JP2004281162A - ゲル電解質含有電極及びそれを用いた有機電解質電池 - Google Patents

ゲル電解質含有電極及びそれを用いた有機電解質電池 Download PDF

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Abstract

【課題】ゲル電解質を用いた有機電解質電池においても大量のリチウムイオンを吸蔵・放出可能な電極を提供すること及び、充放電の繰り返し性能に優れ、かつ、安全性、信頼性を満足できる電極を提供することにある。更に、上記電極を用いた有機電解質電池を提供することにある。
【解決手段】有機電解質電池において炭素活物質、例えば芳香族系縮合ポリマーの熱処理物であって、水素原子/炭素原子の原子比が0.50〜0.05であるポリアセン系骨格構造を有する不溶不融性基体と、PVdF−HFPと、ゲル化剤例えばPVdF−HFPを用いることを特徴とする電極によって解決される。。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ゲル電解質が含まれた電極およびそれを用いた電池に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、導電性高分子、遷移金属酸化物等を正極とし、負極にリチウム金属あるいはリチウム合金を用いた二次電池が提案され、そのエネルギー密度が高いことから、Ni−Cd電池、鉛電池に代わる電池として期待された。
【0003】
しかしながら、これらの二次電池は、繰り返し充放電を行うと、正極あるいは負極の劣化による容量低下が大きく、実用には問題が残されている。特に、負極の劣化は、デントライトと呼ばれる針状のリチウム結晶の生成を伴い、充放電の繰り返しにより終局的にはデントライトがセパレーターを貫通し、電池内部でショートを引き起こし、場合によっては電池が破裂する等、安全面においても問題が生じることがあった。
【0004】
そこで、上記の問題点を解決すべく、グラファイト等の炭素材料を負極に用い、正極にLiCoO等のリチウム含有金属酸化物を用いた電池が提案されている。この電池は、電池組立後、充電することにより正極のリチウム含有金属酸化物から負極にリチウムを供給し、更に放電では負極リチウムを正極に戻すという、いわゆるロッキングチェア型電池であり、負極に金属リチウムを使用せずリチウムイオンのみが充放電に関与することから、リチウムイオン二次電池と呼ばれている。この電池は、高電圧及び高容量であり、金属リチウムを用いるリチウム電池よりも高い安全性を有することを特徴としているが、安全性については、さらに向上させることが求められている。
【0005】
上述のようにリチウムイオン二次電池は高容量であり有力な電源として研究され、主にノート型パソコンや携帯電話の主電源として実用化されている。
【0006】
一方、芳香族系縮合ポリマーの熱処理物であって水素原子/炭素原子の原子比が0.50〜0.05であるポリアセン系骨格構造を有する不溶不融性基体(以下PASと表記する)は、一般の炭素材料に比べて大量にリチウムをドープすることが可能である。例えば、PASを特定のバインダーで成形した電極を負極に用い、正極にリチウム含有酸化物を用いて上記ロッキングチェアー型の電池を組立てることにより、電池容量の大幅な向上を達成している(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
上記PASは、芳香族系ポリマーを熱処理することにより得られるものである(例えば、特許文献2、特許文献3、特許文献4参照)。
【0008】
また、環境問題がクローズアップされる中、太陽光発電や風力発電による再生可能エネルギーの貯蔵システムや、電力の負荷平準化を目的とした分散型電源、あるいはガソリン車にかわる電気自動車用の電源(メイン電源と補助電源)の開発が盛んに行われている。上述のリチウムイオン二次電池は高エネルギーを有しておりこのような大型の電源としても期待されているが、大電流充放電における特性劣化や、自己発熱による破裂・発火の危険性が高いなど、解決すべき多くの課題が残されている。
【0009】
今後の大型用電源に対しては優れたエネルギー密度と出力密度の両方が要求されるとともに、高い安全性と信頼性を有した設計が必須となっている。
【0010】
