JP2004285568A - コンクリートブロックおよびその設置方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】コンクリート製ブロック50の上壁53にワイヤロープ17が通る程度の小さな貫通孔60を設けることにより、マンホールのないブロックであっても、その底面51aにアンカーを設けて吊り下げることを可能とする。ブロック50の内部のスペース56を吊り代に利用できるので、ブロックを吊り込むためのクリアランスCが小さくなり、障害物を撤去したり、復旧する作業を省くことが可能となる。
【選択図】 図4
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、管路あるいは共同溝、防火水槽などのコンクリート製のボックスを組み立てて製造あるいは施工するのに適した、上壁を有するコンクリートブロックおよびその設置方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、既設の道路に沿って共同溝を敷設し、その中に電線や通信線を通して電線などを地中化する工事が盛んに行われており、分岐用などとして適当なピッチでコンクリート製のボックスが施工される。図14に示すようなコンクリート製ボックス1は、ハンドホールあるいはCCボックスと呼ばれている。このコンクリートボックス1は主として、歩道に沿って埋設され、その平面は長方形である。従来の製品は、図15に示すように断面形状はU型が主流であり、内径は、幅1200mm、深さは、900から1800mm程度が多い。また、図14(a)から(c)に示すように、ボックス1の長さは、埋設される電線の量や、ボックス1から分岐する電線の量などにより3000、4500、6000mmなど、その長さが変化する。この程度の大きさのコンクリート製ボックス1は大型で重量物であるために(1セット、9から18トン程度)、長さ1500mm程度で1つが3トンから6トンのユニット、すなわち、コンクリートブロック2に分けて連結する場合が多い。そして、組み立てられたコンクリートブロック2の両サイドをケーブル保護管があらかじめ埋設されている端板3で塞いで全体として大きな桝(ボックス)1を形成する。さらに、スラブ(天井)部分を構成するコンクリート板4を載せ、人が出入りする必要があるときは、コンクリート板の代わりに大きな鋳物製の蓋が載せられることが多い。マンホール5となる開口部分を有する板を載せて、鋳物製の蓋6を載せることも可能である。
【0003】
このようなブロック2を組み立ててボックス1を形成あるいは施工する作業は、図16に示すように、まず、ボックス1を埋設する部分の地面7を掘削し、砂利8を敷いて底板9を設定した後に、崩落防止パネル10で側面を保護し、さらに、サポータ11で崩落防止パネル10を支持する。このようにして形成された埋設領域13にブロック2を、クレーンなどを用いて搬入し、埋設領域13の内部でボックス1を組み立てる。
【0004】
図17に断面がU字型のブロック2を吊り下げて搬入する様子を示してある。断面がU字型のブロック2では、底面2bに埋設されたインサート15などのアンカーにアイボルト16などの取付具を取り付け、吊り下げ用のワイヤロープ17をアイボルト16に掛ける。そして、ロープ17をクレーンのフック18に掛けてブロック2を吊り下げる。
【0005】
【特許文献1】
特開平10−136543号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
特開平10−136543号公報に示すように、最近、断面が箱型のユニット(コンクリート製ブロック)も使用されるようになってきた。その理由は箱型のほうが、構造計算上、土圧、車荷重に強い。したがって、壁厚を薄くでき、また鉄筋量を減らせるメリットがあるからである。さらに、蓋を小さくすることができるなどのメリットがあるからである。すなわち、断面が箱型のブロックの場合、天井(スラブ)は、コンクリート板を載せるのではなく、側壁と一体に成形されているので強い構造になっている。また、人が出入りするための開口部は直径が700mmから900mm程度の円形が多いがスラブをコンクリートにすると、マンホールの開口部を小さくすることができるので、高価な鋳物の蓋を小さくできる。
【0007】
図18ないし図20にコンクリート製ブロックを吊り下げてコンクリート製ボックス1を施工する様子を示してある。ボックス1の敷設には、重量物であるブロック2を吊り下げるために大型クレーンが使用され、さらに、この工事が行われる場所は市街地である。たとえば、商店街などであることも多い。このような場所では、ボックス1を埋設する領域13の頭上には、くもの巣のように電線21や通信線が張りめぐらされている場合が多い。共同溝を施工する目的は、電線21や通信線などを地中化するためであり、地上の電線2や通信線をなくすこともその目的である。しかしながら、共同溝の工事を行うときは、これら既存の電柱20、電線21、通信線はまだ使用されており、これらを撤去できるのはこの工事が終わり、共同溝が利用できるようになり、さらに、共同溝に通線された後である。したがって、電線21などが存在する条件で共同溝用のボックス1を敷設する必要がある。
【0008】
電線21と同様に上方の障害としては、アーケードなどの建築物がある。一方、下方の障害としては、歩道と車道との間に設けられているガードレール22や植樹帯などがある。したがって、図18に示すように、ブロック2は、これらの障害物の間を吊り下げて敷設領域13に搬入する必要がある。従来の断面がU型のブロック2は、底面2bにインサート15あるいはその他のアンカーが埋設されているので、インサート15にアイボルト16をねじ込み、アイボルト16とワイヤロープ17でクレーン19のフック18に連絡することができる。したがって、ブロック2の高さ(深さ)を吊長さ(吊り代)として利用できるので、ブロック2を吊り下げながら横移動して搬入するのに必要なクリアランスCは比較的小さくて良い。
【0009】
