JP2004290573A - 弾力性と柔軟性を有する脱臭剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】幅広い悪臭成分に対して優れた脱臭効果を発揮することができ、カビの発生がなく、安全性にも優れた弾力性と柔軟性を有する脱臭剤を提供する。
【解決手段】抗菌性金属を含む無機物質を表面に被覆または担持させた炭化物質の粉末を、ポリビニールアルコールに混合した弾力性と柔軟性を有する脱臭剤である。さらに銅、銀、亜鉛、錫、マンガン、マグネシウム、アルミニウム、チタンから選択された無機系抗菌剤を助剤として添加し、ラポナイト等の粘土鉱物を膨潤剤として添加することが好ましい。常に表面を露出することで消臭・脱臭効果を発揮する。
【選択図】 図1
【解決手段】抗菌性金属を含む無機物質を表面に被覆または担持させた炭化物質の粉末を、ポリビニールアルコールに混合した弾力性と柔軟性を有する脱臭剤である。さらに銅、銀、亜鉛、錫、マンガン、マグネシウム、アルミニウム、チタンから選択された無機系抗菌剤を助剤として添加し、ラポナイト等の粘土鉱物を膨潤剤として添加することが好ましい。常に表面を露出することで消臭・脱臭効果を発揮する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、冷蔵庫、室内、トイレなどに発生するアンモニア、トリメチルアミン、硫化水素などの臭気の除去を目的とする弾力性と柔軟性を有する脱臭剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
【特許文献1】特開2002−119582号公報
【特許文献2】特開平9−187493号公報
【0003】従来から、冷蔵庫、室内、トイレなどに発生するアンモニア、トリメチルアミン、硫化水素などの臭気の除去を目的とする消臭剤、脱臭剤は数多く開発されている。これらの多くは、古来より脱臭剤として使用されている備長炭、竹炭、活性炭などや、ゼオライトやシリカを主成分とする無機結晶体を主成分とするものである。これらは、多孔質体特有の物理的な吸着といった性質により悪臭を除去するものであり、近年では取り扱いを容易にするために不織布に入れたものや、ゲル化させたもの(特許文献1,2)や、使用期間を目視で確認することができるものなどが開発されている。
【0004】しかし、ゲル状に加工された芳香剤や脱臭剤の多くはカビの発生が問題とされている。このため抗菌剤が使用されたが、明確な効果が確認できなかった。その原因は、防かび剤や抗菌剤の成分が吸着剤に吸着されるためであると考えられる。さらに有機系の防かび剤は安全性に問題が生じるうえ、ゲル化剤や安定剤の成分によっては、抗菌成分の効果が生じないといった問題が発生する。そこで近年では、無機系抗菌剤が使用されているがこれらの抗菌性成分は主として銀であり、混合する成分例えばアミン類、イソシアネート等と反応すると抗菌性を失いカビ等の発生が起こることが確認されている
【0005】また、活性炭類は木炭、備長炭、竹炭、ヤシガラ炭、その他加工された炭化物質であるが、これらは吸湿性を持ち水分を吸着するとともに微生物が繁殖して脱臭効果を消失し、さらに微生物の繁殖が進むと悪臭の原因となるおそれがあった。そこでアルカリ性の活性炭若しくは、化学的に酸性に移行させた活性炭も開発されているが、これらは吸着成分が偏り脱臭効果が安定しないという問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記した従来の問題点を解決して、カビの発生のおそれが無く、幅広い悪臭成分に対して優れた脱臭効果を安定して発揮することができ、しかも廃棄の際などに人体に接触しても安全性に優れた弾力性と柔軟性を有する脱臭剤を提供するためになされたものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するためになされた本発明は、抗菌性金属を含む無機物質を表面に被覆または担持させた炭化物質の粉末を、ポリビニールアルコールに混合したことを特徴とするものである。なお、無機系抗菌剤を助剤として添加し、粘土鉱物を膨潤剤として添加することが好ましい。本発明の脱臭剤は弾力性と柔軟性を有し、常に表面を露出することで消臭・脱臭効果を発揮する。