安全性と信頼性を確保する目的で、これまでにも電池の電解液を固体化あるいはゲル化する方策が検討されている。例えば、ポリエチレンオキシド(PEO)などの極性ポリマーと電解質塩の複合体からなる、いわゆるポリマー電解質の適用が検討されたが、常温でのイオン伝導度が低く実用が困難であった。現在も有機溶媒を可塑剤として用いたゲル電解質などが検討されているが、電源の出力密度と安全性、信頼性の双方を満足させることは依然として困難な状況にある。
【0011】
【特許文献1】
特開平6−203833号公報(第6頁、第12〜16行)
上記文献には、PASが記載されている。
【0012】
【特許文献2】
特公平1−44212号公報
上記文献には、PASが記載されている。
【0013】
【特許文献3】
特公平3−24024号公報
上記文献には、PASが記載されている。
【0014】
【特許文献4】
特公平3−24024号公報
上記文献には、600m/g以上のBET法による比表面積を有する不溶不融性基体を得ることもできる事が記載されている。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、ゲル電解質を用いた有機電解質電池においても大量のリチウムイオンを吸蔵・放出可能な電極を提供することにある。また、本発明の他の課題は、充放電の繰り返し性能に優れ、かつ、安全性、信頼性を満足できる電極を提供することにある。更に、本発明のたの目的は、上記電極を用いた有機電解質電池を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意研究を行い、電極活物質のPASのバインダーに、電解液を含むことによりゲル化するいわゆるポリマー電解質を用いるという着想を得、係る着想を発展させ、本発明を完成させるに至った。すなわち、本発明は、次の通りである。
[1]有機電解質電池の電極において、炭素系活物質にゲル化剤をバインダーとして用いることを特徴とする電極。
[2] ゲル化剤がポリ(ビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン)共重合体(以下PVdF−HFPと表記)である上記[1]記載の電極。
[3]炭素系活物質が芳香族系縮合ポリマーの熱処理物であって水素原子/炭素原子の原子比が0.50〜0.05であるポリアセン系骨格構造を有する不溶不融性基体である上記[1]記載の電極。
[4]前記電極において、(A)PVdF−HFP重量が活物質重量に対して5%以上、30%以下であり、(B)電解液重量が活物質重量に対して50%以上、200%以下であることを特徴とする上記[2]記載の電極。
[5]上記[1]〜[4]記載の電極からなる有機電解質電池。
【0017】
一般的に炭素系活物質としては、黒鉛、難黒鉛化炭素、低温焼成炭素、活性炭等が挙げられる。
【0018】
携帯電話等の用途に使用されているリチウムイオン電池の負極活物質としては黒鉛系材料が用いられている。放電容量や充放電効率を高めるために結晶化度を高める製造法がとられているが、放電容量としては炭素原子6個に対してリチウムイオン1個に相当する372mAh/gが理論容量といわれ限界である。一方、本発明に用いるPASは黒鉛の理論容量を大きく越える600mAh/g以上の放電容量を達成できる。
【0019】
また、PASはアモルファス構造を有することから、リチウムイオンの挿入・脱離に対して膨潤・収縮といった構造変化がないためサイクル特性に優れ、またリチウムイオンの挿入・脱離に対して等方的な分子構造(高次構造)であるため急速充電、急速放電にも優れた特性を有することからリチウムイオンを輸送する有機電解質電池やキャパシタの電極材として好適である。
【0020】
更に、詳細は後述するが、PASの出発原料は芳香族系縮合ポリマーであり比較的低温にて合成されるため、黒鉛のように3000℃という高温で熱処理された炭素材料よりも表面に水酸基等の官能基が多い構造になっている。そのためPASの表面はポリマーとの密着性が高くゲル電解質との相性もよく、ゲル電解質を用いた電池における電極材としても好適である。
【0021】
PASの前駆体である芳香族系縮合ポリマーとは、芳香族炭化水素化合物とアルデヒド類との縮合物である。芳香族炭化水素化合物としては、例えばフェノール、クレゾール、キシレノール等の如き、いわゆるフェノール類を好適に用いることができる。
【0022】
