JP2004283672A - 浄化装置とそれを用いた冷蔵庫 - Google Patents
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Abstract
【課題】気液混合体または液体を対象としてそれに含まれる分解対象物質を浄化することができる浄化装置を提供するものである。
【解決手段】電源装置142により一対の電極間145,146に全波波形の電圧を印加して放電光を発生させ、これにより気液混合体に含まれる分解対象物質を分解するものであり、光触媒モジュール143が円柱状であり、この軸部分に放電電極145を配し、その外周部に絶縁体144を介して円弧状の対向電極146を形成する。
【選択図】 図2
【解決手段】電源装置142により一対の電極間145,146に全波波形の電圧を印加して放電光を発生させ、これにより気液混合体に含まれる分解対象物質を分解するものであり、光触媒モジュール143が円柱状であり、この軸部分に放電電極145を配し、その外周部に絶縁体144を介して円弧状の対向電極146を形成する。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、放電電極からの放電光により光触媒を活性化させることで気液混合体に含まれる分解対象物質を除去して清浄あるいは脱臭する浄化装置と、それを用いた冷蔵庫に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、放電電極からの放電光により光触媒を活性化させて、気体中の分解対象物質を除去して気体を清浄あるいは脱臭する浄化装置として、特許文献1のような浄化装置が提案されている。
【0003】
この浄化装置1の構造は、図10に示すようにセラミックスで構成され、その表面に光触媒を担持する三次元網目状の光触媒担持体2を、二枚の金属電極板3,3で挟持した構成である。この一対の金属電極3,3の間には、電源4が電線5を介して設けられ、電圧が印加される。
【0004】
この一対の金属電極板3,3の間に所要の電圧が印加されると放電光が発生し、光触媒担持体2が担持する光触媒が活性化され、光触媒担持体2を通過する気体中に含まれる所要の物質が、放電光によって作用した光触媒反応によって分解される。
【0005】
【特許文献1】
特開2000−140624
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら上記構成の浄化装置1は、空気等の気体を分解対象物質の媒体として構成されているため、気液混合体あるいは液体を対象として浄化を行う場合には、完全に浄化ができないという問題点がある。
【0007】
そこで、本発明は上記問題点に鑑み、気液混合体または液体を対象としてそれに含まれる分解対象物質を浄化することができる浄化装置及びそれを用いた冷蔵庫を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、セラミック基体に光触媒を担持した光触媒モジュールと、正負極の一対の電極と、電源手段とを有し、前記電源手段により前記一対の電極間に電圧を印加して発生させた放電光を前記光触媒モジュールに照射して活性化させ、この活性化した前記光触媒の作用により前記光触媒モジュールの内部あるいは近傍にある液体、気体、気液混合体等の分解対象物質媒体に含まれる分解対象物質を分解する浄化装置において、前記光触媒モジュールを円柱状に形成し、前記光触媒モジュールの軸部分に一方の電極である棒状の電極を配し、前記光触媒モジュールの外周部に絶縁体を介して他方の電極である円弧状の電極を配することを特徴とする浄化装置である。
【0009】
請求項2の発明は、前記絶縁体を筒状の絶縁体容器で形成し、前記絶縁体内部に前記光触媒モジュールを収納し、前記絶縁体容器の外周部に前記他方の電極を配することを特徴とする請求項1記載の浄化装置である。
【0010】
請求項3の発明は、前記絶縁体容器の外周面に、導電性インクによる印刷、メッキ、または、蒸着により前記他方の電極を形成することを特徴とする請求項2記載の浄化装置である。
【0011】
請求項4の発明は、前記円柱状の光触媒モジュールの軸方向の寸法を、その直径の寸法より大きくすることを特徴とする請求項1記載の浄化装置である。
【0012】
請求項5の発明は、前記光触媒モジュールの触媒担持率を5%以上とすることを特徴とする請求項1記載の浄化装置である。
【0013】
請求項6の発明は、前記電源手段により前記一対の電極へ印加する電圧波形が、正と負の両側に振れる波形であることを特徴とする請求項1記載の浄化装置である。
【0014】
請求項7の発明は、前記浄化装置を複数個束ねて浄化装置集合体を形成することを特徴とする請求項1から6の中の少なくとも一項に記載の浄化装置である。
請求項8の発明は、給水タンクから製氷皿へ製氷用水を供給して製氷を行う製氷装置を有する冷蔵庫において、請求項1から7の中の少なくとも一項に記載された浄化装置を用いて、前記給水タンクから前記製氷皿へ流れる製氷用水を浄化することを特徴とする冷蔵庫である。
【0015】
請求項1の発明の浄化装置であると、光触媒モジュールにおいて、外周部にある円弧状の電極の中心に棒状の電極が配され、棒状の電極と円弧状の電極との距離が常に一定であるため、均一な放電を行うことができ、光触媒モジュールの表面全体を用いて浄化することができる。
【0016】
この場合に、絶縁体を一対の電極間に介在させて放電が起こるため紫外線を発生させることができ、その紫外線からのオゾンによっても浄化を行うことができる。
【0017】
また、光触媒モジュールを円柱状に形成することにより、円弧状の電極と棒状の電極との間の寸法を精度よく保持することができる。
【0018】
請求項2の発明の浄化装置であると、筒状の絶縁体容器の内部に円柱状の光触媒モジュールを収納する構造であるため、製造が容易で、また、棒状の電極と円弧状の電極との寸法精度を正確に保持することができる。
