JP2004289745A - 動画像復号化方法および装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】他の機能処理と整合しつつCPU計算資源を最大限有効利用できる。
【解決手段】動画像復号化方法は、動画像復号化とそれ以外の処理を同時実行するCPUにより、動画像信号の部分領域毎の動画像符号化データを復号化するものであり、入力符号化データビットストリームからPTS(再生出力時刻管理情報)を抽出するST1と、該ビットストリームから分離の動画像符号化データのSTC(再生基準時刻)を抽出するST2と、PTSとSTCとを比較して、複数処理機能との関係から復号化処理に余裕があるか否かを判定して通常演算量と削減演算量とを切り換えるST3と、ST3で演算量の少ない処理に切り換えられたときに逆量子化処理の後、直交変換係数を逆直交変換処理し、動き補償予測処理する一連の処理における演算量を削減するST4と、ST3で通常演算量の処理に切り換えられたときに逆量子化処理、逆直交変換処理、動き補償予測処理を通常の演算量で処理するST5とを備える。
【選択図】 図1
【解決手段】動画像復号化方法は、動画像復号化とそれ以外の処理を同時実行するCPUにより、動画像信号の部分領域毎の動画像符号化データを復号化するものであり、入力符号化データビットストリームからPTS(再生出力時刻管理情報)を抽出するST1と、該ビットストリームから分離の動画像符号化データのSTC(再生基準時刻)を抽出するST2と、PTSとSTCとを比較して、複数処理機能との関係から復号化処理に余裕があるか否かを判定して通常演算量と削減演算量とを切り換えるST3と、ST3で演算量の少ない処理に切り換えられたときに逆量子化処理の後、直交変換係数を逆直交変換処理し、動き補償予測処理する一連の処理における演算量を削減するST4と、ST3で通常演算量の処理に切り換えられたときに逆量子化処理、逆直交変換処理、動き補償予測処理を通常の演算量で処理するST5とを備える。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、動画像復号化方法および装置に係り、特に復号処理が遅延する可能性の高い状況を事前に察知して演算量を事前に減少させる動画像復号化方法および装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に動画像データの処理に関しては、動画像エキスパートグループ(以下、MPEG―Moving Picture Expert Groupe―とする)の標準に従って行なわれている。例えば、MPEG1、MPEG2、MPEG4などの標準に従って圧縮された動画像符号化データは、ハードウェアによる復号化装置により復号化処理される場合もあるが、中央処理装置(以下、CPU―Central Processing Unit―とする)により、ソフトウェアを用いて復号化処理されることが多い。
【0003】
従来、動画像符号化データの復号をソフトウェアを用いて行なう場合、CPUの処理能力を超える動画像データが復号化装置に供給された場合、処理しきれない動画像符号化データの一部分を破棄して音声データのみを復号・再生したりすることにより、いわゆる動画像をコマ落ちさせてリアルタイム性を維持するようにしていた。
【0004】
また、特許文献1に記載されているように、MPEG標準におけるマクロブロックの内容のような動画像に関する情報を解析し、マクロブロック毎に動きの激しい情報か否かを判定して、動きの激しいマクロブロックについては逆離散コサイン変換(以下、IDCT―Inverse Discrete Cosine Transform ―とする)の処理を切り換えてIDCTの演算量が少なくなるように処理を変更することにより、画質の劣化を最小限にして演算量の少ない動画像信号処理を行なう方法もある。
【0005】
しかしながら、この特許文献1に開示された方法によれば、動画像の情報のみに基づいて復号処理を切り換えているため、カーナビゲーション装置、携帯情報端末、携帯電話端末などのシステムにおける一機能として動画像復号化装置が用いられている場合には、動画像復号化処理についてのみCPUの演算量を制御したとしても、CPUが他の機能について処理しているときにはCPUへの負荷が過重になってしまい、割り当て可能なCPUの計算資源が変動する場合には適切な復号化処理を行なうことができないという問題があった。
【0006】
例えば、上述したカーナビゲーションシステム、携帯情報(電話)端末などでは、動画像復号化と同時に、例えば音声符号化データの復号化処理、通信処理およびスケジュール管理処理などのような他の種々の処理を行なっており、これらの処理は動画像データの復号化処理よりも優先的に行なわれる必要がある場合も多くなっている。例えば、音声符号化データの復号化処理の場合、人間の感覚としては画像が途切れるよりも音声が途切れることの方が不快感を受けるので、動画像符号化データの復号化処理よりも音声符号化データの復号化処理の方が優先される。
【0007】
符号化データを復号化する際には、画面を幾つかの画素単位で分割した部分領域に分けて領域単位の逆量子化や逆直交変換等の処理を行なうようにしている。このような部分領域としてマクロブロック(MB)と呼ばれる単位があり、このマクロブロックに関しては特許文献2にも説明されている。特許文献2には、直交変換を正方形ブロック単位で行なう技術が開示されている。
【0008】
また、通信対象となる情報が欠落すると通信そのものが支障を来すことになるので、通信処理も動画像符号化データの復号化処理よりも優先的に行なわれることになる。このような場合、マクロブロックの内容による符号化方法の切り換えだけでは対処することができず、システムの状況に応じた適切な復号化処理を選択することはできなかった。また、動画像の判定をマクロブロックの内容を解析して行なっているので、解析処理そのもののためにCPU負荷を消費してしまって、復号化処理に割り当てるCPUの計算資源を消費してしまうという問題があった。
【0009】
【特許文献1】
特開2002−232881号公報
【特許文献2】
特開平8−18968号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、従来の動画像復号化方法および装置によれば、動画像符号化データの部分領域毎に動きの激しさを判定して、動きの激しさの増加に応じて部分領域毎の復号化処理を演算量の少ない処理に変更しているが、CPUが他の処理も行なう機能を有するシステムにおいては動画像符号化データの復号化処理よりも優先的に行なう必要のある処理が存在している場合には、システム全体としてはCPUの計算資源が制約されるという問題があった。
【0011】
本発明は、CPUが他の優先処理機能を有している場合に、動画像符号化データの復号化処理を複数段階の精度で複数種類用意しておいて、再生の基準となる同期情報と動画像情報の再生出力の時刻の管理情報との比較による遅延の状況から何れかの復号化処理を行なうようにすることにより、他の機能処理との整合のもとでCPUの計算資源を最大限に有効に利用することのできる動画像復号化方法および装置を提供することを目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の第1基本構成に係る動画像復号化方法は、少なくとも動画像復号化の処理と該動画像復号化以外の処理とを同時に実行するマイクロコンピュータシステムを用いて、動画像信号の部分領域毎に得られた予測誤差信号の量子化直交変換係数と、該部分領域毎に得られた動きベクトル情報とを含む動画像符号化データを復号化する動画像復号化方法であって、入力された前記符号化データビットストリームから再生基準時刻を分離して抽出する第1ステップと、入力された前記符号化データビットストリームから分離された動画像符号化データに含まれる再生出力の時刻管理情報を抽出する第2ステップと、分離された前記再生基準時刻と取り出された再生出力の時刻管理情報とを比較して、前記複数の処理機能のうちの少なくとも1つの処理機能との関係から復号化処理に余裕があるか否かにつき判定を行なって、復号化処理に余裕がないものと判定したときに前記復号化処理を演算量の少ない処理を選択して切り換える第3ステップと、前記第3ステップで演算量の少ない処理を選択したときに、前記動画像符号化データから抽出された前記部分領域毎の量子化直交変換係数を逆量子化して直交変換係数を生成する逆量子化処理を行なった後、この逆量子化して得られた前記直交変換係数に対して逆直交変換を施して予測誤差信号を生成する逆直交変換処理と、前記予測誤差信号に対して前記動画像符号化データから抽出された動きベクトル情報を用いて部分領域毎に動き補償を施して復号化画像信号を生成する動き補償予測処理の少なくとも一方の処理における演算量を削減する第4ステップと、前記第3のステップで演算量の少ない処理を選択しなかったときに、前記逆量子化処理、逆直交変換処理、動き補償予測処理を通常の演算量で行なう第5ステップとを備えている。
【0013】
また、本発明の第2基本構成に係る動画像復号化装置は、少なくとも動画像復号化の処理と該動画像復号化以外の処理とを同時に実行するマイクロコンピュータシステムに搭載されると共に、動画像信号の部分領域毎に得られた予測誤差信号の量子化直交変換係数と、該部分領域毎に得られた動きベクトル情報とを含む動画像符号化データを復号化する動画像復号化装置であって、入力された前記符号化データビットストリームから再生基準時刻を分離して抽出する基準時刻分離手段と、入力された前記符号化データビットストリームから分離された動画像符号化データに含まれる再生出力の時刻管理情報を抽出する時刻管理情報抽出手段と、分離された前記再生基準時刻と抽出された再生出力の時刻管理情報とを比較して、前記複数の処理機能のうち復号化処理以外の少なくとも1つの処理機能の処理量に基づくシステム負荷との関係から復号化処理に余裕があるか否かについて判定する負荷判定手段と、前記動画像符号化データから抽出された前記部分領域毎の量子化直交変換係数を逆量子化して直交変換係数を生成する逆量子化手段と、前記負荷判定手段により演算量の少ない処理が選択されたときに、前記逆量子化手段により逆量子化して得られた直交変換係数に対して逆直交変換を施して予測誤差信号を生成する逆直交変換処理と、前記予測誤差信号に対して前記動画像符号化データから抽出された動きベクトル情報を用いて部分領域毎に動き補償を施して復号化画像信号を生成する動き補償予測処理の少なくとも一方の処理における演算量を削減する演算量削減手段と、前記負荷判定手段により演算量の少ない処理を選択されなかったときに逆量子化処理、逆直交変換処理、動き補償予測処理を通常の演算量で行なう通常演算量処理手段とを備えるものである。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について添付図面を用いて詳細に説明する。本発明の具体的な実施形態を説明する前に、本発明の基本的な構成としての第1実施形態に係る動画像復号化方法および装置について、図1および図2を参照しながら説明する。
【0015】
