JP2004289025A - 半導体レーザモジュール、及び半導体レーザモジュール用電子冷却素子 - Google Patents

半導体レーザモジュール、及び半導体レーザモジュール用電子冷却素子 Download PDF

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Naoki Tsukiji
直樹 築地
Yasushi Oki
泰 大木
Sadayoshi Kanamaru
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Abstract

【課題】高出力化、低消費電力化、高信頼性化した半導体レーザモジュールを提供する。
【解決手段】半導体レーザ素子4とペルチェ素子5が定電圧電源回路6と電気的に直列に接続され、半導体レーザ素子4を含む半導体レーザモジュールのパッケージ温度は前記レーザモジュールが使用される温度範囲で最高の温度近傍のとき、前記半導体レーザ素子の駆動電流に関する前記半導体レーザ素子の温度が、前記駆動電流の増加に伴って単調に減少する。
半導体レーザ素子4の駆動電流Ildは、自動半導体レーザ光出力制御素子7で制御される。この定電圧電源回路6の電圧は5Vとした。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、EDFAやラマン増幅器等の光ファイバ増幅器用に用いられる高出力の半導体レーザモジュール、および半導体レーザモジュール用電子冷却素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年において、インターネットの急速な普及や企業内LAN間の接続の急増等によって、データトラヒックの増大が問題となっている。そこで、その問題を解決するため、WDM(波長多重伝送)システムがめざましい発展を遂げ普及している。
【0003】
WDMシステムは、複数の光信号をそれぞれ異なる波長に乗せることにより1本のファイバで従来の100倍にも及ぶ大容量伝送を実現している。特に既存のWDMシステムは、エルビウム添加ファイバアンプ(以下、EDFA)やラマンアンプ等の光ファイバアンプが必須であり、これにより広帯域・長距離伝送を可能としている。ここで、EDFAは、エルビウムという元素を添加した特殊な光ファイバに波長1480nm、あるいは波長980nmの励起レーザで励起した光を通すことによって、伝送信号である波長1550nm帯の光が上記特殊ファイバの中で増幅されるという原理を応用した光ファイバアンプである。
【0004】
また、ラマン増幅器は、EDFAのようにエルビウム添加ファイバといった特殊なファイバを必要とせずに、通常の伝送路ファイバを利得媒体とする分布型あるいは集中型の光ファイバアンプであり、従来のEDFAを用いたWDM伝送システムに比べ広帯域で平坦な利得を有する伝送帯域を実現することができるという特徴を有している。
【0005】
上述したようなWDMシステムの安定性向上や中継数の低減を実現するためには、光ファイバアンプは、単一水平横モードで安定動作する高出力の半導体励起レーザを必要とする。この励起レーザとして、上記した量子井戸構造の活性層、好適には複数の量子井戸層とバリア層で構成された多重量子井戸構造(MQW構造:Multi−Quantum Well構造)を活性層に有する埋め込みヘテロ型半導体レーザ素子(BHレーザ)が有効である。実際に、その半導体レーザ素子をパッケージした半導体レーザモジュールが光ファイバアンプの励起光源として用いられている。
【0006】
また、より一層の高出力化のために以下のような技術が公開されている。(特許文献1参照)
【0007】
【特許文献1】
特開平5−167153号公報
【0008】
図2は特許文献1に記載されている先行技術を示す。この半導体レーザ制御回路は、半導体レーザ素子1と、この半導体レーザ素子1を冷却するためのペルチェ素子2と、半導体レーザ素子1およびペルチェ素子2それぞれに電流を供給するための電流源回路3とによって構成されている。
【0009】
この図2からわかるように、半導体レーザ素子1、ペルチェ素子2および電流源回路3は直列に接続された構成となっており、電流源回路3から供給される電源は半導体レーザ素子1に供給されるとともに、ペルチェ素子2にも供給され、それぞれを駆動させる。
【0010】
