JP2004283781A - 塗装ガラス容器用製造装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】塗装ガラス容器用製造装置において、ガラス容器の表面に、通電処理液からなる連続層または不連続層の通電処理層を形成するための通電処理装置と、ガラス容器の表面に、液体塗料からなる静電塗装層を形成するための静電塗装装置と、を順次に配置してなる。
【選択図】 図1
Description
【産業上の利用分野】
本発明は、塗装ガラス容器用製造装置に関し、特に、均一な厚さの静電塗装層を有する塗装ガラス容器を、効率的に得ることができる塗装ガラス容器用製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ガラス容器に対する塗装手段として、液状塗料のスプレ−塗布が、主として実施されてきた。そして、加飾性向上のため、液状塗料の塗装後に、印刷やホットスタンプ等の加飾手段がさらに施されてきた。
しかしながら、スプレ−塗布を実施した場合、ガラス容器の所望箇所以外に液状塗料が飛散してしまうという問題が見られた。すなわち、液状塗料のほとんどが、塗膜を形成せずに廃棄され、それを効率的に回収しなければならないという資源上、環境上の問題が見られた。
そこで、ガラス容器に対する塗装手段として、金属材料の塗装に使用される静電塗装方法が提案されている。
しかしながら、ガラス材料の体積抵抗率は、金属材料のそれと比較して、値がきわめて大きく、しかも、かかる体積抵抗率の値が変動しやすいという問題が見られた。したがって、ガラス容器に対して、静電塗装方法による塗装を試みても、十分な厚さの塗膜を、安定して得ることは極めて困難であった。
【0003】
一方、ガラス容器の基材表面に、導電性を持たせるための導電性物質からなる導電性被膜層を配設した後に、導電性被膜層上に、20〜40μmのプライマ−コ−トを施し、その上に、粉体塗料を静電塗装する粉体塗装ガラス容器の製造装置が開示されている(例えば、特許文献1等)。
しかしながら、開示された粉体塗装ガラス容器の製造装置にあっては、その製造工程が複雑であって、しかも、導電性物質、粉体塗料、さらにプライマ−コートは、それぞれ材料コストが高くて、得られる塗装ガラス容器の製造コストが高いという問題が見られた。しかも、ガラス容器の構成材料や、大きさによっては、均一な厚さを有する塗膜を形成することが困難であるという問題が見られた。
【0004】
【特許文献1】
特開平8−156940号公報 (特許請求の範囲)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明の発明者らは鋭意検討した結果、ガラス容器の表面に、通電処理液からなる連続層または不連続層の通電処理層を形成するための通電処理装置を配置することにより、次工程で、液状塗料を静電塗装した場合であっても、極めて効率的、かつ安定して付着させることができることを見出し、本発明を完成するに至ったものである。
よって、本発明の目的は、均一な厚さの静電塗装層を有する塗装ガラス容器が、静電塗装によって効率的に得られる塗装ガラス容器用製造装置を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、ガラス容器の表面に、界面活性剤を含む通電処理液からなる連続または不連続の通電処理層を形成するための通電処理装置と、ガラス容器の表面に、液体塗料からなる静電塗装層を形成するための静電塗装装置と、が順次に配置してある塗装ガラス容器用製造装置塗装ガラス容器用製造装置が提供され、上述した問題点を解決することができる。
すなわち、通電処理装置によって、ガラス容器の表面に、通電処理液からなる連続層または不連続層の通電処理層を形成するため、次工程の静電塗装装置によって、液状塗料を効率的かつ安定して付着させることができる。したがって、均一な厚さの静電塗装層を有する塗装ガラス容器を、静電塗装によって効率的に得ることができる。
【0007】
また、本発明の塗装ガラス容器用製造装置を構成するにあたり、通電処理装置が、通電処理液を貯蔵するための貯蔵部と、当該貯蔵部から搬送される通電処理液をエジェクター効果によって霧化するための霧化部と、霧化された通電処理液の吹出し方向を制御するためのミスト吹出口と、を含むことが好ましい。
このように構成することにより、簡易かつ小型化された通電処理装置を用いながら、ガラス容器に対して吹き付ける通電処理液の粒径や量を容易に制御することができる。
【0008】
また、本発明の塗装ガラス容器用製造装置を構成するにあたり、通電処理装置における霧化部の後方に、攪拌エアーを吹出すためのエアー吹出口が設けてあることが好ましい。
このように構成することにより、比較的大粒径の通電処理液のミストは落下しやすくなるため、比較的小粒径の通電処理液のミストのみを前方に送ることができ、ガラス容器に対して吹き付ける通電処理液の粒径や量をさらに容易に制御することができる。
【0009】
また、本発明の塗装ガラス容器用製造装置を構成するにあたり、通電処理装置における霧化部とミスト吹出口との間に、所定粒径以上のミスト状の通電処理液を除去するためのミストチャンバーが実質的に水平方向に備えてあることが好ましい。
このように構成することにより、比較的大粒径のミスト状の通電処理液、例えば、100μm以上の通電処理液のミストを効率的に除去して、比較的小粒径の通電処理液のミストのみをガラス容器に対して吹き付けることができるため、ガラス容器に対して均一な通電処理を施すことができる。また、実質的に水平方向に配置されたミストチャンバーを利用するため、通電処理装置の小型化を図ることができる。
【0010】