本発明の第1実施形態に係る動画像復号化方法は、少なくとも動画像復号化の処理と該動画像復号化以外の処理とを同時に実行するマイクロコンピュータシステムを用いて、動画像信号の部分領域毎に得られた予測誤差信号の量子化直交変換係数と、該部分領域毎に得られた動きベクトル情報とを含む動画像符号化データを復号化する動画像復号化方法である。
【0016】
第1実施形態の復号化方法は、図1のフローチャートに示すように、入力された前記符号化データビットストリームから再生基準時刻を分離して抽出する第1ステップST1と、入力された前記符号化データビットストリームから分離された動画像符号化データに含まれる再生出力の時刻管理情報を抽出する第2ステップST2と、分離された前記再生基準時刻と取り出された再生出力の時刻管理情報とを比較して、前記複数の処理機能のうちの少なくとも1つの処理機能との関係から復号化処理に余裕があるか否かにつき判定を行なって、復号化処理に余裕がないものと判定したときに前記復号化処理を演算量の少ない処理を選択して切り換える第3ステップST3と、前記第3ステップST3で演算量の少ない処理を選択したときに、前記動画像符号化データから抽出された前記部分領域毎の量子化直交変換係数を逆量子化して直交変換係数を生成する逆量子化処理を行なった後、この逆量子化して得られた前記直交変換係数に対して逆直交変換を施して予測誤差信号を生成する逆直交変換処理と、前記予測誤差信号に対して前記動画像符号化データから抽出された動きベクトル情報を用いて部分領域毎に動き補償を施して復号化画像信号を生成する動き補償予測処理の少なくとも一方の処理における演算量を削減する第4ステップST4と、前記第3のステップST3で演算量の少ない処理を選択しなかったときに逆量子化処理、逆直交変換処理、動き補償予測処理を通常の演算量で行なう第5ステップST5とを備えている。
【0017】
第4ステップST4および第5ステップST5は、逆量子化ステップ、逆直交変換(IDCT)ステップ、動き補償ステップをそれぞれ有している。第5ステップST5は、通常の演算量のままで動画像復号化処理を行なう処理ステップであり、逆量子化処理ステップST45と、通常の演算量の逆直交変換処理を行なう通常の逆直交変換処理ステップST51と、通常の演算量のままで動き補償予測処理を行なう通常の動き補償予測処理ステップST52と、を備えている。
【0018】
また、第4ステップST4は、演算量を通常より削減して動画像復号化処理を行なう処理ステップであり、逆量子化処理ステップST45と、通常の逆直交変換処理ステップST51における演算量の例えば半分程度の第1の所定演算量で逆直交変換処理を行なう第1省略演算処理サブステップST41と、通常の演算量に対して例えば1/4程度の第2の所定演算量で逆直交演算処理を行なう第2省略演算処理サブステップST42と、通常の演算量よりも削減された演算量で動き補償予測処理を行なう省略動き補償予測処理サブステップST43と、を備えている。
【0019】
以上の基本構成を備える第1実施形態に係る動画像復号化方法の概要について説明する。MPEG1、MPEG2、MPEG4などの圧縮された動画像符号化データは、ソフトウェアを用いて上記マイクロコンピュータにより復号化されている。このマイクロコンピュータは、上述したように、動画像の復号化処理以外にも多くの機能を合わせて搭載しており、多くの場合、それぞれの機能はソフトウェアで実装したCPUにより処理されている。
【0020】
例えばカーナビゲーション装置においては、DVD(Digital Versatile Disc)の再生と同時に車両の現在位置に関する座標計算処理や道路交通情報通信システム(VICS―Vehicle Information and Communication System―)受信処理などの諸機能が動作する。携帯電話端末では、動画付メールの再生について、動画像復号化処理を行なうのと同時に通信処理などの動作を行なっている。これらの装置においては、動画像符号化データの復号化処理をソフトウェアにより処理しているために、CPUの処理能力が復号化処理に追いつかない場合には再生された映像がコマ落ちするなどの影響が出ることになる。
【0021】
CPUが動画像の復号化処理以外の諸機能を並行して処理するこれらのシステムにおいては、復号化処理の実行に影響を与える要因として、以下のような理由が考えられる。第1に、ソフトウェアを用いて復号する場合、ナビゲーション機能、ネットワーク通信機能などの動画像復号化処理以外の機能によるCPUへの負荷によって、動画像復号化処理に割り当てることが可能なCPUの能力が変動することになる。
【0022】
また、第2に、動画像符号化データの情報量は、例えば1秒当たりのビット数(bps―bit per second―)等により表されるが、MPEG2などで可変速度(VBR―Variable Bit Rate ―)を指定した場合などにおいては、時々刻々と変動しているので、この変動する情報量により復号化処理のために必要とされるCPUの能力も変動することになる。
【0023】
上述したように、従来の動画像復号化方法および装置においては、上記第1および第2の理由により復号化に遅延が発生する場合には、処理しきれない動画像符号化データを破棄して、いわゆる映像のコマ落ちを発生させることによりリアルタイム性を維持していた。
【0024】
これに対して、本発明の第1実施形態では動画像復号処理を複数種類用意しておいて、再生の基準となる同期情報と、動画像の再生出力における時刻の管理情報と、を比較して、その比較結果から遅延の状況を判定し、その発生理由が上記第1の理由か第2の理由であるかを判断するような判断処理ステップを設けて、その判断処理結果に応じて動画像復号化処理を最適なものに切り換えている。したがって、CPUの復号化処理動作に遅延が発生する場合には演算量の少ない復号化処理に切り換えて実行することが可能となる。
【0025】
これら切り換えられる複数の復号化処理は、例えば以下の具体的な実施形態においても詳細に説明するように、4×4IDCT処理、4×8IDCT処理、片方向動き補償(MC ―Motion Compensation―)等であり、復号化の精度は低下するがそれに比例して演算量も少なくなる。このように、動画像の復号の状況に基づいて、リアルタイムに復号化処理を切り換えて動画像の再生を可能としている。
【0026】
なお、本願に特有の構成ではないが、第1実施形態に係る動画像復号化方法においては、復号処理に余裕があるか否かを判定するステップST3の判定内容の1つとして、CPUの演算処理能力におけるCPU資源の余裕が完全にない場合には、通常の演算量による復号化処理(ステップST5)も削減された演算量による復号化処理(ステップST4)も行なわないで、動画像の復号化処理を全く行なうことなく処理を終了するようにしても良い。
【0027】
また、本発明の第2実施形態に係る動画像復号化装置10は、少なくとも動画像復号化の処理と該動画像復号化以外の処理とを同時に実行するマイクロコンピュータシステム(CPU)1に搭載されている。このマイクロコンピュータシステム1は、動画像復号化処理以外の各種の処理として、音声符号化データを復号化する音声復号化装置2や、その他の符号化データの復号化処理や、またはカーナビゲーション・システムとしてのGPS(Global Positioning System) ナビゲーション機能における各種の処理や、ネットワーク通信における送受信機能に関する処理などをそれぞれ行なう各種処理装置3,4がソフトウェアにより搭載されている。
【0028】
これらの各種処理装置は同時に動作可能なように搭載されているが、マイクロコンピュータ1は、入力した符号化データを例えば音声符号化データや動画像符号化データなどに分離する分離部5に設けられて入力された符号化データビットストリームから再生基準時刻を分離して抽出する基準時刻分離手段6と、動画像信号の部分領域毎に得られた予測誤差信号の量子化直交変換係数と、該部分領域毎に得られた動きベクトル情報とを含む動画像符号化データを復号化する動画像復号化装置10をも搭載している。
【0029】
この第2実施形態に係る動画像復号化装置10の詳細な構成を説明する。動画像復号化装置10は、入力された前記符号化データビットストリームから分離された動画像符号化データに含まれる再生出力の時刻管理情報を抽出する時刻管理情報抽出手段11と、分離された再生基準時刻と抽出された再生出力の時刻管理情報とを比較して、前記複数の処理機能のうち復号化処理以外の少なくとも1つの処理機能の処理量に基づくシステム負荷との関係から復号化処理に余裕があるか否かについて判定する負荷判定手段12と、入力された動画像符号化データのビットストリームにおける可変長符号を復号化する可変長符号復号化部13と、この可変長符号復号化部13より出力された動画像符号化データから抽出された部分領域毎の量子化直交変換係数を逆量子化して直交変換係数を生成する逆量子化手段14とを備えている。
【0030】
動画像復号化装置10は、さらに、負荷判定手段12による再生基準時刻と時刻管理情報との比較結果から演算量の少ない処理が選択されたときにこれ以降の復号化処理を切り換える切換部15と、負荷判定手段12により演算量の少ない処理が選択されないで切換部15により通常の処理が設定されたときに逆量子化処理、逆直交変換処理、動き補償予測処理を通常の演算量で行なう通常演算量処理手段16と、負荷判定手段12による再生基準時刻と時刻管理情報との比較結果から演算量の少ない処理が選択されて切換部15により演算量の少ない処理が設定されたときに逆量子化手段14により逆量子化して得られた直交変換係数に対して逆直交変換を施して予測誤差信号を生成する逆直交変換処理と、前記予測誤差信号に対して前記動画像符号化データから抽出された動きベクトル情報を用いて部分領域毎に動き補償を施して復号化画像信号を生成する動き補償予測処理の少なくとも一方の処理における演算量を削減する演算量削減手段17と、を備えている。
【0031】
動画像復号化装置10は、通常演算処理手段16または演算量削減手段17の何れかから出力された復号化画像を蓄積して基準時刻と時間管理情報とが一致したときに出力する遅延バッファ18と、遅延バッファ18のデータと可変長符号復号化部13のデータとを蓄積して動き補償予測のために出力する画像バッファ19とを備えている。
【0032】
通常演算処理部16は、切換部15を介して入力される通常の演算量の動画像符号化データを逆直交変換する第1の逆直交変換部(IDCT)21と、通常の演算量で動き補償予測処理を行なう第1の動き補償予測部(MC)24と、を備えている。演算量削減手段17は、通常の例えば半分に演算量を削減して逆直交変換を行なう第2の逆直交変換部(IDCT)22と、通常の例えば1/4に演算量を削減して逆直交変換を行なう第3の逆直交変換部(IDCT)23と、第2または第3のIDCT22または23の逆変換出力に対して動き補償予測処理を行なう第2の動き補償予測部(MC)25と、を備えている。
【0033】
