JP2004283964A - 産業用ロボット - Google Patents

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Abstract

【課題】ロボット機構部を大型化することなく、ロボット機構部の筐体内部にサーボアンプを格納可能にするようにされた産業用ロボットを提供する。
【解決手段】手首部6が具備する複数の関節軸のそれぞれを駆動する各サーボモータ2a、2b、2cを減速機と一体構造としたうえですべて手首部6に配置し、手首部6が連結された関節軸アーム(第2アーム)8の筐体内部にサーボモータ2a、2b、2cを制御するサーボアンプ1を配置するようにした。そのため、従来技術においてサーボモータ2と減速機との間で駆動力を伝達していたギヤ、ベアリング3及びドライブシャフト4が、第2アーム8の筐体内部には存在しなくなったので、ロボット機構部0を従来技術に対して大型化することなく、第2アーム8の筐体内部にはサーボアンプ1を格納可能なスペースが確保されるものとなった。
【選択図】図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、多関節型の産業用ロボットに関し、特に、手首部の関節軸を動作させるサーボモータを制御するサーボアンプの配置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に産業用ロボットは、関節軸アームを主体とするロボット機構部と、関節軸アーム等を駆動制御するためのサーボアンプ等を含むロボット制御装置から構成されている。そして、ロボット機構部とロボット制御装置とは分離して配置され、両者はサーボモータ駆動用の動力線を含む接続ケーブルにより接続されている。係る構成では、ロボット機構部とロボット制御装置との配置間隔が長くなると、サーボモータ駆動用の動力線に流れる電流の変化により発生するノイズの影響により、位置データなどの制御信号の検出に誤りが発生する度合いが高くなる。そのため、係る構成のものにおいては、ロボット機構部の誤動作が発生したり、接続ケーブルを引きまわすための空間を確保しなくてはならないという問題があった。
【0003】
係る問題を解決するものとして、例えば特許文献1では、関節軸アーム等の関節軸の位置や角度を検出するセンサ信号や各種制御信号を処理しサーボモータを制御するサーボアンプについて、これをロボット制御装置から分離し、ロボット機構部の関節軸アーム上に載置する構成が提案されている。
【0004】
係る方法をロボット機構部のアーム先端の手首部において適用した場合について、図1を参照して説明する。図1において、6はロボット機構部0のアーム先端に連結された手首部であり、2軸あるいは3軸の自由度をもつ関節軸を有している。2は手首部6の各関節軸を駆動するサーボモータであり、関節軸の軸数分設けられている。1はサーボモータ2を制御するサーボアンプであり、このサーボアンプ1は、ロボット機構部0の関節軸アーム上すなわち第2アーム7と第1アーム8との連結部上に防塵用のカバー11により覆われた状態で載置されている。このサーボアンプ1とサーボモータ2とは接続ケーブル5により接続されている。
【0005】
係る構成において手首部6の各関節軸を駆動する際は、サーボアンプ1よりサーボモータ2を制御する電気信号が送られ、これによりサーボモータ2が駆動し、このときのモータシャフトの駆動力が第1アーム8の筐体内部に設けられたギヤ及びベアリング3及びドライブシャフト4を介し、さらに手首部6内に設けられた図示しない減速機などを介して、手首部6の各関節軸に伝達されることになる。係る構成のようにサーボアンプ1をロボット機構部0に載置したことにより、図示しないロボット制御装置からロボット機構部0までの配線が全体として細くでき、さらにサーボアンプ1からサーボモータ2への接続ケーブル5のうちサーボモータ駆動用の動力線を短くできるので、この動力線に流れる電流の変化により発生するノイズを低減することができる。
【0006】
また、特許文献2では、サーボモータを制御するサーボアンプをロボット機構部の内部に配置する構成が提案されている。係る構成によれば、サーボアンプは外部からのノイズの影響を受け難くなるとされている。
【0007】
【特許文献1】特開平4−141395号公報
