JP2004290545A - 血液分析装置 - Google Patents
血液分析装置 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004290545A JP2004290545A JP2003089624A JP2003089624A JP2004290545A JP 2004290545 A JP2004290545 A JP 2004290545A JP 2003089624 A JP2003089624 A JP 2003089624A JP 2003089624 A JP2003089624 A JP 2003089624A JP 2004290545 A JP2004290545 A JP 2004290545A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- component
- blood
- pulsation
- light
- blood analyzer
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Abstract
【課題】脈波のように信号そのものが低周波である場合は、設定するアナログフィルタの時定数も大きくなり、フィルタを通した後の信号が安定になるまで時間がかかり、結果的に測定時間が長かった。さらに、生体信号は、アナログフィルタを通すことによってノイズを除去すると同時に、生体信号のもつ情報も加工することになり、血液成分比を計算する上で誤差の要因になっていた。
【解決手段】デジタル化した脈動波形の傾きから脈動微分波形を求め、その比から脈動成分比を算出することによって、短時間でしかも高精度に血液成分を分析できる優れた血液分析装置を提供する。
【選択図】 図1
【解決手段】デジタル化した脈動波形の傾きから脈動微分波形を求め、その比から脈動成分比を算出することによって、短時間でしかも高精度に血液成分を分析できる優れた血液分析装置を提供する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、非侵襲で血液中の成分を分析する血液分析装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から採血しないで血液成分を検査する装置としては、例えば動脈血の酸素飽和度を測定するパルスオキシメーターがある。これは動脈血中のヘモグロビンのうち酸素と結合したヘモグロビンの割合を非侵襲で測定するものであり、使いやすく装置の価格も妥当なことから、さまざまな医療現場で使われてきた。例えば、手術中や手術後、集中治療室では、患者の容体を連続的に監視している。また、救急医療では、輸送中に患者の容体を短時間で把握するために使われてきた。
【0003】
このパルスオキシメーターは、例えば、血流の脈動に起因する透過光量の脈動成分を、赤色光の660nmと赤外光の900nmふたつの異なる波長帯域において測定して、このふたつの脈動成分ΔA1とΔA2の比から、2成分の成分比を計算し、動脈血の酸素飽和度を算出している。(例えば、特許文献1参照)
【0004】
この特許文献1によれば、赤色光と赤外光の発光ダイオードで交互に生体組織に照射させ、まず生体組織からの透過光を受光し電気信号に変換する。それぞれの透過光信号は分配され、アナログのバンドパスフィルタに通される。そして、バンドパスフィルタの出力波形のピークとボトムの差を検出することにより、脈動成分ΔA1とΔA2を求めていた。
【0005】
バンドパス型のアナログフィルタによって脈動成分を取り出すのでは、脈動波形に位相歪を生じてしまう。そこで、位相歪のない脈動波形を取り出すために、無位相フィルタが開発された。(例えば、特許文献2参照)
【0006】
この特許文献2によれば、生体組織からの透過光は、電気信号に変換され光波長毎に分配される。それぞれの脈動波形はハイパスフィルタを介して、A/D変換によってデジタル化されデジタル処理される。処理されたデジタルデータはD/A変換によって、再びアナログ信号に戻され、アナログのハイパスフィルタに通される。このような無位相フィルタによって、パルスオキシメーターの高精度化を図った。
【0007】
また、脈波信号は大きな直流成分に小さな変化成分が重畳した信号であり、直接小さな変化成分を求めても有効桁は非常に小さくなってしまう。そこで、この脈波成分の変化量を、有効桁数を上げて測定することが開発された。(例えば、特許文献3参照) 特許文献3によれば、脈波信号の時間あたりの変化量は、直流信号を除いておけば、信号の必要成分だけを充分に増幅できる。そして差分を求める回路のS/N比が向上し、有効桁数を上げることができた。具体的には、生体組織を透過した光を、ある時点と少し後の時点で測定し、測定値の2時点間の変化量をアナログ回路によって光波長毎に求めて、最終的な酸素飽和度の演算処理だけをデジタル処理している。
【0008】
【特許文献1】
特開平6−174号公報(第2−4頁、第5図)
【特許文献2】
実開昭64−28612号公報(第4−11頁、第2図)
【特許文献3】
特開平3−86152号公報(第3−6頁、第5図)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
アナログフィルタによって脈動波形を抽出するためには、バンドパスフィルタやハイパスフィルタによって直流成分はカットして、脈波の信号成分を通過させることになる。生体の脈動波形は低周波であり、このように動作させて脈動波形が安定して出力されるまでには時間が掛かる。脈動波形の抽出を開始するまでの待ち時間は、短くとも脈動周期の十倍程度、およそ10秒以上が必要となる。手術中や手術後、集中治療室のような連続監視の場合には、この待ち時間はそれほど問題にならない。しかし、この酸素飽和度を測定するパルスオキシメーターの原理を応用して、健康管理のために家庭で使用するなど、他の用途で使用した場合には使い勝手が悪く、この待ち時間の長さは重大な欠点となってしまう。実際にこの原理を応用して短時間に血液成分を分析する血液分析装置の実用化には至っていない。
【0010】
また、バンドパスフィルタやローパスフィルタによって、高周波成分を除去して、脈波の基本波成分を抽出する方法が採られている。しかし、
検出すべき脈動波形には基本波成分だけでなく高調波成分も含んでいる。それを無視してアナログアィルタによって、高調波成分を取り除いてしまうので、脈波が歪んでしまうことになる。このように歪んだ脈波を光波長ごとに比較しても正確な分析はできなかった。
【0011】
本発明の目的は上記課題を解決し、待ち時間を必要としないで、高速に血液成分の濃度を分析するとともに、生体信号のもつ情報を低下させることなく、高精度に血液を分析する血液分析装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための本発明で用いる手段は、2つ以上の発光素子と、該発光素子から発せられたそれぞれの光を生体を通して受ける少なくとも1つの受光素子とを有し、前記それぞれの光ごとの前記受光素子の出力に基づいて、前記生体の少なくとも1つの血液成分の濃度を演算する血液分析装置において、該血液分析装置は、前記受光素子の出力から直流成分のみを除去して交流成分を抽出する交流成分抽出手段と、該交流成分抽出手段の出力をアナログ/デジタル変換するアナログ/デジタル変換器とを有する脈動抽出手段と、前記アナログ/デジタル変換器の出力から前記抽出された交流成分の変化量を演算するとともに、該変化量を用いて前記血液成分の濃度を演算する演算手段とを有することを特徴とすることである。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、図面により本発明の実施の形態を詳述する。図1は本発明の一実施の形態による血液分析装置で取得した脈動成分の傾きの一例を示したグラフである。図2(a)および(b)は本発明の一実施の形態による血液分析装置の外観図であり、(a)は上面図、(b)は側面図である。図3は本発明の一実施の形態による血液分析装置の測定時の姿勢を示す装着図である。図4は本発明の一実施の形態による血液分析装置のブロック図である。図5は本発明の一実施の形態による血液分析装置の差分ブロック図である。図6は本発明の一実施の形態による血液分析装置で取得した脈動成分の一例を示したグラフである。図7は本発明の一実施の形態による血液分析装置で取得した脈動成分比の一例を示す。
【0014】
まず図2(a)および(b)を用いて、本実施の形態による血液分析装置の外観を説明する。これは糖尿病の診断や検査のための血液分析装置であり、分析装置10は、血液中の赤血球に含まれるヘモグロビンが、血液中のグルコースと結合した割合を測定する。ヘモグロビンにグルコースが結合したものを総称してグリコヘモグロビンと呼び、その中でもヘモグロビンのβ鎖のN末端にグルコースが結合したものをヘモグロビンA1cと呼ぶ。このヘモグロビンA1cは、臨床的には過去1〜2ヶ月の平均血糖値を反映する情報として、血糖コントロールの指標とされ、患者の治療状態を把握するマーカーとなっている。但し、グリコヘモグロビンとヘモグロビンA1cとは同義語として用いられ、臨床医学の領域では一般には区別せずに用いている。
【0015】
分析装置10の側面には、測定部位を入れられる挿入穴11があり、患者の指が入るようにほぼ円筒形状をしている。上面には電源を入れて分析を開始させるスイッチ12と、分析結果を表示する表示器13が設けられている。表示器13には血糖コントロールの指標となる血液中の総ヘモグロビンに対するヘモグロビンA1cの割合が、小数点以下第一位までの質量百分率で表した濃度で表示される。
【0016】
次に図3を用いて、本実施の形態による血液分析装置の使用方法を説明する。挿入穴11には指が挿入されている。標準的な指の使い方は、右手第3指(中指)を挿入穴11に入れて、両脇の第2指(人差し指)と第4指(薬指)で軽く分析装置10を支えて、手のひらを上に向ける。これが測定時の標準的な装着姿勢である。この場合には測定対象の生体組織1は右手第3指となる。この姿勢のままで、スイッチ12を押せば、電源が入り分析が開始される。例えば、スイッチ12は右手第1指(親指)で押しやすいように、上面つまり上を向いて配置されている。分析結果の血液中のヘモグロビンA1c濃度は、スイッチ12と同じように、上を向いている表示器13に表示されるので、簡単に読み取ることができる。スイッチ12を押してから表示器13にヘモグロビンA1cが表示されるまでの測定時間はおよそ3秒である。
【0017】