半導体レーザ素子1から高光出力を得るためには、半導体レーザ素子1に大電流を流す必要があるが、一般的に半導体レーザ素子は高温になると、熱飽和で光出力は低下する。図2に示す半導体レーザ制御回路では半導体レーザ素子1、ペルチェ素子2及び電流源回路3が直列に接続された構造となっているため、半導体レーザから高光出力を得る目的で電流源回路3の出力電流を増加させると、ペルチェ素子2に流れる電流も増加する。このためペルチェ素子2の冷却能力が高まり、半導体レーザ素子1を効率的に冷却することができる。従って半導体レーザ素子1の発熱を抑えることができ、効率低下を防止することができる。また、ペルチェ素子2を駆動するための別回路が不要になり、消費電力を抑えることができる。
【0011】
図2に示した半導体制御回路は半導体レーザ素子1とペルチェ素子2を直列に駆動する半導体レーザモジュールであるが、低消費電力化のために、ペルチェ素子2を使用しない半導体レーザモジュールもある。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
前記従来技術の半導体レーザモジュールの高光出力をさらに向上させることを目的に、本発明者等は、鋭意研究の結果本発明を達成するに至った。すなわち本発明の課題は、半導体レーザモジュールのさらなる光の高出力化、低消費電力化、高信頼性化にある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1にかかる半導体レーザモジュールは、半導体レーザ素子と、前記半導体レーザ素子を冷却する電子冷却素子と、前記半導体レーザ素子の温度を測定する温度測定素子とを有する半導体レーザモジュールにおいて、
前記半導体レーザ素子と前記電子冷却素子が駆動電源回路と電気的に直列に接続され、前記半導体レーザモジュールのパッケージ温度は前記レーザモジュールが使用される温度範囲で最高の温度近傍のとき、前記半導体レーザ素子の駆動電流に関する前記半導体レーザ素子の温度が、前記駆動電流の増加に伴って単調に減少することを特徴としている。
【0014】
また請求項2にかかる半導体レーザモジュールは、前記電子冷却素子がペルチェ素子であることを特徴としている。
【0015】
また請求項3にかかる半導体レーザモジュールは、前記半導体レーザ素子の前記駆動電流の範囲が0〜2Aであることを特徴としている。
【0016】
また請求項4にかかる半導体レーザモジュールは、請求項1〜4に記載の半導体レーザモジュールにおいて、さらに前記半導体レーザ素子から出射されたレーザ光を筐体の外部に導波する光ファイバと、前記半導体レーザ素子と前記光ファイバと光結合を行う光結合レンズ系と、を備えたことを特徴としている。
【0017】
また請求項5にかかる半導体レーザモジュールは、請求項1〜4に記載の半導体レーザモジュールにおいて、さらに外部共振器を有することを特徴としている。また請求項6にかかる半導体レーザモジュールは、前記駆動電源回路が直流定電圧電源であってかつ前記駆動電源回路の電圧は10V以下であることを特徴としている。
【0018】
また、請求項7にかかる半導体レーザモジュール用電子冷却素子は、前記半導体レーザ素子と前記電子冷却素子が駆動電源回路と電気的に直列に接続され、前記半導体レーザ素子と前記電子冷却素子が駆動電源回路と電気的に直列に接続され、前記半導体レーザモジュールのパッケージ温度が使用される温度範囲で最高の温度近傍のとき、前記半導体レーザ素子の駆動電流に関する前記半導体レーザ素子の温度が、単調に減少するように前記電子冷却素子の対数、または素子の断面積を決定することを特徴としている。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明にかかる半導体レーザモジュールの実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態により本発明が限定されるものではない。
【0020】
(実施の形態1)
まず、実施の形態1にかかる半導体レーザモジュールについて説明する。図8は、この発明の実施の形態1である半導体レーザモジュール50の構成を示す縦断面図である。半導体レーザモジュール50の筐体として、セラミックなどによって形成されたパッケージ59の内部底面上に、上述した実施の形態1に含まれるペルチェ素子58が配置される。ペルチェ素子58上にはベース57が配置され、このベース57上にはヒートシンク57aが配置される。
【0021】