また、図19に示すように、スラブも含めてプレハブされたボックスタイプのブロック30であっても、マンホール蓋が乗せられる開口部のあるユニット31は、同様に吊りこみ可能である。すなわち、底面30bにインサート15を埋設しておき、アイボルト16を取り付けた後、ワイヤロープ17を取り付けてユニット31を吊り上げる際、マンホール蓋を載せる開口39を介してクレーン19のフック18とユニット31とを連絡することが可能である。したがって、このユニット31では、その高さを吊り代に利用でき、吊り込むためのクリアランスCは上記と同様に比較的小さい。
【0010】
しかしながら、図20に示すように、ボックスタイプのブロック30であって、マンホールのないユニット32は、吊り込みは簡単ではない。このユニット32においては、スラブ上面30uにアンカー15を埋設し、アイボルト16を取り付けた後、ワイヤロープ17を取り付けてユニット32を吊り上げることになる。したがって、ユニット32は、その高さを吊り代に利用できない。ワイヤロープ17の角度θを大きくすれば、吊り代は小さくなるが、ワイヤロープ17の角度θは、安全のため45度以上には原則としてできない。アンカーに負担が大きく危険となるからである。したがって、吊りこむためのクリアランスが大きくなり、頭上の電線21や、ガードレール22と干渉し、埋設領域13に搬入できない。
【0011】
このユニット32においても、底面30bにアンカーを埋設して、前後の開口から底面30bにワイヤロープ17を前後方向から取り付けることが可能な場合もある。この場合、スラブ30uにワイヤロープ17が当たることを容認すれば1台のクレーンで吊り込むことが可能であろう。しかしながら、スラブ30uにワイヤロープが当たってしまうので玉掛け作業としては好ましくない。2台のクレーンで前後から吊ればワイヤロープがスラブ30uに当たらないが、2台のクレーンが必要になるというコストの増加と、2台のクレーンを協調して制御しないといけないという作業効率の低下が考えられる。
【0012】
さらに、この方法では、隣接するユニットと接続する方向にワイヤロープが出るので、一旦降ろした製品を前後に移動できない。強引に移動させると、ワイヤロープがはずせない。ワイヤロープをはずす隙間を空けて降ろしても、その後、ユニット32は、バールでは横に移動できる重量でない。製品(ユニット)32は、ボックス31を分割したものであるが、1つ当たり4から7トン程度の重量である。
【0013】
したがって、上面にマンホールのないユニット32を搬入するためには、ガードレール、植樹などをはずして、ユニット32を搬入した後に再び復旧するという作業を行う必要がある。また、電線21を一時的に、クレーン19の旋回半径に支障のない場所に迂回し、その後、復旧する工事を行う必要がある。したがって、これらの工事は、基本的に無駄な工事であり、施工時間と施工費用の単なる増加となる。
【0014】
ボックス1を、全てマンホール39のあるユニット31で構成することにより、上記の問題を回避することができる。しかしながら、全てのマンホール39にコンクリートブロックに対して高価な鋳鉄製の蓋を設置する必要があり、ボックス1の製造コストが上がる。特に、幹線道路であると、耐荷重の大きなマンホール蓋を設置する必要があるので、製造コストは増加する。さらに、本来、マンホール39は出入り可能な部分であり、全てのユニット31にマンホール39が取り付けられているのに、それを埋め戻してしまうこともできず、結局、不必要にマンホールが多いボックスとなり、そのマンホールに地上からアクセスできるようにする工事の費用が増加し、地表には不必要に数多くのマンホールが現れることになる。
【0015】
そこで、本発明においては、スラブ(上壁)を有するコンクリートブロックを用いてコンクリートボックスを施工する際に、マンホールのないコンクリートブロックであっても吊り代が短く、周りの障害物を取り除かなくても吊り込みが容易なコンクリートブロック、およびそれを用いたコンクリートボックスの製造方法を提供することを目的としている。
【0016】
【課題を解決するための手段】
このため、本発明においては、コンクリートブロックあるいはユニットの上壁に、ロープあるいはロープを吊り下げるフックが通過する程度の径の貫通孔あるいは切欠きを設け、マンホール用の開口が用意されていなくても、ロープあるいはフックをコンクリートブロック内に入れて、隣接したブロックあるいはユニットと連結した後にロープあるいはフックを取り外せるようにして、ブロックの高さを吊り代として利用できるようにしている。すなわち、本発明のコンクリートブロックは、上壁と、底壁と、側壁とを有し、この上壁を貫通する貫通孔または切欠きであって、当該コンクリートブロックを設置する際に吊るためのロープまたは当該ロープを吊り下げるフックが通過する程度のサイズの切欠きまたは貫通孔と、ロープを当該コンクリートブロックの内側から取り付けるように設置された取付具またはその取付具を固定するアンカーとを有する。
【0017】
このコンクリートブロックであれば、取付具またはアンカーを、当該コンクリートブロックの底壁またはその底壁に近い側壁に設けることにより、上壁を通してロープを底壁に取り付けて吊り上げることができる。そして、隣接したブロックと組み立てた後、あるいは繋ぎ合わせた後にロープあるいはフックをブロック内から簡単に取り除くことができる。したがって、支障なくコンクリートブロックの高さを吊り代として利用することができ、コンクリートブロックを搬入するための上下のクリアランスを小さくできる。このため、搬入するルートの障害物との干渉を避けることができ、障害物を撤去する無駄な作業を防止できる。
【0018】
そして、上壁には、ロープあるいはロープを吊り下げるフックが通過する程度の径、例えば、数10mm程度以上で、500mm程度以下、さらに好ましくは300mm程度以下の径の貫通孔を設けるだけで良い。したがって、小径の貫通孔であれば、ソケットやスリーブを埋設するだけで貫通孔を成形できる。また、マンホールとしては機能しないので、開閉するための高価な鋳鉄製の蓋は必要ない。さらに、小径で単に土砂や雨水の浸入を阻止する程度でよければ、プラスチック製のキャップで貫通孔を塞ぐことができる。コンクリートブロックが小型で比較的重量が軽い、例えば1から3トン程度の場合は、30から40mm程度さらには50mm程度以下の径の貫通孔を設ければワイヤロープを通して、底からコンクリートブロックを吊り下げることができる。