以下に本発明を好ましい実施の形態とともに更に詳細に説明する。
【0008】
【発明の実施の形態】
(基本成分)本発明の弾力性と柔軟性を有する脱臭剤を構成する基本成分は、抗菌性金属を含む無機物質を表面に被覆または担持させた炭化物質の粉末と、ポリビニールアルコール(PVA)である。炭化物質としては、木炭、竹炭、ヤシガラ炭、備長炭、活性炭、モミガラ炭、おから炭、木質系産業廃棄物などを焼成してなる炭化物質、パルプ、再生紙を焼成した炭化物質などを用いることができる。
【0009】これらの炭化物質は、臭気成分の中でもアンモニアの除去を主体にするときは水素イオン濃度が7以上のものが好ましく、さらに好適なものは水素イオン濃度が9〜11の範囲内のものである。本発明で用いる炭化物質としては、物理的に表面積が大きく多孔質な活性炭類が最も適している。
【0010】本発明ではカビの発生を防止するために、表面に抗菌性金属を含む無機物質を被覆または担持させた炭化物質を用いる。本発明者は先に、無機金属とシリカ、アルミナ、カルシウム、マグネシウムなどからなる無機物質を活性炭の表面に高温で被覆または担持させた商品(商品名:セラミック炭)を開発したが、本発明では銅、銀、亜鉛、錫、マンガン、マグネシウム、アルミニウム、チタンから選択された抗菌性金属を、上記の無機金属として用いればよい。このように抗菌性の無機物質を炭化物質(活性炭)の表面に被覆または担持させれば、活性炭に混合する方法よりも大きい気孔率を確保しやすいうえ、抗菌性金属の溶出が抑制できる。また従来のように、抗菌成分が脱臭剤に吸着されて抗菌性が抑制されることもない利点がある。
【0011】炭化物質の好ましい気孔率は80%以上である。また炭化物質は微粉化するほどその表面積が増大し、臭気成分の吸着率が高まるため、その粒径は10μm以下とすることが好ましい。従って、気孔率80%以上の炭化物質を10μ以下の微粉末粒子とし、その表面に無機物質のシリカを主成分とした担持体に抗菌性金属を1種類以上混合被覆したものが最も適している。なお、炭化物質は疎水性であるが、その表面に親水性物質を被覆したので、アンモニアや水蒸気を通すことができる。また後記する柔軟性剤、安定剤等の成分についても、親水性を示すものが適している。
【0012】前記したように、従来の脱臭剤としてはバイオガム、グアーガム誘導体、セルロース誘導体、合成系、無機系、寒天、ゼラチン等のゲル化剤を用いてゲル化したものが一般的である。しかし本発明においてはゲル化剤ではなく、柔軟性を有した液体であり伸縮性を有し自在に形状を変化させることのできる物質であるPVA(ポリビニールアルコール)を用い、弾力性と柔軟性を有する脱臭剤とする。このポリビニールアルコールを用いた本発明の脱臭剤は、アンモニア、水蒸気は、透過し、炭酸ガスやヘリウムガスは不透過といった特性を示す。
【0013】(調合剤、溶解剤、安定剤)
ポリビニールアルコールには、調合剤、溶解剤、安定剤などが添加される。調合剤としては、ソルビン酸、ロダン塩、IPAなどの高級アルコール類などが挙げられる。溶解剤または柔軟剤としては、グリセリン、エタノール、パラフィン、エチレングリコール、その他グリコルール類が挙げられる。更に本発明に適した安定剤として、パラフィン又はグリセリンが挙げられる。グリセリンは、人体に於ける保湿剤として化粧品などに使用され安全性の高い液体である。グリセリンを添加することで、滑らかな手触り感が得られるとともに、容器等に付着するのを抑える効果が得られる。
【0014】(抗菌性の助剤)なお、本発明では前記した炭化物質の表面に被覆または担持された抗菌成分の他に、さらに無機系抗菌剤を助剤として添加することで抗菌性を向上させることができる。カビ防止剤としてデヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸ナトリウムなどの有機系薬剤が知られており、有機系抗菌剤、防腐剤として、安息香酸ナトリウムやパラベン、クロロイソチアゾール等が知られている。しかしこれらの有機系のものは他の成分の影響を受け、効果が弱く短命であるため、本発明では助剤としても無機系抗菌剤を用いることが好ましい。