また、本発明の塗装ガラス容器用製造装置を構成するにあたり、通電処理装置におけるミストチャンバーの途中または屈曲部に、霧化された通電処理液からなるミストを前方に送るための送りエアー吹出口が設けてあることが好ましい。
このように構成することにより、ガラス容器に対して吹き付ける通電処理液の粒径や量をさらに容易に制御することができる。また、ミストチャンバーが実質的に水平方向に配置されていたとしても、大粒径の通電処理液のミストを効率的に除去して、小粒径の通電処理液のミストをガラス容器に対して吹き付けることができる。
【0011】
また、本発明の塗装ガラス容器用製造装置を構成するにあたり、通電処理装置におけるミストチャンバーの側面部または天井部に邪魔板が設けてあるとともに、ミストチャンバーの底部には斜面が設けてあり、当該邪魔板および斜面を利用して、通電処理液のミストの一部を回収することが好ましい。
このように構成することにより、大粒径の通電処理液のミストを効率的に除去できるとともに、外部に回収して、再利用することができる。また、ミストチャンバーが実質的に水平方向に配置されていたとしても、大粒径の通電処理液のミストを効率的に除去回収して、小粒径の通電処理液のミストをガラス容器に対して吹き付けることができる。
【0012】
また、本発明の塗装ガラス容器用製造装置を構成するにあたり、霧化部およびミスト吹出口とが複数箇所に設けてあり、ガラス容器の周囲から霧化された通電処理液を吹き付けることが好ましい。
このように構成することにより、円筒形や異型のガラス容器であっても、その周囲に均一に通電処理を施すことができ、結果として、ガラス容器の全体に均一な塗膜を効率的に形成することができる。
【0013】
【発明の実施形態】
[第1の実施形態]
第1の実施形態は、図1に示すように、ガラス容器8の表面に、界面活性剤を含む通電処理液からなる連続層または不連続層の通電処理層を形成するための通電処理装置10と、ガラス容器8の表面に、液体塗料からなる静電塗装層を形成するための静電塗装装置100と、を順次に配置してなる塗装ガラス容器用製造装置30である。
なお、図2に、かかる塗装ガラス容器用製造装置30を使用して、塗装ガラス容器を製造するためのフローチャートを示す。そして、当該図2中のSTEP2に、通電処理工程を示し、STEP4に、静電塗装工程をそれぞれ示すが、これらSTEPの順序を適宜変更することができる。例えば、図2においては、STEP2と、STEP4との間に、STEP3として乾燥工程を設けているが、通電処理液が容易に自然乾燥できる場合には、かかるSTEP3は省略することができ、図2中のSTEP2とSTEP4とを連続工程とすることができる。
【0014】
1.ガラス容器
(1)形状
ガラス容器の形状は特に制限されるものでなく、化粧ビンや薬用ビン等のガラス容器における用途に対応させて、ボトルネック型のガラスビン、矩形状のガラスビン、円筒状のガラスビン、異形のガラスビン、矩形状のガラス箱、円筒状のガラス箱、異形のガラス箱等が挙げられる。
【0015】
(2)材質および着色
また、ガラス容器を構成するガラスの種類についても特に制限されるものでなく、ソーダ石灰ガラス、ホウ珪酸ガラス、鉛ガラス、リン酸塩ガラス、アルミノ珪酸塩ガラス等が挙げられる。
また、ガラス容器を構成するガラスとして、無色透明ガラスを用いることも好ましいが、着色透明ガラスや着色半透明ガラスを用いることも好ましい。無色透明ガラスを用いた場合には、ガラス容器内に収容する内容物の色を外部で十分に認識できるとともに、光の内部反射を利用して、内容物の色を鮮やかに認識することができる。一方、着色透明ガラスや着色半透明ガラスを用いた場合には、光の内部反射を利用して、内容物の色を加味して、装飾性により優れたガラス容器を得ることができる。
【0016】
2.通電処理装置
(1)構成
通電処理装置としては、一般的に公知の通電処理装置であれば好適に使用することができるが、例えば、図3(a)および(b)に例示されるような通電処理装置10を典型的には使用することができる。すなわち、かかる通電処理装置10は、図4に示すような、通電処理液を貯蔵するための貯蔵部(図示せず)と、当該貯蔵部から搬送される通電処理液をエジェクター効果によって霧化するための霧化部82と、霧化された通電処理液の吹出し方向を制御するためのミスト吹出口97とを含み、図3(a)に示す筐体58内の所定位置に配置してあることが好ましい。したがって、貯蔵部の通電処理液をエジェクター効果によって、効率的に霧化処理した後、所定粒径以上のミスト状の通電処理液について選別するためのミストチャンバー61およびそのミスト吹出口97へとさらに導き、比較的小粒径のミスト状の通電処理液を、ベルトコンベア69上を移動するガラス容器8の側面等から吹き付け、均一に通電処理を行うことができる。
よって、このような通電処理装置10を利用することにより、霧化された通電処理液(ミスト)のうち、平均粒径が比較的大きい通電処理液については、例えば、平均粒径が100μm以上の通電処理液を効率的に除去して再利用することができるとともに、平均粒径が比較的小さい通電処理液のみを選別して、通電処理することができ、ガラス容器の表面の全体に均一に付着させて、当該ガラス容器の表面の表面抵抗率を安定化させることができる。また、霧化された通電処理液(ミスト)の平均粒径が比較的小さいために、特別な乾燥工程を設けることなく、ガラス容器の表面において、搬送途中で、十分自然乾燥できるため、乾燥工程を別途設けることなく、あるいは、緩やかな乾燥条件を採用することができ、その結果、通電処理層を安定して形成することができる。
以下、通電処理装置10に関して、より具体的にその構成および選別原理等について、説明する。
【0017】
▲1▼貯蔵部