次に、図4を用いて本発明の実施の形態による血液分析装置のブロック図を説明する。波長λ1、λ2、λ3の光を発光する発光素子21、22、23は、発光駆動回路31の出力を受けて順番に点灯する。例えば、繰返し周期は50msで点灯を繰り返している。これらの発光素子21、22、23の光が、生体組織1である指に照射される。照射された光は、生体組織1の各種ヘモグロビンによって吸収される。同時に、この照射された光は、生体組織中の細胞組織や血液成分によって散乱も起こしている。生体組織1を挟んで対向して配置された受光素子24によって、生体組織1の光学的特性を検出できる。つまり、生体組織1を介すことによって、吸収および散乱により減光された透過光が受光される。分光学的測定方法としては、この透過光を用いる透過吸収スペクトル法や、この他には全反射測定法や拡散反射法などがある。発光素子21、22、23と、受光素子24の生体組織1への取り付け位置は、それぞれの方法に適した位置に付けられる。ここでは、指を挟んで対向して配置されており、発光波長λ1、λ2、λ3は、例えば630nm、680nm、940nmにそれぞれ設定されている。
【0018】
受光素子24の各波長における光電流は、生体組織1によって減光された透過光量に対応している。増幅器32は受光素子24の光電流を電圧変換し、それを電圧増幅している。例えば、増幅器32は光電流の電荷をコンデンサに蓄えるチャージアンプの構成になっていて、発光波長が替わるごとに受光信号A1、A2、A3がサンプル値としてホールドされる。なお、各波長における透過光量には、脈動変動分に相当する脈動成分が含まれている。
【0019】
増幅器32の出力は、差動増幅器33の一方の入力に接続されている。差動増幅器33の他方の入力には、直流バイアスがデジタル/アナログ変換器(DAC)35の出力として加えられている。そして測定状態では、差動増幅器33は増幅器32の受光信号A1、A2、A3と、DAC35の直流バイアスDC1、DC2、DC3の差を増幅して、脈動成分のアナログのサンプル値を出力している。この差動増幅器33によって、増幅器32によって増幅された受光素子24の出力から直流成分のみが除去されるとともに、交流成分が増幅される。すなわち、差動増幅器33は交流成分抽出手段である。なお、スイッチ12を押した直後は準備状態となり、デジタル/アナログ変換器(DAC)35と、制御および演算手段40は、ADC34の出力が小さくなるようにフィードバックして、直流バイアスDC1、DC2、DC3の適正化を図っている。つまり、スイッチ12の操作直後は、準備状態で直流バイアスの最適化を行い、その後の測定状態では、直流バイアスを固定値として、脈動成分を出力している。
【0020】
アナログ/デジタル変換器(ADC)34は、差動増幅器33に保持されたサンプル値を、デジタル値に変換した脈動成分AC1、AC2、AC3として出力するためのものである。差動増幅器33と、アナログ/デジタル変換機34と、デジタル/アナログ変換機35によって、脈動抽出手段が構成されている。ADC34の出力信号AC1、AC2、AC3は、制御・演算手段40に供給されて、各ヘモグロビンの成分比が算出される。そして、表示手段45ではヘモグロビンA1cの濃度が表示される。
【0021】
次に、図4に示した血液分析装置の動作を説明する。まず、挿入穴11に測定対象の指、つまり生体組織1を入れ、スイッチ12を押す。発光素子21、22、23は順番に点灯し、繰返し周期は50msで点灯を繰り返す。まず、それぞれの直流バイアスDC1、DC2、DC3の適正化するために、ADC34の出力信号AC1、AC2、AC3をモニターしながら直流バイアスを可変して、制御・演算手段40が適正値を設定する。例えば、DAC35が10ビット分解能のデジタル/アナログ変換器であり、繰返し周期10msでADC34の出力をモニターしている場合は、逐次比較型で直流バイアスの適正化を行えば、0.1秒で設定できることになる。仮に、脈動成分の1周期に相当する1秒間、ADC34の出力信号をモニターして直流バイアスの最適化を図っても、この設定までの準備状態はおよそ1秒間である。
【0022】
準備状態が終了すると、次は測定状態となる。適正化された直流バイアスDC1、DC2、DC3は固定値となり、ADC34の出力信号AC1、AC2、ACは、各光波長での脈動成分となる。この脈動成分を分析して、表示器13にヘモグロビンA1c濃度が表示される。スイッチ12を押してから表示されるまでの時間はおよそ3秒である。
【0023】
図6を用いて、本発明の実施の形態による血液分析装置の測定状態での脈動成分について説明する。この測定状態は、1秒間の準備状態の経過後で、脈動成分を分析する状態である。まず図6は、血液分析装置10に中指を入れて、生体の脈動成分であるADC34の出力信号を示したグラフである。横軸は時間、縦軸はADC34の出力値を示している。この時のサンプリング周期は50msである。脈動成分AC1は、発光素子21から照射する波長λ1の光が、生体組織1を介して得られる透過光の交流成分をデジタル化した値の一例である。同様に脈動成分AC2は、発光素子22からの波長λ2に対応した透過光の脈動成分を示す。同様に、発光素子23からの波長λ3に対応した透過光の脈動成分も存在するが、説明を簡略化するために図示を省略してある。
【0024】
詳しい説明は後述するが、血液の成分濃度は、異なる波長の透過光から得られた脈動成分比と、直流バイアス成分比から算出することができる。図6に示した2つの波形の振幅を比較すると、脈動成分AC2の方が、脈動成分AC1よりも振幅が大きいことが、図から簡単に読み取れるが、このままでは脈動成分比を定量化できない。また、これらの脈動成分AC1、AC2には、生体の筋肉の緊張や呼吸などによる大きなうねり成分を含んでいて、各脈動成分の波形のピークとボトムの差を検出したのでは、この大きなうねりの影響をまともに受けてしまう。
【0025】
そこで、それぞれの脈動成分の変化量である脈動成分の傾きから、脈動成分比の定量化を図る。図5を用いて本発明の実施の形態による血液分析装置の、脈動成分の傾き算出に用いる差分ブロックについて説明する。この差分ブロック41は、制御・演算手段40の内部のソフトウェア処理によって実行されている。勿論、この処理はデジタル信号処理である。この差分ブロック41は、1サンプルの遅延部42と、係数−1の乗算部43と、加算部44から構成されている。現在の時刻をnとすると、現在の出力信号である脈動成分の傾きΔAC1[n]は、入力信号AC1[n]と、遅延部42の出力信号AC1[n−1]に−1を乗じて、加算部44で加算して得られる。同様にして、ΔAC2も求めることができる。つまり、この差分ブロック41は、脈動成分AC1から、所定時間間隔である50ms前に変換した脈動成分AC1を差し引いて脈動成分の傾きを求めている。計算式で示すと式1となる。
【数1】
【0026】
それぞれの脈動成分の比較は、アナログ回路を主体にして測定するのではなく、デジタル演算処理を主体にしている。このことによって、アナログ回路の増幅度や時定数など、不確定な誤差要素を含まずに正確に分析できる。また、脈動成分の傾きは、簡単な差分によって求めるので、デジタル演算の負担を軽くできる。これは演算時間を短縮できるだけでなく、処理スピードが比較的遅い安価なマイクロコンピュータを採用することができるコストメリットがある。なお、この差分ブロック41と同様な処理内容は、専用のハードウェア回路によっても実現でき、制御・演算手段40の内部にそれを構成してもよい。
【0027】
図1を用いて本発明の実施の形態による血液分析装置の脈動成分の傾きについて説明する。この脈動成分の傾きΔAC1及びΔAC2は、図6の脈動波形に基づいて差分ブロック41によって、式1の計算処理で求めた。そして、それぞれの脈動成分の傾きΔAC1及びΔAC2から、脈動成分を定量的に比較することになる。光波長λ1とλ2で比較すると、脈動成分の波形の振幅ではAC2が大きく、脈動成分の傾きでもΔAC2が大きいことは、図6及び図1から明らかに読み取ることができる。なお、脈動成分の波形の振幅の比であるAC2/AC1(以下脈動振幅比とする)は、脈動成分の傾きの比であるΔAC2/ΔAC1と等しくなっている。このことは数学的にも簡単に説明ができる。
【0028】
図7で本発明の実施の形態による血液分析装置で求めた脈動成分の傾きの比について説明する。脈動成分比として、脈動成分の傾きΔAC1とΔAC2の比を式2のように求めてプロットした。ただし、微分波形ΔAC1及びΔAC2の値が小さいと、計算結果の脈動成分比には大きな誤差を含むことになる。そこで脈動成分の傾きΔAC1またはΔAC2が所定値とした1未満の場合は、無効として取扱い白丸印でプロットした。それ以外の所定値以上の場合は、黒丸印で有効の取扱いとした。
【数2】
【0029】
図7から明らかなように、脈動成分比は極めて短時間に求めることが可能であるということである。短い場合には50ms(サンプリング2回)で求めることができる。測定精度を上げるために、データ数を増やして平均化処理を行っても良い。例えば、2秒間の有効となった黒丸印の平均値を求めると、脈動成分比は1.50となった。この所定値以上の複数の脈動成分の傾きの平均化処理によって測定精度を向上できる。
【0030】
その後、制御・演算手段40によって血液成分比を算出し、測定計算結果を表示手段45によって表示する。説明を簡略化するために、2波長による2成分の血液分析について説明するが、同様に3波長による3成分の分析もできる。吸光度は濃度とセルの厚さに比例するというLambert−Beerの法則によれば、以下の式3が成り立つ。
【数3】
x、yは、それぞれの血液成分の濃度、b1、b2は、それぞれの波長λ1およびλ2での吸光度、a11は血液成分xにおける波長λ1の吸光係数、a12は血液成分yにおける波長λ1の吸光係数、a21は血液成分xにおける波長λ2の吸光係数、a22は血液成分yにおける波長λ2の吸光係数を示す。式3に示すLambert−Beerの法則は、光散乱がない場合の関係を示すものであるが、実際の生体組織は光散乱性物質であると考えられ、光散乱の影響を受ける。説明を簡単にするため光散乱を除いた式で説明する。この式を濃度について変形すると、式4のようになる。
【数4】
ただし、|A|は、吸光係数a11〜a22の2行2列行列の行列式を表す。式4により、吸光係数が既知であるので、吸光度b1、b2を測定することによりx、yの濃度を求めることができる。
【0031】