また、上記芳香族系縮合ポリマ−としては、上記のフェノール性水酸基を有する芳香族炭化水素化合物の1部をフェノール性水酸基を有さない芳香族炭化水素化合物、例えばキシレン、トルエン、アニリン等で置換した変成芳香族系縮合ポリマー、例えばフェノールとキシレンとホルムアルデヒドとの縮合物を用いることもできる。更に、メラミン、尿素で置換した変成芳香族系ポリマーを用いることもでき、フラン樹脂も好適である。
【0023】
上記アルデヒドとしては、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、フルフラール等のアルデヒドを使用することができ、これらの中でもホルムアルデヒドが好適である。また、フェノールホルムアルデヒド縮合物としては、ノボラック型またはレゾール型あるいはこれらの混合物のいずれであってもよい。
【0024】
上記において、特許文献2、特許文献3等に記載されているPASは、すべて用いることができる。
【0025】
本発明に用いる不溶不融性基体は、例えば次のようにして製造することもできる。すなわち、上記芳香族系縮合ポリマーを、非酸化性雰囲気下(真空も含む)中で400〜800°Cの適当な温度まで徐々に加熱することにより、水素原子/炭素原子の原子比(以下H/Cと記す)が0.5〜0.05、好ましくは0.35〜0.10の不溶不融性基体を得ることができる。
【0026】
また、特許文献4等に記載されている方法で、600m/g以上のBET法による比表面積を有する不溶不融性基体を得ることもできる。例えば、芳香族系縮合ポリマーの初期縮合物と無機塩、例えば塩化亜鉛を含む溶液を調製し、該溶液を加熱して型内で硬化する。
【0027】
かくして得られた硬化体を、非酸化性雰囲気下(真空も含む)中で、350〜800°Cの温度まで、好ましくは400〜750°Cの適当な温度まで徐々に加熱した後、水あるいは希塩酸等によって充分に洗浄することにより、上記H/Cを有し、且つ例えば600m/g以上のBET法による比表面積を有する不溶不融性基体を得ることもできる。
【0028】
本発明に用いる不溶不融性基体は、X線回折(CuKα)によれば、メイン・ピークの位置は2θで表して24°以下に存在し、また該メイン・ピークの他に41〜46°の間にブロードな他のピークが存在するものである。すなわち、上記不溶不融性基体は、芳香族系多環構造が適度に発達したポリアセン系骨格構造を有し、且つアモルファス構造をとると示唆され、リチウムを安定にドーピングすることができることから、リチウムイオン蓄電装置用の活物質として有用である。
【0029】
本発明における活物質は、粉末状、粒状、短繊維状等の成形しやすい形状のいずれでも良い。また、必要に応じてアセチレンブラック、グラファイト、金属粉末等の導電材を適宜加えてもよい。導電材の混合比は、上記活物質の電気伝導度、電極形状等により異なるが、活物質に対して2〜40%の割合で加えることが適当である。
【0030】
本発明の電極は炭素系活物質にゲル化剤をバインダーとして用いることを特徴とする電極である。
【0031】
ゲル化剤としては、ポリビニリデンフルオライド(以下、PVdFと表記する。)、PVdF−HFP、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等が挙げられ、これらはゲルの性質を有すると共に、炭素系活物質を結合させる結合剤(バインダー)としても充分な働きを成すものである。これらゲル化剤は、炭素系活物質の結合剤として混練され電極となった後も、電極内でゲル化剤としての働きを充分に発揮する。中でも、PVdF−HFPが、ゲル化剤として好適である。
【0032】
本発明における電極の1例としては、上記PASとPVdF−HFP、電解液とから形成されている。電解液を構成する溶媒として好ましくは、例えば、非プロトン性有機溶媒が採用される。この非プロトン性有機溶媒としては、例えばエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、γ−ブチロラクトン、アセトニトリル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、塩化メチレン、スルホラン等が挙げられる。更に、これら非プロトン性有機溶媒の二種以上を混合した混合液を用いることもできる。特に、エチレンカーボネート、ジエチルカーボネート、プロピレンカーボネートは本発明の電極の特性を発現する上で好ましい。
【0033】