貯蔵部は、通電処理液を所定時間貯蔵するとともに、所定流量にて霧化部に輸送するための部位であるが、ポンプや攪拌装置を備えたタンク等から構成してあることが好ましい。また、貯蔵部には、そこに収容された通電処理液の濃度や粘度を調整するために、温度調節装置、粘度調節装置、導電率計等が備えられていることがより好ましい。
そして、かかる貯蔵部は、回収された通電処理液を効率的に再利用するために、ミストチャンバーの底部等に設けてあるドレインに連結されていることが好ましい。
【0018】
▲2▼霧化部
霧化部は、貯蔵部から輸送されてきた通電処理液を、ミスト状にする部位である。
ここで、霧化方式は特に制限されるものではなく、例えば、エジェクター効果を利用した方式、超音波振動を利用した方式、蒸発方式を利用した方式等が採用されるが、霧化部について、より小型化かつ簡易化できることからエジェクター効果を利用した方式を採用することが好ましい。すなわち、ベンチュリーノズル内を流体(空気や水等)が高圧で流れることによって発生する低圧現象を利用して、通電処理液をベンチュリーノズル内に吸引して、霧化することが好ましい。
【0019】
また、通電処理装置における霧化部の後方に、攪拌エアーを吹出すためのエアー吹出口が設けてあることが好ましい。
この理由は、攪拌エアーを吹出すことにより、回転流が生じて、比較的大粒径の通電処理液は凝集して、落下しやすくなるためである。一方、比較的小粒径の通電処理液は軽量であり、そのまま回転流に乗って、前方に送られるためである。
【0020】
▲3▼ミストチャンバー
ミストチャンバーは、通電処理装置における霧化部とミスト吹出口との間に備えてあり、所定粒径以上のミスト状の通電処理液を除去するための部材である。このようなミストチャンバーを設けることにより、比較的大粒径の通電処理液、例えば、100μm以上の通電処理液を効率的に除去して、比較的小粒径の通電処理液のみをガラス容器に対して吹き付けることができる。
【0021】
ここで、かかるミストチャンバーは、実質的に水平方向に備えてあることが好ましい。この理由は、実質的に水平方向に配置されたミストチャンバーを利用するため、通電処理装置の小型化が図られるとともに、通電処理装置の配置や保守点検等についても容易になるためである。
また、かかるミストチャンバーの途中または屈曲部に、図4(b)に示すような、霧化された通電処理液を前方に送るための送りエアー吹出口92が設けてあることが好ましい。この理由は、送りエアー吹出口92から適当な送りエアー93を吹出すことによって、ガラス容器8に対して吹き付ける通電処理液の粒径や量をさらに容易に制御することができるためである。また、適当な送りエアーを吹き込むことによって、ミストチャンバー61が実質的に水平方向に配置されていたとしても、大粒径の通電処理液のミストを効率的に除去して、小粒径の通電処理液のミストをガラス容器8に対して吹き付けることができるためである。
なお、後述するように、円筒形や半円形の邪魔板(整流板)を設けた場合、その邪魔板の一部に開口部やスリットを設けておき、その開口部等を送りエアー吹出口として利用し、送りエアーを吹出すことが好ましい。
【0022】
また、図4(b)に示すように、ミストチャンバー61の側面部または天井部に邪魔板85が設けてあるとともに、ミストチャンバー61の底部には斜面87が設けてあり、当該邪魔板85および斜面87を利用して、通電処理液のミストの一部を、ドレイン89に集中させて、回収することが好ましい。この理由は、このように構成することにより、大粒径の通電処理液のミストを効率的に除去できるとともに、通電処理液を外部に回収して、無駄なく再利用することができるためである。また、ミストチャンバーが実質的に水平方向に配置されていたとしても、大粒径の通電処理液のミストを効率的に除去回収して、小粒径の通電処理液のミストをガラス容器に対して吹き付けることができるためである。
また、かかる邪魔板の断面平面形状は特に限られるものではなく、例えば、円筒形や半円形、半楕円形、台形、方形とすることができるが、ノズルから噴射されたミスト状の通電処理液が、ミスト吹出し口へと、よりスムーズに送られることから、円筒形や半円形とすることが好ましい。
【0023】
▲4▼ミスト吹出口
ミスト吹出口は、霧化部およびミストチャンバーを介して、送られてきた比較的小粒径の通電処理液を、吹出し方向を制御しながら外部に対して吹出すための部位である。したがって、かかるミスト吹出口の正面に、ガラス容器が存在していれば、その表面に対して均一に通電処理を行うことができる。
また、ミストチャンバーが実質的に水平方向に配置されている場合には、ミスト吹出口は、当該ミストチャンバーの配置方向に対して、横方向や斜め方向を向いていることが好ましい。この理由はこのように構成することにより、コンベア上を移動するガラス容器等に対しても、均一かつ容易に通電処理することが可能になるためである。
また、図4(a)に示すように、ミスト吹出口97を初めとして、上述した霧化部82やミストチャンバー61がそれぞれ複数箇所に設けてあり、ガラス容器8の周囲から霧化された通電処理液を吹き付けることが好ましい。
この理由は、円筒形や異型のガラス容器であっても、その周囲に均一に通電処理を施すことができ、結果として、ガラス容器の全体に均一な塗膜を効率的に形成することができるためである。
【0024】
▲5▼選別原理
また、図4(a)および(b)を参照して、所定以下の粒径からなる通電処理液のミストのみを選別して、ガラス容器に対して通電処理する原理を、より詳細に説明する。
