JP2004290173A - ヒト成長ホルモン(gh1)遺伝子の近位プロモーター中のハプロタイプ分割 - Google Patents

ヒト成長ホルモン(gh1)遺伝子の近位プロモーター中のハプロタイプ分割 Download PDF

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Abstract

【課題】ヒト成長ホルモン異常の存在及び成長ホルモン異状に対する感受性の診断方法の提供及び成長ホルモン異状に対する治療薬のスクリーニング方法の提供。
【解決手段】以下について調べる;a)試験されるべき個体から,成長ホルモン遺伝子の近位プロモーター領域をコードする核酸分子のサンプルを得,b)この核酸分子を6のSNP’Sのうちの複数,又はその対応するハプロタイプ又はそれとの連鎖不平衝における多型,C)そしてa及bから個体が成長ホルモン異常を患っているか、又は成長ホルモン異常に対する感受性があるかについて決定する。
【選択図】なし

Description

【0001】
本発明は、成長ホルモン異常の存在又は成長ホルモン異常に対する感受性の診断方法及びそこで用いられるのに好適なキット、そのための部品及びそれを基礎とするさらなる研究手段に関する。
【0002】
ヒトの身長は、複数の遺伝的及び環境的要素の相互作用の結果として生じる高度に複雑な特性である。家族性の低身長については既に、遺伝した成長ホルモン(GH1)遺伝子の突然変異と結びついていることが知られているため、この下垂体で発現する遺伝子の多型的な変異が成人の身長にも影響すると仮定することは、理にかなっていると思われる。
【0003】
ヒトGH1遺伝子は、17q23染色体上、胎盤で発現する成長ホルモン遺伝子(GH2、MIM#139240)、2の絨毛性体乳腺発育ホルモン遺伝子(CSH1及びCSH2)及びシュードジーン(CSHP1)を含む5の関連した遺伝子の66kDのクラスター中に存在する。GH1遺伝子プロモーターの近位領域においては、535塩基対の範囲内で、16の1塩基多型(SNPs)という高レベルの配列変異を示すことが報告されている。これらの1塩基多型の大多数は、GH1遺伝子が派生相同なGH2、CSH1、CSH2及びCSHP1遺伝子と相違する位置と同じ位置において起こることから、それらは、遺伝子変換により発生したのかも知れないと推測されている。
【0004】
ヒトGH1遺伝子の発現は、GH1遺伝子の14.5kb及び32kb上流の間に位置する遺伝子座制御領域(LCR)によっても影響される。上記LCRは複数のDNエースI高感受性部位を含み、下垂体及び胎盤の双方で、GH遺伝子クラスターの遺伝子の活性化に必要とされる。2のDNエースI高感受性部位(I及びII)は、下垂体特異的な転写因子Pit−1への結合部位を含み、高度に成長ホルモン産生細胞特異的なGH1遺伝子の発現に関与している。
【0005】
やや異例ではあるが、我々は、GH1遺伝子の近位プロモーター領域及びLCR双方の多型的変異の機能的重要性を評価する研究を行なった。
【0006】
ここに記載された研究の結果、我々は、我々の調査の母集団中、16の既知のSNP位置のうち15において変異が起こり、全体で40の異なるプロモーターハプロタイプが表れたことを示した。さらに、これらのハプロタイプについての研究により、我々はそれらを分割し、上記SNP’sのうちの6がGH1遺伝子発現の主要な決定因子であるが、一方、さらなる6のSNP’sは単にGH1遺伝子発現についての情報をわずかに与えるにすぎない、と結論した。
【0007】
さらに、ヒトの身長の遺伝的な複雑性を前提として、我々のデータは、一定のSNP’sの組み合わせ、それゆえハプロタイプは、ヒトの身長に非常に決定的な影響を及ぼすことができるという結論に我々を導いた。したがって、この情報についての知識は、成長ホルモンの低度の発現を患い、したがって少なくとも思春期までは置換療法を必要とする個体を同定するのに有用である。
【0008】
成長ホルモン(GH1)遺伝子の構造、機能又は発現に影響する損傷の有無を決定するために、個体のDNAが分析される遺伝医学の分野では、大きな欠失又は主要な突然変異を検出することは比較的簡単である。しかし、我々のデータが示す通り、個体は、GH1プロモーターハプロタイプの性質により、成長ホルモンの低度の発現をおこし得る。慣用の遺伝子アッセイにより、仮に上記主要な欠失又は突然変異がないような個体は、成長ホルモン発現に関して、正常であると考えられる。しかし、ここに記載された研究は、SNP’sの組み合わせが、成長ホルモン発現に影響し、そして今度は身長に影響を及ぼすことを明らかにした。この知見は、野生型及び突然変異遺伝子のGH1発現に感受性が高く、したがって大きな遺伝子欠損と結びついた症状を示さない者を含む広い範囲の個体の遺伝的試験に用いるのに大変正確である、GH分析をつくり出すのに用いることができる。
【0009】
本発明の陳述
したがって、本発明は、個体における成長ホルモン異常の存在又は成長ホルモン異常に対する感受性を診断するための方法であって、以下の:
a)試験されるべき個体から、成長ホルモン遺伝子(GH1)の近位プロモーター領域をコードする核酸分子の試験サンプルを得ること;
b)前記核酸分子を以下の6のSNP’s:1、6、7、9、11及び14(表1に示す)のうちの複数、又はその対応するハプロタイプ(同様に表1に示す);又はそれとの連鎖不平衡における多型
について調べること;
c)そして、複数の前記SNP’s、又はそれらの前記対応するハプロタイプ、或いはそれらの前記対応する多型から、個体が成長ホルモン異常を患っているか、又は成長ホルモン異常に対する感受性があるかについて決定すること、
を含む前記方法に関する。
【0010】
本発明の好ましい方法においては、前記連鎖不平衡における多型は、ここで記載されている通り、対応する遺伝子座制御領域の1144位又は1194位における多型である。
【0011】
本発明のさらなる側面又は実施例によれば、個体における成長ホルモン異常の存在又は成長ホルモン異常に対する感受性を診断する方法であって、以下の:
a)試験されるべき個体から、成長ホルモン遺伝子(GH1)の近位プロモーター領域をコードする核酸分子の試験サンプルを得ること;
b)前記核酸分子を、以下の表1中のハプロタイプであって、番号3、4、5、7、11、13、17、19、23、24、26又は29で示されたうちのいずれか1又はそれを越えるものについて調べること;
c)そして、前記ハプロタイプが存在する場合、個体が成長ホルモン異常を患っているか、又は成長ホルモン異常に対する感受性があるかについて決定すること、
を含む前記方法が提供される。
【0012】
我々の研究は、これらのハプロタイプが成長ホルモン発現の低下の原因となり、したがって成長ホルモン異常に導くという結論に我々を導いた。
【0013】
好ましくは、本発明による診断方法の実施に、慣用方法が用いられ、したがって典型的には、試験される個体の前記核酸分子の検査は、増幅される核酸の相補的一本鎖にハイブリダイズするのと同じ使用プライマー又はプライマー対の増幅を含む。好適なプライマーの例を以下に示す:
GGG AGC CCC AGC AAT GC(GH1F);及び/又は
TGT AGG AAG TCT GGG GTG C(GH1R)。
【0014】
有益には、プライマーはそれらの検出を可能とするために、放射線ラベル、酵素、蛍光又はケミルミネッセントラベル或いはビオチン−アビジンラベルのような慣用的なラベルを用いて、ラベルされる。
【0015】
最も好適には、プライマーは、核酸分子に厳重な条件下でハイブリダイズする。これは、上記ハイブリダイゼーションのレベルが、染色体17q23上の66kbクラスター中の5の相同遺伝子を識別するのに十分であることを意味する。一般的には、厳重なハイブリダイゼーションを支える洗浄条件は、温度と塩濃度の組み合わせであり、したがって、研究の結果、DNA変性温度は、計算された核酸の融点よりも約5〜20℃低い。