生体組織1を通過する光は、動脈血層、静脈血層、血液以外の組織の3つのブロックで吸収される。そのうち、動脈血層の一部と静脈血層と血液以外の組織は、直流信号成分として出力され、動脈血層の一部は、脈動に応じた交流信号成分として出力される。この直流信号成分と交流信号成分は、発光素子から発せられる光量、生体組織1への照射角度などによって変化する。そして、これらの成分の間には、直流信号成分が増加すれば、それに応じて交流信号成分も増加し、また、直流信号成分が減少すれば、それに応じて交流信号成分も減少するという比例関係がある。したがって、それらの吸収は、交流信号成分と直流信号成分との比、つまり交流信号成分/直流信号成分を求めることによって、吸光度に比例した相対的な交流信号成分量を求めることができる。そして、複数波長の各発光素子から発せられた光に基づいて求められた、相対的な交流信号成分量の比を求めることによって血液成分比を求めることができる。
【0032】
x及びyは、それぞれの血液成分の濃度であり、例えば単位体積あたりの質量で表されたり、光路長あたりの物質量などで表される濃度である。ここで、成分比X及びYは、質量百分率や物質量百分率で表される濃度であり、それぞれの血液成分の濃度がx及びyとすると、それぞれの成分が占める割合X及びYは、式5のように表される。
【数5】
【0033】
式4から、各血液成分x,yについて解くと次のようになる。
【数6】
【0034】
この血液成分x,yを式5に代入して整理すると、血液成分XとYは次のように表される。
【数7】
【0035】
吸光度b1、b2は、前述の相対的な交流成分であるから、それぞれ次のように表すことができる。
【数8】
ここで、AC1,AC2は、波長λ1,λ2の波長の光を生体に照射したときの脈動成分の値である。DC1,DC2は、波長λ1,λ2の光を生体に照射したときの直流バイアスのデジタル値である。
【0036】
式7に式8のb1,b2を代入して整理すると、次のように表される。
【数9】
式9の、血液成分比X,Yには、脈動振幅比AC1/AC2の項が含まれている。このAC1/AC2は、前述したように、ΔAC1/ΔAC2と等しい。従って、式9のAC1/AC2には、ΔAC1/ΔAC2を代入して算出すればよい。すなわち、脈動成分の傾きの比ΔAC1/ΔAC2から血液成分比を算出することができる。式9は、2波長の光で2つの血液成分を分析した例であるが、これに限らず、複数波長の光で複数の血液成分を分析する場合、その成分比の式には、脈動振幅比が含まれており、それを脈動成分の傾きの比として演算することで、血液成分比を算出することができる。
【0037】
以上説明したように、脈動成分の傾きから簡単に脈動成分比として求めることができる。勿論、この脈動成分比は、血液の成分濃度を算出するために求めたものである。この脈動成分比を求めるためアナログフィルタによって基本波成分だけに着目する必要はなく、脈動波形を歪ませることなく脈動成分比を求めることができる。
【0038】
本例は、発光素子の発する光が生体組織1を透過する場合について詳述したが、生体組織1に対して反射する光を受光する場合にも適用できる。また、測定対象の血液成分をヘモグロビンA1cとして説明した。しかし、これに限るものではなく、例えば血液中のグルコース濃度を非侵襲で計測する血糖値測定装置にも適用できる。さらに、高脂血症と関連性のあるリポ蛋白などの血液分析装置にも利用できる。
【0039】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の構成によれば、脈動成分の比較は、ゆっくりとした脈動波形を分析するために、一般に非常に長い測定時間を必要としていた。しかし、脈動成分の変化量から非常に短時間で分析できる技術を確立できた。そのことによって、スピーディな臨床検査を実施できるようになり、また在宅でも手軽に検査できるようになった。
【0040】
また、アナログフィルタを通さずに演算できるため、脈波信号を歪ませずに分析できるようになった。このことは生体信号の情報を低下させることなく分析できるということであり、血液分析装置の高精度化に欠かせない技術を確立した。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態による血液分析装置で取得した脈動成分の傾きの一例を示したグラフである。
【図2】本発明の実施の形態による血液分析装置の外観図であり、(a)は正面図、(b)は側面図である。
【図3】本発明の実施の形態による血液分析装置の装着図である。
【図4】本発明の実施の形態による血液分析装置のブロック図である。
【図5】本発明の実施の形態による血液分析装置の差分ブロックを示すものである。
【図6】本発明の実施の形態による血液分析装置で取得した脈動成分の一例を示したグラフである。
【図7】本発明の実施の形態による血液分析装置の脈動成分比を示すものである。
【符号の説明】
1 生体組織
10 分析装置
11 挿入穴
13 表示器
21、22、23 発光素子
24 受光素子
33 差動増幅器
34 アナログ/デジタル変換器
35 デジタル/アナログ変換器
41 差分ブロック
【発明の属する技術分野】
本発明は、非侵襲で血液中の成分を分析する血液分析装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から採血しないで血液成分を検査する装置としては、例えば動脈血の酸素飽和度を測定するパルスオキシメーターがある。これは動脈血中のヘモグロビンのうち酸素と結合したヘモグロビンの割合を非侵襲で測定するものであり、使いやすく装置の価格も妥当なことから、さまざまな医療現場で使われてきた。例えば、手術中や手術後、集中治療室では、患者の容体を連続的に監視している。また、救急医療では、輸送中に患者の容体を短時間で把握するために使われてきた。
【0003】
このパルスオキシメーターは、例えば、血流の脈動に起因する透過光量の脈動成分を、赤色光の660nmと赤外光の900nmふたつの異なる波長帯域において測定して、このふたつの脈動成分ΔA1とΔA2の比から、2成分の成分比を計算し、動脈血の酸素飽和度を算出している。(例えば、特許文献1参照)
【0004】
この特許文献1によれば、赤色光と赤外光の発光ダイオードで交互に生体組織に照射させ、まず生体組織からの透過光を受光し電気信号に変換する。それぞれの透過光信号は分配され、アナログのバンドパスフィルタに通される。そして、バンドパスフィルタの出力波形のピークとボトムの差を検出することにより、脈動成分ΔA1とΔA2を求めていた。
【0005】
バンドパス型のアナログフィルタによって脈動成分を取り出すのでは、脈動波形に位相歪を生じてしまう。そこで、位相歪のない脈動波形を取り出すために、無位相フィルタが開発された。(例えば、特許文献2参照)
【0006】
この特許文献2によれば、生体組織からの透過光は、電気信号に変換され光波長毎に分配される。それぞれの脈動波形はハイパスフィルタを介して、A/D変換によってデジタル化されデジタル処理される。処理されたデジタルデータはD/A変換によって、再びアナログ信号に戻され、アナログのハイパスフィルタに通される。このような無位相フィルタによって、パルスオキシメーターの高精度化を図った。
【0007】
また、脈波信号は大きな直流成分に小さな変化成分が重畳した信号であり、直接小さな変化成分を求めても有効桁は非常に小さくなってしまう。そこで、この脈波成分の変化量を、有効桁数を上げて測定することが開発された。(例えば、特許文献3参照) 特許文献3によれば、脈波信号の時間あたりの変化量は、直流信号を除いておけば、信号の必要成分だけを充分に増幅できる。そして差分を求める回路のS/N比が向上し、有効桁数を上げることができた。具体的には、生体組織を透過した光を、ある時点と少し後の時点で測定し、測定値の2時点間の変化量をアナログ回路によって光波長毎に求めて、最終的な酸素飽和度の演算処理だけをデジタル処理している。
【0008】
【特許文献1】
特開平6−174号公報(第2−4頁、第5図)
【特許文献2】
実開昭64−28612号公報(第4−11頁、第2図)
【特許文献3】
特開平3−86152号公報(第3−6頁、第5図)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
アナログフィルタによって脈動波形を抽出するためには、バンドパスフィルタやハイパスフィルタによって直流成分はカットして、脈波の信号成分を通過させることになる。生体の脈動波形は低周波であり、このように動作させて脈動波形が安定して出力されるまでには時間が掛かる。脈動波形の抽出を開始するまでの待ち時間は、短くとも脈動周期の十倍程度、およそ10秒以上が必要となる。手術中や手術後、集中治療室のような連続監視の場合には、この待ち時間はそれほど問題にならない。しかし、この酸素飽和度を測定するパルスオキシメーターの原理を応用して、健康管理のために家庭で使用するなど、他の用途で使用した場合には使い勝手が悪く、この待ち時間の長さは重大な欠点となってしまう。実際にこの原理を応用して短時間に血液成分を分析する血液分析装置の実用化には至っていない。
【0010】
また、バンドパスフィルタやローパスフィルタによって、高周波成分を除去して、脈波の基本波成分を抽出する方法が採られている。しかし、
検出すべき脈動波形には基本波成分だけでなく高調波成分も含んでいる。それを無視してアナログアィルタによって、高調波成分を取り除いてしまうので、脈波が歪んでしまうことになる。このように歪んだ脈波を光波長ごとに比較しても正確な分析はできなかった。
【0011】
本発明の目的は上記課題を解決し、待ち時間を必要としないで、高速に血液成分の濃度を分析するとともに、生体信号のもつ情報を低下させることなく、高精度に血液を分析する血液分析装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための本発明で用いる手段は、2つ以上の発光素子と、該発光素子から発せられたそれぞれの光を生体を通して受ける少なくとも1つの受光素子とを有し、前記それぞれの光ごとの前記受光素子の出力に基づいて、前記生体の少なくとも1つの血液成分の濃度を演算する血液分析装置において、該血液分析装置は、前記受光素子の出力から直流成分のみを除去して交流成分を抽出する交流成分抽出手段と、該交流成分抽出手段の出力をアナログ/デジタル変換するアナログ/デジタル変換器とを有する脈動抽出手段と、前記アナログ/デジタル変換器の出力から前記抽出された交流成分の変化量を演算するとともに、該変化量を用いて前記血液成分の濃度を演算する演算手段とを有することを特徴とすることである。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、図面により本発明の実施の形態を詳述する。図1は本発明の一実施の形態による血液分析装置で取得した脈動成分の傾きの一例を示したグラフである。図2(a)および(b)は本発明の一実施の形態による血液分析装置の外観図であり、(a)は上面図、(b)は側面図である。図3は本発明の一実施の形態による血液分析装置の測定時の姿勢を示す装着図である。図4は本発明の一実施の形態による血液分析装置のブロック図である。図5は本発明の一実施の形態による血液分析装置の差分ブロック図である。図6は本発明の一実施の形態による血液分析装置で取得した脈動成分の一例を示したグラフである。図7は本発明の一実施の形態による血液分析装置で取得した脈動成分比の一例を示す。