【0019】
また、上壁、底壁および側壁を有し、水平方向に中空部分が延びた筒型のコンクリートブロックであれば、上壁の縁に幅が数10mm程度の切欠きを設け、その切欠きを通し、底壁あるいは側壁に設けたアイボルトなどにロープを取り付けることによりコンクリートブロックを吊り上げることができ、また、隣接したブロックと接続した後も、切欠きの部分が開くので、ロープを取り外すことができる。切欠きの幅はロープが通る程度で良いので、上記の貫通孔と同様にコンクリート製のボックスを組み立てた後に簡単に塞ぐことができる。
【0020】
また、貫通孔を、楕円または長方形にすることにより、狭い幅の貫通孔を通して、ワイヤロープを吊り下げるフック自身をコンクリートブロックの内部に挿入してコンクリートブロックを吊り下げることができる。したがって、さらに、吊り代を少なくすることが可能である。フックを通すためには、ワイヤロープ以上の面積の孔が必要であるが、フックを通すだけであれば円形の孔は不要であり、楕円あるいはほぼ長方形の断面の貫通孔で良い。また、このような形状であれば、断面がフックが通る直径を有する断面が円形の貫通孔よりも断面欠損が小さくなるので、コンクリートブロックの強度に対する影響が少ない。さらに、比較的軽量のコンクリートブロックを吊るためのフックを通す程度であれば、幅の狭い楕円または長方形の貫通孔で良いので、上記と同様に、プラスチック製のキャップやモルタルなどで土砂や雨水の浸入を防止できる程度の構成で貫通孔を塞ぐだけでよい。大型のコンクリートブロックを吊る場合は、フックのサイズも大きくなるので、200mm×300mm前後の長方形の貫通孔を設ける必要がある。
【0021】
このように、コンクリートブロックが大きく、重い場合、例えば数トン程度の場合は、ワイヤロープが太くなり、それらがコンクリートブロックに擦れない程度の貫通孔となると径が50mm程度あるいはそれ以上になる可能性がある。また、フックも大型になるので、フックが挿入できるように貫通孔を楕円あるいは長方形にする場合も幅が50mm程度あるいはそれ以上になる可能性がある。この程度になると、コンクリートブロックの上部に重量物が載ったときに、貫通孔の部分にある程度の荷重が掛かる可能性があり、適当な強度が確保できる方法で貫通孔を塞ぐことが望ましい。例えば、現場でコンクリートを詰めても塞いでもよい。さらに、貫通孔に適合するサイズにプレハブされたコンクリート製のキャップを取り付けて封止しても良い。
【0022】
貫通孔は垂直であっても良く、小径の場合は、接着剤などにより貫通孔を封止する部材がずれ落ちたりすることを防止できる。さらなる安全を考慮すると、貫通孔を封止する部材が上部からの荷重に対して抵抗できるように、貫通孔の径は、下に向かって小さくなっていることが望ましい。特に、直径あるいは幅が50mm程度を越す場合は、貫通孔の形状を下に狭くして、荷重が加わっても貫通孔を封止する部材が落下しないようにすることが望ましい。マンホールなどの大型の孔の断面は、作業員が出入りしやすいように、下に向って大きくなっており、本発明のコンクリートブロックの上壁に設けられる貫通孔とは形状が異なる。
【0023】
貫通孔がテーパー状になっている場合、そのテーパー状の貫通孔にテーパーの製品(栓)を入れて封止しようとすると、コンクリートブロックの上壁の上面(スラブ面)で高さをあわせることがむずかしい。特に、栓をコンクリートで造ると寸法誤差を解消できない。したがって、貫通孔の径より、栓の径が大きい場合には、栓はスラブ面より突出する。一方、貫通孔の径より、栓の径が小さい場合には、栓はスラブ面より凹む。貫通孔の途中に、上方が広くなった段差を設けると、その段差の面で栓を支持できる。段差の面は、上壁の上面と平行な面であることが位置合わせとしては望ましいが、それに限定されるものではない。貫通孔に段差を設けることにより、貫通孔の径と、栓の径との間にある程度の公差あるいはクリアランスがあっても良く、貫通孔に取り付けたときに栓の上面が、コンクリートブロックの上面と一致するようにセットすることが容易となる。
【0024】
また、貫通孔は、当該コンクリートブロックのほぼ重心上に設けられていることが望ましい。端面板が取り付けられているコンクリートブロックなどは、形状が非対称であり、重心あるいは垂心がコンクリートブロックの中心、たとえば、長手方向の中心、短手方向の中心、あるいは、上面の中心にない。端面板を取り付けてあるコンクリートブロックは重心が端面板側になるので、吊りのための貫通孔は、上壁の端板側に設けることが望ましい。また、ワイヤロープを取り付けるための取付具あるいはそれを取り付けるアンカー位置も、端板側に偏っていることが望ましい。このような配置であると、ワイヤロープやフックがコンクリートブロックの一部と干渉して擦れたりするトラブルを防止できる。また、コンクリートブロックをほぼ水平に吊ることができるので、設置位置を簡単に精度良く制御することが可能となり、コンクリートブロックを現場に搬入して組み立ててコンクリート製ボックスを製造する作業が容易となる。
【0025】
また、貫通孔を、楕円または長方形にする場合は、貫通孔は、端壁に直角な方向に延びていることが望ましい。このような貫通孔は、フックを入れるためにも用いられるが、コンクリートブロックの重心が移動する可能性があるときにも好適である。例えば、端壁の厚みや、端壁にケーブル敷設用の装置、例えば、ベルマウス付きの電線管を埋め込んだり、ノック孔を設ける場合は、電線管の量およびサイズや、ノック孔の数およびサイズにより端壁の重量が変動する。したがって、重心の位置も変動するが、端壁と直角な方向に延びた貫通孔を設けておくことにより多少の重心の移動にも対処でき、端壁を取り付ける前の上壁を備えたユニットをプレハブしておくことができる。
【0026】