ベース57上には、半導体レーザ素子51およびサーミスタ58aを配置したヒートシンク57a、第1レンズ52、および電流モニタ56が配置される。半導体レーザ素子51から出射されたレーザ光は、第1レンズ52、アイソレータ53、および第2レンズ54を介し、光ファイバ55上に導波される。第2レンズ54は、レーザ光の光軸上であって、パッケージ59上に設けられ、外部接続される光ファイバ55に光結合される。なお、電流モニタ56は、半導体レーザ素子51の出射端面とは反対側の高反射膜側から漏れた光をモニタ検出する。
【0022】
半導体レーザ素子は、活性層として多重量子井戸(MQW)構造、特に歪MQW構造を用いた。MQW構造は、半導体材料で作成された井戸層とバリア層が交互にヘテロ接合され、特に各へテロ接合において、バリア層は、井戸層よりも広いバンドギャップエネルギーを有している。また、歪MQW構造は、井戸層の半導体材料の格子定数と半導体基板の格子定数とが異なる構造である。
【0023】
さらに、MQW構造の活性層を有する半導体レーザ素子は、MQW構造の活性層に隣接した下部と上部に光導波路としても機能する分離閉じ込めヘテロ構造(Separate Confinement Heterostructure、略してSCH)を用いた。このSCH構造により、活性層内に発生したレーザ光の閉じ込めをより効率的に行なうことができ、高出力動作が実現できる。
【0024】
また、本実施の形態1の半導体レーザ素子においては、より一層の高出力化のために、前記SCH構造としてGRIN−SCH(Graded Index−Separate Confinement Heterostructure)構造を採用した。
【0025】
ここで、この半導体レーザモジュール50では、他の光学部品などによる反射戻り光が共振器内に再入力しないように、半導体レーザ素子51と光ファイバ55との間にアイソレータ53を介在させている。なお、アイソレータは必須要件ではなく、例えば波長を選択するためにファイバグレーティング等の外部に光部品を用いる場合、このアイソレータは使用されない(実施の形態2で詳細に述べる。)。
【0026】
図1は、実施の形態1にかかる半導体レーザモジュール50の回路図を示す。半導体レーザ素子4(図8の半導体レーザ素子51に相当)とペルチェ素子5(図8のペルチェ素子58に相当)は直列に接続され、定電圧電源回路6に接続されている。半導体レーザ素子4の駆動電流Ild(直列接続であるため、ペルチェ素子の駆動電流Itecと等しい。従って以下は単に駆動電流Iという)は、自動半導体レーザ光出力制御素子7で制御される。この定電圧電源回路6の電圧は本実施の形態1では5Vとした。
【0027】
図3は実施の形態1にかかる半導体レーザモジュール50の半導体レーザ素子の駆動電流Iと半導体レーザ素子の温度Tsの関係を示す。○のラインは本発明を用いることで高出力化された半導体レーザモジュールにおいて、特に駆動電流が1.2A程度までの範囲で高出力化が可能な半導体レーザモジュールAに関するものである。△のラインは駆動電流が0.7A付近までの範囲で高出力化が可能な半導体レーザモジュールBに関するものである。半導体レーザモジュールA、Bともに本発明の実施の形態であり、それぞれ適切な駆動電流範囲が異なる。すなわち半導体レーザモジュールAの適切な駆動電流範囲は0〜1.2A近傍、半導体レーザモジュールBの適切な駆動電流範囲は0〜0.7A近傍である。また半導体レーザ素子の温度は、図8に示したように半導体レーザ素子近傍に設置されるサーミスタ58a等の温度測定素子で測定される。また、半導体レーザモジュール50のパッケージ温度Tcは75℃である。ここでパッケージ温度は、半導体レーザモジュールを設置する台の内部で、半導体レーザモジュール近傍の温度であり、ほぼパッケージ59の外側の温度を表している。
【0028】
ここで、ペルチェ素子は温度Tsが一定になるように制御されていない。したがって、半導体レーザ素子の駆動電流Iが増減すると同時に、ペルチェ素子の駆動電流Iが増減するので、ペルチェ素子の冷却能力は増減する。
【0029】
この図3からわかるように、駆動電流Iが増加すると半導体レーザ素子の温度Tsは減少する。これは、直列に接続されたペルチェ素子の駆動電流が増加することでペルチェ素子の冷却能力が増加することで説明される。すなわち半導体レーザ素子の発熱量よりもペルチェ素子の吸熱量が大きいことによる。
【0030】
具体的には、駆動電流Iが0〜1.2Aの範囲で、○の半導体レーザモジュールAの半導体レーザ素子の温度Tsは単調に減少している。