【0019】
請求項3の発明の浄化装置であると、絶縁体容器の外周面に、導電性インクによる印刷、メッキ、または、蒸着により他方の電極である円弧状の電極を形成するため、電極を形成し易く、また、絶縁体容器と円弧状の電極との間に隙間が形成されることがない。したがって、放電が確実に起こる。
【0020】
請求項4の発明の浄化装置であると、円柱状の光触媒モジュールの軸方向の長さを、その直径の寸法より大きくすることにより、棒状の電極と円弧状の電極との間の距離が短くなり、棒状の電極と円弧状の電極との対向する寸法が長くなるため、効率よく放電光を発生させることができる。
【0021】
請求項5の発明の浄化装置においては、少なくとも5%以上の担持率があると、浄化効果を得ることができる。
【0022】
請求項6の発明の浄化装置であると、一対の電極間にかかる電圧の波形が正と負の両側に振れる波形であるため、効率よく放電を行うことができる。
【0023】
請求項7の発明の浄化装置であると、多量の分解対象物質媒体が流入しても浄化をすることが可能となる。
【0024】
請求項7の発明の冷蔵庫であると、製氷皿へ流れる製氷用水を確実に浄化をすることができる。
【0025】
【発明の実施の形態】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態の浄化装置14について説明する。
【0026】
本実施形態の浄化装置14は、冷蔵庫における製氷装置10に設けた場合である。すなわち、この製氷装置10によって製氷される製氷用水を浄化装置14によって浄化する実施形態である。
【0027】
(1)冷蔵庫100の構造
図1に示すように、本実施形態の冷蔵庫100は、上から冷蔵室102、野菜室104、製氷室106、冷凍室108が設けられ、各部屋には、扉110、112、114、116が設けられている。
【0028】
冷凍室108の後方に圧縮機117が載置された機械室118が配され、冷蔵室102の後方にマイコンよりなる冷蔵庫100の制御部120が設けられている。
【0029】
また、冷蔵室用扉110の前面には、冷蔵庫100の操作スイッチと表示部を有する操作部126が設けられている。
【0030】
(2)製氷装置10の構造
製氷装置10の構造について図1に基づいて説明する。
【0031】
製氷用水13が貯蔵してある給水タンク11は、冷蔵室102の下部に配置され、給水管12が後方へ突出している。給水タンク11内の製氷用水13は、この給水管12から給水タンク11外の水受け体21に導出し、野菜室104の後方にある浄化装置14を通過した後に製氷室106内の製氷皿16に給水される。給水された製氷皿16は、所定時間後に製氷モータ15によって、ひねりながら回転して、冷気により凍結した氷を収納ケース107に落下させる。また、収納ケース107に氷があるか否かを検氷レバー109で検知する。
【0032】
水受け体21は、給水タンク11から給水管12を通じてポンプ23で吸い出した製氷用水13を一時貯溜する部分であり、水受け体21から浄化装置14までの移流管17はオリフィスになっていて、流量を絞って吐圧をあげ、浄化装置14には気液混合体にして製氷用水13を供給する。
【0033】
給水タンク11から製氷室106への移流のための吸い上げポンプ23を設ける場所は、給水管12の吸い込み口近傍にあるが、この箇所には限定されない。
【0034】
例えば、水受け体21にポンプ23を設け、給水管12のタンク外の端部をその吸い込み口に接続し、水受け体21をその吐き出し口に接続することによって給水タンク11内の製氷用水13を吸い出して浄化装置14に通し、製氷室106の製氷皿16に給水する構成にすることができる。あるいは、給水管12のタンク内部の下端にポンプ23を設け、給水タンク11の外部においてこのポンプに近接して回転磁界を与える回転磁界発生装置を設置し、ポンプ23を回転磁界によって誘導回転させる構成でもよい。
【0035】
浄化装置14は、光触媒モジュール141を用いたもので、後から詳しく説明する。
【0036】
給水タンク11から外部の浄化装置14との間には製氷用水13をタンクから汲み上げて供給するための給水管12、移流管17がある。図1に示すように、給水管12は冷蔵室の後方、移流管17は野菜室の後方に配されているため、隔壁22によって通常の使用状態ではユーザーの手が触れることがないように浄化装置14を仕切る構造である。この隔壁22によって、浄化装置14にユーザーの手が触れて雑菌が繁殖する事態の発生したり、また、放電を起こすための高圧に触れるのが避けられ、さらに、メンテナンスフリー化が図れる。
【0037】
(3)浄化装置14の構造
次に、浄化装置14の構造について図2に基づいて説明する。
【0038】
図2に示したように、浄化装置14である放電型光触媒フィルタは、光触媒モジュール141と電源装置142から構成される。
【0039】
光触媒モジュール141は、中心の軸部分に電極挿入用の軸孔が開けられた円柱状の3次元多孔質セラミックス基体143に光触媒(例えば、酸化チタン)を塗布したものである。この円柱状の光触媒モジュール141を、筒状の絶縁体容器144内に収容している。筒状の絶縁体容器144は、絶縁性のガラスや樹脂等の誘電体よりなる。
【0040】
光触媒モジュール141の軸孔に棒状の電極である放電電極145を挿入している。
【0041】
絶縁体容器144の外周面には、導電性インクによる印刷、メッキ、または蒸着によって、円弧状の電極である対向電極146が形成されている。
【0042】
上記一対の放電電極145と対向電極146には高電圧を印加するための電源装置142が接続されている。制御部120から電源が供給される電源装置142は、絶縁体容器144の近傍に配され、両者は一体のユニットとして組み込まれている。