【特許文献2】特開平1−321190号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、手首部6に重い部材を持たせることが可能にされた可搬重量の大きいハンドリングロボット等では、関節軸駆動用のサーボモータ2が大出力のものとなり、これに伴ってサーボモータ2を駆動するサーボアンプ1も大型のものとなる。そのため、ロボット機構部0の大きさに制限を受けている場合は、前述した特許文献1のようにロボット機構部0の関節軸アーム7、8上に大型のサーボアンプ1を載置することはできないという問題が生ずる。また、アーク溶接ロボット等では、前述した特許文献1のようにロボット機構部0の関節軸アーム7、8上に大型のサーボアンプ1を載置した場合、溶接等の大きなノイズ発生源の側にサーボアンプ1が置かれることになる。そのため、サーボアンプ1本体やサーボアンプ1への接続配線が外からのノイズの影響を受けることになるので、ロボット機構部0の誤動作が発生するという問題が生ずる。なお、前述したようにサーボアンプ1は防塵用のカバー11により覆われた状態で関節軸アーム7、8上に載置されることになるが、防塵用のカバー11は軽量化のため一般に薄い鋼板でできているので、ノイズに対するシールド作用はほとんどない。
【0009】
一方、前述した特許文献2の構成においては、サーボモータを制御するサーボアンプをロボット機構部の内部に配置したため、サーボアンプは外部からのノイズの影響を受け難くなるが、単にサーボアンプをロボット機構部の内部に配置しただけでは、前述した可搬重量の大きいハンドリングロボットの例のようにサーボアンプが大型のものとなった場合、サーボアンプが格納されたロボット機構部の筐体も大型化しなければならないという問題が生ずる。
【0010】
本発明は、前述した従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、ロボット機構部を大型化することなくロボット機構部の筐体内部にサーボアンプを格納可能にするようにされた産業用ロボットを提供することを目的とする。また、本発明は、溶接等の大きなノイズ発生源の影響を受けることない産業用ロボットを提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
前述した目的を達成するために、請求項1に係る発明では、複数の関節軸アーム7、8を有し、これら複数の関節軸アーム7、8の先端に複数の関節軸を具備する手首部6を連結した産業用ロボットにおいて、手首部6が具備する複数の関節軸のそれぞれを駆動する各サーボモータ2a、2b、2cを減速機と一体構造としたうえですべて手首部6に配置し、複数の関節軸アーム7、8のうち手首部6が連結された関節軸アーム8の筐体内部にサーボモータ2a、2b、2cを制御するサーボアンプ1を配置するようにしたことを特徴とする産業用ロボットを提供した。
【0012】
係る構成によれば、手首部6が具備する複数の関節軸のそれぞれを駆動する各サーボモータ2a、2b、2cを減速機と一体構造としたうえですべて手首部6に配置したので、図1における従来技術においてサーボモータ2と減速機との間で駆動力を伝達していたギヤ、ベアリング3及びドライブシャフト4が、手首部6が連結された関節軸アーム(第1アーム)8の筐体内部には存在しなくなる。そのため、手首部6が連結された関節軸アーム(第1アーム)8の筐体内部にはサーボアンプ1を格納可能なスペースが確保されることとなる。そして、このスペースにサーボアンプ1を配置するようにすれば、筐体が有するノイズに対するシールド作用により、サーボアンプ1は筐体外部からのノイズの影響を受け難いものとなる。なお、関節軸アームの筐体はロボットアームとしての剛性を確保するために十分な厚みを有しており、これによりノイズに対するシールド作用も前述したカバー11よりも格段に有することになる。
【0013】
なお、設置面に固定設置された固定ベース10と、この固定ベース10に対して設置面の垂直軸回りに回転可能にされた旋回フレーム9と、この旋回フレーム9に対して揺動可能にされた第2アーム7と、この第2アーム7に対して揺動可能にされた第1アーム8と、この第1アーム8の先端に連結された複数の関節軸を具備する手首部6と、を有する産業用ロボットについて、前述した請求項1に記載の発明を適用した場合は、手首部6が具備する複数の関節軸のそれぞれを駆動する各サーボモータ2a、2b、2cを減速機と一体構造としたうえですべて手首部6に配置し、第1アーム8の筐体内部にサーボモータ2a、2b、2cを制御するサーボアンプ1を配置するようにすればよい(請求項3)。
【0014】
また、請求項2に係る発明では、請求項1に係る発明において、手首部6が連結された関節軸アーム8の筐体内部に配置されたサーボアンプ1と手首部6に配置されたサーボモータ2a、2b、2cとは、手首部6が連結された関節軸アーム8の筐体内部に配設された接続ケーブル5により接続するようにした。係る構成としたことにより、筐体が有するシールド作用により、サーボアンプ1だけではなくサーボアンプ1とサーボモータ2a、2b、2cとを接続する接続ケーブル5についても、筐体外部からのノイズの影響を受け難いものとなる。