また、上記の単一あるいは混合の溶媒に溶解させる電解質は、リチウムイオンを生成しうる電解質であれば、あらゆるものを用いることができる。このような電解質としては、例えばLiClO、LiAsF、LiBF、LiPF、LiCFSO、Li(CSON等が挙げられる。
【0034】
上記の電解質および溶媒は、充分に脱水された状態で混合され、電解液とするのであるが、電解液中の電解質の濃度は、電解液による内部抵抗を小さくするため少なくとも0.1モル/l以上とすることが好ましく、0.5〜1.5モル/lの範囲内とすることが更に好ましい。
【0035】
PVdF−HFPの含有量は活物質重量に対して5%以上、30%以下、電解液の含有量は活物質重量に対して50%以上、200%以下にすることが、大きな容量と、繰り返し特性を高める上で好ましい。
【0036】
本発明の電極は蓄電装置として充放電する際にバインダーがゲル化していればよく、あらかじめゲル化した電極を用いても、蓄電装置に組み込んだ後、電解液を注液した後にゲル化しても構わない。前者の場合、電極が膨潤して電極の抵抗が大きくなることがなく好適である。
【0037】
【発明の実施の形態】
本発明の電極は例えば以下の方法で調製される。
【0038】
PVdF−HFPパウダーとエチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)を体積比で2:3に混合した有機溶媒に過塩素酸リチウムを溶解させて1mol/lに調製した電解液を混合し、PAS粉を加え、さらにNメチルピロリドン(以下、NMPと表記する。)を添加してスラリーを作成した。各組成はPAS:PVdF−HFP:電解液:NMP=4:1:4:10とした。混合したスラリーを銅箔上に塗布し、400mmHgの圧力下で約4時間、70℃にて加熱することにより電極が得られる。
【0039】
次に図面により本発明の実施態様の一例を説明する。図1は本発明に係る有機電解質電池の基本構成説明図である。図1において(1)は正極であり、(2)は負極である。(1a)、(2a)は集電体であり、各電極及び外部端子(1b)、(2b)に電圧降下を生じないように接続されている。(3)はゲル電解質である。(4)は上記(1)〜(3)を保持し、外気と遮断する外装ケースである。
【0040】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。
【0041】
【実施例】
実施例1〜2、比較例1〜2
(PAS粉体の作製)
厚さ0.5mmのフェノール樹脂成形板をシリコニット電気炉中に入れ、窒素雰囲気下で500℃まで50℃/時間の速度で、更に10℃/時間の速度で650℃まで昇温し、熱処理し、PASを合成した。かくして得られたPAS板をディスクミルで粉砕することにより、PAS粉体を得た。このPAS粉体のH/C比は0.22であった。
【0042】
(ゲル電解質1の作製)
PVdF−HFPパウダー5gとエチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)を体積比で2:3に混合した有機溶媒に過塩素酸リチウム(LiClO)を溶解させて1mol/lに調製した電解液20gを50mlのビーカーに入れ、マグネチックスターラーにて1時間攪拌した後、溶液をシャーレに移して400mmHgの減圧下、70℃にて4時間加熱することにより、厚さ800μmのゲル電解質1を得た。このゲル電解質1のイオン伝導度を交流法(10kHz,10mV)にて測定したところ、1.1×10−3S/cm(30℃)であり、ゲル電解質として充分機能できる値を示した。
【0043】
(ゲル電解質2の作製)
電解質を過塩素酸リチウム(LiClO)からリチウム(ビス)ペンタフルオロエタンスルホンイミド(Li(CSON)に換えた以外はゲル電解質1の作製と同様に厚さ800μmのゲル電解質2を得た。このゲル電解質2のイオン伝導度を交流法(10kHz,10mV)にて測定したところ、1.8×10−3S/cm(30℃)であり、ゲル電解質として充分機能できる値を示した。
【0044】
(ゲル電解質含有PAS電極1の作製)