さらに、△の半導体レーザモジュールBの半導体レーザ素子温度Tsは、駆動電流が0.7A付近までは単調に減少しているが、駆動電流Iが0.7A付近以上で上昇し始める。これは半導体レーザモジュールBでは、駆動電流Iが0.7A以上になると、ペルチェ素子の吸熱量よりも半導体レーザ素子の発熱量が大きくなったためである。
【0031】
一方、○の半導体レーザモジュールAの半導体レーザ素子温度Tsは、駆動電流Iが1A付近まで単調に減少している。これは、この駆動電流範囲では、つねにペルチェ素子の吸熱量が半導体レーザ素子の発熱量よりも大きいことによる。
【0032】
すなわち、ペルチェ素子の冷却能力設計により、同じ構造の半導体レーザ素子を用いて○と△のような駆動電流Iと温度特性Tsの関係を適宜設計できる。
【0033】
具体的には、ペルチェ素子の対数、形状、配列などを適宜選択することで上記特性を適宜設計できる。一般に例えば、ペルチェ素子を構成する柱状の素子の断面積が大きくなる、または素子の対数が大きくなるとペルチェ素子の冷却能力は増加し、Tsの最低温度を与える半導体素子の駆動電流Iは上昇する。
【0034】
半導体レーザモジュールAの場合、使用したペルチェ素子の対数は35対、素子の断面積は1.1×0.8mmであった。また半導体レーザモジュールBの場合、素子の対数は31対、素子の断面積は0.64×0.64mmであった。これらの構造から、半導体レーザモジュールAのペルチェ素子は半導体レーザモジュールBのペルチェ素子よりも素子の対数、素子の断面積が大きく、冷却能力が大きいため、Tsの最低温度を与える半導体素子の駆動電流Iは1.2A以上になった。
【0035】
次に、半導体レーザ素子の寿命(経時劣化)について以下に述べる。一般に半導体レーザ素子はレーザの温度(ここではTs)が上昇するに伴い、光出力が低下することが知られている。1.48μm帯のレーザのような長波長帯のレーザでは特にその傾向を持つ。半導体レーザモジュールはAPC(Automatic Power Control)駆動、すなわち光出力一定の駆動が行われる。この時、レーザが経時劣化して出力が低下すると、その劣化した条件下で一定の光出力を得るために、レーザの駆動電流値を上昇させる方法で制御が行われる。そして、経時劣化に伴う駆動電流の上昇が進み、例えば駆動電流が初期値の1.2倍になった時に半導体レーザモジュールは寿命に達したと判断される。
【0036】
ここで、半導体レーザ素子の初期の駆動条件下で、駆動電流Iと素子温度Tsの関係において、一次微分係数dTs/dI>0である場合、レーザが劣化して駆動電流が上昇すると、同時にTsも上昇し、これは前述のようにさらにレーザの光出力を低下させることになる。すなわちこのような構成に於いては、通常のTs一定の駆動条件に較べて駆動電流の上昇速度が速くなりレーザの寿命は短くなるため、信頼性が損なわれることになる。
【0037】
一方、半導体レーザ素子の初期の駆動条件がdTs/dI≦0であれば、駆動電流Iの上昇に伴ってTsが低下し、これはレーザの光出力を向上させるように寄与するため、経時劣化率はTs一定駆動の場合に較べて減少し、通常以上の高信頼性が得られることになる。特に寿命判定される条件、例えばこの例においては初期駆動電流Iの1.2倍の条件まで、dTs/dI≦0が保たれているとその効果は更に大きい。
【0038】
図4は半導体レーザモジュールの駆動電流と光出力の関係を示す。半導体レーザモジュールAの光出力は駆動電流が1.2Aまで熱飽和することなく増加した。一方半導体レーザモジュールBの光出力は駆動電流が0.8A付近で熱飽和する傾向を示した。
【0039】
従って、半導体レーザ素子の駆動電流動作範囲において常に、駆動電流Iの増加に伴って半導体レーザ素子温度Tsが単調減少するという関係を実現することによって、より信頼性の高い半導体レーザモジュールを得ることができる。この単調減少は、以下の式で表現できる。
dTs/dI≦0
【0040】
図5は半導体レーザモジュールAの場合で、駆動電流Iに関する半導体レーザ素子の電圧とペルチェ素子の電圧の合計を示す。駆動電流1.2Aまで合計電圧は4Vを超えることはない。よって、本半導体レーザモジュールは、定電圧電源回路の電圧が5Vで十分動作する。
【0041】
図6は光出力と回路の全電流の関係を示す。○は半導体レーザモジュールA、比較のために、◇は半導体レーザモジュールC、を示す。
【0042】