【0043】
円柱状の光触媒モジュール141の形状に関しては、光触媒モジュール141の軸方向の長さが、その直径よりも大きく形成されている。例えば、軸方向の長さが20mmであり、直径が10mmである。
【0044】
光触媒モジュール141におけるセラミック基体143に担持する光触媒の担持率は5%以上となっている。
【0045】
電源装置142から一対の電極145,146に印加される高電圧は図5に示すように、正弦波波形において全波波形となっている。
【0046】
このように本実施形態の浄化装置においては、光触媒モジュール141が円柱状でその中心に放電電極145があり、外周部に位置する部分に対向電極146が配置されているため、放電電極145と対向電極146との距離が簡単に一定の距離とすることができ、放電を全周に亘って均一にすることができる。
【0047】
棒状の放電電極145は直接水と接触する部分であるため、この放電電極145の太さを太くすることで、電極の腐食や摩耗を防止することができる。
【0048】
(4)浄化装置14が上記構成となる第1の理由
光触媒モジュール141は、絶縁体容器144に収納されている理由について説明する。
【0049】
放電電極145と対向電極146との間に絶縁体が存在しないと、光触媒モジュール141に水が浸入すると、この水によって放電電極145と対向電極146との間に導通が起こり放電が発生しないためである。また、筒状の絶縁体容器144であるため、対向電極146に対して必ず絶縁効果を得ることができる。
【0050】
(5)浄化装置14が上記構成となる第2の理由
対向電極146が絶縁体容器144の表面に導電性インクによる印刷、メッキ、蒸着の方法で形成されている理由について説明する。
【0051】
対向電極146が絶縁体容器144の表面に導電性インクによる印刷、メッキ、蒸着の方法で形成されているため、対向電極146と絶縁体容器144との間で隙間ができることがない。隙間ができるとその間に電位が生じてしまい対向電極146と絶縁体容器144との間で放電が起こり、この放電は非常に高いエネルギーの放電となるため対向電極146や絶縁体容器144の寿命を著しく低下させてしまう。しかし、このように絶縁体容器144の表面に直接対向電極146を形成し隙間を設けないことにより、このような不要な放電がなくなり、対向電極146や絶縁体容器144の寿命を向上させることができる。
【0052】
(6)浄化装置14が上記構成となる第3の理由
光触媒モジュール141の軸方向の長さを径方向の長さよりも長くする理由について説明する。
【0053】
光触媒モジュール141をこのような形状にすると、放電電極145と対向電極146との距離を近付けることができ、また、放電電極145と対向電極146との対向する距離が長くすることができるために、効率よく紫外線を発生させることが可能となる。特に、水中の分解対象物質を効率よく分解することができる。また、放電電極145の長さは水と光触媒との接触時間に直接関係するため、軸方向の寸法が短いと十分な効果を得ることができないが、このように軸方向の寸法を長くすることにより十分な浄化を行える。
【0054】
図3は、水道中のカルキ臭の原因物質である遊離塩素に対する除去率の性能を、光触媒モジュール141の直径と軸方向の長さを変えた場合の実験結果を示したものである。
【0055】
図3に示すように、入力電力は常に10Wであって条件は一定である。この状態で、軸方向の長さ/直径の比率が1/2であると遊離塩素除去率が9%であり、1/1であると35%である。一方、2/1であると67%まで向上する。よって、軸方向の長さを直径の長さよりも大きくすることによりその遊離塩素除去率を著しく向上させることができる。
【0056】
なお、冷蔵庫の製氷用水における遊離塩素除去率としては50%以上が好ましいため、軸方向の長さ/直径の長さとしては、1.5/1以上が好ましい。
【0057】
(7)浄化装置14が上記構成となる第4の理由
セラミック基体143に担持する光触媒の担持率を5%以上としている。この理由を図4に基づいて説明する。
【0058】
図4は、遊離塩素除去率を縦軸に、触媒担持率を横軸にしたグラフであって、触媒担持率を変化させて遊離塩素除去率の状態を測定した実験結果である。
【0059】
図4に示すように、触媒担持率が5%以下であると遊離塩素除去率が10%以下となり、軸方向の長さと直径の長さの比率を変えたり、後から説明する電圧波形の状態を変化させても、必要な遊離塩素除去率を得ることができない。そのため5%以上の担持率が必要である。
【0060】
(8)浄化装置14が上記構成となる第5の理由
電源装置142によって、正弦波における全波波形を一対の電極145,146に印加した理由を図5及び図6に基づいて説明する。
【0061】
図5は、上記したように全波波形を一対の電極145,146に印加した状態であり、図6は半波波形を一対の電極145,146に印加したものの波形である。そして、全波波形における遊離塩素除去率は85%に対し、半波波形では11%である。
【0062】
この理由は、全波波形では、放電が絶縁物を介したバリア放電となるため、高電圧がかかっている時にのみ絶縁物表面にチャージした電子に関して、電位が逆転する際に電流として流れることによる。一方、半波波形ではチャージした電子が流れにくいために電流が流れず、紫外線量が減少して、遊離塩素除去率が減少からである。
【0063】
(9)実施形態の効果
この浄化装置14をなす放電型光触媒フィルタは寿命が長く、高度な浄化性能が得られる特長がある。また、光触媒モジュール141の部分に水を完全に充満させた状態で放電させると10kV以上の高電圧を電極145,146間に印加しなければならないが、光触媒部分に気体と水とが混在する流量で水を流すことによって放電開始電圧を低下させることができ、4kV以上の電圧で浄水効果を得ることができる。しかもこのとき、気液混合体の気体として酸素を含むものを用いると、放電空間で紫外線と共にオゾンも発生し、このオゾンによる酸化殺菌作用によって浄水効果がいっそう向上する。なお、オゾンは人体にとって有害な物質であるが、水中での寿命が数秒から数10秒と言われており、直ちに酸素に戻るために人体への影響はない。