本発明のコンクリートブロックは、天井となる上壁あるいはスラブに小さな孔を設けることにより、マンホールの無いユニットにもマンホールのあるユニットと同じく、底面あるいは底面に近い側壁にアンカーを設けて吊り下げられるようにしたものである。したがって、本発明のコンクリートブロックを用いることにより、上壁を有するコンクリートブロックを設置する際に、上壁に設けられた、ロープまたはロープを吊り下げるフックが通過する程度の径の貫通孔を介して吊り用のロープまたは当該ロープを吊り下げるフックをコンクリートブロックの内部に入れ、ロープをコンクリートブロックの内側に設置された取付具にロープを取り付ける準備工程と、ロープによりコンクリートブロックを吊り下げて所望の位置に設置する工程と、貫通孔を塞ぐ後処理工程とを有するコンクリートブロックの設置方法を提供できる。また、このコンクリートブロックの設置方法により設置されたコンクリートブロックを接続してコンクリート製のボックスを製造することができる。
【0027】
本発明におけるコンクリート製のボックスおよびその製造方法は、上壁を有する種類のコンクリートブロックを水平方向に組み合わせるものであり、ボックスの暗渠部には、完全に暗渠となるようにプレハブされたブロックを搬入して組み立てるのではなく、吊り込み用の小さな孔または切欠きが上壁に設けられたコンクリートブロックを用いて暗渠部を構成し、ボックスを施工する際に吊り込み用の孔を塞いで暗渠部となるようにしている。したがって、開渠部と暗渠部とを有するコンクリート製ボックスを本発明により製造する際は、上壁にマンホールサイズの開口が形成されたコンクリートブロックにより開渠部を形成し、上壁を貫通する切欠きまたは貫通孔であって、ロープまたはロープを吊り下げるフックが通過する程度のサイズの切欠きまたは貫通孔が上壁に形成されたコンクリートブロックにより暗渠部を形成する。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下に図面を参照して本発明についてさらに説明する。図1に、本発明の実施例に係るコンクリートブロックを示してある。このコンクリートブロック50は、図14を参照して説明した共同溝となるコンクリートボックス1を組み立てるためのユニットであり、底板(底壁)51と、左右の側壁52と、上壁(スラブ)53とを備えている。コンクリートブロック50は、平面的には長方形あるいは正方形であり、コンクリートブロック50の内部には、水平方向に断面がほぼ正方形の空洞56が形成されている。そして、コンクリートブロック50の両端面55には、ボルトを差し込めるインサート54が埋設されており、端壁を接続したり、隣接するブロックを接続する際に利用できる。したがって、複数のコンクリートブロック50を図16に示した埋設領域13に搬入し、端面55を適当な方法、例えば、ボルトで接続することにより、天井部分(スラブ)を備えたボックス1を製造できる。
【0029】
本例のコンクリートブロック50は、そのスラブ53のほぼ中心に、スラブ53を貫通する直径が50mm程度の開口が円形の孔60が形成されている。また、底板51には、内部の空間56に面してボルトを取り付けることができるインサート65が底面51aのほぼ四隅に埋設されている。したがって、このコンクリートブロック50は、図2に示すように、底板51に埋設されたインサート65をアンカーとしてワイヤロープを取り付けるためのアイボルト66を取り付けることが可能である。また、図3に示すように、スラブ53を貫通する孔60は、断面の径が下に向って狭くなるようなテーパー孔となっており、テーパー状に形成したコンクリート製のキャップ部材61をスラブ53の上面(スラブ面)53aから取り付けることにより簡単に塞ぐことができる。
【0030】
図4に、本例のコンクリートブロック50をクレーン19により吊り込む様子を示してある。図4の左側に示したように、クレーン19のフック18に取り付けたワイヤロープ17を、スラブ53を貫通する孔60を介してコンクリートブロック50の内部56に挿入する。そして、底板51のアンカー65に取り付けられたアイボルト66に、吊用のワイヤロープ17を取り付けて、吊り込む準備を行う。次に、図19に示したような、マンホールを有するユニットと同様に、コンクリートブロック50を吊り下げて埋設領域13に搬入し、所望の位置に設置する。その後、ワイヤロープ17をアイボルト66から外してワイヤロープ17をコンクリートブロック50から取り出し、図3に示すように、キャップ61をスラブ53の貫通孔60に取り付けて貫通孔60を塞ぐ。これにより、コンクリートブロック50のスラブ53は密閉することができる。密閉度を向上するために、キャップ61を接着剤により貫通孔60に取り付けても良いし、キャップ61を貫通孔60に取り付けた後に、モルタルなどによりコーキングしても良い。
【0031】
複数のコンクリートブロック50によりコンクリートボックス1を組み立てる場合は、各のコンクリートブロック50の貫通孔60をキャップ61で塞ぐ後処理が終了した後に埋設領域13を埋め戻す。マンホールが設けられているコンクリートブロックにおいては、マンホールに侵入する出入口を、現場コンクリートや、出入口用のユニットを組み立てることにより施工する。
【0032】
図4の右側には、図20で説明したブロック32を搬入する様子を参考のために示してある。図20で説明したように、このブロック32では、スラブの上面30uにアイボルト16を取り付け、そのアイボルト16にワイヤロープ17を取り付けて吊り込む。比較すると分かるように、図4の左側に示した本例のコンクリートブロック50においては、貫通孔60を通してワイヤロープ17をコンクリートブロック50の内部56に挿入し、底面51aに取り付けられたアイボルト66を利用できる。このため、コンクリートブロック50の底面51aから上のスペースを吊り代Sとして利用できる。一方、ブロック32では、スラブの上面30uから上のスペースしか吊り代Sとして利用できない。したがって、コンクリートブロック50を吊り込むために必要なクリアランスCは、コンクリートブロック32を吊りこむために必要なクリアランスCよりもかなり小さくなる。このため、マンホールのないブロック50であっても、図19に示したマンホールのあるブロック31と同様に電線21やガードレール22といった障害物を撤去することなく、埋設領域13に搬入することが可能となる。したがって、復旧工事も不要となり、低コストで、短期間にコンクリートボックス1を施工することができる。
【0033】