すなわち、霧化処理されたミスト状の通電処理液は、ノズル81から噴射されるとともに、ノズル81の後方に配置された攪拌エアー吹出口84から吹出された攪拌エアー83によって攪拌されながら、実質的に水平方向に配置されたミストチャンバー61内の導通路99を矢印91方向に進行する。そして、ミストチャンバー61内の壁面には、例えば、断面平面形状が半円形や半楕円形の邪魔板(ミスト整流板)85が設けられており、所定値を超える大きさの通電処理液がこのような邪魔板85や壁面に衝突すると、そのまま邪魔板85等に付着するとともに、大粒子化して落下し、底面に設けてある傾斜部87を伝わってドレイン89から集中的に排出され、貯蔵部(図示せず)に回収されることになる。
一方、所定値以下の粒径からなる通電処理液は、邪魔板85やミストチャンバー61の壁面に付着することなく導通路99を進行し、この導通路99の途中に設けられた送風口92から吹出すミスト送りエアー93によってミスト吹出口97へとさらに導かれる。そして、所定の粒径のみからなる通電処理液のミストが、コンベア上を移動するガラス容器8に対して均一に吹き付けられることになる。
よって、所定粒径のミスト状の通電処理液のみを効率的に選別し、ガラス容器に対して、所定方向から均一に吹き付けることができる。
【0025】
(3)通電処理液
通電処理装置に使用する通電処理液としては、界面活性剤を含む水溶液であることが好ましい。そして、かかる界面活性剤の添加量を、通電処理液の全体量に対して、0.1〜50重量%の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる界面活性剤の添加量が0.1重量%未満の値になると、ガラス容器の表面における表面抵抗率の値が不安定になって、均一な厚さの静電塗装層を安定して形成することが困難になる場合があるためである。一方、かかる界面活性剤の添加量が50重量%を超えると、ガラス容器の表面と、静電塗装層との間の密着力が著しく低下したり、あるいは、通電処理層の乾燥処理に過度に時間がかかったりする場合があるためである。
したがって、界面活性剤の添加量を、通電処理液の全体量に対して、0.5〜20重量%の範囲内の値とすることがより好ましく、1〜10重量%の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、界面活性剤を溶解させる溶媒としては、水であることが好ましいが、界面活性剤を迅速に溶解させる場合には、イソプロピルアルコールやエチルアルコールに代表されるアルコール化合物に、界面活性剤を一旦溶解させた後、水に添加することが好ましい。すなわち、例えば、界面活性剤と、アルコール化合物とを、重量比で、20:80〜80:20の割合で均一に混合した後、水に添加して、通電処理液とすることが好ましい。
【0026】
また、通電処理液に添加する界面活性剤の種類としては、非イオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、および両性界面活性剤からなる群から選択される少なくとも一つであることが好ましい。
この理由は、このような界面活性剤であれば、通電処理液へ、例えば、最大10重量%程度添加することによって、ガラス容器の表面における表面抵抗率の値を、均一化することができるためである。
【0027】
また、これらの界面活性剤として、非イオン系界面活性剤およびカチオン系界面活性剤の組み合わせからなる界面活性剤を含むことが好ましい。
この理由は、このような組み合わせであれば、通電処理液へ、例えば、最大7重量%程度添加することによって、ガラス容器の表面における表面抵抗率の値を、均一化することができるためである。
なお、より好ましい非イオン系界面活性剤およびカチオン系界面活性剤からなる組み合わせとして、非イオン系界面活性剤としてのポリオキシアルキレンエーテル化合物100重量部に対して、カチオン系界面活性剤として、アンモニウムクロライド系化合物、アンモニウムサルフェート系化合物、またはアンモニウムナイトレート系化合物を1〜50重量部の割合で混合した界面活性剤が挙げられる。
【0028】
また、より好ましい非イオン系界面活性剤として、ポリオキシアルキレンエーテル化合物、特に、下式(1)で表されるオキシアルキレンエーテル化合物が挙げられる。
R1−O−(R2−O)nH (1)
[式(1)中、R1は、置換基を有しても良い炭素数3〜15のアルキル基、置換基を有しても良い炭素数6〜15の芳香族炭化水素基、又は置換基を有しても良い炭素数4〜15の複素芳香族環基(なお、置換基としては炭素数1〜20のアルキル基、Br、Cl、I等のハロゲン原子、炭素数6〜15の芳香族炭化水素基、炭素数7〜17のアラルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数2〜20のアルコキシ−カルボニル基、炭素数2〜15のアシル基が挙げられる。)を示し、R2は、置換基を有しても良い炭素数1〜100のアルキレン基(なお、置換基としては、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜15の芳香族炭化水素基が挙げられる。)を示し、nは1〜100の整数を表す。]
【0029】
このような好適なポリオキシアルキレンエーテル化合物としては、具体的に、ポリオキシエチレンラウリルエーテル化合物、ポリオキシプロピレンラウリルエーテル化合物、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル等の一つまたは二種以上の組み合わせが挙げられる。
この理由は、このような化合物であれば、通電処理液へ、例えば、最大5重量%程度添加することによって、ガラス容器の表面における表面抵抗率の値を、均一化することができるためである。
【0030】
また、通電処理液(水溶液状態)の体積抵抗率を1×10−4〜1×107Ω・cmの範囲内の値とすることが好ましく、1×10−3〜1×106Ω・cmの範囲内の値とすることがより好ましく、1×10−2〜1×105Ω・cmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