図7は半導体レーザモジュールCの回路図を示す。半導体レーザ素子11とペルチェ素子10は並列に接続されている。図7の半導体レーザモジュールCの回路の全電流Itotalはペルチェ素子の駆動電流Itecと半導体レーザ素子の駆動電流Ildの合計である。図6からわかるように、同じ光出力を得るためには、半導体レーザ素子とペルチェ素子が直列に接続されたモジュールAの回路の全電流I(ペルチェ素子の駆動電流Itec及び半導体レーザ素子の駆動電流Ildと等しい)は、半導体レーザモジュールCの全電流Itotalの半分以下である。従って同じ光出力を得るために必要な本発明の回路の全電流は、比較例である半導体レーザモジュールCの回路の全電流の半分以下になる。例えば、250mWの光出力を得るために、比較例の回路の全電流は2A程度必要であったが、本発明の半導体レーザモジュールAの全電流は1Aであった。
【0043】
また、このような5V電源による駆動を前提とすれば定駆動電流化によって、同等の光出力を得るために必要な消費電力は、ペルチェ素子を使用しない半導体レーザモジュールと比較して小さくなる。
【0044】
また、本実施の形態1では、定電圧電源の電圧は5Vとしたが、10V以下であってもよい。より好ましくは5V以下である。さらにより好ましくは3V以下である。
また、本実施の形態1では、電子冷却素子として、ペルチェ素子を用いたがその他のものであってもよい。
【0045】
また、本実施の形態1では、半導体レーザ素子の駆動電流の範囲は0〜1.2Aであったが、この範囲に限定されない。すなわち、0〜1.5A、0〜2A、0〜2.5A、0〜3A、0〜4A、0〜5A、0〜6Aの範囲でも本発明を同様に適用できる。
【0046】
(実施の形態2)
つぎに、この発明の実施の形態2について説明する。この実施の形態2は、上述した実施の形態1で示した半導体レーザモジュールにおいて、さらに外部共振器としてFBG(fiber Bragg grating)を具備した半導体レーザモジュールである。
【0047】
図9はこの発明の実施の形態2である半導体レーザモジュールの構成を示す縦断面図である。図9において、半導体レーザモジュールは、波長選択を目的とするFBG60を光ファイバに具備している。半導体レーザ素子から出射された光の一部が、FBGによって反射され半導体レーザ素子に再度入射するため、FBG60を具備する半導体レーザモジュールは図8に示すようなアイソレータを具備しない。
【0048】
また、ペルチェ素子58の対数は35対、素子の断面積は1.1×0.8mmである。半導体レーザ素子とペルチェ素子は、図1に示すように電気的に直列に接続されている。
【0049】
図10は、半導体レーザモジュールのパッケージ温度における、半導体レーザ素子の駆動電流(ペルチェ素子の駆動電流と同じ値)と光出力の関係を示す。発振波長は1425nm、半導体レーザ素子の出射側の低反射膜ARの反射膜は0.1%〜0.5%、FBGの反射率は2%、FBGの半値幅は2nmを用いた。0〜75℃の温度範囲で半導体レーザモジュールの最大光出力は300mW以上となった。また半導体レーザ素子とペルチェ素子の合計電圧を右縦軸に示す。半導体レーザ素子の温度が高いほど、ペルチェ素子の電圧は大きくなっている。
【0050】
比較例として、図11はぺルチェ素子を具備しない半導体レーザモジュールDの結果である。図11からわかるようにパッケージ温度が70℃〜75℃の場合、光出力は200mW程度に低下した。また半導体レーザ素子とペルチェ素子の合計電圧を右縦軸に示す。半導体レーザ素子の温度によりペルチェ素子の電圧は変化していないことがわかる。
【0051】
図12は、図10に記載された本発明の半導体レーザモジュールを用いた場合で、各パッケージ温度における、駆動電流と(半導体レーザ素子温度Ts−半導体レーザモジュールのパッケージ温度Tc)の関係を示す。半導体レーザモジュールのパッケージ温度が最高使用温度(この場合75℃)のとき、駆動電流Iが0〜1.2Aの範囲で、d(Ts−Tc)/dI≦0が成立していることがわかる。
【0052】
パッケージ温度が0〜50℃の場合、Ts−Tcの極小点を与える駆動電流が1.2Aよりも小さいが、半導体レーザ素子温度Tsは常に75℃より低い。このことは、図10において0〜50℃の範囲で光出力は十分大きいことからも理解される。
【0053】