さらに、ブロック50の内部スペース56を吊り代あるいはその一部として利用できるので、ワイヤロープ17の角度θを小さくすることができるというメリットもある。スラブ面30uにワイヤロープ17を取り付ける場合、吊り代Sを縮小するにはワイヤロープ17の角度θを大きくする必要があるが、安全性の点から角度θは45度以下、少なくとも60度以下であることが通常要求される。これに対して、本例のブロック50であれば、内部スペース56を吊り代に使うことができるので、ワイヤロープの角度θを小さくでき、ワイヤロープ17およびアイボルト66に掛かる負荷を小さくでき、サイズが大きく、重量も大きなブロック50であっても、より安全に吊り込むことができる。
【0034】
本例のブロック50は、スラブ53に貫通孔60が設けられているが、その径は、ロープが通過する程度の径で良く、ロープが通過でき、ロープ17とブロック50との干渉を避けうる程度の最小の径であることが望ましい。ブロックの形状にも依存するが、例えば、ブロック50の重量が3トン程度あるいはそれ以下の比較的軽量なものであれば、ロープ17も細くて良いので、貫通孔60の径は30〜40mm程度に収めることができる。この程度の径の孔であれば、スラブ53に直にタイヤなどの重量物が載った場合でも、貫通孔60を塞ぐ際に耐荷重を考慮しなくてよい。また、貫通孔60を形成することによりスラブ53の断面積の低下はほとんどなく、スラブ53に埋設される鉄筋の配置にもほとんど影響を与えない。したがって、貫通孔60は、土砂や雨水などの浸入を防止できる程度の範囲で塞げば良く、プラスチック製のソケットやスリーブを、貫通孔60を成形するために埋めておき、プラスチック製のキャップ61をねじ込んだり接着剤で止めることにより貫通孔60を封止できる。耐食性のある金属、例えば、SUSや鋳鉄などでソケットやスリーブとキャップを構成することにより強度は増加するが、コストも増加する。しかしながら、直径が600mmあるいはそれ以上が要求され、耐荷重も数トンが要求されるマンホールと比較すると、コストの増加は微々たるものである。
【0035】
重量が数トン程度のブロック50になると、太いワイヤロープが必要となるので、スラブ53に用意する貫通孔60も最小径が50mm程度あるいはそれ以上になる可能性がある。この程度の径の貫通孔であると、塞ぐ際に、ある程度の耐荷重を考慮することが望ましい。例えば、現場で、スラブ53と同じ程度の厚さにコンクリートを詰めて塞ぐことにより、十分な強度で貫通孔60を塞ぐことができる。現場で型枠を組む時間を省くためには、貫通孔60に適合するサイズにプレハブされたコンクリート製のキャップ61を用いることが有効である。さらに、図3に示すように、貫通孔60が下に狭くなっているテーパー孔の場合は、下に狭くなったテーパー状のキャップ61を単に孔60に挿入するだけで、荷重が加わっても貫通孔を封止する部材が落下しないようにすることができる。接着剤を併用したり、モルタルなどによりキャップ61を貫通孔60の間をコーキングして強度を上げることも可能である。コンクリート製のキャップ61は低コストで製造できる。また、直径が50mm程度から100mm程度であれば、キャップ61は軽く、作業員一人でも問題なく貫通孔60を塞ぐ工事を行うことができ、耐荷重も十分に高い。
【0036】
図5に、本発明の異なるコンクリートブロックの例を示してある。図5(a)に示すように、このコンクリートブロック70の全体形状は、上述したコンクリートブロック50と共通するが、図5(b)に拡大して示すように、スラブ53の中央に設けられた貫通孔63の途中が段差形状となり、そこに、上壁53の上面(スラブ面)53aと平行な面63cが形成されている。すなわち、このコンクリートブロック70に設けられた貫通孔63は、下側の孔63aと、それより径が大きな上側の孔63bとにより構成されており、下側の孔63aは下側が狭くなるテーパー孔となっている。そして、上側の孔63bと下側の孔63aとの境界に平面63cが形成されている。一方、この孔63に設置されるキャップ64も2段構造となっており、下方の部分64aは、下側の孔63aにほぼ合致する形状であるが、下側の孔63aの内径より若干小さな外径の円柱状であり、上側の部分64bは、上側の孔63bの内径より若干小さな外径の円柱状であり、下側の円柱64aと上側の円柱64bとの境界に、貫通孔63の途中の平面63cに接して止まる平面64cが形成されている。
【0037】
単純にテーパー状になっている貫通孔60の場合、テーパー状のキャップ61を入れて封止しようとすると、上面(スラブ面)53aで高さをあわせることがむずかしい。特に、キャップ61がコンクリート製の場合は、寸法誤差を解消することが難しい。キャップ61を取り付けたときにスラブ面53aに段差が発生することは、スラブ53が埋め戻されてスラブ面53aが地表に表れない場合は大きな問題とならない。しかしながら、スラブ面53aが地表に表れる場合は、キャップの上面がスラブ面53aに一致していることが望ましい。本例の段差のある貫通孔63とキャップ64の組み合わせであると、貫通孔63の途中の段差による面63cによりキャップ64の平面64cが支持される。このため、貫通孔63およびキャップ64の径に公差(クリアランス)を設け、これらの径あるいは多少の歪みなどの変形による影響を防止し、上側の孔63bの高さと、上側の円柱64bの高さをあわせて成形するだけでキャップ64の上面をスラブ面53aに簡単に一致させることができる。段差による面63cは上面53aに平行でなくても、その面63cでキャップ61の位置合わせが行えればよい。しかしながら、テーパー状になっていると、上記と同様の問題が発生する可能性があり、段差による面63cは上面53aと平行になっていることが望ましい。
【0038】
図6に、本発明のさらに異なるコンクリートブロックの例を示してある。このコンクリートブロック71の全体形状は、上述したコンクリートブロック50と共通するが、スラブ53の中央に、開口の形状が細長く、ほぼ長方形になった貫通孔67が設けられている。クレーンのフック18は、鉤形になっており、図7(a)に示す方向のサイズは大きくても、図7(b)に示す方向のサイズは非常に小さい。したがって、本例のコンクリートブロック71においては、断面(開口の形状)が長方形の貫通孔67を通して、フック18をブロックの内部56に挿入することが可能となる。このため、ワイヤロープ17の角度θを安全な範囲で大きくすることができ、ブロック内部の空間56を用いて吊り代Sを最小限にすることができる。したがって、図8に示すように、ブロック71を吊り込むためのクリアランスCを図4に示したケースよりさらに小さくすることができる。