【0015】
なお、設置面に固定設置された固定ベース10と、この固定ベース10に対して設置面の垂直軸回りに回転可能にされた旋回フレーム9と、この旋回フレーム9に対して揺動可能にされた第2アーム7と、この第2アーム7に対して揺動可能にされた第1アーム8と、この第1アーム8の先端に連結された複数の関節軸を具備する手首部6と、を有する産業用ロボットについて、前述した請求項2に記載の発明を適用した場合は、第1アーム8の筐体内部に配置されたサーボアンプ1と手首部6に配置されたサーボモータ2a、2b、2cとは、第1アーム8の筐体内部に配設された接続ケーブル5により接続するようにすればよい(請求項4)。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。図2は本発明の一実施形態に係る産業用ロボットの構成について示した図面である。図2において、0はロボット機構部であり、このロボット機構部0は、設置面に固定設置された固定ベース10と、この固定ベース10に対して設置面の垂直軸回りに回転可能にされた旋回フレーム9と、この旋回フレーム9に対して前後に揺動可能にされた関節軸アームとしての第2アーム7と、この第2アーム7に対して上下に揺動可能にされた関節軸アームとしての第1アーム8と、この第1アーム8の先端に連結された手首部6などから構成されている。
【0017】
手首部6は3軸の自由度をもつ関節軸を有しており、その先端部はワークハンドや溶接ガン等の図示しないエンドエフェクタを取り付け可能にされている。2a、2b、2cは手首部6の3つの関節軸をそれぞれ駆動するサーボモータである。この手首部6の各関節軸を駆動するサーボモータ2a、2b、2cはいずれも減速機と一体構造とされ、手首部6に配置されている。
【0018】
1は駆動軸の位置や角度を検出するためのセンサ信号や各種制御信号を処理しサーボモータ2a、2b、2cを制御するサーボアンプである。このサーボアンプ1は第1アーム8の筐体内部に格納されている。前述したように手首部6が具備する複数の関節軸のそれぞれを駆動する各サーボモータ2a、2b、2cを減速機と一体構造としたうえですべて手首部6に配置したので、図1における従来技術においてサーボモータ2と減速機との間で駆動力を伝達していたギヤ、ベアリング3及びドライブシャフト4が、第1アーム8の筐体内部には存在しなくなる。そのため、第1アーム8の筐体内部にはサーボアンプ1を格納可能なスペースが確保されることとなる。
【0019】
サーボアンプ1とサーボモータ2a、2b、2cとは第1アーム8の筐体内部に配設された接続ケーブル5により接続されている。この接続ケーブル5は、サーボモータ2a、2b、2cに駆動電流を供給する動力線や各種制御信号を伝送する制御線などから構成されている。
【0020】
手首部6の各関節軸を駆動する際は、サーボアンプ1よりサーボモータ2a、2b、2cを制御する電気信号が接続ケーブル5の制御線を経由してサーボモータ2a、2b、2cのそれぞれへ送られ、これによりサーボモータ2a、2b、2cが駆動する。そして、このときのサーボモータ2a、2b、2cの駆動力は、サーボモータ2a、2b、2cのそれぞれと一体構造とされた各減速機を介して、手首部6の各関節軸に伝達されることになる。
【0021】
係る構成では、サーボアンプ1は第1アーム8の筐体内部に格納されているので、サーボアンプ1をその筐体内部に格納した第1アーム8の大きさは、前述した従来技術のように筐体外部にサーボアンプ1を載置した形態における第1アーム8とサーボアンプ1とを合わせた大きさよりも小さいものとなる。したがって、ロボット機構部0の大きさに制限を受けている使用環境においても、本実施形態の産業用ロボットは前述した従来技術の形態のものに比して、より大出力のサーボモータ2が搭載可能になる。言い換えれば、同じ出力のサーボモータ2a、2b、2cを搭載する場合には、本実施形態の産業用ロボットは前述した従来技術の形態のものに比してコンパクトな大きさになる。
【0022】
さらに、本実施形態に係る構成では、サーボアンプ1及びサーボアンプ1とサーボモータ2a、2b、2cとを接続する接続ケーブル5は第1アーム8の筐体内部に格納されているので、第1アーム8の筐体が有するシールド作用によりサーボアンプ1及び接続ケーブル5は筐体外部からのノイズの影響を受け難いものとなっている。したがって、手首部8のエンドエフェクタとして溶接トーチが取り付けられたアーク溶接ロボットのように、サーボアンプ1や接続ケーブル5の側に大きなノイズの発生源が存在する産業用ロボットにおいても、第1アーム8の筐体内部にサーボアンプ1や接続ケーブル5が格納された本実施形態に係る構成とすれば、サーボアンプ1や接続ケーブル5はノイズの影響を受け難くなるので、これに起因するロボット機構部0の誤動作の発生頻度は著しく低くなる。