【0016】
本発明のさらなる側面によれば、本発明による前記の診断方法を実行するのに好適なキットであって、以下の:
a)GH1の近位プロモーター領域を検出し及び/又は増幅するためのプライマーであって以下の:
GGG AGC CCC AGC AAT GC(GH1F);
TGT AGG AAG TCT GGG GTG C(GH1R);
であらわされる前記プライマーの少なくとも1及び、場合により、
b)患者のDNAの目的の領域を増幅するためのPCRを実行するのに好適な1又はそれ以上の試薬
を含む前記キットを提供する。
【0017】
有益には、本発明によるキットは以下のSNP’s:1、6、7、9、11及び14のうちの複数に相補的なオリゴヌクレオチドを含む。
【0018】
本発明によるSNP’s及びハプロタイプは、成長ホルモン異常の治療のための治療法の同定に有用である。したがって、当然の帰結として前記のSNP’s及び/又はハプロタイプを含む、1又はそれ以上の成長ホルモン遺伝子又はその断片を好適な細胞又は細胞株へ導入することは、成長ホルモン異常を治療する試剤の同定に有用なツールを生み出すであろう、ということになる。したがって、本発明のさらなる側面によれば、以下のSNP’s:1、6、7、9、11及び14のうちの複数を含むGH1の近位プロモーター領域を少なくとも含むベクターを提供する。
【0019】
本発明の好ましい実施例においては、前記領域は、複数の前記SNP’s及び最も理想的には、さらに6及び9;及び/又は10及び12;及び/又は8及び11を含む。1の対立遺伝子上の1のプロモーターハプロタイプ中だけでなく、プロモーターハプロタイプ間、すなわち他の対立遺伝子上のプロモーターハプロタイプ間での相互作用(分割)もある。さらに、ある程度の両親由来の優性があり、父系由来のハプロタイプの方が母系由来のものよりもより優性、またはその逆もある。
【0020】
本発明のさらなる側面によれば、以下の表1に示されたハプロタイプ:3、4、5、7、11、13、17、19、23、24、26又は29のうちのいずれか1又はそれを越えるものを有することに特徴を有するGH1の近位プロモーター領域を含むベクターが提供される。
【0021】
本発明のなお、さらなる側面によれば、ここで記載されたようなLCR近位プロモーター融合構築物を含むベクターが提供される。
【0022】
最も好ましくは、上記ベクターは、原核細胞又は真核細胞を形質転換又は形質移入するのに適合させられ、さらにプロモーター領域の活性を確認するための手段であって、プロモーター領域を活性化又は阻害する試剤に対する応答をモニターすることのできるものが提供される。したがって、前記近位プロモーター領域は、これにより、成長ホルモン遺伝子又は代替遺伝子の発現が対応するプロモーター活性をモニターするのに用いられることができるところの成長ホルモン(GH1)遺伝子のコード領域又は代替遺伝子のコード領域、に連結する。
【0023】
なおさらに理想的には、上記ベクター内では、遺伝子は発現タンパクタグの上流又は下流で発現することができ、例えば、そのようなタグは、前記GH1をコードする領域及び隣接したタグの発現がGH1の近位プロモーターの制御下にあるところの緑色蛍光タンパクである。
【0024】
本発明の実施例のさらなる側面においては、成長ホルモン遺伝子(GH1)の複数のプロモーター、最も理想的には成長ホルモン遺伝子の異なる複数のプロモーターを含むベクターが提供される。異なるという語により、我々は各プロモーターが異なるコード配列を有し、したがって異なる型のSNP’s及びしたがってハプロタイプを含むということを意味する。この取り決めによれば、最も有益には、各プロモーターは、上記プロモーター活性が異なる遺伝子の発現の結果としてモニターされることが可能であるところの異なるDNA配列のいずれかに連結し、あるいは代わりに同一のコード配列が使用されることができ、しかし、好適には、同一の遺伝子の発現が異なるタグを用いることによって差別的にモニターされることができるところの異なるタグが提供される。
【0025】
本発明によるこれらのベクターは理想的には、宿主細胞を形質転換するのに用いられ、ここで宿主細胞は有益には、成長ホルモン異常の治療に有用であるかも知れない試剤のスクリーニングの目的に用いられることができる。好ましい細胞は細菌性酵母、カビ、こん虫細胞又は哺乳動物細胞を含み、最も好ましくは、例えばヒト細胞株である細胞株のような不死化された細胞である。あるいは、ラット細胞も用いられることができる。
【0026】
本発明のなお、さらなる側面によれば、本発明によるベクターで形質転換又は形質移入された宿主細胞が提供される。
【0027】
本発明のなおさらなる側面によれば、遺伝子組み換え細胞株であって、レポーター分子を発現するように設計されており、ここで上記レポーター分子の発現は、表1に示す以下のSNP’s:1、6、7、9、11又は14のうちの複数及び/又は以下のハプロタイプ:3、4、5、7、11、13、17、19、23、24、26又は29のいずれか1又はそれを越えるものを含むGH1の近位プロモーターに制御されている、前記細胞株が提供される。
【0028】
本発明のなおさらなる側面によれば、非ヒトトランスジェニック動物であって、表1に示した以下のSNP’s:1、6、7、9、11及び14のうちの複数を含むGH1プロモーターを有する結果として、及び/又は、前記プロモーターが表1に示した以下のハプロタイプ:3、4、5、7、11、13、17、19、23、24、26又は29のうちの1に特徴を有する結果として、成長ホルモンの発現が低下した前記動物が提供される。
【0029】
本発明による好ましい非ヒトトランスジェニック動物においては、前記プロモーターは、ハプロタイプ23又は27に特徴を有し、したがってそれぞれ“低発現プロモーターハプロタイプ”又は“高発現プロモーターハプロタイプ”と称される。これら2のハプロタイプは、前記動物における候補薬物の効果を比較し、対照するのに有益に用いられることができる。加えて、表1のハプロタイプH1は、“正常発現プロモーターハプロタイプ”として便利に用いられることができる。
【0030】
本発明の好ましい実施例においては、前記プロモーターは、超最大の発現をするように人工的に設計され、ハプロタイプAGGGGTTAT−ATGGAGに特徴を有するか又は配列AG−TTGTGGGACCACT及びAG−TTTTGGGGCCACTに特徴を有する準最小のプロモーターハプロタイプである。
【0031】
本発明のさらなる側面によれば、その結果、成長ホルモン異常の治療に用いることのできる、治療的活性のある薬物のスクリーニングのための方法であって、本発明の細胞又は細胞株を候補薬物にさらすこと、そして、その後候補薬物が成長ホルモン遺伝子のプロモーター領域の活性に影響を及ぼしたかどうか、そしてそれにより、細胞株の場合には、レポーター分子の発現に影響を及ぼしたかどうかを決定することを含む前記方法が提供される。
【0032】
本発明のなお、さらなる側面によれば、成長ホルモン異常の治療に用いることのできる、治療的活性のある薬物のスクリーニングのための方法であって、本発明による非ヒトトランスジェニック動物を候補薬物にさらすこと、そしてその後前記動物の成長をモニターすること、そして動物の成長によって、候補薬物が正の効果を示した場合には、前記成長は、前記候補薬物の治療的活性を示唆するものであると結論付けることを含む前記方法が提供される。
【0033】
ここにおける正の効果への言及は最も典型的には成長を促進する能力を意味するが、高発現プロモーターが用いられる一定の環境においては、成長に影響を及ぼす能力は、成長を阻害する能力を含むことができる。
【0034】
本発明は、以下の材料及び方法のセクションにおける言及によって例証されるであろう。
【0035】
ヒト由来の材料