この理由は、このような範囲に体積抵抗率の値を制限することにより、ガラス容器の表面における表面抵抗率の値を、容易に均一化することができるためである。
【0031】
(3)通電処理液の塗布量
また、通電処理液の塗布量(単位時間)を1〜100cm3/分の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる通電処理液の塗布量が1cm3/分未満になると、ガラス容器の表面における表面抵抗率の値が不安定になって、均一な厚さの静電塗装層を安定して形成することが困難になる場合があるためである。一方、かかる通電処理液の塗布量が100cm3/分を超えると、ガラス容器の表面と、静電塗装層との間の密着力が著しく低下したり、あるいは、通電処理層の乾燥処理に過度に時間がかかったりする場合があるためである。
したがって、通電処理液の塗布量(単位時間)を5〜70cm3/分の範囲内の値とすることがより好ましく、10〜30cm3/分の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0032】
(4)通電処理液の平均粒径
また、霧化処理による通電処理液の平均粒径を100μm未満の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる通電処理液の平均粒径が100μm以上の値になると、ガラス容器の表面における表面抵抗率の値が不安定になって、均一な厚さの静電塗装層を安定して形成することが困難になる場合があるためである。また、かかる通電処理液の平均粒径が100μm以上の値になると、通電処理液の乾燥工程における乾燥条件の制御が困難になったり、塗布ムラを生じたりする場合があるためである。
ただし、かかる通電処理液の平均粒径が過度に小さくなると、ガラス容器に対して通電処理液を所定の厚さに塗布するための時間を、過度に要したり、あるいは、通電処理装置の構造が過度に複雑になったりする場合がある。
したがって、霧化処理による通電処理液の平均粒径を5〜50μmの範囲内の値とすることがより好ましく、10〜30μmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0033】
ここで、図5〜図6に、レーザー方式の粒度分布計により測定した、通電処理液の粒度分布チャートを示す。図5は、粒径が、所定の範囲内にある通電処理液の粒度分布チャートを示し、図6は、所定範囲を超える粒径を一部含む通電処理液の粒度分布チャートを示している。また、それぞれ左縦軸に、全体量における特定粒子径の頻度(%)をとって示してあり、右縦軸に、粒子径の頻度の累積(%)をとって示してある。
この図5に示されるような粒度分布チャートを有する通電処理液を用いて、ガラス容器に対して通電処理を実施した場合には、通電処理液の塗布ムラが生じないとともに、均一な厚さの静電塗装層を効率的に形成できることが確認されている。一方、図6に示されるような粒度分布チャートを有する通電処理液を用いて通電処理を実施した場合には、通電処理液の塗布ムラが生じるとともに、形成された静電塗装層の厚さにもばらつきがみられ、さらには通電処理液の回収量も多いことが判明している。
したがって、均一な厚さの静電塗装層を、効率的に形成するためには、粒度分布を考慮して、通電処理液の平均粒径を100μm未満とすることが好ましいと言える。
なお、通電処理液の平均粒子径は、レーザー方式のパーティクルカウンターや赤外方式の粒度分布計を用いたりして、容易に測定することができる。
【0034】
(5)通電処理液の霧化圧
また、通電処理液の霧化状態を制御するための霧化圧を0.01〜1MPaの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる通電処理液の霧化圧が0.01MPa未満になると、通電処理液の霧化状態が不十分になって、ひいては、ガラス容器の表面における表面抵抗率の調整が不十分になる場合があるためである。一方、かかる通電処理液の霧化圧が1MPaを超えると、過度に通電処理液が付着してしまい、ガラス容器の表面と、静電塗装層との間の密着力が著しく低下する場合があるためである。
したがって、通電処理液の霧化圧を0.03〜0.95MPaの範囲内の値とすることがより好ましく、0.05〜0.9MPaの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0035】
(6)通電処理液のパターン圧
通電処理液の吹きだし状態を制御するためのパターン圧を0.01〜1MPaの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる通電処理液のパターン圧が0.01MPa未満になると、一箇所に通電処理液が過度に付着してしまい、ガラス容器の表面と、静電塗装層との間の密着力が著しく低下する場合があるためである。一方、かかる通電処理液のパターン圧が1MPaを超えると、通電処理液の吹きだし状態が過度に拡散し、ひいては、ガラス容器の表面における表面抵抗率の調整が不十分になる場合があるためである。
したがって、通電処理液のパターン圧を0.03〜0.95MPaの範囲内の値とすることがより好ましく、0.05〜0.9MPaの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0036】
(7)通電処理層
▲1▼連続層または不連続層