【0015】この目的で添加される無機系抗菌剤としては、銀系抗菌剤または亜鉛系抗菌剤が使用できる。市販の銀系抗菌剤の多くは、銀イオンが溶出することによって抗菌作用が生じるが、これらの溶出型の抗菌剤は有機抗菌剤と同様に原料に使用する成分により効果を抑制されるので好ましくない。しかし、これらの抗菌性金属物質を液状化させた銀系抗菌溶液(商品名 アルゲセル)、(商品名ホロンキラー)亜鉛系抗菌溶液(商品名 メタルピア)などの液体抗菌剤では、抗菌性金属がイオン状態で分散されており、微粉末状態での金属イオンの担持量より大きく混合でき抗菌効果が持続することにより好適である。特に亜鉛系抗菌剤は、銀系抗菌剤のようにハロゲン化や酸化による効果の劣化が生じることが無くポリビニールアルコールに対する支障が生じないため適している。さらに特開平10−139609号公報などに記載の抗菌剤は、非溶質型の抗菌性微粉末であり大きい金属イオンを必要とせずに少量で抗菌効果が維持でき、分散性にも優れ容易にポリビニールアルコールに分散することができるので好ましい。
【0016】(他の添加成分)
本発明の弾力性と柔軟性を有する脱臭剤には、さらに耐光性剤、耐水性、親水性を向上させる成分を加えることができる。これらの成分としては、多価金属塩例えば、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、マグネシウム等の塩が挙げられ、さらに粘土鉱物であるモンモリナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトナイト、ソーコナイト、ラポナイト等が挙げられる。特に好ましいものはヘクトナイトあるいはラポナイトであり、その特徴として水分による膨張までの時間が短く、経時的な粘度の変化が小さく、水分中の水系分散液として用いられている。また、ヘクトナイトあるいはラポナイトは疎水性物質である炭化物質とポリビニールアルコールの膨潤性を優位に保ち、気層構造を有することでより脱臭効果を高める効果も有している。
【0017】(柔軟剤)
このほか、ポリビニールアルコールの弾力並びに柔軟性を保持するために一般的に用いる成分として、ホウ酸、ホウ砂が挙げられる。これらはケン化作用により弾力性並びに柔軟性を帯びた液体物質となる。また、本発明に用いる炭化物質の表面に被覆若しくは担持された抗菌性金属、抗菌性を向上させる目的で用いる助剤としての抗菌剤、粘土鉱物のラポナイト等は、ホウ酸、ホウ砂のケン化を促進させる助剤となり、ホウ酸、ホウ砂の使用量を減少させ、安全性を向上させることができる。
【0018】(混合比率)
上記した各成分を一定割合で水と混合することにより、膨張性が高く弾力性並びに柔軟性を有し、高い脱臭効果を持つ本発明の脱臭剤となる。全体に於ける成分割合は、ポリビニールアルコールは0.1重量%〜10重量%の範囲内であり、より好ましいのは、2重量%〜8重量%の範囲である。炭化物質は0.1重量%〜20重量%の範囲内であり、さらに好ましいのは2.5重量%〜15重量%である。ポリビニールアルコールが上記の範囲を外れると弾力性と柔軟性を有する脱臭剤とならず、炭化物質が上記の範囲よりも少ないと脱臭効果が劣り、多すぎるとやはり弾力性と柔軟性を有する脱臭剤とならない。
【0019】助剤として用いる無機系抗菌溶液は、0.1重量%〜2%の範囲が適している。また、特開平10−139609、特開平11−6326などに記載された非溶質型の抗菌性微粉末も同様に、0.1重量%〜2%範囲が適している。耐光性、耐水性、親水性を向上させる成分であるラポナイト等の粘土鉱物は、0.01重量%〜2.5重量%の範囲内であり、さらに好適には0.3重量%〜1.5重量%の範囲内である。弾力性及び柔軟性を付与する液体としてのグリセリンは、0.01重量%〜5重量%の範囲、より好ましくは0.2重量%〜2重量%の範囲内である。ケン化剤であるホウ砂は、0.1重量%〜2重量%が好ましく、さらに好ましいのは0.3重量%〜1.2重量%の範囲である。なお、各成分の総和を100%から差し引いた残部は水である。
【0020】
【実施例】以下に本発明の好ましい実施例を示す。
1500CCの水にポリビニールアルコール(日本合成化学工業製)100gを加え、水温85℃まで加熱し冷却する。また、800CCの水にホウ砂5gを攪拌したものと、200CCの水にラポナイト25gを入れたものとを、それぞれ別個にスターラーで15分攪拌する。その後、ホウ砂を溶解した800CCの水に亜鉛系抗菌剤の水溶液(商品名メタルピア)を10CC希釈し、シリカと銀とからなる無機物質を表面に被覆した炭化物質(気孔率80%以上、粒径10μ以下の微粉末)180gを分散させる。これにラポナイトを溶解した200CCの水を加えて攪拌後容器に入れ、ポリビニールアルコールを溶解した1500CCの溶解液を加えて素早く再攪拌して、弾力性と柔軟性を有する脱臭剤を得る。