【0064】
(10)変更例
水受け体21と浄化装置14とを接続する移流管17はオリフィスにしてあるので、このオリフィスで流量を調整することが可能である。
【0065】
そこで、水受け体21から浄化装置14への製氷用水13の流量を絞り、水滴にして浄化装置14に供給するようにすることができる。このように水滴にして浄化装置14に供給すれば、放電のために高電圧が水滴に印加され、水滴が高電圧に帯電するとしても、製氷用水13の全体が高電圧に帯電することはなく、したがって製氷用水13が接触する導電体部分が高電圧に帯電することもなく、万が一にもユーザーがその導電体部分に接触するようなことがあっても感電する恐れがない。
【0066】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態の浄化装置14について図7に基づいて説明する。
【0067】
図7は、第2の実施形態の浄化装置14である。
【0068】
本実施形態の浄化装置14は、移流管17から浄化装置14内に導入する製氷用水13の流れがサイクロン(渦流)となるように構成したことを特徴としている。
【0069】
すなわち、導水口147を絶縁体容器144の上部に水平接線方向にして設け、移流管17から浄化装置14に流れ込む製氷用水13が矢印Aのように回転渦流になってセラミック担体143にらせん状の水流になって流れ込むようにしている。
【0070】
なお、その他の構成は図2に示した第1の実施形態と同様である。
【0071】
また、製氷用水13を気液混合体にして浄化装置14に供給する構成とすることもできる。
【0072】
これにより、浄化装置14に流れ込む製氷用水13がセラミック担体143に塗布されている光触媒と接触する時間が長くなり、浄水効果を高めることができる。
【0073】
(第3の実施形態)
本発明の第3の実施形態の浄化装置14について図8に基づいて説明する。
【0074】
本実施形態の特徴は、浄化装置14の絶縁体容器144内にらせん状の突起148を設けた点にある。
【0075】
なお、本実施形態においても、上記の特徴点以外は、第1の実施形態と同様である。
【0076】
また、製氷用水13を気液混合体にして浄化装置14に供給する構成とすることもできる。
【0077】
これにより、給水タンク11から移流管17に導出され、この移流管17から浄化装置14の上部に導入される製氷用水13は、らせん状の突起148にガイドされてらせん状の回転流になってセラミック担体143内を流下する。そのため、第2の実施形態と同様に、製氷用水13が浄化装置14内を通過中に光触媒との接触時間が長くなり、浄水効果が高くなる。
【0078】
(第4の実施形態)
上記実施例では冷蔵庫における製氷装置10における浄化装置14について説明した。しかしながら、このような浄化装置14は、他の分野においても適用することが可能である。例えば、工場や下水処理場における排水を浄化する場合についても適用することができる。
【0079】
ところが、このような排水処理を行う場合の水の量は、上記のような製氷装置10における製氷用水とは異なり非常に多い量となる。
【0080】
そのため、このような非常に多い量でも浄化を可能とするため、図9に示すように、円柱状の浄化装置10を複数個束ねて大きな浄化装置集合体150を形成する。
【0081】
これによって、多量の排水であってもその処理を行うことが可能となる。
【0082】
【発明の効果】
以上により本発明の浄化装置であると、円弧状の電極の中心に棒状の電極を設置することで、均一な放電を得ることができ、光触媒モジュール表面全体を用いて分解対象物質を浄化することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態における製氷装置10の構造を示す説明図である。
【図2】同じく浄化装置の縦断面図である。
【図3】光触媒モジュールの直径と軸方向の長さを変化させた時の遊離塩素除去率の実験結果を示した表の図である。
【図4】遊離塩素除去率と触媒担持率の実験結果を示すグラフである。
【図5】電源装置によって印加される全波波形のグラフである。
【図6】同じく半波波形のグラフである。
【図7】第2の実施形態の光モジュールの説明図であり、(a)は横断面図であり、(b)は縦断面図である。
【図8】第3の実施形態の浄化装置の縦断面図である。
【図9】第4の実施形態の浄化装置集合体の斜視図である。
【図10】従来の浄化装置の説明図である。
【符号の説明】
11 給水タンク
12 給水管
13 製氷用水
14 浄化装置
15 製氷室
16 製氷皿
17 移流管
21 水受け体
141 光触媒モジュール
142 電源装置
143 セラミック担体
144 絶縁体容器
145 電極
146 電極
147 導水管
148 らせん状の突起
【発明の属する技術分野】
本発明は、放電電極からの放電光により光触媒を活性化させることで気液混合体に含まれる分解対象物質を除去して清浄あるいは脱臭する浄化装置と、それを用いた冷蔵庫に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、放電電極からの放電光により光触媒を活性化させて、気体中の分解対象物質を除去して気体を清浄あるいは脱臭する浄化装置として、特許文献1のような浄化装置が提案されている。
【0003】
この浄化装置1の構造は、図10に示すようにセラミックスで構成され、その表面に光触媒を担持する三次元網目状の光触媒担持体2を、二枚の金属電極板3,3で挟持した構成である。この一対の金属電極3,3の間には、電源4が電線5を介して設けられ、電圧が印加される。