図13は本発明の実施の形態2の半導体レーザモジュールにおいて、発振スペクトルの温度依存性を示す。0〜75℃の範囲において中心波長は1426nmに固定されていた。一方、FBGの無い形態に於いては、中心波長は約0.4nm/℃の温度依存性を示すため、75℃の温度差の場合、波長差は約30nmとなる。これはEDFAの吸収スペクトルから考えて許容範囲の上限に近い。また、ラマン増幅に適用するためには波長変化が大きい。よって、発振波長を固定したい場合、FBGは有効である。
【0054】
また、半導体レーザ素子とペルチェ素子を直列に接続する場所は、半導体レーザモジュール内であってもよいし、モジュール外であってもよい。モジュール内の場合、余分な抵抗成分が低減され消費電力は小さくなる。モジュール外の場合、抵抗成分は増加するが設計の自由度が保証される。
【0055】
また、本発明の半導体レーザモジュールはレンズを2個用いた2レンズ系を示したが、ファイバの先端をレンズ状にした、いわゆるレンズドファイバを用いてもよい。2レンズ系の場合、本発明は、発光領域が2つ並行に配列された、いわゆるダブルストライプ半導体レーザモジュールにも適用可能である。
【0056】
FBGを具備しない半導体レーザモジュールは、アイソレータを用いることが可能であるが、使用する温度範囲が広い場合、1.5段以上のアイソレータを用いることが有効である。
【0057】
EDFAの励起光源として本発明の半導体レーザモジュールを用いることにより、低消費電力化が可能である。
さらに、EDFAの励起用光源として、前段に発振波長が980nmの低出力アンクール(ペルチェを具備しない)半導体レーザモジュール、後段に本発明の半導体レーザモジュールを用いることにより、温度制御を具備しない低消費電力な高出力アンプを実現することができる。
【0058】
さらに、ラマンアンプ用の励起光源として、本発明の半導体レーザモジュールを用いることにより、低消費電力化が可能である。
EDFA用及び、ラマンアンプ用の励起光源として本モジュールを用いる時に低出力例えば最大出力の10%から最大出力まで光出力を変化させて使うことがある。このような時、変化させるスピードが速いとペルチェがレーザ素子を充分冷やし切れない状態で高電流に到達する場合がある。このような場合には充分レーザが冷やしきれた定常状態に較べて光出力が低くなり、所望の光出力が得られないことによりAPC(Automatic Power Control)が掛からなくなり電流値が非常に高くなる状態が生じる可能性がある。このようなことを防ぐためには最大電流付近に電流値の上限を設け、ここに達した場合にはAPCからACC(Automatic Current Control)モードに一旦切り替えて、この電流値に固定し、ペルチェ素子による冷却効果が出て光出力が所望の値に到達した後に再度APCで駆動するようにするのも好ましい。
【0059】
さらに、本発明の実施の形態に記載された半導体レーザモジュールの発振波長は1480nm帯であったが、発振波長が980nm帯の半導体レーザモジュールに適用することも可能である。
【0060】
また、本実施の形態1および2にかかる半導体レーザモジュールに用いられる半導体レーザ素子は、ファブリペロー型(FP)半導体レーザ素子、分布布帰還型(DFB)半導体レーザ素子、分布ブラッグ反射型(DBR)半導体レーザ素子、活性層の近傍に形成されたグレーティングの波長選択特性によって複数の発振縦モードを有するレーザ光を出射する半導体レーザ素子などを適用することができる。特に、共振器長が800μm以上の高出力半導体レーザ素子を適用するのが好適である。
【0061】
また、本実施の形態2では、波長を固定するためにFBGを用いたが、外部共振器としてフィルタ型の選択反射膜を用いてもよい。さらに回折格子を半導体レーザ素子の内部に具備する半導体レーザ素子を用いてもよい。
【0062】
また、本実施の半導体レーザモジュールの最大光出力は、パッケージ温度が0〜75℃の範囲で250mW〜300mWであったが、半導体レーザモジュールの最大光出力が150mW〜200mW以上の高出力半導体レーザモジュールに好適である。
【0063】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明にかかる半導体レーザモジュールによれば、半導体レーザ素子と電子冷却素子は電気的に直列に接続され、かつ半導体レーザ素子の駆動電流に関する半導体レーザ素子の温度が、使用される駆動電流の範囲において単調に減少することで、従来よりも高出力で、低消費電力である半導体レーザモジュールを提供できるという効果を奏する。また本発明によれば、高出力で低消費電力の半導体レーザモジュール用電子冷却素子を提供できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態1にかかる半導体レーザモジュールの回路図である。