以上の構成を有する第2実施形態に係る動画像復号化装置10は、動画像符号化データから抽出された前記部分領域毎の量子化直交変換係数を逆量子化して直交変換係数を生成し、逆量子化して得られた前記直交変換係数に対して逆直交変換を施して予測誤差信号を生成し、この予測誤差信号に対して前記動画像符号化データから抽出された動きベクトル情報を用いて部分領域毎に動き補償を施して復号化画像信号を生成している。この演算処理は、通常の演算量と削減された演算量との何れかで行なわれるが、その判断は、負荷判定手段12が、入力された前記動画像符号化データに含まれる再生出力に関する時刻管理情報(以下、PTS ―Presentation Time Stamp―)と前記復号化画像情報における再生基準時刻(STC)とを比較して、前記複数の処理機能のうちの少なくとも1つの処理機能との関係から復号化処理に余裕があるか否かを判定することにより、復号化処理に余裕がないものと判定されたときに、切換部15は復号化処理を演算量の少ない処理に切り換えることにより実現されている。
【0034】
以上のような構成を有する第2実施形態に係る動画像復号化装置によっても、第1実施形態と同様に、CPUの演算処理能力に一定の制限がある場合に、動画図符号化データのビットストリームに含まれる時刻管理情報(PTS)と時間管理部4により取り出された基準同期情報(STC)とを比較して、動画像符号化データの復号化処理が基準となる時間内に処理されていないときに演算量の少ない復号化処理を行なっている。
【0035】
以上説明した第1および第2実施形態は、本発明の基本的な構成を含む動画像復号化方法および装置であるが、CPUの処理している情報量の多寡により切り換えられる復号化処理の具体的な内容については詳述されていない。そこで、復号化処理の具体的な内容を含む詳細な実施形態について以下に説明する。
【0036】
図3および図6は、本発明の第3実施形態に係る動画像復号化装置および方法を示すブロック構成図、フローチャート、説明図である。図において、第1および第2実施形態に係る動画像復号化方法および装置と同一符号を付した構成要素は、同一または相当する構成要素を示すものとする。第3実施形態に係る動画像復号化装置10は、パーソナルコンピュータ(PC)のようなコンピュータシステム(CPU)あるいは情報通信端末などに適用され、記憶装置に保持されたコンピュータプログラムに従ってソフトウェアにより実現されている。また、この動画像復号化装置10は、代表的なディジタル動画像符号化方式であるMPEG(MPEG1,MPEG2,MPEG4)標準に対応しており、動画像符号化データであるMPEGビットストリームを復号化するために用いられている。
【0037】
図3に示すように、MPEG復号装置用CPU1は、図示されない通信処理部より供給されたビットストリームを音声ビットストリーム、ビデオビットストリーム、基準同期情報に分離する分離部5と、分離された音声ビットストリームを復号化して音声ストリームを出力する音声復号器2と、分離されたビデオビットストリームを復号化して、ビデオストリームを出力するビデオ復号器10と、分離された基準同期情報としてのシステムタイムクロック(STC ―System Time Clock―)を音声復号器2とビデオ復号器10とに出力するシステムデコーダ6とを備えている。
【0038】
ビデオ復号器10は、図4に示すように、入力されたビデオビットストリームから再生出力の時刻管理情報であるPTSを抽出する管理情報抽出部11と、基準時刻分離部(システムデコーダ)6より分離供給されたSTC(基準時刻)と管理情報抽出部11により抽出されたPTS(再生出力の時刻管理情報)とを比較してシステムの負荷を判定するシステム負荷判定部12と、入力されたビデオビットストリームに含まれる可変長符号を復号化して量子化DCT係数を出力する可変長復号化部13と、量子化DCT係数により逆量子化を行なう逆量子化部14と、逆量子化されたDCT係数をシステム負荷判定部12の切り換え出力により切り換える切換部15と、通常の演算量のときに逆直交変換を行なう第1のIDCT21と、削減された演算量によって逆直交変換を行なう第2のIDCT22と、第1または第2のIDCT21または22から出力された予測誤差に対して可変長復号化部13からの動き補償モード情報により動き補償予測処理を行なう動き補償予測部24と、基準時刻分離部6からのSTCに同期させて動き補償予測処理が行なわれた復号動画像信号を出力する遅延バッファ18と、動き補償予測部24の出力を一時的に蓄積して可変長復号化部13からの動きベクトル情報により動き補償予測部24にフィードバックする画像バッファ19とを備えている。
【0039】
ビデオ・ビットストリームは以下のようにして得られる。図3に示すように、MPEGビットストリームは、まず分離部(DEMUX)5に入力される。この分離部5において、音声ビットストリーム、ビデオ・ビットストリーム、基準となる同期情報(STC)に分離され、音声ビットストリームは音声復号器2へと供給され、ビデオ・ビットストリームはビデオ復号器10へと供給され、STCは音声復号器2とビデオ復号器10とに入力される。このときビデオ復号器10は、入力されたビデオ・ビットストリームと、STCおよびビットストリーム内の再生出力管理情報(PTS)から図4に示す構成のビデオ復号器10によりビデオ信号の復号を行ない、ビデオ出力として復号後のビデオ・ビットストリームを出力する。
【0040】
図4に示すビデオ復号器10に入力されるビデオ・ビットストリームは以下のようにして得られる。まず、入力動画像信号に対してマクロブロック(MB)と呼ばれる部分領域単位で動き補償が行なわれることによって、予測信号との誤差である予測誤差信号が生成される。この予測誤差信号に対して、直交変換である離散コサイン変換(DCT ―Discrete Cosine Transform―)がブロックと呼ばれる部分領域単位で行なわれることによって、直交変換係数であるDCT係数が生成され、さらに量子化が行なわれる。量子化DCT係数は可変長符号化部によって可変長符号化されている。
【0041】
可変長符号化部はさらに、量子化DCT係数とは別個に、マクロブロック毎の動き補償モードを表す動きモード情報および動きベクトル情報も可変長符号化している。量子化DCT係数、動き補償モード情報、動きベクトル情報にそれぞれ対応する各符号語が多重化されることによって、最終的にMPEGビットストリームが生成される。このMPEGビットストリームが図3に示すMPEG復号装置1に供給されている。
【0042】
以下、図3および図4に示す装置の構成と図3に示すフローチャートを参照しながら第3実施形態に係る動画像復号化方法および装置について説明する。まず図3において、MPEG復号装置1は、DVDやハードディスクなどの記憶媒体から読み出されたり、ディジタル放送信号から抽出されたりしたMPEGビットストリームを入力する。入力されたMPEGビットストリームは、分離部(DEMUX)5により、音声ビットストリーム、ビデオ・ビットストリーム、基準となる同期情報(STC ―System Time Clock―)に分離されて、音声ビットストリームは音声復号器2へと供給され、ビデオ・ビットストリームはビデオ復号器10へと供給され、STCはシステムデコーダ6を介して音声復号器2とビデオ復号器10とにそれぞれ供給されている。
【0043】
次に、図4に示すように、ビデオ復号器10に入力されたビデオ・ビットストリームは、まず、可変長復号化部13に入力される。可変長復号化部13は、MPEGビットストリーム中の各符号語に対応する情報シンボルを復号化することによって、量子化DCT係数、動き補償モード情報、動きベクトル情報を分離して抽出する。可変長復号化部13の出力のうち、量子化DCT係数に対しては逆量子化部14により逆量子化が行なわれ、ブロック単位でDCT係数が生成される。DCT係数は、システム負荷判定処理部12により制御されるIDCT処理選択スイッチ15を介して第1または第2のIDCT部21または22の何れかに入力される。
【0044】
入力されたビデオ・ビットストリームは、管理情報抽出部11にも供給され、この管理情報抽出部11によりビットストリーム内の再生出力の時刻管理情報であるPTSをシステム負荷判定処理部12に出力する。システム負荷判定処理部12は、基準時刻分離部6により分離された再生の基準時刻であるSTCと、管理情報抽出部11により抽出された再生出力の時刻管理情報であるPTSとを比較して、逆直交変換や動き補償予測などの動画像復号化処理における演算量を通常の演算量で行なうか削減された演算量で行なうかを判定する。このとき、図5に示すフローチャートのアルゴリズムにより、システム負荷判定処理部12における判定処理は、IDCT処理選択スイッチ15の切換制御により行なわれている。
【0045】
図5のフローチャートに示すように、ステップST1においてSTC(再生基準時刻)を基準時刻分離部(システムデコーダ)6より受け取っている。ステップST2においては、ビデオビットストリームから管理情報抽出部11によりPTS(再生出力の管理情報)を取り出している。ステップST3において、ステップST1で取り出したSTCとステップST2で取り出したPTSとを比較して、PTSがSTCに関連するあるしきい値よりも前の時刻であるか後の時刻であるかを判定することによりシステム負荷判定処理が行なわれる。
【0046】
判定の結果、PTSがSTCと比較してあるしきい値よりも後の場合、すなわちステップST3で「NO」と判定された場合には、ステップST4へ進んで、CPUの計算資源に余裕がないものと判断して、例えば4×4のブロック数に削減された第2の逆離散コサイン変換部IDCT22に切り換える。逆に判定の結果、PTSがSTCを比較してあるしきい値よりも前の場合、すなわちステップST3における判定が「YES」である場合には、ステップST5に進んで、CPU負荷に余裕があるものと判断してIDCT処理を通常のMPEGに規定されるブロック数で復号化処理を行なう。
【0047】
ステップST5において、第1のIDCT部21はMPEG規格に規定された通常のIDCT(離散コサイン逆変換)処理を行なうように構成され、CPUに余裕がある場合に適用される。CPU負荷に余裕がないと判定された場合、ステップST4において、第2のIDCT部22により演算量を適宜削減して復号化が行なわれる。具体的には、図6に示すように、8×8個のDCT係数のうち、高周波成分である左上の4×4=16個の黒丸部分のみをDCT係数とみなして残りの白丸部分の48個については0とみなして計算を省略する。このようにすることにより、演算量は削減することができる。
【0048】
動き補償予測後に復号化された画像が出力される。このときにもSTCが参照され、STCとPTSが一致したときに遅延バッファ18から画像が出力されることになる。ここで、あるしきい値以上の遅延がある場合には、次のビデオ復号を省略して、コマ落ちさせる等の判定を行なっている。
【0049】
以上説明した第3実施形態に係る動画像復号化方法および装置は、図6に示すように、8×8個のDCT係数を4×4個のDCT係数に削減して演算量を減少させていたが、本発明はこれに限定されず、図7に示すように、4×8個のDCT係数のみを演算対象とみなし、残り半分を0とみなして演算量を約半分にすることもできる。
【0050】
