【0043】
請求項4の発明に係る重金属類汚染土壌の浄化方法によれば、請求項1による効果に加え、地被植物を植栽した土壌にキレート剤を添加することにより、地被植物への重金属類の吸収を促進させ、浄化を促進させることができる。
【0044】
請求項5の発明に係る重金属類汚染土壌の浄化方法によれば、請求項1における生分解性を有する多孔質体として不織布を用いることによって、保水性が良く、種子の定着性や根付きを良くすることができる。
【0045】
請求項6の発明に係る重金属類汚染土壌の浄化方法は、請求項1において植栽しようとする植物の種子を、多孔質体の表面に栄養塩類と共に固定するため、風による飛散や降雨による汚染区域外への流出などを防止して、発芽率を高めることができる。
【0046】
請求項7の発明に係る重金属類汚染土壌の浄化方法は、請求項1において植栽した植物を定期的に刈り取ることにより、汚染土壌から植物体に回収した重金属類を除去することができる。
【0047】
請求項8の発明に係る重金属類汚染土壌の浄化方法によれば、生育特性に優れた地被植物によって短期間で遮蔽性及び保水性による汚染拡散遮断機能を発揮すると共に、重金属類の吸収に優れた地被植物によって、土壌の汚染濃度を効率良く低下させることができる。
【0048】
請求項9〜11の発明に係る重金属類汚染土壌の浄化方法によれば、土壌特性や気候に応じて種々の地被植物を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】重金属類汚染土壌1及びその周辺土壌2を概略的に示す鉛直断面図である。
【図2】本発明において、図1における汚染土壌1の表層を、生分解性を有する不織布3で被覆した状態を概略的に示す鉛直断面図である。
【図3】本発明において、播種した地被植物4が生育した状態を概略的に示す鉛直断面図である。
【図4】施工完了状態を概略的に示す鉛直断面図である。
【符号の説明】
1 汚染土壌
2 周辺土壌
3 不織布(多孔質体)
4 地被植物
5 清浄土

Claims (11)

  1. 重金属類を含む土壌の表層を、地被植物の植栽と生分解性を有する多孔質体の敷設によって被覆することを特徴とする重金属類汚染土壌の浄化方法。
  2. 重金属類を含む土壌の表層を、適当な勾配をもって造成することを特徴とする請求項1に記載の重金属類汚染土壌の浄化方法。
  3. 地被植物の植栽に先行して、生分解性を有する多孔質体の敷設によって土壌の表層を被覆することを特徴とする請求項1に記載の重金属類汚染土壌の浄化方法。
  4. 地被植物を植栽した土壌にキレート剤を添加することを特徴とする請求項1に記載の重金属類汚染土壌の浄化方法。
  5. 生分解性を有する多孔質体が、生分解性を有する繊維の不織布からなることを特徴とする請求項1に記載の重金属類汚染土壌の浄化方法。
  6. 地被植物の播種に際して、生分解性を有する多孔質体の表面に栄養塩類と共に種子を固定することを特徴とする請求項1に記載の重金属類汚染土壌の浄化方法。
  7. 植栽した植物を定期的に刈り取ることを特徴とする請求項1に記載の重金属類汚染土壌の浄化方法。
  8. 相対的に生育特性に優れた地被植物と相対的に重金属類の吸収に優れた地被植物とを組み合わせて植栽することを特徴とする請求項1に記載の重金属類汚染土壌の浄化方法。
  9. 地被植物は、コケ植物、地被用草本類、わい性低木類、ツル植物類のいずれかに属するものであることを特徴とする請求項1に記載の重金属類汚染土壌の浄化方法。
  10. コケ植物は、セン綱、タイ綱、ツノゴケ綱のいずれかから1以上選択され、地被用草本類は、サイトモ科、キツネノマゴ科、キク科、ヒメウラボシ科、ウラボシ科、ナズナ科、ナデシコ科、イソマツ科、スジヒトツバ科、ヤブレガサウラボシ科、イワデンダ科、ヒメシダ科、ツルキジノオ科、シシガシラ科、チャセンシダ科、シシラン科、ツルシダ科、シノブ科、マチン科、セリ科、ユリ科、ホングウシダ科、コバノイシカグマ科、タカワラビ科、ヘゴ科、コケシノブ科、ウラジロ科、ゼンマイ科、マツバラン科、ホウライシダ科、オシダ科、イノモトソウ科、イワヒバ科、アヤメ科、クワ科、シソ科、バラ科、カンアオイ科、ユキノシタ科、ラン科、アカザ科、シュウカイドウ科、キキョウ科、カヤツリグサ科、ツルナ科、マメ科、ゴマノハグサ科、ヒルガオ科、メギ科、トクサ科、イネ科、アカネ科、フクロソウ科、キンポウゲ科、ドクダミ科、ヒユ科、ザクロソウ科、アマ科、ヒカゲノカズラ科、ヒガンバナ科、サクラソウ科、タデ科、ナス科、ムサラキ科、カタバミ科、ブドウ科、イラクサ科、ハナシノブ科、クマツヅラ科、ツユクサ科、ベンケイソウ科、イワヒバ科、キョウチクトウ科、スミレ科のいずれかから1以上選択され、わい性低木類は、イチイ科、ヒノキ科、センリョウ科、ツゲ科、モチノキ科、ツバキ科、オトギリソウ科、グミ科、マタタビ科、トケイソウ科、ミズキ科、ツツジ科、ジンチョウゲ科、トウダイグサ科、サボテン科、ヤシ科、トベラ科、マンサク科、フジウツギ科、モクセイ科、ロウバイ科のいずれかから1以上選択され、ツル植物類は、ヤブコウジ科、スイカズラ科、フジウツギ科、モクレン科、ノウゼンカズラ科、ニシキギ科、ウコギ科、アケビ科のいずれかから1以上選択されることを特徴とする請求項9に記載の重金属類汚染土壌の浄化方法。
  11. 請求項10に記載されたイネ科の植物が、ヌカボ属、アワガエリ属、カモガヤ属、ウシノケグサ属、ドクムギ属、イチゴツナギ属、ヤギュウシバ属、ギョウギシバ属、カゼクサ属、シバ属、ムカデシバ属、ツルヒメシバ属、スズメノヒエ属、チカラシバ属、イヌシバ属のいずれかから1以上選択されることを特徴とする重金属類汚染土壌の浄化方法。
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