通電処理層は、図7(a)および(b)に例示するように、連続層であっても、不連続層であっても良い。図7(a)に例示するように、通電処理層4が連続層であれば、ガラス容器2の表面における表面抵抗率の値がより安定し、均一な厚さの静電塗装層を安定して形成できるためである。一方、図7(b)に例示するように、通電処理層4が不連続層であれば、ガラス容器2の表面と、静電塗装層6との間で、優れた密着力を得ることができるためである。
【0037】
▲2▼表面抵抗率
また、通電処理液からなる通電処理層(連続層部分)の表面抵抗率を1×10−5〜1×105Ω/□の範囲内の値であることが好ましい。
この理由は、かかる通電処理層の表面抵抗率が1×10−5Ω/□未満の値になると、使用可能な界面活性剤の種類が過度に制限される場合があるためである。一方、かかる通電処理層の表面抵抗率が1×105Ω/□を超えると、ガラス容器の表面における表面抵抗率の値が不安定になって、均一な厚さの静電塗装層を安定して形成することが困難になる場合があるためである。
したがって、通電処理層の表面抵抗率を1×10−4〜1×104Ω/□の範囲内の値とすることがより好ましく、1×10−3〜1×103Ω/□の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、かかる通電処理層の表面抵抗率は、JIS K 6911(5.13)の測定方法に準拠して測定することができる。
【0038】
▲3▼厚さ
また、通電処理液からなる通電処理層(連続層部分)の厚さは特に制限されるものではないが、例えば、0.01〜10μmの範囲内の値であることが好ましい。
この理由は、かかる通電処理層の厚さが0.01μm未満の値になると、ガラス容器の表面における表面抵抗率の値が不安定になって、均一な厚さの静電塗装層を安定して形成することが困難になる場合があるためである。一方、かかる通電処理層の厚さが10μmを超えると、通電処理層の形成やその乾燥処理に過度に時間がかかる場合があるためである。
したがって、通電処理層の厚さを0.1〜5μmの範囲内の値とすることがより好ましく、0.5〜2μmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、かかる通電処理層の厚さは、ガラス容器を含む断面を電子顕微鏡によって実測することもできるし、あるいは、光学方式の膜厚計を用いて測定することもできる。
【0039】
2.通電処理液の乾燥装置
(1)構成
静電塗装工程を実施する前に、図1に示すように、通電処理液の乾燥装置20を設けることが好ましい。すなわち、通電処理液に含まれる水分等を除去するとともに、通電処理層の表面抵抗率を所定範囲内の値に制御するためである。
したがって、通電処理液の乾燥工程を設けて、エアーを吹き付けたり、30〜100℃の温度に加熱したり、さらには減圧状態とすることが好ましい。
ただし、上述したように、霧化処理による通電処理液の平均粒径を、例えば、100μm未満の値に制御することにより、通電処理液の乾燥工程を別途設けることなく、自然乾燥によっても、通電処理層の表面抵抗率を所定範囲内の値に十分制御することができる。
【0040】
(2)搬送装置
通電処理装置と、静電塗装装置と、の間に、図1に示すように、塗装ガラス容器の自動搬送装置40を備えることが好ましい。すなわち、通電処理装置によって通電処理層が形成されたガラス容器に対して、連続的に静電塗装を行うことができるために、製造工程の簡略化や、製造時間の短縮化を図ることができるためである。
したがって、例えば、ベルトコンベアー69により通電処理装置による通電処理と、静電処理装置による静電塗装とを、連続的に移動させながら行うことが好ましい。
【0041】
3.静電塗装装置
(1)静電塗装装置
静電塗装装置としては、一般的に公知の静電塗装装置(塗装ガン)であれば好適に使用することができるが、例えば、図8に例示されるような静電塗装装置100を、典型的に使用することができる。
すなわち、静電塗装装置としての塗装ガン100は、その先端部に設けてある塗料噴射孔115と、液体塗料に高電圧を付与するための電極112を突出させてなる高圧印加部103と、液体塗料を噴射する際に、空気を供給するための二つの空気噴射孔107、108と、を備えていることが好ましい。
また、塗装ガン100の本体101には、高圧印加部103に対して、通電するための高電圧供給部110と、塗料噴射孔115に対して、液体塗料の貯蔵部(図示せず)から供給するための塗料供給路104と、二つの空気噴射孔107、108に対して、圧縮空気を供給するための空気供給路(図示せず)と、を備えていることが好ましい。
【0042】
また、静電塗装装置としての塗装ガンとして、液体塗料を均一に噴射できるように、図9に示すように、塗料噴射孔115を回転ヘッドとすることも好ましい。すなわち、塗装ガン100´の回転ヘッド115が、空気噴射孔108から吹出すエアーの噴射力によって回転軸を中心に回転し、それによって生じる遠心力により、塗料噴射孔115から噴射される塗料はガラス容器8に対して、均一に吹き付けることができる。
また、塗装ガンの小型化を図るために、図9に示すように、塗料供給路104の一部120を、コイル状に構成して、塗装ガン100´の先端部近傍に収容することも好ましい。このように燃料供給路104をコイル状とすることにより、塗料の低抵抗に起因する絶縁破壊やショートを防止するとともに、塗装ガンを全体としてコンパクトな設計とすることができる。
【0043】
(2)電圧
また、静電塗装する際の電圧を0.1〜100kVの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる電圧が0.1kV未満になると、均一に静電塗装することが困難になる場合があるためである。一方、かかる電圧が100kVを超えると、ガラス容器の表面に付着せず、外部に飛散する液体塗料の量が著しく増加する場合がるためである。