図7は、このような第4実施形態に係る動画像復号化方法および装置を示す説明図である。第4実施形態に係る動画像復号化装置は、図3,図4と同一の構成を有している。また、図5に示すフローチャートと同様の処理ステップを有している。異なる点は、第3実施形態が図6に示すような8×8個のDCT係数に対して4×4=16個のDCT係数を用いていたのに対して、図7の第4実施形態は、4×8=32個のDCT係数を用いていることである。
【0051】
この第4実施形態に係る動画像復号化方法および装置において、4×8個のDCT係数を用いている理由は、第3実施形態の4×4個のDCT係数の場合、逆離散コサイン変換後に得られる画像サイズが8×8個の画像サイズの1/4になってしまい、復号後の拡大表示の計算を行なうのが煩雑となるが、この第4実施形態のように4×8個のDCT係数を用いると、画像サイズは演算量を削減しなかった場合の1/2となるため、復号後の画像の拡大表示の計算を行なうのが容易となるからである。
【0052】
第5実施形態に係る動画像復号化方法およびビデオ復号器の構成が、図8に示されている。図8において、逆直交変換部は第1のIDCT部21,第2のIDCT部22,第3のIDCT部23の3つ実装されている。その他の構成要素は第1ないし第4実施形態における構成要素と同様なので、同一符号を付して重複説明を省略する。
【0053】
第1のIDCT部21は、通常のMPEGの規格通りに8×8個のDCT係数によりIDCTの処理を行ない、第2のIDCT部22は、4×8個のDCT係数によりIDCTの処理を行ない、第3のIDCT部23は、4×4個のDCT係数によりIDCTの処理を行なっている。
【0054】
システム負荷判定処理部12が行なう処理は、図9のフローチャートのように行なわれている。まず、ステップST1で再生基準時刻STCを取り出し、ステップST2で再生出力の管理情報PTSが取り出される。ステップST3でPTSとSTCとを比較することにより、再生出力時刻の遅れがその度合いと共に判定される。すなわち、PTS<STCの場合には第1のIDCT部21を用いてステップST5のように通常の逆直交変換が行なわれる。
【0055】
ステップST3の判定により、あるしきい値の範囲内にあり遅延の度合いがそれほど遅延していない場合(PTS>STC)には、4×8個のDCT係数により、ステップST41のように、第2のIDCT部22を用いて逆直交変換を行なう。また、ステップST3の判定により、より遅延の度合いが大きくて、あるしきい値以上の場合(PTS>>STC)には、4×4個のDCT係数によってステップST42のように第3のIDCT部23を用いて逆直交変換を行なっている。このように、遅延の度合いにより、第1ないし第3のIDCT部21ないし23を切り換えて、ステップST5,ST41,ST42のように異なるDCT係数を用いて復号化処理を行なうことができ、CPUの計算資源が不足している場合に削減された計算量を2段階選択して処理を行なうことができる。
【0056】
第3ないし第5実施形態は、何れも逆直交変換を2つまたは3つの複数のIDCT部により行なう例を説明したが、本発明はこれに限定されず、動き補償予測部を複数設けるようにしても良い。図10および図11に示す第6実施形態は、動き補償予測部を複数備えている。図10で前の実施形態と同一符号を付した構成要素は、同一または相当する構成要素を示している。
【0057】
図10に示すように、可変長符号復号化部13より出力された量子化DCT係数は逆量子化部14に入力され量子化されてDCT係数を逆直交変換部20に出力する。逆直交変換部20は、DCT係数にIDCT処理等を行なって予測誤差を出力する。システム負荷判定処理部12がPTSとSTCとの比較により通常の演算量で処理することが難しいと判定した場合には、判定処理部12からの制御信号により切換部15が切り換えられて第1の動き補償予測部24から第2の動き補償予測部25へと切り換える。第1の動き補償予測部24は、MPEGの規格に規定されたように、時間軸に対して前後する双方向の画像から動き補償を行なう通常の動き補償予測処理を行なっている。これに対して、第2の動き補償予測部25は、一方向からのみ動き補償を行なう片方向動き補償処理を行なっており、この意味で動き補償においても計算量の削減が可能となる。
【0058】
図11は、片方向の動き補償予測処理を示す説明図であり、同図において、左側の画面の左下隅よりに位置する部分領域(メッシュ表示された部分)が右側の画面では右上隅寄りに移動している。このときの動き補償処理は、原位置と移動後の位置との画素値を加算して復号化されたマクロブロックが得られる。
【0059】
図12は第6実施形態の動作を示すフローチャートである。図12において、ステップST1では再生基準時刻STCが取り出され、ステップST2で再生出力の管理情報PTSが取り出される。ステップST3では、管理情報PTSが再生基準時刻STCから遅れていないか否か、すなわちCPUの能力に余裕があるか否かが判断される。管理情報PTSが基準時刻STCから遅れている場合、すなわちステップST3の判断結果がNOの場合には、ステップST4に進み、削減された演算量で片方向の動き補償予測処理が行なわれる。PTSがSTCよりも遅れていない場合すなわちステップST3での判断結果がYESの場合には、ステップST5へ進んで、通常の演算量で双方向の動き補償予測処理が行なわれる。
【0060】
以上のように、動画像復号化処理を削減した演算量で処理する場合に、逆直交変換処理の演算量を削減しても、動き補償予測処理の演算量を削減しても何れでも良い。また、第1実施形態および第2実施形態では若干触れたが、演算量を削減させる場合に、逆直交変換処理の演算量と動き補償予測処理の演算量の両方を削減するようにしても良い。
【0061】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように、本発明に係る動画像復号化方法および装置によれば、復号化の性能が不充分であるために映像にコマ落ちなどが発生する虞がある場合でも復号化の遅延状況を監視して、復号化の処理を切り換えて精度を落とした復号化を行なうことができるので、コマ落ちが少なく視聴者にとって違和感のない動画像の再生が可能となる。
【0062】
また、動画像情報の処理の遅延状況を比較・判断する手段は、復号化される動画像の再生時刻とシステムの基準時刻との比較により行なっているので、マクロブロックの解析などを行なうことにより実際の復号化の状況を検出して復号化の処理を切り換える従来の方法と比べて、CPUの計算資源を消費することなく復号化の演算量を切り換えることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係る動画像復号化方法の処理の流れを説明するフローチャートである。
【図2】本発明の第2実施形態に係る動画像復号化装置の基本構成を示すブロック構成図である。
【図3】本発明の第3〜第6実施形態に係る動画像復号化装置に適用されるビデオ復号器が設けられるMPEG復号装置の構成を示すブロック構成図である。
【図4】第3、第4実施形態に係る動画像復号化装置としてのビデオ復号器の構成を示すブロック構成図である。
【図5】第3実施形態に係る動画像復号化方法における処理手順を示すフローチャートである。
【図6】第3実施形態に係る動画像復号化方法および装置によるIDCTにおけるマクロブロックを示す説明図である。
【図7】本発明の第4実施形態に係る動画像復号化方法および装置によるIDCTにおけるマクロブロックを示す説明図である。
【図8】本発明の第5実施形態に係る動画像復号化装置としてのビデオ復号器の構成を示すブロック構成図である。
【図9】第5実施形態に係る動画像符号化方法における処理手順を示すフローチャートである。
【図10】本発明の第6実施形態に係る動画像復号化装置としてのビデオ復号器の構成を示すブロック構成図である。
【図11】第6実施形態に係る動画像復号化方法および装置における削減された片方向動き補償の処理を示す説明図である。
【図12】第6実施形態に係る動画像復号化方法における処理手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
ST1 再生基準時刻の抽出
ST2 再生出力時刻管理情報の抽出
ST3 余裕演算量の判定
ST4 削減演算量での演算処理
ST5 通常演算量での演算処理
1 マイクロコンピュータシステム(CPU)
2 音声復号化装置
3、4 各種処理装置
5 符号化データビットストリーム分離部
6 基準時刻分離手段(システムデコーダ)
10 動画像復号化装置
11 時間管理情報抽出手段
12 負荷判定手段
13 可変長符号復号化部
14 逆量子化手段
15 切換部
16 通常演算手段
17 演算量削減手段
21 第1の逆直交変換部(IDCT1)
22 第2の逆直交変換部(IDCT2)
23 第3の逆直交変換部(IDCT3)
24 第1の動き補償予測部(MC1)
25 第2の動き補償予測部(MC2)
【発明の属する技術分野】
本発明は、動画像復号化方法および装置に係り、特に復号処理が遅延する可能性の高い状況を事前に察知して演算量を事前に減少させる動画像復号化方法および装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に動画像データの処理に関しては、動画像エキスパートグループ(以下、MPEG―Moving Picture Expert Groupe―とする)の標準に従って行なわれている。例えば、MPEG1、MPEG2、MPEG4などの標準に従って圧縮された動画像符号化データは、ハードウェアによる復号化装置により復号化処理される場合もあるが、中央処理装置(以下、CPU―Central Processing Unit―とする)により、ソフトウェアを用いて復号化処理されることが多い。
【0003】
従来、動画像符号化データの復号をソフトウェアを用いて行なう場合、CPUの処理能力を超える動画像データが復号化装置に供給された場合、処理しきれない動画像符号化データの一部分を破棄して音声データのみを復号・再生したりすることにより、いわゆる動画像をコマ落ちさせてリアルタイム性を維持するようにしていた。
【0004】
また、特許文献1に記載されているように、MPEG標準におけるマクロブロックの内容のような動画像に関する情報を解析し、マクロブロック毎に動きの激しい情報か否かを判定して、動きの激しいマクロブロックについては逆離散コサイン変換(以下、IDCT―Inverse Discrete Cosine Transform ―とする)の処理を切り換えてIDCTの演算量が少なくなるように処理を変更することにより、画質の劣化を最小限にして演算量の少ない動画像信号処理を行なう方法もある。
【0005】
しかしながら、この特許文献1に開示された方法によれば、動画像の情報のみに基づいて復号処理を切り換えているため、カーナビゲーション装置、携帯情報端末、携帯電話端末などのシステムにおける一機能として動画像復号化装置が用いられている場合には、動画像復号化処理についてのみCPUの演算量を制御したとしても、CPUが他の機能について処理しているときにはCPUへの負荷が過重になってしまい、割り当て可能なCPUの計算資源が変動する場合には適切な復号化処理を行なうことができないという問題があった。