【0014】
まず図2(a)および(b)を用いて、本実施の形態による血液分析装置の外観を説明する。これは糖尿病の診断や検査のための血液分析装置であり、分析装置10は、血液中の赤血球に含まれるヘモグロビンが、血液中のグルコースと結合した割合を測定する。ヘモグロビンにグルコースが結合したものを総称してグリコヘモグロビンと呼び、その中でもヘモグロビンのβ鎖のN末端にグルコースが結合したものをヘモグロビンA1cと呼ぶ。このヘモグロビンA1cは、臨床的には過去1〜2ヶ月の平均血糖値を反映する情報として、血糖コントロールの指標とされ、患者の治療状態を把握するマーカーとなっている。但し、グリコヘモグロビンとヘモグロビンA1cとは同義語として用いられ、臨床医学の領域では一般には区別せずに用いている。
【0015】
分析装置10の側面には、測定部位を入れられる挿入穴11があり、患者の指が入るようにほぼ円筒形状をしている。上面には電源を入れて分析を開始させるスイッチ12と、分析結果を表示する表示器13が設けられている。表示器13には血糖コントロールの指標となる血液中の総ヘモグロビンに対するヘモグロビンA1cの割合が、小数点以下第一位までの質量百分率で表した濃度で表示される。
【0016】
次に図3を用いて、本実施の形態による血液分析装置の使用方法を説明する。挿入穴11には指が挿入されている。標準的な指の使い方は、右手第3指(中指)を挿入穴11に入れて、両脇の第2指(人差し指)と第4指(薬指)で軽く分析装置10を支えて、手のひらを上に向ける。これが測定時の標準的な装着姿勢である。この場合には測定対象の生体組織1は右手第3指となる。この姿勢のままで、スイッチ12を押せば、電源が入り分析が開始される。例えば、スイッチ12は右手第1指(親指)で押しやすいように、上面つまり上を向いて配置されている。分析結果の血液中のヘモグロビンA1c濃度は、スイッチ12と同じように、上を向いている表示器13に表示されるので、簡単に読み取ることができる。スイッチ12を押してから表示器13にヘモグロビンA1cが表示されるまでの測定時間はおよそ3秒である。
【0017】
次に、図4を用いて本発明の実施の形態による血液分析装置のブロック図を説明する。波長λ1、λ2、λ3の光を発光する発光素子21、22、23は、発光駆動回路31の出力を受けて順番に点灯する。例えば、繰返し周期は50msで点灯を繰り返している。これらの発光素子21、22、23の光が、生体組織1である指に照射される。照射された光は、生体組織1の各種ヘモグロビンによって吸収される。同時に、この照射された光は、生体組織中の細胞組織や血液成分によって散乱も起こしている。生体組織1を挟んで対向して配置された受光素子24によって、生体組織1の光学的特性を検出できる。つまり、生体組織1を介すことによって、吸収および散乱により減光された透過光が受光される。分光学的測定方法としては、この透過光を用いる透過吸収スペクトル法や、この他には全反射測定法や拡散反射法などがある。発光素子21、22、23と、受光素子24の生体組織1への取り付け位置は、それぞれの方法に適した位置に付けられる。ここでは、指を挟んで対向して配置されており、発光波長λ1、λ2、λ3は、例えば630nm、680nm、940nmにそれぞれ設定されている。
【0018】
受光素子24の各波長における光電流は、生体組織1によって減光された透過光量に対応している。増幅器32は受光素子24の光電流を電圧変換し、それを電圧増幅している。例えば、増幅器32は光電流の電荷をコンデンサに蓄えるチャージアンプの構成になっていて、発光波長が替わるごとに受光信号A1、A2、A3がサンプル値としてホールドされる。なお、各波長における透過光量には、脈動変動分に相当する脈動成分が含まれている。
【0019】
増幅器32の出力は、差動増幅器33の一方の入力に接続されている。差動増幅器33の他方の入力には、直流バイアスがデジタル/アナログ変換器(DAC)35の出力として加えられている。そして測定状態では、差動増幅器33は増幅器32の受光信号A1、A2、A3と、DAC35の直流バイアスDC1、DC2、DC3の差を増幅して、脈動成分のアナログのサンプル値を出力している。この差動増幅器33によって、増幅器32によって増幅された受光素子24の出力から直流成分のみが除去されるとともに、交流成分が増幅される。すなわち、差動増幅器33は交流成分抽出手段である。なお、スイッチ12を押した直後は準備状態となり、デジタル/アナログ変換器(DAC)35と、制御および演算手段40は、ADC34の出力が小さくなるようにフィードバックして、直流バイアスDC1、DC2、DC3の適正化を図っている。つまり、スイッチ12の操作直後は、準備状態で直流バイアスの最適化を行い、その後の測定状態では、直流バイアスを固定値として、脈動成分を出力している。
【0020】
アナログ/デジタル変換器(ADC)34は、差動増幅器33に保持されたサンプル値を、デジタル値に変換した脈動成分AC1、AC2、AC3として出力するためのものである。差動増幅器33と、アナログ/デジタル変換機34と、デジタル/アナログ変換機35によって、脈動抽出手段が構成されている。ADC34の出力信号AC1、AC2、AC3は、制御・演算手段40に供給されて、各ヘモグロビンの成分比が算出される。そして、表示手段45ではヘモグロビンA1cの濃度が表示される。
【0021】
次に、図4に示した血液分析装置の動作を説明する。まず、挿入穴11に測定対象の指、つまり生体組織1を入れ、スイッチ12を押す。発光素子21、22、23は順番に点灯し、繰返し周期は50msで点灯を繰り返す。まず、それぞれの直流バイアスDC1、DC2、DC3の適正化するために、ADC34の出力信号AC1、AC2、AC3をモニターしながら直流バイアスを可変して、制御・演算手段40が適正値を設定する。例えば、DAC35が10ビット分解能のデジタル/アナログ変換器であり、繰返し周期10msでADC34の出力をモニターしている場合は、逐次比較型で直流バイアスの適正化を行えば、0.1秒で設定できることになる。仮に、脈動成分の1周期に相当する1秒間、ADC34の出力信号をモニターして直流バイアスの最適化を図っても、この設定までの準備状態はおよそ1秒間である。
【0022】
準備状態が終了すると、次は測定状態となる。適正化された直流バイアスDC1、DC2、DC3は固定値となり、ADC34の出力信号AC1、AC2、ACは、各光波長での脈動成分となる。この脈動成分を分析して、表示器13にヘモグロビンA1c濃度が表示される。スイッチ12を押してから表示されるまでの時間はおよそ3秒である。
【0023】
図6を用いて、本発明の実施の形態による血液分析装置の測定状態での脈動成分について説明する。この測定状態は、1秒間の準備状態の経過後で、脈動成分を分析する状態である。まず図6は、血液分析装置10に中指を入れて、生体の脈動成分であるADC34の出力信号を示したグラフである。横軸は時間、縦軸はADC34の出力値を示している。この時のサンプリング周期は50msである。脈動成分AC1は、発光素子21から照射する波長λ1の光が、生体組織1を介して得られる透過光の交流成分をデジタル化した値の一例である。同様に脈動成分AC2は、発光素子22からの波長λ2に対応した透過光の脈動成分を示す。同様に、発光素子23からの波長λ3に対応した透過光の脈動成分も存在するが、説明を簡略化するために図示を省略してある。
【0024】
詳しい説明は後述するが、血液の成分濃度は、異なる波長の透過光から得られた脈動成分比と、直流バイアス成分比から算出することができる。図6に示した2つの波形の振幅を比較すると、脈動成分AC2の方が、脈動成分AC1よりも振幅が大きいことが、図から簡単に読み取れるが、このままでは脈動成分比を定量化できない。また、これらの脈動成分AC1、AC2には、生体の筋肉の緊張や呼吸などによる大きなうねり成分を含んでいて、各脈動成分の波形のピークとボトムの差を検出したのでは、この大きなうねりの影響をまともに受けてしまう。
【0025】
そこで、それぞれの脈動成分の変化量である脈動成分の傾きから、脈動成分比の定量化を図る。図5を用いて本発明の実施の形態による血液分析装置の、脈動成分の傾き算出に用いる差分ブロックについて説明する。この差分ブロック41は、制御・演算手段40の内部のソフトウェア処理によって実行されている。勿論、この処理はデジタル信号処理である。この差分ブロック41は、1サンプルの遅延部42と、係数−1の乗算部43と、加算部44から構成されている。現在の時刻をnとすると、現在の出力信号である脈動成分の傾きΔAC1[n]は、入力信号AC1[n]と、遅延部42の出力信号AC1[n−1]に−1を乗じて、加算部44で加算して得られる。同様にして、ΔAC2も求めることができる。つまり、この差分ブロック41は、脈動成分AC1から、所定時間間隔である50ms前に変換した脈動成分AC1を差し引いて脈動成分の傾きを求めている。計算式で示すと式1となる。
【数1】
【0026】
それぞれの脈動成分の比較は、アナログ回路を主体にして測定するのではなく、デジタル演算処理を主体にしている。このことによって、アナログ回路の増幅度や時定数など、不確定な誤差要素を含まずに正確に分析できる。また、脈動成分の傾きは、簡単な差分によって求めるので、デジタル演算の負担を軽くできる。これは演算時間を短縮できるだけでなく、処理スピードが比較的遅い安価なマイクロコンピュータを採用することができるコストメリットがある。なお、この差分ブロック41と同様な処理内容は、専用のハードウェア回路によっても実現でき、制御・演算手段40の内部にそれを構成してもよい。
【0027】
図1を用いて本発明の実施の形態による血液分析装置の脈動成分の傾きについて説明する。この脈動成分の傾きΔAC1及びΔAC2は、図6の脈動波形に基づいて差分ブロック41によって、式1の計算処理で求めた。そして、それぞれの脈動成分の傾きΔAC1及びΔAC2から、脈動成分を定量的に比較することになる。光波長λ1とλ2で比較すると、脈動成分の波形の振幅ではAC2が大きく、脈動成分の傾きでもΔAC2が大きいことは、図6及び図1から明らかに読み取ることができる。なお、脈動成分の波形の振幅の比であるAC2/AC1(以下脈動振幅比とする)は、脈動成分の傾きの比であるΔAC2/ΔAC1と等しくなっている。このことは数学的にも簡単に説明ができる。