PVdF−HFPパウダー2gとエチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)を体積比で2:3に混合した有機溶媒に過塩素酸リチウム(LiClO)を溶解させて1mol/lに調製した電解液8gを50mlのビーカーに入れ、マグネチックスターラーにて攪拌しながら上記PAS粉を8g添加し、更にNMPを20g加えて24時間室温にて攪拌を行うことによりPASスラリーを得た。続いて厚さ100μmの銅箔上に該スラリーを塗布し400mmHgの減圧下、70℃にて4時間加熱することにより、厚さ700μmのゲル電解質含有PAS電極1を得た。PVdF−HFP重量は活物質重量に対して25%、電解液重量は活物質重量に対して100%である。
【0045】
(ゲル電解質含有PAS電極2の作製)
電解質を過塩素酸リチウム(LiClO)からリチウム(ビス)ペンタフルオロエタンスルホンイミド(Li(CSON)に換えた以外はゲル電解質含有PAS電極1の作製と同様に厚さ700μmのゲル電解質含有PAS電極2を得た。PVdF−HFP重量は活物質重量に対して25%、電解液重量は活物質重量に対して100%である。
【0046】
(セル1の組立)
上記ゲル電解質含有PAS電極1を0.8×0.8cmサイズに切り出し、評価用電極1とした。対極として0.8×0.8cmサイズ、厚み400μmの金属リチウムを用い、上述の厚さ800μmのゲル電解質1を介し、図に示す模擬セルを組んだ。すなわち、(1)の正極として評価用電極1、(2)負極として金属リチウム、(3)のゲル電解質としてゲル電解質1を使用した。
【0047】
(セル2の組立)
同様に上記ゲル電解質含有PAS電極2を0.8×0.8cmサイズに切り出し、評価用電極2とした。対極として0.8×0.8cmサイズ、厚み400μmの金属リチウムを用い、上述の厚さ800μmのゲル電解質2を介し、図に示す模擬セルを組んだ。すなわち、(1)の正極として評価用電極2、(2)負極として金属リチウム、(3)のゲル電解質としてゲル電解質2を使用した。
【0048】
(セル3の組立)
PVdFパウダー1gとNMP12gを50mlのビーカーに入れ、マグネチックスターラーにて攪拌しながら上記PAS粉を9g添加し、24時間室温にて攪拌を行うことによりPASスラリーを得た。続いて厚さ100μmの銅箔上に該スラリーを塗布し400mmHgの減圧下、70℃にて4時間加熱することにより、厚さ400μmのPAS電極3を得た。PVdF重量は活物質重量に対して11%である。
【0049】
上記PAS電極を0.8×0.8cmサイズに切り出し、エチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)を体積比で2:3に混合した有機溶媒にリチウム(ビス)ペンタフルオロエタンスルホンイミド(Li(CSON)を溶解させて1mol/lに調製した電解液を含浸させ評価用電極3とした。対極として0.8×0.8cmサイズ、厚み400μmの金属リチウムを用い、上述の厚さ800μmのゲル電解質2を介し、図に示す模擬セルを組んだ。すなわち、(1)の正極として評価用電極3、(2)負極として金属リチウム、(3)のゲル電解質としてゲル電解質2を使用した。
【0050】
(セル4の組立)
カルボキシメチルセルロース(分散剤)0.1gとイオン交換水10gを50mlのビーカーに入れ、マグネチックスターラーにて攪拌しながら上記PAS粉を9g添加して1時間攪拌した後、固形分10%のSBR(バインダー)懸濁液を4g添加し、24時間室温にて攪拌を行うことによりPASスラリーを得た。続いて厚さ100μmの銅箔上に該スラリーを塗布し400mmHgの減圧下、70℃にて4時間加熱することにより、厚さ400μmのPAS電極4を得た。SBR重量は活物質重量に対して4.4%である。
【0051】
上記PAS電極4を0.8×0.8cmサイズに切り出し、エチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)を体積比で2:3に混合した有機溶媒にリチウム(ビス)ペンタフルオロエタンスルホンイミド(Li(CSON)を溶解させて1mol/lに調製した電解液を含浸させ評価用電極4とした。対極として0.8×0.8cmサイズ、厚み400μmの金属リチウムを用い、上述の厚さ800μmのゲル電解質2を介し、図に示す模擬セルを組んだ。すなわち、(1)の正極として評価用電極4、(2)負極として金属リチウム、(3)のゲル電解質としてゲル電解質2を使用した。
【0052】
(セル5の組立)