【0021】この本発明の脱臭剤15gを採取し、アンモニア、トリメチルアミン、アセトアルデヒドの脱臭比較テストを実施した。検査方法はガステック社製のガス検知管を用い、小宗化学薬品工業製のアンモニア、東京化成工業製のトリメチルアミンとアセトアルデヒドを封入してこれらの臭気成分の時間的変化を調べた。また比較のために、市販のゲル状脱臭剤15gを用いて同様にテストした。その結果を図1から図3のグラフに示す。これらのグラフに示されるように、本発明の脱臭剤は、アンモニアガス、トリメチルアミン、アセトアルデヒドの3種類のガスに対し、市販のゲル状脱臭剤よりも優れた効果が確認された。
【0022】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明の弾力性と柔軟性を有する脱臭剤は抗菌性成分を含むためカビの発生のおそれが無く、幅広い悪臭成分に対して優れた脱臭効果を発揮することができ、しかも安全性に優れたものであるから、冷蔵庫、室内、トイレなどの脱臭剤として適したものである。また外観も従来の脱臭剤とは異なり、商品価値も高いものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例におけるアンモニアの脱臭テスト結果を示すグラフである。
【図2】実施例におけるトリメチルアミンの脱臭テスト結果を示すグラフである。
【図3】実施例におけるアセトアルデヒドの脱臭テスト結果を示すグラフである。
【発明の属する技術分野】本発明は、冷蔵庫、室内、トイレなどに発生するアンモニア、トリメチルアミン、硫化水素などの臭気の除去を目的とする弾力性と柔軟性を有する脱臭剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
【特許文献1】特開2002−119582号公報
【特許文献2】特開平9−187493号公報
【0003】従来から、冷蔵庫、室内、トイレなどに発生するアンモニア、トリメチルアミン、硫化水素などの臭気の除去を目的とする消臭剤、脱臭剤は数多く開発されている。これらの多くは、古来より脱臭剤として使用されている備長炭、竹炭、活性炭などや、ゼオライトやシリカを主成分とする無機結晶体を主成分とするものである。これらは、多孔質体特有の物理的な吸着といった性質により悪臭を除去するものであり、近年では取り扱いを容易にするために不織布に入れたものや、ゲル化させたもの(特許文献1,2)や、使用期間を目視で確認することができるものなどが開発されている。
【0004】しかし、ゲル状に加工された芳香剤や脱臭剤の多くはカビの発生が問題とされている。このため抗菌剤が使用されたが、明確な効果が確認できなかった。その原因は、防かび剤や抗菌剤の成分が吸着剤に吸着されるためであると考えられる。さらに有機系の防かび剤は安全性に問題が生じるうえ、ゲル化剤や安定剤の成分によっては、抗菌成分の効果が生じないといった問題が発生する。そこで近年では、無機系抗菌剤が使用されているがこれらの抗菌性成分は主として銀であり、混合する成分例えばアミン類、イソシアネート等と反応すると抗菌性を失いカビ等の発生が起こることが確認されている
【0005】また、活性炭類は木炭、備長炭、竹炭、ヤシガラ炭、その他加工された炭化物質であるが、これらは吸湿性を持ち水分を吸着するとともに微生物が繁殖して脱臭効果を消失し、さらに微生物の繁殖が進むと悪臭の原因となるおそれがあった。そこでアルカリ性の活性炭若しくは、化学的に酸性に移行させた活性炭も開発されているが、これらは吸着成分が偏り脱臭効果が安定しないという問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記した従来の問題点を解決して、カビの発生のおそれが無く、幅広い悪臭成分に対して優れた脱臭効果を安定して発揮することができ、しかも廃棄の際などに人体に接触しても安全性に優れた弾力性と柔軟性を有する脱臭剤を提供するためになされたものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するためになされた本発明は、抗菌性金属を含む無機物質を表面に被覆または担持させた炭化物質の粉末を、ポリビニールアルコールに混合したことを特徴とするものである。なお、無機系抗菌剤を助剤として添加し、粘土鉱物を膨潤剤として添加することが好ましい。本発明の脱臭剤は弾力性と柔軟性を有し、常に表面を露出することで消臭・脱臭効果を発揮する。