【0039】
その一方で、スラブ53を貫通する孔67は、断面が長方形なので、図7(b)に示す辺67aは長くても、図7(b)に示す辺67bは短い。したがって、短辺67bを、ワイヤロープ17を通すための貫通孔60の径より小さくすることも可能となる。このため、貫通孔67を封止することはさらに容易であり、プラスチック製の簡易なキャップで塞ぐことができる。また、貫通孔67による短辺方向のスラブ53の断面欠損は非常に小さくなるので、鉄筋の配置に対する影響や、スラブ53の強度に対する影響もさらに小さい。
【0040】
フック18を通すための孔の断面形状は長方形にかぎらず、楕円形であっても良く、この場合も長軸に対して短軸方向の開口断面は小さくなるので、上記と同様に封止しやすく、スラブ53の強度に対する影響は小さい。
【0041】
図9に、本発明のさらに異なるコンクリートブロックの例を示してある。このコンクリートブロック72の全体形状は、上述したコンクリートブロック50に対してコンクリートボックス1の端を構成するブロックであり、一方の端73に接続用の配管75が予め埋め込まれた端面板(端壁)74が取り付けられている。このため、本例のコンクリートブロック72においては、スラブ53の中央ではなく、端面板74の方にシフトした位置に貫通孔60が形成されている。この端壁74は、側壁および上下の壁にボルトなどにより取り付けられた物であっても良く、また、側壁などと一体で成形されても良い。
【0042】
図10に示したブロック79のように、スラブ53の中央に貫通孔60を設けてワイヤロープ17を内部に下ろすようにしても良い。そして、底面51aに均等に埋め込まれたアンカー65に取り付けられたアイボルト66を用いてブロックを吊り下げても良い。しかしながら、端面板74が一方の端73に取り付けられているので、ブロック79の重心はブロックの中央ではなく端面板74の方向に偏心あるいはシフトした位置にしている。したがって、図10に示すように、ブロック79は吊り下げたときに傾いてしまい、ロープ17とブロック79が貫通孔60の位置で接触する可能性が高く、ロープの磨耗を防止するためにパッドを当てるなどの処理が必要になる。さらに、傾いた状態でブロック79が吊り込まれると、位置決めが難しく、また、隣接するブロックに対して密着した状態に設置することができないなどの問題も生ずる。
【0043】
これに対し、図9に示したブロック72においては、貫通孔60が偏心した、ブロック72の重心の上、あるいは垂心上に配置されており、また、アンカー65も、その貫通孔60を中心とした位置に配置されている。したがって、アンカー65にアイボルト66を装着し、ロープ17を取り付けて吊り上げると、ロープ17は貫通孔60と干渉しないでブロック72を吊り上げることができる。また、ブロック72の重心を上に吊り上げるので、ブロック72にモーメントは発生せず、ブロック72を平行な、傾かない状態で埋設領域13に搬入することができる。このため、所望の場所に精度良くブロック72を設置することができる。
【0044】
図11に本発明のさらに異なるコンクリートブロックの例を示してある。このコンクリートブロック76の全体形状は、上述したコンクリートブロック72と同様に一方の端73にケーブル接続用のベルマウスあるいはその他の配管75が予め埋め込まれた端壁74が取り付けられているものである。このため、本例のコンクリートブロック76も重心はスラブ53の中央ではなく、端壁74の側にシフトしている。本例のブロック76は、図11(b)に示すように、スラブ53の中央から端壁74の側に寄った位置に、端壁74が延びた方向と直交する方向に長い、断面が長方形の貫通孔に偏心した位置に貫通孔67が形成されている。したがって、図11(a)に示すように、この貫通孔67を通してフック18をブロック76の内部に挿入することが可能であり、クレーンで搬入する際のクリアランスを短くすることができる。
【0045】
さらに、このブロック76は、一方の端に端壁74が取り付けられているので、重心がスラブ53の中央にはなく、端壁74の側にシフトしている。一方、端壁74の重量は、壁の厚み、端壁74に予め埋設された配管75の数、大きさによって変わる。そして、埋設される配管75のサイズおよび数量は、ブロック76を用いて施工されるボックスによって変わる可能性がある。さらに、配管75を埋設する代わりに、壁の一部の厚みを薄くして後で穴あけをしやすくしたノック穴が形成される可能性もある。したがって、ブロック76の重心の位置は必ずしも一定にならない。しかしながら、端壁74と直角な方向あるいは直交する方向に長い貫通孔67を設けることにより、端壁74の重量の変動による重心の移動に対処することが可能となる。また、端壁74の取り付けられていないブロックにおいても、重心の位置が精度良く定め難い方向、例えば、ブロックの長手方向に延びた貫通孔をスラブ53に設けることにより、種々の要因による重心の多少の移動に対し柔軟に対処できる。
【0046】
図12に本発明のさらに異なるコンクリートブロックの例を示してある。このコンクリートブロック77の全体形状は、上壁53、底壁51および側壁52を備え、内部に水平方向に延びたスペース56が形成された横に長い角筒状である。さらに、上壁53の一方の端面55に切欠き68が形成されており、この切欠き68を通してワイヤロープ17を底面51aのアイボルト66に取り付けできるようになっている。このコンクリートブロック77は、ボックス1を組み立てる際に、切欠き68が設けられた端面55が、隣接する他のブロックに接するようにブロック77を設置することにより、切欠き68がボックス1の上壁を貫通する孔となる。したがって、ブロック77を組み立てた後にワイヤロープ17を外すことができ、ブロック77の高さを吊り代の一部としてクレーンで吊り上げて所定の場所に搬入することができる。切欠き68は両方の端面55に設けておいても良い。
【0047】