DNAサンプルは、身長に関わりなく選ばれたコーカサス出身の英国軍人男性154人から採取したリンパ球から得た。身長データはこれら個体のうちの124人について利用可能であり(平均、1.76±0.07m)、身長分布は正常であることがわかっている(Shapiro−Wilk統計 W=0.984、p=0.16)。倫理的同意は、地域的なMulti−Regional Ethics Committeeから得た。
【0036】
ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増幅法
3.2kbのGH1遺伝子特異的なフラグメントのPCR増幅法はオリゴヌクレオチドプライマーGH1F(5′GGGAGCCCCAGCAATGC 3′;−615位〜−599位)及びGH1R(5′TGTAGGAAGTCTGGGGTGC 3′;2598位〜2616位)[番号は翻訳開始部位を+1とした相対的なものである(GenBank Accession No. J03071)]。GH1 LCRのI及びII部位を含む1.9kbのフラグメントをLCR 5A(5′CCAAGTACCTCAGATGCAAGG 3′;−315位〜−334位)及びLCR 3.0(5′CCTTAGATCTTGGCCTAGGCC 3′;1589位〜1698位)[LCR配列はGenBank (Accession No. AC005803 )から得た。一方LCR番号はJin et al. 1999; GenBank (Accession No. AF010280)に従った]を用いてPCR増幅した。両反応の条件は同一であった;すなわち、200ngのリンパ球DNAをExpand(登録商標)高フィデリティーシステム(ロシュ)を用いて増幅し、最初の高温が98℃2分、続いて95℃3分、30サイクルの95℃30秒、64℃30秒、68℃1分で行なった。最後の20サイクルでは、68℃における伸長反応ステップを各サイクル5秒ずつ延長した。これをその後さらに68℃で7分間インキュベーションした。
【0037】
クローニング及びシークエンシング
最初に、PCR産物をクローニングせずに直接シークエンシングした。GH1遺伝子の近位プロモーター領域を上記3.2kbのGH1特異的なPCRフラグメントから、プライマーGH1S1(5′GTGGTCAGTGTTGGAACTGC 3′:−556位〜−537位)を用いてシークエンシングした。上記1.9kbのGH1 LCRフラグメントをプライマーLCR 5.0(5′CCTGTCACCTGAGGATGGG 3′;993位〜1011位)、LCR 3.1(5′TGTGTTGCCTGGACCCTG 3′;1093位〜1110位)、LCR 3.2(5′CAGGAGGCCTCACAAGCC 3′;628位〜645位)及びLCR 3.3(5′ATGCATCAGGGCAATCGC 3′;211位〜228位)を用いてシークエンシングした。シークエンシングはBig Dye v2.0(Applied Biosystems)及びABI Prism 377又は3100 DNAシークエンサーを用いて実施した。プロモーター領域のヘテロ接合体又はLCR変異体の場合には、好適なフラグメントをシークエンシングの前にpGEM−T(Promega )中へクローン化した。
【0038】
ルシフェラーゼレポーター遺伝子を発現するベクターの構築
40の異なるGH1近位プロモーターハプロタイプ(表1)の各例が582bpフラグメントとしてプライマーGHPROM5(5′AGATCTGACCCAGGAGTCCTCAGC 3′;−520位〜−501位)及びハプロタイプの+59位の塩基によってGHPROM3A(5′AAGCTTGCAGCTAGGTGAGCTGTC 3′;44位〜62位)又はGHPROM3C(5′AAGCTTGCCGCTAGGTGAGCTGTC 3′;44位〜62位)のいずれかを用いて、PCR増幅された。クローニングの便宜のために、すべてのプライマーに、部分的又は完全な鋳型には存在しない制限エンドヌクレアーゼを認識する配列をその5′末端(上記の下線部分)に付加した;BglII(GHPROM5)及びHindIII (GHPROM3A及びGHPROM3C)。PCRフラグメントをその後pGEM−T中にクローン化した。プラスミドDNAを最初にHindIII (New England BioLabs )で消化し、5′オーバーハングをリョクトウヌクレアーゼ(New England BioLabs )によって除去した。プロモーターフラグメントをBglII(New England BioLabs )による消化で放出し、ゲル精製した。ルシフェラーゼレポーターベクターpGL3 BasicはNcoI(New England BioLabs )消化により調製し5′オーバーハングをリョクトウヌクレアーゼにより除去した。上記ベクターをその後BglII(New England BioLabs )により消化し、ゲル精製した。制限されたプロモーターフラグメントをルシフェラーゼレポーター遺伝子ベクターGL3 Basic中へクローン化した。GH1プロモーター及びルシフェラーゼ遺伝子の配列が正しいことを確認するためにプラスミドDNAs(pGL3GHシリーズ)を単離し(Qiagen midiprep system)、プライマーRV3(5′CTAGCAAAATAGGCTGTCCC 3′;4760位〜4779位)、GH1SEQ1(5′CCACTCAGGGTCCTGTG 3′;27位〜43位)、LUCSEQ1(5′CTGGATCTACTGGTCTGC 3′;683位〜700位)、及びLUCSEQ2(5′GACGAACACTTCTTCATCG 3′;1372位〜1390位)を用いてシークエンシングした。切断されたGH1近位プロモーター構築物(−288位〜+62位)もまた、NcoI及びBglIIを用いたpGL3GH1(ハプロタイプ1)の制限により作成され、続いてSNP部位1〜5を除去するために平滑末端/再連結を行なった。
【0039】
予想された超最大ハプロタイプ(AGGGGTTAT−ATGGAG)及び準最小ハプロタイプ(AG−TTGTGGGACCACT及びAG−TTTTGGGGCCACT)を生成するために合成近位プロモーターハプロタイプレポーター遺伝子構築物を部位特異的突然変異誘発(SDM)[Site−Directed Mutagenesis Kit (Stratagene)]により作成した。
【0040】
LCR−近位プロモーター領域融合構築物を作成するために、上記1.9kb LCRフラグメントをBglIIで制限し、結果として生じた1.6kbフラグメントをpGL3中の582bpプロモーターフラグメントの直接上流のBglII部位にクローン化した。上記3の異なるLCRハプロタイプをpGL3 Basic中の3のGH1近位プロモーター構築物であって、それぞれ“高発現プロモーターハプロタイプ”(H27)、“低発現プロモーターハプロタイプ”(H23)及び“正常発現プロモーターハプロタイプ”(H1)の5′側にクローン化し、全部で9の異なるLCR−GH1近位プロモーター構築物(pGL3GHLCR)を得た。プラスミドDNAをその後単離し(Qiagen midiprep )、そして適切なプライマーを用いてシークエンスをチェックした。
【0041】
ルシフェラーゼレポーター遺伝子アッセイ
成長ホルモンを発現するヒト下垂体細胞がない場合には、ラットGC下垂体細胞(Bancroft 1973; Bodner and Karin 1989)をin vitroの発現試験のために選択した。ラットGC細胞は、15%ウマ血清及び2.5%ウシ胎仔血清を含むDMEM中で成長させた。ヒトHeLa細胞は5%ウシ胎仔血清を含むDMEM中で成長させた。両細胞株を37℃、5% CO 中で成長させた。リポソームが仲介するGC細胞及びHeLa細胞の形質移入は96穴プレートフォーマット中でTfx(登録商標)−20(Promega )を用いて実施した。コンフルエントな細胞を培養フラスコから除去し、翌日までに〜80%コンフルエントになるように新鮮な培地で希釈し96穴プレートに分注した。
【0042】