【0004】
この一対の金属電極板3,3の間に所要の電圧が印加されると放電光が発生し、光触媒担持体2が担持する光触媒が活性化され、光触媒担持体2を通過する気体中に含まれる所要の物質が、放電光によって作用した光触媒反応によって分解される。
【0005】
【特許文献1】
特開2000−140624
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら上記構成の浄化装置1は、空気等の気体を分解対象物質の媒体として構成されているため、気液混合体あるいは液体を対象として浄化を行う場合には、完全に浄化ができないという問題点がある。
【0007】
そこで、本発明は上記問題点に鑑み、気液混合体または液体を対象としてそれに含まれる分解対象物質を浄化することができる浄化装置及びそれを用いた冷蔵庫を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、セラミック基体に光触媒を担持した光触媒モジュールと、正負極の一対の電極と、電源手段とを有し、前記電源手段により前記一対の電極間に電圧を印加して発生させた放電光を前記光触媒モジュールに照射して活性化させ、この活性化した前記光触媒の作用により前記光触媒モジュールの内部あるいは近傍にある液体、気体、気液混合体等の分解対象物質媒体に含まれる分解対象物質を分解する浄化装置において、前記光触媒モジュールを円柱状に形成し、前記光触媒モジュールの軸部分に一方の電極である棒状の電極を配し、前記光触媒モジュールの外周部に絶縁体を介して他方の電極である円弧状の電極を配することを特徴とする浄化装置である。
【0009】
請求項2の発明は、前記絶縁体を筒状の絶縁体容器で形成し、前記絶縁体内部に前記光触媒モジュールを収納し、前記絶縁体容器の外周部に前記他方の電極を配することを特徴とする請求項1記載の浄化装置である。
【0010】
請求項3の発明は、前記絶縁体容器の外周面に、導電性インクによる印刷、メッキ、または、蒸着により前記他方の電極を形成することを特徴とする請求項2記載の浄化装置である。
【0011】
請求項4の発明は、前記円柱状の光触媒モジュールの軸方向の寸法を、その直径の寸法より大きくすることを特徴とする請求項1記載の浄化装置である。
【0012】
請求項5の発明は、前記光触媒モジュールの触媒担持率を5%以上とすることを特徴とする請求項1記載の浄化装置である。
【0013】
請求項6の発明は、前記電源手段により前記一対の電極へ印加する電圧波形が、正と負の両側に振れる波形であることを特徴とする請求項1記載の浄化装置である。
【0014】
請求項7の発明は、前記浄化装置を複数個束ねて浄化装置集合体を形成することを特徴とする請求項1から6の中の少なくとも一項に記載の浄化装置である。
請求項8の発明は、給水タンクから製氷皿へ製氷用水を供給して製氷を行う製氷装置を有する冷蔵庫において、請求項1から7の中の少なくとも一項に記載された浄化装置を用いて、前記給水タンクから前記製氷皿へ流れる製氷用水を浄化することを特徴とする冷蔵庫である。
【0015】
請求項1の発明の浄化装置であると、光触媒モジュールにおいて、外周部にある円弧状の電極の中心に棒状の電極が配され、棒状の電極と円弧状の電極との距離が常に一定であるため、均一な放電を行うことができ、光触媒モジュールの表面全体を用いて浄化することができる。
【0016】
この場合に、絶縁体を一対の電極間に介在させて放電が起こるため紫外線を発生させることができ、その紫外線からのオゾンによっても浄化を行うことができる。
【0017】
また、光触媒モジュールを円柱状に形成することにより、円弧状の電極と棒状の電極との間の寸法を精度よく保持することができる。
【0018】
請求項2の発明の浄化装置であると、筒状の絶縁体容器の内部に円柱状の光触媒モジュールを収納する構造であるため、製造が容易で、また、棒状の電極と円弧状の電極との寸法精度を正確に保持することができる。
【0019】
請求項3の発明の浄化装置であると、絶縁体容器の外周面に、導電性インクによる印刷、メッキ、または、蒸着により他方の電極である円弧状の電極を形成するため、電極を形成し易く、また、絶縁体容器と円弧状の電極との間に隙間が形成されることがない。したがって、放電が確実に起こる。
【0020】
請求項4の発明の浄化装置であると、円柱状の光触媒モジュールの軸方向の長さを、その直径の寸法より大きくすることにより、棒状の電極と円弧状の電極との間の距離が短くなり、棒状の電極と円弧状の電極との対向する寸法が長くなるため、効率よく放電光を発生させることができる。
【0021】
請求項5の発明の浄化装置においては、少なくとも5%以上の担持率があると、浄化効果を得ることができる。
【0022】
請求項6の発明の浄化装置であると、一対の電極間にかかる電圧の波形が正と負の両側に振れる波形であるため、効率よく放電を行うことができる。
【0023】
請求項7の発明の浄化装置であると、多量の分解対象物質媒体が流入しても浄化をすることが可能となる。
【0024】
請求項7の発明の冷蔵庫であると、製氷皿へ流れる製氷用水を確実に浄化をすることができる。
【0025】
【発明の実施の形態】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態の浄化装置14について説明する。
【0026】
本実施形態の浄化装置14は、冷蔵庫における製氷装置10に設けた場合である。すなわち、この製氷装置10によって製氷される製氷用水を浄化装置14によって浄化する実施形態である。
【0027】
(1)冷蔵庫100の構造
図1に示すように、本実施形態の冷蔵庫100は、上から冷蔵室102、野菜室104、製氷室106、冷凍室108が設けられ、各部屋には、扉110、112、114、116が設けられている。