【0028】
図7で本発明の実施の形態による血液分析装置で求めた脈動成分の傾きの比について説明する。脈動成分比として、脈動成分の傾きΔAC1とΔAC2の比を式2のように求めてプロットした。ただし、微分波形ΔAC1及びΔAC2の値が小さいと、計算結果の脈動成分比には大きな誤差を含むことになる。そこで脈動成分の傾きΔAC1またはΔAC2が所定値とした1未満の場合は、無効として取扱い白丸印でプロットした。それ以外の所定値以上の場合は、黒丸印で有効の取扱いとした。
【数2】
【0029】
図7から明らかなように、脈動成分比は極めて短時間に求めることが可能であるということである。短い場合には50ms(サンプリング2回)で求めることができる。測定精度を上げるために、データ数を増やして平均化処理を行っても良い。例えば、2秒間の有効となった黒丸印の平均値を求めると、脈動成分比は1.50となった。この所定値以上の複数の脈動成分の傾きの平均化処理によって測定精度を向上できる。
【0030】
その後、制御・演算手段40によって血液成分比を算出し、測定計算結果を表示手段45によって表示する。説明を簡略化するために、2波長による2成分の血液分析について説明するが、同様に3波長による3成分の分析もできる。吸光度は濃度とセルの厚さに比例するというLambert−Beerの法則によれば、以下の式3が成り立つ。
【数3】
x、yは、それぞれの血液成分の濃度、b1、b2は、それぞれの波長λ1およびλ2での吸光度、a11は血液成分xにおける波長λ1の吸光係数、a12は血液成分yにおける波長λ1の吸光係数、a21は血液成分xにおける波長λ2の吸光係数、a22は血液成分yにおける波長λ2の吸光係数を示す。式3に示すLambert−Beerの法則は、光散乱がない場合の関係を示すものであるが、実際の生体組織は光散乱性物質であると考えられ、光散乱の影響を受ける。説明を簡単にするため光散乱を除いた式で説明する。この式を濃度について変形すると、式4のようになる。
【数4】
ただし、|A|は、吸光係数a11〜a22の2行2列行列の行列式を表す。式4により、吸光係数が既知であるので、吸光度b1、b2を測定することによりx、yの濃度を求めることができる。
【0031】
生体組織1を通過する光は、動脈血層、静脈血層、血液以外の組織の3つのブロックで吸収される。そのうち、動脈血層の一部と静脈血層と血液以外の組織は、直流信号成分として出力され、動脈血層の一部は、脈動に応じた交流信号成分として出力される。この直流信号成分と交流信号成分は、発光素子から発せられる光量、生体組織1への照射角度などによって変化する。そして、これらの成分の間には、直流信号成分が増加すれば、それに応じて交流信号成分も増加し、また、直流信号成分が減少すれば、それに応じて交流信号成分も減少するという比例関係がある。したがって、それらの吸収は、交流信号成分と直流信号成分との比、つまり交流信号成分/直流信号成分を求めることによって、吸光度に比例した相対的な交流信号成分量を求めることができる。そして、複数波長の各発光素子から発せられた光に基づいて求められた、相対的な交流信号成分量の比を求めることによって血液成分比を求めることができる。
【0032】
x及びyは、それぞれの血液成分の濃度であり、例えば単位体積あたりの質量で表されたり、光路長あたりの物質量などで表される濃度である。ここで、成分比X及びYは、質量百分率や物質量百分率で表される濃度であり、それぞれの血液成分の濃度がx及びyとすると、それぞれの成分が占める割合X及びYは、式5のように表される。
【数5】
【0033】
式4から、各血液成分x,yについて解くと次のようになる。
【数6】
【0034】
この血液成分x,yを式5に代入して整理すると、血液成分XとYは次のように表される。
【数7】
【0035】
吸光度b1、b2は、前述の相対的な交流成分であるから、それぞれ次のように表すことができる。
【数8】
ここで、AC1,AC2は、波長λ1,λ2の波長の光を生体に照射したときの脈動成分の値である。DC1,DC2は、波長λ1,λ2の光を生体に照射したときの直流バイアスのデジタル値である。
【0036】
式7に式8のb1,b2を代入して整理すると、次のように表される。
【数9】
式9の、血液成分比X,Yには、脈動振幅比AC1/AC2の項が含まれている。このAC1/AC2は、前述したように、ΔAC1/ΔAC2と等しい。従って、式9のAC1/AC2には、ΔAC1/ΔAC2を代入して算出すればよい。すなわち、脈動成分の傾きの比ΔAC1/ΔAC2から血液成分比を算出することができる。式9は、2波長の光で2つの血液成分を分析した例であるが、これに限らず、複数波長の光で複数の血液成分を分析する場合、その成分比の式には、脈動振幅比が含まれており、それを脈動成分の傾きの比として演算することで、血液成分比を算出することができる。
【0037】
以上説明したように、脈動成分の傾きから簡単に脈動成分比として求めることができる。勿論、この脈動成分比は、血液の成分濃度を算出するために求めたものである。この脈動成分比を求めるためアナログフィルタによって基本波成分だけに着目する必要はなく、脈動波形を歪ませることなく脈動成分比を求めることができる。
【0038】
本例は、発光素子の発する光が生体組織1を透過する場合について詳述したが、生体組織1に対して反射する光を受光する場合にも適用できる。また、測定対象の血液成分をヘモグロビンA1cとして説明した。しかし、これに限るものではなく、例えば血液中のグルコース濃度を非侵襲で計測する血糖値測定装置にも適用できる。さらに、高脂血症と関連性のあるリポ蛋白などの血液分析装置にも利用できる。
【0039】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の構成によれば、脈動成分の比較は、ゆっくりとした脈動波形を分析するために、一般に非常に長い測定時間を必要としていた。しかし、脈動成分の変化量から非常に短時間で分析できる技術を確立できた。そのことによって、スピーディな臨床検査を実施できるようになり、また在宅でも手軽に検査できるようになった。
【0040】
また、アナログフィルタを通さずに演算できるため、脈波信号を歪ませずに分析できるようになった。このことは生体信号の情報を低下させることなく分析できるということであり、血液分析装置の高精度化に欠かせない技術を確立した。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態による血液分析装置で取得した脈動成分の傾きの一例を示したグラフである。
【図2】本発明の実施の形態による血液分析装置の外観図であり、(a)は正面図、(b)は側面図である。
【図3】本発明の実施の形態による血液分析装置の装着図である。
【図4】本発明の実施の形態による血液分析装置のブロック図である。
【図5】本発明の実施の形態による血液分析装置の差分ブロックを示すものである。
【図6】本発明の実施の形態による血液分析装置で取得した脈動成分の一例を示したグラフである。
【図7】本発明の実施の形態による血液分析装置の脈動成分比を示すものである。
【符号の説明】
1 生体組織
10 分析装置
11 挿入穴
13 表示器
21、22、23 発光素子
24 受光素子
33 差動増幅器
34 アナログ/デジタル変換器
35 デジタル/アナログ変換器
41 差分ブロック
Claims (4)
- 2つ以上の発光素子と、該発光素子から発せられたそれぞれの光を生体を通して受ける少なくとも1つの受光素子とを有し、前記それぞれの光ごとの前記受光素子の出力に基づいて、前記生体の少なくとも1つの血液成分の濃度を演算する血液分析装置において、
該血液分析装置は、前記受光素子の出力から直流成分のみを除去して交流成分を抽出する交流成分抽出手段と、該交流成分抽出手段の出力をアナログ/デジタル変換するアナログ/デジタル変換器とを有する脈動抽出手段と、前記アナログ/デジタル変換器の出力から前記抽出された交流成分の変化量を演算するとともに、該変化量を用いて前記血液成分の濃度を演算する演算手段とを有することを特徴とする血液分析装置。 - 前記変化量は、所定時間間隔で前記アナログ/デジタル変換器から出力された2つの出力値の差であることを特徴とする請求項1に記載の血液分析装置。
- 前記演算手段は、所定値以上の前記変化量を用いて、前記血液成分の濃度を演算することを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の血液分析装置。
- 前記演算手段は、前記所定値以上の複数の変化量の平均値を演算し、該平均値を用いて前記血液成分の濃度を演算することを特徴とする請求項3に記載の血液分析装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003089624A JP2004290545A (ja) | 2003-03-28 | 2003-03-28 | 血液分析装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003089624A JP2004290545A (ja) | 2003-03-28 | 2003-03-28 | 血液分析装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004290545A true JP2004290545A (ja) | 2004-10-21 |
Family
ID=33403429
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003089624A Pending JP2004290545A (ja) | 2003-03-28 | 2003-03-28 | 血液分析装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004290545A (ja) |
Cited By (42)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007105133A (ja) * | 2005-10-12 | 2007-04-26 | Nippon Telegr & Teleph Corp <Ntt> | 受光装置 |
US7706852B2 (en) | 2006-01-30 | 2010-04-27 | Nellcor Puritan Bennett Llc | System and method for detection of unstable oxygen saturation |