形質移入のための混合物は、血清を含まない培地、250ngのpGL3GH構築物又はpGL3GHLCR構築物、2ngのpRL−CMV、及び0.5μlのTfx(登録商標)−20 Reagent(Promega )を含み各ウェルに全容量で90μlずつ入れた。1時間後、200μlの完全培地を各ウェルに加えた。続く形質移入において、上記細胞を24時間、37℃、5% CO 中でインキュベート、その後レポーターアッセイのために可溶化した。
【0043】
ルシフェラーゼアッセイは、Dual Luciferase Reporter Assay System (Promega)を用いて実施した。アッセイはマイクロプレートルミノメーター(Applied Biosystems)上で行ない、Renilla活性を考慮して正規化した。各構築物は独立した3のプレート上でプレートあたり6回反復した(すなわち、全部で18の独立した測定)。近位プロモーターアッセイのためには、各プレートにネガティブコントロール(プロモーターを含まないpGL3 Basic)及びポジティブコントロール(SV40プロモーターを含むpGL3)を入れた。LCR分析のためには、近位プロモーターを含むがLCRを欠く構築物をネガティブコントロールとして用いた。
【0044】
電気泳動移動度シフト分析(EMSA)
EMSAを2本鎖のオリゴヌクレオチドであって、共同してすべての16SNP部位(オンラインの添付資料を参照のこと)をカバーするものについて実施した。GC及びHeLa細胞からの核抽出液を Berg et al. (1994)により記載された通りに調製した。オリゴヌクレオチドを[γ−33P]−dATPで放射能標識し、ゲル電気泳動の後、オートラジオグラフィにより検出した。EMSA反応物は、最終濃度で20mMのHepes pH7.9、4%のグリセロール、1mMのMgCl 、0.5mMのDTT、50mMのKCl、1.2μgのHela細胞又はGC細胞核抽出液、0.4μgのポリ[dl−dC]・ポリ[dl−dC]、0.4pMの放線能標識されたオリゴヌクレオチド、適宜40pMの非標識競合オリゴヌクレオチド(100倍過剰)を最終容量10μlで含む。
【0045】
EMSA反応物を60分、氷上でインキュベートし、オートラジオグラフィーの前に40% PAGEゲル上、100V、45分間インキュベートした。各反応においてはNF1遺伝子プロモーター(5′CCCCGGCCGTGGAAAGGATCCCAC 3′)を非特異的競合物質として用いる一方、2本鎖の非標識テストオリゴヌクレオチドを特異的競合物質として用いた。ヒトプロラクチン(PRL)遺伝子Pit−1結合部位(5′TCATTATATTCATGAAGAT 3′)及びPit−1コンセンサス結合部位(5′TGTCTTCCTGAATATGAATAAGAAATA 3′)に対応する2本鎖オリゴヌクレオチドをSNP8部位へのタンパク結合の特異的競合物質として用いた。
【0046】
プライマー伸長アッセイ
プライマー伸長アッセイは、異なるSNPハプロタイプを有する構築物が同一の翻訳開始部位を利用することを確認するために実施した。プライマー伸長アッセイはTriezenberg et al. (1992)の方法にしたがった。
【0047】
データの正規化
ネガティブコントロール(プロモーターを含まないpGL3 Basic)の発現測定は、プレートによってかなりの相違を示した。ベースラインの発現及びプレートの効果を補正するために、所定のプレート上のネガティブコントロールの平均活性値を同じプレート上の他のすべての活性値から差し引いた。その後、各プレート上の野生型近位プロモーターハプロタイプ1(H1)の平均活性(プレートごとに補正した)を計算し、同一のプレート上の他のすべてのハプロタイプに関連した活性をこの値で割った。これらの2の形質転換により、H1の平均活性が、プレート番号に関わりなく、一定である一方、ネガティブコントロールの平均活性がゼロであることを確認した。したがって、活性値の結果は、ベースライン及びプレート効果の双方について補正され、H1との比較において回数のちがいによるものと解されるだろう。形質転換後は、顕著なプレート効果は検出されなかったため、データをプレートを越えて併合した。ハプロタイプAを対照ハプロタイプとして用いて、同様の手順がLCR−プロモーター融合構築物発現データについても実行された。
【0048】
統計分析
近位プロモーターハプロタイプの正規化された発現レベルについて、SAS統計分析ソフトウエア(SAS Institute Inc., Cary NC, USA)のUNIVARIATE手続中で実行されるShapiro−Wilk統計(W)を用いて、正規分布への適合度をテストした。有意性の評価は棄却域=0.05/40≒0.001に設定し複数回(すなわち40回)テストすることにより補正した。この基準を用いて、2のプロモーターハプロタイプの発現レベルがガウス分布とは、有意に異なることを発見した、つまりH21(W=0.727、p=0.0002)及びH40(W=0.758、p=0.0004)である。他の38ハプロタイプについては発現レベルは正規性と一致したため、Tukeyのスチューデント化された範囲試験(SAS procedure GLM )を用いて、対比較に供した。異なるハプロタイプグループ間の発現レベルの対比較をWilcoxonの順位和統計(SAS procedure NPAR1WAY)の正規近似zを用いて実施した。
【0049】
SNPs間の相関構造を公式に評価するため、そしてさらなる研究のために重要な多型の適切なサブセットを同定することを可能とするために、ハプロタイプの分割における残差乖離度を近位プロモーターSNPsのすべての可能なサブセットについて計算した。
【0050】
データセットの所定の分割
【数1】
Figure 2004290173
は、x …,x を指し、仮りにi∈πjのときπ(i)=jとすると、Πの残差乖離度δは、
【数2】
Figure 2004290173
と定義する。
データセットが全く分割されない場合には、δ=δ(Π )=421.7であって、他のどの分割Πの相対残差乖離度もδ (Π)=δ(Π)/δ(Π )と定義した。
【0051】
6のSNPs(番号1、6、7、9、11及び14;以下を参照のこと)が、同時に生じる比較的小さなハプロタイプ変異にくらべて、かなり大きな(〜60%)発現レベルの残差乖離度の原因となっていることがわかった。これらのSNPsの統計的な相互依存は、統計ソフトウエアR(Ihaka and Gentleman 1996)を用いた帰納的2成分分割により構築された回帰ツリーによってさらに分析した。ツリー構築の過程において、従属変数(すなわち正規化された近位プロモーター発現)に関して2の最も均一なハプロタイプのサブグループを選択するために上記SNPsは各分岐点において、個々に予測変数として用いた。結果物である中間ツリーの終端分岐点(‘リーフ’)で定義される分割のδ を最小化するように、新たな分裂を導入するのに貢献する分岐点及びSNPを、選んだ。このプロセスをすべてのリーフが各ハプロタイプに対応するまで継続した。(‘成熟したツリー’)δ 予測値の信頼性を各ステップにおいて10倍クロス−バリデーションによって評価し、標準誤差(SE)を計算した。
【0052】
in vitroにおける身長及び近位プロモーター発現の回帰分析を、調査された124人の身長のわかっている個体について、SASソフトウエアパッケージのREG手順を用いて実施した。μnor,h1及びμnor,h2は、所定の個体が有する2のハプロタイプの正規化された発現レベルの平均を表すとする。H1に対してホモ接合性でない個体(n=109)の身長を以下の:
【数3】
Figure 2004290173
で表わされるようにモデル化し、決定係数、r を計算した。調査した154人の個体において少なくとも8回観察された7のプロモーターハプロタイプ(H1−H7)のために、reduced median network (Bandelt et al., 1995)を構築した。
【0053】