【0028】
冷凍室108の後方に圧縮機117が載置された機械室118が配され、冷蔵室102の後方にマイコンよりなる冷蔵庫100の制御部120が設けられている。
【0029】
また、冷蔵室用扉110の前面には、冷蔵庫100の操作スイッチと表示部を有する操作部126が設けられている。
【0030】
(2)製氷装置10の構造
製氷装置10の構造について図1に基づいて説明する。
【0031】
製氷用水13が貯蔵してある給水タンク11は、冷蔵室102の下部に配置され、給水管12が後方へ突出している。給水タンク11内の製氷用水13は、この給水管12から給水タンク11外の水受け体21に導出し、野菜室104の後方にある浄化装置14を通過した後に製氷室106内の製氷皿16に給水される。給水された製氷皿16は、所定時間後に製氷モータ15によって、ひねりながら回転して、冷気により凍結した氷を収納ケース107に落下させる。また、収納ケース107に氷があるか否かを検氷レバー109で検知する。
【0032】
水受け体21は、給水タンク11から給水管12を通じてポンプ23で吸い出した製氷用水13を一時貯溜する部分であり、水受け体21から浄化装置14までの移流管17はオリフィスになっていて、流量を絞って吐圧をあげ、浄化装置14には気液混合体にして製氷用水13を供給する。
【0033】
給水タンク11から製氷室106への移流のための吸い上げポンプ23を設ける場所は、給水管12の吸い込み口近傍にあるが、この箇所には限定されない。
【0034】
例えば、水受け体21にポンプ23を設け、給水管12のタンク外の端部をその吸い込み口に接続し、水受け体21をその吐き出し口に接続することによって給水タンク11内の製氷用水13を吸い出して浄化装置14に通し、製氷室106の製氷皿16に給水する構成にすることができる。あるいは、給水管12のタンク内部の下端にポンプ23を設け、給水タンク11の外部においてこのポンプに近接して回転磁界を与える回転磁界発生装置を設置し、ポンプ23を回転磁界によって誘導回転させる構成でもよい。
【0035】
浄化装置14は、光触媒モジュール141を用いたもので、後から詳しく説明する。
【0036】
給水タンク11から外部の浄化装置14との間には製氷用水13をタンクから汲み上げて供給するための給水管12、移流管17がある。図1に示すように、給水管12は冷蔵室の後方、移流管17は野菜室の後方に配されているため、隔壁22によって通常の使用状態ではユーザーの手が触れることがないように浄化装置14を仕切る構造である。この隔壁22によって、浄化装置14にユーザーの手が触れて雑菌が繁殖する事態の発生したり、また、放電を起こすための高圧に触れるのが避けられ、さらに、メンテナンスフリー化が図れる。
【0037】
(3)浄化装置14の構造
次に、浄化装置14の構造について図2に基づいて説明する。
【0038】
図2に示したように、浄化装置14である放電型光触媒フィルタは、光触媒モジュール141と電源装置142から構成される。
【0039】
光触媒モジュール141は、中心の軸部分に電極挿入用の軸孔が開けられた円柱状の3次元多孔質セラミックス基体143に光触媒(例えば、酸化チタン)を塗布したものである。この円柱状の光触媒モジュール141を、筒状の絶縁体容器144内に収容している。筒状の絶縁体容器144は、絶縁性のガラスや樹脂等の誘電体よりなる。
【0040】
光触媒モジュール141の軸孔に棒状の電極である放電電極145を挿入している。
【0041】
絶縁体容器144の外周面には、導電性インクによる印刷、メッキ、または蒸着によって、円弧状の電極である対向電極146が形成されている。
【0042】
上記一対の放電電極145と対向電極146には高電圧を印加するための電源装置142が接続されている。制御部120から電源が供給される電源装置142は、絶縁体容器144の近傍に配され、両者は一体のユニットとして組み込まれている。
【0043】
円柱状の光触媒モジュール141の形状に関しては、光触媒モジュール141の軸方向の長さが、その直径よりも大きく形成されている。例えば、軸方向の長さが20mmであり、直径が10mmである。
【0044】
光触媒モジュール141におけるセラミック基体143に担持する光触媒の担持率は5%以上となっている。
【0045】
電源装置142から一対の電極145,146に印加される高電圧は図5に示すように、正弦波波形において全波波形となっている。
【0046】
このように本実施形態の浄化装置においては、光触媒モジュール141が円柱状でその中心に放電電極145があり、外周部に位置する部分に対向電極146が配置されているため、放電電極145と対向電極146との距離が簡単に一定の距離とすることができ、放電を全周に亘って均一にすることができる。
【0047】
棒状の放電電極145は直接水と接触する部分であるため、この放電電極145の太さを太くすることで、電極の腐食や摩耗を防止することができる。
【0048】
(4)浄化装置14が上記構成となる第1の理由
光触媒モジュール141は、絶縁体容器144に収納されている理由について説明する。
【0049】
放電電極145と対向電極146との間に絶縁体が存在しないと、光触媒モジュール141に水が浸入すると、この水によって放電電極145と対向電極146との間に導通が起こり放電が発生しないためである。また、筒状の絶縁体容器144であるため、対向電極146に対して必ず絶縁効果を得ることができる。
【0050】
(5)浄化装置14が上記構成となる第2の理由
対向電極146が絶縁体容器144の表面に導電性インクによる印刷、メッキ、蒸着の方法で形成されている理由について説明する。
【0051】