US7720516B2 (en) | 1996-10-10 | 2010-05-18 | Nellcor Puritan Bennett Llc | Motion compatible sensor for non-invasive optical blood analysis |
US7725146B2 (en) | 2005-09-29 | 2010-05-25 | Nellcor Puritan Bennett Llc | System and method for pre-processing waveforms |
JP2010121961A (ja) * | 2008-11-17 | 2010-06-03 | Nippon Soken Inc | 血中成分濃度測定装置および移動体用始動制御装置 |
USD626561S1 (en) | 2008-06-30 | 2010-11-02 | Nellcor Puritan Bennett Llc | Circular satseconds indicator and triangular saturation pattern detection indicator for a patient monitor display panel |
USD626562S1 (en) | 2008-06-30 | 2010-11-02 | Nellcor Puritan Bennett Llc | Triangular saturation pattern detection indicator for a patient monitor display panel |
US7890154B2 (en) | 2004-03-08 | 2011-02-15 | Nellcor Puritan Bennett Llc | Selection of ensemble averaging weights for a pulse oximeter based on signal quality metrics |
US8007441B2 (en) | 2004-03-08 | 2011-08-30 | Nellcor Puritan Bennett Llc | Pulse oximeter with alternate heart-rate determination |
US8068890B2 (en) | 2006-09-29 | 2011-11-29 | Nellcor Puritan Bennett Llc | Pulse oximetry sensor switchover |
US8095192B2 (en) | 2003-01-10 | 2012-01-10 | Nellcor Puritan Bennett Llc | Signal quality metrics design for qualifying data for a physiological monitor |
US8133176B2 (en) | 1999-04-14 | 2012-03-13 | Tyco Healthcare Group Lp | Method and circuit for indicating quality and accuracy of physiological measurements |
US8140272B2 (en) | 2008-03-27 | 2012-03-20 | Nellcor Puritan Bennett Llc | System and method for unmixing spectroscopic observations with nonnegative matrix factorization |
US8204567B2 (en) | 2007-12-13 | 2012-06-19 | Nellcor Puritan Bennett Llc | Signal demodulation |
US8238994B2 (en) | 2005-10-28 | 2012-08-07 | Nellcor Puritan Bennett Llc | Adjusting parameters used in pulse oximetry analysis |
US8292809B2 (en) | 2008-03-31 | 2012-10-23 | Nellcor Puritan Bennett Llc | Detecting chemical components from spectroscopic observations |
US8311602B2 (en) | 2005-08-08 | 2012-11-13 | Nellcor Puritan Bennett Llc | Compliant diaphragm medical sensor and technique for using the same |
US8315684B2 (en) | 2004-02-25 | 2012-11-20 | Covidien Lp | Oximeter ambient light cancellation |
US8364224B2 (en) | 2008-03-31 | 2013-01-29 | Covidien Lp | System and method for facilitating sensor and monitor communication |
US8376955B2 (en) | 2009-09-29 | 2013-02-19 | Covidien Lp | Spectroscopic method and system for assessing tissue temperature |
US8386002B2 (en) | 2005-09-30 | 2013-02-26 | Covidien Lp | Optically aligned pulse oximetry sensor and technique for using the same |
US8386000B2 (en) | 2008-09-30 | 2013-02-26 | Covidien Lp | System and method for photon density wave pulse oximetry and pulse hemometry |
US8401608B2 (en) | 2009-09-30 | 2013-03-19 | Covidien Lp | Method of analyzing photon density waves in a medical monitor |
US8423109B2 (en) | 2005-03-03 | 2013-04-16 | Covidien Lp | Method for enhancing pulse oximery calculations in the presence of correlated artifacts |
US8433382B2 (en) | 2008-09-30 | 2013-04-30 | Covidien Lp | Transmission mode photon density wave system and method |
US8494604B2 (en) | 2009-09-21 | 2013-07-23 | Covidien Lp | Wavelength-division multiplexing in a multi-wavelength photon density wave system |
US8494786B2 (en) | 2009-07-30 | 2013-07-23 | Covidien Lp | Exponential sampling of red and infrared signals |
US8509869B2 (en) | 2009-05-15 | 2013-08-13 | Covidien Lp | Method and apparatus for detecting and analyzing variations in a physiologic parameter |
US8515511B2 (en) | 2009-09-29 | 2013-08-20 | Covidien Lp | Sensor with an optical coupling material to improve plethysmographic measurements and method of using the same |
US8521246B2 (en) | 2010-07-29 | 2013-08-27 | Covidien Lp | Cable cross talk suppression |
US8528185B2 (en) | 2005-08-08 | 2013-09-10 | Covidien Lp | Bi-stable medical sensor and technique for using the same |
US8750953B2 (en) | 2008-02-19 | 2014-06-10 | Covidien Lp | Methods and systems for alerting practitioners to physiological conditions |
US8788001B2 (en) | 2009-09-21 | 2014-07-22 | Covidien Lp | Time-division multiplexing in a multi-wavelength photon density wave system |
US8798704B2 (en) | 2009-09-24 | 2014-08-05 | Covidien Lp | Photoacoustic spectroscopy method and system to discern sepsis from shock |
US8930145B2 (en) | 2010-07-28 | 2015-01-06 | Covidien Lp | Light focusing continuous wave photoacoustic spectroscopy and its applications to patient monitoring |
US8968193B2 (en) | 2008-09-30 | 2015-03-03 | Covidien Lp | System and method for enabling a research mode on physiological monitors |
US8983800B2 (en) | 2003-01-13 | 2015-03-17 | Covidien Lp | Selection of preset filter parameters based on signal quality |