セル3と同様の評価用電極3を用い、対極として0.8×0.8cmサイズ、厚み400μmの金属リチウムを用い、エチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)を体積比で2:3に混合した有機溶媒にリチウム(ビス)ペンタフルオロエタンスルホンイミド(Li(CSON)を溶解させて1mol/lに調製した電解液を含浸させた厚さ100μmのポリエチレン製不織布をセパレーターとして介し、図に示す模擬セルを組んだ。すなわち、(1)の正極として評価用電極3、(2)負極として金属リチウム、(3)のゲル電解質の換わりに電解液を含浸させた厚さ100μmのポリエチレン製不織布をセパレーターとして使用した。
【0053】
(セル特性評価)
上記セル1〜4において、0.1mA/cmの定電流でセル電圧が−0.01Vになるまで充電し、その後−0.01Vの定電圧を印加する定電流−定電圧充電を行い、充電容量が1000mAh/gになるまで行った。次いで、0.1mA/cmの定電流でセル電圧が2.5Vになるまで放電した。この−0.01V/2.5Vのサイクルを繰り返し、1回目と3回目の放電容量を比較した結果を表1に示す。ただし、2回目、3回目の充電容量は600mAh/gとした(ここではPASへのリチウムの挿入が充電、PASからリチウムの脱離が放電と定義する)。
【0054】
【表1】
Figure 2004281162
【0055】
従来のPAS電極において電解液を用いた溶液系の構成であるセル5(比較例2)はリチウムイオン電池に使用されている黒鉛の理論容量である372mAh/gを越える大きな容量の繰り返し充放電が可能であった。しかしながら、模擬セルの外装ケースの封止が不充分であったためか、電解液が流れ出し、電池周囲に影響をもたらすものであった。
【0056】
セル3(実施例3)のようにバインダーとしてPVdFを用いたPAS電極においてゲル電解質を用いても、電極をあらかじめ電解液に含浸させることによりPVdFがゲル化しているため、初期の放電容量は大きいかった。充放電を繰り返すことにより、若干容量劣化が見られたものの実施可能なものであった。しかしながら、ゲル電解質含有PAS電極を用いたセル1(実施例1)とセル2(実施例2)はゲル電解質を用いた系においても、黒鉛の理論容量である372mAh/gを越える容量の繰り返し充放電が可能であった。これらセル1とセル2は、外装ケースの封止が不充分であるにもかかわらず、電解液が流れ出すことはなかった。
【0057】
セル1とセル2はいずれも大きな放電容量を示したが、セル1に用いた過塩素酸リチウムよりもセル2に用いたリチウム(ビス)ペンタフルオロエタンスルホンイミドの方が放電容量が大きく、より望ましい。
【0058】
また、セル4においてはバインダーのゲル化が不充分であるために、3サイクル目は充放電ができなかった。
【0059】
【発明の効果】
本発明によれば、ゲル電解質を用いた有機電解質電池においても黒鉛の理論容量である372mAh/gを越える容量の繰り返し充放電が可能な電極を得ることができる。また、本発明により、ゲル電解質を用いた高容量を有した有機電解質電池が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る有機電解質電池の一例を示す図である。
【符号の説明】
1 正極
2 負極
1a 集電体(正極)
2a 集電体(負極)
1b 外部端子(正極)
2b 外部端子(負極)
3 ゲル電解質
4 外装ケース

Claims (5)

  1. 有機電解質電池の電極において、炭素系活物質にゲル化剤をバインダーとして用いることを特徴とする電極。
  2. ゲル化剤がポリ(ビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン)共重合体(以下PVdF−HFPと表記)である請求項1記載の電極。
  3. 炭素系活物質が芳香族系縮合ポリマーの熱処理物であって水素原子/炭素原子の原子比が0.50〜0.05であるポリアセン系骨格構造を有する不溶不融性基体である請求項1記載の電極。
  4. 前記電極において、(A)PVdF−HFP重量が活物質重量に対して5%以上、30%以下であり、(B)電解液重量が活物質重量に対して50%以上、200%以下であることを特徴とする請求項2記載の電極。
  5. 請求項1〜4記載の電を用いる有機電解質電池。
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