したがって、静電塗装する際の電圧を1〜50kVの範囲内の値とすることがより好ましく、10〜30kVの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0044】
(3)液体塗料
▲1▼種類
静電塗装において用いる液体塗料の種類は特に制限されるものではないが、例えば、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ビニル系樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂等からなる群から選ばれる少なくとも一種の樹脂であるが好ましい。
また、これらの樹脂を硬化主成分とし、その硬化剤として、アミノ化合物、ホルムアルデヒド化合物、フェノ−ル化合物、イソシアネ−ト化合物、ポリアミド化合物、金属アルコキシド化合物、金属キレ−ト化合物等を混合したものを使用することがより好ましい。
【0045】
▲2▼硬化性樹脂
また、静電塗装において用いる液体塗料として、熱硬化性樹脂または紫外線硬化性樹脂を使用することが好ましい。
この理由は、かかる硬化性樹脂を使用することにより、ガラス容器の表面と、塗膜の間の密着力を高めることができるとともに、表面保護性に優れた、薄膜からなる塗膜を形成することができるためである。また、熱硬化性樹脂を用いた場合には、加熱炉を用いて容易に塗膜を形成することができ、紫外線硬化型樹脂を用いた場合には、紫外線照射によって、迅速に形成することができる。
【0046】
▲3▼粘度
また、液体塗料の粘度(25℃)を5〜100,000mPa・sの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる液体塗料の粘度が5mPa・s未満の値になると、取り扱いが困難になったり、塗膜の厚膜化が困難になったりする場合があるためである。一方、かかる液体塗料の粘度が100,000mPa・sを超えると、塗膜の厚さの制御が困難になったり、あるいは、静電塗装処理自体が困難になったりする場合があるためである。
したがって、液体塗料の粘度(25℃)を、10〜10,000mPa・sの範囲内の値とすることがより好ましく、100〜5,000mPa・sの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0047】
(4)塗膜
▲1▼厚さ
また、液体塗料からなる塗膜の厚さは特に制限されるものではないが、例えば、5〜200μmの範囲内の値であることが好ましい。
この理由は、かかる塗膜の厚さが5μm未満の値になると、機械的強度が低下して、ガラス容器の表面から容易に剥離する場合があるためである。一方、かかる塗膜の厚さが200μmを超えると、塗膜の形成やその乾燥処理に過度に時間がかかる場合があるためである。
したがって、液体塗料からなる塗膜の厚さを10〜100μmの範囲内の値とすることがより好ましく、20〜50μmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0048】
【実施例】
以下に実施例を掲げて、本発明の内容を更に詳しく説明する。ただし、本発明の技術的範囲は、これら実施例のみの記載に限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において適宜変更することができる。
【0049】
[実施例1]
1.塗装ガラス容器の製造
(1)通電処理工程
高さ10cmのガラス容器(ボトルネック型のガラスビン)を準備し、通電処理用ラインに載置した。
次いで、図3に示すような通電処理装置を用いて、以下の条件にて、ガラス容器の表面に通電処理を実施した。
▲1▼通電処理液:アクリルエーテル系5重量%水溶液
(ポリオキシエチレンラウリルエーテル)
▲2▼霧化圧: 0.7MPa
▲3▼パターン圧:0.7MPa
▲4▼塗布量: 60cm3/分
【0050】
(2)静電塗装工程
次いで、図Dに示すような静電塗装装置を用いて、以下の条件にて、ガラス容器の表面に静電塗膜を形成した。
▲1▼液体塗料: カラークリアー樹脂(アクリルメラミン系樹脂)
▲2▼粘度: 100mPa・s
▲3▼塗布量: 60cm3/分
▲4▼高電圧: 12kv
【0051】
2.塗装ガラス容器の評価
(1)塗膜の外観性
塗装ガラス容器(10個)の表面に形成した塗膜の厚さを、それぞれ膜厚計を利用して測定し、以下の基準に準拠して、塗膜の外観性を評価した。
◎:ばらつきが平均値の±10%以内である。
○:ばらつきが平均値の±20%以内である。
△:ばらつきが平均値の±30%以内である。
×:ばらつきが平均値の±30%を超える値である。
【0052】
(2)塗膜強度
塗装ガラス容器(10個)の表面に形成した塗膜強度を、碁盤目法により測定し、以下の基準に準拠して、塗膜強度を評価した。
◎:平均はがれ数が0〜1個/100碁盤目である。
○:平均はがれ数が2〜5個/100碁盤目である。
△:平均はがれ数が6〜10個/100碁盤目である。
×:平均はがれ数が11個以上/100碁盤目である。
【0053】
(3)生産効率性(液体塗料消費量)
塗装ガラス容器(1000個)の表面に塗膜を形成するに際して、要した液体塗料の量を測定し、以下の基準に準拠して、生産効率性を評価した。
◎:平均塗料使用量が2g/本以下である。
○:平均塗料使用量が3g/本以下である。
△:平均塗料使用量が4g/本以下である。
×:平均塗料使用量が4g/本を越える値である。
【0054】
[実施例2〜13]
実施例2〜13では、通電処理液中の界面活性剤を、実施例1のアルキルエーテル化合物(ポリオキシエチレンラウリルエーテル)から、表1に示す化合物(12種類)としたほかは、実施例1と同様に塗装ガラス容器を作製して、評価した。