JP2015512326A (ja) * | 2012-04-06 | 2015-04-27 | グローブ・インストゥルメンツ・インコーポレイテッド | ファイバー無し透過反射型プローブを使用した分析物濃度の非侵襲測定 |
JP2017522953A (ja) * | 2014-06-23 | 2017-08-17 | コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェKoninklijke Philips N.V. | 対象の血液内の物質の濃度を決定する装置、システム及び方法 |
US9833146B2 (en) | 2012-04-17 | 2017-12-05 | Covidien Lp | Surgical system and method of use of the same |
US9895068B2 (en) | 2008-06-30 | 2018-02-20 | Covidien Lp | Pulse oximeter with wait-time indication |
JP7439456B2 (ja) | 2019-10-28 | 2024-02-28 | 株式会社リコー | 生体情報測定装置、及び生体情報測定方法 |
-
2003
- 2003-03-28 JP JP2003089624A patent/JP2004290545A/ja active Pending
Cited By (52)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US7720516B2 (en) | 1996-10-10 | 2010-05-18 | Nellcor Puritan Bennett Llc | Motion compatible sensor for non-invasive optical blood analysis |
US8133176B2 (en) | 1999-04-14 | 2012-03-13 | Tyco Healthcare Group Lp | Method and circuit for indicating quality and accuracy of physiological measurements |
US8095192B2 (en) | 2003-01-10 | 2012-01-10 | Nellcor Puritan Bennett Llc | Signal quality metrics design for qualifying data for a physiological monitor |
US8983800B2 (en) | 2003-01-13 | 2015-03-17 | Covidien Lp | Selection of preset filter parameters based on signal quality |
US8874181B2 (en) | 2004-02-25 | 2014-10-28 | Covidien Lp | Oximeter ambient light cancellation |
US8315684B2 (en) | 2004-02-25 | 2012-11-20 | Covidien Lp | Oximeter ambient light cancellation |
US8560036B2 (en) | 2004-03-08 | 2013-10-15 | Covidien Lp | Selection of ensemble averaging weights for a pulse oximeter based on signal quality metrics |
US7890154B2 (en) | 2004-03-08 | 2011-02-15 | Nellcor Puritan Bennett Llc | Selection of ensemble averaging weights for a pulse oximeter based on signal quality metrics |
US8007441B2 (en) | 2004-03-08 | 2011-08-30 | Nellcor Puritan Bennett Llc | Pulse oximeter with alternate heart-rate determination |
US8818475B2 (en) | 2005-03-03 | 2014-08-26 | Covidien Lp | Method for enhancing pulse oximetry calculations in the presence of correlated artifacts |
US8423109B2 (en) | 2005-03-03 | 2013-04-16 | Covidien Lp | Method for enhancing pulse oximery calculations in the presence of correlated artifacts |
US9351674B2 (en) | 2005-03-03 | 2016-05-31 | Covidien Lp | Method for enhancing pulse oximetry calculations in the presence of correlated artifacts |
US8311602B2 (en) | 2005-08-08 | 2012-11-13 | Nellcor Puritan Bennett Llc | Compliant diaphragm medical sensor and technique for using the same |
US8528185B2 (en) | 2005-08-08 | 2013-09-10 | Covidien Lp | Bi-stable medical sensor and technique for using the same |
US7725146B2 (en) | 2005-09-29 | 2010-05-25 | Nellcor Puritan Bennett Llc | System and method for pre-processing waveforms |
US8386002B2 (en) | 2005-09-30 | 2013-02-26 | Covidien Lp | Optically aligned pulse oximetry sensor and technique for using the same |
JP2007105133A (ja) * | 2005-10-12 | 2007-04-26 | Nippon Telegr & Teleph Corp <Ntt> | 受光装置 |
US8238994B2 (en) | 2005-10-28 | 2012-08-07 | Nellcor Puritan Bennett Llc | Adjusting parameters used in pulse oximetry analysis |
US7706852B2 (en) | 2006-01-30 | 2010-04-27 | Nellcor Puritan Bennett Llc | System and method for detection of unstable oxygen saturation |
US8068890B2 (en) | 2006-09-29 | 2011-11-29 | Nellcor Puritan Bennett Llc | Pulse oximetry sensor switchover |
US8204567B2 (en) | 2007-12-13 | 2012-06-19 | Nellcor Puritan Bennett Llc | Signal demodulation |
US10076276B2 (en) | 2008-02-19 | 2018-09-18 | Covidien Lp | Methods and systems for alerting practitioners to physiological conditions |
US8750953B2 (en) | 2008-02-19 | 2014-06-10 | Covidien Lp | Methods and systems for alerting practitioners to physiological conditions |
US11298076B2 (en) | 2008-02-19 | 2022-04-12 | Covidien Lp | Methods and systems for alerting practitioners to physiological conditions |
US8140272B2 (en) | 2008-03-27 | 2012-03-20 | Nellcor Puritan Bennett Llc | System and method for unmixing spectroscopic observations with nonnegative matrix factorization |
US8364224B2 (en) | 2008-03-31 | 2013-01-29 | Covidien Lp | System and method for facilitating sensor and monitor communication |
US8292809B2 (en) | 2008-03-31 | 2012-10-23 | Nellcor Puritan Bennett Llc | Detecting chemical components from spectroscopic observations |
US9895068B2 (en) | 2008-06-30 | 2018-02-20 | Covidien Lp | Pulse oximeter with wait-time indication |
USD736250S1 (en) | 2008-06-30 | 2015-08-11 | Covidien Lp | Portion of a display panel with an indicator icon |
USD626562S1 (en) | 2008-06-30 | 2010-11-02 | Nellcor Puritan Bennett Llc | Triangular saturation pattern detection indicator for a patient monitor display panel |