対向電極146が絶縁体容器144の表面に導電性インクによる印刷、メッキ、蒸着の方法で形成されているため、対向電極146と絶縁体容器144との間で隙間ができることがない。隙間ができるとその間に電位が生じてしまい対向電極146と絶縁体容器144との間で放電が起こり、この放電は非常に高いエネルギーの放電となるため対向電極146や絶縁体容器144の寿命を著しく低下させてしまう。しかし、このように絶縁体容器144の表面に直接対向電極146を形成し隙間を設けないことにより、このような不要な放電がなくなり、対向電極146や絶縁体容器144の寿命を向上させることができる。
【0052】
(6)浄化装置14が上記構成となる第3の理由
光触媒モジュール141の軸方向の長さを径方向の長さよりも長くする理由について説明する。
【0053】
光触媒モジュール141をこのような形状にすると、放電電極145と対向電極146との距離を近付けることができ、また、放電電極145と対向電極146との対向する距離が長くすることができるために、効率よく紫外線を発生させることが可能となる。特に、水中の分解対象物質を効率よく分解することができる。また、放電電極145の長さは水と光触媒との接触時間に直接関係するため、軸方向の寸法が短いと十分な効果を得ることができないが、このように軸方向の寸法を長くすることにより十分な浄化を行える。
【0054】
図3は、水道中のカルキ臭の原因物質である遊離塩素に対する除去率の性能を、光触媒モジュール141の直径と軸方向の長さを変えた場合の実験結果を示したものである。
【0055】
図3に示すように、入力電力は常に10Wであって条件は一定である。この状態で、軸方向の長さ/直径の比率が1/2であると遊離塩素除去率が9%であり、1/1であると35%である。一方、2/1であると67%まで向上する。よって、軸方向の長さを直径の長さよりも大きくすることによりその遊離塩素除去率を著しく向上させることができる。
【0056】
なお、冷蔵庫の製氷用水における遊離塩素除去率としては50%以上が好ましいため、軸方向の長さ/直径の長さとしては、1.5/1以上が好ましい。
【0057】
(7)浄化装置14が上記構成となる第4の理由
セラミック基体143に担持する光触媒の担持率を5%以上としている。この理由を図4に基づいて説明する。
【0058】
図4は、遊離塩素除去率を縦軸に、触媒担持率を横軸にしたグラフであって、触媒担持率を変化させて遊離塩素除去率の状態を測定した実験結果である。
【0059】
図4に示すように、触媒担持率が5%以下であると遊離塩素除去率が10%以下となり、軸方向の長さと直径の長さの比率を変えたり、後から説明する電圧波形の状態を変化させても、必要な遊離塩素除去率を得ることができない。そのため5%以上の担持率が必要である。
【0060】
(8)浄化装置14が上記構成となる第5の理由
電源装置142によって、正弦波における全波波形を一対の電極145,146に印加した理由を図5及び図6に基づいて説明する。
【0061】
図5は、上記したように全波波形を一対の電極145,146に印加した状態であり、図6は半波波形を一対の電極145,146に印加したものの波形である。そして、全波波形における遊離塩素除去率は85%に対し、半波波形では11%である。
【0062】
この理由は、全波波形では、放電が絶縁物を介したバリア放電となるため、高電圧がかかっている時にのみ絶縁物表面にチャージした電子に関して、電位が逆転する際に電流として流れることによる。一方、半波波形ではチャージした電子が流れにくいために電流が流れず、紫外線量が減少して、遊離塩素除去率が減少からである。
【0063】
(9)実施形態の効果
この浄化装置14をなす放電型光触媒フィルタは寿命が長く、高度な浄化性能が得られる特長がある。また、光触媒モジュール141の部分に水を完全に充満させた状態で放電させると10kV以上の高電圧を電極145,146間に印加しなければならないが、光触媒部分に気体と水とが混在する流量で水を流すことによって放電開始電圧を低下させることができ、4kV以上の電圧で浄水効果を得ることができる。しかもこのとき、気液混合体の気体として酸素を含むものを用いると、放電空間で紫外線と共にオゾンも発生し、このオゾンによる酸化殺菌作用によって浄水効果がいっそう向上する。なお、オゾンは人体にとって有害な物質であるが、水中での寿命が数秒から数10秒と言われており、直ちに酸素に戻るために人体への影響はない。
【0064】
(10)変更例
水受け体21と浄化装置14とを接続する移流管17はオリフィスにしてあるので、このオリフィスで流量を調整することが可能である。
【0065】
そこで、水受け体21から浄化装置14への製氷用水13の流量を絞り、水滴にして浄化装置14に供給するようにすることができる。このように水滴にして浄化装置14に供給すれば、放電のために高電圧が水滴に印加され、水滴が高電圧に帯電するとしても、製氷用水13の全体が高電圧に帯電することはなく、したがって製氷用水13が接触する導電体部分が高電圧に帯電することもなく、万が一にもユーザーがその導電体部分に接触するようなことがあっても感電する恐れがない。
【0066】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態の浄化装置14について図7に基づいて説明する。
【0067】
図7は、第2の実施形態の浄化装置14である。
【0068】
本実施形態の浄化装置14は、移流管17から浄化装置14内に導入する製氷用水13の流れがサイクロン(渦流)となるように構成したことを特徴としている。
【0069】
すなわち、導水口147を絶縁体容器144の上部に水平接線方向にして設け、移流管17から浄化装置14に流れ込む製氷用水13が矢印Aのように回転渦流になってセラミック担体143にらせん状の水流になって流れ込むようにしている。
【0070】
なお、その他の構成は図2に示した第1の実施形態と同様である。
【0071】