その結果、界面活性剤として、非イオン系界面活性剤(実施例2〜3)およびカチオン系界面活性剤(実施例7〜9)を用いると、塗膜の外観性、塗膜の密着性および生産効率性において、比較的良好なバランス特性が得られることが判明した。
【0055】
[実施例14〜16]
実施例2〜16では、通電処理液中の界面活性剤の種類を、表2に示すように、二種類の界面活性剤の組み合わせに変えたほかは、実施例1と同様に塗装ガラス容器を作製して、評価した。
その結果、界面活性剤として、非イオン系界面活性剤と、カチオン系界面活性剤を組み合わせると(実施例15)、塗膜の外観性、塗膜の密着性および生産効率性において、さらに良好なバランス特性が得られることが判明した。
【0056】
[実施例17〜19]
実施例17〜19では、通電処理液中の界面活性剤の添加量を、表3に示すように変えたほかは、実施例1と同様に塗装ガラス容器を作製して、評価した。
その結果、界面活性剤として、非イオン系界面活性剤を5重量%前後、カチオン系界面活性剤を0.5〜2重量%程度添加すると、塗膜の外観性、塗膜の密着性および生産効率性において、さらに良好なバランス特性が得られることが判明した。
【0057】
[比較例1]
比較例1では、通電処理工程を設けず、通電処理層を形成しなかったほかは、実施例1と同様に塗装ガラス容器を作製して、評価した。
【0058】
[比較例2]
比較例2では、通電処理液中に、界面活性剤を添加しなかったほかは、実施例1と同様に塗装ガラス容器を作製して、評価した。
【0059】
[比較例3]
比較例3では、通電処理液中に、界面活性剤の代わりに導電性樹脂(ポリアクリル酸型カチオン材料)を添加したほかは、実施例1と同様に塗装ガラス容器を作製して、評価した。
【0060】
【表1】
【0061】
【表2】
【0062】
【表3】
【0063】
【発明の効果】
本発明の塗装ガラス容器用製造装置によれば、ガラス容器の表面に、界面活性剤を含む通電処理液からなる連続層または不連続層である通電処理層を設けることにより、均一な厚さの静電塗装層を有する塗装ガラス容器が効率的に得られるようになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】塗装ガラス容器用製造装置の模式図である。
【図2】本発明の塗装ガラス容器の製造方法におけるフローチャートを示す図である。
【図3】本発明の塗装ガラス容器の製造方法に使用される通電処理装置の模式図である。
【図4】通電処理の仕組みを説明するために供する図である。
【図5】通電処理液の粒度分布チャートを示す図である(その1)。
【図6】通電処理液の粒度分布チャートを示す図である(その2)。
【図7】塗装ガラス容器における通電処理液の塗布状態を説明するために供する概略図である。
【図8】本発明の塗装ガラス容器の製造方法に使用される静電塗装装置の模式図である。
【図9】本発明の塗装ガラス容器の製造方法に使用される別の静電塗装装置の模式図である。
【符号の説明】
8:ガラス容器
10:静電塗装装置
20:乾燥装置
30:塗装ガラス容器用製造装置
40:自動搬送装置
61:ミストチャンバー
83:攪拌エアー
85:邪魔板(ミスト整流板)
100:静電塗装装置(塗装ガン)
106:高圧印加部
108:空気噴射孔
112:電極
115:塗料噴射孔
Claims (8)
- ガラス容器の表面に、界面活性剤を含む通電処理液からなる連続または不連続の通電処理層を形成するための通電処理装置と、
ガラス容器の表面に、液体塗料からなる静電塗装層を形成するための静電塗装装置と、
が順次に配置してあることを特徴とする塗装ガラス容器用製造装置。 - 前記通電処理装置が、前記通電処理液を貯蔵するための貯蔵部と、当該貯蔵部から搬送される通電処理液をエジェクター効果によって霧化するための霧化部と、霧化された通電処理液の吹出し方向を制御するためのミスト吹出口と、を含むことを特徴とする請求項1に記載の塗装ガラス容器用製造装置。
- 前記通電処理装置における霧化部の後方に、攪拌エアーを吹出すためのエアー吹出口が設けてあることを特徴とする請求項2に記載の塗装ガラス容器用製造装置。
- 前記通電処理装置における霧化部とミスト吹出口との間に、所定粒径以上のミスト状の通電処理液を除去するためのミストチャンバーが、実質的に水平方向に備えてあることを特徴とする請求項2または3に記載の塗装ガラス容器用製造装置。
- 前記通電処理装置におけるミストチャンバーの途中または屈曲部に、霧化された通電処理液からなるミストを前方に送るための送りエアー吹出口が設けてあることを特徴とする請求項4に記載の塗装ガラス容器用製造装置。
- 前記通電処理装置におけるミストチャンバーの側面部または天井部に邪魔板が設けてあるとともに、前記ミストチャンバーの底部には斜面が設けてあり、当該邪魔板および斜面を利用して、前記所定粒径以上のミスト状の通電処理液を回収することを特徴とする請求項4または5に記載の塗装ガラス容器用製造装置。
- 前記霧化部およびミスト吹出口とが複数設けてあり、塗装するガラス容器の周囲から霧化された通電処理液を吹き付けることを特徴とする請求項2〜6のいずれか一項に記載の塗装ガラス容器用製造装置。
- 前記静電塗装装置が、その先端部に設けてある塗料噴射孔と、液体塗料に高電圧を付与するための電極を突出させてなる高圧印加部と、液体塗料を噴射する際に、空気を供給するための空気噴射孔と、を備えていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の塗装ガラス容器用製造装置。
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