【0023】
以上、本発明の一実施形態について説明した。なお、前述した実施形態においては、ロボット機構部0は、設置面に固定設置された固定ベース10と、固定ベース10に対して設置面の垂直軸回りに回転可能にされた旋回フレーム9と、旋回フレーム9に対して前後に揺動可能にされた第2アーム7と、第2アーム7に対して上下に揺動可能にされた第1アーム8と、第1アーム8の先端に連結された手首部6などから構成されているとしていたが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、ロボット機構部0の形態としては、複数の関節軸アームを有し、これら複数の関節軸アームの先端に複数の関節軸を具備する手首部を連結したものであればよい。また、当然のことながら、手首部6の自由度としては前述した実施形態のような3軸のものに限定されず、2軸や4軸以上のものであってもよい。
【0024】
【発明の効果】
本発明によれば、手首部が具備する複数の関節軸のそれぞれを駆動する各サーボモータを減速機と一体構造としたうえですべて手首部に配置したので、従来技術においてサーボモータと減速機との間で駆動力を伝達していたギヤ、ベアリング及びドライブシャフトが、手首部が連結された関節軸アームの筐体内部には存在しなくなった。そのため、ロボット機構部を大型化することなく、ロボット機構部の筐体内部にサーボアンプを格納可能なスペースを確保できるものとなった。そして、このスペースにサーボアンプを配置することにより、筐体が有するシールド作用によりサーボアンプは筐体外部からのノイズの影響を受け難いものとなった。さらに、第1アームの筐体内部にサーボアンプとサーボモータとを接続する接続ケーブルを配設することにより、この接続ケーブルについても、筐体外部からのノイズの影響を受け難いものとなった。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の産業用ロボットの構成を示す図である。
【図2】本発明による産業用ロボットの構成を示す図である。
【符号の説明】
0 ロボット機構部
1 サーボアンプ
2、2a、2b、2c サーボモータ
3 ギヤ及びベアリング
4 ドライブシャフト
5 接続ケーブル
6 手首部
7 第2アーム(関節軸アーム)
8 第1アーム(手首部6が連結された関節軸アーム)
9 旋回フレーム
10 固定ベース
11 カバー

Claims (4)

  1. 複数の関節軸アームを有し、該複数の関節軸アームの先端に複数の関節軸を具備する手首部を連結した産業用ロボットにおいて、
    前記手首部が具備する複数の関節軸のそれぞれを駆動する各サーボモータを減速機と一体構造としたうえですべて前記手首部に配置し、
    前記複数の関節軸アームのうち前記手首部が連結された関節軸アームの筐体内部に前記サーボモータを制御するサーボアンプを配置するようにしたことを特徴とする産業用ロボット。
  2. 前記手首部が連結された関節軸アームの筐体内部に配置されたサーボアンプと前記手首部に配置されたサーボモータとは、前記手首部が連結された関節軸アームの筐体内部に配設された接続ケーブルにより接続するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の産業用ロボット。
  3. 設置面に固定設置された固定ベースと、該固定ベースに対して設置面の垂直軸回りに回転可能にされた旋回フレームと、該旋回フレームに対して揺動可能にされた第2アームと、該第2アームに対して揺動可能にされた第1アームと、該第1アームの先端に連結された複数の関節軸を具備する手首部と、を有する産業用ロボットにおいて、
    前記手首部が具備する複数の関節軸のそれぞれを駆動する各サーボモータを減速機と一体構造としたうえですべて前記手首部に配置し、
    前記第1アームの筐体内部に前記サーボモータを制御するサーボアンプを配置するようにしたことを特徴とする産業用ロボット。
  4. 前記第1アームの筐体内部に配置されたサーボアンプと前記手首部に配置されたサーボモータとは、前記第1アームの筐体内部に配設された接続ケーブルにより接続するようにしたことを特徴とする請求項3に記載の産業用ロボット。
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