連鎖不平衡分析
プロモーターSNPs間並びに個々のSNPs間及び個々のLCRハプロタイプ間の連鎖不平衡(LD)を、Morton et al. (2001)によるbiallelic lociのために考えられたパラメータρを用いて、調査された全154人の中から、ランダムに選ばれた100人について評価した。ρ=1が完全なLDを示す2の座に相当する一方、ρ=0は完全なLDの欠除を示す。包含関係を保証するのに、母集団のサンプル(ヘテロ接合性5%)中で十分に多型であるのは8のSNPsのみであることがわかった。SNP4との完全なLDによって、SNP5を除外した(2の対ハプロタイプのみが存在する)。LD分析のために必要とされるようなLCR−近位プロモーターハプロタイプの組み合わせの頻度の最尤推定値を、学内で実施している期待値最大化(EM)アルゴリズムを用いて得た。
【0054】
結果
近位プロモーターハプロタイプ及び相対的プロモーター強度
40のプロモーターハプロタイプについてin vitroにおけるレポーター遺伝子アッセイにより研究し、それらがラット下垂体細胞中でのルシフェラーゼ遺伝子発現を推進する能力に関して異なることを発見した(表3)。発現レベルは平均レベルで野生型の30%を示す最小の発現をするハプロタイプ(no.17)と平均レベルで野生型の389%を示す最大の発現をするハプロタイプ(no.27)とでは12倍以上の範囲で多様であることがわかった(表3)。12のハプロタイプ(番号3、4、5、7、11、13、17、19、23、24、26及び29)は、H1と比較して有意に低いレベルのルシフェラーゼレポーター遺伝子の発現と相関していた。逆に、全部で10のハプロタイプ(番号14、20、27、30、34、36、37、38、39及び40)は、H1に比較して有意に高いレベルのルシフェラーゼレポーター遺伝子の発現と相関していた(表3)。異なるSNPハプロタイプを有する構築物を同一の翻訳開始部位を利用するプライマー伸長アッセイにより示した(データは示していない)。レポーター遺伝子構築物の発現は、GC細胞中よりもHela細胞中の方が1000倍低かった(データは示していない)。
【0055】
40の異なるGH1プロモーターハプロタイプのin vitroにおける発現レベルを図2に図式で示す。高発現ハプロタイプがより低い頻度で発生する傾向にある(Wilcoxon p<0.01)一方、低発現ハプロタイプがより頻繁に発生する傾向にあるという有意な傾向が明らかである。この発見が選択作用を示唆するものであることから、選択効果を個体のSNPsのレベルで研究した。ここで研究された15のSNPsについては、平均発現レベル(ハプロタイプの頻度により調整した)とコントロールにおける、よりまれな対立遺伝子の頻度は、正の相関関係のあることがわかった(Spearmanの順位相関係数、r=0.32、片側検定p<0.10)。仮にSNP7を明らかな孤立値として除外するならば(よりまれな対立遺伝子と結びついた特別に高い発現レベルを示す)、片側検定でr=0.53、p<0.05である。
【0056】
個々のSNPと相関する発現レベルは、強力に相互依存していることがわかった。したがって、観察されたin vitroでの発現の多様性に不相応に寄与している、手がかりとなる多型部位のサブセットを同定する方法で発現データの分割をすることを試みた。16のSNPsすべてを含む完全なハプロタイプによる分割は、相対残差乖離度δ (Π16)=0.245を得た。ハプロタイプにおける多様性によって説明できない発現レベルの多様性が24.5%あるということで解釈できる。116については、最小−δ −分割Πk,min は、最小の相対残差乖離度を得たkSNPsによるハプロタイプ分割と定義した。kとδ (Π k,min )の関係をΠk,min を含むハプロタイプの数とともに図3にあらわした。k=6とk=7の間で量的な相異は明らかであり、δ (Πk,min )がごく小さな減少しかしなかった[δ (Π6,min )=0.397 vs δ (Π7,min )=0.371]のに対して、Πk,min と相関するハプロタイプの数は13から22に増加した。したがって、Π6,min を定義づけるSNPs1、6、7、9、11及び14はさらなる分析のための手がかりとなる多型の良好な選択物であると結論した。残りのSNPsのうちの6(番号3、4、8、10、12及び16)は、“ごくわずかに情報を与える”と分類されうる。
これらのマーカーは、上記6の手がかりとなるSNPsと協同して、観察された40のハプロタイプのうち39について明らかにし、実質的にすべての説明できる乖離度(δ (Π12,min)=0.245)について説明づける。他の4のSNPs(番号2、5、13及び15)は正規化されたin vitroにおける発現に関して“情報を与えるものではない”、なぜならそれらは我々のサンプル(no.2)においては、単型性であるか或いは他のマーカーと完全に(番号5及び13)又は完全に近い(no.15)連鎖不平衡にあるからである。
【0057】
次に6の手がかりとなるSNPsの相関構造について一連の連続的に成長する(すなわちnested)回帰ツリーを用いて評価した。回帰ツリー分析における慣習(Therneau and Atkinson 1997)に従って、完全に成長したツリーの中の標準誤差の中の1の中のクロスバリデートされたδ を伴う最小の中間ツリーを代表的な分割として選択した。この‘最適の’ツリーは、10の内部分岐及び11の終端分岐点を含むことがわかった(図4、表4)。上記ツリーの相対残差乖離度はδ =0.398に等しく、それによってハプロタイプの分割を通じて説明のつく、(1−0.397)/(1−0.245)≒80%という乖離度を説明づけることができる。
【0058】
1の最も重要な分割はSNP7によるものであり、これは、説明のつく分割の15%を独立して担っている。このSNPのC対立遺伝子を有する4のハプロタイプは、平均の正規化発現レベルでH1よりも1.8倍高い同質のサブグループ(リーフ11)を定義する。SNP7のT対立遺伝子を有するハプロタイプはさらにSNP9によって再分され、この多型の対立遺伝子T(μnor =1.26)は対立遺伝子G(μnor =0.84;Wilcoxon z=7.09、p<0.001)よりも高い発現をおこす。結果としてできたnnTTnnハプロタイプは、SNP6(G/T)により分割され終端分岐点(リーフ8)を形成するnGTTnnを生成し、これは野生型ハプロタイプH1を含む。興味深いことに、SNP11で再分された場合、nTTTnnハプロタイプは、発現レベルにおける劇的な相違を明らかにした。nTTTGn(リーフ9)が低度の発現をおこす(μnor =0.64)一方、ハプロタイプnTTTAn(リーフ10)は最大平均発現を示した(μnor =3.89;Wilcoxon z=5.11、p<0.001)。
【0059】
SNPs7及び9のハプロタイプnnTGnnはSNPs14及び1で再分され、結果としてできたハプロタイプのうちの3は終端分岐点(リーフ1、6、及び7)を形成した。第4のハプロタイプ、GnTGnAはさらにSNPs11及び6により分割される中程度の発現をおこした(μnor =0.86)。興味深いことに、SNPs14及び1の対立遺伝子のただ一つ特別な組み合わせだけがSNP7及び9のnnTGnnをバックグラウンドとして発現を増加させるという結果を生じた(AnTGnG、リーフ7、μnor =1.83)。SNP11の対立遺伝子AはSNP6の対立遺伝子Tと組み合わされた場合、Gよりも高い発現と相関しており(GTTGAA、リーフ5、μnor =1.18 vs GTTGGA、リーフ2、μnor =0.74;Wilcoxon z=7.09、p<0.001)、SNP6の対立遺伝子Gと組み合わされた場合には逆が成り立つ(GGTGAA、リーフ4、μnor =0.74 vs GGTGGA、リーフ3、μnor =1.04;Wilcoxon z=5.28、p<0.001)にもかかわらず、ハプロタイプGnTGnAについて考慮するとSNP6及び11については発現に対する類似の非付加的効果もまた有意であった。