【0006】
例えば、上述したカーナビゲーションシステム、携帯情報(電話)端末などでは、動画像復号化と同時に、例えば音声符号化データの復号化処理、通信処理およびスケジュール管理処理などのような他の種々の処理を行なっており、これらの処理は動画像データの復号化処理よりも優先的に行なわれる必要がある場合も多くなっている。例えば、音声符号化データの復号化処理の場合、人間の感覚としては画像が途切れるよりも音声が途切れることの方が不快感を受けるので、動画像符号化データの復号化処理よりも音声符号化データの復号化処理の方が優先される。
【0007】
符号化データを復号化する際には、画面を幾つかの画素単位で分割した部分領域に分けて領域単位の逆量子化や逆直交変換等の処理を行なうようにしている。このような部分領域としてマクロブロック(MB)と呼ばれる単位があり、このマクロブロックに関しては特許文献2にも説明されている。特許文献2には、直交変換を正方形ブロック単位で行なう技術が開示されている。
【0008】
また、通信対象となる情報が欠落すると通信そのものが支障を来すことになるので、通信処理も動画像符号化データの復号化処理よりも優先的に行なわれることになる。このような場合、マクロブロックの内容による符号化方法の切り換えだけでは対処することができず、システムの状況に応じた適切な復号化処理を選択することはできなかった。また、動画像の判定をマクロブロックの内容を解析して行なっているので、解析処理そのもののためにCPU負荷を消費してしまって、復号化処理に割り当てるCPUの計算資源を消費してしまうという問題があった。
【0009】
【特許文献1】
特開2002−232881号公報
【特許文献2】
特開平8−18968号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、従来の動画像復号化方法および装置によれば、動画像符号化データの部分領域毎に動きの激しさを判定して、動きの激しさの増加に応じて部分領域毎の復号化処理を演算量の少ない処理に変更しているが、CPUが他の処理も行なう機能を有するシステムにおいては動画像符号化データの復号化処理よりも優先的に行なう必要のある処理が存在している場合には、システム全体としてはCPUの計算資源が制約されるという問題があった。
【0011】
本発明は、CPUが他の優先処理機能を有している場合に、動画像符号化データの復号化処理を複数段階の精度で複数種類用意しておいて、再生の基準となる同期情報と動画像情報の再生出力の時刻の管理情報との比較による遅延の状況から何れかの復号化処理を行なうようにすることにより、他の機能処理との整合のもとでCPUの計算資源を最大限に有効に利用することのできる動画像復号化方法および装置を提供することを目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の第1基本構成に係る動画像復号化方法は、少なくとも動画像復号化の処理と該動画像復号化以外の処理とを同時に実行するマイクロコンピュータシステムを用いて、動画像信号の部分領域毎に得られた予測誤差信号の量子化直交変換係数と、該部分領域毎に得られた動きベクトル情報とを含む動画像符号化データを復号化する動画像復号化方法であって、入力された前記符号化データビットストリームから再生基準時刻を分離して抽出する第1ステップと、入力された前記符号化データビットストリームから分離された動画像符号化データに含まれる再生出力の時刻管理情報を抽出する第2ステップと、分離された前記再生基準時刻と取り出された再生出力の時刻管理情報とを比較して、前記複数の処理機能のうちの少なくとも1つの処理機能との関係から復号化処理に余裕があるか否かにつき判定を行なって、復号化処理に余裕がないものと判定したときに前記復号化処理を演算量の少ない処理を選択して切り換える第3ステップと、前記第3ステップで演算量の少ない処理を選択したときに、前記動画像符号化データから抽出された前記部分領域毎の量子化直交変換係数を逆量子化して直交変換係数を生成する逆量子化処理を行なった後、この逆量子化して得られた前記直交変換係数に対して逆直交変換を施して予測誤差信号を生成する逆直交変換処理と、前記予測誤差信号に対して前記動画像符号化データから抽出された動きベクトル情報を用いて部分領域毎に動き補償を施して復号化画像信号を生成する動き補償予測処理の少なくとも一方の処理における演算量を削減する第4ステップと、前記第3のステップで演算量の少ない処理を選択しなかったときに、前記逆量子化処理、逆直交変換処理、動き補償予測処理を通常の演算量で行なう第5ステップとを備えている。
【0013】
また、本発明の第2基本構成に係る動画像復号化装置は、少なくとも動画像復号化の処理と該動画像復号化以外の処理とを同時に実行するマイクロコンピュータシステムに搭載されると共に、動画像信号の部分領域毎に得られた予測誤差信号の量子化直交変換係数と、該部分領域毎に得られた動きベクトル情報とを含む動画像符号化データを復号化する動画像復号化装置であって、入力された前記符号化データビットストリームから再生基準時刻を分離して抽出する基準時刻分離手段と、入力された前記符号化データビットストリームから分離された動画像符号化データに含まれる再生出力の時刻管理情報を抽出する時刻管理情報抽出手段と、分離された前記再生基準時刻と抽出された再生出力の時刻管理情報とを比較して、前記複数の処理機能のうち復号化処理以外の少なくとも1つの処理機能の処理量に基づくシステム負荷との関係から復号化処理に余裕があるか否かについて判定する負荷判定手段と、前記動画像符号化データから抽出された前記部分領域毎の量子化直交変換係数を逆量子化して直交変換係数を生成する逆量子化手段と、前記負荷判定手段により演算量の少ない処理が選択されたときに、前記逆量子化手段により逆量子化して得られた直交変換係数に対して逆直交変換を施して予測誤差信号を生成する逆直交変換処理と、前記予測誤差信号に対して前記動画像符号化データから抽出された動きベクトル情報を用いて部分領域毎に動き補償を施して復号化画像信号を生成する動き補償予測処理の少なくとも一方の処理における演算量を削減する演算量削減手段と、前記負荷判定手段により演算量の少ない処理を選択されなかったときに逆量子化処理、逆直交変換処理、動き補償予測処理を通常の演算量で行なう通常演算量処理手段とを備えるものである。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について添付図面を用いて詳細に説明する。本発明の具体的な実施形態を説明する前に、本発明の基本的な構成としての第1実施形態に係る動画像復号化方法および装置について、図1および図2を参照しながら説明する。
【0015】
本発明の第1実施形態に係る動画像復号化方法は、少なくとも動画像復号化の処理と該動画像復号化以外の処理とを同時に実行するマイクロコンピュータシステムを用いて、動画像信号の部分領域毎に得られた予測誤差信号の量子化直交変換係数と、該部分領域毎に得られた動きベクトル情報とを含む動画像符号化データを復号化する動画像復号化方法である。
【0016】
第1実施形態の復号化方法は、図1のフローチャートに示すように、入力された前記符号化データビットストリームから再生基準時刻を分離して抽出する第1ステップST1と、入力された前記符号化データビットストリームから分離された動画像符号化データに含まれる再生出力の時刻管理情報を抽出する第2ステップST2と、分離された前記再生基準時刻と取り出された再生出力の時刻管理情報とを比較して、前記複数の処理機能のうちの少なくとも1つの処理機能との関係から復号化処理に余裕があるか否かにつき判定を行なって、復号化処理に余裕がないものと判定したときに前記復号化処理を演算量の少ない処理を選択して切り換える第3ステップST3と、前記第3ステップST3で演算量の少ない処理を選択したときに、前記動画像符号化データから抽出された前記部分領域毎の量子化直交変換係数を逆量子化して直交変換係数を生成する逆量子化処理を行なった後、この逆量子化して得られた前記直交変換係数に対して逆直交変換を施して予測誤差信号を生成する逆直交変換処理と、前記予測誤差信号に対して前記動画像符号化データから抽出された動きベクトル情報を用いて部分領域毎に動き補償を施して復号化画像信号を生成する動き補償予測処理の少なくとも一方の処理における演算量を削減する第4ステップST4と、前記第3のステップST3で演算量の少ない処理を選択しなかったときに逆量子化処理、逆直交変換処理、動き補償予測処理を通常の演算量で行なう第5ステップST5とを備えている。
【0017】
第4ステップST4および第5ステップST5は、逆量子化ステップ、逆直交変換(IDCT)ステップ、動き補償ステップをそれぞれ有している。第5ステップST5は、通常の演算量のままで動画像復号化処理を行なう処理ステップであり、逆量子化処理ステップST45と、通常の演算量の逆直交変換処理を行なう通常の逆直交変換処理ステップST51と、通常の演算量のままで動き補償予測処理を行なう通常の動き補償予測処理ステップST52と、を備えている。
【0018】
また、第4ステップST4は、演算量を通常より削減して動画像復号化処理を行なう処理ステップであり、逆量子化処理ステップST45と、通常の逆直交変換処理ステップST51における演算量の例えば半分程度の第1の所定演算量で逆直交変換処理を行なう第1省略演算処理サブステップST41と、通常の演算量に対して例えば1/4程度の第2の所定演算量で逆直交演算処理を行なう第2省略演算処理サブステップST42と、通常の演算量よりも削減された演算量で動き補償予測処理を行なう省略動き補償予測処理サブステップST43と、を備えている。
【0019】
以上の基本構成を備える第1実施形態に係る動画像復号化方法の概要について説明する。MPEG1、MPEG2、MPEG4などの圧縮された動画像符号化データは、ソフトウェアを用いて上記マイクロコンピュータにより復号化されている。このマイクロコンピュータは、上述したように、動画像の復号化処理以外にも多くの機能を合わせて搭載しており、多くの場合、それぞれの機能はソフトウェアで実装したCPUにより処理されている。
【0020】
例えばカーナビゲーション装置においては、DVD(Digital Versatile Disc)の再生と同時に車両の現在位置に関する座標計算処理や道路交通情報通信システム(VICS―Vehicle Information and Communication System―)受信処理などの諸機能が動作する。携帯電話端末では、動画付メールの再生について、動画像復号化処理を行なうのと同時に通信処理などの動作を行なっている。これらの装置においては、動画像符号化データの復号化処理をソフトウェアにより処理しているために、CPUの処理能力が復号化処理に追いつかない場合には再生された映像がコマ落ちするなどの影響が出ることになる。
【0021】
CPUが動画像の復号化処理以外の諸機能を並行して処理するこれらのシステムにおいては、復号化処理の実行に影響を与える要因として、以下のような理由が考えられる。第1に、ソフトウェアを用いて復号する場合、ナビゲーション機能、ネットワーク通信機能などの動画像復号化処理以外の機能によるCPUへの負荷によって、動画像復号化処理に割り当てることが可能なCPUの能力が変動することになる。