上壁53の端面55に設けられた切欠き68を用いてワイヤロープ17を取り付けるときは、ワイヤロープ17と上壁53の間に適当な部材を入れて、これらが擦れてロープ17あるいは端面55が損傷しないようにする必要がある。したがって、上述したように、上壁53を貫通する孔60、63あるいは67を用いた方が現場でボックスを施工する際に手間がかからず労力を軽減できる。しかしながら、ワイヤロープ17が通る程度の幅の狭いスリット状の切欠き68を設けるのみで、ボックス77を吊り込むために必要なクリアランスCを小さくできる。また、切欠き68の幅は狭いので、小径の貫通孔と同様にキャップやコンクリートなどにより現場で切欠き68を塞ぐことは容易である。
【0048】
図13に、本発明のコンクリートブロックを組み合わせてコンクリート製のボックス1を製造あるいは施工した様子を示してある。図13(a)のコンクリート製ボックス1aは、鋳鉄製の蓋6が着脱可能に取り付けられたマンホール5を有するブロック31と、上壁に吊り込み用の貫通孔を有するブロック70と、端壁74が取り付けられたブロック76とを組み合わせて製造した例である。このボックス1aにおいては、蓋6が搭載される開渠81の部分は、予め作業員が出入できる程度の径の大きな、直径がほぼ600mm以上のマンホール5を有するブロック31により形成され、上壁が閉じられた状態となる暗渠82の部分は、ワイヤロープあるいはフックが通過する程度のサイズの貫通孔63または67が上壁53に形成されたブロック70および76により形成されている。そして、ブロック70および76については、組み立てられた後に、それらの上壁53に設けられた貫通孔63および67は適当なサイズのコンクリート製のキャップなどにより封止されている。このように、本発明においては、暗渠部82を最初から上壁53が完全にふさがれたブロックで形成するのではなく、現場でも簡単に塞ぐことができる程度のサイズで、ワイヤロープあるいはクレーンのフックを通すことができる程度のサイズの貫通孔が設けられたブロックを利用することにより、ブロックの吊り込みを容易とし、施工現場における撤去および復元といった手間およびコストが発生する作業を防止している。
【0049】
図13(b)に示したボックス1bは、マンホール5を有するブロック31と、上壁53の端面55に切欠き68を設けたブロック77と、端壁74が取り付けられたブロック76とを組み合わせて製造した例である。そして、ブロック77および76においては、切欠き68と貫通孔67とを現場コンクリートなどにより塞いで暗渠部82を形成している。
【0050】
上壁(スラブあるいは天井壁)を備えた暗渠あるいはカルバートタイプのコンクリート製ブロックにおいて、作業員が出入するための開口部、すなわちマンホールのある開渠用のユニットとは異なり、アンカーは上面に設けるしかなく、吊り込みのために大きなクリアランスを必要としていた。このため、電線やガードレールなどの障害物があり、上も下も逃げようがない場合は、少なくともいずれか一方の障害物を一時的に撤去し、施工が終了した後に復旧する作業を行わざるを得ず、共同溝などのコンクリートボックスをプレハブされたブロックにより現場で製造する場合に大きな障害となっていた。これに対し、本発明のコンクリート製ブロックであれば、マンホールのない暗渠用のユニットであっても、その底面にアンカーを設けて吊り下げることが可能となる。したがって、吊り込むためのクリアランスを小さくすることができ、障害物を撤去したり、復旧する作業を省くことが可能となる。このため、コンクリート製ボックスを施工する期間を大幅に短縮でき、また、施工費用を削減できる。さらに、コンクリート製ボックスを施工する場所もよりフレキシブルに選択することが可能となる。また、マンホールのないブロックであってもマンホールのあるブロックと同様の作業で吊り込むことができるので、ブロックの組み合わせの自由度も向上し、不必要なところにマンホールのあるブロックを組み合わせて、高価な大型の鋳鉄製の蓋を無駄に使うことも防止できる。
【0051】
なお、上記の例では、アンカーとなるインサートを埋設したブロックを例に本発明を説明しているが、ロープを取り付けるアイボルトなどの取付具を予め埋設しておいても良い。しかしながら、アイボルトはブロックを所定の場所に設置した後は不要となり、ブロック内にアイボルトが突き出ている状況は使用上好ましいとは言えない。したがって、上記のようにアイボルトは取り外しできるようになっていることが望ましい。また、上記のコンクリートブロックでは、アンカーは底板51に埋設されているが、吊り用のロープを取り付けるのに適当な位置であれば、側面あるいは側壁52にアンカーを埋設しておいても良い。
【0052】
また、貫通孔が偏心している例として端面板が取り付けられたブロックを上記では示しているが、側壁52の厚みが異なるコンクリート製ブロックなど、他の要因で重心がブロックの中央にないものにおいても、上記と同様に重心の上に貫通孔を設けることにより水平にボックスを吊りこむことができる。
【0053】
また、上記では、電線の地中化に用いられる共同溝(CCボックス)を例に本発明を説明しているが、その他の構造物で、上壁を有するユニットを組み立ててボックスを形成する際にも本発明を適用できる。例えば、組み立て式の防火水槽、排水層、油水分離槽などのコンクリート製の水槽、組み立て式の地下道など、様々なボックス構造体に本発明を適用できる。
【0054】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明においては、上壁を有するコンクリート製ブロックの上壁にフックあるいはワイヤロープが通る程度の小さな貫通孔を設けることにより、マンホールのないブロックであっても、その底面にアンカーを設けて吊り下げることが可能となる。したがって、吊り込むためのクリアランスを小さくすることができ、コンクリート製ボックスをブロックを組み合わせて施工する際に、障害物を撤去したり、復旧する作業を省くことが可能となる。このため、コンクリート製ボックスを施工する期間を大幅に短縮でき、また、施工費用を削減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のコンクリートブロックの例を示す斜視図である。