【0060】
ハプロタイプの多様性の進化
本研究において多型であることがわかった15のGH1遺伝子プロモーターSNPsの中で14の位置における選択的対立遺伝子は、遺伝子変換によって説明のつくものであり、なぜなら、それらは4の派生相同なヒト遺伝子のうちの少なくとも1と類似の位置にあるものと同一だからである(表2)。他の10の哺乳動物の真正相同なGH遺伝子プロモーターシークエンスとの比較により、ヒトGH1遺伝子中のヌクレオチド位置−75、−57、−31、−6、+3、+16及び+25(SNP8から15までに対応している)にある最も頻度の高い対立遺伝子は哺乳動物の進化の間に厳格に保存されていたことが明らかとなった(Krawczak et al., 1999 )。おもしろいことに、ヒトGH1遺伝子中の−1位置にある3の選択的対立遺伝子のうち最もまれなもの(SNP12)は、哺乳動物の真正相同な遺伝子中に厳格に保存されたものと同一であった。
【0061】
‘Reduced Median Network’(図5)は、野生型ハプロタイプH1は、1回の突然変異によって他の頻度の高いハプロタイプと直接連鎖されたものでないことを明らかにした。3番目に最もよく生じるハプロタイプ、H3が観察されていないハプロタイプ又は二重突然変異を介してH1に連鎖する一方、2番目に最もよく生じるハプロタイプ、H2、はH23及びH12を経由してH1に連鎖する。さらなるハプロタイプを取り込むためにこのネットワークを拡張することは、ハプロタイプごとの観察数が少ないことにより、信頼できないものと考えた。なおその上に、ネットワークの拡張は、多数の1塩対置換の導入を必然的に伴うものであろう。これらは、前に存在したハプロタイプ間での連続した遺伝子変換と区別できるものでないため、ネットワーク中での結果としての距離は、純粋な進化的関係を反映するものではないだろう。しかし、各突然変異は1回しか起こらないため、これは7の最も頻度の高いハプロタイプを連鎖する図5にあらわされたネットワークのケースであると考えて間違いないであろう。
【0062】
いくつかの注目すべき例外を伴って、物理的距離の連鎖不平衡の一般的な減退が認められた(表5)。したがって、SNP9は、すべての近位プロモーターSNPsと比較的弱いLDにあるSNP16を含む他のSNPsと強いLDにあることがわかった。この発見は、SNP9の起源が比較的遅いことを示唆する。しかし、SNP8はSNP11との方がSNP10よりも、より強いLDにあったのに対して(ρ=0.925 vs 0.687)、SNP10は、SNP12と完全なLDにあったがSNP11とはそうでなかった(ρ=0.381)。これらの例外的な発見は、近位プロモーターSNPs間の現存するLDパターンが、遺伝子組み換えによる距離の崩壊のみにより発生したものではなく、むしろ、反復する突然変異、遺伝子変換又は遺伝子選択のような他のメカニズムの作用を反映するものであるらしいことを示唆する。
【0063】
超最大及び準最小のハプロタイプの予測及び機能試験
ハプロタイプ依存性の近位プロモーター発現データについて得られた‘最適の’回帰ツリーに基づいて、それらの発現レベルの面からの潜在的な“超最大の”及び“準最小の”ハプロタイプを予測することを試みた。この目的のために、上記ツリーの適切なリーフの平均発現レベルを考慮して6の手がかりとなるSNPsの対立遺伝子を選択した(表4)。残りのSNPsの対立遺伝子は、個々のSNPsの発現をそれぞれ最大化又は最小化するように決定した。したがって、超最大のハプロタイプを予測するためにSNPs1及び14の対立遺伝子がリーフ7に含まれる一方、SNPs6、7、9及び11の対立遺伝子はリーフ10に含まれた。準最小のハプロタイプはリーフ1(SNP1、7、9及び14のための)を表すように選んだ。しかし、リーフ2(対立遺伝子T及びGを示唆する)及び4(対立遺伝子G及びAを示唆する)には、類似する低度の平均発現レベルが予想されたため、SNPs6及び11に対する最適の対立遺伝子の選択はややあいまいなものとなった。したがって、in vitro試験のために両者について構築物を作成することとした。残りのSNPsのための仮定のハプロタイプは、超最大ハプロタイプAGGGGTTAT−ATGGAG及び準最小ハプロタイプAG−TTGTGGGACCACT及びAG−TTTTGGGGCCACTとして完成した。
【0064】
これら3の合成ハプロタイプをその後構築し、ラット下垂体細胞中で発現させたところ、野生型(ハプロタイプ1)と比較してそれぞれ145±4、55±5及び20±8%の発現レベルを得た。
【0065】
電気泳動移動度シフト(EMSA)アッセイにより明らかとなったSNP対立遺伝子間の相違
すべての対立遺伝子の変異体のためにすべての近位プロモーターSNP部位においてラット下垂体細胞を核タンパクの供給源として用いてEMSAを実行した。タンパクの相互作用のバンドは、−168、−75、−57、−31、−6/−1/+3及び+16/+25部位において顕著であった(表6)。対立遺伝子内でのタンパク相互作用のバンド数の相違は−75(SNP8)、−57(SNP9)、−31(SNP10)、−6/−1/+3(SNPs11、12、13)及び+16/+25(SNPs14、15)位において顕著であった[図6;表6]。最後の2の部位の場合、特異的なSNP対立遺伝子の組み合わせについてのEMSAアッセイは、特異なタンパク結合が12及び15のSNP部位それぞれにおける対立遺伝子の多様性に寄与しうることを示唆した(表6)。HeLa細胞抽出液を用いて分析をくり返したところ、57位のみがタンパク相互作用の証拠を明らかに示し、それはT対立遺伝子ではなく、G対立遺伝子についてであった(データは示していない)。2の異なるPit−1結合部位に対応するオリゴヌクレオチドを利用した競合実験の結果は、2のSNP8との相互作用タンパクの1がPit−1であることと一致する(図6)。しかし、対立遺伝子特異的なタンパク相互作用が影響を受けずにいることは、含まれる他のタンパクはPit−1でなかったことを意味している。
【0066】
in vitroにおけるプロモーターハプロタイプ発現とin vivoにおける身長との相関
ハプロタイプの特異的なGH1近位プロモーターのin vitroにおける発現を124人の成人男性コーカサス人の身長と相関させることを試みた。各ハプロタイプの平均発現値は、正規化されたin vitroの発現データから求め(表3)、上記2のハプロタイプの平均A =(μnor,h1+μnor,h2)/2を各個体について計算した。H1についてホモ接合性である個体は分析から除いた、なぜならそれらのA 値(1.0)は偶然に生じた多様性に寄与していないであろうからである。好適な遺伝形質を有する109人の身長の既知の個体サンプルを得た(表7)。身長の中央値(1.765m)よりも高い及び低い身長をA 値の中央値(0.9)よりも高い及び低いA 値と比較したところ、身長とin vitroにおけるGH1近位プロモーターのハプロタイプに相関した発現との相関が明らかとなった(X =4.816、1d.f., ρ=0.028)。このことにもかかわらず、2次多項式を用いた回帰分析は上記2のμnor 値が自身の身長の予測について比較的劣ったものであることを示した。決定係数がr =0.033(p>0.5)であったため、in vitroにおけるGH1遺伝子近位プロモーターハプロタイプに関しては身長の分散の約3.3%を占めていると結論しうる。
【0067】
遺伝子座制御領域(LCR)の多型及び近位プロモーターの強度