また、製氷用水13を気液混合体にして浄化装置14に供給する構成とすることもできる。
【0072】
これにより、浄化装置14に流れ込む製氷用水13がセラミック担体143に塗布されている光触媒と接触する時間が長くなり、浄水効果を高めることができる。
【0073】
(第3の実施形態)
本発明の第3の実施形態の浄化装置14について図8に基づいて説明する。
【0074】
本実施形態の特徴は、浄化装置14の絶縁体容器144内にらせん状の突起148を設けた点にある。
【0075】
なお、本実施形態においても、上記の特徴点以外は、第1の実施形態と同様である。
【0076】
また、製氷用水13を気液混合体にして浄化装置14に供給する構成とすることもできる。
【0077】
これにより、給水タンク11から移流管17に導出され、この移流管17から浄化装置14の上部に導入される製氷用水13は、らせん状の突起148にガイドされてらせん状の回転流になってセラミック担体143内を流下する。そのため、第2の実施形態と同様に、製氷用水13が浄化装置14内を通過中に光触媒との接触時間が長くなり、浄水効果が高くなる。
【0078】
(第4の実施形態)
上記実施例では冷蔵庫における製氷装置10における浄化装置14について説明した。しかしながら、このような浄化装置14は、他の分野においても適用することが可能である。例えば、工場や下水処理場における排水を浄化する場合についても適用することができる。
【0079】
ところが、このような排水処理を行う場合の水の量は、上記のような製氷装置10における製氷用水とは異なり非常に多い量となる。
【0080】
そのため、このような非常に多い量でも浄化を可能とするため、図9に示すように、円柱状の浄化装置10を複数個束ねて大きな浄化装置集合体150を形成する。
【0081】
これによって、多量の排水であってもその処理を行うことが可能となる。
【0082】
【発明の効果】
以上により本発明の浄化装置であると、円弧状の電極の中心に棒状の電極を設置することで、均一な放電を得ることができ、光触媒モジュール表面全体を用いて分解対象物質を浄化することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態における製氷装置10の構造を示す説明図である。
【図2】同じく浄化装置の縦断面図である。
【図3】光触媒モジュールの直径と軸方向の長さを変化させた時の遊離塩素除去率の実験結果を示した表の図である。
【図4】遊離塩素除去率と触媒担持率の実験結果を示すグラフである。
【図5】電源装置によって印加される全波波形のグラフである。
【図6】同じく半波波形のグラフである。
【図7】第2の実施形態の光モジュールの説明図であり、(a)は横断面図であり、(b)は縦断面図である。
【図8】第3の実施形態の浄化装置の縦断面図である。
【図9】第4の実施形態の浄化装置集合体の斜視図である。
【図10】従来の浄化装置の説明図である。
【符号の説明】
11 給水タンク
12 給水管
13 製氷用水
14 浄化装置
15 製氷室
16 製氷皿
17 移流管
21 水受け体
141 光触媒モジュール
142 電源装置
143 セラミック担体
144 絶縁体容器
145 電極
146 電極
147 導水管
148 らせん状の突起
Claims (8)
- セラミック基体に光触媒を担持した光触媒モジュールと、正負極の一対の電極と、電源手段とを有し、
前記電源手段により前記一対の電極間に電圧を印加して発生させた放電光を前記光触媒モジュールに照射して活性化させ、この活性化した前記光触媒の作用により前記光触媒モジュールの内部あるいは近傍にある液体、気体、気液混合体等の分解対象物質媒体に含まれる分解対象物質を分解する浄化装置において、
前記光触媒モジュールを円柱状に形成し、
前記光触媒モジュールの軸部分に一方の電極である棒状の電極を配し、
前記光触媒モジュールの外周部に絶縁体を介して他方の電極である円弧状の電極を配する
ことを特徴とする浄化装置。 - 前記絶縁体を筒状の絶縁体容器で形成し、
前記絶縁体内部に前記光触媒モジュールを収納し、
前記絶縁体容器の外周部に前記他方の電極を配する
ことを特徴とする請求項1記載の浄化装置。 - 前記絶縁体容器の外周面に、導電性インクによる印刷、メッキ、または、蒸着により前記他方の電極を形成する
ことを特徴とする請求項2記載の浄化装置。 - 前記円柱状の光触媒モジュールの軸方向の寸法を、その直径の寸法より大きくする
ことを特徴とする請求項1記載の浄化装置。 - 前記光触媒モジュールの触媒担持率を5%以上とする
ことを特徴とする請求項1記載の浄化装置。 - 前記電源手段により前記一対の電極へ印加する電圧波形が、正と負の両側に振れる波形である
ことを特徴とする請求項1記載の浄化装置。 - 前記浄化装置を複数個束ねて浄化装置集合体を形成する
ことを特徴とする請求項1から6の中の少なくとも一項に記載の浄化装置。 - 給水タンクから製氷皿へ製氷用水を供給して製氷を行う製氷装置を有する冷蔵庫において、
請求項1から7の中の少なくとも一項に記載された浄化装置を用いて、前記給水タンクから前記製氷皿へ流れる製氷用水を浄化する
ことを特徴とする冷蔵庫。
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-
2003
- 2003-03-19 JP JP2003076550A patent/JP2004283672A/ja active Pending
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JP2007196121A (ja) * | 2006-01-25 | 2007-08-09 | Univ Nagoya | 水処理方法および水処理装置 |
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