【0022】
また、第2に、動画像符号化データの情報量は、例えば1秒当たりのビット数(bps―bit per second―)等により表されるが、MPEG2などで可変速度(VBR―Variable Bit Rate ―)を指定した場合などにおいては、時々刻々と変動しているので、この変動する情報量により復号化処理のために必要とされるCPUの能力も変動することになる。
【0023】
上述したように、従来の動画像復号化方法および装置においては、上記第1および第2の理由により復号化に遅延が発生する場合には、処理しきれない動画像符号化データを破棄して、いわゆる映像のコマ落ちを発生させることによりリアルタイム性を維持していた。
【0024】
これに対して、本発明の第1実施形態では動画像復号処理を複数種類用意しておいて、再生の基準となる同期情報と、動画像の再生出力における時刻の管理情報と、を比較して、その比較結果から遅延の状況を判定し、その発生理由が上記第1の理由か第2の理由であるかを判断するような判断処理ステップを設けて、その判断処理結果に応じて動画像復号化処理を最適なものに切り換えている。したがって、CPUの復号化処理動作に遅延が発生する場合には演算量の少ない復号化処理に切り換えて実行することが可能となる。
【0025】
これら切り換えられる複数の復号化処理は、例えば以下の具体的な実施形態においても詳細に説明するように、4×4IDCT処理、4×8IDCT処理、片方向動き補償(MC ―Motion Compensation―)等であり、復号化の精度は低下するがそれに比例して演算量も少なくなる。このように、動画像の復号の状況に基づいて、リアルタイムに復号化処理を切り換えて動画像の再生を可能としている。
【0026】
なお、本願に特有の構成ではないが、第1実施形態に係る動画像復号化方法においては、復号処理に余裕があるか否かを判定するステップST3の判定内容の1つとして、CPUの演算処理能力におけるCPU資源の余裕が完全にない場合には、通常の演算量による復号化処理(ステップST5)も削減された演算量による復号化処理(ステップST4)も行なわないで、動画像の復号化処理を全く行なうことなく処理を終了するようにしても良い。
【0027】
また、本発明の第2実施形態に係る動画像復号化装置10は、少なくとも動画像復号化の処理と該動画像復号化以外の処理とを同時に実行するマイクロコンピュータシステム(CPU)1に搭載されている。このマイクロコンピュータシステム1は、動画像復号化処理以外の各種の処理として、音声符号化データを復号化する音声復号化装置2や、その他の符号化データの復号化処理や、またはカーナビゲーション・システムとしてのGPS(Global Positioning System) ナビゲーション機能における各種の処理や、ネットワーク通信における送受信機能に関する処理などをそれぞれ行なう各種処理装置3,4がソフトウェアにより搭載されている。
【0028】
これらの各種処理装置は同時に動作可能なように搭載されているが、マイクロコンピュータ1は、入力した符号化データを例えば音声符号化データや動画像符号化データなどに分離する分離部5に設けられて入力された符号化データビットストリームから再生基準時刻を分離して抽出する基準時刻分離手段6と、動画像信号の部分領域毎に得られた予測誤差信号の量子化直交変換係数と、該部分領域毎に得られた動きベクトル情報とを含む動画像符号化データを復号化する動画像復号化装置10をも搭載している。
【0029】
この第2実施形態に係る動画像復号化装置10の詳細な構成を説明する。動画像復号化装置10は、入力された前記符号化データビットストリームから分離された動画像符号化データに含まれる再生出力の時刻管理情報を抽出する時刻管理情報抽出手段11と、分離された再生基準時刻と抽出された再生出力の時刻管理情報とを比較して、前記複数の処理機能のうち復号化処理以外の少なくとも1つの処理機能の処理量に基づくシステム負荷との関係から復号化処理に余裕があるか否かについて判定する負荷判定手段12と、入力された動画像符号化データのビットストリームにおける可変長符号を復号化する可変長符号復号化部13と、この可変長符号復号化部13より出力された動画像符号化データから抽出された部分領域毎の量子化直交変換係数を逆量子化して直交変換係数を生成する逆量子化手段14とを備えている。
【0030】
動画像復号化装置10は、さらに、負荷判定手段12による再生基準時刻と時刻管理情報との比較結果から演算量の少ない処理が選択されたときにこれ以降の復号化処理を切り換える切換部15と、負荷判定手段12により演算量の少ない処理が選択されないで切換部15により通常の処理が設定されたときに逆量子化処理、逆直交変換処理、動き補償予測処理を通常の演算量で行なう通常演算量処理手段16と、負荷判定手段12による再生基準時刻と時刻管理情報との比較結果から演算量の少ない処理が選択されて切換部15により演算量の少ない処理が設定されたときに逆量子化手段14により逆量子化して得られた直交変換係数に対して逆直交変換を施して予測誤差信号を生成する逆直交変換処理と、前記予測誤差信号に対して前記動画像符号化データから抽出された動きベクトル情報を用いて部分領域毎に動き補償を施して復号化画像信号を生成する動き補償予測処理の少なくとも一方の処理における演算量を削減する演算量削減手段17と、を備えている。
【0031】
動画像復号化装置10は、通常演算処理手段16または演算量削減手段17の何れかから出力された復号化画像を蓄積して基準時刻と時間管理情報とが一致したときに出力する遅延バッファ18と、遅延バッファ18のデータと可変長符号復号化部13のデータとを蓄積して動き補償予測のために出力する画像バッファ19とを備えている。
【0032】
通常演算処理部16は、切換部15を介して入力される通常の演算量の動画像符号化データを逆直交変換する第1の逆直交変換部(IDCT)21と、通常の演算量で動き補償予測処理を行なう第1の動き補償予測部(MC)24と、を備えている。演算量削減手段17は、通常の例えば半分に演算量を削減して逆直交変換を行なう第2の逆直交変換部(IDCT)22と、通常の例えば1/4に演算量を削減して逆直交変換を行なう第3の逆直交変換部(IDCT)23と、第2または第3のIDCT22または23の逆変換出力に対して動き補償予測処理を行なう第2の動き補償予測部(MC)25と、を備えている。
【0033】
以上の構成を有する第2実施形態に係る動画像復号化装置10は、動画像符号化データから抽出された前記部分領域毎の量子化直交変換係数を逆量子化して直交変換係数を生成し、逆量子化して得られた前記直交変換係数に対して逆直交変換を施して予測誤差信号を生成し、この予測誤差信号に対して前記動画像符号化データから抽出された動きベクトル情報を用いて部分領域毎に動き補償を施して復号化画像信号を生成している。この演算処理は、通常の演算量と削減された演算量との何れかで行なわれるが、その判断は、負荷判定手段12が、入力された前記動画像符号化データに含まれる再生出力に関する時刻管理情報(以下、PTS ―Presentation Time Stamp―)と前記復号化画像情報における再生基準時刻(STC)とを比較して、前記複数の処理機能のうちの少なくとも1つの処理機能との関係から復号化処理に余裕があるか否かを判定することにより、復号化処理に余裕がないものと判定されたときに、切換部15は復号化処理を演算量の少ない処理に切り換えることにより実現されている。
【0034】
以上のような構成を有する第2実施形態に係る動画像復号化装置によっても、第1実施形態と同様に、CPUの演算処理能力に一定の制限がある場合に、動画図符号化データのビットストリームに含まれる時刻管理情報(PTS)と時間管理部4により取り出された基準同期情報(STC)とを比較して、動画像符号化データの復号化処理が基準となる時間内に処理されていないときに演算量の少ない復号化処理を行なっている。
【0035】
以上説明した第1および第2実施形態は、本発明の基本的な構成を含む動画像復号化方法および装置であるが、CPUの処理している情報量の多寡により切り換えられる復号化処理の具体的な内容については詳述されていない。そこで、復号化処理の具体的な内容を含む詳細な実施形態について以下に説明する。
【0036】
図3および図6は、本発明の第3実施形態に係る動画像復号化装置および方法を示すブロック構成図、フローチャート、説明図である。図において、第1および第2実施形態に係る動画像復号化方法および装置と同一符号を付した構成要素は、同一または相当する構成要素を示すものとする。第3実施形態に係る動画像復号化装置10は、パーソナルコンピュータ(PC)のようなコンピュータシステム(CPU)あるいは情報通信端末などに適用され、記憶装置に保持されたコンピュータプログラムに従ってソフトウェアにより実現されている。また、この動画像復号化装置10は、代表的なディジタル動画像符号化方式であるMPEG(MPEG1,MPEG2,MPEG4)標準に対応しており、動画像符号化データであるMPEGビットストリームを復号化するために用いられている。
【0037】
図3に示すように、MPEG復号装置用CPU1は、図示されない通信処理部より供給されたビットストリームを音声ビットストリーム、ビデオビットストリーム、基準同期情報に分離する分離部5と、分離された音声ビットストリームを復号化して音声ストリームを出力する音声復号器2と、分離されたビデオビットストリームを復号化して、ビデオストリームを出力するビデオ復号器10と、分離された基準同期情報としてのシステムタイムクロック(STC ―System Time Clock―)を音声復号器2とビデオ復号器10とに出力するシステムデコーダ6とを備えている。
【0038】
ビデオ復号器10は、図4に示すように、入力されたビデオビットストリームから再生出力の時刻管理情報であるPTSを抽出する管理情報抽出部11と、基準時刻分離部(システムデコーダ)6より分離供給されたSTC(基準時刻)と管理情報抽出部11により抽出されたPTS(再生出力の時刻管理情報)とを比較してシステムの負荷を判定するシステム負荷判定部12と、入力されたビデオビットストリームに含まれる可変長符号を復号化して量子化DCT係数を出力する可変長復号化部13と、量子化DCT係数により逆量子化を行なう逆量子化部14と、逆量子化されたDCT係数をシステム負荷判定部12の切り換え出力により切り換える切換部15と、通常の演算量のときに逆直交変換を行なう第1のIDCT21と、削減された演算量によって逆直交変換を行なう第2のIDCT22と、第1または第2のIDCT21または22から出力された予測誤差に対して可変長復号化部13からの動き補償モード情報により動き補償予測処理を行なう動き補償予測部24と、基準時刻分離部6からのSTCに同期させて動き補償予測処理が行なわれた復号動画像信号を出力する遅延バッファ18と、動き補償予測部24の出力を一時的に蓄積して可変長復号化部13からの動きベクトル情報により動き補償予測部24にフィードバックする画像バッファ19とを備えている。