USD626561S1 (en) | 2008-06-30 | 2010-11-02 | Nellcor Puritan Bennett Llc | Circular satseconds indicator and triangular saturation pattern detection indicator for a patient monitor display panel |
US8433382B2 (en) | 2008-09-30 | 2013-04-30 | Covidien Lp | Transmission mode photon density wave system and method |
US8386000B2 (en) | 2008-09-30 | 2013-02-26 | Covidien Lp | System and method for photon density wave pulse oximetry and pulse hemometry |
US8968193B2 (en) | 2008-09-30 | 2015-03-03 | Covidien Lp | System and method for enabling a research mode on physiological monitors |
JP4626704B2 (ja) * | 2008-11-17 | 2011-02-09 | 株式会社日本自動車部品総合研究所 | 血中成分濃度測定装置および移動体用始動制御装置 |
US8306595B2 (en) | 2008-11-17 | 2012-11-06 | Denso Corporation | Blood constituent concentration detector and starter for transporter |
JP2010121961A (ja) * | 2008-11-17 | 2010-06-03 | Nippon Soken Inc | 血中成分濃度測定装置および移動体用始動制御装置 |
US8509869B2 (en) | 2009-05-15 | 2013-08-13 | Covidien Lp | Method and apparatus for detecting and analyzing variations in a physiologic parameter |
US8494786B2 (en) | 2009-07-30 | 2013-07-23 | Covidien Lp | Exponential sampling of red and infrared signals |
US9380969B2 (en) | 2009-07-30 | 2016-07-05 | Covidien Lp | Systems and methods for varying a sampling rate of a signal |
US8788001B2 (en) | 2009-09-21 | 2014-07-22 | Covidien Lp | Time-division multiplexing in a multi-wavelength photon density wave system |
US8494604B2 (en) | 2009-09-21 | 2013-07-23 | Covidien Lp | Wavelength-division multiplexing in a multi-wavelength photon density wave system |
US8798704B2 (en) | 2009-09-24 | 2014-08-05 | Covidien Lp | Photoacoustic spectroscopy method and system to discern sepsis from shock |
US8376955B2 (en) | 2009-09-29 | 2013-02-19 | Covidien Lp | Spectroscopic method and system for assessing tissue temperature |
US8515511B2 (en) | 2009-09-29 | 2013-08-20 | Covidien Lp | Sensor with an optical coupling material to improve plethysmographic measurements and method of using the same |
US8401608B2 (en) | 2009-09-30 | 2013-03-19 | Covidien Lp | Method of analyzing photon density waves in a medical monitor |
US8930145B2 (en) | 2010-07-28 | 2015-01-06 | Covidien Lp | Light focusing continuous wave photoacoustic spectroscopy and its applications to patient monitoring |
US8521246B2 (en) | 2010-07-29 | 2013-08-27 | Covidien Lp | Cable cross talk suppression |
JP2015512326A (ja) * | 2012-04-06 | 2015-04-27 | グローブ・インストゥルメンツ・インコーポレイテッド | ファイバー無し透過反射型プローブを使用した分析物濃度の非侵襲測定 |
US9833146B2 (en) | 2012-04-17 | 2017-12-05 | Covidien Lp | Surgical system and method of use of the same |
JP2017522953A (ja) * | 2014-06-23 | 2017-08-17 | コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェKoninklijke Philips N.V. | 対象の血液内の物質の濃度を決定する装置、システム及び方法 |
JP7439456B2 (ja) | 2019-10-28 | 2024-02-28 | 株式会社リコー | 生体情報測定装置、及び生体情報測定方法 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP2004290545A (ja) | 血液分析装置 | |
US6587704B1 (en) | Method for non-invasive optical measurements of blood parameters | |
US6968221B2 (en) | Low-cost method and apparatus for non-invasively measuring blood glucose levels | |
JP3625475B2 (ja) | 非侵入的にヘマトクリット値をモニタするシステム | |
US20210228117A1 (en) | Method and system for non-invasive optical blood glucose detection utilizing spectral data analysis | |
CN100335001C (zh) | 使用光测量技术的诊断装置 | |
EP0335357B1 (en) | Improved method and apparatus for detecting optical pulses | |
US5348005A (en) | Simulation for pulse oximeter | |
US7239905B2 (en) | Active pulse blood constituent monitoring | |
EP1942790B1 (en) | Method and device for non-invasive measurements in a subject | |
US6931268B1 (en) | Active pulse blood constituent monitoring | |
Yoon et al. | Multiple diagnosis based on photoplethysmography: Hematocrit, SpO2, pulse, and respiration | |
JP2004113353A (ja) | 血液分析装置 | |
CN110575181A (zh) | 近红外光谱无创血糖检测网络模型训练方法 | |
WO2003079900A1 (fr) | Instrument et technique de mesure de parametres sanguins non invasifs | |
JPS63252239A (ja) | 反射型オキシメ−タ | |
US20080144004A1 (en) | Optical Spectrophotometer | |
Yi et al. | Noninvasive hemoglobin measurement using dynamic spectrum | |
JP2693958B2 (ja) | 酸素計及び動脈中の血液成分を測定する方法 | |
WO2003077761A1 (fr) | Analyseur de sang | |
Nirupa et al. | Non-invasive measurement of hemoglobin content in blood | |
Yamakoshi et al. | A new non-invasive method for measuring blood glucose using instantaneous differential near infrared spectrophotometry | |
KR100523859B1 (ko) | 당뇨병 환자의 허혈성 및 신경병성 족부진단 장치 | |
Sarkar et al. | NON-INVASIVE BLOOD OXYGEN SATURATION MONITORING (SpO2) USING TRANSMITTANCE FOR PULSE OXIMETER | |
Nandanwar et al. | Non-Invasive Sensor Technology for Hemoglobin Measurement in Blood |