【図2】従来技術における半導体レーザ装置の回路図である。
【図3】実施の形態1に掛かる半導体レーザ素子の駆動電流と半導体レーザ素子の温度の関係を示す。
【図4】実施の形態1にかかる半導体レーザ素子の駆動電流と光出力の関係を示す。
【図5】実施の形態1にかかる半導体レーザ素子の駆動電流に関する半導体レーザ素子の電圧とペルチェ素子の電圧の合計を示す。
【図6】実施の形態1にかかる半導体レーザ素子と比較例における、光出力と回路の全駆動電流の関係を示す。
【図7】比較例の半導体レーザモジュールの回路図を示す。
【図8】実施の形態1にかかる半導体レーザモジュールの断面図を示す。
【図9】実施の形態2にかかる半導体レーザモジュールの断面図を示す。
【図10】実施の形態2にかかる半導体レーザモジュールにおける駆動電流と光出力の関係を示す。
【図11】比較例における駆動電流と光出力の関係を示す。
【図12】実施の形態2にかかる半導体レーザモジュールにおける駆動電流と(半導体レーザ素子温度Ts−半導体レーザモジュールのパッケージ温度Tc)の関係を示す。
【図13】実施の形態2に掛かる半導体レーザモジュールにおける発振波長スペクトルを示す。
【符号の説明】
1、4、11、51 半導体レーザ素子
2、5、10、58 ペルチェ素子
3 電流電源回路
6、8 定電圧電源回路
7 自動半導体レーザ光出力制御素子
50 半導体レーザモジュール
52 第一レンズ
53 アイソレータ
54 第二レンズ
55 光ファイバ
56 電流モニタ
57 ベース
57a ヒートシンク
58a サーミスタ
59 パッケージ
60 FBG

Claims (7)

  1. 半導体レーザ素子と、前記半導体レーザ素子を冷却する電子冷却素子と、前記半導体レーザ素子の温度を測定する温度測定素子とを有する半導体レーザモジュールにおいて、
    前記半導体レーザ素子と前記電子冷却素子が駆動電源回路と電気的に直列に接続され、前記半導体レーザモジュールのパッケージ温度は前記レーザモジュールが使用される温度範囲で最高の温度近傍のとき、前記半導体レーザ素子の駆動電流に関する前記半導体レーザ素子の温度が、前記駆動電流の増加に伴って単調に減少することを特徴とする半導体レーザモジュール。
  2. 前記電子冷却素子がペルチェ素子であることを特徴とする請求項1に記載の半導体レーザモジュール。
  3. 前記半導体レーザ素子の前記駆動電流の範囲が0〜2Aであることを特徴とする請求項1〜2に記載の半導体レーザモジュール。
  4. 請求項1〜3に記載の半導体レーザモジュールにおいて、さらに
    前記半導体レーザ素子から出射されたレーザ光を筐体の外部に導波する光ファイバと、
    前記半導体レーザ素子と前記光ファイバと光結合を行う光結合レンズ系と、
    を備えたことを特徴とする半導体レーザモジュール。
  5. 請求項1〜4に記載の半導体レーザモジュールにおいて、さらに外部共振器を有することを特徴とする半導体レーザモジュール。
  6. 前記駆動電源回路は直流定電圧電源であってかつ前記駆動電源回路の電圧は10V以下であることを特徴とする請求項1〜5に記載の半導体レーザモジュール。
  7. 請求項1〜6に記載の半導体レーザモジュールに用いられる前記電子冷却素子において、
    前記半導体レーザ素子と前記電子冷却素子が駆動電源回路と電気的に直列に接続され、
    前記半導体レーザ素子と前記電子冷却素子が駆動電源回路と電気的に直列に接続され、前記半導体レーザモジュールのパッケージ温度が使用される温度範囲で最高の温度近傍のとき、前記半導体レーザ素子の駆動電流に関する前記半導体レーザ素子の温度が、単調に減少するように前記電子冷却素子の対数、または素子の断面積を決定することを特徴とする半導体レーザモジュール用電子冷却素子。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN103532630A (zh) * 2013-10-31 2014-01-22 国家电网公司 一种通讯光缆线路的光路放大站

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