【0039】
ビデオ・ビットストリームは以下のようにして得られる。図3に示すように、MPEGビットストリームは、まず分離部(DEMUX)5に入力される。この分離部5において、音声ビットストリーム、ビデオ・ビットストリーム、基準となる同期情報(STC)に分離され、音声ビットストリームは音声復号器2へと供給され、ビデオ・ビットストリームはビデオ復号器10へと供給され、STCは音声復号器2とビデオ復号器10とに入力される。このときビデオ復号器10は、入力されたビデオ・ビットストリームと、STCおよびビットストリーム内の再生出力管理情報(PTS)から図4に示す構成のビデオ復号器10によりビデオ信号の復号を行ない、ビデオ出力として復号後のビデオ・ビットストリームを出力する。
【0040】
図4に示すビデオ復号器10に入力されるビデオ・ビットストリームは以下のようにして得られる。まず、入力動画像信号に対してマクロブロック(MB)と呼ばれる部分領域単位で動き補償が行なわれることによって、予測信号との誤差である予測誤差信号が生成される。この予測誤差信号に対して、直交変換である離散コサイン変換(DCT ―Discrete Cosine Transform―)がブロックと呼ばれる部分領域単位で行なわれることによって、直交変換係数であるDCT係数が生成され、さらに量子化が行なわれる。量子化DCT係数は可変長符号化部によって可変長符号化されている。
【0041】
可変長符号化部はさらに、量子化DCT係数とは別個に、マクロブロック毎の動き補償モードを表す動きモード情報および動きベクトル情報も可変長符号化している。量子化DCT係数、動き補償モード情報、動きベクトル情報にそれぞれ対応する各符号語が多重化されることによって、最終的にMPEGビットストリームが生成される。このMPEGビットストリームが図3に示すMPEG復号装置1に供給されている。
【0042】
以下、図3および図4に示す装置の構成と図3に示すフローチャートを参照しながら第3実施形態に係る動画像復号化方法および装置について説明する。まず図3において、MPEG復号装置1は、DVDやハードディスクなどの記憶媒体から読み出されたり、ディジタル放送信号から抽出されたりしたMPEGビットストリームを入力する。入力されたMPEGビットストリームは、分離部(DEMUX)5により、音声ビットストリーム、ビデオ・ビットストリーム、基準となる同期情報(STC ―System Time Clock―)に分離されて、音声ビットストリームは音声復号器2へと供給され、ビデオ・ビットストリームはビデオ復号器10へと供給され、STCはシステムデコーダ6を介して音声復号器2とビデオ復号器10とにそれぞれ供給されている。
【0043】
次に、図4に示すように、ビデオ復号器10に入力されたビデオ・ビットストリームは、まず、可変長復号化部13に入力される。可変長復号化部13は、MPEGビットストリーム中の各符号語に対応する情報シンボルを復号化することによって、量子化DCT係数、動き補償モード情報、動きベクトル情報を分離して抽出する。可変長復号化部13の出力のうち、量子化DCT係数に対しては逆量子化部14により逆量子化が行なわれ、ブロック単位でDCT係数が生成される。DCT係数は、システム負荷判定処理部12により制御されるIDCT処理選択スイッチ15を介して第1または第2のIDCT部21または22の何れかに入力される。
【0044】
入力されたビデオ・ビットストリームは、管理情報抽出部11にも供給され、この管理情報抽出部11によりビットストリーム内の再生出力の時刻管理情報であるPTSをシステム負荷判定処理部12に出力する。システム負荷判定処理部12は、基準時刻分離部6により分離された再生の基準時刻であるSTCと、管理情報抽出部11により抽出された再生出力の時刻管理情報であるPTSとを比較して、逆直交変換や動き補償予測などの動画像復号化処理における演算量を通常の演算量で行なうか削減された演算量で行なうかを判定する。このとき、図5に示すフローチャートのアルゴリズムにより、システム負荷判定処理部12における判定処理は、IDCT処理選択スイッチ15の切換制御により行なわれている。
【0045】
図5のフローチャートに示すように、ステップST1においてSTC(再生基準時刻)を基準時刻分離部(システムデコーダ)6より受け取っている。ステップST2においては、ビデオビットストリームから管理情報抽出部11によりPTS(再生出力の管理情報)を取り出している。ステップST3において、ステップST1で取り出したSTCとステップST2で取り出したPTSとを比較して、PTSがSTCに関連するあるしきい値よりも前の時刻であるか後の時刻であるかを判定することによりシステム負荷判定処理が行なわれる。
【0046】
判定の結果、PTSがSTCと比較してあるしきい値よりも後の場合、すなわちステップST3で「NO」と判定された場合には、ステップST4へ進んで、CPUの計算資源に余裕がないものと判断して、例えば4×4のブロック数に削減された第2の逆離散コサイン変換部IDCT22に切り換える。逆に判定の結果、PTSがSTCを比較してあるしきい値よりも前の場合、すなわちステップST3における判定が「YES」である場合には、ステップST5に進んで、CPU負荷に余裕があるものと判断してIDCT処理を通常のMPEGに規定されるブロック数で復号化処理を行なう。
【0047】
ステップST5において、第1のIDCT部21はMPEG規格に規定された通常のIDCT(離散コサイン逆変換)処理を行なうように構成され、CPUに余裕がある場合に適用される。CPU負荷に余裕がないと判定された場合、ステップST4において、第2のIDCT部22により演算量を適宜削減して復号化が行なわれる。具体的には、図6に示すように、8×8個のDCT係数のうち、高周波成分である左上の4×4=16個の黒丸部分のみをDCT係数とみなして残りの白丸部分の48個については0とみなして計算を省略する。このようにすることにより、演算量は削減することができる。
【0048】
動き補償予測後に復号化された画像が出力される。このときにもSTCが参照され、STCとPTSが一致したときに遅延バッファ18から画像が出力されることになる。ここで、あるしきい値以上の遅延がある場合には、次のビデオ復号を省略して、コマ落ちさせる等の判定を行なっている。
【0049】
以上説明した第3実施形態に係る動画像復号化方法および装置は、図6に示すように、8×8個のDCT係数を4×4個のDCT係数に削減して演算量を減少させていたが、本発明はこれに限定されず、図7に示すように、4×8個のDCT係数のみを演算対象とみなし、残り半分を0とみなして演算量を約半分にすることもできる。
【0050】
図7は、このような第4実施形態に係る動画像復号化方法および装置を示す説明図である。第4実施形態に係る動画像復号化装置は、図3,図4と同一の構成を有している。また、図5に示すフローチャートと同様の処理ステップを有している。異なる点は、第3実施形態が図6に示すような8×8個のDCT係数に対して4×4=16個のDCT係数を用いていたのに対して、図7の第4実施形態は、4×8=32個のDCT係数を用いていることである。
【0051】
この第4実施形態に係る動画像復号化方法および装置において、4×8個のDCT係数を用いている理由は、第3実施形態の4×4個のDCT係数の場合、逆離散コサイン変換後に得られる画像サイズが8×8個の画像サイズの1/4になってしまい、復号後の拡大表示の計算を行なうのが煩雑となるが、この第4実施形態のように4×8個のDCT係数を用いると、画像サイズは演算量を削減しなかった場合の1/2となるため、復号後の画像の拡大表示の計算を行なうのが容易となるからである。
【0052】
第5実施形態に係る動画像復号化方法およびビデオ復号器の構成が、図8に示されている。図8において、逆直交変換部は第1のIDCT部21,第2のIDCT部22,第3のIDCT部23の3つ実装されている。その他の構成要素は第1ないし第4実施形態における構成要素と同様なので、同一符号を付して重複説明を省略する。
【0053】
第1のIDCT部21は、通常のMPEGの規格通りに8×8個のDCT係数によりIDCTの処理を行ない、第2のIDCT部22は、4×8個のDCT係数によりIDCTの処理を行ない、第3のIDCT部23は、4×4個のDCT係数によりIDCTの処理を行なっている。
【0054】
システム負荷判定処理部12が行なう処理は、図9のフローチャートのように行なわれている。まず、ステップST1で再生基準時刻STCを取り出し、ステップST2で再生出力の管理情報PTSが取り出される。ステップST3でPTSとSTCとを比較することにより、再生出力時刻の遅れがその度合いと共に判定される。すなわち、PTS<STCの場合には第1のIDCT部21を用いてステップST5のように通常の逆直交変換が行なわれる。
【0055】
ステップST3の判定により、あるしきい値の範囲内にあり遅延の度合いがそれほど遅延していない場合(PTS>STC)には、4×8個のDCT係数により、ステップST41のように、第2のIDCT部22を用いて逆直交変換を行なう。また、ステップST3の判定により、より遅延の度合いが大きくて、あるしきい値以上の場合(PTS>>STC)には、4×4個のDCT係数によってステップST42のように第3のIDCT部23を用いて逆直交変換を行なっている。このように、遅延の度合いにより、第1ないし第3のIDCT部21ないし23を切り換えて、ステップST5,ST41,ST42のように異なるDCT係数を用いて復号化処理を行なうことができ、CPUの計算資源が不足している場合に削減された計算量を2段階選択して処理を行なうことができる。
【0056】
第3ないし第5実施形態は、何れも逆直交変換を2つまたは3つの複数のIDCT部により行なう例を説明したが、本発明はこれに限定されず、動き補償予測部を複数設けるようにしても良い。図10および図11に示す第6実施形態は、動き補償予測部を複数備えている。図10で前の実施形態と同一符号を付した構成要素は、同一または相当する構成要素を示している。
【0057】
図10に示すように、可変長符号復号化部13より出力された量子化DCT係数は逆量子化部14に入力され量子化されてDCT係数を逆直交変換部20に出力する。逆直交変換部20は、DCT係数にIDCT処理等を行なって予測誤差を出力する。システム負荷判定処理部12がPTSとSTCとの比較により通常の演算量で処理することが難しいと判定した場合には、判定処理部12からの制御信号により切換部15が切り換えられて第1の動き補償予測部24から第2の動き補償予測部25へと切り換える。第1の動き補償予測部24は、MPEGの規格に規定されたように、時間軸に対して前後する双方向の画像から動き補償を行なう通常の動き補償予測処理を行なっている。これに対して、第2の動き補償予測部25は、一方向からのみ動き補償を行なう片方向動き補償処理を行なっており、この意味で動き補償においても計算量の削減が可能となる。
【0058】