以下に本発明を好ましい実施の形態とともに更に詳細に説明する。
【0008】
【発明の実施の形態】
(基本成分)本発明の弾力性と柔軟性を有する脱臭剤を構成する基本成分は、抗菌性金属を含む無機物質を表面に被覆または担持させた炭化物質の粉末と、ポリビニールアルコール(PVA)である。炭化物質としては、木炭、竹炭、ヤシガラ炭、備長炭、活性炭、モミガラ炭、おから炭、木質系産業廃棄物などを焼成してなる炭化物質、パルプ、再生紙を焼成した炭化物質などを用いることができる。
【0009】これらの炭化物質は、臭気成分の中でもアンモニアの除去を主体にするときは水素イオン濃度が7以上のものが好ましく、さらに好適なものは水素イオン濃度が9〜11の範囲内のものである。本発明で用いる炭化物質としては、物理的に表面積が大きく多孔質な活性炭類が最も適している。
【0010】本発明ではカビの発生を防止するために、表面に抗菌性金属を含む無機物質を被覆または担持させた炭化物質を用いる。本発明者は先に、無機金属とシリカ、アルミナ、カルシウム、マグネシウムなどからなる無機物質を活性炭の表面に高温で被覆または担持させた商品(商品名:セラミック炭)を開発したが、本発明では銅、銀、亜鉛、錫、マンガン、マグネシウム、アルミニウム、チタンから選択された抗菌性金属を、上記の無機金属として用いればよい。このように抗菌性の無機物質を炭化物質(活性炭)の表面に被覆または担持させれば、活性炭に混合する方法よりも大きい気孔率を確保しやすいうえ、抗菌性金属の溶出が抑制できる。また従来のように、抗菌成分が脱臭剤に吸着されて抗菌性が抑制されることもない利点がある。
【0011】炭化物質の好ましい気孔率は80%以上である。また炭化物質は微粉化するほどその表面積が増大し、臭気成分の吸着率が高まるため、その粒径は10μm以下とすることが好ましい。従って、気孔率80%以上の炭化物質を10μ以下の微粉末粒子とし、その表面に無機物質のシリカを主成分とした担持体に抗菌性金属を1種類以上混合被覆したものが最も適している。なお、炭化物質は疎水性であるが、その表面に親水性物質を被覆したので、アンモニアや水蒸気を通すことができる。また後記する柔軟性剤、安定剤等の成分についても、親水性を示すものが適している。
【0012】前記したように、従来の脱臭剤としてはバイオガム、グアーガム誘導体、セルロース誘導体、合成系、無機系、寒天、ゼラチン等のゲル化剤を用いてゲル化したものが一般的である。しかし本発明においてはゲル化剤ではなく、柔軟性を有した液体であり伸縮性を有し自在に形状を変化させることのできる物質であるPVA(ポリビニールアルコール)を用い、弾力性と柔軟性を有する脱臭剤とする。このポリビニールアルコールを用いた本発明の脱臭剤は、アンモニア、水蒸気は、透過し、炭酸ガスやヘリウムガスは不透過といった特性を示す。
【0013】(調合剤、溶解剤、安定剤)
ポリビニールアルコールには、調合剤、溶解剤、安定剤などが添加される。調合剤としては、ソルビン酸、ロダン塩、IPAなどの高級アルコール類などが挙げられる。溶解剤または柔軟剤としては、グリセリン、エタノール、パラフィン、エチレングリコール、その他グリコルール類が挙げられる。更に本発明に適した安定剤として、パラフィン又はグリセリンが挙げられる。グリセリンは、人体に於ける保湿剤として化粧品などに使用され安全性の高い液体である。グリセリンを添加することで、滑らかな手触り感が得られるとともに、容器等に付着するのを抑える効果が得られる。
【0014】(抗菌性の助剤)なお、本発明では前記した炭化物質の表面に被覆または担持された抗菌成分の他に、さらに無機系抗菌剤を助剤として添加することで抗菌性を向上させることができる。カビ防止剤としてデヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸ナトリウムなどの有機系薬剤が知られており、有機系抗菌剤、防腐剤として、安息香酸ナトリウムやパラベン、クロロイソチアゾール等が知られている。しかしこれらの有機系のものは他の成分の影響を受け、効果が弱く短命であるため、本発明では助剤としても無機系抗菌剤を用いることが好ましい。