調査されたグループからランダムに選ばれた100人についてのスクリーニングにおいて3の新規な多型的変化をGH1 LCRの部位I及びII(下垂体特異的な発現に必要である:Jin et al., 1999)中に発見した。これらはヌクレオチド990位(G/A;0.90/0.10)、1144位(A/C;0.65/0.35)及び1194位(C/T;0.65/0.35)に位置していた[Jin et al. 1999 に従って番号をつけた]。1144位及び1194位における多型は全連鎖不平衡にあり、以下の3の異なるハプロタイプ:ハプロタイプA(990G、1444A、1194C;0.55)、ハプロタイプB(990G、1144C、1194T;0.35)及びハプロタイプC(990A、1144A、1194C;0.10)が観察された。
【0068】
上記3のLCRハプロタイプが下流のGH1遺伝子の発現に差次的な効果を及ぼすか否かを決定するために、多数の異なるLCR−GH1近位プロモーター構築物を作成した。上記3の選択的な1.6kb LCRを含むフラグメントをpGL3中、3の異なるタイプの近位プロモーターハプロタイプ、すなわち“高発現プロモーター”(H27)、“低発現プロモーター”(H23)及び“正常発現プロモーター”(H1)、の直接上流にクローン化し、全部で9の異なるLCR−GH1近位プロモーター構築物を得た。これらの構築物をその後ラットGC細胞及びHeLa細胞の両者中で発現させ、その結果としてのルシフェラーゼ活性を測定した。GC細胞中では、LCRの存在は、近位プロモーター単独の場合に比較して、2.8倍まで発現を促進する(表8)。しかし、この反応誘発効果の程度は、連鎖されたプロモーターハプロタイプに依存する。分散二元分析(表9)は、両主要効果及びプロモーター LCR相互反応が有意であり(p<0.0001)、近位プロモーターが主要な効果を及ぼしていることを明らかにした。各プロモーターハプロタイプ個別に実施された95%の有意性レベルにおけるTukeyのスチューデント化された範囲試験の結果もまた表8に含まれる。プロモーターハプロタイプ1と結合することにより、LCRハプロタイプAの活性は、N(近位プロモーターを含むがLCRを欠く構築物)の活性と有意に異なるが、LCRハプロタイプB及びCの活性とはそれほど異ならない;LCRハプロタイプB及びCは互いに、そしてNと有意に異なる。しかし、プロモーター27においては、LCRハプロタイプ間で有意な差は見い出されなかった。LCRを介した発現の誘発は、HeLa細胞中の近位プロモーターハプロタイプにおいては認められなかった(データは示していない)。
【0069】
LCRと近位プロモーターSNPs間の物理的な距離が、物理的なハプロタイプを形成する連鎖を許容するには大きすぎるため、それらの間の連鎖不平衡(LD)を近位プロモーターについてのSNP間LD分析に含まれた100人からの遺伝形質データを用いて最尤法により評価した。プロモーターSNPs及びLCRハプロタイプ間の対のLDはSNP16を除くすべてのSNPsについて高いことが見い出された(表5)。したがって、SNP16は、SNP16と唯一強い連鎖不平衡にあることが発見されたSNPであるSNP9の発生に先立って、くり返し突然変異を受けると結論した。SNPs4、8及び16との連鎖不平衡の面でLCRハプロタイプ間に実質的な相違があることは、ハプロタイプAとは反対にLCRハプロタイプBが比較的若年であることを示唆している。
【0070】
結論
ハプロタイプの分割は、6のSNPs(番号1、6、7、9、11及び14)がGH1遺伝子発現レベルの主要な決定因子であることを、さらなる6のSNPsがごくわずかに情報を与えるものである(番号3、4、8、10、12及び16)こととともに同定した。すべての16のSNPsの機能的特性をEMSAアッセイにより研究し、GH1近位プロモーター中の6の多型性部位が核酸結合タンパクと相互作用することを示した;これら部位のうちの5[−75(SNP8)、−57(SNP9)、−31(SNP10)、−1(SNP12)及び+25(SNP15)]については、選択的対立遺伝子は差次的なタンパク結合を示した。これらの5の部位の中で、SNP9のみが、帰納的分割により、GH1遺伝子発現レベルの主要な決定因子でもあることも同定された。この明らかな矛盾は、全40ハプロタイプ中に現れるすべての遺伝的多様性を考慮した回帰ツリー分析によって説明しうる。さらに、分割手順においては、個々のSNPsは、発現レベルに対するそれらの総効果を基礎として評価され、直接測定可能な機能的特性を通じてではない。これは、対立遺伝子特異的なタンパク結合以外の因子が回帰ツリー中の個々のSNPsの位置を決定するのに働いていた可能性のあることを意味する。
【0071】
GH1遺伝子プロモーターの強度におけるハプロタイプ依存性の相違の分子的基礎は、したがって、複数の転写因子のそれらの同族の結合部位のオルターナティブ配列への特異的な結合の総効果にある。これらの配列は、これらに含まれる、観察されたプロモーターハプロタイプを組み合わせによって構成する多様なSNPsの異なる対立遺伝子に基づいて相異なる。いくつかの転写因子はシス−作用を有するDNA配列モチーフにより直接的に調和させられ、他は3次元のジグソーパズルになぞらえられるタンパク−タンパク相互作用により間接的に調和させられる:DNA配列モチーフはパズルテンプレートを供給し、転写因子はパズルピースを構成する。プロモーターのこのモジュール景観は、一定のハプロタイプ中の異なるSNPの組み合わせの効果が、転写因子の結合、トランスクリプトソームの会合及び従って遺伝子発現に特異的な効果を及ぼすためにどのように伝達されるかを想像することを助ける。したがって、例えばGH1プロモーターSNPsの遺伝子発現に対する観察された非付加的効果は、一定のタンパクの1のSNPにおける対立遺伝子特異的な差次的な結合が今度は2番目のタンパクの別のSNP部位、それ自身対立遺伝子特異的なタンパク結合に働く、への結合に影響することによって理解されうる。
【0072】
GH遺伝子クラスターの上流にあるLCRはエンハンサー活性を有し、発現の組織特異性を与え、そしてヒストンのアセチル化の伝播を通じて長い範囲の遺伝子の活性化を促進する配列要素を有する(Shewchuk et al., 1999; Su et al., 2000; Shewchuk et al., 2001; Ho et al., 2002)。成長ホルモン産生細胞特異的なLCRの決定因子は、GH1遺伝子の−14.5kb上流の1.6kbの領域内(部位I及びII)に存在する(Shewchuk et al., 1999 )。我々のシステムにおいては、この1.6kb LCRフラグメントの導入は、GH1近位プロモーターの活性を2.8倍まで亢進したが、亢進の程度は、連鎖した近位プロモーターハプロタイプの同一性に依存することが発見された。逆に、所定のハプロタイプの近位プロモーター活性の亢進もまた、LCRハプロタイプの同一性に依存することが発見された。合わせて考えると、これらの発見はGH1遺伝子発現における個体間での相違の遺伝的基礎は、非常に複雑であるらしいことを意味している。
【0073】
【表1】
Figure 2004290173
【0074】
【表2】
Figure 2004290173
【0075】
【表3】
Figure 2004290173
【0076】
【表4】
Figure 2004290173
【0077】
【表5】
Figure 2004290173
【0078】
【表6】
Figure 2004290173
【0079】
【表7】
Figure 2004290173
【0080】
【表8】
Figure 2004290173
【0081】
【表9】
Figure 2004290173
【0082】
【表10】
Figure 2004290173

Claims (34)

  1. 個体における成長ホルモン異常の存在又は成長ホルモン異常に対する感受性を診断する方法であって、以下のステップ:
    (a)試験されるべき個体から、成長ホルモン遺伝子(GH1)の近位プロモーター領域をコードする核酸分子の試験サンプルを得ること;
    (b)前記核酸分子を、以下の6のSNP’s:1、6、7、9、11及び14(表1に示す)、のうちの複数又はその対応するハプロタイプ(同様に表1に示す);又はそれとの連鎖不平衡における多型