【図2】図1に示すコンクリートブロックの断面図である。
【図3】図1に示すコンクリートブロックにキャップを取り付ける状態を示す図である。
【図4】図1に示す底板にアンカーが設けられたコンクリートブロックを吊り込む様子を、スラブにアンカーが設けられたコンクリートブロックを吊り込む様子と比較して示す図である。
【図5】図5(a)は、本発明の異なるコンクリートブロックの例を断面図であり、図5(b)は、上壁を拡大して示す断面図である。
【図6】本発明のさらに異なるコンクリートブロックの例を示す斜視図である。
【図7】図7(a)は、図6に示すコンクリートブロックの貫通孔の長辺方向の断面図であり、図7(b)は、短辺方向の断面図である。
【図8】図6に示すコンクリートブロックを吊り込む様子を示す図である。
【図9】図9(a)は、本発明のさらに異なるコンクリートブロックの例を示す断面図であり、図9(b)は、そのコンクリートブロックを上方から見た様子を示す平面図である。
【図10】図9に示すコンクリートブロックと比較するブロックを示す断面図である。
【図11】図11(a)は、本発明のさらに異なるコンクリートブロックの例を示す断面図であり、図11(b)は、そのコンクリートブロックを上方から見た様子を示す平面図である。
【図12】図12は、本発明のさらに異なるコンクリートブロックの例を示す斜視図である。
【図13】上記のコンクリートブロックを用いてコンクリート製のボックスを組み立てた例を示す図である。
【図14】共同溝用のコンクリート製ボックスを埋設領域に組み立てた概要を示す図であり、図14(a)および(b)は、3つのブロックによりボックスを製造した例を示し、図14(c)は、4つのブロックによりボックスを製造した例を示す平面図である。
【図15】U字型のユニットを用いてボックスを構成する様子を示す図である。
【図16】埋設領域の概略構成を示す図である。
【図17】U字型のユニットを吊り込む様子を示す図である。
【図18】U字型のユニットをクレーンにより埋設領域に搬入する様子を示す図である。
【図19】スラブを備えたカルバートタイプであってマンホールのあるユニット(コンクリートブロック)をクレーンより埋設領域に搬入する様子を示す図である。
【図20】スラブを備えたカルバートタイプであってマンホールのないユニット(コンクリートブロック)をクレーンより埋設領域に搬入する様子を示す図である。
【符号の説明】
1、1a、1b コンクリート製のボックス
50、70、71、72、76、77 コンクリートブロック
51 底壁(底板)、51a 底面
53 上壁(スラブ、天井壁)、53a 上面(スラブ面)
60、63、67 貫通孔
61、64 キャップ
Claims (14)
- 上壁と、底壁と、側壁とを有するコンクリートブロックであって、
さらに、前記上壁を貫通する切欠きまたは貫通孔であって、当該コンクリートブロックを設置する際に吊るためのロープまたは当該ロープを吊り下げるフックが通過する程度のサイズの切欠きまたは貫通孔と、
前記ロープを当該コンクリートブロックの内側から取り付けるように設置された取付具またはその取付具を固定するアンカーとを有するコンクリートブロック。 - 請求項1において、前記取付具またはアンカーは、当該コンクリートブロックの底壁またはその底壁に近い側壁に設けられているコンクリートブロック。
- 請求項1において、前記貫通孔は、当該コンクリートブロックのほぼ重心上に設けられているコンクリートブロック。
- 請求項1において、前記コンクリートブロックは端壁を有し、前記貫通孔は、上壁の中心より前記端壁の側にシフトした位置に設けられているコンクリートブロック。
- 請求項1において、前記貫通孔は、楕円または長方形であるコンクリートブロック。
- 請求項5において、前記コンクリートブロックは端壁を有し、前記貫通孔は、前記端壁に直角な方向に延びているコンクリートブロック。
- 請求項1において、前記貫通孔の径は、下に向かって小さいコンクリートブロック。
- 請求項1において、前記貫通孔は途中に、上面の側が広がった段差があるコンクリートブロック。
- 請求項1に記載のコンクリートブロックを有するコンクリート製のボックス。
- 上壁を有するコンクリートブロックを設置する際に、前記上壁を貫通する切欠きまたは貫通孔であって、ロープまたは当該ロープを吊り下げるフックが通過する程度のサイズの切欠きまたは貫通孔を介して吊り用のロープまたは当該ロープを吊り下げるフックを前記コンクリートブロックの内部に入れ、前記コンクリートブロックの内側に設置された取付具に前記ロープを取り付ける準備工程と、
前記ロープにより前記コンクリートブロックを吊り下げて所望の位置に設置する工程と、
前記切欠きまたは貫通孔を塞ぐ後処理工程とを有するコンクリートブロックの設置方法。 - 請求項10において、前記後処理工程では、前記切欠きまたは貫通孔をコンクリートにより塞ぐコンクリートブロックの設置方法。
- 請求項10のコンクリートブロックの設置方法により設置された前記コンクリートブロックを接続してコンクリート製のボックスを製造する方法。
- 上壁を有する複数種類のコンクリートブロックを水平方向に組み合わせて製造されたコンクリート製のボックスであって、
前記上壁にマンホールサイズの開口が形成された前記コンクリートブロックにより開渠部が形成され、前記上壁を貫通する切欠きまたは貫通孔であって、ロープまたは当該ロープを吊り下げるフックが通過する程度のサイズの切欠きまたは貫通孔が前記上壁に形成されたコンクリートブロックにより暗渠部が形成されているコンクリート製のボックス。 - 上壁を有する複数種類のコンクリートブロックを水平方向に組み合わせてコンクリート製のボックスを製造する際に、
前記上壁にマンホールサイズの開口が形成された前記コンクリートブロックにより開渠部を形成し、前記上壁を貫通する切欠きまたは貫通孔であって、ロープまたは当該ロープを吊り下げるフックが通過する程度のサイズの切欠きまたは貫通孔が前記上壁に形成されたコンクリートブロックにより暗渠部が形成するコンクリート製のボックスの製造方法。
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