【0015】この目的で添加される無機系抗菌剤としては、銀系抗菌剤または亜鉛系抗菌剤が使用できる。市販の銀系抗菌剤の多くは、銀イオンが溶出することによって抗菌作用が生じるが、これらの溶出型の抗菌剤は有機抗菌剤と同様に原料に使用する成分により効果を抑制されるので好ましくない。しかし、これらの抗菌性金属物質を液状化させた銀系抗菌溶液(商品名 アルゲセル)、(商品名ホロンキラー)亜鉛系抗菌溶液(商品名 メタルピア)などの液体抗菌剤では、抗菌性金属がイオン状態で分散されており、微粉末状態での金属イオンの担持量より大きく混合でき抗菌効果が持続することにより好適である。特に亜鉛系抗菌剤は、銀系抗菌剤のようにハロゲン化や酸化による効果の劣化が生じることが無くポリビニールアルコールに対する支障が生じないため適している。さらに特開平10−139609号公報などに記載の抗菌剤は、非溶質型の抗菌性微粉末であり大きい金属イオンを必要とせずに少量で抗菌効果が維持でき、分散性にも優れ容易にポリビニールアルコールに分散することができるので好ましい。
【0016】(他の添加成分)
本発明の弾力性と柔軟性を有する脱臭剤には、さらに耐光性剤、耐水性、親水性を向上させる成分を加えることができる。これらの成分としては、多価金属塩例えば、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、マグネシウム等の塩が挙げられ、さらに粘土鉱物であるモンモリナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトナイト、ソーコナイト、ラポナイト等が挙げられる。特に好ましいものはヘクトナイトあるいはラポナイトであり、その特徴として水分による膨張までの時間が短く、経時的な粘度の変化が小さく、水分中の水系分散液として用いられている。また、ヘクトナイトあるいはラポナイトは疎水性物質である炭化物質とポリビニールアルコールの膨潤性を優位に保ち、気層構造を有することでより脱臭効果を高める効果も有している。
【0017】(柔軟剤)
このほか、ポリビニールアルコールの弾力並びに柔軟性を保持するために一般的に用いる成分として、ホウ酸、ホウ砂が挙げられる。これらはケン化作用により弾力性並びに柔軟性を帯びた液体物質となる。また、本発明に用いる炭化物質の表面に被覆若しくは担持された抗菌性金属、抗菌性を向上させる目的で用いる助剤としての抗菌剤、粘土鉱物のラポナイト等は、ホウ酸、ホウ砂のケン化を促進させる助剤となり、ホウ酸、ホウ砂の使用量を減少させ、安全性を向上させることができる。
【0018】(混合比率)
上記した各成分を一定割合で水と混合することにより、膨張性が高く弾力性並びに柔軟性を有し、高い脱臭効果を持つ本発明の脱臭剤となる。全体に於ける成分割合は、ポリビニールアルコールは0.1重量%〜10重量%の範囲内であり、より好ましいのは、2重量%〜8重量%の範囲である。炭化物質は0.1重量%〜20重量%の範囲内であり、さらに好ましいのは2.5重量%〜15重量%である。ポリビニールアルコールが上記の範囲を外れると弾力性と柔軟性を有する脱臭剤とならず、炭化物質が上記の範囲よりも少ないと脱臭効果が劣り、多すぎるとやはり弾力性と柔軟性を有する脱臭剤とならない。
【0019】助剤として用いる無機系抗菌溶液は、0.1重量%〜2%の範囲が適している。また、特開平10−139609、特開平11−6326などに記載された非溶質型の抗菌性微粉末も同様に、0.1重量%〜2%範囲が適している。耐光性、耐水性、親水性を向上させる成分であるラポナイト等の粘土鉱物は、0.01重量%〜2.5重量%の範囲内であり、さらに好適には0.3重量%〜1.5重量%の範囲内である。弾力性及び柔軟性を付与する液体としてのグリセリンは、0.01重量%〜5重量%の範囲、より好ましくは0.2重量%〜2重量%の範囲内である。ケン化剤であるホウ砂は、0.1重量%〜2重量%が好ましく、さらに好ましいのは0.3重量%〜1.2重量%の範囲である。なお、各成分の総和を100%から差し引いた残部は水である。