図11は、片方向の動き補償予測処理を示す説明図であり、同図において、左側の画面の左下隅よりに位置する部分領域(メッシュ表示された部分)が右側の画面では右上隅寄りに移動している。このときの動き補償処理は、原位置と移動後の位置との画素値を加算して復号化されたマクロブロックが得られる。
【0059】
図12は第6実施形態の動作を示すフローチャートである。図12において、ステップST1では再生基準時刻STCが取り出され、ステップST2で再生出力の管理情報PTSが取り出される。ステップST3では、管理情報PTSが再生基準時刻STCから遅れていないか否か、すなわちCPUの能力に余裕があるか否かが判断される。管理情報PTSが基準時刻STCから遅れている場合、すなわちステップST3の判断結果がNOの場合には、ステップST4に進み、削減された演算量で片方向の動き補償予測処理が行なわれる。PTSがSTCよりも遅れていない場合すなわちステップST3での判断結果がYESの場合には、ステップST5へ進んで、通常の演算量で双方向の動き補償予測処理が行なわれる。
【0060】
以上のように、動画像復号化処理を削減した演算量で処理する場合に、逆直交変換処理の演算量を削減しても、動き補償予測処理の演算量を削減しても何れでも良い。また、第1実施形態および第2実施形態では若干触れたが、演算量を削減させる場合に、逆直交変換処理の演算量と動き補償予測処理の演算量の両方を削減するようにしても良い。
【0061】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように、本発明に係る動画像復号化方法および装置によれば、復号化の性能が不充分であるために映像にコマ落ちなどが発生する虞がある場合でも復号化の遅延状況を監視して、復号化の処理を切り換えて精度を落とした復号化を行なうことができるので、コマ落ちが少なく視聴者にとって違和感のない動画像の再生が可能となる。
【0062】
また、動画像情報の処理の遅延状況を比較・判断する手段は、復号化される動画像の再生時刻とシステムの基準時刻との比較により行なっているので、マクロブロックの解析などを行なうことにより実際の復号化の状況を検出して復号化の処理を切り換える従来の方法と比べて、CPUの計算資源を消費することなく復号化の演算量を切り換えることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係る動画像復号化方法の処理の流れを説明するフローチャートである。
【図2】本発明の第2実施形態に係る動画像復号化装置の基本構成を示すブロック構成図である。
【図3】本発明の第3〜第6実施形態に係る動画像復号化装置に適用されるビデオ復号器が設けられるMPEG復号装置の構成を示すブロック構成図である。
【図4】第3、第4実施形態に係る動画像復号化装置としてのビデオ復号器の構成を示すブロック構成図である。
【図5】第3実施形態に係る動画像復号化方法における処理手順を示すフローチャートである。
【図6】第3実施形態に係る動画像復号化方法および装置によるIDCTにおけるマクロブロックを示す説明図である。
【図7】本発明の第4実施形態に係る動画像復号化方法および装置によるIDCTにおけるマクロブロックを示す説明図である。
【図8】本発明の第5実施形態に係る動画像復号化装置としてのビデオ復号器の構成を示すブロック構成図である。
【図9】第5実施形態に係る動画像符号化方法における処理手順を示すフローチャートである。
【図10】本発明の第6実施形態に係る動画像復号化装置としてのビデオ復号器の構成を示すブロック構成図である。
【図11】第6実施形態に係る動画像復号化方法および装置における削減された片方向動き補償の処理を示す説明図である。
【図12】第6実施形態に係る動画像復号化方法における処理手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
ST1 再生基準時刻の抽出
ST2 再生出力時刻管理情報の抽出
ST3 余裕演算量の判定
ST4 削減演算量での演算処理
ST5 通常演算量での演算処理
1 マイクロコンピュータシステム(CPU)
2 音声復号化装置
3、4 各種処理装置
5 符号化データビットストリーム分離部
6 基準時刻分離手段(システムデコーダ)
10 動画像復号化装置
11 時間管理情報抽出手段
12 負荷判定手段
13 可変長符号復号化部
14 逆量子化手段
15 切換部
16 通常演算手段
17 演算量削減手段
21 第1の逆直交変換部(IDCT1)
22 第2の逆直交変換部(IDCT2)
23 第3の逆直交変換部(IDCT3)
24 第1の動き補償予測部(MC1)
25 第2の動き補償予測部(MC2)
Claims (8)
- 少なくとも動画像復号化の処理と該動画像復号化以外の処理とを同時に実行するマイクロコンピュータシステムを用いて、動画像信号の部分領域毎に得られた予測誤差信号の量子化直交変換係数と、該部分領域毎に得られた動きベクトル情報とを含む動画像符号化データを復号化する動画像復号化方法であって、
入力された符号化データビットストリームに含まれる再生基準時刻を抽出する第1ステップと、
入力された前記符号化データビットストリームから分離された動画像符号化データに含まれる再生出力の時刻管理情報を抽出する第2ステップと、
抽出された前記再生基準時刻と前記再生出力の時刻管理情報とを比較して、前記複数の処理機能のうち少なくとも1つの処理機能との関係から復号化演算処理に余裕があるか否かについての判定を行なって、前記復号化演算処理に余裕がないものと判定したときに前記復号化演算処理を演算量の少ない処理に切り換える第3ステップと、
前記第3ステップにより演算量の少ない処理に切り換えられたときに、前記動画像符号化データから抽出された部分領域毎の量子化直交変換係数を逆量子化して直交変換係数を生成する逆量子化処理を行なった後、逆量子化して得られた前記直交変換係数に対して逆直交変換を施して予測誤差信号を生成する逆直交変換処理と、前記予測誤差信号に対して前記動画像符号化データから抽出された動きベクトル情報を用いて部分領域毎に動き補償を施して復号化画像信号を生成する動き補償予測処理との少なくとも一方の処理における演算量を削減して実行する第4ステップと、
前記第3ステップにより演算量の少ない処理が選択されなかったときに、通常の演算量による前記逆量子化処理、逆直交変換処理、動き補償予測処理を実行する第5ステップと、
を備える動画像復号化方法。 - 前記第4ステップおよび第5ステップにおける前記逆直交変換処理は、8×8個のDCT係数に対して通常の演算処理を行なう通常演算処理サブステップと、前記第3ステップにより前記復号化処理に余裕がないものと判定されたときに8×8個のDCT係数のうちの4×8個のDCT係数を実装とみなして計算を省略するように切り換えられる省略演算処理サブステップと、を備える請求項1に記載の動画像復号化方法。
- 前記第4ステップおよび第5ステップにおける前記逆直交変換処理は、8×8個のDCT係数に対して通常の演算処理を行なう通常演算処理サブステップと、前記第3ステップにより前記復号化処理に余裕がないものと判定されたときに8×8個のDCT係数のうちの4×8個のDCT係数を実装とみなして計算を省略するように切り換えられる第1省略演算処理サブステップと、前記第3ステップにより前記復号化処理にさらに余裕がないものと判定されたときに8×8個のDCT係数のうちの4×4個のDCT係数を実装とみなして計算をさらに省略するように切り換えられる第2省略演算処理サブステップと、を備える請求項1に記載の動画像復号化方法。
- 第4ステップおよび第5ステップにおける前記動き補償予測処理は、前記復号化処理に余裕があるものと判定されたときに、前記第3ステップの切り換えにより通常の動き補償予測処理を行なう通常動き補償予測サブステップと、前記復号化処理に余裕がないものと判定されたときに、前記第3ステップの切り換えにより前記通常の動き補償予測処理よりも処理量の少ない動き補償処理を行なう省略動き補償処理サブステップを備える請求項1ないし請求項3の何れかに記載の動画像復号化方法。
- 少なくとも動画像復号化の処理と該動画像復号化以外の処理とを同時に実行するマイクロコンピュータシステムに搭載されると共に、動画像信号の部分領域毎に得られた予測誤差信号の量子化直交変換係数と、該部分領域毎に得られた動きベクトル情報とを含む動画像符号化データを復号化する動画像復号化装置であって、
入力された前記符号化データビットストリームから再生基準時刻を分離して抽出する基準時刻分離手段と、
入力された前記符号化データビットストリームから分離された動画像符号化データに含まれる再生出力の時刻管理情報を抽出する時刻管理情報抽出手段と、
分離された前記再生基準時刻と抽出された再生出力の時刻管理情報とを比較して、前記複数の処理機能のうち復号化処理以外の少なくとも1つの処理機能の処理量に基づくシステム負荷との関係から復号化処理に余裕があるか否かについて判定する負荷判定手段と、
前記動画像符号化データから抽出された前記部分領域毎の量子化直交変換係数を逆量子化して直交変換係数を生成する逆量子化手段と、
前記負荷判定手段により演算量の少ない処理が選択されたときに、前記逆量子化手段により逆量子化して得られた前記直交変換係数に対して逆直交変換を施して予測誤差信号を生成する逆直交変換処理と、前記予測誤差信号に対して前記動画像符号化データから抽出された動きベクトル情報を用いて部分領域毎に動き補償を施して復号化画像信号を生成する動き補償予測処理の少なくとも一方の処理における演算量を削減する演算量削減手段と、
前記負荷判定手段により演算量の少ない処理を選択されなかったときに、前記逆量子化処理、逆直交変換処理、動き補償予測処理を通常の演算量で行なう通常演算量処理手段と、
を備える動画像復号化装置。 - 前記逆直交変換手段は、8×8個のDCT係数に対して通常の演算処理を行なう通常演算処理手段と、前記処理余裕判定手段により前記復号化処理に余裕がないものと判定されたときに8×8個のDCT係数のうちの4×8個のDCT係数を実装とみなして計算を省略するように前記演算量切換手段により切り換えられる省略演算処理手段と、を備える請求項5に記載の動画像復号化装置。
- 前記逆直交変換手段は、8×8個のDCT係数に対して通常の演算処理を行なう通常演算処理ステップと、前記処理余裕判定手段により前記復号化処理に余裕がないものと判定されたときに8×8個のDCT係数のうちの4×8個のDCT係数を実装とみなして計算を省略するように前記演算量切換ステップにより切り換えられる第1の省略演算処理手段と、前記処理余裕判定ステップにより前記復号化処理にさらに余裕がないものと判定されたときに8×8個のDCT係数のうちの4×4個のDCT係数を実装とみなして計算をさらに省略するように前記演算量切換手段により切り換えられる第2の省略演算処理手段と、を備える請求項5に記載の動画像復号化装置。
- 動き補償手段は、前記処理余裕判定手段が前記復号化処理に余裕があるものと判定したときに、前記演算量切換手段の切り換えにより前記動き補償手段における前記動き補償をより処理量の少ない動き補償処理を行なう動き補償省略処理手段を備える請求項5ないし請求項7の何れかに記載の動画像復号化方法。
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