    について調べること;そして
    (c)複数の前記SNP’s、又はそれらの前記対応するハプロタイプ、或いはそれらの前記対応する多型が存在する場合、前記個体が成長ホルモン異常を患っているか、又は成長ホルモン異常に対する感受性があるかについて決定すること、
    を含む前記方法。
  2. 前記多型が前記遺伝子の遺伝子座制御領域の1144位にある、請求項1に記載の方法。
  3. 前記多型が前記遺伝子の遺伝子座制御領域の1194位にある、請求項1に記載の方法。
  4. 個体における成長ホルモン異常の存在又は成長ホルモン異常に対する感受性を診断する方法であって、以下の:
    (a)試験されるべき個体から、成長ホルモン遺伝子(GH1)の近位プロモーター領域をコードする核酸分子の試験サンプルを得ること;
    (b)前記核酸分子を、以下の表1中のハプロタイプであって番号3、4、5、7、11、13、17、19、23、24、26又は29で示されたうちの1又はそれ以上について調べること;そして
    (c)前記ハプロタイプが存在する場合、個体が成長ホルモン異常を患っているか、又は成長ホルモン異常に対する感受性があるかについて決定すること、
    を含む前記方法。
  5. 上述の前記試験ステップ(b)が前記遺伝子のPCR増幅法を含む、先の請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 以下の:
    GGG AGC CCC AGC AAT GC(GH1F);及び/又は
    TGT AGG AAG TCT GGG GTG C(GH1R)、
    で表わされるプライマーが1又はそれ以上使用される、請求項5に記載の方法。
  7. 前記プライマーが増幅された産物の検出の便宜のためにラベルされる、請求項6に記載の方法。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の診断方法を実行するための好適なキットであって、以下の:
    (a)成長ホルモン遺伝子(GH1)の近位プロモーター領域を検出し、及び/又は増幅するための以下のプライマー:
    GGG AGC CCC AGC AAT GC(GH1F);
    TGT AGG AAG TCT GGG GTG C(GH1R);
    の中の少なくとも1、そして、場合により、
    (b)患者のDNAの望ましい領域を増幅するためのPCRを実行するのに好適な1又はそれ以上の試薬、
    を含む前記キット。
  9. 請求項8に記載のキットであって、ここで1、6、7、9、11及び14と定義されたSNP’sを含む遺伝子の選択された領域に相補的な他のプライマーが付加的に又は代替的に用いられる、前記キット。
  10. 以下のSNP’s:1、6、7、9、11及び14のうち複数を含むGH1の近位プロモーター領域を少なくとも含むベクター。
  11. 前記領域が少なくともSNP’s6及び9を含む、請求項10に記載のベクター。
  12. 前記領域が少なくともSNP’s10及び12を含む、請求項10に記載のベクター。
  13. 前記領域が少なくともSNP’s8及び11を含む、請求項10に記載のベクター。
  14. 前記領域が表1に示された以下のハプロタイプ:3、4、5、7、11、13、17、19、23、24、26又は29のうちのいずれか1又はそれ以上を含むことに特徴を有する、請求項10に記載のベクター。
  15. さらにここで記載された通りGH1遺伝子座制御領域近位プロモーターの融合構築物を含む、請求項10〜14のいずれか1項に記載のベクター。
  16. 請求項10〜15のいずれか1項に記載のベクターであって、前記近位プロモーター領域が、選択された遺伝子のコード領域に機能的に連鎖しており、ここで上記遺伝子において前記近位プロモーターの活性がモニターされることができる、前記ベクター。
  17. 請求項16に記載のベクターであって、前記近位プロモーター領域が成長ホルモン遺伝子(GH1)のコード領域と連鎖している、前記ベクター。
  18. 請求項16又は17に記載のベクターであって、前記遺伝子中の前記近位プロモーター領域が、さらに前記遺伝子の発現及びそれによる前記近位プロモーター領域の活性をモニターすることのできるタグに連鎖している、前記ベクター。
  19. 前記タグがタンパクタグである、請求項18に記載のベクター。
  20. 成長ホルモン遺伝子(GH1)の少なくとも1のさらなる近位プロモーター領域を有する請求項10〜19のいずれか1項に記載のベクター。
  21. 前記追加の近位プロモーター領域が、最初のプロモーター領域と異なる、請求項20に記載のベクター。
  22. 各近位プロモーター領域が異なるコード配列に連鎖している、請求項21に記載のベクター。
  23. 請求項21又は22に記載のベクターであって、各近位プロモーター領域が直接的又は間接的に、前記各プロモーター活性をモニターすることのできる、異なるタグに連鎖している、前記ベクター。
  24. 請求項10〜23のいずれか1項に記載のベクターで形質転換された宿主細胞。
  25. 遺伝子組み換え細胞株であって、レポーター分子を発現するように設計されており、ここで上記レポーター分子の発現は、表1に示す以下のSNP’s:1、6、7、9、11又は14のうちの複数及び/又は以下のいずれの1又はそれを越えるハプロタイプ:3、4、5、7、11、13、17、19、23、24、26又は29を含む成長ホルモン遺伝子の近位プロモーターに制御されている、前記細胞株。
  26. 非ヒトトランスジェニック動物であって、表1に示した以下のSNP’s:1、6、7、9、11及び14のうちの複数を含むGH1プロモーターを有する結果として、及び/又は、前記プロモーターが表1に示した以下のハプロタイプ:3、4、5、7、11、13、17、19、23、24、26又は29のうちの1に特徴を有する結果として、成長ホルモンの過少発現している前記動物。
  27. 前記プロモーターがハプロタイプ23に特徴を有する、請求項26に記載の非ヒトトランスジェニック動物。
  28. 前記プロモーターがハプロタイプ27に特徴を有する、請求項26に記載の非ヒトトランスジェニック動物。
  29. 前記プロモーターがハプロタイプ1に特徴を有する、請求項26に記載の非ヒトトランスジェニック動物。
  30. ハプロタイプAGGGGTTAT−ATGGAGに特徴を有する、成長ホルモン遺伝子(GH1)の合成近位プロモーター領域。
  31. ハプロタイプAG−TTGTGGGACCACTに特徴を有する、成長ホルモン遺伝子(GH1)の合成近位プロモーター領域。
  32. ハプロタイプAG−TTTTGGGGCCACTに特徴を有する、成長ホルモン遺伝子(GH1)の合成近位プロモーター領域。
  33. 成長ホルモン異常の治療に用いることのできる治療的に活性のある薬物のスクリーニングのための方法であって、
    それぞれ請求項24又は25に記載の細胞又は細胞株を候補薬物にさらすこと、そして
    候補薬物が、成長ホルモン遺伝子のプロモーター領域の活性に影響を及ぼしたかどうか、そしてそれにより、細胞株の場合には、レポーター分子の発現に影響を及ぼしたかどうかを決定すること、
    を含む前記方法。
  34. 成長ホルモン異常の治療に用いることのできる、治療的活性のある薬物のスクリーニングのための方法であって、
    請求項27〜30のいずれか1項に記載の非ヒトトランスジェニック動物を候補薬物にさらすこと、そして
    その後、前記動物の成長をモニターすること、そして
    動物の成長によって、候補薬物が正の効果を示した場合には、前記成長は、前記候補薬物の治療的活性を示唆するものであると結論付けること、
    を含む前記方法。
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