【0020】
【実施例】以下に本発明の好ましい実施例を示す。
1500CCの水にポリビニールアルコール(日本合成化学工業製)100gを加え、水温85℃まで加熱し冷却する。また、800CCの水にホウ砂5gを攪拌したものと、200CCの水にラポナイト25gを入れたものとを、それぞれ別個にスターラーで15分攪拌する。その後、ホウ砂を溶解した800CCの水に亜鉛系抗菌剤の水溶液(商品名メタルピア)を10CC希釈し、シリカと銀とからなる無機物質を表面に被覆した炭化物質(気孔率80%以上、粒径10μ以下の微粉末)180gを分散させる。これにラポナイトを溶解した200CCの水を加えて攪拌後容器に入れ、ポリビニールアルコールを溶解した1500CCの溶解液を加えて素早く再攪拌して、弾力性と柔軟性を有する脱臭剤を得る。
【0021】この本発明の脱臭剤15gを採取し、アンモニア、トリメチルアミン、アセトアルデヒドの脱臭比較テストを実施した。検査方法はガステック社製のガス検知管を用い、小宗化学薬品工業製のアンモニア、東京化成工業製のトリメチルアミンとアセトアルデヒドを封入してこれらの臭気成分の時間的変化を調べた。また比較のために、市販のゲル状脱臭剤15gを用いて同様にテストした。その結果を図1から図3のグラフに示す。これらのグラフに示されるように、本発明の脱臭剤は、アンモニアガス、トリメチルアミン、アセトアルデヒドの3種類のガスに対し、市販のゲル状脱臭剤よりも優れた効果が確認された。
【0022】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明の弾力性と柔軟性を有する脱臭剤は抗菌性成分を含むためカビの発生のおそれが無く、幅広い悪臭成分に対して優れた脱臭効果を発揮することができ、しかも安全性に優れたものであるから、冷蔵庫、室内、トイレなどの脱臭剤として適したものである。また外観も従来の脱臭剤とは異なり、商品価値も高いものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例におけるアンモニアの脱臭テスト結果を示すグラフである。
【図2】実施例におけるトリメチルアミンの脱臭テスト結果を示すグラフである。
【図3】実施例におけるアセトアルデヒドの脱臭テスト結果を示すグラフである。
Claims (3)
- 抗菌性金属を含む無機物質を表面に被覆または担持させた炭化物質の粉末を、ポリビニールアルコールに混合したことを特徴とする弾力性と柔軟性を有する脱臭剤。
- 無機系抗菌剤を助剤として添加した請求項1記載の弾力性と柔軟性を有する脱臭剤。
- 粘土鉱物を膨潤剤として添加した請求項1または2記載の弾力性と柔軟性を有する脱臭剤。
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-
2003
- 2003-03-28 JP JP2003090128A patent/JP2004290573A/ja active Pending
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WO2018114477A1 (en) | 2016-12-22 | 2018-06-28 | Unilever Plc | Stabilization of cosmetic compositions comprising fish oils and hydroxylated fatty acids and/or its derivatives |
WO2018114478A1 (en) | 2016-12-22 | 2018-06-28 | Unilever Plc | Malodor reduction of cosmetic compositions |
US10945945B2 (en) | 2016-12-22 | 2021-03-16 | Conopco, Inc. | Stabilization of cosmetic compositions comprising fish oils and hydroxylated fatty acids and/or its derivatives |
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